説明

樹脂組成物およびその成形体

【課題】可溶性、透明性、低線熱膨張係数及び耐熱性に優れた新規な高透明耐熱材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


に表される繰り返し単位からなる還元粘度(ηsp/C)が1.0dL/g以上の第一ポリイミドと、特定の第二ポリイミドとからなる樹脂組成物であって、該第一ポリイミドが0.05〜99.95質量部であり、該第二ポリイミドが99.95〜0.05質量部であり、以下の(a)及び(b)を満たすことを特徴とする樹脂組成物。(a)樹脂組成物において第一ポリイミドと第二ポリイミドが相溶していること。(b)樹脂組成物の線熱膨張係数が30ppm/℃以下であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族テトラカルボン酸二無水物とトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンからなるポリイミド(本願明細書においては、「芳香族テトラカルボン酸二無水物とトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンからなるポリイミド」を第一ポリイミドともいう)と芳香族テトラカルボン酸二無水物とイソホロンジアミンからなるポリイミド(本願明細書においては、「芳香族テトラカルボン酸二無水物とイソホロンジアミンからなるポリイミド」を第二ポリイミドともいう)とからなる新規樹脂組成物及びその成形体に関する。より詳しくは、第一ポリイミドと第二ポリイミドとからなる可溶性、透明性、低線熱膨張係数及び耐熱性に優れた新規樹脂組成物及びそれからなる成形体に関する。なお、本願明細書において成形体とは3次元の形状を有するもののほかフィルム状のものも含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレー基板や太陽電池基板、携帯電話などに用いられているガラス及びセラミックスの代替材料としてフレキシブル性と透明性を併せ持ち、かつ、有機溶剤に可溶な透明耐熱性樹脂の技術開発が急務となっている。半脂肪族ポリイミドに代表される、芳香族テトラルカルボン酸無水物と脂肪族ジアミンを原料として、これらの縮合反応により合成されるポリアミド酸を閉環反応して得られるポリイミドは耐熱性、機械的特性に優れており各種電子材料に用いられているが、ポリイミドは溶媒に溶解しないので、一般的にポリイミド前駆体溶液が用いられてきた。このポリイミドは前駆体溶液として、ポリアミド酸の溶液がよく知られている。
【0003】
芳香族テトラカルボン酸二無水物とシクロヘキシルジアミンのような非芳香族ジアミンを反応させることによりポリイミド前駆体溶液のポリイソイミドの製造方法が報告されている(例えば、特許文献1)。
また、芳香族テトラカルボン酸無水物とトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、特許文献2)。
また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸のような非芳香族テトラカルボン酸無水物と1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、特許文献3)。
また、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸のような非芳香族テトラカルボン酸無水物と1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、特許文献4)。
また、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸のような芳香族テトラカルボン酸無水物と1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、特許文献5)。
【0004】
また、芳香族テトラカルボン酸無水物と1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、非特許文献1)。
また、芳香族テトラカルボン酸無水物と1,4−ジアミノシクロヘキサンのような非芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミド前駆体溶液の製造方法が報告されている(例えば、非特許文献2、3)。
【0005】
また、芳香族テトラカルボン酸無水物とイソホロンジアミのような非芳香族ジアミンとを反応させて、まず高分子量の溶媒可溶性の閉環したポリイミド合成が報告されている(例えば、特許文献6)。
また、芳香族テトラカルボン酸無水物とイソホロンジアミのような非芳香族ジアミンとを反応させて、有機可溶性ポリイミドの製造方法が報告されている(例えば、特許文献7)。
また、芳香族テトラカルボン酸無水物とイソホロンジアミのような非芳香族ジアミンとを反応させて、有機可溶性ポリイミドを製造した後、減圧下で更に溶融熱処理をする製造方法が報告されている(例えば、特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−3314号公報
【特許文献2】特開2002−161136号公報
【特許文献3】特開2002−322274号公報
【特許文献4】特開2005−146072号公報
【特許文献5】特開2005−163012号公報
【特許文献6】特開昭56−36520号公報
【特許文献7】特開2000−169579号公報
【特許文献8】特開2000−327776号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Polym.Sci.,PartA.Polym.Chem.,31 P2345〜2351(1993)
【非特許文献2】High Perfom.Polym.13 S93〜106(2001)
【非特許文献3】High Perfom.Polym.15 P47〜64(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体素子、携帯電話機器、ディスプレー基板や太陽電池基板などに用いられているガラスやセラミックの代替材料として、フレキシブル性と耐熱性及び機械強度を併せ持つ可溶性・透明高耐熱性を有する樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を行い、
特定の第一ポリイミドと第二ポリイミドとが相溶性を示し、これらを混合することにより溶性、透明性、低線熱膨張係数及び耐熱性に優れた新規な樹脂組成物及びそれからなる成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。本発明の構成を、以下に示す。
【0010】
1. 下記一般式(1)
【化1】

(上記一般式(1)において、Arは炭素数4から24の4価の芳香族基であり、Hと記された六員環はトランス−1,4−シクロヘキサンジイル基である。)
に表される繰り返し単位からなる還元粘度(ηsp/C)が1.0dL/g以上の第一ポリイミドと、下記一般式(2)
【化2】

(上記一般式(2)において、Arは上記一般式(1)のArと同じであり、Rは炭素数2〜20の脂肪族基または炭素数3〜20の脂環族基である。)
に表される繰り返し単位からなる還元粘度(ηsp/C)が0.8〜5.0dL/gの第二ポリイミドとからなる樹脂組成物であって、該第一ポリイミドと該第二ポリイミドとの合計100質量部あたり、該第一ポリイミドが0.05〜99.95質量部であり、該第二ポリイミドが99.95〜0.05質量部であり、以下の(a)及び(b)を満たすことを特徴とする樹脂組成物。
(a)樹脂組成物において第一ポリイミドと第二ポリイミドとが相溶していること。
(b)樹脂組成物の線熱膨張係数が30ppm/℃以下であること。
【0011】
2. 上記一般式(2)の第二ポリイミドが、下記一般式(3)
【化3】

(上記一般式(3)において、Rは炭素数2〜20の脂肪族基または炭素数3〜20の脂環族基である。)
で表される1級ジアミンと、下記一般式(4)、(5)及び(6)
【化4】

【化5】

【化6】

(上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Arは炭素数4〜24の芳香族基である。上記一般式(5)において、X、X、X、およびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。上記一般式(6)において、XおよびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。)
で表される芳香族テトラカルボン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒中で重合反応させたものであることを特徴とする上記1項に記載の樹脂組成物。
【0012】
3. 上記一般式(1)の第一ポリイミドが、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミンと、下記一般式(4)、(5)及び(6)
【化7】

【化8】

【化9】

(上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Arは炭素数4〜24の芳香族基である。上記一般式(5)において、X、X、X、およびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。上記一般式(6)において、XおよびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。)
で表される芳香族テトラカルボン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒中で重合反応させたものであることを特徴とする上記1項または2項に記載の樹脂組成物。
【0013】
4. 上記一般式(2)におけるRが、イソホロンジアミン残基である上記1項に記載の樹脂組成物。
5. 上記一般式(3)の1級ジアミンが、イソホロンジアミンである上記2項に記載の樹脂組成物。
6. 上記1項〜5項のいずれかに記載の樹脂組成物よりなることを特徴とする成形体。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、成形低線熱膨張係数と機械物性共に優れた樹脂組成物及びそれからなる成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について例示するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物の成分である第一ポリイミドは、前記一般式(1)で表される構造を有するものである。前記一般式(1)中の炭素数4〜24の4価の芳香族基であるArは、下記に示すポリイミドの原料である芳香族テトラカルボン酸、又はその誘導体(以下、併せて芳香族テトラカルボン酸類と称することがある)を表す前記一般式(3)〜(5)におけるArと同じであり、後述の該ポリイミドの製造方法において好ましい芳香族テトラカルボン酸類として列挙されている芳香族テトラカルボン酸類に由来する残基が好ましく、なかでも、以下に構造式を示す、ピロメリット酸類、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類(以下、s−BPDAと略することがある)、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル類、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン類からなる群より選ばれる1種類以上の芳香族テトラカルボン酸類に由来する残基がより好ましい。
【0016】
【化10】

【0017】
本発明における第一ポリイミドは、一般式(1)の重合単位を有し、有機溶媒中で芳香族テトラカルボン酸類、特に好ましくは芳香族テトラルカルボン酸二無水物、とトランス−1,4−シクロヘキサンジアミン
【化11】

とを重合させて閉環反応を進行し、得られたポリマーを貧溶媒中に添加することによって固体状に析出させて第一ポリイミドを得ることができる。この第一ポリイミドを得る際、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン以外のジアミン、例えば、シス−1,4−シクロヘキサンジアミンなども、本発明の効果に支障が無い限り共重合させてもよいが、第一ポリイミドの原料であるジアミン成分の合計のうちトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンの割合が90mol%以上であると好ましく、95mol%以上であるとより好ましく、98mol%以上であると更に好ましい。
【0018】
本発明における第一ポリイミドの分子量について特に制限はないが、0.12gをEゾール溶媒(40質量部の1,1,2,2−テトラクロルエタンと、60質量部のフェノールとの混合物)10mLに溶解させ、30℃においてウベローデ粘度計を用いて測定された還元粘度(ηsp/C)が1.0dL/g以上の範囲にあるものであり、1.5dL/g以上であると好ましく、2.0dL/g以上であるとより好ましい。1.0dL/g未満では製膜性が悪くなったり、キャスト膜にひび割れ等が生じたりする恐れがある。電子材料用途にポリイミドを利用する場合、ポリイミド膜が十分に高靱性であることが要求されるため上限は特に制限はないが、有機溶剤に可溶である範囲であれば問題ないが実用的には5dL/g以下が好ましい。
【0019】
上記第一ポリイミドは、多くの有機溶剤に対して可溶性を有する。可溶性とは、当該ポリイミドが有機溶剤100gに対し5g以上溶解することをいう。好ましくは10g以上である。5g以下での溶解性ではポリイミドを加工することが出来ず好ましくない。
【0020】
上記第一ポリイミドが可溶である有機溶媒としては、ベンジルアルコール、α−アミルシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、クミニルアルコール、p−シメン−8−オール、デヒドロクミンアルコール、ジヒドロシンナミルアルコール、2,4−ジメチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、p−α−ジメチルベンジルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、4−エトキシベンジルアルコール、フルフリルアルコール、ヒドラトロピルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、α−イソブチルフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オール、メチルp−ヒドロキシフェニルカルビノール、4−メチル−2−フェニルペンタノール、2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロパノール、2−メチル−4−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−5−ヒドロキシメチルピラジン、4−メチルベンジルアルコール、5−メチルフルフリルアルコール、フェネチルアルコール、フェネチルメチルエチルカルビノール、2−フェノキシエタノール、フェニルエチルカルビノール、2−フェニル−2−プロパノール、4−フェニルブタン−2−オール、ピペロニルアルコール、スチラリルアルコール、スルフロール、テニルアルコール、バニリルアルコール、バニリルアルコールメチルエーテル、1−ベンジル−2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメトキシベンジルアルコールなどの芳香族アルコール溶媒、プソイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、ヘミメリテン(1,2,3−トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)のトリメチルベンゼン類、クメン、n−プロピルベンゼン、エチルトルエン類、インデン、インダン、シメン、ジエチルベンゼン類、エチルキシレン類などの芳香族炭化水素溶媒、フェノール、クレゾールなどのフェノール性溶剤、ピリジンなどのヘテロ化合物溶剤又はこれらより選ばれる2つ以上混合溶媒を混合して用いることができる。また、上記の混合溶媒以外にも、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化溶剤、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性高沸点高極性溶媒、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤などを混合して用いることができる。
【0021】
本発明における第一ポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、上記の芳香族テトラカルボン酸類として芳香族テトラカルボン酸の二無水物と、上記ジアミンからポリアミド酸を得、次いで加熱閉環するか、又は酸無水物とピリジン、カルボジイミド、亜リン酸トリフェニルなどの化学閉環剤を用いて化学閉環する方法等を例示することができる。
【0022】
上記の第一ポリイミドの製造方法に用いられる芳香族テトラカルボン酸類は、前記一般式(4)、(5)及び(6)で表されるものからなる群より選ばれる1種類以上のものである。そのような芳香族テトラカルボン酸類としては、ピロメリット酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン(以下、ジフェニルスルホン酸と略称することがある)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、2,3,4,5−ピリジンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ピリジンなどの芳香族テトラカルボン酸(複素芳香族テトラカルボン酸を含む)といいた各種芳香族テトラカルボン酸、以上列挙した各種芳香族テトラカルボン酸の二無水物、該各種芳香族テトラカルボン酸の塩化物(一カルボン酸三酸塩化物、二カルボン酸二酸塩化物、三カルボン酸一酸ハロゲン化物、四塩素化物)、該各種芳香族テトラカルボン酸の一無水物、該各種芳香族テトラカルボン酸の一無水物一酸塩化物、及び該各種芳香族テトラカルボン酸の一無水二酸塩化物よりなる群から選ばれる1種類以上が好ましいものとして挙げられる。なお、上記から明らかなとおり、本願において芳香族テトラカルボン酸類との語が包含する芳香族テトラカルボン酸誘導体とは、該芳香族テトラカルボン酸の二無水物(前記一般式(4))、塩化物
【化12】

一無水物
【化13】

一無水物一酸塩化物
【化14】

及び、一無水物二酸塩化物
【化15】

(上記の芳香族テトラカルボン酸の塩化物〜一無水物二酸塩化物の各一般式において、Arの定義は一般式(4)、(5)及び(6)におけるArに同じである)
を含むものである。
【0023】
上記の芳香族テトラカルボン酸類のうち、ピロメリット酸類、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸類、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル類、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸類、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン類からなる群より選ばれる1種類以上の芳香族テトラカルボン酸類が好ましく、芳香族これらテトラカルボン酸の二無水物からなる群より選ばれる1種類以上がより好ましく、ピロメリット酸二無水物または、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
【0024】
なお、本発明の第一ポリイミドの製造に支障が出ない程度であれば、テトラカルボン酸類として上記の芳香族テトラカルボン酸類のほか、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸などの脂環式テトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸といった非芳香族テトラカルボン酸類も用いた共重合ポリイミドの溶液としても良い。
【0025】
上記の第一ポリイミドの製造方法における重合反応にて、芳香族テトラカルボン酸類の全モル数と、トランス1,4−シクロヘキサンジアミンの全モル数との比率は、1:0.9〜1.1であると好ましく、1:0.95〜1.05であるとより好ましく、1:0.98〜1.02であると特に好ましい。
【0026】
上記の第一ポリイミドの製造方法において、ポリイミドを得る重合反応は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の高沸点高極性溶媒、フェノール、m−クレゾール等のフェノール性溶剤、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶剤といった種々の有機溶媒を使用することができる。なかでも、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性高沸点高極性溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種と、炭素数6−12の芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種とを質量比1:99〜99:1にて混合して重合反応の溶媒として用いると好ましい。
【0027】
また、上記の第一ポリイミドを得る重合反応において、1種類以上の芳香族アルコールと1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素などを重合反応性の支障がない程度に混合して反応溶媒として用いても良い。この場合の、1種類以上の芳香族アルコールと1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素と混合比としては、質量比90:10〜10:90であると好ましく、質量比は80:20〜30:70であるとより好ましく、60:40〜40:60であるとより一層好ましい。上記混合溶媒において、炭素数9〜12の芳香族炭化水素の量が混合溶媒中の90質量%を超えると、ポリイミドが溶けにくくなる恐れがあり、10質量%以下になるとポリイミド溶液の保存安定性が悪くなることがある。
【0028】
上記の第一ポリイミド重合反応溶媒に用いられる上記の芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール、α−アミルシンナミルアルコール、シンナミルアルコール、クミニルアルコール、p−シメン−8−オール、デヒドロクミンアルコール、ジヒドロシンナミルアルコール、2,4−ジメチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、p−α−ジメチルベンジルアルコール、2−エトキシベンジルアルコール、4−エトキシベンジルアルコール、フルフリルアルコール、ヒドラトロピルアルコール、4−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、α−イソブチルフェネチルアルコール、2−メトキシベンジルアルコール、3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1−オール、メチルp−ヒドロキシフェニルカルビノール、4−メチル−2−フェニルペンタノール、2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)プロパノール、2−メチル−4−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−5−ヒドロキシメチルピラジン、4−メチルベンジルアルコール、5−メチルフルフリルアルコール、フェネチルアルコール、フェネチルメチルエチルカルビノール、2−フェノキシエタノール、フェニルエチルカルビノール、2−フェニル−2−プロパノール、4−フェニルブタン−2−オール、ピペロニルアルコール、スチラリルアルコール、スルフロール、テニルアルコール、バニリルアルコール、バニリルアルコールメチルエーテル、1−ベンジル−2−メチル−2−プロパノール、2,3−ジメトキシベンジルアルコールよりなる群から選ばれる1種類以上が好ましく、特にベンジルアルコールが好ましい。
【0029】
上記の第一ポリイミド溶液に用いられる上記の炭素数9〜12の芳香族炭化水素としてはプソイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、ヘミメリテン(1,2,3−トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)のトリメチルベンゼン類、クメン、n−プロピルベンゼン、エチルトルエン類、インデン、インダン、シメン、ジエチルベンゼン類、エチルキシレン類などよりなる群から選ばれる1種類以上が好ましく、トリメチルベンゼン類、クメン、n−プロピルベンゼン、エチルトルエン類、インダン、およびインデンよりなる炭素数が9の芳香族炭化水素の群から選ばれる1種類以上であるとより好ましく、トリメチルベンゼン類であると更に好ましく、プソイドクメンまたはメシチレンであると特に好ましい。
【0030】
上記の第一ポリイミドの製造方法において、重合反応は、前記のトランス1,4−シクロヘキサンジアミンと前記の芳香族テトラカルボン酸類とを、室温または氷冷下にて上記有機混合溶媒に溶解させ、必要に応じて混合溶媒を過熱還流させながら、所定の時間反応をさせることによって実施される。反応温度としては150℃〜400℃が好ましく、180℃〜350℃であるとより好ましい。反応時間としては0.1時間〜72時間であると好ましく、0.2時間〜12時間であるとより好ましく、0.3時間〜5時間であると特に好ましい。
【0031】
本発明において、第一ポリイミドを得る重合反応において、公知の触媒を使用することができる。しかし、使用する用途によっては触媒が微量残存することによりポリイミドの安定性や着色などの観点から無触媒下で該反応を行うことが好ましい。
【0032】
触媒を使用する場合には、例えば、塩基触媒としては、キノリン、イソキノリン、α―ピコリン、β―ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、とりプロピルアミン、トリブチルアミン、イミダゾール、N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジンなどの有機塩基触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩基触媒が例示される。
また、酸触媒としては、安息香酸、メチル安息香酸、オキシ安息香酸、テレフタル酸、桂皮酸、クロトン酸、アクリル酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが例示される。
【0033】
上記重合反応の際のモノマー濃度(反応溶液全量に対する、前記のトランス1,4−シクロヘキサンジアミンと前記の芳香族テトラカルボン酸類との合計量の割合)は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。このモノマー濃度の範囲で重合を行うことにより、より均一で高重合度のポリイミドの溶液を得ることができる。モノマー濃度5質量%以下で重合を行う場合、ポリイミドの重合度が上がらずポリイミド重合体が脆くなることがあり好ましくない。また、モノマー濃度50質量%を超えて重合反応を行う場合、アミン塩が形成され、アミン塩が溶解、消失するまでにより長い反応時間を必要とし、生産性が低下するなどの問題が生じることがあり好ましくない。
【0034】
上記の重合反応の際、反応によって生成する水を反応溶液中から除去することが高分子量のポリイミドを効率的に得る上で好ましい。水の除去方法としては、反応系中にモレキュラーシーブを存在させる方法、加熱還流蒸気をモレキュラーシーブなどと接触させ反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却して生成する凝縮液をモレキュラーシーブなどと接触させ反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却後分離槽またはディーンスターク装置等により水を分離し溶媒だけを反応溶液中に戻す方法などが挙げられる。
【0035】
上記の第一ポリイミドを製造する方法として、前記の重合反応後の混合液を加熱、減圧、または加熱及び減圧下で溶媒を留去して単離したポリイミドを減圧下で更に溶融熱処理することことにより、ポリイミドをさらに高重合度のものとし、これを再度前記の混合溶媒に溶解する方法も挙げられる。このときの溶融熱処理温度はポリイミドの熱分解温度以下であり、結晶性ポリイミドの場合は融点の10℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の10℃以上の温度が好ましい。より好ましくは結晶性ポリイミドの場合は融点の30℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の30℃以上の温度である。上記温度差が10℃未満である場合、ポリイミドの粘度が高すぎて熱処理による高重合度化の効果が得られにくく好ましくない。
【0036】
上記の第一ポリイミドの製造方法として、前期重合反応後貧溶媒中に添加することによって固体状に析出させた後に他の溶媒に溶解して用いることができる。さらに、前述の方法で得られた固体状のものを固体のまま溶融熱処理することによってポリイミドをえることもできる。
【0037】
本発明の樹脂組成物の成分である第二ポリイミドは、前記一般式(2)で表される構造を有するものである。前記一般式(2)中の炭素数2〜20の脂肪族基または炭素数3〜20の脂環族基であるRは、該ポリイミドの原料である1級ジアミンに由来する残基を表すものであり、後述の該ポリイミドの製造方法において好ましい1級ジアミンとして列挙されている1級ジアミンに由来する残基が好ましく、炭素数3〜15の脂環式1級ジアミンに由来する残基がより好ましく、炭素数6〜15の脂環式1級ジアミンに由来する残基が更に好ましく、イソホロンジアミン(以下、IPDAと略称することがある)、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミンなどからなる群より選ばれる1種類以上の1級ジアミンに由来する残基がより一層好ましく、なかでもイソホロンジアミンに由来する下記の残基、つまりイソホロンジアミン残基が際立って好ましい。
【0038】
【化16】

【0039】
前記一般式(2)中の炭素数4から24の4価の芳香族基であるArは、第一ポリイミドについての前記一般式(1)中のAr、そして、該ポリイミドの原料である芳香族テトラカルボン酸、又はその誘導体(以下、併せて芳香族テトラカルボン酸類と称することがある)を表す前記一般式(3)〜(5)におけるArと同じであり、その好ましいものも第一ポリイミドに関して前述したものと同様である。
【0040】
本発明における第二ポリイミドは、前記一般式(2)の重合単位を有し、有機溶媒中で芳香族テトラルカルボン酸二無水物等の芳香族テトラルカルボン酸類と1級ジアミンとを重合反応させて閉環反応を進行させることにより得ることができる。
【0041】
上記の第二ポリイミドの分子量は特に制限はないが、0.12gをEゾール溶媒(40質量部の1,1,2,2−テトラクロルエタンと、60質量部のフェノールとの混合物)10mLに溶解させ、30℃においてウベローデ粘度計を用いて測定された還元粘度(ηsp/C)が0.8〜5.0dL/gの範囲にあるものであり、0.8dL/g以上であると好ましく、1.0dL/g以上であるとより好ましい。0.8未満では製膜性が悪くなったり、キャスト膜にひび割れ等が生じたりする恐れがある。上限は特に制限はないが、有機溶剤に可溶である範囲であれば問題ないが実用的には5dL/g以下が好ましい。
【0042】
本発明の第二ポリイミドの製造方法としては、前述の第一ポリイミドと同様に、加熱閉環法や化学閉環法などの公知の方法によって製造することができる。
本発明に用いる第二ポリイミドの製造方法において、本発明に支障がない程度でアミン基を表面修飾したジアミノクレイ、ジアミノシリカ、ジアミノセラミックスナノファイバー、ジアミノセルロース、変性ジアミノセルロース等よりなる群から選ばれる1種類以上混合してもよい。
【0043】
上記の第二ポリイミドの製造方法に用いられる芳香族テトラカルボン酸類は、第一ポリイミドの製造方法について前述したものと同じ前記一般式(4)、(5)及び(6)で表されるものからなる群より選ばれる1種類以上のものであり、該芳香族テトラカルボン酸類として好ましいものも、第一ポリイミドの場合と同じである。
【0044】
また、第二ポリイミドを、その製造に支障が出ない程度であれば、テトラカルボン酸類として上記の芳香族テトラカルボン酸類のほか、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸等の非芳香族テトラカルボン酸類も用いた共重合ポリイミドとしても良いことも第一ポリイミドと同じである。
【0045】
上記の第二ポリイミドの製造に用いられる1級ジアミンは前記一般式(3)で表されるものである。そのような1級ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−シクロプロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,2−シクロブタンジアミン、1,3−シクロブタンジアミン、1,2−シクロペンタンジアミン、1,3−シクロペンタンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、シス−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、ジアミノシロキサン、アミン基を表面修飾したジアミノクレイ、ジアミノシリカ、ジアミノセラミックスナノファイバー、ジアミノセルロース、変性ジアミノセルロース等よりなる群から選ばれる1種類以上が好ましいものとして挙げられる。これらの1級ジアミンのうち、より好ましいのは2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、シス−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミンよりなる群から選ばれる1種類以上の1級ジアミンであり、前記一般式(3)中のRが炭素数3〜15の脂環族基である1級ジアミンであると更に好ましい。なかでも、前記一般式(3)中のRが炭素数6〜15の脂環族基である1級ジアミンが好ましく、イソホロンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、シス−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミンなどよりなる群から選ばれる1種類以上の1級ジアミンがより好ましく、イソホロンジアミン
【化17】

が特に好ましい。
【0046】
上記の第二ポリイミドの製造方法における重合反応にて、芳香族テトラカルボン酸類の全モル数と、1級ジアミンの全モル数との比率は、1:0.9〜1.1であると好ましく、1:0.95〜1.05であるとより好ましく、1:0.98〜1.02であると特に好ましい。
【0047】
本発明の製造方法において、第二ポリイミドを得る重合反応は、1種類以上の芳香族アルコールと1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒中にて行われると好ましい。第二ポリイミドを得る重合反応に用いられる混合溶媒を構成する芳香族アルコールと、炭素数9〜12の芳香族炭化水素、およびそれらの混合比については、第一ポリイミド溶液の混合溶媒に関して好ましいものとして前述したものが、同様に好適である。この際、N−メチルピロリドンなど、本発明のポリイミド溶液に含まれるポリイミドが可溶な溶媒として前記したものを、重合反応性やポリイミド溶液の保存安定性に支障がでない程度に混合しても良い。
【0048】
本発明の第二ポリイミドの製造方法において、重合反応は、前記のイソホロンジアミン等のジアミンと前記の芳香族テトラカルボン酸類とを、室温または氷冷下にて上記有機混合溶媒に溶解させ、必要に応じて混合溶媒を過熱還流させながら、所定の時間反応をさせることによって実施される。反応温度としては150℃〜400℃が好ましく、180℃〜350℃であるとより好ましい。反応時間としては0.1時間〜72時間であると好ましく、0.2時間〜12時間であるとより好ましく、0.3時間〜5時間であると特に好ましい。
【0049】
本発明において用いられる第二ポリイミドを得るための重合反応において、公知の触媒を使用することができる。しかし、使用する用途によっては触媒が微量残存することによりポリイミドの安定性や着色などの観点から無触媒下で該反応を行うことが好ましい。
触媒を使用する場合には、第一ポリイミドに関して前述したように、塩基触媒として、キノリンなどの有機塩基触媒、水酸化ナトリウム、などの無機塩基触媒を使用することができる。
また、第一ポリイミドに関して前述したとおり、酸触媒として、安息香酸、メチル安息香酸などを用いることもできる。
【0050】
上記重合反応の際のモノマー濃度(反応溶液全量に対する、前記のイソホロンジアミン等とのジアミンと前記の芳香族テトラカルボン酸類との合計量の割合)は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。このモノマー濃度の範囲で重合を行うことにより、より均一で高重合度のポリイミドの溶液を得ることができる。モノマー濃度5質量%以下で重合を行う場合、ポリイミドの重合度が上がらずポリイミド重合体が脆くなることがあり好ましくない。また、モノマー濃度50質量%を超えて重合反応を行う場合、アミン塩が形成され、アミン塩が溶解、消失するまでにより長い反応時間を必要とし、生産性が低下するなどの問題が生じることがあり好ましくない。
【0051】
上記の重合反応の際、反応によって生成する水を反応溶液中から除去することが高分子量のポリイミドを効率的に得る上で好ましい。水の除去方法としては、反応系中にモレキュラーシーブを存在させる方法、加熱還流蒸気をモレキュラーシーブなどと接触させ反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却して生成する凝縮液をモレキュラーシーブなどと接触させ反応溶液中に戻す方法、加熱還流蒸気を冷却後分離槽またはディーンスターク装置等により水を分離し溶媒だけを反応溶液中に戻す方法などが挙げられる。
【0052】
上記の第二ポリイミドの製造する方法として、前記の重合反応後の混合液を加熱、減圧、または加熱及び減圧下で溶媒を留去して単離したポリイミドを減圧下で更に溶融熱処理することことにより、ポリイミドをさらに高重合度のものとし、これを再度前記の混合溶媒に溶解する方法も挙げられる。このときの溶融熱処理温度はポリイミドの熱分解温度以下であり、結晶性ポリイミドの場合は融点の10℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の10℃以上の温度が好ましい。より好ましくは結晶性ポリイミドの場合は融点の30℃以上、非晶性ポリイミドの場合はガラス転移温度の30℃以上の温度である。上記温度差が10℃未満である場合、ポリイミドの粘度が高すぎて熱処理による高重合度化の効果が得られにくく好ましくない。
【0053】
上記の第二ポリイミドの製造方法として、前期重合反応後貧溶媒中に添加することによって固体状に析出させた後に他の溶媒に溶解して用いることができる。さらに、前述の方法で得られた固体状のものを固体のまま溶融熱処理することによってポリイミドをえることもできる。
【0054】
上記重合反応の反応液をそのまま本発明のポリイミド溶液とすることができるが、該重合反応液を加熱などにより濃縮しても良く、また、該重合反応液に溶媒を加えて希釈して本発明のポリイミド溶液としてもよい。この希釈用の溶媒としては、1種類以上の芳香族アルコールと1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素との混合溶媒で重合反応に用いた混合溶媒と同じ組成ものが好ましいが、異なる組成のものであってもよい。そして、希釈後の混合溶媒の組成が、1種類以上の芳香族アルコールと1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素との質量比90:10〜10:90に入るようにすれば、1種類以上の芳香族アルコールだけ、または1種類以上の炭素数9〜12の芳香族炭化水素だけで希釈してもよい。更に、ポリイミド溶液の保存安定性に支障がでない程度であれば、N−メチルピロリドンなど、本発明のポリイミド溶液に含まれるポリイミドが可溶な溶媒として前記したもので希釈しても良い。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、該第一ポリイミドと該第二ポリイミドとの合計100質量部あたり、樹脂組成物樹脂組成物質量第一ポリイミドが0.05〜99.95質量部(第二ポリイミドが99.95〜0.05質量部)、好ましくは1質量〜99質量部(第二ポリイミドが99〜1質量部)、より好ましくは5質量〜95質量部(第二ポリイミドが95〜5質量部)を占める。第一ポリイミドが0.05質量部より少ない場合、十分な線熱膨張係数の低減が得られない可能性があり好ましくない。第一ポリイミドが99.95質量部より多い場合、樹脂組成物の溶媒への溶解性が不十分となる恐れがあり好ましくない。
【0056】
本発明におけるポリイミド樹脂組成物は、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化溶剤、フェノール、m−クレゾール、o−クロロフェノールなどのフェノール性溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、ピリジンなどの有機溶剤に可溶であると好ましい。。
【0057】
本発明の樹脂組成物において、第一ポリイミドと第二ポリイミドとは相溶している。ここで、相溶しているとは、示差走査熱量測定(DSC)で昇温速度10℃/分で測定した時、もしくは動的粘弾性測定において、樹脂組成物のガラス転移温度が1つだけ存在する場合、または組成物光透過度がそれぞれ単独の成分の光透過度の低いものと比較して同等または透過度が高い場合の何れかを満たす場合をいう。
【0058】
本発明の樹脂組成物は線熱膨張係数が30ppm/℃以下であり、20ppm/℃以下であるとより好ましい。当該線熱膨張係数としては、熱機械分析により荷重0.2N、昇温速度10℃/分、チャック間距離16mmの条件にて求めた、幅4mm、長さ40mm、厚み18μmである試験片の40℃〜180℃の範囲における伸びの平均値を採用することができる。
【0059】
本発明の樹脂組成物において、ガラス転移温度は300℃以上が好ましく、310℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が300℃以下ではポリイミド樹脂組成物の耐熱性がいかされず樹脂の特性が十分得られず好ましくない。
ガラス転移温度が300℃以上であっても産業分野への応用には問題がなく、フレキシブルプリント回路用保護膜、半導体のパッシベーション膜、バッファーコート膜、多層集積回路の層間絶縁膜等の電子材料用途として有用である。
【0060】
本発明において樹脂組成物の製造方法としては、第一ポリイミドと第二ポリイミドとが共に有機溶剤に可溶である場合は有機溶剤で溶解混合させ、成形後有機溶剤を除去する方法で作製することができる。この方法は特に本発明における樹脂組成物のガラス転移温度が高い場合には非常に有効である。ポリマーの分解が発生せず、かつ少なくとも一方のポリマーが流動する温度範囲であればルーダーを用いて混合することもできる。
【0061】
さらに、本発明のポリイミド樹脂組成物には、必要に応じて例えば、シランカップリング剤、クレイ、フィラー、セルロース、植物由来のバイオポリマー粉末又は繊維、紫外吸収剤、酸化防止剤、感光剤、光重合開始剤及び増感剤などの他、公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができ、それら添加物を混合して用いることもできる。また、溶解性、耐熱性など用途に併せ、前記のポリイミド以外のポリマーを本発明の効果を損なわない範囲で添加することもできる。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、以下に述べるように成形体などの用途に好適に用いることができ、特にポリイミドワニスとして塗膜やプラスチック基板の形成に好適である。上記の樹脂組成物樹脂組成物を成形し、本発明のポリイミド成形体を得ることができる。成形する方法としては、特に制限なく従来公知の方法が使用でき、溶液成形、溶液キャスティング、乾式紡糸、湿式紡糸などが代表的なものとして挙げられる。
成形体の形態には、特に限定はないが、膜、フィルム、シート、繊維、中空繊維、チューブ、パイプ、ボトル等が例示される。
【0063】
本発明のポリイミド成形体は、液晶ディスプレー用、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー用、電子ペーパー用、太陽電池用、電子デバイスの電気絶縁膜用などのガラス基板代替用プラスチック基板、更には、太陽電池保護膜、カラーフィルター用保護膜などガラス基板代替プラスチック、透明伝導フィルム基板、TFT基板、光ディスク基板、光ファイバー、レンズ、タッチパネルなどの電気・電子部品や光学材料として好適である。これら電気・電子部品や光学材料への使用には、膜、フィルム、又はシートの形態である本発明のポリイミド成形体が好適であり、本願発明のポリイミド成形体よりなる電気・電子部品としては電気絶縁膜が特に有用である。
【0064】
上記の膜、フィルム、又はシートの形態の成形体を製造する方法としては、ポリイミド溶液を基材上に塗布し、溶媒を除去することを特徴とする製造方法が好ましく、具体的には、
・ ポリイミド溶液を、基材にスクリーン印刷、スピンコート法、スプレイコート法スピンコート等で塗布した(塗布工程)後、乾燥させることにより(乾燥工程)、膜であるポリイミド成形体を得る方法、
・ ポリイミド溶液を、スリット状ノズルから押し出したり、バーコーターを用いたりして基材に塗布し(塗布工程)、乾燥させ(乾燥工程)、次いでその基材からポリイミド成形体を剥離させる(剥離工程)ことにより、フィルム又はシートであるポリイミド成形体を得る方法、
などが例示される。
【0065】
上記の塗布工程において、本発明のポリイミド溶液が塗布される厚みは、目的とする成形体の寸法に応じて適宜調整されるものであるが、通常0.01〜1000μm程度であり、より好ましくは0.1〜500μmであり、更に好ましくは0.3〜100μmであり、特に好ましくは0.5〜50μmである。塗布工程は、通常室温で実施されるが、粘度を下げて操作性を良くする目的でポリイミドワニスを40〜80℃の範囲で加温して実施してもよい。
【0066】
上記の乾燥工程において、乾燥温度は、混合溶媒の種類にもよるが、通常50〜250℃、好ましくは60〜230℃、より好ましくは100〜190℃が推奨され、複数の温度設定にて段階的に乾燥してもよい。尚、250℃を超える乾燥温度は、本発明のポリイミド成形体の黄変や透明性の低下を招くことがある。乾燥工程で使用される加熱方法としては、温風加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、EB加熱などの方法が挙げられる。乾燥工程は空気雰囲気下でも行えるが、安全性及び酸化防止の観点から、不活性ガス雰囲気下で行うことが推奨される。不活性ガスとしては窒素、アルゴンなどが挙げられる。また、減圧下に乾燥を行うことも可能である。
【0067】
上記の剥離工程は、通常、基材上の該成形体を室温〜50℃程度まで冷却後に実施される。本発明の樹脂組成物は接着性が高いので、剥離作業を容易に実施するため、本発明のポリイミド溶液を塗布する前に、必要に応じて基材へ離型剤を塗布してもよい。係る離型剤としては、植物油系、シリコン系、フッ素系などを挙げることができる。
【0068】
本発明の樹脂組成物を用いて、上記のように形成された膜は基材に接着した状態になっているため、接着材の成分としても有効であり、本発明の樹脂組成物を含む接着材は、電気・電子部品を接着して電気・電子部品装置とするのに好適であり、特に、半導体3次元実装時に使用される半導体ウェハ間の接着剤として好適である。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。各実施例及び比較例における測定は以下の方法により求めた。
【0070】
[還元粘度:ηsp/C
30℃においてウベローデ粘度計を用いて、Eゾール溶媒(40質量部の1,1,2,2−テトラクロルエタンと、60質量部のフェノールとの混合物)10mLにポリマー0.12gを溶解させ、ポリイミド溶液の30℃における還元粘度(ηsp/C)を求めた。
【0071】
[溶解性]
室温にて樹脂組成物の溶解性評価を実施した。
◎:沈殿物なし
○:極微小の沈殿物
△:微量の沈殿物
X:変化なし
【0072】
[ガラス転移温度]
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(TA Instruments社製DSC2920)により、昇温速度10℃/分におけるTgを求めた。
【0073】
[線熱膨張係数]
TA instruments社のTMA2940熱機械分析装置を用いた熱機械分析により荷重0.2N、昇温速度10℃/分、チャック間距離16mmの条件にて、幅4mm、長さ40mm、厚み18μmの試験片の40℃〜180℃の範囲における伸びの平均値を求め、これを線熱膨張係数とした。
【0074】
[製造例1:第一ポリイミド]
0.5Lのセパラタブルフラスコ中にトランス−1,4−シクロヘキサンジアミン(t−CHDA、純度98mol%)2.8548質量部(0.025mol部)のN−メチル2−ピロリドン36.7571質量部/トルエン(和光製)4.084質量部(質量比90:10)混合溶媒にビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)7.3555質量部(0.025mol部)を仕込んだ。まず、室温において窒素雰囲気下、攪拌回転数50rpmで0.5hr攪拌しがら反応の発熱を確認し、その反応溶液を190℃まで6.5hrかけて加温し、留出する水はディーンスターク装置を用いて系外に除去しながら重合、閉環反応を進行させた。反応中に留出した水の量は、環化反応によるイミド結合生成の理論量どおりであり、ポリイミドの生成が確認された。その後、攪拌回転数150rpmで200℃まで0.5hrかけて昇温し、同温度で0.5hr保持させた後放冷し、反応溶液が80℃に下がったところで反応溶液を水/アセトン(体積比3/2)200質量部にあけ、析出した第一ポリイミド(白色固体)を濾集した。得られた第一ポリイミドの還元粘度(ηsp/C)を測定したところ、2.05dL/gであった。
【0075】
[製造例2:第二ポリイミド]
0.5Lのセパラタブルフラスコ中にイソホロンジアミン(IPDA)4.2575質量部(0.025mol部)のベンジルアルコール36.7571質量部/プソイドクメン(和光製)4.084質量部(質量比90:10)混合溶媒にビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)7.3555質量部(0.025mol部)を仕込んだ。まず、室温において窒素雰囲気下、攪拌回転数50rpmで0.5hr攪拌しがら反応の発熱を確認し、その反応溶液を190℃まで6.5hrかけて加温し、留出する水はディーンスターク装置を用いて系外に除去しながら重合、閉環反応を進行させた。反応中に留出した水の量は、環化反応によるイミド結合生成の理論量どおりであり、ポリイミドの生成が確認された。その後、攪拌回転数150rpmで200℃まで0.5hrかけて昇温し、同温度で0.5hr保持させた後放冷し、反応溶液が80℃に下がったところで反応溶液を水/アセトン(体積比3/2)200質量部にあけ、析出した第二ポリイミド(白色固体)を濾集した。得られた第二ポリイミドの還元粘度(ηsp/C)を測定したところ、2.52dL/gであった。
【0076】
[実施例1〜3]
製造例1の方法で得られた第一ポリイミドと製造例2の方法で得られた第二ポリイミドとを下表に示した質量比でm−クレゾールに溶解して10質量%ドープを作成し、ガラス基板上でキャスティング後、200℃で乾燥して透明均一なフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
[比較例1]
製造例1の方法で得られた第一ポリイミドのみを用いて、実施例1〜3と同様の操作にてフィルムを得ようとしたが、第一ポリイミドがm−クレゾールに溶解しなかったため、フィルムを作ることができなかった。結果を表1に示す。
【0078】
[比較例2]
製造例2の方法で得られた第二ポリイミドのみを用いて実施例1〜3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の樹脂組成物は、電気・電子部品分野で使用されているガラス基板の代替用としてのプラスチック基板の材料として有用であり、液晶ディスプレー用、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー用、電子ペーパー用、太陽電池用などのガラス基板代替用プラスチック基板、電子デバイスの電気絶縁膜、光学材料、太陽電池パネル等の保護フィルム、光導波路など種々の用途に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(上記一般式(1)において、Arは炭素数4から24の4価の芳香族基であり、Hと記された六員環はトランス−1,4−シクロヘキサンジイル基である。)
に表される繰り返し単位からなる還元粘度(ηsp/C)が1.0dL/g以上の第一ポリイミドと、下記一般式(2)
【化2】

(上記一般式(2)において、Arは上記一般式(1)のArと同じであり、Rは炭素数2〜20の脂肪族基または炭素数3〜20の脂環族基である。)
に表される繰り返し単位からなる還元粘度(ηsp/C)が0.8〜5.0dL/gの第二ポリイミドとからなる樹脂組成物であって、該第一ポリイミドと該第二ポリイミドとの合計100質量部あたり、該第一ポリイミドが0.05〜99.95質量部であり、該第二ポリイミドが99.95〜0.05質量部であり、以下の(a)及び(b)を満たすことを特徴とする樹脂組成物。
(a)樹脂組成物において第一ポリイミドと第二ポリイミドが相溶している。
(b)樹脂組成物の線熱膨張係数が30ppm/℃以下である。
【請求項2】
上記一般式(2)の第二ポリイミドが、下記一般式(3)
【化3】

(上記一般式(3)において、Rは炭素数2〜20の脂肪族基または炭素数3〜20の脂環族基である。)
で表される1級ジアミンと、下記一般式(4)、(5)及び(6)
【化4】

【化5】

【化6】

(上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Arは炭素数4〜24の芳香族基である。上記一般式(5)において、X、X、X、およびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。上記一般式(6)において、XおよびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。)
で表される芳香族テトラカルボン酸類からなる群より選ばれるすくなくとも1種とを、有機溶媒中で重合反応させたものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
上記一般式(1)の第一ポリイミドが、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミンと、下記一般式(4)、(5)及び(6)
【化7】

【化8】

【化9】

(上記一般式(4)、(5)及び(6)において、Arは炭素数4〜24の芳香族基である。上記一般式(5)において、X、X、X、およびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。上記一般式(6)において、XおよびXはそれぞれ独立にヒドロキシ基またはクロロ基である。)
で表される芳香族テトラカルボン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種とを、有機溶媒中で重合反応させたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
上記一般式(2)におけるRが、イソホロンジアミン残基である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
上記一般式(3)の1級ジアミンが、イソホロンジアミンである請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物よりなることを特徴とする成形体。

【公開番号】特開2012−193281(P2012−193281A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58358(P2011−58358)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】