説明

有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法

【課題】微細メタルマスクの交換回数を低減する。
【解決手段】基板100の上部の赤色、緑色、青色サブピクセルに備えられた第1電極120と、第1電極120を覆うように基板100の上部に備えられた正孔注入層131と、正孔注入層131の上部に備えられた正孔輸送層133と、赤色サブピクセルの正孔注入層133と正孔輸送層135との間に備えられた補助層と、赤色サブピクセル及び緑色サブピクセルの正孔輸送層135の上部に順次形成された赤色発光層134Rと緑色発光層134G、及び青色サブピクセルの正孔輸送層135の上部に備えられた青色発光層134Bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、微細パターンメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)の交換回数を低減しつつ、寿命及び発光効率に優れた有機発光ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機発光素子(Organic Light Emitting Device:OLED)は、アノード電極とカソード電極との間に機能性薄膜形態の有機発光層が挿入されている構造であって、正極から正孔が注入され、負極から電子が注入されて、有機発光層内で電子と正孔とが結合してエキシトンが形成され、このエキシトンが発光再結合しつつ光を発する素子である。
【0003】
フルカラー有機発光ディスプレイを実現する方法には、独立発光方式、カラーフィルタ方式、色変換方式などがある。独立発光方式は、R、G、Bそれぞれの発光材料を、精巧にパターニングされているメタルシャドーマスクを使用して熱蒸着をすることでR、G、Bを実現する方式である。カラーフィルタ方式は、白色発光層を形成し、R、G、BカラーフィルタをパターニングしてR、G、Bを実現する方式である。色変換方式は、青色発光層を形成して青色を緑色と赤色とに変化させる色変換層を使用してR、G、Bを実現する方式である。
【0004】
カラーフィルタ方式を利用するOLEDでは、発光された白色発光がカラーフィルタを経つつ効率が減少するため、高効率の白色発光材料が必要であり、未だメタルシャドーマスクを利用した微細パターニング方式に比べて全体的な効率は低い状態である。
【0005】
ファインメタルシャドーマスクを利用してR、G、B材料を蒸着、パターニングする独立発光方式は、高解像度及びディスプレイのサイズが大きくなれば、ファインメタルシャドーマスク製作などの難しさにより、有機発光パネルを大型化し難い。また補助層及びR、G、B材料を蒸着するために精巧な整列機構を使用するが、TFT基板のピクセルとファインメタルシャドーマスクとを整列する過程で、既存に蒸着されている有機物の損傷によって不良ピクセルの発生を引き起こすこともある。大型ファインメタルマスクは、製作上の問題だけではなく高コストであるため、使用回数を低減する方法について多くの研究が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置の製作時にR、G、B独立パターニング方式よりFMMの交換回数を低減しつつ、寿命及び発光効率に優れた有機発光ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の望ましい一実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、基板の上部の赤色、緑色、青色サブピクセルに備えられた第1電極と、前記第1電極を覆うように前記基板の上部に備えられた正孔注入層と、前記正孔注入層の上部に備えられた正孔輸送層と、前記赤色サブピクセルの前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に備えられた補助層と、前記赤色サブピクセル及び前記緑色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に順次形成された赤色発光層と緑色発光層、及び前記青色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に備えられた青色発光層と、を備える。
【0008】
望ましくは、前記赤色発光層は正孔輸送能を持ち、前記緑色発光層は電子輸送能を持つ。
【0009】
望ましくは、前記補助層は、正孔輸送能を持ち、前記正孔輸送層と同じ物質で形成される。
【0010】
望ましくは、前記補助層は300Åないし1500Åの厚さを持つ。
【0011】
望ましくは、前記赤色発光層は500Åないし2000Åの厚さを持ち、緑色発光層は100Åないし1000Åの厚さを持つ。
【0012】
望ましくは、前記緑色発光層の上部に前記青色発光層をさらに備えて、前記青色発光層を共通層として形成し、この場合、前記青色発光層は100Åないし500Åの厚さを持つ。
【0013】
本発明の望ましい一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の製造方法は、基板の上部に赤色、緑色、青色サブピクセルの第1電極を形成する工程と、前記第1電極を覆うように前記基板の上部に正孔注入層を形成する工程と、前記赤色サブピクセルの前記正孔注入層の上部に補助層を形成する工程と、前記補助層を覆うように前記正孔注入層の上部に正孔輸送層を形成する工程と、前記赤色サブピクセル及び前記緑色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に、赤色発光層及び緑色発光層を順次形成する工程と、を含む。
【0014】
望ましくは、前記青色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に青色発光層を形成する工程をさらに含み、このとき、前記青色発光層は、FMMによりパターニングして形成できる。
【0015】
望ましくは、前記緑色発光層の上部を含む前記基板の前面に、青色発光層を共通層として形成する工程をさらに含み、このとき、前記青色発光層は、オープンマスクによりパターニングして形成できる。
【0016】
望ましくは、前記補助層は、FMMによりパターニングして形成できる。
【0017】
望ましくは、前記赤色発光層及び前記緑色発光層は、FMMによりパターニングして形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有機発光ディスプレイ装置は、駆動電圧の低い高効率素子であり、輝度増加によって色度変化が小さく、長時間の駆動後にも性能低下があまりなく、安定した素子特性を持つ。
【0019】
また、本発明の有機発光ディスプレイ装置の製造工程は、従来のR、G、B独立パターニング方式よりFMMの使用回数を低減することができて、工程の単純化及びコストダウン効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によって形成されたOLEDの電圧−電流グラフを比較例と共に示す図面である。
【図4】本発明の一実施形態によって形成されたOLEDの電流効率−輝度特性を比較例と共に示す図面である。
【図5】本発明の一実施形態によるOLEDに適用できるカラーフィルタのパターン類型を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の望ましい実施形態が添付した図面を参照して説明される。図面中で同じ構成要素については、たとえ他の図面上に表示されていても、なるべく同じ参照番号及び符号で表していることに留意せねばならない。下記で本発明を説明するに当って、関連した公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明にしうると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0022】
また、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含みうるということを意味する。
【0023】
本発明は、独立発光方式の前面及び背面共振構造を持つ有機電界発光素子の製造工程時、寿命及び発光効率の優秀な赤色発光層と緑色発光層とをスタック方式を使用して、微細パターンメタルマスク(FMM)の使用回数を低減できる方法を提案する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【0025】
図1を参照すれば、本発明のOLEDは、基板100及び基板100に形成された赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)サブピクセル領域を含む。
【0026】
基板100は、透明なガラス材、プラスチック材、または金属ホイールなどを使用でき、これに限定されずに機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性に優秀な通例的なOLEDで使われる基板が使われうる。図面には図示していないが、前記基板100は、各サブピクセル(R、G、B)ごとに少なくとも一つ以上の薄膜トランジスタ及び/またはキャパシタを備えることができ、これらの薄膜トランジスタ及びキャパシタを利用してピクセル回路を実現できる。
【0027】
基板100の上部には、互いに対向した第1電極120及び第2電極140を備える。前記第1電極120は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)サブピクセル別にパターニングされ、アノードまたはカソードでありうる。前記第2電極140は、第1電極120と対応してカソードまたはアノードでありうる。前記第2電極140は、真空蒸着法やスパッタリング法などを利用して電子注入層136の上部に形成されうる。
【0028】
基板100の方向に画像が実現される背面発光型である場合、第1電極120は透明電極になり、第2電極140は反射電極になりうる。第1電極120は、仕事関数の大きなITO、IZO、ZnO、またはInなどで形成でき、第2電極140は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどで形成できる。
【0029】
第2電極140の方向に画像を実現する前面発光型である場合、第1電極120は反射電極として備えられ、第2電極140は透明電極として備えられる。この時、第1電極120になる反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上に仕事関数の大きなITO、IZO、ZnO、またはInなどを形成してなりうる。そして、第2電極140になる透明電極は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnO、またはInなどの透明挑戦物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0030】
両面発光型の場合、第1電極120と第2電極140いずれも透明電極で形成できる。
【0031】
一方、前述したように、基板100が薄膜トランジスタを備える場合、サブピクセル別にパターニングされた第1電極120は、各サブピクセルの薄膜トランジスタに電気的に連結される。そして、この時、第2電極140は、あらゆるサブピクセルにかけて互いに連結されている共通電極で形成されうる。
【0032】
基板100がサブピクセル別に薄膜トランジスタを備えていない場合、第1電極120と第2電極140とは、互いに交差するストライプパターンでパターニングされてパッシブマトリックス(Passive Matrix:PM)駆動できる。
【0033】
前記第1電極120と第2電極140との間には有機膜130が介在される。有機膜130は、正孔注入層131、補助層132R、正孔輸送層133、赤色発光層134R、緑色発光層134G、青色発光層134B、電子輸送層135、及び電子注入層136を順次備える。
【0034】
前記第1電極120の上部には、図面には図示されていないが、前記第1電極の上端部及び側面を覆う画素定義膜が形成されうる。前記画素定義膜は、有機物、無機物、または有無機物複合多層構造で形成されうる。無機物としては、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化窒化物などの無機物から選択された物質を使用できる。有機物としては、アクリル系有機化合物、ポリアミド、ポリイミドなどの有機絶縁物質のうち一つでありうる。
【0035】
前記第1電極120が形成された基板100の上部にオープンマスクを使用して、正孔注入層(HIL)131が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)サブピクセルに対して共通層として形成される。正孔注入層131は、正孔が容易に注入されるように約300〜800Åの厚さに形成されうるが、これは、他の層の材料によって可変できる。正孔注入層131は、2−TNATA、銅フタロシアニン(CuPc)またはスターバースト型アミン類であるTCTA、m−MTDATA、IDE406(出光社製)などを使用でき、正孔の注入を手伝う物質ならば、これに限定されずに使われうる。
【0036】
前記正孔注入層131の上部に、正孔移動度が良くて正孔の輸送を容易にする正孔輸送層(HTL)133が形成される。
【0037】
前記正孔輸送層133は、オープンマスクを使用して赤色(R)、緑色(G)、青色(B)サブピクセルに対して共通層として形成される。正孔輸送層133の厚さは300〜800Åでありうるが、これは、他の層の材料によって可変できる。正孔輸送層133の蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層131の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択されうる。前記正孔輸送層133の物質は特別に制限されず、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、IDE320(出光社製)などが使われうる。
【0038】
赤色サブピクセル(R)領域の前記正孔注入層131と正孔輸送層133との間には、補助層132Rがさらに備えられる。前記補助層132Rは、赤色サブピクセル(R)領域の正孔注入層131と正孔輸送層133との間で、赤色光の共振周期の調節のために備えられる。
【0039】
前記補助層132Rは、赤色光の共振周期を調節するために、赤色サブピクセル(R)の有機層厚さを合わせる役割を行う。補助層132Rは、赤色光の発光効率、色純度などを高められるように、300ないし1500Å範囲の厚さに設定されうる。前記補助層132Rは、FMMを使用して赤色サブピクセル(R)領域のみに形成されうる。前記補助層132Rをなす物質は、前記正孔輸送層133の物質と同じ物質で形成されうる。
【0040】
前記正孔輸送層133の上部には発光層134が形成される。発光層134は、赤色サブピクセル(R)領域及び緑色サブピクセル(G)領域に順次積層される赤色発光層134R及び緑色発光層134Gと、青色サブピクセル(B)領域に備えられる青色発光層134Bとを備える。すなわち、赤色発光層134R及び緑色発光層134Gは、スタック方式で赤色サブピクセル(R)領域と緑色サブピクセル(G)領域とに共通に備えられる。
【0041】
赤色発光層134R、緑色発光層134G及び青色発光層134Bは、正孔輸送層133の上部にFMMを使用して形成されうる。この時、赤色発光層134Rと緑色発光層134Gとは、赤色サブピクセル(R)及び緑色サブピクセル(G)領域に共通層として順次積層される。したがって、各サブピクセルに個別的に発光層を形成する場合に比べて、さらに大きい開口部を持つマスクを使用できるため、大型マスクの製作に有利である。青色発光層134BはFMMを使用して青色サブピクセル(B)領域のみに積層される。
【0042】
前述された補助層132Rは、赤色サブピクセル(R)に備えて赤色光の共振周期を調節し、前記赤色発光層134Rは、赤色サブピクセル(R)及び緑色サブピクセル(G)に備えて緑色サブピクセル(G)の緑色光共振周期を調節する。したがって、赤色発光層134Rは、赤色光の発光及び緑色サブピクセル(G)の補助層の役割を同時に行える。前記赤色発光層134Rは正孔輸送能を持ち、前記緑色発光層134Gは電子輸送能を持つ。
【0043】
前記発光層は、公知の多様な発光物質を利用して形成できるが、公知のホスト及びドーパントを利用して形成してもよい。前記ドーパントの場合、公知の蛍光ドーパント及び公知の燐光ドーパントをいずれも使用できる。特に、赤色発光層134Rは、正孔電送特性に優れたホストと赤色ドーパントとを含むことが望ましく、緑色発光層134Gは、電子電送特性に優れたホストと緑色ドーパントを含むことが望ましい。
【0044】
前記発光層134のホストとしては、Alq3、CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル)、PVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール))、DSA(ジスチリルアリーレン)、グレイセル社製のGDI1403(赤色燐光ホスト)、グレイセル社製のGGH01(緑色蛍光ホスト)などを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0045】
前記発光層134のドーパントの含有量は、発光層形成材料100重量部(すなわち、ホストとドーパントとの総重量は100重量部とする)を基準として0.1ないし20重量部、特に0.5〜15重量部であることが望ましい。ドーパントの含有量が0.1重量部未満ならば、ドーパント付加による効果が微小であり、20重量部を超過すれば、燐光や蛍光いずれも濃度クエンチングのような濃度消光が起きて望ましくない。
【0046】
発光効率を考慮して、前記赤色発光層134Rの厚さは500ないし2000Å、緑色発光層134Gは200ないし1000Å、青色発光層134Bは200ないし1000Åでありうる。
【0047】
前記発光層134の上部には、電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)135が形成される。
【0048】
前記電子輸送層135は、前記緑色発光層134G及び青色発光層134Bの上部にオープンマスクを使用して、基板の前面に形成される。電子輸送層135の厚さは200ないし500Åであるが、これは、他の層の材料によって可変できる。電子輸送層135は、電子輸送を容易にして効率的な電子輸送を提供可能にする。電子輸送層135の物質は特別に限定されず、公知の電子輸送層形成材料のうち任意に選択されうる。例えば、キノリン誘導体、特にトリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq3)、TAZなどの公知の材料を利用できる。
【0049】
前記電子注入層136は、前記電子輸送層135の上部にオープンマスクを使用して基板の前面に形成される。電子注入層136の厚さは5ないし50Åであるが、これは他の層の材料によって可変できる。電子注入層136は、第2電極140からの電子の注入を容易にする機能を持つ物質が使われ、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaO、Liqなどの任意の物質を利用できる。
【0050】
一方、たとえ図面に図示されていないとしても、前記発光層134と電子輸送層135との間には、正孔阻止用物質を使用して正孔阻止層(Hole Blocking Layer:HBL)を選択的に形成できる。この時に使われる正孔阻止層形成用物質は特別に制限されないが、電子輸送能力を持ち、かつ発光化合物より高いイオン化ポテンシャルを持つべきであるが、代表的にBalq、BCP、TPBIなどが使われうる。
【0051】
前述したように前記実施形態では、赤色発光層134Rと緑色発光層134Gとを、積層方式で、赤色サブピクセル(R)領域と緑色サブピクセル(G)領域とに共通層として備える。したがって、緑色サブピクセル(G)領域に補助層を形成するためのさらなるFMMの使用が不要になるため、4回のFMMの使用で工程を単純化させることができる。
【0052】
図2は、本発明の他の実施形態による有機発光ディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【0053】
本実施形態の有機発光ディスプレイ装置は、図1の有機発光ディスプレイ装置と同様に、基板200及び基板200に形成された赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)サブピクセル領域を備え、青色発光層234Bが共通層として形成される点が異なる。したがって、図1の有機発光ディスプレイ装置と重なる構造と、それに対応する製造工程との詳細な説明は省略する。
【0054】
図2を参照すれば、基板200の上部に、第1電極220と、第1電極220に対向する第2電極240とが備えられる。前記第1電極220と第2電極240との間には、正孔注入層231、補助層232R、正孔輸送層233、赤色発光層234R、緑色発光層234G、青色発光層234B、電子輸送層235、及び電子注入層236を含む有機膜230が介在される。
【0055】
前記第1電極220は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)サブピクセル別に離隔して形成される。前記第1電極220の上部には図面には図示されていないが、前記第1電極220の上端部及び側面を覆う画素定義膜が形成されうる。
【0056】
前記第1電極220の上部に、前記正孔注入層231及び正孔輸送層233がオープンマスクを使用して順次積層される。
【0057】
前記補助層232Rは、赤色サブピクセル(R)領域の正孔注入層231と正孔輸送層233との間に備えられ、赤色光の共振周期の調節のために備えられる。前記補助層232Rは、FMMを使用して前記正孔注入層231の上部に形成される。前記正孔輸送層233の上部には発光層234が形成される。
【0058】
赤色発光層234Rは、赤色サブピクセル(R)領域及び緑色サブピクセル(G)領域で、正孔輸送層233の上部にFMMを使用して形成される。
【0059】
緑色発光層234Gは、赤色サブピクセル(R)領域及び緑色サブピクセル(G)領域で、赤色発光層234Rの上部にFMMを使用して形成される。すなわち、赤色発光層234R及び緑色発光層234Gは、赤色サブピクセル(R)領域及び緑色サブピクセル(G)領域に共通層として形成される。赤色発光層234Rは、赤色サブピクセル(R)領域では発光層の役割を、緑色サブピクセル(G)領域では正孔輸送の役割を行う。
【0060】
青色発光層234Bは、赤色サブピクセル(R)領域及び緑色サブピクセル(G)領域の緑色発光層234Gの上部と、青色サブピクセル(B)領域の正孔輸送層233の上部とに形成される。すなわち、青色発光層234Bは、オープンマスクを使用して基板の前面に共通層として形成される。したがって、青色発光層234Bの形成時、FMMの代わりに開口部がさらに大きいオープンマスクを使用するため、図1の有機発光ディスプレイ装置よりFMMの使用回数を3回に低減することができて、工程を単純化させうる。青色発光層234Bは、100ないし500Åの厚さに形成されうる。赤色発光層134Rは500ないし2000Åの厚さに、緑色発光層134Gは200ないし1000Åの厚さに形成されうる。
【0061】
前記発光層234の上部には、電子輸送層235がオープンマスクを使用して基板の前面に形成される。
【0062】
前記電子輸送層235の上部には、電子注入層236がオープンマスクを使用して基板の前面に形成される。
【0063】
図面で図示していないが、前記発光層234と電子輸送層235との間には正孔阻止用物質を使用して、正孔阻止層(HBL)を選択的に形成できる。
【0064】
前記電子注入層236の上部には第2電極240が形成され、前記第2電極240はあらゆるサブピクセルにかけて互いに連結されている共通電極として形成されうる。
【0065】
図3及び図4は、本発明の一実施形態によって形成されたOLEDの電圧−電流グラフ及び電流効率−輝度特性を比較例と共にそれぞれ示す図面である。
【0066】
図3及び図4には、赤色発光層と緑色発光層とがスタック構造で形成され(RGスタック)、共通青色発光層(Blue Common Layer:BCL)構造である本発明の図2に示した実施形態と、RGスタック及びBCL構造に緑色補助層(G補助層)が追加された比較例とのデータが共に図示されている。
【0067】
図3及び図4を参照すれば、本発明により製作されたRGスタックOLEDは、駆動電圧の低い高効率素子であり、輝度増加によって色度変化が少なく、長時間の駆動後にも性能低下があまりない優秀かつ安定した素子特性を持つ。また、赤色発光層を使用して赤色サブピクセルでは赤色発光をし、緑色サブピクセルではG補助層として使用することによって、別途のG補助層を備えた場合に比べて効率及び電圧であまり差がなく、工程上の単純化を図れるという長所がある。
【0068】
図5は、本発明の一実施形態によるOLEDに適用できるカラーフィルタのパターン類型を示す図面である。
【0069】
図5を参照すれば、本発明は赤色発光層及び緑色発光層をスタック方式で形成するため、封止(Encapsulation)用カバーガラス基板上に(a)ないし(d)に示したように、赤色及び緑色フィルターパターンを隣接して形成できる。
【0070】
本発明は図面に示した一実施形態を参考として説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び実施形態の変形が可能であるということを理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0072】
100 基板
120 第1電極
130 有機膜
131 正孔注入層
132R 補助層
133 正孔輸送層
134 発光層
134R 赤色発光層
134G 緑色発光層
134B 青色発光層
135 電子輸送層
136 電子注入層
140 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上部の赤色、緑色、青色サブピクセルに備えられた第1電極と、
前記第1電極を覆うように前記基板の上部に備えられた正孔注入層と、
前記正孔注入層の上部に備えられた正孔輸送層と、
前記赤色サブピクセルの前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に備えられた補助層と、
前記赤色サブピクセル及び前記緑色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に順次形成された赤色発光層と緑色発光層、及び前記青色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に備えられた青色発光層と、を備えることを特徴とする有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記赤色発光層は正孔輸送能を持ち、前記緑色発光層は電子輸送能を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記補助層は、正孔輸送能を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記補助層は、厚さが300Åないし1500Åであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記赤色発光層は、厚さが500Åないし2000Åであり、緑色発光層は、厚さが100Åないし1000Åであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記緑色発光層の上部に前記青色発光層をさらに備えて、前記青色発光層が共通層として形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記青色発光層の厚さは、100Åないし500Åであることを特徴とする請求項6に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記補助層は、前記正孔輸送層と同じ物質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
基板の上部に赤色、緑色、青色サブピクセルの第1電極を形成する工程と、
前記第1電極を覆うように前記基板の上部に正孔注入層を形成する工程と、
前記赤色サブピクセルの前記正孔注入層の上部に補助層を形成する工程と、
前記補助層を覆うように前記正孔注入層の上部に正孔輸送層を形成する工程と、
前記赤色サブピクセル及び前記緑色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に、赤色発光層及び緑色発光層を順次形成する工程と、を含むことを特徴とする有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項10】
前記赤色発光層は正孔輸送能を持ち、前記緑色発光層は電子輸送能を持つことを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項11】
前記補助層は、正孔輸送能を持つことを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項12】
前記補助層は、厚さが300Åないし1500Åであることを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項13】
前記赤色発光層は、厚さが500Åないし2000Åであり、緑色発光層は、厚さが100Åないし1000Åであることを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項14】
前記青色サブピクセルの前記正孔輸送層の上部に青色発光層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項15】
前記緑色発光層の上部を含む前記基板の前面に、青色発光層を共通層として形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項16】
前記青色発光層の厚さは、100Åないし500Åであることを特徴とする請求項15に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項17】
前記補助層は、前記正孔輸送層と同じ物質で形成されることを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項18】
前記補助層、前記赤色発光層及び前記緑色発光層は、微細パターンメタルマスクによりパターニングして形成されることを特徴とする請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項19】
前記青色発光層は、微細パターンメタルマスクによりパターニングして形成されることを特徴とする請求項14に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項20】
前記青色発光層は、オープンマスクによりパターニングして形成されることを特徴とする請求項15に記載の有機発光ディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155004(P2011−155004A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2335(P2011−2335)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】