説明

梅肉エキスを有効成分とする薬効剤

【解決手段】梅果実を加熱したことにより得られる梅肉エキスを有効成分とする美白剤、抗酸化剤、アドバンスドグリケーションエンドプロダクツ生成抑制剤、抗老化剤。
【効果】該成分を配合した化粧料や皮膚外用剤は、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色を抑制し、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅肉エキスを有効成分とする美白剤、抗酸化剤、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制剤、抗老化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ウメ(Prunus mume)は、バラ科サクラ亜科サクラ属スモモ亜属に属し、スモモやアンズの仲間である。梅は古来より最も身近で、かつ手軽な庶民の日本食であり、多くの日本人が梅干、梅酒、梅肉エキスといったかたちで梅加工品を日常的に食している。中でも、梅肉エキスについては、昔より殺菌、疲労回復、胃の保護作用を持ち健康に良いとされていた。さらにこの梅肉エキスを科学的に評価したところ、血流改善効果があることが報告されている(非特許文献1,2参照)。さらにその効果は、梅の中にある糖とクエン酸あるいはリンゴ酸などの有機酸の加熱により生成されるムメフラール(Mumefural)およびその関連化合物に起因していることがin vivoおよびin vitro試験により実証されている(非特許文献3参照)。
【0003】
このような梅肉エキスの食品以外の応用例としては抗菌剤として歯磨き剤、歯周病治療剤が知られている。(特許文献1参照)また、皮膚外用剤として配合した場合に保湿効果を有する事が知られている。(特許文献2参照)
しかし、梅果実を加熱して得られる梅肉エキスに美白・抗酸化・アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制、抗老化などの効果があることは全く知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−347947号公報
【特許文献2】特開2006−273817号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J.Agric.FoodChem.,1999,47,828-31
【非特許文献2】ヘモレオロジー研究会誌1、65-67,1998
【非特許文献3】ヘモレオロジー研究会誌3、81-88,2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の課題は、梅肉エキスの新たな機能を見いだし、有効利用を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは検討の結果、梅肉エキスに美白、抗酸化、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制、抗老化作用を見いだし、さらにこれらを組成物、外用剤、化粧料(医薬部外品を含む)などとして適用するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は従来の課題を解決し、安全性が高く優れた美白、抗酸化、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制、抗老化作用を有する梅肉エキスを提供し、これを利用した組成物、外用剤、化粧料(医薬部外品を含む)を提供する事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】メイラード反応阻害効果
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる梅肉エキスは梅果実を加熱したものであればいずれのものも好適に使用する事ができる。梅の種類はいずれのものでも良く、大実品種である白加賀、南高、鶯宿、古城などだけでなく、甲州小梅、竜峡小梅などの小実品種も用いる事ができる。また、未成熟な青梅に限定されるものではなく、黄色、紅色に熟したものも使用できる。伝統的な製造方法としては青梅の果肉をすりおろして果汁を分離し、その後弱火で飴状になるまで煮詰めることによって得られるが、本発明に用いられる梅肉エキスはこれに限定されるものではない。工業的な製法としては例えば特許第3524021号、特許第3942352号、特許4131961号などがあり、これらの製法により製造されたものを用いることも可能である。梅肉エキスに含まれるムメフラールの含有量は製造方法によって異なるが0.02〜2.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.05〜1.5質量%である。
製造方法においては加熱の温度は好ましくは30〜99℃、より好ましくは70〜95℃であればムメフラールの生成が促進される。加熱時間は1〜24時間が好ましく、より好ましくは2〜12時間であればムメフラールの生成が促進される。限度を超えて高温、長時間加熱してもムメフラールの含有量は逆に減少する。果実はそのまま、もしくは粉砕、破砕、摩砕等行い、果実から果皮や種子を除去することができる。さらにこれらを圧搾し、果汁を分離しても良い。このような果汁は必要に応じ、さらに裏ごし、ろ過などを行っても良い。また、このような果汁を得るために適切な溶媒で抽出後、溶媒除去しても良い。
【0011】
本発明の梅肉エキスの含有量は、乾燥固形分として好ましくは0.00001〜5質量%(以下単に「%」で示す)であり、より好ましくは0.001〜0.1%である。この範囲内であれば、該薬剤を安定に配合することができ、かつ高い効果を発揮することができる。
【0012】
本発明の配合形態は、特に限定されず、化粧料、皮膚外用剤及び医薬部外品が好ましい。使用形態は、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗浄料、メーキャップ化粧料、育毛料、シャンプー、コンディショナーなどの化粧料;また、分散液、軟膏、液剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤などの皮膚外用剤(外用医薬品)であってもよい。
【0013】
なお、前記製剤には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、PH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
【実施例】
【0014】
以下に、梅肉エキスの製造例、各作用を評価するための試験例、皮膚外用剤や化粧料の処方例等の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に記述するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
【0015】
[製造例1]
梅の未成熟果実である青梅1Kgから種子を除去し、果肉部分を摩砕後、ろ過し、梅果汁を得た。これを90℃、4時間撹拌しながら加熱し、黒褐色で粘性のある梅肉エキス25gを得た。本品の乾燥固形分濃度は83%、ムメフラール含量は0.65%であった。
【0016】
得られた梅肉エキスについて、その美白効果、抗酸化効果、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ(以下「AGEs」と略すことがある。)生成抑制効果の評価として、(イ)美白試験、(ロ)メラニン生成抑制試験、(ハ)1、1―Diphenyl−2−picrylhydrazyl(以下、「DPPH」と略す)ラジカル消去能、(ニ)メイラード反応阻害効果の評価をそれぞれ下記の方法で測定し評価した。
【0017】
実施例1
(イ)美白試験
マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を使用し、細胞培養によるメラニン生成抑制効果を評価した。2枚の6穴シャーレ、あるいは10cmシャーレに、B16メラノーマ細胞を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置培養した。翌日、製造例1の梅肉エキスを検体調製液に添加混和した。培養4日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。
【0018】
6穴シャーレに播種された細胞は、最終濃度が0(対照)、50、100、250、500、1000μg/mLとなるように薬剤添加した。細胞播種後5日目に、培地を除き、1枚のシャーレについて、細胞をリン酸緩衝液にて洗浄した後回収し、B16メラノーマ培養細胞の白色化度を以下の基準にて評価した。比較対照として、メラニン生成抑制効果が知られているコウジ酸を用いた。
(判定基準)
++:コウジ酸200μg/mlと同等またはそれ以上の白色である。
+ :コウジ酸50μg/mlと同等の白色である。
± :コウジ酸20μg/mlと同等の白色である。
− :コウジ酸0μg/ml以下の白色である。
また、残りの1枚のシャーレについて、細胞をホルマリン固定後、1%クリスタルバイオレット
溶液に添加し染色した。各検体濃度に対する生存細胞率をモノセレーター(オリンパス社製)で測定し、生存率70%未満の濃度については評価対象外とした。以上の結果を表1に示す。本梅肉エキスは安全性が高く、高濃度配合した場合に美白効果がある事がわかった。
【0019】
【表1】

【0020】
(ロ)メラニン生成抑制率
10cmシャーレに播種された細胞は、最終濃度が0(対照)、50、100、200μg/mLとなるように薬剤添加した。細胞播種後5日目に、下記の手法でメラニン定量を行い、梅酢のメラニン生成抑制効果を評価した。
メラニン定量:培地を除去後、PBSで洗浄し、トリプシン/EDTA液を用いて細胞を剥離した。この剥離細胞を、PBSに懸濁させ、チューブに回収し、細胞数測定装置を用いて細胞数を計測した。
回収した細胞を、5%TCA溶液に懸濁し、得られた酸不溶性画分にジエチルエーテル/エタノール溶液を添加し、粗メラニン画分を得た。粗メラニン画分に0.85M KOH溶液を1.0mL添加し、得られたメラニン溶液と検量線用の合成メラニン溶液を400nmの吸光度(OD400)で測定し、OD400の検量線からメラニン量を算出した。
【0021】
<メラニン生成抑制率(相対メラニン生成量)の計算式>
メラニン生成抑制率(%)=(A−B)/A×100
A:サンプル無添加時(陰性コントロール)の細胞当たりのメラニン量
B:サンプル添加時の細胞当たりのメラニン量
結果を表2に示す。梅肉エキスには高濃度になると美白作用のあることで知られるアスコルビン酸グルコシドよりも高い効果があることが理解できる。
【0022】
【表2】

【0023】
(ハ)DPPHラジカル消去能の評価
紫外線等の外的ストレスにより皮膚で発生するスーパーオキサイドやヒドロキシラジカル、過酸化水素等の活性酸素種や、それらから誘導されるフリーラジカルは、細胞機能を低下させ、脂質の過酸化やDNA損傷、タンパク変性などの細胞障害を引き起こす。例えば、ヒドロキシラジカルは真皮細胞外マトリクスの構成成分であるコラーゲンの合成を低下させ、コラーゲン分解酵素の産生を亢進することが知られており、スーパーオキサイドは脂質を過酸化し継続的な皮膚微弱炎症の一因となり、炎症の継続と慢性的な皮膚乾燥症状との関連も知られている。これら活性酸素やフリーラジカルなどの酸化障害によって細胞機能が低下し、真皮細胞外マトリクスの構成タンパクが損傷、変性することがシワやたるみ、ハリの消失といった皮膚老化症状の発生につながると考えられている。したがってフリーラジカルを消去することは、皮膚における脂質過酸化やコラーゲンの分解を抑制し、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止するための抗老化剤や皮膚化粧料の開発において重要である。
【0024】
DPPHラジカル消去能の評価は、安定なラジカルをもつ1、1―Diphenyl−2−picrylhydrazyl;DPPHの517nmにおける極大吸収が試料添加時に減少する割合により、試料のラジカル消去能を評価するものである。以下に詳細な試験方法を記載する。
【0025】
製造例1によって調製した梅肉エキスを、濃度が2.5mg/mLとなるように調製し、試料溶液とした。試料溶液400μLに0.5mmol/LのDPPHエタノール溶液200μLとエタノール400μLを混合し、全体量が1ml(エタノール:水=3:2)になるように調製し、室温で150分間反応させた。このとき、最終濃度は、0(対照)、0.1、1mg/mLとなった。試験溶液の517nmの吸光度を測定し、DPPHラジカル消去率〔D〕を下記の式から求めた。また、対照溶液として試料溶液のかわりに同量の溶媒を加えたものを測定した。

DPPHラジカル消去率 〔D〕(%)=(C―S)/C×100
S:試験溶液の517nmにおける吸光度
C:対照溶液の517nmにおける吸光度
また、本発明の効果を検証するための比較対照として、汎用の抗酸化剤であるアスコルビン酸グルコシドを用いた。結果を表3に示す。優れたDPPHラジカル消去効果が認められ、アスコルビン酸グルコシドと比較して同等以上の高い効果を示した。
【0026】
【表3】

【0027】
本発明の梅肉エキスはラジカル消去剤として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することでフリーラジカルを効果的に消去し、フリーラジカルや活性酸素が引き起こす細胞の酸化障害や脂質過酸化、真皮細胞外マトリクスの分解を抑制することで、弾力やハリの低下、シワといった皮膚老化症状を改善防止する皮膚外用剤や化粧料を作成することができる。
【0028】
(ニ)メイラード反応阻害効果の評価
1912年にL.C.Maillardにより発見された、アミノ酸及び還元糖の非酵素的な縮合反応により褐色の色素が生成する糖化反応は、メイラ−ド反応と呼ばれる。メイラ−ド反応を大略すると、アミノ酸が有するアミノ基とグルコ−スなどの還元糖が有するカルボニル基が非酵素的に反応することによりシッフ塩基を形成した後、中間体のエナミノ−ルを経由し、アマドリ転移反応などによりアマドリ化合物を生成する前期反応と、アマドリ化合物及びアマドリ化合物より生成したα−ジカルボニル化合物、シッフ塩基などの化合物が、更に分解反応、脂質過酸化反応、転移反応や縮合反応を経由し、AGEsを生成する後期反応に分けることが出来る。この重合体形成によりタンパク質の溶解度が低下し、プロテアーゼの作用を受けにくくなり、多くは蛍光を発する褐変物質となるのである。
AGEsは、糖尿病性血管合併症、動脈硬化、アルツハイマ−病などの様々な疾患と深く関与する。皮膚においても表皮及び真皮におけるAGEsの存在は、既に知られており、コラーゲンのメイラード反応が皮膚の硬化、しわ、くすみ等すなわち皮膚老化の要因の1つであることが確認されてきている。(昭62−249909号参照)また、真皮中のAGEs産生量を減少させることにより、紫外線照射によるくすみなどに対する予防又は改善作用(特開2001−122758号公報参照)が発現することが報告されており、AGEs産生抑制効果は皮膚の硬化、しわ、くすみといった皮膚老化症状を改善防止する事がわかる。
【0029】
以下に詳細な試験方法を記載する。
【0030】
Poly−L−lysine hydrobromide(PLL)とブドウ糖をそれぞれ7.2mg/ml,180mg/mlでPBS(−)に溶解させた後に、それらを1:1の割合で混合する。混合液に1%濃度で梅肉エキスを添加し、60℃で2〜3日間メイラード反応を促進させ、蛍光強度(Ex360nm, Em450nm)で測定することで梅肉エキス添加に伴いどれだけメイラード反応が抑制されたかを評価する。
評価は、メイラード反応が進まない低温(5℃)に放置したものに比較し、60℃に放置したサンプルでは蛍光強度が何倍になっているかを、コントロールとして精製水のみを添加したものと比較した。結果を表4及び図1に示す。
【0031】
【表4】

【0032】
上記結果から、精製水を添加したコントロールに比べ、梅肉エキスを添加したサンプルでは60℃におけるメイラード反応が阻害されていることが分かる。よって、梅肉エキスには優れたアドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制効果があることが理解できる。
【0033】
実施例5:化粧水
(成分) (%)
1.グリセリン 5.0
2.1,3−ブチレングリコール 5.0
3.乳酸 0.05
4.乳酸ナトリウム 0.1
5.製造例1の梅肉エキス 0.0001
6.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
7.エタノール 8.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.香料 0.05
10.精製水 残量
【0034】
(製造方法)
A:成分6〜9を混合溶解する。
B:成分1〜5及び10を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
【0035】
実施例5の化粧水は、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0036】
実施例6:乳液(水中油型)
(成分) (%)
1.モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.0
2.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3.グリセリルモノステアレート 1.0
4.ステアリン酸 0.5
5.ベヘニルアルコール 0.5
6.スクワラン 8.0
7.カルボキシビニルポリマー 0.1
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.水酸化ナトリウム 0.05
10.製造例1の梅肉エキス 0.1
11.精製水 残量
12.エタノール 5.0
13.香料 0.05
【0037】
(製造方法)
A:成分1〜6を70℃で均一に混合する。
B:成分7〜11を70℃で均一に混合する
C:BにAを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:成分12、13を加えて均一に混合し、乳液を得た。
【0038】
実施例6の乳液は、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0039】
実施例7:リキッドファンデーション(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注1) 0.5
2.トリエタノールアミン 1.5
3.精製水 残量
4.グリセリン 5.0
5.パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6.1,3―ブチレングリコール 5.0
7.水素添加大豆リン脂質 0.5
8.酸化チタン 5.0
9.ベンガラ 0.1
10.黄酸化鉄 1.0
11.黒酸化鉄 0.05
12.ステアリン酸 0.9
13.モノステアリン酸グリセリン 0.3
14.セトステアリルアルコール 0.4
15.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16.トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17.パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5.0
18.製造例1の梅肉エキス 0.05
19.香料 0.02
(注1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
【0040】
(製造方法)
A:成分1〜5を70℃で均一に混合する。
B:成分6〜17を加え70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
D:Cに成分18、19を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
【0041】
実施例7の水中油型クリーム状リキッドファンデーションは、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0042】
実施例8:美白日焼け止め化粧料(油中水型クリーム状)
(成分) (%)
1.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.1
2.ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
3.精製水 残量
4.ジプロピレングリコール 10.0
5.ナイロン末 0.5
6.アスコルビルリン酸マグネシウム 3.0
7.シリコーン化合物(注2) 3.0
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
9.イソノナン酸イソトリデシル 5.0
10.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
11.製造例1の梅肉エキス 0.01
12.ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注2)KF−6028(信越化学工業社製)
【0043】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に分散する。
B:成分7〜12を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、油中水型クリーム状日焼け止め化粧料を得た。
【0044】
実施例8の油中水型クリーム状美白日焼け止め化粧料は、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0045】
実施例9:軟膏剤
(成分) (%)
1.ステアリン酸 18.0
2.セタノール 4.0
3.酢酸dl−α―トコフェロール(注3) 0.2
4.トリエタノールアミン 2.5
5.グリセリン 5.0
6.グリチルリチン酸ジカリウム(注4) 0.5
7.製造例1の梅肉エキス 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.精製水 残量
(注3)エーザイ社製
(注4)和光純薬工業社製
【0046】
(製造方法)
A.成分1〜3を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分4〜9を混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、軟膏剤を得た。
【0047】
実施例9の軟膏剤は、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0048】
実施例10:ローション剤
(成分) (%)
1.エタノール 8.0
2.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
3.グリセリン 5.0
4.1,3−ブチレングリコール 6.5
5.モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
6.製造例1の梅肉エキス 1.0
7.精製水 残量
【0049】
(製造方法)
A.成分1、2を混合溶解する。
B.成分3〜7を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
【0050】
実施例10のローション剤は、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。
【0051】
実施例11:パック
(処方) (%)
1.ポリビニルアルコール 20
2.グリセリン 5
3.精製水 残量
4.エタノール 20
5.カオリン 6
6.製造例1の梅肉エキス 0.1
7.防腐剤 0.2
8.香料 0.1
【0052】
A.成分1〜3を混合し、70℃にて均一溶解する。
B.成分4〜8を混合する。
C.AにBを加えパックを得た。
【0053】
実施例11のパックは、メラニン生成抑制作用、ラジカル消去作用、アドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制作用に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ・ソバカスを防ぎ、肌を白くする効果、乾燥やシワ、たるみといった様々な症状の防止改善効果、肌の硬化、しわ形成、はり・つやの喪失の原因となるコラーゲンの架橋形成や、肌のくすみの原因となる着色抑制効果により、優れた皮膚老化防止効果、美肌効果を示すものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅肉エキスを有効成分とする美白剤
【請求項2】
メラニン生成抑制を有する請求項1記載の美白剤
【請求項3】
梅肉エキスを有効成分とする抗酸化剤
【請求項4】
ラジカル消去効果を有する請求項3記載の抗酸化剤
【請求項5】
梅肉エキスを有効成分とするアドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制剤
【請求項6】
メイラード反応阻害作用を有する請求項5記載のアドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制剤
【請求項7】
請求項3又は4記載の抗酸化剤を含有する抗老化剤
【請求項8】
請求項5又は6記載のアドバンスド グリケーション エンドプロダクツ生成抑制剤を含有する抗老化剤

【図1】
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【公開番号】特開2012−201637(P2012−201637A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68322(P2011−68322)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】