説明

梁と柱からなる構築物を形成する方法

【課題】本発明は、空間構築物を形成する新規の単位部材と構築方法の提案にある。
【解決手段】本発明は、断面U字状で長手方向に延伸したU字状部材と支持部材を用いて、以下の工程1、工程2、以下工程2を繰り返すことで梁と柱からなる構築物を形成する方法である。
工程1:4個のU字状部材を端面が接するように十字状に配置し、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁形成工程。
工程2:工程1終了後のU字状部材の両端に支持部材を載置し、U字状部材を支持部材の上に載置させ、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁、柱形成工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種用途に使用される構築物を形成する技術に属する。
【背景技術】
【0002】
梁と柱からなる構築物は一般に型枠内に背筋しコンクリートを流し込むことで形成する。これらの工事は大型の建機を使用して行う事が多く、人手、あるいは小型の建機を使用することでかかる構築物を形成するのは難しい。特開2001-17021、特開2001-81794で本発明者らは軽量小型の部材を組み合わせてかかる構築物を形成する手段を提案した。部材の数を減らしても、かかる構築物の形成が可能な手段を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-17021
【特許文献2】特開2001-81794
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間構築物を形成する新規の部材と構築方法の提案にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、断面U字状で長手方向に延伸したU字状部材と支持部材を用いて、以下の工程1、工程2、以下工程2を繰り返すことで梁と柱からなる構築物を形成する方法である。
工程1:4個のU字状部材を端面が接するように十字状に配置し、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁形成工程。
工程2:工程1終了後のU字状部材の両端に支持部材を載置し、U字状部材を支持部材の上に載置させ、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁、柱形成工程。
最少の部材で空間形成物の柱、梁を形成できるよう、断面U字状で長手方向に延伸したU字状部材を型枠兼梁部材とし、支持部材で梁を支持しながら柱を形成できるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、(1)断面U字状で長手方向に延伸したU字状部材を十字状に配置したため、形成された十字状空間内に背筋しコンクリートを打設することで梁部が形成される。(2)十字状に形成された梁部を形成するU字状部材の両端に支持部材を載置し、その上にU字状部材を同様に配置し、背筋、コンクリート打設することで梁、柱が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、U字状部材の形状を示す概念図である。
【図2】は、支持部材の形状を示す概念図である。
【図3】は、第1工程の手順を示す概念図である。
【図4】は、第2工程の手順を示す概念図である。
【図5】は、本手順により形成された構築物を示す概念図である。
【図6】は、空間形成物を雨水等の貯留浸透槽として使用する例を示す。
【図7】は、空間形成物をヘドロの貯留・減少場所として使用する例を示す。
【図8】は、空間形成物を消波提として使用する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、図を用いて、より詳細に説明する。
図1は、U字状部材の例を示す概念図である。
本U字状部材は、図に示すように断面U字状の長手方向に延伸した形状を有し、内部に背筋し、コンクリートを打設することで梁状となり、上面開口部は上に支持部材を乗せられるようになっていればよい。端面は、4つのU字状部材の端面を付き合わせて柱となるような形状であればよい。
【0009】
図2は、支持部材の形状を示す。U字状部材を支えるためのものであり、図では、支持部材の形状は矩形で、その幅は、U字状部材の幅と等しい。U字状部材を十字状に付き合わされた結果形成される中心の正方形の形状に対応し、コンクリートを打設したときに漏れない大きさとする。高さは梁と梁の間の高さに等しくなる。支持部材はU字状部材を支えることができればよいので充実でも箱でも枠でもよい。
また、U字状部材の端面形状と、支持部材の端面形状を対応させ、柱の形状を円、多角形等変えることができる。
【0010】
図3はU字状部材を配設して、梁を形成する工程1を示している。
図に示すように、U字状部材をその端面で柱形成用の空間を形成するように十字状に配置する。形成された十字状空間と中心部の柱部分に背筋するとともに、コンクリートを打設して梁が形成される。図では柱が一本分しか示していないが、要求される形状に従い同じことを横方向に展開して実施する。
【0011】
図4は、工程1に引き続き実施する工程2の手順を示す概念図である。
工程1の後、U字状部材の両端部に支持部材を載置し、その上にU字状部材を載置する。その後工程1と同様、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、コンクリートを打設することで柱と梁が形成される。
以下、工程2を繰り返すことで必要な高さを有する構築物となる。
なお、辺及び隅部はU字状部材の開放端面を塞いでコンクリートを打設することで実施できる。
【0012】
図5は、上記工程で形成された構築物の概念図である。柱と梁からなる構築物であって、実際の使用にあっては必要ならば天井、壁、床などを設ける。
【0013】
以下本空間形成物の利用分野に付き説明する。
図6は、空間形成物の側面、底部、上部をシート類で覆い、地下に埋設し雨水等の一時貯留を目的とする水槽として利用する例を示している。
図6に示すように必要な付帯設備とし、泥だめ枡、流入管、溢流管、あるいはオリフィスますを配置して利用する。
【0014】
図7は、空間形成物の側面、底部、上部を透水シートで覆い、河川あるいは湖沼の近くの地下に埋設し、ヘドロを充填し、ヘドロ中の水分を、透水シートを介して土壌に浸透させヘドロ中に含まれる水分を減少させる目的に使用する。上部を公園、駐車場などとして利用可能なため、水分が減少するまでの時間を考慮することなく実施できる。
【0015】
図8は、空間形成物をそのまま海岸、湖岸に設置して波の力を軽減するために使用する例を示す。格子状となっているため、波が格子の間を通過する間にそのエネルギーが吸収される。
【産業上の利用可能性】
【0016】
雨水の流出抑制施設である貯留槽、浸透槽として、ヘドロを長期間にわたって貯留し、徐々に水分を減少させる施設、消波提あるいは床を形成し一般的な建屋として利用可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 U字状部材
2 支持部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面U字状で長手方向に延伸したU字状部材と支持部材を用いて、以下の工程1、工程2、以下工程2を繰り返すことで梁と柱からなる構築物を形成する方法。
工程1:4個のU字状部材を端面が接するように十字状に配置し、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁形成工程。
工程2:工程1終了後のU字状部材の両端に支持部材を載置し、U字状部材を支持部材の上に載置させ、形成された中心の柱形成空間を含む十字状空間内に背筋し、固形部材を充填する梁、柱形成工程。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−2060(P2013−2060A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131717(P2011−131717)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)