説明

書籍

【課題】本発明は読書する者が各頁を順番に捲るだけでなく、選択頁とそれに関係付けされた複数の回答頁に基づき読者の選択作業により次に捲る頁が異なることになり、毎回異なった順番のストーリー展開が楽しむことができる書籍の提供に関するものである。
【解決手段】書籍の左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられ、前記選択頁より後順となる頁の紙葉には指示手段に対応する回答手段を設けた複数の回答頁を有する書籍であって、読者が、設問頁の設問により選択した選択項目、指示手段及び回答手段により捲られた回答頁を容易に開くことができることを特徴とした書籍。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択頁とそれに関係付けされた複数の回答頁に基づき毎回違った頁の進行が楽しめる書籍である。
【背景技術】
【0002】
絵本を構成する紙葉に穴を開け、この穴を中心として物語が進行するようにした絵本に関する技術が開示されている。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案公告昭59−42079公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、各紙葉に描かれた絵と穴に基づいて、絵本が進行していくものである。
しかしながら、穴を通じて次の頁に行くという趣向性はあるものの、ストーリーの進行としては、頁を順に追って進行するものであり、読者は毎回同じストーリーを読むことになり、やがて飽きが生じることになる。
【0005】
本発明では、選択頁とそれに関係付けされた複数の回答頁に基づき読者にとってその時々の選択作業により、次に捲る頁が異なることになり、毎回違うストーリー展開を楽しむことができることを目的とした書籍の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明では、表表紙、裏表紙及び前記表紙間に複数の紙葉を備えた書籍であって、前記書籍には左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、前記各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられており、前記選択頁より後順となる頁には複数の回答頁を有し、前記回答頁には前記指示手段に対応する回答手段を各紙葉の一方端部に設けられており、
前記選択頁の幅方向の長さは前記複数の回答頁の幅方向の長さよりも短く、かつ前記複数の回答頁間においては、前順となる回答頁の紙葉の幅方向の長さを後順となる回答頁の紙葉の幅方向の長さより短くすることにより、一方端部に段差部を設けることで、前記選択頁の紙葉を開いた状態において、前記各回答手段を視認できるようにしたことを特徴とした書籍を提供するものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明では、表表紙、裏表紙及び前記表紙間に複数の紙葉を備えた書籍であって、前記書籍には左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、前記各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられており、前記選択頁より後順となる頁には複数の回答頁を有し、前記回答頁には前記指示手段に対応する回答手段が設けられており、
前記回答手段が、前記選択頁の後順となる頁の紙葉から各回答頁の紙葉の1つ上方の紙葉まで貫通する孔とすることを特徴とした書籍を提供するものである。
【0008】
更に、請求項3に係る発明では、請求項1、または請求項2に記載の書籍において、前記指示手段が、前記複数の選択項目を色分けし、前記選択項目に関係づけされた前記各回答手段を前記選択項目で採用した色と一致するよう彩色すること特徴とする書籍を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、書籍の左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられ、前記選択頁より後順となる頁の紙葉には指示手段に対応する回答手段を設けた複数の回答頁を有する書籍であって、読者が、設問頁の設問により選択した選択項目、指示手段及び回答手段により捲られた回答頁を容易に開くことができることとなる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本件書籍の斜視図を示した説明図である。
【図2】図2は本件書籍第一実施例において、選択頁を開いた図を示した説明図である。
【図3】図2は本件書籍第一実施例において、回答頁1を開いた図を示した説明図である。
【図4】図4は本件書籍第一実施例において、回答頁2を開いた図を示した説明図である。
【図5】図5は本件書籍第二実施例において、選択頁を開いた図を示した説明図である。
【図6】図6は本件書籍第二実施例において、回答頁1を開いた図を示した説明図である。
【図7】図7は本件書籍第二実施例において、回答頁2を開いた図を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る書籍は、図1に示されるように、表表紙[200]、裏表紙[300]により綴じこまれた複数の紙葉[100]を備えるものである。勿論これらの表紙については、各紙葉と同等の質の紙を用いた装丁(所謂、ソフトカバー)であっても良いし、硬質の紙等を用いた装丁(所謂、ハードカバー)であっても良い。また、背表紙がある装丁でも良く、当業者が一般的に認識する書籍の形式であれば良く、その形態・仕様を限定するものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明における第一実施例の書籍では、図2に示されるように当該書籍を開いた際、左右の紙葉の適当な箇所に、読者が選択するための設問項目[7]とこの設問項目[7]に対し読者が選択する複数の選択項目[2]が印刷された選択頁1[1]を設けている。選択項目[2]の近傍には、選択項目[2]から各回答手段[5]に導くための指示手段[3]が設けられている。
第一実施例においては、この指示手段[3]により示された各回答手段[5]は各回答頁[4]の一方の端部(図2では向かって左手方向で、以下、一方端部という)に設けられており、読者が当該回答頁の1つ上の紙葉を捲ることにより、当該回答頁が容易に開かれるものである。
【0013】
ところで、選択頁1[1]の左右の紙葉に渡った幅方向の長さXは、回答頁1[4B]の一方端部から他方の端部(図2では右手方向で以下、他端部という)の幅方向の長さYよりも短くなっている。さらには、回答頁1[4B]の幅方向の長さYは、後順となる頁である回答頁2[4A]の一方端部から他端部の幅方向の長さZよりも短くなっている。
これにより、選択頁1[1]を開いたときに、その一方端部が、選択頁1[1]、回答頁1[4B]、回答頁2[4A]の各紙葉により段差部[6]が形成され、選択頁1[1]と同時に回答頁1[4B]、回答頁2[4A]の一方端部が同時に視認できるようになる。
この一方端部の段差部[6]に、回答手段1[5B]、回答手段2[5A]を設けている。
【0014】
ここで、読者が設問[7]に従い各選択項目2を選択し、各回答頁4を開くまでの手順について、以下に説明する。
読者が、設問頁1[1]の設問[7]に従い選択項目[2]でBを選んだ場合、読者は指示手段[3]に従い回答手段1[5B]に対応する回答頁1[4B]を、回答頁1[4B]より1つ上方にある紙葉までを捲ることにより開くことになる。この回答頁1[4B]を開いた状態については、図3に示すものである。
【0015】
一方、読者が、設問頁1[1]の設問[7]に従い選択項目[2]でAを選んだ場合、読者は指示手段[3]に従い回答手段2[5A]に対応する回答頁2[4A]を、回答頁2[4A]より1つ上方にある紙葉までを捲ることにより開くことになる。この回答頁2[4A]開いた状態については、図4に示すものである。
【実施例2】
【0016】
次に、本発明の第二実施例について説明する。
図5に示されるように当該書籍を開いた際、左右の紙葉の適当な箇所に、読者が選択するための設問項目[70]とこの設問項目[70]に対し読者が選択する複数の選択項目[20]を印刷された選択頁1−1[10]を設けている。選択項目[20]の近傍には、選択項目[20]から各回答手段[5]に導くための指示手段[30]が設けられている。
この指示手段[30]により、示された各回答手段[5]に対応する頁が各回答頁[4]として、読者が当該回答頁の1つ上方にある紙葉を捲ることにより、当該回答頁が容易に開かれるものである。

【0017】
なお、第二の実施例では、選択頁1−1[10]のうち後順となる頁の紙葉(図面上では左側の紙葉)の適当な箇所に複数の切り抜き部が存在する。この実施例では切り抜かれた孔が2箇所設けられているが、これに限定するものではない。
この孔は、各回答頁[4]の後順となる頁の紙葉(図面上では左側の紙葉)の1つ上方にある紙葉まで貫通するよう孔が設けられており、選択頁1−1[10]を開いた状態で各回答頁[4]が視認できるものである。
【0018】
ここで、読者が設問[70]に従い選択項目[20]を選択し、各回答頁4を開くまでの手順について、以下に説明する。
読者が、設問頁1−1[10]の設問[70]に従い選択項目[20]でBを選んだ場合、読者は指示手段[30]および回答手段1−1[50B]に従い、回答頁1−1[40B]より上方にある紙葉を捲ることにより回答頁1−1[40B]を開くことになる。
この回答頁1−1[40B]を開いた状態については、図6に示すものである。
【0019】
更に読者が、設問頁1−1[10]の設問[70]に従い選択項目[20]でAを選んだ場合、読者は指示手段[30]および回答手段2−1[50A]に従い、回答頁2−1[40A]より上方にある各紙葉を捲ることにより回答頁2−1[40A]を開くことになる。
この回答頁2−1[40A]を開いた状態については、図7に示すものである。
【実施例3】
【0020】
なお、実施例1、実施例2ではこの指示手段[3]を矢印としているが、これに限定するものではなく、選択項目[2]と回答手段[5]を実線、破線等の線でつなげる方法としても良い。
【0021】
更に、この指示手段を、各選択項目をそれぞれ別の色に色分けし、前記の各選択項目に関係づけされた各回答手段を、前記選択項目で色分けされた各色と一致するよう彩色する方法としても良い。
これにより、読者が選択した選択項目の色と一致する色の回答手段を選ぶことになり、各頁の誌面上に矢印や実線、破線等の線を描く必要がなくなり、誌面上の絵や文章などの掲載するスペースが広がり、本件書籍の誌面を有効に利用ができることになる。
【0022】
また、実施例1、実施例2では選択項目を2箇所に設けているが、これに限定するものではなく、より多くの選択項目を設けることで、より異なったストーリー進行が可能となる。
更に、選択頁と回答頁の集合体を一つのユニットとして設定し、一つの書籍の中でこのユニットを複数設けることも可能である。
更に、一つのユニットの中での選択作業により他のユニットに進むようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は読書する者が各頁を順番に捲るだけでなく、選択頁とそれに関係付けされた複数の回答頁に基づき読者の選択作業により次に捲る頁が異なることになり、毎回異なった順番のストーリー展開が楽しむことができる書籍の提供に関するものである。
【符号の説明】
【0024】
1 選択頁1
10 選択頁1−1
2,20 選択項目
3,30 指示手段
4 回答頁
4B 回答頁1
40B 回答頁1−1
4A 回答頁2
40A 回答頁2−1
5 回答手段
5B 回答手段1
50B 回答手段1−1
5A 回答手段2
50A 回答手段2−1
6 段差部
7,70 設問項目
100 紙葉

200 表表紙

300 裏表紙
X 選択頁Aの幅方向の長さ
Y 回答頁1の幅方向の長さ
Z 回答頁2の幅方向の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙、裏表紙及び前記表紙間に複数の紙葉を備えた書籍であって、前記書籍には左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、前記各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられており、前記選択頁より後順となる頁には複数の回答頁を有し、前記回答頁には前記指示手段に対応する回答手段を各紙葉の一方端部に設けられており、
前記選択頁の幅方向の長さは前記複数の回答頁の幅方向の長さよりも短く、かつ前記複数の回答頁間においては、前順となる回答頁の紙葉の幅方向の長さを後順となる回答頁の紙葉の幅方向の長さより短くすることにより、一方端部に段差部を設けることで、前記選択頁の紙葉を開いた状態において、前記各回答手段を視認できるようにしたことを特徴とした書籍。
【請求項2】
表表紙、裏表紙及び前記表紙間に複数の紙葉を備えた書籍であって、前記書籍には左右の紙葉に渡って設問項目及び設問項目に対応する複数の選択項目が記された選択頁を有し、前記各選択項目の近傍には各選択項目に対応する他の頁を示す指示手段が設けられており、前記選択頁より後順となる頁には複数の回答頁を有し、前記回答頁には前記指示手段に対応する回答手段が設けられており、
前記回答手段が、前記選択頁の後順となる頁の紙葉から各回答頁の紙葉の1つ上方の紙葉まで貫通する孔とすることを特徴とした書籍.。
【請求項3】
前記指示手段が、前記複数の選択項目を色分けし、前記選択項目に関係づけされた前記各回答手段を前記選択項目で採用した色と一致するよう彩色すること特徴とする、請求項1または請求項2に記載の書籍。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25095(P2012−25095A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167832(P2010−167832)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000000930)株式会社 学研ホールディングス (8)