説明

有機EL装置

【課題】光取り出し効率が向上する配光制御した有機EL装置を提供する。
【解決手段】基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40(14,16,18)と、有機EL層40(14,16,18)上に配置された第2電極層20とを備え、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置に関し、特に、配向制御した有機EL装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光素子として有機EL(EL:Electroluminescence)素子を用いた表示装置や照明装置が実用化に向けて開発が進められている。このような有機EL素子は、一般的には、ガラス基板、透明プラスチックフィルムなどの透明支持基板上に陽極である透明電極と、有機層と、陰極である金属電極を順に積層して作製される。
【0003】
透明電極と金属電極との間に印加された電圧により、陰極から供給された電子と、陽極から供給された正孔とが有機層内で再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際にEL発光する。EL発光した光は、透明電極を透過し、透明支持基板の側から外部に取り出される((例えば、特許文献1〜3を参照。)。
【0004】
最近では、高輝度を得るために、複数の有機EL層を電荷発生層を介して積層させる、マルチフォトンエミッション(Multi Photon Emission;MPE)といわれる構造のものが提案されている((例えば、特許文献4を参照。)。
【0005】
有機EL装置を照明に用いる場合、輝度・寿命の向上のためには、MPE構造が適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/010634号
【特許文献2】特開2009−9861号公報
【特許文献3】特開2002−260845号公報
【特許文献4】特開2003−045676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の有機EL素子においては、基板外部に射出された光(便宜的に正面輝度という)に基づいて、輝度測定の条件設定がなされていた。
【0008】
一般的に、全反射成分を減らすために、基板内部の配光は、前方に突出した形状となり、必ずしも光の総量(全光束)としては最大化されてはいなかった。
【0009】
したがって、従来の有機EL素子においては、有機層で生じた光を外部に十分に取り出すことができないという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、光取り出し効率が向上する配光制御した有機EL装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0013】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0014】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された第2電極層とを備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層とを備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0017】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された第1電極層と、前記第1電極層上に配置された有機EL層と、前記有機EL層上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【0019】
本発明の他の態様によれば、光透過可能な基板と、前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層とを備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い有機EL装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光取り出し効率が向上する配光制御した有機EL装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)比較例に係る有機EL装置の模式的断面構造図、(b)図1(a)の基板内配光Jの配光特性例。
【図2】第1の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図3】第1の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図4】第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図5】第1の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図6】第1の実施の形態に係る有機EL装置の動作原理を説明する模式的断面構造図。
【図7】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、全光束φと発光位置‐カソード間距離Lとの関係を示す図。
【図8】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、全光束φが高い時の発光位置‐カソード間距離Lをパラメータとする輝度(cd/m2)と正面方向からの角度θ1(度)との関係を示す図。
【図9】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、全光束φが低い時の発光位置‐カソード間距離Lをパラメータとする輝度(cd/m2)と正面方向からの角度θ1(度)との関係を示す図。
【図10】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、素子正面反射率平均(リフレクタンス)について説明するための模式的断面構造図。
【図11】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、リフレクタンスと波長λとの関係を示す図。
【図12】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、反射率の異なる素子構造の説明図であって、(a)基板の発光面が平坦構造の模式的断面構造図、(b)凹凸部を有する光取り出しフィルムを備える構造の模式的断面構造図。
【図13】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、光取り出しフィルムによる向上度とリフレクタンスとの関係を示す図。
【図14】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、光取り出しフィルムを貼った場合に、繰り返し反射される反射光の効果を説明する模式的断面構造図。
【図15】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、光取り出しフィルムの模式的平面パターン構成図であって、(a)円形パターン例、(b)三角形を基調とする円形パターン例、(c)正方形パターン例、(d)長方形パターン例。
【図16】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、光取り出しフィルムの模式的断面構造図であって、(a)矩形構造例、(b)台形構造例、(c)三角形構造例、(d)半円形構造例。
【図17】(a)基板の発光面が平坦な構造例における基板内配光Jiと外部配光Joを説明する模式的断面構造図、(b)基板の発光面に凹凸面を備える構造例における基板内配光Jiと外部配光Joを説明する模式的断面構造図。
【図18】図17(a)に示す基板面平坦構造で、外部正面での輝度の最大化を図る比較例に係る有機EL装置の基板内配光Jiのパターン例。
【図19】図17(a)に示す基板面平坦構造で、外部正面での輝度の最大化を図る比較例に係る有機EL装置の外部配光Joのパターン例。
【図20】図17(b)に示す基板面凹凸構造で、外部正面での輝度の最大化を図る比較例に係る有機EL装置の外部配光Joのパターン例。
【図21】図17(a)に示す基板面平坦構造で、内部全光束最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置の基板内配光Jiのパターン例。
【図22】図17(a)に示す基板面平坦構造で、内部全光束最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置2の外部配光Joのパターン例。
【図23】図17(b)に示す基板面凹凸構造で、内部全光束最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置の外部配光Joのパターン例。
【図24】第1の実施の形態に係る有機EL装置において、有機EL層の膜厚を調整することで、配光特性を制御する様子を説明する配光パターン例。
【図25】第2の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図26】第2の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図27】第2の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図28】第2の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図29】第2の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図30】第2の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図31】第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図32】第2の実施の形態の変形例7に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図33】第2の実施の形態の変形例8に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図34】第2の実施の形態の変形例9に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図35】第3の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図36】第3の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図37】第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図38】第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図39】第3の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図40】第3の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図41】第3の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図42】第3の実施の形態の変形例7に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図43】第3の実施の形態の変形例8に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図44】第3の実施の形態の変形例9に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図45】第3の実施の形態の変形例10に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図46】第3の実施の形態の変形例11に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図47】第3の実施の形態の変形例12に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【図48】第3の実施の形態の変形例13に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0023】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0024】
(比較例)
比較例に係る有機EL装置2aは、図1(a)に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40と、有機EL層40上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、基板10は、一般的に使用されている屈折率1.5程度のガラス基板とする。
【0025】
例えば、比較例に係る有機EL装置2a内における光の挙動は、図1(a)中の矢印で示されるように、薄膜モード光(hνt)が約50%、基板モード光(hνs)が約30%、外部取り出し光(hνo)が約20%である。また、図1(b)に示すように、約45度以上の領域Aの光は、通常、基板―空気界面で全反射される。このため、図1(b)に示すように、全反射成分を減らすために、基板内部の配光特性は、前方に突出した形状としている。このため、比較例に係る有機EL装置2aの配光特性例は、必ずしも光の総量(全光束)としては最大化されていない。
【0026】
(有機EL装置)
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、図2に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40と、有機EL層40上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、基板内配光Jの配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されている。
【0027】
ここで、有機EL層40は、第1電極層12上に配置される正孔輸送層(HTL:Hole Transfer Layer)14と、正孔輸送層14上に配置される有機発光層(EML:Emission Layer)16と、有機発光層16上に配置される電子輸送層(ETL:Electron Transfer Layer)18とを備える。
【0028】
基板10は、光を透過する透明基板として、例えば、ガラス基板やガスバリア膜付プラスチックフィルムなどを適用することができる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度である。また、基板10には、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0029】
第1電極層12は、厚さが、例えば、約50nm〜500nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。また、第1電極層12は、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンースズ酸化物)、或いはPEDOTT−PSSで形成することもできる。また、第1電極層12は、Agなど金属の薄膜による半透明電極でも良い。
【0030】
有機EL層40は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、有機発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。ここで、有機EL層40は、有機発光層16を中心に正孔輸送層14および電子輸送層18からなり、積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層14有機発光層16および電子輸送層18の順序であっても、或いは電子輸送層18有機発光層16および正孔輸送層14の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0031】
正孔輸送層14は、第1電極層12から注入された正孔を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル−1−)N−フェニル−アミノ]−ビフェニルなどで形成することができる。
【0032】
有機発光層16は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、ドーパントとして、ルブレンや、遷移金属原子を含む錯体がドーピングされたアルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0033】
あるいは、有機発光層16の一部の層は、青色の発光種、例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル)が、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlqで形成されていても良い。
【0034】
あるいは、有機発光層16の一部の層は、緑色の発光種、例えば、ジメチルキナクリドンが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlqで形成されていても良い。
【0035】
あるいは、有機発光層16の一部の層は、赤色の発光種、例えば、ナイルレッドが、例えば、約1%程度ドーピングされた、厚さが、例えば、約30〜50nm程度のAlqで形成されていても良い。
【0036】
電子輸送層18は、第2電極層20から注入された電子を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、アルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0037】
なお、有機EL層40は、正孔輸送層14、電子輸送層18に加えて、例えば、正孔輸送層14に隣接した正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、電子輸送層18に隣接した電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)等を備えていても良い。
【0038】
第2電極層20は、材質が、例えば、Al、Agなどの高反射率を有する金属膜で形成することができる。
【0039】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、図1に示すように、基板10が発光面を有する透明基板で形成され、第2電極層20が金属層で形成されたボトムエミッションの構成を備えている。
【0040】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第1電極層12の表面より、斜めにボトムエミッション光を出すことによって、基板10内に放出された配光Jの光の総量(全光束)が向上する。
【0041】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、図2に示すように、基板10は、第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、ランダムな凹凸面42を備えていても良い。このように、基板10の発光面にランダムな凹凸面42を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、基板10の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も基板10の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。
【0042】
(変形例1)
第1の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図3に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備える。
【0043】
ここで、所定のパターン構造は、例えば、円形パターン、三角形を基調とする円形パターン、矩形パターン、長方形パターンのいずれかを有していても良い。
【0044】
第1の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。
【0045】
第1の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2においても、基板内配光Jの配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第1の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0046】
(変形例2)
第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、図4に示すように、有機EL層40が、1層以上の電荷発生層22と、2層以上の有機発光層16を有するMPE型構造を備える。
【0047】
第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、一般的に、図4に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる複数の発光ユニット401・402・…・40nと、複数の発光ユニット401・402・…・40nの内、積層方向の最上部に配設された発光ユニット40n上に配置された第2電極層20と、発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層221・222・…・22n-1とを備える。ここで、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0048】
ここで、複数の発光ユニット401・402・…・40nは、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142・…・14n、有機発光層161・162・…・16nおよび電子輸送層181・182・…・18nの順序であっても、或いは電子輸送層181・182・…・18n、有機発光層161・162・…・16nおよび正孔輸送層141・142・…・14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0049】
第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、具体的に、図4に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、第1電極層12側から第1正孔輸送層141、第1有機発光層161および第1電子輸送層181からなる第1発光ユニット401と、第1電極層12側側から第2正孔輸送層142、第2有機発光層162および第2電子輸送層182からなる第2発光ユニット402と、第1発光ユニット401と第2発光ユニット402間に介在して配置された電荷発生層22と、積層方向の最上部に配設された第2発光ユニット402上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、基板内配光Jの配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2の配光特性例は、光の総量(全光束)としては最大化されている。
【0050】
電荷発生層221〜22n-1は、例えば、有機化合物、若しくは単体でアルミニウムよりも低い融点を有する金属からなる無機化合物で形成されている。この電荷発生層221〜22n-1を構成する無機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0051】
その無機化合物には、例えば、酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが含まれる。Alの融点は、約660℃であるが、単体でAlよりも低い融点を有する金属としては、例えば、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)などがある。Ga、In、Sb、Znの融点は、それぞれ約29.8℃、156.4℃、630.7℃、および419.5℃である。
【0052】
また、電荷発生層221〜22n-1は、有機化合物で形成されていても良い。この電荷発生層221〜22n-1を構成する有機化合物の比抵抗は、例えば、1×102Ω・cm以上、望ましくは、1×105Ω・cm以上である。
【0053】
第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2において、図4に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、ランダムな凹凸面42を備えていても良い。
【0054】
第1の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、基板10の発光面にランダムな凹凸面42を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
(変形例3)
第1の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、図5に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備える。
【0056】
ここで、所定のパターン構造は、例えば、円形パターン、三角形を基調とする円形パターン、矩形パターン、長方形パターンのいずれかを有していても良い。
【0057】
第1の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。
【0058】
第1の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側にランダムな凹凸部を有するフィルムを備えていても良い。
【0059】
第1の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2においても、基板内配光Jの配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第1の実施の形態の変形例3に係るに係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0060】
―角度設定条件―
第1の実施の形態に係る有機EL装置2の動作原理を説明する模式的断面構造は、図6に示すように表される。図6において、正孔輸送層14の厚さを一定とし、発光位置―カソード(第2電極層)間距離Lを可変にすると、第1電極層12から基板10側に出てくる光の総量(全光束)は、変化する。ここで、図6において、正面方向からの角度θ(度)は、基板10に垂直な軸から測り、基板から空気(外部)へ向う方向を0°とする。
【0061】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、全光束φと発光位置‐カソード間距離Lとの関係は、図7に示すように表される。図7から明らかなように、全光束φのピークPは、発光位置‐カソード間距離Lが、約60nm、約270nm、約420nmにおいて得られている。また、全光束φのボトムQは、発光位置‐カソード間距離Lが、約180nm、約360nmにおいて、得られている。
【0062】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、全光束φが高い時の発光位置‐カソード間距離Lをパラメータとする輝度(cd/m2)と正面方向からの角度θ(度)との関係は、図8に示すように表される。図8から明らかなように、全光束φが高い時の発光位置‐カソード間距離Lが、約60nm、約270nm、約420nmにおいて、輝度のピークは、角度θが約20度〜約50度の範囲(矢印B)内で得られている。
【0063】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、全光束φが低い時の発光位置‐カソード間距離Lをパラメータとする輝度(cd/m2)と正面方向からの角度θ(度)との関係は、図9に示すように表される。図9から明らかなように、全光束φが低い時の発光位置‐カソード間距離Lは、約180nm、約360nmにおいて、輝度のピークは、角度θが約0度〜約15度の範囲(矢印C)、および角度θが約60度〜約85度の範囲(矢印D)内で得られている。
【0064】
―素子表面反射率平均―
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、素子正面反射率平均(リフレクタンス)は、図10に示すように、基板表面が平坦な状態で、外部(正面)から入射光Iiを入射し、その反射光Ioを測定することによって得られる。第1の実施の形態に係る有機EL装置2の発光スペクトル域は、通常440nm〜780nm程度であることから、リフレクタンスの波長λ依存性を測定し、発光スペクトル域の平均値を算出する。
【0065】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、リフレクタンスと波長λとの関係は、図11に示すように表される。図11では、素子表面反射率平均が約80%の例が示されている。
【0066】
―素子表面反射率平均と全光束向上率の関係―
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、反射率の異なる素子構造の説明図であって、基板10の発光面が平坦構造の模式的断面構造は、図12(a)に示すように表され、凹凸部46を有する光取り出しフィルム47を備える構造の模式的断面構造は、図12(b)に示すように表される。図12(a)の構造では外部に取り出される光hν1の全光束量に対して、図12(b)の構造で外部に取り出される光hν2の全光束量が大きい。ここで、向上度=[光取り出しフィルムを貼った場合の全光束]/[光取り出しフィルムを貼らない未処理の場合の全光束]で表される。
【0067】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、光取り出しフィルム47による向上度と素子正面反射率平均(リフレクタンス)との関係は、図13に示すように表される。向上度とリフレクタンスの関係は、ほぼリニアな関係にあり、リフレクタンスの値が60%、70%、80%に対して、それぞれ、向上度は約1.2、1.4、1.6の値が得られている。
【0068】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、充分な向上度を得るためには、素子表面反射率平均が、70%以上であることが望ましい。
【0069】
―繰り返し反射される反射光の効果―
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、凹凸部46を有する光取り出しフィルム47を貼った場合に、繰り返し反射される反射光の効果を説明する模式的断面構造は、図14に示すように表される。図14に示すように、出力光hνoに対して、反射光hνrは、凹凸部46を有する光取り出しフィルム47と、図14中のK部分に示すように、有機EL層40と第2電極層20の界面で繰り返し反射される。有機EL装置2内での光吸収率が高い場合や第2電極層20での反射率が低い場合には、繰り返し反射される反射光の強度は次第に低下する。
【0070】
一方、有機EL装置2内での光吸収率が相対的に低く、第2電極層20での反射率が相対的に高い場合には、有機EL装置2内、および有機EL層40と第2電極層20との界面で光の強度の劣化は低く、外部への光の取り出し効果が高い。凹凸部46を有する光取り出しフィルム47を基板10の発光面に貼った場合、全反射光が反射を繰り返すうちに、全反射条件を外れ、外部に取り出され易くなる。したがって、反射率が高いほど外部への光の取り出し効果が高い。
【0071】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、図12(b)および図14に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側に所定のパターン構造でパターニングされた凹凸部46を有する光取り出しフィルム47を備えていても良い。
【0072】
ここで、所定のパターン構造は、例えば、図15(a)〜(d)に示すように、円形パターン、三角形を基調とする円形パターン、矩形パターン、長方形パターンのいずれかを有していても良い。さらに、光取り出しフィルム47上の凹凸部46の模式的断面構造は、図16(a)〜(d)に示すように、矩形構造、台形構造、三角形構造、半円形構造のいずれかを有していても良い。ここで、凹凸部46の膜厚方向の段差は、例えば、約0.5μm〜100μm程度であり、凹凸部46の凹凸ピッチは、例えば、約0.5μm〜100μm程度である。例えば、凹凸部46を有する光取り出しフィルム47として、半球レンズアレイ型光取り出しフィルムを適用することもできる。
【0073】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、発光面側にランダムな凹凸部を有するフィルム、若しくは発光面側に所定のパターン構造でパターニングされた凹凸部46を有する光取り出しフィルム47を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った角度が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。
【0074】
―配光制御による光取り出し効率―
基板10の発光面が平坦な構造例における基板内配光Jiと外部配光Joを説明する模式的断面構造は、図17(a)に示すように表され、基板10の発光面に凹凸面44を備える構造例における基板内配光Jiと外部配光Joを説明する模式的断面構造は、図17(b)に示すように表される。
【0075】
図17(a)に示す基板面平坦構造で、外部正面での輝度の最大化を図る比較例に係る有機EL装置において、基板内配光Jiのパターン例は、図18に示すように表され、外部配光Joのパターン例は、図19に示すように表される。
【0076】
図17(b)に示す基板面凹凸構造で、外部正面での輝度の最大化を図る比較例に係る有機EL装置において、外部配光Joのパターン例は、図20に示すように表される。
【0077】
一方、図17(a)に示す基板面平坦構造で、内部全光束最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、基板内配光Jiのパターン例は、図21に示すように表され、外部配光Joのパターン例は、図22に示すように表される。
【0078】
図17(b)に示す基板面凹凸構造で、内部全光束最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、外部配光Joのパターン例は、図23に示すように表される。
【0079】
図18における基板内配光Jiの全光束量は、31.3lm/Wであるのに対して、図21における基板内配光Jiの全光束量は、37.2m/Wである。
【0080】
また、図19における外部配光Joの全光束量は、15.4lm/Wであるのに対して、図22における外部配光Joの全光束量は、17.8lm/Wである。ここで、図19において、正面方向Fでの外部正面輝度の値は、44cd/Aであるのに対して、図22において、正面方向Fでの外部正面輝度の値は、40.8cd/Aであり、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、外部正面輝度の値は低下しているが、全光束量は、約20%程度増大し改善されることがわかる。
【0081】
また、図20における外部配光Joの全光束量は、21.9lm/Wであり、図23における外部配光Joの全光束量は、27.8lm/Wであり、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、全光束量は、約30%程度増大し改善されることがわかる。
【0082】
また、図19と図20を比較すると、全光束量の改善効果は、約1.43倍であるのに対して、図22と図23を比較すると、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、全光束量の改善効果は、約1.56倍である。したがって、第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、配光制御によって、さらに光取り出し効率が向上することがわかる。
【0083】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、有機EL層40の膜厚を調整することで、配光Jの特性を制御する様子を説明する配光パターン例は、図24に示すように表される。図24には、比較のため、図1(b)に示された比較例の配光パターン例も示されている。図24において、配光パターンP1は、正面に指向性を有する例であり、一方、配光パターンP4は、水平方向に指向性を有する例である。また、配光パターンP3は、角度θ=60度〜70度の範囲内に輝度最大値を有する例である。これらに対して、配光パターンP2は、角度θ=20度〜50度の範囲内に輝度最大値を有し、かつ全光束量最大化を図る第1の実施の形態に係る有機EL装置2に対応した例である。
【0084】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、有機EL層40の膜厚を調整することで、全光束量最大化を図ることができる。例えば、すでに図7に示したように、正孔輸送層14の厚さを一定とし、発光位置―カソード間距離Lを変化させることで、有機EL層40の膜厚の調整が可能である。
【0085】
第1の実施の形態およびその変形例1〜3によれば、光取り出し効率が向上する配光制御したボトムエミッションの有機EL装置を提供することができる。
【0086】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、図25に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40と、有機EL層40上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第2電極層20より放出された配光特性において、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第2の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されている。ここで、第2電極層20より放出された光は、例えば、外部の空気層などを伝播する。また、第2角度θ2は、第2電極層20から外部に向う方向を0°とする。
【0087】
有機EL層40は、第1電極層12上に配置される正孔輸送層14と、正孔輸送層14上に配置される有機発光層16と、有機発光層16上に配置される電子輸送層18とを備える。ここで、有機EL層40は、有機発光層16を中心に正孔輸送層14および電子輸送層18からなり、積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層14有機発光層16および電子輸送層18の順序であっても、或いは電子輸送層18有機発光層16および正孔輸送層14の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0088】
第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、図25に示すように、第2電極層20が発光面を有する透明電極で形成され、第1電極層20が金属層で形成されたトップエミッションの構成を備えている。
【0089】
ここで、基板10は、例えば、シリコン基板やステンレス基板で形成され、第1電極層12は、例えば、アルミニウム蒸着膜で形成され、第2電極層20は、例えば、ITOで形成されていても良い。
【0090】
第1電極層12は、材質が、例えば、Al、Agなどの高反射率を有する金属膜で形成することができる。
【0091】
第2電極層20は、厚さが、例えば、約50nm〜500nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。また、第2電極層20は、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンースズ酸化物)、或いはPEDOTT−PSSで形成することもできる。また、第2電極層20は、Agなど金属の薄膜による半透明電極でも良い。
【0092】
また、第2の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第2電極層20表面より、斜めにトップエミッション光を出すことによって、第2電極層より放出された配光Jの光の総量(全光束)が向上する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0093】
(変形例1)
第2の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図26に示すように、基板10上に形成される封止部56と、封止部56の上に配置される封止板48と、封止部56および封止板48と、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20との隙間に充填されている充填材54とを備える。ここで、封止部56と封止板48とによって、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20が封止されると共に、第2電極層20より封止板48内に放出された配光特性において、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0094】
充填材54は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などのオイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成可能である。これらの充填材54は、透明であることが望ましい。
【0095】
封止部56は、UV硬化樹脂やガラスフリット等で構成することができる。
【0096】
封止板48は、ポリマー樹脂基板もしくはガラス基板等で構成することができる。
【0097】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えていても良い。
【0098】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えていても良い。
【0099】
尚、図26では、基板10上に封止部56が直接配置されているが、封止部56は、基板10上に配置された第1電極層12上に配置されていても良い。例えば、パターニングによって、基板10上に第1電極層12を形成し、封止部56をこの部分の第1電極層12上に配置しても良い。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0100】
(変形例2)
第2の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、図27に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸構造を備える。
【0101】
第2の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2によれば、封止板48の発光面にランダムな凹凸面を備えることによって、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、封止板48の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も封止板48の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0102】
(変形例3)
第2の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、図28に示すように封止板48の表面に、ランダムな凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。光取り出しフィルム50aは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0103】
(変形例4)
第2の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置2は、図29に示すように封止板48の表面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0104】
(変形例5)
第2の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置2は、図30に示すように、補助配線36a・36bを備える。
【0105】
第2の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置2においては、図30に示すように、基板10上に形成される封止部56と、この封止部56の上に配置される封止板48と、封止部56および封止板48と、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20との隙間に充填された充填材54とを備える。封止部56と封止板48とによって、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20が封止されている。
【0106】
第2の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置2においては、図30に示すように、基板10上に配置された第1電極層12上に、補助配線36aを介して、封止部56が配置され、また、基板10上に配置され、第1電極層12と絶縁された電極層12b上に、第2電極層20に接続された補助配線36bを介して、封止部56が配置されている。尚、図29に示された変形例4と同様に、封止板48の表面に、光取り出しフィルム50aを備えていても良い。
【0107】
第2の実施の形態および変形例1〜5によれば、有機EL層30、第1電極層12および第2電極層20が封止され、充填材54が充填されているので、有機EL装置の耐久性を向上させることができる。
【0108】
また、第2の実施の形態の変形例3〜5によれば、光取り出しフィルム50aを設けているので、封止板48側から更に効率的に光を外部に取り出すことができる。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0109】
(変形例6)
第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2は、図31に示すように、有機EL層40が、1層以上の電荷発生層22と、2層以上の有機発光層16を有するMPE型構造を備える。
【0110】
第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2は、一般的に、図31に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる複数の発光ユニット401・402・…・40nと、複数の発光ユニット401・402・…・40nの内、積層方向の最上部に配設された発光ユニット40n上に配置された第2電極層20と、発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層221・222・…・22n-1とを備える。ここで、第2電極層20より放出された配光特性において、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2においては、第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されている。
【0111】
複数の発光ユニット401・402・…・40nは、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142・…・14n、有機発光層161・162・…・16nおよび電子輸送層181・182・…・18nの順序であっても、或いは電子輸送層181・182・…・18n、有機発光層161・162・…・16nおよび正孔輸送層141・142・…・14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0112】
第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2は、具体的に、図31に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、第1有機発光層161を中心に第1正孔輸送層141および第1電子輸送層181からなる第1発光ユニット401と、第1発光ユニット401上に積層して配置され、第2有機発光層162を中心に第2正孔輸送層142および第2電子輸送層182からなる第2発光ユニット402と、第1発光ユニット401と第2発光ユニット402間に介在して配置された電荷発生層22と、積層方向の最上部に配設された第2発光ユニット402上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第2電極層20より放出された配光特性において、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0113】
第2の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2は、図31に示すように、基板10上に形成される封止部56と、封止部56の上に配置される封止板48と、封止部56および封止板48と、複数の発光ユニット401・402・…・40n、電荷発生層221・222・…・22n-1、第1電極層12および第2電極層20との隙間に充填されている充填材54とを備える。ここで、封止部56と封止板48とによって、複数の発光ユニット401・402・…・40n、電荷発生層221・222・…・22n-1、第1電極層12および第2電極層20が封止されと共に、第2電極層20より封止板48内に放出された配光特性において、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0114】
充填材54は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などのオイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成可能である。これらの充填材54は、透明であることが望ましい。
【0115】
封止部56は、UV硬化樹脂やガラスフリット等で構成することができる。
【0116】
封止板48は、ポリマー樹脂基板もしくはガラス基板等で構成することができる。
【0117】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えていても良い。
【0118】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えていても良い。
【0119】
尚、図31では、基板10上に封止部56が直接配置されているが、封止部56は、基板10上に配置された第1電極層12上に配置されていても良い。例えば、パターニングによって、基板10上に第1電極層12を形成し、封止部56をこの部分の第1電極層12上に配置しても良い。更に、図30と同様に、補助配線36a・36bを備えていても良い。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0120】
(変形例7)
第2の実施の形態の変形例7に係る有機EL装置2は、図32に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸構造を備える。
【0121】
第2の実施の形態の変形例7に係る有機EL装置2によれば、封止板48の発光面にランダムな凹凸面を備えることによって、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、封止板48の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も封止板48の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第2の実施の形態の変形例6と同様である。
【0122】
(変形例8)
第2の実施の形態の変形例8に係る有機EL装置2は、図33に示すように、封止板48の表面にランダムな凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。光取り出しフィルム50aは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。その他の構成は、第2の実施の形態の変形例6と同様である。
【0123】
(変形例9)
第2の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置2は、図34に示すように、封止板48の表面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。その他の構成は、第2の実施の形態の変形例6と同様である。
【0124】
第2の実施の形態の変形例6〜9によれば、有機EL層30、第1電極層12および第2電極層20が封止され、充填材54が充填されているので、有機EL装置の耐久性を向上させることができる。
【0125】
また、第2の実施の形態の変形例8〜9によれば、光取り出しフィルム50aを設けているので、封止板48側から更に効率的に光を外部に取り出すことができる。
【0126】
第2の実施の形態およびその変形例1〜9によれば、光取り出し効率が向上する配光制御した有機EL装置を提供することができる。
【0127】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る有機EL装置2は、図35に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40と、有機EL層40上に配置された第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第3の実施の形態に係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されるとともに第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)としても最大化されている。ここで、第2電極層20より放出された光は、例えば、外部の空気層などを伝播する。
【0128】
有機EL層40は、第1電極層12上に配置される正孔輸送層14と、正孔輸送層14上に配置される有機発光層16と、有機発光層16上に配置される電子輸送層18とを備える。ここで、有機EL層40は、有機発光層16を中心に正孔輸送層14および電子輸送層18からなり、積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層14有機発光層16および電子輸送層18の順序であっても、或いは電子輸送層18有機発光層16および正孔輸送層14の順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0129】
第3の実施の形態に係る有機EL装置2は、図35に示すように、第1電極層12と第2電極層20がともに発光面を有する透明電極で形成されたトップエミッションかつボトムエミッションの構成を備えている。
【0130】
基板10は、光を透過する透明基板として、例えば、ガラス基板やガスバリア膜付プラスチックフィルムなどを適用することができる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度である。また、基板10には、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0131】
第1電極層12および第2電極層20は、厚さが、例えば、約50nm〜500nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。また、第1電極層12および第2電極層20は、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンースズ酸化物)、或いはPEDOTT−PSSで形成することもできる。また、Agなど金属の薄膜による半透明電極でも良い。
【0132】
また、第3の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第1電極層12の表面より、斜めにボトムエミッション光を出すことによって、基板10内に放出された配光Jの光の総量(全光束)が向上し、かつ第2電極層20の表面より、斜めにトップエミッション光を出すことによって、第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)が向上する。その他の構成は、第1〜第2の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0133】
(変形例1)
第3の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、図36に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備える。
【0134】
ここで、所定のパターン構造は、例えば、円形パターン、三角形を基調とする円形パターン、矩形パターン、長方形パターンのいずれかを有していても良い。
【0135】
第3の実施の形態の変形例1に係る有機EL装置2は、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0136】
(変形例2)
第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、図37に示すように、有機EL層40が、1層以上の電荷発生層22と、2層以上の有機発光層16を有するMPE型構造を備える。
【0137】
第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、一般的に、図37に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる複数の発光ユニット401・402・…・40nと、複数の発光ユニット401・402・…・40nの内、積層方向の最上部に配設された発光ユニット40n上に配置された光透過可能な第2電極層20と、発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層221・222・…・22n-1とを備える。ここで、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層に垂直な軸から測った第2角度θ2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0138】
ここで、複数の発光ユニット401・402・…・40nは、有機発光層161・162・…・16nを中心に正孔輸送層141・142・…・14nおよび電子輸送層181・182・…・18nからなる。積層の順序は、例えば、第1電極層12から第2電極層20の方向に向けて、正孔輸送層141・142・…・14n、有機発光層161・162・…・16nおよび電子輸送層181・182・…・18nの順序であっても、或いは電子輸送層181・182・…・18n、有機発光層161・162・…・16nおよび正孔輸送層141・142・…・14nの順序であっても良い。すなわち、第1電極層12と第2電極層20との間に印加するバイアス電圧の極性に応じて適宜積層順序を選択可能である。
【0139】
第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、具体的に、図37に示すように、光透過可能な基板10と、基板10上に配置された光透過可能な第1電極層12と、第1電極層12上に積層して配置され、第1電極層12側から第1正孔輸送層141、第1有機発光層161および第1電子輸送層181からなる第1発光ユニット401と、第1電極層12側側から第2正孔輸送層142、第2有機発光層162および第2電子輸送層182からなる第2発光ユニット402と、第1発光ユニット401と第2発光ユニット402間に介在して配置された電荷発生層22と、積層方向の最上部に配設された第2発光ユニット402上に配置された光透過可能な第2電極層20とを備える。ここで、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されるとともに第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)としても最大化されている。ここで、第2電極層20より放出された光は、例えば、外部の空気層などを伝播する。
【0140】
第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、図37に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、ランダムな凹凸面42を備える。
【0141】
第3の実施の形態の変形例2に係る有機EL装置2は、基板10の発光面にランダムな凹凸面42を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0142】
(変形例3)
第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、図38に示すように、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備える。
【0143】
ここで、所定のパターン構造は、例えば、円形パターン、三角形を基調とする円形パターン、矩形パターン、長方形パターンのいずれかを有していても良い。
【0144】
第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面44を備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。
【0145】
第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2は、基板10の第1電極層12が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側にランダムな凹凸部を有するフィルムを備えていても良い。
【0146】
第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2においても、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。このため、第3の実施の形態の変形例3に係る有機EL装置2においては、基板内配光Jの光の総量(全光束)としては最大化されるとともに第2電極層20より放出された配光Jの光の総量(全光束)としても最大化されている。ここで、第2電極層20より放出された光は、例えば、外部の空気層などを伝播する。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0147】
(変形例4)
第3の実施の形態の変形例4に係る有機EL装置2は、図39に示すように、光透過可能な基板10上に形成される封止部56と、封止部56の上に配置される封止板48と、封止部56および封止板48と、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20との隙間に充填されている充填材54とを備える。ここで、封止部56と封止板48とによって、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20が封止されると共に、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より封止板48内に放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0148】
充填材54は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などのオイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成可能である。これらの充填材54は、透明であることが望ましい。
【0149】
封止部56は、UV硬化樹脂やガラスフリット等で構成することができる。
【0150】
封止板48は、ポリマー樹脂基板もしくはガラス基板等で構成することができる。
【0151】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えていても良い。
【0152】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えていても良い。
【0153】
尚、図39では、基板10上に封止部56が直接配置されているが、封止部56は、基板10上に配置された第1電極層12上に配置されていても良い。例えば、パターニングによって、基板10上に第1電極層12を形成し、封止部56をこの部分の第1電極層12上に配置しても良い。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0154】
(変形例5)
第3の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置2は、図40に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸構造を備える。
【0155】
第3の実施の形態の変形例5に係る有機EL装置2によれば、封止板48の発光面にランダムな凹凸面を備えることによって、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、封止板48の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も封止板48の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0156】
(変形例6)
第3の実施の形態の変形例6に係る有機EL装置2は、図41に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。光取り出しフィルム50aは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0157】
(変形例7)
第3の実施の形態の変形例7に係る有機EL装置2は、図42に示すように封止板48の表面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0158】
(変形例8)
第3の実施の形態の変形例8に係る有機EL装置2は、図43に示すように基板10の裏面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50bを備える。光取り出しフィルム50bは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。
【0159】
第3の実施の形態の変形例8に係る有機EL装置2によれば、基板10の裏面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50bを備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、基板10の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も基板10の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第3の実施の形態と同様である。
【0160】
(変形例9)
第3の実施の形態の変形例9に係る有機EL装置2は、図44に示すように、有機EL層40が、1層以上の電荷発生層22と、2層以上の有機発光層16を有するMPE型構造を備える。
【0161】
第3の実施の形態の変形例9に係る有機EL装置2は、図44に示すように、光透過可能な基板10上に形成される封止部56と、封止部56の上に配置される封止板48と、封止部56および封止板48と、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20との隙間に充填されている充填材54とを備える。ここで、封止部56と封止板48とによって、有機EL層40、第1電極層12および第2電極層20が封止されると共に、第1電極層12より基板10内に放出された配光特性および第2電極層20より封止板48内に放出された配光特性において、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高い。
【0162】
充填材54は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などのオイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成可能である。これらの充填材54は、透明であることが望ましい。
【0163】
封止部56は、UV硬化樹脂やガラスフリット等で構成することができる。
【0164】
封止板48は、ポリマー樹脂基板もしくはガラス基板等で構成することができる。
【0165】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えていても良い。
【0166】
また、封止板48の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えていても良い。
【0167】
尚、図44では、基板10上に封止部56が直接配置されているが、封止部56は、基板10上に配置された第1電極層12上に配置されていても良い。例えば、パターニングによって、基板10上に第1電極層12を形成し、封止部56をこの部分の第1電極層12上に配置しても良い。その他の構成は、第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0168】
(変形例10)
第3の実施の形態の変形例10に係る有機EL装置2は、図45に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸構造を備える。
【0169】
第3の実施の形態の変形例10に係る有機EL装置2によれば、封止板48の発光面にランダムな凹凸面を備えることによって、第2電極層20に垂直な軸から測った第2角度θ2が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、封止板48の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も封止板48の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0170】
(変形例11)
第3の実施の形態の変形例11に係る有機EL装置2は、図46に示すように、封止板48の表面に、ランダムな凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。光取り出しフィルム50aは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。その他の構成は、第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0171】
(変形例12)
第3の実施の形態の変形例12に係る有機EL装置2は、図47に示すように、封止板48の表面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50aを備える。その他の構成は、第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0172】
(変形例13)
第3の実施の形態の変形例13に係る有機EL装置2は、図48に示すように、基板10の裏面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50bを備える。光取り出しフィルム50bは、例えば、プリズムシートなどで構成可能である。
【0173】
第3の実施の形態の変形例13に係る有機EL装置2によれば、基板10の裏面に、規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルム50bを備えることによって、基板10に垂直な軸から測った第1角度θ1が全反射角以上の光も外部に取り出すことができる。すなわち、基板10の発光面側に凹凸形状を施すことで、本来全反射する成分も基板10の外部に取り出すことができるようになり、最終的に発光効率が向上する。その他の構成は、第3の実施の形態の変形例2と同様である。
【0174】
第3の実施の形態およびその変形例1〜13によれば、光取り出し効率が向上する配光制御したボトムエミッションかつトップエミッションの有機EL装置を提供することができる。
【0175】
以上説明したように、本発明によれば、光取り出し効率が向上する配光制御した有機EL装置を提供することができる。
【0176】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態およびその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0177】
実施の形態に係る有機EL装置において、有機発光層にダブル発光層を導入した場合も含まれている。例えば、同じ発光ユニット内で、青色(B)発光層と赤色(R)発光層を積層化しても良く、青色(B)発光層と緑色(G)発光層を積層化しても良く、緑色(G)発光層と赤色(R)発光層を積層化しても良い。また、発光ユニットとして赤色発光材料と緑色発光材料が混合された発光層を含んでいても良い。
【0178】
例えば、青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用するハイブリッド方式を採用しても良い。
【0179】
1発光ユニット当たりで出力可能な内部量子効率は、100%(蛍光発光材料の場合は、約25%)の上限がある。1発光ユニット内で複数色発光させると、内部量子効率は、複数色で分配することになる。したがって、ハイブリッド方式(青色(B)発光層には蛍光材料を適用し、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層にはリン光材料を適用する)の場合、1発光ユニット内で青色(B)発光層と他の色の発光層を組み合わせることは得策ではない。したがって、ハイブリッド方式の場合、発光ユニットに単独で蛍光材料の青色(B)発光層を適用する例が最も適した配色構造となる。
【0180】
なお、緑色(G)発光層および赤色(R)発光層に加えて青色(B)発光層にもリン光材料を適用することも可能である。
【0181】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明の有機EL装置は、高輝度有機EL照明分野、高輝度有機ELディスプレイ分野などに適用可能である。
【符号の説明】
【0183】
2、2a…有機EL装置
10…基板
12…第1電極層(アノード電極層)
14、141、142…正孔輸送層
16、161、162…有機発光層
18、181、182…電子輸送層
20…第2電極層(カソード電極層)
36a、36b…補助配線
40…有機EL層
42、44…凹凸面
46…凹凸部
47、50a、50b…光取り出しフィルム
48…封止板
54…充填材
56…封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上において、ランダムな凹凸面を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側にランダムな凹凸部を有するフィルムを備えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側に所定のパターン構造でパターニングされた凹凸部を有するフィルムを備えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記有機EL層は、1層以上の電荷発生層と、2層以上の発光層を有するマルチフォトンエミッション型の有機EL層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項9】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、
前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項10】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、
前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項11】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上において、ランダムな凹凸面を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL装置。
【請求項12】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上において、所定のパターン構造でパターニングされた凹凸面を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL装置。
【請求項13】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項12に記載の有機EL装置。
【請求項14】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側にランダムな凹凸部を有するフィルムを備えることを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL装置。
【請求項15】
前記基板の前記第1電極層が配置される表面と反対側の裏面上に、発光面側に所定のパターン構造でパターニングされた凹凸部を有するフィルムを備えることを特徴とする請求項9または10に記載の有機EL装置。
【請求項16】
前記パターン構造は、円形パターン、矩形パターン、三角形を基調とする円形パターン、長方形パターンのいずれかを有することを特徴とする請求項15に記載の有機EL装置。
【請求項17】
素子表面反射率平均が、70%以上であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項18】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された第2電極層と
を備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項19】
前記基板上に形成される封止部と、
前記封止部の上に配置される封止板と、
前記封止部および前記封止板と、前記有機EL層、前記第1電極層および前記第2電極層との隙間に充填されている充填材と
を備え、前記封止部と前記封止板とによって、前記有機EL層、前記第1電極層および前記第2電極層が封止されると共に、前記第2電極層より前記封止板内に放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする請求項18に記載の有機EL装置。
【請求項20】
前記充填材は、固形状または液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成されることを特徴とする請求項19に記載の有機EL装置。
【請求項21】
前記封止板の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えることを特徴とする請求項19または20に記載の有機EL装置。
【請求項22】
前記封止板の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えることを特徴とする請求項19または20に記載の有機EL装置。
【請求項23】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、
前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と
を備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項24】
基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、
前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、前記第2電極層より放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項25】
前記基板上に形成される封止部と、
前記封止部の上に配置される封止板と、
前記封止部および前記封止板と、前記複数の発光ユニット、前記電荷発生層、前記第1電極層および前記第2電極層との隙間に充填されている充填材と
を備え、前記封止部と前記封止板とによって、前記複数の発光ユニット、前記電荷発生層、前記第1電極層および前記第2電極層が封止されると共に、前記第2電極層より前記封止板内に放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする請求項23または24に記載の有機EL装置。
【請求項26】
前記充填材は、固形状または液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成されることを特徴とする請求項25に記載の有機EL装置。
【請求項27】
前記封止板の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えることを特徴とする請求項25または26に記載の有機EL装置。
【請求項28】
前記封止板の表面に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えることを特徴とする請求項25または26に記載の有機EL装置。
【請求項29】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された第1電極層と、
前記第1電極層上に配置された有機EL層と、
前記有機EL層上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項30】
前記基板上に形成される封止部と、
前記封止部の上に配置される封止板と、
前記封止部および前記封止板と、前記有機EL層、前記第1電極層および前記第2電極層との隙間に充填されている充填材と
を備え、前記封止部と前記封止板とによって、前記有機EL層、前記第1電極層および前記第2電極層が封止されると共に、前記第2電極層より前記封止板内に放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする請求項29に記載の有機EL装置。
【請求項31】
前記充填材は、固形状または液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成されることを特徴とする請求項30に記載の有機EL装置。
【請求項32】
前記封止板の表面および前記基板の表面のいずれかも若しくは両方に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えることを特徴とする請求項30または31に記載の有機EL装置。
【請求項33】
前記封止板の表面および前記基板の表面のいずれかも若しくは両方に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えることを特徴とする請求項30または31に記載の有機EL装置。
【請求項34】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、有機発光層を中心に正孔輸送層および電子輸送層からなる複数の発光ユニットと、
前記複数の発光ユニットの内、積層方向の最上部に配設された前記発光ユニット上に配置された第2電極層と、
前記発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項35】
光透過可能な基板と、
前記基板上に配置された光透過可能な第1電極層と、
前記第1電極層上に積層して配置され、第1有機発光層を中心に第1正孔輸送層および第1電子輸送層からなる第1発光ユニットと、
前記第1発光ユニット上に積層して配置され、第2有機発光層を中心に第2正孔輸送層および第2電子輸送層からなる第2発光ユニットと、
前記第1発光ユニットと前記第2発光ユニット間に介在して配置された電荷発生層と、
積層方向の最上部に配設された前記第2発光ユニット上に配置された第2電極層と
を備え、前記第1電極層より前記基板内に放出された配光特性および前記第2電極層より放出された配光特性において、前記基板に垂直な軸から測った第1角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高く、かつ前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする有機EL装置。
【請求項36】
前記基板上に形成される封止部と、
前記封止部の上に配置される封止板と、
前記封止部および前記封止板と、前記複数の発光ユニット、前記電荷発生層、前記第1電極層および前記第2電極層との隙間に充填されている充填材と
を備え、前記封止部と前記封止板とによって、前記複数の発光ユニット、前記電荷発生層、前記第1電極層および前記第2電極層が封止されると共に、前記第2電極層より前記封止板内に放出された配光特性において、前記第2電極層に垂直な軸から測った第2角度が20度〜50度方向の輝度が他の角度方向の輝度に比べて相対的に高いことを特徴とする請求項34または35に記載の有機EL装置。
【請求項37】
前記充填材は、固形状または液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材あるいは希ガスで構成されることを特徴とする請求項34または35に記載の有機EL装置。
【請求項38】
前記封止板の表面および前記基板の表面のいずれかも若しくは両方に、ランダムまたは規則的な凹凸構造を備えることを特徴とする請求項36または37に記載の有機EL装置。
【請求項39】
前記封止板の表面および前記基板の表面のいずれかも若しくは両方に、ランダムまたは規則的な凹凸形状を有する光取り出しフィルムを備えることを特徴とする請求項36または37に記載の有機EL装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−227122(P2012−227122A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34706(P2012−34706)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】