説明

機能性成分の送達

【課題】果物又は植物性原料のすべての必須栄養素を含む、安定性、生物学的利用能及び混和性が向上した主要組成物の提供、および同組成物を形成する方法並びに食料品中、栄養補助食品中、化粧用製剤中又は医薬製剤中に、該主要組成物を含む経口組成物の提供。
【解決手段】乳液又は乳タンパク質を含む担体中で、果物、野菜及び/又は植物性原料の全体から不溶性繊維を除いたうちの、親油性及び親水性の必須生物活性成分を少なくとも含む、混和性の主要組成物を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果物又は植物性原料のすべての必須栄養素を含む、安定性、生物学的利用能及び混和性が向上した主要組成物、並びに同組成物を形成する方法に関する。本発明はまた、食料品中、補助食品中、化粧用製剤中又は医薬製剤中に、該主要組成物を含む経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
果物又は植物性原料から抽出された、色素及び生物活性化合物は、機能性成分として、食品業界において広く用いられている。これらすべてのうちで、ウルフベリー(Lyciumbarbarum)は、特に、視力、免疫系についてのその利点、及びその老化防止特性のために、中国で最も評価されている機能性成分の1つである。これは、該果物に存在する多様な生物活性化合物と関連がある。ウルフベリーは、昔から湯抽出を通じて摂取されている。
【0003】
他の多くの成分も、それらの有益な特性のために、消費者によって十分認識されているが、それらを食品に適用することは、難しいか又は生物学的利用能が乏しくなるかのどちらかである。実際に、果物は通常、還元糖が豊富であることから、その粉末の乾燥及び取り扱いが非常に難しくなっている。
【0004】
多数の抽出技術が既に知られている。例えば、WO03020053には、カロテノイドを含む植物質からカロテノイドを抽出するための方法が記載されている。これは、(i)植物質を水と混合し、10DEG以下のブリックス(Brix)を得ること、(ii)段階(i)からの混合物を圧搾し、固形物を液体から分離して2相、すなわち果肉と漿液とを得ること、及び(iii)果肉を抽出し、カロテノイドを含む植物性含油樹脂を得ることを含む。かかる水抽出技術は自然であるが、ある溶媒を使用するのに比べ、それほど効率的ではない。
【0005】
例えば、US 6648564には、キサントフィルの結晶を形成、単離及び精製する方法について記載されているが、これは、キサントフィルジエステルを含む植物抽出物を、プロピレングリコール及びアルカリ水溶液の組成物中でけん化し、キサントフィルの結晶を形成させることによる。そのようにして得られた実質的に純粋なキサントフィルの結晶は、ヒトが摂取するのに適しており、且つ栄養補助剤として、また食品添加物として用いることができる。しかし、溶媒抽出技術は操作することがより難しく、且つ溶媒を使用することにより、天然のイメージ及び/又は製品の栄養機能を損なう可能性がある。
【0006】
その上、従来の抽出技術では、通常、植物性又は果物原料のうち少数の化合物は抽出されるが、その他の数種の生物活性化合物は、後に残されたままである。例えば、多糖類、ポリフェノール及び他の非親油性の化合物は、カロテノイド、親油性ビタミン及び他の脂質などの親油性成分と一緒に抽出されない。
【0007】
例えば、US 6409996 B1には、フラボノイドを含む粗原料を水性の抽出媒体で処理して抽出物を得ること、並びに吸収及び/又は吸着により該抽出物からフラボノイドを分離することによって、1つ又は複数のフラボノイドを含む組成物を得る方法について記載されている。この場合もやはり、かかる抽出方法では、粗原料のうち生物活性成分の一部を主に含む抽出物を得るだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、果物又は植物性原料から複数の栄養素を抽出し、且つ送達するための、安定性、混和性、水系における分散性が向上し、且つ生物活性化合物の生物学的利用能が高められた製剤を提供することにより、上記問題に対処することである。本発明の目的はまた、食品、栄養補助剤、化粧用製剤又は医薬製剤に適用するために、そのまま使用することができるか、又は容易に濃縮することができるか、又は乾燥させて粉末にすることができる主要組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の第一の目的は、乳液又は乳タンパク質を含む担体中で、果物、野菜及び/又は植物性原料の全体から不溶性繊維を除いたうちの、親油性及び親水性の必須生物活性成分を少なくとも含む、混和性の主要組成物を提供することである。
【0010】
有利なことに、該主要組成物は、果物全体の必須有効成分プロファイルに近く、安定性、混和性及び水系における分散性が良好である。さらに、該主要組成物は、生物学的利用能及び安定性がより良い形で、高い栄養価を有する。該主要組成物は、食味及び色が好ましい。該主要組成物は、毎日摂取する食品又は他の栄養上の用途にそれぞれ適用させるために、そのまま使用することができるか、又は濃縮することができるか、又は乾燥させて粉末にすることができる。
【0011】
したがって、さらなる目的において、該主要組成物は、経口投与用の食料品中の添加物として存在する。かかる食料品には、栄養組成物、栄養補助食品、ペットフード製品、化粧用製剤又は医薬製剤が挙げられる。該主要組成物はまた、化粧品又は医薬品など、局所適用のための製品中の添加物である。
【0012】
本発明はまた、該主要組成物を形成する方法に関する。果物、野菜及び/又は植物性原料の全体の、親油性及び親水性の必須生物活性成分を送達するために、該主要組成物を調製する方法は、
i)乳液又は乳タンパク質を含む液体媒体中で、該果物、野菜及び/又は植物性原料を混合及び粉砕するステップと、
ii)不溶性繊維を分離して水性懸濁液を得るステップと、
iii)得られた懸濁液を、場合によって殺菌するステップと、
iv)この加工中に、合成又は天然の生物活性成分(例えば、カロテノイド)を場合によって加えるステップと、
v)さらに、該懸濁液を場合によって乾燥させ、粉末を得るステップと
を含む。
【0013】
該方法は、自然であり且つコスト効率が良いという主要な利点を有し、このことにより、安定化させた水溶性及び脂溶性の化合物の組合せの形で、有機溶媒残留物のない、複数の栄養素の改良された送達が可能になる。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、上記の方法を用いて、水系における混和性又は分散性、安定性、並びに果物、野菜及び/又は植物性原料の生物活性化合物の生物学的利用能を向上させるための方法を提供する。特に、果物、野菜及び/又は植物性原料の機能性成分である複数の栄養素を抽出し、且つ送達するために、植物由来の、乳液若しくは乳タンパク質、豆乳又は乳様タンパク質を用いることによる。
【0015】
本発明の他の目的は、果物、野菜及び/又は植物性原料の機能性成分である複数の栄養素を送達するための、生物学的利用能、混和性及び安定性が向上した、上記主要組成物の使用を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、皮膚の健康を増進すること、特に、紫外線から皮膚を守ること、又は皮膚組織を老化から守ることを意図した、経口の、化粧用組成物又は医薬組成物を調製するための、上記主要組成物の使用を提供することである。
【0017】
その上、本発明のさらなる目的は、目の健康(例えば、加齢性黄斑変性症)を意図した、経口の、局所用組成物又は医薬組成物を調製するための、上記主要組成物の使用を提供することである。
【0018】
本発明はまた、免疫系を刺激することを意図した、食品又は医薬組成物を調製するための、上記主要組成物の使用を提供する。
【0019】
最後に、本発明はまた、(例えば、血糖降下作用を有する)糖尿病を治療することを意図した、食品又は医薬組成物を調製するための、上記主要組成物の使用を提供する。
【0020】
本発明は、消費者に、天然物から得られた、改良された組成物を利用できるようにする。本発明は、果物若しくは植物性原料又はそれらの混合物の、重要な生物活性成分を保持する主要組成物を提供する。該主要組成物の生物活性成分プロファイルは、果物又は植物性原料中に本来存在するものに近い。該主要組成物は、果物又は植物性原料の、特に、生物学的利用能、安定性及び混和性の高い形での生物活性化合物を提供する。
【0021】
以下の説明を参照することにより、本発明の特徴を、さらなる目的及び利点と共に最も良く理解することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明の中で、生物活性化合物という用語は、経口摂取する場合又は化粧品に適用する場合に、生物活性又は健康効果を示す、分子又は成分を意味するものと理解される。
【0023】
第一の目的によると、乳液又は乳タンパク質を含む担体中で、果物、野菜及び/又は植物性原料の全体から不溶性繊維を除いたうちの、親油性及び親水性の必須生物活性成分を少なくとも含む、混和性の主要組成物に関する。
【0024】
好ましい実施形態では、果物、野菜及び/又は植物性原料は、野菜、葉、花、果物、種子及び植物の他の部分、又はこれらの混合物の形であることが可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、ベリー類、又はフラボノイド、ポリフェノール若しくはカロテノイドが豊富に含まれる、他のいずれの果物若しくは野菜若しくは種子であっても選択される。例として、ウルフベリー、ブルーベリー、クランベリー、マルベリー、ブラックベリー、グーズベリー、シロフサスグリ、クロフサスグリ、フサスグリ、ラズベリー、シーベリー、イチゴ、アービュタス又はブドウなどのベリー類、及び例えば、リンゴ、メロン、キーウィ、サクランボ、アカナツメ、プルーン、モモ、カキ;マンダリン、オレンジ、タンジェリン、グレープフルーツなどの柑橘類;などの他の果物を使用することができる。カモミール、キク、ダイダイ、スイカズラ、ジャスミン及びベニバナなどの花を使用することができる。トマト、ホウレンソウ、セロリ、ニンジン、エンドウマメ、ケール、パセリ、クレソン、キャベツ、ブロッコリー、レタス、メキャベツ、コラードグリーン、カブラナ、ウイキョウ、タマネギなどの野菜。トウモロコシ、黒米、ココア、コーヒーなどの種子、及び例えば、チャ、タイム、甘唐辛子などの成分も使用することができる。
【0026】
果物、野菜又は植物性原料は、生、濃縮又は乾燥原料、例えば、風乾若しくは凍結乾燥させた原料の形で使用することができる。
【0027】
果物、野菜又は植物性原料の必須生物活性成分は、例えば、脂質、アルカロイド、タンパク質、炭水化物、カロテノイド、フラボノイドなどのポリフェノール化合物、及びビタミン又はミネラルを含んでいてもよい。特に、該生物活性化合物は、フラボン(例えば、アピゲニン、ルテオリン又はジオスメチン)、フラボノール(例えば、ケルセチン、ミリセチン、ケンフェロール)、フラバノン(例えば、ナリンゲニン、ヘスペリジン)、カテキン(例えば、エピカテキン、ガロカテキン)、アントシアニジン(例えば、ペラルゴニジン、マルビジン、シアニジン)、又はイソフラボン(例えば、ゲニステイン、ダイゼイン)などのフラボノイド;カロテン及びキサントフィル(例えば、リコピン、カロテン、フィトフルエン、フィトエン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、β−クリプトキサンチン、カプサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、又は脂肪酸エステルの形のカロテン及びキサントフィルなどのカロテノイド;アラビノガラクタンプロテイン(例えば、クコ多糖類)などの炭水化物;ビタミン(例えば、ビタミンC、B、Eなど);ミネラル(例えば、セレン、カルシウム、マグネシウム、カリウム)であってもよい。
【0028】
主要組成物は、乳液又は乳タンパク質を含む担体中で、果物、野菜及び/又は植物性原料の全体から不溶性繊維を除いたうちの、必須生物活性成分を少なくとも含む。乳液担体は、動物又は植物由来の脱脂乳又は全乳の形(例えば、豆乳、果汁、若しくはココナッツミルクなど)であってもよい。より好ましい実施形態では、牛乳又は豆乳が、所望されている、果物又は主要組成物に応じて使用される。乳液を含む担体は、例えばカゼイン又は乳清タンパク質などの乳タンパク質を含む、食用に適するいずれの液体であってもよい。植物油を、場合によって該液体媒体に加えてもよい。
【0029】
上記の果物、野菜又は植物性原料は、該乳液又は乳タンパク質を含む液体媒体中で、それぞれ約1:1〜1:1000、好ましくは1:5〜1:50の比率で混合及び粉砕される。混合及び粉砕工程は、1〜95℃、好ましくは20〜80℃、及びより好ましくは40〜80℃の温度で行うことが可能である。次いで、不溶性繊維を除去し、水性懸濁液を得る。これは、従来のいずれの方法によっても行うことができる。得られた主要組成物はさらに、当技術分野で知られている技法により、殺菌し、且つ/又は乾燥させて粉末にすることができる。得られた該主要組成物はまた、液体又はゲルの形であってもよい。
【0030】
したがって、本発明は、重要な栄養素のプロファイルが、果物全体に類似している主要組成物を提供する。該組成物は、安定性、混和性及び生物学的利用能が良好である。これらの組成物は、粉末の形が選択される場合、水系において大いに分散することが可能である。この場合、該粉末は、冷水又は湯に分散することができる。
【0031】
さらに、該組成物は、1つ又は複数の、乳化剤、安定剤、酸化防止剤及び他の添加剤を含む。使用される乳化剤は、食品中で相溶性のあるものであり、例えばレシチンなどのリン脂質、ポリオキシエチレンソルビタンモノ又はトリステアラート、モノラウラート、モノパルミタート、モノ又はトリオレアート、モノ又はジグリセリドなどが挙げられる。また、使用可能な安定剤は、食品、化粧品又は医薬品において知られている、いずれの種類であってもよい。食品、化粧品又は医薬品において知られている、いずれの種類の酸化防止剤も使用される。着香剤、着色剤、及び食品、化粧品又は医薬品において知られている他のいずれの添加剤も、添加剤として使用される。これらの乳化剤、安定剤、酸化防止剤及び添加剤は、該主要組成物の最終用途に応じて加えられる。
【0032】
該組成物はまた、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、カロテノイド、ポリフェノールなどの、合成又は天然の生物活性成分を含むことができ、該生物活性成分は、殺菌及び/又は乾燥前に、乾式混合又は湿式混合のいずれかによって、該組成物に添加することが可能である。
【0033】
さらなる態様によると、本発明は、食料品中、栄養補助食品中、ペットフード製品中、化粧用製剤中又は医薬製剤中に、上記主要組成物を含む経口組成物に関する。
【0034】
好ましい実施形態では、ヒトが摂取する食品組成物は、上記主要組成物で補われている。この組成物は、栄養完全調合物、乳製品、チルド飲料若しくは貯蔵安定性飲料、ミネラル水若しくは精製水、液体飲料、スープ、食事補助食品、ミールリプレイスメント、栄養バー、菓子、乳製品若しくは発酵乳製品、ヨーグルト、乳液ベースの粉末、経腸栄養製品、乳児用調製粉乳、乳児用栄養製品、穀物製品若しくは発酵穀物ベースの製品、アイスクリーム、チョコレート、コーヒー;マヨネーズ、トマトピューレ若しくはサラダ用ドレッシングなどの調味用製品;又はペットフードであってもよい。
【0035】
この場合、該主要組成物は、粉末の形であることが好ましい。粉末の形は、生物活性を有する上記栄養素において、毎日摂取するために、上記の食品又は飲料に分散させることが可能であるが、これは主に、利用される果物、野菜又は植物、所望の効果及び標的組織によって決まる。有益な効果を得るための、個体が摂取すべき該主要組成物又は食品組成物の量も、個体の大きさ、体型及び年齢によって決まる。
【0036】
経口投与用の栄養補助剤は、カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、軟カプセル剤、錠剤、糖衣錠剤、丸剤、ペースト剤若しくはトローチ剤、ガム、又は飲用に適する液剤若しくは乳剤、シロップ剤又はゲル剤であってもよく、約0.1〜100%の該主要組成物を単回用量として、直接水で服用され得るか、又は知られている他のいずれの手段によっても服用され得る。この補助剤はまた、甘味料、安定剤、酸化防止剤、添加剤、着香剤又は着色剤を含んでいてもよい。化粧用の補助剤は、さらに皮膚に対して活性のある化合物を含むことができる。これらを調製する方法は常識である。
【0037】
他の実施形態では、医薬組成物を予防的治療及び/又は治療上の処置のために投与することができる。治療への適用においては、組成物は、本明細書において以下に記載の疾患に既に罹患している患者に、該疾患の症状及びその合併症を治療するか、又は少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与される。これを成し遂げるのに適した量を「治療的有効量」として定義する。このための有効量は、疾患の重症度並びに患者の体重及び全身状態によって決まることになる。予防的な適用においては、本発明による組成物は、特定の疾患に感受性があるか、又はそうでなければ特定の疾患の危険がある患者に投与される。かかる量を「予防的有効量」として定義する。この使用においては、正確な量は先と同様に患者の容態及び体重によって決まる。
【0038】
本発明の化合物は、医薬として許容できる担体と共に投与されるのが好ましいが、投与方法、例えば経腸、経口及び局所(眼用を含む)など、投与経路が異なると、同時に該担体の種類が異なる。所望の製剤は、種々の賦形剤を用いることができる。かかる賦形剤には、例えば医薬品グレードの、マンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムが含まれる。この組成物は、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、乾燥経口補助剤、湿性経口補助剤であってもよい。
【0039】
当業者であれば、自らの知識に基づいて、関心対象の組織、例えば皮膚、結腸、胃、眼、腎臓又は肝臓などに対する活性化合物を目標とするために、投与経路を考慮に入れて、適当な成分及び生薬の種類を選択することができることは理解されるであろう。
【0040】
本発明はまた、上記主要組成物を含む化粧用組成物に関する。該組成物は、例えばローション、シャンプー、クリーム、日焼け止め剤、日焼けクリーム、老化防止クリーム及び/又は軟膏に調剤され得る。局所的に使用することができるこの組成物にさらに含まれるのは、化粧品に使用可能な油脂又は油であり、例として、CTFAwork、Cosmetic Ingredients Handbook、Washingtonに記載されているものが挙げられる。美容上の、他の活性成分を添加することも可能である。さらに、該組成物には構造化剤及び乳化剤が含まれる。他の賦形剤、顔料、香料又は乳白剤を該組成物に添加することもできる。当業者に知られており、該物質が皮膚に素早く浸透し、且つ保存中にそれらが劣化しないような種々の成分の混合物を、本化粧品が含み得ることは理解されるであろう。
【0041】
本発明の概念が、現在用いられている薬物療法を支援する補助療法として、同様に適用され得ることは理解されるであろう。本発明の化合物は、食品の原料と共に容易に投与することができるので、高用量の該物質を含む特別治療食が適用される場合がある。添付の特許請求の範囲と共に本明細書を読むと、当業者であれば、本明細書中に記載した特定の実施形態に対する種々の異なる代替案を予見し得ることは明らかであろう。
【0042】
ペット又はヒトに、上記の食品、栄養補助剤、化粧用組成物又は医薬組成物を投与することにより、特に、皮膚を光から保護するため、又は皮膚組織を老化から守るために、皮膚の健康が向上する。老化防止については、例えば、コラゲナーゼを阻害すること、及びコラーゲンの合成を増進することにより、皮膚及び/又は粘膜への損傷を抑制することが挙げられる。実際に、上記主要組成物を使用することにより、例えば、体内の該生物活性化合物の生物学的利用能を高めること、及び皮膚の老化を遅らせることが可能となる。敏感肌、乾燥肌若しくは反応肌の予防又は治療、或いは皮膚の密度又は硬さを改善するのに有用である可能性がある。
【0043】
上記主要組成物はまた、視力のための、特に白内障及び加齢性黄斑変性症の危険を低減するための経口、局所又は医薬組成物を調製するために用いることができる。上記主要組成物はまた、例えば、心臓血管疾患若しくは障害又は癌を予防若しくは治療するために、及び免疫系を刺激するために、及び血糖を下げるために用いることができる。
【0044】
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく例示するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。百分率はすべて、他に指示がなければ、重量で示してある。
【実施例】
【0045】
(実施例1)ウルフベリー由来の主要組成物の調製
乾燥ウルフベリーの果物(40g)及び全乳(300g)を1リットル容器に入れた。混合物を10分間静置し、ポリトロン(KINEMATICAによる分散及び混合技術、PT3000)を用いて26000rpmで15分間、窒素雰囲気下で処理した。ポリトロン処理中、混合物の温度を水浴を用いて80〜85℃に維持し、その後、室温に冷却した。次いで、得られた混合物を2000Gで10分間遠心分離した。固形残渣を廃棄した。液相(橙黄色乳液306g)を凍結乾燥させた。最後に、乾燥生成物をすりつぶして、橙黄色粉末54gを得る。この粉末は、非常に良好な水分散特性を示しており、且つウルフベリーの果物粉末に比べ、ゼアキサンチンの安定性が向上した。
【0046】
(実施例2)トマト由来の主要組成物の調製
生トマトの果肉(93g)、脱脂粉乳(10g)及び水道水(30g)を250ml容器に入れた。混合物を26000rpmで10分間、窒素雰囲気下で均質化(ポリトロン)した。混合物の温度を、氷浴を用いて冷却することにより30℃以下に維持した。次いで、この混合物を2000Gで10分間遠心分離した。固形残渣を廃棄し、液相(桃赤色乳液96g)を凍結乾燥させた。最後に、乾燥生成物をすりつぶし、桃赤色粉末(17.5g)を得た。
【0047】
(実施例3)本発明による主要組成物を含む乳製品
1で調製した主要組成物を、発酵ヨーグルト様の乳製品の製造に用いた。これを実施するために、脂肪分2.8%を含み、且つ脱脂粉乳2%及び庶糖6%で補われた乳製品1Lを調製して殺菌し、次いでこの温度を42℃に下げた。ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcusthermophilus)の密集していない菌株の前培養物、及びブルガリア乳酸桿菌(Lactobacillus bulgaricus)の非粘性の菌株の前培養物を、還元乳10%及び市販の酵母エキス0.1%を含む無菌MSK培地中で再活性化した。次いで、殺菌した該乳製品に、これらの再活性化させた前培養物を各1%ずつ植菌し、次いで、この乳製品を、pHが4.5の値に達するまで32℃で発酵させておいた。ヨーグルト様の生成物である発酵乳状物に、実施例1における主要組成物(1%)を加え、4℃で保存した。
【0048】
(実施例4)ペットフード製品
配合飼料は、コーン、コーングルテン、鶏肉及び魚、塩、ビタミン並びにミネラルから構成された。プレコンディショナーに入れて加湿した飼料を、次いで押出調理機に供給し、ゼラチン化させた。該押出機に入れてゲル化させたマトリックスをダイに通し、押し出した。ダイヘッドから出てきた押出物を、犬に給餌するのに適当な断片に切断し、約110℃で約20分間乾燥させ、冷却してペレットを形成した。その結果、得られた該ペレットの水分活性は、約0.6であった。
【0049】
該ペレットを、獣脂及び実施例1で調製した主要組成物を含む被覆基体を噴霧することにより被覆した。
【0050】
(実施例5)経口投与用の化粧品
硬カプセル剤の形の組成物は、以下の配合物を有する。
【表1】



【0051】
該組成物を個体に1日2〜3カプセルの量で投与することができる。
【0052】
(実施例6)ウルフベリー製剤由来のゼアキサンチンの生物学的利用能
2つの異なったウルフベリー製剤を以下のように調製した。
【0053】
処理A
乾燥ウルフベリーの果物2kgを水道水ですすぎ、乳液12L(脱脂粉乳1kgを還元したもの)に、30℃で、ポリトロン(KINEMATICAによる分散及び混合技術、PT120/4M)を用いて攪拌下で加えた。混合物の温度を80℃に上昇させ、窒素雰囲気下で15分間保った。ポリトロン処理中、混合物の温度を水浴を用いて80〜85℃に維持し、その後、室温に冷却した。次いで、得られた混合物を2000Gで10分間遠心分離した。固形残渣を廃棄した。マルトデキストリン(IT06)1.3kgを添加した後、液相を凍結乾燥させた。最後に、乾燥生成物をすりつぶし、橙黄色粉末3kgを得た。
【0054】
処理B
乾燥ウルフベリー0.5kgをドライアイス0.5kgと共に、ケンウッドアンドビューラーグラインダー(Kenwood andBuhler grinder)を用いてすりつぶし、粉末にした。この粉末混合物をオーブンに入れ、減圧下、室温で1時間保った。得られた粉末を、攪拌機を備えた二重ジャケットの反応器中の湯(83℃)0.8Lに導入した。温度を80℃に戻した後、得られた懸濁液を、窒素下で約7分間熱処理に供した。次いで、この懸濁液を凍結乾燥させ、殺菌ウルフベリー粉末を得た。
【0055】
処理C
オプティシャープ(Optisharp)5% CWS/S−TGは、DSM製の、細顆粒状の赤みを帯びた粉末であり、改変された食品用デンプンのマトリックスをコーンスターチで被覆したものに良好に分散した合成ゼアキサンチンを含む。
【0056】
これらの3つの製剤を用いて、臨床試験を行った。この試験では、12例の被験者が、食事で十分な量の油及び炭水化物を摂取すると同時に、3週間おきに各製剤(内在ゼアキサンチンは双方とも15mgに調整されている)を摂取した。
【0057】
摂取後10時間にわたって採取した血液サンプルのキロミクロン分画での測定によれば、処理Aで得られたウルフベリー由来のゼアキサンチンの吸収は、処理Bについて見出されたものと比較して、有意に良好であることが認められた(表2)。ゼアキサンチンの同様の吸収が、処理Cでも認められた。
【0058】
【表2】



【0059】
(実施例7)ウルフベリー由来の主要組成物の調製
乾燥ウルフベリーの果物3kgを水道水ですすぎ、乳液18L(脱脂粉乳0.85kgを還元したもの)に、30℃で、ポリトロン(KINEMATICAによる分散及び混合技術、PT120/4M)を用いて攪拌下で加えた。混合物の温度を30℃に維持し、ポリトロン処理を窒素雰囲気下で30分間継続した。次いで、得られた混合物を2000Gで10分間遠心分離した。固形残渣を廃棄する。マルトデキストリン(IT06)2kgを添加した後、液相を殺菌し、次いで凍結乾燥させた。最後に、乾燥生成物をすりつぶし、橙赤色粉末4.4kgを得た。この粉末は、非常に良好な水分散特性を示しており、且つウルフベリーの果物粉末に比べ、ゼアキサンチンの安定性が向上していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳液又は乳タンパク質を含む担体中で、果物、野菜及び/又は植物性原料の全体から不溶性繊維を除いたうちの、親油性及び親水性の必須生物活性成分を少なくとも含む、混和性の主要組成物。
【請求項2】
前記果物、野菜及び/又は植物性原料が、野菜、葉、花、果物、種子及び植物の他の部分、又はこれらの混合物の形である、請求項1に記載の主要組成物。
【請求項3】
前記果物、野菜又は植物性原料が、ウルフベリー、ブルーベリー、クランベリー、シロフサスグリ、フサスグリ、クロフサスグリ、マルベリー、ブラックベリー、グーズベリー、ラズベリー、シーベリー、イチゴ、アービュタス、ブドウなどのベリー類、又はリンゴ、メロン、キーウィ、サクランボ、アカナツメ、プルーン、モモ、カキ;マンダリン、オレンジ、タンジェリン、グレープフルーツなどの柑橘類;並びにカモミール、キク、ダイダイ、スイカズラ、ジャスミン及びベニバナ、並びにトマト、ホウレンソウ、セロリ、ニンジン、エンドウマメ、ケール、パセリ、クレソン、キャベツ、ブロッコリー、レタス、メキャベツ、コラードグリーン、カブラナ、ウイキョウ、タマネギ、チャ、トウモロコシ、ココア、コーヒー、タイム、若しくは甘唐辛子などの、フラボノイド、ポリフェノール若しくはカロテノイドが豊富に含まれる、他のいずれの果物、野菜、種子、花若しくは植物性原料である、請求項1又は2に記載の主要組成物。
【請求項4】
前記親油性及び親水性の必須生物活性成分が、脂質、アルカロイド、タンパク質、炭水化物、カロテノイド、フラボノイドなどのポリフェノール化合物、ビタミン又はミネラルである、請求項1に記載の主要組成物。
【請求項5】
前記フラボノイドが、アピゲニン、ルテオリン若しくはジオスメチンなどのフラボン、ケルセチン、ミリセチン、ケンフェロールなどのフラボノール、ナリンゲニン及びヘスペリジンなどのフラバノン、エピカテキン及びガロカテキンなどのカテキン、ペラルゴニジン、マルビジン、シアニジンなどのアントシアニジン、又はゲニステイン、ダイゼインなどのイソフラボンである、請求項4に記載の主要組成物。
【請求項6】
前記カロテノイドが、リコピン、カロテン、フィトフルエン、フィトエン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、β−クリプトキサンチン、カプサンチン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテン及びキサントフィル、又は脂肪酸エステルの形のカロテン及びキサントフィルである、請求項4に記載の主要組成物。
【請求項7】
前記乳液が動物又は植物由来である、請求項1に記載の主要組成物。
【請求項8】
粉末、ゲル又は液体の形である、請求項1から7までのいずれかに記載の主要組成物。
【請求項9】
i)乳液又は乳タンパク質を含む液体媒体中で、前記果物、野菜及び/又は植物性原料を混合及び粉砕するステップと、
ii)不溶性繊維を分離して水性懸濁液を得るステップと、
iii)得られた懸濁液を、場合によって殺菌するステップと、
iv)この加工中に、合成又は天然の生物活性成分を場合によって加えるステップと、
v)さらに、前記懸濁液を場合によって乾燥させ、粉末を得るステップと
を含む、請求項1に記載の組成物の調製方法。
【請求項10】
請求項1から8までの一項に記載の主要組成物、又は請求項9に記載の方法を用いて、水系における混和性又は分散性、安定性、及び果物、野菜及び/又は植物性原料の生物活性化合物の生物学的利用能を向上させるための方法。
【請求項11】
前記天然の生物活性成分が、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、カロテノイド、ポリフェノールなどである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
経口投与用の食料品中、例えば栄養組成物、栄養補助食品、ペットフード製品、化粧用製剤又は医薬製剤中に、請求項1から8までに記載の主要組成物を含む経口組成物。
【請求項13】
栄養完全調合物、乳製品、チルド飲料若しくは貯蔵安定性飲料、ミネラル水若しくは精製水、液体飲料、スープ、食事補助食品、ミールリプレイスメント、栄養バー、菓子、乳製品若しくは発酵乳製品、ヨーグルト、乳液ベースの粉末、経腸栄養製品、乳児用調製粉乳、乳児用栄養製品、穀物製品若しくは発酵穀物ベースの製品、アイスクリーム、チョコレート、コーヒー;マヨネーズ、トマトピューレ若しくはサラダ用ドレッシングなどの調味用製品;又はペットフードである、請求項12に記載の経口組成物。
【請求項14】
錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、乾燥経口補助剤、湿性経口補助剤である、請求項1から8までに記載の主要組成物を含む経口の、化粧用組成物又は医薬組成物。
【請求項15】
果物及び植物性原料の機能性成分である複数の栄養素を送達するための、生物学的利用能、混和性及び安定性が向上した、請求項1から8までに記載の主要組成物の使用。
【請求項16】
皮膚の健康を増進すること、特に、紫外線から皮膚を守ること、又は皮膚組織を老化から守ることを意図した、経口の、化粧用組成物又は医薬組成物を調製するための、請求項1から8までに記載の主要組成物の使用。
【請求項17】
目の健康を意図した、経口の、局所用組成物又は医薬組成物を調製するための、請求項1から8までに記載の主要組成物の使用。
【請求項18】
免疫系を刺激することを意図した、経口の、化粧用組成物又は医薬組成物を調製するための、請求項1から8までに記載の主要組成物の使用。
【請求項19】
心臓血管疾患若しくは障害又は癌又は糖尿病を予防又は治療することを目的とした、経口の、化粧用組成物又は医薬組成物を調製するための、請求項1から8までに記載の主要組成物の使用。

【公開番号】特開2012−188423(P2012−188423A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52158(P2012−52158)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2007−503265(P2007−503265)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】