説明

有機無機複合ゲル塗膜の製造法

【課題】 平滑な表面を有し、特定媒体および溶質を含むことのできる力学物性に優れた薄層ゲル塗膜の製造法を提供する。
【解決手段】 水溶性のラジカル重合性モノマーと粘土鉱物とを水媒体中で均質分散させた状態でラジカル重合性モノマーを紫外線重合させ、好ましくは、引き続き熱重合を行わせることにより得られる有機無機複合ミクロゲル分散液を、基材に塗布し乾燥させた後、媒体または溶質を含む媒体を含浸させることにより、非常に均質で不純物量が少なく、表面平滑性を有し、力学物性にも優れた薄層の有機無機複合ゲル塗膜が得られ、上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面平滑性に優れ、薄層ゲル塗膜の製造法に関するものであり、電解質ゲルなどとして電池やコンデンサー分野で利用できる。
【背景技術】
【0002】
高分子ゲルは有機高分子の三次元ネットワーク構造内に水や有機溶媒を含み膨潤したソフトマテリアルで、医療、食品、土木、スポーツ関連、或いは電子・電気などの分野で利用されている。ゲルを基材上に薄く形成させて使用する要求があり、医療用のシップやバップ剤などは薬物を入れたゲルや粘着剤を基材に薄く塗布して使用している。これらにおいてゲルの厚みは一般に百ミクロン以上のもので、平滑性などの表面状態もさほど高い精度は求められていない。一方、リチウムイオン電池などの電池材料やコンデンサーなどでは電解質層にゲルを用いる試みが行われている。この場合、基材上に薄層ゲルを形成させる必要があり、また、ゲル厚みのブレが特性のブレにつながることから、平滑性な表面を有するものが求められている。
【0003】
近年、有機高分子と粘土鉱物の三次元ネットワーク内に水媒体を含有するナノコンポジット型ゲル(以後、「NCゲル」と称する)は高い水膨潤性と優れた力学的特性を有することから注目されている(非特許文献1、2参照)。特許文献1では、フィルム状のNCゲルシートを加熱プレスなどの方法で薄膜化する方法が開示されている。しかし、この方法で得られる膜厚には限界があることや工程が複雑であるという問題があった。また、基材上に貼り付けて使用する場合、接着させる必要があった。特許文献2では、微粒子状のNCゲル分散液について開示されている。しかし、この方法は炭化水素系溶媒の中で乳化重合させる方法であり、コスト高となり、また使用した炭化水素を除去する必要があった。更に、粒径が比較的大きいことから、得られる塗膜表面が粗いという問題もあった。一方、特許文献3では、NCゲルを乾燥させ粉末状に粉砕させたものを再膨潤させることで力学強度に優れたゲルが得られること、更に、任意の形に成形可能であることが示されている。しかし、この方法で得られたゲル塗膜は力学強度に比較的優れるものの表面平滑性に乏しく、表面凸凹のある塗膜しか得られないという問題や、粉砕したゲルを再結合させるために特定の添加剤を必要とするという問題があった。また、特許文献4では、NCゲルと同じ組成のクレイとポリマーの水分散液とその塗膜について開示されているが、得られた塗膜の水膨潤能が極めて低く、水と接触させてもゲルとなることは無い。以上のように、従来知られているいずれの方法でも、高い表面平滑性と優れた力学物性に有し、特定の媒体を含ことのできる薄層のゲル塗膜を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−95586号
【特許文献2】特開2011−012107号
【特許文献3】特開2011−1482号
【特許文献4】特許第4430124号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】K.Haraguchi、T.Takehisa、Advanced Material 2002年, 第14巻, 1120-1124頁.
【非特許文献2】原口和敏、化学と工業、2005年、第58巻、第4号、457−460頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、平滑な表面を有し、特定媒体および溶質を含むことのできる力学物性に優れた薄層ゲル塗膜の製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水溶性のラジカル重合性モノマーと粘土鉱物とを水媒体中で均質分散させた状態でラジカル重合性モノマーを紫外線重合させ、好ましくは、引き続き熱重合を行わせることにより得られる有機無機複合ミクロゲル分散液を、基材に塗布し乾燥させた後、媒体または溶質を含む媒体を含浸させることにより、非常に均質で不純物量が少なく、表面平滑性を有し、力学物性にも優れた薄層の有機無機複合ゲル塗膜が得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は、分子内に1個の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水溶性ラジカル重合性モノマー(A)、水膨潤性粘土鉱物(B)及び光重合開始剤(C)を水媒体(D)中に溶解又は分散させ、且つ、下記式(1)で表される水媒体の質量比(K)が20〜200である水溶液を製造し、
該水溶液中で前記水溶性ラジカル重合性モノマー(A)を光重合させることにより有機無機複合ミクロゲルの水分散液を得た後、
該有機無機複合ミクロゲル水分散液を基材に塗布し、乾燥させ、
次いで、媒体(E)を含浸させる、
ことにより得られる有機無機複合ゲル塗膜の製造法を提供する。
式(1) (K)=W/(W+W
(式中、Wは水媒体(D)の質量、Wは水溶性ラジカル重合性モノマー(A)の質量、Wは水膨潤性粘土鉱物(B)の質量を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造法で得られる有機無機複合ゲル塗膜は、表面平滑性や力学物性に優れ、均質で、残留モノマーなどの不純物量が少なく、特定の媒体や溶質を含むことのできる薄層のゲル塗膜であるため、電子・電気分野などで必要とされるゲル塗膜および電解質ゲルとして有効に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で得た乾燥塗膜の表面観察写真。
【図2】実施例1で得たゲル塗膜の表面観察写真。
【図3】比較例2で得た乾燥塗膜の表面観察写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における水溶性ラジカル重合性モノマー(A)は、分子内に一個の(メタ)アクリルアミド基もしくは(メタ)アクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性モノマーで、且つ、水に溶解する性質を有するものである。なお、本発明で言う水媒体には、水単独以外に、水と混和する有機溶媒との混合溶媒で水を主成分とするものが含まれる。
【0012】
(メタ)アクリルアミド基を有するラジカル重合性モノマーとしては、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体モノマー、メタクリルアミド、メタアクリルアミド誘導体モノマーがあげられ、特にアクリルアミドまたはその誘導体モノマーなどのアクリルアミド基を有するものが好ましく用いられる。具体的には、アクリルアミド誘導体モノマーとしては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミドが、一方、メタアクリルアミド誘導体モノマーとしては、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミドが挙げられる。ここでアルキル基としては炭素数が1〜4のものが特に好ましく選択される。一方、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性モノマーとしては、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールアクリレート、(ポリ)エチレングリコールメタアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレートなどが挙げられる。
【0013】
水溶性ラジカル重合性モノマー(A)としては、以上に示した単一のラジカル重合性モノマーの他、これらから選ばれる複数の異なるラジカル重合性モノマーを併用することも有効である。特に(メタ)アクリルアミド基を有するラジカル重合性モノマーと(メタ)アクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性モノマーを併用することは好ましい。例えば、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)とポリ(メトキシエチルアクリレート)の共重合体があげられる。ここで、アクリルアミド基を有する水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体は、水膨潤性粘土鉱物との相互作用が強いため有機無機複合ゲル中で架橋点として働く効果があり、力学強度の高いゲルが得られる。一方、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体は、媒体を安定して含ませる効果がある。更に、その重合体のガラス転移温度が室温以下である(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水溶性ラジカル重合性モノマーを、(メタ)アクリルアミド基を有するラジカル重合性モノマーと併用した場合は、有機無機複合ミクロゲルの塗膜としての一体化を促進する効果がある。
【0014】
本発明における水膨潤性粘土鉱物(B)としては、水に膨潤性を有するものであり、好ましくは水によって層間が膨潤する性質を有するものが用いられる。より好ましくは少なくとも一部が水中で層状に剥離して分散できるものであり、特に好ましくは水中で1ないし10層以内の厚みの層状に剥離して均一分散できる層状粘土鉱物である。例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
【0015】
本発明における水溶性ラジカル重合性モノマー(A)に対する水膨潤性粘土鉱物(B)の質量比(W/W)は、0.02〜1.0であることが好ましく、より好ましくは、0.03〜0.8、特に好ましくは、0.05〜0.7である。0.02より小さい場合、ゲルの力学特性が損なわれる場合があり、1.0を越えるとミクロゲルの成膜性が損なわれる場合がある。
【0016】
本発明では最終的に得られるゲル塗膜の力学物性(特に、耐クリープ性や強度)を更に向上させることなどを目的として、少量の有機架橋剤を併用することができる。有機架橋剤としては、分子内に2個またはそれ以上の2重結合を有する水溶性ラジカル重合性モノマー(F)が用いられ、特に2個の(メタ)アクリルアミド基や2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するラジカル重合性モノマーが好ましく用いられる。具体的には、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体や、ジエチレングリコール(メタ)アクリレートやジポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これら有機架橋剤は、通常、ラジカル重合性有機モノマー(A)と一緒に添加され、使用される。
【0017】
有機架橋剤の使用量は、水溶液ラジカル重合性モノマー(A)1モルに対して、分子内に2個以上の2重結合を有する水溶液ラジカル重合性モノマー(F)は0.01〜1モル%、好ましくは0.02〜0.5モル%である。1モル%を越えるとゲルが脆くなる場合があり、0.01モル%未満では目的とする効果が大きくない。
【0018】
本発明における有機無機複合ミクロゲルの水分散液は層状剥離した水膨潤性粘土鉱物(B)の存在下、水媒体(D)中で水溶性ラジカル重合性モノマー(A)を重合して得られる。良好な有機無機複合ミクロゲル水分散液を得るためには、Wを水媒体の質量、Wを水溶性ラジカル重合性モノマーの質量、Wを水分散性粘土鉱物の質量とした場合、K=W/(W+W)で表される水媒体の質量比(K)が20〜200であることが必要で、好ましくは25〜150、特に好ましくは25〜120の範囲である。
【0019】
本発明における水媒体(D)としては、イオン交換水、超純水、蒸留水などが使用可能である。また、本発明における水媒体としては、水単独以外に、ラジカル重合性モノマー(A)、水膨潤性粘土鉱物(B)、重合開始剤などとの良好な均質溶液を調製することを目的として、水と均一混合する有機溶媒を水と混合して使用することも可能である。水に均一混合する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒などが挙げられる。溶媒の量は、重合に使用する水溶液中の50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。有機溶媒の混合量が大きいと、逆に水膨潤性粘土鉱物(B)の分散性を損なう場合がある。なお、重合において使用する水又は水溶液は真空脱気処理及び/または窒素やアルゴンなどのバブリングにより溶存酸素を除去したものが好ましく用いられる。
【0020】
本発明における水溶性ラジカル重合性モノマー(A)の重合反応としては、水溶性ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)と水媒体(D)からなる均質な水溶液に光重合開始剤(C)を添加して、紫外線照射などの活性エネルギー線照射により重合させる方法が用いられる。また、過酸化物などの熱重合開始剤および必要に応じて反応助剤を添加して、加熱により重合させる方法も場合により使用できるが、本発明においては、紫外線照射による方法では、加熱重合による方法に比べて、有機無機複合ミクロゲルの水分散液の固形分濃度を大きくすることができる利点がある。つまり、水溶液中での水溶性ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)の濃度が高い場合、加熱重合による方法では溶液がゲル化してしまい分散液とはならない場合があるが、紫外線照射による重合方法では、同じ濃度でも良好な分散液が得ることができる場合が多い。
【0021】
本発明で用いる紫外線重合の開始剤としては、親水性および非水溶性の開始剤をいずれも用いることができ、特に好ましくは非水溶性のものである。アセトフェノン、ジメトキシベンジル、ベンゾインフェニルカルビノール、ヒドロキシメチルフェニルプロパノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンゾイン誘導体などを用いることができる。これらの非水溶性重合開始剤は、クレイ水分散液中に極めて少量で分散させられるほか、水溶性ラジカル重合性モノマー(A)または少量の水と均一に混合する有機溶媒にあらかじめ溶解させておいた後、クレイ水分散液中に分散させることができる。紫外線照射は公知の紫外線照射装置、例えば、高圧水銀、低圧水銀、メタルハライド、キセノンなどの紫外線光源とした市販の紫外線照射装置を使用することができる。照射時間は使用する紫外線強度や開始剤量及び反応液量などにより異なり、通常、数秒〜1時間の範囲で選択される。
【0022】
本発明においては、最初に紫外線照射により重合を行わせた後、引き続き、熱重合を行なわせることが特に好ましく用いられる。この方法によると、熱重合単独ではゲル化してしまうような固形分濃度でも、ゲル化させることなく良好なミクロゲル分散液を極めて高収率で得ることができる。つまり、水溶性ラジカル重合性モノマー(A)と水膨潤性粘土鉱物(B)と水媒体(D)の均質溶液中に、光重合開始剤(C)と熱重合開始剤(G)を共に含ませ、紫外線重合を施した後、熱重合を施すと、高重合収率、即ち、残存モノマーが低く、且つ、高固形分濃度においても良好な有機無機複合ミクロゲル分散液が得られる。これに対して、熱重合を先に行うと、熱重合により、液全体がゲル化してしまう場合が多い。従って、最初の紫外線重合は好ましくは、熱重合がほとんど生じない低温で行うことが好ましい。また、紫外線重合のみで熱重合を引き続いて行わない場合は、残留モノマー濃度が高い場合が多い。
【0023】
本発明で用いる熱重合開始剤(G)及び触媒としては、親水性の熱重合開始剤及び触媒のうちから適宜選択して用いることができる。具体的には、熱重合開始剤としては、ペルオキソ二硫化カリウムやペルオキソ二硫化アンモニウムなどの過酸化物、VA−044、V−50、V−501、VA−057(和光純薬工業株式会社製)などのアゾ化合物が好ましく用いられる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有するラジカル開始剤なども用いられる。触媒として、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどが好ましく用いられる。
【0024】
本発明で用いる重合温度は、ラジカル重合性モノマー、重合触媒及び開始剤の種類などに合わせて設定される。通常、紫外線重合は0〜50℃の範囲、好ましくは0〜30℃の範囲で行われ、熱重合は0〜100℃の範囲、好ましくは10〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲で行われる。重合時間も触媒、開始剤、重合温度、水溶液量などの条件により異なり特に限定されないが、一般に数十秒〜数十時間の間で行う。また、重合の雰囲気は、熱重合、紫外線重合共に窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましく用いられる。
【0025】
光重合開始剤(C)、及び熱重合開始剤(G)の使用量は、モノマーと粘土鉱物の合計質量(W+W)の0.01〜2質量%、特に0.02〜1質量%が好ましい。2質量%を越えても効果は変わらなく、不必要な成分が増加することとなり、0.01質量%未満では重合収率等が不十分な場合がある。尚、本発明の目的を阻害しない範囲内で、有機無機複合ミクロゲル分散液に公知の増粘剤、レベリング剤、脱泡剤、充填材を併用することは可能である。
【0026】
本発明における有機無機複合ゲル塗膜の製造法としては、有機無機複合ミクロゲル分散液をそのまま、もしくは、水分率等を調製して粘性を調整した後、基材上にダイコーター、ロールコーターなどのコーター、または刷毛などを用いて塗工し、その後、一端、無含水または低含水率となるまで乾燥させ、次いで、水や特定の媒体(E)を含浸させて、有機無機複合ゲル塗膜を得る方法が必須である。乾燥塗膜に媒体(E)を含浸させる方法としては、例えば、媒体に浸漬させる方法、媒体を接触させる方法、媒体を塗布する方法などを挙げることができる。
【0027】
本発明における媒体(E)としては、均一に含有されるものの中から目的に応じて選択して用いられ、例えば、水、有機溶媒、或いはイオン液体などが用いられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、或いは、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどの液状の多価アルコール重合物、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテルやメチルセロソルブなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル類、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、カプロラクトンやブチロラクトンなどの環状エステル類、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、ビニルエチレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロルムや塩化メチレンなどのハロゲン系溶媒などが用いられる。これら有機溶媒は単独で用いても構わないし、水を含む複数の溶媒を併用し混合溶媒としても構わない。イオン液体としては、室温で液状の常温溶融塩が用いられ、イミダゾリウム塩誘導体、ビリジニウム塩誘導体、アルキルアンモニウム塩誘導体、ホスホニウム塩誘導体が用いられる。
【0028】
本発明においては、上記媒体(E)中に、無機塩、電解質、或いは、有機分子などの溶質(H)を含ませることが好ましく用いられる。媒体(E)に添加可能な溶質(H)としては、媒体(E)に均一に分散または溶解しうる化合物、例えば、電解質や塩の中から目的に応じて選択して用いられる。具体的には、電解質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの水酸化物、或いは、炭酸ナトリウムや炭酸リチウムなどの炭酸塩、塩化リチウムや塩化カルシウムなどの塩化物、塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸マグネシウムなどの(過)塩素酸塩、四フッ化ほう酸リチウム、四フッ化ほう酸ナトリウム、四フッ化ほう酸カリウムなどのフッ化ホウ酸塩、六フッ化りん酸リチウム、六フッ化りん酸ナトリウム、六フッ化りん酸カリウムなどのフッ化リン酸塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロエタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムなどのフッ化イミド塩やフッ化スルホン酸塩が挙げられる。更には、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などのカルボン酸類、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどのアミン類、アンモニウム塩、コラーゲン、ビタミンなどが挙げられる。
【0029】
これら媒体(E)または溶質(H)を含む媒体(E)を含浸させて得られる有機無機複合ゲル塗膜は、表面平滑性を有する一体化した均一なゲルである。本発明による製造法を用いると、100ミクロン以下の膜厚の薄層の表面平滑なゲル塗膜を得ることができ、また、ゲルを基材から隔離し、単独の有機無機複合ゲル膜として用いることも出来る。有機無機複合ゲル膜は、小さな屈曲率で曲げたり、大きく延伸することができる。また、本発明の製造法によると、使用する水溶性ラジカル重合性モノマーの重合体のガラス転移温度が100℃を越えるものの場合でも、均一で柔軟且つ平滑な表面を有する薄層ゲル塗膜を得ることができる。これに対して、水膨潤性粘土鉱物(B)を用いずに、公知の有機架橋剤のみを用いたゲルでは、ミクロゲルから均質な薄層塗膜は得られない(比較例2参照)。
【実施例】
【0030】
以下で、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。しかし、本発明は下記実施例だけに限られるものでは無い。
【0031】
(実施例1)
水溶性ラジカル重合性モノマーとして、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA、興人株式会社製)を0.67g、水膨潤性粘土鉱物として、合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG)を0.21g(WB/WA=0.3)、超純水(18MΩ)を40g、これらを100mLのフラスコに入れ、窒素雰囲気下で撹拌し均質溶液とした(K=45)。尚、超純水は窒素をバブリングし、窒素置換したもの用いた。この溶液に氷浴温度で予め調製したメタノール10gと光重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギ株式会社製)0.2gからなる光重合開始剤の水溶液を100μL、純水10gとペルオキソ二硫化カリウム(KPS:関東化学株式会社製)0.2gからなる重合開始剤の水溶液140μLを加え、反応溶液1を調製した。反応溶液1を50mLのガラス容器に移し、内部を窒素雰囲気とし、周囲を氷浴で冷やしながら、紫外線を10分間照射した。次いで、80℃の恒温水槽内にて1時間保持し引き続き熱重合を行った。得られたミクロゲル分散液1は水と同じような低粘性であった。
【0032】
紫外線重合後と熱重合後のDMAAの残存モノマー量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC:UV検出器210nm)を用いて測定した。残存モノマー量は、紫外線重合後で7%であり、熱重合後は装置の検出限界以下(10ppm以下)であった。これによって、紫外線重合に引き続き熱重合を行わせることで残存モノマー量を著しく低下させることができることが判った。ミクロゲル分散液1の粒径分布を光散乱装置(UPA)で測定したところ、粒径は220nmであった。また、乾燥後の熱重量分析(TGA)装置より、有機成分に対する無機成分の比(W/W)は0.305であり、ミクロゲルが有機無機複合ミクロゲルであることが確認された。
【0033】
有機無機複合ミクロゲル分散液1をガラス板に塗布し乾燥して2ミクロン厚みの乾燥塗膜が得られた。このガラス板を純水に2分間浸漬させることで、乾燥塗膜が水を吸収して、平滑な、膜厚10ミクロンのゲル塗膜が得られた。乾燥塗膜とゲル塗膜の表面のマイクロスコープ(VHX−900:キーエンス株式会社製)測定結果を各々、写真1(図1)及び写真2(図2)に示す。乾燥塗膜もゲル塗膜はいずれも表面平滑であった。ゲル塗膜をガラス板から剥離させると、表面が平滑な一体化したゲルフィルムが得られた。また、150%延伸しても破断することは無かった。表1に結果をまとめて示す。ここで、表面については、塗膜ゲル表面が平滑で、且つ、ゲルを剥離しても一体化していた場合を「○」、ゲルは一体化していたが、塗膜ゲル表面に多量のブツがあり不均一であった場合を「△」、塗膜ゲルが一体化していない場合を「×」で示している。また、力学物性については、150%延伸しても破断することは無い場合を「○」、150%延伸すると破断した場合を「△」、ほんのわずか(30%未満)で破断した場合を「×」としている。
【0034】
一方、ガラス板上に形成した乾燥塗膜を水酸化カリウム(1モル/L)(和光純薬工業株式会社製)の電解質水溶液に5分間浸漬させた結果、水酸化カリウム水溶液を含むゲル塗膜を得た。また、γ−カプロラクトン(CL;和光純薬工業株式会社製)にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6;和光純薬工業株式会社製)を0.5モル/Lの濃度で溶解した電解質溶液に、またはエチレングリコールにアジピン酸(和光純薬工業株式会社製)を1モル/L溶解させた電解液に、いずれも5分間浸漬させることによりゲル塗膜を得た。いずれの場合も、得られたゲル塗膜の表面は平滑で、且つ、これを剥離させて得たゲルフィルムも表面平滑で、150%の延伸で破断しなかった。
【0035】
更に、ガラス板上に形成した乾燥と膜をイオン液体である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート(bmiMS)(フルカ株式会社製)とメタノールとの1/1(質量比)の溶液に5分間浸漬させて、ゲル塗膜を得た。このゲル塗膜を80℃で乾燥してイオン液体を媒体とする表面平滑な有機無機複合ゲルを得た。塗膜は平滑なものであった。
【0036】
(比較例1)
実施例1で得た反応溶液1を80℃の恒温水槽にて1時間保持し熱重合を行った。1時間後、溶液はゲル化していた。
【0037】
(実施例2)
実施例1において、水量を60g(K=67)とした以外は実施例1と同じ方法で反応溶液2を得た。反応溶液2を80℃の恒温水槽にて1時間保持し熱重合を行った。その結果、均一で安定した有機無機複合ミクロゲル分散液2が得られた。熱重合後のDMAAの残存モノマー量を実施例1と同様にして測定した結果、残存モノマー量は0.7%であり、実施例1で示した紫外線重合単独のもの(7%)に比べて、重合収率が高く残存モノマー量が低減された。有機無機複合ミクロゲル分散液2の粒径を実施例1と同様にして測定した結果、粒径は310nmであった。
【0038】
有機無機複合ミクロゲル分散液2をガラス板に塗布し、2ミクロン厚みの乾燥塗膜を得た。そのガラス板を純水に2分間浸漬させた所、乾燥塗膜が水を吸収して、膜厚10ミクロンのゲル塗膜が得られた。得られた乾燥塗膜やゲル塗膜の平滑性は実施例1と同等で良好であった。
【0039】
実施例1と同様にして、乾燥塗膜を水酸化カリウム(1モル/L)の電解質水溶液、γ−カプロラクトンとヘキサフルオロリン酸リチウム(0.5モル/L)の電解質溶液、及びエチレングリコールとアジピン酸(1モル/L)電解液に浸漬させた所、これらを吸収してゲル塗膜が得られた。いずれのゲル塗膜も均一で表面平滑であった。
【0040】
(実施例3)
水膨潤性粘土鉱物として、合成ヘクトライトの代わりにモンモリロナイト(クニピアF、クニミネ工業株式会社製)を用い、更に、有機架橋剤として、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)1.28mg(0.05モル%/DMAA1モル)を併用した以外は実施例1と同じ方法で有機無機複合ミクロゲル分散液3を得た。残存モノマー量は0.3%であった。実施例1と同様にしてガラス板上に有機無機複合ミクロゲル分散液3を塗布し乾燥させ、5ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。そのガラス板を純水に2分間浸漬させた所、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚20ミクロンの表面平滑で均一な有機無機複合ゲル塗膜が得られた。
【0041】
ゲルの上に3×3cmのSUS板(厚さ1mm)を載せ、更に、1kgの重りを載せた。重りを取り除き観察したところ、加圧によりゲルが破壊されたり、大きく塑性変形することは無く、SUS板を載せた所とそれ以外の所で大きな差異は見られなかった。
【0042】
また、実施例1と同様にして、水酸化カリウム(1モル/L)の電解質水溶液、γ−カプロラクトンとヘキサフルオロリン酸リチウム(0.5モル/L)の電解質溶液、及びエチレングリコールとアジピン酸(1モル/L)電解液に浸漬させた結果、これらの媒体及び溶液を含む有機無機複合ゲル塗膜を得た。得られた有機無機複合ゲル塗膜はいずれも均一で表面平滑であった。
【0043】
(実施例4)
水溶性ラジカル重合性モノマーとして、DMAAの代わりに、N,N−イソプロピルアクリルアミド(NIPA:興人株式会社製)を0.75g用いた以外は実施例1と同じ方法により有機無機複合ミクロゲル分散液4を得た。
【0044】
実施例1と同様にして、5ミクロン厚の乾燥塗膜をガラス板上に形成した。このガラス板を純水に5分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚15ミクロンの均一で表面平滑な有機向き複合ゲル塗膜が得られた。実施例3と同じ方法で加圧試験を行った結果、ゲルが破壊されたり、大きく塑性変形することは無く、加圧していない場所と差異は見られなかった。また、実施例1と同様にして、水酸化カリウム(1モル/L)の電解質水溶液、γ−カプロラクトンとヘキサフルオロリン酸リチウム(0.5モル/L)の電解質溶液、及びエチレングリコールとアジピン酸(1モル/L)電解液に浸漬させた結果、これらの媒体及び溶液を含む有機無機複合ゲル塗膜を得た。得られた有機無機複合ゲル塗膜はいずれも均一で表面平滑であった。平滑で良好なものであった。
【0045】
(実施例5)
水溶性ラジカル重合性モノマーとして、DMAAの代わりに、2−メトキシエチルアクリレート(MEA:興亜合成株式会社製)0.43gとDMAA0.33gを用いる以外は実施例1と同じ方法で有機無機複合ミクロゲル分散液5を製造した。残存モノマー量はMEA、DMAA共に検出限界以下であった。実施例1と同様にしてガラス板上に5ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。このガラス板を純水に2分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚25ミクロンの有機無機複合ゲル塗膜が得られた。得られた乾燥塗膜およびゲル塗膜は均一で、表面は平滑であった。ゲル塗膜をガラス板から剥離させると、表面が平滑な一体化した有機無機複合ゲルフィルムが得られた。これを150%延伸しても破壊されなかった。
【0046】
また、実施例1と同様にして、水酸化カリウム(1モル/L)の電解質水溶液、γ−カプロラクトンとヘキサフルオロリン酸リチウム(0.5モル/L)の電解質溶液、及びエチレングリコールとアジピン酸(1モル/L)電解液に浸漬させた結果、これらの媒体及び溶液を含む有機無機複合ゲル塗膜を得た。得られた有機無機複合ゲル塗膜はいずれも均一で表面平滑であった。平滑で良好なものであった。
【0047】
【表1】

【0048】
(比較例2)
水膨潤性粘土鉱物を使用しないで、その代わりに有機架橋剤として、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)(BIS)(特級、和光純薬工業株式会社製)0.01gを使用した以外は、実施例1と同じ配合と方法で有機ミクロゲル分散液1を製造した。実施例1と同じようにガラス板上に分散液を塗布し乾燥させ、3ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。乾燥塗膜は目視では平滑であったが、マイクロスコープで観察すると亀裂はないが表面は凸凹していた。乾燥塗膜表面を写真3(図3)に示す。このガラス板を純水に2分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収してゲル塗膜が得られたが、塗膜の至る所で亀裂が発生した。また、ゲル塗膜をガラス板から剥離しようとしたが、一体化しておらず、且つ、極めて脆弱で、触れるとすぐに壊れた。
【0049】
(実施例6)
ラジカル重合性モノマーとして、MEAを0.61gとアクリロイルモロホリン(ACMO;興人株式会社製)を0.28gとした以外は実施例1と同じ配合と方法で有機無機複合マイクロゲル分散液6を調製した。実施例1と同様にしてガラス板上に分散液6を塗布し乾燥して5ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。このガラス板を純水に2分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚40ミクロンの有機無機複合ゲル塗膜が得られた。得られた乾燥塗膜およびゲル塗膜は均一で、表面は平滑であった。ゲル塗膜をガラス板から剥離させると、表面が平滑な一体化した有機無機複合ゲルフィルムが得られた。これを150%延伸しても破壊されなかった。また、実施例1と同様にして、水酸化カリウム(1モル/L)の電解質水溶液、γ−カプロラクトンとヘキサフルオロリン酸リチウム(0.5モル/L)の電解質溶液、及びエチレングリコールとアジピン酸(1モル/L)電解液に浸漬させた結果、これらの媒体及び溶液を含む有機無機複合ゲル塗膜を得た。得られた有機無機複合ゲル塗膜はいずれも均一で表面平滑であった。平滑で良好なものであった。
【0050】
(実施例7)
MEAを1.21g、DMAAを0.4g、合成ヘクトライト(XLG)を0.21gとした以外は、実施例1と同じ配合と方法で有機無機複合ヒドロゲル分散液7を調製した。R=22。分散液7は流動性があり、塗工可能であった。
【0051】
実施例1と同様にしてガラス板上に分散液7を塗布し乾燥して5ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。このガラス板を純水に2分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚40ミクロンの有機無機複合ゲル塗膜が得られた。得られた乾燥塗膜およびゲル塗膜は均一で、表面は平滑であった。ゲル塗膜をガラス板から剥離させると、表面が平滑な一体化した有機無機複合ゲルフィルムが得られた。これを150%延伸しても破壊されなかった。
【0052】
(比較例3)
MEAを1.57g、DMAAを0.52g、合成ヘクトライト(XLG)を0.27gとする以外は、実施例1と同じ方法で有機無機複合ヒドロゲル分散液8を製造した。K=17。水分散液8はゲル化しており、塗工することが出来なかった。
【0053】
(実施例8)
DMAAを0.4g、XLGを0.32gとする以外は実施例1と同じ方法で有機無機複合ヒドロゲル分散液9を製造した。R=56。分散液は流動性があり、塗工可能なものであった。
【0054】
実施例1と同様にしてガラス板上に分散液7を塗布し乾燥して5ミクロン厚の乾燥塗膜を得た。このガラス板を純水に2分間浸漬させたところ、乾燥塗膜が水を吸収して膜厚30ミクロンの有機無機複合ゲル塗膜が得られた。得られた乾燥塗膜およびゲル塗膜は均一で、表面は平滑であった。ゲル塗膜をガラス板から剥離させると、表面が平滑な一体化した有機無機複合ゲルフィルムが得られた。これを150%延伸しても破壊されなかった。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に1個の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水溶性ラジカル重合性モノマー(A)、水膨潤性粘土鉱物(B)及び光重合開始剤(C)を水媒体(D)中に溶解又は分散させ、且つ、下記式(1)で表される水媒体の質量比(K)が20〜200である水溶液を製造し、
該水溶液中で前記水溶性ラジカル重合性モノマー(A)を光重合させることにより有機無機複合ミクロゲルの水分散液を得た後、
該有機無機複合ミクロゲル水分散液を基材に塗布し、乾燥させ、
次いで、媒体(E)を含浸させる、
ことにより得られる有機無機複合ゲル塗膜の製造法。
式(1) (K)=W/(W+W
(式中、Wは水媒体(D)の質量、Wは水溶性ラジカル重合性モノマー(A)の質量、Wは水膨潤性粘土鉱物(B)の質量を表す。)
【請求項2】
前記水溶性ラジカル重合性モノマー(A)1モルに対して、分子内に2個以上の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を有する水溶性ラジカル重合性モノマー(F)を水溶性ラジアル重合性モノマー(A)に対して1〜0.01モル%を用いる請求項1記載の有機無機複合ゲル塗膜の製造法。
【請求項3】
前記水溶液中に更に熱重合開始剤(G)を添加し、前記水溶性ラジカル重合性モノマー(A)の重合を紫外線で行わせた後、引き続き熱重合を行わせる請求項1又は2記載の有機無機複合ゲル塗膜の製造法。
【請求項4】
前記媒体(E)がイオン液体である請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機無機複合ゲル塗膜の製造法。
【請求項5】
前記媒体(E)中に溶質(H)を含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機無機複合ゲル塗膜の製造法。
【請求項6】
前記溶質(H)が電解質または塩である請求項5記載の有機無機複合ゲル塗膜の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−236156(P2012−236156A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107189(P2011−107189)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000173751)一般財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】