説明

新規化合物

本発明は、新規なポリグリセロールベースのUVフィルタ、及びそのような新規なポリグリセロールベースのUVフィルタを含む局所用組成物に関する。さらに本発明は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの化粧料オイル中の溶解度を増大させるための、そのような新規なポリグリセロールベースのUVフィルタの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ポリグリセロールをベースとした新規なUVフィルタ、及びそのような新規なポリグリセロールベースのUVフィルタを含む局所用組成物に関する。さらに本発明は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの化粧料オイル中の溶解度を増大させるための、そのような新規なポリグリセロールベースのUVフィルタの使用に関する。
【0002】
サンケア製品は長年にわたって大きな発展を遂げてきた。かつてはUV−B光が皺、皮膚病及び皮膚癌の最も重大な原因であると考えられていたため、初期の製剤はUV−B線(UVB)からユーザーを保護することを意図したものであった。しかしながら、ごく最近の研究により、太陽光による損傷や、エリテマトーデス、メラノーマ及び非メラノーマ皮膚癌などの皮膚病の進行に、UV−A線(UVA)が同等又はそれ以上に重要であることが明らかとなってきた。したがって、今日では、UVA(320〜400nm)及び/又はUVB(280〜320nm)を可能な限り除去することに焦点が向けられている。これは新しい規制(EU勧告 2005、FDAモノグラフ 2008)に反映されており、サンケア製品によって提供されるUVA防御効果がUVB防御効果の少なくとも3分の1になるように求めている。
【0003】
上記規制に従ったUVA防御効果を有する高SPFのサンケア製品に対する要求が増加しているために、より多くのUVフィルタ物質を高濃度でサンケア製品に取り込まなければならなくなっている。
【0004】
新しい規制で求められているUVA防御効果を実現するために、今日のサンケア製品には、世界的に承認されている唯一のUVAスクリーニング剤であるブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM、例えば、Parsol(登録商標)1789)が含まれていることが多い。
【0005】
しかしながら、化粧料調製物へ取り込ませるために固体UVフィルタ物質を可溶化する際に使用する従来の化粧料オイル(例えば、化粧料オイルのC12〜15アルキルベンゾエート又はセバシン酸ジイソプロピルなど)に対するBMDBMの溶解度は限定的であり、通常、20%未満である。したがって、多量のBMDBMを含有するサンケア製品では、BMDBMを溶解し、かつBMDBMが製品中で再結晶化するのを防止するための、上記のような化粧料オイルが多量に必要となる。しかしながら、その結果、最終製品は、油っぽくザラザラした、かつ/又はベトベトした、不快な皮膚感触を有するものとなり、またUV防御性能も低下する。
【0006】
このように、現在、サンケア製品に使用する化粧料オイルの量を減少させることが求められている。特に、化粧料オイルへのBMDBMの溶解度を高めることができ、さらに、それ自身、SPF及び/又はUVA防御にも寄与し得る薬剤が求められている。
【0007】
驚いたことに、特定のポリグリセロールをベースとしたUVフィルタが、従来技術の欠点を克服することができ、特に、BMDBMの溶媒として従来使用されているC12〜15アルキルベンゾエート又はセバシン酸ジイソプロピルなどの化粧料オイルに対するBMDBMの溶解度を増大させることができることがわかった。さらに、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT、例えば、Tinosorb(登録商標)Sとして販売されている)の溶解度もまた顕著に増大させることができる。したがって、これらの新規なポリグリセロールベースのUVフィルタは、新たな規制に沿ったサンケア製品の処方を可能にする一方、例えば、皮膚の感触や肌理などに関する優れた感覚特性及び高いUV防御性能を提供する。さらに驚いたことに、本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタは、個々の遊離発色団に比べ、より効率的にBMDBMを光安定化させる。
【0008】
したがって、一態様では、本発明は、
a.)yモル当量の水酸基を有する1モル当量のポリオール開始剤ユニットを使用して、xモル当量のグリシドールを開環重合させる工程と、その後、
b.)z×(x+y)モル当量のプロピレンオキサイドとブロック共重合させて、(x+y)モル当量の水酸基を有する超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格を形成する工程と、その後、
c.)3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンにより水酸基を部分エーテル化、又は完全エーテル化する工程であって、ここで、xは3〜16の範囲から選択される整数、yは1〜6の範囲から選択される整数、そしてzは0〜10の範囲から選択される整数である、工程と
を含む方法によって得られる新規なポリグリセロールベースのUVフィルタに関する。
【0009】
超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の水酸基の好ましくは15〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは約80〜100%が、3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンによりエーテル化される。
【0010】
グリシドールユニット量xは、ポリオール開始剤ユニット1モル当量当たり、具体的には約5〜12の範囲から選択され、より具体的には約6〜9モル当量の範囲から選択される。したがって、工程a)においては、xは、具体的には5〜12の範囲から、より具体的には6〜9の範囲から選択される整数である。
【0011】
プロピレンオキサイドの量は、約1〜8の範囲から、具体的には約1〜2×(x+y)の範囲から選択されるのが好ましい。したがって、工程b)においては、zは、具体的には1〜8の範囲から、より具体的には1〜2の範囲から選択される整数である。
【0012】
超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の全て(すなわち、100%)の水酸基が、3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンによりエーテル化されない場合、残留水酸基は、本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタ中に、そのまま残存させておいてもよい。残留水酸基は、必要に応じて、適切なキャッピング剤と反応させることができる。適切なキャッピング剤としては、例えば、無水酢酸、塩化アセチル、2−エチルヘキサン酸(メ)エチルエステル若しくは2−エチルヘキサン酸クロリド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド若しくは3,5,5−トリメチルヘキサノイル(メ)エチルエステルなどの、C〜C20直鎖若しくは分枝状アルカン酸の無水物又は酸塩化物若しくは酸エステルが挙げられる。当業者であれば、対応するキャッピング基を導入するために使用することができる他の適切なキャッピング剤を知っている。本発明の全ての実施形態において、超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の残留水酸基は、無水酢酸、塩化アセチル、2−エチルヘキサン酸クロリド、2−エチルヘキサン酸(メ)エチルエステル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド、又は3,5,5−トリメチルヘキサノイル(メ)エチルエステル、及びこれらの混合物でキャッピングすることが好ましい。キャッピング基は、2−エチルヘキサノイル基、アセチル基、及び/又は3,5,5−トリメチルヘキサノイル基であることが最も好ましい。
【0013】
本発明の全ての実施形態において、超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の水酸基の、好ましくは50〜100%、最も好ましくは80〜100%、具体的には100%が、3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンによりエーテル化され、残留水酸基は、キャッピング基、特に2−エチルヘキサノイル、アセチル基又は3,5,5−トリメチルヘキサノイル基と結合する。
【0014】
ポリオール開始剤ユニットの例としては、メタノール又はエタノールなどのC1〜12−アルコール、グリシドール、グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、2,2’−チオジエタノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリペンタエリトリトール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリシドール、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌル酸、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、ビス−トリス[’2,2−ビス(ヒドロキシエチル)−(イミノトリス)−(ヒドロキシメチル)−メタン]、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリエタノールアミン、ジグリセロール、グルコース、フルクトース、スクロース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンニトール、ズルシトール、トレイトール、ソルビトールが挙げられる。本発明の全ての実施形態において、ポリオール開始剤ユニットは、好ましくは、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及び/又はトリメチロールプロパンから選択され、最も好ましくは、ポリオール開始剤ユニットはトリメチロールプロパンである。
【0015】
超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格は、ABタイプのモノマーとして、すなわち構成ブロックとしてグリシドールを使用し、ポリオール開始剤ユニットによってワンポット開環重合反応を開始させ、その後、プロピレンオキサイドにより鎖延長して、フリーの水酸基を有する超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格を形成することにより得ることができる。
各グリシドールユニットが超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格にフリーの水酸基を1つずつ追加するため、超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格中のフリーの水酸基の理論量((x+y)モル当量)は、使用したグリシドール構成ブロックのモル当量(x)に対するポリオール開始剤ユニット1モル当量当たりの水酸基のモル当量(y)をベースに計算することができる。
【0016】
用語、開環重合は、開始剤(すなわち、ポリオール開始剤ユニット)及び/又はポリマーの末端が、そこでさらに別の環状モノマーの構成ブロック、すなわちグリシドールが結合して、イオン連鎖によりさらに大きなポリマー鎖を形成する反応中心として作用する付加重合の一形態をいう。反応中心の成長鎖がカチオンであれば、この重合はカチオン開環重合と呼ばれ、活性中心がアニオンであれば、この反応はアニオン開環重合である。開環重合は、例えば塩基又は酸などの、有効量の少なくとも1種の触媒を用いて行われる。適切な触媒は、例えば、AlCl、FeCl、SnCl及びBFなどのルイス酸、並びに/又はナフタレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、硫酸及び/若しくはリン酸などのブレンステッド酸、並びに/又はオニウム塩、例えばカリウムtert−ブチラート若しくはカリウムメチレートなどのアルコラートであるが、これらに限定されるものではない。さらに他の触媒として、カリウム又はナトリウムなどのアルカリ金属、並びに水素化カリウム及び水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物がある。
本発明の全ての実施形態において、触媒として水素化カリウム及び/又はカリウムメチラートを使用するアニオン開環重合を用いることが好ましい。
【0017】
続く3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンの結合に適した超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の調製に関するさらなる情報は、例えば、Macromolecules 2000、33、309〜314に開示されており、これらは参照によりここに包含するものとする。
【0018】
3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンによる超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の水酸基のエーテル化は、当業者に知られた方法、例えば、水酸基をハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はメシラート、トシラート若しくはトリフラート基)などの良好な脱離基に変換し、次いで、ハロゲン化物などのそれぞれの反応生成物を、塩基の存在下に超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の水酸基と反応させることにより行うことができる。本発明に適した塩基には、例えばカリウムtert−ブチラート又はカリウムメチラートなどのアルコラート、カリウム又はナトリウムなどのアルカリ金属、及び水素化カルシウム、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物が含まれる。好ましい実施形態では、水素化ナトリウムが使用される。
【0019】
本発明の全ての実施形態において、本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、好ましくは約500〜50,000g mol−1、より好ましくは約750〜25,000g mol−1、最も好ましくは約1、000〜10,000g mol−1の数平均分子量Mを有する。数平均分子量Mnは、例えばポリスチレンの標準を使用して、DIN55672−1に記載があるように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
【0020】
本発明のポリマーの光安定性は、G.Bersetら、International Journal of Cosmetic Scienc 1996、18(3)、167−177に従って測定することができる。
【0021】
本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、例えばBMDBM、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ベンゾフェノン−3、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4−メチルベンジリデン樟脳、又は2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステルなどの固体の油溶性UVフィルタ物質の、そのような固体の油溶性UVフィルタ物質の溶媒として適した化粧料オイルへの溶解度を高めるのに有用であり、また特にC12〜15アルキルベンゾエート、又はセバシン酸ジイソプロピルなどの中での化粧料オイル局所用組成物の調製用としても適している。特に、本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、BMDBM又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びこれらの混合物の、BMDBM又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの溶媒として適している化粧料オイル、特にC12〜15アルキルベンゾエート、又はセバシン酸ジイソプロピルなどの化粧料オイル中での溶解度を高めるのに有用である。
【0022】
さらに、本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタは、UVフィルタ物質として、すなわち、紫外線感受性有機物質、特に、ヒト及び動物の皮膚及び毛髪をUV線の有害な作用から保護する材料として、有用である。本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、日焼け(日焼け紅斑)などの「太陽による急性障害に対する即座の防御」に適しているだけでなく、太陽光に誘導された酸化ストレス及び/又は免疫抑制、及び/又はそれらの結果、すなわち光老化による障害から保護する作用も有する。さらに、本発明のポリグリセロールベースUVフィルタはまた、自然の又は染色した毛髪の色の保護にも適している。本発明のポリグリセロールベースUVフィルタはまた、少なくとも1種の他のUVフィルタ物質と組み合わせて使用すれば、UV光を相乗的に吸収する。さらに、本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、皮膚の、例えばザラザラしたようなべたつきを低減したり、耐水性を高めたりするのにも適している。
【0023】
本発明のポリグリセロールベースUVフィルタは、無色ないし黄色味を帯びた、液体、結晶、又は半液体の物質である。これらは、高い光安定性と、有機溶媒、特にC12〜15アルキルベンゾエート(例えば、FINSOLV TN[Finetex Inc.])又はセバシン酸ジイソプロピルなどの特に化粧料溶媒に対する高い溶解度と、短くかつ経済的な合成経路の点で優れている。
【0024】
本発明はまた、本発明のポリグリセロールベースUVフィルタと、化粧料として又は薬学的に容認される担体を含む組成物、好ましくは局所用組成物に関する。
【0025】
本発明の組成物中におけるポリグリセロールベースUVフィルタの量は、さほど重要ではない。好ましくは、少なくとも0.01重量%の量を使用する。組成物の全重量に対して、より好ましくは0.5〜20重量%、具体的には、例えば約2〜5重量%などの1〜10重量%の量を組成物に包含させる。
【0026】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、さらに追加量の油溶性の固体UVフィルタ物質を含有する。適切な油溶性固体UVフィルタ物質は、具体的には、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDBM)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)、ベンゾフェノン−3、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、4−メチルベンジリデン樟脳又は2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル、及びこれらの混合物である。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の局所用組成物は、油溶性固体UVフィルタ物質として、BMDBMを、少なくとも0.01重量%の量含有する。局所用組成物は、組成物の全重量に対して、具体的には0.5〜5重量%、さらに具体的には2〜5重量%の量のBMDBMを含む。
【0028】
さらに他の特定の実施形態では、本発明の局所用組成物は、さらに、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを少なくとも0.01重量%の量含有する。局所用組成物は、組成物の全重量に対して、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを、具体的には0.5〜5重量%の量含み、さらに具体的には1〜3重量%の量含む。
【0029】
本発明の局所用組成物が、固体UV吸収材としてBMDBM及びビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを上記した量で含むこともまた、特に有利である。特に、BMDBMは、組成物の全重量に対して、2〜5重量%の量、そしてビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは1〜3重量%の量、包含される。
【0030】
本発明の局所用組成物には、便宜上、従来の他のUVフィルタ物質を加えてもよい。UVフィルタ物質の組み合わせは相乗効果を示し得る。これらの追加のUVフィルタ物質は、2−エチルヘキシル2−シアノー3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレン、PARSOL(登録商標)340)、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのアクリレート;4−メチルベンジリデン樟脳(PARSOL(登録商標)5000)、3−ベンジリデン樟脳、樟脳ベンザルコニウムメトスルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン樟脳、スルホベンジリデン樟脳、スルホメチルベンジリデン樟脳、テレフタリデンジ樟脳スルホン酸などの樟脳誘導体;エチルヘキシルメトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCX)、エトキシエチルメトキシシンナメート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)Hydro)、イソアミルメトキシシンナメートなどのシンナメート誘導体、及びシロキサンに結合した桂皮酸誘導体;p−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、N−オキシプロピレン化エチルp−アミノベンゾエート、グリセリルp−アミノベンゾエートなどのp−アミノ安息香酸誘導体;ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン;ジ−(2−エチルヘキシル)4−メトキシベンザルマロネートなどのベンザルマロン酸のエステル;欧州特許第0895776号明細書に記載の2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸;ポリシリコーン−15(PARSOL(登録商標)SLX)などの欧州特許第0358584B1号明細書、欧州特許第0538431B1号明細書及び欧州特許出願公開第0709080A1号明細書に記載のベンズマロネート基を含有する有機シロキサン化合物;ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl(登録商標)XL);例えば、2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩(PARSOL(登録商標)HS)などのイミダゾール誘導体のなかから選択することが有利である。2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩などのような第1、第2及び第3アミンの塩;サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)EHS、Neo Heliopan(登録商標)OS)、サリチル酸イソオクチル又はサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、PARSOL(登録商標)HMS、Neo Heliopan(登録商標)HMS)などのサリチレート誘導体;エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T−150)、ジエチルへキシルブタミドトリアゾンエチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB)、2,4,6−トリス−(ビフェニル)1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体、例えば、参照により本明細書中に組み込まれる独国特許第10 2007 024 345号明細書、第4頁、段落19に記載のメロシアニン;カプセル化エチルヘキシルメトキシシンナメート(Eusolex(登録商標)UV−pearls)、又は、例えば欧州特許第1471995号明細書に開示されているようなUVフィルタを含有するマイクロカプセルなどのカプセル化UVフィルタ;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(PARSOL(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体;2,2’−メチレン−ビス−(6(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(Tinosorb(登録商標)M)などのベンゾトリアゾール誘導体;ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb(登録商標)S)など;2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(Neo Heliopan(登録商標)AP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンズイミダゾールスルホン酸又は塩;2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A plus)又は1,1’−(1,4−ピペラジンジイル)ビス[1−[2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン(CAS919803−06−8)などのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン;国際公開第2005/080341A1号パンフレットに記載のイオンUV−Aフィルタ;ZnO微粒子又はTiO微粒子などの顔料である。用語「微粒子」は、約5nm〜約200nm、具体的には約15nm〜約100nmの粒径をいう。顔料はまた、例えばアルミニウム酸化物若しくはジルコニウム酸化物などの他の金属酸化物、又は、例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機被膜でコーティングされていてもよい。そのような被膜はこの技術分野ではよく知られている。さらに、顔料(ZnO、TiO)は、商業的に入手可能な油性又は水性の予備分散体の形態で使用することができる。これらの予備分散体は、さらに分散助剤及び/又は可溶化剤を含有してもよい。
【0031】
本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタと組み合わせて使用する、特に好ましい追加のUVフィルタ物質は、商業的に入手可能で広く使用されているUVフィルタ物質の、オクトクリレン(PARSOL(登録商標)340)、4−メチルベンジリデン樟脳(PARSOL(登録商標)5000)、エチルヘキシルメトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCX)、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(Tinosorb(登録商標)M)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb(登録商標)S)、2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸(NeoHeliopan(登録商標)AP)、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A plus)、1,1’−(1,4−ピペラジンジイル)ビス[1−[2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン(CAS919803−06−8)、ポリシリコーン−15(PARSOL(登録商標)SLX)、2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PARSOL(登録商標)HS)、サリチル酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)EHS)、サリチル酸ホモメンチル(PARSOL(登録商標)HMS)、ベンゾフェノン−3(Uvinul(登録商標)M 40)、ベンゾフェノン−4(Uvinul(登録商標)MS 40)、特にPARSOL(登録商標)TXなどの超微粒子二酸化チタン、及びこれらの混合物である。
【0032】
追加のUVフィルタ物質は、本発明の組成物中に、一般に、組成物の全重量に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜15重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%の割合で含まれる。
【0033】
ジベンゾイルメタン誘導体、特にBMDBMは、光安定性に乏しいため、本発明の局所用組成物においては、これらのUVフィルタ物質を光安定化させることが望ましい。したがって、本発明はまた、特にBMDBMなどのジベンゾイルメタン誘導体に加えて、有効量の安定剤も含有する、本発明の局所用組成物に関する。有効量の安定剤という用語は、ジベンゾイルメタン誘導体の光安定化に適した量を意味する。その量は、安定剤毎に(例えば、作用機序に基づいて)異なり得るものであって、当業者であれば、通常の試験により、又は化粧料組成物の配合に関する通常の思考を行うことにより容易に決定することができる。適切な量は、組成物の全重量に対して0.01〜1重量%、及び、1〜10重量%などのように0.5〜20重量%の範囲とすることができる。
【0034】
適切な安定剤としては、オクトクリレン、ジエチルヘキシル−2,6−ナフタレート、ポリエステル−8、ジエチルヘキシルシリンジリデンマロネート、サリチル酸ブチルオクチル、ポリシリコーン−15、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート、ベンゾトリアゾリルドデシルp−クレゾール、ベンゾフェノン−3、4−メチルベンジリデン樟脳、メトキシクリレン(Solastay S1)、及び/又はビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが挙げられる。安定剤としては、特に、オクトクリレンが適している。
【0035】
したがって、さらに他の実施形態では、本発明はまた、本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタ、BMDBM、及びオクトクリレン又はメトキシクリレン、特にオクトクリレンを含む局所用組成物に関し、好ましくは、ポリグリセロールベースUVフィルタは、0.5〜20重量%の量で、BMDBMは2〜5重量%の量で、そしてオクトクリレンは2〜10重量%の量で使用される。
【0036】
別の特定の実施形態では、本発明の局所用組成物はp−メチルベンジリデン樟脳を含まない。
【0037】
好ましくは、本発明の局所用組成物はさらに、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン又はブチルパラベン、イソブチルパラベン、安息香酸及びその塩(例えば、安息香酸ナトリウム)、ソルビン酸及びその塩(例えば、ソルビン酸カリウム、デヒドラ酢酸及びその塩、ブロノポール、トリクロサン、イミダゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、クロルフェネシン、エチルヘキシルグリセリン、ヨードプロピニルブチルカルバメート又はペンチレングリコール、及びこれらの混合物など(特にこれらに限定されない)の1種以上の保存料を含有する。保存料の総含有率は、組成物の全重量に対して、約0.01〜2重量%、特に0.05〜1重量%などであることが好ましい。
【0038】
本発明の局所用組成物は、さらに、保湿剤;酸化防止剤;防虫剤;美白、日焼け防止及び/又は色素過剰症治療用の成分;タンニン剤、皺、線状皺、萎縮及び/又は炎症を防止又は減少させる成分;並びに局所麻酔薬などの成分を特に含有してもよい。
【0039】
本発明の局所用組成物に含有させるのに特に適した保湿剤は、グリセリン、乳酸及び/又は乳酸塩、特に乳酸ナトリウム、ブチレングリコール、プロピレングリコール、バイオサッカリドガム−1、グリシン・ソヤ(glycine soja)、エチルヘキシルオキシグリセリン、ピロリドンカルボン酸、ヒドロキシエチル尿素及び尿素である。また水溶性又は水性ゲル化ポリサッカリドなどのポリマー性保湿剤を使用することも有利である。例えば、ヒアルロン酸、キトサン及び/又はフコース[CAS No 178463−23−5、Fucogel(登録商標)1000として、SOLABIA S.A.から商業的に入手可能]に富むポリサッカリドが特に有利である。保湿剤はまた、例えば、光老化した皮膚の治療用などの老化防止成分としても使用することができる。
【0040】
本発明の局所用組成物は、少なくとも1種の保湿剤を、組成物の全重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%(総量で)含有することが好ましい。
【0041】
本発明の局所用組成物用として特に適した酸化防止剤としては、ビタミンE及びその誘導体、例えば特に酢酸トコフェリルなどが挙げられる。酢酸トコフェリルは、局所用組成物中に、約0.05重量%〜約25重量%、特に0.05重量%〜5重量%含有させることができる。他の有用なビタミンE誘導体は、リノール酸トコフェリルである。リノール酸トコフェリルは、局所用組成物中に、約0.05重量%〜約25重量%、特に0.05重量%〜5重量%含有させることができる。
【0042】
他の適した酸化防止剤は、ビタミンA及び/又はその誘導体である。特に、パルミチン酸レチニル又はプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体は、本発明の局所用組成物中に、0.01〜5重量%、特に0.01〜0.3重量%の量で使用される。ビタミンA及び/又はその誘導体はまた、カプセルの形態で使用することができる。
【0043】
他の適した酸化防止剤は、ビタミンC(アスコルビン酸)及び/又はその誘導体である。特に、Stay C(アスコルビルモノリン酸ナトリウム)などのリン酸アスコルビルは、本発明の局所用組成物中に、0.1〜5重量%、特に0.1〜2重量%の量で使用される。
【0044】
適した防虫剤としては、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(メタ−デルフェン、「DEET」)、ジメチルフタレート(Palatinol M、DMP)、1−ピペリジンカルボン酸−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル、及び、特に3−(N−n−ブチル−N−アセチル−アミノ)−プロピオン酸(MerckからInsect Repellent(登録商標)3535として入手可能)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本発明の局所用組成物での使用に適した美白(脱色)剤には、アルファ−アルブチン、レスベラトロール、ヒドロキノン、アゼライン酸、コウジ酸、及びL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム(MAP)又はアスコルビルモノリン酸ナトリウムなどのリン酸アスコルビルが包含される。
【0046】
適したタンニン剤は、本発明の組成物の全重量の1〜10重量%のジヒドロキシアセトン、エリトルロース及び/又はメラニン誘導体である。
【0047】
本発明の局所用組成物での使用に適した化粧料活性成分のさらに他の例には、ペプチド(例えば、Matrixyl(商標)[ペンタペプチド誘導体])、オリゴペプチド、ワックスベースの合成ペプチド(例えば、オクチルパルミテート、並びにトリベヘニンイソステアレート及びソルビタンイソステアレート、並びにパルミトイル−オリゴペプチド)、グリセロール、アルファグリコシルルチン、天然又は合成フラバノイド又はイソフラバノイド、クレアチン、クレアチニン、グアニジン(例えば、アミノグアニジン);ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチニル又はプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB(例えば、ナイアシンアミド)及びビタミンB(例えば、パンテノール)、ビタミンB及びビタミンB12、ビオチン、葉酸などのビタミン及びその誘導体;抗ニキビ活性剤又は薬剤(例えば、レゾルシノール、サリチル酸など);酸化防止剤(例えば、フィトステロール、リポ酸);フラボノイド(例えば、イソフラボン、フィトエストロゲン);アロエベラ(Aloe vera)抽出物、アラントインなどの皮膚の鎮静化剤及び回復剤;エッセンシャルオイル、香料、皮膚感覚剤、乳白剤、芳香化合物(例えば、丁子油、メントール、樟脳、ユーカリ油、及びオイゲノール)、落屑活性剤、AHA酸などのヒドロキシ酸、ポリ不飽和脂肪酸、ラジカル捕捉剤、ファルネソール、抗真菌剤、特にビサボロール、1,2ペンタンジオール、ヘキサンジオール又は1,2−オクタンジオールなどのアルキルジオール、フィトール、フィタントリオールなどのポリオール、セラミド及び疑似セラミド、アミノ酸、タンパク質加水分解物、ポリ不飽和脂肪酸、キネチンのような植物抽出物、DNA又はRNA及びこれらの断片化生成物、炭水化物、共役脂肪酸、カルニチン、カルノシン、ビオチノネン、フィトフルエン、フィトエン、及びこれらの対応する誘導体、並びにコエンザイムQ10(ユビキノン)など(特にこれらに限定されない)の美的目的に適した薬剤が含まれる。
【0048】
追加の化粧料活性成分は、通常、局所用組成物の全重量に対して少なくとも0.001重量%含まれる。追加の化粧料活性薬剤は、一般に、約0.001重量%〜約30重量%、好ましくは約0.001重量%〜約10重量%使用される。
【0049】
本発明の組成物に使用される成分の特に好ましい例は、ビタミンC(アスコルビン酸)及び/若しくはその誘導体(例えば、DSM Nutritional Products Ltd.製のStay C(アスコルビルモノリン酸ナトリウム)などのリン酸アスコルビル)、ビタミンA及び/若しくはその誘導体(例えば、パルミチン酸レチニル又はプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE及び/若しくはその誘導体(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB、ビタミンB12、ビオチン並びに/又はコエンザイムQ10である。
【0050】
本発明の局所用化粧料組成物はまた、保存料、膜形成剤、酸化防止剤、脂肪物質/オイル及び/又はワックス、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、消泡剤、香料などの美的成分、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系若しくは両性ポリマー、またこれらの混合物、噴射剤、酸性化又は塩基性化剤、染料、カラーリング剤/着色剤、研磨剤、吸収剤、エセンシャルオイル、皮膚感触剤、収斂剤、香料、あるいはアルコール、ポリオール又は電解質などの化粧料組成物に通常配合されている他の成分などの、通常の化粧料又は医薬品用アジュバント及び添加剤を含有することができる。スキンケア産業で広く使用されていて、本発明の組成物での使用にも適しているそのような化粧料成分は、例えば、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、Second Edition(1992)に記載されているが、特に、それらに限定されるものではない。
【0051】
化粧料及び医薬品用アジュバント及び添加剤の必要量は、当業者であれば、目的の製品形態に基づき、容易に選択することができ、実施例でも記載するが、特にそれらに限定されるものではない。
【0052】
例えば、乳化剤、増粘剤、界面活性剤及び膜形成剤などの通常の化粧料用アジュバント及び添加剤は、相乗効果を示し得るが、それらは、当業者であれば、通常の試験により、又は化粧料組成物の配合に関する通常の思考により見出すことができる。
【0053】
脂肪物質は、オイル若しくはワックス、又はこれらの混合物であり得る。用語「オイル」は、室温で液体の化合物を意味する。用語「ワックス」は室温で固体、又は実質的に固体であって、一般に融点が35℃超の化合物を意味する。
代表的なオイルには、鉱油(液体パラフィン);植物オイル(スイートアーモンド、マカダミア、クロフサスグリの種、ホホバ油);ペルヒドロスクアレン、脂肪アルコール、酸若しくはエステル(Finetexより「Finsolv TN」の商標名で市販されているC12〜15アルキルベンゾエート、オクチルパルミテート、イソプロピルラノレート、又はトリグリセリドなど。カプリン酸/カプリル酸のものを含む)、又はオキシエチレン化若しくはオキシプロピレン化脂肪酸エステル及びエーテルなどの合成オイル;シリコーンオイル(シクロメチコン、ポリジメチルシロキサン又はPDMS);フッ素化オイル;ポリアルキレン及びこれらの混合物がある。
【0054】
本発明の組成物に使用するオイルは、レクチン及び脂肪酸トリグリセリド、すなわち飽和若しくは不飽和の、分枝若しくは直鎖状の、C原子が8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有するアルカン酸のトリグリセリンエステルなどの極性オイル群から選択することが好ましい。脂肪酸トリグリセリドは、好ましくは、例えばココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、パーム油、スイートアーモンド油マカダミア油、ココナッツ油などの合成、半合成及び天然のオイル群から選択することができる。
【0055】
さらに他の特に適したものとしては、蜜蝋、シアバター及び/又はラノリンなどの天然ワックスがある。
【0056】
本発明のさらに他の特に適した極性オイルは、飽和若しくは不飽和の、分枝若しくは直鎖状の、C原子が3〜30個の鎖長を有するアルカン酸と、飽和若しくは不飽和の、分枝若しくは直鎖状の、C原子が3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステル群、及び、芳香族カルボン酸と、飽和若しくは不飽和の、分枝若しくは直鎖状の、C原子が3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステル群から選択することができる。そのようなエステルオイルは、特に、フェニルエチルベンゾエート、オクチルパルミテート、オクチルココエート、オクチルイソステアレート、オクチルドデシルミリステート、オクチルドデカノール、セテアリルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、ステアリルヘプタノエート、イソプロピルラウロイルサルコシネート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、並びに、そのようなエステルの合成及び半合成及び天然の混合物、例えばホホバ油など群から選択される。
【0057】
さらに他の特に適したオイルは、特に、ジカプリルイルエーテル(Cetiol OE)及び/又はジカプリルイルカーボネート(例えば、CognisからCetiol CCとして入手可能)などの、ジアルキルエーテル及びジアルキルカーボネートの群から選択することができる。
【0058】
さらに他の特に適したオイルは、イソエイコサン、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、プロピレングリコールジカプリレートカプリレート/ジカプレート、コハク酸ジ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール、乳酸C12〜13−アルキル、酒石酸ジ−C12〜13−アルキル、トリイソステアリン、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリトリチル、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、トリカプリリン及びジメチルイソソルビドの群から選択することができる。
【0059】
本発明の局所用組成物の油相が、ある量のC12〜15−アルキルベンゾエートを含有するか、又は実質的にそれからなることが、特に有利である。
【0060】
さらに他の特に適したオイル成分は、例えば、サリチル酸ブチルオクチル(例えば、CP HallのHallbrite BHB)、ヘキサデシルベンゾエート及びブチルオクチルベンゾエート、並びにこれらの混合物(例えば、Hallstar AB)である。
【0061】
本発明の局所用組成物はまた、例えば分枝又は直鎖状の炭化水素及びワックス、特に鉱油、ワセリン(Petrolatum)、パラフィンオイル、スクアラン及びスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテン、C13〜16イソパラフィン、並びにイソヘキサデカンなどの極性オイルを含有してもよい。ポリオレフィン群の中では、ポリデセンが好ましい。
【0062】
本発明の組成物で使用するのに特に適した代表的なワックス化合物は、パラフィンワックス、カルナバワックス、蜜蝋又は水素化ヒマシ油である。
【0063】
本発明の組成物で使用するのに特に適した代表的な有機溶媒としては、炭素原子が8個以下の低級アルコール及びポリオールが挙げられる。特に、本発明の組成物は、エタノールを組成物の全重量に対して5〜40重量%含む。
【0064】
増粘剤は、特に、架橋ポリアクリル酸、又は、ヒドロキシプロピル化グアーガム、メチルヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの変性若しくは非変性グアーガム及びセルロースの中から選択することが有利である。
【0065】
適切な膜形成剤としては、特にポリビニルピロリドンのコポリマー、例えば、PVPヘキサデセンコポリマー及びPVPエイコセンコポリマー(GAF Chemicals corporationのAntaron V216及びAntaron V220として入手可能)などのPVPをベースとしたポリマーが挙げられる。さらに他の適した膜形成剤としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(例えば、National Starch and Chemical Corp.のFlexan 130)及び/又はポリイソブテン(例えば、RewoのRewopal PIB1000)などの高分子膜形成剤が挙げられる。さらに他の適したポリマーは、例えば、ポリアクリルアミド(Seppigel 305)、ポリビニルアルコール、PVP、PVP/VAコポリマー、ポリグリコール、及びアクリレート/オクチルアクラリミド(octylacralymid)コポリマー(例えば、Dermacryl 79)である。さらに他の適したものとして、ダイマージリノール酸(dimerdilinoleat)水和ヒマシ油(CAS 646054−62−8、INCI Hydrogenated Castor Oil Dimer Dilinoleate)、又はミリスチン酸PPG−3ベンジルエーテル(CAS 403517−45−3)の使用がある。
【0066】
本発明の局所用組成物は、耐水性及び/又は光保護指数を高めるためにリストされた、特に、例えばDOW CORNING 9506 Powder(Dow corning製)などの、INCI命名法でDimethicone/Vinyl Dimethicone Crosspolymerの、球状の粉末形態のシロキサンエラストマーなどのシロキサンエラストマーの群からの1種若しくは数種類化合物をさらに含んでもよい。
【0067】
シロキサンエラストマーを、炭化水素オイル、合成オイル、合成エステル、合成エーテル、又はこれらの混合物と組み合わせて使用することが特に有利である。
【0068】
当業者であれば、上記任意選択の1種若しくは複数の追加化合物、及び/又はそれらの量の選択に際し、本発明の組み合わせによって本来得られる有利な特性が、想定した1種又は複数の追加物によって悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように注意することは言うまでもない。
【0069】
用語「局所用組成物」は、本明細書では、特に、哺乳動物の角質組織、特にヒトの皮膚及び毛髪に局所的に塗布することができる化粧料組成物をいう。
【0070】
用語「化粧料調製物」又は「化粧料組成物」は、本願で使用されるとき、Roempp Lexikon Chemie,10th edition 1997,Georg Thieme Verlag Stuttgart,New Yorkの見出し「Kosmetika」で定義されている化粧料組成物、及びA.Domsch,”Cosmetic Preparations”,Verlag fuer chemische Industrie(ed.H.Ziolkowsky),4th edition,1992で開示されている化粧料組成物をいう。
【0071】
本発明の好ましい局所用組成物は、スキンケア調製物、ヘアケア調製物、装飾用調製物及び機能性調製物である。
【0072】
スキンケア調製物の例としては、特に、光保護調製物、老化防止調製物、光老化治療用調製物、ボディオイル、ボディローション、ボディゲル、トリートメントクリーム、スキン保護軟膏、スキンパウダー、保湿ゲル、保湿スプレー、顔及び/又はボディ用保湿剤、スキンタンニング調製物(すなわち、ヒトの皮膚の人工/サンレスタンニング及び/又は褐色化用組成物)、例えばセルフタンニングクリーム、及び皮膚美白調製物がある。
【0073】
ケア調製物の例としては、シャンプーの形態の毛髪洗浄調製物、ヘアコンディショナー、例えば、プレトリートメント調製物などのヘアケア調製物、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲルなどのゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、インテンシブヘアトリートメント、ストレートヘア用調製物、液体ヘアセット調製物、ヘアフォーム(ヘアムース)及びヘアスプレーがある。
【0074】
装飾用調製物の例としては、特に、リップスティック、アイシャドウ、マスカラ、ドライ又はモイスチャーメイクアップ剤、ルージュ及び/又はパウダーがある。
【0075】
機能性調製物の例としては、特にこれらに限定されるものではないが、ホルモン調製物、ビタミン調製物、野菜抽出物調製物、老化防止調製物及び/又は抗微生物(抗菌性又は抗真菌性)調製物などの活性成分を含有する化粧料組成物又は医薬組成物がある。
【0076】
ある特定の一実施形態では、本発明の局所用組成物は、サンプロテクトミルク、サンプロテクトローション、サンプロテクトクリーム、サンプロテクトオイル、サンブロック、又はSPF値(日焼け防止指数)を有するトロピカルクリーム又はデイケアクリームなどの調製物である。特に興味深いのは、サンプロテクトクリーム、サンプロテクトローション、サンプロテクトミルク、及びスプレー若しくはエアロゾル形態のサンプロテクト調製物である。
【0077】
他の特定の一実施形態では、局所用組成物は、シャンプーの形態の毛髪洗浄調製物、又は毛髪に残す(かつ、洗い流さない)ことを意図した、ヘアセット調製物、ヘアスプレー、ゲル、ポマード、スタイリングクリーム又はヘアフォーム(ヘアムース)などのヘアトリートメント調製物、特に、ヘアスプレー、ゲル又はヘアフォーム(ヘアムース)である。
【0078】
シャンプーは、例えば、次の組成を有していてもよい:0.01〜5重量%の本発明のポリグリセロールベースのUVフィルタ、12.0重量%のラウレス−2−硫酸ナトリウム、4.0重量%のコカミドプロピルベタイン、3.0重量%の塩化ナトリウム、及び加えて100重量%になる水。
【0079】
本発明の局所用組成物は、溶媒又は脂肪物質に懸濁又は分散させた形態であってもよく、あるいは、エマルション若しくはマイクロエマルション(特に、O/W型若しくはW/O型、Si/W型若しくはW/Si型)、PIT−エマルション、多重エマルション(例えば、O/W/O型若しくはW/O/W型)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液、気泡分散体、又は他の一般的な形態であってもよい。それらは、ペンで塗布することができ、あるいはマスク又はスプレーとして使用することができる。局所用組成物はエマルション又は分散体の形態であることが好ましい。
【0080】
1つの特定の実施形態では、本発明の局所用組成物はO/Wエマルションの形態である。本発明の局所用組成物がO/Wエマルションである場合、クエン酸ステアリン酸グリセリル(glycerylstearatcitrate)、ステアリン酸グリセリル(自己乳化性)、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ジステアリン酸ポリグリセリル−3−メチルグリコース、セテアレス−20、ステアレス−2、ステアレス−12、ステアリン酸PEG−40のリストから選択される少なくとも1種のO/W又はSi/W乳化剤を含有することが有利である。さらに他の適した乳化剤は、リン酸セチル(Amphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(Amphisol(登録商標)DEA)、セチルリン酸カリウム(Amphisol(登録商標)K)、セテアリル硫酸ナトリウム(sodiumcetearylsulfat)、グリセリルオレエートリン酸ナトリウム、水素化植物性グリセリドホスフェート、及びこれらの混合物などの、ホスフェートエステル及びその塩である。さらに他の適した乳化剤は、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース、及び水和ポリイソブテンである。さらに、1種若しくはそれ以上の合成ポリマーを乳化剤として使用してもよい。例えば、PVPエイコサンコポリマ、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、及びこれらの混合物。少なくとも1種のO/W乳化剤は、組成物の全重量に対して、好ましくは約0.001〜10重量%、より好ましくは0.1〜7重量%の量で使用される。また、局所用組成物は、セチルアルコール(Lorol C16、Lanette 16)セテアリルアルコール(Lanette O)、ステアリルアルコール(Lanette 18)、ベヘニルアルコール(Lanette 22)などのアルキルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル(Estol 3650)、水素化ココグリセリド(Lipocire Na10)(これらおよびこれらの混合物に限定されない)のリストから選択される少なくとも1種の共乳化剤を含有することが有利である。
【0081】
他の特定の一実施形態では、本発明の局所用組成物はW/Oエマルションである。本発明の局所用組成物がW/Oエマルションである場合、ジポリヒドロキシステアリン酸(dipolyhydroxystearat)ポリグリセリル−2、ジポリヒドロキシステアリン酸(dipolyhydroxystearat)PEG−30、セチルジメチコンコポリオール、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセリル−3ジイソステアレートポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−4/PEG−8プロピレングリコールココエート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル酸カリウム、リシノレイン酸カリウム、ヤシ脂肪酸ナトリウム、ナトリウムタローエート、カリウムキャストレート、オレイン酸ナトリウム、及びこれらの混合物のリストから選択される少なくとも1種のW/O又はW/Si乳化剤を含有することが有利である。さらに他の適したW/Si−乳化剤は、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである。少なくとも1種のW/O乳化剤は、組成物の全重量に対して、好ましくは約0.001〜10重量%、より好ましくは0.2〜7重量%の量で使用される。
【0082】
本発明の局所用組成物は、特に、3〜10、好ましくは5〜8、最も好ましくは4〜6の範囲のpHを示し、これは従来の酸、塩基又は緩衝液により調節することができる。
【0083】
塗布すべき局所用組成物の量は、製品中の活性成分の濃度と目的とする化粧料効果に依存する。例えば、スキンケアエマルション又は光保護調製物のような典型的な「リーブオン」組成物は、通常、皮膚1cm当たり約0.5〜約2mg塗布される。塗布量は、通常、さほど重要ではなく、所望の効果が、組成物のより多くの使用、組成物の繰り返しの塗布、及び/又はより多くの活性成分を含む組成物の塗布により、所望の効果を得ることができる。
【0084】
「リーブオン組成物」は、本明細書中では、皮膚に塗布した後、意図的に除去しない局所用組成物を意味する。それは、少なくとも約15分間、より好ましくは少なくとも約30分間、より一層好ましくは少なくとも約1時間、最も好ましくは少なくとも数時間、例えば約12時間まで皮膚に留まっていることが好ましい。
【0085】
本発明の局所用組成物は、特に、皮膚の老化(特に光老化)防止、及びサンスクリーンとして使用される。
【0086】
本発明の化合物及び組成物をさらに詳しく説明するために、以下の例を示す。これらの例は、単に説明のためのものであって、本発明の範囲のいかなる限定も意図するものではない。次表の成分名はINCI名で示されている。全ての量は、組成物の全重量に対する重量%である。
【0087】
【表1】



【0088】
【表2】



【0089】
【表3】



【0090】
【表4】



【0091】
【表5】



【0092】
【表6】



【0093】
【表7】



【0094】
【表8】



【0095】
【表9】



【0096】
【表10】



【0097】
【表11】



【0098】
【表12】



【0099】
【表13】



【0100】
【表14】



【0101】
[例1:ポリ(グリセロール−b−プロピレンオキサイド)へ、3−[1−(4−ブロモメチル−フェニル)−メタ−(E)イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンを結合させることによる高分子UVフィルタの調製:PG−UVB]
【化1】



ポリ(グリセロール−b−プロピレンオキサイド)を、Sunder,A.;Muelhaupt,R.;Frey,H.Macromolecules,2000,33,309−314にしたがって調製した。
ポリ(グリセロール−b−プロピレンオキサイド)(25g、OHは175mmol)及び3−[1−(4−ブロモメチル−フェニル)−メタ−(E)イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(58g 175mmol、量論仕込み率100%)の脱水THF(750mL)溶液を50℃に加熱する。30分間隔で、水素化ナトリウム(4.5g、188mmol)を3回に分けて加える。反応混合物を65℃で12時間撹拌し、蒸発乾固させる。残留物をトルエンに溶解し、不溶性の臭化ナトリウムを濾過により除去する。濾液を蒸発乾固させる。高粘度の高分子UVBフィルタが得られ、このTHF中のE1/1−値は約540(300nm)である。Finsolv TN(C12〜15アルキルベンゾエート)中における溶解度は、少なくとも50%(w/w)である。
【0102】
[例2:溶解度]
BMDBM(ブチルメチキシジベンゾイルメタン、Parsol(登録商標)1789)及びBEMT(ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、Tinosorb(登録商標)S)の化粧料溶媒、C12〜15アルキルベンゾエートに対する溶解度を、標準法(BMDBM又はBEMTを溶媒に飽和させ、上澄み液中のBMDBM又はBEMTの含有量をHPLCにより測定)により測定したところ、溶解度がそれぞれ14重量%及び13重量%という結果が得られ、供給元(Merck/CIBA)から与えられた値と一致した。
PG−UVBは高粘度であるため自由に流動性せず、したがってそれ自体は、BMDBM及びBEMTなどの他の固体UV吸収剤の溶媒として使用することができない。
【0103】
12〜15アルキルベンゾエート/例1のPG−UVBの1:1(w/w)混合物におけるBMDBM/BEMTの溶解度を、200mgのBMDBM又はBEMTをこの混合物800mgに溶解させることによって求めた。その後、その溶液を室温で1か月保存したが、その間、再結晶化はせず、BMDBM/BEMTの溶解度は少なくとも20重量%であるとの結果を得た。結果を下表に示す。
【0104】
【表15】



【0105】
結果からわかるように、C12−15アルキルベンゾエートにおけるBMDBM及びBEMTの溶解度は、溶解促進剤としてのPG−UVBの使用により顕著に増加させることができる。
【0106】
[例3:固体UVフィルタの溶解に必要な溶媒の削減]
a.)0.5gのBMDBMを溶解させるには、2.0gのセバシン酸ジイソプロピルが必要である。しかしながら、例1のPG−UVBとセバシン酸ジイソプロピルの1:1(w/w)混合物では、0.5gのBMDBMを溶解させるために、1.4gを必要とするのみで、BMDBMの溶解に必要な化粧料溶媒は65%削減される。
【0107】
b)0.5gのBMDBMを溶解させるには、3.0gのC12−15アルキルベンゾエートが必要であるが、例1のPG−UVBとC12−15アルキルベンゾエートの1:1(w/w)混合物では、0.5gのBMDBMを溶解させるために、1.5gを必要とするのみで、BMDBMの溶解に必要な化粧料溶媒は75%削減される。
【0108】
[例4:BMDBMの光安定性]
a)80mgのBMDBMを720mgのC12〜15アルキルベンゾエートに溶解した。1200mgのエタノールを加えた。この溶液を6枚の粗面ガラスプレート上に2mg/cmで塗布した。3枚のガラスプレートを暗所に保存し、他の3枚に25MED(ATLAS Suntester)を照射した。その後、各ガラスプレートのオイル膜を30mLのメタノールにそれぞれ溶解し、HPLCによりこれらの溶液のMBDBM含有量を定量した。
照射後のBMDBMの平均回収率は、未照射の膜の21%であった。
【0109】
b)80mgのBMDBMと40mgの4−メチルベンジリデン樟脳(MBC)を680mgのC12〜15アルキルベンゾエートに溶解した。1200mgのエタノールを加えた。この溶液を6枚の粗面ガラスプレート上に2mg/cmで塗布した。3枚のガラスプレートを暗所に保存し、他の3枚に25MED(ATLAS Suntester)を照射した。その後、各ガラスプレートのオイル膜を30mLのメタノールにそれぞれ溶解し、HPLCによりこれらの溶液のMBDBM含有量を定量した。
照射後のBMDBMの平均回収率は、未照射の膜の69%であった。
【0110】
c)80mgのBMDBMと40mgの例1のPG−UVBを680mgのC12〜15アルキルベンゾエートに溶解した。1200mgのエタノールを加えた。この溶液を6枚の粗面ガラスプレート上に2mg/cmで塗布した。3枚のガラスプレートを暗所に保存し、他の3枚に25MED(ATLAS Suntester)を照射した。その後、各ガラスプレートのオイル膜を30mLのメタノールにそれぞれ溶解し、HPLCによりこれらの溶液のMBDBM含有率を定量した。
照射後のBMDBMの平均回収率は、未照射の膜の75%であった。
【0111】
PG−UVB中の発色団の含有量はポリマー骨格により、MBCと比較して希釈されている。希釈の程度は、これら2つのUVフィルタのE1/1値から知ることができる。それ故、E1/1値が550のPG−UVBの発色団含有量は、MBC(E1/1値約950)より、42%低い値を示す。したがって、PG−UVBによるBMDBMの安定化は、MBCより、通常、約40%低くなると予想されるが、驚いたことにそうではなかったのである。
これらの結果は、BMDBMに対するPG−UVBの驚くほど高い高安定化能力を示すものである。
【0112】
[例4:比較例]
[4a)p−ジメチルアミノ安息香酸及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸をHybrane(登録商標)S1200と結合させることによる高分子UVフィルタの調製:HY−AB.]
【化2】



GPCによる測定で約1200g/molのMnを有するHybrane(登録商標)S1200(国際公開第99/16810号パンフレット)が、DSM Hybrane(Geleen、オランダ(The Netherlands))から提供された。
Hybrane(登録商標)S1200(5.0g、4.2mmol、OHは33.0mmol)、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸メチルエステル(3.6g、11mmol)、1,8−ジアザビシクロル[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.5g、3mmol)、及びダイグライム(2.5g)の混合物を、アルゴンを反応混合物中に連続的に流しながら、160℃で3時間撹拌する。4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルクロリド(2.2g、12mmol)を加え、反応混合物を160℃でさらに2時間撹拌する。混合物を室温にまで冷却し、ピリジン(20mL)に溶解する。3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド(1.9g、10mmol)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌する。過剰の酸塩化物を、水(1mL)を加え、室温でさらに1時間撹拌することによって、過剰の酸塩化物を加水分解する。酢酸エチル(100mL)を加え、次いで、10重量%炭酸カリウム水溶液(100mL)、5重量%クエン酸水溶液(100mL)及び塩水(100mL)で抽出する。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで脱水し、濾過後、真空下で蒸発させて6.4gのHY−ABを得る。
【0113】
[4b.)高分子UVBフィルタの調製:HY−B1]
【化3】



GPCによる測定で約1200g/molのMnを有するHybrane(登録商標)S1200(国際公開第99/16810号パンフレット)が、DSM Hybrane(Geleen、オランダ)から提供された。
Hybrane(登録商標)S1200(5.0g、4.2mmol、OHは33.0mmol)のピリジン溶液(20mL)に、4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルクロリド(4.6g、25mmol)を加え、還流させながら1時間撹拌する。3,5,5−トリメチルヘキサノイルクロリド(1.6g、9mmol)を加え、還流させながら反応混合物をさらに4時間撹拌する。水(1mL)を加え、室温でさらに1時間撹拌することによって、過剰の酸塩化物を加水分解する。酢酸エチル(100mL)を加え、次いで、10重量%炭酸カリウム水溶液(100mL)、5重量%クエン酸水溶液(100mL)及び塩水(100mL)で抽出する。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで脱水し、濾過後、真空下で蒸発させて5.2gのHY−B1を得る。
【0114】
[4c.)高分子UVBフィルタの調製:HY−B2]
【化4】



GPCによる測定で約2000g/molのMnを有するHybrane(登録商標)D2000(国際公開第99/16810号パンフレット)が、DSM Hybrane(Geleen、オランダ)から提供された。
アルゴン中、0℃で、トリエチルアミン(4.0mL、29.0mmol)及びDMAP(50mg)を、Hybrane(登録商標)D2000(5.0g、2.5mmol、OHは20.0mmol)のDCM溶液(75mL)に加える。続いて、温度を5℃未満に維持しながら、4−(ジメチルアミノ)ベンゾイルクロリド(4.5g、24mmol)のDCM(25mL)溶液を滴下により加える。反応混合物を室温で48時間撹拌する。水(100mL)を加え、室温でさらに12時間撹拌することによって、過剰の酸塩化物を加水分解する。相を分離し、水相をDCM(2×50mL)で抽出する。有機相を一緒にして飽和重炭酸溶液(150mL)及び2NHCl(150mL)で洗浄する。各有機相をDCM(50mL)で再抽出する。有機抽出物を一緒にして硫酸ナトリウムで脱水し、濾過後、真空下で蒸発させる。油状の残留物をシリカによるカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル/n−ヘキサン、1:2 − 酢酸エチル)で精製し、6.46gのHY−B2を得る。
【0115】
[溶解度]
12〜15アルキルベンゾエートと、それぞれの高分子固体UVフィルタ(すなわち、ポリシリコーン−15(P−15)、HY−B1、HY−B2、HY−AB、BEMT、又はエチルヘキシルトリアゾン(EHT))との1:1(w/w)混合物におけるBMDBMの溶解度を、200mgのBMDBMを1000mgの1:1混合物と混合し、室温で1か月間保存した後、HPLCにより上澄み液のBMDBM濃度を測定することにより決定した。必要に応じて、透明な上澄み液を得るために混合物を遠心分離した。結果を下表に示す。エチルヘキシルトリアゾンを含有する混合物からは、遠心分離によって液体上澄み液は分離されなかった。
【0116】
【表16】



【0117】
結果からわかるように、C12〜15アルキルベンゾエート中のBMDBMの溶解度は、シリコーンベースの高分子UVフィルタ(ポリシリコーン−15)によっても、HybraneベースのUVフィルタ(HY−AB、HY−B1、HY−B2)によっても、あるいは固体UVフィルタ(BEMT又はEHT)によっても増加させることはできない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.)yモル当量の水酸基を有する1モル当量のポリオール開始剤ユニットを使用して、xモル当量のグリシドールを開環重合させる工程と、その後、
b.)z×(x+y)モル当量のプロピレンオキサイドとブロック共重合させて、(x+y)モル当量の水酸基を有する超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格を形成する工程と、その後、
c.)3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンにより前記水酸基を部分エーテル化、又は完全エーテル化する工程であって、ここで、xは3〜16の整数、yは1〜6の整数、そしてzは0〜10の整数である工程と、
を含む方法によって得られるポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項2】
前記超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の前記水酸基の15〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは約80〜100%が、3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンによりエーテル化される請求項1に記載のポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項3】
前記グリシドールユニット量xは、前記ポリオール開始剤ユニット1モル当量当たり、3〜16モル当量の範囲から選択される請求項1又は2に記載のポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項4】
前記ポリオール開始剤ユニットは、トリメチロールプロパンである請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項5】
前記超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格の前記末端水酸基の80〜100%が、3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンと反応し、かつ前記残りの末端水酸基がキャッピング基に結合する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項6】
前記キャッピング基が、2−エチルヘキサノイル基、アセチル基、及び/又は3,5,5−トリメチルヘキサノイル基である請求項5に記載のポリグリセロールベースUVフィルタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセロールベースUVフィルタと、化粧料として容認される担体とを含む局所用組成物。
【請求項8】
ブチルメトキシジベンゾイルメタンをさらに含む請求項7に記載の局所用組成物。
【請求項9】
ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンをさらに含む請求項7又は8に記載の局所用組成物。
【請求項10】
ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの溶媒として適している化粧料オイル中の、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及び/又はビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの溶解度を高めるための請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセロールベースUVフィルタの使用。
【請求項11】
前記化粧料オイルが、セバシン酸ジイソプロピル又はC12〜15アルキルベンゾエートである請求項10に記載の使用。
【請求項12】
光に不安定なUV吸収剤の光安定性を高めるための請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリグリセロールベースUVフィルタの使用。
【請求項13】
前記光に不安定なUV吸収剤が、ブチルメトキシジベンゾイルメタンである請求項12に記載の使用。
【請求項14】
a.)yモル当量の水酸基を有する1モル当量のポリオール開始剤ユニットを使用して、xモル当量のグリシドールを開環重合させる工程と、その後、
b.)z×(x+y)モル当量のプロピレンオキサイドとブロック共重合させて、(x+y)モル当量の水酸基を有する超分枝ポリエーテル−ポリオール骨格を形成する工程と、その後、
c.)3−[1−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタ−(E)−イリデン]−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンにより前記水酸基を部分エーテル化、又は完全エーテル化する工程であって、ここで、xは3〜16の整数、yは2〜6の整数、そしてzは0〜10の整数である、工程と
を含むポリグリセロールベースUVフィルタの調製方法。

【公表番号】特表2013−513570(P2013−513570A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542534(P2012−542534)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069135
【国際公開番号】WO2011/070053
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】