説明

植物成長の改善方法

【課題】特にナタネ、コメ、ナスの如き作物の植物成長を改善するための新規方法を提供する。
【解決手段】各場合において、遊離又は塩の形態において、少なくとも1の以下の式(I)で表されるネオニコチノイド系化合物(例えば、チアメトキサム)、又は適宜、その互変異性体を、植物又はその場に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、植物又はその場に、ネオニコチノイドのクラスから選ばれる少なくとも1の化合物を適用することを含む、その植物の成長を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
植物の成長を改善する特定の方法は文献中に記載されている。これらの方法は、通常、慣用の肥料施用に基づく。しかしながら、これらの知られた方法の生物学的効果は、農業分野において完全に満足いくものではない。それ故、より高収量の収穫を得る、同時に必要な肥料の使用を減少させるための植物の成長を基本的に改善する必要性が在る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の要約
本発明は、植物の成長を改善するための新規方法、より特に、カノーラ(ナタネ)種、ナス、米、ポテト、及び大豆の如き作物の植物成長を改善する方法であって、少なくとも1のネオニコチノイド化合物がその植物又はその場に適用される前記方法を提供する。
【0004】
特定の態様の説明
好ましいのは、植物の成長を改善する方法であって、各場合において、遊離又は塩の形態において、少なくとも1の以下の式(I)の化合物:
【化1】

{式中、Aは、2−クロロピリド−5−イル、2−メチルピリド−5−イル、1−オキシド−3−ピリジニオ、2−クロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、2,3−ジクロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ、テトラヒドロフラン−3−イル、5−メチル−テトラヒドロフラン−3−イル又は2−クロロチアゾール−5−イル基であり、
Yは、−N(R)(R2)又はSR2 であり;
Rは、水素、C1 −C6 −アルキル、フェニル−C1 −C6 −アルキル、C3 −C6 −シクロアルキル、C2 −C6 −アルケニル又はC2 −C6 アルキニルであり;
1 とR2 は、互いに独立して、C1 −C4 −アルキル、C1 −C4 −アルケニル、C1 −C4 −アルキニル、−C(=0)−CH3 又はベンジルであるか;又は一緒になって、基−CH2 −CH2 −、−CH2 −CH2 −CH2 −、−CH2 −O−CH2 −、−CH2 −S−CH2 −、−CH2 −NH−CH2 −又は−CH2 −N(CH3)−CH2 −を形成し;そして
Xは、N−NO2 、N−CN又はCH−NO2 である。}又は適宜、その互変異性体を、前記植物又はその場に適用する、前記方法である。
【0005】
化合物(I)は、互変異性体の形態にあることができる。従って、本明細書の全体にわたり、適宜、化合物(I)は、対応の互変異性体を包含すると理解されるべきである。これは、たとえ後者が各場合において特に言及されなくともそうである。
【0006】
式(I)の化合物は、酸付加塩を形成することができる。これらの塩は、例えば強無機酸、例えば、鉱酸、例えば、過塩酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸又はハロゲン化水素酸、又は強有機カルボン酸、例えば、非置換又は置換の、例えば、ハロゲンにより置換された、C1 −C4 アルカンカルボン酸、例えば、酢酸、飽和又は不飽和のジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸又はフタル酸、ヒドロキシカルボン酸、例えば、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸又はクエン酸、又は安息香酸、又は有機スルホン酸、例えば、非置換又は置換の、例えば、ハロゲンにより置換された、C1 −C4 アルカン又はアリールスルホン酸、例えば、メタン−又はp−トルエン−スルホン酸と形成される。さらに、少なくとも1の酸性基を有する式(I)の化合物は、塩基と塩を形成することができる。
【0007】
塩基との好適な塩は、例えば、金属塩、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム又はマグネシウム塩、又はアンモニア又は有機アミン、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ−,ジ−又はトリ−低級アルキルアミン、例えば、エチル−,ジエチル−,トリエチル−又はジメチル−プロピル−アミン、又はモノ−,ジ−又はトリ−ヒドロキシ−低級アルキルアミン、例えば、モノ−,ジ−又はトリ−エタノールアミンとの塩である。さらに、対応の分子内塩も形成されうる。好ましいのは、本発明の範囲内では、農薬として有益な塩である。遊離形態の式(I)の化合物とそれらの塩形態の式(I)の化合物の間の密接な関係から、本明細書の全体にわたる式(I)の遊離化合物又はそれらの対応の塩への言及は、適宜又は好都合に、その対応の塩又は式(I)の遊離化合物をも含むと理解すべきである。同じことが、式(I)の化合物及びその塩の互変異性体に適用される。各場合においては、一般に、遊離形態が好ましい。
【0008】
好ましい式(I)の化合物は、式中、
Aが、ピリド−3−イル、2−クロロピリド−5−イル、2−クロロ−1−オキシド−5−ピリジニオ又は2−クロロチアゾール−5−イル基;特に、2−クロロピリド−5−イル基又は好ましくは、2−クロロチアゾール−5−イル基であり;
Yが、−N(R)(R2)であり;
Rが、C1 −C6 −アルキル、フェニル−C1 −C4 アルキル、C3 −C4 アルケニル又はC3 −C4 −アルキニル;より特に、C1 −C4 アルキル、好ましくは、メチルであり;
1 とR2 が、互いに独立して、C1 −C4 −アルキル又はベンジルであり、又は一緒になって、−CH2 −CH2 −、−CH2 −CH2 −CH2 −、−CH2 −O−CH2 −、−CH2 −S−CH2 −、−CH2 −NH−CH2 −、−CH2 −N(CH3)−CH2 −、特に−CH2 −CH2 −又は−CH2 −O−CH2 −を形成し;そして
Xが、N−NO2 又はN-CN、より特にN−NO2 であるものである。
【0009】
特に好ましいのは、植物の成長を改善する方法であって、植物又はその場に、有効量の、以下の式:
【化2】

により表される化合物、イミダクロプリッド(Imidacloprid)、クロチアニジン(clothianidin)(TI−435)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリッド(thiacloprid)、アセタミプリッド(acetamiprid)、及びMIT−446から成る群から選ばれる化合物;特に、式(Ia)の化合物(チアメトキサム(thiamethoxam))を適用することを含む前記方法である。
【0010】
式(Ia)の化合物は、例えば、EP−A−580553号から知られており;イミダクロプリッドは、The Pesticide Manual,11th Ed.(1997),The British Crop Protection Council,London,page 706から知られており;ニテンピラムは、The Pesticide Manual,11th Ed.(1997),The British Crop Protection Council,London,page 880から知られており;TI−435は、EP−A−376,279から知られており;MTI−446は、EP−A−649,845から知られており;そしてチアクロプリッドは、EP−A−235,725から知られている。
【0011】
驚ろくべきことに、今般、植物又はその場への式(I)の化合物の適用が、全く予想外の高められた植物成長をもたらすということが発見された。今般、式(I)の化合物の作用が、それらの周知の農薬として作用をはるかに超えるものであるということが発見された。式(I)の化合物が、本発明の枠組内で植物成長(plant growth)といわれる作用を示すことが示された。用語「植物成長」の下では、上記化合物(I)による病害虫の防除に関連しない植物のさまざまな種類の改善が在ると理解される。例えば、言及しうるこのような特性は;発芽、収穫量、タンパク質含量、より発達した根系、ひこばえ(tillering)の増加、植物の高さにおける増加、より大きな葉の葉身、より少ない死んだ基部の葉、より強いひこばえ、より緑の濃い葉の色、より少ない必要肥料量、より少ない種子必要量、より再生力のあるひこばえ、より早期の開花、より早期の殻粒の成熟、より少ない植物の裏返し(verse)(倒れ(lodging))、増加したシュートの成長、改善された植物の活力、及び早期の発芽;又は当業者に馴染みのある他の利点を含む改善された作物の特徴である。
【0012】
特に好ましいのは、本質的に昆虫及びダニ目(the order Acarina)を含まない成長植物の改善のための方法における上記ネオニコチノイド化合物の使用である。
【0013】
本発明の式(I)の化合物が植物の成長に対して良い効果を有していることが示された。一般に、良い効果とは、少なくとも10%の、早期の発芽、作物収穫量、より発達した根系、植物の高さの増加、より大きな葉の葉身、より少ない必要肥料量、より少ない種子必要量、より増加したシュートの成長、改善された植物の活力、等を意味する。
【0014】
本発明のさらなる局面は、植物の成長を改善するための方法におけるネオニコチノイド化合物の使用方法である。
本発明のさらなる局面は、植物の成長の改善のための方法におけるネオニコチノイド化合物の使用である。
本発明のさらなる局面は、植物の成長を改善するための方法におけるネオニコチノイド化合物を含む組成物の使用方法である。
【0015】
本発明に係る方法に従って改善されることができる作物は、穀物、例えば小麦、大麦、ライ、オーツ、米、コーン、及びモロコシ;ビート、例えばサトウダイコン及び飼料ビート;果実、例えばナシ状果、石果及び小果樹、例えばリンゴ、ナシ、プラム、桃、アーモンド、さくらんぼ、及びベリー、例えばいちご、ラズベリー及びブラックベリー;マメ科植物、例えばインゲン豆、レンズ豆、エンドウ豆、及び大豆;油植物、例えばアブラナ、からし、ケシ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、ヒマシ油植物、ココア豆、アメリカホドイモ、ウリ科植物、例えばカボチャ、キュウリ、及びメロン;繊維植物、例えば綿、フラックス、アサ、及びジュート;柑キツ類果実、例えばオレンジ、レモン、グレープフルーツ、及びマンダリン;野菜、例えばホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、玉ねぎ、トマト、ポテト、及びパプリカ;クスノキ科、例えばアボガド、シナモン、及びショウノウ;そしてまたタバコ、ナッツ、コーヒー、ナス、サトウキビ、茶、コショウ、つる植物、ホップ、バナナ植物、天然ゴム植物、並びに観賞植物;特に米、インゲン豆、大豆、ナタネ、及びポテトを含む。
【0016】
したがって、本発明は式(I)の化合物を含む組成物、並びに、少なくとも1の本発明に係る化合物を含む、上記組成物、例えば、乳化濃縮物、懸濁濃縮物、直接スプレー又は希釈できる溶液、被覆できるペースト、希釈エマルジョン、スプレー粉末、可溶性粉末、分散性粉末、水和性粉末、ダスト、粒剤又はポリマー物質中への封入物にも関し、上記配合物のタイプは、意図された目的及び普及状況に従って選ばれる。
【0017】
上記式(I)の化合物は、純粋な形態で、及び特定の粒子サイズにある固体活性成分の形態で、又は好ましくは、配合技術分野において慣用されるアジュバント、例えば、伸展剤、例えば、溶媒又は固体担体、又は表面活性化合物(界面活性剤)の中の1とともに、上記組成物中に使用される。
好適な配合アジュバントは、例えば、固体担体、溶媒、安定剤、徐放性アジュバント、染料、そして場合により界面活性剤である。各場合における好適な担体及びアジュバントは、作物保護製品、特に、ナメクジやカタツムリの防除剤中に慣用されるいずれかの物質を含む。本発明に従って使用される組成物中のアジュバント、例えば、溶媒、固体担体、表面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、そしてさらなるアジュバントは、例えば、EP−A−736252に記載されたものと同じものであり、そして有用な配合アジュバントに関するそれらの開示の全てを本明細書中に援用する。
【0018】
通常、本組成物は、0.1〜99%、特に0.1〜95%の式(I)の化合物、及び1〜99.9%、特に5〜99.9%の少なくとも1の固体及び液体アジュバントを含み、それは、一般に、組成物の0〜25%、特に0.1〜20%が界面活性剤であることができる(各場合において%は重量%を意味する)。商業的な製品は、濃縮製剤として好ましくは配合されるであろうが、最終消費者は、通常、かなりより低い濃度の1以上の式(I)の化合物をもつ希釈製剤を使用するであろう。好ましい配合は、特に、以下の組成をもつ(%=重量パーセント):
【0019】
乳化濃縮物:
活性成分:1〜90%、好ましくは5〜20%
表面活性剤:1〜30%、好ましくは10〜20%
液体担体:5〜94%、好ましくは70〜85%
粉剤(ダスト):
活性成分:0.1〜10%、好ましくは0.1〜1%
固体担体:99.9〜90%、好ましくは99.9〜99%
【0020】
懸濁濃縮液:
活性成分:5〜75%、好ましくは10〜50%
水:94〜24%、好ましくは88〜30%
表面活性剤:1〜40%、好ましくは2〜30%
水和性粉末:
活性成分:0.5〜90%、好ましくは1〜80%
表面活性剤:0.5〜20%、好ましくは1〜15%
固体担体:5〜95%、好ましくは15〜90%
【0021】
顆粒:
活性成分:0.5〜30%、好ましくは3〜15%
固体担体:99.5〜70%、好ましくは97〜85%
注射用溶液:
活性成分:0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%
非イオン界面活性剤:0.1〜30%、好ましくは0.5〜10%
エタノールとプロピレン・グリコールの混合物:60〜99%、好ましくは85〜90%
【0022】
注射用懸濁液(水性又は油状):
活性成分:0.1〜20%、好ましくは1〜10%
非イオン界面活性剤:0.1〜20%、好ましくは1〜10%
水又は植物性油:60〜99%、好ましくは85〜95%
【0023】
本発明に係る組成物は、それ自体知られたやり方で:アジュバントの不存在下、例えば、特定の粒子サイズまで、式(I)の団体化合物を粉砕し、篩分けし、そして/又は圧縮することにより、そして少なくとも1のアジュバントの存在下、例えば、アジュバントと式(I)の化合物をじかに混合及び/又は粉砕することにより、製造される。本発明は、本発明に係る組成物の製造方法、及び上記組成物の製造における化合物(1)の使用にも関する。
【0024】
本発明は、上述のタイプの組成物の適用方法、例えば、意図された目的及び普及環境に従って選択される、スプレー、噴霧、ダスティング、コーティング、ドレッシング、スキャタリング、又は注ぎ(pouring)方法、及び上述のタイプの植物の改善のための上記組成物の使用にも関する。典型的な濃度の割合は、0.1〜1000ppm 、好ましくは0.1〜500ppm の式(I)の化合物である。1ヘクタール当りの適用割合(rates of application)は、一般に、1〜2000gの式(I)の化合物/1ヘクタール、特に1〜1000g/ha、好ましくは5〜600g/haである。
【0025】
好ましい適用方法は、植物の葉への適用(葉適用)であり、その適用数及び適用割合は、着目の作物植物の所望の改善に依存する。しかしながら、上記式(I)の化合物は、液体配合品を用いて植物の場を浸漬することにより又は固体形態の式(I)の化合物を植物の場、例えば土壌中に、例えば粒剤の形態で取り込むことにより(土壌適用)、その根を通して(浸透作用)その植物に侵入することもできる。水田作物の場合には、上記粒剤が、水を張った水田に計量されることができる。
【0026】
1の態様においては、商業的な製品は、好ましくは、濃縮物として配合されるであろう。しかしながら、最終ユーザーは、通常、希釈された配合物を使用するであろう。
本発明に係る組成物は、遺伝子修飾された増殖材料を含む植物増殖材料、例えば、種子、例えば、果実、塊茎又は穀粒、又は植物苗木の処理のためにも好適である。上記増殖材料は、栽培開始前に上記組成物により処理されることができ、例えば、種子は、それらが種播きされる前にドレッシングされる。本発明に係る化合物は、穀粒を液体組成物中に浸漬し又はそれらを固体組成物でコーティングすることにより、種子穀粒に適用されることもできる(コーティング)。上記組成物は、上記増殖材料が植え付けられるとき、例えば、種播きの間、種子鋤跡(seed furrow)に適用されることができる場合に、植付け場所に適用されることもできる。本発明は、植物増殖材料のための上記処理方法及びこのように処理された植物増殖材料にも関する。
【0027】
式(I)の化合物は、通常、組成物の形態において植物増殖材料に適用されるが、その種子又はその増殖の場(例えば、鋤跡)に、さらなる化合物と、同時に又は順番に、適用されることもできる。上記のさらなる化合物は、肥料又は微量栄養成分のドナー又は他の調製物であって植物の成長に影響を及ぼすものであることができる。それらは、選択的な農薬又は上記調製物のいくつかの混合物、所望により、さらなる担体、界面活性剤又は適用促進性アジュバントであって配合分野において慣用されるものとともに在ることもできる。
【0028】
植物増殖材料の処理に関しては、好ましい適用割合は、一般に、保護されるべき材料100kg当り、0.0005〜1kg以下、特に0.01〜0.8kg、より特に0.1〜0.5kgの1以上の式(I)の化合物である。しかしながら、この適用条件は、その材料の性質(表面積、コンシステンシー、水分含量)、及びその環境因子に本質的に依存する。従って、上記レンジ内で、当業者は、彼らの一般知識、そして適宜、2〜3の実験に基づき、植物毒性ではないが植物成長を改善するために有効な投与量を選択するであろう。
【0029】
種子処理適用の技術は、当業者にとって周知であり、そしてそれらは、本発明の文脈において容易に使用されることができる。式(I)の化合物は、スラリー、固体種子コーティング、浸漬液、又はダストとして、上記種子の表面上に、配合・適用されることができる。例えば、フィルム・コーティング又はカプセル封入を挙げることもできる。上記コーティング方法は、本分野において周知であり、そして種子のために、フィルム・コーティング又はカプセル封入の技術を、又は他の増殖製品のために、浸漬の技術を使用する。いうまでもなく、種子への上記化合物の適用方法は、変えられることができ、そして本発明は、使用されるであろういずれかの技術を包含することを意図される。
【0030】
本発明に従って植物増殖材料に上記混合物を適用する好ましい方法は、液体調製品で上記植物増殖材料をスプレーし又は水和させ、又は式(I)の化合物の固体調製品と上記植物材料を混合することにある。
本発明の化合物は、種子処理タンク内で配合又は混合され、又は他の種子処理剤でオーバーコートすることによりその種子上で併合されることができる。本発明の化合物と混合されるべき剤は、病害虫の防除のための、又は成長、栄養のさらなる修飾のための、又は植物疾患の防除のためのものであることができる。
【実施例】
【0031】
配合実施例(%=重量パーセント)
以下の実施例は、本発明を説明することを意図したものであり、これを限定することを意図したものではない。“式(I)の化合物(単数)”とは、式(I)の化合物(複数)の中の1又はいくつかを意味すると理解される。
【0032】
【表1】

【0033】
所望の濃度のエマルジョンを、水での希釈により上記濃縮物から調製することができ、そして作物保護及び種子処理適用において使用されることができる。
【0034】
【表2】

【0035】
直ちに使用できるダストを、式(I)の化合物を上記担体とともに混合し、そして上記混合物を、好適なミル内で粉砕することにより得る。このような粉末は、乾燥−ドレッシング種子のために使用されることができる。
【0036】
【表3】

【0037】
式(2)の化合物を、上記添加物と完全混合し、そして上記混合物を、好適なミル内で完全に粉砕し、所望の濃度の懸濁液を与えるために、水で希釈することができる水和性粉末を得る。このようなスラリーは、植物の作物を植え付ける間又は前に、鋤で溝をつける処理を行うために、そしてまた、増殖されることができるぬれた又は湿った、ドレッシング材料、例えば、植物の油種子又は塊茎のために、使用されることができる。
【0038】
【表4】

【0039】
上記配合物は、式(I)の固体化合物と液体化合物の混合物のために好適である。式(I)の固体化合物を、上記乳化剤と水の一部と完全混合し、そして上記配合物を、好適なミル内で十分に粉砕する。上記乳化剤と水の他の部を、式(I)の液体化合物と混合する。上記2つの混合物を、上記配合品中で使用されることが予定されるいずれかの他の不活性成分(例えば、顔料、増粘剤、等)とともに併合する。このような懸濁エマルジョン(suspoemulsions)を、植物の作物を植え付ける前の鋤処理を行うために、そしてまた、増殖されることができるぬれた又は湿ったドレッシング材料、例えば、植物の油種子又は塊茎のために、使用されることができる。
【0040】
生物学的実施例(別段の定めなきかぎり%=重量パーセント)
以下の実施例は、本発明を説明するために意図されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0041】
実施例B1:発芽
カノーラ(Canola)の種子を、種子100kg当り400gのThiamethoxamの割合で、Thiamethoxamを含有する本発明に係る組成物で処理し、そして実施時における条件に対応した手順に従って、種播きされる。同一起源からの未処理の種子を、比較目的のために使用する。発芽(1メーター当りの植物)を評価する。処理された種子の場合には、未処理植物の場合よりも、1メーター当り約20%多くの植物が発芽する。
【0042】
実施例B2/B3:米(Oryza sativa L.cv.Nihonbare)とナス(Solanum melongena L.cv.Marfa)の活力
植物を、商業的に入手可能な病原体をもたない土壌混合物中で栽培する。植え付けから2週間後(ナスにおいては3週間後)、苗木を、600mlのポット内に移し、そしてポット当り20mlの水中の10mgのThiamethoxamでドレンチ処理する。それらに、1週間当り1又は2回施肥した。処理から10週間後まで、シュートと根の新鮮−及び乾燥−重量、及び葉の数を測定した。タンパク質含量を、標準としてBSA(ウシ血清アルブミン)を用いたBradfordの方法(1976,Anal,Biochem.,72,248−254)により計測し:葉材料のホモジェナイゼーションを乳鉢内で液体N2 中で行った。抽出は、リン酸塩バッファー(pH7.5,0.1M,2/1容量/重量)中で行った。遠心分離後、上清を、ペレットから分離し、そしてタンパク質内の測定まで−20℃で保存した。処理されたものとチェックの比較のために、mgタンパク質/新鮮重量を計算する。
【0043】
実施例B2とB3: 処理された植物とチェックの間の差を係数として与える(例えば、処理されたものの新鮮重量/チェックの新鮮重量)。係数>1は、処理された植物の活力の強化を示す。FW:新鮮重量;DW:乾燥重量;タンパク質((mg/g処理植物)/(mg/gチェック))。
【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
使用した土壌は病原体を含有せず、そしてその生物学的活性は低いものであると推定されうるので、上記の効果は、直接的な成長刺激により引き起こされたものであり、土壌生物に対するThiamethoxamの副作用によるものではない。
【0047】
実施例B4:収量
ポテトの塊茎を、種子100kg当り500gのImidaclopridの割合で、Imidaclopridを含有する本発明の組成物により処理し、そして実施における条件に対応する手順に従って植え付ける。上記作物を成熟時に上記圃場から収穫する。同一起源からの未処理塊茎を比較目的のために使用する。作用の収量は評価され、そして未処理の塊茎を用いるよりも処理されたポテト塊茎の場合に、有意に高いことが判明した。
要するに、本発明は、植物成長を改善する新規方法を提供する。添付クレームにより定められる本発明の範囲から逸脱せずに、割合、手順、及び材料は変化されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫の防除に関係しない植物成長の改善方法であって、該植物又はその場あるいは該植物の増殖材料に、チアメトキサム(thiamethoxam)であるネオニコチノイド化合物を適用することを含み、ここで、該植物及び植物増殖材料は、油植物、穀物、及び野菜から選ばれる、前記方法。
【請求項2】
前記ネオニコチノイド化合物は、少なくとも1種の配合アジュバントを含む組成物の形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ネオニコチノイド化合物は、土壌適用を介して適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネオニコチノイド化合物は、鋤跡に適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ネオニコチノイド化合物は、1〜2000g/haの適用割合で適用される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法
【請求項6】
前記植物増殖材料は、種子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記植物又は植物増殖材料は、米、ナス、及びナタネから選ばれる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−51910(P2012−51910A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221307(P2011−221307)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2001−529268(P2001−529268)の分割
【原出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】