説明

樹脂製キャップの検査装置

【課題】キャップの天面または下面を支持台で支持することなくキャップの側面だけをハンドリングしてキャップの天面または下面をフリーにした状態で搬送しつつ、キャップを撮像して外観検査を行うキャップの検査装置を提供する。
【解決手段】複数の樹脂製キャップ1を支持して搬送するスターホイール5の各ポケット5aに設けられ、樹脂製キャップ1の側面を真空吸着可能な吸着孔22hと、固定側部材32と回転側部材34とを有し固定側部材32と回転側部材34とが互いに摺接しながら相対回転して、固定側部材32に形成された円弧状溝36と回転側部材34に形成された複数の連通孔39とが断続的に連通するように構成されたロータリバルブ30と、スターホイール5により搬送される樹脂製キャップ1に下方から投光するための照明50と、照明50から投光され樹脂製キャップ1で反射した反射光を撮影するための撮像装置51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル(PETボトル)等の容器の口部を密封するための樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送しつつ、照明と撮像装置によって樹脂製キャップを撮像して外観検査を行うための樹脂製キャップの検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料などを充填するために軽量のプラスチックボトルであるペットボトル(PETボトル)が多用されている。ペットボトルの口部はキャップにより密封されている。清涼飲料の容器用キャップはPETボトルの普及にともない、アルミ製キャップから樹脂製キャップに主流が変わってきている。樹脂製キャップは樹脂成形により製作されるため、成形上いろいろな検査が求められている。またキャップの天面には文字や模様が印刷されている。そのため、樹脂製キャップは、製作後に変形の有無、印刷時等に生じた汚れの有無、異物付着の有無、ウィング部の異常(ショートウィングと呼ばれる)の有無等の外観検査を行う必要がある。
【0003】
従来から、樹脂製キャップを撮像して外観検査を行うキャップの検査装置が知られている。このキャップの検査装置においては、検査用スターホイールによりキャップを保持して所定の円形軌道に沿って搬送しつつ、照明と撮像装置によってキャップの外観を撮像して検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のキャップの検査装置においては、検査用スターホイールのポケット(凹部)によって樹脂製キャップを保持した状態で、検査用スターホイールの回転によって樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送している間に、変形の有無、汚れの有無等の各種検査を行っている。この場合、検査用スターホイールに樹脂製キャップを供給するために、検査用スターホイールの入口側にスターホイールを別途設け、スターホイール間でキャップを受け渡す必要がある。そのため、両スターホイールの間の受渡し部に、樹脂製キャップの側面を案内するためのガイドを設けるとともにキャップの天面を支持する渡り板を設け、スターホイールのポケットとガイドでキャップの側面を支持しつつ渡り板でキャップの天面を支持して2つのスターホイール間でキャップを受け渡すようにしている。
【0006】
ところが、ペットボトルの用途が拡大するにつれて、樹脂製キャップの形状が多種多様になり、キャップの高さ(丈)が低いものも増えてきた。このように、キャップの高さが低くなると、スターホイールのポケットとガイドとが干渉し、ガイドおよびスターホイールのいずれもが充分な接触面を確保することができないという問題点がある。
また、樹脂製キャップの受け渡しが完了した後に、検査用スターホイールによりキャップを搬送している間にキャップの天面を検査するためには、キャップの天面または下面を支持台で支持することなくキャップの側面だけをハンドリングしてキャップの天面または下面をフリーにした状態で空中搬送しなければならない。
【0007】
そのため、本発明者らは、ガラス壜等の容器においてスターホイールの外周側に容器の側面に係合する回転ベルトを設けてベルトにより容器をスターホイールのポケットに押し付けることで容器を保持することが行われているので、この回転ベルト方式を樹脂製キャップの保持に適用することを試みた。しかしながら、キャップは軽量化のために薄肉化されたことで、変形しやすい柔らかな状態になってきている。このように、樹脂製キャップの硬さが柔らかくなると、ベルトを押し付けた際にキャップが変形し、キャップの検査が可能な姿勢を保持できなかったり、さらにはキャップがポケットから飛び出してしまうこともあるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、キャップの天面または下面を支持台で支持することなくキャップの側面だけをハンドリングしてキャップの天面または下面をフリーにした状態で空中搬送しつつ、樹脂製キャップを撮像して外観検査を行う樹脂製キャップの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、複数の樹脂製キャップを外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送するスターホイールと、前記スターホイールの各ポケットに設けられ、樹脂製キャップの側面を真空吸着可能な吸着孔と、固定側部材と回転側部材とを有し固定側部材と回転側部材とが互いに摺接しながら相対回転することにより、固定側部材に形成された円弧状溝と回転側部材に形成された複数の連通孔とが断続的に連通するように構成されたロータリバルブと、前記スターホイールにより円形軌道に沿って搬送される樹脂製キャップに下方から投光するための照明と、前記照明から投光され樹脂製キャップで反射した反射光を撮影するための撮像装置とを備え、前記各吸着孔を前記ロータリバルブを介して断続的に真空源に連通させて各吸着孔に樹脂製キャップを真空吸着させた状態で前記スターホイールにより樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送し、この搬送中に前記照明と前記撮像装置とにより樹脂製キャップを撮影するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、スターホイールの回転によってロータリバルブにおける回転側部材が固定側部材に摺接しながら回転すると、回転側部材に形成された連通孔が固定側部材に形成された円弧状溝に対向した位置にある間は、真空源からの負圧がスターホイールのポケットの吸着孔に供給され、樹脂製キャップが吸着孔により真空吸着される。また、回転側部材に形成された連通孔が固定側部材に形成された円弧状溝からずれると、真空源からの負圧が遮断されてポケットの吸着孔によるキャップの真空吸着が解除される。このように、スターホイールのポケットに形成された吸着孔により樹脂製キャップを真空吸着して搬送することができるため、樹脂製キャップの天面または下面をフリーにした状態で円形軌道に沿って搬送することができ、この搬送中に照明と撮像装置により天面または下面を撮影することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記照明はリング状照明からなることを特徴とする。
本発明によれば、リング状照明により樹脂製キャップの下方から、搬送される樹脂製キャップに向かって投光し、樹脂製キャップからの反射光をリング状照明の中心部を介して撮像装置に導いて撮影することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記撮像装置の光軸は、前記リング状照明の中心部を通って樹脂製キャップの中心に延びていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記撮像装置により樹脂製キャップの天面を撮影することを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記スターホイールの各ポケットには、前記吸着孔が1個または2個設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記吸着孔が1個の場合には、前記吸着孔は各ポケットの中央部に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、スターホイールのポケットの中央部に1個の吸着孔を設けることでキャップをポケットに真空吸着により保持することが可能である。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記吸着孔が2個の場合には、前記吸着孔は各ポケットの両側部に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、スターホイールのポケットの両サイド(両側部)に吸着孔を設けることで、受け渡し時にポケットの隙間が小さい状態からキャップに真空吸着力を働かせることが可能になり、さらに安定した真空吸着力によるキャップの受け渡しと空中搬送が可能になる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記スターホイールの入口側にスターホイールを別途備え、入口側のスターホイールから前記スターホイールに樹脂製キャップを受け渡す際に、入口側のスターホイールの吸着孔で樹脂製キャップを真空吸着している状態から前記スターホイールの吸着孔で樹脂製キャップを真空吸着するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、樹脂製キャップは、入口側のスターホイールのポケットの吸着孔に真空吸着されて円形軌道に沿って搬送され、受渡し部(乗移部)において入口側のスターホイールから検査用スターホイールに受け渡される。この受け渡し時には、キャップは、入口側のスターホイールのポケットの吸着孔に真空吸着された状態から検査用スターホイールのポケットの吸着孔にも真空吸着される。そして、検査用スターホイールのポケットの吸着孔がキャップを真空吸着した直後に入口側のスターホイールのポケットの吸着孔への負圧が遮断され、キャップは検査用スターホイールのポケットの吸着孔のみに真空吸着された状態になる。これにより、キャップは入口側のスターホイールから検査用スターホイールに受け渡される(乗り移る)。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記入口側のスターホイールから前記スターホイールに樹脂製キャップを受け渡す部分に樹脂製キャップの下面を支持する渡り板を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)スターホイールのポケットに形成された吸着孔により樹脂製キャップを真空吸着して搬送することができるため、樹脂製キャップの天面または下面をフリーにした状態で円形軌道に沿って搬送することができ、この搬送中にキャップの天面または下面を遮る障害物等が何もない状態で照明と撮像装置によりキャップの天面または下面を撮影することができる。
(2)スターホイールのポケットに形成された吸着孔により樹脂製キャップを真空吸着できるため、スターホイール間で樹脂製キャップを受け渡すための受渡し部にガイドが不要になり、高さ(丈)が低い樹脂製キャップも一方のスターホイールから他方のスターホイールに安定して搬送することができる。
(3)スターホイールのポケットに形成された吸着孔により樹脂製キャップを真空吸着して搬送することができるため、スターホイールのポケットに樹脂製キャップを押し付けるためのベルトが不要な簡単な構造になり、かつ樹脂製キャップの硬さによらずキャップの姿勢を安定した状態で搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る樹脂製キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は、樹脂製キャップを掻き込み用スターホイールから検査用スターホイール5に受け渡す受渡し部を示す図であり、図1のII-II線断面図である。
【図3】図3は、検査用スターホイールに設置されたロータリバルブを示す半断面図である。
【図4】図4は、図2に示す検査用スターホイールのポケットの詳細構造を示す横断面図である。
【図5】図5は、樹脂製キャップを掻き込み用スターホイールから検査用スターホイールに受け渡す(乗り移らせる)状態を拡大して示す要部拡大図である。
【図6】図6は、図1に示す検査ステーションの詳細構造を示す模式的立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る樹脂製キャップの検査装置の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。なお、図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る樹脂製キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、樹脂製キャップの外観検査機は、樹脂製キャップ1を搬入するシュート2と、シュート2からキャップ1を受け取ってキャップ1を掻き込んでポケット(凹部)4aに保持してキャップ1を円形軌道に沿って搬送する掻き込み用スターホイール4と、掻き込み用スターホイール4からキャップ1を受け取ってキャップ1を円形軌道に沿って搬送する検査用スターホイール5を備えている。検査用スターホイール5の円形軌道に沿って検査ステーションS1,S2が配置されている。検査ステーションS1,S2には、照明と、1台または複数台のCCDカメラとが配置されている。
また、樹脂製キャップの外観検査機は、検査用スターホイール5からキャップ1を受け取って直線搬送するコンベヤ10を備えている。
【0020】
図1に示すように構成された樹脂製キャップの外観検査機において、キャップ1はシュート2によって連続的に掻き込み用スターホイール4に供給される。掻き込み用スターホイール4は、キャップ1をポケット(凹部)4aに掻き込みポケット(凹部)4aにより保持しつつ検査用スターホイール5に搬送する。キャップ1は、検査用スターホイール5により円形軌道に沿って搬送されている間に、検査ステーションS1で天面検査、検査ステーションS2で外面検査が行われる。キャップ1は検査後に検査用スターホイール5からコンベヤ10に受け渡される。コンベヤ10によって次工程に搬送される。
上記検査ステーションS1,S2では、照明とCCDカメラとによってキャップ1の各部位を撮像し、得られた画像から欠陥の有無を検出する。コンベヤ10の下流側には、コンベヤ10を挟むようにエアブロー排出装置(図示せず)と排出シュート(図示せず)が設置されており、上記検査によって欠陥が検出された不良品はエアブロー排出装置から噴出するエアブローにより排出シュートに排出される。
【0021】
図2は、樹脂製キャップ1を掻き込み用スターホイール4から検査用スターホイール5に受け渡す受渡し部を示す図であり、図1のII-II線断面図である。図2に示すように、掻き込み用スターホイール4は、円板状の支持板11の下面に取り付けられる概略環状の部材からなるスターホイール本体12を備えている。スターホイール本体12の外周部には、キャップ1の側面がはまりこむポケット(凹部)4aが多数形成されている。そして、スターホイール本体12には、ポケット4aの内側面に開口してキャップ1を真空吸着するための吸着孔12hが形成されている。吸着孔12hは各ポケット4aに対応して設けられており、各吸着孔12hは真空配管14を介してロータリバルブ(図示せず)に接続されている。ロータリバルブは真空源としての真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
上述の構成により、真空源からロータリバルブ、真空配管14および吸着孔12hを介してポケット4aに負圧が供給され、ポケット4aによりキャップ1を真空吸着できるようになっている。
【0022】
検査用スターホイール5は、円板状の支持板21の下面に取り付けられる概略環状の部材からなるスターホイール本体22を備えている。スターホイール本体22の外周部には、キャップ1の側面がはまりこむポケット(凹部)5aが多数形成されている。そして、スターホイール本体22には、ポケット5aの内側面に開口してキャップ1を真空吸着するための吸着孔22hが形成されている。吸着孔22hは各ポケット5aに対応して設けられており、各吸着孔22hは真空配管24を介してロータリバルブ(図示せず)に接続されている。ロータリバルブは真空源としての真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
上述の構成により、真空源からロータリバルブ、真空配管24および吸着孔22hを介してポケット5aに負圧が供給され、ポケット5aによりキャップ1を真空吸着できるようになっている。
また、図2に示すように、装置フレームFには掻き込み用スターホイール4から検査用スターホイール5にキャップ1を受け渡す際にキャップ1の天面を支持するための渡り板25が設置されている。
【0023】
図2には図示されていないが、掻き込み用スターホイール4および検査用スターホイール5は、掻き込み用スターホイール4および検査用スターホイール5を回転駆動する主軸の周囲に配置されたロータリバルブを備えている。樹脂製キャップ1を真空吸着するための真空源として真空ポンプが用いられており、この真空ポンプは固定して設置されているため、固定側(真空ポンプ側)から回転側(スターホイール側)に負圧を供給するためにロータリバルブが用いられている。
【0024】
図3は、検査用スターホイール5に設置されたロータリバルブを示す半断面図である。図3に示すように、ロータリバルブ30は、固定基台31に固定された円板状の固定側部材32と、円筒体33に固定された円板状の回転側部材34とを備えている。固定側部材32および回転側部材34は主軸23の周囲に配置されている。円筒体33と主軸23とは、主軸23に設けられたキー(図示せず)を介して連結され、円筒体33及び回転側部材34と主軸23とが一体的に回転するように構成されている。
【0025】
固定側部材32と回転側部材34とは、互いに摺接しながら回転する摺接面35を有している。固定側部材32の摺接面35には円弧状溝36が形成され、回転側部材34の摺接面35には、円弧状溝36に対向する位置で開口する複数の連通孔39が同一円周上に形成されている。固定側部材32には円弧状溝36に連通する連通孔38が形成されており、連通孔38は図示しない真空源(真空ポンプ)に接続されている。一方、回転側部材34の各連通孔39は真空配管24を介して各吸着孔22hに接続されている(図2参照)。
【0026】
ロータリバルブ30は、回転側部材34を支持するためのスラストベアリング40を備えている。スラストベアリング40は、固定側部材32が固定される固定基台31上に設置されており、回転側部材34が固定される円筒体33を支持している。即ち、回転側部材34は、上述した摺接面35で支持されるとともに、円筒体33を介してスラストベアリング40によっても支持されている。
【0027】
上述のように構成されたロータリバルブ30によれば、回転側部材34が固定側部材32に摺接しながら回転すると、回転側部材34に形成された連通孔39が、固定側部材32に形成された円弧状溝36に対向した位置にある間は、連通孔38と連通孔39とが連通することになる。したがって、連通孔38に連通された真空源からの負圧が、連通孔39に連通された吸着孔22hに供給され、樹脂製キャップ1が吸着孔22hにより真空吸着される。また、連通孔39が円弧状溝36からずれると、連通孔38と連通孔39との連通が遮断され、真空源からの負圧が遮断されて吸着孔22hによるキャップ1の真空吸着が解除される。なお、掻き込み用スターホイール4に設置されたロータリバルブも図3と同様の構造である。
【0028】
図4は、図2に示す検査用スターホイール5のポケット5aの詳細構造を示す横断面図である。図4(a)に示す例においては、キャップ1を真空吸着するための吸着孔22hがポケット5aの中央部に1個形成されている。図4(b)に示す例においては、キャップ1を真空吸着するための吸着孔22hがポケット5aの先端部5te,5teのやや内側に2個形成されている。すなわち、吸着孔22hはポケット5aの両側部に形成されている。
図4(a)に示す例においては、キャップ1は、略半円状の凹部からなるポケット5aの先端部5te,5teに接触して支持されるとともに吸着孔22hによる真空吸着により保持される。
図4(b)に示す例においては、キャップ1は、略半円状の凹部からなるポケット5aの先端部5te,5teに接触して支持されるとともに2つの吸着孔22h,22hによる真空吸着により保持される。
なお、掻き込み用スターホイール4のポケット4aの詳細構造は図示しないが、掻き込み用スターホイール4のポケット4aにも、吸着孔12hが1個形成されているタイプと吸着孔12hが2個形成されているタイプとがある。
【0029】
図4(a),(b)に示すように、スターホイール4,5のポケット4a,5aに吸着孔12h,22hを設け、そこに真空配管14,24を接続することで、真空吸着力によりキャップ1をポケット4a,5aに引き付けることが可能になる。
この場合、図4(a)に示すように、検査用スターホイール5のポケット5aの中央部に1個の吸着孔22hを設けることでキャップ1をポケット5aに真空吸着により保持することが可能であるが、図4(b)に示すように、検査用スターホイール5のポケット5aの両サイド(両側部)に吸着孔22hを設けることで、受け渡し時にポケットの隙間が小さい状態からキャップ1に真空吸着力を働かせることが可能になり、さらに安定した真空吸着力によるキャップ1の受け渡しと空中搬送が可能になる。
【0030】
図5は、樹脂製キャップ1を掻き込み用スターホイール4から検査用スターホイール5に受け渡す(乗り移らせる)状態を拡大して示す要部拡大図である。
図5に示すように、樹脂製キャップ1は、掻き込み用スターホイール4のポケット4aに真空吸着されて円形軌道に沿って搬送され、受渡し部(乗移部)TPにおいて掻き込み用スターホイール4から検査用スターホイール5に受け渡される。この受け渡し時には、キャップ1は、掻き込み用スターホイール4のポケット4aに真空吸着された状態から検査用スターホイール5のポケット5aにも真空吸着される。このとき、キャップ1の天面は渡り板25(図2参照)により支持される。そして、検査用スターホイール5のポケット5aがキャップ1を真空吸着した直後に掻き込み用スターホイール4のポケット4aへの負圧が遮断され、キャップ1は検査用スターホイール5のポケット5aのみに真空吸着された状態になる。これにより、キャップ1は掻き込み用スターホイール4から検査用スターホイール5に受け渡される(乗り移る)。
【0031】
図6は、図1に示す検査ステーションS1の詳細構造を示す模式的立面図である。図6に示すように、樹脂製キャップ1は、検査用スターホイール5のポケット5aに形成された吸着孔22hにより真空吸着で保持されて円形軌道に沿って搬送される。キャップ1の搬送経路の下方にはリング状照明50が配置されており、リング状照明50の下方に撮像装置を構成するCCDカメラ51が配置されている。CCDカメラ51の光軸51Xは、リング状照明50の中心部を通って樹脂製キャップ1の天面1aの中心に延びている。
【0032】
図6に示すように構成された検査ステーションS1において、リング状照明50からキャップ1の天面1aに投光され、天面1aからの反射光をCCDカメラ51により撮影する。CCDカメラ51により得られた画像は画像処理装置(図示せず)により処理され、キャップ1の天面1aに汚れやきず等の欠陥があるか否かを検査する。
図6に示すように、検査用スターホイール5のポケット5aに形成された吸着孔22hにより樹脂製キャップ1を真空吸着して搬送することができるため、樹脂製キャップ1の天面1aをフリーにした状態で搬送することができる。したがって、樹脂製キャップ1の天面1aを遮る障害物等が何もない状態で樹脂製キャップ1の天面1aをリング状照明50とCCDカメラ51により撮像することができる。
【0033】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 樹脂製キャップ
2 シュート
4 掻き込み用スターホイール
4a 凹部(ポケット)
5 検査用スターホイール
5a 凹部(ポケット)
5te 先端部
10 コンベヤ
11 支持板
12 スターホイール本体
12h 吸着孔
21 支持板
22 スターホイール本体
22h 吸着孔
24 真空配管
25 渡り板
30 ロータリバルブ
31 固定基台
32 固定側部材
33 円筒体
34 回転側部材
35 摺接面
36 円弧状溝
38,39 連通孔
40 スラストベアリング
50 リング状照明
51 CCDカメラ
51X 光軸
TP 受渡し部(乗移部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂製キャップを外周部に設けられた複数のポケットで支持して円形軌道に沿って搬送するスターホイールと、
前記スターホイールの各ポケットに設けられ、樹脂製キャップの側面を真空吸着可能な吸着孔と、
固定側部材と回転側部材とを有し固定側部材と回転側部材とが互いに摺接しながら相対回転することにより、固定側部材に形成された円弧状溝と回転側部材に形成された複数の連通孔とが断続的に連通するように構成されたロータリバルブと、
前記スターホイールにより円形軌道に沿って搬送される樹脂製キャップに下方から投光するための照明と、
前記照明から投光され樹脂製キャップで反射した反射光を撮影するための撮像装置とを備え、
前記各吸着孔を前記ロータリバルブを介して断続的に真空源に連通させて各吸着孔に樹脂製キャップを真空吸着させた状態で前記スターホイールにより樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送し、この搬送中に前記照明と前記撮像装置とにより樹脂製キャップを撮影するようにしたことを特徴とする樹脂製キャップの検査装置。
【請求項2】
前記照明はリング状照明からなることを特徴とする請求項1記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項3】
前記撮像装置の光軸は、前記リング状照明の中心部を通って樹脂製キャップの中心に延びていることを特徴とする請求項2記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項4】
前記撮像装置により樹脂製キャップの天面を撮影することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項5】
前記スターホイールの各ポケットには、前記吸着孔が1個または2個設けられていることを特徴とする請求項1記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項6】
前記吸着孔が1個の場合には、前記吸着孔は各ポケットの中央部に設けられていることを特徴とする請求項5記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項7】
前記吸着孔が2個の場合には、前記吸着孔は各ポケットの両側部に設けられていることを特徴とする請求項5記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項8】
前記スターホイールの入口側にスターホイールを別途備え、入口側のスターホイールから前記スターホイールに樹脂製キャップを受け渡す際に、入口側のスターホイールの吸着孔で樹脂製キャップを真空吸着している状態から前記スターホイールの吸着孔で樹脂製キャップを真空吸着するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂製キャップの検査装置。
【請求項9】
前記入口側のスターホイールから前記スターホイールに樹脂製キャップを受け渡す部分に樹脂製キャップの下面を支持する渡り板を設けたことを特徴とする請求項8記載の樹脂製キャップの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−112835(P2012−112835A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262739(P2010−262739)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】