説明

植物病害防除組成物及び植物病害の防除方法

【課題】植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除組成物を提供すること。
【解決手段】式(I)


[式中、R1は、(ヒドロキシカルボニル)C1−C6アルキル基、(ヒドロキシカルボニル)C2−C6アルケニル基、(アミノカルボニル)C1−C6アルキル基などを表し、R2は、フェニル基、1−ナフチル基又は3−インドリル基を表す。]で示されるアミド化合物又はその塩と、群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する植物病害防除組成物は、植物病害に対する優れた防除効力を有する。群(A):クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、メトミノストロビン、ピリベンカルブなどで示される化合物からなる群。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除組成物及び植物病害の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害防除組成物の有効成分として、多くの化合物が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual − 15th edition(BCPC刊)ISBN 978−1−901396−18−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除組成物を見出すべく検討した結果、下記式(I)で示されるアミド化合物又はその塩と、下記群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する組成物が、植物病害に対する優れた防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[5]の通りである。
[1] 式(I)

〔式中、
は、(ヒドロキシカルボニル)C1−C6アルキル基、(ヒドロキシカルボニル)C2−C6アルケニル基、(アミノカルボニル)C1−C6アルキル基、(アミノカルボニル)C2−C6アルケニル基、(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C1−C6)アルキル基又は(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C2−C6)アルケニル基を表し、
は、フェニル基、1−ナフチル基又は3−インドリル基を表す。
但し、該Rで表される置換基において、フェニル基、1−ナフチル基及び3−インドリル基を構成し、かつ置換基を有し得る炭素原子は、いずれも、相互に独立してハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1−C6アルキル基又はC1−C6アルコキシ基を置換基として有していてもよい。〕
で示されるアミド化合物又はその塩と、
群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する植物病害防除組成物。
群(A):クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、メトミノストロビン、式(II)で示される化合物及びピリベンカルブからなる群。
式(II)


[2] アミド化合物又はその塩と、群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物との含有量の比が、重量比で100:1〜1:100である[1]記載の植物病害防除組成物。
[3] [1]又は[2]記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に施用する工程を有する植物病害の防除方法。
[4] [1]又は[2]記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物種子に施用する工程を有する植物病害の防除方法。
[5] 植物種子が、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、テンサイ、ナタネ、コムギ又はイネの種子である[4]記載の植物病害の防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、植物病害を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の植物病害防除組成物とは、式(I)

〔式中、
は、(ヒドロキシカルボニル)C1−C6アルキル基、(ヒドロキシカルボニル)C2−C6アルケニル基、(アミノカルボニル)C1−C6アルキル基、(アミノカルボニル)C2−C6アルケニル基、(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C1−C6)アルキル基又は(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C2−C6)アルケニル基を表し、
は、フェニル基、1−ナフチル基又は3−インドリル基を表す。
但し、該Rで表される置換基において、フェニル基、1−ナフチル基及び3−インドリル基を構成し、かつ置換基を有し得る炭素原子は、いずれも、相互に独立してハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1−C6アルキル基又はC1−C6アルコキシ基を置換基として有していてもよい。〕
で示されるアミド化合物(以下、本アミド化合物と記す。)又はその塩と、
下記群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、本化合物と記す。)とを含有するものである。
群(A):クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、メトミノストロビン、式(II)で示される化合物及びピリベンカルブからなる群。

【0008】
式(I)において、Rで表される
(ヒドロキシカルボニル)C1−C6アルキル基としては、例えば、ヒドロキシカルボニルメチル基、2−(ヒドロキシカルボニル)エチル基、3−(ヒドロキシカルボニル)プロピル基及び4−(ヒドロキシカルボニル)ブチル基が挙げられ、
(ヒドロキシカルボニル)C2−C6アルケニル基としては、例えば、2−(ヒドロキシカルボニル)エテニル基、3−(ヒドロキシカルボニル)−2−プロペニル基及び3−(ヒドロキシカルボニル)−1−プロペニル基が挙げられ、
(アミノカルボニル)C1−C6アルキル基としては、例えば、アミノカルボニルメチル基、2−(アミノカルボニル)エチル基、3−(アミノカルボニル)プロピル基及び4−(アミノカルボニル)ブチル基が挙げられ、
(アミノカルボニル)C2−C6アルケニル基としては、例えば、2−(アミノカルボニル)エテニル基、3−(アミノカルボニル)−2−プロペニル基及び3−(アミノカルボニル)−1−プロペニル基が挙げられ、
(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C1−C6)アルキル基としては、例えば、メトキシカルボニルメチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、3−(メトキシカルボニル)プロピル基、4−(メトキシカルボニル)ブチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(エトキシカルボニル)エチル基、3−(エトキシカルボニル)プロピル基及び4−(エトキシカルボニル)ブチル基が挙げられ、
(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C2−C6)アルケニル基としては、例えば、2−(メトキシカルボニル)エテニル基、3−(メトキシカルボニル)−2−プロペニル基、3−(メトキシカルボニル)−1−プロペニル基、2−(エトキシカルボニル)エテニル基、3−(エトキシカルボニル)−2−プロペニル基及び3−(エトキシカルボニル)−1−プロペニル基が挙げられる。
【0009】
式(I)のRで表される置換基において、フェニル基、1−ナフチル基及び3−インドリル基を構成し、かつ置換基を有し得る炭素原子が、いずれも、互いに独立して有していてもよい置換基のうち、
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、
C1−C6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基、2−メチルプロピル基、3−メチルブチル基及び4−メチルペンチル基が挙げられ、
C1−C6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1−メチルエトキシ基、2−メチルプロポキシ基、3−メチルブトキシ基及び4−メチルペンチルオキシ基が挙げられる。
【0010】
式(I)のRで表される置換基において、フェニル基、1−ナフチル基及び3−インドリル基を構成し、かつ置換基を有し得る炭素原子の2以上が、同時にハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1−C6アルキル基又はC1−C6アルコキシ基を置換基として有する場合が存在するが、かかる場合に各炭素原子に有される置換基は互いに同一であってもよく、また相異なっていてもよい。
【0011】
本アミド化合物の態様としては、例えば次のものが挙げられる。
式(I)において、Rが(ヒドロキシカルボニル)C1−C3アルキル基又は(C1−C2アルコキシ)カルボニル(C1−C3)アルキル基であり、Rがフェニル基、1−ナフチル基、3−インドリル基又は5−メチル−3−インドリル基であるアミド化合物。
【0012】
本アミド化合物の塩としては、無機塩基塩及び有機塩基塩が挙げられる。
無機塩基塩としては、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩並びにアンモニウム塩が挙げられる。
有機塩基塩としては、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩及びN,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩等のアミン塩が挙げられる。
【0013】
次に、本アミド化合物の具体例を示す。
【0014】
式(I−a)で示されるアミド化合物。

[式中、R及びRの組合せは、[表1]に示されるいずれかの組合せを示す。]
【0015】
【表1】

【0016】
本アミド化合物は、例えば特開平11−255607号公報及び特開2001−139405号公報に記載された化合物であり、例えば該公報に記載された方法によって合成することができる。
【0017】
また、本発明に用いられるクレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン及びメトミノストロビンは公知の化合物であり、例えば「 The Pesticide Manual-15th edition(BCPC刊);ISBN 978−1−901396−18−8 」の688、62、971、910、1068、1167、383、538、840、458、462及び783ページに記載されている。これらの化合物は、市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することができる。
本発明に用いられるピリベンカルブは公知の化合物であり、例えば、国際公開第2001/010825号パンフレットに記載された方法により製造することができる。
本発明に用いられる式(II)

で示される化合物は(以下、化合物(II)と記す。)、例えば、国際公開第1995/27693号パンフレットに記載された化合物であり、例えば、当該パンフレットに記載された方法により合成することができる。
化合物(II)には、1つの不斉炭素が存在し、該不斉炭素に基づくR体(下記式(II−a)で示される。)

及びS体(式(II−b)で示される)

の両エナンチオマーが存在するが、本発明では任意のエナンチオマー比のものを化合物(II)として用いることができる。尚、本明細書において式(II−a)で示される化合物と式(II−b)で示される化合物とのラセミ混合物を以下、化合物(IIr)と記す。
【0018】
本発明に用いられるクレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、メトミノストロビン、化合物(II)及びピリベンカルブは、病原菌の細胞内ミトコンドリアの電子伝達系阻害(ComplexIII阻害)による呼吸阻害作用で抗菌活性を示すことが知られている化合物である。
【0019】
本発明の植物病害防除組成物における、本アミド化合物又はその塩と本化合物との含有割合は、特に限定されるものではないが、本アミド化合物又はその塩1000重量部に対して、本化合物が、通常2〜10000000重量部、好ましくは10〜100000重量部である。
【0020】
本発明の植物病害防除組成物は、本アミド化合物又はその塩と本化合物とを単に混合したものでもよいが、通常は、本アミド化合物又はその塩と本化合物と不活性担体とを混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、粒剤等に製剤化されたものが用いられる。
また、前記の製剤化された植物病害防除組成物は、そのまま又はその他の不活性成分を添加して、植物病害防除剤として使用することができる。
本発明の植物病害防除組成物における、本アミド化合物又はその塩と本化合物との合計量は、通常0.1%〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%、より好ましくは1〜80重量%の範囲である。
【0021】
また、本発明の植物病害防除組成物は、上記以外の殺虫剤又は殺菌剤を任意に追加してもよい。
【0022】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土及び方解石等の鉱物、トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物、尿素等の合成有機物、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類、合成含水酸化珪素等の合成無機物等からなる微粉末あるいは粒状物等が挙げられ、液体担体としては、例えばキシレン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ダイズ油、綿実油等の植物油、石油系脂肪族炭化水素類、エステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル並びに水が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩及びナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重縮合物等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、並びにアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、アラビアガム、アルギン酸及びその塩、CMC(カルボキシメチルセルロ−ス)及びザンサンガム等の多糖類、アルミニウムマグネシウムシリケート、アルミナゾル等の無機物、防腐剤、着色剤並びにPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT等の安定化剤が挙げられる。
【0023】
本発明の植物病害防除組成物は、植物又は植物を栽培する土壌に処理することにより植物病害を防除することができる。
【0024】
本発明により防除できる植物病害としては、例えば次のものが挙げられる。
【0025】
イネの病害:いもち病(Magnaporthe oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);
ムギ類の病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, F. asiaticum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondita, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp., Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler);
トウモロコシの病害:黒穂病(Ustilago maydis)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、ひょう紋病(Gloeocercospora sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、グレイリーフスポット病(Cercospora zeae-maydis);
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P.italicum)、フィトフトラ病(Phytophthora parasitica, Phytophthora citrophthora);
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternate apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana);
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternate Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans);
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、べと病(Peronospora parasitica);
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、黒斑病(Alternaria brassicae)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、黒あし病(Leptosphaeria maculans);
ネギの病害:さび病(Puccinia allii);
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、さび病(Phakopsora pachyrhizi);
アズキの病害:灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
インゲンマメの病害:灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、炭そ病(Colletotrichum lindemthianum);
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi);
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、黒あざ病(Rhizoctonia solani);
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli)、炭そ病(Glomerella cingulata);
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis);
ワタの病害:萎凋病(Fusarium oxysporum)、立枯病(Rhizoctonia solani);
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum);
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris);
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キク及びキク科野菜の病害:べと病(Bremia lactucae)、褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana);
種々の植物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum, Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani);
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis, Mycosphaerella musicola, Pseudocercospora musae);
ヒマワリの病害:べと病(Plasmopara halstedii);
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、及びDiplodia属菌等によって引き起こされる、各種植物の種子病害または生育初期の病害。
【0026】
本発明の植物病害防除組成物は、畑、水田、乾田、芝生、果樹園などの農耕地又は非農耕地に施用される。また、本発明の植物病害防除組成物は、「植物」等を栽培する農耕地等において、当該農耕地の植物病害を防除することができる。
【0027】
本発明の植物病害防除組成物を施用することができる植物としては、例えば次のものが挙げられる。
【0028】
農作物:トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等。
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー、アブラナ等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等。
果樹:仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ、アブラヤシ等。
果樹以外の樹木:チャ、クワ、花木類(サツキ、ツバキ、アジサイ、サザンカ、シキミ、サクラ、ユリノキ、サルスベリ、キンモクセイ等)、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ、ニレ、トチノキ等)、サンゴジュ、イヌマキ、スギ、ヒノキ、クロトン、マサキ、カナメモチ、等。
芝生:シバ類(ノシバ、コウライシバ等)、バミューダグラス類(ギョウギシバ等)、ベントグラス類(コヌカグサ、ハイコヌカグサ、イトコヌカグサ等)、ブルーグラス類(ナガハグサ、オオスズメノカタビラ等)、フェスク類(オニウシノケグサ、イトウシノケグサ、ハイウシノケグサ等)、ライグラス類(ネズミムギ、ホソムギ等)、カモガヤ、オオアワガエリ等。
その他:花卉類(バラ、カーネーション、キク、トルコギキョウ、カスミソウ、ガーベラ、マリーゴールド、サルビア、ペチュニア、バーベナ、チューリップ、アスター、リンドウ、ユリ、パンジー、シクラメン、ラン、スズラン、ラベンダー、ストック、ハボタン、プリムラ、ポインセチア、グラジオラス、カトレア、デージー、シンビジューム、ベゴニア等)、バイオ燃料植物(ヤトロファ、ベニバナ、アマナズナ類、スイッチグラス、ミスカンサス、クサヨシ、ダンチク、ケナフ、キャッサバ、ヤナギ等)、観葉植物等。
【0029】
前記植物の中でも、好ましい例として、トウモロコシ、テンサイ、イネ、ソルガム、ダイズ、ワタ、ナタネ及びコムギを挙げることができる。
【0030】
上記「植物」は、遺伝子組換え技術や交配による育種法により耐性を付与された植物であってもよい。
【0031】
本発明の植物病害防除組成物は、植物又は植物の栽培地に施用することにより、植物病害を防除することができる。ここで植物としては、例えば、植物の茎葉、植物の花、植物の実、植物の種子及び植物の球根が挙げられる。なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根及び担根体を意味する。
【0032】
本発明の植物病害の防除方法としては、本発明の植物病害防除組成物を施用することにより行われるが、具体的には、例えば、茎葉散布などの植物の茎葉への施用、植物の種子への施用、土壌処理や水面施用などの植物の栽培地への施用が挙げられる。
【0033】
本発明における茎葉散布などの植物の茎葉への施用としては、具体的には、例えば、人力噴霧機、動力噴霧機、ブームスプレーヤ若しくはパンクルスプレーヤを用いて行う地上散布や、航空防除若しくは無人ヘリコプターを用いて行う空中散布等により、栽培されている植物の表面に施用する方法が挙げられる。
【0034】
本発明における植物の種子への施用としては、具体的には、例えば、植物の種子又は球根をへの本発明の植物病害防除組成物を付着させる方法、植物の種子又は球根を本発明の植物病害防除組成物で被覆する方法が挙げられ、詳しくは、例えば本発明の植物病害防除組成物を種子表面若しくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、種子又は球根に塗布する塗沫処理、本発明の植物病害防除組成物の水希釈液中に種子又は球根を浸漬する浸漬処理、本発明の植物病害防除組成物を含有するフィルムで植物又は球根を被覆するフィルムコート処理、及び本発明の植物病害防除組成物の固形物にて種子又は球根を被覆し粒状に成型するペレットコート処理が挙げられる。
【0035】
本発明における土壌処理や水面施用などの植物の栽培地への施用としては、具体的には、例えば、植穴処理、株元処理、植溝処理、作条処理、全面処理、側条処理、育苗箱処理、苗床処理、培土混和、床土混和、ペースト肥料混和、水面処理及び湛水散布が挙げられる。
【0036】
本発明の植物病害防除組成物を、植物又は植物の栽培地に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、本アミド化合物又はその塩と本化合物との合計量として、当該植物を栽培する場所1000mあたり通常0.05〜10000g、好ましくは0.5〜1000gである。
【0037】
本発明の植物病害防除組成物を、植物の種子に処理する場合、その処理量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生程度、製剤形態、処理時期、気象条件等によって変化させ得るが、本アミド化合物又はその塩と本化合物との合計量として、種子1kgあたり通常0.001〜100g、好ましくは0.05〜50gである。
【0038】
本発明の植物病害防除組成物は、乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本アミド化合物又はその塩と本化合物との合計での濃度は、通常0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%の範囲である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を製剤例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。なお、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。また、以下の例において『本アミド化合物(化合物No.4)』等の記載により特定される化合物とは、表1の記載に対応する「化合物No.」により特定された化合物と同じである。
【0040】
まず、製剤例を示す。
【0041】
製剤例1
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、トリフロキシストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0042】
製剤例2
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、アゾキシストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0043】
製剤例3
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、フルオキサストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0044】
製剤例4
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピラクロストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0045】
製剤例5
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピコキシストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0046】
製剤例6
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、オリサストロビン1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0047】
製剤例7
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、化合物(IIr)1部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部並びに水を混合し全量を100部とし、湿式粉砕法で微粉砕することにより、製剤を得る。
【0048】
製剤例8
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、トリフロキシストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0049】
製剤例9
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、アゾキシストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0050】
製剤例10
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、フルオキサストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0051】
製剤例11
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピラクロストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0052】
製剤例12
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピコキシストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0053】
製剤例13
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、オリサストロビン1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0054】
製剤例14
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、化合物(IIr)1部、ソルビタントリオレエート1.5部、並びにポリビニルアルコール2部を含む水溶液28部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液を加え全量を90部とし、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0055】
製剤例15
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、トリフロキシストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより、製剤100部を得る。
【0056】
製剤例16
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、アゾキシストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより、製剤100部を得る。
【0057】
製剤例17
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、フルオキサストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより製剤100部を得る。
【0058】
製剤例18
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピラクロストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより製剤100部を得る。
【0059】
製剤例19
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、ピコキシストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより製剤100部を得る。
【0060】
製剤例20
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、オリサストロビン2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより製剤100部を得る。
【0061】
製剤例21
化合物No.1〜No.10から選ばれるいずれか1種の本アミド化合物10部、化合物(IIr)2部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、並びに合成含水酸化珪素 残部をよく粉砕混合することにより製剤100部を得る。
【0062】
適用例1
製剤例1にて作製される製剤を、ソルガム乾燥種子100kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて500ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製される製剤にかえて、製剤例2〜14にて作製される各製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0063】
適用例2
製剤例1にて作製される製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて40ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製される製剤にかえて、製剤例2〜14にて作製される各製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0064】
適用例3
製剤例15にて作製される製剤を、トウモロコシ乾燥種子10kgに対し、50g粉衣処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例15にて作製される製剤にかえて、製剤例16〜21にて作製される各製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0065】
適用例4
製剤例1にて作製される製剤を、ダイズ乾燥種子10kgに対し、回転式種子処理機(シードドレッサー、Hans−Ulrich Hege GmbH製)を用いて50ml塗沫処理することにより、処理種子を得る。
また、製剤例1にて作製される製剤にかえて、製剤例2〜14にて作製される各フ製剤を用いて、前記と同様の操作を行い、それぞれの処理種子を得る。
【0066】
次に本発明の効果を試験例にて示す。
試験例1
本アミド化合物(No.5)10mgと、アゾキシストロビン又はトリフロキシストロビン1mgとを混合し、これにカラーコートレッド(Becker Underwood Inc.製:着色剤)10部、CF−CLEAR(Becker Underwood Inc.製:結合剤)10部並びに水を混合して全量を100部としたスラリー150マイクロリットルを加えよく混合し、該混合液37.5マイクロリットルをトウモロコシ種子5gに添加し攪拌した。風乾後、300ml容量のプラスチックカップに処理されたトウモロコシ種子を5粒/カップの割合で播種し、Fusarium graminearumのフスマ培養物を混合した土壌で覆土した(これを処理区とする)。播種18日後に出芽しなかった種子の割合を調査した。
一方、前記の処理をしていないトウモロコシ種子を用いて、処理区と同様に播種し(これを無処理区とする。)、播種18日後に出芽しなかった種子の割合を調査した。
処理区及び無処理区の観察結果から、式1)を用い防除価を算出した。
【0067】
式1)
防除価=(1−(処理区の総播種数における出芽しなかった種子の割合)/(無処理区の総播種数における出芽しなかった種子の割合))×100
【0068】
【表2】

【0069】
試験例2
本アミド化合物(No.4)10mgと、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、又は化合物(IIr)1mgとを混合し、これにカラーコートレッド(Becker Underwood Inc.製:着色剤)10部、CF−CLEAR(Becker Underwood Inc.製:結合剤)10部並びに水を混合して全量を100部としたスラリー150マイクロリットルを加えよく混合し、該混合液37.5マイクロリットルをトウモロコシ種子5gに添加し攪拌した。風乾後、300ml容量のプラスチックカップに処理されたトウモロコシ種子を5粒/カップの割合で播種し、Fusarium graminearumのフスマ培養物を混合した土壌で覆土した(これを処理区とする)。播種18日後に出芽しなかった種子の割合を調査した。
一方、前記の処理をしていないトウモロコシ種子を用いて、処理区と同様に播種し(これを無処理区とする。)、播種18日後に出芽しなかった種子の割合を調査した。
処理区及び無処理区の観察結果から、式1)を用い防除価を算出した。
【0070】
【表3】

【0071】
試験例3
本アミド化合物(No.4)10mgと、トリフロキシストロビン1mgとを混合し、これに、カラーコートレッド(Becker Underwood Inc.製:着色剤)10部、CF−CLEAR(Becker Underwood Inc.製:展着剤)10部並びに水を混合して全量を100部としたスラリー150マイクロリットルを加えよく混合し、該混合液7.5マイクロリットルをコムギ種子1gに添加し攪拌した。風乾後、85ml容量のプラスチックカップに処理されたコムギ種子を1カップあたり約10粒の割合で播種した。播種12日後にPuccinia reconditaの胞子を接種し、23℃、暗黒多湿下に24時間置いた(これを処理区とする)。接種7日後に第2葉目の葉全体の面積における病徴面積の割合を調査した。
一方、前記の処理をしていないコムギ種子を用いて、処理区と同様に播種し(これを無処理区とする。)、接種7日後に第2葉目の葉全体の面積における病徴面積の割合を調査した。
処理区及び無処理区の観察結果から、式2)により処理区の防除効果を算出した。なお、試験は2反復で行った。その平均値を以下に示す。
【0072】
式2)
防除価=(1−(処理区の第2葉目全体における病徴面積の割合)/(無処理区の第2葉目全体における病徴面積の割合))×100
【0073】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、植物病害に対する優れた防除効力を有する植物病害防除組成物、及び新たな植物病害の防除方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、
は、(ヒドロキシカルボニル)C1−C6アルキル基、(ヒドロキシカルボニル)C2−C6アルケニル基、(アミノカルボニル)C1−C6アルキル基、(アミノカルボニル)C2−C6アルケニル基、(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C1−C6)アルキル基又は(C1−C6アルコキシ)カルボニル(C2−C6)アルケニル基を表し、
は、フェニル基、1−ナフチル基又は3−インドリル基を表す。
但し、該Rで表される置換基において、フェニル基、1−ナフチル基及び3−インドリル基を構成し、かつ置換基を有し得る炭素原子は、いずれも、相互に独立してハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1−C6アルキル基又はC1−C6アルコキシ基を置換基として有していてもよい。〕
で示されるアミド化合物又はその塩と、
群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する植物病害防除組成物。
群(A):クレソキシムメチル、アゾキシストロビン、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、エネストロビン、トリフロキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、オリサストロビン、ファモキサドン、フェナミドン、メトミノストロビン、式(II)で示される化合物及びピリベンカルブからなる群。
式(II)

【請求項2】
アミド化合物又はその塩と群(A)から選ばれる少なくとも1種の化合物との含有量の比が、重量比で100:1〜1:100である請求項1記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に施用する工程を有する植物病害の防除方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物種子に施用する工程を有する植物病害の防除方法。
【請求項5】
植物種子が、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、テンサイ、ナタネ、コムギ又はイネの種子である請求項4記載の植物病害の防除方法。

【公開番号】特開2013−107875(P2013−107875A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233510(P2012−233510)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】