説明

楽器

【課題】回動板を起立状態または伏臥状態に変更する操作を簡素化できる楽器を提供すること。
【解決手段】支持棒30の一端に形成される被軸支部31が屋根板20に回動可能に軸支されると共に、支持棒30の他端に形成される被案内部32がガイド部材60の案内通路に案内される。屋根板20が伏臥した状態から屋根板20を起立させる方向へ回動すると、被案内部32が案内通路63の内周凹面64cに案内され、内周凹面64cに係止される。これにより、屋根板20が支持棒30によって支持され、屋根板20が起立した状態を維持できる。屋根板20を起立状態から更に起立させる方向へ回動し、内周凹面64による被案内部32の係止が解除された後、屋根板20を伏せる方向へ回動することで屋根板20を伏臥させた状態にすることができる。よって、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、屋根板20を起立状態または伏臥状態に変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器に関し、特に、回動板を伏臥状態から起立状態に変更する操作を簡素化できる楽器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部開口を開閉可能な天板を備えた鍵盤楽器が知られている。鍵盤楽器を演奏する際には、天板を開放することによって、演奏時における楽音の広がりや音質等を向上させることができる。
【0003】
例えば、特開平09−160560号公報には、鍵盤楽器の上部開口の周縁に設けられた突っかえ棒(支持棒)を用いて天板(回動板)を支持することにより、天板が開放された状態を維持すると共に、突っかえ棒による天板の支持を解除することによって天板を閉鎖する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−160560号公報(段落[0007]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の鍵盤楽器では、天板が開放された状態を維持する場合には、一方の手で天板を開放させつつ他方の手で突っかえ棒を操作し、その突っかえ棒によって天板を支持させる必要があった。
【0006】
従って、天板を開放する場合には、両手で2つの部材を同時に、かつ、別々に操作する必要があり、作業が繁雑になるという問題点があった。また、この場合には、他方の手で突っかえ棒を操作する際に、手を滑らせるなどして一方の手から天板が離れた場合には、鍵盤楽器の上部開口と天板との間に他方の手が挟まれる危険性があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、回動板を伏臥状態から起立状態に変更する操作を簡素化できる楽器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
請求項1記載の楽器によれば、回動板が楽器本体に第1軸を中心として回動可能に支持され、支持棒は、一端が回動板に回動可能に支持されると共に他端がガイド部材の案内通路に案内される。
【0009】
案内通路は、その案内通路の内周側の壁面を形成する内周壁を備えている。回動板が伏臥した状態において、支持棒の他端は第2軸を通る鉛直線上に位置し、内周壁の案内傾斜面は支持棒の他端よりも上方に位置する。しかも、その案内傾斜面は、第1軸から離反するにつれて上昇傾斜するように構成される。よって、回動板が伏臥し、第2軸を通る鉛直線上に支持棒の他端が位置した状態から、回動板を起立させる方向(即ち、上方かつ第1軸に近接する方向)へ回動させると、支持棒の他端は案内傾斜面に当接し、上方かつ第1軸から離反する方向へ案内される。よって、支持棒の他端は、案内傾斜面による支持棒の他端の案内が終了することにより、第2軸の鉛直線上に戻ろうとする力が作用し、第1軸に近接する側へ移動するので、無端状に形成される案内通路に支持棒の他端を円滑に案内させることができる。
【0010】
また、支持棒の他端は、案内傾斜面を超えて第1軸に近接する側へ移動することにより、案内傾斜面の上方に位置する第1凹面に案内される。その第1凹面は下方へ向けて谷状に凹設されているので、支持棒の他端は第1凹面に係止され、支持棒の他端の第1軸に対する近接または離反する方向への移動が規制される。その結果、回動板が起立した状態で支持棒に支持され、回動板が起立した状態を維持することができる。
【0011】
従って、回動板の回動操作のみを行うことで回動板を伏臥状態から起立状態に変更できるので、回動板を伏臥状態から起立状態に変更する操作を簡素化できるという効果がある。また、その結果、回動板を伏臥状態から起立状態に変更する際に、一方の手で回動板を操作しつつ他方の手で支持棒を操作することが不要になるので、他方の手が回動板と楽器本体との間に挟まれる危険性を回避できるという効果がある。
【0012】
請求項2記載の楽器によれば、請求項1記載の楽器の奏する効果に加え、支持棒の他端は、回動板の起立状態において、第2軸を通る鉛直線よりも第1軸から離反した位置で第1凹面に係止されているので、回動板を起立状態から更に起立させる方向へ回動させ、第1凹面による支持棒の他端の係止が解除された際に、支持棒の他端が第2軸を通る鉛直線上に戻ろうとする力を利用して、支持棒の他端を第1軸に近接する側へ移動させることができる。よって、第1凹面による支持棒の他端の係止が解除された後、回動板を伏せる方向(即ち、下方、かつ、第1軸から離反する方向)へ回動させることで、支持棒の他端は無端状の案内通路に案内されて案内傾斜面の下方に移動し、回動板は伏臥した状態となる。
【0013】
このように、回動板の回動操作のみを行うことで回動板を起立状態から伏臥状態に変更できるので、回動板を起立状態から伏臥状態に変更する操作を簡素化できるという効果がある。また、その結果、回動板を起立状態から伏臥状態に変更する際に、一方の手で回動板を操作しつつ他方の手で支持棒を操作することが不要になるので、他方の手が回動板と楽器本体との間に挟まれる危険性を回避できるという効果がある。
【0014】
また、回動板が起立した状態では、支持棒の他端は、第2軸(支持棒の一端)を通る鉛直線よりも第1軸から離反した位置で第1凹面に係止されているので、支持棒の一端と他端とを結ぶ線を、回動板を伏せる方向に沿わせた状態で回動板を支持棒に支持させることができる。よって、回動板を支持棒によって安定的に支持させることができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の楽器によれば、請求項1又は2に記載の楽器の奏する効果に加え、回動板が伏臥した状態では、第2軸を通る鉛直線上に支持棒の他端が位置する場合に、支持棒の他端は、案内通路の外周壁から離反しているので、回動板を伏せる方向へ回動させる際に、回動板が完全に伏臥した状態となる前に、支持棒の他端が外周壁に当接することによって伏せる方向への回動板の回動が規制されることを防止できる。よって、回動板が完全に伏臥した状態となる位置まで、回動板を伏せる方向へ確実に回動させることができるという効果がある。
【0016】
請求項4記載の楽器によれば、請求項1から3のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、外周壁は、第1凹面よりも上方、かつ、案内傾斜面の上端よりも第1軸に近接する側に位置すると共に上方へ向けて谷状に凹設される第2凹面を備えているので、起立させる方向へ回動板を回動させることにより、案内傾斜面による案内が終了した支持棒の他端を第2凹面に当接させることができる。これにより、支持棒の他端の上方かつ第1軸に近接する側への移動を第2凹面によって規制することができるので、起立させる方向への回動板の回動を規制することができる。
【0017】
また、第2凹面は、第1凹面よりも上方かつ第1凹面よりも第1軸から離反する側に位置するので、起立させる方向への回動板の回動が規制された後、伏せる方向へ回動板を回動させることで、第2凹面に当接する支持棒の他端を第1凹面に案内させることができる。その結果、支持棒の他端が第1凹面に係止され、支持棒によって回動板を起立させた状態で支持させることができる。
【0018】
このように、回動が規制される位置まで回動板を起立させる方向へ回動させ、起立させる方向への回動板の回動が規制された後に、伏せる方向へ回動板を回動させることで回動板を伏臥状態から起立状態に変更することができるので、回動板を伏臥状態から起立状態に変更する際の操作性を向上させることができるという効果がある。
【0019】
請求項5記載の楽器によれば、請求項1から4のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、外周壁は、第1凹面よりも上方かつ第1凹面よりも第1軸に近接する側に位置すると共に上方に凹設される第3凹面を備えているので、回動板を起立状態から更に起立させる方向へ回動させることにより、第1凹面による支持棒の他端の係止を解除することができると共に、支持棒の他端を第3凹面に当接させることができる。これにより、支持棒の他端の上方かつ第1軸に近接する側への移動を第3凹面によって規制することができるので、起立させる方向への回動板の回動を規制することができる。さらに、起立させる方向への回動板の回動が規制された後は、回動板を伏せる方向へ回動させることにより、支持棒の他端は案内通路に案内されて案内傾斜面の下方に移動し、回動板を伏臥させることができる。
【0020】
このように、回動板を起立状態から更に起立させる方向へ回動し、起立させる方向への回動板の回動が規制された後に、伏せる方向へ回動板を回動させることで回動板を伏臥させることができるので、回動板を起立状態から伏臥状態に変更する際の操作性を向上させることができるという効果がある。
【0021】
請求項6記載の楽器によれば、請求項5記載の楽器の奏する効果に加え、第3凹面は、第1凹面から支持棒の外径の2倍の寸法分離反した位置までの範囲内に位置しているので、第1凹面から支持棒の外径の2倍の寸法分離反した位置よりも第1軸に近接する側に第3凹面が位置する場合と比べて、回動板を起立状態から伏臥状態に変更する際における回動板の起立させる方向への回動操作量を少なくすることができるという効果がある。
【0022】
請求項7記載の楽器によれば、請求項5記載の楽器の奏する効果に加え、第3凹面は、回動板を起立状態から更に起立させる方向へ多くとも5度回動させた場合に支持棒の他端を係止するので、回動板を起立状態から更に起立させる方向へ5度よりも多く回動させることで支持棒の他端が係止される場合と比べて、回動板を起立状態から伏臥状態に変更する際における回動板の起立させる方向への回動操作量を少なくすることができるという効果がある。
【0023】
請求項8記載の楽器によれば、請求項1から7のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、支持棒が、一の棒形状からなる部材の一端および他端を屈曲させることで形成されているので、支持棒の構造を簡素化して製造コストを削減することができるという効果がある。
【0024】
また、支持棒がコ字状に形成されているので、支持棒の一端が回動板に支持された状態において、支持棒の重心をより支持棒の他端側に位置させることができる。よって、支持棒の他端が第2軸の鉛直線上に位置しようとする力をより多く作用させることができるので、ガイド部材の案内通路による支持棒の他端の案内性を向上させることができるという効果がある。
【0025】
請求項9記載の楽器によれば、請求項1から8のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、支持棒が金属材料で構成されているので、支持棒の剛性を大きくすることができる。また、支持棒が樹脂材料等の金属材料よりも軽い材料で構成される場合と比べて、支持棒の小型化を図りつつ、支持棒の重量を大きくして支持棒に作用する重力を確保することができるので、ガイド部材の案内通路による支持棒の他端の案内性を確保することができるという効果がある。
【0026】
請求項10記載の楽器によれば、請求項9記載の楽器の奏する効果に加え、支持棒が、その支持棒の他端の外周面を被覆する樹脂製の被覆部材を備えているので、被覆部材が被覆された支持棒の他端と案内通路を形成する内周壁および外周壁との摩擦係数を小さくすることができる。よって、案内通路に案内される支持棒の他端の滑りを良くすることができるので、ガイド部材の案内通路による支持棒の他端の案内性を向上させることができるという効果がある。
【0027】
さらに、被覆部材がガイド部材の他端を被覆しているので、被覆部材が支持棒の全体を被覆する場合と比べて、支持棒の他端側の重量を大きくすることができる。よって、支持棒に作用する重力をより支持棒の他端側に位置させることができるので、ガイド部材の案内通路による支持棒の他端の案内性を向上させることができるという効果がある。また、被覆部材がガイド部材の他端を被覆しているので、被覆部材が支持棒の全体を被覆する場合と比べて、支持棒全体が大型化することを回避できると共に、被覆部材に使用される樹脂材料の材料コストを抑制することができるという効果がある。
【0028】
請求項11記載の楽器によれば、請求項1から10のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、楽器本体は、開口を有する支持体と、その支持体の開口を閉塞すると共に支持体に着脱可能に取着される板状の閉塞部材とを備え、閉塞部材は、一面側に回動板が回動可能に支持されると共に、他面側にガイド部材が取着されているので、閉塞部材と、回動板とガイド部材とを1つの回動板ユニットとして構成することができる。よって、その回動板ユニットに対して、支持棒の一端を回動板に回動可能に支持させつつ支持棒の他端をガイド部材の案内通路に案内可能に配設し、支持棒が回動板ユニットに支持された状態で閉塞部材を支持体に支持させることで、回動板、ガイド部材および支持棒を楽器本体に取着することができる。
【0029】
このように、回動板、ガイド部材および閉塞部材を1つの回動板ユニットとして構成し、その回動板ユニットに支持棒を支持させた状態で、閉塞部材を支持体に取着することができるので、例えば、回動板およびガイド部材が楽器本体に取着された状態で、支持棒の一端を回動板に支持させつつ支持棒の他端をガイド部材の案内通路に案内可能に配設する場合と比べて、回動板、ガイド部材および支持棒を楽器本体に取着する作業を簡素化できるという効果がある。
【0030】
請求項12記載の楽器によれば、請求項11記載の楽器の奏する効果に加え、閉塞部材は、その閉塞部材の第2軸の軸心方向における側端に対して、第2軸の軸心方向内方へ向けて凹設形成される切欠部を備え、支持棒は、その支持軸の一端および他端の軸心方向が互いに平行なコ字状に形成されると共に、支持軸の一端と他端との間を閉塞部材の切欠部に挿通させつつ支持軸の一端および他端の軸心方向を第1軸の軸心方向と平行とした状態で支持軸の一端が回動板に支持され、ガイド部材は、案内通路の内周壁および外周壁の立設方向を支持軸の他端の軸心方向と平行にしつつ支持棒の他端を案内通路に案内可能な位置で閉塞部材に取着されているので、閉塞部材に形成される切欠部およびその切欠部に挿通される支持棒を閉塞部材の端部に配設することができる。これにより、閉塞部材の中央部分に切欠部を貫設する場合と比べて、切欠部および支持棒を目立ちにくい位置に配設することができるので、美感を良くすることができるという効果がある。
【0031】
請求項13記載の楽器によれば、請求項12記載の楽器の奏する効果に加え、支持棒の他端の軸心方向における寸法は、閉塞部材が支持体に取着された状態におけるガイド部材の案内通路の支持棒が配設される側の端部と、その案内通路の支持棒が配設される側の端部と対向する支持体との離反寸法よりも大きく設定されているので、支持棒の他端の軸心方向への移動が支持体に規制されることで、支持棒の他端がガイド部材の案内通路の支持棒が配設される側の端部よりも支持体側へ移動して案内可能な状態から逸脱することを回避できる。よって、回動板に支持される支持棒の一端の軸心方向への移動を規制することを不要とすることができるので、支持棒の一端を回動板に支持させる構造および支持棒の一端を回動板に支持させる作業を簡素化することができるという効果がある。
【0032】
請求項14記載の楽器によれば、請求項1から13のいずれかに記載の楽器の奏する効果に加え、内周壁は、第1凹面よりも第1軸に近接する側に位置すると共に、下方へ向けて凹設される第4凹面を備えているので、支持棒の他端が第1凹面に支持された状態から、さらに回動板を回動させることにより、支持棒の他端を案内通路に案内させつつ第4凹面に係止させることができる。支持棒の他端を第4凹面に係止させつつ回動板の起立状態を維持させることによって、支持棒の他端が第1凹面に係止される際における回動板の起立状態から、回動板の楽器本体に対する角度を変更させることができるので、回動板の楽器本体に対する角度を演奏者の好みに応じて選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施の形態における鍵盤楽器の斜視図である。
【図2】支持棒および屋根板ユニットの分解斜視図である。
【図3】(a)は、ガイド部材の正面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線におけるガイド部材の断面図である。
【図4】屋根板が伏臥した状態における鍵盤楽器の部分側面図である。
【図5】図4のV−V線における鍵盤楽器の断面図である。
【図6】屋根板が起立した状態における鍵盤楽器の部分側面図である。
【図7】案内通路に案内される支持棒の被案内部の移動態様を模式的に表した模式図である。
【図8】(a)は、第2実施の形態における鍵盤楽器のガイド部材の正面図であり、(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるガイド部材の断面図である。
【図9】ガイド部材の6面図である。
【図10】屋根板が伏臥した状態における鍵盤楽器の部分側面図である。
【図11】図10のXI−XI線における鍵盤楽器の断面図である
【図12】(a)及び(b)は、屋根板が起立した状態における鍵盤楽器の部分側面図である。
【図13】案内通路に案内される支持棒の被案内部の移動態様を模式的に表した模式図である。
【図14】第3実施の形態における鍵盤楽器の斜視図である。
【図15】譜面台が伏臥した状態における鍵盤楽器の部分側面図である。
【図16】譜面台を起立した状態における譜面台ユニットの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施の形態における鍵盤楽器1の概略構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における鍵盤楽器1の斜視図である。なお、図1の矢印U−D、L−R、F−Bは、鍵盤楽器1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、以下においても同様とする。
【0035】
図1に示すように、鍵盤楽器1は、演奏者によって押鍵される白鍵および黒鍵を複数備えるピアノであり、演奏者による演奏により楽音を生成する楽器本体10と、その楽器本体10の上部に回動可能に取着される屋根板20と、その屋根板20を起立させた状態で楽器本体10に対して支持する支持棒30(図6参照)とを主に備えて構成されている。また、楽器本体10は、上部に開口を有する箱状の支持体11と、その支持体11の開口を閉塞する板状の閉塞部材12とを備え、その閉塞部材12に対して屋根板20が回動可能に取着されている。
【0036】
なお、閉塞部材12には、屋根板20及び後述するガイド部材60(図2参照)が取着されることにより、屋根板20と、ガイド部材60と、閉塞部材12とが1つの屋根板ユニット100として構成されている。
【0037】
次に、図2及び図3を参照して、支持棒30及び屋根板ユニット100の詳細構成について説明する。図2は、支持棒30及び屋根板ユニット100の分解斜視図である。図3(a)は、ガイド部材60の正面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線におけるガイド部材60の断面図である。なお、図2では、屋根板ユニット100の右側部分のみを図示し、屋根板ユニット100の左側部分は、屋根板ユニット100の右側部分と同様の構成であるため、その図示を省略する。
【0038】
図2に示すように、支持棒30は、金属材料で構成される丸棒形状の部材の一端および他端を屈曲させることで略コ字状に形成される部材であり、支持棒30の一端に形成される被軸支部31と、支持棒30の他端に形成されると共に軸心方向が被軸支部31の軸心方向と略平行に配設される被案内部32と、被軸支部31及び被案内部32を連設すると共に軸心方向が被軸支部31及び被案内部32の軸心方向と略垂直となる向きに配設される連設部33とを備えている。
【0039】
支持棒30は、金属材料で構成されているので、支持棒30の剛性を大きくすることができる。また、支持棒30が金属材料で構成される丸棒形状の一端および他端を屈曲させることで形成されているので、支持棒30の構造を簡素化して、支持棒30の製造コストを削減することができる。
【0040】
被軸支部31は、屋根板20に回動可能に支持される部位である。被案内部32は、ガイド部材60によって案内される部位であり、被案内部32の外周面を被覆する樹脂製の被覆部材32aを備えている。
【0041】
なお、本実施の形態では、被軸支部31の軸心方向における寸法が被案内部32の軸心方向における寸法よりも大きく設定されているが、これに限られるものではなく、被軸支部31の軸心方向における寸法が、被案内部32の軸心方向における寸法と同等、または、被案内部32の軸心方向における寸法よりも小さく設定されていてもよい。
【0042】
屋根板ユニット100は、閉塞部材12と、その閉塞部材12の上面側に対向して配設される屋根板20と、それら閉塞部材12及び屋根板20を連結する蝶番40と、屋根板20の閉塞部材12と対向する面に取着される軸支具50と、閉塞部材12の他面側(図2下側)に取着されるガイド部材60と、を備えて構成されている。なお、本実施の形態では、蝶番40、軸支具50及びガイド部材60は、閉塞部材12の左右方向に各1つずつ配設されている。
【0043】
閉塞部材12は、木製からなる板状の部材であり、左右方向の側端には、左右方向内方に向けて凹設形成された切欠部12aが、閉塞部材12の前後方向における中央部分に形成されている。
【0044】
屋根板20は、前後方向および左右方向における寸法が閉塞部材12よりも大きく設定される板状の木製の部材であり、屋根板20の下面側の後方部分には蝶番40を取着するための蝶番取着部21(図4参照)が突設されると共に、屋根板20が伏臥した状態において支持体11(図4参照)の上面と当接する支持体当接部22(図4参照)が屋根板20の前方部分に配設されている。
【0045】
蝶番40は、閉塞部材12に対して屋根板20を回動可能に支持する部材であり、板状に形成される一対の連結板41と、その一対の連結板41を回動可能に軸支する軸部材42とを備えている。一対の連結板41のうちの一方の連結板41aが閉塞部材12の上面にボルト(図示せず)によって取着されると共に、他方の連結板41bが屋根板20の下面にボルト(図示せず)によって取着され、これにより、屋根板20と閉塞部材12とが蝶番40によって連結されると共に、屋根板20が蝶番40の軸部材42の軸心O1(図5参照)を回動中心として閉塞部材12に回動可能に支持される。
【0046】
軸支具50は、支持棒30の被軸支部31を屋根板20に対して回動可能に支持する樹脂製の部材であり、板状の軸支具取着部51と、その軸支具取着部51の下方に形成される挿通路52とを備えている。挿通路52は、支持棒30の被軸支部31が挿通可能に形成された通路であり、屋根板20に軸支具50が取着された状態で支持棒30の被軸支部31が挿通路52に挿通されることで、支持棒30が軸心O2(図5参照)を可動中心として屋根板20に回動可能に支持される。軸支具50は、蝶番40によって屋根板20が閉塞部材12に連結された状態において、閉塞部材12の切欠部12aと前後方向における位置が同等となる位置、かつ、閉塞部材12の切欠部12aよりもやや左右方向内方へずらした位置で、挿通路52に挿通される支持棒30の被軸支部31の軸心O2が蝶番40の軸部材42の軸心O1と平行となるように挿通路52の長手方向を左右方向へ向けた状態で、軸支具取着部51がボルト(図示せず)によって屋根板20の下面側に取着されている(図4及び図5参照)。
【0047】
ガイド部材60は、支持棒30の被案内部32を案内する樹脂製の部材であり、板状のガイド取着部61と、そのガイド取着部61の下方に形成されるガイド本体62と、そのガイド本体62の一面側に凹設される無端状の案内通路63と、を備えている。ガイド部材60は、閉塞部材12の切欠部12aと前後方向における位置が同等となる位置、かつ、閉塞部材12の切欠部12aよりもやや左右方向内方へずらした位置で、案内通路63が凹設されるガイド本体62の一面側を閉塞部材12の左右方向外方(図2では右側)に向けた状態で、ガイド取着部61がボルト(図示せず)によって閉塞部材12の下面側に取着されている(図4及び図5参照)。
【0048】
なお、支持棒30は、連設部33の軸心方向における寸法、即ち、被軸支部31と被案内部32との離反寸法が、蝶番40により連結された屋根板20の下面と閉塞部材12の上面とが互いに平行な状態で対向配置された状態(即ち、屋根板20が伏臥した状態)における軸支部50の挿通路52の下端とガイド部材60の内周壁64の第1傾斜面64a(図3(b)参照)との鉛直方向における離反寸法よりも大きく、かつ、軸支部50の挿通路52の下端とガイド部材60の外周壁65の外周第1凹面65a(図3(b)参照)との鉛直方向における離反寸法よりも小さくなる寸法に設定されている。これにより、支持棒30の被軸支部31が軸支具50によって屋根板20に回動可能に支持された際に、蝶番40により連結された屋根板20の下面と閉塞部材12の上面とが互いに平行な状態で対向配置された状態では、支持棒30の被案内部32がガイド部材60の内周壁64の第1傾斜面64aと外周壁65の外周第1凹面65aとの間に配設させることができる(図5参照)。
【0049】
ここで、支持棒30の被案内部32を被覆する被覆部材32a、軸支具50及びガイド部材60は、滑りのよい樹脂材料を使用することが好ましく、本実施の形態では、支持棒30の被案内部32の被覆部材32aが熱可塑性ポリエステルエラストマーで構成されると共に、軸支具50及びガイド部材60が、熱可塑性ポリエステルエラストマーよりも硬質なPOM(ポリアセタール)で構成されている。被覆部材32aを軟質な樹脂材料で構成することでガイド部材60と衝突する際の騒音を抑制できると共に、軸支具50及びガイド部材60を硬質な樹脂材料で構成することで剛性を確保できる。なお、本実施の形態で使用した樹脂材料はほんの一例であり、被覆部材32a、軸支具50及びガイド部材60を上記した材料以外のABS等の樹脂材料で構成してもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、屋根板ユニット100の左右両側に、支持棒30、蝶番40、軸支具50及びガイド部材60が設けられている。これにより、屋根板20を閉塞部材30に対して安定的に回動させることができる。なお、支持棒30、蝶番40、軸支具50及びガイド部材60は屋根板ユニット100の左右方向のいずれか一方のみに設けてもよい。これにより、材料コスト及び製造コストを削減することができる。このとき、閉塞部材12の切欠部12aも左右方向のいずれか一方のみに設ければよい。
【0051】
図3(a)及び図3(b)に示すように、案内通路63は、その案内通路63の内周側の壁面を形成する内周壁64と、その内周壁に対向する位置に配設されると共に案内通路63の外周側の壁面を構成する外周壁65とを備えている。
【0052】
内周壁64は、前方へ向かうにつれて上昇傾斜する第1傾斜面64aと、その第1傾斜面64aの上端に連設されると共に後方へ向かうにつれて上昇傾斜する第2傾斜面64bと、その第2傾斜面64bの上端に連設されると共に下方に向けて凹設される谷状の内周凹面64cと、その内周凹面64cの後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する第3傾斜面64dと、その第3傾斜面64dの下端および第1傾斜面64aの下端を連設すると共に上下方向に沿って延設される内周垂直面64eとを備えている。
【0053】
内周凹面64cは、後方へ向かうにつれて下降傾斜する内周下降傾斜凹面64c1と、その内周下降傾斜凹面64c1の下端に連設されると共に後方へ向かうにつれて上昇傾斜する内周上昇傾斜凹面64c2とを備えている。
【0054】
外周壁65は、内周壁64の第1傾斜面64aに対向して配設される外周第1凹面65aと、その外周第1凹面65aの前端に連設されると共に上方に向かって延設される外周第1垂直面65bと、その外周第1垂直面65bよりも後方に位置し外周第1垂直面65bの上端に連設されると共に上方に向けて凹設される谷状の外周第2凹面65cと、その外周第2凹面65cの後方に位置し外周第2凹面65cの後端に連設されると共に上方に向けて凹設される谷状の外周第3凹面65dと、その外周第3凹面65dの後端および外周第1凹面65aの後端を連設すると共に上下方向に沿って延設される外周第2垂直面65eとを備えている。
【0055】
外周第1凹面65aは、前方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第1下降傾斜凹面65a1と、その外周第1下降傾斜凹面65a1の下端に連設されると共に前方に向かって水平に延設される外周第1水平凹面65a2と、その外周第1水平凹面65a2の前端に連設されると共に前方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第1上昇傾斜凹面65a3とを備えている。外周第2凹面65cは、後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第2上昇傾斜凹面65c1と、その外周第2上昇傾斜凹面65c1の上端に連設されると共に後方に向かって水平に延設される外周第2水平凹面65c2と、その外周第2水平凹面65c2の後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第2下降傾斜凹面65c3とを備えている。外周第3凹面65dは、後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第3上昇傾斜凹面65d1と、その外周第3上昇傾斜凹面65d1の上端に連設されると共に後方に向かって水平に延設される外周第3水平凹面65d2と、その外周第3水平凹面65d2の後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第3下降傾斜凹面65c3とを備えている。
【0056】
案内通路63は、第1傾斜面64aを除く内周壁64と外周第1凹面65aを除く外周壁65との離反寸法が略同一寸法に設定され、第1傾斜面64aと外周第1凹面65aとの離反寸法が案内通路63の他の部分における内周壁64と外周壁65との離反寸法よりも大きく設定されている。
【0057】
内周壁64の第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端とは、上下方向に沿って延設される内周垂直面64eを介して連設されているので、第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端とが直接連設される場合と比べて、第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端との連設部分の強度を確保しつつ、ガイド本体62の前後方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0058】
即ち、第3傾斜面64dをより前後方向に対する傾斜角度を急勾配にすることで第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端とを直接連設する場合には、第3傾斜面64dと第1傾斜面64aとのなす角が小さくなるため、その分、第3傾斜面64dの下端および第1傾斜面64aの下端の連設部分の強度が低下する。また、第3傾斜面64dの前後方向に対する傾斜角度を緩やかに設定することで第3傾斜面64dと第1傾斜面64aとのなす角を大きく設定しつつ第3傾斜面64dの下端および第1傾斜面64aの上端を直接連設する場合には、第3傾斜面64dに対向する外周壁65が後方側へ大きく張り出した形状となるので、ガイド本体62の前後方向の寸法が大型化する。
【0059】
これに対し、第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端とが内周垂直面64eを介して連設されているので、第3傾斜面64dの下端および第1傾斜面64aの下端と内周垂直面64eとの連設部分のなす角を大きくして強度を確保しつつ、第3傾斜面64dの後方側への延設寸法を抑制してガイド本体62の前後方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0060】
さらに、外周壁65の外周第1凹面65aの前端と外周第2凹面65cの前端とが、上下方向に沿って延設される外周第1垂直面65bを介して連設されると共に、外周第3凹面65dの後端と外周第1凹面65aの後端とが、上下方向に沿って延設される外周第2垂直面65eを介して連設されているので、外周第1凹面65aの前端と外周第2凹面65cの前端とが直接連設される場合や、外周第3凹面65dの後端と外周第1凹面65aの後端とが直接連設される場合と比べて、外周壁65の前後方向への張出寸法を抑制することができ、その結果、ガイド本体62の前後方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0061】
同様に、外周壁65の外周第1凹面65a、外周第2凹面65c及び外周第3凹面65dが、それぞれ前後方向に延設される外周第1水平凹面65a2、外周第2水平凹面65c2、外周第3水平凹面65d2を備えることにより、ガイド本体62の上下方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0062】
なお、内周壁64では、内周垂直面64eを省略し、第3傾斜面64dの下端と第1傾斜面64aの下端とを直接連設してもよく、外周壁65では、第1垂直面65b又は第2垂直面65eを省略し、外周第1凹面65aの前端および外周第2凹面65cの前端または外周第3凹面65dの後端および外周第1凹面65aの後端を直接連設してもよい。同様に、外周壁65の外周第1凹面65a、外周第2凹面65c及び外周第3凹面65dでは、外周第1水平凹面65a2、外周第2水平凹面65c2、外周第3水平凹面65d2を省略し、外周第1下降傾斜凹面65a1及び外周第1上昇傾斜凹面65a3、外周第2上昇傾斜凹面65c1及び外周第2下降傾斜凹面65c3、又は、外周第3上昇傾斜凹面65d1及び外周第3下降傾斜凹面65d3を直接連設してもよい。
【0063】
次に、図4及び図5を参照して、支持棒30及び屋根板ユニット100の支持体11への組立方法について説明する。図4は、屋根板20が伏臥した状態における鍵盤楽器1の部分側面図である。図5は、図4のV−V線における鍵盤楽器1の断面図である。なお、図4では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、鍵盤楽器1の支持体11の右側の側板の図示を省略すると共に、図5では、支持体11の右側の側板を図示している。
【0064】
図4及び図5に示すように、支持棒30は、被軸支部31が屋根板20に取着された軸支具50の挿通部52に挿通されることで、屋根板20に対して被軸支部31の軸心O2を回動中心として回動可能に支持される。また、屋根板20、閉塞部材12及びガイド部材60が1つの屋根板ユニット100として構成されているので、屋根板20の下面とその屋根板20の下面側に対して蝶番40により連結される閉塞部材12の上面とが互いに平行な状態で対向配置された状態で支持棒30の被軸支部31が軸支具50の挿通部52に挿通されることにより、支持棒30の被案内部32がガイド部材60における案内通路63の内周壁64と外周壁65との間に配設されると共に、支持棒30の連設部33が閉塞部材12の切欠部12aの内部に配設される。
【0065】
ここで、例えば、支持棒30の連設部33を挿通させるための孔が、閉塞部材12の側端から離反した位置に形成した場合では、その孔に対して支持棒30を上下方向に移動させることで、連設部33を孔に挿通させる必要がある。従って、支持棒30の被軸支部31を軸支具50の挿通路52に挿通される際には、孔の上下方向から支持棒30を挿入して連設部33を孔に挿設させた後、孔に連設部33が挿通された状態を維持しつつ、被軸支部31と軸支具50の挿通路52とを左右方向に相対移動させることで挿通路52に被軸支部31を挿通させる必要があるため、支持棒30を屋根板20に支持させる作業が繁雑である。
【0066】
これに対し、本実施の形態では、切欠部12aが閉塞部材12の左右方向の側端に形成されているので、閉塞部材12の左右方向外側から支持棒30の被軸支部31を軸支具50の挿通路52に挿通させるだけで、支持棒30の連設部33を切欠部12aの内部に配設することができる。よって、支持棒30の被軸支部31を屋根板20に支持させる作業を簡素化することができる。
【0067】
屋根板ユニット100は、支持棒30が屋根板20に支持された状態で、閉塞部材12が支持体11に対してボルトや支持金具(図示せず)等を用いて固定され、これにより、屋根板20を楽器本体10に取着することができる。よって、屋根板20、閉塞部材12及びガイド部材60を別個に支持体11に取着する場合や、屋根板20、閉塞部材12及びガイド部材60が楽器本体10に取着された状態で、支持棒30の被軸支部31を屋根板20に支持させる場合と比べて、屋根板20、ガイド部材60及び支持棒30を楽器本体10に取着する作業を簡素化できる。
【0068】
なお、屋根板20の下面側には蝶番取着部21が突設され、この蝶番取着部21の上下方向における寸法を調整することで、閉塞部材12が支持体11に取着された状態において、屋根板20を水平に伏臥させた際に、屋根板20の支持体当接部22を支持体11の上面に当接させることができる。
【0069】
また、閉塞部材12には、切欠部12aが閉塞部材12の左右方向の側端に形成されているので、閉塞部材12の中央部分に支持棒30の連設部33を挿通させるための孔を設ける場合と比べて、閉塞部材12が支持体11に取着された状態において、切欠部12a及び支持棒30を目立ちにくい位置に配設することができ、美感を良くすることができる。
【0070】
さらに、ガイド部材60は、内周壁64及び外周壁65の左右方向(内周壁64及び外周壁65の立設方向)外側の端部(図5における右側の端部)と、その内周壁64及び外周壁65の左右方向外側の端部に対向する支持体11の側板の内壁面(図5における左側の壁面)との寸法L1が、支持棒30の被案内部32の軸心方向における寸法L2よりも小さく設定されている。これにより、支持棒30の左右方向外側への移動を支持体11の側板によって規制することで、被案内部32の先端が内周壁64及び外周壁65の左右方向外側の端部よりも左右方向外側へ移動することを防止できるので、案内通路63による被案内部32の案内が不能になることを防止できる。
【0071】
その結果、軸支具50に回動自在に支持される支持棒30の被軸支部31の軸心O2方向への移動を規制することを不要とすることができる。即ち、被軸支部31の軸支具50に対する軸心O2方向への移動を規制するための構造を軸支具50又は被軸支部31に設けることを不要とすることができるので、軸支具50及び支持棒30の構造を簡素化できる。さらに、支持棒30の被軸支部31を軸支具50に支持させる際には、被軸支部31を軸支具50の挿通路52に挿通させるだけでよく、被軸支部31の軸心O2方向への移動を規制するための別の操作や加工を不要とすることができるので、支持棒30を屋根板20に支持させる作業を簡素化することができる。
【0072】
なお、支持棒30の被軸支部31の軸心O2方向における寸法が被案内部32の軸心方向における寸法よりも小さく設定される場合には、被軸支部31の軸心O2方向における寸法を、軸支具50の挿通路52の左右方向外側の端部と軸支具50の挿通路52の左右方向外側の端部に対向する支持体11の側板の内壁面との寸法よりも大きく設定することが望ましい。これにより、支持棒30の左右方向外側への移動を支持体11の側板によって規制することで被軸支部31が軸支具50の挿通路52から抜け出ることを防止できる。
【0073】
さらに、屋根板20が伏臥し、支持棒30の被案内部32が被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VL上に位置する状態では、被案内部32を被覆する被覆部材32aは、案内通路63の外周壁65から離反している。これにより、屋根板20が完全に伏臥した(屋根板20の支持体当接部22が支持体11の上面に当接した)状態となる前に、被覆部材32aが外周壁65に当接することによって屋根板20を伏せる方向への回動が規制されることを防止できる。よって、屋根板20が完全に伏臥した状態となる位置まで、屋根板20を伏せる方向へ確実に回動させることができる。
【0074】
また、ガイド部材60の案内通路63は、内周壁64の第1傾斜面64aと外周壁65の外周第1凹面65aとの離反寸法が、案内通路63の他の部分における内周壁64と外周壁65との離反寸法よりも大きく設定されているので、屋根板20、閉塞部材12の板厚方向における寸法等に誤差が生じた場合であっても、屋根板20が伏臥した状態で支持棒30の被案内部32が被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VL上に位置する際に、被案内部32を被覆する被覆部材32aが外周壁65に当接することを回避しやすくすることができる。その結果、屋根板20が完全に伏臥した状態となる位置まで、屋根板20を伏せる方向へ確実に回動させることができる。
【0075】
一方、案内通路63は、第1傾斜面64aを除く内周壁64と、外周第1凹面65aを除く外周壁65との離反寸法が、第1傾斜面64aと外周第1凹面65aとの離反寸法よりも小さく設定されているので、内周壁64と外周壁65との離反寸法の全体を大きく設定することで案内通路63による支持棒30の被案内部32のガイド性が低下することを回避できると共に、ガイド本体62が大型化することを防止できる。
【0076】
また、ガイド部材60は、内周壁64の第1傾斜面64aの下端が、屋根板20が伏臥した状態における支持棒30の被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方側、かつ、内周壁64の第1傾斜面64aの上端が、屋根板20が伏臥した状態における支持棒30の被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方側となる位置に取着されている。
【0077】
さらに、案内通路63が無端状に形成されているので、鍵盤楽器1を振動させたり屋根板20を勢いよく回動させたりすることで支持棒30の被案内部32が大きく回動した場合であっても、被案内部32を案内通路63の外周壁65に衝突させつつ案内することができるので、被案内部32が案内通路63の内周壁64と外周壁65との間から外部へ抜け出ることを回避でき、その結果、案内通路63による被案内部32の案内が不能となることを防止できる。
【0078】
また、支持棒30の被案内部32は、支持棒30の端部を屈曲させることで形成されているので、被軸支部31が屋根板20に支持された状態において、支持棒30の重心を被案内部32側へ位置させることができる。さらに、被覆部材32aは、被案内部32の外周面にのみ被覆されているので、支持棒30全体の外周面に被覆部材32aが被覆される場合と比べて、被案内部32の重量を大きくでき、その分、支持棒30の重心を被案内部32側へ位置させることができる。これにより、被案内部32に作用する重力を大きくすることができる。
【0079】
さらに、支持棒30は、金属材料で構成されているので、支持棒30が金属材料よりも軽量な樹脂材料等から構成される場合と比べて、支持棒30に作用する重力を大きく確保しつつ、支持棒30の小型化を図ることができる。また、ガイド部材60の案内通路63に案内される支持棒30の被案内部32が樹脂材料で構成される被覆部材32aに被覆されているので、被案内部32が案内通路63に案内される際に、支持棒30が案内通路63の内周壁64及び外周壁65に衝突する場合には、支持棒30は被覆部材32aを内周壁64及び外周壁65に衝突させることができる。よって、支持棒30の金属部分が内周壁64及び外周壁65に衝突する場合と比べて、衝突する際に発生する騒音を抑制することができる。また、被案内部32に被覆部材32aが被覆されているので、支持棒30全体が被覆部材32aに被覆されている場合と比べて、支持棒30全体が大型化することを回避できると共に、被覆部材32aに使用される樹脂材料の材料コストを抑制することができる。
【0080】
次に、図6及び図7を参照して、屋根板20の回動操作に伴う支持棒30の被案内部32の移動態様について説明する。図6は、屋根板20が起立した状態における鍵盤楽器1の部分側面図である。図7は、案内通路63に案内される支持棒30の被案内部32の移動態様を模式的に表した模式図である。なお、図6では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、鍵盤楽器1の支持体11の右側の側板の図示を省略すると共に、屋根板20を伏臥した状態における支持棒30及び屋根板ユニット100が鎖線で図示されている。また、図7の位置A〜Dはそれぞれ、屋根板20の回動操作に伴って移動する支持棒30の被案内部32の位置を模式的に図示している。
【0081】
図6及び図7に示すように、屋根板20が伏臥した状態からX方向(屋根板20を起立させる方向、即ち、上方かつ後方)へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材60の案内通路63に案内されつつ、案内通路63の内周壁64の内周凹面64cに移動し、その内周凹面64cによって被案内部32の前後方向および下方への移動が規制されることによって、屋根板20が支持棒30に支持され、屋根板20が起立した状態を維持することができる。
【0082】
また、屋根板20を起立状態からさらにX方向へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材60の案内通路63に案内されつつ、案内通路63の内周壁64の第1傾斜面64aと外周壁65の外周第1凹面65aとの間に移動し、屋根板20の支持体当接部22(図4参照)が支持体11に当接することによって屋根板20が伏臥した状態となる。
【0083】
具体的に説明する。支持棒30の被軸支部31は、屋根板20に支持されているので、支持棒30の被案内部32が、被軸支部31の軸心O2を回動中心として振り子状に回動すると共に、被案内部32には被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線上に位置しようとする力が作用する。即ち、屋根板20が伏臥した状態では、被案内部32が、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VL上の位置Aに位置しようとする。なお、以下の説明においては、屋根板20が伏臥した状態では、支持棒30の被案内部32が、位置Aに位置するものとする。
【0084】
支持棒30の被案内部32が位置Aに位置した状態から、即ち、屋根板20を伏臥した状態から、軸心O1を回動中心としてX方向へ屋根板20を回動させると、屋根板20に支持される支持棒30の被軸支部31が屋根板20の回動に伴ってX方向へ移動する。このとき、被案内部32は、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線上に位置しようとする力が作用するので、被案内部32は、被軸支部31の移動に伴ってX方向と平行なx1方向へ沿って移動し、位置B1に到達する。
【0085】
被案内部32が位置B1に到達した状態、即ち、被案内部32が内周壁64の第1傾斜面64aに当接した状態では、第1傾斜面64aが前方へ向かうにつれて上昇傾斜しているので、位置B1に位置する被案内部32は、後方への移動が規制される。これにより、被案内部32は、屋根板20のX方向への回動に伴って、第1傾斜面64a上を摺動しつつ上方かつ前方(x2方向)へ案内され、位置B2に到達する。
【0086】
なお、第1傾斜面64aは、その下端が位置Aよりも後方側、かつ、上端が位置Aよりも前方側に位置しているので、位置Aに位置する被案内部32を第1傾斜面64aに確実に当接させることができる。
【0087】
被案内部32が位置B2に到達した状態、即ち、被案内部32が第1傾斜面64aの上端に当接し、第1傾斜面64aによる案内が終了した状態では、第1傾斜面64aによる被案内部32の後方への移動の規制が解除される。このとき、被案内部32は、被軸支部31よりも前方に位置し、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線上に位置しようとする力が作用するので、被案内部32が第1傾斜面64aの上端を越えると、第2傾斜面64bに摺動されつつ上方かつ後方(x3方向)へ案内され、位置B3に到達する。
【0088】
被案内部32が位置B3に到達した状態、即ち、被案内部32が外周壁65の外周第2凹面65cのうち、前後方向に水平に延設される外周第2水平凹面65c2及び後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第2下降傾斜凹面65c3に当接した状態では、被案内部32のx3方向への移動が規制される。このとき、被案内部32は、外周第2水平凹面65c2及び外周第2下降傾斜凹面65c3に係止されているので、屋根板20のX方向への回動が規制される。この場合には、続いて、Y方向(屋根板20を伏せる方向、即ち、下方かつ前方)へ屋根板20を回動させる。
【0089】
なお、被案内部32が位置B3に到達した状態では、支持棒30の被案内部32が、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方側に位置しているのに対し、被軸支部31は、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方側に位置している。よって、屋根板20をY方向へ回動させることにより、支持棒30の被軸支部31は下方かつ前方へ移動するのに対し、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線の下方に位置しようとする力が作用する被案内部32は下方かつ後方へ移動する。その結果、被案内部32は、位置B3からy1方向へ移動し、位置Cに到達する。
【0090】
被案内部32が位置Cに到達した状態、即ち、被案内部32が内周壁64の内周凹面64cの内周下降傾斜凹面64c1及び内周上昇傾斜凹面64c2に当接した状態では、被案内部32が内周下降傾斜凹面64c1及び内周上昇傾斜凹面64c2に係止されているので、被案内部32の前後方向および下方への移動が規制される。これにより、屋根板20のY方向への移動が規制されるので、この状態で屋根板20の回動操作を終了することで、屋根板20を支持棒30によって支持することができ、屋根板20が起立した状態を維持することができる。
【0091】
このように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20を伏臥状態から起立状態に変更することができるので、屋根板20を伏臥状態から起立状態に変更させる操作を簡素化することができる。
【0092】
さらに、屋根板20が伏臥した状態から、回動が規制される位置まで屋根板20をX方向へ回動させ、X方向への屋根板20の回動が規制された後に、屋根板20をY方向へ回動させることで、屋根板20が起立した状態に変更することができるので、支持棒30の被案内部32を内周凹面64cに係止させるための屋根板20の複雑な回動操作を不要とすることができる。よって、屋根板20を伏臥状態から起立状態に変更する際の操作性を向上させることができる。
【0093】
また、屋根板20が起立した状態、即ち、支持棒30の被案内部32が内周凹面64cに係止された状態では、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31を通る鉛直線VLよりも前方側に被案内部32が位置しているのに対し、被軸支部31は屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31を通る鉛直線VLよりも後方側に位置している。よって、支持棒30の被案内部32は、被軸支部31よりも前方で内周凹面64cに係止されているので、支持棒30の被軸支部31と被案内部32とを結ぶ線(連設部33の軸心方向)を、Y方向、即ち、屋根板20を伏せる方向に沿わせた状態で支持棒30に屋根板20を支持させることができる。よって、屋根板20を支持棒30によって安定的に支持させることができる。
【0094】
ここで、屋根板20が起立した状態では、支持棒30の連設部33と屋根板20の下面側とのなす角度が70度〜110度の間で設定されることが望ましい。これにより、屋根板20を支持棒30によって、より安定的に支持させることができる。なお、支持棒30の連設部33と屋根板20の下面側とのなす角度は、屋根板20に取着される軸支具50の挿通路52及び閉塞部材12に取着されるガイド部材60の内周凹面64cの前後方向における相対位置の調整と、支持棒30の連設部33の軸心方向における寸法の調整とを行うことで設定することができる。
【0095】
支持棒30の被案内部32が位置Cに位置した状態、即ち、被案内部32が内周凹面64cに係止された状態から、屋根板20を更にX方向へ回動させると、被案内部32は上方かつ後方(x4方向)へ移動し、位置Dへ到達する。これにより、内周凹面64cによる被案内部32の係止が解除される。
【0096】
被案内部32が位置Dに到達した状態、即ち、被案内部32が外周壁65の外周第3凹面65dのうち、前後方向に水平に延設される外周第3水平凹面65d2及び後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第3下降傾斜凹面65d3に当接した状態では、被案内部32のx4方向への移動が規制される。このとき、被案内部32は、外周第3水平凹面65d2及び外周第3下降傾斜凹面65d3に係止されているので、屋根板20のX方向への回動が規制される。この場合には、続いて、Y方向へ屋根板20を回動させる。
【0097】
これにより、被案内部32は、屋根板20のY方向への回動操作に伴い、内周壁64の第3傾斜面64d及び内周垂直面64eと、外周壁65の外周第3下降傾斜凹面65d3及び外周第2垂直面65eとによって案内されつつ下方(y2方向)へ移動し、内周壁64の第1傾斜面64aと外周壁65の外周第1凹面65aとの間に案内され、位置Aに到達する。また、屋根板20は、支持体当接部22が支持体11の上部に当接され、完全に伏臥した状態となる。
【0098】
なお、外周第2凹面65c又は外周第3凹面65dにおいて、外周第2水平凹面65c2又は外周第3水平凹面65d2が省略されている場合では、位置B3は、被案内部32が外周第2上昇傾斜凹面65c1及び外周第2下降傾斜凹面65c3に当接されている状態、位置Dは、被案内部32が外周第3上昇傾斜凹面65d1及び外周第3下降傾斜凹面65d3に当接されている状態を指す。
【0099】
このように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20を起立状態から伏臥状態に変更することができるので、屋根板20を起立状態から伏臥状態に変更させる操作を簡素化することができる。
【0100】
また、屋根板20を起立状態から更にX方向へ回動させ、X方向への屋根板20の回動が規制された後にY方向へ屋根板20を回動させることで屋根板を伏臥させることができるので、屋根板20の複雑な回動操作を不要とすることができ、屋根板20を伏臥状態に変更する際の操作性を向上させることができる。
【0101】
ここで、外周第3凹面65dは、外周第3凹面65dの外周第3水平凹面65d2と外周第3下降傾斜凹面65d3との連設点が、内周凹面64cの内周下降傾斜凹面64c1と内周上昇傾斜凹面64c2との連設点から支持棒30の外径の2倍の寸法分後方へ離反した位置までの範囲内に形成されることが望ましい。これにより、外周第3凹面65dが内周凹面64cの内周下降傾斜凹面64c1と内周上昇傾斜凹面64c2との連設点から支持棒30の外径の2倍の寸法分後方へ離反した位置よりも後方に位置する場合と比べて、屋根板20を起立状態から伏臥状態に変更する際におけるX方向への屋根板20の回動操作量を少なくすることができる。
【0102】
また、外周第3凹面65dは、屋根板20が起立した状態、即ち、支持棒30の被案内部32が位置Cに位置した状態から、更にX方向へ多くとも5度回動させた場合に、外周第3凹面65dの外周第3水平凹面65d2と外周第3下降傾斜凹面65d3とに、被案内部32が当接させる位置に形成することが望ましい。これにより、屋根板20を起立状態から更にX方向へ5度よりも大きく回動させることで被案内部32が外周第3凹面に係止される場合と比べて、屋根板20を伏臥状態に変更する際におけるX方向への屋根板20の回動操作量を少なくすることができる。
【0103】
なお、屋根板20のY方向への回動は、屋根板20を支持しつつ屋根板20をY方向へ回動させる場合だけでなく、屋根板20を手放し、屋根板20に作用する重力を利用して屋根板20をY方向へ回動させてもよい。
【0104】
また、請求項4において、第2凹面が「前記第1凹面よりも前記第1軸から離反する側に位置する」とは、本実施の形態においては、外周第2凹面65cの外周第2水平凹面65c2と外周第2下降傾斜凹面65c3との連設点が、内周凹面64cの内周下降傾斜凹面64c1と内周上昇傾斜凹面64c2との連設点よりも前方側に位置することを示している。
【0105】
さらに、請求項5及び請求項6において、第3凹面が「前記第1凹面から前記第1軸に近接側に位置」するとは、本実施の形態においては、外周第3凹面65dの外周第3水平凹面65d2又は外周第3上昇傾斜凹面と外周第3下降傾斜凹面65d3との連設点が、内周凹面64cの内周下降傾斜凹面64c1と内周上昇傾斜凹面64c2との連設点よりも後方側に位置することを示している。
【0106】
以上説明したように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20を起立状態または伏臥状態に変更することができるので、屋根板20を起立状態または伏臥状態に変更する操作を簡素化できる。その結果、一方の手で屋根板20を操作しつつ他方の手で支持棒30を操作することが不要になるので、屋根板20の回動操作に行う際に他方の手が屋根板20と楽器本体10との間に挟まれる危険性を回避できる。
【0107】
また、支持棒30は、金属材料で構成されると共に、端部を屈曲させて形成された被案内部32にのみ被覆部材32aを被覆することにより、被案内部32に作用する重力を大きくすることができる。よって、ガイド部材60の案内通路63によって被案内部32が案内される際に、被案内部32に作用する重力を効率的に利用することができるので、被案内部32を案内通路63に円滑に案内させることができる。
【0108】
さらに、被案内部32には、樹脂製の被覆部材32aが被覆されているので、被案内部32が案内通路63の内周壁64及び外周壁65に摺動されつつ案内される際の被案内部32と内周壁64及び外周壁65との摩擦係数を小さくすることができる。よって、案内通路63に案内される被案内部32の滑りを良くすることができるので、案内通路63による被案内部32の案内性を向上させることができる。
【0109】
次に、図8から図13を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、支持棒30の被案内部32が案内通路63の内周壁64の内周凹面64cに係止されることで、屋根板20の起立状態を維持する場合について説明したが、第2実施の形態では、支持棒30の被案内部32が案内通路263の内周壁264の内周第1凹面264c又は内周第2凹面264dに係止されることで、屋根板20の起立状態を維持する。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0110】
まず、図8及び図9を参照して、第2実施の形態における鍵盤楽器201(図10参照
)のガイド部材260について説明する。図8(a)は、第2実施の形態における鍵盤楽器201のガイド部材260の正面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線におけるガイド部材260の断面図である。図9は、ガイド部材260の6面図である。
【0111】
図8及び図9に示すように、ガイド部材260は、支持棒30の被案内部32を案内する樹脂製の部材であり、板状の一対のガイド取着部261と、その一対のガイド取着部261の間に形成されるガイド本体262と、そのガイド本体262の一面側に凹設される無端状の案内通路263とを備えている。
【0112】
案内通路263は、その案内通路263の内周側の壁面を形成する内周壁264と、その内周壁に対向する位置に配設されると共に案内通路263の外周側の壁面を構成する外周壁265とを備えている。
【0113】
内周壁264は、前方へ向かうにつれて上昇傾斜する第1傾斜面264aと、その第1傾斜面264aの上端に連設されると共に上方へ向かって延設される内周第1垂直面264bと、その内周第1垂直面264bよりも後方側に位置し内周第1垂直面264bの上端に連設されると共に下方に向けて凹設される谷状の内周第1凹面264cと、その内周第1凹面264cよりも上方かつ後方に位置し内周第1凹面264cの後端に連設されると共に下方に向けて凹設される谷状の内周第2凹面264dと、その内周第2凹面264dの後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する第2傾斜面264eと、その第2傾斜面264eの下端および第1傾斜面264aの下端を連設すると共に上下方向に延設される内周第2垂直面264fとを備えている。
【0114】
内周第1凹面264cは、後方へ向かうにつれて下降傾斜する内周第1下降傾斜凹面264c1と、その内周第1下降傾斜凹面264c1の下端に連設されると共に後方へ向かうにつれて上昇傾斜する内周第2上昇傾斜凹面264c2とを備えている。内周第2凹面264dは、後方へ向かうにつれて下降傾斜する内周第2下降傾斜凹面264d1と、その内周第2下降傾斜凹面264d1の下端に連設されると共に後方へ向かうにつれて上昇傾斜する内周第2上昇傾斜凹面264d2とを備えている。
【0115】
外周壁265は、第1傾斜面264aに対向して配設される外周第1凹面265aと、その外周第1凹面265aの前端に連設されると共に上方に向かって延設される外周第1垂直面265bと、その外周第1垂直面265bよりも後方に位置し外周第1垂直面265bの上端に連設されると共に上方に向けて凹設される谷状の外周第2凹面265cと、その外周第2凹面265cよりも後方かつ上方に位置し外周第2凹面265cの後端に連設されると共に上方に向けて凹設される谷状の外周第3凹面265dと、その外周第3凹面265dよりも後方に位置し外周第3凹面265dの後端に連設されると共に上方に向けて凹設される谷状の外周第4凹面265eと、その外周第4凹面265eの後端および外周第1凹面265aの後端を連設すると共に上下方向に延設される外周第2垂直面265fとを備えている。
【0116】
外周第1凹面265aは、前方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第1下降傾斜凹面265a1と、その外周第1下降傾斜凹面265a1の下端に連設されると共に前方に向かって水平に延設される外周第1水平凹面265a2と、その外周第1水平凹面265a2の前端に連設されると共に前方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第1上昇傾斜凹面265a3とを備えている。外周第2凹面265cは、後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第2上昇傾斜凹面265c1と、その外周第2上昇傾斜凹面265c1の上端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第2下降傾斜凹面265c2とを備えている。外周第3凹面265dは、後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第3上昇傾斜凹面265d1と、その外周第3上昇傾斜凹面265d1の上端に連設されると共に後方に向かって水平に延設される外周第3水平凹面265d2と、その外周第3水平凹面265d2の後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第3下降傾斜凹面265d3とを備えている。外周第4凹面265eは、後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第4上昇傾斜凹面265e1と、その外周第4上昇傾斜凹面265e1の上端に連設されると共に後方に向かって水平に延設される外周第4水平凹面265e2と、その外周第4水平凹面265e2の後端に連設されると共に後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第4下降傾斜凹面265e3とを備えている。
【0117】
案内通路263は、第1傾斜面264aを除く内周壁264と、外周第1凹面265aを除く外周壁265との離反寸法は、略同一寸法に設定され、第1傾斜面264aと外周第1凹面265aとの離反寸法は、案内通路263の他の部分における内周壁264と外周壁265との離反寸法よりも大きく設定されている。
【0118】
また、内周壁264の第1傾斜面264aの上端と内周第1凹面264cの前端とが、上下方向に沿って延設される内周第1垂直面264bを介して連設されると共に、第3傾斜面264eの下端と第1傾斜面264aの下端とが、上下方向に沿って延設される内周第2垂直面264fを介して連設されているので、第1傾斜面264aの上端と内周第1凹面264cの前端とが直接連設される場合や第3傾斜面264eの下端と第1傾斜面264aの下端とが直接連設される場合と比べて、第1傾斜面264aの上端と内周第1凹面264cの前端との連設部分や第3傾斜面264eの下端と第1傾斜面264aの下端との連設部分の強度を確保しつつ、ガイド本体262の前後方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0119】
さらに、外周壁265の外周第1凹面265aの前端と外周第2凹面265cの前端とが、上下方向に沿って延設される外周第1垂直面265bを介して連設されると共に、外周第4凹面265eの後端と外周第1凹面265aの後端とが、上下方向に沿って延設される外周第2垂直面265fを介して連設されているので、外周第1凹面265aの前端と外周第2凹面265cの前端とが直接連設される場合や、外周第4凹面265eの後端と外周第1凹面265aの後端とが直接連設される場合と比べて、外周壁265の前後方向への張出寸法を抑制することができ、その結果、ガイド本体262の前後方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0120】
同様に、外周壁265の外周第1凹面265a、外周第3凹面265d及び外周第4凹面265eが、それぞれ前後方向に延設される外周第1水平凹面265a2、外周第3水平凹面265d2、外周第4水平凹面265e2を備えることにより、ガイド本体262の上下方向における寸法の大型化を抑制することができる。
【0121】
次に、図10及び図11を参照して、支持棒30及び屋根板ユニット200の楽器本体210の支持体11への組立方法について説明する.図10は、屋根板20が伏臥した状態における鍵盤楽器201の部分側面図である。図11は、図10のXI−XI線における鍵盤楽器201の断面図である。なお、図10では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、鍵盤楽器201の支持体11の右側の側板の図示を省略すると共に、図11では、支持体11の右側の側板を図示している。
【0122】
図10及び図11に示すように、閉塞部材212は、木製からなる板状の部材であり、左右方向の側端には、左右方向内方に向けて凹設形成された切欠部212aが形成されている。また、閉塞部材212の上面側には、屋根板20が対向して配設されると共に蝶番40を介して屋根板20が連結されることで、屋根板20が蝶番40の軸部材42の軸心O1を回動中心として回動可能に支持されている。一方、閉塞部材212の下面側には、ガイド部材260が取着されている。
【0123】
ここで、ガイド部材は、案内通路263が凹設されたガイド本体262の一面側を左右方向外側に向けつつ、ガイド本体262のガイド取着部261よりも上方部分を閉塞部材212の切欠部212aの内部に収納させた状態で、ガイド取着部261がボルト(図示せず)により取着されている。これにより、ガイド本体262の上方部分における案内通路263が凹設される面の反対側の面(図11におけるガイド本体262の左側の面)を、切欠部212aの内壁面(図11における切欠部212aの左側の壁面)に当接させつつ、ガイド取着部261を閉塞部材212の下面側に取着することで、ガイド部材260の閉塞部材212の左右方向に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0124】
さらに、ガイド取着部261の上面からガイド本体262の上面までの上下方向の寸法を、閉塞部材212の板厚寸法と同等に設定することで、ガイド部材260が閉塞部材212に取着された状態において、ガイド本体262の上面と閉塞部材212の上面とを面一状にすることができるので、ガイド本体262の上面と閉塞部材212の上面とが段状になっている場合と比べて、閉塞部材212の上面側の美感を良くすることができると共に、閉塞部材212の上面側の清掃を容易に行うことができる。
【0125】
また、閉塞部材212に屋根板20及びガイド部材260が取着されることで、屋根板20、閉塞部材212及びガイド部材260が1つの屋根板ユニット200として構成されているので、屋根板20の下面とその屋根板20の下面側に対して蝶番40により連結される閉塞部材212の上面とが互いに平行な状態で対向配置された状態で支持棒30の被軸支部31が軸支具50の挿通部52に挿通されることにより、支持棒30の被案内部32がガイド部材260における案内通路263の内周壁264と外周壁265との間に配設されると共に、支持棒30の連設部33が閉塞部材212の切欠部212aの内部に配設される。
【0126】
次に、屋根板ユニット200は、支持棒30が屋根板20に支持された状態で、閉塞部材212が支持体11に対してボルトや支持金具(図示せず)等を用いて取着される。
【0127】
このとき、支持棒30は、連設部33を閉塞部材212の切欠部212aの内部に挿通させた状態で、被軸支部31が屋根板20に回動可能に支持されると共に、屋根板20の下面と閉塞部材212の上面とが互いに平行な状態で対向配置された状態では、支持棒30の被案内部32がガイド部材260の内周壁264の第1傾斜面264aと外周壁265の外周第1凹面265aとの間に位置している。
【0128】
また、内周壁264の第1傾斜面264aは、その下端が、屋根板20が伏臥した状態における支持棒30の被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方側、かつ、内周壁264の第1傾斜面264aの上端が、屋根板20が伏臥した状態における支持棒30の被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方側となる位置に取着されている。
【0129】
ガイド部材260の案内通路263は、内周壁264の第1傾斜面264aと外周壁265の外周第1凹面265aとの離反寸法が、案内通路263の他の部分における内周壁264と外周壁265との離反寸法よりも大きく設定されているので、屋根板20、閉塞部材212の板厚方向における寸法等に誤差が生じた場合であっても、支持棒30の被案内部32の外周面を被覆する被覆部材32aが外周壁265の外周第1凹面265aに当接することを回避することができる。その結果、屋根板20が完全に伏臥した状態となる位置まで、屋根板20を伏せる方向へ確実に回動させることができる。
【0130】
一方、案内通路263は、第1傾斜面264aを除く内周壁264と、外周第1凹面265aを除く外周壁265との離反寸法が、第1傾斜面264aと外周第1凹面265aとの離反寸法よりも小さく設定されているので、内周壁264と外周壁265との離反寸法の全体を大きくなることを抑制して、案内通路263による支持棒30の被案内部32のガイド性が低下することを回避できると共に、ガイド本体262が大型化することを防止できる。
【0131】
次に、図12及び図13を参照して、屋根板20の回動操作に伴う支持棒30の被案内部32の移動態様について説明する。図12(a)及び図12(b)は、屋根板20が起立した状態における鍵盤楽器201の部分側面図である。図13は、案内通路263に案内される支持棒30の被案内部32の移動態様を模式的に表した模式図である。なお、図12(a)では、支持棒30の被案内部32が内周第1凹面264cに係止されることで屋根板20が起立状態を維持し、図12(b)では、被案内部32が内周第2凹面264dに係止されることで屋根板20が起立状態を維持している。また、図12(a)及び図12(b)では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、鍵盤楽器201の支持体11の右側の側板の図示を省略する。また、図13の位置A,E〜Iはそれぞれ、屋根板20の回動操作に伴って移動する支持棒30の被案内部32の位置を模式的に図示している。
【0132】
図12及び図13に示すように、屋根板20が伏臥した状態から屋根板20をX方向へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材260の案内通路263に案内されつつ、案内通路263の内周壁264の内周第1凹面264cに移動し、その内周第1凹面264cによって被案内部32の前後方向および下方への移動が規制されることによって、屋根板20が支持棒30に支持され、屋根板20が起立した状態を維持することができる。
【0133】
さらに、支持棒30の被案内部32が内周第1凹面264cに係止されるにより屋根板20が起立している状態から、屋根板20をさらにX方向へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材260の案内通路263に案内されつつ、内周壁264の内周第2凹面264dに移動し、その内周第2凹面264dによって被案内部32の前後方向および下方への移動が規制される。これにより、屋根板20が支持棒30に支持され、屋根板20が起立状態を維持することができる。
【0134】
このように、支持棒30の被案内部32が内周第2凹面264dに係止されることにより屋根板20が起立している場合では、被案内部32が内周第1凹面264cに係止されることにより屋根板20が起立している場合よりも、屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度を大きくした状態で屋根板20を起立させることができる。よって、屋根板20を起立させる際に、屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度を演奏者の好みに応じて選択することができる。従って、鍵盤楽器201の演奏より生成される楽音の広がりや音声等を、屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度を選択することにより調整することができる。
【0135】
また、被案内部32が内周第2凹面264dに係止されることにより屋根板20が起立している状態から、屋根板20を更にX方向へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材260の案内通路263に案内されつつ、案内通路263の内周壁264の第1傾斜面264aと外周壁265の外周第1凹面265aとの間に移動し、屋根板20の支持体当接部22が楽器本体210の支持体11に当接することによって屋根板20が伏臥した状態となる。
【0136】
具体的に説明する。支持棒30の被軸支部31は、屋根板20に支持されているので、支持棒30の被案内部32が、被軸支部31の軸心O2を回動中心として振り子状に回動すると共に、被案内部32には被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線上に位置しようとする力が作用する。即ち、屋根板20が伏臥した状態では、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VL上の位置Aに位置しようとする。
【0137】
支持棒30の被案内部32が位置Aに位置した状態から、即ち、屋根板20が伏臥した状態から、軸心O1を回動中心としてX方向へ屋根板20を回動させると、屋根板20に支持される支持棒30の被軸支部31がX方向へ移動する。このとき、被案内部32には、被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線上に位置しようとする力が作用するので、被軸支部31の移動に伴ってX方向と平行なx1方向へ沿って移動し、位置E1に到達する。
【0138】
被案内部32が位置E1に到達した状態、即ち、被案内部32が内周壁264の第1傾斜面264aに当接した状態では、第1傾斜面264aが前方へ向かうにつれて上昇傾斜しているので、位置E1に位置する被案内部32は、後方への移動が規制される。これにより、被案内部32は、屋根板20にX方向への回動に伴い、第1傾斜面264a上を摺動しつつ上方かつ前方(x2方向)へ案内され、位置E2に到達する。
【0139】
なお、内周壁264の第1傾斜面264aは、その下端が位置Aよりも後方側、かつ、上端が位置Aよりも前方側に位置しているので、位置Aに位置する被案内部32を第1傾斜面264aに確実に当接させることができる。
【0140】
被案内部32が位置E2に到達した状態、即ち、被案内部32が第1傾斜面264aの上端に当接し、第1傾斜面264aによる案内が終了した状態では、第1傾斜面264aによる被案内部32の後方への移動の規制が解除される。このとき、被案内部32は、被軸支部31よりも前方に位置しているので、被案内部32が第1傾斜面264aの上端を越えると、被案内部32は、内周第1垂直面264b上を摺動しつつ上方かつ後方(x3方向)へ沿って移動し、位置E3に到達する。
【0141】
被案内部32が位置E3に到達した状態、即ち、被案内部32が外周壁265の外周第2凹面265cの後方へ向かうにつれて上昇傾斜する外周第2上昇傾斜凹面265c1及び後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第2下降傾斜凹面265c2に当接した状態では、被案内部32のx3方向への移動が規制される。このとき、被案内部32は、外周第1上昇傾斜凹面265c1及び外周第2下降傾斜凹面265c2に係止されるので、屋根板20のX方向への移動が規制される。この場合には、続いて、屋根板20をY方向へ回動させる。
【0142】
なお、被案内部32が位置E3に到達した状態では、支持棒30の被案内部32が、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方側に位置しているのに対し、被軸支部31が、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方側に位置している。よって、屋根板20をY方向へ回動させることにより、支持棒30の被軸支部31は下方かつ前方へ移動するのに対し、被軸支部31の鉛直線上に位置しようとする力が作用する被案内部32は下方かつ後方(y1方向)へ移動する。その結果、被案内部32は、位置E3からy1方向へ移動し、位置Fに到達する。
【0143】
被案内部32が位置Fに到達した状態、即ち、被案内部32が内周壁264の内周第1凹面264cの内周第1下降傾斜凹面264c1及び内周第1上昇傾斜凹面264c2に当接した状態では、被案内部32は、内周第1下降傾斜凹面264c1及び内周第1上昇傾斜凹面264c2に係止されているので、被案内部32の前後方向および下方への移動が規制される。これにより、屋根板20のY方向への移動が規制されるので、この状態で屋根板20の回動操作を終了することで、屋根板20を支持棒30によって支持することができ、屋根板20が起立した状態を維持することができる。
【0144】
支持棒30の被案内部32が位置Fに位置した状態、即ち、被案内部32が内周第1凹面264cに係止された状態から、屋根板20を更にX方向へ回動させると、被案内部32は内周第1凹面264cの内周第1上昇傾斜凹面264c2上を摺動しつつ、上方かつ後方(x4方向)へ案内され、位置Gへ到達する。これにより、内周第1凹面264cによる被案内部32の係止が解除される。
【0145】
被案内部32が位置Gに到達した状態、即ち、被案内部32が外周壁265の外周第3凹面265dのうち、前後方向に水平に延設される外周第3水平凹面265d2及び後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第3下降傾斜凹面265d3に当接した状態では、被案内部32のx4方向への移動が規制される。このとき、被案内部32は、外周第3水平凹面265d2及び外周第3下降傾斜凹面265d3に係止されているので、屋根板20のX方向への回動が規制される。この場合には、続いて、屋根板20をY方向へ回動させる。
【0146】
なお、被案内部32が位置Gに到達した状態では、支持棒30の被案内部32は、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方側に位置しているのに対し、被軸支部31は、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方側に位置している。よって、屋根板20をY方向へ回動させることにより、支持棒30の被軸支部31は下方かつ前方へ移動するのに対し、被軸支部31の鉛直線上に位置しようとする力が作用する被案内部32は下方かつ後方(y2方向)へ移動する。その結果、被案内部32は、位置Gからy2方向へ移動し、位置Hに到達する。
【0147】
被案内部32が位置Hに到達した状態、即ち、被案内部32が内周壁264の内周第2凹面264dの内周第2下降傾斜凹面264d1及び内周第2上昇傾斜凹面264d2に当接した状態では、被案内部32は、内周第2下降傾斜凹面264d1及び内周第2上昇傾斜凹面264d2に係止されているので、被案内部32の前後方向および下方への移動が規制される。これにより、屋根板20のY方向への移動が規制されるので、この状態で屋根板20の回動操作を終了することで、屋根板20を支持棒30によって支持することができ、屋根板20が起立した状態を維持することができる。
【0148】
このように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20の伏臥状態から起立状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行うことができるので、屋根板20の伏臥状態から起立状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行う際の操作を簡素化することができる。
【0149】
さらに、屋根板20をX方向へ回動させ、X方向への屋根板20の回動が規制された後に、屋根板20をY方向へ回動させることで、屋根板20の伏臥状態から起立状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行うことができるので、支持棒30の被案内部32を内周第1凹面264cや内周第2凹面264dに係止させるための屋根板20の複雑な回動操作を不要とすることができる。よって、屋根板20の起立状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行う際に操作性を向上させることができる。
【0150】
また、屋根板20が起立した状態、即ち、支持棒30の被案内部32が内周第1凹面264c又は内周第2凹面264dに係止された状態では、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも前方に位置しているのに対し、被軸支部31は、屋根板20が伏臥した状態における被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線VLよりも後方に位置している。よって、支持棒30の被案内部32は、被軸支部31よりも前方で内周第1凹面264c又は内周第2凹面264dに係止されているので、支持棒30の被軸支部31と被案内部32とを結ぶ線(連設部33の軸心方向)を、Y方向、即ち、屋根板20を伏せる方向に沿わせた状態で屋根板20を支持棒30に支持させることができる。よって、屋根板20を支持棒30によって安定的に支持させることができる。
【0151】
支持棒30の被案内部32が位置Hに位置した状態、即ち、被案内部32が内周第2凹面264dに係止された状態から、屋根板20を更にX方向へ回動させると、被案内部32は内周第2凹面264dの内周第2上昇傾斜凹面264d2上を摺動しつつ、上方かつ後方(x5方向)へ案内され、位置Iへ到達する。これにより、内周第2凹面264dによる被案内部32の係止が解除される。
【0152】
被案内部32が位置Iに到達した状態、即ち、被案内部32が外周壁265の外周第4凹面265eのうち、前後方向に水平に延設される外周第4水平凹面265e2及び後方へ向かうにつれて下降傾斜する外周第4下降傾斜凹面265e3に当接した状態では、被案内部32のx5方向への移動が規制される。このとき、被案内部32は、外周第4水平凹面265e2及び外周第4下降傾斜凹面265e3に係止されているので、屋根板20のX方向への回動が規制される。この場合には、続いて、屋根板20をY方向へ回動させる。
【0153】
これにより、被案内部32は、屋根板20のY方向への回動操作に伴い、内周壁264の第2傾斜面264e及び内周第2垂直面264fと、外周壁265の外周第4下降傾斜凹面265e3及び外周第2垂直面265fとによってy3方向へ案内されつつ、内周壁264の第1傾斜面264aと外周壁265の外周第1凹面265aとの間へ移動し、位置Aに到達する。その結果、屋根板20の支持体当接部22が支持体11の上部に当接し、屋根板20が完全に伏臥した状態となる。
【0154】
このように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20を起立状態から伏臥状態に変更することができるので、屋根板20を起立状態から伏臥状態へ変更させる際の操作を簡素化することができる。
【0155】
また、屋根板20を起立状態から更にX方向へ回動させ、X方向への屋根板20の回動が規制された後に、屋根板20をY方向へ回動させることで、屋根板を伏臥状態にすることができるので、屋根板20の複雑な回動操作を不要とすることができ、屋根板20を伏臥状態に変更する際の操作性を向上させることができる。
【0156】
以上説明したように、屋根板20の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、屋根板20の起立状態または伏臥状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行うことができるので、屋根板20の起立状態または伏臥状態への変更や屋根板20の楽器本体210に対する傾斜角度の変更を行う際の操作を簡素化できる。
【0157】
次に、図14から図16を参照して、第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、本発明を鍵盤楽器1の屋根板20に適用した場合について説明したが、第3実施の形態では、本発明を鍵盤楽器301の譜面台320に適用した場合について説明する。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0158】
まず、図14を参照して、第3実施の形態における鍵盤楽器301の概略構成について説明する。図14は、第3実施の形態における鍵盤楽器301の斜視図である。
【0159】
鍵盤楽器301は、演奏者によって押鍵される白鍵および黒鍵を複数備えるピアノであり、演奏者による演奏により楽音を生成する楽器本体310と、その楽器本体310の上部に回動可能に取着される譜面台320と、その譜面台を起立させた状態で楽器本体310に対して支持する支持棒30(図16参照)とを主に備えて構成されている。また、楽器本体310は、左右方向における中央部分が開口した板状の天板311aを有する支持体311と、その支持体311の天板311aの開口を閉塞する板状の閉塞部材312とを備え、その閉塞部材312に対して譜面台320が回動可能に取着されている。
【0160】
閉塞部材312は、板状の部材であり、左右方向の側端には、左右方向内方に向けて凹設形成された切欠部312a(図15参照)が閉塞部材312の前後方向における前方部分に形成されている。譜面台320は、演奏者が鍵盤装置301を演奏する際に譜面を載せるための部材であり、板状に形成されている。
【0161】
次に、図15及び図16を参照して、譜面台320が取着された鍵盤楽器301の構成について説明する。図15は、譜面台320が伏臥した状態における鍵盤楽器301の側面図であり、図16は、譜面台320が起立した状態における鍵盤楽器301の側面図である。なお、図15及び図16では、図面を簡素化して説明をわかりやすくするため、鍵盤楽器301の支持体311の右側の側板を取り除いた状態が模式的に図示されると共に、閉塞部材312と支持棒30のうち閉塞部材312の切欠部312の内部に挿通される部分とが破線で図示されている。
【0162】
図15及び図16に示すように、譜面台320が伏臥した状態からX方向へ譜面台320を回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材60の案内通路63に案内されつつ、案内通路63の内周壁64の内周凹面64cに移動し、その内周凹面64cによって被案内部32の前後方向への移動が規制されることによって、譜面台320が支持棒30に支持され、譜面台320が起立した状態を維持することができる。
【0163】
また、譜面台320が起立した状態から譜面台320を更にX方向へ回動させると、支持棒30の被案内部32は、ガイド部材60の案内通路63に案内されつつ、案内通路63の内周壁64の第1傾斜面64aと外周壁65の外周第1凹面65aとの間に移動し、譜面台320が伏臥した状態となる。
【0164】
このように、譜面台320の回動操作のみを行うことにより、支持棒30を操作することなく、譜面台320を起立状態から伏臥状態に変更することができるので、譜面台320を起立状態から伏臥状態に変更する操作を簡素化することができる。
【0165】
ここで、第1実施の形態では、蝶番40が屋根板20の後方側に取着され、屋根板20が後方側に位置する軸心O1を回動中心として閉塞部材12に回動可能に支持されているのに対し、第3実施の形態では、蝶番40が譜面台320の前方側に取着され、譜面台320が前方側に位置する軸心O1を回動中心として閉塞部材312に回動可能に支持されている。ガイド部材60の案内通路63の前後方向における向きは、屋根板20又は譜面台320の回動中心となる軸心O1の位置に応じて決められるため、第3実施の形態におけるガイド部材60と、第1実施の形態におけるガイド部材60とは、案内通路63の前後方向における形状を反転させた状態で、閉塞部材12,312に取着されている。
【0166】
従って、第1実施の形態では、鍵盤楽器1の左右に取着されるガイド部材60のうち、閉塞部材12の右側に取着されるガイド部材60の案内通路63によって支持棒30の被案内部32は時計回り方向に案内されるのに対し、第3実施の形態では、左右に取着されるガイド部材60のうち閉塞部材312の右側に取着されるガイド部材60の案内通路63によって支持棒30の被案内部32は反時計回り方向に案内される。
【0167】
また、第3実施の形態におけるガイド部材60の閉塞部材312に対する取着位置が、第1実施の形態におけるガイド部材60の閉塞部材12に対する取着位置よりも、軸心O1に近接している。これにより、第3実施の形態における譜面台320の楽器本体310に対する傾斜角度が、第1実施の形態における屋根板20の楽器本体10に対する傾斜角度よりも大きく設定されている。
【0168】
即ち、支持棒30及びガイド部材60の形状が同一であっても、ガイド部材60の軸心O1に対する離反寸法を調整することで、屋根板20,譜面台320の起立状態における屋根板20、譜面台320の楽器本体10,310に対する傾斜角度を調整することができる。よって、起立状態における屋根板20、譜面台320の楽器本体10,310に対する傾斜角度に応じてガイド部材60に凹設される案内通路63の形状や支持棒30の連設部33の軸心方向における寸法を変更することを不要にすることができるので、ガイド部材60の汎用性を向上させることができる。
【0169】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0170】
例えば、上記各実施の形態では、被覆部材32aが支持棒30の被案内部32にのみ被覆される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、被覆部材32aが支持棒30の全体に被覆されていてもよい。これにより、支持棒30全体の重量を大きくすることができるので、その分、支持棒30に作用する重力を有効的に利用することができる。
【0171】
上記各実施の形態では、支持棒30がコ字状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、支持棒がZ字状やF字状に形成され、支持棒の一端に形成される被軸支部と支持棒の他端に形成される被案内部とが、それらの軸心方向が互いに平行とする向きに配設されていればよい。
【0172】
また、上記各実施の形態では、支持棒30が金属材料で構成され、丸棒状部材の端部を屈曲させることで形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、支持棒30が樹脂材料で構成されてもよく、2以上の部材を接着や溶接等により接合することで支持棒30を形成してもよい。
【0173】
上記各実施の形態では、内周凹面64c、第1内周凹面264c及び第2内周凹面264dが屋根板20及び譜面台320が伏臥した状態における支持棒30の被軸支部31を通る鉛直線VLよりも軸心O1から離反する側に位置する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも、支持棒30の被案内部32が、内周凹面64c、第1内周凹面264c又は第2内周凹面264dに係止された状態における支持棒30の被軸支部31の軸心O2を通る鉛直線よりも、内周凹面64c、第1内周凹面264c及び第2内周凹面264dが軸心O1から離反する側に位置していればよい。これにより、内周凹面64c、第1内周凹面264c及び第2内周凹面264dによる被案内部32の係止が解除された際に、被案内部32を軸心O1に近接する側へ移動させることができると共に、支持棒30によって屋根板20又は譜面台320を支持する際に、被軸支部31と被案内部32とを結ぶ線(連設部33の軸心方向)を屋根板20又は譜面台320を伏せる方向へ沿わせた状態で支持棒30に屋根板20又は譜面台320を支持させることができるので、屋根板20又は譜面台320を支持棒30によって安定的に支持させることができる。
【0174】
上記各実施の形態では、屋根板20又は譜面台320と閉塞部材12,212,312とが蝶番40によって連結されることで、屋根板20又は譜面台320が閉塞部材12,212,312に回動可能に支持される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、蝶番40の代わりに、屋根板20又は譜面台320を閉塞部材12,212,312に対して回動可能に支持することができる部材を用いてもよい。
【0175】
上記各実施の形態では、支持棒30の連設部33を挿通させる切欠部12a,212a,312aが閉塞部材12,212,312の左右方向の側端に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、外形が無端状の円形状や角形状の孔を閉塞部材12,212,312の板厚方向に沿って貫設し、その孔に支持棒30の連設部33を挿通させてもよい。
【0176】
上記各実施の形態では、閉塞部材12,212,312の下面側にガイド部材60が取着され、そのガイド部材60に凹設された案内通路63によって支持棒30の被案内部32が案内される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、案内通路を楽器本体の支持体に形成してもよい。
【0177】
上記第2実施の形態では、ガイド部材260の内周壁264が、内周第1凹面264c及び内周第2凹面264dを備えることで、起立した状態における屋根板200の楽器本体210に対する傾斜角度が2段階に設定される場合について説明したが、これに限られるものではなく、下方に凹設される内周凹面を3つ以上設け、各内周凹面を前後方向にずらした位置に配設してもよい。これにより、起立した状態における屋根板200の楽器本体210に対する傾斜角度を3段階以上に設定することができる。
【0178】
第3実施の形態では、支持体311の天板311aの下面側(裏面側)に、ガイド部材60の案内通路63が凹設される一面側と対向した位置に板状部材を設け、その板状部材によって支持棒30の左右方向への移動を規制してもよい。これにより、支持棒30の被案内部32が案内通路63の内周壁64及び外周壁65よりも左右方向外方へ移動して案内通路63による被案内部32の案内が不能になることを防止できる。なお、板状部材とガイド部材60の一面側との離反寸法は、被案内部32の軸心方向における寸法よりも小さく設定される。
【0179】
また、第3実施の形態では、楽器本体310が、支持体311の左右方向における中央部分が開口した板状の天板311aの開口を閉塞する板状の閉塞部材312を備え、その閉塞部材312に対して譜面台320が回動可能に取着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、天板の左右方向における中央部分に支持棒30が挿通可能な孔を設け、その孔に支持棒30の連設部33を挿通させた状態で、支持棒30の被軸支部31が軸支具50に挿通させると共に被案内部52がガイド部材60に案内させることで、譜面台320を天板に回動可能に取着させてもよい。
【符号の説明】
【0180】
1,201,301 鍵盤楽器(楽器)
10,210,310 楽器本体
11,311 支持体
12,212,312 閉塞部材
12a,212a,312a 切欠部
20 屋根板(回動板)
320 譜面台(回動板)
30 支持棒
32a 被覆部材
60,260 ガイド部材
63,263 案内通路
64,264 内周壁
64a,264a 第1傾斜面(案内傾斜面)
64c 内周凹面(第1凹面)
264c 内周第1凹面(第1凹面)
264d 内周第2凹面(第4凹面)
65,265 外周壁
65c,265c 外周第2凹面(第2凹面)
65d 外周第3凹面(第3凹面)
265e 外周第4凹面(第3凹面)
O1 軸心(第1軸)
O2 軸心(第2軸)
VL 鉛直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器本体と、その楽器本体に第1軸を中心として回動可能に支持される板状の回動板と、その回動板に一端が第2軸を回動中心として回動可能に支持される支持棒と、その支持棒の他端を案内する無端状の案内通路を有するガイド部材とを備え、
前記案内通路は、その案内通路の内周側の壁面を形成する内周壁を備え、
前記内周壁は、前記回動板が伏臥した状態における前記第2軸を通る鉛直線上に前記支持棒の他端が位置する場合に前記支持棒の他端よりも上方に位置すると共に前記第1軸から離反するにつれて上昇傾斜する案内傾斜面と、その案内傾斜面の上方に位置すると共に下方へ向けて凹設される谷状の第1凹面とを備え、
前記回動板は、前記支持棒の他端が前記第1凹面に係止されることで起立状態が維持されることを特徴とする楽器。
【請求項2】
前記支持棒の他端は、前記回動板の起立状態において、前記第2軸を通る鉛直線よりも前記第1軸から離反した位置で前記第1凹面に係止されていることを特徴とする請求項1記載の楽器。
【請求項3】
前記案内通路は、その案内通路の外周側の壁面を形成すると共に前記内周壁と対向する位置に配設される外周壁を備え、
前記回動板が伏臥した状態における前記第2軸を通る鉛直線上に前記支持棒の他端が位置する場合に、前記支持棒の他端は、前記外周壁から離反していることを特徴とする請求項1又は2に記載の楽器。
【請求項4】
前記外周壁は、前記第1凹面よりも上方であって、前記案内傾斜面の上端よりも前記第1軸に近接する側、かつ、前記第1凹面よりも前記第1軸から離反する側に位置すると共に、上方へ向けて凹設される第2凹面を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の楽器。
【請求項5】
前記外周壁は、前記第1凹面よりも上方、かつ、前記第1凹面よりも前記第1軸に近接する側に位置すると共に、上方へ向けて凹設される第3凹面を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の楽器。
【請求項6】
前記第3凹面は、前記第1凹面から前記第1軸に近接する側へ前記支持棒の外径の2倍の寸法分離反した位置までの範囲内に位置することを特徴とする請求項5記載の楽器。
【請求項7】
前記第3凹面は、前記回動板の起立状態から前記回動板を起立させる方向へ多くとも5度回動させた場合に、前記支持棒の他端が係止することにより前記回動板の回動を規制することを特徴とする請求項5記載の楽器。
【請求項8】
前記支持棒は、一の棒形状からなる部材の一端および他端を屈曲させることでコ字状に形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の楽器。
【請求項9】
前記支持棒は、金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の楽器。
【請求項10】
前記支持棒は、その支持棒の他端の外周面を被覆する樹脂製の被覆部材を備えていることを特徴とする請求項9記載の楽器。
【請求項11】
前記楽器本体は、開口を有する支持体と、その支持体の開口を閉塞すると共に前記支持体に着脱可能に取着される板状の閉塞部材とを備え、
前記閉塞部材は、一面側に前記回動板が回動可能に支持されると共に、他面側に前記ガイド部材が取着されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の楽器。
【請求項12】
前記閉塞部材は、その閉塞部材の前記第2軸の軸心方向における側端に対して、前記第2軸の軸心方向内方へ向けて凹設形成される切欠部を備え、
前記支持棒は、その支持軸の一端および他端の軸心方向が互いに平行なコ字状に形成されると共に、前記支持軸の一端と他端との間を前記閉塞部材の切欠部に挿通させつつ前記支持軸の一端および他端の軸心方向を前記第1軸の軸心方向と平行とした状態で前記支持軸の一端が前記回動板に支持され、
前記ガイド部材は、前記案内通路の内周壁および外周壁の立設方向を前記支持軸の他端の軸心方向と平行にしつつ前記案内通路に前記支持棒の他端を案内可能な位置で前記閉塞部材に取着されていることを特徴とする請求項11記載の楽器。
【請求項13】
前記支持棒の他端の軸心方向における寸法は、前記閉塞部材が前記支持体に取着された状態における前記ガイド部材の案内通路の前記支持棒が配設される側の端部と、その案内通路の支持棒が配設される側の端部と対向する前記支持体との離反寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項12記載の楽器。
【請求項14】
前記内周壁は、前記第1凹面よりも前記第1軸に近接する側に位置すると共に、下方へ向けて凹設される第4凹面を備えていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−97278(P2013−97278A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241700(P2011−241700)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】