説明

検体分析装置

【課題】 検体の分析に影響を与える不確かさの要因に関する情報を提供することができる検体分析装置を提供する。
【解決手段】
検体分析装置1は、測定装置2と情報処理装置3とを備える。情報処理装置3は、分析結果データベースと、イベント履歴データベースと、不確かさ要因データベースとを備えている。情報処理装置は、分析結果データベースに記憶されている分析結果を一覧表示し、表示されている分析結果の何れかの指定を受け付ける。分析結果が指定されると、当該分析結果に関連するイベント情報であって、不確かさ要因に該当するイベント情報がイベント履歴データベースから抽出され、表示される。表示されているイベント情報の何れかが選択されると、選択されたイベント情報に関連する不確かさを減少するための対処法が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去の検体分析において実行された分析プロセスの情報を表示する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、同一時間軸上に、複数の分析プロセスの情報がその実施時刻に対応付けて表示されるようになっている。また、分析プロセスの情報と併せて、使用された設備及び消耗品の情報も表示される。
【0003】
さらに、前記特許文献1に開示されている自動分析装置では、試薬の分注を示す分析プロセスの情報がダブルクリックされると、使用された試薬、分析結果の濃度算出に使用された検量線情報、及び当該検量線を導出するために実施された検体分析の詳細情報が表示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−216705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような検体分析装置の分析結果には不確かさが含まれ、この不確かさが大きいほど、分析結果の信頼性が低くなる。このため、検体分析装置では、不確かさの要因を特定することが重要となる。しかしながら、特許文献1に記載された自動分析装置にあっては、検体分析に用いられた設備及び消耗品の情報、並びに使用された試薬及び検量線の情報等が表示されるが、表示された情報のうちの何れが不確かさの要因に該当し、何れが不確かさの要因に該当しないかが示されておらず、ユーザは不確かさの要因が何であるかを特定することができない。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体の分析に影響を与える不確かさの要因に関する情報を提供することができる検体分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体分析装置は、検体を分析する検体分析装置であって、前記検体分析装置による検体の分析結果を記憶する分析結果記憶部と、前記分析結果記憶部に記憶された分析結果のうちの何れかを指定する分析結果指定手段と、前記検体分析装置において過去に発生したイベントを示すイベント履歴情報を記憶するイベント履歴記憶部と、表示部と、前記分析結果指定手段により指定された分析結果に関連するイベント履歴情報を前記イベント履歴記憶部から取得し、取得されたイベント履歴情報に基づいて、前記分析結果の不確かさの要因に関する情報を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0008】
この態様において、前記制御部は、前記不確かさの要因に関する情報として、前記分析結果の不確かさの要因であるイベントを示すイベント履歴情報を、前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0009】
上記態様において、前記検体分析装置は、分析結果の不確かさの要因であるイベントの種類を示すイベント種類情報を記憶するイベント種類情報記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記分析結果指定手段により指定された分析結果に関連するイベント履歴情報を前記イベント履歴記憶部から読み出し、前記イベント種類情報記憶部に記憶されたイベント種類情報に基づいて、読み出されたイベント履歴情報から、前記分析結果の不確かさの要因であるイベントを示すイベント履歴情報を抽出するように構成されていてもよい。
【0010】
上記態様において、前記検体分析装置は、前記表示部に表示されている不確かさの要因であるイベントの何れかを指定するイベント履歴情報指定手段と、不確かさの要因毎に、不確かさを減ずるための措置を示す措置情報を記憶する措置情報記憶部と、をさらに備え、前記制御部は、前記イベント履歴情報指定手段によって指定された不確かさの要因に対応する措置情報を、前記表示部に表示させるように構成されているいてもよい。
【0011】
上記態様において、前記検体分析装置は、イベントに関連する不確かさを減ずるための措置を示す措置情報を記憶する措置情報記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記不確かさの要因に関する情報として、取得された前記イベント履歴情報に関連する不確かさを減ずるための措置を示す前記措置情報を、前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記検体分析装置は、検体の分析に使用される複数の試薬を設置するための試薬設置部をさらに備え、前記イベント履歴記憶部は、前記試薬設置部における試薬交換の履歴を示す操作履歴情報を記憶するように構成されており、前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関して使用された試薬の交換履歴を示す前記操作履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0013】
上記態様において、前記検体分析装置は、検体の分析に使用される検量線を示す情報を記憶する検量線記憶部をさらに備え、前記イベント履歴記憶部は、前記検量線記憶部に記憶された検量線の作成履歴を示す前記操作履歴情報を記憶するように構成されており、前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関して使用された検量線の作成履歴を示す前記操作履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0014】
上記態様において、前記検体分析装置は、精度管理物質を分析することで得られる精度管理結果を記憶する精度管理結果記憶部をさらに備え、前記イベント履歴記憶部は、精度管理結果が異常であった場合に、精度管理異常を示す前記エラー履歴情報を記憶するように構成されており、前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関する精度管理異常を示す前記エラー履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0015】
上記態様において、前記検体分析装置は、検体又は試薬を吸引するための吸引管を具備する分注部をさらに備え、前記イベント履歴記憶部は、前記分注部の吸引管の交換履歴を示す前記メンテナンス履歴情報を記憶し、前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果が得られる前の吸引管の交換履歴を示す前記メンテナンス履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0016】
上記態様において、前記イベント履歴記憶部に同一種類のイベント履歴情報が複数記憶されている場合、前記制御部は、前記イベント履歴記憶部に記憶されている複数の同一種類のイベント履歴情報から、所定の抽出条件に合致するイベント履歴情報を抽出し、抽出された前記イベント履歴情報を前記表示部に表示させるように構成されていてもよい。
【0017】
上記態様において、前記制御部は、イベントの種類毎に設けられた前記抽出条件にしたがって、前記イベント履歴情報を抽出するように構成されていてもよい。
【0018】
上記態様において、前記検体分析装置は、複数の測定項目のそれぞれについて検体を分析可能に構成されており、前記制御部は、前記分析結果指定手段により指定された分析結果における測定項目と同一の測定項目に関するイベント履歴情報を抽出することを含む前記抽出条件にしたがって、前記イベント履歴情報を抽出するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る検体分析装置によれば、検体の分析に影響を与える不確かさの要因に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る検体分析装置の構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態に係る検体分析装置が備える測定装置の概略構成を示す平面図。
【図3】図2に示す第1試薬分注ユニットの構成を示す側面図。
【図4】測定装置の回路構成を示すブロック図。
【図5】実施の形態に係る検体分析装置が備える情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図6】情報処理装置のハードディスク内に設けられているデータベースの構成を示す模式図。
【図7】実施の形態に係る情報処理装置による不確かさ要因表示処理の流れを示すフローチャート。
【図8】分析結果画面の一例を示す図。
【図9】不確かさ要因画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
[検体分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す斜視図である。検体分析装置1は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを処理して検体の分析結果を得るとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0023】
図2は、測定装置2の概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
【0024】
測定ユニット10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35,36とを備えている。
【0025】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、キュベットテーブル15、及び加温テーブル16のそれぞれは、円形状のテーブルであり、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
【0026】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0027】
検体分析装置1では、複数の分析項目について検体分析が可能である。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12には、分析項目に対応する種類の試薬がセットされる。試薬には使用期限が設定されており、残料が切れるか、使用期限が経過した場合には、ユーザによって試薬が交換される。第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に保持されている各試薬の種別及び保持位置の情報が、後述する測定装置2の制御部300に設けられたハードディスク304に記憶されている。これにより、検体の測定が行われるときに、検体の測定に使用する試薬がどの保持位置に配置されているかを特定することができる。
【0028】
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a,16aが形成されている。キュベット保持孔15a,16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0029】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、及びキュベットテーブル15の上面を覆うように、テーブルカバー17が設けられている。かかるテーブルカバー17は、試薬を交換するとき等に開放することができるようになっている。また、テーブルカバー17には、複数の孔(図示せず)が設けられている。第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25は、これら複数の孔を介して試薬の分注を行う。
【0030】
図3は、第1試薬分注ユニット23の構成を示す側面図である。第1試薬分注ユニット23は、図示の如く、駆動部23aと、アーム23bと、ピペット23cとを備えている。駆動部23aは、回転用モータ231と、昇降用モータ232と、回転用モータ231及び昇降用モータ232の動力を軸233に伝達する伝達機構234とを備えている。伝達機構234は、回転用モータ231の回転動力を減速して軸233に伝達するベルト伝動機構又はギヤ機構等、昇降用モータ232の回転動力を上下方向の直線動力に変換して軸233に伝達するベルト伝動機構又はラック・ピニオン機構等により構成されている。回転用モータ231の回転方向及び回転量はロータリーエンコーダ235によって、昇降用モータ232の回転方向及び回転量(つまり、ピペット23cの上下移動方向及び移動量)はロータリーエンコーダ236によってそれぞれ検出される。
【0031】
また、第1試薬分注ユニット23のピペット23cには、ピペット23cの先端が液面に接触していることを検知する接触式の静電容量センサ23dが接続されている。ピペット23cによって検体の吸引が行われる際に、ピペット23cが下げられて検体の液面に接触すると、その検出信号が静電容量センサ23dから出力される。
【0032】
また、アーム部23bには、ピペット23cの異常検出用の光学センサ23eが設けられている。ピペット23cは、下降中にその先端(下端)が障害物に当接すると、アーム部23bに対して相対的に上方へ移動可能となっている。光学センサ23eは、発光素子と受光素子とを有しており、通常は発光素子から発せられた光が受光素子によって受光されるが、ピペット23cがアーム部23bに対して上昇したときには発光素子からの光が遮られ、受光素子が前記光を受光しないような構成となっている。このように、光学センサ23eの受光素子の受光レベルの変化により、ピペット23cにピペット23cが障害物に当接したことを検出可能となっている。
【0033】
なお、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25の構成は、第1試薬分注ユニット23の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0034】
第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25のそれぞれのピペットは、交換可能である。ピペットの使用回数(分注回数)が所定数以上となった場合には、サービスマンによってピペットが交換される。
【0035】
図2に戻り、第1キャッチャユニット26は、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ(図示せず)により回転される。
【0036】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0037】
キュベット搬送器32及び希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベット及び希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
【0038】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔及びキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0039】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0040】
搬送ユニット50は、搬送路51を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0041】
図4は、測定装置2の回路構成を示すブロック図である。
【0042】
測定装置2は、制御部300と、分注ユニットステッピングモータ部312と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、液面センサ部323と、ピペット異常検出用センサ部324とを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
【0043】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、CPU301に測定装置2の各部を制御するための制御プログラムがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0044】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、分注ユニットステッピングモータ部312と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、分注ユニット原点センサ部332と、液面センサ部323と、ピペット異常検出用センサ部324とに接続されている。
【0045】
分注ユニットステッピングモータ部312は、前述した第1試薬分注ユニット23の回転用モータ231及び昇降用モータ232並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25それぞれの回転用モータ及び昇降用モータによって構成されている。これらの回転用モータ及び昇降用モータは、ステッピングモータである。
【0046】
分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、前述した第1試薬分注ユニット23のロータリーエンコーダ235、236並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれのロータリーエンコーダによって構成されている。つまり、分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転方向及び回転量を各別に検出可能な複数のロータリーエンコーダにより構成されている。分注ユニット原点センサ部332は、分注ユニットステッピングモータ部312に含まれる複数のステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを各別に検出する複数の原点センサにより構成されている。CPU301は、かかる分注ユニットロータリーエンコーダ部322及び分注ユニット原点センサ部332の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のアーム21a,22a,23a,24a,25aのそれぞれが、回転方向の原点位置から時計方向又は反時計方向へ何度回転したか、及び高さ方向の原点位置(基準高さ)から上方又は下方へどの程度移動したかを認識することができる。
【0047】
また、液面センサ部323は、前述した第1試薬分注ユニット23の静電容量センサ23d並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれの静電容量センサによって構成されている。CPU301は、かかる液面センサ部323の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のピペット21c、22c、23c、24c、25cのそれぞれが、液面に接触したか否かを認識することができる。
【0048】
ピペット異常検出用センサ部324は、前述した第1試薬分注ユニット23の光学センサ23e並びに第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第2試薬分注ユニット24及び第3試薬分注ユニット25それぞれの光学センサによって構成されている。CPU301は、かかるピペット異常検出用ンサ部324の出力信号を受け取ることにより、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のピペット21c、22c、23c、24c、25cのそれぞれの異常を検出することができる。
【0049】
図5は、情報処理装置3の構成を示すブロック図である。
【0050】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0051】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0052】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0053】
図6は、ハードディスク404内に設けられているデータベースの構成を示す模式図である。ハードディスク404には、検体分析結果を記憶する分析結果データベースDB101と、操作履歴データベースDB201と、エラー履歴データベースDB202と、メンテナンス履歴データベースDB203と、不確かさ情報データベースDB301と、検量線に関する情報を記憶する検量線データベースDB401と、精度管理結果を記憶する精度管理結果データベースDB402とが設けられている。
【0054】
分析結果データベースDB101には、検体毎に検体ID、分析日時(例えば、“2011/2/1 11:14”)、分析項目(例えば、“PT”)、測定データ(例えば、“10.6”)、異常情報、及び測定に使用された試薬のロット番号等からなるレコードが格納される。ここで、異常情報とは、検体が異常であることを示す情報であり、測定データが基準の範囲から外れた場合に生成される。測定データが基準の範囲内である場合には、分析結果データベースDB101に異常情報は格納されない。
【0055】
操作履歴データベースDB201には、操作毎に、操作を行ったユーザのユーザ名(例えば、“操作者A”)、操作が行われた日時(例えば、“2011/2/1 10:34”)、及び操作の種類(例えば、“ログオン”)等からなるレコードが格納される。また、エラー履歴データベースDB202には、発生したエラー毎に、エラー発生時点でログインしているユーザのユーザ名(例えば、“操作者A”)、エラーが発生した日時(例えば、“2011/2/1 11:12”)、及びエラーの種類(例えば、“ピペットクラッシュ”)等からなるレコードが格納される。ここで、“ピペットクラッシュ”とは、分注ユニットのピペットが障害物に当接して、正常に分注動作を行えない異常をいう。メンテナンス履歴データベースDB203には、メンテナンスを行ったユーザ名(例えば、“ユーザC”)、メンテナンスが実施された日時(例えば、2011/1/25 15:29)、及びメンテナンスの種類(例えば、“ピペット交換”)等からなるレコードが格納される。
【0056】
不確かさ情報データベースDB301には、不確かさ要因となるイベント(操作、エラー、及びメンテナンス)の種類と、不確かさを減少させるための対処法からなるレコードが格納される。
【0057】
検体分析装置1は、複数のユーザが使用可能であり、ユーザが検体分析装置1を使用する際には、“ログオン”の操作を実行する必要がる。ユーザによっては、検体分析装置1の操作に未熟な場合があり、このようなユーザがログオンしたときには正常な手順で操作が行われず、これが検体分析結果に影響することがある。したがって、操作“ログオン”は不確かさ要因に含まれる。
【0058】
また、試薬を交換した場合は、交換前の試薬と交換後の試薬とで試薬の状態が異なっていたり、種類が異なっていたり、ロットが異なっていたり、交換後の試薬の有効期限が切れていたりすることがある。このような場合には、試薬交換が検体分析結果に影響することになる。したがって、操作“試薬交換”は不確かさ要因に含まれる。かかる試薬交換による不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“交換した試薬のロット番号を確認してください。”、“交換した試薬を確認してください。”、及び“交換した試薬の有効期限を確認してください。”が登録されている。
【0059】
検量線は、検体の測定値(生データ)を分析値(例えば、濃度、活性、量等)に変換するためのデータである。かかる検量線は、試薬のロット毎に作成される。検量線の作成手順が不適切であったり、検量線の有効期限が切れているような場合には、当該検量線によっては正確な分析結果が得られないこととなる。つまり、検量線作成が検体分析結果に影響することがある。したがって、操作“検量線作成”は不確かさ要因に含まれる。かかる検量線作成による不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“作成された検量線を確認してください。”、“検量線測定に使用した試料を確認してください。”、及び“検量線の有効期限を確認してください。”が登録されている。
【0060】
上述したように、ピペットが障害物に当接したような場合には、ピペット異常検出用センサ部324によってこの異常が検出される。かかるピペット異常(“ピペットクラッシュ”)が発生した場合には、正常な検体分析が行われない。つまり、“ピペットクラッシュ”の発生は検体分析結果に影響する。したがって、エラー“ピペットクラッシュ”は不確かさ要因に含まれる。かかるピペットクラッシュによる不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“試薬容器が正しく設置されているか確認してください。”及び“試薬が不足していないか確認してください。”が登録されている。
【0061】
第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25にそれぞれ設けられたピペットは、使用回数が限られており、所定の使用回数に達すると交換が必要とされる。このため、検体分析装置1にあっては、各分注ユニットのピペット使用回数をカウントしており、ピペットの使用回数が所定値を越えると、ピペットの交換エラーを示すメッセージを表示するとともに、ピペット交換エラーの情報をエラー履歴データベースDB202に登録する。ピペットが交換時期を経過すると(使用回数が前記所定値を越えると)、正常に検体又は試薬を分注することができなくなる虞があり、検体又は試薬が正常に分注されなければ、正常に検体分析が行われない。したがって、エラー“ピペットの交換時期です”は不確かさ要因に含まれる。かかるピペット交換エラーによる不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“ピペットが交換されていることを確認してください。”及び“ピペットの交換前後の測定結果/精度管理結果を確認してください。”が登録されている。
【0062】
また、ピペット交換が正常に行われなかった場合にも、検体又は試薬を分注することができなくなる虞がある。したがって、メンテナンス“ピペットの交換が行われました”は不確かさ要因に含まれる。かかるピペット交換による不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“ピペットの動作回数を確認してください。”及び“プローブの交換前後の測定結果/精度管理結果を確認してください。”が登録されている。
【0063】
各分注ユニットのピペットは、分注動作の後に洗浄される。このピペットの洗浄が正常に行われなければ、次検体の測定のため分注動作が行われた際にコンタミネーションが生じ、正確な分析結果が得られなくなる虞がある。したがって、メンテナンス“ピペットが洗浄されました”は不確かさ要因に含まれる。かかるピペット洗浄による不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“ピペット洗浄前後の測定結果/精度管理結果を確認してください。”が登録されている。
【0064】
検体分析が正常に行われるためには、検体分析装置1が正常に動作することが必要である。したがって、検体分析装置1が正常な検体分析を行い得る状態であることを確認するために、検体分析装置の精度管理が行われている。精度管理では、所定の精度管理物質(コントロール)を検体分析装置1で測定し、その分析結果(以下、「精度管理結果」という。)が所定の範囲に入っていれば、当該検体分析装置1による分析結果は信頼性が高いと判断される。また、精度管理結果が所定の範囲から外れている場合には、精度管理エラーとして、エラー履歴データベースDB202に当該精度管理エラーに係るエラー情報が登録される。精度管理異常が発生すると、その後の検体分析結果は信頼性が低いため、エラー“精度管理異常”は不確かさ要因に含まれる。かかる精度管理異常による不確かさを減少するための対処法として、不確かさ情報データベースDB301には、“測定に使用したコントロール・試薬を確認してください。”及び“測定に使用したコントロール・試薬の有効期限を確認してください。”が登録されている。
【0065】
図5に戻り、引き続き情報処理装置3の構成について説明する。読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理装置3は、通信インターフェース410により測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0066】
[検体分析装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。
【0067】
<検体分析手順>
まず、検体の分析手順について説明する。検体の分析手順は、検体の測定項目(PT,APTT等)によって異なる。検体の測定項目は、測定オーダにより指定される。検体分析装置1では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないサーバ装置から測定オーダを受け付けることも可能である。
【0068】
ユーザは、検体分析を開始する前に、検体分析装置1にログオンを行う。具体的には、情報処理装置3の入力部408を操作して、ユーザ名及びパスワードを情報処理装置3に入力する。これにより、情報処理装置3のCPU401がユーザ認証処理を実行し、ユーザ認証に成功すれば、ユーザのログオンが実行される。このとき、操作履歴データベースDB201に、ログオン操作の履歴情報が登録される。
【0069】
複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、ユーザによって搬送路51の分析前ラック保持領域にセットされる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。検体容器61のバーコードには検体IDが記録されており、情報処理装置3は、読み取られた検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを取得する。
【0070】
続いて、検体ラック60が、搬送領域の所定の場所に位置づけられる。搬送領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
【0071】
検体の分注
第2キャッチャユニット27は、キュベット口34に供給されたキュベットを、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットする。第1検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。検体吐出後、第1検体分注ユニット21の分注部21cの洗浄が行われる。
【0072】
第1キャッチャユニット26は、キュベット口34に供給されたキュベットを、キュベット搬送器32のキュベット保持孔にセットする。第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、又は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、第2検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19又は54にて検体を吸引する。
【0073】
1つの検体について複数の測定項目を含む測定オーダが取得された場合、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされたキュベットから、測定項目数分のキュベットに検体が小分けされる(二次分注)。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
【0074】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出(二次分注)されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。
【0075】
検体の加温
キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
【0076】
検体が加温された後、検体にトリガ試薬が混和される。測定項目によっては、所定時間検体が加温された後、中間試薬がキュベット内に分注され、再度キュベットが所定時間加温された後、トリガ試薬が分注されるものもある。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬(トリガ試薬)が分注され、その後検出ユニット40において光学測定される。
【0077】
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内のトリガ試薬が吸引され、試薬吐出位置39a又は39bにてトリガ試薬が吐出される。
【0078】
次に、加温された検体に中間試薬が混和された後、再度加温される場合について説明する。例えば、測定項目がAPTTの場合、加温された検体を収容するキュベットにAPTT試薬(中間試薬)が分注され、再度加温テーブル16において2分間加温される。その後、当該キュベット内に塩化カルシウム溶液(トリガ試薬)が分注され、検出ユニット40において光学測定される。このように検体を2回加温する測定項目の場合、加温テーブル16において検体が所定時間加温された後、第2キャッチャユニット27が、保持孔16aにセットされた当該検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の中間試薬を吸引し、試薬吐出位置38にて中間試薬を吐出する。こうして、中間試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0079】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内のトリガ試薬を吸引し、試薬吐出位置39a又は39bにてトリガ試薬を吐出する。
【0080】
測光
上記のようにトリガ試薬が吐出された後には、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。その後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0081】
検出ユニット40による光学測定が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。
【0082】
測定データ解析
検出ユニット40によって検出された光学的情報は、情報処理装置3へと送信される。情報処理装置3のCPU401は、取得した光学的情報(測定データ)を対応する検量線に適用して検体の分析結果(分析値)を得る。こうして得られた分析結果は、検体ID等の検体情報と対応付けてハードディスク404の分析結果データベースDB101に記憶され、表示部409に出力される。
【0083】
<イベント履歴の記録>
本実施の形態に係る検体分析装置1においては、イベント発生の都度、イベント履歴データベース(操作履歴データベースDB201、エラー履歴データベースDB202、及びメンテナンス履歴データベースDB203)にイベント履歴が記録される。以下、イベント履歴の記録について、複数の例を示して説明する。
【0084】
ユーザは、検体分析装置の使用を開始する前に、検体分析装置1にログオンを行う。具体的には、情報処理装置3の入力部408を操作して、ユーザ名及びパスワードを情報処理装置3に入力する。これにより、情報処理装置3のCPU401がユーザ認証処理を実行し、ユーザ認証に成功すれば、ユーザのログオンが実行される。かかるイベントが発生したときには、操作履歴データベースDB201にログオン操作の履歴情報が登録される。
【0085】
ユーザは、分析を開始する前又は分析の途中において、試薬切れ又は試薬の有効期限切れが生じた場合には、試薬を交換する必要がある。試薬交換を実行するには、ユーザが情報処理装置3の入力部408を使用して、交換対象の試薬を指定して、試薬の交換を指示する。検体分析装置1は、かかる指示を受け付けると、交換対象の試薬を取り出し、及び新しい試薬を設置するための動作(試薬交換動作)を実行する。これによって、ユーザが古い試薬を検体分析装置1から取り出し、新たな試薬を設置する。新たな試薬が検体分析装置1の第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に設置されると、試薬容器に貼布されたバーコードラベルからバーコードリーダ(図示せず)によって試薬情報が読み出され、試薬情報(試薬の種類、ロット番号、残料、有効期限等)が試薬情報データベース(図示せず)に登録され、試薬交換が完了する。試薬交換が実行されたときには、操作履歴データベースDB201に試薬交換の履歴情報が登録される。
【0086】
検量線は試薬のロット毎に作成される。即ち、上記のようにして試薬交換が行われ、交換前後で試薬のロットが変更されると、新たな試薬についての検量線を作成する必要がある。検量線の作成は、ユーザが情報処理装置3の入力部408を使用して、検量線作成の指示を検体分析装置1に与えることにより開始される。
【0087】
検量線は、検量線作成用の標準物質(キャリブレータ)を検体分析装置1で測定することにより実施される。キャリブレータの測定は、上述した検体の分析と同様の手順で行われる。キャリブレータは濃度が既知であるため、キャリブレータの測定値(光学情報)と濃度との関係のグラフが作成される。当該グラフが検量線として検量線データベースDB401に登録される。このような検量線作成が実行されたときには、操作履歴データベースDB201に検量線作成の履歴情報が登録される。
【0088】
検体又は試薬の分注動作においては、ピペットが試薬容器又はキュベットの上方から下降し、ピペットの先端が液面に接触したことを液面センサが検出し、その液面位置から所定距離下降した後、ピペットの下降が停止し、ピペットによって試薬又は検体が吸引される。ピペットの先端が障害物(例えば試薬容器又はキュベットの開口縁部)に衝突する場合には、液面センサによる液面検出の前に、ピペット異常センサ部324によってピペットの障害物への当接が検出される。この場合に、ピペット異常(ピペットクラッシュ)が発生したと判断される。検体分析動作の実行中に、ピペット異常検出用センサ324によってピペット異常が検出されると、検体分析動作が中断され、ピペット異常発生のメッセージが表示部409に出力される。また、これとともに、エラー履歴データベースDB202に当該ピペット異常に係る履歴情報が登録される。
【0089】
検体分析が実行によりピペットが使用され、ピペットの使用回数が所定値を越えた場合には、ピペット交換エラーが発生する。このとき、ピペット交換エラー発生のメッセージが表示部409に出力されるとともに、エラー履歴データベースDB202に当該ピペット交換エラーに係る履歴情報が登録される。
【0090】
また、ピペットの交換が必要になった場合には、サービスマン又はユーザによってピペット交換が実施される。ピペット交換を実行するには、サービスマン又はユーザが情報処理装置3の入力部408を使用して、交換対象のピペットを指定して、ピペットの交換を指示する。検体分析装置1は、かかる指示を受け付けると、交換対象のピペットを取り外し、新しいピペットを取り付けるための動作(ピペット交換動作)を実行する。これによって、ユーザが古いピペットを検体分析装置1から取り外し、新たなピペットを取り付ける。新たなピペットが検体分析装置1の分注ユニットに取り付けられると、ピペットの残使用回数がリセットされ、ピペット交換が完了する。ピペット交換が実行されたときには、メンテナンス履歴データベースDB201にピペット交換の履歴情報が登録される。
【0091】
ピペットは分注動作の都度洗浄が実行されるが、これとは別により強力な洗浄を行うことも可能である。かかるピペット洗浄は、サービスマン又はユーザによって実施される。ピペット洗浄を実行するには、サービスマン又はユーザが情報処理装置3の入力部408を使用して、ピペット洗浄動作の開始を指示する。検体分析装置1は、かかる指示を受け付けると、洗浄液(図示せず)によってピペットを洗浄する動作を実行する。ピペット洗浄が実行されたときには、メンテナンス履歴データベースDB201にピペット洗浄の履歴情報が登録される。
【0092】
精度管理は、1日の最初に検体分析装置1を起動した直後(即ち、1日の検体分析が開始される前)等、少なくとも1日に1度、適宜のタイミングで実行される。かかる精度管理は、検体分析装置1によってコントロールを測定することにより行われる。精度管理は、ユーザが情報処理装置3の入力部408を使用して、精度管理測定開始の指示を検体分析装置1に与えることにより開始される。
【0093】
検体分析装置1によるコントロールの測定は、上述した検体の分析と同様の手順で行われる。コントロールの分析値(精度管理結果)が所定の上限値及び下限値の間に収まっているか否かにより、その検体分析装置1が正常か異常かが判断される。このような精度管理が実行されたときには、操作履歴データベースDB201に精度管理の履歴情報が登録される。
【0094】
また、精度管理結果が所定の上限値及び下限値の間に収まっていない場合には、精度管理異常が発生したと判断され、精度管理異常発生のメッセージが表示部409に出力される。また、これとともに、エラー履歴データベースDB202に当該精度管理異常に係る履歴情報が登録される。
【0095】
上記のイベント履歴は一例であり、検体分析装置1においては、上記のようなイベント以外の様々なイベントが発生した場合にも、イベント履歴が記録されるようになっている。
【0096】
<不確かさ要因表示動作>
本実施の形態1に係る検体分析装置1は、当該検体分析装置1の分析結果に関連する不確かさの要因を出力することが可能である。この不確かさ要因表示動作は、情報処理装置3のCPU401が下記の不確かさ要因表示処理を実行することにより実現される。
【0097】
図7は、本実施の形態に係る情報処理装置3による不確かさ要因表示処理の流れを示すフローチャートである。情報処理装置3は、上記のように分析結果データベースDB101に過去の検体分析結果の情報を記憶している。かかる情報処理装置3では、分析結果データベースDB101に登録されている検体分析結果を表示することが可能である。かかる検体分析結果の表示を行う場合には、ユーザが入力部408を操作して、情報処理装置3へ検体分析結果の表示を指示する必要がある。CPU401は、ユーザから検体分析結果の表示指示を受け付けると(ステップS101)、分析結果データベースDB101に登録されている分析結果を読み出し、表示部409に表示させる(ステップS102)。
【0098】
図8は、分析結果画面の一例を示す図である。分析結果画面D101には、分析結果領域A101が設けられており、この分析結果領域A101に分析結果情報が一覧表示されるようになっている。分析結果領域A101は、検体番号、検体分析の日時、分析項目(測定項目)、及び分析結果(測定結果)の各表示欄F101,F102,F103,F104が設けられている。また、分析結果領域A101のそれぞれの行は1つずつ分析結果に対応しており、ユーザがマウスでクリック操作を行うことで任意の行を選択可能である。分析結果領域A101の右方には、不確かさ要因を抽出するためのボタンB101が設けられている。かかるボタンB101は選択可能なコントロールオブジェクトである。
【0099】
上述した分析結果画面D101において、ユーザは分析結果を確認することができる。ここで、分析結果が一覧で表示されることで、ユーザは各分析結果を比較して、特徴的な分析結果を容易に判断することができる。例えば、ある分析結果が他の分析結果に比べて突出して高い又は低い場合、その分析結果は特徴的であるといえる。このようにある分析結果が他の分析結果と顕著に異なるような場合、それが検体の性状を正確に現したものであるのか、不確かさの影響によるものであるのかが問題となる。つまり、検体分析結果の不確かさが大きい場合には、ある分析結果が他の分析結果と顕著に異なっていても、それが不確かさの要因による影響を受けた結果であることが考えられる。したがって、検体分析装置1における分析結果の信頼性を高めるには、不確かさの要因による分析結果への影響を可及的に低減することが重要である。このため、本実施の形態に係る検体分析装置1にあっては、任意の検体分析結果を選択し、選択された検体分析結果に関連する不確かさの要因を表示可能とされている。ユーザは、不確かさの要因を知りたい分析結果を指定し、不確かさの要因の表示指示を情報処理装置3に与えることで、選択された分析結果に関連する不確かさの要因を表示させることができる。
【0100】
CPU401は、ユーザから1つの分析結果の選択を受け付け、さらにボタンB101の選択を受け付けることで、不確かさ要因の抽出指示を受け付ける(ステップS103)。かかる入力を受け付けるまで、CPU401は分析結果画面D101の表示を維持する(ステップS103においてNO)。ステップS103において不確かさ要因の抽出指示を受け付けた場合には(ステップS103においてYES)、CPU401は、指定された分析結果に関連するイベント情報を操作履歴データベースDB201,エラー履歴データベースDB202,メンテナンス履歴データベースDB203から読み出す(ステップS104)。
【0101】
ステップS104の処理について詳細に説明する。指定された分析結果には、分析日時及び測定項目の情報が含まれる。ステップS104の処理において、イベント情報が分析結果に関連するか否かは、イベントの種類により異なる判断基準によって判断される。ユーザによる操作が行われたとき、その操作の実施日時よりも後に得られた分析結果において、操作による不確かさの影響が現れる。したがって、ステップS104においては、イベントの種類が操作の場合、操作履歴データベースDB201に記録された操作情報のうち、分析日時よりも前に実施された操作の情報が取得される。例えば、分析日時が2011年2月1日の11時00分の場合、2011年2月1日の11時00分より前に発生した操作情報が取得される。これは、操作履歴データベースDB201に記録された操作情報に含まれる日時情報により判断される。
【0102】
また、同一の操作が2回以上実施されている場合には、直前に実施された操作は分析結果の不確かさの要因となりうるが、2回以上前に実施された操作は分析結果の不確かさの要因とはならない。したがって、ステップS104においては、操作履歴データベースDB201に記録された同一の操作に関する2以上の操作情報のうち、指定された分析結果に係る分析日時の直前に実施された操作情報のみが原則として取得され、それより前の操作情報は原則として取得されない。
【0103】
ここで試薬交換の操作については、2回以上前に実施された試薬交換のイベント情報も取得される場合がある。これは、試薬が複数種類存在することによる。つまり、トリガー試薬と希釈液とはそれぞれ別個の試薬容器に収容されており、各試薬は独立して交換される。トリガー試薬の交換は、その測定項目の分析結果の不確かさの要因となりうる。同様に、希釈液は各測定項目共通の試薬であり、何れの測定項目の分析結果についても不確かさの要因となりうる。したがって、ステップS104においては、分析結果の直前のトリガー試薬の交換及び希釈液の交換のそれぞれのイベント情報がどちらも取得される。また、トリガー試薬だけでなく、中間試薬を使用する測定項目については、中間試薬の交換も、その測定項目の分析結果についての不確かさの要因となりうる。したがって、ステップS104においては、中間試薬を使用する測定項目に係る分析結果が指定された場合には、その分析日時の直前のトリガー試薬の交換、希釈液の交換、及び中間試薬の交換のそれぞれのイベント情報が全て取得される。
【0104】
また、サービスマン又はユーザによってメンテナンスが行われた場合には、そのメンテナンスの実施日時よりも後に得られた分析結果において、メンテナンス作業による不確かさの影響が現れる。したがって、ステップS104においては、イベントの種類がメンテナンスの場合、メンテナンス履歴データベースDB203に記録されたメンテナンス情報のうち、分析日時よりも前に実施されたメンテナンスの情報が取得される。例えば、分析日時が2011年2月1日の11時00分の場合、2011年2月1日の11時00分より前に発生したメンテナンス情報が取得される。これは、メンテナンス履歴データベースDB203に記録されたメンテナンス情報に含まれる日時情報により判断される。
【0105】
また、同一のメンテナンス作業が2回以上実施されている場合には、直前に実施されたメンテナンス作業は分析結果の不確かさの要因となりうるが、2回以上前に実施されたメンテナンス作業は分析結果の不確かさの要因とはならない。したがって、ステップS104においては、メンテナンス履歴データベースDB203に記録された同一のメンテナンス項目に関する2以上のメンテナンス情報のうち、指定された分析結果に係る分析日時の直前に実施されたメンテナンス情報のみが取得され、それより前のメンテナンス情報は取得されない。
【0106】
一方、エラーについては、エラーの項目によって、分析結果の前に発生したエラーだけでなく、分析結果の後に発生したエラーが不確かさの要因となることがある。例えば、精度管理は検体の分析を開始する前と、検体分析の終了後の両方で実施される場合がある。この場合、検体分析開始前に実施された精度管理と、検体分析終了後に実施された精度管理の何れか一方において異常が発生していれば、その精度管理エラーは、両精度管理の間に実施された検体分析における不確かさの要因となる。したがって、精度管理エラーに関しては、ステップS104において、検体分析結果に係る分析日時の直前の精度管理エラー又は分析日時の直後の精度管理エラーが取得される。これは、エラー履歴データベースDB202に記録されたエラー情報に含まれる日時情報により判断される。また、分析日時よりも2回以上前に発生した精度管理エラーは、不確かさの要因とはならないため、ステップS104において取得されない。
【0107】
また、精度管理エラーが発生していたとしても、その後の精度管理結果が正常となった場合には、検体分析装置1の分析結果の信頼性は回復している。つまり、分析日時よりも前に精度管理エラーが発生していても、その精度管理エラーの発生日時よりも後であって、前記分析日時よりも前に得られた精度管理結果が正常の場合には、前記精度管理エラーは分析結果の不確かさの要因とはならない。したがって、ステップS104において、かかる精度管理エラーは取得されない。
【0108】
精度管理エラー以外のエラー、例えば、ピペットクラッシュについては、そのエラーの発生日時よりも後に得られた分析結果において、エラーによる不確かさの影響が現れる。したがって、ステップS104においては、イベントの種類がエラーの場合、エラー履歴データベースDB202に記録されたエラー情報のうち、分析日時よりも前に発生したエラーの情報が取得される。
【0109】
また、同一のエラーが2回以上発生している場合には、直前に発生したエラーは分析結果の不確かさの要因となりうるが、2回以上前に発生したエラーは分析結果の不確かさの要因とはならない。したがって、ステップS104においては、エラー履歴データベースDB202に記録された同一のエラーに関する2以上のエラー情報のうち、指定された分析結果に係る分析日時の直前に発生したエラー情報のみが取得され、それより前のエラー情報は取得されない。
【0110】
また、分析日時よりも長期間前のイベントは、その分析結果に関して不確かさの要因とはならないと考えられる。そこで、ステップS104においては、分析日時よりも所定期間以前のイベント情報は取得されない。この所定期間は、予め検体分析装置1に設定された値である(例えば、1ヶ月)。
【0111】
また、ステップS104において取得されるイベント情報は、指定された分析結果の測定項目に関連するイベント情報とされる。イベントには、特定の測定項目に関連するイベントと、全ての測定項目に共通のイベントとが含まれる。例えば、試薬は測定項目毎に設けられているため、試薬交換は特定の測定項目に関連するイベントである。また、検量線作成及び精度管理も特定の測定項目について実行されるイベントである。したがって、指定された分析結果の測定項目が“PT”の場合には、“PT”の試薬交換のイベント情報、“PT”の検量線作成のイベント情報、“PT”の精度管理に関するイベント情報等が取得され、他の測定項目(例えば、“APTT”等)に関するイベント情報は取得されない。一方、全ての測定項目に共通のイベントには、例えば、ピペット異常、ピペット交換エラー、ピペット交換、ピペット洗浄等が含まれる。
【0112】
ステップS104の処理が終了すると、CPU401は、取得されたイベント情報の中から不確かさ要因に関するイベント情報を抽出する(ステップS105)。以下、この処理について詳しく説明する。イベント情報には、不確かさ要因に関連するものと、関連しないものとが含まれる。不確かさ要因に関連するイベントは、不確かさ要因データベースDB301に予め登録されている。ステップS105において、CPU401は、取得されたイベント情報のイベントの種類(操作の種類、エラーの種類、又はメンテナンスの種類)を、不確かさ要因データベースDB301に登録されている不確かさ要因のイベントの種類と照合し、合致する不確かさ要因に関連するイベント情報のみを抽出する。これにより、過去に生じたイベントのうち、指定された分析結果に関連しており、且つ、不確かさ要因に関連するイベントの情報のみが取得される。
【0113】
ステップS105の処理が終了すると、CPU401は、抽出された不確かさ要因画面を表示する(ステップS106)。図9は、不確かさ要因画面の一例を示す図である。図9に示すように、不確かさ要因画面D201には、イベント情報表示領域A201と、対処法表示領域A202とが設けられている。イベント情報表示領域A201は、ステップS105において取得されたイベント情報がリスト表示される。かかるイベント情報表示領域A201には、イベントのカテゴリ(操作、エラー、メンテナンス)の表示欄F201と、イベントの内容(種類)の表示欄F202と、イベントの発生日時の表示欄F203と、操作者、即ち、イベントが発生したときにログオンしていたユーザの名前の表示欄F204とが設けられている。イベント情報表示領域A201のそれぞれの行は1つずつイベント情報に対応しており、ユーザがマウスでクリック操作を行うことで任意の行を選択可能である。
【0114】
CPU401は、イベント情報表示領域A201に表示されているイベント情報の1つの指定を受け付けたか否かを判別し(ステップS107)、イベント情報の指定を受け付けない場合には(ステップS107においてNO)、処理をステップS110へ移す。一方、イベント情報の指定を受け付けた場合には(ステップS107においてYES)、CPU401は、指定されたイベント情報に対応する不確かさへの対処法の情報(以下、「対処法情報」という。)を不確かさ要因データベースDB301から読み出し(ステップS108)、読み出された対処法情報を不確かさ要因画面D201の対処法表示領域A202に表示させる(ステップS109)。
【0115】
対処法表示領域A202に表示されている対処法情報は、選択されているイベントに関する不確かさを減少するための方法を示している。したがって、ユーザは、対処法表示領域A202に表示されている対処法を実践することで、検体分析結果に影響する不確かさを減少させることが可能である。このため、例えば、ユーザは不確かさ要因画面D201のイベント情報表示領域A201に表示されているイベント情報から、検体分析結果に影響を強く及ぼしていると考えられるものを指定すれば、このイベントに関連する不確かさを減少するための対処法情報が対処法表示領域A202に表示され、どのようにすれば不確かさを減少させることができるのかを容易に知ることができる。
【0116】
ユーザは、不確かさ要因画面の表示を終了させる場合には、入力部408を操作して、不確かさ要因表示処理の終了指示を情報処理装置3に与える。CPU401は、終了指示を受け付けたか否かを判別し(ステップS110)、終了指示を受け付けていない場合には(ステップS110においてNO)、ステップS107へ処理を戻す。一方、ステップS110において終了指示を受け付けた場合には(ステップS110においてYES)、CPU401は、処理を終了する。
【0117】
上記のように、本実施の形態にかかる検体分析装置1においては、不確かさ要因画面D201において、不確かさ要因に関連するイベント情報が表示されるため、ユーザはかかるイベント情報を利用して、不確かさの要因が何であるかを分析することができる。また、不確かさ要因画面D201には、指定されたイベント情報に関連する不確かさを減少させるための対処法情報が表示されるため、ユーザはどのようにすれば不確かさを減少させることができるのかを容易に知ることができ、また、この対処法を実践することで、検体分析結果に影響を及ぼす不確かさを減少させることができる。
【0118】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、分析結果画面D101において過去の検体分析結果を一覧表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、1つの検体分析結果のみを詳細に表示する画面に、不確かさ要因画面を呼び出すためのボタン又はアイコン等を設け、当該ボタン又はアイコンが選択されることで、不確かさ要因画面の表示の指示を受け付けたときに、検体分析結果の表示画面から不確かさ要因画面へと表示が切り替わる構成としてもよい。また、本実施の形態においては、検体分析結果が異常と判断された場合に、異常を示す情報を含む分析結果情報が分析結果データベースDB101に登録される。このように異常と判断された分析結果を、異常と判断されなかった分析結果と区別可能な状態で分析結果画面に表示することもできる。異常と判断された分析結果は、不確かさ要因の影響を強く受けている可能性があるため、このようにすることで、異常と判断された分析結果に関連するイベント情報を不確かさ要因画面において容易に確認することができる。異常と判断された分析結果に関連するイベント情報は、検体分析結果に強く影響する不確かさの要因を含む可能性が高いため、このようにすることでユーザが不確かさ要因の分析を適切に実施することができる。
【0119】
また、上述した実施の形態においては、不確かさ要因データベースDB301に記憶されている対処法情報を不確かさ要因画面D201の対処法表示領域A202に表示させる
旨が記載されているが、対処法の優先度、すなわち効果的に不確かさを減少できる順を設定できる構成とすることもできる。
【0120】
また、上述した実施の形態においては、不確かさ要因画面D201において、不確かさ要因に関連するイベント情報と、不確かさを減ずるための対処法情報とが表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、不確かさ要因に関連するイベント情報が表示され、対処法情報が表示されない構成とすることもできる。また、表示されているイベント情報のうちの1つが選択されたときに、その選択されたイベント情報に関連する対処法情報が表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。表示されているイベント情報の全てについて、関連する対処法情報が表示される構成としてもよい。また、不確かさ要因に関連するイベント情報は表示されず、指定された分析結果に関連するイベント情報に対応する対処法情報が表示される構成とすることもできる。
【0121】
また、上述した実施の形態においては、分析結果画面に複数の分析結果が表示され、表示されている分析結果のうちの1つが選択されたときに、選択された分析結果に関連するイベント情報が不確かさ要因画面D201に表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、検体番号、患者氏名等の検索キーのユーザからの入力を受け付けることで分析結果の指定を受け付け、入力された検索キーを含む検体分析結果を分析結果データベースから検索し、検索された分析結果に関連するイベント情報及び対処法情報の少なくとも一方が表示される構成としてもよい。
【0122】
また、上述した実施の形態においては、検体分析装置1を血液凝固測定装置とする構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体分析装置を、血球計数装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、又は尿定性分析装置のような血液凝固測定装置以外の検体分析装置とし、情報処理装置3によってその検体分析装置の不確かさの要因のイベント情報を表示する構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る検体分析装置は、血液、尿等の検体を分析する検体分析装置等として有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 検体分析装置
2 測定装置
3 情報処理装置
10 測定ユニット
40 検出ユニット
50 搬送ユニット
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 ハードディスク
405 読出装置
406 入出力インターフェース
407 画像出力インターフェース
408 入力部
409 表示部
410 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する検体分析装置であって、
前記検体分析装置による検体の分析結果を記憶する分析結果記憶部と、
前記分析結果記憶部に記憶された分析結果のうちの何れかを指定する分析結果指定手段と、
前記検体分析装置において過去に発生したイベントを示すイベント履歴情報を記憶するイベント履歴記憶部と、
表示部と、
前記分析結果指定手段により指定された分析結果に関連するイベント履歴情報を前記イベント履歴記憶部から取得し、取得されたイベント履歴情報に基づいて、前記分析結果の不確かさの要因に関する情報を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える、検体分析装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記不確かさの要因に関する情報として、前記分析結果の不確かさの要因であるイベントを示すイベント履歴情報を、前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項3】
分析結果の不確かさの要因であるイベントの種類を示すイベント種類情報を記憶するイベント種類情報記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記分析結果指定手段により指定された分析結果に関連するイベント履歴情報を前記イベント履歴記憶部から読み出し、前記イベント種類情報記憶部に記憶されたイベント種類情報に基づいて、読み出されたイベント履歴情報から、前記分析結果の不確かさの要因であるイベントを示すイベント履歴情報を抽出するように構成されている、
請求項2に記載の検体分析装置。
【請求項4】
前記表示部に表示されている不確かさの要因であるイベントの何れかを指定するイベント履歴情報指定手段と、
不確かさの要因毎に、不確かさを減ずるための措置を示す措置情報を記憶する措置情報記憶部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記イベント履歴情報指定手段によって指定された不確かさの要因に対応する措置情報を、前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項2又は3に記載の検体分析装置。
【請求項5】
イベントに関連する不確かさを減ずるための措置を示す措置情報を記憶する措置情報記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記不確かさの要因に関する情報として、取得された前記イベント履歴情報に関連する不確かさを減ずるための措置を示す前記措置情報を、前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1に記載の検体分析装置。
【請求項6】
検体の分析に使用される複数の試薬を設置するための試薬設置部をさらに備え、
前記イベント履歴記憶部は、前記試薬設置部における試薬交換の履歴を示す操作履歴情報を記憶するように構成されており、
前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関して使用された試薬の交換履歴を示す前記操作履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至5の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項7】
検体の分析に使用される検量線を示す情報を記憶する検量線記憶部をさらに備え、
前記イベント履歴記憶部は、前記検量線記憶部に記憶された検量線の作成履歴を示す前記操作履歴情報を記憶するように構成されており、
前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関して使用された検量線の作成履歴を示す前記操作履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項8】
精度管理物質を分析することで得られる精度管理結果を記憶する精度管理結果記憶部をさらに備え、
前記イベント履歴記憶部は、精度管理結果が異常であった場合に、精度管理異常を示す前記エラー履歴情報を記憶するように構成されており、
前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果に関する精度管理異常を示す前記エラー履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至7の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項9】
検体又は試薬を吸引するための吸引管を具備する分注部をさらに備え、
前記イベント履歴記憶部は、前記分注部の吸引管の交換履歴を示す前記メンテナンス履歴情報を記憶し、
前記制御部は、分析結果指定手段により指定された分析結果が得られる前の吸引管の交換履歴を示す前記メンテナンス履歴情報を、イベント履歴情報として前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至8の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項10】
前記イベント履歴記憶部に同一種類のイベント履歴情報が複数記憶されている場合、前記制御部は、前記イベント履歴記憶部に記憶されている複数の同一種類のイベント履歴情報から、所定の抽出条件に合致するイベント履歴情報を抽出し、抽出された前記イベント履歴情報を前記表示部に表示させるように構成されている、
請求項1乃至9の何れかに記載の検体分析装置。
【請求項11】
前記制御部は、イベントの種類毎に設けられた前記抽出条件にしたがって、前記イベント履歴情報を抽出するように構成されている、
請求項10に記載の検体分析装置。
【請求項12】
前記検体分析装置は、複数の測定項目のそれぞれについて検体を分析可能に構成されており、
前記制御部は、前記分析結果指定手段により指定された分析結果における測定項目と同一の測定項目に関するイベント履歴情報を抽出することを含む前記抽出条件にしたがって、前記イベント履歴情報を抽出するように構成されている、
請求項10又は11に記載の検体分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−208099(P2012−208099A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76083(P2011−76083)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】