説明

材料および材料を製造するための方法

複合材および/もしくは構造化材料を作製するための方法は、複数の固体粒子から格子構造を形成する工程であって、上記格子構造は、上記粒子間に1つ以上の間隙を有するように形成される、工程;上記格子構造に流体材料入れ込むようにし、その結果、上記流体材料が、上記間隙を少なくとも部分的に浸透する工程;および上記格子構造に入れ込まれた上記流体材料を凝固させて、複合材を形成する工程を包含する。1つの適切な実施形態において、上記方法は、上記格子構造の少なくとも一部分を、上記複合材から除去し、それによって、上記除去された一部分の位置において、上記格子構造に入り込んだ上記凝固した材料中に1つ以上の孔を形成する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2008年6月12日に出願された、同時係属中の米国仮特許出願第61/061,066号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体が本明細書中にて参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本発明の事項は、一般に、材料および/もしくは材料製造分野に関する。特定の関連性が、複合材および/もしくは微細構造化ポリマー材料と関連して見いだされ、応じて、本明細書は、これらに具体的に言及する。しかし、本発明の事項の局面はまた、他の同様の適用に対して等しく影響を受けやすいことが認識されるべきである。
【0003】
ポリマー材料およびフィルムは、種々の製品および/もしくは適用のために広く使用されており、比較的低コストで送達し得る広い範囲の特性を有する。特に、ポリマー表面は、特定の適用に望ましい特性を示すために、官能化され得る。例えば、ポリマー表面は、その印刷可能性、濾過性能、接着、湿潤性、耐候性、透過性、光学特性を改善するために、または特定の官能基を組み込むために、物理的におよび/もしくは化学的に改変され得る。
【0004】
ポリマー材料上におよび/もしくはポリマー材料中に微小構造を作り出すいくつかの技術が、以前に開発された。特に、孔もしくは他の同様の構造の形成によって、多孔性もしくは構造化ポリマー材料を作り出す技術が、以前に開発された。例えば、特許文献1(Druinら)、特許文献2(Loら)、特許文献3(Kobayashi)、および特許文献4(Murphyら)(全てその全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0005】
しかし、多くの以前開発された技術は、一般に、1つの方法もしくは別の方法で限定される。例えば、あるものは、ポリマー全体に多孔性構造を作製するために機能し得るに過ぎない。上記微小構造および/もしくは孔形成の程度、ならびに/またはその間の接続性に関する制御が欠如している。さらに、以前の開発された技術は、時間がかかり、複雑で、かつ/または使用が望まれている可能性のある従来の市販の生成プロセス(例えば、ロールツーロール(roll−to−roll)ポリマーフィルム生成)に十分適していないものであり得る。
【0006】
微小エンボス加工、フォトリソグラフィー、エッチング、およびレーザー穿孔は、とりわけ、ポリマーの表面にテクスチャーおよび微小構造を生成するために以前に開発された方法である。これら方法のうちのいくつかは、経済的および技術的な点に起因して有利である一方で、それらは一般に、効率的にかつ/もしくは効果的に特定の分枝状構造および/もしくは閉じたループ構造を生成する能力を欠いている。さらに、一般に、それらは、相互に連結した孔の内部ネットワークの生成に十分に適していない可能性がある。
【0007】
よって、新たなかつ/または改善された微小構造化および/もしくは複合材、ならびに/またはこれらを製造するための方法が開示され、上記は、上記で言及した課題および/もしくはその他に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,679,538号明細書
【特許文献2】米国特許第4,863,604号明細書
【特許文献3】米国特許第4,487,731号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0026811号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(開示の要旨)
本明細書で開示される1つの例示的実施形態によれば、複合材を作り出すための方法が提供される。
【0010】
本明細書で開示される別の例示的実施形態によれば、微小構造化ポリマー材料を作り出すための方法が提供される。適切には、上記微小構造は、ポリマー表面での、またはポリマーフィルム全体での分枝状のもしくは閉じたループの微小構造を含む。
【0011】
本明細書で開示される別の例示的実施形態によれば、上記微小構造の設計における実質的融通性を可能にし、それら微小構造を形成するために使用される格子構造の除去を単純化する方法が提供される。
【0012】
本明細書で開示される別の例示的実施形態によれば、孔サイズ、孔サイズ分布および/もしくは孔接続性(pore connectivity)の制御を含む、材料中の孔作製の適切な制御を可能にする方法が提供される。適切には、上記孔サイズ分布は、狭くても、広くてもよいし、単峰性であっても、多峰性であってもよい。必要に応じて、上記孔は、上記フィルムの断面および/もしくは表面の分布において、均一であってもよいし、段階があってもよい。さらに、上記孔サイズによって規定される各層は、均一であってもよいし、段階があってもよい。
【0013】
本明細書で開示される一実施形態は、格子構造における流体フローおよび流体置換(fluid displacing)の概念を使用して、複合材を作り出すための新規な方法に関する。上記格子構造は、統合され(すなわち、上記マトリクス粒子は、接続され)てもよいし、統合されなくてもよい(すなわち、自由に動き得るが、圧縮によって、もしくは他の手段(例えば、液体表面張力)によって、適所に保持され得る個々の粒子から作られる)。適切には、入り込む流体(例えば、ポリマー材料)は、上記格子構造中の流体(例えば、空気)に取って代わるために使用され得る。格子構造のネットワークジオメトリ、上記格子構造に存在する流体および取って代わる流体の物理的特性に依存して、異なるトポロジーを有する種々のフローパターンが、達成され得る(図43を参照のこと)。例えば、湿潤流体が、非湿潤流体に取って代わる吸収膨潤において、閉じたループを伴う三次元フローパターンが、生成される(吸収膨潤クラスタといわれる)。排水の間に、非湿潤流体が、湿潤流体に取って代わり、閉じたループなしの、完全に異なる三次元の分枝状構造(排水クラスタといわれる)が生成される(図43)。
【0014】
適切には、上記入り込む流体は、必要に応じて、複合材を形成するための任意の手段によって、上記格子構造の中で凝固させられ得る。例えば、上記入り込む流体は、冷却もしくは硬化によって凝固させられ得る。上記元の格子構造は、特定の機能を提供するために、最終複合材の一部のままであってもよい。あるいは、上記格子構造は、上記ポリマー微小構造が形成された後に除去され得る犠牲成分(sacrificial component)であってもよい。適切には、上記格子構造中の、必要に応じて取って代わった流体および/もしくは元の流体は、任意の流体であり得る。例えば、それは、任意の気体(空気が挙げられる)、もしくは必要に応じて、凝固させられ得る任意の液体、または気体および液体の混合物(すなわち、発泡体)であり得る。1つの適切な実施形態において、上記格子構造中に元から存在する流体は、上記入り込む流体に、少なくとも部分的に取って代わられる。上記元の流体の、任意の残りの部分は、必要に応じて、除去されるか、または最終複合材に残っているかのいずれかであり得る。後者の場合、上記残っている元の流体は、必要に応じて、任意の手段によって凝固させられ得る。
【0015】
本明細書で開示される別の例示的実施形態によれば、複合材および/もしくは構造化材料を生成するためのプロセスは、格子構造を形成する工程、ポリマー材料を流動化する工程、上記ポリマー材料を上記格子構造へ入れ込む工程、および得られたポリマー複合材を凝固させる工程を含む。さらに、上記格子構造の少なくとも一部分を除去する任意の工程があり得る。適切には、これら工程は、別個の工程であってもよいが、代わりに、それらは、同時に行われてもよい。
【0016】
本明細書で開示されるさらに別の例示的実施形態によれば、上記格子構造は、特定の溶媒中に少なくとも部分的に溶解性である顆粒状固体を詰めることによって形成される。必要に応じて、上記固体は、異なる化学的性質、サイズおよび/もしくは形状の固体粒子の混合物であり得る。適切には、上記固体は、第1の非溶媒液体中で粉砕され(すりつぶされ)得る。ある任意の濾過プロセスは、上記固体の粒径を小さくするために、上記粉砕の後に使用され得る。必要に応じて、上記粉砕液体は、エバポレートされ得るか、そして/またはこの点で乾燥させられ得る。適切には、第2の液体が導入され、上記固体粒子を再分散させ、均一な固体懸濁物を形成させ得る。この第2の懸濁液体は、上記第1の粉砕液体と同じであってもよいし、そうでなくてもよい。適切には、次いで、上記固体懸濁物は、例えば、ダイもしくはパターンコーティング、スプレー、スクリーン、グラビア印刷もしくはインクジェット印刷、または他の同様の適用法もしくは沈着法を介して、基材もしくは表面にコーティングされる。次いで、必要に応じて、上記懸濁液体は、上記基材の上に顆粒状固体のケーキを残すために乾燥させられ得る。上記顆粒状固体のケーキは、後の工程において、格子構造として機能する。別の方法において、上記固体は、制御された(例えば、温度および湿度制御された)環境において乾式粉砕され得、その後、上記ケーキを形成するために圧縮され得る。
【0017】
1つの開示された実施形態において、上記入り込む流体(例えば、ポリマー)は、上記流体が、上記格子構造の粒子間の間隙、空隙および/もしくは空間へと入り込むように、上記格子構造と接触した状態に置かれる。適切には、上記入り込む流体は、後に乾燥させられ得るか、または別の液体によって沈殿させられ得るポリマー溶液であるか、または後に硬化され得るか、もしくは蒸着され得るか、もしくは冷却によって凝固させられ得る液体形態にある。次いで、上記入り込む流体は、凝固させられ、必要に応じて、上記格子構造から分離される。上記凝固した入り込む材料上に残っている上記格子構造から得られた残留固体は、次いで、洗浄され得るかもしくは残したままにされて、多孔性構造もしくは構造化複合材を有する材料を残すかのいずれかであり得る。
【0018】
代替の実施形態において、本明細書で開示されるプロセスは、材料の片側および両側に、もしくは上記材料の厚み全体を通して、複合材および/もしくは多孔性構造を作り出すために使用され得る。さらに、上記フィルム表面上の上記複合材層の程度は、部分的もしくは完全であり得、そしてそのサイズおよびコーティングの程度は、規則的もしくは不揃いであり得る。
【0019】
本明細書で開示される代替の実施形態によれば、上記入り込むポリマー材料は、予め形成されたフィルムもしくは液体であり得る。必要に応じて、上記フィルムは、一軸方向に、二軸方向に拡げられ得るか、または拡げられない;上記ポリマーフィルムは、押し出し成形され得る;上記ポリマーフィルムは、単層もしくは複数層であり得る;複数層フィルムは、積層もしくは同時押し出し成形によって作り出され得る;そして/または上記ポリマーフィルムは、その中に1つ以上のフィルムを有し得る。
【0020】
いずれにしても、本明細書で開示される本発明の事項の多くの利点および利益は、本明細書を読んで理解すれば、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書で開示される本発明の事項は、種々の成分および成分の配置、ならびに種々の工程および工程の配置の形態をとり得る。図面は、好ましい実施形態を例示する目的に過ぎず、限定として解釈されるべきではない。さらに、図面が、等しく比例して拡大縮小されているわけではないことが認識されるべきである。
【図1】図1は、本発明の事項の局面に従って、複合材および/もしくは構造化/多孔性材料を生成するための例示的プロセスを示すフローチャートである。
【図2】図2は、本明細書で開示されるプロセスにおける種々の工程で形成される異なる材料、構造などを示す模式図である。
【図3】図3は、本開示のプロセスとともに形成される対応する格子構造、複合材および最終構造化/多孔性材料を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の事項の局面に従って、複合材および/もしくは構造化/多孔性材料を生成するためのより具体的な例示的プロセスを示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の事項の局面に従って生成された材料の断面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像であり、上記材料は、機能的粒子、すなわち、銀コーティングガラスビーズを包んでいる多孔性複合材である。
【図6】図6は、本明細書で開示される例示的材料生成プロセスを行うための例示的装置を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の事項の局面に従って、格子構造を調製するために使用されるスラリーの例示的粒径分布を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の事項の局面に従ってサンプル材料を調製するための実験において使用される例示的設定を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の事項の局面に従ってサンプル材料が調製された、いくつかの実験に使用された処理パラメーターを示す表である。
【図10】図10は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図11】図11は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図12】図12は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図13】図13は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図14】図14は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図15】図15は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図16】図16は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図17】図17は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図18】図18は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図19】図19は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図20】図20は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図21】図21は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図22】図22は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図23】図23は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図24】図24は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図25】図25は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図26】図26は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図27】図27は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図28】図28は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図29】図29は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図30】図30は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図31】図31は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図32】図32は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図33】図33は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図34】図34は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図35】図35は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図36】図36は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図37】図37は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図38】図38は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図39】図39は、本発明の事項の局面に従って調製された種々のサンプル材料の上部図および断面図を示すSEM画像である。
【図40】図40は、材料の%光透過性を、本発明の事項の局面に従って上記材料中に形成された多孔性層の厚みの関数として示すグラフである。
【図41】図41は、材料の透明性を、本発明の事項の局面に従って上記材料中に形成された多孔性層の厚みの関数として示すグラフである。
【図42】図42は、材料の濁りを、本発明の事項の局面に従って上記材料中に形成された多孔性層の厚みの関数として示すグラフである。
【図43】図43は、入り込むプロセスの間に形成され得る種々のタイプのクラスタ(吸収膨潤もしくは排水)を表す[J.Phys:Conden.Matter.2,SA79,(1990)から取得]。
【図44】図44は、層化構造、パターン化構造、および勾配構造を作製するための上記プロセスのバリエーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
明確性および簡潔さのために、本明細書は、構造的要素および/もしくは機能的要素、関連する標準および/もしくはプロトコル、ならびに本明細書で示される好ましい実施形態に従っておよび/もしくは上記好ましい実施形態に適合するように、改変もしくは変更されている程度を除いて、配置もしくは操作に関して、さらなる詳細な説明なしに当該分野で一般に公知である他の成分に言及するものとする。さらに、別段特定されなければ、本明細書で使用される場合:用語、微小、微小サイズのなどは、マイクロメートルの桁で寸法を有する要素もしくは特徴に言及する;用語流体などは、流動可能な液体もしくは気体、または他の流動可能な材料に言及する;用語複合材などは、化学的特性および/もしくは物理的特性において異なる2種以上の成分材料から作製された材料をいう(例えば、複合材は、ポリマー材料および固体もしくは流体(空気を含む)から作製され得る);用語超疎水性とは、材料および/もしくは表面に言及して使用される場合、極めてぬらすことが困難である、すなわち、150°を超える水接触角を有する材料および/もしくは表面を意味する;用語超疎油性とは、材料および/もしくは表面に言及して使用される場合、有機性液体に関して150°よりも大きい接触角を示す材料および/もしくは表面を意味する;Cassie Baxter状態とは、小滴もしくは液体が、固体材料の隆起特徴(raised feature)もしくはざらざらした部分(asperity)に部分的に位置し、その間の間隙を橋渡ししている場合に言及する;そして、用語付着物(fouling)などは、堅い表面(例えば、フィルタもしくは膜)上に生きている生物および特定の生きていない物質の蓄積および/もしくは沈着に言及する。さらに、本明細書で言及される数値もしくは他の値、量、範囲、寸法、温度、期間、重量、パーセンテージ、比などは、別段示されなければ、近似値であることが意味される。
【0023】
一般に、本明細書は、材料(例えば、少なくとも部分的にポリマーの材料)の種々の実施形態を開示する。1つの例示的実施形態において、上記開示される材料は、必要に応じて、複数の異なる成分材料(例えば、少なくとも1つのポリマー成分を含む)を含む複合材である。別の例示的実施形態において、上記開示される材料は、その中におよび/もしくはその上に形成された1種以上の微小サイズの構造を選択的に有する。適切には、上記微小サイズの構造は、上記材料内に形成された、孔もしくは他の類似の空間、間隙もしくは空隙である。選択された例示的実施形態において、上記孔は、必要に応じて、上記材料内の孔の相互接続されたネットワークを形成するように、互いに流体連絡(fluid communication)した状態にある。本明細書はまた、上記材料の制作のために、本発明の方法を開示する。1つの適切なプロセスにおいて、複合材は、中間材料として最初に形成される。その後、上記複合材を構成する成分材料のうちの少なくとも1種の少なくとも一部分が除去されて、最終構造化材料を形成し、例えば、孔は、上記除去された材料が以前存在していた場所にある。
【0024】
ここで図1および図2を参照すると、本発明の事項の局面に従う材料を含む複合材および/もしくは微小構造を作製するための例示的プロセスが記載される。特に、図1は、前述の材料を作製するための例示的プロセスを示すフローチャートを示し、図2は、上記プロセス内で種々の時点もしくは段階で形成される材料および/もしくは中間構造を示す。
【0025】
第1の工程100(図1を参照のこと)において、格子構造10(例えば、図2において見られるように)が、調製される。特に、上記構造10は、適切には、固体粒子10a(すなわち、材料の粒状物)の一次元、二次元もしくは三次元の格子もしくはフレームワークである。図2に示されるように、上記格子は、上記粒子10aの不規則なジオメトリ配置を含むが、代わりに上記粒子10aは、上記格子内で規則的なジオメトリ配置を有し得る。適切には、図2に示されるように、特定の粒子10aは、上記それぞれの粒子10aの間に1つ以上の空隙、間隙もしくは空間(すなわち、上記粒子10aが存在しない領域)を形成すると同時に、それらの隣り合う粒子10aのうちの1つ以上に隣接するか、接触するかまたは別の方法で境を接する。
【0026】
1つの例示的実施形態において、各粒子10aは、必要に応じて、同じ材料から作製される。しかし、代替の実施形態において、上記それぞれの粒子10aは、複数の異なる材料から作製され得る。適切には、上記格子構造10を生成するために使用される粒状の固体は、任意の無機固体材料もしくは有機固体材料(例えば、塩、糖、ポリマー、金属などが挙げられる)のうちの1種以上であり得る。必要に応じて、上記格子構造10の一部分が以下に記載されるように最終的に除去されるべきである場合、上記除去されるべき材料は、所定の溶媒に対して選択的に可溶性の材料であるように、適切に選択される。逆に、上記格子構造10の一部分が残されるべき場合、上記残されるべき材料は、上記所定の溶媒に対して不溶性であるように、適切に選択される。
【0027】
図2に示されるように、1つの任意の実施形態において、その形成の間、その形成の際、もしくはその形成の後に、上記格子構造10は、必要に応じて、第1の流体材料12(例えば、これは、空気もしくは別の流体であり得る)によって部分的にもしくは完全に浸透させられる、すなわち、上記第1の流体材料12は、上記粒子10aの間の空間、空隙および/もしくは間隙を少なくとも部分的に満たす。
【0028】
第2の工程200(図1を参照のこと)において、上記格子構造10は、第2の流体材料14が完全にもしくは部分的に入り込むようにされる。すなわち、上記入り込む流体14は、上記粒子10aの間の空間、空隙および/もしくは間隙を少なくとも部分的に満たす。適切には、上記格子構造10に、上記流体12が予め浸透されて場合、必要に応じて、上記流体14は、上記流体12のうちのいくらかもしくは全てに取って代わる。前述の部分的もしくは完全な置換に加えて、および/もしくはその代わりに、上記流体14は、必要に応じて、上記流体12のうちのいくらかもしくは全てと混合し得るか、または別の方法で合わさり得る。必要に応じて、上記入り込む流体材料14は、例えば、溶融ポリマー、モノマー、ポリマー溶液などである。
【0029】
第3の工程300(図1を参照のこと)において、上記材料14は、適切に凝固させられ、それによって、中間複合材16(例えば、上記凝固された材料14、上記格子構造10および任意の残りの量の上記材料12を含む)を形成する。必要に応じて、前述の凝固は、例えば、上記材料14の冷却、熱、光もしくは他の方法を使用する上記材料14の硬化、上記材料14と、上記材料12および/もしくは上記格子構造10を作り出すために使用される材料との反応などを介して、達成される。必要に応じて、上記複合材を形成するにあたって、任意の残りの流体材料12はまた、凝固させられ得る。
【0030】
任意の第4の工程400(図1を参照のこと)において、上記格子構造10を構成する材料および/もしくは任意の残りの第1の流体12のうちのいくらかもしくは全ては、中間複合材16から除去されて、最終構造化材料18を作り出す。特に、上記格子構造10および/もしくは任意の残っている第1の流体12のうちの除去された一部分は、実質的に、最終構造化材料18において1つ以上の微小構造(例えば、相互接続された孔のネットワーク)を形成するかもしくは上記微小構造の後ろに残る。必要に応じて、前述の除去プロセスは、例えば、溶解、洗浄、エッチング、除去される部分からの蒸着もしくは揮発によって、または他の同様の技術によって、行われ得る。
【0031】
ここで図2をさらに参照すると、前述の制作プロセスの複数の段階において、種々の材料、構造および/もしくは中間複合材が示される。種々の任意の実施形態および/もしくはシナリオが、図2に示されることに注意のこと。特に、同様の数字を有する参照文字で表示された段階は、上記生成プロセスにおいて類似の段階を表す一方で、それらの同様の数字で言及された、異なるアルファベット値を有する段階は、異なる代替の選択肢、シナリオおよび/もしくは実施形態を表す。
【0032】
102aおよび102bで表示された段階において、固体粒子10aから作製される適切な格子構造10が存在する。段階102aに示されるように、その白色もしくは影が付けられていない領域は、上記粒子10aの間の空間、空隙もしくは間隙を表す。一般に、図2に示されるように、上記白色もしくは影が付けられていない領域は、粒子10a、材料12および/もしくは材料14の非存在を表す。段階102aと比較して、段階102bに示されるように、上記格子構造10は、必要に応じて、流体材料12で浸透させられて示され、これは、一般に、図2において、薄い灰色の影が付けられた領域によって示される。202aおよび202bと表示された段階において、上記流体材料14が入り込むことが示され、これは、一般に、図2において、濃い灰色の影が付けられた領域によって表される。
【0033】
302a、302bおよび302cと表示された段階は、上記中間複合材16の実施形態を示す。適切には、302aの表示された段階において示されるように、上記材料14は、上記格子構造10に部分的に入り込むに過ぎない(例えば、上記複合材16中の残りの白色もしくは影が付いていない領域を参照のこと)。302bと表示された段階において示されるように、上記材料14は、繰り返すと、上記格子構造10に部分的に入り込むに過ぎず、それによって、上記材料12の一部分を取って代わらないままにする(例えば、上記複合材16中の残っている薄い灰色の影が付けられた領域を参照のこと)。あるいは、302cと表示された段階に示されるように、上記材料14は、上記格子構造10に実質的に完全に入り込み、それによって、上記粒子10aの間の本質的に全ての空隙、空間および/もしくは間隙を満たし、そして/または本質的に全て、上記流体材料12に取って代わった。しかし、全ての3つの場合において、上記中間複合材16は、直ぐに、例えば、上記材料14の凝固の際に、形成される。
【0034】
最後に、402a、402bおよび402cと表示される段階は、それぞれ、上記段階302a、302bおよび302cの各々に示される上記中間複合材16の格子構造10の除去から得られた最終構造化(すなわち、多孔性)材料18を示す。
【0035】
ここで図3を参照すると、粒子10aから形成される格子構造10の対応する例、上記格子構造10への材料14の入れ込みによって形成される複合材中間材料16、および上記格子構造10の除去によって得られる、得られた最終構造化/多孔性18が示される。図3から、上記最終構造化材料18における上記孔サイズ分布および孔接続性は、主に、上記粒状固体もしくは粒子10aのサイズ分布、それらの形状、および上記粒状固体もしくは粒子10aが、上記格子構造10の中に詰められ、そして/または配置される方法によって、選択的に制御され得ることが認識され得る。図3に示されるように、上記材料18の孔空間は、一般に、孔本体18aおよび孔開口部18bに分けられる。上記本体18aは、例えば、上記粒状固体もしくは粒子10aを除去することによって、一般に作り出されるかもしくは形成される比較的大きい空隙もしくは空間もしくは容積によって表される一方で、孔本体18aの間の流体連絡および/もしくは接続性を提供する比較的小さいチャネルもしくは開口部18bは、一般に、上記粒子10aが互いに接触した場所に、そして/または上記流体材料14が浸透しなかった接触領域の周りにある任意の空隙空間によって作り出されるか、または形成される。大部分については、上記最終材料18の全体における多孔性は、上記孔本体18aのサイズ分布および/もしくは量に依存するのに対して、上記最終材料18の流体フロー特性は、上記開口部18bによって制御される。
【0036】
既に指摘されたように、上記孔本体18aのサイズ分布および/もしくは量は、上記元の格子構造10における粒状固体および/もしくは粒子10aのサイズ分布および/もしくは量に関連する一方で、上記孔開口部18bのサイズ分布は、同様に、上記粒子10aの間の接触領域に関連する。上記粒子10aのサイズ分布は、上記格子構造10が制作される前に容易に制御および/もしくは測定され得るので、この論理に基づいた情報は、既知のデータである。よって、この論理に基づいたデータから、上記孔本体18aのサイズ分布(および従って、上記材料18の有効多孔性)もまた、既知であり得るか、計算され得るか、または前もって、すなわち、上記最終材料18の実際の形成の前に厳密に概算される。同様に、上記粒状固体もしくは粒子10aの間の上記接触領域のサイズ分布は、上記粒子10aの圧縮の程度およびそれらの角の丸さ、ならびにそれらの形状に依存する。上記粒子10aのサイズ分布、圧縮の程度、それらの形状などを考慮すると、上記粒子10aの間の接触領域のサイズ分布が、(例えば、コンピューターシミュレーションもしくは別の方法によって)決定され得、よって、得られた孔開口部18bのサイズ分布が決定され得る。従って、上記最終材料18において得られた孔空間の形態の関連情報は、予め、すなわち、上記材料18が製作される前にすら既知であり得る。
【0037】
ここで図4を参照すると、本発明の事項の局面に従って材料を製作するための1つの例示的実施形態が、ここで記載される。図1を参照して記載されるより高レベルプロセスに関連して、以下に注意すべきである:図4に示される工程110〜118は、図1に示される全般的な工程100に対応する部分工程であり;図4に示される工程210および212は、図1に示される全般的な工程200に対応する部分工程であり;図4において示される工程310は、図1に示される全般的な工程300に対応する部分工程である;そして図4に示される任意の工程410および412は、図1に示される全般的な工程400に対応する部分工程である。
【0038】
図4に示されるように、上記プロセスは、塩もしくは他の粒状固体材料とともに工程110において始まる。工程112において、工程110からの粒状材料は、粉砕されるか、または別の方法ですりつぶされて、所望のサイズおよび/もしくは形状の粒子10aを達成する。必要に応じて、上記固体は、乾式粉砕され得るか、もしくは非溶媒液体中で粉砕され得る。例えば、粒状NaClが、上記格子構造10を形成するために使用される場合、イソプロピルアルコール(IPA)が、適切な粉砕液体である。湿式粉砕が行われる場合、必要に応じて、いったん湿式粉砕が完了したら、乾燥もしくは他の同様の工程が行われて、生成された粒子10aから上記粉砕液体をエバポレートするかもしくは別の方法で除去し得る。あるいは、他の方法が、上記所望の粒子10aを生成するために使用され得る。例えば、上記粒子は、溶液からの沈殿もしくは再結晶化によって形成され得る。この場合、上記粒子10aのサイズおよび/もしくは形状は、必要に応じて、上記沈殿および/もしくは再結晶化が行われる処理条件(例えば、温度、混合条件など)によって制御される。さらに、いずれの場合においても、粒子−サイズ分布は、例えば、濾過もしくは篩い分けによって、さらに制御され得る。
【0039】
必要に応じて、1種以上の粒状固体材料が、上記格子構造10を作り出すために使用され得る。同様に、粒子10aの1種以上の形状および/もしくはサイズが、必要に応じて、所望の粒子−サイズ分布を達成するために使用され得る。選択されたサイズ、形状および/もしくは材料は、上記中間複合材および/もしくは最終的に所望される最終構造化/多孔性材料に依存する。使用され得る粒状固体の例としては、例えば、CaCO、NaCl、KCl、NaSO、Naなどが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、上記粒状固体は、異なる化学的性質、サイズおよび形状の固体粒子の混合物であり得る。上記粒状固体は、所定の溶媒もしくは溶媒混合物中に可溶性の材料であり得る。必要に応じて、上記粒状固体は、特定の溶媒中で可溶性でない材料を含み得る。例えば、粒状固体は、塩化ナトリウム粉末(すなわち、水溶性)および二酸化チタン粉末(すなわち、水不溶性)の混合物であり得る。
【0040】
工程114において、工程112からの粒状媒体は、懸濁液体中に混合される。上記懸濁液体は、上記粉砕液体と同じであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、適切な粉砕および/もしくは懸濁液体としては、例えば、空気、アルコール(IPA、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンなど)、エステル、ケトン、芳香族、脂肪族、液体ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。適切には、上記懸濁液体において、上記固体粒子10aは、実質的に均質な固体懸濁物を形成するために分散させられる。
【0041】
工程116において、次いで、上記粒状媒体を運ぶ液体は、必要に応じて、表面もしくは基材に、印刷されるか、コーティングされるか、沈着させられるか、または他の方法で適用され得る。例えば、ダイもしくはパターンコーティング、スプレー、スクリーン、グラビア印刷もしくはインクジェット印刷などのような方法が、必要に応じて、使用され得る。特に、印刷もしくはパターンコーティングプロセスを使用することは、上記粒状媒体を運ぶ液体が、上記基材上に望ましいパターンにおいて選択的に沈着させられ得るかもしくは適用され得、よって、上記格子構造10が、上記沈着もしくは適用パターンに対応する場所においてのみ形成されるという利点を有する。結論として、上記中間複合材16および/もしくは最終構造化/多孔性材料18は、同様に上記パターンを反映する。すなわち、上記中間複合材16は、上記粒状媒体を運ぶ液体が沈着させられたパターンに従って、そこに形成された上記格子構造10を有する。同様に、上記最終構造化材料18は、上記粒状媒体を運ぶ液体が沈着させられたパターンに対応する、パターン化された多孔性を有する。特に、上記最終構造化材料18は、上記粒状媒体を運ぶ液体が上記表面もしくは基材上に沈着させられた場所に対応する領域において多孔性にされると同時に、上記粒状媒体を運ぶ液体が上記表面もしくは基材上に沈着させられなかった場所に対応する領域において非多孔性のままである(図44)。
【0042】
工程118において、上記コーティングは、必要に応じて、乾燥させられて、例えば、上記懸濁液体をエバポレートするかもしくは別の方法で除去し、それによって、それぞれの粒状物もしくは粒子10aの間に規定された空間、空隙および/もしくは間隙を有するケーキもしくは他の同様の構造10の形態において、上記粒状媒体の格子を残す。必要に応じて、代替の例において、上記格子構造10は、当業者に公知の任意の他の技術によって形成され得る。1つのこのような例は、上記固体粒子もしくは粒子10aを1層ずつ、または別の方法で、いかなる液体も使用することなく所望の配置に沈着させることである。いずれにしても、上記粒状固体から形成される上記格子構造10は、適切には、任意の望ましい形状もしくは形態を有し得る。例えば、上記格子構造10は、上記表面もしくは基材に対して均一にもしくは部分的に適用され得る。後者の場合、上記部分的な適用範囲は、不揃いであってもよいし、パターン化されていてもよい。要するに、粒状固体の種々の空間的組み合わせのうちのいずれかが、企図される。
【0043】
工程210において、上記入り込む流体材料14は、上記格子構造10に適用されるかもしくは別の方法で上記格子構造10と接触させられる。必要に応じて、上記入り込む流体14(すなわち、上記粒子10aの間の空隙、空間および/もしくは間隙の中に入る流体)は、任意の材料から作製され得る。例示的実施形態において、上記入り込む流体14は、適切な物理的方法および/もしくは化学的方法によって、少なくとも部分的に凝固させられ得る材料から作製される。例えば、上記入り込む流体14は、溶融ポリマー、モノマー、ポリマー溶液などであり得る。必要に応じて、上記ポリマーは、蒸気相から沈着させられ得る。上記ポリマーは、熱伝導、マイクロ波加熱、赤外線加熱、もしくは任意の他の適切な加熱法で溶融され得る。適切には、上記ポリマーは、予め形成されたフィルムとして導入されるか、または上記格子構造10の上に押し出し成形される。上記入り込む材料14のために使用される上記ポリマーは、上記プロセスに適した、いずれか1種以上のタイプの材料を含む。例えば、任意の熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、単層フィルム、積層されたもしくは同時押出成形された複数層フィルムが、使用され得る。上記ポリマーはまた、必要に応じて、充填剤を含み得る。適切なポリマーの例としては、PETG、ポリプロピレン(PP)、TiO充填KRATON−G 2832(Kraton Polymers,Houston,TX)、ポリウレタン熱可塑性エラストマー、DuPont(DuPont,Wilmington,Delaware)のSURLYNイオノマー、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、TPX(Mitsui,Japanのポリメチルペンテン)、およびポリオレフィン、高性能フィルム(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、フッ素化エチレンプロピレンTeflon(DuPont,Wilmington,Delaware)が挙げられる。
【0044】
工程212において、図4は、上記格子構造へと上記流体材料14を入れ込むことを示す。すなわち、上記入り込む流体14は、上記粒子10aの間の空間、空隙および/もしくは間隙を少なくとも部分的に満たす。必要に応じて、上記格子構造10は、既に、別の流体12を含み得る。例えば、上記格子構造10は、任意の気体(空気を含む)または他の液体を含み得るか、または真空下で保持され得る。当然のことながら、上記格子構造10が既に別の流体12を含む場合、上記入り込む流体14は、上記格子構造10中の空間もしくは間隙へと入って、必要に応じて、上記流体12に取って代わる。いくつかのパラメーターは、上記入れ込むプロセスおよび異なる成分(10、12、および14)の最終微小構造を制御する(差圧、毛細管圧、温度、引力、湿潤性、種々の成分の表面張力、流体(12および14)の混和性、反応性、相変化などが挙げられる)。適切には、加熱されたローラー、ラミネーター、ホットプレスおよび/もしくは同様のものが、上記材料14を上記格子構造10へ入れ込むのを促進するために望ましい適切な圧力および/もしくは温度を提供するために使用される。必要に応じて、上記入り込む流体14はまた、スロットダイコーティングを介して、上記格子構造10上にコーティングされ得る。
【0045】
図4の工程310に示されるように、上記入れ込むプロセスの間に、もしくはその完了の際に、入り込む流体14および/もしくは任意の残っている流体12を含む種々の成分は、少なくとも部分的に凝固させられる。上記入り込む流体14および/もしくは上記流体12の組成に依存して、上記凝固プロセスは、必要に応じて、熱、光もしくは冷却の適用を包含する。例えば、上記冷却プロセスは、必要に応じて、冷水もしくは冷水蒸気を適用することによって、行われる。適切には、上記冷却水もしくは冷却水蒸気は、逆浸透膜、続いて、エバポレーションを使用して、再循環させられる。例えば、ポリマー材料14の凝固は、必要に応じて、溶融点より低い(例えば、約32〜100°Fの範囲における)温度の水を適用することによる冷却を介して;紫外線(UV)照射による硬化を介して;他の照射源(例えば、赤外線(IR)もしくは近赤外線)による加熱を介して;水蒸気の適用による硬化を介してなどで達成される。
【0046】
1つの例示的実施形態において、上記流体14および流体12は、必要に応じて、互いと反応して、別の材料を形成する。例えば、上記別の材料は、少なくとも部分的に固体である。例えば、流体14は、流体12と接触した際に反応して凝固し得、硬化剤(例えば、過酸化物もしくはアミン)を含むモノマー(例えば、アクリレートおよびエポキシ)を含み得る。別の例において、流体14および流体12は、正に荷電した高分子電解質および負に荷電した高分子電解質を含み得る。上記高分子電解質は、接触すると反応して、不溶性複合体を形成する。
【0047】
別の例示的実施形態において、上記流体14、流体12もしくはその両方のいずれかが、上記格子構造10と反応し得る。例として、上記格子構造10は、必要に応じて、乾燥硬化剤もしくは凝固した硬化剤から作製され、上記流体14、流体12もしくはその両方は、上記硬化剤と反応するモノマーを含む。なお別の例において、上記格子構造は、二価のイオン性塩(例えば、酸化マグネシウムもしくは酸化亜鉛)から作製され得、流体14、流体12もしくはその両方は、負に荷電した高分子電解質(例えば、ポリアクリル酸)を含む。その結果、その間の反応は、固体で不溶性のポリアクリル酸−亜鉛塩を生じる。
【0048】
さらに別の実施形態において、上記流体14および上記流体12は、接触すると相分離する、部分的に混和性の流体であり得る。例えば、流体14は、水(すなわち、流体12)と混合する際に、相分離するポリビニルブチル(polyvinylbutyal)のアルコール溶液であり得る。さらに、上記相分離は、最終の沈殿した相が、ミセル状、ラメラ状、六角形状、もしくは両連続型構造を有するようにされ得る。さらなる例として、上記流体14はまた、油もしくはシランを含み得、これらは、水−非イオン性(両親媒性ブロックコポリマー、Pluronic F127,BASF)界面活性剤混合物と混合した際に、ミセル相、ラメラ相もしくは両連続相を形成する。
【0049】
いずれにしても、工程310の完了の際には、上記中間複合材16は達成されている。適切には、上記プロセスは、上記中間複合材16が所望の生産高である場合には、ここで終わり得る。しかし、代わりに、さらなる工程410および412が、必要に応じて、望ましい場合には、上記複合材成分のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分を除去して、例えば、微小構造化および/もしくは多孔性の最終材料18を得るために行われ得る。
【0050】
必要に応じて、上記格子構造10は、工程310において生成された複合材16から少なくとも部分的に除去される。当然のことながら、1つの適切な実施形態において、上記格子構造10は、その全体において実質的に除去される。適切には、上記除去プロセス(例えば、工程410および412)は、上記格子構造10の不要な部分を溶解、洗浄、エッチング、蒸発および/もしくは揮発させることを包含する。あるいは、他の公知の方法が、上記格子構造10の不要な部分を除去もしくは排除するために使用され得る。
【0051】
上記格子構造10が、部分的にのみ除去される場合、その残りの部分は、必要に応じて、上記最終複合材中で特定の機能を有し得る。例えば、元の格子構造10は、必要に応じて、いくらかの活性材料(例えば、触媒粒子)(例えば、白金粒子)もしくは抗菌剤(例えば、銀粒子)を含み得る。適切には、上記触媒粒子もしくは抗菌剤は、上記格子構造10の部分的除去後に、上記最終複合材18に残され得る。例えば、図5は、ポリプロピレンおよび銀コーティングガラスビーズ20から作製される複合材18を示す。製造において、上記銀コーティングガラスビーズを、当初は、塩粒子と混合して、上記格子構造10を作製した。次いで、上記ポリプロピレンを、上記塩および銀コーティングガラスビーズ格子構造10に入れ込んだ。凝固させた後、上記塩粒子を洗い流し、上記最終複合材18中に上記銀コーティングガラスビーズを残した。上記塩粒子(これは、一般に、上記ポリプロピレン中に作り出される孔のサイズを決定する)と比較して、上記銀ビーズのサイズの大きさに、およびその洗浄液体に不溶であることに一部起因して、上記銀コーティングビーズは、上記最終複合材18の中に残った。
【0052】
いずれにしても、図4に示されるように、工程410において、上記複合材16は、溶媒もしくは他の同様の液体もしくは流体材料中で洗浄されて、そこから上記格子構造10の不要な部分が除去される。最終的に、乾燥工程(すなわち、工程412)が、必要に応じて行われて、いかなる残りの洗浄流体をもエバポレートするか、または別の方法で除去もしくは排除し、それによって、上記最終構造化/多孔性材料18を残す。
【0053】
ここで図6を参照すると、本明細書で記載される生成プロセスを行うための例示的装置の模式図が図示される。図示されるように、押し出し成形機50は、プレス60の2つのプレッシャーローラー62の間に送り込まれる溶融ポリマー(すなわち、上記流体材料14)のフィルムを産出する。適切には、各プレッシャーローラー62は、その外表面上に格子構造10を形成した。示されるように、上記格子構造10を各プレッシャーローラー62の上に形成するために、コーティングローラー64は、上記圧ロール62を、上記格子構造10を形成するはずである粒状物質の固体懸濁物を含む液体もしくは流体66でコーティングする。上記固体懸濁物を含む液体もしくは流体66が、上記プレッシャーローラー上にコーティングされた後、上記液体もしくは流体は、エバポレートされるか、乾燥させられるか、または別の方法で除去されて、上記プレッシャーローラー62の外表面上に上記格子構造10が残される。
【0054】
上記プレッシャーローラー62の間を通過する際に、上記溶融ポリマー(すなわち、流体材料14)は、圧力がかけられ、そして/またはいずれかのプレッシャーローラー62の表面上の上記格子構造10の中に流される。すなわち、上記材料14は、例えば、上記のように、上記格子構造10に入り込む。上記フィルムが、上記プレッシャーローラー62の間から進むにつれて、上記格子構造10は、上記ローラーとともに運ばれて、上記溶融ポリマーが入り込み、そして/または上記溶融ポリマー中に埋め込まれた。よって、上記プレス60を出る際に、上記ポリマー材料14を含む複合材16のウェブが形成され、例えば、上記ポリマー材料は、適切に凝固させられ、そこで上記プレッシャーローラー62から採取された格子構造10を含む。
【0055】
図6に示されるように、上記複合材16のウェブは、次いで、洗浄ステーション70を通って送られ、そこで上記複合材16のウェブは、スプレーされ、洗浄され、そして/または別の方法で処理されて、上記格子構造10のいくらかの部分もしくは実質的に全てが除去される。特に、上記洗浄ステーション70に適用される洗浄液体もしくは流体72は、必要に応じて、上記格子構造10の不要な部分を溶解する溶媒である。適切には、上記洗浄ステーション70を通過した後、上記ウェブは、その後、上記ウェブを乾燥させ、そして/またはいかなる残りの洗浄液体をもエバポレートする乾燥ステーションもしくはオーブン80に送られ、それによって、構造化/多孔性材料18のウェブを残す。最後に、上記構造化/多孔性材料18のウェブは、次いで、ロール90に巻き付けられる。当然のことながら、上記複合材16が、望ましい生成品である場合、上記洗浄ステーション70および/もしくはオーブン80は、必要に応じて、省略されるかもしくは迂回され得る。
【0056】
上記例から認識され得るように、上記押し出し成形フィルムを、その両側で処理したところ、その両側に格子構造を有する中間複合材16およびその両側で形成された孔を有する最終構造化フィルム材料18を生じた。あるいは、上記フィルムの片方のみが、そのように処理されて、結果的に、上記格子構造10を片方のみに含む複合材16および/もしくは片方のみが多孔性である最終構造化材料18を生じてもよい。さらに、前述のように、上記懸濁液体もしくは流体66(すなわち、上記格子構造10を構成するべきである上記粒状物質の固体懸濁物を含む)は、必要に応じて、上記プレッシャーローラー62の表面にパターンコーティングされるか、印刷されるか、または別の方法で選択的に適用され、その結果、上記格子構造10は、上記パターンに従って形成され、得られた複合材16および/もしくは構造化材料18は、その同じパターンを反映する。さらに、上記格子構造10が残り得、そして/または孔が上記フィルム内で種々の深さを作り出し得る(例えば、本質的に単なる表面特徴から任意の場所まで及び得るか、または上記フィルムの厚み全体に浸透し得る)ことが認識されるべきである。例えば、上記ローラー62の間の圧力ならびに/または上記ローラー62上のコーティングの重量および/もしくは厚み(および、従って、上記形成された格子構造10の高さ)を制御することによって、上記格子構造10が上記フィルムに浸透する深さおよび/もしくはその孔が形成される深さも、同様に制御され得る。
【0057】
1つの例示的実施形態において、上記格子構造10は、必要に応じて、上記顆粒もしくは粒子サイズもしくはサイズ分布などが上記格子構造10の深さもしくは高さに対して徐々に変わるように、形成されるかもしくは別の方法で配置される。例えば、このような勾配は、上記プレッシャーローラー62へ多数の連続するコーティングを適用して、上記格子構造10を高めることによって、達成され得る。ここで各連続するコーティングは、前のコーティングと比較して、いくらか大きいもしくは小さいサイズもしくはサイズ分布を有する顆粒もしくは粒子の固体懸濁物を含む。続いて、このような格子構造10は、その厚みの全体にわたって対応する勾配の多孔性を有するフィルムもしくは材料18を生成する。
【0058】
いずれにしても、上記のように、本明細書で記載される技術を使用して、上記多孔性18を生成する場合、上記孔空間の形態に関する関連情報が、予め、すなわち、上記多孔性材料18が製作すらされる前に既知であり得る。このことは、いくつかの顕著な結果をもたらす。例えば、上記孔空間形態に関する実質的に完全な情報を有するので、実際は、狭いチャネルのサイズ分布である、古典的に孔サイズ分布といわれているものを決定するために、窒素吸着(BET)、水銀圧入(mercury porosimetry)、フローパームポロメトリー(flow permporometry)などのような方法を使用する必要はない。このことは、このような方法が、完全な情報を提供もせず、特定のサイズ範囲に限定もしない程度まで有利である。さらに、本技術は、かなりの融通性を提供する。すなわち、適切な粒子形状およびサイズ分布を選択することによって、任意の所望のサイズ分布が設計され得る。このような制御は、上記多孔性材料18を通る流体の経路を含む適用に対して特に価値がある。上記粒状固体のサイズ(すなわち、上記孔本体のサイズ)は、所望の粒子サイズ分布が得られるように、制御され得る。既に述べたように、望ましいサイズ分布および粒子形状を有する粒状固体は、沈殿もしくは再結晶化によって調製され得る。例えば、塩が最初に水に溶解されて、塩溶液が作製される場合、上記溶液は、非溶媒(例えば、アセトン)に添加され、上記塩が沈殿し始める。塩溶液の量、温度および他の熱平衡因子、ならびに混合条件を制御することによって、上記塩結晶に関して広い範囲のサイズを得ることができる。上記孔開口部のサイズはまた、選択的に制御され得るか、そして/または変わり得る。例えば、少量の不揮発性(高沸点)液体(例えば、プロピレングリコール、グリセリンなど)、もしくは水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドなど)を上記溶媒に添加することによって、次いで、乾燥させる際に、上記添加した液体もしくは水溶性ポリマーは、上記粒子の間の接触領域において架橋が作製され、上記孔開口部の大きさに拡がる。上記流体14による吸収膨潤およびその凝固の後に、上記粒状固体および上記不揮発性液体、または上記水溶性ポリマーは、侵出させられ、より大きな孔開口部が残される。上記溶液が溶解性の繊維もしくは桿状結晶によって混合される場合、遙かに大きくかつ長い開口部もまた、多孔性材料中に作製され得る。それらが洗浄された後、それらは、大きなチャネルを後に残す。あるいは、上記繊維が不溶性である場合、それらは、その最終マトリクスを強化し得る。顕著なことには、上記材料の孔空間形態に対するこのような正確な制御は、従来の方法(例えば、冷却を介するポリマー沈殿)によって、もしくは溶媒エバポレーションによって得ることはできない。前者の場合、上記材料の孔容積は、上記溶液の最初の組成によって制御される一方で、上記孔の空間分布およびサイズは、冷却速度によって決定される。後者の方法においては、上記孔構造は、エバポレーション速度によって制御される。しかし、このような因子の正確な制御ですら、一般には、上記孔本体および孔開口部のサイズ分布に関するいかなる知識も提供しない;よって、上記孔本体および孔開口部のサイズ分布は、後に測定する必要がなおある。
【実施例】
【0059】
(実験/実施例)
種々の実験を、複合材および/または構造化もしくは多孔性材料を生成するための本明細書に記載される技術を実証するために行った。上記実験はまた、種々の異なる材料を生成するために、開示される技術の融通性を実証する。上記実験およびそれらの知見の説明は、以下に報告される。全ての実験は、上記格子構造10(「ケーキ」ともいわれる)を作製する工程および上記構造10に流体材料14を入れ込む工程を包含する。必要に応じて、上記格子構造10の少なくとも一部分は、溶解もしくは洗浄によって後に除去される。これら実施例における構造10を、購入したか、またはさらに処理した場合(例えば、粉砕、篩い分け、再結晶化など)、所望の粒子サイズおよび/もしくは粒子サイズ分布を有するように、粒子から調製した。これら実験において使用される材料を、以下の表1に列挙する。
【0060】
【表1】

(塩ケーキの調製に使用される材料)
1.固化防止剤フェロシアン化ナトリウム入りのシェフズレビュープレーン真空顆粒化食卓塩(立方体サイズ 約350μm)(Los Angeles,CA)
2.99% イソプロピルアルコール
3.JT Baker プロピレングリコール(Phillipsburg,NJ)
4.US Stoneware 円筒状セラミックアルミナBurundumすりつぶし媒体 1/2インチ半径末端シリンダー(East Palestine,OH)
5.US Stoneware Roalox Jar 775−0(容積:1.8L)(East Palestine,OH)
6.Carver Auto Series自動水圧プレス(Wabash,IN)
7.Paul N.Gardner Co. 8パス湿式フィルムアプリケーター#25および#14(Pompano Beach,FL)
8.McMaster−Carrポリエステルフェルトフィルタバッグ25μm(Elmhurt,IL)
9.Davis Standard 2.5インチ直径スクリュー;長さ/直径:20(Pawcatuck,CT)
(粉末もしくは粉末混合物からのスラリーの調製)
受け取ったら、粉末を、液体媒体(通常は、IPA)中に、約25〜45% 固体(体積ベース)で分散させ、激しく混合し、使用前に密封ガラスジャー中に貯蔵した。
【0061】
(ボールミルによる塩スラリーの調製)
すりつぶし媒体(セラミックボール)を、ジャーミル中に配置して、ジャー容積の45〜55%を満たす。約1kgの塩を、約1インチまで上記媒体を覆うに十分なIPAとともに、上記ジャーの中へ注いだ。上記ジャーを、235rpmのローラーに配置し、上記塩を、7日間にわたって粉砕した。次いで、上記形成された塩スラリーをさらなるIPAで希釈し、25μmフィルタを通して濾過した。次いで、上記濾過した塩粒子を沈殿させ、そのIPAをデカントした。プロピレングリコールを、上記塩に添加したところ、60% 固体を有する塩スラリーを生じた。
【0062】
(摩擦ミルを使用するスラリーの調製)
上記スラリーをまた、液体媒体中で粉末を受容した場合に、摩擦ミル(Union Process,Model 1S)を使用して、粉砕することによって調製した。例示的処方において、1kgの乾燥塩(NaCl)を、0.538kgのIPAに添加し、250rpmにおいて15分間1/4インチセラミックボールを使用して粉砕した。上記1/4インチセラミックボールを1/8インチセラミックボールに交換し、上記スラリーを、さらに15分間にわたって粉砕した。上記スラリーを排出し、後に使用するために、密封したガラスジャー中に貯蔵した。図7は、堀場レーザー散乱粒子サイズ分布分析器(Model LA910)を使用して光散乱によって測定した上記塩スラリーの代表的な粒子サイズ分布を示す。
【0063】
(乾式粉砕を使用する微細粒子の調製)
微細塩粒子をまた、乾式摩擦粉砕を使用して調製した。上記摩擦ミルを、熱水(150°F)を使用して加熱し、140°Fに維持して、上記塩から水分を除去した。1kgの乾燥塩を添加し、1/4インチセラミックボールを使用して250rpmで30分間にわたって粉砕した。ステンレス鋼篩い(メッシュ4、W.S.Tyler Corporation)を使用して、上記セラミックボールを乾燥塩粉末から分離した。これによって、微細な粉末塩になった。18ミクロンの平均粒子サイズが、堀場レーザー散乱粒子サイズ分布分析器(Model LA910)を使用して光散乱によって測定された。上記乾燥粉末を、密封したガラスジャー中に貯蔵した。この粉末は、先に記載されるように、さらなる使用のために、IPA中に分散させた。
【0064】
(スラリー混合物の調製)
調製したら、スラリーを異なる種の粉末と混合し、完全に均質化し、後の使用のためにガラスジャー中に貯蔵した。実験/実施例番号11および12は、このプロセスの例である。
【0065】
(上記スラリーからの格子構造/ケーキの調製)
格子構造/ケーキを、上記スラリー(200 1/sにおいて<1000センチポアズ)を、Byrdバー(Gardcoウェットフィルムアプリケーター)を使用して、0.0045インチ厚のシリコン処理紙(Loparex Co.)もしくは4ミルのアルミニウム箔上に、種々のぬれた状態の厚みにおいてコーティングすることによって調製し、オーブン中で70℃において1〜10分間乾燥させた。
【0066】
格子構造/ケーキはまた、上記乾燥粉末を、シリコン処理紙(Loparex Co.)上に直接コーティングすることによって調製し、ローラーを使用して圧縮した。
【0067】
(上記格子構造/ケーキへの溶融ポリマーの入れ込み)
図8は、ポリマー融解物での実験において入れ込み工程を行うために使用される代表的設定の模式図を示す。示されるように、ポリマーフィルム(すなわち、上記材料14)を、1つ以上の格子構造もしくはケーキ10の間に挟み、加熱したプレス(特に、Carver Press Auto Series-Auto Four/30-Model 3895)を使用して、所定の温度、圧力(もしくは力)、および滞留時間で加圧した。シリコン処理紙を、上記格子構造の取り扱いが容易であることから使用した。シリコーンゴムと組み合わせたステンレス鋼くさびを、必要に応じて、上記プロセスの間に起こり得るクラッキングを軽減するために使用した。種々の実験/実施例のための実験条件を、図9に示される表に提供する。加圧の後、得られた複合材サンプル(すなわち、上記複合材16に対応)を、冷却した。上記格子構造/ケーキ10が、塩を含んだ場合、上記複合材サンプルを、大きな水タンクに浸漬して、上記塩粒子の大部分を除去し、その後、第2の水ビーカー(洗浄のため)に浸漬した。上記第2のビーカー中の水温を、50℃に制御し、上記水を、5分間にわたって、磁性式スターラーバーで一定に攪拌した。上記サンプルを、プラスチックコームによって水循環に対して垂直に保持した。このことは、内部の上記実質的に完全な塩粒子の溶解を可能にする。図10および11(実施例1および2から)は、それぞれ、不十分な洗浄および比較的完全な洗浄での実験結果を示す。
【0068】
実施例3および実施例4は、元の格子構造(塩)が、ナイロンおよび銅メッシュと組み合わされた場合を表す。上記組み合わされた格子構造(塩およびメッシュ)に、上記の設定においてポリマー溶融物を入れ込んだ。上記複合材サンプルを、次いで、上記塩粒子を除去するために洗浄した。図12および図13は、得られた材料の断面のSEM画像である。
【0069】
実施例5〜実施例8は、上記格子構造10が種々の粒状物質(例えば、金属粉末(鉄および銀コーティングした銅)および無機材料(例えば、炭化ケイ素およびセメントから作製された、異なる場合を示す(図14〜17に示される)。
【0070】
実施例9、実施例13、実施例14、および実施例15は、高性能ポリマー(TPX、ナイロン、FEP、およびPSF)を、本明細書に記載の方法に従って処理し、上記塩を完全に抽出して、多孔性マトリクスを形成した種々の実施例を示す(図18、図22、図23、および図24に示される)。
【0071】
実施例10において、TPXポリマーフィルムを、2つの異なる格子構造(一方は、粉砕塩から作製したのに対して、他方は、IPA中の溶融塩のスラリーから作製した)の間で加圧した。図19は、上記フィルムの何れかの側面で得られた異なる孔構造を示す。
【0072】
実施例11および実施例12において、活性充填剤(Ryan繊維および銀コーティングガラス)を、最終多孔性マトリクスの中に組み込んだ。得られた材料のSEM画像を、断面図として図20および図21に示す。図21に示されるように、上記銀コーティングガラス球体を、上記多孔性がマトリクスの内部に捕捉したが、それらの表面は(完全にもしくは部分的に)上記孔容積へと露出された。
【0073】
実施例16〜実施例20は、上記塩篩い分け実験の結果を示す。上記粉砕したスラリーを、上記塩粒子を以下の範囲(>100、80〜100、45〜80、25〜45、<25μm)において分画するために、異なるメッシュサイズ(大きいものから小さいものへ)を連続して通して篩い分けした。上記分画したスラリーを使用して、上記格子構造10を形成し、溶融ポリマーをさらに入れ込んだ。図25〜図29は、上記塩粒子の抽出後の最終サンプルのうちのいくつかの断面SEM画像を示す。
【0074】
実施例21において、上記格子構造を、5%プロピレングリコールを含む塩スラリーから調製し、70℃において1分間乾燥させた。図30は、上記粒子の抽出後の最終サンプルの断面SEM画像を示す。
【0075】
(実施例22および23:多孔性ポリプロピレン(PP)の調製)
市販の2ミル ポリプロピレンフィルムを処理した。図31は、改変PP表面を示す。上記表面は、明らかに多孔性である。ポリプロピレンを塩に入れ込むために、300〜400Fの温度(片側)および>50psiの圧力は、上記入れ込むプロセスのための十分条件である。
【0076】
(実施例24:多孔性DuPont SURLYNイオノマーの調製)
DuPont SURLYNイオノマーペレット(DuPont,Wilmington,Delaware,)を、150°Fのバックアップロールおよびライン速度30フィート/分を用いて、440°Fにおいて2.5ミルで押し出し成形した。10ミルの湿潤塩スラリーを、シリコン処理紙上にコーティングし、7.5分間、70℃において乾燥させた。次いで、上記シリコン処理紙上の2つの乾燥させた塩ケーキを、上記バックアップロールのニップ(間隙 8ミル)の前および後ろに挿入して、上記ローラーのニップを通過していくように、上記押し出し成形したイオノマーを挟んだ。次いで、上記フィルムを洗浄し、乾燥し始めた。図32は、改変イオノマー表面を示す。その多孔性構造が、明らかに観察される。
【0077】
実施例25は、上記格子構造10を、水中の炭酸カルシウムスラリーを最初に作製し、上記スラリーを、シリコン処理紙上にコーティングすることによって形成した場合を示す。上記コーティングを、100℃のオーブン中で5分間乾燥させ、上記の同じ設定を使用して、溶融ポリマー(LLDPE1)を入れ込んだ。上記炭酸カルシウム粉末を、1N HClを使用して15分間にわたって侵出させ、上記サンプルを、風乾した。このサンプルの上部および断面のSEM画像を、図33に示す。
【0078】
実施例26は、上記格子構造10を上記乾燥塩粉末から形成した場合を示す。上記乾燥塩粉末を、上記塩を湿式粉砕し、その後、それを室温で一晩乾燥させることによって得た。得られた大部分を、再度すりつぶして乾燥させ、シリコン処理紙に拡げ、圧縮してケーキを形成させた。上記LLDPE1フィルムを、図9に示される条件に従って、2つの乾燥した塩の層の間で加圧した。洗浄後、上記多孔性サンプルを得た(図34を参照のこと)。
【0079】
実施例27:この実施例は、2成分エポキシ材料を使用して、上記塩ケーキに入れ込んだ場合を示す。上記サンプルを硬化させ、上記塩材料を除去するために洗浄した(図35を参照のこと)。
【0080】
実施例28は、シリコン処理紙に塩ペースト(粉砕した塩 85%+プロピレングリコール 15%)をスクリーン印刷することによって上記格子構造10を形成した場合を示す。上記塩を、上記多孔性領域を作り出すために洗浄した(図36および図37を参照のこと)。
【0081】
(実施例29:多孔性グリコール改変ポリエチレンテレフタレート(PETG)の調製)
一片の押し出し成形したグリコール改変ポリエチレンテレフタレート(PETG)フィルムを、水圧プレスにおいて、2つの塩ケーキの間に挟んだ。上記プレートを、400°Fに設定し(片側)、全てのサンドイッチ状に挟んだものを、60秒間、60psiにおいて加圧した。上記サンドイッチ状のものを、上記プレスから外して、約1分間冷却し、上記フィルムを水で洗浄して、上記塩を除去し、最後に、風乾し始めた。図38は、上記プロセスを使用して改変した後のPETGの上部図を示す。その表面は、明らかに多孔性である。図39は、両方の表面を処理した後のPETGの断面図である。その孔は、明らかに接続されている。
【0082】
本明細書で提唱された方法は、以前の方法を超えるいくつかの明瞭な利点を有することが認識されるべきである。上記利点としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(1)上記多孔性材料は、上記塩層もしくは格子構造に入れ込むことによって調製されるので、上記結晶の全ては、互いとの接触を介して接近可能であるように、上記塩を洗い流すことは容易である。このことは、塩およびポリマーを一緒に混合する方法(これは、ポリマー構造中に塩結晶の多くがトラップされたままである)とは対照的である。
【0083】
(2)上記格子構造についての適切な粒子形状およびサイズ分布を選択することによって、上記孔形態の正確な制御が、達成され得る。
【0084】
(3)勾配の付いた多孔性構造(所定の方向において上記孔の平均サイズに特定の勾配が存在するもの)が、容易に生成され得る。このことは、クロスフロー濾過を制御するために有利である。例えば、このことは、塩のいくつかの層(各々は、異なる結晶サイズ分布から作製される)を使用することによって行われ得る。上記勾配の付いた塩構造はまた、上記層の制御された乾燥によって生成され得る。一般に、先行技術の方法は、このような勾配孔構造を生成できない。
【0085】
(4)二峰性、三峰性もしくはさらに多峰性の孔構造(すなわち、2つもしくは3つ以上の異なる孔サイズを有する)は、例えば、異なる粒子−サイズ分布を有する異なる粒状固体を混合することによって、簡単に生成され得る。
【0086】
(5)上記孔本体および孔開口部の形状は、上記結晶の形状および結晶の接触面積によって制御されるので、非常に種々の孔形状が、適切な結晶形状を使用することによって、および結晶構造が望ましい形状を有する容易に洗浄可能な材料を使用することによって、生成され得る。
【0087】
(6)上記多孔性材料の意図された適用が、膜として使用されることであれば、上記塩中に表面活性粒子(SAP)を埋め込むことによって、活性濾過(active filtration)のための膜として使用され得る。例えば、上記SAPは、抗菌剤、触媒粒子(反応を誘導するため)などであり得る。いったん上記塩が洗い流されると、上記SAPは、上記多孔性媒体中に残る。
【0088】
(7)例えば、上記塩の層をパターン形成することによって、上記材料の表面におよびバルク中に所定の多孔性パターンを生成し得る。例えば、上記多孔性パターンは、ポリマーの微小流体デバイス中の分離ユニットとして機能し得る。このようなパターンは、上記表面を流れている流体において局所的乱流を生じさせるので、クロスフロー濾過するために非常に有用であり得る。
【0089】
(8)適用に依存して、上記材料のバルクにおいて多くの微小構造パターンが、生成され得る。例えば、上記塩結晶の間の孔が、高い粘性の流体(例えば、プロピレングリコール(PG))で最初に満たされる場合、この流体は、上記塩の孔空間中で上記PGと完全にもしくは部分的に混和性である、低い粘性のモノマー混合物によって置換される。次いで、上記モノマー混合物は、熱もしくは紫外線によって、硬化もしくは重合される。次いで、上記塩および残りのPGは洗い流され、その硬化されたポリマー微小構造が残る。明らかに、上記PGと上記モノマー混合物との間の粘性の対比(および、上記流体が全く混和性でなければ、湿潤性)に依存して、広範に種々の微小構造が、生成され得る。このような構造のうちのいくつかは、顕著な数の閉じたループを有さない分枝状である一方で、他のものは、多くの閉じたループを有し得る。
【0090】
(9)上記多孔性表面は、上記多孔性材料の表面上の付着物または生きている生物もしくは生きていない物質の蓄積もしくは沈着に耐性であるように、作製され得る。
【0091】
(10)上記表面の湿潤性は制御され得、表面処理を含む種々の技術を使用して変更され得る。その湿潤性を制御するための表面構造、特に、その荒さの改変は、非常に望ましい。水も油も吸着しない超疎水性および超疎油性の表面(150°より大きい接触角および最小接触角ヒステリシスを有する表面)、および抵抗を低下させる表面は、表面の構造を変化させることによって作り出され得る。疎水性表面上のマイクロメートルスケールの荒さは、見かけの接触角を増大させ、その後、水と上記表面との間に顕微鏡でなければ見えない空気層を保持して(通常、Cassie−Baxter状態といわれる)、超疎水性表面および超疎油性表面を作り出す。このような超疎水性表面上の水滴は、最小の抵抗で動く。
【0092】
(11)上記多孔性表面への結合もしくは非結合が、(例えば、タンパク質の精製において)重要である場合、上記表面は、所定の徴候の恒久的な電気的変化を有するように作り出され得る。このことは、格子構造10、入り込む流体14および/もしくは他の流体12へイオン性種を添加することによって達成され得る。
【0093】
(12)多数の異なる熱可塑性もしくはさらに熱硬化性ポリマーが、使用され得る。特に、熱硬化性ポリマーの場合、その熱硬化反応は、上記塩の層の孔内で生じる。従って、化学的にかつ機械的に耐久性のある表面および膜を生成するポリマーが使用され得る。
【0094】
興味深いことに、本明細書で開示される方法に従って製造された、得られた多孔性材料18は、必要に応じて、特定の適用のために有利なもしくは別の点で望ましい特性を獲得し得る。例えば、一実施形態において、上記ポリマー材料14は、透過性フィルムとして始められ得るか、および処理して、本明細書で開示されたプロセスの結果として作り出された空隙に起因して、不透明な材料になる。さらに、上記ポリマーフィルムは、上記材料が拡がる空隙の作出の結果として、処理するとより厚くなる。一例において、上記フィルムは、55μmから138μmの厚みへと増大する。
【0095】
上記フィルムを通る光の%透過率はまた、上記プロセスによって改変される。このことは、図40に認められ得る。ここで光の%透過率を、Sheen InstrumentsのHaze−Gard Plusによって測定した。顕著なことには、上記%透過率は、上記改変多孔性材料の多孔性層の厚みが増大するとともに、低下する。この効果は、上記固体テンプレートもしくは格子構造の粒子サイズが低下すると増大する。この効果は、図41に示されるように、上記多孔性材料の透明性において、同様に認められる。上記多孔性層の厚みが増大するにつれて、上記多孔性材料の透明性は、同様に低下する。上記フィルムの処理は、上記多孔性材料の濁りを増大させたが、図42に示されるように、多孔性層の厚みが増大しても、実質的に一定のままであった。濁りおよび透明性の両方を、前述のHaze−Gard Plusを使用することによって測定した。
【0096】
TiO含有フィルム 対 本明細書で開示される方法に従って生成した多孔性処理フィルムの混濁度を比較することにおいて、上記%透過率データから、ランベルト−ベールの法則を使用して吸収係数を計算した。<5μmの適切な孔サイズで処理されているフィルムについては、上記吸収係数は、TiO含有フィルムよりほんのわずかに高いだけであることが見いだされた。
【0097】
上記ポリマー材料のテクスチャーはまた、必要に応じて、本明細書で開示されるように、上記フィルムの処理で改変され得る。上記固体テンプレートもしくは格子構造の粒子サイズが小さくなるほど、上記改変されたフィルムがより滑らかにかつ軟らかくなる。
【0098】
さらに、ポリマー未処理材料は、その材料特性に依存して、増大した親水性もしくは疎水性特性を有するように改変され得る。本明細書で開示される処理を介して上記多孔性構造が達成されると、上記改変フィルムは、その親和性または水の反発を増大させ得る。例えば、未処理の非多孔性フィルム上での水接触角が約90°であった場合、水接触角は、本明細書で開示される方法を使用して作り出された上記多孔性構造の結果として150°より大きくなった。
【0099】
Dow(Midland,MI)製のDowlex 3010 LLDPEはまた、本明細書で開示されるプロセスに従って多孔性に作製された後に、低歪みでは、弾性の低下および低い収率を示す。この実験において、上記応力−歪み曲線を、Instron Model 5542を使用して測定した。
【0100】
いずれにしても、本明細書で示される特定の例示的実施形態に関連して、特定の工程および構造的特徴もしくは機能的特徴が、規定される要素および/もしくは成分に組み込まれるとして記載されることが認識されるべきである。しかし、これら特徴はまた、適切な場合、同じ利益もしくは類似の利益にまで、他の要素および/もしくは成分中に、同様に組み込まれ得ることが企図される。また、上記例示的実施形態の異なる局面が、望ましい適用に適した他の代替の実施形態を達成するために、適切な場合に選択的に使用され得、それによって、上記他の代替の実施形態は、そこに組み込まれる局面のそれぞれの利点を実現することが認識されるべきである。さらに、本明細書で特定の順序で記載されているものの、適切な場合、工程の順序は、変更され得ることが認識されるべきである。
【0101】
さらに、一緒に組み込まれる場合、本明細書に記載される特定の要素は、適切な環境下で、独立型要素もしくは別の分けられる要素であり得ることが認識されるべきである。同様に、1つの特定の要素によって行われると記載される複数の特定の機能は、独立して個々の機能を行うように作用する複数の別個の要素によって行われ得るか、または特定の個々の機能は、協同して作用する複数の別個の要素によって分離され得そして行われ得る。あるいは、互いに異なるとして他に記載され、そして/または本明細書に示されるいくつかの要素もしくは成分は、適切な場合、物理的にもしくは機能的に組み合わされ得る。
【0102】
要するに、本明細書は、好ましい実施形態に関して記載されてきた。明らかに、改変および変更は、本明細書を読んで理解すれば、他者に想起される。本発明は、添付の特許請求の範囲もしくはその等価物の範囲内に入る限りにおいて、全てのこのような改変および変更を含むと解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を形成するための方法であって、該方法は、
(a)第1の格子構造を複数の固体粒子から形成する工程であって、該格子構造は、該粒子の間に1つ以上の間隙を有するように形成される、工程;
(b)該格子構造に流体材料を入れ込み、その結果、該流体材料は、該格子構造において少なくとも部分的に該間隙に浸透する工程;および
(c)該格子構造に入り込んだ該流体材料を少なくとも部分的に凝固させて、複合材を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記入り込む流体は、流体の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(d)前記格子構造の少なくとも一部分を、前記複合材から除去して、それによって、該除去された一部分の位置において、該格子構造に入り込んだ前記凝固させた材料中に1つ以上の孔を形成する工程、
をさらに包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記格子構造中の間隙は、工程(b)の前に第1の流体で少なくとも部分的に満たされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の流体は、流体の混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記入り込む流体は、工程(b)の間に、少なくとも部分的に前記第1の流体に取って代わる、請求項4または5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流体は、前記格子構造に関して湿潤もしくは非湿潤のうちの一方である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記入り込む流体は、前記格子構造に関して湿潤もしくは非湿潤のうちの一方である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記入り込む流体および前記第1の流体は、混和性でない、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記入り込む流体および前記第1の流体は、少なくとも部分的に混和性である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記入り込む流体および前記第1の流体は、互いと反応して、別の材料を形成する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の流体は、前記格子構造と反応する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記入り込む流体は、前記格子構造と反応する、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記入り込む流体および前記第1の流体の少なくとも部分的に混和性の混合物は、相分離混合物をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記相分離混合物は、ミセル型もしくは両連続型のうちの一方である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の流体は、溶液、エマルジョン、懸濁物もしくは発泡体のうちの1つである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項17】
前記入り込む流体は、溶液、エマルジョン、懸濁物もしくは発泡体のうちの1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の流体のうちの一部分は、前記入り込む流体に取って代わらず、前記方法は、
前記第1の材料を少なくとも部分的に凝固させる工程、
をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の流体は、UV硬化、電子線硬化、冷却もしくは乾燥のうちの少なくとも1つによって凝固させられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記入り込む流体は、UV硬化、電子線硬化、冷却もしくは乾燥のうちの少なくとも1つによって凝固させられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記格子構造は、活性材料もしくは再補強材料のうちの少なくとも一方を含む、請求項1または3に記載の方法。
【請求項22】
前記活性材料は、化学的に活性である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記化学的活性材料は、抗菌性銀である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記活性材料は、導電性金属粉末、導電性金属繊維、もしくは導電性金属メッシュのうちの1つである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記再補強材料は、繊維、ファブリック、テキスタイル、もしくはメッシュのうちの1つである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記格子構造は、指定された多孔性、孔サイズ、およびそこで規定された間隙に従う孔サイズ分布を有する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項27】
前記格子構造の多孔性、孔サイズおよび孔サイズ分布は、前記粒子のサイズもしくはサイズ分布のうちの少なくとも一方を制御することによって制御されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記格子構造における孔構造は、不均一であり、該孔構造は、該格子構造の前記指定された多孔性、孔サイズおよび孔サイズ分布によって規定される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記入り込む流体材料は、コーティング、プリント、押し出し成形、フィルムの溶融もしくはスプレーのうちの少なくとも1つによって形成される単層もしくは複数層のフィルムもしくは材料として提供される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項30】
前記格子構造は、湿式コーティングもしくは乾式コーティング、スプレー、プリントもしくは相分離のうちの少なくとも1つによって形成される、単一層もしくは複数層の構造である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、
前記格子構造への前記入り込む流体の浸透の程度を制御する工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項32】
前記格子構造に浸透しない余分量の前記流体材料は、該格子構造の表面で凝固させられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、
複数の固体粒子から第2の格子構造を形成する工程であって、該第2の格子構造は、該粒子間に1つ以上の間隙を形成するように形成される、工程;
該第2の格子構造に前記流体材料を入れ込み、その結果、該流体材料は、該第2の格子構造において少なくとも部分的に該間隙に浸透する工程;および
該第2の格子構造に入り込んだ該流体材料を少なくとも部分的に硬化させる工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の格子構造における前記間隙のサイズもしくはサイズ分布のうちの少なくとも一方は、前記第1の格子構造における該間隙のサイズもしくはサイズ分布とは異なる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記入り込む流体材料は、前記第1の格子構造と前記第2の格子構造との間に詰め込まれる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の格子構造および第2の格子構造は、浸透しないままの余分な入り込む流体材料がないように、互いに合わされる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記格子構造は、規則的パターンもしくは不揃いのパターンのうちの一方で基材表面上に形成される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項38】
前記方法は、
乾式粉砕、湿式粉砕、篩い分け、濾過、結晶化、凝集、顆粒化もしくはペレット化のうちの少なくとも1つによって前記粒子をサイズ分けする工程、
をさらに包含する、請求項1または3に記載の方法。
【請求項39】
前記入り込む流体は、吸収膨潤クラスタもしくは排水クラスタのうちの少なくとも一方を形成する、請求項1または3のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、バッチ様式、半連続様式、連続様式、ロールツーロールプロセスの使用、もしくはステップアンドリピートプロセスの使用のうちの少なくとも1つで行われる、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記入り込む流体材料は、ポリマー材料である、請求項1〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法によって形成される、材料。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図17】
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【図22】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2011−524445(P2011−524445A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513744(P2011−513744)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047286
【国際公開番号】WO2009/152481
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【Fターム(参考)】