説明

有機発光素子

【課題】画像を形成する光がカソードの方向に発光される場合に、共振構造を必要とせずに高い発光効率を有するトップエミッション型有機発光素子を提供する。
【解決手段】正孔を注入するアノード物質を含むアノード2と、アノード上に形成された発光層を備える有機層3と、有機層3上に形成されて有機層の発光層から発光された光が透過するカソード4と、を備え、カソード4は、金属酸化物からなる金属酸化物層42、アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層41及びバッファ層43を備える、有機発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子に係り、より詳細には、画像を形成する光がカソードの方向に発光されるトップエミッション型発光構造において、すぐれた発光効率を有するカソードを備えた有機発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は自己発光素子であり、液晶表示素子に比べて高い輝度を持ち、バックライトユニットを使用しないために薄型化が可能な長所がある。
【0003】
このような有機発光素子は、ピクセル回路が形成されている基板上にアノード、有機層及びカソードを順次に積層した構造を持ち、たとえば、薄膜トランジスタ(TFT)として具現することができる。有機発光素子は、発光方向によってトップエミッション型とバックエミッション型とに大別できる。トップエミッション型有機発光素子の場合は、有機発光素子が配置されている基板から離れる方向、すなわち、カソードの方向に画像形成されるように発光される。このため、基板の方向に画像が形成されるように発光されるバックエミッション型有機発光素子に比べて、トップエミッション型有機発光素子は開口率を大きくとることができ、これにより発光効率が高い。しかし、有機発光素子の上部に形成されるカソードを透明にする必要があるが、カソードの透明性の改善には限界がある。すなわち、カソードはアノードより低い仕事関数を持つ必要があるが、金属のように低い仕事関数を持つ物質は、一般に、光透過率が低い。
【0004】
従来の透明型カソードは、仕事関数の低い金属の薄膜で形成されている。しかしながら、前記の金属は低い光透過率を有するので、発光効率の改善には限界がある。
【0005】
このようなトップエミッション型発光構造の光透過率改善の限界のために、発光層で発光した光を増幅させるマイクロキャビティが提案されたことがある。しかし、色が異なればマイクロキャビティを起こす理想的な厚さが異なるために、アノードとカソードとの間に介在する有機層の厚さを変化させる必要がある。すなわち、有機発光層においては、アノードから注入される正孔と、カソードから注入される電子が再結合してエキシトンが形成されることによって発光がなされるので、各色別にエキシトンとの距離及び共振の理想的厚さを調節するために、有機層、特に、正孔または電子の注入層あるいは正孔または電子の輸送層の厚さを変化させる方法が試みられてきた。この方法によると、蒸着した有機層の厚さを変化させるためには、それぞれの色に対して独立したマスクが必要となる。このような独立した蒸着は、製造工程に関して、工程を複雑にし、かつ高コストを発生させるという短所がある。
【0006】
またディスプレー装置の解像度が高くなるほど、マスクを微細ピッチパターンの形成が難しくなり、大面積ディスプレー装置に独立した蒸着を適用することが難しくなる。
【0007】
また、正孔層や電子層の厚さが変ると、素子の電気的特性が悪くなる恐れがあるので、このような有機層の厚さは単純に光学的効率だけでは決定できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述したような問題点を解決するために、画像を形成する光がカソードの方向に発光される場合に、共振構造の必要がない高い発光効率を有するトップエミッション型有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、前記アノード上に形成された発光層を備える有機層と、前記有機層上に形成された前記有機層の発光層から発光された光が透過するカソードと、を備え、前記カソードは、金属酸化物からなる金属酸化物層、前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層及びバッファ層を備える有機発光素子を提供する。
【0010】
前記金属酸化物層は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、SnO、AZO及びCa12Alからなる群から選択された物質を含む。
【0011】
前記金属層は、1ないし4.5eVの範囲の仕事関数を持つ金属を含む。このとき、前記金属層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Ca及びInからなる群から選択された一つ以上の金属を含む。一方、前記金属層の厚さは、50Åないし150Åの範囲にある。
【0012】
前記バッファ層は、有機双極子物質を含む。
【0013】
前記バッファ層は、フラーレン、金属含有フラーレン系錯体、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、カルビン、MgC60、SrC60、CaC60、C60、C70、MgO及びYbOからなる群から選択された一つ以上の物質を含む。
【0014】
前記バッファ層の厚さは、20Å以下である。
【0015】
前記カソードは、85%以上の光透過率を持つ。
【0016】
前記カソードは、0.001Ω/□ないし1000Ω/□の範囲の抵抗を持つ。
【0017】
前記カソードは、1eVないし6eVの範囲の仕事関数を持つ。
【0018】
前記有機発光素子のバッファ層と金属層との間に電子注入層をさらに備える。このとき、前記電子注入層は、BaF、LiF、NaF、MgF、AlF、CaF、NaCl、CsF、LiO、BaO及びLiqからなる群から選択された一つ以上を含む。前記電子注入層の厚さは、10Å以下である。
【0019】
前記有機発光素子は、前記金属層と前記金属酸化物層との間に中間層をさらに備える。このとき、前記中間層は、1ないし5eVの範囲の仕事関数を持つ金属または2つ以上の金属からなる合金を含む。前記中間層は、In、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上の金属を含む。一方、前記中間層の厚さは、1Åないし200Åの範囲にある。
【0020】
前記アノードは、反射層をさらに備える。このとき、前記反射層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir及びCrからなる群から選択された一つ以上を含む。一方、前記アノード物質は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物及びインジウム亜鉛酸化物からなる群から選択された物質を含む。
【0021】
本発明の他の側面によると、本発明は、正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、前記アノード上に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成されたバッファ層と、前記バッファ層上に形成された、前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層と、前記金属層上に形成された金属酸化物からなる金属酸化物層と、を備える有機発光素子を提供する。各層についての詳細な説明は上記の通りである。
【0022】
本発明のさらに他の側面によると、本発明は、正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、前記アノード上に形成された発行層を備える有機層と、前記有機層上に形成された前記有機層の発光層から発光された光が透過するカソードと、を備え、前記カソードは、金属酸化物からなる金属酸化物層と、前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属とバッファ物質を含む複合層と、を備える有機発光素子を提供する。各層についての詳細な説明は上記の通りである。
【0023】
前記複合層の厚さは、60Åないし170Åの範囲とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の発光装置によれば、トップエミッション型発光構造において、マイクロキャビティ構造を採用せずとも光取出効率を増大させ、駆動電圧を低めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【0027】
図1から分かるように、本発明の一実施形態による有機発光素子は、基板1上に順次に積層されたアノード2、有機層3及びカソード4を含む。
【0028】
このような有機発光素子においては、アノード2から注入された正孔と、カソード4から注入された電子が有機層3中で再結合して光が発生する。有機層3で発生した光は、カソード4の方向、すなわち、図1の矢印の方向に発光されてカソード4の上方に画像が形成される。これを以下ではトップエミッション型構造という。
【0029】
前記のようなトップエミッション型構造では、前記カソード4は、前記有機層3上に順次積層された、バッファ層43、金属層41及び金属酸化物層42を含む。
【0030】
前記基板1は、ガラス材料、プラスチック材料、または金属材料から作製することができる。この基板1には、薄膜トランジスタ(TFT)とキャパシタを組み合わせたピクセル回路を配置することができる。
【0031】
前記基板1上に形成された前記アノード2は、外部電源に接続されて前記有機層3に正孔を提供する。前記アノード2は、仕事関数の絶対値が十分に大きいインジウム酸化物(InO)、インジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛酸化物(ZnO)及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)といった絶対値が大きな仕事関数を持つ物質を含むことができる。
【0032】
前記カソード4は外部電源に接続されて前記有機層3に電子を提供する。前記カソード4は前記アノード2を形成する物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層41を含むことができる。例えば、前記金属層41をなす金属の仕事関数は1eVないし4.5eVの範囲、望ましくは、2eVないし4.2eVの範囲であるができるが、これに限定されるものではない。仕事関数は、前記アノード2を基にして選ぶことができる。さらに具体的には、前記金属層41はAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Ca及びInからなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。前記金属層41は、前記アノード2に対して、仕事関数を調節する層として機能する。
【0033】
ところが、図1に示したように、画像を形成する光がカソード4に向かって有機相3から発光される時、光はカソード4を容易に透過することが要求される。このために、前記金属層41の厚さは最小にしなければならない。例えば、前記金属層41の厚さは50Åないし150Åの範囲、望ましくは、60Åないし80Åの範囲であるが、これに限定されるものではない。前記金属層41の厚さはカソード4の光透過率及び抵抗特性を考慮して前記の範囲で調整することができる。
【0034】
しかし、有機発光素子の全ピクセルにわたって前記金属層41が前記のように薄膜として形成される場合、面抵抗またはライン抵抗による電力損失が顕著になる。この問題を補償するために、補助電極として前記金属酸化物層42が前記金属層41上に形成される。前記金属酸化物層42を形成する物質は、電子が容易に注入されるように非常に高い仕事関数を持つことができる。例えば、2eVないし4.5eVの範囲の仕事関数、望ましくは、2.5eVないし4.5eVの範囲の仕事関数を持つ物質を利用できるが、これに限定されるものではない。
【0035】
前記金属酸化物層42としては、高い透過率と導電率を持つインジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、SnO、AZO、Ca12Al、またはこのうち2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0036】
前記金属酸化物層42の厚さは約100Åないし3000Åの範囲とすることができる。
【0037】
ところが、前記金属層41及び前記金属酸化物層42から形成されたカソード4は、背景技術で述べたように光取出効率が悪くなって、従来はマイクロキャビティ構造を用いた光共鳴が利用されてきた。
【0038】
しかし、電子注入効率は、バッファ物質を含むバッファ層43を有機層3と金属層41との間に介在させて増大させることができる。前記バッファ層43は双極子物質から形成することができる。さらに具体的には、有機双極子物質から形成された前記バッファ層43は、電子を引き寄せる。すなわち、前記カソード4、特に金属層41に電界をかけると、バッファ層43の分子が、一端は正の極性、他端は負の極性を帯びるので、電子をスムーズに注入することができる。これにより、正孔と電子との結合を促進することができる。この結果、マイクロキャビティ構造を使用しなくても発光効率を高めることができる。したがって、画像を形成するとともに、光効率を改善することができる。
【0039】
本発明によれば、トップエミッション型発光構造を製作する工程は、バッファ層43を形成することにより、単純化することができる。
【0040】
前記バッファ層43は、カーボン系化合物を含むことができる。さらに具体的には、前記バッファ層43は、フラーレン、金属含有フラーレン系錯体、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、カルビン、MgC60、SrC60、CaC60、C60、C70、MgO及びYbOからなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
前記バッファ層43の厚さは20Å以下、望ましくは、5Åないし20Åの範囲とすることができる。前記バッファ層43がこの範囲の厚さを有する場合、カソード4の光透過率及び抵抗特性が効果的に向上できる。
【0042】
前記カソード4は85%以上、望ましくは90%以上の光透過率を持つことができる。これにより、前記カソード4を備えた電気素子はすぐれた外部発光効率を持つことができる。
【0043】
また、前述したようなカソード4は、0.001Ω/□ないし1000Ω/□の範囲の抵抗、望ましくは0.001Ω/□ないし100Ω/□の範囲の抵抗を持つことができる。これにより、前記カソード4はすぐれた導電性を持つことができる。また、前記カソード4は、1.0eVないし6.0eVの範囲の仕事関数、望ましくは2.0eVないし5.0eVの範囲の仕事関数を持つことができる。これにより、前記カソード4は優秀な電子注入性能を持つことができる。したがって、前記カソード4を備えた有機発光素子はすぐれた内部発光効率を持つことができる。
【0044】
図2は、図1の有機発光素子の有機層3をさらに詳細に示したものである。
【0045】
前記有機層3は発光層32を備える。この発光層32とアノード2との間に正孔注入輸送層31が介在させられ、発光層32とカソード4との間に電子注入輸送層33が介在させられる。
【0046】
発光層を形成するために通常使われる物質を、発光層32を形成するために使うことができる。また、公知のホスト及びドーパントを使用できる。例えば、前記発光層32は、Alq、CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル)、PVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール))、DSA(ジスチリルアリーレン)といったホスト;オキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP))、スピロ化合物(Spiro−DPVBi,Spiro−6P)、ビス(スチリル)アミン(DPVBi,DSA)、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、TBPeといった青色ドーパント;クマリン6、C545T、キナクリドン、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)といった緑色ドーパント;PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)、Eu(テノイルトリフルオロアセトン)(Eu(TTA)、ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン){DCJTB}といった赤色ドーパントを含むことができる。
【0047】
前記ドーパントの量は、発光層形成材料100重量部(すなわち、ホストとドーパントの総重量は100重量部とする)を基準として0.1ないし20重量部の範囲、好ましくは0.5〜12重量部の範囲にあることができる。ドーパントの量が前述したような範囲にある場合、濃度消光を実質的に防止することができる。
【化1】

【化2】

【0048】
または、前記発光層32は、ポリフェニレンビニレン(PPV)系高分子及びその誘導体、ポリフェニレン(PPP)系高分子及びその誘導体、ポリチオフェン(PT)系高分子及びその誘導体、ポリフルオレン(PF)系高分子及びその誘導体及びポリスピロフルオレン(PSF)系高分子及びその誘導体からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0049】
正孔注入輸送層31は、アノード2上に正孔注入層(HIL)311、正孔輸送層(HTL)312が積層された構造を持つことができる。図2は両方の相を備えた構造を示しているが、このうちいずれか1層のみ備えてもよい。この時に使われる材料は、公知の正孔注入材料及び/または正孔輸送材料が適用される。
【0050】
前記正孔注入層311を形成する物質には制限はなく、銅フタロシアニン(CuPc)、TCTAやm−MTDATAのような星形アミン誘導体、Pani/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)またはPEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸塩))、Pani/CSA(ポリアニリン/キャンパースルホン酸)またはPANI/PSS(ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホン酸塩))などの可溶性かつ導電性ポリマーを使用できる。
【化3】

【0051】
前記正孔注入層(HIL)311の厚さは、100Åないし10000Åの範囲、望ましくは100Åないし1000Åの範囲でありうる。前記HIL311の厚さが前述したような範囲を満たす場合、すぐれた正孔注入特性を得ることができ、駆動電圧上昇を実質的に防止することができる。
【0052】
前記正孔輸送層312を形成する物質は制限はなく、正孔を輸送するカルバゾール基及び/またはアリールアミン基を持つ化合物、フタロシアニン系化合物及びトリフェニレン誘導体からなる群から選択された一つ以上を含む物質からなりうる。さらに具体的には、前記正孔輸送層312は、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルベンゼン、4,4’−ビスカルバゾリル−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−日)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−(1、1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(NPB)、IDE320(出光社製)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFB)及びポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−(4−ブチルフェニル−ビス−N,N−フェニル−1、4−フェニレンジアミン)(PFB)及びポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−ビス−N,N−(4−ブチルフェニル)−ビス−N,N−フェニルベンジジン)(BFE)からなる化合物のうち一つ以上からなりうるが、これに限定されるものではない。
【化4】

【0053】
前記HTL312の厚さは50Åないし1000Åの範囲、望ましくは100Åないし600Åの範囲でありうる。前記HTL312の厚さが前述したような範囲を満たす場合、すぐれた正孔輸送特性を得ることができ、駆動電圧の上昇を実質的に防止することができる。
【0054】
前記正孔注入輸送層31は電子ブロック層(EBL)をさらに備えて寿命をさらに伸ばすことができる。
【0055】
一方、図2には示されていないが、発光層32が燐光ドーパントを含む場合、三重項励起子または正孔が電子輸送層331へ拡散するのを防止するために、正孔ブロック層(HBL)を発光層32上に形成できる。この時に使用できる正孔ブロック層物質は制限はなく、公知の正孔ブロック層物質でよい。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、またはJP11−329734(A1)に開示されている正孔ブロック材料、Balq、BCPなどを利用できる。
【0056】
前記正孔抑制層の厚さは約50Åないし1000Åの範囲、望ましくは100Åないし300Åの範囲でありうる。前記正孔ブロック層の厚さが前述した範囲を満たす場合、すぐれた正孔ブロック特性を得ることができ、駆動電圧上昇を実質的に防止することができる。
【0057】
一方、前記電子注入輸送層33は、電子注入層(EIL)332、電子輸送層(ETL)331を備えることができるが、図2に示したように、これら両方の層が積層された構造であってもよく、そのうちいずれか1層のみ備えた構造であってもよい。この時、有機発光素子の電子注入輸送層として通常使われる材料を用いることができる。
【0058】
前記ETL331の厚さは、約100Åないし1000Åの範囲、望ましくは100Åないし500Åの範囲でありうる。前記ETL331の厚さが前述したような範囲を満たす場合、すぐれた電子輸送特性を得ることができ、駆動電圧の上昇を実質的に防止できる。
【0059】
前記ETL331は、発光層32上に電子輸送物質を真空蒸着またはスピンコーティングしてETLを形成するのに用いられる物質から成る。この物質は制限はなく、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、TAZ、Bebq2(ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)のような公知の材料を含むことができる。
【0060】
電子注入層332は電子輸送層331上に、真空蒸着法またはスピンコーティング法などを利用して形成できる。前記電子注入層332の形成物質としては、BaF、LiF、NaF、MgF、AlF、CaF、NaCl、CsF、LiO、BaO、Liqなどを利用できるが、これに限定されるものではない。
【0061】
一方、バッファ層43を備える場合、図3から分かるように、電子注入輸送層が電子輸送層331のみ備え、電子注入層がない場合、同等レベルの発光効率を得ることができるので構造が単純になりうる。
【0062】
図4は、本発明のさらに他の実施形態による概略的断面図を示したものである。
【0063】
前述した一実施形態と同様に、基板1上にアノード2が形成され、このアノード2上に正孔注入層311及び正孔輸送層312を備える正孔注入輸送層31が形成されている。そして、正孔注入輸送層31上に発光層32が形成され、発光層32上に電子輸送層331が形成されている。
【0064】
この電子輸送層331上にバッファ層43が形成され、バッファ層43上に電子注入層332が形成される。そして、電子注入層332上に金属層41と金属酸化物層42とが順に形成される。
【0065】
前記電子注入層332の厚さは10Å以下、望ましくは3Åないし10Åの範囲でありうる。前記電子注入層332の厚さが前述したような範囲を満たす場合、カソード4の光透過率及び抵抗特性が効果的に向上できる。
【0066】
ここで、カソードの仕事関数に対するアノードの仕事関数の比は金属層41によって調整され、金属酸化物層42は金属層41の導電性を補償する。この時、前記バッファ層43が電子注入層332と電子輸送層331との間に介在されているので、前述したようにマイクロキャビティ構造を利用しなくても発光効率を増大させることができる。
【0067】
一方、図1及び2には図示されていないが、金属層41と金属酸化物層42との間にはさらに中間層介在することができる。前記中間層は、金属層41と金属酸化物層42との間のオーミックコンタクトを改善することができる。
【0068】
そのために、前記中間層は1.0eVないし5.0eVの範囲の仕事関数、望ましくは2.0eVないし3.5eVの範囲の仕事関数を持つ物質を含むことができる。
【0069】
例えば、前記中間層はIn、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0070】
前記中間層の厚さは1Åないし200Åの範囲、望ましくは、40Åないし100Åの範囲でありうる。前記中間層の厚さが前述したような範囲を満たす場合、カソード4の光透過率及び抵抗特性は効果的に改善することができる。
【0071】
図5は、本発明のさらに他の実施形態を図示したものである。
【0072】
本実施形態も前述した一実施形態と同様に、基板1上にアノード2が形成され、このアノード2上に正孔注入層311及び正孔輸送層312を備える正孔注入輸送層31が形成されている。そして、正孔注入輸送層31上に発光層32が形成され、発光層32上に電子輸送層331及び電子注入層332を備える電子注入輸送層33が形成されている。
【0073】
この電子注入輸送層33上にバッファ物質と金属とを含む複合層44が形成される。この複合層44はように備えられ、これらを共蒸着して形成できる。バッファ物質は、前述したようなバッファ層43をなす物質と同一であり、金属は前述したような金属層41をなす物質と同一である。
【0074】
前記複合層44の厚さは60Åないし120Åの範囲でありうる。前述したような厚さ範囲を満たす場合、カソード4の光透過率及び抵抗特性が効果的に向上できて、発光効率が増加する。
【0075】
このように複合層44が含まれる場合、図6から分かるように、電子注入層332は含まれなくてもよい。
【0076】
一方、図5には図示されていないが、金属酸化物層42と複合層44との間にはさらに中間層が介在されうる。前記中間層は、金属酸化物層42と複合層44との間のオーミックコンタクトを改善することができる。
【0077】
そのために、前記中間層は1.0eVないし5.0eVの範囲の仕事関数、望ましくは2.0eVないし3.5eVの範囲の仕事関数を持つ物質を含むことができる。
【0078】
例えば、前記中間層はIn、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
前記中間層の厚さは1Åないし200Åの範囲、望ましくは、40Åないし100Åの範囲でありうる。前記中間層の厚さが前述したような範囲を満たす場合、カソード4はすぐれた光透過率及び抵抗特性を効果的に改善することができる。
【0080】
一方、アノード2は、図7から分かるように、基板1上に形成された反射層22と、この反射層22上に形成されて正孔注入輸送層31に正孔を提供するアノード物質層21とで備えることができる。
【0081】
前記アノード物質層21としては、前述したように仕事関数の絶対値が十分に大きいインジウム酸化物(InO)、インジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛酸化物(ZnO)及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)からなる群から選択された物質を含むことができる。
【0082】
そして、反射層22には、光反射率の良いAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物からなる群から選択された物質を含ませることができる。
【0083】
一方、このようなアノード2の構造は、図8から分かるように、アノード物質層21と同じ物質からなる層23を反射層22の下に配置して、サンドウィッチ構造を作ってもよい。
【0084】
前記のような構造は、図9のようなパッシブマトリックス型(PM)のトップエミッション有機発光表示装置や、図10のようなアクティブマトリックス型(AM)のトップエミッション有機発光表示装置に適用できる。図9及び図10の実施形態は、図1の一実施形態を適用したものであり、従って、図2ないし図8の実施形態も適用することができる。
【0085】
まず、図9を参照すれば、パッシブマトリックス型有機発光表示装置において、基板1上にアノード2がストライプパターンで形成されており、このアノード2上に内部絶縁層24が形成されている。そして、内部絶縁膜24上には有機層3及びカソード4のパターニングのために、アノード2に直交するようにセパレータ25が形成される。このセパレータ25により、有機層3及びカソード4はアノード2と交差するようにパターニングされる。前記アノード2上には密封部材(図示せず)が備えられて、有機発光素子を外気から遮断する。前記セパレータ25なしにパターニングされたマスクにより有機層3及びカソード4をパターニングしてもよい。
【0086】
パッシブマトリック型有機発光表示装置の場合にも、マイクロキャビティ構造を使わずに効果的に光取出効率を高めることができ、これにより適正レベルの発光効率が得られる。
【0087】
一方、図10を参照すれば、アクティブマトリックス型有機発光表示装置においては、基板1上に薄膜トランジスタ(TFT)を備えるピクセル回路(図示せず)が形成されている。このピクセルは少なくとも一つのTFTを備えており、TFTは有機発光素子に電気的に結合される。
【0088】
具体的には、前記基板1上にバッファ層11が形成され、バッファ層11上に所定パターンの半導体活性層12が備えられる。前記活性層12上にはSiO、SiNxなどで形成されるゲート絶縁膜13が形成され、ゲート絶縁膜13の上部の所定領域にはゲート電極14が形成される。前記ゲート電極14は、TFTオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と結合されている。前記ゲート電極14上には層間絶縁膜15が形成され、コンタクトホールを通じてソース電極16a及びドレイン電極16bがそれぞれ活性層12のソース/ドレイン領域に接するように形成される。
【0089】
前記のように形成されたTFTは平坦化層17で覆われて保護されるが、この平坦化層17は、その上面にアノード2が容易に形成されるように、上面を平坦に形成させることができる。
【0090】
この平坦化層17上にアノード2が形成され、これを覆うように絶縁物で画素定義層18が形成される。この画素定義層18に所定の開口を形成し、この開口を通じてアノード2を露出させる。露出されたアノード2の上には有機層3を蒸着し、カソード4を蒸着する。有機層3及びカソード4の物質及び構成は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0091】
このようなアクティブマトリックス型有機発光ディスプレー装置においても、マイクロキャビティ構造を使用せずに効果的に光取出効率を高めることができ、これにより適正なレベルの発光効率を引出すことができる。
【0092】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0093】
<製造例1>
次の構造を持つ電子のみ素子を製作した:基準電極(MgAg層(18nm)/LiF電子注入層(0.5nm))/Bebq2電子輸送層(60nm)/LiF電子注入層(0.5nm)/MgAg層(18nm))
前記電子のみ素子は電子のみ流れる素子であって、前記構造を持つ素子の各層を、真空蒸着法を利用して順次ガラス基板上に蒸着することによって形成される。MgAg層はMg:Agを10:1の比で共蒸着して形成される。
【0094】
<製造例2>
次の構造を持つ電子のみ素子を製作した:電極1(InO金属酸化物層(100nm)/Mg金属層(5nm)/LiF電子注入層(0.5nm))/Bebq2電子輸送層(30nm)/基準電極(LiF電子注入層(0.5nm)/MgAg層(18nm))
前記電子のみ素子は電子のみ流れる素子であり、前記構造を持つ素子の各層を、真空蒸着法を利用して順次ガラス基板上に蒸着することによって、形成される。MgAg層はMg:Agを10:1の比で共蒸着して形成される。
【0095】
<製造例3>
次の構造を持つ電子のみ素子を製作した:電極2(InO金属酸化物層(100nm)/LiF電子注入層(0.5nm)/C60バッファ層(3nm))/Bebq2電子輸送層(30nm)/基準電極(LiF電子注入層(0.5nm)/MgAg層(18nm))
前記電子のみ素子は、電子のみ流れる素子であり、前記構造を持つ素子の各層を真空蒸着法を利用して順次ガラス基板上に蒸着することによって、形成される。一方、MgAg層はMg:Agを10:1で共蒸着して形成される。
【0096】
<製造例4>
次の構造を持つ電子のみ素子を製作した:電極3(InO金属酸化物層(100nm)/Mg金属層(5nm)/LiF電子注入層(0.5nm))/C60バッファ層(3nm))/Bebq2電子輸送層(30nm)/基準電極(LiF電子注入層(0.5nm)/MgAg層(18nm))
前記電子のみ素子は電子のみ流れる素子であり、前記構造を持つ素子の各層を、真空蒸着法を利用して順次ガラス基板上に蒸着することによって、形成される。MgAg層はMg:Agを10:1で共蒸着して形成される。
【0097】
<評価例1>
前記製造例1ないし4から得た有機発光素子の電流−電圧特性を標準電圧電流発生器(Keithley 238 source−measure unit)を利用して評価して、結果を図11に示した。図11によれば、製造例4によって製作した、InO金属酸化物層(100nm)/Mg金属層(5nm)/LiF電子注入層(0.5nm))/C60バッファ層(3nm)の構造を持つ本発明の電極3を備えたの有機発光素子が最もすぐれた電流密度特性を持つ。これにより、本発明による電極3はすぐれた電子注入特性を持つことがわかる。
【0098】
<比較例1>
次のような構造を持つ有機発光素子を製作した:ITOアノード/CuPc正孔注入層(60nm)/NPD正孔輸送層(30nm)/DSA+3wt%TBPe青色発光層(25nm)/Balq正孔抑制層(5nm)/Bebq電子輸送層(20nm)/カソード(LiF電子注入層(1nm)/MgAg層(100nm))
まず、15Ω/cm(1000Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmサイズに切ってアセトンイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、これらを30分間UVオゾン洗浄してITOアノードが備えられた基板を製作した。
【0099】
前記ITOアノードの上に正孔注入物質であるCuPcを60nm厚さに蒸着させて正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上部に正孔輸送物質であるNPDを30nm厚さに蒸着させて正孔輸送層を形成した。
【0100】
前記正孔輸送層の上部にDSA(サムソン エス ディー アイ(Samsung SDI Co., Ltd.)自体が合成)及びTBPe(サムソン エス ディー アイ(Samsung SDI Co., Ltd.)自体が合成)を25nm厚さに蒸着(この時、DSA 100重量部当りTBPe3重量部を含ませる)させて青色発光層を形成した後、前記青色発光層の上にBalqを5nm厚さに蒸着させての正孔ブロック層を形成した。この後、前記正孔ブロック層の上にAlq3を20nm厚さに蒸着させての電子輸送層を形成した後、前記正孔輸送層の上にLiFを1nm厚さに蒸着させての電子注入層を形成した。Mg:Agを10:1の比で100nm厚さに共蒸着してMgAg層を形成することによってカソードを製作した。
【0101】
<実施例1>
カソードとして、LiF電子注入層(1nm)/MgAg層(100nm)の構造を持つ電極の代わりに、C60バッファ層(3nm)/LiF電子注入層(1nm)/Mg金属層(5nm)/InO金属酸化物層(100nm)の構造を持つ電極を形成したという点を除いては、前記比較例1と同じ方法で次のような構造を持つ有機発光素子を製作した:ITOアノード/CuPc正孔注入層(60nm)/NPD正孔輸送層(30nm)/DSA+3wt%TBPe青色発光層(25nm)/Balq正孔抑制層(5nm)/Bebq2電子輸送層(20nm)/カソード(C60バッファ層(3nm)/LiF電子注入層(1nm)/Mg金属層(5nm)/InO金属酸化物層(100nm))
<評価例2>
前記比較例1及び実施例1の有機発光素子の電流−電圧特性を、標準電圧電流発生器(Keithley 238 source−measure unit)を利用して評価し、その結果を図12に示した。図12によれば、本発明の実施例1の有機発光素子が比較例1の有機発光素子に比べて、すぐれた電流密度特性及び効率特性を持つ。
【0102】
一方、実施例1の有機発光素子の電流効率は約6.5cd/Aであり、この有機発光素子はすぐれた電気的特性を持つ。
【0103】
本発明は実施形態を参考として具体的に図示し、説明してきたが、当業者ならば、請求項で定義される本発明の精神および範囲から外れることなく、形態及び詳細の多様な変形が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、有機発光素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態による有機発光素子の概略的断面図である。
【図7】本発明の一実施形態による有機発光素子のアノードの断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態による有機発光素子のアノードの断面図である。
【図9】図1の有機発光素子が適用されたパッシブマトリックス型有機発光ディスプレー装置の概略的断面図である。
【図10】図1の有機発光素子が適用されたアクティブマトリックス型有機発光ディスプレー装置の概略的断面図である。
【図11】製造例1ないし4で作製された有機発光素子の電流密度特性を示すグラフである。
【図12】比較例1及び実施例1で作製された有機発光素子の電流密度特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0106】
1 基板
2 アノード
3 有機層
4 カソード
41 金属層
42 金属酸化物層
43 バッファ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、
前記アノード上に形成された発光層を備える有機層と、
前記有機層上に形成された前記有機層の発光層から発光された光が透過するカソードと、を備え、
前記カソードは、金属酸化物からなる金属酸化物層、前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層及びバッファ層を備える、
有機発光素子。
【請求項2】
前記金属酸化物層は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、SnO、AZO及びCa12Alからなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記金属層は、1ないし4.5eVの範囲の仕事関数を持つ金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記金属層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Ca及びInからなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記金属層の厚さは、50Åないし150Åの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記バッファ層は、有機双極子物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記バッファ層がフラーレン、金属含有フラーレン系錯体、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、カルビン、MgC60、SrC60、CaC60、C60、C70、MgO及びYbOからなる群から選択された一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記バッファ層の厚さは、20Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記カソードは、85%以上の光透過率を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記カソードは、0.001Ω/□ないし1000Ω/□の範囲の抵抗を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記カソードは、1eVないし6eVの範囲の仕事関数を持つことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記バッファ層と前記金属層との間に電子注入層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記電子注入層は、BaF、LiF、NaF、MgF、AlF、CaF、NaCl、CsF、LiO、BaO及びLiqからなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記電子注入層の厚さは、10Å以下であることを特徴とする請求項12に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記金属層と前記金属酸化物層との間に中間層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記中間層は、1ないし5eVの範囲の仕事関数を持つ金属、または2つ以上の前記金属からなる合金を含むことを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
【請求項17】
前記中間層は、In、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記中間層の厚さは、1Åないし200Åの範囲にあることを特徴とする請求項15に記載の有機発光素子。
【請求項19】
前記アノードは、反射層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項20】
前記反射層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir及びCrからなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項19に記載の有機発光素子。
【請求項21】
前記アノード物質は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物及びインジウム亜鉛酸化物からなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項22】
正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、
前記アノード上に形成された有機発光層と、
前記有機発光層上に形成されたバッファ層と、
前記バッファ層上に形成された、前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属からなる金属層と、
前記金属層上に形成された金属酸化物からなる金属酸化物層と、
を備えることを特徴とする有機発光素子。
【請求項23】
前記金属酸化物層は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、SnO、AZO及びCa12Alからなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項24】
前記金属層は、1ないし4.5eVの範囲の仕事関数を持つ金属を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項25】
前記金属層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Ca及びInからなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項26】
前記金属層の厚さは、60Åないし150Åの範囲にあることを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項27】
前記バッファ層は、有機双極子物質を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項28】
前記バッファ層は、フラーレン、金属含有フラーレン系錯体、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、カルビン、MgC60、SrC60、CaC60、C60、C70、MgO及びYbOからなる群から選択された一つ以上の物質を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項29】
前記バッファ層の厚さは、20Å以下であることを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項30】
前記バッファ層と前記金属層との間に電子注入層をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項31】
前記電子注入層は、BaF、LiF、NaF、MgF、AlF、CaF、NaCl、CsF、LiO、BaO及びLiqからなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項32】
前記電子注入層の厚さは、10Å以下であることを特徴とする請求項30に記載の有機発光素子。
【請求項33】
前記金属層と前記金属酸化物層との間に中間層をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項34】
前記中間層は、1ないし5eVの範囲の仕事関数を持つ金属または2つ以上の前記金属からなる合金を含むことを特徴とする請求項33に記載の有機発光素子。
【請求項35】
前記中間層は、In、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上の金属を含むことを特徴とする請求項33に記載の有機発光素子。
【請求項36】
前記中間層の厚さは、1Åないし200Åの範囲にあることを特徴とする請求項33に記載の有機発光素子。
【請求項37】
前記アノードは、反射層をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項38】
前記反射層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir及びCrからなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項37に記載の有機発光素子。
【請求項39】
前記アノード物質は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物及びインジウム亜鉛酸化物からなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機発光素子。
【請求項40】
正孔を注入するアノード物質を含むアノードと、
前記アノード上に形成された発光層を備える有機層と、
前記有機層上に形成された前記有機層の発光層から発光された光が透過するカソードと、を備え、
前記カソードは、
金属酸化物からなる金属酸化物層と、
前記アノード物質より仕事関数の絶対値の小さな金属とバッファ物質を含む複合層と、
を備える有機発光素子。
【請求項41】
前記金属酸化物層は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、SnO、AZO及びCa12Alからなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項42】
前記金属は、1ないし4.5eVの仕事関数を持つことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項43】
前記金属は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Ca及びInからなる群から選択されたことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項44】
前記バッファ物質は、有機双極子物質を含むことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項45】
前記バッファ物質は、フラーレン、金属含有フラーレン系錯化合物、炭素ナノチューブ、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カルビン、MgC60、SrC60、CaC60、C60、C70、MgO及びYbOからなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項46】
前記複合層の厚さは、60Åないし170Åの範囲にあることを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項47】
前記複合層と前記金属酸化物層との間に中間層をさらに備えることを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項48】
前記中間層は、1ないし5eVの範囲の仕事関数を持つ金属または2つ以上の前記金属からなる合金を含むことを特徴とする請求項47に記載の有機発光素子。
【請求項49】
前記中間層は、In、Ag、Al、Ca及びMgからなる群から選択された一つ以上を含むことを特徴とする請求項47に記載の有機発光素子。
【請求項50】
前記中間層の厚さは、1Åないし200Åの範囲にあることを特徴とする請求項47に記載の有機発光素子。
【請求項51】
前記アノードは、反射層をさらに備えることを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。
【請求項52】
前記反射層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、及びこれらの化合物からなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項51に記載の有機発光素子。
【請求項53】
前記アノード物質は、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物、亜鉛酸化物及びインジウム亜鉛酸化物からなる群から選択された物質を含むことを特徴とする請求項40に記載の有機発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−16332(P2009−16332A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301907(P2007−301907)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年5月23日〜25日 情報ディスプレイ学会主催の「2007年国際シンポジウム」に文書をもって発表
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】