説明

検出基板およびその製造方法

【課題】検出感度のむらが低減された検出基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基材2の厚さ方向の一方の面上に、基材2の面方向のうちの一方向へ延びて設けられた複数の第一配線電極4と、複数の第一配線電極4のそれぞれに複数形成され、複数の第一配線電極4が延びる方向に互いに離間し、複数の第一配線電極4が延びる方向と交差する方向に張り出しており、複数の第一配線電極4よりも電気抵抗が大きい第一検出電極5と、基材2の厚さ方向の両面のいずれか一方に、複数の第一配線電極4が延びる方向と交差する一方向へ延びて設けられた複数の第二配線電極6と、複数の第二配線電極6のそれぞれに複数形成され、複数の第二配線電極6が延びる方向に互いに離間し、複数の第二配線電極6が延びる方向と交差する方向に張り出しており、複数の第二配線電極6よりも電気抵抗が大きい第二検出電極7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルやタッチパッドなどの入力装置においては、指やスタイラスペンなどの入力体を接近あるいは接触させるための面が設けられており、入力体が接近あるいは接触したことを検出するための検出基板がこの面と平行に設けられている。
たとえば特許文献1には、第1の基板の面上に互いに平行に配置された第1の帯状電極と、第1の基板の厚さ方向に重ねられた第2の基板の面上に第1の帯状電極とは異なる方向に互いに平行に配置された第2の帯状電極と、を備える入力装置を製造する方法が開示されている。
特許文献1には、第1及び第2の帯状電極の材質として、ITO、IZOなどの透明な導電性材料を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の入力装置では、第1及び第2の帯状電極によって、入力体が接近あるいは接触したことを検出するための検出領域が構成されている。しかしながら、特許文献1に記載の入力装置では、第1及び第2の帯状電極がITO、IZOなどを用いて形成されているので、金属を用いる場合よりも帯状電極の電気抵抗が大きい。帯状電極の電気抵抗が大きいと、帯状電極の一端から他端に行くに従って徐々に検出感度が低下する。このため、検出領域内における検出感度にむらが発生するおそれがある。
また、帯状電極の電気抵抗を下げるために帯状電極の材料として金属を採用する場合には、たとえば銀ペーストなど金属粒子を含有するペーストを用いてパターン形成を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、銀ペーストをスクリーン印刷によって基材上に形成するので、銀ペーストの使用量が多く、検出基板を製造するための製造コストが高くなるおそれもある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、検出感度のむらが低減された検出基板およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の検出基板は、薄板状の基材と、前記基材上に形成された電極部とを有し、前記電極部に近接あるいは接触する入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出基板であって、前記電極部は、前記基材の厚さ方向の一方の面上に、前記基材の面方向のうちの一方向へ延びて設けられた複数の第一配線電極と、前記複数の第一配線電極のうちの1つと接して前記複数の第一配線電極のそれぞれに複数形成され、前記複数の第一配線電極が延びる方向に互いに離間し、前記複数の第一配線電極が延びる方向と交差する方向へ張り出しており、前記複数の第一配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる第一検出電極と、前記基材の厚さ方向の両面のいずれか一方に、前記複数の第一配線電極が延びる方向と交差する一方向へ延びて設けられた複数の第二配線電極と、前記基材の厚さ方向から見たときに前記第一検出電極と重ならない位置に配置され、前記複数の第二配線電極のうちの1つと接して前記複数の第二配線電極のそれぞれに複数形成され、前記複数の第二配線電極が延びる方向に互いに離間し、前記複数の第二配線電極が延びる方向と交差する方向へ張り出しており、前記複数の第二配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる第二検出電極と、を有することを特徴とする検出基板である。
【0007】
また、前記第一配線電極および前記第二配線電極は金属からなり、前記第一検出電極および前記第二検出電極は非金属からなることが好ましい。
【0008】
また、前記第一配線電極、前記第二配線電極、前記第一検出電極、および前記第二検出電極は、光透過性を有していてもよい。
【0009】
本発明の検出基板の製造方法は、入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出基板の製造方法であって、厚さを有する基材の厚さ方向の両面の少なくともいずれかの面上に、前記基材の面方向のうちの一方向へ延びる複数の配線電極を形成する配線電極形成工程と、前記配線電極形成工程の後、前記配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる検出電極を、前記配線電極が延びる方向に間隔をあけ、且つ前記配線電極が延びる方向と交差する方向に張り出して前記配線電極の上に複数形成する検出電極形成工程と、を備えることを特徴とする検出基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検出基板およびその製造方法によれば、第一配線電極および第二配線電極の電気抵抗が、第一検出電極および第二検出電極の電気抵抗よりも低いので、第一配線電極および第二配線電極の一端から他端へ行くに従う検出感度の低下を抑制することができ、検出感度のむらを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の検出基板を示す図で、(A)は平面図、(B)は裏面図である。
【図2】図1(A)のA−A線における断面図である。
【図3】(A)および(B)は、同検出基板の製造工程を示す工程説明図である。
【図4】同検出基板の製造工程を示すフローチャートである。
【図5】同検出基板の他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態の検出基板1およびその製造方法について説明する。
図1は、本実施形態の検出基板1を示す図で、(A)は平面図、(B)は裏面図である。図2は、図1(A)のA−A線における断面図である。
図1(A)に示すように、検出基板1は、平面視において四角形の一辺が矩形状に突出した形状に形成されており、導体からなる入力体100(図2参照)との間の静電容量の変化を検出するための検出回路Dに接続されて使用されるものである。本実施形態では、入力体100としてたとえば人の指やスタイラスペンなどを用いることができる。
【0013】
図1(A)、図1(B)、および図2に示すように、検出基板1は、薄板状の基材2と、基材2の厚さ方向の両面に設けられた電極部3と、電極部3に接続された配線部8とを備える。
基材2は、絶縁性を有し、薄板状に形成されている。本実施形態では、基材2の厚さ方向と、検出基板1の厚さ方向とは同じ向きである。基材2の材料としては、たとえば、ポリアクリル、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ABS樹脂などを適宜選択して採用することができる。
【0014】
電極部3は、第一配線電極4と、第一検出電極5と、第二配線電極6と、第二検出電極7とを備える。
図2に示すように、第一配線電極4は、基材2の厚さ方向における基材2の一方の面(以下、この面を「第一面2A」という)の面上に形成されている。図1(A)に示すように、第一配線電極4は、第一面2Aの面上に5つ形成されており、5つの第一配線電極4は、第一面2Aの面上において一方向(図1(A)においては紙面左右方向)に長く形成され、互いに平行に配置されている。5つの第一配線電極4の間隔は互いに等しい。第一配線電極4の材料としては、金属を採用することができる。具体的には、第一配線電極4の材料としては、たとえば、銅、銀、金、アルミニウムなどを適宜選択して採用することができる。各第一配線電極4は、これらの金属材料による薄膜や、これらの金属材料の粒子を含有するペーストなどを用いて形成することができる。また、各第一配線電極4は、エッチングやスクリーン印刷などの方法を用いて形成することができる。
【0015】
図1(A)および図2に示すように、第一検出電極5は、第一配線電極4の一部を覆うように基材2の第一面2A上に形成された電極である。第一検出電極5は、基材2の厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状であり、各第一配線電極4の長手方向に沿って一定間隔をあけて複数設けられている。本実施形態では、第一検出電極5は、各第一配線電極4あたり7個設けられ、第一面2A上には35個の第一検出電極5が設けられている。1つの第一配線電極4に設けられた7個の第一検出電極5は互いに離間しており、それぞれの第一検出電極5は1つの第一配線電極4と導通している。
【0016】
図1(A)に示すように、35個の第一検出電極5のそれぞれの間には、略正方形の隙間があけられている。各第一検出電極5の間の略正方形状の隙間の大きさは、後述する第二検出電極7をその厚さ方向から見たときの輪郭よりも大きい。
第一検出電極5の材料は、電気伝導性を有する材料であれば、公知の材料を適宜選択して用いることができる。たとえば、第一検出電極5としては、アルミニウムの蒸着膜やカーボンペーストなどを採用することができる。
具体例としては、たとえば、金属ベタでアルミニウムを成膜した後にエッチングにより各電極を形成したり、電極を形成する部分以外にレジスト層を形成し、アルミニウムなどの金属を蒸着することで、これらの電極を形成することができる。
【0017】
図1(B)および図2に示すように、第二配線電極6は、基材2の厚さ方向の両面のうち第一面2Aと反対側の面(以下、この面を「第二面2B」という。)の面上に形成されている。第二配線電極6は、第二面2Bの面上に6つ形成されている。6つの第二配線電極6は、第二面2Bの面上において第一配線電極4と交差する方向に長い。本実施形態では、第二配線電極6は第一配線電極4と直交している。6つの第二配線電極6は互いに平行に配置され、その間隔は互いに等しい。第二配線電極6の材料は第一配線電極4と同様に金属を採用することができる。第二配線電極6も、第一配線電極4と同様の方法で形成することができる。
【0018】
第二検出電極7は、第二配線電極6の一部を覆うように基材2の第二面2B上に形成された電極である。第二検出電極7は、基材2の厚さ方向からみたときの輪郭形状が正方形状であり、各第二配線電極6の長手方向に沿って一定間隔をあけて複数設けられている。本実施形態では、第二検出電極7は、各第二配線電極6あたり6個設けられ、第二面2B上には36個の第二検出電極7が設けられている。1つの第二配線電極6に設けられた6個の第二検出電極7は互いに離間しており、それぞれの第二検出電極7は1つの第二配線電極6と導通している。
【0019】
図1(B)に示すように、36個の第二検出電極7のそれぞれの間には、略正方形の隙間が空けられている。各第二検出電極7の間の略正方形状の隙間の大きさは、第二検出電極7をその厚さ方向から見たときの輪郭よりも大きい。
【0020】
第二検出電極7の材料としては、第一検出電極5と同様に電気伝導性を有する材料を適宜選択して採用することができる。なお、第二検出電極7の材料は、第一検出電極5の材料と異なっていても構わない。
第一検出電極5と第二検出電極7とは、基材2の厚さ方向から見たときに、各第一検出電極5の間に空けられた正方形状の隙間の中に第二検出電極7が納まるようになっている。
【0021】
図1(A)および図1(B)に示すように、配線部8は、第一配線電極4に接続された第一配線9と、第二配線電極6に接続された第二配線10とを有する。
第一配線9は、検出回路Dと各第一配線電極4とを電気的に接続するための配線である。第一配線9は、基材2の上面に設けられており、第一配線電極4と接続された導体パターンからなる配線である。本実施形態では、第一配線電極4と第一配線9とは一続きの導体パターンによって形成されている。第一配線9の一端は各第一配線電極4に接続され、第一配線9の他端は複数の第一配線電極4の外側領域を通って基材2に形成された突出部に集合されている。第一配線9の他端は、基材2の突出端まで延びており、フレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)用のコネクタにおける接点端子のピッチに合わせて等間隔に整列して配置されている。
検出基板1を小型化するために、第一配線9の線幅はより細い方が好ましい。本実施形態では、第一配線9の材質は、第一配線9の線幅が細い場合にも抵抗値が十分に低い材質とされている。第一配線9を形成するための材料としては、金属材料や、金属材料を含有する導電性インクなどを採用することができる。たとえば第一配線9を金属材料によって形成する場合には、銅、金、銀、アルミニウムなどを採用することができる。本実施形態では、第一配線9は銀ペーストを材料として形成されている。
【0022】
第二配線10は、基材2の第二面2Bに設けられており、第二配線電極6に接続された導体パターンからなる配線である。本実施形態では、第二配線電極6と第二配線10とは一続きの導体パターンによって形成されている。第二配線10の一端は各第二配線電極6に接続され、第二配線10の他端は複数の第二配線電極6の外側領域を通って基材2の突出端まで延びている。基材2の突出端において、第二配線10の他端は第一配線9の他端と同様に互いに等間隔に整列して配置されている。
第二配線10の材質は、第一配線9と同様に、金属材料や、金属材料を含有するペーストや導電性インクなどを採用することができる。
【0023】
以上に説明した構成の検出基板1は、図1(A)および図1(B)に示すように、静電容量の変化を検出するための検出回路Dに接続される。検出回路Dとしては、相互容量方式や自己容量方式などの回路を適宜選択して採用することができる。たとえば、検出回路Dとして自己容量方式を採用した場合には、検出回路Dは、第一配線電極4および第二配線電極6に対して基準信号を出力し、検出基板1の周囲に位置する入力体100(図2参照)と、第一配線電極4および第二配線電極6との間の静電容量の変化を検出することによって検出基板1に接近あるいは接触する入力体100の位置を検出するようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の検出基板1の製造方法について図3および図4を参照して説明する。図3(A)および図3(B)は、検出基板1の製造工程を示す工程説明図である。図4は、検出基板1の製造工程を示すフローチャートである。
まず、薄板状に成形された樹脂材料によって基材2を形成する。本実施形態では、基材2の形状は、両面が平行に形成された矩形板状である。
【0025】
次に、基材2の厚さ方向の両面に、第一配線電極4および第二配線電極6を形成する(図4に示す配線電極形成工程S1)。
配線電極形成工程S1においては、図3(A)に示すように、基材2の厚さ方向における一方の面(第一面2A)に第一配線電極4および第一配線9を形成する。さらに、図示は省略するが、基材2の厚さ方向の他方の面(第二面2B)に第二配線電極6および第二配線10を形成する。第一配線電極4と第一配線9とを同じ材料で形成する場合には、第一配線電極4と第一配線9とを同一工程でパターン形成することができる。第二配線電極6と第二配線10とについても同様である。
なお、第一配線9および第二配線10は、基材2の周縁の一部に集合されていることが好ましいが、第一配線9および第二配線10を検出回路Dに電気的に接続することができれば、第一配線9および第二配線10は基材2の周縁のどの位置に引き出されてもよい。
【0026】
次に、第一検出電極5および第二検出電極7を形成する(図4に示す検出電極形成工程S2)。
図3(B)は、図3(A)に符号Xで示す部分における製造の一過程を示す斜視図である。図3(B)に示すように、検出電極形成工程S2においては、第一配線電極4の一部を覆うように、基材2の第一面2Aに第一検出電極5を形成する。これにより、第一配線電極4上に第一検出電極5が形成される。さらに、図示は省略するが、第二配線電極6の一部を覆うように、基材2の第二面2Bに第二検出電極7を形成する。これにより、第二配線電極6上に、第二検出電極7が形成される。第一検出電極5および第二検出電極7の材料として非金属を用いる場合には、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、およびインクジェット印刷などを採用することができる。
【0027】
検出電極形成工程S2では、35個の第一検出電極5を、第一配線電極4の長手方向に7行、第一配線電極4が並ぶ方向に5列となるように格子状に並べて形成する。また、検出電極形成工程S2では、36個の第二検出電極7を、第二配線電極6の長手方向に6行、第一配線電極4が並ぶ方向に6列となるように格子状に並べて形成する。
【0028】
検出電極形成工程S2の終了後には、第一配線電極4と第一検出電極5とは導通されており、第二配線電極6と第二検出電極7とは導通されている。
本実施形態に必須ではないが、必要に応じて、基材2の厚さ方向の両面を樹脂製の薄膜などで被覆することもできる。これにより電極部3を腐食などから保護することができる。
【0029】
次に、以上に説明した構成の検出基板1の作用について説明する。
図1(A)に示すように、検出基板1は、検出回路Dに接続されて使用される。検出基板1の使用時には、検出回路Dは、第一配線電極4および第二配線電極6に対して基準信号を出力する。すると、第一配線電極4および第二配線電極6へ出力された基準信号は、第一配線電極4に接続された第一検出電極5と、第二配線電極6に接続された第二検出電極7とにそれぞれ伝わる。第一検出電極5と第二検出電極7とにそれぞれ基準信号が出力されると、第一検出電極5と第二検出電極7には電荷が蓄積される。
【0030】
図2に示すように、検出基板1に対して入力体100が接近すると、第一検出電極5および第二検出電極7と入力体100との間にはキャパシタCが構成される。なお、図2においては、図を見やすくするために、構成されるキャパシタCの一部のみを図示している。第一検出電極5および第二検出電極7と入力体100との間の距離によって第一検出電極5および第二検出電極7と入力体100との間の静電容量は変化し、検出回路D(図1(A)参照)はこの静電容量の変化を検出する。
【0031】
本実施形態では、第一検出電極5および第二検出電極7が設けられていることによって、第一検出電極5および第二検出電極7が設けられていない場合と比較して入力体100との間の対向面積は大きい。従って、入力体100との距離の変化に応じた静電容量の変化量は、第一検出電極5および第二検出電極7が設けられていない場合の変化量よりも大きい。
【0032】
第一検出電極5および第二検出電極7は、電荷が蓄積されるだけであるので、電気抵抗が高くても基準信号の減衰は少ない。また、第一配線電極4は第一検出電極5よりも電気抵抗が小さく、第二配線電極6は第二検出電極7よりも電気抵抗が小さい。これにより、第一配線電極4および第二配線電極6中を伝わる基準信号が電気抵抗によって減衰することが抑えられている。
【0033】
たとえば検出基板1を大型化する場合、第一配線電極4および第二配線電極6の長さを長くし、第一配線電極4および第二配線電極6上に配置する第一検出電極5および第二検出電極7の数を増やす。これにより、電気抵抗が大きな電極を長く延ばして配置する場合と比較して、たとえば第一配線電極4においては、第一配線9に接続された端からその反対の端へ行くに従って基準信号が減衰するのを抑えることができる。これは第二配線電極6においても同様である。
【0034】
このように、本実施形態の検出基板1によれば、第一配線電極4および第二配線電極6の電気抵抗が、第一検出電極5および第二検出電極7の電気抵抗よりも低いので、第一配線電極4および第二配線電極6の一端から他端へ行くに従う検出感度の低下を抑制することができ、検出感度のむらを低減することができる。
【0035】
また、第一検出電極5と第二検出電極7を非金属で構成した場合には、第一検出電極5と第二検出電極7とをそれぞれオフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、およびインクジェット印刷によって形成することができる。第一検出電極5及び第二検出電極7をたとえば銀ペーストなど金属粒子を含有するペーストによって形成する場合にはスクリーン印刷によることが一般的であるが、第一検出電極5及び第二検出電極7を形成するのにオフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、およびインクジェット印刷などの印刷方法を用いることによって、スクリーン印刷を用いる場合と比べて高速に第一検出電極5及び第二検出電極7を形成することができる。
【0036】
また、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、グラビア印刷、およびインクジェット印刷を用いて第一検出電極5および第二検出電極7を形成する場合には、スクリーン印刷による場合と比べて第一検出電極5および第二検出電極7をより薄く形成することができる。これにより、第一検出電極5および第二検出電極7の材料の使用量を、スクリーン印刷による場合よりも少なくすることができる。
【0037】
(変形例)
次に、上述の実施形態で説明した検出基板1の変形例について説明する。
本変形例の検出基板1Aは、その形状は上述の検出基板1と同様であるが、基材2、第一配線電極4、第一検出電極5、第二検出電極7、第一配線電極4、および第二検出電極7が光透過性を有する材料によって構成されている点が異なっている。
第一検出電極5および第二検出電極7の材料としては、ITOやIZOからなる透明導電膜や、ポリチオフェン系導電性インク(たとえばPEDOT/PSS)からなる導電性インクとすることができる。
第一配線電極4および第二配線電極6の材料としては、ITOやIZOと比較して電気抵抗が低い材料である金属ナノワイヤーを含有する導電性インクを採用することができる。
本変形例では、高価な金属ナノワイヤーの使用量を抑えつつ、検出感度のむらが少なく光透過性を有する検出基板1Aとすることができる。これにより、液晶表示装置の画面などの前面に検出基板1Aを配置することができ、大型化しても検出感度のむらが少ないタッチパネルを構成することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上述の実施形態では、第一配線電極4の一部を覆うように第一検出電極5を設ける例、および第二配線電極6の一部を覆うように第二検出電極7を設ける例を示したが、第一配線電極4と第一検出電極5との関係および第二配線電極6と第二検出電極7との関係はこれに限られない。図5は、上述の実施形態で説明した検出基板1、1Aの他の構成例である検出基板1Bの一部を示す斜視図である。図5に示すように、検出基板1Bは、基材2の第一面2Aに、第一検出電極5に代えて設けられた第一検出電極15が先に形成され、第一配線電極4に代えて、複数の第一検出電極15を繋ぐ一筋の第一配線電極14が第一検出電極15に重ねて形成されている。このような構成であっても、上述の実施形態で説明した検出基板1、1Aと同様の効果を奏する。
【0039】
また、上述の検出基板1、1Aの製造方法において、第一配線電極4および第一検出電極5をまず基板2の第一面2Aに形成し、その後、第二配線電極6および第二検出電極7を基板2の第二面2Bに形成してもよい。
【0040】
また、上述の実施形態では基材2の厚さ方向の両面に電極部3を形成する例を示したが、基材2の厚さ方向の片面のみに電極部3を形成することもできる。この場合には、第一配線電極4と、第二配線電極6とを絶縁するための絶縁構造をさらに備えることが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1、1A、1B 検出基板
2 基材
2A 第一面
2B 第二面
3 電極部
4、14 第一配線電極
5、15 第一検出電極
6 第二配線電極
7 第二検出電極
8 配線部
9 第一配線
10 第二配線
100 入力体
D 検出回路
S1 配線電極形成工程
S2 検出電極形成工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の基材と、前記基材上に形成された電極部とを有し、前記電極部に近接あるいは接触する入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出基板であって、
前記電極部は、
前記基材の厚さ方向の一方の面上に、前記基材の面方向のうちの一方向へ延びて設けられた複数の第一配線電極と、
前記複数の第一配線電極のうちの1つと接して前記複数の第一配線電極のそれぞれに複数形成され、前記複数の第一配線電極が延びる方向に互いに離間し、前記複数の第一配線電極が延びる方向と交差する方向へ張り出しており、前記複数の第一配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる第一検出電極と、
前記基材の厚さ方向の両面のいずれか一方に、前記複数の第一配線電極が延びる方向と交差する一方向へ延びて設けられた複数の第二配線電極と、
前記基材の厚さ方向から見たときに前記第一検出電極と重ならない位置に配置され、前記複数の第二配線電極のうちの1つと接して前記複数の第二配線電極のそれぞれに複数形成され、前記複数の第二配線電極が延びる方向に互いに離間し、前記複数の第二配線電極が延びる方向と交差する方向へ張り出しており、前記複数の第二配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる第二検出電極と、
を有することを特徴とする検出基板。
【請求項2】
前記第一配線電極および前記第二配線電極は金属からなり、
前記第一検出電極および前記第二検出電極は非金属からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の検出基板。
【請求項3】
前記第一配線電極、前記第二配線電極、前記第一検出電極、および前記第二検出電極は、光透過性を有することを特徴とする請求項1に記載の検出基板。
【請求項4】
入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出基板の製造方法であって、
厚さを有する基材の厚さ方向の両面の少なくともいずれかの面上に、前記基材の面方向のうちの一方向へ延びる複数の配線電極を形成する配線電極形成工程と、
前記配線電極形成工程の後、前記配線電極よりも電気抵抗が大きい導体材料からなる検出電極を、前記配線電極が延びる方向に間隔をあけ、且つ前記配線電極が延びる方向と交差する方向に張り出して前記配線電極の上に複数形成する検出電極形成工程と、
を備えることを特徴とする検出基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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