説明

新規タキソイドに基づく組成物

本発明は、エマルションの形のタキソイドの誘導体の注射用製剤を含む新規タキソイドに基づく組成物に関する。これらの製剤は直接静脈内に注射するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性および抗白血病活性を有する治療剤に基づく新規な医薬品形態に関する。本発明は、より詳細には、以下の一般式(I)
【0002】
【化1】

の誘導体または以下の一般式(II)
【0003】
【化2】

の誘導体を含有する、新規な注射用形態に関する。
【背景技術】
【0004】
式(I)の化合物は、国際一般名ラロタキセルとしてよく知られており、これは現在臨床試験中であり、略称XRP9881として知られている。式(II)の化合物もまた、現在臨床試験中であり、XRP6258の略称で知られている。
【0005】
これらの生成物は、インビボで、悪性腫瘍に対して実質的な活性を呈し、この活性により他の全ての抗癌療法に対して耐性である疾患の治療においてこれらの生成物を研究することを可能にする。
【0006】
残念なことに、この種の生成物、特にドセタキセルまたはパクリタキセルは、水溶性が低いため、界面活性剤およびエタノールに基づいて注射用製剤のための製剤を調製することが必要であった。エタノールは、式(I)および式(II)に対応する分子の溶解を可能にする最良の医薬溶媒である。このような製剤は、例えば、欧州特許第0593656号明細書に記載されており、または下記の刊行物に記載されている。
【0007】
一例として、式(I)または式(II)の化合物に近い溶解度を有するTaxolに関する、Journal of the National Cancer Institute、82巻、15号、1247−1259頁、1990年8月1日に掲載されている、Rowinsky、Lorraine、Cazenave、およびDonehowerによる刊行物に従って、
−50体積%のエタノール;および
−50体積%のポリオキシエチレン化ヒマシ油(例えば、Cremophor EL)
から構成される溶媒混合物中におよそ6mg/mlのtaxolを含有する、「ストック溶液」として知られている第1の溶液が調製される。
【0008】
更にこの刊行物に従って、このような濃度(0.3mg/mlと1mg/mlの間)を得るために、活性成分と同時に、それぞれの濃度の以下の化合物、100の持続注入溶液あたりおよそ8gのエタノールおよび特にCremophorを含有する溶液を入れることが必要である。治療は高用量の活性成分の投与を必要とすることが多いため、また、溶液中の活性成分の濃度が比較的低いため、大量の注射は、アナフィラキシー症状に加えて、治療中にアルコール中毒の症状を引き起こす作用を有する。
【0009】
欧州特許第0593601号明細書により、異なる医薬品形態の使用が、エタノール濃度を大幅に減少させるまたは持続注入中のCremophorおよびエタノールを完全に除去するのを可能にすることが発見されている。
【0010】
このために、エタノール(タキサンクラスの活性成分に対して最良の生体適合性溶媒である。)から構成される溶媒ならびに具体的にはTweenおよびMontanoxという名称で販売されているポリソルベートまたは例えばCremophorもしくはEmulphorという名称で販売されているエチレンオキシドのエステル/エーテルおよび脂肪酸グリセリド(水素化ヒマシ油または非水素化ヒマシ油)のエステル/エーテルから選択される界面活性剤の混合物中に活性成分を含有するストック溶液が調製された。
【0011】
エタノール含量の低いストック溶液は、好ましくは5%未満のエタノールを含有し、更により好ましくはストック溶液は2%未満のエタノールを含有する。この溶液は安定であり、したがって界面活性剤中に最大200mg/mlの活性成分を含有することができ、好ましくは最大80mg/mlの活性成分を含有することができる。
【0012】
パクリタキセルのストック溶液は、この発明によると、界面活性剤中に6mg/mlと20mg/mlの間の濃度の活性成分を有していた。ドセタキセルのストック溶液は、好ましくは、界面活性剤中に20mg/mlと80mg/mlの間の濃度の活性成分を有していた。
【0013】
これらの界面活性剤中溶液は、例えば、ボルテックス型装置を用いて、極めて激しく攪拌することにより持続注入に溶解することができる少量のエタノールを場合によって含有する。
【0014】
欧州特許第0671912号明細書に記載されている発明は、先行特許により残された問題を解決することを可能にし、よって、タキサンクラスの誘導体の界面活性剤中溶液と、その後、中間溶液の持続注入への溶解を促進する添加剤を含有する水溶液の間に前記中間溶液を生成することから成る。
【0015】
これらの添加剤は、タキサンクラスの誘導体を含有する乳化剤と水の間に形成されるゲル化相を崩壊させるまたはこのゲル化相の形成を妨げることができる添加剤のセットから選択された。
【0016】
このゲル化相を崩壊させるまたはゲル化相の形成を妨げることを可能にする添加剤の中で、以下のものが例として挙げられた:
−エタノール;
−グルコース;
−グリセロール;
−プロピレングリコール;
−グリシン;
−ソルビトール;
−マンニトール;
−ベンジルアルコール;および
−ポリエチレングリコール。
【0017】
次いで、ドセタキセルの持続注入剤またはパクリタキセルの持続注入剤は、注射するのに望ましい活性成分の量の関数として予め設定された流速でヒトに注射された。
【0018】
先行技術の製剤全てで、多かれ少なかれ軽度のアナフィラキシーショック現象が観察されたが、この現象は、この持続注入前の、抗ヒスタミン剤および/またはコルチコステロイドの投与により予想されていたものであった。
【0019】
これらのアナフィラキシー症状の発生を妨げることを可能にした最近の解決法の中には、タキソイドをアルブミンに基づく外皮に封入した製剤が現れた。この解決法は、アナフィラキシーショックの発生を妨げ、よって抗ヒスタミン剤および/またはコルチコステロイドによる前治療を回避し、先行技術の解決法に比べて副作用を抑えながら、より強い用量を投与することを可能にする。この製剤は、例えば、米国特許第6,537,579号明細書に記載されている。
【0020】
米国特許出願公開第2003/0099674号公報は、界面活性剤に封入された油滴に溶解したタキソイドから構成される凍結乾燥された組成物を請求している。この凍結乾燥された製剤は、保管中崩壊せず、分解もしない。記載されている油は、多くの他の油の中で、中鎖トリグリセリド(Miglyol 812NまたはMCT)およびダイズ油を含有している。7頁の[0072]には、これらの凍結乾燥物は液体エマルションよりも損失も変質も少ないことが記されている。[0089]には、このエマルションは、調製されたら数時間または数分以内に凍結乾燥されなければならないこと、および再構成されたら、この凍結乾燥物はまた数時間または数分以内に使用されなければならないことも述べられている。
【0021】
実施例の中で、表2は、レシチンを含むパクリタキセルの油中溶液について記載しており、これらのATにおける1カ月後の安定性は、Miglyolおよびダイズ油について良好である。ゴマ油とともに水を含有する溶液もまた記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】欧州特許第0593656号明細書
【特許文献2】欧州特許第0593601号明細書
【特許文献3】欧州特許第0671912号明細書
【特許文献4】米国特許第6,537,579号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0099674号公報
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Rowinsky、Lorraine、Cazenave、およびDonehower、Journal of the National Cancer Institute、82巻、15号、1247−1259頁、1990年8月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
凍結乾燥物を溶解させることにより得られるエマルションの中で、1カ月にわたって−20℃で行った安定性のみが記載されている。これらの安定性条件は、これらの安定性に関する最初の特許に記載されている溶液に比べて全く利点を示さず、我々の目的は、周囲温度において少なくとも1年間安定である、すぐに使用できる製剤を得ることである。
【0025】
現在まで、ポリオキシエチレン化ヒマシ油またはポリソルベート型の界面活性剤を用いることを回避しながら、タキソイドクラスの作用剤を十分な用量投与することを可能にする製剤が常に求められており、ここでタキソイドは周囲温度において安定であり、相分離、つまり液体相の沈殿または分離のいずれかをもたらす物理的現象を生じさせることなく、持続注入と混合できる液体形態である。それに加えて、持続注入を回避しながら、ボーラスとしてタキソイドを投与することを可能にする製剤が求められている。
【0026】
それに加えて、所望の製剤は、製品を長期間周囲温度において安定に保つことを可能にしなければならず、例えば加水分解を介したタキソイドの分解を妨げなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、これらの目的に答えて、レシチンまたは半合成リン脂質の存在下における水中の薬剤として許容可能な油に基づく、タキソイドを含有するエマルションに関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
薬剤として許容可能な油の中で、単独で用いられるダイズ油または単独で用いられるMiglyol(商標)もしくはMCT(商標)のような中鎖(C8−C10)トリグリセリドについて言及することができ、または好ましくは、ダイズ油とMCTの混合物を用いることが可能である。具体的には、ダイズ油とトリグリセリドとの重量比は1:1である。
【0029】
エマルションは、ダイズまたは卵レシチンの添加により形成され、好ましくは、商標Lipoid E80として販売されているもののような卵レシチンの添加により形成され、またはホスファチジルコリン(これは双性イオン性界面活性剤である。)の優先的添加により形成される。
【0030】
エマルションは、レシチンまたはホスファチジルコリンが、具体的にはホスファチジルグリセロールまたはホスファチジン酸から選択されるアニオン性リン脂質と組み合わせられるとき、より良好な物理的安定性を有する。
【0031】
ホスファチジルグリセロールの中で、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(DLPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)またはジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)について言及することができる。ホスファチジン酸の中で、ジラウロイルグリセロホスファチジン酸(DLPA)のナトリウム塩、ジミリストイルグリセロホスファチジン酸(DMPA)のナトリウム塩またはジパルミトイルグリセロホスファチジン酸(DPPA)のナトリウム塩について言及することができる。
【0032】
それぞれ、レシチンまたはホスファチジルコリンと、ホスファチジルグリセロールまたはホスファチジン酸との重量比は、好ましくは500と3の間、より好ましくは更に100と10の間である。全てのアニオン性リン脂質の中で、ジラウロイルホスファチジルグリセロールが好ましい。
【0033】
製剤のpHは、酸の添加により3と7の間に調整され得る。好ましくは、おそらく酸と組み合わせて、緩衝剤を用いてpHがこの範囲に保たれる。緩衝剤は好ましくはヒスチジンである。溶液中5mMから50mMのヒスチジンを用いることが好ましい。酸は、好ましくは、塩酸、クエン酸またはアスコルビン酸から選択される。
【0034】
溶液の等張性は、グリセロールの添加により調整され得る。
【0035】
製剤の調製を容易にするために、0から2%のエタノールを用いることが可能である。
【0036】
好ましくは、製剤の重量組成は、以下の限度内である:
−油相 10から30%
−レシチンまたはホスファチジルコリン 0.6から5%
−ホスファチジルグリセロール 0.01から0.2%
−グリセロール 0から2.5%
−エタノール 0から2%
−水 100%にするための適量。
【0037】
エマルションの調製は、100nmと1μmの間の大きさを有する、好ましくは100nmと500nmの間の大きさを有する液滴を得るために、好ましくは、顕微溶液化装置または高圧ホモジナイザーを用いて実行される。この液滴の平均粒径が150nmと350nmの間である製剤が、更により特に好ましい。最終的な製剤は、好ましくは窒素により不活化される、または酸素を含有しない不活性ガスにより不活化される。
【0038】
式(I)または式(II)の活性成分の濃度は10mg/ml未満であり、特に0.5mg/mlと6mg/mlの間の濃度、好ましくはおよそ4mg/mlの濃度で用いられる。
【0039】
本発明は、以下の実施例を用いてより詳細に記載され、この実施例は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0040】
(実施例)
【実施例1】
【0041】
1gのDPPCおよび0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)、ダイズ油(10g)およびエタノール(0.4g)の混合物中に溶解させた。
【0042】
0.4gの式(I)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0043】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールを75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加した。
【0044】
水相を油相に添加し、混合物全体をミル(Ultra−Turrax)内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の大きさはおよそ250nmであった。
【実施例2】
【0045】
1gのDPPCおよび0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)、ダイズ油(10g)およびエタノール(2g)の混合物中に溶解させた。
【0046】
0.4gの式(I)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0047】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールをpH6(HCl)に調整された75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加した。
【0048】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の大きさはおよそ280nmであった。
【実施例3】
【0049】
1.2gのLipoid E80および0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)およびダイズ油(10g)の混合物中に溶解させた。
【0050】
0.4gの式(I XRP9881)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0051】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールを75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加させた。
【0052】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の平均粒径はおよそ140nm(Dv50)であった。
【0053】
60℃における1カ月後の物理的安定性:大きさは変化しなかった(Dv50およびDv90)。
【実施例4】
【0054】
1.2gのLipoid E80および0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)およびダイズ油(10g)の混合物中に溶解させた。
【0055】
0.4gの式(I XRP9881)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0056】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールをpH6(HCl)に調整された75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加した。
【0057】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の平均粒径はおよそ140nm(Dv50)であった。
【0058】
60℃における1カ月後の物理的安定性:大きさは変化しなかった(Dv50およびDv90)。
【実施例5】
【0059】
1gのDPPCおよび0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)、ダイズ油(10g)およびエタノール(0.4g)の混合物中に溶解させた。
【0060】
0.4gの式(I XRP9881)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0061】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールをpH6(HCl)に調整された75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加した。
【0062】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。
【0063】
得られた液滴の平均粒径はおよそ280nm(Dv50)であった。
【0064】
60℃における1カ月後の物理的安定性:大きさは変化しなかった(Dv50およびDv90)。
【実施例6】
【0065】
1.2%のLipoid E80および0.03gのDMPGを、60℃でMCT(10g)およびダイズ油(10g)の混合物中に溶解させた。
【0066】
0.4gの式(I XRP9881)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0067】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールを75.7gのWFI水に添加した。
【0068】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の平均粒径はおよそ140nm(Dv50)であった。
【0069】
60℃における1カ月後の物理的安定性:大きさは変化しなかった(Dv50およびDv90)。
【実施例7】
【0070】
1.2gのLipoid E80および0.03gのDPPAを、60℃でMCT(10g)およびダイズ油(10g)の混合物中に溶解させた。
【0071】
0.4gの式(I XRP9881)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解させた。
【0072】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールを75.7gのWFI水に添加した。
【0073】
水相が油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。得られた液滴の平均粒径はおよそ140nm(Dv50)であった。
【0074】
60℃における1カ月後の物理的安定性:大きさは変化しなかった(Dv50およびDv90)。
【実施例8】
【0075】
1gのDPPCおよび0.03gのDLPGを、60℃でMCT(10g)、ダイズ油(10g)およびエタノール(0.4g)の混合物中に溶解した。
【0076】
0.4gの式(II XRP6258)の化合物を、既に得られている脂質溶液に溶解した。
【0077】
均質な混合物が得られるまで、攪拌しながら、2.5gのグリセロールをpH6(HCl)に調整された75.7gの10mM水性ヒスチジン緩衝剤に添加させた。
【0078】
水相を油相に添加し、混合物全体をUltra−Turrax内で均質化した後、顕微溶液化装置(11000psiにて11サイクル)を通過させた。
【0079】
得られた液滴の平均粒径はおよそ260nmであった。
【0080】
(比較例)
以下の例は、米国特許出願公開第2003/0099674号公報と比較して実施され、凍結乾燥は本発明の脂質粒子の膨張を引き起こすため、凍結乾燥は本発明の製剤に適用できない技術であることを示す。
1.材料および方法
1.1.材料
Lipoid E80−バッチ1031471−7/906: 供給元:LIPOID KG。
Miglyol 812
マルトース一水和物。
サッカロース。
1.2.配合
【0081】
【表1】

1.3.エマルションの調製方法
1)活性成分の油への溶解。
2)Ultra−Turraxを用いた、水+レシチン中の油相の前分散。
3)11000psiにおける顕微溶液化装置を通した均質化(11回通過)。
4)エマルションの2つの画分への分割−15%マルトースまたはサッカロースの添加。
5)1mmおよび6mmの高さにするために適量展延。
6)凍結乾燥:適用された条件は、以下に記載される。凍結:保存温度−45℃;製品温度−39℃。
昇華:保存温度−25℃;圧力50マイクロバール?
30℃にて二次乾燥。
2.結果
2.1.凍結乾燥前
抗凍結剤の添加前の大きさ 250nm(Coulter N4+、測定方法:準弾性光散乱)。
抗凍結剤の添加後(凍結乾燥前)、大きさの変化無。
2.2.凍結乾燥後
2.2.1.外観および再構成
凍結乾燥物の外観:崩壊または収縮無→正しい外観。
WFI水を用いる再構成:即時型再構成、得られたエマルションは均質な外観のものである。
2.2.2.再構成後の大きさ
300nmと10μmの間の大きさを有する小胞の存在(準安定系)。
【0082】
マルトースとサッカロースの間に目に見える差または測定された差は無く、1mmの高さの凍結乾燥物と6mmの高さの凍結乾燥物の間にも目に見える差または測定された差も無い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の薬剤として許容可能な油およびレシチンに基づくエマルションから構成される、タキサンクラスの誘導体を含有するエマルションの形態の注射され得る組成物であり、組成物中にタキサンが溶解されており、以下の一般式(I)または(II):
【化1】

に対応し、また組成物がアニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
薬剤として許容可能な油が、ダイズ油と中鎖トリグリセリドの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
レシチンが、卵レシチンもしくはダイズレシチンから選択される天然レシチンまたはホスファチジルコリンから選択される半合成レシチンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤がホスファチジルグリセロールまたはホスファチジン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ホスファチジルグリセロールが、ジラウロイルホスファチジルグリセロール(DLPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)またはジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ホスファチジン酸が、ジラウロイルグリセロホスファチジン酸(DLPA)のナトリウム塩、ジミリストイルグリセロホスファチジン酸(DMPA)のナトリウム塩またはジパルミトイルグリセロホスファチジン酸(DPPA)のナトリウム塩から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
ホスファチジルコリンまたはレシチンと、ホスファチジルグリセロールまたはホスファチジン酸の重量比が好ましくは500と3の間であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
重量比が好ましくは100と10の間であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
製剤のpHが、酸の添加により3と7の間に調整されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
酸が、塩酸、クエン酸またはアスコルビン酸から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ヒスチジンである緩衝剤が添加されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
溶液の等張性がグリセロールの添加により調整されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
製剤の重量組成が、以下の限度内:
油相 10から30%
レシチンまたはホスファチジルコリン 0.6から5%
ホスファチジルグリセロール 0.01から0.2%
グリセロール 0から2.5%
エタノール 0から2%
水 100%にするための適量
であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
組成物がボーラスとして静脈内に投与されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
粒子が100nmと1μmの間の大きさを有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
エマルションが顕微溶液化装置または高圧ホモジナイザーを用いて製造されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。

【公表番号】特表2011−500542(P2011−500542A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528443(P2010−528443)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001410
【国際公開番号】WO2009/083664
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(500152119)アバンテイス・フアルマ・エス・アー (65)
【Fターム(参考)】