検体処理システムおよび血球画像分類装置
【課題】血球画像分類装置による計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かを容易に識別することを可能とする検体処理システムおよび血球画像分類装置を提供する。
【解決手段】血球画像分類装置7は、レビュー完了ボタン752aが選択されると、血球画像分類装置7による血球の計数結果と、血球分析装置5による血球の計数結果とを比較し、乖離している場合には警告画面Vを表示する。
【解決手段】血球画像分類装置7は、レビュー完了ボタン752aが選択されると、血球画像分類装置7による血球の計数結果と、血球分析装置5による血球の計数結果とを比較し、乖離している場合には警告画面Vを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備える検体処理システム、および血球画像分類装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液塗抹標本を撮像し、得られた血球画像に基づいて血球を赤血球、白血球、および白血球のサブクラス等に分類する血球画像分類装置が知られている(例えば、特許文献1)。また、このような血球画像分類装置を、血液検体を吸引し、吸引した血液検体を測定することによって血球を分類・計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続することも知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−365285号公報
【特許文献2】特開平5−80045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同一の血液検体に対する血球計数装置による計数結果と血球画像分類装置による計数結果とはほぼ一致するはずである。もし、これらの計数結果に乖離があるのであれば、血球計数装置および血球画像分類装置のいずれかに異常があることや、血液検体が劣化していることなどが考えられ、再検査を要する。しかしながら、上記の血球画像分類装置では、計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かは、血球計数装置による計数結果と血球画像分類装置による計数結果とを1件ずつ比較する必要があり、煩雑な作業が必要であった。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、血球画像分類装置による計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かを容易に識別することを可能とする検体処理システムおよび血球画像分類装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、前記血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備え、前記血球画像分類装置が、前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える。
【0006】
この態様においては、前記計数結果取得手段は、血球画像に基づいて前記所定の種類の血球の初期計数結果を取得する第1取得手段と、血球画像分類装置の使用者からの入力に基づいて初期計数結果を変更することによって第2計数結果を取得する第2取得手段とを備えることが好ましい。
【0007】
また、上記態様においては、前記第2取得手段によって取得された第2計数結果を確定する確定手段をさらに備え、前記比較手段は、前記確定手段によって第2計数結果が確定されると、確定された第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体から取得された第1計数結果とを比較することが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記警告手段によって警告が出力された後、前記第2取得手段による初期計数結果の変更を再開させるための再開手段をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体の血球画像とを並べて表示する血球画像画面を表示する表示手段と、前記血球画像画面への表示対象となる血球の種類を設定する種類設定手段とをさらに備え、前記表示手段は、前記種類設定手段によって設定された種類の血球の血球画像を選択的に表示するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記血球画像画面は、第1計数結果と第2計数結果と血球画像とを並べて表示することが好ましい。
また、上記態様においては、前記警告手段による警告に関する前記所定の範囲を設定する範囲設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一の態様の血球画像分類装置は、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置であって、前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態は、染色された血液塗抹標本を顕微鏡により拡大して撮像し、得られた血球画像を分類および計数し、その計数結果の精度管理画面を表示する検体分析システムである。
【0013】
[検体分析システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体分析システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、血球画像分類装置7と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体分析システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られ、ラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0014】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体分析システム1は、4つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5,5、塗抹標本作製装置6、及び血球画像分類装置7の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4に接続されており、検体収容装置4へサンプルラックを搬出することが可能となっている。
【0015】
検体投入装置2と図1において最も右側に配置されている検体搬送装置3(図中右側の血球分析装置5の前方に配置されている検体搬送装置3)との間、当該検体搬送装置3とその左隣の検体搬送装置3(図中左側の血球分析装置5の前方に配置されている検体搬送装置3)との間、及び当該検体搬送装置3とその左隣の検体搬送装置3(塗抹標本作製装置6の前方に配置されている検体搬送装置3との間には、それぞれラックスライダ32,32,32が設けられている。
【0016】
検体搬送装置3には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路31a,31bが設けられている。後側のラック搬送路31aは、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックを搬送するための測定ラインである。一方、前側のラック搬送路31bは、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックを搬送するためのスキップラインである。
【0017】
ラックスライダ32は、検体搬送装置3の右側に配置されており、検体搬送装置3の測定ライン31a及びスキップライン31bへのサンプルラックの振り分け投入を行う。ラックスライダ32は、1つの可動搬送路を備えており、当該可動搬送路は、図示しないモータによって前後方向に移動可能となっている。
【0018】
また、検体搬送装置3は、図示しないラックバーコードリーダ及び検体バーコードリーダを備えており、これらのバーコードリーダによってラックID及び検体IDを読取可能に構成されている。また、検体搬送装置3は、システム制御装置8と通信可能に接続されており、システム制御装置8から測定オーダを受信するように構成されている。検体搬送装置3の制御部は、システム制御装置8から与えられた測定データ及びバーコードリーダにより読み取られたラックIDに基づき、そのサンプルラックに血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されているか否かを判定するようになっている。そして、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されているサンプルラックがラックスライダ32に導入されると、可動搬送路32aを後側へ移動させてこのサンプルラックを測定ライン31aに送出する。また、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されていないサンプルラックがラックスライダ32に導入されると、可動搬送路32aを前側へ移動させてこのサンプルラックをスキップライン31bに送出する。つまり、血球分析装置5の分析対象でない検体しか収容していないサンプルラックは、血球分析装置5の前側に配置されている検体搬送装置3においては、スキップライン31bに搬送され、塗抹標本作製装置6による塗抹標本作製対象でない検体しか収容していないサンプルラックは、塗抹標本作製装置6の前側に配置されている検体搬送装置3においては、スキップライン31bに搬送される。一方、サンプルラック内に、血球分析装置5による分析対象の検体が1つでもある場合は、血球分析装置5の前側に配置されている検体搬送装置3においては、このサンプルラックは測定ライン31aに搬送される。
【0019】
また、検体搬送装置3の制御部は、測定ライン31aにサンプルラックを送出した場合において、血球分析装置5(塗抹標本作製装置6)が検体を吸引する吸引位置に分析(塗抹標本作製処理)の対象とする検体容器を移送し、血球分析装置5(塗抹標本作製装置6)が検体の吸引を完了した後に、次の分析対象(塗抹標本作製処理対象)の検体容器を前記吸引位置まで移送するという動作を繰り返し行う。
【0020】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックを検体搬送装置3から受け取り、収容する。その構成は、検体送出ユニット21a,21bと同様であるので、説明を省略する。
【0021】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0022】
図2は、測定ユニット51の概略構成を示すブロック図である。測定ユニット51は、検体分注部511と、測定検体調製部512と、光学検出部513と、信号処理回路514と、制御部515とを備えている。
【0023】
検体分注部511は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックの検体容器の蓋部に突き刺して、この検体容器から血液検体を吸引する。測定検体調製部512は、混合容器(図示せず)を備えており、検体分注部511により分注された血液検体、試薬及び希釈液を混合撹拌し、測定検体を調製する。
【0024】
光学検出部513は、フローセル(図示せず)を備え、このフローセルに測定検体を供給することにより測定検体の細い流れを形成し、その測定検体に対して光を照射して、光学センサにより側方散乱光信号、前方散乱光信号、及び蛍光信号を取得する。これらの信号は、信号処理回路514へ出力される。信号処理回路514は、光学検出部513から出力される電気信号を処理する回路である。かかる信号処理回路514は、側方散乱光信号、前方散乱光信号、蛍光信号のピーク及びパルス幅等のパラメータを取得する。
【0025】
制御部515は、CPU及びメモリを備えており、検体搬送装置3とデータ通信可能に接続されている。かかる制御部515は、検体搬送装置3から与えられた分析項目にしたがって、検体分注部511、測定検体調製部512、光学検出部513、及び信号処理回路514を制御し、上記分析項目に対応する測定動作を実行させる。また、信号処理回路514によって得られた上記パラメータを含む測定データを情報処理ユニット52へ送信するように構成されている。
【0026】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図3は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0027】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような分析プログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0028】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0029】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されている分析プログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0030】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する分析プログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0031】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるための分析プログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524から分析プログラム524aを読み出し、当該分析プログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0032】
なお、前記分析プログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記分析プログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0033】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係る分析プログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0034】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力
することが可能である。
【0035】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介して測定ユニット51に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された測定ユニット51との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9に通信可能に接続されている。
【0036】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0037】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0038】
図4は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0039】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックの検体容器の蓋部に突き刺して、この検体容器から血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0040】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像分類装置7へと送出される。
【0041】
<血球画像分類装置7の構成>
図5は、本実施の形態に係る血球画像分類装置の構成を示すブロック図である。なお、図5は装置の構成を模式的に示すものであり、分かり易くするためにセンサ及びスライドカセット等の配置が実際とは若干異なっている。例えば、図5では、WBC検出用のセンサとオートフォーカス用のセンサとが上下に配置されているが、実際には後出する図6に示されるように、両センサは略同一平面内に配置されている。
【0042】
血球画像分類装置7は、オートフォーカスにより焦点が合わされた血液塗抹標本の拡大画像を撮像する顕微鏡ユニット71と、撮像された画像を処理して血液中の白血球の分類を行い、当該白血球の分類毎の計数を行う画像処理ユニット73と、この画像処理ユニット73に接続されており、撮像された画像及び分析結果等を表示する血球画像表示ユニット75とを備えている。なお、前記画像処理ユニット73と血球画像表示ユニット75とは、別体とせずに、両者を一体化してもよい。また、血球画像分類装置7の近傍には、前述した塗抹標本作製装置6(例えば、シスメックス社製の塗抹標本作製装置SP−1000i)が配置されており、この塗抹標本作製装置6によって作製された血液塗抹標本が顕微鏡ユニット71に自動的に供給されるように構成されている。
【0043】
<顕微鏡ユニット71の構成>
図6は、顕微鏡ユニット71の一部を示す斜視図である。顕微鏡ユニット71は、XYステージ711上に載置されたスライドガラス7aにうすく引き伸ばされて塗布された血液の像を拡大する顕微鏡のレンズ系の一部を構成する対物レンズ712を備えている。標本(上面に血液が塗抹されたスライドガラス7a)を保持する前記XYステージ711は、XYステージ駆動回路713(図5参照)により駆動制御される駆動部(図示せず)により前後左右(X方向及びY方向)に移動自在とされる。また、前記対物レンズ712は、対物レンズ駆動回路714により駆動制御される駆動部(図示せず)により上下(Z方向)に移動自在とされている。
【0044】
スライドガラス7aは、複数枚積み重ねられた状態でスライドカセット715内に収容されており、このスライドカセット715は、カセット搬送駆動回路716により駆動制御される搬送部(図示せず)によって搬送される。前記XYステージ711には、スライドガラス7aの長手方向の両端付近2箇所を把持し得るチャック部717(図6参照)が、所定位置に停止している前記スライドカセット715内に収容されているスライドガラス7aに対して進退自在に設けられている。そして、前記チャック部717をスライドカセット715に向けて進出させ、当該チャック部717先端部に形成されている開閉自在の爪部717aの開閉操作によりスライドガラス7aを把持し、ついでチャック部717を後退させることにより、スライドカセット715からスライドガラス7aを引き出して、XYステージ711の所定の位置に配置することができる。
【0045】
スライドガラス7aの下方には光源であるランプ718が配設されており、このランプ718からの光は、スライドガラス7a上の血液を通過し、さらに光路上に配置されたハーフミラー719及び干渉フィルタ720を経由して、複数の画素が一列に並んだオートフォーカス用のラインセンサ721、複数の画素が一列に並んだ白血球(WBC)検出用のセンサ722、及びCCDカメラ723に入射する。白血球検出用のセンサ722には、FPGA又はASIC等で構成された白血球検出部724が接続され、センサ722の出力信号が白血球検出部724に与えられるようになっている。また、オートフォーカス用のセンサ721には、FPGA又はASIC等で構成されたフォーカス算定部725が接続され、センサ721の出力信号がフォーカス算定部725に与えられるようになっている。センサ722の入射光に応じた出力信号に基づいて、白血球検出部724により白血球の検出が行われ、またセンサ721の入射光に応じた出力信号に基づいて、フォーカス算定部725でオートフォーカスの動作に用いられる情報が算定され、かかる情報に基づいてオートフォーカスの動作が行われる。
【0046】
また、顕微鏡ユニット71は、制御部726及び通信インタフェース727,728を備えている。制御部726はCPU及びメモリを備え、XYステージ駆動回路713、対物レンズ駆動回路714、カセット搬送駆動回路716、白血球検出部724、フォーカス算定部725、通信インタフェース727及び728にそれぞれ通信可能に接続されており、かかる制御部726がメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、上述した各機構が制御されるようになっている。
【0047】
通信インタフェース727は、Ethernet(登録商標)インタフェースである。かかる通信インタフェース727は、通信ケーブルを介して画像処理ユニット73にデータ通信可能に接続されている。また、通信インタフェース728は、A/D変換器723aを介してCCDカメラ723に接続されており、また通信ケーブルを介して画像処理ユニット73に接続されている。CCDカメラ723から出力された画像信号(アナログ信号)は、A/D変換器723aによりA/D変換され、A/D変換器723aから出力された画像データ(デジタルデータ)が通信インタフェース728に与えられ、画像処理ユニット73へ送信される。
【0048】
また、顕微鏡ユニット71は、2次元バーコードリーダ729を備えている。スライドガラス7aのフロスト部には、検体IDを示す2次元バーコードが印字されており、顕微鏡ユニット71に導入されたスライドガラス7aの2次元バーコードが、2次元バーコードリーダ729により読み取られる。このようにして読み取られた検体IDは、制御部726に与えられる。
【0049】
<画像処理ユニット73の構成>
次に、画像処理ユニット73の構成について説明する。図7は、画像処理ユニット73の構成を示すブロック図である。画像処理ユニット73は、コンピュータ73aによって実現される。図7に示すように、コンピュータ73aは、本体731と、画像表示部732と、入力部733とを備えている。本体731は、CPU731a、ROM731b、RAM731c、ハードディスク731d、読出装置731e、入出力インタフェース731f、通信インタフェース731g、及び画像出力インタフェース731jを備えており、CPU731a、ROM731b、RAM731c、ハードディスク731d、読出装置731e、入出力インタフェース731f、通信インタフェース731g、通信インタフェース731h、通信インタフェース731i、及び画像出力インタフェース731jは、バス731kによって接続されている。
【0050】
CPU731aは、RAM731cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような画像処理プログラム734aを当該CPU731aが実行することにより、コンピュータ73aが画像処理ユニット73として機能する。
【0051】
ROM731bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU731aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0052】
RAM731cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM731cは、ハードディスク731dに記録されている画像処理プログラム734aの読み出しに用いられる。また、CPU731aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU731aの作業領域として利用される。
【0053】
ハードディスク731dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU731aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する画像処理プログラム734aも、このハードディスク731dにインストールされている。
【0054】
さらにハードディスク731dには、血球画像を保存するための血球画像フォルダ735が設けられている。かかる血球画像フォルダ735には、検体毎にフォルダが設けられており、さらにそのフォルダ内に後述するようにして得られた血球画像が格納される。検体毎に設けられた各フォルダには、検体IDを含むフォルダ名が付けられており、検体IDから対応するフォルダを特定することが可能となっている。また、この血球画像フォルダ735は血球画像表示ユニット75との共有設定がなされており、血球画像表示ユニット75から当該血球画像フォルダ735に格納されているファイルにアクセスすることが可能となっている。
【0055】
また、ハードディスク731dには、検体に関する情報を格納するための検体データベースDB1と、画像処理によって白血球を分類した結果を格納するための血球データベースDB2とが設けられている。図8Aは、検体データベースDB1の構造を示す模式図であり、図8Bは、血球データベースDB2の構造を示す模式図である。検体データベースDB1には、検体IDを格納する検体フィールドF11と、血球分析装置5による血球種ごとの計数結果をそれぞれ格納する計数結果フィールドF111、F112,F113、・・・と、白血球スキャッタグラム異常と判定されたか否かを示す情報(白血球スキャッタグラム異常フラグ)、NRBC(有核赤血球)スキャッタグラム異常と判定されたか否かを示す情報(NRBCスキャッタグラム異常フラグ)、好中球減少異常と判定されたか否かを示す情報(好中球減少異常フラグ)等、各種の異常と判定された情報を格納するためのフィールドF12、F13、F14、・・・と、血球分析装置5による測定日を格納するためのフィールドF15とが含まれている。白血球スキャッタグラム異常フィールドF12、NRBCスキャッタグラム異常フィールドF13、および好中球減少異常フィールドF14の異常を示す情報を格納するフィールドには、異常が発生していない場合には「0」が、異常が発生している場合には「1」が格納される。なお、図を簡単にするため省略しているが、検体データベースDB1には、患者氏名を格納するフィールド、病棟を特定する情報を格納するフィールド、患者の年齢を格納するフィールド、白血球カウント数Nを格納するフィールド等も設けられている。
【0056】
血球データベースDB2は、検体毎に設けられており、各血球データベースDB2には、検体IDを示すデータが含まれている。これにより、検体IDから対応する血球データベースDB2を特定することが可能である。また、血球データベースDB2には、それぞれ検体IDに対応している血球データベースDB2aおよび血球データベースDB2bが設けられている。血球データベースDB2aには、白血球を特定する白血球IDを格納する白血球IDフィールドF21と、白血球の分類結果を格納する種類フィールドF22と、対応する血球画像が表示対象の画像であるか否かを示す表示対象フィールドF23とが設けられている。表示対象フィールドF23には、対応する血球画像が表示対象ではない場合には「0」が、表示対象である場合には「1」が格納される。また、血球データベースDB2bには、血球種を特定するための血球種フィールドF211と、それぞれの血球種についてのカウント数を示す計数結果(個数)フィールドF212と、それぞれの血球種についての白血球の総数に対する割合を示す計数結果(%)フィールドF213とが設けられている。計数結果(個数)フィールドF212には、血球データベースDB2aの種類フィールドF22における各血球種の出現数が入力されている。また,計数結果(%)フィールドF213には、計数結果(個数)フィールドF212に入力されたカウント数の、後述する白血球カウント数Nに対する割合が入力される。ここで、いずれの血球種にも分類されなかった未分類の白血球がある場合には、白血球カウント数Nから未分類の白血球数が差し引かれる。
【0057】
また、ハードディスク731dには、血球画像表示ユニット75において検体の血球画像を表示する際に、表示対象となる血球種を定めるためのレビュー項目設定テーブルTBLが設けられている。図9は、レビュー項目設定テーブルTBLのデータ構造を模式的に示す図である。かかるレビュー項目設定テーブルTBLは、血球の種類を示す血球種情報を格納するフィールドF31と、それぞれの血球種についての血球画像の表示の有無を示す情報を格納するフィールドF32とが設けられている。
また、ハードディスク731dには、叙述する警告出力処理において、警告を出力するか否かを判断するために用いられる数値範囲データを記憶する警告出力範囲テーブルWTが設けられている。
また、ハードディスク731dには、後述する精度管理において変動率を計算するために用いられる検体を選択するための選択条件を記憶する選択条件テーブルQCTが設けられている。
【0058】
読出装置731eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体734に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体734には、コンピュータを画像処理ユニット73として機能させるための画像処理プログラム734aが格納されており、コンピュータ73aが当該可搬型記録媒体734から画像処理プログラム734aを読み出し、当該画像処理プログラム734aをハードディスク731dにインストールすることが可能である。
【0059】
なお、前記画像処理プログラム734aは、可搬型記録媒体734によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ73aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記画像処理プログラム734aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ73aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク731dにインストールすることも可能である。
【0060】
また、ハードディスク731dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係る画像処理プログラム734aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0061】
入出力インタフェース731fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース731fには、キーボード及びマウスからなる入力部733が接続されており、ユーザが当該入力部733を使用することにより、コンピュータ73aにデータを入力することが可能である。
【0062】
通信インタフェース731g,731hは、それぞれEthernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース731gはLANを介して血球画像表示ユニット75に接続されている。また、かかる通信インタフェース731gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9に通信可能に接続されている。コンピュータ73aは、通信インタフェース731gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された血球画像表示ユニット75及びホストコンピュータ9との間でデータの送受信が可能である。また、通信インタフェース731hは、通信ケーブルを介して顕微鏡ユニット71の通信インタフェース727とデータ通信可能に接続されている。
【0063】
通信インタフェース731iは、通信ケーブルを介して顕微鏡ユニット71の通信インタフェース728とデータ通信可能に接続されている。これにより、CCDカメラ723による撮像画像が通信インタフェース731iにより受信されるようになっている。
【0064】
画像出力インタフェース731jは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部732に接続されており、CPU731aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部732に出力するようになっている。画像表示部732は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0065】
<血球画像表示ユニット75の構成>
血球画像表示ユニット75は、コンピュータにより構成されている。また、かかる血球画像表示ユニット75は、画像処理ユニット73とLANを介して接続されており、画像処理ユニット73のハードディスク731dに設けられた血球画像フォルダ735内の血球画像を読み出し、表示することが可能である。
【0066】
図10は、血球画像表示ユニット75の構成を示すブロック図である。血球画像表示ユニット75は、コンピュータ75aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ75aは、本体751と、画像表示部752と、入力部753とを備えている。本体751は、CPU751a、ROM751b、RAM751c、ハードディスク751d、読出装置751e、入出力インタフェース751f、通信インタフェース751g、及び画像出力インタフェース751hを備えており、CPU751a、ROM751b、RAM751c、ハードディスク751d、読出装置751e、入出力インタフェース751f、通信インタフェース751g、及び画像出力インタフェース751hは、バス751iによって接続されている。
【0067】
ハードディスク751dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU751aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する血球画像表示プログラム754aも、このハードディスク751dにインストールされている。
【0068】
読出装置751eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体754に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体754には、コンピュータを血球画像表示ユニット75として機能させるための血球画像表示プログラム754aが格納されており、コンピュータ75aが当該可搬型記録媒体754から血球画像表示プログラム754aを読み出し、当該血球画像表示プログラム754aをハードディスク751dにインストールすることが可能である。
【0069】
入出力インタフェース751fは、例えばUSB,IEEE1394,SAS,SATA,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース751fには、キーボード及びマウスからなる入力部753が接続されており、ユーザが当該入力部753を使用することにより、コンピュータ75aにデータを入力することが可能である。
【0070】
通信インタフェース751gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース751gはLANを介して画像処理ユニット73に接続されている。コンピュータ75aは、通信インタフェース751gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9との間でデータの送受信が可能である。
【0071】
なお、血球画像表示ユニット75のその他の構成は、上述した画像処理ユニット73の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体分析システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2から検体ID、及びラックIDを受け付け、検体IDをキーにしてホストコンピュータ9から測定オーダを取得する。また、システム制御装置8は、測定オーダを検体搬送装置3へ送信する。
【0073】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0074】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0075】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0076】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0077】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0078】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、血球画像分類装置7の画像処理ユニット73、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
以下、本実施の形態に係る検体分析システム1の動作について説明する。
【0081】
<検体投入装置2の動作>
ユーザは、検体容器を収容したサンプルラックを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0082】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックのラックバーコード及び検体容器の検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られ、ラックID及び検体IDがシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックが送出される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックを移送する。サンプルラックは、検体送出ユニット21b上を移送され、その後、左方向へ移送されて、ラックスライダ32へ受け渡される。
【0083】
<システム制御装置8の測定オーダ取得動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。システム制御装置は、検体投入装置2から受信した検体IDにより、その検体(血液検体)に対する測定オーダを取得する。ここで、測定オーダとは、血液検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。
【0084】
図11Aは、測定オーダの取得処理の手順を示すフローチャートである。検体投入装置2から送信されたラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるシステム制御プログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0085】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを送信し、ホストコンピュータ9へその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックに収容されている全ての検体容器の検体IDの全てについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ9に要求する。
【0086】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0087】
<システム制御装置8の測定オーダ送信動作>
後述するように、検体搬送装置3は、システム制御装置8へラックIDを送信して、このラックIDに対応する測定オーダを要求する。システム制御装置8は、かかる要求に応じて、検体搬送装置3へ測定オーダを送信する。
【0088】
図11Bは、測定オーダ送信処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信されたラックIDを含む測定オーダの要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいては、かかる測定オーダの要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0089】
ステップS112において、CPU81aは、受信したラックIDに対応する測定オーダをハードディスク81dから検索する。次に、CPU81aは、サンプルラックの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS113)、iが10以下であるか否かを判定する(ステップS114)。iが10以下である場合には(ステップS114においてYES)、CPU81aは、保持位置iに検体容器が保持されているか否か(保持位置iに対応する測定オーダが存在するか否か)を判定する(ステップS115)。保持位置iに検体容器が保持されていない場合には(ステップS115においてNO)、CPU81aは、ステップS117へ処理を移す。
【0090】
保持位置iに検体容器が保持されている場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、保持位置iの血液検体の測定オーダをハードディスク81dから読み出す(ステップS116)。次に、ステップS117において、CPU81aは、iを1だけインクリメントし、ステップS114へ処理を戻す。また、CPU81aは、ステップS114においてiが10以下でない場合には(ステップS114においてNO)、RAM81cに記憶した測定オーダを、測定オーダ要求元の検体搬送装置3へ送信し(ステップS118)、処理を終了する。
【0091】
<検体搬送装置3の動作>
ここでは、血球分析装置5の前方に配置された検体搬送装置3の動作について説明する。サンプルラックが搬送上流側からラックスライダ32へ搬入されるときには、図示しないセンサによってサンプルラックの到着が検出される。サンプルラックの到着が検出された場合に、サンプルラックのラックバーコードからラックIDが図示しないバーコードリーダによって読み取られる。検体搬送装置3の制御部は、ラックIDを含む測定オーダ要求データをシステム制御装置8へと送信する。これによって、上述したようにシステム制御装置8から測定オーダが送信され、検体搬送装置3がこの測定オーダを受信する。検体搬送装置3の測定ライン31a上には図示しない検体バーコードリーダが設けられており、サンプルラックに収容される検体容器の検体バーコードが順次読み取られる。検体搬送装置3の制御部は、読み取った検体IDに対応する測定オーダを含む吸引指示データを血球分析装置5へ送信する。
【0092】
血球分析装置5が検体の吸引を完了した後には、血球分析装置5から吸引完了通知信号が送信される。検体搬送装置3が血球分析装置5から吸引完了通知信号を受信した場合には、サンプルラックを1検体分移送し、次の検体容器の検体IDを読み取って、上述した動作を繰り返し実行する。全ての検体の吸引が完了したサンプルラックは、検体搬送装置3により下流側へと搬出される。
【0093】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。図12は、血球分析装置5の情報処理ユニット52の動作の流れを示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信された吸引指示データは、測定ユニット51の制御部515を介して情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信される(ステップS201)。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行される分析プログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、吸引指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0094】
ステップS202において、CPU521aは、吸引指示データに含まれる検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS202)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS203においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS203においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS204)。
【0095】
次に、CPU521aは、記憶した測定オーダに含まれる分析項目を含む測定開始要求データを測定ユニット51へ送信し(ステップS205)、この測定開始要求データを測定ユニット51の制御部515が受信することにより、当該測定開始要求データに含まれる分析項目について血液検体の測定が行われる。測定ユニット51の制御部515は、測定が完了した後に、測定によって得られた側方散乱光強度及び蛍光強度等を反映した測定データ(生データ)を情報処理ユニット52へと送信する。CPU521aは、測定データの受信を待機し(ステップS206においてNO)、測定データが通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS206においてYES)、測定データの解析処理を実行し(ステップS207)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。かかる測定データの解析処理においては、Band,Seg,Eosin等の白血球のサブクラスの計数結果は、白血球の総数に対する割合として取得される。また、かかる測定データの解析処理においては、白血球スキャッタグラム(白血球を種類毎に分類するためのスキャッタグラム)の異常、NRBCスキャッタグラム(有核赤血球を検出するためのスキャッタグラム)の異常、好中球が所定の正常範囲を下回る好中球減少異常、好中球が前記正常範囲を上回る好中球増加異常、単球が所定の正常範囲を上回る単球増加異常、好酸球が所定の正常範囲を上回る好酸球増加異常、好塩基球が所定の正常範囲を上回る好塩基球増加異常、白血球の総数が所定の正常範囲を下回る白血球減少異常、白血球の総数が所定の正常範囲を上回る白血球増加異常、赤芽球が所定の正常範囲を上回る赤芽球増加異常等の異常が検出され、解析処理により生成される分析結果データには、異常が検出されたことを示す異常フラグが付加される。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS208)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS209)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS209の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0096】
<塗抹標本作製装置6の動作>
ホストコンピュータ9は、上記の分析結果データを受信した後、その分析結果データに特定の異常が含まれている場合には、当該検体を塗抹標本検査の対象として決定し、異常の種類又は程度に応じて塗抹標本検査における白血球のカウント数Nを決定する。このようにして塗抹標本検査の対象と決定された検体に対しては、患者情報、血球分析装置5による分析結果(検出された異常フラグを含む)、及び前記カウント数Nを含む塗抹標本検査の測定オーダが新たに生成され、ホストコンピュータ9のハードディスクに記憶される。その後、上述したようにシステム制御装置8により当該検体の測定オーダの問い合わせが行われた場合には、塗抹標本検査の測定オーダがシステム制御装置8へと送信され、また上述したように塗抹標本作製装置6の前方に配置された検体搬送装置3の問い合わせに応じて、当該検体搬送装置3に前記測定オーダが与えられることとなる。
【0097】
このような場合には、前記検体搬送装置3の測定ライン31a上をサンプルラックが搬送され、塗抹標本検査の対象の検体が、塗抹標本作製装置6により所定量吸引される。その後、塗抹標本作製装置6は、スライドガラスに検体を滴下し、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させる。さらに、当該スライドガラスを染色液の中に浸し、その後再度スライドガラスを乾燥させる。このようにして、塗抹標本が作製される。上記のように作製された塗抹標本は、血球画像分類装置7の顕微鏡ユニット71に搬送される。
【0098】
<検体収容装置4の動作>
最も搬送下流側の検体搬送装置3から送出されたサンプルラックは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0099】
<血球画像分類装置7の動作>
次に、本実施の形態に係る血球画像分類装置7の動作について説明する。
【0100】
<血球画像の登録動作>
まず、血球画像表示装置7が血球を撮像し、血球画像を記憶する血球画像の登録動作について説明する。図13は、血球画像の登録動作における顕微鏡ユニット71の動作手順を示すフローチャートであり、図14A及び図14Bは、血球画像の登録動作における画像処理ユニット73の動作手順を示すフローチャートである。顕微鏡ユニット71は、血液塗抹標本作製装置6からスライドガラス7aを受け付けると、これを図示しないセンサによって検出する(ステップS301)。制御部726により実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、顕微鏡ユニット71の制御部726においては、血液塗抹標本作製装置6からスライドガラス7aを受け付けるイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0101】
ステップS302において、制御部726は、受け付けたスライドガラス7aを収容するスライドカセット715を所定のバーコード読み取り位置まで搬送させ、2次元バーコードリーダ729に検体バーコードを読み取らせる(ステップS302)。次に、制御部726は、ステップS2において取得した検体IDを通信インタフェース727に画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS303)。
【0102】
顕微鏡ユニット71から送信された検体IDは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図14AのステップS321)。画像処理ユニット73のCPU731aにより実行される画像処理プログラム734aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU731aにおいては、検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0103】
ステップS322において、CPU731aは、通信インタフェース731gに、受信した検体IDを含むオーダ要求データをホストコンピュータ9へ送信させる(ステップS322)。ホストコンピュータ9から送信されるオーダには、検体ID、患者氏名、患者性別、病棟情報、コメント、血球分析装置5の分析結果(白血球数、赤血球数等の数値データ(計数結果))、血球分析装置5により検出された各種の異常情報(白血球スキャッタグラム異常フラグ、NRBCスキャッタグラム異常フラグ、好中球減少異常フラグ、好中球増加異常フラグ、単球増加異常フラグ、好酸球増加異常フラグ、好塩基球増加異常フラグ、白血球減少異常フラグ、白血球増加異常フラグ、赤芽球増加異常フラグ等)、及び白血球のカウント数Nのデータが含まれている。CPU731aは、オーダ受信を待機し(ステップS323においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS323においてYES)、レビュー項目設定テーブルTBLにしたがって、表示対象となる血球種を決定し(ステップS324)、表示対象(レビュー項目)として決定された血球種を示すデータをRAM731cに記憶する。
【0104】
次に、CPU731aは、通信インタフェース731hにより、測定オーダに含まれる白血球のカウント数Nを含む測定開始指示データを顕微鏡ユニット71へ送信し(ステップS325)、解析した血球画像の数を示す変数iに1をセットする(ステップS326)。
【0105】
ここで、顕微鏡ユニット71は、測定開始指示データを待機している(図13のステップS304においてNO)。画像処理ユニット73から送信された測定開始指示データが、顕微鏡ユニット71の通信インタフェース727により受信された場合には(ステップS304においてYES)、制御部726は、スライドカセット715を所定位置まで搬送させ、所定位置に停止しているスライドガラス7aをチャック部717に把持させ、次いでチャック部717を後退させることによりスライドカセット715からスライドガラスを引き出させ、XYステージ711の所定の位置(撮像位置)にセットさせる(ステップS305)。また、制御部726は、撮像回数を示す変数jに1をセットする(ステップS306)。
【0106】
次いで、スライドガラス7aに塗布された血液中の白血球の検出が行われる(ステップS307)。この検出は前述したセンサ722を用いて行われる。センサ722はラインセンサであり、その視野は400マイクロメートル程度である。図15は、白血球検出におけるスライドガラス上の検体のスキャニングのパターンを説明する図である。制御部726は、センサ722がスライドガラス7a上を略ジグザグ状に長手方向の一端から他端に向けてスキャンするように、前記XYステージ711がX方向及びY方向に移動させる(図15参照)。前記略ジグザグ状の走査の、スライドガラス7a長手方向の間隔Dは、検出漏れを防ぎつつ走査効率を上げるという観点より、通常、300〜500マイクロメートル程度であり、また、前記走査のスライドガラス7a幅方向の寸法Hは、スライドガラス7aの幅が一般に26mm程度であることから、通常、14〜18mm程度である。
【0107】
赤血球は光の赤色成分をあまり吸収しないが、白血球の核は光の赤色成分を多く吸収することから、この赤色成分を検出することにより白血球と赤血球とを容易に区別することができる。図16Aは、ラインセンサ722の視野を説明する図であり、図16Bは、ラインセンサ722の信号波形を示す図である。図16Aにおいては、ラインセンサ722の視野V内に白血球WBCが存在する場合を示しており、この場合、ラインセンサ722により検出された信号の赤色成分は、図16Bに示されるように、白血球WBCが存在する箇所において基準値S以下となる。この現象を利用して、血液中の白血球を検出することができる。なお、信号の赤色成分が基準値S以下となる幅Wを検出することで、この信号を発する部分が白血球の核であるか否かのチェックが行われる。
【0108】
次いで、制御部726は、オートフォーカス動作を実行する(ステップS308)。図6に示すように、スライドガラス7a及び対物レンズ712を通過した光は、プリズムミラー719aにより方向変換され、さらにハーフミラー719によってCCDカメラ723に向かう光と、センサ721、722に向かう光とに分けられる。オートフォーカス用のラインセンサ721は、2つのラインセンサ721a及び721bから構成されている。
【0109】
2つのオートフォーカス用のラインセンサ721a、721bのうち一方のラインセン
サ721aは、合焦位置(焦点が合っている位置)よりも前側(光路上対物レンズに近づく側)に配置されており、他方のラインセンサ721bは合焦位置よりも後側(光路上対物レンズから離れる側)に配置されている。そして、かかる2つのラインセンサの出力信号の差分積分値に基づいて、対物レンズの焦点がスライドガラス上の検体に合うように、対物レンズの位置が調節される。
【0110】
次に、制御部726は、通信インタフェース728にCCDカメラ723の画像の取り
込み及び送信を指示し、これにより、ステップS307で検出された白血球の画像が取り込まれ(ステップS309)、かかる血球画像が画像処理ユニット73へ送信される(ステップS310)。その後、制御部726は、要求された白血球のカウント数に到達したか否か、即ち、j≧Nであるか否かを判定し(ステップS311)、j<Nの場合には(ステップS311においてNO)、jを1インクリメントし(ステップS312)、処理をステップS307に戻し、再度白血球の検出を実行する。一方、ステップS311においてj≧Nの場合には(ステップS311においてYES)、制御部726は、処理を終
了する。
【0111】
上記のステップS326の後、CPU731aは、血球画像の受信を待機している(図14AのステップS327においてNO)。顕微鏡ユニット71から送信された血球画像が、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信された場合には(ステップS327においてYES)、CPU731aは、受信した血球画像を補正して(ステップS328)、補正後の血球画像をハードディスク731dに記憶する(ステップS329)。ステップS329の処理においては、血球画像に対応する白血球IDが生成され、その白血球IDを含むファイル名の画像データとして、前記血球画像が記憶される。
【0112】
次に、CPU731aは、血球画像における細胞質及び核の領域を特定する(ステップS330)。染色された白血球においては、核及び細胞質が異なる色を呈する。また、白血球の核及び細胞質の色は、赤血球及び背景の色ともそれぞれ異なっている。したがって、ステップS330の処理では、白血球像のRGB値を利用して、白血球像に含まれる核の領域及び細胞質の領域が特定される。
【0113】
次に、CPU731aは、血球画像に基づき白血球の各種特徴パラメータを算出する(ステップS331)。この特徴パラメータとしては、画像の色信号(G、B、R)に基づいて求めることができる白血球の核の面積、核数、凹凸、色調、及び濃度(むら)、白血球の細胞質の面積、色調、及び濃度(むら)、並びに前記核と細胞質との面積比及び濃度比などをあげることができる。
【0114】
次に、CPU731aは、取得した特徴パラメータを用いて、白血球の種類を識別する(ステップS332)。具体的には、例えば白血球のいくつかの特徴パラメータについて、順次、各パラメータについて予め定めておいた判定基準値と比較することで、白血球の種類を除々に絞り込んでいくことができる。このようにして、撮像された白血球は、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、好中球(桿状、分葉状)といった成熟白血球の分類、芽球、幼若顆粒球、異型リンパ球といった未熟白血球の分類、赤芽球の分類がなされる。CPU731aは、このステップS332において、分類した白血球の種類に従って検体データベースDB2bの計数結果(個数)を1ずつインクリメントし、インクリメントされた計数結果(個数)に従って計数結果(%)を再計算する。
【0115】
次に、ステップS333において、CPU731aは、識別された血球種が、ステップS324において決定されたレビュー項目に含まれているか否かを判別する(ステップS333)。レビュー項目に含まれている血球種の場合には(ステップS333においてYES)、CPU731aは、当該血球画像を表示対象に設定し(ステップS334)、当該血球画像が表示対象であることを示すデータをRAM731cに格納し、ステップS335へ処理を移す。一方、ステップS333において、血球種がレビュー項目に該当しない場合は(ステップS333においてNO)、CPU731aは、ステップS335へと処理を進める。
【0116】
ステップS335において、CPU731aは、要求された白血球のカウント数に到達したか否か、即ち、i≧Nであるか否かを判定し(ステップS335)、j<Nの場合には(ステップS335においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS336)、処理をステップS327に戻し、再度血球画像の受信を待機する。
【0117】
一方、ステップS335においてi≧Nの場合には(ステップS335においてYES)、CPU731aは、上述のようにして得られた検体に関する情報、分類結果、及び表示対象の血球画像を示すデータ及び画像処理ユニット73による計数結果をハードディスク731dの検体データベースDB1及び血球データベースDB2に登録し(ステップS337)、処理を終了する。より具体的には、ステップS323で受信した検体ID,患者氏名、患者性別、病棟情報、およびコメントなどの検体に関する情報、並びに、血球分析装置5による血球の計数結果および異常情報などの分類結果は検体データベースDB1に登録され、血球画像が表示対象であるか否かを示すデータおよび画像処理ユニット73による血球の計数結果は、血球データベースDB2に登録される。
【0118】
<血球画像の表示動作>
図17Aは、血球画像の表示動作における血球画像表示ユニット75の初期動作の手順を示すフローチャートであり、図17Bは、血球画像の表示動作における画像処理ユニット73の検体情報送信動作の手順を示すフローチャートである。ユーザは、コンピュータ75aの入力部753を操作することにより、血球画像表示プログラム754aの実行を指示する。コンピュータ75aのCPU751aは、この指示を受け、血球画像表示プログラム754aを実行する。これにより、コンピュータ75aが血球画像表示ユニット75として機能する。
【0119】
血球画像表示プログラム754aの起動直後は、ユーザ名及びパスワードの入力を促すログイン入力画面が表示される(図17AにおけるステップS351)。このログイン入力画面においてユーザがユーザ名及びパスワードを入力する(ステップS352)。血球画像表示ユニット75のCPU751aにより実行される血球画像表示プログラム754aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU751aにおいては、ユーザ名及びパスワードの入力を受け付けるイベントが発生すると、ステップS353の処理が呼び出される。
【0120】
ステップS353において、CPU751aは、ユーザ認証処理を実行する。かかるユーザ認証が失敗した場合には(ステップS354においてNO)、CPU751aは、処理を終了する。上記のログイン処理によるユーザ認証が成功した場合には(ステップS354においてYES)、CPU751aは、通信インタフェース751gに、その日が測定日とされている検体情報の要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS355)。
【0121】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図17BのステップS361)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS362の処理が呼び出される。
【0122】
ステップS362において、CPU731aは、測定日がその日である検体情報を、検体データベースDB1から取得する(ステップS362)。次に、CPU2731aは、通信インタフェース731gに、取得した検体情報を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS363)、処理を終了する。
【0123】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、検体情報の要求データを送信した後、検体情報の受信を待機する(図17AのステップS356においてNO)。画像処理ユニット73から送信された検体情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS356においてYES)、測定進捗画面(図示せず)を表示し(ステップS357)、処理を終了する。かかる測定進捗画面では、複数の検体に関する検体情報がリスト表示される。この測定進捗画面においては、ユーザがリスト表示されている検体情報の1つを選択することが可能であり、1つの検体情報を選択した上で所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのダブルクリック)を行うことにより、この検体に関する血球画像の表示指示を与えることが可能である。
【0124】
図18Aは、血球画像の表示動作における血球画像表示ユニット75の画像表示動作の手順を示すフローチャートであり、図18Bは、血球画像の表示動作における画像処理ユニット73の血球画像送信動作の手順を示すフローチャートである。血球画像表示ユニット75では、測定進捗画面が表示されている状態において、上記のように1つの検体に関する血球画像の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS371)、ステップS372の処理が呼び出される。
【0125】
ステップS372において、CPU751aは、通信インタフェース751gに、指示を受けた検体の検体IDを含む血球画像送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS372)。
【0126】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図18BのステップS381)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS382の処理が呼び出される。
【0127】
ステップS382において、CPU731aは、前記検体IDに対応する検体データベースDB1および血球データベースDB2から、分類結果情報を取得する(ステップS382)。この分類結果情報には、血球分析装置5による計数結果と、白血球を特定する白血球IDと、白血球の分類結果の種類(単球、好中球、好塩基球、好酸球、リンパ球等)と、血球画像が表示対象であるか否かを示す情報(表示対象フラグ)と、それぞれの血球種についての計数結果(個数)と、それぞれの血球種の個数の白血球総数に対する割合(計数結果(%))とが含まれている。
【0128】
次に、CPU731aは、通信インタフェース731gに、取得した分類結果情報を血球画像表示ユニット75へ送信させる(ステップS383)。
【0129】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、分類結果情報の要求データを送信した後、分類結果情報の受信を待機する(図18AのステップS373においてNO)。画像処理ユニット73から送信された分類結果情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS373においてYES)、表示対象フラグにより、表示すべき血球画像を特定し(ステップS374)、通信インタフェース751gに、特定した血球画像の送信を要求する画像送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS375)。
【0130】
画像処理ユニット73のCPU731aは、分類結果情報を送信した後、画像送信要求データの受信を待機する(図18BのステップS384においてNO)。血球画像表示ユニット75から送信された要求データが、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信された場合には(ステップS384においてYES)、CPU731aは、ハードディスク731dの血球画像フォルダ735の中の前記検体IDに対応するフォルダから、画像送信要求データによって要求された血球画像(補正後の血球画像)を読み出し(ステップS385)、通信インタフェース731gに、読み出した血球画像を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS386)、処理を終了する。
【0131】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、画像送信要求データを送信した後、血球画像の受信を待機する(図18AのステップS376においてNO)。画像処理ユニット73から送信された血球画像が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS376においてYES)、血球画像レビュー画面を表示し(ステップS377)、処理を終了する。
【0132】
図19は、血球画像レビュー画面の一例を示す図である。血球画像レビュー画面Wには、1又は複数の血球画像を表示する血球画像表示領域A1と、患者情報を表示する患者情報表示領域A2と、分類された血球の種類毎に、計数結果を表示するカウント値表示領域A3と、血球分析装置5による分析結果を表示する分析結果表示領域A4とが含まれている。血球画像表示領域A1には、受信された血球画像を縮小した画像が一覧表示される。各縮小画像には、血球種が文字列(単球は「Mono」、好中球は「Neut」、好酸球は「Eosin」、好塩基球は「Baso」、リンパ球は「Lymp」等)で表示される。また、この血球画像表示領域A1には、ステップS334において表示対象であると決定された血球画像のみが表示され、その他の血球画像は表示されない。これにより、任意の種類の血球画像のみを表示させることが可能となり、血球画像分類装置7の使用者がレビュー不要な種類の血球画像を確認する必要がなくなり、血球画像のレビューの効率化が図れる。
【0133】
上記のような血球画像レビュー画面Wのカウント値表示領域A3には、血球種の名称の文字列が表示された複数のボタンが並べて配置されている。これらのボタンは、マウスの左ボタンのクリック操作により選択可能であり、ユーザは、血球画像が選択された状態(血球画像もマウスの左ボタンのクリック操作により選択可能)で所望の血球種のボタンを選択することにより、その血球種に分類を変更することが可能である。また、このカウント値表示領域A3には、血球データベースDB2bに登録され、ステップS373において血球画像表示ユニットのCPU751aが受信した計数結果(個数)および計数結果(%)が表示されている。
一方、カウント値表示領域A4には、検体データベースDB1に登録され、ステップS373において血球画像表示ユニットのCPU751aが受信した分類結果情報に含まれる、血球分析装置5による血球の計数結果が表示されている。
【0134】
図18Cは、血球画像表示ユニット75の再計数結果登録動作の流れを示すフローチャートである。上記のように、血球画像レビュー画面が表示されている状態において、血球画像の血球種を変更する入力が受け付けられると(ステップS391)、CPU751aは、分類を変更した再計数結果をRAM751cに記憶する(ステップS392)。その後、血球画像レビュー画面に設けられたレビュー完了ボタン752aがクリックされて、再検完了の入力がCPU751aに与えられると(ステップS393)、CPU751aは、カウント値表示領域A3に表示されている計数結果(%)と、カウント値表示領域A4に表示されている計数結果とを比較する(ステップS394)。この2つの計数結果の差の絶対値が予め警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲を超えた場合には(ステップS395においてYES)、CPU751aは、警告画面を画像表示部752に表示させる(ステップS396)。なお、この警告画面は、血球画像レビュー画面Wへの表示対象に設定されている血球種に対しても、表示対象に設定されていない血球種に対しても出力される。また、ステップS394における比較対象は、同一の血球種同士であるが、カウント値表示領域A3に表示されている計数結果(%)のうち、BandとSegについては、CPU751aは、BandおよびSegの和を、カウント値表示領域A4に表示されている計数結果のうちのNeut(好中球)と比較する。
なお、ステップS395において用いられる警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲は血球種ごとに設定されているが、例えば、Neut(好中球)であれば±20%、Eosin(好酸球)であれば±5%という数値範囲が設定可能である。
【0135】
図23は、ステップS396において画像表示部752に表示される警告画面Vを示している。この図に示すように、警告画面Vには、血球画像分類装置7による計数結果と血球分析装置5による計数結果とが乖離していることを警告するための警告表示領域V1と、計数結果が乖離している血球の種類を表示するための血球種表示領域V2と、計数結果のホストコンピュータ9への登録を開始せず、血球画像レビュー画面Wによる血球種の分類変更を再開するための分類変更再開ボタンV3と、計数結果が乖離していることを承知の上で計数結果をホストコンピュータに登録するためのOKボタンV4とが表示されている。
【0136】
CPU751aは、分類変更再開ボタンV3が選択されると(ステップS397においてYES),処理をステップS391に戻し、分類の変更を再開する。一方、OKボタンV4が選択されると(ステップS397においてNO)、CPU751aは、変更された分類結果を反映した血球種毎のカウント値を含む再計数結果を、通信インタフェース751gに画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS398)、処理を終了する。かかる再計数結果は、画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9によって受信され、画像処理ユニット73の血球データベースDB2に登録され、また、ホストコンピュータ9のハードディスクに記憶される。また、CPU751aは、ステップS395において計数結果の差の絶対値が警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲内である場合には(ステップS395においてNO),ステップS396およびS397の処理をスキップし、処理をステップS398にすすめる。なお、ステップS395で用いられる数値範囲は、血球種ごとに設定されている。また、この数値範囲は、血球画像分類装置7の使用者が任意に設定可能であるが、予め設定された固定の数値範囲であってもよい。
【0137】
<レビュー項目の設定変更動作>
上述したように、レビュー項目設定テーブルTBLの設定内容は変更することが可能である。図20Aは、レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニット75の設定画面表示動作の流れを示すフローチャートであり、図20Bは、レビュー項目変更動作における画像処理ユニット73のレビュー項目設定情報送信動作の流れを示すフローチャートである。血球画像表示ユニット75では、測定進捗画面が表示されている状態において、画面上部の領域に配置された設定ボタン(図示せず)をマウスの左ボタンでクリック操作することにより、設定画面の表示指示を受け付けることが可能となっている。CPU751aにおいては、このような設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(図20AのステップS401)、ステップS402の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS402において、CPU751aは、通信インタフェース751gに、レビュー項目設定情報の送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS402)。
【0139】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図20BのステップS411)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0140】
ステップS412において、CPU731aは、ハードディスク731dからレビュー項目設定テーブルTBLを読み出す(ステップS412)。次に、CPU731aは、通信インタフェース731gに、レビュー項目設定テーブルTBLの内容を示すレビュー項目設定情報を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS413)、処理を終了する。
【0141】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、レビュー項目設定情報の要求データを送信した後、レビュー項目設定情報の受信を待機する(図20AのステップS403においてNO)。画像処理ユニット73から送信されたレビュー項目設定情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS403においてYES)、CPU751aは、設定画面を表示し(ステップS404)、処理を終了する。
【0142】
図21は、設定画面の一例を示す図である。図21に示すように、設定画面Sには、血球種を示す血球種フィールドA11と、それぞれの血球種を表示対象とするか否かを設定するための設定フィールドA12と、表示対象の設定を登録し、設定を完了するためのOKボタンB1と、表示対象の設定を中止し、設定画面Sの表示を終了するためのキャンセルボタンB2とが表示されている。設定フィールドA12の各チェックボックスは、マウスの左クリック操作によってチェックマークの表示の有無を変更が可能であり、チェックマークが付されている血球種が表示対象となる。
【0143】
図20Cは、レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニット75のレビュー項目設定変更の受付動作の流れを示すフローチャートであり、図20Dは、レビュー項目変更動作における画像処理ユニット73のレビュー項目設定テーブル更新動作の流れを示すフローチャートである。上記のように、ユーザからレビュー項目設定情報を変更する入力を血球画像表示ユニット75が受け付けると(図20CのステップS421)、CPU751aは、RAM751cのレビュー項目設定情報に変更内容を反映させる(ステップS422)。その後、OKボタンB1が選択されて、レビュー項目設定テーブルTBLの更新指示を受け付けると(ステップS423)、CPU751aは、通信インタフェース751gに、RAM751cに記憶されているレビュー項目設定情報を画像処理ユニット73へ送信させ(ステップS424)、設定画面Wの表示を終了し(ステップS425)、処理を終了する。
【0144】
血球画像表示ユニット75から送信されたレビュー項目設定情報は、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図20DのステップS431)。CPU731aにおいては、前記レビュー項目設定情報を受信するイベントが発生すると、ステップS432の処理が呼び出される。
【0145】
ステップS432において、CPU731aは、受信したレビュー項目設定情報にしたがって、レビュー項目設定テーブルTBLを更新し(ステップS432)、処理を終了する。これにより、ユーザが変更入力したレビュー項目の設定内容が、レビュー項目設定テーブルTBLに反映される。
【0146】
<シャットダウン動作>
次に、使用者が血球画像表示ユニット75を操作することによって実行される血球画像分類装置7のシャットダウン動作について説明する。血球画像分類装置7がシャットダウンされるときには、画像処理ユニット73によって、血球画像分類装置7による計数結果が正しく得られていることを確認するための精度管理が自動的に実行される。図22Aは、シャットダウン動作における画像処理ユニット73の動作手順を示すフローチャートであり、図22Bは、シャットダウン動作における画像表示ユニット75の動作手順を示すフローチャートである。
【0147】
血球画像表示ユニット75のCPU751aが使用者からのシャットダウン開始処理を図示しないシャットダウン開始ボタンによって受け付けると(ステップS511においてYES)、CPU751aは、シャットダウン開始を指示する信号を画像処理ユニット73に送信する(ステップS512)。画像処理ユニット73のCPU731aは、CPU751aからシャットダウン開始の指示信号を受信すると(ステップS501)、精度管理に用いられる計数結果を検体データベースDB1から選択する処理を実行する(ステップS502)。この処理においてCPU731aは、検体データベースDB1の測定日フィールドF15の測定日が本日である検体を全て選択し、選択した検体から、選択条件テーブルQCTに登録されている選択条件に合致する検体を20検体まで選択する。このときの選択条件としては、例えば、好中球、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の全てが、健常人に見られる通常の範囲内に収まっていることを条件とすることが好ましい。
血球分析装置5は、少なくとも健常人の検体は正しく計数するように設計されており、健常人の検体の計数結果を主に用いることにより、変動率の精度を向上させることができる。
【0148】
次に、CPU731aは、ステップS502で選択された検体と同一の検体IDを有する全ての検体の計数結果(%)を血球データベースDB2bから読み出す(ステップS503)。そして、CPU731aは、以下の式に従って血球種ごとに変動率を計算する(ステップS504)。
変動率=(計数結果1−計数結果2)/計数結果1 × 100%
(ここで、計数結果1は、ステップS502で選択された検体の計数結果の血球種ごとの平均値であり、計数結果2は、ステップS403で読み出された検体の計数結果(%)の血球種ごとの平均値である。なお、計数結果1および計数結果2には同一の血球種の計数結果が用いられるが、BandとSegに関しては、Neut(好中球)の計数結果の平均値により計数結果1を算出し、Bandの計数結果の平均値とSegの計数結果の平均値との和により計数結果2を算出する。)
【0149】
CPU731aは、ステップS504で得られた変動率に基づいて精度管理画面を作成し(ステップS505)、該精度管理画面の表示指示を血球画像表示ユニット75に送信する(ステップS506)。血球画像表示ユニット75のCPU751aは、精度管理画面の表示指示を待機し(ステップS513においてNO)、受信すると(ステップS513においてYES),精度管理画面を画像表示部752に表示させる(ステップS514)。
【0150】
図24は、画像表示部752に表示される精度管理画面を示す図である。この図に示すように、精度管理画面Qには、精度管理の結果を時系列に示すグラフ表示領域Q1、Q2・・・が血球種ごとに表示されている。各グラフ表示領域Q1、Q2・・・のそれぞれには、血球種を示す血球種領域q1および精度管理の結果を時系列に示すグラフ領域q2が設けられている。グラフ領域q2に表示されるグラフは、縦軸が変動率、横軸が日付に設定されている。この縦軸の上下方向中央は、変動率が0に設定されており、この中央ラインよりも上側が変動率がプラス(すなわち、血球分析装置5で得られる計数結果の方が血球画像分析装置7で得られる計数結果よりも大きい)を示しており、この中央ラインよりも下側が変動率がマイナス(すなわち、血球分析装置5で得られる計数結果の方が血球画像分析装置7で得られる計数結果よりも小さい)を示している。ステップS404で得られた変動率は、得られた値および日付に応じた位置にプロットされ、プロット10−18、プロット10−19、プロット10−20、プロット10−21・・・として表示される。また、画像処理ユニット73には、血球画像分類装置7による計数結果が正常に得られているか否かを判断するために、変動値の基準範囲を示す値が予め血球種ごとに設定されており、この基準範囲から外れた変動値に対しては、他のプロットと区別可能なプロット表示がなされる。例えば、図24のNeut(Band+Seg)に対しては、変動値の基準範囲は±0.2と設定されており、+20%よりも大きな変動値を示した10月20日のプロット10−20は、他のプロットと区別可能に×印で表示されている。同様に、Eosinに対しては、変動値の基準範囲は±0.4と設定されており、+40%よりも大きな変動値を示した10月19日のプロットは、他のプロットと区別可能に×印で表示されている。なお、この基準範囲は血球画像分類装置7の使用者が任意に設定可能であるが、予め設定された固定の数値範囲であってもよい。なお、精度管理画面Qには、血球画像レビュー画面Wへの表示対象に設定された血球種も、表示対象に設定されていない血球種も表示される。
【0151】
精度管理画面を確認した血球画像分類装置7の使用者は、シャットダウンを続行するか、シャットダウンを中断し、血球画像分類装置7のメンテナンスを行うかを判断する。血球画像表示ユニット75の画像表示部752には、シャットダウン続行又は中断を選択するための図示しない画面が表示されており、シャットダウンの続行が指示されると(ステップS515においてYES),CPU752aは、血球画像表示ユニット75をシャットダウンするとともに、血球画像処理ユニット73にシャットダウンを続行する指示を送信する(ステップS516)。シャットダウンの中断が指示されると(ステップS515においてNO)、CPU752aは、中断指示を血球画像処理ユニット73に送信するとともに、処理をステップS511に戻すことによってシャットダウンを中断する(ステップS517)。
CPU732aは、血球画像表示ユニット75からシャットダウン続行の指示があると(ステップS507においてYES)、血球画像処理ユニット73をシャットダウンするとともに、顕微鏡ユニット71にシャットダウンを指示する信号を送信する(ステップS508)。このシャットダウン指示を受けた顕微鏡ユニット71の制御部726は、顕微鏡ユニット71をシャットダウンする。一方、CPU732aは、血球画像表示ユニット75からシャットダウン中断の指示があると(ステップS507においてNO)、処理をステップS501に戻すことによってシャットダウンを中断する。
【0152】
以上のような構成とすることにより、血球画像分類装置7による血球の計数結果が血球分析装置5による血球の計数結果と乖離している場合には、自動的に警告画面が出力されることとなる。これにより、血球画像分類装置7の使用者は、検体1件1件について血球画像分類装置7および血球分析装置5の計数結果を比較しなくても、計数結果が乖離していることを把握でき、検査の効率化が実現できる。
また、警告画面が出力した場合には、分類変更ボタンV3を選択することによって容易に血球画像レビュー画面Wに戻れるので、目視による分類変更が容易に実行できる。
また、血球画像レビュー画面Wへの表示対象となる血球画像を選択できるので、レビューの必要のない血球種のレビューを省略することが可能となり、検査の効率化が図れるとともに、計数結果に乖離がある場合には、レビューを省略した血球種に対しても警告が出力されるので、レビューを省略した血球種に対して誤った計数結果をホストコンピュータに登録してしまうことを防止することが可能となる。
【0153】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、塗抹標本作製装置6によって作製された血液塗抹標本が、塗抹標本作製装置6から血球画像表示装置7へ自動的に送出される構成について述べたが、これに限定されるものではない。ユーザが手作業で血球画像表示装置7に血液塗抹標本をセットすることが可能な構成としてもよい。
【0154】
また、上述した実施の形態においては、コンピュータが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理ユニット73として機能して、検体の異常情報に基づいて表示対象の血球画像を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。画像処理プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、表示対象の血球画像の決定処理、計数結果乖離の警告処理、および精度管理処理を実行する構成としてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態においては、画像処理ユニット73とは独立して設けられた血球画像表示ユニット75によって、血球画像を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。画像処理ユニット73の機能と血球画像表示ユニット75の機能とを併せて具備する1つの装置によって、検体の異常情報に基づいて表示対象の血球画像を決定し、決定された血球画像を表示する構成としてもよい。また、顕微鏡ユニット71、画像処理ユニット73、及び血球画像表示ユニット75の機能を併せて具備する1つの装置によって、スライドガラスの撮像、血球分析装置5による検体の分析結果の受け付け、計数結果乖離の警告、および精度管理を全て行う構成としてもよい。
【0156】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ73aにより画像処理プログラム734aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述した画像処理プログラム734aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0157】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ75aにより血球画像表示プログラム754aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述した血球画像表示プログラム754aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の検体処理システムおよび血球画像分類装置は、血球画像分類装置による計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かを容易に識別することを可能とする検体処理システムおよび血球画像分類装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】実施の形態に係る血球分析装置が備える測定ユニットの概略構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態に係る血球分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図4】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】実施の形態に係る血球画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図6】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える顕微鏡ユニットの構成の一部を示す斜視図。
【図7】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える画像処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図8A】検体データベースの構造を示す模式図。
【図8B】血球データベースDB2の構造を示す模式図。
【図9】レビュー項目設定テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える血球画像表示ユニットの構成を示すブロック図。
【図11A】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダの取得処理の手順を示すフローチャート。
【図11B】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダ送信処理の手順を示すフローチャート。
【図12】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの動作の流れを示すフローチャート。
【図13】血球画像の登録動作における顕微鏡ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図14A】血球画像の登録動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート(前半)。
【図14B】血球画像の登録動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート(後半)。
【図15】白血球検出におけるスライドガラス上の検体のスキャニングのパターンを説明する図。
【図16A】白血球検出用のラインセンサの視野を説明する図。
【図16B】白血球検出用のラインセンサの信号波形を示す図。
【図17A】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの初期動作の手順を示すフローチャート。
【図17B】血球画像の表示動作における画像処理ユニットの検体情報送信動作の手順を示すフローチャート。
【図18A】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの画像表示動作の手順を示すフローチャート。
【図18B】血球画像の表示動作における画像処理ユニットの血球画像送信動作の手順を示すフローチャート。
【図18C】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの再計数結果登録動作の流れを示すフローチャート。
【図19】血球画像レビュー画面の一例を示す図。
【図20A】レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニットの設定画面表示動作の流れを示すフローチャート。
【図20B】レビュー項目変更動作における画像処理ユニットのレビュー項目設定情報送信動作の流れを示すフローチャート。
【図20C】レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニットのレビュー項目設定変更の受付動作の流れを示すフローチャート
【図20D】レビュー項目変更動作における画像処理ユニットのレビュー項目設定テーブル更新動作の流れを示すフローチャート。
【図21】設定画面の一例を示す図。
【図22A】シャットダウン動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図22B】シャットダウン動作における画像表示ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図23】警告画面の一例を示す図。
【図24】精度管理画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0160】
1 検体分析システム
2 検体投入装置
3 検体搬送装置
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
51 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
61 検体分注部
62 塗抹部
63 スライドガラス搬送部
64 染色部
65 制御部
7 血球画像分類装置
71 顕微鏡ユニット
73 画像処理ユニット
75 血球画像表示ユニット
8 システム制御装置
9 ホストコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備える検体処理システム、および血球画像分類装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液塗抹標本を撮像し、得られた血球画像に基づいて血球を赤血球、白血球、および白血球のサブクラス等に分類する血球画像分類装置が知られている(例えば、特許文献1)。また、このような血球画像分類装置を、血液検体を吸引し、吸引した血液検体を測定することによって血球を分類・計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続することも知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−365285号公報
【特許文献2】特開平5−80045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同一の血液検体に対する血球計数装置による計数結果と血球画像分類装置による計数結果とはほぼ一致するはずである。もし、これらの計数結果に乖離があるのであれば、血球計数装置および血球画像分類装置のいずれかに異常があることや、血液検体が劣化していることなどが考えられ、再検査を要する。しかしながら、上記の血球画像分類装置では、計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かは、血球計数装置による計数結果と血球画像分類装置による計数結果とを1件ずつ比較する必要があり、煩雑な作業が必要であった。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、血球画像分類装置による計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かを容易に識別することを可能とする検体処理システムおよび血球画像分類装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、前記血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備え、前記血球画像分類装置が、前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える。
【0006】
この態様においては、前記計数結果取得手段は、血球画像に基づいて前記所定の種類の血球の初期計数結果を取得する第1取得手段と、血球画像分類装置の使用者からの入力に基づいて初期計数結果を変更することによって第2計数結果を取得する第2取得手段とを備えることが好ましい。
【0007】
また、上記態様においては、前記第2取得手段によって取得された第2計数結果を確定する確定手段をさらに備え、前記比較手段は、前記確定手段によって第2計数結果が確定されると、確定された第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体から取得された第1計数結果とを比較することが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記警告手段によって警告が出力された後、前記第2取得手段による初期計数結果の変更を再開させるための再開手段をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体の血球画像とを並べて表示する血球画像画面を表示する表示手段と、前記血球画像画面への表示対象となる血球の種類を設定する種類設定手段とをさらに備え、前記表示手段は、前記種類設定手段によって設定された種類の血球の血球画像を選択的に表示するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記血球画像画面は、第1計数結果と第2計数結果と血球画像とを並べて表示することが好ましい。
また、上記態様においては、前記警告手段による警告に関する前記所定の範囲を設定する範囲設定手段をさらに備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一の態様の血球画像分類装置は、血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置であって、前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態は、染色された血液塗抹標本を顕微鏡により拡大して撮像し、得られた血球画像を分類および計数し、その計数結果の精度管理画面を表示する検体分析システムである。
【0013】
[検体分析システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体分析システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、血球画像分類装置7と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体分析システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、2つの検体送出ユニット21a,21bと、当該2つの検体送出ユニット21a,21bの間に配置されたバーコード読取ユニット22とを備えている。当該検体投入装置2の検体送出ユニット21a,21bは、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、順番にバーコード読取ユニット22へ送出され、このバーコード読取ユニット22によりサンプルラックに貼布されたバーコードラベルのバーコードからラックIDが読み取られ、検体容器に貼付されたバーコードラベルのバーコードから検体IDが読み取られ、ラックID及び検体IDがシステム制御装置8に送信される。また、バーコードの読み取りが終了したサンプルラックは、検体送出ユニット21bに搬送され、検体送出ユニット21bから検体搬送装置3へ送出されるように構成されている。
【0014】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体分析システム1は、4つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5,5、塗抹標本作製装置6、及び血球画像分類装置7の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4に接続されており、検体収容装置4へサンプルラックを搬出することが可能となっている。
【0015】
検体投入装置2と図1において最も右側に配置されている検体搬送装置3(図中右側の血球分析装置5の前方に配置されている検体搬送装置3)との間、当該検体搬送装置3とその左隣の検体搬送装置3(図中左側の血球分析装置5の前方に配置されている検体搬送装置3)との間、及び当該検体搬送装置3とその左隣の検体搬送装置3(塗抹標本作製装置6の前方に配置されている検体搬送装置3との間には、それぞれラックスライダ32,32,32が設けられている。
【0016】
検体搬送装置3には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路31a,31bが設けられている。後側のラック搬送路31aは、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックを搬送するための測定ラインである。一方、前側のラック搬送路31bは、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックを搬送するためのスキップラインである。
【0017】
ラックスライダ32は、検体搬送装置3の右側に配置されており、検体搬送装置3の測定ライン31a及びスキップライン31bへのサンプルラックの振り分け投入を行う。ラックスライダ32は、1つの可動搬送路を備えており、当該可動搬送路は、図示しないモータによって前後方向に移動可能となっている。
【0018】
また、検体搬送装置3は、図示しないラックバーコードリーダ及び検体バーコードリーダを備えており、これらのバーコードリーダによってラックID及び検体IDを読取可能に構成されている。また、検体搬送装置3は、システム制御装置8と通信可能に接続されており、システム制御装置8から測定オーダを受信するように構成されている。検体搬送装置3の制御部は、システム制御装置8から与えられた測定データ及びバーコードリーダにより読み取られたラックIDに基づき、そのサンプルラックに血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されているか否かを判定するようになっている。そして、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されているサンプルラックがラックスライダ32に導入されると、可動搬送路32aを後側へ移動させてこのサンプルラックを測定ライン31aに送出する。また、血球分析装置5又は塗抹標本作製装置6に供給すべき検体が収容されていないサンプルラックがラックスライダ32に導入されると、可動搬送路32aを前側へ移動させてこのサンプルラックをスキップライン31bに送出する。つまり、血球分析装置5の分析対象でない検体しか収容していないサンプルラックは、血球分析装置5の前側に配置されている検体搬送装置3においては、スキップライン31bに搬送され、塗抹標本作製装置6による塗抹標本作製対象でない検体しか収容していないサンプルラックは、塗抹標本作製装置6の前側に配置されている検体搬送装置3においては、スキップライン31bに搬送される。一方、サンプルラック内に、血球分析装置5による分析対象の検体が1つでもある場合は、血球分析装置5の前側に配置されている検体搬送装置3においては、このサンプルラックは測定ライン31aに搬送される。
【0019】
また、検体搬送装置3の制御部は、測定ライン31aにサンプルラックを送出した場合において、血球分析装置5(塗抹標本作製装置6)が検体を吸引する吸引位置に分析(塗抹標本作製処理)の対象とする検体容器を移送し、血球分析装置5(塗抹標本作製装置6)が検体の吸引を完了した後に、次の分析対象(塗抹標本作製処理対象)の検体容器を前記吸引位置まで移送するという動作を繰り返し行う。
【0020】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックを検体搬送装置3から受け取り、収容する。その構成は、検体送出ユニット21a,21bと同様であるので、説明を省略する。
【0021】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0022】
図2は、測定ユニット51の概略構成を示すブロック図である。測定ユニット51は、検体分注部511と、測定検体調製部512と、光学検出部513と、信号処理回路514と、制御部515とを備えている。
【0023】
検体分注部511は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックの検体容器の蓋部に突き刺して、この検体容器から血液検体を吸引する。測定検体調製部512は、混合容器(図示せず)を備えており、検体分注部511により分注された血液検体、試薬及び希釈液を混合撹拌し、測定検体を調製する。
【0024】
光学検出部513は、フローセル(図示せず)を備え、このフローセルに測定検体を供給することにより測定検体の細い流れを形成し、その測定検体に対して光を照射して、光学センサにより側方散乱光信号、前方散乱光信号、及び蛍光信号を取得する。これらの信号は、信号処理回路514へ出力される。信号処理回路514は、光学検出部513から出力される電気信号を処理する回路である。かかる信号処理回路514は、側方散乱光信号、前方散乱光信号、蛍光信号のピーク及びパルス幅等のパラメータを取得する。
【0025】
制御部515は、CPU及びメモリを備えており、検体搬送装置3とデータ通信可能に接続されている。かかる制御部515は、検体搬送装置3から与えられた分析項目にしたがって、検体分注部511、測定検体調製部512、光学検出部513、及び信号処理回路514を制御し、上記分析項目に対応する測定動作を実行させる。また、信号処理回路514によって得られた上記パラメータを含む測定データを情報処理ユニット52へ送信するように構成されている。
【0026】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図3は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0027】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような分析プログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0028】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0029】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されている分析プログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0030】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する分析プログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0031】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるための分析プログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524から分析プログラム524aを読み出し、当該分析プログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0032】
なお、前記分析プログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記分析プログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0033】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係る分析プログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0034】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力
することが可能である。
【0035】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介して測定ユニット51に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された測定ユニット51との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9に通信可能に接続されている。
【0036】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0037】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0038】
図4は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0039】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックの検体容器の蓋部に突き刺して、この検体容器から血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0040】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像分類装置7へと送出される。
【0041】
<血球画像分類装置7の構成>
図5は、本実施の形態に係る血球画像分類装置の構成を示すブロック図である。なお、図5は装置の構成を模式的に示すものであり、分かり易くするためにセンサ及びスライドカセット等の配置が実際とは若干異なっている。例えば、図5では、WBC検出用のセンサとオートフォーカス用のセンサとが上下に配置されているが、実際には後出する図6に示されるように、両センサは略同一平面内に配置されている。
【0042】
血球画像分類装置7は、オートフォーカスにより焦点が合わされた血液塗抹標本の拡大画像を撮像する顕微鏡ユニット71と、撮像された画像を処理して血液中の白血球の分類を行い、当該白血球の分類毎の計数を行う画像処理ユニット73と、この画像処理ユニット73に接続されており、撮像された画像及び分析結果等を表示する血球画像表示ユニット75とを備えている。なお、前記画像処理ユニット73と血球画像表示ユニット75とは、別体とせずに、両者を一体化してもよい。また、血球画像分類装置7の近傍には、前述した塗抹標本作製装置6(例えば、シスメックス社製の塗抹標本作製装置SP−1000i)が配置されており、この塗抹標本作製装置6によって作製された血液塗抹標本が顕微鏡ユニット71に自動的に供給されるように構成されている。
【0043】
<顕微鏡ユニット71の構成>
図6は、顕微鏡ユニット71の一部を示す斜視図である。顕微鏡ユニット71は、XYステージ711上に載置されたスライドガラス7aにうすく引き伸ばされて塗布された血液の像を拡大する顕微鏡のレンズ系の一部を構成する対物レンズ712を備えている。標本(上面に血液が塗抹されたスライドガラス7a)を保持する前記XYステージ711は、XYステージ駆動回路713(図5参照)により駆動制御される駆動部(図示せず)により前後左右(X方向及びY方向)に移動自在とされる。また、前記対物レンズ712は、対物レンズ駆動回路714により駆動制御される駆動部(図示せず)により上下(Z方向)に移動自在とされている。
【0044】
スライドガラス7aは、複数枚積み重ねられた状態でスライドカセット715内に収容されており、このスライドカセット715は、カセット搬送駆動回路716により駆動制御される搬送部(図示せず)によって搬送される。前記XYステージ711には、スライドガラス7aの長手方向の両端付近2箇所を把持し得るチャック部717(図6参照)が、所定位置に停止している前記スライドカセット715内に収容されているスライドガラス7aに対して進退自在に設けられている。そして、前記チャック部717をスライドカセット715に向けて進出させ、当該チャック部717先端部に形成されている開閉自在の爪部717aの開閉操作によりスライドガラス7aを把持し、ついでチャック部717を後退させることにより、スライドカセット715からスライドガラス7aを引き出して、XYステージ711の所定の位置に配置することができる。
【0045】
スライドガラス7aの下方には光源であるランプ718が配設されており、このランプ718からの光は、スライドガラス7a上の血液を通過し、さらに光路上に配置されたハーフミラー719及び干渉フィルタ720を経由して、複数の画素が一列に並んだオートフォーカス用のラインセンサ721、複数の画素が一列に並んだ白血球(WBC)検出用のセンサ722、及びCCDカメラ723に入射する。白血球検出用のセンサ722には、FPGA又はASIC等で構成された白血球検出部724が接続され、センサ722の出力信号が白血球検出部724に与えられるようになっている。また、オートフォーカス用のセンサ721には、FPGA又はASIC等で構成されたフォーカス算定部725が接続され、センサ721の出力信号がフォーカス算定部725に与えられるようになっている。センサ722の入射光に応じた出力信号に基づいて、白血球検出部724により白血球の検出が行われ、またセンサ721の入射光に応じた出力信号に基づいて、フォーカス算定部725でオートフォーカスの動作に用いられる情報が算定され、かかる情報に基づいてオートフォーカスの動作が行われる。
【0046】
また、顕微鏡ユニット71は、制御部726及び通信インタフェース727,728を備えている。制御部726はCPU及びメモリを備え、XYステージ駆動回路713、対物レンズ駆動回路714、カセット搬送駆動回路716、白血球検出部724、フォーカス算定部725、通信インタフェース727及び728にそれぞれ通信可能に接続されており、かかる制御部726がメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、上述した各機構が制御されるようになっている。
【0047】
通信インタフェース727は、Ethernet(登録商標)インタフェースである。かかる通信インタフェース727は、通信ケーブルを介して画像処理ユニット73にデータ通信可能に接続されている。また、通信インタフェース728は、A/D変換器723aを介してCCDカメラ723に接続されており、また通信ケーブルを介して画像処理ユニット73に接続されている。CCDカメラ723から出力された画像信号(アナログ信号)は、A/D変換器723aによりA/D変換され、A/D変換器723aから出力された画像データ(デジタルデータ)が通信インタフェース728に与えられ、画像処理ユニット73へ送信される。
【0048】
また、顕微鏡ユニット71は、2次元バーコードリーダ729を備えている。スライドガラス7aのフロスト部には、検体IDを示す2次元バーコードが印字されており、顕微鏡ユニット71に導入されたスライドガラス7aの2次元バーコードが、2次元バーコードリーダ729により読み取られる。このようにして読み取られた検体IDは、制御部726に与えられる。
【0049】
<画像処理ユニット73の構成>
次に、画像処理ユニット73の構成について説明する。図7は、画像処理ユニット73の構成を示すブロック図である。画像処理ユニット73は、コンピュータ73aによって実現される。図7に示すように、コンピュータ73aは、本体731と、画像表示部732と、入力部733とを備えている。本体731は、CPU731a、ROM731b、RAM731c、ハードディスク731d、読出装置731e、入出力インタフェース731f、通信インタフェース731g、及び画像出力インタフェース731jを備えており、CPU731a、ROM731b、RAM731c、ハードディスク731d、読出装置731e、入出力インタフェース731f、通信インタフェース731g、通信インタフェース731h、通信インタフェース731i、及び画像出力インタフェース731jは、バス731kによって接続されている。
【0050】
CPU731aは、RAM731cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような画像処理プログラム734aを当該CPU731aが実行することにより、コンピュータ73aが画像処理ユニット73として機能する。
【0051】
ROM731bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU731aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0052】
RAM731cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM731cは、ハードディスク731dに記録されている画像処理プログラム734aの読み出しに用いられる。また、CPU731aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU731aの作業領域として利用される。
【0053】
ハードディスク731dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU731aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する画像処理プログラム734aも、このハードディスク731dにインストールされている。
【0054】
さらにハードディスク731dには、血球画像を保存するための血球画像フォルダ735が設けられている。かかる血球画像フォルダ735には、検体毎にフォルダが設けられており、さらにそのフォルダ内に後述するようにして得られた血球画像が格納される。検体毎に設けられた各フォルダには、検体IDを含むフォルダ名が付けられており、検体IDから対応するフォルダを特定することが可能となっている。また、この血球画像フォルダ735は血球画像表示ユニット75との共有設定がなされており、血球画像表示ユニット75から当該血球画像フォルダ735に格納されているファイルにアクセスすることが可能となっている。
【0055】
また、ハードディスク731dには、検体に関する情報を格納するための検体データベースDB1と、画像処理によって白血球を分類した結果を格納するための血球データベースDB2とが設けられている。図8Aは、検体データベースDB1の構造を示す模式図であり、図8Bは、血球データベースDB2の構造を示す模式図である。検体データベースDB1には、検体IDを格納する検体フィールドF11と、血球分析装置5による血球種ごとの計数結果をそれぞれ格納する計数結果フィールドF111、F112,F113、・・・と、白血球スキャッタグラム異常と判定されたか否かを示す情報(白血球スキャッタグラム異常フラグ)、NRBC(有核赤血球)スキャッタグラム異常と判定されたか否かを示す情報(NRBCスキャッタグラム異常フラグ)、好中球減少異常と判定されたか否かを示す情報(好中球減少異常フラグ)等、各種の異常と判定された情報を格納するためのフィールドF12、F13、F14、・・・と、血球分析装置5による測定日を格納するためのフィールドF15とが含まれている。白血球スキャッタグラム異常フィールドF12、NRBCスキャッタグラム異常フィールドF13、および好中球減少異常フィールドF14の異常を示す情報を格納するフィールドには、異常が発生していない場合には「0」が、異常が発生している場合には「1」が格納される。なお、図を簡単にするため省略しているが、検体データベースDB1には、患者氏名を格納するフィールド、病棟を特定する情報を格納するフィールド、患者の年齢を格納するフィールド、白血球カウント数Nを格納するフィールド等も設けられている。
【0056】
血球データベースDB2は、検体毎に設けられており、各血球データベースDB2には、検体IDを示すデータが含まれている。これにより、検体IDから対応する血球データベースDB2を特定することが可能である。また、血球データベースDB2には、それぞれ検体IDに対応している血球データベースDB2aおよび血球データベースDB2bが設けられている。血球データベースDB2aには、白血球を特定する白血球IDを格納する白血球IDフィールドF21と、白血球の分類結果を格納する種類フィールドF22と、対応する血球画像が表示対象の画像であるか否かを示す表示対象フィールドF23とが設けられている。表示対象フィールドF23には、対応する血球画像が表示対象ではない場合には「0」が、表示対象である場合には「1」が格納される。また、血球データベースDB2bには、血球種を特定するための血球種フィールドF211と、それぞれの血球種についてのカウント数を示す計数結果(個数)フィールドF212と、それぞれの血球種についての白血球の総数に対する割合を示す計数結果(%)フィールドF213とが設けられている。計数結果(個数)フィールドF212には、血球データベースDB2aの種類フィールドF22における各血球種の出現数が入力されている。また,計数結果(%)フィールドF213には、計数結果(個数)フィールドF212に入力されたカウント数の、後述する白血球カウント数Nに対する割合が入力される。ここで、いずれの血球種にも分類されなかった未分類の白血球がある場合には、白血球カウント数Nから未分類の白血球数が差し引かれる。
【0057】
また、ハードディスク731dには、血球画像表示ユニット75において検体の血球画像を表示する際に、表示対象となる血球種を定めるためのレビュー項目設定テーブルTBLが設けられている。図9は、レビュー項目設定テーブルTBLのデータ構造を模式的に示す図である。かかるレビュー項目設定テーブルTBLは、血球の種類を示す血球種情報を格納するフィールドF31と、それぞれの血球種についての血球画像の表示の有無を示す情報を格納するフィールドF32とが設けられている。
また、ハードディスク731dには、叙述する警告出力処理において、警告を出力するか否かを判断するために用いられる数値範囲データを記憶する警告出力範囲テーブルWTが設けられている。
また、ハードディスク731dには、後述する精度管理において変動率を計算するために用いられる検体を選択するための選択条件を記憶する選択条件テーブルQCTが設けられている。
【0058】
読出装置731eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体734に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体734には、コンピュータを画像処理ユニット73として機能させるための画像処理プログラム734aが格納されており、コンピュータ73aが当該可搬型記録媒体734から画像処理プログラム734aを読み出し、当該画像処理プログラム734aをハードディスク731dにインストールすることが可能である。
【0059】
なお、前記画像処理プログラム734aは、可搬型記録媒体734によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ73aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記画像処理プログラム734aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ73aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク731dにインストールすることも可能である。
【0060】
また、ハードディスク731dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係る画像処理プログラム734aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0061】
入出力インタフェース731fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース731fには、キーボード及びマウスからなる入力部733が接続されており、ユーザが当該入力部733を使用することにより、コンピュータ73aにデータを入力することが可能である。
【0062】
通信インタフェース731g,731hは、それぞれEthernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース731gはLANを介して血球画像表示ユニット75に接続されている。また、かかる通信インタフェース731gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9に通信可能に接続されている。コンピュータ73aは、通信インタフェース731gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された血球画像表示ユニット75及びホストコンピュータ9との間でデータの送受信が可能である。また、通信インタフェース731hは、通信ケーブルを介して顕微鏡ユニット71の通信インタフェース727とデータ通信可能に接続されている。
【0063】
通信インタフェース731iは、通信ケーブルを介して顕微鏡ユニット71の通信インタフェース728とデータ通信可能に接続されている。これにより、CCDカメラ723による撮像画像が通信インタフェース731iにより受信されるようになっている。
【0064】
画像出力インタフェース731jは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部732に接続されており、CPU731aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部732に出力するようになっている。画像表示部732は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0065】
<血球画像表示ユニット75の構成>
血球画像表示ユニット75は、コンピュータにより構成されている。また、かかる血球画像表示ユニット75は、画像処理ユニット73とLANを介して接続されており、画像処理ユニット73のハードディスク731dに設けられた血球画像フォルダ735内の血球画像を読み出し、表示することが可能である。
【0066】
図10は、血球画像表示ユニット75の構成を示すブロック図である。血球画像表示ユニット75は、コンピュータ75aによって実現される。図10に示すように、コンピュータ75aは、本体751と、画像表示部752と、入力部753とを備えている。本体751は、CPU751a、ROM751b、RAM751c、ハードディスク751d、読出装置751e、入出力インタフェース751f、通信インタフェース751g、及び画像出力インタフェース751hを備えており、CPU751a、ROM751b、RAM751c、ハードディスク751d、読出装置751e、入出力インタフェース751f、通信インタフェース751g、及び画像出力インタフェース751hは、バス751iによって接続されている。
【0067】
ハードディスク751dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU751aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述する血球画像表示プログラム754aも、このハードディスク751dにインストールされている。
【0068】
読出装置751eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体754に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体754には、コンピュータを血球画像表示ユニット75として機能させるための血球画像表示プログラム754aが格納されており、コンピュータ75aが当該可搬型記録媒体754から血球画像表示プログラム754aを読み出し、当該血球画像表示プログラム754aをハードディスク751dにインストールすることが可能である。
【0069】
入出力インタフェース751fは、例えばUSB,IEEE1394,SAS,SATA,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又はIEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース751fには、キーボード及びマウスからなる入力部753が接続されており、ユーザが当該入力部753を使用することにより、コンピュータ75aにデータを入力することが可能である。
【0070】
通信インタフェース751gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース751gはLANを介して画像処理ユニット73に接続されている。コンピュータ75aは、通信インタフェース751gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9との間でデータの送受信が可能である。
【0071】
なお、血球画像表示ユニット75のその他の構成は、上述した画像処理ユニット73の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体分析システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2から検体ID、及びラックIDを受け付け、検体IDをキーにしてホストコンピュータ9から測定オーダを取得する。また、システム制御装置8は、測定オーダを検体搬送装置3へ送信する。
【0073】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0074】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0075】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0076】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0077】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0078】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、血球画像分類装置7の画像処理ユニット73、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
以下、本実施の形態に係る検体分析システム1の動作について説明する。
【0081】
<検体投入装置2の動作>
ユーザは、検体容器を収容したサンプルラックを検体送出ユニット21aに載置し、検体送出ユニット21aの操作パネル(図示せず)を操作して、検体分析システム1に分析開始の指示を与える。検体送出ユニット21aの制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックの移送を開始する。検体送出ユニット21aに載置されたサンプルラックは、検体送出ユニット21a上を後方へ移送され、その後、サンプルラックは左方向へと移送され、バーコード読取ユニット22へと受け渡される。
【0082】
バーコード読取ユニット22に導入されたサンプルラックは、バーコード読取ユニット22の制御部により、搬送路上を左方向へ1ピッチ毎に移送される。そして、サンプルラックのラックバーコード及び検体容器の検体バーコードがバーコードリーダにより読み取られ、ラックID及び検体IDがシステム制御装置8へ送信される。次いで、サンプルラックがさらに左方向へ移送され、検体送出ユニット21bへこのサンプルラックが送出される。検体送出ユニット21bの制御部は、受け入れたサンプルラックを移送する。サンプルラックは、検体送出ユニット21b上を移送され、その後、左方向へ移送されて、ラックスライダ32へ受け渡される。
【0083】
<システム制御装置8の測定オーダ取得動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。システム制御装置は、検体投入装置2から受信した検体IDにより、その検体(血液検体)に対する測定オーダを取得する。ここで、測定オーダとは、血液検体に対して分析を行うべき分析項目の指示を示すデータであり、検体ID、患者ID及び患者氏名等の検体の属性情報と、分析項目の情報とが含まれる。
【0084】
図11Aは、測定オーダの取得処理の手順を示すフローチャートである。検体投入装置2から送信されたラックID及び検体IDは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるシステム制御プログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、ラックID及び検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0085】
ステップS102において、CPU81aは、受信した検体IDのうちの1つを送信し、ホストコンピュータ9へその検体IDに対応する測定オーダを要求する(ステップS102)。CPU81aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS103においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダがシステム制御装置8に受信されると(ステップS103においてYES)、受信した測定オーダをラックIDに対応付けてハードディスク81dに記憶する(ステップS104)。CPU81aは、ラックIDに対応している検体ID、即ち、そのラックIDのサンプルラックに収容されている全ての検体容器の検体IDの全てについて測定オーダの問い合わせが完了したか否かを判定し(ステップS105)、測定オーダの問い合わせをしていない検体IDが存在する場合には(ステップS105においてNO)、ステップS102に処理を戻し、まだ測定オーダの問い合わせを行っていない検体IDに対応する測定オーダをホストコンピュータ9に要求する。
【0086】
一方、全ての検体IDについて測定オーダの問い合わせが完了した場合には(ステップS105においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0087】
<システム制御装置8の測定オーダ送信動作>
後述するように、検体搬送装置3は、システム制御装置8へラックIDを送信して、このラックIDに対応する測定オーダを要求する。システム制御装置8は、かかる要求に応じて、検体搬送装置3へ測定オーダを送信する。
【0088】
図11Bは、測定オーダ送信処理の手順を示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信されたラックIDを含む測定オーダの要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいては、かかる測定オーダの要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0089】
ステップS112において、CPU81aは、受信したラックIDに対応する測定オーダをハードディスク81dから検索する。次に、CPU81aは、サンプルラックの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS113)、iが10以下であるか否かを判定する(ステップS114)。iが10以下である場合には(ステップS114においてYES)、CPU81aは、保持位置iに検体容器が保持されているか否か(保持位置iに対応する測定オーダが存在するか否か)を判定する(ステップS115)。保持位置iに検体容器が保持されていない場合には(ステップS115においてNO)、CPU81aは、ステップS117へ処理を移す。
【0090】
保持位置iに検体容器が保持されている場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、保持位置iの血液検体の測定オーダをハードディスク81dから読み出す(ステップS116)。次に、ステップS117において、CPU81aは、iを1だけインクリメントし、ステップS114へ処理を戻す。また、CPU81aは、ステップS114においてiが10以下でない場合には(ステップS114においてNO)、RAM81cに記憶した測定オーダを、測定オーダ要求元の検体搬送装置3へ送信し(ステップS118)、処理を終了する。
【0091】
<検体搬送装置3の動作>
ここでは、血球分析装置5の前方に配置された検体搬送装置3の動作について説明する。サンプルラックが搬送上流側からラックスライダ32へ搬入されるときには、図示しないセンサによってサンプルラックの到着が検出される。サンプルラックの到着が検出された場合に、サンプルラックのラックバーコードからラックIDが図示しないバーコードリーダによって読み取られる。検体搬送装置3の制御部は、ラックIDを含む測定オーダ要求データをシステム制御装置8へと送信する。これによって、上述したようにシステム制御装置8から測定オーダが送信され、検体搬送装置3がこの測定オーダを受信する。検体搬送装置3の測定ライン31a上には図示しない検体バーコードリーダが設けられており、サンプルラックに収容される検体容器の検体バーコードが順次読み取られる。検体搬送装置3の制御部は、読み取った検体IDに対応する測定オーダを含む吸引指示データを血球分析装置5へ送信する。
【0092】
血球分析装置5が検体の吸引を完了した後には、血球分析装置5から吸引完了通知信号が送信される。検体搬送装置3が血球分析装置5から吸引完了通知信号を受信した場合には、サンプルラックを1検体分移送し、次の検体容器の検体IDを読み取って、上述した動作を繰り返し実行する。全ての検体の吸引が完了したサンプルラックは、検体搬送装置3により下流側へと搬出される。
【0093】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。図12は、血球分析装置5の情報処理ユニット52の動作の流れを示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信された吸引指示データは、測定ユニット51の制御部515を介して情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信される(ステップS201)。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行される分析プログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、吸引指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0094】
ステップS202において、CPU521aは、吸引指示データに含まれる検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS202)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS203においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS203においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS204)。
【0095】
次に、CPU521aは、記憶した測定オーダに含まれる分析項目を含む測定開始要求データを測定ユニット51へ送信し(ステップS205)、この測定開始要求データを測定ユニット51の制御部515が受信することにより、当該測定開始要求データに含まれる分析項目について血液検体の測定が行われる。測定ユニット51の制御部515は、測定が完了した後に、測定によって得られた側方散乱光強度及び蛍光強度等を反映した測定データ(生データ)を情報処理ユニット52へと送信する。CPU521aは、測定データの受信を待機し(ステップS206においてNO)、測定データが通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS206においてYES)、測定データの解析処理を実行し(ステップS207)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。かかる測定データの解析処理においては、Band,Seg,Eosin等の白血球のサブクラスの計数結果は、白血球の総数に対する割合として取得される。また、かかる測定データの解析処理においては、白血球スキャッタグラム(白血球を種類毎に分類するためのスキャッタグラム)の異常、NRBCスキャッタグラム(有核赤血球を検出するためのスキャッタグラム)の異常、好中球が所定の正常範囲を下回る好中球減少異常、好中球が前記正常範囲を上回る好中球増加異常、単球が所定の正常範囲を上回る単球増加異常、好酸球が所定の正常範囲を上回る好酸球増加異常、好塩基球が所定の正常範囲を上回る好塩基球増加異常、白血球の総数が所定の正常範囲を下回る白血球減少異常、白血球の総数が所定の正常範囲を上回る白血球増加異常、赤芽球が所定の正常範囲を上回る赤芽球増加異常等の異常が検出され、解析処理により生成される分析結果データには、異常が検出されたことを示す異常フラグが付加される。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521dに格納され(ステップS208)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS209)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS209の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0096】
<塗抹標本作製装置6の動作>
ホストコンピュータ9は、上記の分析結果データを受信した後、その分析結果データに特定の異常が含まれている場合には、当該検体を塗抹標本検査の対象として決定し、異常の種類又は程度に応じて塗抹標本検査における白血球のカウント数Nを決定する。このようにして塗抹標本検査の対象と決定された検体に対しては、患者情報、血球分析装置5による分析結果(検出された異常フラグを含む)、及び前記カウント数Nを含む塗抹標本検査の測定オーダが新たに生成され、ホストコンピュータ9のハードディスクに記憶される。その後、上述したようにシステム制御装置8により当該検体の測定オーダの問い合わせが行われた場合には、塗抹標本検査の測定オーダがシステム制御装置8へと送信され、また上述したように塗抹標本作製装置6の前方に配置された検体搬送装置3の問い合わせに応じて、当該検体搬送装置3に前記測定オーダが与えられることとなる。
【0097】
このような場合には、前記検体搬送装置3の測定ライン31a上をサンプルラックが搬送され、塗抹標本検査の対象の検体が、塗抹標本作製装置6により所定量吸引される。その後、塗抹標本作製装置6は、スライドガラスに検体を滴下し、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させる。さらに、当該スライドガラスを染色液の中に浸し、その後再度スライドガラスを乾燥させる。このようにして、塗抹標本が作製される。上記のように作製された塗抹標本は、血球画像分類装置7の顕微鏡ユニット71に搬送される。
【0098】
<検体収容装置4の動作>
最も搬送下流側の検体搬送装置3から送出されたサンプルラックは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0099】
<血球画像分類装置7の動作>
次に、本実施の形態に係る血球画像分類装置7の動作について説明する。
【0100】
<血球画像の登録動作>
まず、血球画像表示装置7が血球を撮像し、血球画像を記憶する血球画像の登録動作について説明する。図13は、血球画像の登録動作における顕微鏡ユニット71の動作手順を示すフローチャートであり、図14A及び図14Bは、血球画像の登録動作における画像処理ユニット73の動作手順を示すフローチャートである。顕微鏡ユニット71は、血液塗抹標本作製装置6からスライドガラス7aを受け付けると、これを図示しないセンサによって検出する(ステップS301)。制御部726により実行される制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、顕微鏡ユニット71の制御部726においては、血液塗抹標本作製装置6からスライドガラス7aを受け付けるイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0101】
ステップS302において、制御部726は、受け付けたスライドガラス7aを収容するスライドカセット715を所定のバーコード読み取り位置まで搬送させ、2次元バーコードリーダ729に検体バーコードを読み取らせる(ステップS302)。次に、制御部726は、ステップS2において取得した検体IDを通信インタフェース727に画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS303)。
【0102】
顕微鏡ユニット71から送信された検体IDは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図14AのステップS321)。画像処理ユニット73のCPU731aにより実行される画像処理プログラム734aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU731aにおいては、検体IDを受信するイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0103】
ステップS322において、CPU731aは、通信インタフェース731gに、受信した検体IDを含むオーダ要求データをホストコンピュータ9へ送信させる(ステップS322)。ホストコンピュータ9から送信されるオーダには、検体ID、患者氏名、患者性別、病棟情報、コメント、血球分析装置5の分析結果(白血球数、赤血球数等の数値データ(計数結果))、血球分析装置5により検出された各種の異常情報(白血球スキャッタグラム異常フラグ、NRBCスキャッタグラム異常フラグ、好中球減少異常フラグ、好中球増加異常フラグ、単球増加異常フラグ、好酸球増加異常フラグ、好塩基球増加異常フラグ、白血球減少異常フラグ、白血球増加異常フラグ、赤芽球増加異常フラグ等)、及び白血球のカウント数Nのデータが含まれている。CPU731aは、オーダ受信を待機し(ステップS323においてNO)、測定オーダを受信すると(ステップS323においてYES)、レビュー項目設定テーブルTBLにしたがって、表示対象となる血球種を決定し(ステップS324)、表示対象(レビュー項目)として決定された血球種を示すデータをRAM731cに記憶する。
【0104】
次に、CPU731aは、通信インタフェース731hにより、測定オーダに含まれる白血球のカウント数Nを含む測定開始指示データを顕微鏡ユニット71へ送信し(ステップS325)、解析した血球画像の数を示す変数iに1をセットする(ステップS326)。
【0105】
ここで、顕微鏡ユニット71は、測定開始指示データを待機している(図13のステップS304においてNO)。画像処理ユニット73から送信された測定開始指示データが、顕微鏡ユニット71の通信インタフェース727により受信された場合には(ステップS304においてYES)、制御部726は、スライドカセット715を所定位置まで搬送させ、所定位置に停止しているスライドガラス7aをチャック部717に把持させ、次いでチャック部717を後退させることによりスライドカセット715からスライドガラスを引き出させ、XYステージ711の所定の位置(撮像位置)にセットさせる(ステップS305)。また、制御部726は、撮像回数を示す変数jに1をセットする(ステップS306)。
【0106】
次いで、スライドガラス7aに塗布された血液中の白血球の検出が行われる(ステップS307)。この検出は前述したセンサ722を用いて行われる。センサ722はラインセンサであり、その視野は400マイクロメートル程度である。図15は、白血球検出におけるスライドガラス上の検体のスキャニングのパターンを説明する図である。制御部726は、センサ722がスライドガラス7a上を略ジグザグ状に長手方向の一端から他端に向けてスキャンするように、前記XYステージ711がX方向及びY方向に移動させる(図15参照)。前記略ジグザグ状の走査の、スライドガラス7a長手方向の間隔Dは、検出漏れを防ぎつつ走査効率を上げるという観点より、通常、300〜500マイクロメートル程度であり、また、前記走査のスライドガラス7a幅方向の寸法Hは、スライドガラス7aの幅が一般に26mm程度であることから、通常、14〜18mm程度である。
【0107】
赤血球は光の赤色成分をあまり吸収しないが、白血球の核は光の赤色成分を多く吸収することから、この赤色成分を検出することにより白血球と赤血球とを容易に区別することができる。図16Aは、ラインセンサ722の視野を説明する図であり、図16Bは、ラインセンサ722の信号波形を示す図である。図16Aにおいては、ラインセンサ722の視野V内に白血球WBCが存在する場合を示しており、この場合、ラインセンサ722により検出された信号の赤色成分は、図16Bに示されるように、白血球WBCが存在する箇所において基準値S以下となる。この現象を利用して、血液中の白血球を検出することができる。なお、信号の赤色成分が基準値S以下となる幅Wを検出することで、この信号を発する部分が白血球の核であるか否かのチェックが行われる。
【0108】
次いで、制御部726は、オートフォーカス動作を実行する(ステップS308)。図6に示すように、スライドガラス7a及び対物レンズ712を通過した光は、プリズムミラー719aにより方向変換され、さらにハーフミラー719によってCCDカメラ723に向かう光と、センサ721、722に向かう光とに分けられる。オートフォーカス用のラインセンサ721は、2つのラインセンサ721a及び721bから構成されている。
【0109】
2つのオートフォーカス用のラインセンサ721a、721bのうち一方のラインセン
サ721aは、合焦位置(焦点が合っている位置)よりも前側(光路上対物レンズに近づく側)に配置されており、他方のラインセンサ721bは合焦位置よりも後側(光路上対物レンズから離れる側)に配置されている。そして、かかる2つのラインセンサの出力信号の差分積分値に基づいて、対物レンズの焦点がスライドガラス上の検体に合うように、対物レンズの位置が調節される。
【0110】
次に、制御部726は、通信インタフェース728にCCDカメラ723の画像の取り
込み及び送信を指示し、これにより、ステップS307で検出された白血球の画像が取り込まれ(ステップS309)、かかる血球画像が画像処理ユニット73へ送信される(ステップS310)。その後、制御部726は、要求された白血球のカウント数に到達したか否か、即ち、j≧Nであるか否かを判定し(ステップS311)、j<Nの場合には(ステップS311においてNO)、jを1インクリメントし(ステップS312)、処理をステップS307に戻し、再度白血球の検出を実行する。一方、ステップS311においてj≧Nの場合には(ステップS311においてYES)、制御部726は、処理を終
了する。
【0111】
上記のステップS326の後、CPU731aは、血球画像の受信を待機している(図14AのステップS327においてNO)。顕微鏡ユニット71から送信された血球画像が、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信された場合には(ステップS327においてYES)、CPU731aは、受信した血球画像を補正して(ステップS328)、補正後の血球画像をハードディスク731dに記憶する(ステップS329)。ステップS329の処理においては、血球画像に対応する白血球IDが生成され、その白血球IDを含むファイル名の画像データとして、前記血球画像が記憶される。
【0112】
次に、CPU731aは、血球画像における細胞質及び核の領域を特定する(ステップS330)。染色された白血球においては、核及び細胞質が異なる色を呈する。また、白血球の核及び細胞質の色は、赤血球及び背景の色ともそれぞれ異なっている。したがって、ステップS330の処理では、白血球像のRGB値を利用して、白血球像に含まれる核の領域及び細胞質の領域が特定される。
【0113】
次に、CPU731aは、血球画像に基づき白血球の各種特徴パラメータを算出する(ステップS331)。この特徴パラメータとしては、画像の色信号(G、B、R)に基づいて求めることができる白血球の核の面積、核数、凹凸、色調、及び濃度(むら)、白血球の細胞質の面積、色調、及び濃度(むら)、並びに前記核と細胞質との面積比及び濃度比などをあげることができる。
【0114】
次に、CPU731aは、取得した特徴パラメータを用いて、白血球の種類を識別する(ステップS332)。具体的には、例えば白血球のいくつかの特徴パラメータについて、順次、各パラメータについて予め定めておいた判定基準値と比較することで、白血球の種類を除々に絞り込んでいくことができる。このようにして、撮像された白血球は、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、好中球(桿状、分葉状)といった成熟白血球の分類、芽球、幼若顆粒球、異型リンパ球といった未熟白血球の分類、赤芽球の分類がなされる。CPU731aは、このステップS332において、分類した白血球の種類に従って検体データベースDB2bの計数結果(個数)を1ずつインクリメントし、インクリメントされた計数結果(個数)に従って計数結果(%)を再計算する。
【0115】
次に、ステップS333において、CPU731aは、識別された血球種が、ステップS324において決定されたレビュー項目に含まれているか否かを判別する(ステップS333)。レビュー項目に含まれている血球種の場合には(ステップS333においてYES)、CPU731aは、当該血球画像を表示対象に設定し(ステップS334)、当該血球画像が表示対象であることを示すデータをRAM731cに格納し、ステップS335へ処理を移す。一方、ステップS333において、血球種がレビュー項目に該当しない場合は(ステップS333においてNO)、CPU731aは、ステップS335へと処理を進める。
【0116】
ステップS335において、CPU731aは、要求された白血球のカウント数に到達したか否か、即ち、i≧Nであるか否かを判定し(ステップS335)、j<Nの場合には(ステップS335においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS336)、処理をステップS327に戻し、再度血球画像の受信を待機する。
【0117】
一方、ステップS335においてi≧Nの場合には(ステップS335においてYES)、CPU731aは、上述のようにして得られた検体に関する情報、分類結果、及び表示対象の血球画像を示すデータ及び画像処理ユニット73による計数結果をハードディスク731dの検体データベースDB1及び血球データベースDB2に登録し(ステップS337)、処理を終了する。より具体的には、ステップS323で受信した検体ID,患者氏名、患者性別、病棟情報、およびコメントなどの検体に関する情報、並びに、血球分析装置5による血球の計数結果および異常情報などの分類結果は検体データベースDB1に登録され、血球画像が表示対象であるか否かを示すデータおよび画像処理ユニット73による血球の計数結果は、血球データベースDB2に登録される。
【0118】
<血球画像の表示動作>
図17Aは、血球画像の表示動作における血球画像表示ユニット75の初期動作の手順を示すフローチャートであり、図17Bは、血球画像の表示動作における画像処理ユニット73の検体情報送信動作の手順を示すフローチャートである。ユーザは、コンピュータ75aの入力部753を操作することにより、血球画像表示プログラム754aの実行を指示する。コンピュータ75aのCPU751aは、この指示を受け、血球画像表示プログラム754aを実行する。これにより、コンピュータ75aが血球画像表示ユニット75として機能する。
【0119】
血球画像表示プログラム754aの起動直後は、ユーザ名及びパスワードの入力を促すログイン入力画面が表示される(図17AにおけるステップS351)。このログイン入力画面においてユーザがユーザ名及びパスワードを入力する(ステップS352)。血球画像表示ユニット75のCPU751aにより実行される血球画像表示プログラム754aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU751aにおいては、ユーザ名及びパスワードの入力を受け付けるイベントが発生すると、ステップS353の処理が呼び出される。
【0120】
ステップS353において、CPU751aは、ユーザ認証処理を実行する。かかるユーザ認証が失敗した場合には(ステップS354においてNO)、CPU751aは、処理を終了する。上記のログイン処理によるユーザ認証が成功した場合には(ステップS354においてYES)、CPU751aは、通信インタフェース751gに、その日が測定日とされている検体情報の要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS355)。
【0121】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図17BのステップS361)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS362の処理が呼び出される。
【0122】
ステップS362において、CPU731aは、測定日がその日である検体情報を、検体データベースDB1から取得する(ステップS362)。次に、CPU2731aは、通信インタフェース731gに、取得した検体情報を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS363)、処理を終了する。
【0123】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、検体情報の要求データを送信した後、検体情報の受信を待機する(図17AのステップS356においてNO)。画像処理ユニット73から送信された検体情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS356においてYES)、測定進捗画面(図示せず)を表示し(ステップS357)、処理を終了する。かかる測定進捗画面では、複数の検体に関する検体情報がリスト表示される。この測定進捗画面においては、ユーザがリスト表示されている検体情報の1つを選択することが可能であり、1つの検体情報を選択した上で所定の操作(例えば、マウスの左ボタンのダブルクリック)を行うことにより、この検体に関する血球画像の表示指示を与えることが可能である。
【0124】
図18Aは、血球画像の表示動作における血球画像表示ユニット75の画像表示動作の手順を示すフローチャートであり、図18Bは、血球画像の表示動作における画像処理ユニット73の血球画像送信動作の手順を示すフローチャートである。血球画像表示ユニット75では、測定進捗画面が表示されている状態において、上記のように1つの検体に関する血球画像の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(ステップS371)、ステップS372の処理が呼び出される。
【0125】
ステップS372において、CPU751aは、通信インタフェース751gに、指示を受けた検体の検体IDを含む血球画像送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS372)。
【0126】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図18BのステップS381)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS382の処理が呼び出される。
【0127】
ステップS382において、CPU731aは、前記検体IDに対応する検体データベースDB1および血球データベースDB2から、分類結果情報を取得する(ステップS382)。この分類結果情報には、血球分析装置5による計数結果と、白血球を特定する白血球IDと、白血球の分類結果の種類(単球、好中球、好塩基球、好酸球、リンパ球等)と、血球画像が表示対象であるか否かを示す情報(表示対象フラグ)と、それぞれの血球種についての計数結果(個数)と、それぞれの血球種の個数の白血球総数に対する割合(計数結果(%))とが含まれている。
【0128】
次に、CPU731aは、通信インタフェース731gに、取得した分類結果情報を血球画像表示ユニット75へ送信させる(ステップS383)。
【0129】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、分類結果情報の要求データを送信した後、分類結果情報の受信を待機する(図18AのステップS373においてNO)。画像処理ユニット73から送信された分類結果情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS373においてYES)、表示対象フラグにより、表示すべき血球画像を特定し(ステップS374)、通信インタフェース751gに、特定した血球画像の送信を要求する画像送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS375)。
【0130】
画像処理ユニット73のCPU731aは、分類結果情報を送信した後、画像送信要求データの受信を待機する(図18BのステップS384においてNO)。血球画像表示ユニット75から送信された要求データが、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信された場合には(ステップS384においてYES)、CPU731aは、ハードディスク731dの血球画像フォルダ735の中の前記検体IDに対応するフォルダから、画像送信要求データによって要求された血球画像(補正後の血球画像)を読み出し(ステップS385)、通信インタフェース731gに、読み出した血球画像を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS386)、処理を終了する。
【0131】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、画像送信要求データを送信した後、血球画像の受信を待機する(図18AのステップS376においてNO)。画像処理ユニット73から送信された血球画像が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS376においてYES)、血球画像レビュー画面を表示し(ステップS377)、処理を終了する。
【0132】
図19は、血球画像レビュー画面の一例を示す図である。血球画像レビュー画面Wには、1又は複数の血球画像を表示する血球画像表示領域A1と、患者情報を表示する患者情報表示領域A2と、分類された血球の種類毎に、計数結果を表示するカウント値表示領域A3と、血球分析装置5による分析結果を表示する分析結果表示領域A4とが含まれている。血球画像表示領域A1には、受信された血球画像を縮小した画像が一覧表示される。各縮小画像には、血球種が文字列(単球は「Mono」、好中球は「Neut」、好酸球は「Eosin」、好塩基球は「Baso」、リンパ球は「Lymp」等)で表示される。また、この血球画像表示領域A1には、ステップS334において表示対象であると決定された血球画像のみが表示され、その他の血球画像は表示されない。これにより、任意の種類の血球画像のみを表示させることが可能となり、血球画像分類装置7の使用者がレビュー不要な種類の血球画像を確認する必要がなくなり、血球画像のレビューの効率化が図れる。
【0133】
上記のような血球画像レビュー画面Wのカウント値表示領域A3には、血球種の名称の文字列が表示された複数のボタンが並べて配置されている。これらのボタンは、マウスの左ボタンのクリック操作により選択可能であり、ユーザは、血球画像が選択された状態(血球画像もマウスの左ボタンのクリック操作により選択可能)で所望の血球種のボタンを選択することにより、その血球種に分類を変更することが可能である。また、このカウント値表示領域A3には、血球データベースDB2bに登録され、ステップS373において血球画像表示ユニットのCPU751aが受信した計数結果(個数)および計数結果(%)が表示されている。
一方、カウント値表示領域A4には、検体データベースDB1に登録され、ステップS373において血球画像表示ユニットのCPU751aが受信した分類結果情報に含まれる、血球分析装置5による血球の計数結果が表示されている。
【0134】
図18Cは、血球画像表示ユニット75の再計数結果登録動作の流れを示すフローチャートである。上記のように、血球画像レビュー画面が表示されている状態において、血球画像の血球種を変更する入力が受け付けられると(ステップS391)、CPU751aは、分類を変更した再計数結果をRAM751cに記憶する(ステップS392)。その後、血球画像レビュー画面に設けられたレビュー完了ボタン752aがクリックされて、再検完了の入力がCPU751aに与えられると(ステップS393)、CPU751aは、カウント値表示領域A3に表示されている計数結果(%)と、カウント値表示領域A4に表示されている計数結果とを比較する(ステップS394)。この2つの計数結果の差の絶対値が予め警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲を超えた場合には(ステップS395においてYES)、CPU751aは、警告画面を画像表示部752に表示させる(ステップS396)。なお、この警告画面は、血球画像レビュー画面Wへの表示対象に設定されている血球種に対しても、表示対象に設定されていない血球種に対しても出力される。また、ステップS394における比較対象は、同一の血球種同士であるが、カウント値表示領域A3に表示されている計数結果(%)のうち、BandとSegについては、CPU751aは、BandおよびSegの和を、カウント値表示領域A4に表示されている計数結果のうちのNeut(好中球)と比較する。
なお、ステップS395において用いられる警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲は血球種ごとに設定されているが、例えば、Neut(好中球)であれば±20%、Eosin(好酸球)であれば±5%という数値範囲が設定可能である。
【0135】
図23は、ステップS396において画像表示部752に表示される警告画面Vを示している。この図に示すように、警告画面Vには、血球画像分類装置7による計数結果と血球分析装置5による計数結果とが乖離していることを警告するための警告表示領域V1と、計数結果が乖離している血球の種類を表示するための血球種表示領域V2と、計数結果のホストコンピュータ9への登録を開始せず、血球画像レビュー画面Wによる血球種の分類変更を再開するための分類変更再開ボタンV3と、計数結果が乖離していることを承知の上で計数結果をホストコンピュータに登録するためのOKボタンV4とが表示されている。
【0136】
CPU751aは、分類変更再開ボタンV3が選択されると(ステップS397においてYES),処理をステップS391に戻し、分類の変更を再開する。一方、OKボタンV4が選択されると(ステップS397においてNO)、CPU751aは、変更された分類結果を反映した血球種毎のカウント値を含む再計数結果を、通信インタフェース751gに画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS398)、処理を終了する。かかる再計数結果は、画像処理ユニット73及びホストコンピュータ9によって受信され、画像処理ユニット73の血球データベースDB2に登録され、また、ホストコンピュータ9のハードディスクに記憶される。また、CPU751aは、ステップS395において計数結果の差の絶対値が警告出力範囲テーブルWTに記憶された所定の数値範囲内である場合には(ステップS395においてNO),ステップS396およびS397の処理をスキップし、処理をステップS398にすすめる。なお、ステップS395で用いられる数値範囲は、血球種ごとに設定されている。また、この数値範囲は、血球画像分類装置7の使用者が任意に設定可能であるが、予め設定された固定の数値範囲であってもよい。
【0137】
<レビュー項目の設定変更動作>
上述したように、レビュー項目設定テーブルTBLの設定内容は変更することが可能である。図20Aは、レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニット75の設定画面表示動作の流れを示すフローチャートであり、図20Bは、レビュー項目変更動作における画像処理ユニット73のレビュー項目設定情報送信動作の流れを示すフローチャートである。血球画像表示ユニット75では、測定進捗画面が表示されている状態において、画面上部の領域に配置された設定ボタン(図示せず)をマウスの左ボタンでクリック操作することにより、設定画面の表示指示を受け付けることが可能となっている。CPU751aにおいては、このような設定画面の表示指示を受け付けるイベントが発生すると(図20AのステップS401)、ステップS402の処理が呼び出される。
【0138】
ステップS402において、CPU751aは、通信インタフェース751gに、レビュー項目設定情報の送信要求データを画像処理ユニット73へ送信させる(ステップS402)。
【0139】
血球画像表示ユニット75から送信された要求データは、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図20BのステップS411)。CPU731aにおいては、前記要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS412の処理が呼び出される。
【0140】
ステップS412において、CPU731aは、ハードディスク731dからレビュー項目設定テーブルTBLを読み出す(ステップS412)。次に、CPU731aは、通信インタフェース731gに、レビュー項目設定テーブルTBLの内容を示すレビュー項目設定情報を血球画像表示ユニット75へ送信させ(ステップS413)、処理を終了する。
【0141】
血球画像表示ユニット75のCPU751aは、レビュー項目設定情報の要求データを送信した後、レビュー項目設定情報の受信を待機する(図20AのステップS403においてNO)。画像処理ユニット73から送信されたレビュー項目設定情報が、血球画像表示ユニット75の通信インタフェース751gにより受信された場合には(ステップS403においてYES)、CPU751aは、設定画面を表示し(ステップS404)、処理を終了する。
【0142】
図21は、設定画面の一例を示す図である。図21に示すように、設定画面Sには、血球種を示す血球種フィールドA11と、それぞれの血球種を表示対象とするか否かを設定するための設定フィールドA12と、表示対象の設定を登録し、設定を完了するためのOKボタンB1と、表示対象の設定を中止し、設定画面Sの表示を終了するためのキャンセルボタンB2とが表示されている。設定フィールドA12の各チェックボックスは、マウスの左クリック操作によってチェックマークの表示の有無を変更が可能であり、チェックマークが付されている血球種が表示対象となる。
【0143】
図20Cは、レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニット75のレビュー項目設定変更の受付動作の流れを示すフローチャートであり、図20Dは、レビュー項目変更動作における画像処理ユニット73のレビュー項目設定テーブル更新動作の流れを示すフローチャートである。上記のように、ユーザからレビュー項目設定情報を変更する入力を血球画像表示ユニット75が受け付けると(図20CのステップS421)、CPU751aは、RAM751cのレビュー項目設定情報に変更内容を反映させる(ステップS422)。その後、OKボタンB1が選択されて、レビュー項目設定テーブルTBLの更新指示を受け付けると(ステップS423)、CPU751aは、通信インタフェース751gに、RAM751cに記憶されているレビュー項目設定情報を画像処理ユニット73へ送信させ(ステップS424)、設定画面Wの表示を終了し(ステップS425)、処理を終了する。
【0144】
血球画像表示ユニット75から送信されたレビュー項目設定情報は、画像処理ユニット73の通信インタフェース731hにより受信される(図20DのステップS431)。CPU731aにおいては、前記レビュー項目設定情報を受信するイベントが発生すると、ステップS432の処理が呼び出される。
【0145】
ステップS432において、CPU731aは、受信したレビュー項目設定情報にしたがって、レビュー項目設定テーブルTBLを更新し(ステップS432)、処理を終了する。これにより、ユーザが変更入力したレビュー項目の設定内容が、レビュー項目設定テーブルTBLに反映される。
【0146】
<シャットダウン動作>
次に、使用者が血球画像表示ユニット75を操作することによって実行される血球画像分類装置7のシャットダウン動作について説明する。血球画像分類装置7がシャットダウンされるときには、画像処理ユニット73によって、血球画像分類装置7による計数結果が正しく得られていることを確認するための精度管理が自動的に実行される。図22Aは、シャットダウン動作における画像処理ユニット73の動作手順を示すフローチャートであり、図22Bは、シャットダウン動作における画像表示ユニット75の動作手順を示すフローチャートである。
【0147】
血球画像表示ユニット75のCPU751aが使用者からのシャットダウン開始処理を図示しないシャットダウン開始ボタンによって受け付けると(ステップS511においてYES)、CPU751aは、シャットダウン開始を指示する信号を画像処理ユニット73に送信する(ステップS512)。画像処理ユニット73のCPU731aは、CPU751aからシャットダウン開始の指示信号を受信すると(ステップS501)、精度管理に用いられる計数結果を検体データベースDB1から選択する処理を実行する(ステップS502)。この処理においてCPU731aは、検体データベースDB1の測定日フィールドF15の測定日が本日である検体を全て選択し、選択した検体から、選択条件テーブルQCTに登録されている選択条件に合致する検体を20検体まで選択する。このときの選択条件としては、例えば、好中球、リンパ球、単球、好酸球、及び好塩基球の全てが、健常人に見られる通常の範囲内に収まっていることを条件とすることが好ましい。
血球分析装置5は、少なくとも健常人の検体は正しく計数するように設計されており、健常人の検体の計数結果を主に用いることにより、変動率の精度を向上させることができる。
【0148】
次に、CPU731aは、ステップS502で選択された検体と同一の検体IDを有する全ての検体の計数結果(%)を血球データベースDB2bから読み出す(ステップS503)。そして、CPU731aは、以下の式に従って血球種ごとに変動率を計算する(ステップS504)。
変動率=(計数結果1−計数結果2)/計数結果1 × 100%
(ここで、計数結果1は、ステップS502で選択された検体の計数結果の血球種ごとの平均値であり、計数結果2は、ステップS403で読み出された検体の計数結果(%)の血球種ごとの平均値である。なお、計数結果1および計数結果2には同一の血球種の計数結果が用いられるが、BandとSegに関しては、Neut(好中球)の計数結果の平均値により計数結果1を算出し、Bandの計数結果の平均値とSegの計数結果の平均値との和により計数結果2を算出する。)
【0149】
CPU731aは、ステップS504で得られた変動率に基づいて精度管理画面を作成し(ステップS505)、該精度管理画面の表示指示を血球画像表示ユニット75に送信する(ステップS506)。血球画像表示ユニット75のCPU751aは、精度管理画面の表示指示を待機し(ステップS513においてNO)、受信すると(ステップS513においてYES),精度管理画面を画像表示部752に表示させる(ステップS514)。
【0150】
図24は、画像表示部752に表示される精度管理画面を示す図である。この図に示すように、精度管理画面Qには、精度管理の結果を時系列に示すグラフ表示領域Q1、Q2・・・が血球種ごとに表示されている。各グラフ表示領域Q1、Q2・・・のそれぞれには、血球種を示す血球種領域q1および精度管理の結果を時系列に示すグラフ領域q2が設けられている。グラフ領域q2に表示されるグラフは、縦軸が変動率、横軸が日付に設定されている。この縦軸の上下方向中央は、変動率が0に設定されており、この中央ラインよりも上側が変動率がプラス(すなわち、血球分析装置5で得られる計数結果の方が血球画像分析装置7で得られる計数結果よりも大きい)を示しており、この中央ラインよりも下側が変動率がマイナス(すなわち、血球分析装置5で得られる計数結果の方が血球画像分析装置7で得られる計数結果よりも小さい)を示している。ステップS404で得られた変動率は、得られた値および日付に応じた位置にプロットされ、プロット10−18、プロット10−19、プロット10−20、プロット10−21・・・として表示される。また、画像処理ユニット73には、血球画像分類装置7による計数結果が正常に得られているか否かを判断するために、変動値の基準範囲を示す値が予め血球種ごとに設定されており、この基準範囲から外れた変動値に対しては、他のプロットと区別可能なプロット表示がなされる。例えば、図24のNeut(Band+Seg)に対しては、変動値の基準範囲は±0.2と設定されており、+20%よりも大きな変動値を示した10月20日のプロット10−20は、他のプロットと区別可能に×印で表示されている。同様に、Eosinに対しては、変動値の基準範囲は±0.4と設定されており、+40%よりも大きな変動値を示した10月19日のプロットは、他のプロットと区別可能に×印で表示されている。なお、この基準範囲は血球画像分類装置7の使用者が任意に設定可能であるが、予め設定された固定の数値範囲であってもよい。なお、精度管理画面Qには、血球画像レビュー画面Wへの表示対象に設定された血球種も、表示対象に設定されていない血球種も表示される。
【0151】
精度管理画面を確認した血球画像分類装置7の使用者は、シャットダウンを続行するか、シャットダウンを中断し、血球画像分類装置7のメンテナンスを行うかを判断する。血球画像表示ユニット75の画像表示部752には、シャットダウン続行又は中断を選択するための図示しない画面が表示されており、シャットダウンの続行が指示されると(ステップS515においてYES),CPU752aは、血球画像表示ユニット75をシャットダウンするとともに、血球画像処理ユニット73にシャットダウンを続行する指示を送信する(ステップS516)。シャットダウンの中断が指示されると(ステップS515においてNO)、CPU752aは、中断指示を血球画像処理ユニット73に送信するとともに、処理をステップS511に戻すことによってシャットダウンを中断する(ステップS517)。
CPU732aは、血球画像表示ユニット75からシャットダウン続行の指示があると(ステップS507においてYES)、血球画像処理ユニット73をシャットダウンするとともに、顕微鏡ユニット71にシャットダウンを指示する信号を送信する(ステップS508)。このシャットダウン指示を受けた顕微鏡ユニット71の制御部726は、顕微鏡ユニット71をシャットダウンする。一方、CPU732aは、血球画像表示ユニット75からシャットダウン中断の指示があると(ステップS507においてNO)、処理をステップS501に戻すことによってシャットダウンを中断する。
【0152】
以上のような構成とすることにより、血球画像分類装置7による血球の計数結果が血球分析装置5による血球の計数結果と乖離している場合には、自動的に警告画面が出力されることとなる。これにより、血球画像分類装置7の使用者は、検体1件1件について血球画像分類装置7および血球分析装置5の計数結果を比較しなくても、計数結果が乖離していることを把握でき、検査の効率化が実現できる。
また、警告画面が出力した場合には、分類変更ボタンV3を選択することによって容易に血球画像レビュー画面Wに戻れるので、目視による分類変更が容易に実行できる。
また、血球画像レビュー画面Wへの表示対象となる血球画像を選択できるので、レビューの必要のない血球種のレビューを省略することが可能となり、検査の効率化が図れるとともに、計数結果に乖離がある場合には、レビューを省略した血球種に対しても警告が出力されるので、レビューを省略した血球種に対して誤った計数結果をホストコンピュータに登録してしまうことを防止することが可能となる。
【0153】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、塗抹標本作製装置6によって作製された血液塗抹標本が、塗抹標本作製装置6から血球画像表示装置7へ自動的に送出される構成について述べたが、これに限定されるものではない。ユーザが手作業で血球画像表示装置7に血液塗抹標本をセットすることが可能な構成としてもよい。
【0154】
また、上述した実施の形態においては、コンピュータが画像処理プログラムを実行することにより、画像処理ユニット73として機能して、検体の異常情報に基づいて表示対象の血球画像を決定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。画像処理プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、表示対象の血球画像の決定処理、計数結果乖離の警告処理、および精度管理処理を実行する構成としてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態においては、画像処理ユニット73とは独立して設けられた血球画像表示ユニット75によって、血球画像を表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。画像処理ユニット73の機能と血球画像表示ユニット75の機能とを併せて具備する1つの装置によって、検体の異常情報に基づいて表示対象の血球画像を決定し、決定された血球画像を表示する構成としてもよい。また、顕微鏡ユニット71、画像処理ユニット73、及び血球画像表示ユニット75の機能を併せて具備する1つの装置によって、スライドガラスの撮像、血球分析装置5による検体の分析結果の受け付け、計数結果乖離の警告、および精度管理を全て行う構成としてもよい。
【0156】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ73aにより画像処理プログラム734aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述した画像処理プログラム734aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【0157】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ75aにより血球画像表示プログラム754aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述した血球画像表示プログラム754aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の検体処理システムおよび血球画像分類装置は、血球画像分類装置による計数結果が血球計数装置による計数結果と乖離しているか否かを容易に識別することを可能とする検体処理システムおよび血球画像分類装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】実施の形態に係る検体分析システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】実施の形態に係る血球分析装置が備える測定ユニットの概略構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態に係る血球分析装置が備える情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図4】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図5】実施の形態に係る血球画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図6】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える顕微鏡ユニットの構成の一部を示す斜視図。
【図7】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える画像処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図8A】検体データベースの構造を示す模式図。
【図8B】血球データベースDB2の構造を示す模式図。
【図9】レビュー項目設定テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図10】実施の形態に係る血球画像表示装置が備える血球画像表示ユニットの構成を示すブロック図。
【図11A】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダの取得処理の手順を示すフローチャート。
【図11B】実施の形態に係るシステム制御装置の測定オーダ送信処理の手順を示すフローチャート。
【図12】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの動作の流れを示すフローチャート。
【図13】血球画像の登録動作における顕微鏡ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図14A】血球画像の登録動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート(前半)。
【図14B】血球画像の登録動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート(後半)。
【図15】白血球検出におけるスライドガラス上の検体のスキャニングのパターンを説明する図。
【図16A】白血球検出用のラインセンサの視野を説明する図。
【図16B】白血球検出用のラインセンサの信号波形を示す図。
【図17A】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの初期動作の手順を示すフローチャート。
【図17B】血球画像の表示動作における画像処理ユニットの検体情報送信動作の手順を示すフローチャート。
【図18A】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの画像表示動作の手順を示すフローチャート。
【図18B】血球画像の表示動作における画像処理ユニットの血球画像送信動作の手順を示すフローチャート。
【図18C】血球画像の表示動作における血球画像表示ユニットの再計数結果登録動作の流れを示すフローチャート。
【図19】血球画像レビュー画面の一例を示す図。
【図20A】レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニットの設定画面表示動作の流れを示すフローチャート。
【図20B】レビュー項目変更動作における画像処理ユニットのレビュー項目設定情報送信動作の流れを示すフローチャート。
【図20C】レビュー項目変更動作における血球画像表示ユニットのレビュー項目設定変更の受付動作の流れを示すフローチャート
【図20D】レビュー項目変更動作における画像処理ユニットのレビュー項目設定テーブル更新動作の流れを示すフローチャート。
【図21】設定画面の一例を示す図。
【図22A】シャットダウン動作における画像処理ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図22B】シャットダウン動作における画像表示ユニットの動作手順を示すフローチャート。
【図23】警告画面の一例を示す図。
【図24】精度管理画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0160】
1 検体分析システム
2 検体投入装置
3 検体搬送装置
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
51 情報処理ユニット
6 塗抹標本作製装置
61 検体分注部
62 塗抹部
63 スライドガラス搬送部
64 染色部
65 制御部
7 血球画像分類装置
71 顕微鏡ユニット
73 画像処理ユニット
75 血球画像表示ユニット
8 システム制御装置
9 ホストコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、
前記血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備え、
前記血球画像分類装置が、
前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、
前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、
第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、
第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える検体処理システム。
【請求項2】
前記計数結果取得手段は、血球画像に基づいて前記所定の種類の血球の初期計数結果を取得する第1取得手段と、血球画像分類装置の使用者からの入力に基づいて初期計数結果を変更することによって第2計数結果を取得する第2取得手段とを備える請求項1記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記第2取得手段によって取得された第2計数結果を確定する確定手段をさらに備え、
前記比較手段は、前記確定手段によって第2計数結果が確定されると、確定された第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体から取得された第1計数結果とを比較する請求項2記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記警告手段によって警告が出力された後、前記第2取得手段による初期計数結果の変更を再開させるための再開手段をさらに備える請求項2または3記載の検体処理システム。
【請求項5】
第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体の血球画像とを並べて表示する血球画像画面を表示する表示手段と、
前記血球画像画面への表示対象となる血球の種類を設定する種類設定手段とをさらに備え、
前記表示手段は、前記種類設定手段によって設定された種類の血球の血球画像を選択的に表示するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記血球画像画面は、第1計数結果と第2計数結果と血球画像とを並べて表示する請求項5記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記警告手段による警告に関する前記所定の範囲を設定する範囲設定手段をさらに備える請求項1〜6のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置であって、
前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、
前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、
第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、
第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える血球画像分類装置。
【請求項1】
血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置と、
前記血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置と、を備え、
前記血球画像分類装置が、
前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、
前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、
第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、
第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える検体処理システム。
【請求項2】
前記計数結果取得手段は、血球画像に基づいて前記所定の種類の血球の初期計数結果を取得する第1取得手段と、血球画像分類装置の使用者からの入力に基づいて初期計数結果を変更することによって第2計数結果を取得する第2取得手段とを備える請求項1記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記第2取得手段によって取得された第2計数結果を確定する確定手段をさらに備え、
前記比較手段は、前記確定手段によって第2計数結果が確定されると、確定された第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体から取得された第1計数結果とを比較する請求項2記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記警告手段によって警告が出力された後、前記第2取得手段による初期計数結果の変更を再開させるための再開手段をさらに備える請求項2または3記載の検体処理システム。
【請求項5】
第2計数結果と、該第2計数結果に対応する血液検体の血球画像とを並べて表示する血球画像画面を表示する表示手段と、
前記血球画像画面への表示対象となる血球の種類を設定する種類設定手段とをさらに備え、
前記表示手段は、前記種類設定手段によって設定された種類の血球の血球画像を選択的に表示するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記血球画像画面は、第1計数結果と第2計数結果と血球画像とを並べて表示する請求項5記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記警告手段による警告に関する前記所定の範囲を設定する範囲設定手段をさらに備える請求項1〜6のいずれかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
血液検体を測定し、血球を種類ごとに計数する血球計数装置とデータ通信可能に接続され、血液塗抹標本を撮像して得られた血球画像に基づいて、血球を種類ごとに計数する血球画像分類装置であって、
前記血球計数装置による所定の種類の血球の第1計数結果を受信する受信手段と、
前記所定の種類の血球の第2計数結果を血球画像に基づいて取得する計数結果取得手段と、
第1計数結果と、該第1計数結果に対応する血液検体から取得された第2計数結果とを比較する比較手段と、
第1計数結果と第2計数結果との差異が所定の範囲を超えた場合に警告を出力する警告出力手段と、を備える血球画像分類装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−107258(P2010−107258A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277504(P2008−277504)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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