映像視聴システム及びシャッタ式眼鏡の制御方法
【課題】 シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの眼幅方向の傾きを検出し、正しい視聴姿勢のユーザにのみ3D映像視認を可能とさせる。
【解決手段】 左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを制御するための偏光処理されたシャッタ制御信号を、偏光子を介して受信する。受信したシャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、シャッタ式眼鏡の傾きを検出し、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを制御する。
【解決手段】 左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを制御するための偏光処理されたシャッタ制御信号を、偏光子を介して受信する。受信したシャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、シャッタ式眼鏡の傾きを検出し、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D映像視聴を可能とする映像視聴システム及びシャッタ式眼鏡の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の左右の目における視差を利用して、左右の目に異なる映像を見せることで、擬似的に3次元(以下、3D)映像を視聴可能にする技術がある。眼鏡を用いた方式としては、偏光を利用した偏光方式、カラースペクトラム特性の違いを利用した分光方式、左右の映像を時分割表示し、シャッタ式眼鏡を用い左右の眼に異なる映像を見せる時分割方式が実用化されている。
【0003】
一般的に、視差を利用した3D映像において、左眼用画像と右眼用画像との画像のずれ方向は、視聴するユーザの眼幅方向と一致するように制作されている。眼幅方向が画像のずれ方向に対して傾いた姿勢、つまり顔が傾いた姿勢で3D映像を視聴している場合、輻輳と焦点による奥行き知覚に矛盾が生じる輻輳調節矛盾により、立体酔いが発生するという問題がある。
【0004】
このような顔の傾きを検出する方法として、シャッタ式眼鏡に設けられた傾きセンサにより検出する技術や、映像表示部に設けたカメラで左右の目の位置関係を検知して傾きを検出する技術が、特許文献1に記載されている。上記の問題に対して特許文献1では、ユーザが顔を傾けた姿勢で見ている間、3D映像ではなく2次元(以下、2D)映像を視聴させるように、シャッタ式眼鏡のシャッタ部を駆動制御する技術が開示されている。
【0005】
また、2つの物体の回転角度を検出する技術として、偏光レンズを透過させた光に基づいて、2つの偏光レンズの位相差によるずれを求める技術(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−296501号公報
【特許文献2】特開平08−285553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カメラで撮影した目の位置関係から、顔の傾きを検出する場合、カメラを駆動する機構を設けることで消費電力が増加する。また、検出した複数ユーザの傾きに応じて個別にシャッタ式眼鏡を制御するには回路規模が大きくなる。更に、複数ユーザの映像視聴状態を個別に制御するために、シャッタ式眼鏡にジャイロセンサ又は加速度センサ等の傾きセンサを搭載すると、傾きセンサを駆動させるための電力により、シャッタ式眼鏡の消費電力が大幅に増加してしまうという課題があった。
【0008】
そこで本発明は、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の映像視聴システムは、表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、前記送信装置は、前記シャッタ制御信号を送信する送信手段と、前記送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段を有し、前記シャッタ式眼鏡は、前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、前記送信装置における前記送信手段において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光手段及び前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
表示する映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期を取るためのシャッタ制御信号を偏光させて用いることで、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における、映像視聴システムの構成図である。
【図2】基準方向に平行な2つの偏光子による偏光赤外線伝送を示す概念図である。
【図3】基準方向に対して傾き角を有する偏光子による偏光赤外線の信号変化を示す概念図である。
【図4】本発明の実施例1における、信号受信部の構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施例1における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【図6】本発明の実施例1における、制御部及びシャッタ部の動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】シャッタ部のシャッタ制御方法を示す概念図である。
【図8】本発明の実施例2における、映像視聴システムの構成図である。
【図9】本発明の実施例2における、信号受信部の構成を示す構成図である。
【図10】本発明の実施例2における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【図11】本発明の実施例2における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について説明する。
【0013】
図1は、実施例1を実現する映像視聴システムのブロック図である。3D映像視聴装置は、映像処理装置100とシャッタ式眼鏡150で構成される。
【0014】
まず、映像処理装置100について説明する。チューナ部101は、アンテナにて受信したデジタル放送波を、指定された放送チャンネルに対応した映像信号及び音声信号を含む時分割多重化されたTS(Transport Stream)データに復調し、デスクランブラ部102に出力する。デスクランブラ部102は、スクランブルされているTS信号をデスクランブルして、TS分離部103に出力する。
【0015】
TS分離部103では、デスクランブルされたTS信号から、指定された放送チャンネルに対応した映像信号及び音声信号、並びに付加データ等を分離して抽出し、映像信号及び音声信号をそれぞれ映像デコーダ部105及び音声デコーダ部108に供給する。
【0016】
外部入力部104は、Ethernet(登録商標)やIEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)といったネットワーク接続を実現するための、ネットワークコントローラとしても機能する。外部機器から映像信号及び音声信号の入力を受ける外部入力部104から入力された信号は、TS分離部103に出力され、映像信号及び音声信号に分離されて、映像デコーダ部105及び音声デコーダ部108に供給される。
【0017】
映像デコーダ部105は、TS分離部103から受けた映像信号を復号し、映像出力制御部106に伝送する。また同様に、音声デコーダ部108はTS分離部103から受けた音声信号を復号して、音声出力制御部109に伝送する。左眼用画像及び右眼用画像からなる3D映像信号が映像デコーダ部105で復号された場合、映像出力制御部106は、復号された左眼用画像及び右眼用画像を交互に切り替えながら、映像表示部107に出力する。これにより、映像表示部107に、シャッタ式眼鏡150を用いて3D映像視聴が可能となる映像が表示される。音声出力制御部109は、音声デコーダ部108から入力される音声信号を、スピーカ部110に出力する。
【0018】
リモコン部121は、ユーザによるキー操作の情報を赤外線信号に変換し、リモコン受信部114に出力する。リモコン受信部114は、リモコン部121からの赤外線信号を受信し、キー操作の情報に変換して制御部111に伝える。
【0019】
制御部111は、リモコン受信部114を介して伝えられるユーザ要求に合わせ、映像処理装置100全体の制御を行う。また、制御部111は、シャッタ部152の遮光状態と非遮光状態とのシャッタ切り替えの動作を、映像表示部107で表示される映像と同期させて制御するための、シャッタ式眼鏡150に対するシャッタ制御信号を生成する。
【0020】
信号送信部112は、制御部111で生成されたシャッタ制御信号を、赤外線信号に変調し、偏光子113を通して出力する。この信号送信部112及び偏光子113は、図1のように映像処理装置100内にある構成に限定されるものではなく、映像処理装置100と通信可能な外付けできる装置でもよい。
【0021】
続いて、シャッタ式眼鏡150について説明する。信号受信部154は、信号送信部112から偏光子113及び偏光子153を介して入射されるシャッタ制御信号を受信し、電気信号に復調したシャッタ制御信号を制御部151に伝送する。制御部151は、信号受信部154より得られるシャッタ制御信号に基づいて、左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれを、遮光状態と非遮光状態に交互に切り替える制御を行う。操作部155は、シャッタ式眼鏡150の電源オン/オフ操作や、後述する閾値を設定するための各種設定ボタンを用い、これらの操作情報は制御部151に伝えられる。
【0022】
次に、図2を用いて、偏光子113及び偏光子153の設置関係について説明する。偏光子113は、信号送信部112より出力される全方位光の赤外線信号等に変調されたシャッタ制御信号に、電場(及び磁場)の振動方向が規則的な光波となるようフィルタリングする偏光処理を施す。ここで、表示される左眼用画像と右眼用画像との画像のずれ方向、又は映像処理装置による映像の表示装置の設置面に対する水平方向を基準方向とする。偏光子113には、基準方向と平行な方向の電場の振動成分を吸収する偏光子を用いる。シャッタ制御信号として赤外線を用いる場合、映像処理装置100から送信されるシャッタ制御信号は、基準方向に垂直な振動成分を持つ偏光赤外線で出力されることになる。
【0023】
ここで、シャッタ式眼鏡150において、左眼用シャッタ152Lと右眼用シャッタ152Rのそれぞれの中心を結ぶ方向を眼幅方向とみなす。偏光子153には、偏光子113と同様の偏光子を用い、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に平行となる位置関係にあるとき、偏光子113を通過した偏光赤外線を最も透過するようにシャッタ式眼鏡に設置する。これにより、シャッタ式眼鏡150を掛けたユーザの眼幅方向が基準方向に平行、つまり顔が傾いていない場合、信号受信部154では、偏光子153で信号レベルが減衰しないシャッタ制御信号を受信することになる。基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有し、ユーザの顔が傾いている場合、図3で示すように、偏光子113と偏光子153の位置関係がずれることになる。これにより、シャッタ制御信号が偏光子153を透過する際の透過特性が変化する。基準方向に対する眼幅方向の傾き角が大きくなるに従い、シャッタ制御信号の透過率は下がり、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±90度のとき透過光の出力はゼロとなる。そのため、信号受信部154では、偏光子153を透過することで信号レベルが減衰したシャッタ制御信号を受信することになる。
【0024】
図4は、第1の実施例を実現する信号受信部154の内部構造を示すブロック図である。これを用いて信号受信部154内での処理について説明する。
【0025】
フォトセンサ部401は、偏光子153を介して入射されるシャッタ制御信号を、フォトダイオードを用いて電流信号に変換する。I/V変換部402は、フォトセンサ部401で得られた電流信号を電圧信号に変換する。信号調整部403は、I/V変換部402で得られた電圧信号を予め定める増幅率で増幅する。
【0026】
バンドパスフィルタ部404は、信号調整部403で増幅された信号のうち、有効周波数帯域外の無効周波数成分をフィルタリングして、ノイズ信号等を除去する。リモコン部121から出力される赤外線信号やその他のノイズ信号は、ここで除去される。検波部405は、バンドパスフィルタ部404でフィルタリングされた信号を復調する。検波部405で復調された信号Sig.1は、振幅増幅部406及び傾き検出部408に送られる。
【0027】
振幅増幅部406は、検波部405からの信号Sig.1を後段のA/D変換部407に入力した際に適した振幅レベルとなるよう、自動利得制御(AGC)をかけて振幅レベルを所定値まで増幅する。A/D変換部407は、振幅増幅部406からの信号Sig.2を1ビット量子化し、アナログ形式からデジタル形式に変換してデジタル信号Sig.3として出力する。検波部405からの信号Sig.1が振幅増幅部406及びA/D変換部407を経て生成されたデジタル信号Sig.3を、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとるための同期信号とする。なお、振幅増幅部406の増幅率には上限があるため、検波部405から出力された信号の振幅が過度に低い場合は、同期信号として有効な信号にならない。
【0028】
傾き検出部408は、検波部405からの信号Sig.1を、予め設定される閾値又は制御部151によって設定変更された閾値と比較し、1ビット量子化する。この信号を、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す、識別信号Sig.4とする。
【0029】
検波部405からの信号Sig.1の振幅が閾値を超えない期間の識別信号Sig.4は、デジタル値0とする。また、閾値を超える期間の識別信号Sig.4は、デジタル値1とする。この閾値は、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に対して傾いていることを検出するための基準値である。3D映像を視聴している場合、ユーザの立体酔い防止のために3D映像視聴を無効にする、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に合わせ閾値を予め設定する。例えば、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度以上になった場合に3D映像視聴を無効にする場合、偏光子113と偏光子153との関係が±10度ずれた条件下で得られる復調信号の振幅のピーク値を閾値として予め設定する。さらに例えば、操作部155をユーザが操作することで、閾値を調整できるような構成にしてもよい。
【0030】
制御信号出力部409は、3D映像視聴の有効/無効を決定するイネーブル信号Sig.5を生成し、A/D変換部407から出力された同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5をシャッタ制御信号として制御部151に出力する。イネーブル信号Sig.5は、A/D変換部407から出力された同期信号Sig.3と識別信号Sig.4との比較結果に基づいて生成される。同期信号Sig.3が、1と0の値を周期的に繰り返す周期信号であり、且つ同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致する場合には、3D映像視聴が有効であると判断し、イネーブル信号Sig.5としてデジタル値1(3D視聴有効)を出力する。同期信号Sig.3が周期信号でない場合、又は同期信号Sig.3が周期信号であっても同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致しない場合には、イネーブル信号Sig.5としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。制御部151は、シャッタ制御信号である同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5に基づいて、左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rの制御を行う。
【0031】
図5は、信号送信部112から出力されたシャッタ制御信号に対し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、信号受信部154で生成される同期信号Sig.3、識別信号Sig.4及びイネーブル信号Sig.5を表したイメージ図である。傾き検出部408で用いられる閾値が、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度ずれた条件下での振幅のピーク値に予め設定されており、基準方向から±10度以上眼幅方向が傾いた時は3D視聴が無効になるものとする。
【0032】
ユーザの顔が傾いていない、つまり基準方向に対し眼幅方向の傾き角が0度の図5(A)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406にて所定値まで増幅される(Sig.2)。傾き検出部408にて、増幅された信号Sig.2は閾値以上の振幅を持つ。よって、信号Sig.2をデジタル信号に変換して、A/D変換部407から出力される同期信号Sig.3と、傾き検出部408から出力される識別信号Sig.4とは一致する。同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致し、且つ同期信号Sig.3が、1と0の値を周期的に繰り返す周期信号である場合には、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.5はデジタル値1(3D視聴有効)となる。制御信号出力部409は、同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5を出力する。制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.3を用いて、3D映像視聴させるように、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれの、遮光状態又は非遮光状態の制御を行う。
【0033】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が45度の図5(B)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406にて所定値まで増幅され(Sig.2)、同期信号Sig.3は周期信号として得られる。しかし傾き検出部408で用いられる閾値より小さい振幅を有するので、識別信号Sig.4は周期信号にならない。よって、同期信号Sig.3が周期信号であっても、同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致しないので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.5はデジタル値0(3D視聴無効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.3を用いて、3D映像視聴を無効化し、2D映像の視聴が可能なようにシャッタ部152の制御を行う。
【0034】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度の図5(C)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406での増幅可能ライン以下の振幅しか有していないため、同期信号Sig.3のデジタル値は常に0の値となる。また、傾き検出部408で用いられる閾値より小さい振幅を有するので、識別信号Sig.4は周期信号とならない。よって、同期信号Sig.3及び識別信号Sig.4が一致するが、同期信号Sig.3が周期信号でないため、イネーブル信号Sig.5はデジタル値0(3D視聴無効)となる。このとき、同期信号Sig.3が周期信号でないため、シャッタ部152の制御を行うことが出来ない。
【0035】
次に、図6のフローチャートを用いて、制御部151及びシャッタ部152の動作について説明する。
【0036】
ステップS601では、シャッタ式眼鏡が起動しているか識別する。起動していない場合は処理を終了し、起動している場合はステップS602に進む。ステップS602では、制御部151が信号受信部154の制御信号出力部409から受信した同期信号Sig.3が、周期信号であるか否かを識別する。周期信号である場合はステップS603に進み、周期信号でない場合はステップS606に進む。ステップS603では、制御部151が、制御信号出力部409からのイネーブル信号Sig.5を識別する。イネーブル信号Sig.5の示すデジタル値が1の場合はステップS604に進み、0の場合はステップS605に進む。
【0037】
ステップS604に進むことは、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が、例えば±10度未満で、3D映像視聴する姿勢ならびに使用条件が適当であるので、3D映像視聴する姿勢として望ましい状態であることを示す。ステップS605に進むことは、使用条件は適当であるが、基準方向に対して眼幅方向が±10度以上傾いているために、3D映像視聴する姿勢として望ましくない状態であることを示す。ステップS606に進むことは、使用条件に問題があるか、または3D映像視聴する姿勢として、シャッタ制御信号が偏光子153を十分に透過できないほど、基準方向に対して眼幅方向が、例えば±45度以上で、過度に大きく傾いていることを示す。
【0038】
ステップS604では、図7(A)に示すように、受信した同期信号Sig.3を元に、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rに対し、3D映像視聴を実現するためのシャッタ制御を行う。左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用画像の表示時には左眼用シャッタ152Lを非遮光状態に、右眼用シャッタ152Rを遮光状態に切り替える。また、右眼用画像の表示時には左眼用シャッタ152Lを遮光状態に、右眼用シャッタ152Rを非遮光状態に切り替える。これにより、ユーザは3D映像視聴が可能になる。
【0039】
ステップS605では、図7(B)に示すように、受信した同期信号Sig.3を元に、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rに対し、2D映像視聴を実現するためのシャッタ制御を行う。例えば、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを遮光状態にし、他方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを非遮光状態にする。これにより、ユーザは2D映像視聴が可能になる。
【0040】
ステップS606では、図7(C)に示したように、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを常時非遮光状態とする制御を行う。これにより、ユーザは左眼用画像及び右眼用画像からなる2重像の2D映像を見ることになる。所定期間(例えば10秒間)イネーブル信号Sig.5のデジタル値が0のまま変化しない場合は(ステップS607、Yes)、シャッタ式眼鏡の電源をオフする(ステップS608)。
【0041】
以上の構成によれば、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなくユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。また、基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有する場合に、2重像のない2D映像の視聴が可能となり、3D映像視聴を無効にすることができる。さらに、シャッタ式眼鏡に傾き検出のためのセンサを搭載する必要がないため、小型化や軽量化を実現できる。
【0042】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。図8は、実施例2を実現する映像視聴システムのブロック図である。実施例2は実施例1に対し、以下で説明する3つの構成の違いがある。1つ目は、図8に示すように、映像処理装置100からシャッタ式眼鏡150に信号を送信する信号送信部A801及び信号送信部B802を設ける。2つ目は、偏光子113と偏光子153との関係を、第1の実施例と異なり、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が垂直の場合に最も信号Aが透過し、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が平行の場合には信号Aを遮断する関係とする。3つ目は、信号受信部154の内部ブロックの構成を、図9で示すブロック構成に変更する。実施例2は、偏光子113を介さずに信号を送信する、信号送信部B802を追加することによって空間伝播減衰の影響を低減し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、シャッタ制御を切り替えることを特徴としている。
【0043】
映像処理装置100は、基準方向に対するシャッタ式眼鏡150の眼幅方向の傾き角を検出する信号として、信号送信部A801から信号Aを送信する。また、シャッタ式眼鏡150のシャッタ部152と表示画像の同期を行う信号として、信号送信部B802から信号Bを送信する。このとき、信号A及び信号Bは全方位光であり、信号Bは信号Aの振幅方向を反転させた信号である。信号Aは、偏光子113及び偏光子153を介して信号受信部154で受信される。信号送信部B802から送信される信号Bは、偏光子113を介さずに、偏光子153を介して信号受信部154で受信される。
【0044】
映像処理装置100からの信号A及び信号Bは、合成波として信号受信部154で受信される。基準方向に対してシャッタ式眼鏡150の眼幅方向が平行の場合、偏光子153は信号Aの成分を遮断する。そのため、信号受信部154が受信する信号は、信号送信部B802から送信された信号Bの成分のみとなる。基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、偏光子153を透過する信号Aの透過率は変化し、眼幅方向の傾き角が±90度の時に信号Aの成分の透過率が最大となる。この透過率の変化に合わせて、信号受信部154で受信する信号Aの受信レベルが変化する。
【0045】
図9を用いて、実施例2を実現する信号受信部154の内部構造を説明する。信号受信部154は実施例1と異なり、増幅率制御部901及び同期信号検出部902を有する。増幅率制御部901は、検波部405からの信号を常にモニタし、同期信号検出部902及び傾き検出部408に入力する信号を増幅する制御を行う。このとき、検波部405からの信号における信号レベルの最大値が、同期信号検出部902及び傾き検出部408で対応可能なダイナミックレンジの最大値まで増幅されるよう、自動利得制御(AGC)を信号調整部403に対して行う。検波部405からの信号における信号レベルの最大値を基準に増幅を行うことで、信号送信部A801及び信号送信部B802から送信される信号における空間伝播減衰の影響を低減することができる。よって、同期信号検出部902及び傾き検出部408における、同期信号及び傾きの検出精度を向上させることができる。
【0046】
なお、信号調整部403での増幅率には上限がある。そのため、空間伝播による影響で信号A及び信号Bが共に減衰する場合、検波部405からの信号における信号レベルが、同期信号検出部902及び傾き検出部408で用いる閾値に達しない場合がある。これは、映像処理装置100とシャッタ式眼鏡150との関係が、信号受信条件を満たしていないことを意味する。
【0047】
同期信号検出部902は、検波部405から出力された信号を閾値Aと比較し、比較結果に基づいて1ビット量子化してデジタル信号として出力する。この信号は、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rの遮光状態又は非遮光状態を、表示画像に同期させて制御するための同期信号Sig.7となる。傾き検出部408では、検波部405から出力された信号を閾値Bと比較し、比較結果に基づいて1ビット量子化してデジタル信号として出力する。この信号は、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す、識別信号Sig.8である。閾値A及び閾値Bについては後述する。
【0048】
制御信号出力部409は、実施例1と同様に、3D映像視聴の有効/無効を決定するイネーブル信号Sig.9を生成する。イネーブル信号Sig.9は、同期信号検出部902から出力された同期信号Sig.7と、傾き検出部408から出力された識別信号Sig.8との比較結果に基づいて生成される。
【0049】
図10及び図11は、映像処理装置100から送信される信号A及び信号Bに対し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて信号受信部154で生成される、同期信号Sig.7、識別信号Sig.8及びイネーブル信号Sig.9のイメージ図である。
【0050】
基準方向に対しシャッタ式眼鏡の眼幅方向の傾き角が0度の場合は図10(A)のように、信号Aの偏光子153に対する透過率はゼロであるため、偏光子153を透過した後は信号aのようになり、遮断される。一方信号Bは全方位光であるので、信号Bが偏光子153を透過した後は信号bのようになる。信号受信部154では、信号a及び信号bの合成波を受信する。受信した合成波は信号Bの成分のみであり、信号調整部403及びバンドパスフィルタ部404を経て、検波部405から出力される信号Sig.6は図10(A)に示す。
【0051】
検波部405からの信号Sig.6の振幅を、同期信号検出部902にて閾値Aと比較し、傾き検出部408にて閾値Bと比較する。閾値Aは、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとるための同期信号Sig.7を生成するために、制御部151によって予め定められる閾値である。閾値Bは、基準方向に対する眼幅方向の傾き角の検出し、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す識別信号Sig.8を生成するために制御部151によって予め定められる閾値である。表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとることが出来ない場合、2重像のない2D映像又は3D映像の視聴は困難となる。そのため閾値Aは、同期信号Sig.7として周期信号を得やすくするため、比較的高く設定するのが望ましい。閾値Bは実施例1における閾値と同様、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に対して傾いていることを検出するための基準値である。例えば、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度以上になった場合に3D映像視聴を無効にする場合、偏光子113と偏光子153との関係が±10度ずれた条件下で得られる復調信号の振幅のピーク値を閾値Bとして予め設定できる。
【0052】
図10(A)において、信号Sig.6の下限レベルが閾値Aを下回っているので、同期信号検出部902で生成される、A/D変換されたSig.7は1と0の値を周期的に繰り返す周期信号となる。また同様に閾値Bも下回っているので、傾き検出部408で生成される、A/D変換されたSig.8も周期信号となる。実施例1と同様に、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とが一致し、且つ同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8が周期信号であるので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.9はデジタル値1(3D視聴有効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.7を用いて、3D映像視聴させるように、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれの、遮光状態又は非遮光状態の制御を行う。
【0053】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が45度の場合は図10(B)のように、信号Aの受信成分の信号aは、傾き角0度の時の信号aに比べて振幅が大きくなる。信号Aの受信成分の信号aは、基準方向に対し眼幅方向の傾き角が大きくなると、振幅が大きくなっていき、信号の上限レベルが高くなっていく。このとき、検波部405からの信号Sig.6は図10(A)のときより、下限レベルが高くなっていく。信号Sig.6の下限レベルは、閾値Aを下回っているが、閾値Bを上回っているので、同期信号Sig.7は周期信号として得られるが、識別信号Sig.8は周期信号にならない。よって、同期信号Sig.7は周期信号であるが、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とが一致しないので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.9はデジタル値0(3D視聴無効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.7を用いて、3D映像視聴を無効化し、2D映像の視聴が可能なようにシャッタ部152の制御を行う。例えば、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを遮光状態にし、他方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを非遮光状態にする。
【0054】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度で、信号aの振幅が最大になるとき、図11(A)のようになる。信号Sig.6の下限レベルは、閾値A及び閾値Bを上回っているため、同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8は周期信号にならず常にデジタル値1となる。同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とは一致するが、同期信号Sig.7が周期信号でないので、イネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。
【0055】
また、空間伝播減衰の影響を受け、信号Sig.6の信号レベルが閾値A及び閾値Bを下回る場合、同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8の周期信号にならず常にデジタル値0となる。このときも、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とは一致するが、同期信号Sig.7が周期信号でないので、イネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。図11(B)には、基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度の場合において、空間伝播減衰量が大きい場合の信号について示した。基準方向に対する眼幅方向の傾き角が何度であっても、信号aの振幅は信号bの振幅以下であるので、信号Sig.6の信号レベルが閾値A及び閾値Bを下回る。よって上記と同様にイネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。
【0056】
これらの図11(A)及び(B)の場合、同期信号Sig.7が周期信号でないため、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部152との同期をとることができない。このとき、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを開放状態にして、左眼用画像及び右眼用画像からなる2重像を見せる。所定期間イネーブル信号Sig.9が0のまま変化しない場合は、シャッタ式眼鏡の電源をオフしてもよい。
【0057】
実施例2における、制御部151及びシャッタ部152の動作については、実施例1と同様に図6のように行う。
【0058】
以上の構成によれば、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなくユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。また、基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有する場合に、2重像のない2D映像の視聴が可能となり、3D映像視聴を無効にすることができる。さらに、信号送信部から送信された信号が信号受信部で受信されるまでに受ける空間伝播減衰の影響を低減でき、適切にシャッタ式眼鏡の傾きを検出して映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとることができる。
【符号の説明】
【0059】
100 映像処理装置
112 信号送信部
113 偏光子
150 シャッタ式眼鏡
151 制御部
153 偏光子
154 信号受信部
408 傾き検出部
901 増幅率制御部
902 同期信号検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D映像視聴を可能とする映像視聴システム及びシャッタ式眼鏡の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の左右の目における視差を利用して、左右の目に異なる映像を見せることで、擬似的に3次元(以下、3D)映像を視聴可能にする技術がある。眼鏡を用いた方式としては、偏光を利用した偏光方式、カラースペクトラム特性の違いを利用した分光方式、左右の映像を時分割表示し、シャッタ式眼鏡を用い左右の眼に異なる映像を見せる時分割方式が実用化されている。
【0003】
一般的に、視差を利用した3D映像において、左眼用画像と右眼用画像との画像のずれ方向は、視聴するユーザの眼幅方向と一致するように制作されている。眼幅方向が画像のずれ方向に対して傾いた姿勢、つまり顔が傾いた姿勢で3D映像を視聴している場合、輻輳と焦点による奥行き知覚に矛盾が生じる輻輳調節矛盾により、立体酔いが発生するという問題がある。
【0004】
このような顔の傾きを検出する方法として、シャッタ式眼鏡に設けられた傾きセンサにより検出する技術や、映像表示部に設けたカメラで左右の目の位置関係を検知して傾きを検出する技術が、特許文献1に記載されている。上記の問題に対して特許文献1では、ユーザが顔を傾けた姿勢で見ている間、3D映像ではなく2次元(以下、2D)映像を視聴させるように、シャッタ式眼鏡のシャッタ部を駆動制御する技術が開示されている。
【0005】
また、2つの物体の回転角度を検出する技術として、偏光レンズを透過させた光に基づいて、2つの偏光レンズの位相差によるずれを求める技術(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−296501号公報
【特許文献2】特開平08−285553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カメラで撮影した目の位置関係から、顔の傾きを検出する場合、カメラを駆動する機構を設けることで消費電力が増加する。また、検出した複数ユーザの傾きに応じて個別にシャッタ式眼鏡を制御するには回路規模が大きくなる。更に、複数ユーザの映像視聴状態を個別に制御するために、シャッタ式眼鏡にジャイロセンサ又は加速度センサ等の傾きセンサを搭載すると、傾きセンサを駆動させるための電力により、シャッタ式眼鏡の消費電力が大幅に増加してしまうという課題があった。
【0008】
そこで本発明は、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の映像視聴システムは、表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、前記送信装置は、前記シャッタ制御信号を送信する送信手段と、前記送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段を有し、前記シャッタ式眼鏡は、前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、前記送信装置における前記送信手段において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光手段及び前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
表示する映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期を取るためのシャッタ制御信号を偏光させて用いることで、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなく、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における、映像視聴システムの構成図である。
【図2】基準方向に平行な2つの偏光子による偏光赤外線伝送を示す概念図である。
【図3】基準方向に対して傾き角を有する偏光子による偏光赤外線の信号変化を示す概念図である。
【図4】本発明の実施例1における、信号受信部の構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施例1における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【図6】本発明の実施例1における、制御部及びシャッタ部の動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】シャッタ部のシャッタ制御方法を示す概念図である。
【図8】本発明の実施例2における、映像視聴システムの構成図である。
【図9】本発明の実施例2における、信号受信部の構成を示す構成図である。
【図10】本発明の実施例2における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【図11】本発明の実施例2における、同期信号、識別信号及びイネーブル信号を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について説明する。
【0013】
図1は、実施例1を実現する映像視聴システムのブロック図である。3D映像視聴装置は、映像処理装置100とシャッタ式眼鏡150で構成される。
【0014】
まず、映像処理装置100について説明する。チューナ部101は、アンテナにて受信したデジタル放送波を、指定された放送チャンネルに対応した映像信号及び音声信号を含む時分割多重化されたTS(Transport Stream)データに復調し、デスクランブラ部102に出力する。デスクランブラ部102は、スクランブルされているTS信号をデスクランブルして、TS分離部103に出力する。
【0015】
TS分離部103では、デスクランブルされたTS信号から、指定された放送チャンネルに対応した映像信号及び音声信号、並びに付加データ等を分離して抽出し、映像信号及び音声信号をそれぞれ映像デコーダ部105及び音声デコーダ部108に供給する。
【0016】
外部入力部104は、Ethernet(登録商標)やIEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)といったネットワーク接続を実現するための、ネットワークコントローラとしても機能する。外部機器から映像信号及び音声信号の入力を受ける外部入力部104から入力された信号は、TS分離部103に出力され、映像信号及び音声信号に分離されて、映像デコーダ部105及び音声デコーダ部108に供給される。
【0017】
映像デコーダ部105は、TS分離部103から受けた映像信号を復号し、映像出力制御部106に伝送する。また同様に、音声デコーダ部108はTS分離部103から受けた音声信号を復号して、音声出力制御部109に伝送する。左眼用画像及び右眼用画像からなる3D映像信号が映像デコーダ部105で復号された場合、映像出力制御部106は、復号された左眼用画像及び右眼用画像を交互に切り替えながら、映像表示部107に出力する。これにより、映像表示部107に、シャッタ式眼鏡150を用いて3D映像視聴が可能となる映像が表示される。音声出力制御部109は、音声デコーダ部108から入力される音声信号を、スピーカ部110に出力する。
【0018】
リモコン部121は、ユーザによるキー操作の情報を赤外線信号に変換し、リモコン受信部114に出力する。リモコン受信部114は、リモコン部121からの赤外線信号を受信し、キー操作の情報に変換して制御部111に伝える。
【0019】
制御部111は、リモコン受信部114を介して伝えられるユーザ要求に合わせ、映像処理装置100全体の制御を行う。また、制御部111は、シャッタ部152の遮光状態と非遮光状態とのシャッタ切り替えの動作を、映像表示部107で表示される映像と同期させて制御するための、シャッタ式眼鏡150に対するシャッタ制御信号を生成する。
【0020】
信号送信部112は、制御部111で生成されたシャッタ制御信号を、赤外線信号に変調し、偏光子113を通して出力する。この信号送信部112及び偏光子113は、図1のように映像処理装置100内にある構成に限定されるものではなく、映像処理装置100と通信可能な外付けできる装置でもよい。
【0021】
続いて、シャッタ式眼鏡150について説明する。信号受信部154は、信号送信部112から偏光子113及び偏光子153を介して入射されるシャッタ制御信号を受信し、電気信号に復調したシャッタ制御信号を制御部151に伝送する。制御部151は、信号受信部154より得られるシャッタ制御信号に基づいて、左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれを、遮光状態と非遮光状態に交互に切り替える制御を行う。操作部155は、シャッタ式眼鏡150の電源オン/オフ操作や、後述する閾値を設定するための各種設定ボタンを用い、これらの操作情報は制御部151に伝えられる。
【0022】
次に、図2を用いて、偏光子113及び偏光子153の設置関係について説明する。偏光子113は、信号送信部112より出力される全方位光の赤外線信号等に変調されたシャッタ制御信号に、電場(及び磁場)の振動方向が規則的な光波となるようフィルタリングする偏光処理を施す。ここで、表示される左眼用画像と右眼用画像との画像のずれ方向、又は映像処理装置による映像の表示装置の設置面に対する水平方向を基準方向とする。偏光子113には、基準方向と平行な方向の電場の振動成分を吸収する偏光子を用いる。シャッタ制御信号として赤外線を用いる場合、映像処理装置100から送信されるシャッタ制御信号は、基準方向に垂直な振動成分を持つ偏光赤外線で出力されることになる。
【0023】
ここで、シャッタ式眼鏡150において、左眼用シャッタ152Lと右眼用シャッタ152Rのそれぞれの中心を結ぶ方向を眼幅方向とみなす。偏光子153には、偏光子113と同様の偏光子を用い、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に平行となる位置関係にあるとき、偏光子113を通過した偏光赤外線を最も透過するようにシャッタ式眼鏡に設置する。これにより、シャッタ式眼鏡150を掛けたユーザの眼幅方向が基準方向に平行、つまり顔が傾いていない場合、信号受信部154では、偏光子153で信号レベルが減衰しないシャッタ制御信号を受信することになる。基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有し、ユーザの顔が傾いている場合、図3で示すように、偏光子113と偏光子153の位置関係がずれることになる。これにより、シャッタ制御信号が偏光子153を透過する際の透過特性が変化する。基準方向に対する眼幅方向の傾き角が大きくなるに従い、シャッタ制御信号の透過率は下がり、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±90度のとき透過光の出力はゼロとなる。そのため、信号受信部154では、偏光子153を透過することで信号レベルが減衰したシャッタ制御信号を受信することになる。
【0024】
図4は、第1の実施例を実現する信号受信部154の内部構造を示すブロック図である。これを用いて信号受信部154内での処理について説明する。
【0025】
フォトセンサ部401は、偏光子153を介して入射されるシャッタ制御信号を、フォトダイオードを用いて電流信号に変換する。I/V変換部402は、フォトセンサ部401で得られた電流信号を電圧信号に変換する。信号調整部403は、I/V変換部402で得られた電圧信号を予め定める増幅率で増幅する。
【0026】
バンドパスフィルタ部404は、信号調整部403で増幅された信号のうち、有効周波数帯域外の無効周波数成分をフィルタリングして、ノイズ信号等を除去する。リモコン部121から出力される赤外線信号やその他のノイズ信号は、ここで除去される。検波部405は、バンドパスフィルタ部404でフィルタリングされた信号を復調する。検波部405で復調された信号Sig.1は、振幅増幅部406及び傾き検出部408に送られる。
【0027】
振幅増幅部406は、検波部405からの信号Sig.1を後段のA/D変換部407に入力した際に適した振幅レベルとなるよう、自動利得制御(AGC)をかけて振幅レベルを所定値まで増幅する。A/D変換部407は、振幅増幅部406からの信号Sig.2を1ビット量子化し、アナログ形式からデジタル形式に変換してデジタル信号Sig.3として出力する。検波部405からの信号Sig.1が振幅増幅部406及びA/D変換部407を経て生成されたデジタル信号Sig.3を、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとるための同期信号とする。なお、振幅増幅部406の増幅率には上限があるため、検波部405から出力された信号の振幅が過度に低い場合は、同期信号として有効な信号にならない。
【0028】
傾き検出部408は、検波部405からの信号Sig.1を、予め設定される閾値又は制御部151によって設定変更された閾値と比較し、1ビット量子化する。この信号を、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す、識別信号Sig.4とする。
【0029】
検波部405からの信号Sig.1の振幅が閾値を超えない期間の識別信号Sig.4は、デジタル値0とする。また、閾値を超える期間の識別信号Sig.4は、デジタル値1とする。この閾値は、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に対して傾いていることを検出するための基準値である。3D映像を視聴している場合、ユーザの立体酔い防止のために3D映像視聴を無効にする、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に合わせ閾値を予め設定する。例えば、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度以上になった場合に3D映像視聴を無効にする場合、偏光子113と偏光子153との関係が±10度ずれた条件下で得られる復調信号の振幅のピーク値を閾値として予め設定する。さらに例えば、操作部155をユーザが操作することで、閾値を調整できるような構成にしてもよい。
【0030】
制御信号出力部409は、3D映像視聴の有効/無効を決定するイネーブル信号Sig.5を生成し、A/D変換部407から出力された同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5をシャッタ制御信号として制御部151に出力する。イネーブル信号Sig.5は、A/D変換部407から出力された同期信号Sig.3と識別信号Sig.4との比較結果に基づいて生成される。同期信号Sig.3が、1と0の値を周期的に繰り返す周期信号であり、且つ同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致する場合には、3D映像視聴が有効であると判断し、イネーブル信号Sig.5としてデジタル値1(3D視聴有効)を出力する。同期信号Sig.3が周期信号でない場合、又は同期信号Sig.3が周期信号であっても同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致しない場合には、イネーブル信号Sig.5としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。制御部151は、シャッタ制御信号である同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5に基づいて、左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rの制御を行う。
【0031】
図5は、信号送信部112から出力されたシャッタ制御信号に対し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、信号受信部154で生成される同期信号Sig.3、識別信号Sig.4及びイネーブル信号Sig.5を表したイメージ図である。傾き検出部408で用いられる閾値が、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度ずれた条件下での振幅のピーク値に予め設定されており、基準方向から±10度以上眼幅方向が傾いた時は3D視聴が無効になるものとする。
【0032】
ユーザの顔が傾いていない、つまり基準方向に対し眼幅方向の傾き角が0度の図5(A)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406にて所定値まで増幅される(Sig.2)。傾き検出部408にて、増幅された信号Sig.2は閾値以上の振幅を持つ。よって、信号Sig.2をデジタル信号に変換して、A/D変換部407から出力される同期信号Sig.3と、傾き検出部408から出力される識別信号Sig.4とは一致する。同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致し、且つ同期信号Sig.3が、1と0の値を周期的に繰り返す周期信号である場合には、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.5はデジタル値1(3D視聴有効)となる。制御信号出力部409は、同期信号Sig.3及びイネーブル信号Sig.5を出力する。制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.3を用いて、3D映像視聴させるように、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれの、遮光状態又は非遮光状態の制御を行う。
【0033】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が45度の図5(B)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406にて所定値まで増幅され(Sig.2)、同期信号Sig.3は周期信号として得られる。しかし傾き検出部408で用いられる閾値より小さい振幅を有するので、識別信号Sig.4は周期信号にならない。よって、同期信号Sig.3が周期信号であっても、同期信号Sig.3と識別信号Sig.4とが一致しないので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.5はデジタル値0(3D視聴無効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.3を用いて、3D映像視聴を無効化し、2D映像の視聴が可能なようにシャッタ部152の制御を行う。
【0034】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度の図5(C)の場合、検波部405から出力される信号Sig.1は、振幅増幅部406での増幅可能ライン以下の振幅しか有していないため、同期信号Sig.3のデジタル値は常に0の値となる。また、傾き検出部408で用いられる閾値より小さい振幅を有するので、識別信号Sig.4は周期信号とならない。よって、同期信号Sig.3及び識別信号Sig.4が一致するが、同期信号Sig.3が周期信号でないため、イネーブル信号Sig.5はデジタル値0(3D視聴無効)となる。このとき、同期信号Sig.3が周期信号でないため、シャッタ部152の制御を行うことが出来ない。
【0035】
次に、図6のフローチャートを用いて、制御部151及びシャッタ部152の動作について説明する。
【0036】
ステップS601では、シャッタ式眼鏡が起動しているか識別する。起動していない場合は処理を終了し、起動している場合はステップS602に進む。ステップS602では、制御部151が信号受信部154の制御信号出力部409から受信した同期信号Sig.3が、周期信号であるか否かを識別する。周期信号である場合はステップS603に進み、周期信号でない場合はステップS606に進む。ステップS603では、制御部151が、制御信号出力部409からのイネーブル信号Sig.5を識別する。イネーブル信号Sig.5の示すデジタル値が1の場合はステップS604に進み、0の場合はステップS605に進む。
【0037】
ステップS604に進むことは、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が、例えば±10度未満で、3D映像視聴する姿勢ならびに使用条件が適当であるので、3D映像視聴する姿勢として望ましい状態であることを示す。ステップS605に進むことは、使用条件は適当であるが、基準方向に対して眼幅方向が±10度以上傾いているために、3D映像視聴する姿勢として望ましくない状態であることを示す。ステップS606に進むことは、使用条件に問題があるか、または3D映像視聴する姿勢として、シャッタ制御信号が偏光子153を十分に透過できないほど、基準方向に対して眼幅方向が、例えば±45度以上で、過度に大きく傾いていることを示す。
【0038】
ステップS604では、図7(A)に示すように、受信した同期信号Sig.3を元に、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rに対し、3D映像視聴を実現するためのシャッタ制御を行う。左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用画像の表示時には左眼用シャッタ152Lを非遮光状態に、右眼用シャッタ152Rを遮光状態に切り替える。また、右眼用画像の表示時には左眼用シャッタ152Lを遮光状態に、右眼用シャッタ152Rを非遮光状態に切り替える。これにより、ユーザは3D映像視聴が可能になる。
【0039】
ステップS605では、図7(B)に示すように、受信した同期信号Sig.3を元に、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rに対し、2D映像視聴を実現するためのシャッタ制御を行う。例えば、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを遮光状態にし、他方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを非遮光状態にする。これにより、ユーザは2D映像視聴が可能になる。
【0040】
ステップS606では、図7(C)に示したように、制御部151がシャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを常時非遮光状態とする制御を行う。これにより、ユーザは左眼用画像及び右眼用画像からなる2重像の2D映像を見ることになる。所定期間(例えば10秒間)イネーブル信号Sig.5のデジタル値が0のまま変化しない場合は(ステップS607、Yes)、シャッタ式眼鏡の電源をオフする(ステップS608)。
【0041】
以上の構成によれば、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなくユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。また、基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有する場合に、2重像のない2D映像の視聴が可能となり、3D映像視聴を無効にすることができる。さらに、シャッタ式眼鏡に傾き検出のためのセンサを搭載する必要がないため、小型化や軽量化を実現できる。
【0042】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。図8は、実施例2を実現する映像視聴システムのブロック図である。実施例2は実施例1に対し、以下で説明する3つの構成の違いがある。1つ目は、図8に示すように、映像処理装置100からシャッタ式眼鏡150に信号を送信する信号送信部A801及び信号送信部B802を設ける。2つ目は、偏光子113と偏光子153との関係を、第1の実施例と異なり、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が垂直の場合に最も信号Aが透過し、基準方向に対してシャッタ式眼鏡の眼幅方向が平行の場合には信号Aを遮断する関係とする。3つ目は、信号受信部154の内部ブロックの構成を、図9で示すブロック構成に変更する。実施例2は、偏光子113を介さずに信号を送信する、信号送信部B802を追加することによって空間伝播減衰の影響を低減し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、シャッタ制御を切り替えることを特徴としている。
【0043】
映像処理装置100は、基準方向に対するシャッタ式眼鏡150の眼幅方向の傾き角を検出する信号として、信号送信部A801から信号Aを送信する。また、シャッタ式眼鏡150のシャッタ部152と表示画像の同期を行う信号として、信号送信部B802から信号Bを送信する。このとき、信号A及び信号Bは全方位光であり、信号Bは信号Aの振幅方向を反転させた信号である。信号Aは、偏光子113及び偏光子153を介して信号受信部154で受信される。信号送信部B802から送信される信号Bは、偏光子113を介さずに、偏光子153を介して信号受信部154で受信される。
【0044】
映像処理装置100からの信号A及び信号Bは、合成波として信号受信部154で受信される。基準方向に対してシャッタ式眼鏡150の眼幅方向が平行の場合、偏光子153は信号Aの成分を遮断する。そのため、信号受信部154が受信する信号は、信号送信部B802から送信された信号Bの成分のみとなる。基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて、偏光子153を透過する信号Aの透過率は変化し、眼幅方向の傾き角が±90度の時に信号Aの成分の透過率が最大となる。この透過率の変化に合わせて、信号受信部154で受信する信号Aの受信レベルが変化する。
【0045】
図9を用いて、実施例2を実現する信号受信部154の内部構造を説明する。信号受信部154は実施例1と異なり、増幅率制御部901及び同期信号検出部902を有する。増幅率制御部901は、検波部405からの信号を常にモニタし、同期信号検出部902及び傾き検出部408に入力する信号を増幅する制御を行う。このとき、検波部405からの信号における信号レベルの最大値が、同期信号検出部902及び傾き検出部408で対応可能なダイナミックレンジの最大値まで増幅されるよう、自動利得制御(AGC)を信号調整部403に対して行う。検波部405からの信号における信号レベルの最大値を基準に増幅を行うことで、信号送信部A801及び信号送信部B802から送信される信号における空間伝播減衰の影響を低減することができる。よって、同期信号検出部902及び傾き検出部408における、同期信号及び傾きの検出精度を向上させることができる。
【0046】
なお、信号調整部403での増幅率には上限がある。そのため、空間伝播による影響で信号A及び信号Bが共に減衰する場合、検波部405からの信号における信号レベルが、同期信号検出部902及び傾き検出部408で用いる閾値に達しない場合がある。これは、映像処理装置100とシャッタ式眼鏡150との関係が、信号受信条件を満たしていないことを意味する。
【0047】
同期信号検出部902は、検波部405から出力された信号を閾値Aと比較し、比較結果に基づいて1ビット量子化してデジタル信号として出力する。この信号は、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rの遮光状態又は非遮光状態を、表示画像に同期させて制御するための同期信号Sig.7となる。傾き検出部408では、検波部405から出力された信号を閾値Bと比較し、比較結果に基づいて1ビット量子化してデジタル信号として出力する。この信号は、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す、識別信号Sig.8である。閾値A及び閾値Bについては後述する。
【0048】
制御信号出力部409は、実施例1と同様に、3D映像視聴の有効/無効を決定するイネーブル信号Sig.9を生成する。イネーブル信号Sig.9は、同期信号検出部902から出力された同期信号Sig.7と、傾き検出部408から出力された識別信号Sig.8との比較結果に基づいて生成される。
【0049】
図10及び図11は、映像処理装置100から送信される信号A及び信号Bに対し、基準方向に対する眼幅方向の傾き角に応じて信号受信部154で生成される、同期信号Sig.7、識別信号Sig.8及びイネーブル信号Sig.9のイメージ図である。
【0050】
基準方向に対しシャッタ式眼鏡の眼幅方向の傾き角が0度の場合は図10(A)のように、信号Aの偏光子153に対する透過率はゼロであるため、偏光子153を透過した後は信号aのようになり、遮断される。一方信号Bは全方位光であるので、信号Bが偏光子153を透過した後は信号bのようになる。信号受信部154では、信号a及び信号bの合成波を受信する。受信した合成波は信号Bの成分のみであり、信号調整部403及びバンドパスフィルタ部404を経て、検波部405から出力される信号Sig.6は図10(A)に示す。
【0051】
検波部405からの信号Sig.6の振幅を、同期信号検出部902にて閾値Aと比較し、傾き検出部408にて閾値Bと比較する。閾値Aは、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとるための同期信号Sig.7を生成するために、制御部151によって予め定められる閾値である。閾値Bは、基準方向に対する眼幅方向の傾き角の検出し、3D映像視聴を可能にするかどうかを示す識別信号Sig.8を生成するために制御部151によって予め定められる閾値である。表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとることが出来ない場合、2重像のない2D映像又は3D映像の視聴は困難となる。そのため閾値Aは、同期信号Sig.7として周期信号を得やすくするため、比較的高く設定するのが望ましい。閾値Bは実施例1における閾値と同様、シャッタ式眼鏡の眼幅方向が基準方向に対して傾いていることを検出するための基準値である。例えば、基準方向に対する眼幅方向の傾き角が±10度以上になった場合に3D映像視聴を無効にする場合、偏光子113と偏光子153との関係が±10度ずれた条件下で得られる復調信号の振幅のピーク値を閾値Bとして予め設定できる。
【0052】
図10(A)において、信号Sig.6の下限レベルが閾値Aを下回っているので、同期信号検出部902で生成される、A/D変換されたSig.7は1と0の値を周期的に繰り返す周期信号となる。また同様に閾値Bも下回っているので、傾き検出部408で生成される、A/D変換されたSig.8も周期信号となる。実施例1と同様に、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とが一致し、且つ同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8が周期信号であるので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.9はデジタル値1(3D視聴有効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.7を用いて、3D映像視聴させるように、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rそれぞれの、遮光状態又は非遮光状態の制御を行う。
【0053】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が45度の場合は図10(B)のように、信号Aの受信成分の信号aは、傾き角0度の時の信号aに比べて振幅が大きくなる。信号Aの受信成分の信号aは、基準方向に対し眼幅方向の傾き角が大きくなると、振幅が大きくなっていき、信号の上限レベルが高くなっていく。このとき、検波部405からの信号Sig.6は図10(A)のときより、下限レベルが高くなっていく。信号Sig.6の下限レベルは、閾値Aを下回っているが、閾値Bを上回っているので、同期信号Sig.7は周期信号として得られるが、識別信号Sig.8は周期信号にならない。よって、同期信号Sig.7は周期信号であるが、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とが一致しないので、制御信号出力部409から出力されるイネーブル信号Sig.9はデジタル値0(3D視聴無効)となる。よって、制御部151はA/D変換部407から出力される同期信号Sig.7を用いて、3D映像視聴を無効化し、2D映像の視聴が可能なようにシャッタ部152の制御を行う。例えば、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを遮光状態にし、他方の画像表示時に左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを非遮光状態にする。
【0054】
基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度で、信号aの振幅が最大になるとき、図11(A)のようになる。信号Sig.6の下限レベルは、閾値A及び閾値Bを上回っているため、同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8は周期信号にならず常にデジタル値1となる。同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とは一致するが、同期信号Sig.7が周期信号でないので、イネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。
【0055】
また、空間伝播減衰の影響を受け、信号Sig.6の信号レベルが閾値A及び閾値Bを下回る場合、同期信号Sig.7及び識別信号Sig.8の周期信号にならず常にデジタル値0となる。このときも、同期信号Sig.7と識別信号Sig.8とは一致するが、同期信号Sig.7が周期信号でないので、イネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。図11(B)には、基準方向に対し眼幅方向の傾き角が90度の場合において、空間伝播減衰量が大きい場合の信号について示した。基準方向に対する眼幅方向の傾き角が何度であっても、信号aの振幅は信号bの振幅以下であるので、信号Sig.6の信号レベルが閾値A及び閾値Bを下回る。よって上記と同様にイネーブル信号Sig.9としてデジタル値0(3D視聴無効)を出力する。
【0056】
これらの図11(A)及び(B)の場合、同期信号Sig.7が周期信号でないため、表示される映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部152との同期をとることができない。このとき、シャッタ部152の左眼用シャッタ152L及び右眼用シャッタ152Rを開放状態にして、左眼用画像及び右眼用画像からなる2重像を見せる。所定期間イネーブル信号Sig.9が0のまま変化しない場合は、シャッタ式眼鏡の電源をオフしてもよい。
【0057】
実施例2における、制御部151及びシャッタ部152の動作については、実施例1と同様に図6のように行う。
【0058】
以上の構成によれば、シャッタ式眼鏡の消費電力を大幅に増加させることなくユーザの眼幅方向の傾きを検出し、ユーザの視聴姿勢に起因する立体酔いを抑制することが可能となる。また、基準方向に対して眼幅方向が傾き角を有する場合に、2重像のない2D映像の視聴が可能となり、3D映像視聴を無効にすることができる。さらに、信号送信部から送信された信号が信号受信部で受信されるまでに受ける空間伝播減衰の影響を低減でき、適切にシャッタ式眼鏡の傾きを検出して映像とシャッタ式眼鏡のシャッタ部との同期をとることができる。
【符号の説明】
【0059】
100 映像処理装置
112 信号送信部
113 偏光子
150 シャッタ式眼鏡
151 制御部
153 偏光子
154 信号受信部
408 傾き検出部
901 増幅率制御部
902 同期信号検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、
前記送信装置は、
前記シャッタ制御信号を送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段を有し、
前記シャッタ式眼鏡は、
前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、
前記送信装置における前記送信手段において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光手段及び前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、
有することを特徴とする映像視聴システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記左眼用画像の表示時には前記左眼用シャッタを非遮光状態にし、かつ前記右眼用シャッタを遮光状態にし、前記右眼用画像の表示時には前記右眼用シャッタを非遮光状態にし、かつ前記左眼用シャッタを遮光状態に切り替わるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを遮光状態にし、他方の画像表示時には前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを非遮光状態にするように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の映像視聴システム。
【請求項3】
前記受信手段で受信された前記シャッタ制御信号の振幅レベルを所定レベルまで増幅する増幅手段と、
前記増幅手段により振幅が増幅されたシャッタ制御信号をアナログ形式からデジタル形式に変換する変換手段とを有し、
前記制御手段は、前記変換手段によりデジタル形式に変換されたシャッタ制御信号を用いて、前記前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の映像視聴システム。
【請求項4】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、
前記送信装置は、
シャッタ制御信号を送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段と、
前記第1送信手段により送信される前記シャッタ制御信号の振幅方向を反転させた信号であるシャッタ制御信号を送信する第2送信手段とを有し、
前記シャッタ式眼鏡は、
前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と垂直に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、
前記送信装置における前記第1送信手段から前記第1偏光手段を介して送信された前記シャッタ制御信号と、前記第2送信手段から前記第1偏光手段を介さずに送信された前記シャッタ制御信号とが合成された信号を、前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した信号の信号レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする映像視聴システム。
【請求項5】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおけるシャッタ式眼鏡の制御方法において、
前記送信装置からシャッタ制御信号を送信する送信工程と、
前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光工程と、
前記第1偏光工程により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光工程と、
前記シャッタ式眼鏡が、前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光工程及び前記第2偏光工程を経て受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出工程と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御工程と、
を有することを特徴とするシャッタ式眼鏡の制御方法。
【請求項6】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおけるシャッタ式眼鏡の制御方法において、
前記送信装置からシャッタ制御信号を送信する第1送信工程と、
前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光工程と、
前記送信装置から、前記第1送信手段により送信される前記シャッタ制御信号の振幅方向を反転させた信号であるシャッタ制御信号を送信する第2送信工程と、
前記第1偏光工程により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と垂直に近いほど、透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光工程と、
前記シャッタ式眼鏡が、前記第1送信工程から前記第1偏光工程を介して送信された前記シャッタ制御信号と、前記第2送信工程から前記第1偏光工程を介さずに送信された前記シャッタ制御信号とが合成された信号を、前記第2偏光工程を介して受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出工程と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御工程と、
を有することを特徴とするシャッタ式眼鏡の制御方法。
【請求項1】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、
前記送信装置は、
前記シャッタ制御信号を送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段を有し、
前記シャッタ式眼鏡は、
前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、
前記送信装置における前記送信手段において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光手段及び前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、
有することを特徴とする映像視聴システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記左眼用画像の表示時には前記左眼用シャッタを非遮光状態にし、かつ前記右眼用シャッタを遮光状態にし、前記右眼用画像の表示時には前記右眼用シャッタを非遮光状態にし、かつ前記左眼用シャッタを遮光状態に切り替わるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、左眼用画像又は右眼用画像のいずれか一方の画像表示時に前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを遮光状態にし、他方の画像表示時には前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタを非遮光状態にするように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の映像視聴システム。
【請求項3】
前記受信手段で受信された前記シャッタ制御信号の振幅レベルを所定レベルまで増幅する増幅手段と、
前記増幅手段により振幅が増幅されたシャッタ制御信号をアナログ形式からデジタル形式に変換する変換手段とを有し、
前記制御手段は、前記変換手段によりデジタル形式に変換されたシャッタ制御信号を用いて、前記前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の映像視聴システム。
【請求項4】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおいて、
前記送信装置は、
シャッタ制御信号を送信する第1送信手段と、
前記第1送信手段によって送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光手段と、
前記第1送信手段により送信される前記シャッタ制御信号の振幅方向を反転させた信号であるシャッタ制御信号を送信する第2送信手段とを有し、
前記シャッタ式眼鏡は、
前記第1偏光手段により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と垂直に近いほど、高い透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光手段と、
前記送信装置における前記第1送信手段から前記第1偏光手段を介して送信された前記シャッタ制御信号と、前記第2送信手段から前記第1偏光手段を介さずに送信された前記シャッタ制御信号とが合成された信号を、前記第2偏光手段を介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した信号の信号レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出手段と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出手段において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする映像視聴システム。
【請求項5】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおけるシャッタ式眼鏡の制御方法において、
前記送信装置からシャッタ制御信号を送信する送信工程と、
前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光工程と、
前記第1偏光工程により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と平行に近いほど、透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光工程と、
前記シャッタ式眼鏡が、前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号を、前記第1偏光工程及び前記第2偏光工程を経て受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出工程と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御工程と、
を有することを特徴とするシャッタ式眼鏡の制御方法。
【請求項6】
表示部に立体視可能に表示される左眼用画像及び右眼用画像の切り替えのタイミングに合わせて、左眼用シャッタ及び右眼用シャッタが制御されるシャッタ式眼鏡と、前記シャッタ式眼鏡のシャッタの制御を行うためのシャッタ制御信号を送信する送信装置からなる映像視聴システムにおけるシャッタ式眼鏡の制御方法において、
前記送信装置からシャッタ制御信号を送信する第1送信工程と、
前記送信工程において送信された前記シャッタ制御信号に偏光処理を施す第1偏光工程と、
前記送信装置から、前記第1送信手段により送信される前記シャッタ制御信号の振幅方向を反転させた信号であるシャッタ制御信号を送信する第2送信工程と、
前記第1偏光工程により偏光処理が施された前記シャッタ制御信号を、前記シャッタ式眼鏡の眼幅方向が所定の基準方向と垂直に近いほど、透過率で透過するように偏光処理を施す第2偏光工程と、
前記シャッタ式眼鏡が、前記第1送信工程から前記第1偏光工程を介して送信された前記シャッタ制御信号と、前記第2送信工程から前記第1偏光工程を介さずに送信された前記シャッタ制御信号とが合成された信号を、前記第2偏光工程を介して受信する受信工程と、
前記受信工程により受信した前記シャッタ制御信号の振幅レベルに基づいて、前記シャッタ式眼鏡の傾きを検出する検出工程と、
前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値未満であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されるように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行い、前記シャッタ式眼鏡の傾きが所定の閾値以上であると前記検出工程において検出された場合に、前記表示部に表示される左眼用画像及び右眼用画像が立体視されないように、前記左眼用シャッタ及び右眼用シャッタの制御を行う制御工程と、
を有することを特徴とするシャッタ式眼鏡の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−97346(P2011−97346A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249091(P2009−249091)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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