説明

検査振分装置

【課題】 検査振分中に何らかのトラブルで装置の運転が停止された場合において、搬送部上に残された物品の再検査を実施しても検査結果等の集計用データの履歴を正確に管理することが可能な検査振分装置を提供する。
【解決手段】 検査振分装置1は、重量判定ユニット2、搬送ユニット3、振分ユニット4を備えている。検査振分装置1は、重量判定ユニット2における検査が終了した物品について、振分ユニット4における振り分けが完了した後で、その物品についての集計用データを記憶部21bに記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される物品の検査を行って、検査結果に基づいて所定の振り分けを行う検査振分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装された食品などの物品を生産する生産ラインにおいては、従来から、物品の品質を検査するために種々の検査ユニットが用いられている。例えば、物品の重量を検査する重量チェッカ、物品や包装袋の中に異物が混入していないかを検査する金属検出器やX線検査機器、物品の包装状態を検査するシールチェッカなどが、生産ラインの各所に検査ユニットとして配置されている。
【0003】
また、このような検査ユニットの物品搬送下流側には、検査に合格しなかった物品を生産ラインの外に振り分ける振分ユニットが配備されていることが多い。振分ユニットは、アーム式、エアージェット式、フィン式、ドロップフラップ式、ドロップベルト式など種々の方式があるが、いずれも正規の物品搬送路(生産ライン)から不良品を外に振り分ける機能を有している。
【0004】
例えば、特許文献1には、検査を完了した物品ごとに検査結果を記憶し、検査結果を複数個表示することでトレンドを把握するX線異物検出装置が開示されている。
このX線異物検出装置では、モニタリング監視画面上に、検査対象となる物品に対する製品データ(X線透過データ、製品面積、製品体積のデータ等)をトレンド表示することで、検査対象である物品の傾向やばらつきを容易に認識させることができる。
【特許文献1】特開2004−28685号公報(平成16年1月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のX線異物検出装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された装置では、検査完了後すぐに検査結果等の製品データをトレンド表示しているため、検査完了後の物品を振り分ける前の段階で検査結果等の製品データが記憶されている。
【0006】
これにより、検査実施中に何らかのトラブルが発生して運転が一次的に停止された場合には、検査終了後で振り分け前の物品の検査結果が判らなくなってしまうことがある。このため、通常、それらの物品について再検査を行うことになるが、各物品の製品データは検査完了と同時に記憶されている。この結果、再検査を行った各物品の製品データを2重に記憶するおそれがあり、検査結果の履歴を正確に管理することができない場合がある。
【0007】
本発明の課題は、検査振分中に何らかのトラブルで装置の運転が停止された場合において、搬送部上に残された物品の再検査を実施しても検査結果等の集計用データの履歴を正確に管理することが可能な検査振分装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る検査振分装置は、搬送部と、検査部と、振分部と、記憶部と、を備えている。搬送部は、検査対象となる物品を搬送する。検査部は、搬送部によって搬送されてくる物品の検査を行う。振分部は、検査部の下流側に配置されており、検査部における検査結果に応じて搬送部によって搬送されてくる物品を振り分ける。記憶部は、振分部における振り分け後に物品の検査結果に関する集計用データを記憶する。
【0009】
ここでは、搬送されてくる物品の検査を行い、その検査結果に基づいて振り分けを行う検査振分装置において、各物品の検査結果に関する集計用データ(検査物品数、良品/不良品数等)を振分部における振り分け後に記憶部に記憶させている。
これにより、物品の検査を実施中に何らかのトラブルにより装置の運転が停止した場合でも、振り分け前の物品についてはその集計用データが記憶部に記憶されていないことになる。このため、運転再開後に、それらの物品の再検査を行った場合でも、再検査を行った物品の検査結果を2回集計して物品の集計個数が実際の個数とずれてしまうことを回避することができる。よって、各物品の検査結果等の集計用データの履歴を正確に管理することが可能になる。
【0010】
第2の発明に係る検査振分装置は、第1の発明に係る検査振分装置であって、搬送部の運転が停止した場合には、搬送部上に載置された物品は再検査される。
ここでは、何らかのトラブルが発生して搬送部の運転が停止した場合には、搬送路上に載置された状態の物品の検査結果が分からなくなってしまうため、再検査を行う必要がある。
【0011】
これに対し、本発明の検査振分装置では、振分部における振り分けが完了した後で検査結果等の集計結果を記憶部に記憶させている。このため、運転停止時に搬送路上に載置された物品について再検査を実施した場合でも、集計個数等の狂いが生じることを回避することができる。
第3の発明に係る検査振分装置は、第1または第2の発明に係る検査振分装置であって、集計用データは、検査を行った物品の数に関するデータを含む。
【0012】
ここでは、集計用データには、検査を行った物品の数に関するデータが含まれている。
これにより、検査を行った物品の数についても記憶部に記憶させて、集計用データとして用いることができる。
第4の発明に係る検査振分装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る検査振分装置であって、集計用データは、検査を行った物品の検査結果に関するデータを含む。
【0013】
ここでは、集計用データには、検査を行った物品の検査結果に関するデータ(良品/不良品の数等)が含まれている。
これにより、検査を完了した物品の検査結果についても記憶させて、良品/不良品の数を集計用データとして用いることができる。
第5の発明に係る検査振分装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る検査振分装置であって、振分部は、複数設けられており、記憶部は、物品についての最終的な振り分けが完了した後で集計用データを記憶する。
【0014】
ここでは、検査完了後の物品を、検査結果に応じて振り分ける振分部が複数設けられている。そして、記憶部は、各物品の最終的な振り分けが完了した後で集計用データを記憶する。
これにより、検査完了後であっても最終振分が完了するまでは集計用データを記憶させないため、何らかのエラー発生により搬送が停止された場合でも、検査後に物品の集計個数が狂ってしまうことを回避できる。
【0015】
なお、上記最終的な振り分けが完了したとは、各物品についての振り分けが行われた結果、その物品の下流側に別の振分部が位置していない状態をいう。よって、必ずしも最下流側に配置された振分部を経由する必要はなく、その上流の振分部において振り分けられてその後振り分けられない物品については、その物品についての最終振分完了時点でその集計用データが記憶される。
【0016】
第6の発明に係る検査振分装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る検査振分装置であって、検査部は、振分部における振り分けが完了した後で、物品の検査結果に関する集計用データを記憶部に対して送信する。
ここでは、検査部が、各物品の検査結果に関する集計用データを、振分部における振り分けが完了したタイミングで記憶部に対して送信する。
【0017】
これにより、振り分けが完了した後で各物品の集計用データを記憶部に記憶させることができる。
第7の発明に係る検査振分装置は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る検査振分装置であって、検査部は、重量チェッカ、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器あるいはランク選別器の少なくともいずれか1つを有している。
【0018】
ここでは、検査部として、重量チェッカ、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器あるいはランク選別器の少なくともいずれか1つを用いることができる。
このため、所望の検査を行うために必要な機器を1つあるいは複数組み合わせて用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査振分装置によれば、装置の運転が一時的に停止して物品の再検査を行った場合でも、物品の集計個数が実際の個数とずれてしまうことを回避して、各物品の検査結果等の集計用データの履歴を正確に管理することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る検査振分装置について、図1〜図5を用いて説明すれば以下の通りである。
<検査振分装置の構成概略>
本実施形態に係る検査振分装置1は、食品などの物品Bを生産する生産ラインに設置されるものであり、図1に示すように、主として、重量判定ユニット2と、搬送ユニット3と、振分ユニット4とを備えている。各ユニット2,3,4は、コンベア(搬送部)2a,3a,4aを有している。検査振分装置1は、前工程から搬入コンベア8aにより搬送されてくる物品Bに対して、重量検査を施し、正常なもの以外を搬送路から振り分ける。検査振分装置1を通過できた物品Bは、搬出コンベア9aによって後工程へと搬送されていく。これらのコンベア8a,2a,3a,4a,9aは、連続的に配置されており、それらが物品Bの正規の搬送路を形成する。本実施形態では、図1に示すように、コンベア8a,2a,3a,4a,9aが1列に並んでいる。
【0021】
<検査振分装置の動作概略>
搬入コンベア8aに載って物品Bが検査振分装置1に運ばれてくると、まず物品Bの重量がコンベア2a上において測定される。そして、物品Bの重量が許容されている所定範囲内にあるか否かによって、物品Bの正常/異常が判定される。この判定が正常であれば、搬送ユニット3のコンベア3aを介して振分ユニット4のコンベア4aへと載り移った物品Bは、そのまま搬出コンベア9aへと流されることになる(図1(b)の白抜き矢印A2参照)。一方、重量判定ユニット2における判定が異常である場合には、搬送ユニット3のコンベア3aから振分ユニット4のコンベア4aへと載り移った物品Bは、振分ユニット4の振分動作によって、正規の搬送路であるコンベア4aの上から側方へと振り分けられることになる(図1(a)の白抜き矢印A1参照)。このような検査振分装置1の詳しい動作(制御)については、後段にて詳述する。
【0022】
<重量判定ユニットの構成>
重量判定ユニット2は、主として、コンベア2aと、そのコンベア2aを支えるとともにコンベア2a上の物品Bの重量を測定する計量秤2bと、判定制御装置21(図2参照)とから構成されている。コンベア2aは、搬入コンベア8aの下流に配置されており、駆動モータにより作動する。計量秤2bは、ロードセルを備えており、コンベア2aおよびコンベア2a上の物品Bの重量を計測する。
【0023】
また、重量判定ユニット2には、搬入コンベア8aからコンベア2aに物品Bが載り移ったことを検知するための第1光電管6が設けられている。この第1光電管6は、投光器及び受光器から成る光電センサである。第1光電管6が物品Bを検知すると、計量秤2bにより物品Bの重量が計測され、計測データが判定制御装置21に送られる。判定制御装置21については、後段にて詳述する。
【0024】
<搬送ユニットの構成>
搬送ユニット3は、コンベア3aと、そのコンベア3aを作動させるための駆動モータを制御する搬送制御装置31とから構成されている。コンベア3aは、重量判定ユニット2のコンベア2aの下流側に配置されている。
<振分ユニットの構成>
振分ユニット4は、主として、コンベア4aと、振分アーム4bと、振分制御装置41とから構成されている。コンベア4aは、搬送ユニット3のコンベア3aの下流側に配置されており、駆動モータにより作動する。振分アーム4bは、図1に示すように、往復回動運動によってコンベア4a上を流れる物品Bを必要に応じてコンベア4aの側方へと振り分ける。この振分アーム4bは、振分制御装置41からの指令によって作動し、コンベア4a上の物品Bを振り分ける。
【0025】
また、振分ユニット4には、コンベア3aからコンベア4aに物品Bが載り移ったことを検知するための第2光電管7が設けられている。この第2光電管7も、第1光電管6と同様に、投光器及び受光器から成る光電センサである。
<各ユニットの制御装置の構成および動作>
上記各ユニット2,3,4の判定制御装置21,搬送制御装置31,振分制御装置41は、検査振分装置1が設置される生産ラインの監視盤に接続されており、物品Bの搬送や各ユニットの作動をコントロールする。以下に、判定制御装置21および振分制御装置41について詳述する。
【0026】
判定制御装置21および振分制御装置41は、それぞれ、CPU、ROM、RAM等の記憶部、ディスプレイ表示制御回路等を備えており、各構成要素がアドレスバス,データバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
判定制御装置21は、図2に示すように、内部に、振分ユニット4に対して正常信号を送信する正常信号送信部21aと、検査対象となる物品の集計用データ(検査を完了した物品の個数、検査結果等のデータ)を記憶する記憶部21bとを備えている。また、判定制御装置21は、物品Bの重量値が許容される所定範囲内に収まっているか否か(正常か異常か)を検査・判定するプログラムを有しており、物品Bが正常である場合には正常信号送信部21aから振分制御装置41へと正常信号を送信する。
【0027】
具体的には、図3に示す制御フローに従って、物品Bの正常/異常の判定等を行う。判定制御装置21は、図3に示すように、物品Bが重量判定ユニット2に入ってきたことを第1光電管6により確認すると、すなわち図1に示すポイントP1を物品Bが通過したことを確認すると、ステップS1からステップS2に移り、物品重量の計測を行う。そして、この計量(重量計測)が終わると、その計量値(物品Bの重量値)が許容の所定範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS3)。この判定が完了するときの物品Bの位置は、図1に示すポイントP2である。ここで、計量値が所定範囲内に収まっており物品Bが正常と判断される場合には、ステップS4に移行する。ステップS4では、正常と判定した物品Bがコンベア2a,3aによって振分ユニット4に到着するタイミングで、一定時間(前記タイミングの前後の時間帯を含む一定時間)だけ正常信号を振分制御装置41に送信する。一方、計量値が所定範囲から外れていて物品Bが異常と判断される場合には、振分制御装置41に対して何も送信しない。
【0028】
振分制御装置41は、振分アーム4bによって後述する振り分け動作が完了すると、各物品について振り分けが完了したことを示す信号(以下、振分完了信号と示す。)を生成して判定制御装置21に対して送信する振分完了信号送信部41aを備えている。振分完了信号送信部41aは、第2光電管7の間を物品が通過して、コンベア4aの搬送速度とポイントP3〜P4までの距離とから算出される所定時間が経過すると、判定制御部21に対して振分完了信号を送信する。また、振分制御装置41は、正常信号送信部21aから送られてくる正常信号と、第2光電管7からの物品検知信号に基づいて、振分アーム4bを動かして物品Bを振り分ける振分動作を行うか否か、言い換えれば、定常状態では図1(a)に示す位置にある振分アーム4bを、図1(b)に示す位置に移動させるか否か、を決定する。
【0029】
具体的には、図4に示す制御フローに従って、振分動作の要否を決める。振分制御装置41は、図4に示すように、物品Bが搬送ユニット3から振分ユニット4に入ってきたことを第2光電管7により確認すると、すなわち図1に示すポイントP3を物品Bが通過したことを確認すると、ステップS11からステップS12に移る。ステップS12では、正常信号送信部21aから正常信号が送られてきているか否かを判断し、正常信号が送られてきていれば、図1(b)に示す位置に振分アーム4bを動かして物品Bをコンベア4aから搬出コンベア9aへと送る。すなわち、振分ユニット4に入ってきた物品Bがあるときに、正常信号送信部21aから正常信号が送られてきていれば、振分動作を行わないように、振分アーム4bを図1(b)に示す位置に移動させ、その物品Bが正常なものであるとして搬出コンベア9aへと送り出す。一方、振分ユニット4に入ってきた物品Bがあるときに、正常信号送信部21aから正常信号が送られてきていなければ、振分アーム4bを移動させず図1(a)に示す位置のまま、ステップS12からステップS13へと移行して物品Bを振り分ける。振分動作により物品Bが振分アーム4bに捉えられる位置は、図1に示すポイントP4である。
【0030】
つまり、本実施形態の振分制御装置41では、第2光電管7から検知信号を受信し、かつ正常信号送信部21aから正常信号を受信した場合にのみ、図1(b)に示す位置に振分アーム4bを移動させて振り分けを行わずに下流側の搬出コンベア9aに物品Bを搬送する。一方、第2光電管7から検知信号を受信しない場合、あるいは正常信号送信部21aから正常信号を受信しない場合には、振分アーム4bが図1(a)に示す定常位置のままで物品Bをコンベア4aの側方へ振り分ける。
【0031】
<履歴管理制御>
本実施形態の検査振分装置1では、上述した制御によって振分制御装置41が正常品と不良品とを振り分けた後、その物品の重量判定ユニット2における検査結果を、重量判定ユニット2の記憶部21bに記憶させる。
具体的には、図5に示す制御フローに従って、履歴管理制御が行われる。すなわち、ステップS21において、重量判定ユニット2を通過した物品について、振分制御装置41が振り分け動作の完了の有無を検出する。ここで、振分制御装置41が振分動作の完了を検知すると、振分制御装置41から判定制御装置21に対して振り分けが終了した旨の信号(以下、振分完了信号と示す。)が送信される。
【0032】
次に、ステップS22において、判定制御措置21が振分完了信号を受信したか否かを検出する。ここで、判定制御装置21が振分完了信号の受信を検出すると、判定制御装置21は、ステップS23において振り分けが完了した各物品に対応する検査振分完了数や重量判定ユニット2における検査結果を、記憶部21bに記憶させる。
ここで、何らかのエラー発生により検査振分装置1の運転が停止された場合には、重量判定ユニット2において検査が完了したものの振分ユニット4まで搬送されていない物品、つまり一時停止時にポイントP2〜P4までに載置された物品については、どの物品がどの検査結果に対応するのかが認識できない。特に、ポイントP2〜P4までの距離が長くなるほど、一時停止時にポイントP2〜P4までに載置される物品の数も多くなるため、検査結果と物品との対応が判別できなくなるおそれが高い。このため、このように運転が一時的に停止された場合には、全ての物品について再検査を実施する必要がある。本実施形態の検査振分装置1では、このような再検査を実施する場合でも正確な履歴管理を実現するために、振分ユニット4における振り分けが完了したことを検知した後で振り分けが完了した物品の検査結果を記憶部21bに記憶させる。
【0033】
これにより、検査振分装置1の運転が一時的に停止されて、検査完了後で振り分け前の物品を再検査する場合でも、再検査を実施した物品の検査結果を二重に記憶することを回避することができる。よって、検査に関する履歴管理を従来よりも正確に行うことが可能になる。
なお、記憶部21bに記憶される検査結果としては、検査、振り分けを完了した物品の個数や、正常品/不良品の検査結果等がある。
【0034】
<検査振分装置の特徴>
(1)
本実施形態の検査振分装置1では、重量判定ユニット2における検査が終了した物品について、振分ユニット4における振り分けが完了した後で、その物品についての集計用データを記憶部21bに記憶させる。
【0035】
通常、検査が完了した物品については、検査完了後すぐに集計用データが記憶部に記憶される。ここで、何らかのトラブルが発生して装置の運転が一時的に停止した場合には、振り分け前の物品についてはどの物品がどの検査結果に対応するか不明であるため再検査を実施する必要がある。この場合、従来の検査振分装置では、検査完了後すぐに検査結果等の集計用データが記憶部に記憶されてしまうため、再検査を行った物品については二重の集計用データが記憶されてしまい、正確な履歴管理を行うことができないという問題がある。
【0036】
そこで、本実施形態の検査振分装置1では、検査が完了した物品の集計用データをすぐに記憶部21bに記憶させることなく、振り分けが完了した後で記憶させている。これにより、検査振分装置1において何らかの原因により一時的に運転が停止して検査が終了した振り分け前の各物品について再検査を行った場合でも、集計用データを二重に記憶することを防止することができる。この結果、再検査を実施した場合でも、各物品について対応する1つの集計用データだけを記憶することができるため、履歴管理を正確に行うことができる。
【0037】
(2)
本実施形態の検査振分装置1では、何らかの原因によって運転が一時的に停止した場合には、検査が完了して振り分け前の各物品について再検査を行う。
これにより、検査は完了したが振り分けが完了していない検査結果が不明の物品の再検査を実施する。本発明では、集計用データを記憶するタイミングが振り分け後であるため、再検査を実施した場合でも集計用データを二重に記憶することなく、履歴管理を正確に行うことができる。
【0038】
(3)
本実施形態の検査振分装置1では、記憶部21bに記憶させる集計用データには、検査を行った物品の数に関するデータが含まれる。
これにより、検査振分装置1の運転が一時的に停止して物品の再検査を実施する場合でも、検査を行った物品の数を二重に記憶することなく、検査数を正確に履歴として管理することができる。
【0039】
(4)
本実施形態の検査振分装置1では、記憶部21bに記憶させる集計用データには、各物品の検査結果に関するデータが含まれる。
これにより、検査振分装置1の運転が一時的に停止して物品の再検査を実施する場合でも、検査を行った物品の検査結果を二重に記憶することなく、正常品と不良品との数、割合等を正確に履歴として管理することができる。
【0040】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、物品Bの重量が正常であるか異常であるかを判定する重量判定ユニット2およびその物品搬送下流側に配置される振分ユニット4を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、振分ユニット4の上流側に配置される物品を検査するユニットとして、重量判定ユニット2ではなく、食品のような物品に金属が混入しているか否か(異常か正常か)を判定する金属検出器、物品への異物混入を検査するX線検査機器、袋詰めされている物品の密閉度合いを検査するシールチェッカ、各物品を色、形状、ランク等によって選別する色選別装置、形状選別装置、ランク選別装置などが振分ユニット4の上流側に配置される場合にも、同様に本発明を適用することができる。
【0042】
(B)
上記実施形態では、検査結果を記憶する記憶部21bを重量判定ユニット2の内部に設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、重量判定ユニット2以外でも振分ユニット4の振分制御装置41等の各装置における制御部に設けられていてもよい。この場合には、重量判定ユニット2が振分完了信号を受信した後、集計用データ(検査結果に関する情報等)を、記憶部を有する制御装置に対して送信すればよい。これにより、確実に振り分け完了後に集計用データを記憶させることができる。
【0043】
(C)
上記実施形態では、単数の振分ユニット4を用いて、検査完了後の物品を振り分ける例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、重量判定ユニット2の下流側に2段以上の振分ユニット42,43を配置した検査振分装置10では、物品の重量、サイズ、ランク等ごとに振り分けることができる。この場合には、各物品についての最終的な振り分けが完了した段階で、記憶部21bに検査結果を記憶させることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(D)
上記実施形態では、振り分け完了後に振分制御装置41から判定制御装置21に対して振分完了信号を送信する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、コンベア2a,3a,4aにおける搬送速度と各光電管6,7から振分ユニット4までの距離とから算出される所定時間が、各光電管6,7における物品検知後に経過した場合に振り分けが完了したものと判断し、検査結果等を記憶部21bに記憶させてもよい。
【0045】
(E)
上記実施形態では、検査部としての重量判定ユニット2と、振分部としての振分ユニット4との間に、中間コンベアとしての搬送ユニット3が配置されている検査振分装置1を例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、このような中間コンベアが設けられていない構成であってもよい。
【0046】
ただし、上記実施形態のように、検査部と振分部との間に中間コンベアを設けた構成では、検査部から振分部までの距離が長くなる。このため、検査振分装置の運転が一時的に停止した場合には、検査が完了して振り分け前の再検査が必要な物品の数が増えることになる。よって、上記実施形態のような中間コンベアを設けた構成では、本発明による正確な履歴管理という効果をより効果的に得ることができる。
【0047】
(F)
上記実施形態では、正常品を振り分けずに不良品を振り分ける振分ユニット4を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、反対に、正常品を振り分けて不良品を振り分けずにそのまま下流側へ搬送する振分ユニットであってもよい。
【0048】
(G)
上記実施形態では、振分アーム4bを使ったアーム式の振分機構を採用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、エアージェット式、フィン式、ドロップフラップ式、ドロップベルト式など、他の振分機構を代わりに採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の検査振分装置は、物品の振り分けを行った履歴の管理を正確に行うことができるという効果を奏することから、正常品か不良品かで物品の振り分けを行う装置等に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a),(b)は、検査振分装置の平面概略図。
【図2】検査振分装置の制御概略図。
【図3】判定制御装置による判定制御を示す制御フロー図。
【図4】振分制御装置による振り分け制御を示す制御フロー図。
【図5】図1の検査振分装置による履歴管理制御を示す制御フロー図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る検査振分装置を示す平面図。
【符号の説明】
【0051】
1 検査振分装置
2 重量判定ユニット(検査部)
2a コンベア(搬送部)
2b 計量秤
3 搬送ユニット(搬送部)
3a コンベア(搬送部)
4 振分ユニット(振分部)
4a コンベア(搬送部)
4b 振分アーム
6 第1光電管
7 第2光電管
10 検査振分装置
21 判定制御装置(判定部)
21a 正常信号送信部
21b 記憶部
31 搬送制御装置(搬送部)
41 振分制御装置
41a 振分完了信号送信部
42 振分ユニット(振分部)
43 振分ユニット(振分部)
B 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となる物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されてくる前記物品の検査を行う検査部と、
前記検査部の下流側に配置されており、前記検査部における検査結果に応じて前記搬送部によって搬送されてくる前記物品を振り分ける振分部と、
前記振分部における振り分け後に前記物品の検査結果に関する集計用データを記憶する記憶部と、
を備えている検査振分装置。
【請求項2】
前記搬送部の運転が停止した場合には、前記搬送部上に載置された前記物品は再検査される、
請求項1に記載の検査振分装置。
【請求項3】
前記集計用データは、前記検査を行った前記物品の数に関するデータを含む、
請求項1または2に記載の検査振分装置。
【請求項4】
前記集計用データは、前記検査を行った前記物品の検査結果に関するデータを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の検査振分装置。
【請求項5】
前記振分部は、複数設けられており、
前記記憶部は、前記物品についての最終的な振り分けが完了した後で前記集計用データを記憶する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の検査振分装置。
【請求項6】
前記検査部は、前記振分部における振り分けが完了した後で、前記物品の検査結果に関する集計用データを前記記憶部に対して送信する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の検査振分装置。
【請求項7】
前記検査部は、重量チェッカ、金属検出器、シールチェッカ、X線検査装置、色選別器、形状選別器あるいはランク選別器の少なくともいずれか1つを有している、
請求項1から6のいずれか1項に記載の検査振分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−81973(P2006−81973A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266979(P2004−266979)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】