説明

殺真菌剤

【課題】真菌防除方法の提供
【解決手段】殺植物病原性真菌剤としての一般式(II)


(式中、Aは少なくとも1個がハロアルキルである4個までの基で各々置換されていてもよい2−ピリジル又はそのN−オキシドであり、Aは各々置換されていてもよいヘテロシクリル又はカルボシクリルであり、Yはハロゲン、−ORb、−SRb、−N(Rb、−NRb(ORb)又は−NRbN(Rbであり、Rbは、同一でも異なっていてもよい、各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニルなどである)の化合物又はその塩の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は殺真菌活性を有する化合物に関する。
【発明の概要】
【0002】
第1の側面において、本発明は殺植物病原性真菌剤としての一般式I又はII:
【0003】
【化1】

[式中、
は少なくとも1個がハロアルキルである4個までの基で各々置換されていてもよい2−ピリジル又はそのN−オキシドであり、
は各々置換されていてもよいヘテロシクリル又はカルボシクリル(Aは好ましくは場合により置換されたヘテロシクリル又は場合により置換されたフェニル)であり、
とRは、同一でも異なっていてもよい、Rb、シアノ、ニトロ、ハロゲン、−ORb、−SRb又は場合により置換されたアミノであるか、あるいはRとRはそれらが結合している炭素と一緒になって置換されていてもよい3、4、5又は6員炭素環又は複素環を形成してもよく(RとRは好ましくは水素、アシル、場合により置換されたアルキル又はシアノであり)、
はRb、−ORb、−N(Rb、シアノ、N置換イミノメチル又はニトロであるか、あるいはRとAは相互に結合している原子と一緒になって5又は6員環を形成してもよく(Rは好ましくは水素、N置換イミノメチル又は場合により置換されたアルキルであり)、
Lは−C(=X)−又は−SO−であり、Xは酸素、硫黄、N−ORb、N−Rb又はN−N(Rbであり(Lは好ましくは−C(=O)−、−C(=S)−又は−C(=NORb)−であり)、
Yはハロゲン、−ORb、−SRb、−N(Rb、−NRb(ORb)又は−NRbN(Rb(好ましくは−ORb、−SRb又は−N(Rb)であり、
bは、同一でも異なっていてもよい、各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリルもしくはヘテロシクリル、又は水素又はアシルであるか、あるいは2個の隣接するRb基は相互に結合している原子と一緒になって5又は6員環を形成してもよく、
但しAが2−ピリジルであり、Rが水素であり、Rが水素、場合により置換されたアルキル又はアシルであり、Lが−C(=X)−又は−SO−であり、Xが酸素又は硫黄であり、Rが水素又は場合により置換されたアルキルであるとき、Aは場合により置換されたフェニル以外のものである]の化合物又はその塩の使用を提供する。
【0004】
2−ピリジル基(A)上の好ましい置換基はハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、SF、トリアルキルシリル、場合により置換されたアミノ、アシル、−R基、−OR基、−SR基、又は−C(R)=N−Q基であり、前記式中、Qは−R、−OR、−SR又は場合により置換されたアミノであり、Rは各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル又はヘテロシクリルであり、あるいは2個の隣接する置換基はそれらが結合している原子と一緒になって3個までのヘテロ原子を含んでいてもよい場合により置換された環を形成する。特に好ましい置換基はアルコキシ、アルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルであり、特に塩素及びトリフルオロメチルである。
【0005】
2−ピリジル基は3及び/又は5位が置換されていることが好ましい。
【0006】
本発明は更に以下に具体的に例示する化合物の任意のものを含む。
【0007】
すべてのアルキル基は直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは炭素原子数1〜10、特に1〜7、特に1〜5である。
【0008】
すべてのアルケニル又はアルキニルは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは炭素原子数2〜7であり、共役でもよい3個までの二重又は三重結合を含むもの(例えばビニル、アリル、ブタジエニル又はプロパルギル)でもよい。
【0009】
すべてのカルボシクリル基は飽和、不飽和又は芳香族のいずれでもよく、3〜8個の環原子を含む。好ましい飽和カルボシクリル基はシクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。好ましい不飽和カルボシクリル基は3個までの二重結合を含む。好ましい芳香族カルボシクリル基はフェニルである。炭素環なる用語も同様に解釈すべきである。更に、カルボシクリルなる用語はカルボシクリル基の任意の融合組合せ(例えばナフチル、フェナントリル、インダニル及びインデニル)を含む。
【0010】
すべてのヘテロシクリル基は飽和、不飽和又は芳香族のいずれでもよく、5〜7個の環原子を含み、そのうち4個までは窒素、酸素及び硫黄等のヘテロ原子でもよい。ヘテロシクリル基の例はフリル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ジオキソラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリノ、ジチアニル、チオモルホリノ、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、スルホラニル、テトラゾリル、トリアジニル、アゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、ジアゼピニル及びチアゾリニルである。更に、ヘテロシクリルなる用語は融合ヘテロシクリル基(例えばベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾチアジニル、オキサゾロピリジニル、ベンゾフラニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキナゾリニル、ベンゾチアゾリル、フタルイミド、ベンゾフラニル、ベンゾジアゼピニル、インドリル及びイソインドリル)を含む。複素環なる用語も同様に解釈すべきである。
【0011】
すべてのアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル又はヘテロシクリル基は、置換されている場合には、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシ、メルカプト、アジド、ニトロ、ハロゲン、シアノ、アシル、場合により置換されたアミノ、場合により置換されたカルボシクリル、場合により置換されたヘテロシクリル、シアナト、チオシアナト、−SF、−OR、−SR及び−Si(R(式中、Rは各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル又はヘテロシクリルである)から構成される群から選択することができる1個以上を置換基とすることができる。カルボシクリル又はヘテロシクリル基のいずれかの場合には、更に、各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル及びアルキニルでもよい。アルキル、アルケニル又はアルキニル基のいずれか上の好ましい置換基は各々炭素原子数1〜5のアルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオ、ハロゲン又は場合により置換されたフェニルである。カルボシクリル又はヘテロシクリル基のいずれか上の好ましい置換基は各々炭素原子数1〜5のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオ、ハロゲン又は場合により置換されたフェニルである。
【0012】
カルボシクリル又はヘテロシクリル基のいずれか中のアルキル基のいずれか又は不飽和環炭素のいずれかの場合には、場合により置換されたアミノ、R又は−ORで置換されていてもよいオキソ又はイミノ等の2価基から構成される群から選択される。好ましい基はオキソ、イミノ、アルキルイミノ、オキシミノ、アルキルオキシミノ又はヒドラゾノである。
【0013】
アミノ基のいずれの置換されている場合には、同一でも異なっていてもよい、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアミノ、−OR及びアシル基から構成される群から選択することができる1又は2個を置換基とすることができる。あるいは、2個の置換基はそれらが結合している窒素と一緒になり、置換されていてもよく、他のヘテロ原子を含んでいてもよいヘテロシクリル基、好ましくは5〜7員ヘテロシクリル基(例えばモルホリノ、チオモルホリノ又はピペリジニル)を形成してもよい。
【0014】
アシルなる用語は硫黄及びリン含有酸とカルボン酸の残基を含む。一般に、残基は一般式−C(=X)R、−S(O)及び−P(=X)(OR)(OR)で表され、式中、適切なXはO又はSであり、RはR、−OR、−SR、場合により置換されたアミノ又はアシルについて定義した通りであり、pは1又は2である。好ましい基は−C(=O)R、−C(=S)R及び−S(O)であり、式中、Rは各々置換されていてもよいアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、フェニル、ヘテロシクリル又はアミノである。
【0015】
本発明の化合物の錯体は通常、式MAn(式中、Mは2価金属カチオン、例えば銅、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄又は亜鉛であり、Anはアニオン、例えば塩化物、硝酸又は硫酸である)の塩から形成される。
【0016】
本発明の化合物がE及びZ異性体として存在する場合には、本発明は個々の異性体とその混合物を含む。
【0017】
本発明の化合物が互変異性体として存在する場合には、本発明は個々の互変異性体とその混合物を含む。
【0018】
本発明の化合物が光学異性体として存在する場合には、本発明は個々の異性体とその混合物を含む。
【0019】
本発明の化合物は特に植物の菌類病、例えばうどん粉病、特に穀物うどん粉病(Erysiphe graminis)及びブドウべと病(Plasmopara viticola)、イネいもち病(Pyricularia oryzae)、穀物眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、イネ紋枯病(Pellicularia sasakii)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、立枯病(Rhizoctonia solani)、コムギ赤さび病(Puccinia recondita)、トマト又はジャガイモ疫病(Phytophthora infestans)、リンゴ黒星病(Venturia inaequalis)及びふ枯病(Leptosphaeria nodorum)に対して殺真菌剤としての活性をもつ。化合物が活性を示すと思われる他の真菌類としては他のうどん粉病、他のさび病並びにDeuteromycete、Ascomycete、Phycomycete及びBasidomycete起源の他の病原体が挙げられる。
【0020】
従って、本発明は真菌被害場所又は被害を受け易い場所における真菌防除方法として、式Iの化合物を前記場所に施用する方法も提供する。
【0021】
本発明は更に、農学的に許容可能な希釈剤又はキャリヤーと混合した式Iの化合物を含む農薬組成物も提供する。
【0022】
本発明の組成物は当然のことながら本発明の2種以上の化合物を含むものでもよい。
【0023】
更に、組成物は例えば植物成長調節、除草、殺真菌、殺昆虫、殺ダニ、殺微生物又は殺細菌性をもつことが知られている化合物等の1種以上の付加活性成分を加えてもよい。あるいは、本発明の化合物を他の活性成分と逐次使用してもよい。
【0024】
本発明の組成物中の希釈剤又はキャリヤーは固体でも液体でもよく、場合により例えば分散剤、乳化剤又は湿潤剤等の界面活性剤と併用してもよい。利用可能な界面活性剤としてはアニオン化合物が挙げられ、例えばカルボキシレート(例えば長鎖脂肪酸の金属カルボキシレート)、N−アシルサルコシネート、リン酸と脂肪アルコールエトキシレートもしくはアルキルフェノールエトキシレートのモノもしくはジエステル又はこのようなエステルの塩、脂肪アルコールスルフェート(例えばナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムオクタデシルスルフェート又はナトリウムセチルスルフェート)、エトキシル化脂肪アルコールスルフェート、エトキシル化アルキルフェノールスルフェート、リグニンスルホネート、石油スルホネート、アルキル−アリールスルホネート(例えばアルキルベンゼンスルホネート又は低級アルキルナフタレンスルホネート、例えばブチルナフタレンスルホネート)、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物の塩、スルホン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合物の塩、又はより複雑なスルホネート(例えばアミドスルホネート、例えばオレイン酸とN−メチルタウリンのスルホン化縮合物)、ジアルキルスルホスクシネート(例えばジオクチルスクシネートのスルホン酸ナトリウム)、アルキルグリコシド及びアルキルポリグリコシド物質の酸誘導体とその金属塩(例えばアルキルポリグリコシドシトレート又はタルトレート物質)、又はクエン酸のモノ、ジ及びトリアルキルエステルとその金属塩が挙げられる。
【0025】
ノニオン界面活性剤としては脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸アミド又は脂肪アルキルもしくはアルケニル置換フェノールとエチレン及び/又はプロピレンオキシドの縮合物、多価アルコールエーテルの脂肪エステル(例えばソルビタン脂肪酸エステル)、このようなエステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド物質、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、アセチレングリコール(例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、エトキシル化アセチレングリコール)、アクリル系グラフトコポリマー、アルコキシル化シロキサン界面活性剤、又はイミダゾリン型界面活性剤(例えば1−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン)が挙げられる。
【0026】
カチオン界面活性剤の例としては、例えば酢酸塩、ナフテン酸塩もしくはオレイン酸塩としての脂肪族モノ、ジもしくはポリアミン、酸素含有アミン(例えばアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシプロピレンアルキルアミン)、カルボン酸とジもしくはポリアミンの縮合により製造されるアミド結合アミン、又は第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物は農薬処方分野で公知の任意形態とすることができ、例えば溶液、エアゾール、分散液、水性エマルション、マイクロエマルション、分散性濃厚液、散粉剤、種子粉衣、燻蒸剤、燻煙剤、分散性粉末、乳化性濃厚液、顆粒剤又は含浸ストリップが挙げられる。更に、直接施用に適した形態でもよいし、施用前に適量の水又は他の希釈剤で希釈することが必要な濃厚液又は一次組成物としてもよい。
【0028】
分散性濃厚液は本発明の化合物を1種以上の界面活性及び/又はポリマー物質と共に1種以上の水混和性又は半水混和性溶媒に希釈したものである。製剤を水に加えると活性成分が結晶化し、その過程は界面活性剤及び/又はポリマーで調節され、微細分散液が得られる。
【0029】
散粉剤は本発明の化合物を固体粉末希釈剤(例えばカオリン)と混和粉砕したものである。
【0030】
乳化性濃厚液は乳化剤の存在下に水に加えるとエマルション又はマイクロエマルションを形成する水不混和性溶媒に本発明の化合物を溶かしたものである。
【0031】
顆粒状固体は散粉剤で使用可能な希釈剤と同様の希釈剤に本発明の化合物を混合し、混合物を公知方法で顆粒状にしたものである。あるいは、例えばフラー土、アタパルジャイト、シリカ又は石灰粗粒等の予備成形顆粒状キャリヤーに活性成分を吸着又は塗布したものでもよい。
【0032】
水和剤、顆粒剤又は粗粒剤は通常は適当な界面活性剤と不活性粉末希釈剤(例えばクレー又は珪藻土)に活性成分を混合したものである。
【0033】
別の利用可能な濃厚液は化合物を水又は他の液体、界面活性剤及び懸濁剤と共に粉砕することにより形成される流動性懸濁濃厚液である。
【0034】
植物に施用する場合の本発明の組成物中の活性成分の濃度は好ましくは0.0001〜1.0重量%、特に0.0001〜0.01重量%である。一次組成物中の活性成分の量は広い範囲をとることができ、例えば組成物の5〜95重量%とすることができる。
【0035】
本発明は一般に種子、植物又はその生息地に適用される。例えば、条播前、条播時又は条播後に化合物を土壌に直接施用すると、種子を攻撃する恐れのある真菌類の増殖を土壌中の活性化合物の存在により防除することができる。土壌を直接処理する場合には、土壌と混和可能な任意方法で活性化合物を施用することができ、例えば噴霧、固体形態の顆粒剤の全面散布、又は種子と同一畝間に挿入することにより条播と同時に活性成分を施用するなどの方法が挙げられる。適切な施用率は5〜1000g/ha、より好ましくは10〜500g/haである。
【0036】
あるいは、例えば真菌類が植物に出現し始めると同時又は真菌類の出現前に防御手段として噴霧又は散粉により活性化合物を植物に直接施用してもよい。どちらの場合も好ましい施用方法は葉面散布である。植物が最も重大な損傷を受け易いのは植物成長の初期段階であるので、このような段階に真菌類の良好な防除を得ることが一般に重要である。必要と思われる場合には出芽前又は出芽後処理除草剤を散布液又は散粉に適宜加えてもよい。場合により、例えば適当な液体又は固体組成物に根を浸すことにより、植付前又は植付中に植物の根、球根、塊茎又は他の栄養分体を処理することも実施可能である。活性化合物を植物に直接施用する場合には、適切な施用率は0.025〜5kg/ha、好ましくは0.05〜1kg/haである。
【0037】
更に、本発明の化合物は貯蔵中の感染を予防するために収穫後の果実、野菜又は種子に施用してもよい。
【0038】
更に、本発明の化合物は真菌類及び/又は除草剤耐性等の形質を示すように遺伝子組換えした植物又はその部分に施用してもよい。
【0039】
更に、本発明の化合物は木材及び公衆衛生用途で真菌類被害を処理するために使用してもよい。本発明の化合物は家畜及び耕作用動物の昆虫及び真菌類被害を処理するために使用してもよい。
【0040】
本発明の化合物は公知のように種々の方法で製造することができる。
【0041】
式Iaの化合物即ちLがL即ち−C(=O)−、−C(=S)−、−SO−又は−C(=NOH)−である一般式Iの化合物は反応スキーム1に従って式IIIの化合物又はその塩酸塩をQがハロゲン等の脱離基、好ましくは塩素である式IVの化合物と反応させることにより製造することができる。好ましい塩基はトリエチルアミンである。
【0042】
【化2】

【0043】
が−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO−である式IVの化合物は化学当業者に公知の方法により対応するヒドロキシ化合物から製造することができる。
【0044】
式IVの化合物は単離してスキーム1に従って使用することができる。あるいは、IVは例えばPOClを使用して対応するカルボン酸から酸塩化物を生成した後にIIIを加えることにより、化学当業者に公知の方法によりin situ生成してもよい。
【0045】
式IVaの化合物即ちLが−C(=NOH)−である一般式IVの化合物は反応スキーム2に従って製造することができる。
【0046】
【化3】

【0047】
式Ibの化合物即ちLが−C(=O)−である一般式Iの化合物は反応スキーム3に従ってトリエチルアミン等の適切な塩基の存在下の式IIIの化合物をカルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下の式Vの化合物と反応させることにより製造することができる。
【0048】
【化4】

【0049】
が3−ヒドロキシ−2−ベンゾ[b]フリルである式Vの化合物の製造は従来技術に属し、P C Unangst,D T Connor, S R Miller,J.Het.Chem.1996,33,2025−2030を参照されたい。
【0050】
式IIIの多数の化合物を国際出願PCT/GB/99/00304に記載の方法により製造することができる。式IIIaの化合物即ちRが水素であり、Rがシアノである一般式IIIの化合物は前記文献に記載されていると同様の方法により製造することができる(反応スキーム3a参照)。
【0051】
【化5】

【0052】
がアルキルであり、Rがシアノ又はアシルである式IIIの化合物はRが水素である類似体をアルキル化することにより製造することができる。
【0053】
式Icの化合物即ちLが−C(=N−ORb)−である一般式Iの化合物は反応スキーム4に従って化学当業者に公知の方法を使用してLが−C(=NOH)−である式Idの化合物から製造することができる。例えば、Rbが−C(=O)NHRである式Icの化合物はR−NCOとの反応により製造することができ、Rbが−C(=O)Rである化合物はRCOClとの反応により製造することができ、Rbが−SORである化合物はRSOClとの反応により製造することができる。
【0054】
【化6】

【0055】
式IIaの化合物即ちYが−SRである一般式IIの化合物は反応スキーム5に従って式Igの化合物即ちLが−C(=S)−である式Iaの化合物から製造することができる。反応条件はIgを水素化ナトリウム等の塩基で処理した後、RQ(式中、Qは脱離基、好ましくはハロゲンである)と反応させる。
【0056】
【化7】

【0057】
式Ihの化合物即ちAが2置換フェニルであり、その置換基がR及び相互に結合する原子と一緒になって6員環を形成する一般式Iの化合物は反応スキーム6に従ってアセトン中で塩基、好ましくは炭酸カリウムで処理した後にRQ(式中、Qは脱離基である)で処理することにより式Ijの化合物から製造することができる。
【0058】
【化8】

【0059】
一般式Ijの化合物は反応スキーム7に従ってトリエチルアミン等の適切な塩基の存在下に式IIIbの化合物を式VIの化合物と反応させることにより製造することができる。
【0060】
【化9】

【0061】
式VIの化合物は化学当業者に公知の方法により対応するアミノ化合物から製造することができる。
【0062】
がピリジルN−オキシドである式I又はIIの化合物は化学当業者に公知の反応(例えば過酢酸との反応)により対応するピリジル誘導体から製造することができる。
【0063】
他の方法も当分野の化学当業者に自明であり、出発材料と中間体の製造方法についても同様である。
【0064】
式I及びIIの一連の化合物を手作業、自動又は半自動的に平行して製造することもできる。この平行製造は生成物又は中間体の反応工程、仕上げ又は精製に適用することができる。このような方法についてはS.H.DeWitt,“Annual Reports in Combinatorial Chemistry and Molecular Diversity:Automated synthesis”,Volume 1,Verlag Escom 1997,69〜77頁を参照されたい。
【0065】
更に、反応体を合成樹脂に結合する固相支持法を使用して式I又はIIの化合物を製造することもできる。例えばBarry A.Bunin,“The Combinatorial Index”,Academic Press,1998と“The tea−bag method”(Houghten,US4,631,211;Houghtenら,Proc.Natl.Acad.Sci,1985,82,5131−5135)参照。
【0066】
以下、例により本発明を具体的に説明する。単離した新規化合物の構造はNMR及び/又は他の適当な分析法により確認した。
【0067】
例1
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−2−フラミド(化合物1)
テトラヒドロフラン(5ml)中の(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアミン(1mmol)の混合物に室温でトリエチルアミン(1mmol)を加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物を室温で塩化2−フロイル(1mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液に加え、室温で一晩撹拌した。混合物を蒸発乾涸させ、残渣を水洗した。固形分を濾過し、ジエチルエーテル/石油エーテル(b.p.60−80℃)で洗浄し、乾燥し、標記生成物を得た。
【0068】
【化10】

【0069】
例2
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−5−ブロモフラミド(化合物23)
ジクロロメタン中の5−ブロモフロ酸(0.19g)とカルボニルジイミダゾール(CDI)の混合物に(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアミンを加え、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を2M塩酸、次いで飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥し(MgSO)、蒸発させて標記生成物(m.p.77.8℃)を得た。
【0070】
式Ikの下記化合物(表A参照)即ちLが−C(=O)−であり、R、R及びRが水素である一般式Iの化合物は例1及び2と同様の方法により製造することができる。
【0071】
【表1】



【0072】
室温で固体ではなかった表Aの化合物のHNMRデータを以下に示す。
【0073】
化合物1
【0074】
【化11】

【0075】
化合物2
【0076】
【化12】

【0077】
化合物3
【0078】
【化13】

【0079】
化合物4
【0080】
【化14】

【0081】
化合物5
【0082】
【化15】

【0083】
化合物6
【0084】
【化16】

【0085】
化合物7
【0086】
【化17】

【0087】
化合物8
【0088】
【化18】

【0089】
化合物9
【0090】
【化19】

【0091】
化合物10
【0092】
【化20】

【0093】
化合物11
【0094】
【化21】

【0095】
化合物12
【0096】
【化22】

【0097】
化合物13
【0098】
【化23】

【0099】
化合物14
【0100】
【化24】

【0101】
化合物15
【0102】
【化25】

【0103】
化合物16
【0104】
【化26】

【0105】
化合物32
【0106】
【化27】

【0107】
化合物45
【0108】
【化28】

【0109】
化合物46
【0110】
【化29】

【0111】
化合物47
【0112】
【化30】

【0113】
化合物52
【0114】
【化31】

【0115】
化合物53
【0116】
【化32】

【0117】
化合物54
【0118】
【化33】

【0119】
化合物55
【0120】
【化34】

【0121】
化合物56
【0122】
【化35】

【0123】
化合物57
【0124】
【化36】

【0125】
化合物59
【0126】
【化37】

【0127】
化合物60
【0128】
【化38】

【0129】
化合物61
【0130】
【化39】

【0131】
例3
N−[1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−1−シアノエチル]−2,6−ジクロロベンズアミド(化合物110)
塩化1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−1−シアノエチルアンモニウム(0.51g)の無水ジクロロメタン(10ml)懸濁液に無水トリエチルアミン(0.3ml)を加えた後、塩化2,6−ジクロロベンゾイル(0.42g)を滴下し、混合物を4時間撹拌した。反応混合物を炭酸カリウム水溶液(2×10ml)で洗浄し、有機相を乾燥した(MgSO)。濾液をシリカ上で蒸発させ、ジエチルエーテル/ジクロロメタン(0−20%)で勾配溶離下にシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物(m.p.166−7℃)を得た。
【0132】
出発材料の製造
a)(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)[(ジフェニルメチレン)アミノ]アセトニトリル
窒素下に0〜2℃で60%水素化ナトリウム(4.0g)の無水ジメチルホルムアミド懸濁液にN−(ジフェニルメチレン)アミノアセトニトリル(11.1g)の無水ジメチルホルムアミド(60ml)溶液を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。無水ジメチルホルムアミド(20ml)中の2,3−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリジン(7ml)を10分間かけて滴下した。混合物を0℃で30分間撹拌した後、3時間かけて22℃まで昇温させた。混合物を10℃未満まで再冷却し、エタノール(3ml)を滴下し、撹拌を15分間続けた。ジエチルエーテル(500ml)と20%飽和塩化アンモニウム水溶液の混合物を撹拌しながらこの中に混合物を細流として注入した。相を分離し、有機相を20%飽和塩化アンモニウム水溶液(2×150ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、フラッシュシリカ(50g)上で蒸発させた。40/60℃bp石油エーテル中5−20%ジエチルエーテルを溶離剤としてシリカクロマトグラフィーにより標記化合物(m.p.108−110℃)を得た。
【0133】
b)2−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)−2−[(ジフェニルメチレン)アミノ]プロピオニトリル
窒素下に−60℃でカリウムtert−ブトキシド(1.91g)の無水テトラヒドロフラン(50ml)溶液を撹拌しながらこれに上記段階a)からの生成物(5g)の無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下した。混合物を−60℃で15分間撹拌した後、ヨウ化メチル(1.5ml)を滴下し、混合物を18時間かけて22℃まで昇温させた。溶媒を減圧蒸発させ、残渣をジエチルエーテルと50%飽和塩化アンモニウム水溶液に分配した。水相をエーテル抽出(2×50ml)し、有機抽出相をプールして無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相を濾過し、フラッシュシリカ(20g)上で蒸発させた。石油エーテル(b.p.40−60℃)中10−30%ジエチルエーテルを溶離剤としてシリカクロマトグラフィーにより標記化合物を得た。
【0134】
【化40】

【0135】
c)塩酸2−アミノ−2−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)プロピオニトリル
窒素下に段階b)からの生成物(5.5g)のジエチルエーテル(100ml)溶液を激しく撹拌しながらこれに2M塩化水素水溶液(100ml)を加え、撹拌を36時間続けた。相を分離し、有機相を2M塩化水素水溶液(2×20ml)で抽出した。水相をあわせてジエチルエーテル(2×20ml)で抽出し、有機抽出相を捨てた。水相を減圧蒸発させた後、トルエン(3×50ml)で共沸させた。ジエチルエーテルを加えて粉砕後に濾過及び減圧乾燥し、標記化合物(m.p.165−70℃)を得た。
【0136】
式Imの下記化合物(表B参照)即ちAが3−Cl−5−CF−2−ピリジルであり、Lが−C(=O)−であり、Rが水素である一般式Iの化合物は例1、2及び/又は3と同様の方法により製造することができる。
【0137】
【表2】


【0138】
室温で固体ではなかった表Bの化合物のHNMRデータを以下に示す。
【0139】
化合物102
【0140】
【化41】

【0141】
化合物112
【0142】
【化42】

【0143】
化合物115
【0144】
【化43】

【0145】
化合物120
【0146】
【化44】

【0147】
例4
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−N−[(シアノイミノ)メチル]−4−クロロベンズアミド(化合物205)
本化合物は塩化2−クロロベンゾイルと下記出発材料を使用して例1と同様に製造した。
【0148】
出発材料の製造
N−シアノ−N’−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジルメチル)ホルムアミジン
塩酸(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアンモニウム(19g)のエタノール(180ml)懸濁液を撹拌しながらこれにトリエチルアミン(10.7ml)を加え、撹拌を15分間続けた。次にエタノール(20ml)中のエトキシシアノイミデート(8.29g)を滴下し、室温で20分間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジエチルエーテルと水に分配した。有機層を分離し、濾過した。濾液を乾燥し(MgSO)、蒸発させ、標記生成物(m.p.106−8℃)を得た。
【0149】
式Inの下記化合物(表C参照)即ちAが3−Cl−5−CF−2−ピリジルであり、Lが−C(=O)−であり、Rが水素である一般式Iの化合物は例1、2、3及び/又は4と同様の方法により製造することができる。
【0150】
【表3】


【0151】
室温で固体ではなかった表Bの化合物のHNMRデータを以下に示す。
【0152】
化合物205
【0153】
【化45】

【0154】
化合物206
【0155】
【化46】

【0156】
例5
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−2−ニトロフェニルアセトアミドオキシム(化合物304)
本化合物は塩化フロイルの代わりに2−ニトロ−α−クロロベンズアルドキシム(下記段階b参照)を使用して例1と同様に製造した。
【0157】
出発材料の製造
a)2−ニトロベンズアルドキシム
エタノール(110ml)と水(4ml)中の2−ニトロベンズアルデヒド(15.1g)と塩酸ヒドロキシルアミン(6.6g)の溶液に酢酸ナトリウム(13.6g)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を水(500ml)に注入し、混合物を濾過し、標記生成物を得た。
【0158】
b)2−ニトロ−α−クロロベンズアルドキシム
濃塩酸(60ml)と水(12.3ml)中の段階a)からの生成物(10.7g)の氷冷溶液に塩素ガスを1時間バブリングした。次に混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、標記生成物を得た。
【0159】
例6
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−2−ニトロフェニルアセトアミド−O−(フェニルカルバモイル)オキシム(化合物305)
アセトニトリル(50ml)中の例5からの生成物(0.9g)とイソシアン酸2,6−ジクロロフェニル(0.33g)の混合物を撹拌しながらこれにトリエチルアミン3滴を加えた。混合物を2時間加熱還流した。冷却後、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記生成物(m.p.138−40℃)を得た。
【0160】
式Ipの下記化合物(表D参照)即ちAが3−Cl−5−CF−2−ピリジルであり、R、R及びRが水素であり、Lが−(C=X)−である一般式Iの化合物は例5及び6と同様の方法により製造することができる。
【0161】
【表4】


【0162】
室温で固体ではなかった表Dの化合物のHNMRデータを以下に示す。
【0163】
化合物306
【0164】
【化47】

【0165】
例7
塩酸N’−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−2−クロロベンズアミジン(化合物307)
本化合物はR C Schnur.J.Org.Chem.1979,Vol.44,No.21,3726に記載の方法を使用して塩酸(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアンモニウムとメチル2−クロロチオベンズイミデートヨウ化水素塩から製造した。メチル2−クロロチオベンズイミデートヨウ化水素塩はMatsudaら,Synthetic Communications,1997,2393に記載の方法を使用して製造した。
【0166】
【化48】

【0167】
例8
N−(α−アリルチオ−2−クロロベンジリデン)−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアミン(化合物403)
テトラヒドロフラン(10ml)中の水素化ナトリウム(0.33g)の混合物に発泡が停止するまで20分間撹拌下にテトラヒドロフラン(50ml)中のN−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]−2−クロロベンゼンチオアミド(製造についてはPCT/GB/99/00304参照)(3.07g)を滴下した。テトラヒドロフラン(5ml)中の臭化アリル(0.09g)を反応混合物に加え、溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を蒸発乾涸させ、残渣をジクロロメタン(10ml)と水(5ml)とブライン(5ml)に分配した。有機相を分離し、溶媒と存在する場合には残留水を減圧蒸発させた。石油エーテル(b.p.60−80℃)/ジエチルエーテルで勾配溶離下にシリカゲルクロマトグラフィーにより残渣を精製し、標記生成物を得た。
【0168】
式IIbの下記化合物(表E参照)即ちAが3−Cl−5−CF−2−ピリジルであり、Aが2−Cl−フェニルであり、RとRが水素である一般式IIの化合物は例8と同様の方法により製造することができる。
【0169】
【表5】


【0170】
例9
N−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]メチル}−4,5−ジクロロ−3,6−エポキシ−1,2−ジカルボキシミド(化合物503)
キシレン(5ml)中の(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアミン(1mmol)の混合物に室温でトリエチルアミン(1mmol)を加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を室温でキシレン(5ml)中の無水4,5−ジクロロ−3,6−エポキシ−1,2−ジカルボン酸(1mmol)に加えた。反応混合物を130℃に48時間加熱した。冷却後、溶媒を除去し、残渣をジエチルエーテル/石油エーテル(b.p.60−80℃)で洗浄し、乾燥し、標記生成物を得た。
【0171】
例10
3−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4−オキソ−2−チオキソキナゾリン(化合物504)
塩化[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]メチルアンモニウム(0.12g)と2−(メトキシカルボニル)フェニルチオイソシアネート(0.10g)の無水テトラヒドロフラン(10ml)懸濁液にトリエチルアミン10滴を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧除去し、生成物を酢酸エチルで抽出し、2M塩酸で洗浄した。有機層を集め、減圧蒸発させ、標記生成物を得た。
【0172】
【化49】

【0173】
例11
3−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−[(4−クロロベンジル)チオ]キナゾリン(化合物507)
本化合物は例10の生成物と4−クロロベンジルブロミドから例8と同様に製造した。m.p.137℃。
【0174】
例12
N−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチル]フタルイミド(化合物518)
ジメチルホルムアミド中の無水フタル酸(0.601g)と塩酸(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)メチルアンモニウム(1.0g)と粉末炭酸カリウム(0.28g)の混合物を148℃で7時間撹拌した。冷却後、水(10ml)を加え、混合物を濾過し、固形分を得た。固形分を酢酸エチルに溶かし、乾燥し(MgSO)、溶媒を除去した。残渣をジエチルエーテルから粉砕し、標記生成物(m.p.145−6℃)を得た。
【0175】
例13
2−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]メチル}−3−ヒドロキシ−1−インダノン(化合物516)
例12からの生成物(1.23g)の氷冷メタノール(12.3ml)溶液にホウ水素化ナトリウムを5分間かけて少量ずつ加え、撹拌を一晩続けた。混合物を飽和塩化アンモニウム(50ml)と酢酸エチル(50ml)に分配した。層を分離し、有機層を乾燥した(MgSO)。蒸発させ、標記化合物(m.p.174−8℃)を得た。
【0176】
式Iqの下記化合物(表F参照)即ちAが3−Cl−5−CF−2−ピリジルであり、RとRが水素であり、RとAが相互に結合する原子と一緒になって環を形成する一般式Iの化合物は例9、10、11、12及び/又は13と同様の方法により製造することができる。化合物514、515及び517は単に化合物516のアルキル化により製造したが、このような方法は熟練化学当業者に公知である。
【0177】
【表6】




【0178】
室温で固体ではなかった表Fの化合物のHNMRデータを以下に示す。
【0179】
化合物502
【0180】
【化50】

【0181】
化合物503
【0182】
【化51】

【0183】
化合物504
【0184】
【化52】

【0185】
化合物511
【0186】
【化53】

【0187】
化合物512
【0188】
【化54】

【0189】
化合物513
【0190】
【化55】

【0191】
化合物514
【0192】
【化56】

【0193】
化合物515
【0194】
【化57】

【0195】
化合物517
【0196】
【化58】

【0197】
試験例
下記の1種以上に対する活性について化合物を評価した。
Phytophthora infestans:トマト疫病、
Plasmopara viticola:ブドウべと病、
Erysiphe graminis f.sp.tritici:コムギうどん粉病、
Pyricularia oryzae:イネいもち病、
Leptosphaeria nodorum:ふ枯病。
【0198】
湿潤剤を加えた所望濃度の化合物の水溶液又は水性分散液を試験植物の稈茎に潅注するか又は噴霧により適宜施用した。所与時間後に、化合物の適宜施用前後に植物又は植物部分に適当な試験病原体を接種し、植物成長の維持と疾病発生に適した制御環境条件下に維持した。適当な時間後に植物の罹病部分の感染度を目視評価した。次の1〜3の得点で化合物を評価した。1:殆ど又は全く防除なし、2:並の防除、3:良好〜完全な防除。500ppm(w/v)以下の濃度で下記化合物は指定菌類に対して2以上の得点であった。
【0199】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺植物病原性真菌剤としての一般式I又はII:
【化1】

[式中、
は少なくとも1個がハロアルキルである4個までの基で各々置換されていてもよい2−ピリジル又はそのN−オキシドであり、
は各々置換されていてもよいヘテロシクリル又はカルボシクリルであり、
とRは、同一でも異なっていてもよい、Rb、シアノ、ニトロ、ハロゲン、−ORb、−SRb又は場合により置換されたアミノであるか、あるいはRとRはそれらが結合している炭素と一緒になって置換されていてもよい3、4、5又は6員炭素環又は複素環を形成してもよく、
はRb、−ORb、−N(Rb、シアノ、N置換イミノメチル又はニトロであるか、あるいはRとAは相互に結合している原子と一緒になって5又は6員環を形成してもよく、
Lは−C(=X)−又は−SO−であり、Xは酸素、硫黄、N−ORb、N−Rb又はN−N(Rbであり、
Yはハロゲン、−ORb、−SRb、−N(Rb、−NRb(ORb)又は−NRbN(Rbであり、
bは、同一でも異なっていてもよい、各々置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリルもしくはヘテロシクリル、又は水素又はアシルであるか、あるいは2個の隣接するRb基は相互に結合している原子と一緒になって5又は6員環を形成してもよく、
但しAが2−ピリジルであり、Rが水素であり、Rが水素、場合により置換されたアルキル又はアシルであり、Lが−C(=X)−又は−SO−であり、Xが酸素又は硫黄であり、Rが水素又は場合により置換されたアルキルであるとき、Aは場合により置換されたフェニル以外のものである]の化合物又はその塩の使用。
【請求項2】
農学的に許容可能な希釈剤又はキャリヤーと混合した請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を含む病虫害防除組成物。
【請求項3】
病虫害被害場所又は被害を受け易い場所における病虫害防除方法であって、請求項1に記載の化合物を前記場所に施用する前記方法。

【公開番号】特開2011−178785(P2011−178785A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−47945(P2011−47945)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2001−516329(P2001−516329)の分割
【原出願日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】