説明

暖房便座およびそれを備えた温水洗浄装置

【課題】サーモスタットや、温度ヒューズなどを用いた通電遮断の構成を瞬間加熱型の暖房便座の安全温度制御に用いると、これらが機械的な動作をするものなので高速応答性に限界がある。
【解決手段】便座2と、前記便座2を使用する前に人体を検知する人体検知手段8と、前記便座の着座部6を加熱する加熱手段11と、前記人体検知手段8によって人体検知すると前記加熱手段11を加熱する加熱駆動手段12と、前記便座の着座部6の温度を検知する抵抗型の温度検知手段14と、前記温度検知手段14の検知温度に基づいて前記加熱手段11への通電を遮断する通電遮断手段16とを備え、前記加熱手段11と前記通電遮断手段16と前記加熱駆動手段11とは直列に接続したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機能を有する暖房便座およびそれを備える温水洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来により、使用者が冷え切った便座に着座する際の不快感を防止するために暖房機能を備えた便座装置がある(例えば、特許文献1参照)。図7は特許文献1の暖房便座の一部切欠き上面図であり、図8は図7のJ−J線断面図である。
【0003】
図7および図8に示すように、暖房便座900は、合成樹脂からなる上ケース926と下ケース927とを備える。上ケース926と下ケース927とは互いに接続されている。上ケース926および下ケース927の内部には、輻射反射板929、ランプヒータ930、サーモスタット931、温度ヒューズ932およびサーミスタ33が設けられている。
【0004】
ここで、輻射反射板929は、下ケース927の形状に沿うように形成されている。輻射反射板929上にはランプヒータ930が配置されている。ランプヒータ930の所定の部分を挟んで、サーモスタット931および温度ヒューズ932が輻射反射板929に取り付けられている。
【0005】
図8に示すように、上ケース926の内面でかつランプヒータ930と対向する箇所にサーミスタ933が取り付けられている。
【0006】
この暖房便座900においては、図示しない赤外線センサが使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、赤外線センサの検知信号に基づいてランプヒータ930が駆動される。それにより、ランプヒータ930からの輻射エネルギーが直接的にまたは輻射反射板929を介して間接的に上ケース926に与えられ、上ケース926が発熱する。
【0007】
上記構成により、瞬時に便座を暖めることができる。通常の便座暖房する際の便座温度の調節は、サーミスタ33によって便座温度をコントロールしている。そして高速に昇温するランプヒータを用いているため、温度過昇時にはサーモスタット931によるランプヒータ930への通電遮断、そして、温度ヒューズ932によるランプヒータ930への通電停止という安全構成がなされている。
【特許文献1】特開2000−14598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高速に昇温するランプヒータを加熱体として便座暖房する構成であるので、高速に加熱駆動する制御部や通電ゲートに生じた何らかの異常により加熱手段の制御が不能となると昇温速度が速いが故に、危険温度帯に入るのも早くなる。しかしながら、従来の安全構成で用いられる一般的なサーモスタットや温度ヒューズは機械的な通電遮断を行うものであって、特にサーモスタットについては熱応答するバイメタル部分、温度ヒューズの感熱部分はある程度の熱容量をもち、ここへ充分に伝熱された後に通電遮断される構成であるので、これらの構成が応答速度に影響する。
【0009】
例えば、ランプヒータ930をトライアック制御する場合、トライアックの異常などのなんらかの事情により故障すると、ランプヒータ930への通電が継続されてしい、便座
の暖房温度は、ヒータ加熱能力が大きいが故に適温状態からすぐに温度過昇状態になってしまう。サーモスタットや温度ヒューズによる通電遮断による応答速度をより早くして温度過昇の防止をするには限界がある。
【0010】
さらに、安全構成のためのこれらの汎用スイッチのみを用いて、ヒータの個別配設状況や温度設定を任意にきめ細かくは設定しづらい。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、高速に温度上昇するヒータを備えた暖房便座において、その加熱制御の安全構成をより、応答性よく、制御性のよい構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の暖房便座は、便座と、前記便座を使用する前に人体を検知する人体検知手段と、前記便座の着座部を加熱する加熱手段と、前記人体検知手段によって人体検知すると前記加熱手段を加熱する加熱駆動手段と、前記便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて前記加熱手段への通電を遮断する通電遮断手段とを備え、前記加熱手段と前記通電遮断手段と前記加熱駆動手段とを直列に設けたことを特徴とするものである。
【0013】
これによって、トイレ室へ入室した人を体検出すると加熱駆動手段が加熱手段の加熱を行い、即座に昇温して便座暖房する暖房便座において、加熱手段と加熱駆動手段と通電遮断手段とを直列に設けたので、通電遮断手段が便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段の検知温度に基づいて加熱手段への通電を遮断するので、より高速に応答して確実に温度過昇に対する安全制御が可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の暖房便座は、高速に昇温する加熱手段を便座に備えて暖房する暖房便座の加熱手段の温度過昇時の通電遮断をより高速化することを実現したもので、異常な温度過昇を迅速に確実に防止して安全制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、便座と、前記便座を使用する前に人体を検知する人体検知手段と、前記便座の着座部を加熱する加熱手段と、前記人体検知手段によって人体検知すると前記加熱手段を加熱する加熱駆動手段と、前記便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて前記加熱手段への通電を遮断する通電遮断手段とを備え、前記加熱手段と前記通電遮断手段と前記加熱駆動手段とを直列に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
これによって、トイレ室へ入室した人を体検出すると加熱駆動手段が加熱手段の加熱を行い、即座に昇温して便座暖房する暖房便座において、加熱駆動手段とは別に設けた電気回路である通電遮断手段が便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段の検知温度に基づいて加熱駆動手段の加熱手段の通電を遮断するので、より高速に応答して確実に温度過昇を防止する安全制御が可能である。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、サーモスタットを備え、加熱手段が所定温度以上になると前記サーモスタットによる加熱手段の通電遮断を行うものである。
【0018】
これによって、通電遮断手段と別に備えたサーモスタットが加熱手段の異常温度上昇に対して、第1の発明と合わせて2重に安全制御することが可能となり、より安全性を確保することができる。
【0019】
第3の発明は、第2の発明において、サーモスタットは、加熱手段の発熱部に対向して設けたものである。
【0020】
サーモスタットの配設は加熱手段の発熱部に対向するのでなく、着座部に接して設けることも可能である。しかし、高速昇温する加熱手段なので、加熱手段の発熱部に対向する構成としてサーモスタットが加熱手段の発熱部の温度に対して動作するようにしているので、通電遮断が必要な事態、すなわち高速に昇温する場合は効果的に高速応答できる。
【0021】
第4の発明は、第1から3のいずれかの発明において、抵抗型の温度検知手段は、便座の着座部に対応する温度を検知するように便座に設けたものである。
【0022】
これによって、 温度検知手段を着座部の温度、すなわち人体が直接接触する箇所の温度を検知するように設けたので、より着座部の温度を検知して応答速度をよくすることができる。
【0023】
第5の発明は、第1から4のいずれかの発明において、加熱手段は、人体検知手段が人体を検知すると1ケルビン/秒以上で昇温するように加熱駆動手段により駆動されるものである。
【0024】
これによって加熱手段は、トイレ室へ入室した人体や着座しようとトイレ装置に接近する人体、すなわち着座前の人体を検知してから、低温の待機温度で保持されていた便座温度を加熱駆動手段の加熱手段への通電を行って加温しても、十分に人体が着座した時の便座の温度が上昇する。
【0025】
第6の発明は、第1から6のいずれかの発明の暖房便座と、温水で人体洗浄を行う人体洗浄手段を備え、温水を生成する熱交換器を有する温水器を備え、前記温水器は、加熱駆動手段による加熱手段の駆動時には温水器の熱交換器を駆動しないことを特徴とした温水洗浄装置としたものである。
【0026】
これによって、温水洗浄装置において、最も電力を使用とする洗浄水の温水器と高速昇温する便座暖房のための加熱手段との、電力の有効配分ができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
図1に、温水洗浄装置を設置したトイレ室の概要を示す。図2には、温水洗浄装置の暖房便座に関する制御機能ブロック図を示す。図3には、便座に組み込まれた加熱手段の構成を説明する図を示す。図4には、本発明の回路構成図、図5には、本発明の通電遮断手段のタイムチャート、図6には、本発明の通電遮断後のタイムチャートを示す。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態の暖房便座およびそれを備えた温水洗浄装置を示す外観斜視図である。図11に示すように温水洗浄装置1は、暖房便座2を備えて便器3に載置されて、トイレ室内に設置されている。
【0030】
温水洗浄装置1は、便器3上に載置された便装置本体4と、遠隔操作部5、便座部6、蓋部7、および入室検知センサ8より構成される。遠隔操作部5は、通常便座部6に使用者が着座した場合または立位で便器3を使用する場合に操作しやすい場所、例えば壁面へ使用者によって貼付固定される。入室検知センサ8は、便座装置本体4と遠隔操作部5とは別体に設けて、便座装置本体4の例えば袖部など、各種設定スイッチ等と同じく設けた
受診部へ無線で人体の入室検知信号を送信する構成となっている。これは、それぞれのトイレ室の状況により、もっとも入室を確実に検知可能な場所に貼付固定される。
【0031】
便座装置本体4には、便座部6および蓋部7か刑兵自在に取り付けられている。さらに便座装置本体4には、栓浄水供給機構および着座センサ9が設けられ、温水洗浄装置1の各種機能を制御する制御部10を内蔵している。
【0032】
便座装置本体の栓浄水供給機構は、図示してないが、水道廃刊に接続されており、便器3ないに栓浄水を供給する着座センサ9は、たとえば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ9は人体から反射された赤外線を検出した場合に便座部6の上に使用者が存在することを検知する。また、後に詳述するが、便座部6には暖房するための加熱手段として1本のランプヒータ11を内蔵している。このランプヒータ11の定格電力は1200Wである。本実施の形態では、着座部6の露出面積を1200cmおよび板圧1mmとなるようにアルミニウムを用いて構成され、その表面には表面化粧層を塗布している(図示せず)。この構成で、ランプヒータ11から発生する輻射エネルギーのすべてが着座部6へ与えられるとすると、約4ケルビン/秒の昇温速度で加熱されることになる。これであれば、ランプヒータ11の加熱前は5℃程度であっても、約6秒(人がトイレ室へ入室して着座するまでの時間として発明者らが調査した時間)で、約29度まで温度を上げることができる。しかし、輻射エネルギーの放出ロスを考慮し、また、通常室温が高い場合や保温して待機状態であった場合なども含め、高速に昇温させるヒータ能力は1ケルビン/秒以上の能力が必要であると考えられる。
【0033】
図2に本発明の制御機能ブロック図を示す。温水洗浄装置1の便座装置本体4部内には、その各種機能を制御する制御部10、便座部6に設けた加熱手段であるランプヒータ11、ランプヒータ11の加熱駆動を行う加熱駆動手段であるヒータ駆動部12、便座部6の着座部13温度を検知するため便座内部から貼り付けられた抵抗型温度検知手段であるサーミスタ14、このサーミスタ14で検知された着座部温度情報は温度測定部15へ送られこの信号をもとにランプヒータ11の通電を遮断する通電遮断手段であるヒータ遮断部16、ランプヒータ11の輻射温度を検知してランプヒータへの通電を遮断するサーモスタット17を備えている。制御部10は温水洗浄機能も制御し、人体洗浄ノズルの駆動や、洗浄水の噴出、クリーニング等も行う(図示せず)。温水器50は洗浄水を過熱する熱交換器51を有して、人体洗浄用の温水を生成する。
【0034】
通常は、入室検知センサ8からの入室信号を受けると、ヒータ駆動部12によりランプヒータ11の加熱駆動を開始またはそれまでの待機状態の低電力投入状態から高速昇温させるために高ワットの電力投入へ移行し、使用者が着座するまでの間で便座着座部温度を適温にする。適温になってから、また、待機温度が設定された場合などは、サーミスタ14の検知した着座部6温度を温度測定部から制御部10へ出力し、ヒータ駆動部12を制御して、着座部6温度を制御する。温度測定部15の温度情報を基に着座部が異常昇温するとヒータ遮断部16によりランプヒータ11への通電を遮断する。また、ランプヒータ11の輻射温度を検知してヒータへの通電を遮断するようにサーモスタット17も備えている。
【0035】
図3は、便座部の構成の詳細を示す。便座部6は上枠体6a(図示せず)と下枠体6bとで内部を空洞にして構成され、この空洞部にランプヒータ11をはじめとする便座暖房にかかわる部材を内蔵する。18は蓋部7とともに、開閉自在に構成された開動構成に取り付けられるヒンジ部である。1200Wの1本ランプヒータ11を直管部と曲管部とを組み合わせて、便座形状に沿わせて周設する。このとき、便座部6の後部にランプヒータ11の端部が重合するようにして周回させ、下枠体6bには輻射光を偏光して着座部6へ反射する反射板6cを設けて、この反射板6cにランプヒータ11を固定して配設する。
【0036】
サーモスタット17a、17bは、ランプヒータ11と対向させて同じく反射板6c上に固定されている。なお、復帰型のサーモスタット17aは、やや低い温度で遮断作動し、非復帰型のサーモスタット17bは復帰型のサーモスタット17aより高い温度で遮断作動する作動温度にすることによって、より高い多重安全性および長期間、安全かつ快適に使用することができる。ランプヒータ11と、サーモスタット17a、17bは直列に接続され、これらの部材への電力供給はヒンジ18部の便座装置本体4部へ通じる電装ケーブルを介して行われるよう構成される。
【0037】
このとき、温水器50は瞬間式の加熱手段であり、これも1200W程度の高ワット数の熱交換器51であるため、一般家庭のトイレ室電源コンセントの定格ワット数を考慮すると便座暖房の高速昇温時に、同時に動作させることはできない。しかし、トイレ室へ人体が入室して人体検知手段8で検知したデータを受信してランプヒータ11を加熱駆動させ、このとき、温水器50の熱交換器51への加熱を制限して、便座の着座部6が一度十分に温まれば保温すればよいので、人体が着座し、ランプヒータ11への供給電力は待機または保温用の低電力例えば50Wへ切替えた後に温水器50の熱交換器51を駆動可能にするように制御して、最適な電力配分を行う。
【0038】
図4に本実施の形態の回路構成を示す。電源部AC100Vの電力はSW電源にて15Vへ変換し制御部10へ供給される。ランプヒータ11とヒータ遮断部16、ヒータ駆動部12は直列に接続される。ヒータ遮断部16は、まず通電を機械的に切断するリレー19、第1のコンパレータ20、第2のコンパレータ21、トランジスタ22a、22b、抵抗体23a〜23fを備える。ヒータ駆動部12にはトライアック24を有する。
【0039】
上記構成で便座暖房の温度制御については、次のように動作する。図5に本実施の形態の制御動作のタイムチャートを示す。通常動作からヒータ遮断動作にいたるまでの状態を説明する。また、図6はヒータへの通電を遮断した後の復帰動作のタイムチャートである。両チャートともに、上からサーミスタ14が検知し温度測定部15で測定された着座部温度で(便座表面温度と対応するものである)、Tは設定された便座温度に基づく適温、T+t2は適温制限上限値、T−t1は低温制御下限値である。T2はヒータ遮断部を駆動する閾値温度である。T3はランプヒータ11への通電を復帰させる復帰温度である。これら便座温度の変化に対応するトライアック24のOn−Off、リレー19のOn−Off、ランプヒータ11の通電On−Offを示す。左からAの区間は通常動作で、S1のタイミングでトライアック24の故障によりランプヒータ11の駆動制御が不能になり適温範囲を逸脱する。Bの区間で便座温度が上昇し、S2のタイミングでヒータ遮断温度T2となったことをサーミスタ14が検知し、温度測定部から信号を受けてヒータ遮断部16によりランプヒータ11への通電が遮断される。そしてCの区間で便座表面温度は少しずつ低下してくる。便座表面温度が適温範囲より低温に設定されたT3まで低下するとS3のタイミングでランプヒータ11への通電を復帰させ、Dの区間で便座表面を適温制御範囲まで上昇させる。S4のタイミングでは、トライアックの交換などを行った結果、トライアック24が正常となって、通常の温度制御を再開する。
【0040】
回路構成で、この動作を説明すると、通常、正常動作の場合は便座の表面温度を使用者が予め設定している適温Tになるように、サーミスタ14によりT−t1(適温制御下限値)以下の電圧が制御部10のCPUに入力されるとヒータ駆動部12のトライアック24のゲート部(トランジスタ22a)を介して、ランプヒータ11を通電させる。
【0041】
また、サーミスタ14 によりT+t2(適温制御上限値)以上の電圧が制御部10のCPUに入力されるとヒータ駆動部12のトライアック24のゲート部(トランジスタ22a)を介してランプヒータ11を遮断させる。この状態が繰り返させることにより適温
を保つようにする。
【0042】
しかし、正常に制御している際にトライアック24及びトライアック24のゲート部(トランジスタ22a)が通電故障することにより、ヒータ駆動部12が異常になると便座の表面温度が上昇していく。
【0043】
そこで予め、ヒータ遮断制御部の16抵抗23a及び23bにより便座表面温度が火傷しない温度T2(遮断リレー動作温度)相当の電圧を印加させているコンパレータ20の入力電圧5番端子よりも、サーミスタ14より第1のコンパレータ20の入力電圧6番端子にT2相当の電圧以上の入力があると第2のコンパレータ21の1番端子よりリレー19のコイルを通電するトランジスタQ2をOFFにする。
【0044】
すると、リレー19のコイルは通電されなくなり、リレー19をOFFにしてランプヒータ11の通電を止めることができ、便座の表面温度の過昇を防止することができる。
【0045】
図6の通電遮断した後のタイムチャートでは、一度、第1のコンパレータ20の入力電圧5番端子よりも、サーミスタ14より第1のコンパレータ20の入力電圧6番端子にT2相当の電圧以上の入力があると、第2のコンパレータ21の1番端子よりリレー19のコイルを通電するトランジスタ22bをOFFにするのだが、その状態は第2のコンパレータ21により保持されて、予め抵抗23c及び23dにより設定されている電圧(復帰リレー動作温度T3・・・Tよりもはるかに低い温度)よりも、サーミスタ14と23e及び23fにより変化する電圧が低くなると再度、リレー19を動作させることができる。
【0046】
この回路構成にすることにより、23e及び23fを予め任意に設定することにより便座の表面温度が下がった時にリレー19を復帰させることもできかつ23e及び23fを実際にありえないにくい温度(トイレルームにはありえない周囲温度)にすることにより、二度と復帰できないようにすることもできる。一般的な復帰型サーモスタットなどで特定温度での遮断、復帰動作をさせるとチャタリングを生じたりして実際のヒータ駆動において支障のある駆動制御をする可能性もあり、この構成をサーモスタットで実現しようとすると汎用的な部品では困難で、量産には向かないが、本実施の形態の安全制御は十分に支障の生じない動作設定ができる構成とできる。
【0047】
上記回路構成によって、きめ細かい動作設定が容易にできて任意の温度に対する多様な制御が実現しやすい。高速昇温制御時も、通常待機状態での保温中の制御時も、何らかの異常によりランプヒータ11へ通電が継続されてしまうと、サーミスタ14による検知温度に基づいてヒータ遮断部16のリレー19による通電遮断を行い、温度過昇を確実に防止できる。
【0048】
本実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0049】
トイレ室へ入室した人を体検出すると加熱駆動手段であるヒータ駆動部12が加熱手段であるランプヒータ11の加熱を行い、1ケルビン/秒以上の昇温速度で音即座に昇温して便座暖房する暖房便座において、通電遮断手段であるヒータ遮断部16が便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段であるサーミスタ14の検知温度に基づいてランプヒータ11の通電を遮断するので、より高速に応答して確実に温度過昇に対する安全制御が可能である。とくに、瞬間的に便座を加熱する加熱手段としては本実施の形態で示したランプヒータなどが挙げられるが、コードヒータ、面状ヒータなど他のヒータでもよく、これに限るものではない。本実施の形態で、抵抗型の温度検知手段であるサーミスタ14の検知温度に基づく電気回路的な通電遮断手段であるので、たとえば熱容量がサーモス
タットや温度ヒューズなどに比べて小さく、サーモスタットや温度ヒューズのように一定温度による動作をするものでなく、検知温度帯域を幅広く有して応答がよい温度検知手段を用いると、様々な加熱駆動制御が任意に設定できて、駆動構成の設計自由度が高まる。例えば、状況により事前にユーザーに音の発生やリモコン装置の表示で報知するような構成とすることも可能である。
【0050】
また、抵抗型の温度検知手段としてサーミスタ14を備え、電気回路的な通電遮断構成なので、温度の異常上昇を上昇勾配の変化から予測することも可能で、勾配の変化傾向と変化点より、通電遮断するタイミングや、通電復帰するタイミングを任意に決定できて非所望の動作設定に自由度がある。
【0051】
また、サーモスタット17を備えて、加熱手段であるランプヒータ11が所定温度以上になるとランプヒータ11の通電遮断を行うので、通電遮断手段16に加え、それとは別に備えたサーモスタット17の通電遮断とともに2重に安全制御することになりより安全性を確保することができる。本実施の形態では、サーモスタットは復帰型17a、非復帰型17bを設けており、合わせて3重の多重安全構成となる。
【0052】
また、サーモスタット17は、ランプヒータ17の発熱部に対向して設けたものである。サーモスタット17の配設はランプヒータ17の発熱部に対向するのでなく、着座部に接して設けることも可能である。しかし、高速昇温する加熱手段の発熱部の温度に対してサーモスタットが動作するので、より効果的に高速応答できる。これはヒータがランプヒータでない構成でも、有効である。
【0053】
抵抗型の温度検知手段としてサーミスタ14を用い、これを便座の着座部温度に対応する温度を検知するように便座に設けたものである。具体的には、着座時人体の接触頻度がもっとも高いと領域の便座内部の空洞部の着座部6面の内面側に設けるものである。これによって、温度検知手段を着座部6の温度、すなわち人体が直接接触する箇所の温度を検知するように設けたので、より着座部6の温度に対しての応答速度をよくすることができる。
【0054】
ランプヒータ11は、人体検知手段8が人体を検知すると1ケルビン/秒以上で昇温するように加熱駆動手段12により駆動されるものである。これによって、低温で保温された待機状態から人体を検知してから加熱駆動手段12により加熱手段11への通電を行っても着座して冷たさを感じない程度の十分な便座温度に上昇させることができる。これによって、トイレ室へ入室してから着座するまでの時間で高速に便座温度を上昇させることが可能となる。
【0055】
また、暖房便座と、温水で人体洗浄を行う人体洗浄手段を備え、温水を生成する熱交換器51を有する温水器50を備え、前記温水器50は、加熱駆動手段12による加熱手段11の駆動時には温水器50の熱交換器52を駆動しないことを特徴とした温水洗浄装置1としたものである。
【0056】
これによって、温水洗浄装置1において、温水洗浄装置の各種機能の中で最も電力を使用とする洗浄水の温水器生成機能と高速昇温する便座暖房機能との電力の有効配分ができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、高速昇温型の発熱体の温度過昇に対する安全制御について、より高速に確実に、さらに任意の制御が可能となるので、従来の機械的な通電遮断構成と併用して、多重な安全構成を実現することができるので、暖房便座に限らず、他の加熱体、例えば電気暖
房器具、電気調理器具などの制御に広く利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る暖房便座を備えた温水洗浄装置を設置したトイレ室の概要を示す外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態に係る暖房便座を備えた温水洗浄装置に関する制御機能ブロック図
【図3】本発明の実施の形態の便座部の構造の詳細を説明するための図
【図4】本発明の実施の形態に係る実施例における便座装置の回路構成図
【図5】本発明の実施の形態での通電遮断動作のタイムチャート
【図6】本発明の実施の形態での通電遮断動作後のタイムチャート
【図7】従来の暖房便座の一部切欠き上面図
【図8】従来の暖房便座のJ−J線断面図
【符号の説明】
【0059】
1 温水洗浄装置
2 暖房便座
8 入室検知センサ
9 着座センサ
10 制御部
11 ランプヒータ(加熱手段)
12 ヒータ駆動部(加熱駆動手段)
13 着座部
14 サーミスタ(温度検知手段)
16 ヒータ遮断部(通電遮断手段)
17 サーモスタット
50 温水器
51 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、前記便座を使用する前に人体を検知する人体検知手段と、前記便座の着座部を加熱する加熱手段と、前記人体検知手段によって人体検知すると前記加熱手段を加熱する加熱駆動手段と、前記便座の着座部の温度を検知する抵抗型の温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて前記加熱手段への通電を遮断する通電遮断手段とを備え、
前記加熱手段と前記通電遮断手段と前記加熱駆動手段とを直列に設けたことを特徴とする暖房便座。
【請求項2】
サーモスタットを備え、加熱手段が所定温度以上になると前記サーモスタットによる加熱手段の通電遮断を行う請求項1記載の暖房便座。
【請求項3】
サーモスタットは、加熱手段の発熱部に対向して設けた請求項2記載の暖房便座。
【請求項4】
抵抗型の温度検知手段は、便座の着座部に対応する温度を検知するように便座に設けた請求項1から3のいずれか1項記載の暖房便座。
【請求項5】
加熱手段は、人体検知手段が人体を検知すると1ケルビン/秒以上で昇温するように加熱駆動手段により駆動される請求項1から4のいずれか1項記載の暖房便座。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の暖房便座と、温水で人体洗浄を行う人体洗浄手段を備え、温水を生成する熱交換器を有する温水器を備え、前記温水器は、加熱駆動手段による加熱手段の駆動時には温水器の熱交換器を駆動しないことを特徴とした温水洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−110089(P2008−110089A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295153(P2006−295153)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】