説明

殺微生物剤包装物

【課題】有機ハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体及び水溶性固体担体からなる固形殺微生物剤は長期保存すると、溶解性が変化したり、バインダーの変色や臭気の発生が起こる。該固形殺微生物剤を水溶性フィルムで包むと、経時的にフィルムが変色したり、溶解性が低下する。また、有効成分が設計通りに放出されなくなる。本発明は水に不安定な殺微生物成分特に有機ハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体を含有してなる固形殺微生物剤の経時劣化の抑制方法及び経時劣化による有効成分放出性の変化が防止された固形殺微生物剤包装物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、固形殺微生物剤又は該殺微生物剤の水溶性フィルム包装体と乾燥手段とを並存させることを特徴とする上記問題を解決した包装物及び経時変化の抑制方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に不安定な殺微生物成分ゲスト化合物とホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体を含有してなる固形殺微生物剤を乾燥手段を並存させて保存することによる、該固形微生物剤からの有効成分の放出性が保存中に変化することの防止方法及びそのように包装された包装物に関する。より詳しくは、有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストとフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤の乾燥手段による安定化及び安定化された固形殺微生物剤の包装物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機ハロゲン系殺微生物剤とフェノール系包接化合物とからなる包接錯体には公知のもの(例えば、特許文献1を参照。)があり、また当該包接化合物を利用した循環式トイレ処理剤(例えば、特許文献2を参照。)やトイレ用便器清浄剤(例えば、特許文献3を参照。)、排水口のヌメリ防除剤(例えば、特許文献4を参照。)、スライム防止剤(例えば、特許文献5を参照。)などが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−4978号公報
【特許文献2】特開平7−69816号公報
【特許文献3】特開平8−239694号公報
【特許文献4】特開平10−245308号公報
【特許文献5】特開2001−72502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストとフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体及び水溶性固体担体からなる固形殺微生物剤は有用ではあるものの、製造から時間が経過すると、溶解性が変化したり、バインダーの変色や臭気が発生したりする場合がある。また、該固形殺微生物剤をポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム等で製造した包装袋(以下「水溶性包装材」という)で包むと、経時的に水溶性包装材が変色したり、水溶性包装材の溶解性が劣化、即ち溶解性が低下する。こうした外観等の変化と同時に、有効成分が分解したり、また、固形殺微生物剤を目的水系に設置した場合に、有効成分が当初設計通りに放出されなくなる等の問題が起こることがあった。本発明は水に不安定な殺微生物成分特に有機ハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体を含有してなる固形殺微生物剤の経時劣化の抑制方法及び経時劣化による有効成分放出性の変化が防止された固形殺微生物剤包装物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために水に不安定な有機ハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤の経時劣化の抑制方法について種々検討したところ、乾燥手段と並存させて全体を防湿包装材で包装することにより、経時的な溶解性の変化や水溶性フィルムの溶解性劣化を抑制できることを見出して本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は
[1]水に対して不安定な殺微生物成分ゲストとホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤と乾燥手段とを並存させて全体を防湿包装材で包装したことを特徴とする有効成分の放出性が保持される殺微生物剤包装物、
[2]水に対して不安定な殺微生物成分ゲストが有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストであり、ホスト化合物がフェノール系ホスト化合物である[1]に記載の殺微生物剤包装物、
[3]有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストとフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤の水溶性包装材による包装体と乾燥手段とを並存させ、さらに全体を防湿包装材で包装したことを特徴とする有効成分の放出性が保持される殺微生物剤包装物、
[4]固形殺微生物剤が殺微生物剤錠剤である[1]乃至[3]いずれか1つに記載の殺微生物剤包装物、
[5]フェノール系ホスト化合物がテトラキスフェノール系化合物である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の殺微生物剤包装物、
[6]有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストが5−クロロ−2−アルキル−4−イソチアゾリン−3−オンである[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の殺微生物剤包装物、
[7]乾燥手段がシリカゲル乾燥剤による乾燥である[1]乃至[6]いずれか1つに記載の殺微生物剤包装物、
【0007】
[8]水に対して不安定な殺微生物成分ゲストとホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤を乾燥条件で保存することを特徴とする固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法、
[9]フェノール系ホスト化合物がテトラキスフェノール系化合物である[8]に記載の固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法、
[10]水に対して不安定なゲスト化合物が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであることを特徴とする[8]又は[9]に記載の固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法。
[11]固形殺微生物剤が殺微生物剤錠剤である[8]乃至[19]いずれか1つに記載の経時劣化を防止する方法、
[12]1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる殺微生物剤錠剤をポリビニルアルコール系フィルムで包装した後、シリカゲル乾燥剤とともに防湿性密閉袋に入れて保存することを特徴とする有効成分の放出性変化を防止する方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の「殺微生物剤包装物」は、水分と反応性のある有機又は無機のハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤の長期間の保管に際しても、製造直後と同等の溶解性及び有効成分の放出性を維持させ、かつ変色や臭気の発生も防止できる。また、水溶性包装材で有機ハロゲン系殺微生物成分とフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体を含有してなる固形殺微生物剤を包装した場合も、上記同様の効果に加えて、水溶性包装材の変色を防止し、水溶性包装材が劣化して溶解しなくなることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いる殺微生物成分ゲストは、殺微生物成分であれば特に限定されない。殺微生物成分としては、例えば5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2−チオシアノメチベンゾチアゾール、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、3,3,4,4−テトラハイドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、N−メチルピロリドン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−エタノール、2−ブロモ−4’−ヒドロキシアセトフェノン、ジブロモニトリルプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタルニトリル等を例示することができる。
【0010】
好ましくは水に不安定な殺微生物成分であり、なかでも有機又は無機のハロゲン含有殺微生物成分であって、遊離のハロゲン化水素を発生し得るものであればよく、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−エタノール、2−ブロモ−4’−ヒドロキシアセトフェノン、ジブロモニトリルプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタルニトリル、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の5−ハロゲン化−2−アルキル−4−イソチアゾリン−3−オン類及び4,5−ジクロロ−3−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の4,5−ジハロゲン化−2−アルキル−4−イソチアゾリン−3−オン類等のハロゲン化−4−イソチアゾリン−3−オン類、ヨードプロパルギルブチルカーバメート、次亜塩素酸ナトリウム、塩化イソシアヌル酸、1,3−ハロゲン化−5,5−ジメチルヒダントイン等の1,3−ハロゲン化−5,5−ジアルキルヒダントイン類等を例示できる。特に好ましくは5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。殺微生物成分ゲストの量は、殺微生物効果が発揮される量であれば特に限定されないが、固形殺微生物剤100重量部に対して1〜40重量部の範囲で適宜選択すればよい。経済性、効果安定性の観点から、好ましくは5〜30重量部の範囲であり、特に好ましくは8〜15重量部の範囲である。
【0011】
本発明に用いるホスト化合物としては、テトラキスフェノ−ル類、1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、1,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,6−ジフェニルヘキサン−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、2,5−ビス(2,4,ジメチルフェニル)ハイドロキノン、1,1−ビス(2,4,ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、1,1,−ビ−2−ナフトール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1,6,6−テトラ(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラキス(シクロヘキシル)−(1,1’−ビフェニル)−2,2’−ジカルボキシアミド、4,4’−スルホニルビスフェノール、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、デオキシコール酸、コール酸、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、顆粒状コーンスターチ、1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン等を例示することができる。
【0012】
フェノール系化合物としては、上記ホスト化合物のうちフェノール部分骨格を有するものであればよい。中でも好ましくはテトラキスフェノール系化合物を挙げることができ、より具体的には例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
【0013】
1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン等テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を具体的に例示することができるが、これらに限定されるものではない。特に好ましくは、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。ホスト化合物の量としては、包接錯体が生成できる量であれば特に限定されず、殺微生物成分ゲスト1モルに対して0.1〜2モルの範囲で適宜選択すればよい。包接化合物の安定性、製品の殺微生物効果の観点から、好ましくは0.2〜1モルの範囲であり、特に好ましくは0.3〜0.7モルの範囲である。
【0014】
本発明に用いる水溶性固体担体としては、特に限定されないが打錠性のよいものが好ましく、例えば燐酸水素カルシウム2水和物、燐酸3カルシウム無水物、燐酸水素マグネシウム3水和物、燐酸水素マグネシウム8水和物、バニリン、クエン酸カルシウム4水和物、硫酸カルシウム2水和物、硫酸カルシウム0.5水和物、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−トルイダイド、アセト酢酸−p−トルイダイド、アセト酢酸−o−アニシダイド、アルキルソルビタンエステル(HLB14以下)、グリセリンモノ脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、蔗糖脂肪酸エステル(HLB14以下)、安息香酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、スルファミン酸、ほう酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルピン酸、マロン酸、グリコール酸、サリチル酸等の有機酸類、ポリ乳酸等の水溶性樹脂類が挙げられる。またこれらは1種または2種以上を任意の割合で混合することができる。好ましくは、水溶性といっても、徐放化に用いられる、即ち少しずつ水に溶解するものが好ましく、例えば安息香酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、スルファミン酸、ほう酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルピン酸、マロン酸、グリコール酸、サリチル酸等の有機酸類が挙げられる。水溶性固体担体の量としては、錠剤等の固形殺微生物剤が安定に成型できる量であれば特に限定されず、前記包接錯体100重量部に対して100〜500重量部の範囲で適宜選択すればよい。錠剤の安定性、製品の殺微生物効果の観点から、好ましくは100〜400重量部の範囲であり、特に好ましくは200〜300重量部の範囲である。
【0015】
本発明に用いる乾燥手段とは、大きく分けて物理的手段と化学的手段が挙げられる。物理的手段としては、各種多孔質材料を用いることができ、例えば物理的乾燥剤を用いることができる。本発明に用いる物理的乾燥剤としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、分子篩(モレキュラーシーブス)、珪藻土、人工ゼオライト、イモゴライト、炭などを例示できる。化学的手段としては、化学的乾燥剤であれば特に限定されないが、ハンドリング面から固体状の化学的乾燥剤が好ましい。また、有効成分からのハロゲン化炭化水素の発生の程度にもよるが、中性の化学的乾燥剤が好ましい。本発明に用いる化学的乾燥剤としては、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、無水硫酸銅等を例示できる。これら物理的乾燥剤又は化学的乾燥剤の中で好ましくは、シリカゲル、モレキュラーシーブス、塩化カルシウムであり、特に好ましくはシリカゲルである。これら物理的乾燥剤又は化学的乾燥剤は単独で使用してもよいが、二種以上を使用してもよく、その使用量は固形殺微生物剤の含水量によって異なるが、固形殺微生物剤100gあたり1〜30gが好ましい。本発明でいう乾燥とは、相対湿度を40%以下にすることを示す。好ましくは20%以下にすることである。保管の温度条件範囲は、通常の保管条件であればよく、通常、室温域である。
【0016】
本発明で用いることのできる水溶性包装材は、施用の際に固形殺微生物剤に直接手を触れることなしに施用でき、水との接触によって速やかに溶解することにより、有効成分の放出が可能になることを目的とするものである。従って、本発明に必須の構成要素ではないが、製品使用上はその使用が望ましい。その形状等に特に制限はない。また、包装材としての態様は、フィルム状、シート状、プレート状等特に制限されないが、コスト面や加工のしやすさからフィルム状が好ましい。手との接触時に溶解することはかぶれの可能性等から好ましくないので、その表面には波状加工、エンボス加工、突起状加工等を施して接触面積を減じる加工をすることが望ましい。水溶性包装材の材料としては、上記目的に沿うものであれば特に限定されないが、例えば、水溶性紙類、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、セルロース系樹脂、澱粉系樹脂等の水溶性樹脂類等を用いることができる。好ましくはポリビニルアルコール系樹脂である。該水溶性樹脂類等の製造にあたっては、水溶性樹脂モノマー単体で製造してもよいが、水溶性以外の重合可能モノマーを組み合わせることで水溶性を調節することもできる。好ましくは、ポリビニルアルコール系のフィルムである。水溶性包装材は、袋として殺微生物剤を充填包装するとか又は2枚の包装材の間に殺微生物剤をおいてその周囲をヒートシールするなどの方法によって用いられる。
【0017】
本発明で用いる防湿包装材とは、水分を通さない材質のものであればよく、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムや、ポリエチレンフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着させたフィルム(アルミニウム蒸着フィルム)で製袋された包装材を例示することができる。また完全に水分を遮断しなくても水蒸気透過度が0.5g/m2・24時間以下であればよい。好ましくは0.2g/m2・24時間以下であればよい。水蒸気透過度は、製品情報に示されていることが多いが、測定することもでき、測定法としては感湿センサー法(Lyssy法)、カップ法、赤外センサー法(Mocon法)、JIS K 7129プラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過度試験方法(機器測定法)等が挙げられる。
【0018】
本発明の固形殺微生物剤は主に錠剤に成型して供給されるが、これに限定されるものではない。その成型方法としては、各成分の粉末混合物を加圧成型する方法、粉末混合物を押し出し造粒法等の方法により顆粒化した後加圧成型する方法、混合後又融解して又は融解後に混合して、更に射出や型への流し込み等の後冷却して成型する方法等が挙げられる。布等の担体に融着することもできる。成型に際しては、必要に応じて、滑沢剤、溶解剤、ゲル化剤、固化剤、崩壊防止剤等を添加してから成型してもよい。成型体の形状としては、用途や必要とされる有効成分の溶解速度等の条件に応じて適宜成型することができ、粒状、球状、板状、円盤状、円錐状、円柱状、角柱状、筒状、穴明き円板状等の任意の形状でよい。好ましくは殺微生物剤、防藻剤、腐食抑制剤及び/又はスケール付着抑制剤と昇華性物質とを十分に攪拌・混合後に加圧成型することにより調製される。
【0019】
本発明の固形殺微生物剤には、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤例えば腐食抑制剤、スケール防止剤、スケール付着抑制剤、界面活性剤、着色剤、結合剤、香料、滑沢剤、固化剤、ゲル化剤、高分子担体、多孔質担体等の成分を配合してもよい。
腐食抑制剤としてはモリブデリン酸アルカリ金属塩、ベンゾトリアゾール等を例示することができ、スケール防止剤としてはアミノトリメチレンホスホン酸アルカリ金属塩、ホスホノブタントリカルボン酸アルカリ金属塩、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマー等を例示することができる。また腐食抑制剤及びスケール付着抑制剤としてはポリリン酸ナトリウム金属塩などのポリリン酸アルカリ金属塩を例示できる。
【0020】
本発明の固形殺微生物剤の施用場面は特に限定されないが、例えば台所や洗面所の排水口、水洗トイレの洗浄水タンク、各種冷却水系等に利用することができる。好ましくは、大部分の水が循環再利用されるような水系への適用がよい。また、その水系の一部が外気に開放されており、水の微粒子が飛散するような系への適用もできる。このような水系には、例えば、水冷式冷却系、例えば、クーリングタワー等が例示できる。
【0021】
本発明の固形殺微生物剤の施用方法は特に限定されないが、目的とする水系、例えば水冷式冷却塔の保有水中に設置・浸漬することによって、好適にスライムや藻或いはレジオネラ菌等の水生有害生物等の発生を長期に亘って抑制することができる。設置については、例えば浸漬することで常時水系と接していてもよく、また、流動水、還流水等を利用して間歇的に水系に接触させてもよい。
【実施例】
【0022】
以下に、本発明の水処理剤の処方例及び試験例等を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0023】
実施例1
ゲスト化合物となる殺微生物剤して、2モルの5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、フェノール系ホスト化合物として、1モルの1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの反応により得られた包接化合物(以下「TEP−CMI」という)を26重量部、安息香酸フレーク破砕品69.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース1.5重量部、ショ糖脂肪酸エステル3重量部を混合し、当該混合物54gを打錠機により打錠することにより、直径60mmの錠剤を得た(以下この錠剤を「錠剤A」という)。錠剤Aの含水率は0.05%であった。錠剤Aと、シリカゲル10gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0024】
実施例2
TEP−CMIを26重量部、安息香酸フレーク破砕品71.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース1.5重量部、ショ糖脂肪酸エステル1重量部を混合し、当該混合物54gを打錠機により打錠することにより、直径60mmの錠剤を得た(以下この錠剤を「錠剤B」という)。錠剤Bの含水率は0.05%であった。錠剤Bと、シリカゲル10gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0025】
実施例3
実施例1で製造した錠剤Aをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものと、シリカゲル10gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0026】
実施例4
実施例2で製造した錠剤Bをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものと、シリカゲル10gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0027】
実施例5
TEP−CMIを26重量部、安息香酸フレーク破砕品69.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース1.5重量部、ショ糖脂肪酸エステル3重量部を混合し、当該混合物54gを打錠機により打錠することにより、直径60mmの錠剤を得た(以下この錠剤を「錠剤C」という)。錠剤Cの含水率は0.5%であった。錠剤Cと、シリカゲル2.5gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0028】
実施例6
TEP−CMIを26重量部、安息香酸フレーク破砕品69.5重量部、ヒドロキシプロピルセルロース1.5重量部、ショ糖脂肪酸エステル3重量部を混合し、当該混合物54gを打錠機により打錠することにより、直径60mmの錠剤を得た(以下この錠剤を「錠剤D」という)。錠剤Dの含水率は0.2%であった。錠剤Dと、シリカゲル0.6gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0029】
実施例7
実施例5で製造した錠剤Cをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものと、シリカゲル2.5gを不織布製の袋に入れたものをアルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0030】
実施例8
実施例6で製造した錠剤Dをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものと、シリカゲル1.2gを不織布製の袋に入れたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0031】
比較例1
実施例1で製造した錠剤Aをアルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0032】
比較例2
実施例2で製造した錠剤Bをアルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0033】
比較例3
実施例1で製造した錠剤Aをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0034】
比較例4
実施例2で製造した錠剤Bをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0035】
比較例5
実施例5で製造した錠剤Cをアルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0036】
比較例6
実施例6で製造した錠剤Dをアルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0037】
比較例7
実施例5で製造した錠剤Cをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0038】
比較例8
実施例6で製造した錠剤Dをポリビニルアルコールを主成分とする水溶性フィルム(ハイセロンS−400C/日本合成化学)で製袋した袋(140×70mmのサイズのものを2枚重ね3方をヒートシールしたもの)に入れ開口部をヒートシールしたものを、アルミニウムフィルムをポリエチレンフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムでサンドイッチ状に貼り合わせたラミネートフィルムで製造した袋に入れ、ヒートシールにより密閉した包装物を得た。
【0039】
試験例1
実施例と比較例で用意した錠剤の包装物を50℃の恒温器に3週間保管し、水溶性フィルムで包装された錠剤は水溶性フィルムを取り除き、錠剤をプラスチックネットに収納してピペット洗浄機内に吊り下げ、35〜50℃の温水を約8分/回の速度で置換させ、各錠剤の溶解性を重量減少率からみた。
【0040】
表1−1
―――――――――――――――――――――――――
重量減少率
7 14 28(日)
―――――――――――――――――――――――――
実施例1 45% 74% 100%
実施例3 47% 73% 100%
比較例1 38% 52% 83%
比較例3 30% 45% 62%
錠剤A(初期) 46% 73% 100%
―――――――――――――――――――――――――
【0041】
表1−2
―――――――――――――――――――――――――
重量減少率
7 14 28(日)
―――――――――――――――――――――――――
実施例2 60% 91% 100%
実施例4 59% 89% 100%
比較例2 48% 73% 100%
比較例4 42% 61% 82%
錠剤B(初期) 60% 90% 100%
―――――――――――――――――――――――――
【0042】
試験例2
実施例3,4と比較例3,4で用意した錠剤の包装物を50℃の恒温器に3週間保存し、水溶性フィルムの色を観察し、水溶性フィルムを錠剤から取り除いて20℃の水道水500mlへ投入し、時々攪拌棒で攪拌させながら水溶性フィルムの溶解性をみた。
【0043】
表2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
水溶性フィルムの色 水溶性フィルム溶解性(24時間後)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例3 白色〜淡黄色 完全溶解
実施例4 白色〜淡黄色 完全溶解
比較例3 黄褐色 不溶
比較例4 黄褐色 不溶
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0044】
試験例3
実施例5,6,7,8と比較例5,6,7,8で用意した錠剤の包装物を50℃の恒温器に4週間保存し、錠剤の色と臭気を観察した。また実施例7,8と比較例7,8については水溶性フィルムの色を観察し、水溶性フィルムを錠剤から取り除いて20℃の水道水500mlへ投入し、時々攪拌棒で攪拌させながら水溶性フィルムの溶解性をみた。
【0045】
表3
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
錠剤の色 錠剤の臭気
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例5 白色〜淡黄色 安息香酸臭
実施例6 白色〜淡黄色 安息香酸臭
実施例7 白色〜淡黄色 安息香酸臭
実施例8 白色〜淡黄色 安息香酸臭
比較例5 褐色 刺激臭
比較例6 褐色 刺激臭
比較例7 褐色 刺激臭
比較例8 褐色 刺激臭
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*保存前錠剤の色:白色〜淡黄色 錠剤の臭気:安息香酸臭
【0046】
表4
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
水溶性フィルムの色 水溶性フィルム溶解性(24時間後)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例7 白色〜淡黄色 完全溶解
実施例8 白色〜淡黄色 完全溶解
比較例7 褐色 不溶
比較例8 褐色 不溶
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0047】
何れの試験においても実施例の包装物においては、錠剤の溶解性が劣化せず、また変色や臭気の発生もなく、水溶性フィルムの極端な変色や不溶化を防止し、実用性があることが分かる。また錠剤からのTEP−CMIの放出性を確認したところ、比較例においては放出速度が遅くなっているのに対し、実施例においては放出速度は初期と変化がなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に対して不安定な殺微生物成分ゲストとホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤と乾燥手段とを並存させて全体を防湿包装材で包装したことを特徴とする有効成分の放出性が保持される殺微生物剤包装物。
【請求項2】
水に対して不安定な殺微生物成分ゲストが有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストであり、ホスト化合物がフェノール系ホスト化合物である請求項1に記載の殺微生物剤包装物。
【請求項3】
有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストとフェノール系ホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤の水溶性包装材による包装体と乾燥手段とを並存させ、さらに全体を防湿包装材で包装したことを特徴とする有効成分の放出性が保持される殺微生物剤包装物。
【請求項4】
固形殺微生物剤が殺微生物剤錠剤である請求項1乃至3いずれか1項に記載の殺微生物剤包装物。
【請求項5】
フェノール系ホスト化合物がテトラキスフェノール系化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の殺微生物剤包装物。
【請求項6】
有機ハロゲン系殺微生物成分ゲストが5−クロロ−2−アルキル−4−イソチアゾリン−3−オンである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の殺微生物剤包装物。
【請求項7】
乾燥手段がシリカゲル乾燥剤による乾燥である請求項1乃至6いずれか1項に記載の殺微生物剤包装物。
【請求項8】
水に対して不安定な殺微生物成分ゲストとホスト化合物からなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる固形殺微生物剤を乾燥条件で保存することを特徴とする固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法。
【請求項9】
フェノール系ホスト化合物がテトラキスフェノール系化合物である請求項8に記載の固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法。
【請求項10】
水に対して不安定なゲスト化合物が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンであることを特徴とする請求項8又は9に記載の固形殺微生物剤の経時劣化を防止する方法。
【請求項11】
固形殺微生物剤が殺微生物剤錠剤である請求項8乃至10いずれか1項に記載の経時劣化を防止する方法。
【請求項12】
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンと5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンからなる包接錯体と水溶性固体担体とを含有してなる殺微生物剤錠剤をポリビニルアルコール系フィルムで包装した後、シリカゲル乾燥剤とともに防湿性密閉袋に入れて保存することを特徴とする有効成分の放出性変化を防止する方法。

【公開番号】特開2009−1556(P2009−1556A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131949(P2008−131949)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000232623)日本農薬株式会社 (97)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】