説明

新規インドール誘導体

【課題】糖尿病治療薬として有用なインドール誘導体、またはその薬学上許容される塩を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩。
[式中、R1は、存在しないか、1つまたは複数存在し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−C8アルキル、置換されていてもよいC1−C8アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、水酸基、シアノ、ニトロ、カルボキシル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよい非芳香族へテロ環、または置換されていてもよいカルバモイルを表し、R2は、水素原子、置換されていてもよいC1−C8アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗糖尿病作用を有する新規なヘテロアリール化合物またはその塩に関する。詳しくはインスリン抵抗性を改善し、より安全に血糖値をコントロールする抗糖尿病作用を有する、および/または高脂血症、動脈硬化、メタボリックシンドロームといった代謝性疾患の予防・治療に対して有用である新規なヘテロアリール化合物に関する。さらに詳しくは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α活性化調節作用、PPARγ活性化調節作用、またはPPARα/γ活性化調節作用を有する新規なヘテロアリール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のPPARα活性化調節作用、PPARγ活性化調節作用、またはPPARα/γ活性化調節作用を有する化合物が報告されている。例えば、特許文献1にインドール環を有する化合物がPPARα活性化調節作用、PPARγ活性化調節作用、またはPPARα/γ活性化調節作用を有する化合物として有効であることが報告されている。しかしながら、この文献には本発明の化合物は具体的に記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/075638号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、PPARα活性化調節作用、PPARγ活性化調節作用、またはPPARα/γ活性化調節作用を発揮することにより、糖尿病・インスリン抵抗性を改善し、および/または高脂血症、動脈硬化症、メタボリックシンドロームといった代謝性疾患の予防・治療に対して有用であるだけでなく、既存のPPARγフルアゴニストに見られる体重増加、浮腫、心重量増加といった副作用を回避した安全性の高い予防または治療剤を供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、鋭意研究した結果、後述する試験例で明らかなように、本発明の化合物が特許文献1記載の実施例化合物よりも明確に強いPPARγ親和性を有することを見出した。さらに、後述する試験例で明らかなように、糖尿病モデルマウスにおいても、本発明の化合物は特許文献1記載の実施例化合物よりも明確に強い抗糖尿病作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
〔1〕 式(1):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は、存在しないか、1つまたは複数存在し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていてもよいC−Cアルキル、置換されていてもよいC−Cアルコキシ、置換されていてもよいアミノ、水酸基、シアノ、ニトロ、カルボキシル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよい非芳香族へテロ環、または置換されていてもよいカルバモイルを表し、R2は、水素原子、置換されていてもよいC−Cアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールを表す)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩。
〔2〕 式(2):
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC−Cアルキル、置換されていてもよいC−Cアルコキシ、置換されていてもよいアミノ、水酸基、シアノ、ニトロ、カルボキシル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよい非芳香族へテロ環、または置換されていてもよいカルバモイルを表す)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩。
〔3〕次式:
【0011】
【化3】

【0012】
で表される化合物のうちのいずれかである上記〔1〕記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
[4] 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
[5] 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する、PPARα、PPARγ、またはPPARα/γ活性化調節剤。
[6] 上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する、糖尿病または高脂血症の治療剤に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、インスリン抵抗性を改善し、既存のPPARγフルアゴニストに見られる体重増加、浮腫、心重量増加といった副作用を回避した安全性の高い糖尿病に対する予防薬、または治療薬として有用な、新規ヘテロアリール誘導体またはその塩の提供が可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明に係る式(1)で表されるヘテロアリール誘導体の、該式中の定義につき、以下に具体的に説明する。なお、本明細書において、「置換されていてもよい」もしくは「置換された」で定義される基における置換基の数は、特に指示した場合を除き、置換可能であれば特に制限は無く、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0015】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子が挙げられる。
【0016】
−Cアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。環状構造を含むアルキルとしては、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロブチルメチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、2−プロピル、シクロプロピルが挙げられる。
【0017】
「置換されていてもよいC−Cアルキル」における置換基としては、例えば、水酸基、オキソ、アミノ、C1−C8モノアルキルアミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ等)、C2−C12ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、C1−C8アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、1−プロピルオキシ、2−プロピルオキシ等)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、C1−C8ハロアルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ等)、飽和へテロ環(例えばモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、4−メチル−1−ピペラジノ等)、アリール(例えばフェニル、1−ナフチル等)、またはヘテロアリール(例えばピリジル、チエニル、フラニル等)などが挙げられ、好ましくはメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシ、エトキシ、2−プロピルオキシ、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、フェニル、ピリジルが挙げられる。
【0018】
1−C8アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、2−プロポキシ、シクロペンチルオキシ等が挙げられ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、2−プロピルオキシが挙げられる。また、隣接してアルキル、アルコキシがある場合は、隣接基と置換基を有する環を形成しても良く、具体的には、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、2−メチル−メチレンジオキシ、2−メチル−エチレンジオキシ、1−オキシ−2−エチレン、1−オキシ−2−プロピレン等が挙げられ、好ましくは、メチレンジオキシ、エチレンジオキシが挙げられる。
【0019】
「置換されていてもよいC−Cアルコキシ」の置換基としては、例えばハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子)、C1−C3の直鎖または分枝状アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ、2−プロポキシ)、C1−C3の直鎖または分枝状アルキル(好ましくはメチル、エチル、2−プロピル等)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0020】
「置換されていてもよいアミノ」としては、アミノの他、C1−C8アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル等)、C1−C8アシル(例えばアセチル、プロピオニル等)、アリール(例えば、フェニル等)、またはヘテロアリールでモノまたはジ置換されてもよいアミノが挙げられる。好ましくは、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニルアミノ等が挙げられる。
「置換されていてもよいアシル」のアシルとしては、例えば、ホルミルの他、C1−C8アルキル(例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、t−ブチル等)、アリール(例えば、フェニル等)、またはヘテロアリール(例えばチエニル、ピリジル等)とカルボニル基が結合した基などが挙げられる。アシルとして好ましくは、例えば、アセチル、プロピオニル、シクロブタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、ベンゾイル等が挙げられる。
【0021】
該アシルは置換可能な位置に1−3個の置換基を有してもよく、この場合の置換基としては、例えば、C1−C3の直鎖または分枝状アルキル(好ましくはメチル、エチル、2−プロピル等)、C1−C3の直鎖または分枝状アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ、2−プロポキシ等)、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子)、ヒドロキシ、アミノ等が挙げられる。
【0022】
「非芳香族へテロ環」としては、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個含有する炭素数2〜6のものが挙げられ、例えばモルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノ、4−メチル−1−ピペラジノ等が挙げられ、好ましくはモルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノが挙げられる。
【0023】
「置換されていてもよい非芳香族へテロ環」における置換基としては、例えば、C1−C8アルキル(例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、t−ブチル等)、C1−C8アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、1−プロピルオキシ、2−プロピルオキシ等)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素等)、C1−C8ハロアルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ等)、C1−C8ハロアルキル(トルフルオロメチル等)などが挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、2−プロピル、メトキシ、エトキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルが挙げられる。
「置換されてもよいカルバモイル基」としては、例えばカルバモイル、直鎖もしくは分枝鎖のC1−C6モノアルキルアミノカルボニル、または直鎖もしくは分枝鎖のC2−C12ジアルキルアミノカルボニルが挙げられる。直鎖または分枝鎖のC1−C6アルキルアミノカルボニルとしては、好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、2−プロピルアミノカルボニルが挙げられる。直鎖または分枝鎖のC2−C12ジアルキルアミノカルボニルとしては、例えば、同一または異なるアルキルで置換されたカルバモイルが挙げられ、好ましくは、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、メチルプロピルアミノカルボニル、ジシクロヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。
【0024】
アリールとしては、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニルが挙げられる。
【0025】
ヘテロアリールとしては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子からなる群から任意に選ばれる1から3個のヘテロ原子を含む単環性または二環性のヘテロアリールが挙げられる。具体的には、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール等の単環性5員環ヘテロアリール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン等の単環性6員環ヘテロアリール、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、プリン、4−H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等の二環性ヘテロアリール等が挙げられ、より好ましくは、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、インドール、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンが挙げられる。
【0026】
「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基の数としては、それぞれ置換可能な位置に1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有してもよい。該置換基としては、例えばハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子)、C1−C3の直鎖または分枝状アルコキシ(好ましくは、メトキシ、エトキシ、2−プロポキシ)、C1−C3の直鎖または分枝状アルキル(好ましくはメチル、エチル、2−プロピル等)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ等が挙げられる。
【0027】
薬学上許容される塩としては、本発明化合物が酸性基を有する場合は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩等の無機金属塩、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、アミノ酸等有機塩基塩等が挙げられる。本発明化合物が塩基性基を有する場合は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
本発明のヘテロアリール化合物は、例えば以下に詳述する製造法、もしくはこれらに準ずる方法によって製造することができる。原料化合物として用いられる化合物は、それぞれ塩として用いてもよい。なお、これらの反応は単なる例示であり、有機合成に習熟している者の知識に基づき、適宜、他の方法で製造することもできる。
【0028】
以降の各反応において、必要に応じて、官能基を保護することができる。保護基およびその保護、脱保護の技術はT.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York(1999)に詳しく述べられている。
製造法(1)
【0029】
【化4】

【0030】
式(1)のヘテロアリール誘導体は、a−dの部分でそれぞれ結合を形成することで、製造することができる。a−d部分の結合形成方法は、製造法(1−1)−製造法(1−3)のように例示することができる。a−d部分の結合形成の順番については、適宜変更することができる。また各製造法における出発物質は、公知の原料からa−d部分の結合形成方法を組み合わせることで製造することができる。
製造法(1−1)a、b部分の合成
【0031】
【化5】

【0032】
(式中、R0は、メチル、エチル、t−ブチル等のアルキルを表し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メシレート、トシレート、トリフレート等の脱離基を表す。)
化合物(100)、(101)、(102)、(103)は、例えば、新実験化学講座14巻(丸善、1977年発行)、実験化学講座19〜26巻(丸善、1992年発行)、精密有機合成(南江堂、1983年発行)、ペプチド合成の基礎と実験(丸善、1985年発行)、Compendium of Organic Synthetic Methods, Vol. 1−9 (John Wiley & Sons)、Comprehensive Organic Synthesis, Vol. 1−9 (1991、Pergamon Press)、Comprehensive Organic Transformations (1989、VCH Publishers)等に記載されている方法あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
【0033】
化合物(104)は、化合物(100)と化合物(101)、あるいは化合物(102)と化合物(103)から不活性溶媒中、塩基存在下、反応させることで製造することができる。すなわち、実験化学講座20巻(丸善、1992年発行)、J.Org.Chem,56,1321(1991)、Heterocycles,31,1745(1990)等記載のO−アルキル化反応あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
【0034】
不活性溶媒としては、例えばエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0035】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0036】
反応温度は、約−20℃から溶媒の沸点付近の範囲から選択され、好ましくは約0℃から溶媒の沸点付近の範囲が挙げられる。
製造法(1−2)c部分の合成
【0037】
【化3】

【0038】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)
c部分の結合形成方法、および化合物(105)の製造方法については、例えば、WO 02/085851、WO 02/10131−A1、WO 03/91211−A1、WO 04/048341、Organic Letters, 4, 973 (2002)、 Tetrahedron Letters,40,2657 (1997)、Chemical Communication,188 (2004) 、 Tetrahedron Letters,35,4133 (1994)、Bull.Korean Chem.Soc.,21,618 (2000)、Synlett,10,1591 (1999)、Tetrahedron Letters,46,2405 (2005) 、J.Am.Chem.Soc,124,11684(2002)に記載の方法、あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
化合物(104)は、化合物(105)と化合物(106)から不活性溶媒中、塩基存在下、反応させることで製造することができる。すなわち、実験化学講座20巻(丸善、1992年発行)、Tetrahedron, 54, 13915(1998)等記載のN−アルキル化反応あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
【0039】
不活性溶媒としては、例えばエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0040】
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属ヒドリド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のアルキルアミン類、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
【0041】
反応温度は、約−20℃から溶媒の沸点付近の範囲から選択され、好ましくは約0℃から溶媒の沸点付近の範囲が挙げられる。
製造法(1−3)d部分の合成
【0042】
【化4】

【0043】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)
d部分の結合形成方法、および化合物(107)、(108)の製造方法については、例えば、新実験化学講座14巻(丸善、1977年発行)、実験化学講座19〜26巻(丸善、1992年発行)、精密有機合成(南江堂、1983年発行)、ペプチド合成の基礎と実験(丸善、1985年発行)、Compendium of Organic Synthetic Methods, Vol. 1−9 (John Wiley & Sons)、Comprehensive Organic Synthesis, Vol. 1−9 (1991、Pergamon Press)、Comprehensive Organic Transformations (1989、VCH Publishers)等に記載されている方法あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
化合物(106)は、化合物(107)と化合物(108)から不活性溶媒中、酸存在下、反応させることで製造することができる。すなわち、実験化学講座20巻(丸善、1992年発行)、Org. Lett, 10, 1487(2000)等記載のFriedel−Craftsアシル化反応あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。
不活性溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジオキサン、エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、アセトン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0044】
酸としては、例えば塩化アルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸が挙げられる。
【0045】
反応温度は、約−20℃から溶媒の沸点付近の範囲から選択され、好ましくは約0℃から溶媒の沸点付近の範囲が挙げられる。
製造法(1−4)加水分解の方法
【0046】
【化5】

【0047】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
化合物(110)は、化合物(104)から通常の脱保護の技術を用いることで製造することができる。例えば、酸または塩基存在下、加水分解反応によって得られる。
【0048】
酸としては、例えば塩酸、硫酸、酢酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0049】
溶媒としては、例えばエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられ、1種類以上の溶媒と水を適宜の割合で混合して用いてよく、また無溶媒で行ってもよい。
【0050】
反応温度は、約−20℃から溶媒の沸点付近の範囲から選択され、好ましくは約−10℃から溶媒の沸点付近の範囲が挙げられる。
【0051】
塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸塩等が挙げられ、含水溶媒中で行われる。
【0052】
含水溶媒としては、例えばエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒等から選ばれる1種類以上の溶媒と適宜の割合の水との混合溶媒が用いられる。
【0053】
反応温度は、約−20℃から溶媒の沸点付近の範囲から選択され、好ましくは約−10℃から溶媒の沸点付近の範囲が挙げられる。
製造法(2)インドール環(107)の構築方法
【0054】
【化6】

【0055】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
インドール環を構築する場合、またインドール環に置換基R、Rを導入する場合、例えばThe Chemistry of Heterocyclic Compounds(インドール誘導体:vol.25 partII,partIII,part4;)、Methoden der Organischen Chemie(Houben−Weyl)(インドール誘導体:Hetarene I,TEIL 2a,E6b1,p546−848,E6b2,p849−1336)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry(インドール誘導体:vol.4)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry II(インドール誘導体:vol.2)、ヘテロ環化合物の化学(講談社、1988年発行)、新実験化学講座14巻[IV](丸善、1977発行)、Tetrahedron Lett, 41, 1811(2000)、Chem Eur J, 14, 1351(2008)、Org Lett, 10, 3417(2008)、J Am Chem Soc, 128, 1058(2006)、Lett Org Chem, 5, 507(2008)、Tetrahedron Lett, 49, 5309(2008)、J Am Chem Soc, 124, 15169(2002)、J Org Chem, 66, 638(2001)等に記載されている方法、あるいはそれに準じた方法によって製造することができる。以下に、インドール環の構築方法の例を具体的に挙げるが、これらの例に限ることなくその他の方法でも製造することができる。
製造法(2−1)インドール環構築例1
化合物(107)は、化合物(108)と化合物(109)または化合物(110)を酢酸等の酸存在下で加熱することにより製造することができる。
【0056】
【化7】

【0057】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
製造法(2−2)インドール環構築例2
化合物(107)は、例えば化合物(111)と化合物(112)とをパラジウム等の遷移金属触媒によってカップリングさせて合成できる化合物(113)から塩化チタン等の還元剤を使った反応、またはPd/C、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素添加反応により製造することができる。
【0058】
【化8】

【0059】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
製造法(2−3)インドール環構築例3
化合物(107)は、例えば化合物(114)と化合物(115)とを炭酸カリウム、炭酸セシウム等の塩基存在下で反応させて合成できる化合物(116)から塩酸等の酸と反応させて化合物(117)とし、さらに塩化チタン等の還元剤を使った反応、またはPd/C、ラネーニッケル等の金属触媒を用いた水素添加反応により製造することができる。
【0060】
【化9】

【0061】
(式中、R3はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、その他の記号は、前記と同じ意味を表す。)
製造法(2−4)インドール環構築例4
化合物(107)は、例えば化合物(114)と化合物(118)とを不活性溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0062】
【化10】

【0063】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
製造法(2−5)インドール環構築例5
化合物(107)は、例えば化合物(119)と化合物(120)とを反応させて合成できる化合物(121)からラネーニッケル等の金属触媒で脱硫することによって製造することができる。
【0064】
【化11】

【0065】
(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)
インドール環上の置換基として、R1またはR2に塩素、臭素、ヨウ素、トシラート、トリフラート等の脱離基が存在する場合、アリールボロン酸、ヘテロアリールボロン酸あるいはアルキルボロン酸とのスズキ(Suzuki)カップリング反応(J.Organomet.Chem,576,147(1999)、J.Am.Chem.Soc,122,4020(2000)、J.Am.Chem.Soc,124,6343(2002)等記載の方法、またはそれに準じた方法によって製造できる)、アリールスズ化合物、ヘテロアリールスズ化合物あるいはアルキルスズ化合物とのスティル(Stille)カップリング反応(Angew.Chem.Int.Ed.Engl,25,508(1986)記載の方法、またはそれに準じた方法によって製造できる)、またHeck反応、根岸反応、熊田反応、玉尾反応等によってもR1またはR2にアリール、ヘテロアリール、アルキルの導入を行うことができる。逆に、R1またはR2にボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズ、有機亜鉛、有機マグネシウム、有機ケイ素を導入した後、ハロゲン化アリール、ハロゲン化ヘテロアリール、ハロゲン化アルキル等との上記カップリング反応によっても、R1またはR2にアリール、ヘテロアリール、アルキルの導入を行うことができる。
本発明化合物は、不斉が生じる場合または不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本発明化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものを含む。そのような光学異性体を純粋に得る方法としては、例えば光学分割が挙げられる。
光学分割法としては、本発明化合物またはその中間体を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等およびこれらの混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N−ベンジルオキシアラニン、乳酸などのモノカルボン酸類、酒石酸、o−ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸などのジカルボン酸類、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸などのスルホン酸類)と塩を形成させることもできる。
本発明化合物またはその中間体がカルボキシ基等の酸性置換基を有する場合は光学活性なアミン(例えばα−フェネチルアミン、1、2−ジフェニル−エタノールアミン、(1R, 2S)−(-)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S, 2R)−(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン類)と塩を形成させることもできる。
塩を形成させる温度としては、室温から溶媒の沸点の範囲が挙げられる。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する前に必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸またはアミンの使用量は、基質に対し約0.5〜約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲が適当である。必要に応じ結晶を不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエ−テル等のエ−テル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトニトリル等およびこれらの混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。必要に応じ、得られた塩を通常の方法で酸または塩基と処理しフリー体を得ることもできる。
本発明化合物は経口的または非経口的に投与することができる。経口的に投与する場合、通常用いられる投与形態で投与することができる。非経口的には、局所投与剤、注射剤、経皮剤、経鼻剤等の形で投与することができる。経口剤または直腸投与剤としては、例えば、カプセル、錠剤、ピル、散剤、カシェ剤、座剤、液剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば、無菌の溶液または懸濁液等が挙げられる。局所投与剤としては、例えば、クリーム、軟膏、ロ−ション、経皮剤(通常のパッチ剤、マトリクス剤)等が挙げられる。
上記の剤形は通常の方法で、薬学的に許容される賦形剤、添加剤とともに製剤される。薬学的に許容される賦形剤、添加剤としては、担体、結合剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
【0066】
薬学的に許容される担体としては、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロ−ス、低融点ワックス、カカオバター等が挙げられる。カプセルは、本発明化合物を薬学的に許容される担体と共に中に入れることにより製剤できる。本発明化合物は薬学的に許容される賦形剤と共に混合し、または賦形剤なしにカプセルの中に入れることができる。カシェ剤も同様の方法で製造できる。
注射用液剤としては、溶液、懸濁液、乳剤等が挙げられる。例えば、水溶液、水−プロピレングリコール溶液等が挙げられる。液剤は、水を含んでもよい、ポリエチレングリコールまたは/およびプロピレングリコールの溶液の形で製造することもできる。経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を水に加え、着色剤、香料、安定化剤、甘味剤、溶解剤、増粘剤等を必要に応じて加え製造することができる。また経口投与に適切な液剤は、本発明化合物を分散剤とともに水に加え、粘重にすることによっても製造できる。増粘剤としては、例えば、薬学的に許容される天然または合成ガム、レジン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは公知の懸濁化剤等が挙げられる。
局所投与剤としては、上記の液剤および、クリーム、エアロゾル、スプレー、粉剤、ローション、軟膏等が挙げられる。上記の局所投与剤は、本発明化合物と通常に使用される薬学的に許容される希釈剤および担体と混合し製造できる。軟膏およびクリ−ムは、例えば、水性または油性の基剤に増粘剤および/またはゲル化剤を加えて製剤化して得られる。該基剤としては、例えば、水、液体パラフィン、植物油(ピーナッツ油、ひまし油等)等が挙げられる。増粘剤としては、例えばソフトパラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラノリン、水素添加ラノリン、蜜蝋等が挙げられる。
【0067】
ローションは、水性または油性の基剤に、一種類またはそれ以上の薬学的に許容される安定剤、懸濁化剤、乳化剤、拡散剤、増粘剤、着色剤、香料等を加えることができる。
散剤は、薬学的に許容される散剤の基剤と共に製剤化される。基剤としては、タルク、ラクトース、澱粉等が挙げられる。ドロップは水性または非水性の基剤と一種またはそれ以上の薬学的に許容される拡散剤、懸濁化剤、溶解剤等と共に製剤化できる。
局所投与剤は、必要に応じて、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、ベンズアルコニウムクロリド等の防腐剤、細菌増殖防止剤を含んでもよい。
本発明化合物は、糖尿病の患者、特に2型糖尿病またはインスリン非依存型糖尿病患者に対して投与できる。また、本発明化合物は、糖尿病の患者の血糖値をコントロールすることができる。その際の、投与量、投与回数は症状、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、経口投与する場合には、通常は成人に対し1日あたり約1〜約500mgの範囲、好ましくは約5〜約100mgの範囲を1回または数回に分けて投与することができる。注射剤として投与する場合には約0.1〜約300mgの範囲、好ましくは約1〜約100mgの範囲を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明化合物は、その効果の増強を目的として、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。本発明化合物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としても良い。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
なお、糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例えばウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤、大腸菌やイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤等)、インスリン抵抗性改善薬(例えばピオグリタゾンまたはその塩酸塩、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、リボグリタゾン(CS-011)、バラグリタゾン、MBX-2044、INT-131、アレグリタザール(R-1439)、GSK-376501、ネトグリタゾン(MCC-555)、AVE-0897、AVE-5376、DRL-11605、DSP-8658等)、α-グリコシダーゼ阻害剤(例えばボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例えばメトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン等)、インスリン分泌促進剤(例えばトルプタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等のスルホニルウレア剤、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えばシタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン(BMS-477118)、アログリプチン(SYR-322)、P93/01、BI-1356-BS、GRC-8200、T-6666、ALS-2-0426等)、GLP-1、GLP-1アナログ(例えばエキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド(BIM-51077)、AVE-0010等)、アミリンアゴニスト(例えばプラムリンチド等)、糖新生阻害剤(例えばグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、フルクトース−1、6−ビスホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、GPR40アゴニスト、β3アゴニスト(例えばソラベグロン(GW-427353B)等)、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤(例えばバナジン酸ナトリウム等)、SGLUT阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬等が挙げられる。
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例えばトルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポレスタット、ミナレスタット、フィダレスタット(SK-860)、ラニレスタット(AS-3201)等)、神経栄養因子(例えばNGF、NT−3、BDNF等)、AGE阻害剤(例えばアラゲブリウム(ALT-766)等)、活性酸素消去薬(例えばチオクト酸等)、脳血管拡張剤(例えばチアプリド、メキシレチン等)が挙げられる。
抗高脂血症剤としては、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えばプラバスタチン、シンパスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチンまたはそれらのナトリウム塩等)、スクアレン合成酵素阻害剤、フィブラート系剤(例えばフェノフィブラート等)、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤(例えばエゼチミブ等)等が挙げられる。
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えばカプトリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル、リジノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、シラザプリル、テモカプリル、トランドラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例えばオルメサルタン、メドキソミル、カンデサルタン、シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗剤(塩酸ニカルジピン、塩酸マニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、アムリジピン、エホニジピン等)等、ACE/NEP阻害剤(例えばオマパトリラート、ファシドトリル等)、β遮断薬(例えばアテノロール、ビソプロロール、ベタキソロール、メトプロロール等)、α遮断薬(例えばウラピジル、テラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン等)、αβ遮断薬(例えばアモスラロール、アロチノロール、ラベタロール、カルベジロール等)、レニン阻害剤(例えばアリスキレン等)、アルドステロン受容体拮抗薬(例えばスピロノラクトン、エプレレノン等)等が挙げられる。
抗肥満剤としては、中枢性抗肥満薬(例えばフェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、マジンドール等)、膵リパーゼ阻害剤(例えばオルリスタット等)、ペプチド性食欲抑制薬(例えばレプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト等が挙げられる。
利尿剤としては、キサンチン誘導体(例えばサリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例えばエチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ペンチルヒドロクロロアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製薬(例えばスピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水素酵素阻害剤(例えばアセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例えばクロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
併用薬剤は好ましくはGLP-1、GLP-1アナログ、α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤、インスリン抵抗性改善薬等である。上記併用薬剤は2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いても良い。
本発明化合物が、併用薬剤と組み合わせて使用される場合には、これらの薬剤の使用量は、薬剤の副作用を考えて安全な範囲内で低減できる。特に、ビグアナイド剤は通常の投与量よりも低減できる。したがって、これらの薬剤により引き起こされるであろう副作用は安全に防止できる。それに加えて、糖尿病合併症剤、抗高脂血症剤、降圧剤などの投与量は低減でき、その結果これらの薬剤により引き起こされるであろう副作用は効果的に防止できる。
【0068】
以下参考例、実施例および試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物の命名はACDLABS 11.0 Nameで行った。
本明細書において次の略号を使用することもある。
【0069】
NMRデータおよび参考例ならびに実施例においては以下の略号を使用する。s : シングレット(singlet)d : ダブレット(doublet)t : トリプレット(triplet)m : マルチプレット(multiplet)
br:ブロード(broad)J : カップリング定数(coupling constant)Hz : ヘルツ(Hertz)CDCl3: 重クロロホルムDMSO−d6: 重ジメチルスルホキシド
LC−MS分析条件
本体:ZQ2000(waters社)、イオン化法:ESI
カラム:XTerra MS C18 2.5μm (2.1x20mm)(waters社)
A液:HO、B液:アセトニトリル、流速:1ml/min
分析条件;
0.0min → 0.5min:A液 95%一定(B液 5%)
0.5min → 2.5min:A液 95% →1%(B液 5% →99%)
2.5min → 3.5min A液 1%一定(B液 99%)
0min → 3.5minにおいて、A液+B液(=全量)に対して0.06%ギ酸存在下にて分析)
r.t. = Retention Time
また、本明細書において、記載の簡略化のために以下の略号を使用することもある。
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
【実施例1】
【0070】
参考例1
6-メトキシ-2-メチル-1H-インドール
参考例1−1
1-(4-メトキシ-2-ニトロフェニル)プロパン-2-オン
【0071】
【化6】

【0072】
1-ブロモ-2-ニトロ-4-メトキシベンゼン(2.80 g, 12.07 mmol)をトルエン(24 ml)に溶解させ、この溶液にアセトン(5.3 ml, 72.40 mmol)、4-メトキシフェノール(300 mg, 2.41 mmol)、リン酸カリウム(5.64 g, 26.55 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル(190 mg, 0.48 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(111 mg, 0.12 mmol)を順次加え、50℃で10時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液に水、酢酸エチルを加えて、分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(2.34 mg, 93 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.65 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 7.18-7.12 (m, 2H), 4.04 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 2.31 (s, 3H).

参考例1−2
6-メトキシ-2-メチル-1H-インドール
【0073】
【化7】

【0074】
塩化チタン(20%水溶液, 69 g, 89.48 mmol)に6.6M酢酸アンモニウム水溶液(81.3ml, 536.88 mmol)、エタノール(22 ml)を加えた。この溶液に参考例1−1の化合物(2.34 g, 11.12 mmol)のエタノール(70 ml)溶液を滴下し、室温にて3時間半撹拌した。この反応液をジエチルエーテルで3回抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(1.35g, 75 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.71 (brs, 1H), 7.37 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 6.80 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 6.73 (dd, 1H, J = 8.6, 2.2 Hz), 6.13 (brs, 1H), 3.83 (s, 3H), 2.40 (s, 3H).

参考例2
2-メチル-6-(トリフルオロメチル)-1H-インドール
【0075】
【化8】

【0076】
1-クロロ-2-ニトロ-4-トリフルオロメチルベンゼンを用いて参考例1と同様に表題化合物を合成した(2.99 g, 64 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.08 (brs, 1H), 7.57 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.55 (d, 1H, J = 1.3 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 8.0, 1.3 Hz), 6.28 (brs, 1H), 2.48 (s, 3H).

参考例3
2-メチル-1H-インドール-6-カルボ二トリル
【0077】
【化9】

【0078】
1-クロロ-2-ニトロ-4-シアノベンゼンを用いて参考例1と同様に表題化合物を合成した(0.819 g, 32 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.23 (brs, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.54 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 8.2, 1.4 Hz), 6.31 (brs, 1H), 2.50 (s, 3H).

参考例4
6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール
【0079】
【化10】

【0080】
1-クロロ-2-ニトロ-4-フルオロベンゼンを用いて参考例1と同様に表題化合物を合成した(1.69 g, 50 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.83 (brs, 1H), 7.39 (dd, 1H, J = 8.6, 5.4 Hz), 6.97 (dd, 1H, J = 9.6, 1.2 Hz), 6.85-6.80 (m, 1H), 6.18 (brs, 1H), 2.43 (s, 3H).

参考例5
6-クロロ-2-メチル-1H-インドール

参考例5−1
1-(4-クロロ-2-ニトロフェニル)プロパン-2-オン
【0081】
【化11】

【0082】
エチルアセトアセテート(195 mg, 1.50 mmol)のDMF(10 ml)溶液に、炭酸セシウム(651 mg, 2.00 mmol)を加えて攪拌した。この溶液に1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼン(192 mg, 1.00 mmol)を加え、70℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、分液した。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸(10 ml)、濃硫酸(10 ml)を加え、100℃で4時間撹拌した。0℃まで冷却後、反応溶液を4N水酸化ナトリウム溶液で中和、クロロホルムで抽出し、分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、シリカゲルろ過した。溶媒を減圧留去し、表題化合物を得た(135 mg, 63 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.15 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 7.59 (dd, 1H, J = 8.2, 2.2 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 4.13 (s, 2H), 2.35 (s, 3H).

参考例5−2
6-クロロ-2-メチル-1H-インドール
【0083】
【化12】

【0084】
参考例5−1の化合物を用いて参考例2−2と同様に表題化合物を合成した (1.79 g, 94 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.87 (brs, 1H), 7.42 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 7.30 (dd, 1H, J = 8.4, 1.8 Hz), 6.21 (brs, 1H), 2.46 (s, 3H).

参考例6
6-ブロモ-2-メチル-1H-インドール
【0085】
【化13】

【0086】
1-フルオロ-2-ニトロ-4-ブロモベンゼンを用いて参考例5と同様に表題化合物を合成した(8.19 g, 82 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.84 (brs, 1H), 7.42 (brs, 1H), 7.36 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 8.4, 1.7 Hz), 6.19 (brs, 1H), 2.43 (s, 3H).

参考例7
7-フルオロ-2-メチル-1H-インドール
【0087】
【化14】

【0088】
2,6-ジフルオロニトロベンゼンを用いて参考例5と同様に表題化合物を合成した(1.82 g, 70 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.04 (brs, 1H), 7.27 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.00-6.95 (m, 1H), 6.83 (ddd, 1H, J = 11.2, 8.0, 0.8 Hz), 6.26 (brs, 1H), 2.47 (s, 3H).

参考例8
2-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール

参考例8−1
2-ニトロ-4-(トリフルオロメトキシ)アニリン
【0089】
【化15】

【0090】
4-トリフルオロメトキシアニリン(25.0 g, 141.1 mmol)に酢酸(42 ml)を加えて、氷水冷下で攪拌した。この溶液に無水酢酸(53.4 ml, 564.6 mmol)を加え、室温に戻して30分間撹拌した。0℃に冷却後、96%硫酸(4.4 ml)、70%硝酸(7.5 ml)を加え、室温に戻して3時間撹拌した。反応溶液を氷水冷下で攪拌し、水(200 ml)を加えて、析出した固体をろ取した。
得られた固体のメタノール(125 ml)溶液に、5N水酸化ナトリウム水溶液(35 ml)を加えて30分間攪拌した。反応溶液を氷水冷下で攪拌し、水(200 ml)を加えて、析出した固体をろ取した。固体を50℃で減圧乾燥することにより、表題化合物を得た (24.53 g, 78 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.03 (d, 1H, 4.0 Hz), 7.28 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 6.85 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.15 (brs, 2H).

参考例8−2
1-[2-ニトロ-4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロパン-2-オン
【0091】
【化16】

【0092】
塩化銅(17.82 g, 132.52 mmol)のイソプロペニルアセテート(120 ml)溶液を40℃に昇温し、参考例8−1の化合物(24.53 g, 110.43 mmol)のイソプロペニルアセテート(80 ml)溶液を加え、さらに亜硝酸イソブチル(17.0 ml, 143.56 mmol)を滴下して、40℃で4時間撹拌した。反応溶液にトルエン(100 ml)、1N塩酸水溶液(140 ml)を加え、分液した。有機層を水(100 ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100 ml)、水(100 ml)、飽和食塩水(100 ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(20.59 g, 71 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.01 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.47 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 4.15 (s, 2H), 2.35 (s, 3H).

参考例8−3
2-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール
【0093】
【化17】

【0094】
参考例8−2の化合物を用いて参考例2−2と同様に表題化合物を合成した (13.77 g, 82 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.93 (brs, 1H), 7.45 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.16 (brs, 1H), 7.30 (dd, 1H, J = 8.0, 2.0 Hz), 6.22 (brs, 1H), 2.45 (s, 3H).

参考例9
6-(ジフルオロメトキシ)2-メチル-1H-インドール
【0095】
【化18】

【0096】
4-ジフルオロメトキシアニリンを用いて参考例8と同様に表題化合物を合成した (1.07 g, 35 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.89 (brs, 1H), 7.46 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.09 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 6.90 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 6.69-6.31 (m, 1H), 6.22 (brs, 1H), 2.45 (s, 3H).
LC-MS: R.T. 2.15 min., m/z 198 (M+1)

参考例10
7-クロロ-2-メチル-1H-インドール
【0097】
【化19】

【0098】
イソプロペニルマグネシウムブロマイドTHF溶液(0.5 mol/l, 50ml, 25.0 mmol)にTHF(50 ml)加えて−40℃に冷却した。この溶液に2-クロロニトロベンゼン(1.31 g, 8.3 mmol)のTHF(25 ml)溶液を加え、−40℃で1時間撹拌した。室温に戻して、反応溶液に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、分液した。有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(0.714 g, 52 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.09 (brs, 1H), 7.40 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 7.10 (dd, 1H, J = 7.6, 0.8 Hz), 6.99 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz),6.26 (brs, 1H), 2.48 (s, 3H).

参考例11
2,7-ジメチル-1H-インドール
【0099】
【化20】

【0100】
2-メチルニトロベンゼンを用いて参考例10と同様に表題化合物を合成した(0.514 g, 43 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.78 (brs, 1H), 7.37 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.01-6.97 (m, 1H), 6.92 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.23 (brs, 1H), 2.47(s, 6H).

参考例12
6,7-ジクロロ-2-メチル-1H-インドール
【0101】
【化21】

【0102】
2,3-ジクロロニトロベンゼンを用いて参考例10と同様に表題化合物を合成した(0.931 g, 56 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.10 (brs, 1H), 7.32 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.13 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.23 (brs, 1H), 2.46 (s, 3H).

参考例13
6-クロロ-7-フルオロ-2-メチル-1H-インドール
【0103】
【化22】

【0104】
2-フルオロ-3-クロロニトロベンゼンを用いて参考例10と同様に表題化合物を合成した(0.477 g, 31 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.08 (brs, 1H), 7.17 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.01 (dd, 1H, J = 8.4, 6.4 Hz), 6.22 (brs, 1H), 2.45 (s, 3H).

参考例14
6-クロロ-2,7-ジメチル-1H-インドール
【0105】
【化23】

【0106】
2-メチル-3-クロロニトロベンゼンを用いて参考例10と同様に表題化合物を合成した(0.518 g, 35 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.79 (brs, 1H), 7.26 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.07 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.19 (s, 1H), 2.49 (s, 3H), 2.45 (s, 3H).

参考例15
6,7-ジフルオロ-2-メチル-1H-インドール

参考例15−1
1,2-ジフルオロ-3-ニトロベンゼン
【0107】
【化24】

【0108】
過酸化水素水(28 ml, 285 mmol)にトリフルオロ酢酸無水物(45 ml, 326 mmol)の塩化メチレン(94 ml)溶液を加え、0℃で2時間攪拌した。この溶液に2,3-ジフルオロアニリン(5.0 g, 38.7mmol)の塩化メチレン溶液(50 ml)を加え、0℃で30分間攪拌した。室温に戻した後、一昼夜攪拌した。この反応溶液にクロロホルム、水(200 ml)加えて抽出し、分液した。有機層を水(200 ml)で2回、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(5.18 g, 84 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.88-7.85 (m, 1H), 7.52-7.50 (m, 1H), 7.28-7.20 (m, 1H).

参考例15−2
6,7-ジフルオロ-2-メチル-1H-インドール
【0109】
【化25】

【0110】
参考例15−1の化合物を用いて参考例10と同様に表題化合物を合成した(433 mg, 31 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.05 (brs, 1H), 7.14-7.11 (m, 1H), 6.90-6.84 (m, 1H), 6.19 (brs, 1H), 2.44 (s, 3H).
参考例16
(6-クロロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0111】
【化26】

【0112】
参考例5の化合物(20.0 g, 120.8 mmol)をクロロホルム(350 ml)に溶解させて、氷水冷下で攪拌した。この溶液にジエチルアルミニウムクロライドヘキサン溶液(1.06 mol/l, 171 ml, 181.2 mmol)を滴下し、0℃で30分間攪拌した。4−メトキシベンゾイルクロライド(30.9 g, 181.2 mmol)のクロロホルム(120 ml)溶液を滴下し、室温にて3時間攪拌した。反応溶液に水(200 ml)、1N水酸化ナトリウム水溶液(600 ml)を加え、酢酸エチル(2000 ml)で抽出し、分液した。有機層を水(1000 ml)、飽和食塩水(1000 ml)で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸エチル-ヘキサンを加え、析出した固体を濾過することで、表題化合物を得た(29.2 g, 81 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.40 (brs, 1H), 7.78 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.35-7.31(m, 2H), 7.06 (dd, 1H, J = 8.4, 2.0 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.90 (s, 3H), 2.56 (s, 3H).


参考例17
(5-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0113】
【化27】

【0114】
2-メチル-5-メトキシ-1H-インドールを用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(231 mg, 78 %)。
LC-MS: R.T. 2.08 min., m/z 296 (M+1)

参考例18
1H-インドール-3-イル(4-メトキシフェニル)メタノン
【0115】
【化28】

【0116】
インドールを用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(84 mg, 34 %)。
LC-MS: R.T. 2.06 min., m/z 252 (M+1)

参考例19
(2,5-ジメチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0117】
【化29】

【0118】
2-メチル-5-メトキシインドールを用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(124 mg, 44 %)。
LC-MS: R.T. 2.20 min., m/z 280 (M+1)

参考例20
(6-メトキシ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0119】
【化30】

【0120】
参考例1の化合物を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(251 mg, 85 %)。
LC-MS: R.T. 2.10 min., m/z 296 (M+1)

参考例21
(6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0121】
【化31】

【0122】
6-ブロモインドールを用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(259 mg, 78 %)。LC-MS: R.T. 2.27 min., m/z 330 (M+1), 332 (M+3)

参考例22
(4-メトキシフェニル)[2-メチル-6-(トリフルオロメトキシ)-1H-インドール-3-イル]メタノン
【0123】
【化32】

【0124】
参考例8を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(4.37 g, 90 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.66 (brs, 1H), 7.78 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.42 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.18 (brs, 1H), 7.00-6.94 (m, 3H), 3.87 (s, 3H), 2.56 (s, 3H).

参考例23
(6-ブロモ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0125】
【化33】

【0126】
参考例6を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(4.44 g, 90 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.50 (brs, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.46 (brs, 1H), 7.29 (d, 1H, J = 8.6 Hz), 7.18 (dd, 1H, J = 8.6, 1.8), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.55 (s, 3H).

参考例24
3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル-2-メチル-1H-インドール-6-カルボ二トリル
【0127】
【化34】

【0128】
参考例3を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(225 mg, 81 %)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ12.41 (brs, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.65 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.45-7.37 (m, 2H), 7.05 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 3.85 (s, 3H), 2.46 (s, 3H).

参考例25
(6,7-ジクロロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0129】
【化35】

【0130】
参考例12を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(557 mg, 69 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.54 (brs, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.25 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.15 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.59 (s, 3H).

参考例26
(2,7-ジメチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0131】
【化36】

【0132】
参考例11を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(441 mg, 84%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.30 (brs, 1H), 7.80 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.25-7.23 (m, 1H), 7.02-6.97 (m, 2H), 6.96 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.51 (s, 3H).

参考例27
(6-クロロ-7-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0133】
【化37】

【0134】
参考例13を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(155 mg, 19 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.58 (brs, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.03 (dd, 1H, J = 8.8, 6.4), 6.95 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.58 (s, 3H).

参考例28
(6-クロロ-2,7-ジメチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0135】
【化38】

【0136】
参考例14を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(489 mg, 54%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.31 (brs, 1H), 7.76 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.16 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.06 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.94 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.59 (s, 3H), 2.52 (s, 3H).

参考例29
(6,7-ジフルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0137】
【化39】

【0138】
参考例15を用いて参考例16と同様に表題化合物を合成した(88 mg, 12%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.45 (brs, 1H), 7.66 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.05-7.00 (m, 1H), 6.83-6.78 (m, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.45 (s, 3H).

参考例30
(6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0139】
【化40】

【0140】
参考例4の化合物(346 mg, 2.32 mmol)を塩化メチレン(10 ml)に溶解させて、氷水冷下で攪拌した。この溶液にジメチルアルミニウムクロライドヘキサン溶液(1.04 mol/l, 3.34 ml, 3.47 mmol)を滴下し、0℃で30分間攪拌した。4−メトキシベンゾイルクロライド(593 mg, 3.47 mmol)を滴下し、室温にて3時間攪拌した。反応溶液に水(10 ml)、1N水酸化ナトリウム水溶液(50 ml)を加え、酢酸エチルで抽出し、分液した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸エチル-ヘキサンを加え、析出した固体を濾過することで、表題化合物を得た(547 mg, 83 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.47 (brs, 1H), 7.78 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 8.8, 5.6 Hz), 7.01 (dd, 1H, J = 8.8, 2.3 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz),6.87-6.82 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 2.52 (s, 3H).

参考例31
(7-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0141】
【化41】

【0142】
参考例7の化合物(760 mg, 5.60 mmol)を1,4-ジオキサン(10 ml)に溶解させて、ジンククロライド(1.53 g, 11.2 mmol)を加えて攪拌した。この溶液に4−メトキシベンゾイルクロライド(593 mg, 3.47 mmol)の1,4-ジオキサン(7 ml)溶液を加えて、80℃で2時間加熱した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、分液した。有機層を水、1N水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸エチル-ヘキサンを加え、析出した固体を濾過することで、表題化合物を得た(760 mg, 47 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.51 (brs, 1H), 7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.17 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.00-6.87 (m, 4H), 3.90 (s, 3H), 2.60 (s, 3H).

参考例32
(2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メチルフェニル)メタノン
【0143】
【化42】

【0144】
2-メチルインドールを用いて参考例31と同様に表題化合物を合成した(3.05g, 61 %)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ7.53 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 7.1 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 7.1 Hz), 7.31 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.11 (dd, 1H, J = 7.1, 7.1 Hz), 7.01 (dd, 1H, J = 7.1, 7.1 Hz), 2.41 (s, 3H), 2.40 (s, 3H).

参考例33
(4-メトキシフェニル)(2-メチル-1H-インドール-3-イル)メタノン
【0145】
【化43】

【0146】
2-メチルインドールを用いて参考例31と同様に表題化合物を合成した(3.10g, 58 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ8.67 (brs, 1H), 7.80 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.16 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0), 7.08 (dd, 1H, J = 8.0, 8.0), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.89 (s, 3H), 2.56 (s, 3H).

参考例34
(4-メトキシフェニル)[2-メチル-6-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-3-イル]メタノン
【0147】
【化44】

【0148】
参考例2の化合物を用いて参考例31と同様に表題化合物を合成した(583 mg, 87 %)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ12.29 (brs, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.66 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.50 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.05 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 3.85 (s, 3H), 2.45 (s, 3H).

参考例35
(7-クロロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0149】
【化45】

【0150】
参考例10の化合物を用いて参考例31と同様に表題化合物を合成した(557 mg, 43 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ8.66 (brs, 1H), 7.76 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.32 (d, 1H, J = 7.6), 7.17 (dd, 1H, J = 7.6, 0.8 Hz), 7.01 (dd, 1H, J = 7.6, 7.6 Hz), 6.93 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 3.87 (s, 3H), 2.58 (s, 3H).

参考例36
[6-(ジフルオロメトキシ) 2-メチル-1H-インドール-3-イル)(4-メトキシフェニル)メタノン
【0151】
【化46】

【0152】
参考例9の化合物を用いて参考例31と同様に表題化合物を合成した(190 mg, 75 %)。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ11.95 (brs, 1H), 7.64 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.36-6.99 (m, 5H), 6.88 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 3.84 (s, 3H), 2.40 (s, 3H).
参考例37
2-{[4-(ブロモメチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸メチル
【0153】
【化47】

【0154】
2-ヒドロキシイソ酪酸メチル(11.8 g, 100 mmol)のTHF(200 ml)溶液に、0℃で水素化ナトリウム(4.80 g, 110 mmol)を加え、1時間攪拌した。別途、p-キシレンジブロマイド(26.4 g, 100 mmol)をTHF(200 ml)に溶解させ、70℃で攪拌した。前記のナトリウムアルコキシド溶液を滴下し、2時間攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、分液した。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(13.5 g、43 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.29 (s, 4H), 4.41 (s, 2H), 4.38 (s, 2H), 3.68 (s, 3H), 1.44 (s, 6H).

実施例1
2-{[4-({6-フルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸

実施例1−1
2-{[4-({6-フルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸メチル
【0155】
【化48】

【0156】
参考例30の化合物(100 mg, 0.35 mmol)にアセトン(2 ml)、炭酸セシウム(345 mg, 1.05 mmol)を加えて撹拌後、参考例38の化合物(117 mg, 0.39 mmol)のアセトン(1 ml)溶液を加え、50℃で3時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を得た(163 mg、92 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.39-7.34 (m, 3H), 6.99 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.98 (dd, 1H, J = 9.4, 2.3 Hz), 6.84 (ddd, 1H, J = 9.4, 9.4, 2.3 Hz), 5.31 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 2.49 (s, 3H), 1.50 (s, 6H).

実施例1−2
2-{[4-({6-フルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0157】
【化49】

【0158】
実施例1−1の化合物(163 mg, 0.32 mmol)をメタノール(3 ml)、THF(3 ml)に溶解させ、1N水酸化ナトリウム水溶液(3 ml)を加え、室温で4時間半撹拌した。反応溶液に5%硫酸水素カリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣に酢酸エチル-ヘキサンを加え、析出した固体をろ過し、表題化合物を得た(127 mg, 80 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.37 (dd, 1H, J = 8.8, 5.3 Hz), 7.32 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.01 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.91 (dd, 1H, J = 9.4, 2.3 Hz), 6.85 (ddd, 1H, J = 9.4, 9.4, 2.3 Hz), 5.32 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例2
2-{[4-({5-メトキシ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0159】
【化50】

【0160】
参考例17の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(80 mg, 80 %)。
LC-MS: R.T. 2.36 min., m/z 502 (M+1)

実施例3
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0161】
【化51】

【0162】
参考例18の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(76 mg, 83 %)。
LC-MS: R.T. 2.35 min., m/z 458 (M+1)

実施例4
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2,5-ジメチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0163】
【化52】

【0164】
参考例19の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(90 mg, 93 %)。
LC-MS: R.T. 2.45 min., m/z 486 (M+1)

実施例5
2-{[4-({6-メトキシ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0165】
【化53】

【0166】
参考例20の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(85 mg, 85 %)。
LC-MS: R.T. 2.35 min., m/z 502 (M+1)

実施例6
2-{[4-({6-ブロモ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0167】
【化54】

【0168】
参考例21の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(93 mg, 87 %)。
LC-MS: R.T. 2.48 min., m/z 536 (M+1), 538 (M+3)

実施例7
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0169】
【化55】

【0170】
参考例33の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(43mg, 46%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.82 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.40 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.28 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.25 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.17-7.14 (m, 1H), 7.11-7.07 (m, 1H), 7.03 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 5.40 (s, 2H), 4.49 (brs, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.54 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).


実施例8
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-6-(トリフルオロメチル)-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0171】
【化56】

【0172】
参考例34の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(149 mg, 92 %)。
LC-MS: R.T. 2.58 min., m/z 540 (M+1)

実施例9
2-{[4-({6-クロロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0173】
【化57】

【0174】
参考例16の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(36.88 g, 84 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.80 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.34-7.32 (m, 3H, J = 8.0 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.06 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz), 7.01 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 6.96 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 5.35 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 2.52 (s, 3H), 1.56 (s, 6H).


実施例10
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0175】
【化58】

【0176】
参考例22の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(41 mg, 57 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.80 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.42 (d, 2H, J = 12.0 Hz), 7.33 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.12 (s, 1H), 7.03-6.95 (m, 5H), 5.37 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 2.52 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例11
2-{[4-({6-ブロモ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0177】
【化59】

【0178】
参考例23の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(126 mg, 99 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.39(d, 1H, J = 1.6), 7.32 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.18 (dd, 1H, J = 8.4, 1.6 Hz), 7.00 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 5.34 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例12
2-{[4-({6-シアノ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0179】
【化60】

【0180】
参考例24の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(168 mg, 98 %)。
LC-MS: R.T. 2.41 min., m/z 497 (M+1)

実施例13
2-{[4-({7-フルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0181】
【化61】

【0182】
参考例31の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(380 mg, 78 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.31 (d, 2H, J = 8.0), 7.18 (d, 1H, J = 7.6), 7.01 (d, 2H, J = 8.0), 6.99-6.93 (m, 3H), 6.86-6.81(m, 1H), 5.57 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.48 (s, 3H), 1.54 (s, 6H).

実施例14
2-{[4-({7-クロロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0183】
【化62】

【0184】
参考例35の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(250 mg, 99 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.39 (dd, 1H, J = 8.0, 0.8), 7.31 (d, 2H, J = 8.0), 7.11 (dd, 1H, J = 7.6, 0.8), 7.00(d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.01-6.93 (m, 4H), 5.87 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 1.54 (s, 6H).

実施例15
2-{[4-({6,7-ジクロロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0185】
【化63】

【0186】
参考例25の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(238 mg, 99 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.77 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.34-7.31 (m, 3H), 7.18 (d, 1H, J = 8.4), 6.96-6.93 (m, 4H), 5.87 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例16
2-{[4-({3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2,7-ジメチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0187】
【化64】

【0188】
参考例26の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(79 mg, 74 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.81 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.34-7.31 (m, 3H), 6.99-6.87 (m, 6H), 5.63 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.54 (s, 3H), 2.43 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例17
2-{[4-({6-クロロ-7-フルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0189】
【化65】

【0190】
参考例27の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(105 mg, 83 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.77 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.32 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.11 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.04-7.00 (m, 4H), 6.94 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 5.54 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.47 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例18
2-{[4-({6-クロロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2,7-ジメチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0191】
【化66】

【0192】
参考例28の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(152 mg, 58 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.79 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.33 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.23 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.10 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.95-6.91 (m, 4H), 5.62 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.58 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 1.56 (s, 6H).

実施例19
2-{[4-({6,7-ジフルオロ-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0193】
【化67】

【0194】
参考例29の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(87 mg, 52 %)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.77 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.36-7.31 (m, 3H), 7.14-7.10 (m, 1H), 7.01 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.96-6.87 (m, 3H), 5.53 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.47 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).

実施例20
2-{[4-({6-(ジフルオロメトキシ)-3-[(4-メトキシフェニル)カルボニル]-2-メチル-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}-2-メチルプロピオン酸
【0195】
【化68】

【0196】
参考例36の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(93 mg, 98 %)。
LC-MS: R.T. 2.44 min., m/z 538 (M+1)

参考例38
2-メチル-2-{[4-({6-フルオロ-3-[(4-メチルフェニル)カルボニル]-1H-インドール-1-イル}メチル)ベンジル]オキシ}プロピオン酸
【0197】
【化69】

【0198】
参考例32の化合物を用いて実施例1と同様に表題化合物を合成した(53mg, 58%)。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ7.71 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.30 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.25-7.24 (m, 3H), 7.18-7.14 (m, 1H), 7.11-7.06 (m, 1H), 7.02 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 5.40 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.54 (s, 3H), 2.45 (s, 3H), 1.55 (s, 6H).
試験例1
PPARαまたはγアゴニスト活性の評価
レポ-タ-プラスミドの作成
ヒトPPARαのリガンド結合領域(アミノ酸残基167-468を含む)をコ-ドする遺伝子断片、またはヒトPPARγのリガンド結合領域(アミノ酸残基204-505を含む)をコ-ドする遺伝子断片取得を、酵母GAL4蛋白のDNA結合領域を含む発現ベクタ-pM(クロ-ンテック)のマルチクロ-ニングサイトに挿入し、GAL4蛋白DNA結合領域とヒトPPARαまたはγリガンド結合領域の融合蛋白を発現するベクタ-プラスミドを得た。
【0199】
レポ-タ-プラスミドとして、ホタルルシフェラ-ゼ遺伝子を含むpGL3-basicベクタ-(プロメガ)にGAL4蛋白応答配列UASとウサギβグロビンプロモ-タ-を挿入したものを用いた。
【0200】
形質転換効率の補正用に、lacZ遺伝子を含むプラスミドpβgal control(クロ-ンテック)を用いた。
ルシフェラ−ゼアッセイ
COS−1細胞は、5%活性炭・デキストラン処理ウシ胎児血清(ギブコ)を含むフェノ−ルレッド不含ダルベッコ改変イ−グル培地(DMEM)(ギブコ)を用い、5%二酸化炭素存在下、37℃で培養した。COS−1細胞を24ウェルプレ−トに5×10個/ウェルの密度で播種し、一晩培養した。培地を5%活性炭・デキストラン処理ウシ胎児血清不含培地に交換し、1ウェル当たり、GAL4−PPARα、γ発現プラスミド5ng、レポ−タ−プラスミド 50ng、pβgal control 350ngのDNAをリポフェクトアミンプラス試薬(ギブコ)を用いてトランスフェクションした。4時間培養後、培地を5%活性炭・デキストラン処理ウシ胎児血清含有培地に交換し、本化合物を最終濃度0.001μM、0.01μM、0.1μM、1μM、10μMとなるように添加した。24時間培養後、ルシフェラ−ゼアッセイシステム(プロメガ)添付の細胞溶解液を用いて細胞を溶解し、同添付のルシフェラ−ゼ測定試薬を用いて、ルミノメ−タ−にてルシフェラ−ゼ活性を測定した。β−ガラクトシダ−ゼ活性は、β−ガラクトシダ−ゼ酵素測定システム(プロメガ)を用いて測定し、形質転換効率を補正した。
【0201】
PPARα、γアゴニスト活性として、溶媒(DMSO)を添加したウェルのルシフェラ−ゼ活性を1とした場合の各化合物の相対活性を算出した。EC50の算出は、各化合物の最大相対活性に対し50%活性化する濃度をはさむ近接した2つの濃度を用いた直線回帰より行った。即ち、濃度の常用対数をX、相対活性をYとし、各化合物の最大相対活性に対し50%活性化する濃度をはさむ近接した2つの濃度を用いて、Y=aX+bの式に直線回帰した。得られた式に、各化合物の最大相対活性の50%の値を代入し、EC50を算出した。ただし、化合物の相対活性が上記のいずれの濃度においても陽性対照であるピオグリタゾンの最大活性値の10%に満たない場合は、PPARγEC50は>10μMとする。
【0202】
【表1】

【0203】
【表2】

【0204】
【表3】

【0205】
試験例2
実施例に記載の被験物質を0.5% カルボメチルセルロース溶液に溶解または懸濁し、7から8週齢の雄性db/dbマウスに最終投与量として、(1)特許文献1の実施例化合物は30mg/kg、(2)本発明の実施例化合物は10mg/kgとなるよう1日1回2週間強制経口投与した。最終日に、尾静脈より採取した血液に直ちに過塩素酸を添加して除蛋白処置を施した後、グルコースCIIテストワコー(和光純薬工業)を用いて血糖値を測定した。これを以下の表4に示した。
【0206】
血糖降下作用は、以下の計算式により導いた。
血糖降下作用(%)=[{Vehicleの血糖値(最終日)−被験物質投与群の血糖値(最終日)}/Vehicleの血糖値(最終日)]×100
【0207】
【表4】

【0208】
本発明化合物は、特許文献1記載の実施例化合物の中で、特に実施例番号40−2、43、44、46、47、48、49の構造に近いことから、これらの化合物との薬理活性について比較検討した。
表1は化学構造と薬理活性の関係を示す図であるが、特許文献1記載の実施例番号48の化合物に対して、カルボン酸α位の(R)−モノメチル基をジメチル基に変換された化合物である参考例番号38の化合物では、PPARγEC50が2倍向上し、ベンゾイル上のメチル基をメトキシ基に変換された化合物である実施例番号7の化合物では、PPARγEC50がさらに6倍向上した。
また、表2に示すように、特許文献1記載の実施例番号40−2、43、44、46、47、49の化合物に対しても、同様にカルボン酸α位の(R)−モノメチル基をジメチル基に変換し、かつベンゾイル上のメチル基をメトキシ基に変換することで、例外なくPPARγEC50が向上し、その程度は3倍から>14倍の間であった。
【0209】
さらに、表3に示すように、本発明の他の実施例化合物も、同様に高いPPARγEC50値を示した。
【0210】
試験例2の表4に示すように、特許文献1記載の実施例化合物だけでなく、本発明の実施例化合物についても、糖尿病モデルマウスにおける血糖降下作用(抗糖尿病作用)が認められた。また、特許文献1記載の実施例番号20、34、35、54の投与量は30mg/kgであるのに対して、本発明の実施例番号9、10、13の投与量は10mg/kgであるにも関わらず、より強い血糖降下作用を示した。
【0211】
以上のように、特許文献1記載の化合物に対して、カルボン酸α位の(R)−モノメチル基をジメチル基に変換し、ベンゾイル上のメチル基をメトキシ基に変換することで、PPARγEC50が明らかに向上し、かつ糖尿病モデルマウスにおいてもより強力な抗糖尿病作用を示すことを見出した。このような構造変換が、PPARγ親和性や抗糖尿病作用の向上に大きな効果を上げることは、特許文献1には記載されておらず、また従来の知見からも全く予想のつかないことである。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明化合物は、糖尿病治療薬、または予防薬、あるいは血糖調節剤もしくは高脂血症等の治療剤として使用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):

(式中、R1は、存在しないか、1つまたは複数存在し、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−C8アルキル、置換されていてもよいC1−C8アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、水酸基、シアノ、ニトロ、カルボキシル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよい非芳香族へテロ環、または置換されていてもよいカルバモイルを表し、R2は、水素原子、置換されていてもよいC1−C8アルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールを表す)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩。
【請求項2】
式(2):

(式中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−C8アルキル、置換されていてもよいC1−C8アルコキシ、置換されていてもよいアミノ、水酸基、シアノ、ニトロ、カルボキシル、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよい非芳香族へテロ環、または置換されていてもよいカルバモイルを表す)で表される化合物、またはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
次式:

で表される化合物のうちのいずれかである請求項1に記載の化合物、またはその薬学上許容される塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する、PPARα、PPARγ、またはPPARα/γ活性化調節剤。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物、またはそれらの薬学上許容される塩を有効成分として含有する、糖尿病または高脂血症の治療剤。

【公開番号】特開2013−100235(P2013−100235A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50984(P2010−50984)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】