説明

毛髪化粧料

【課題】ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さに優れ、それら効果の持続性にも優れる毛髪化粧料の提供。
【解決手段】 (a)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(B)ステロール骨格を有する油剤
(C)非イオン性界面活性剤
を含有することを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なデキストリン脂肪酸エステル、ステロール骨格を有する油剤、非イオン性界面活性剤を含有する毛髪化粧料に関し、さらに詳細には、毛髪に対して優れたツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さを付与することができ、またそれら効果の持続性に優れる毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアケアへの意識の高まりから、リンスやヘアクリーム等のトリートメント用毛髪化粧料には、ツヤ、しなやかな櫛通り、仕上がりのなめらかさ、しなやかさ、エモリエント感等のコンディショニング効果の高いものやそれら効果の持続性に優れるものが望まれており、そのために様々な技術が開示されている。例えば、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体を用いて、仕上がりのしなやかさやなめらかさ等を高める技術(例えば、特許文献1〜3)や、炭化水素油を用いて、仕上がりにツヤやエモリエント感等を付与する技術(例えば、特許文献4)等がある。またコレステロール誘導体と特定シリコーンと揮発性炭化水素油を含有して伸びやなめらかさ等を付与する技術(例えば特許文献5)もある。
【0003】
一方、分岐脂肪酸の割合の低いデキストリン脂肪酸エステルは、従来より、油ゲル化剤として、口紅、アイライナー、マスカラ、ファンデーション等に配合されてきた(例えば、特許文献6)。また、本技術で用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有したヘアクリームやヘアミスト等の毛髪化粧料が開示されている(例えば、特許文献7)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−312915号公報
【特許文献2】特表2001−504136号公報
【特許文献3】特開平6−80538号公報
【特許文献4】特開平6−135823号公報
【特許文献5】特開2007−223930号公報
【特許文献6】特許第3019191号公報
【特許文献7】WO2011/102123号パンフレット
【0005】
しかしながら、カチオン性ポリマーを用いる技術では、よりなめらかさやしなやかさを出そうと多量に含有すると、毛髪へのカチオン性ポリマーの吸着により、却ってごわつきを生じることがある上、毛髪のツヤも不十分であった。また、シリコーン誘導体を用いる技術では、シリコーン誘導体自体が一般的な油に溶解困難であるため含有できる剤型が限られる場合があり、また、繰り返し使用すると、いわゆる毛髪表面へのシリコーン誘導体の蓄積(ビルドアップ)を起こし、ごわつき感、きしみ感などの好ましくない感触を与えて櫛通りが低下したり、また、染毛剤またはパーマネントウエーブ剤を施術した際に、染色性の低下、ウエーブ性の低下という悪影響を与えるという場合があった。更に、炭化水素油を用いる技術では、ツヤやエモリエント感を得ることはできるが、油に由来する使用後のべたつきを感じたり、重い仕上がりとなったりして、良好な使用感が得られ難い上、化粧膜の持続性に乏しく、塗布して6時間後には化粧膜の均一性に欠けて部分的なツヤやべたつき等が生じる場合があった。また、コレステロール誘導体と特定シリコーン等を含有する毛髪化粧料はシリコーン誘導体の蓄積のため櫛通りが低下したり、また、各種効果の持続性も不十分であった。
【0006】
また、分岐脂肪酸の割合の低いデキストリン脂肪酸エステルは、油ゲル化剤としては使用されていたが、分岐脂肪酸の割合を高めて、毛髪のコンディョニング剤として用いる技術については、何ら開示もされていない。一方、本技術で用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有したヘアクリームやヘアミスト等の毛髪化粧料では、毛髪への付着性が高い反面べたつきが生じたり各種効果の持続性も不十分であったりする場合があった。
【0007】
このように従来の技術では、毛髪化粧料において、コンディショニング効果と良好な使用感を併せ持ち、また、それら効果の持続性に優れるものを提供することは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さ、に優れ、それら効果の持続性にも優れる毛髪化粧料の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる実情において、本発明者は鋭意研究した結果、新規なデキストリン脂肪酸エステルが毛髪への付着性に優れている反面べたつきが生じていたが、それにステロール骨格を有する油剤及び非イオン性界面活性剤を組み合わせることで均一で柔軟性に富む化粧膜が形成され、驚くべきことに、新規なデキストリン脂肪酸エステルに由来するべたつきを抑制してツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触に優れ、またそれら効果の持続性に優れる毛髪化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]成分(A)〜(C);
(A)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(B)ステロール骨格を有する油剤
(C)N−アシルメチルタウリン塩
を含有することを特徴とする毛髪化粧料に関するものである。
【0011】
[2]成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする前記[1]記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0012】
[3]成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする前記[1]または[2]記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0013】
[4]成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0014】
[5]成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0015】
[6]成分(B)のステロール骨格を有する油剤が、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0016】
[7]成分(C)の非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0017】
[8]成分(A)と成分(B)の含有質量割合(A)/(B)が10/1〜1/2であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【0018】
[9]さらに、成分(D)として屈折率が1.47を超える油剤を含有することを特徴とする特徴とする前記[1]〜[8]のいずれかに記載の毛髪化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の毛髪化粧料は、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さに優れ、さらにそれら効果の持続性にも優れる毛髪化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の毛髪化粧料に使用される成分(A)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が全脂肪酸に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸を50mol%より多く含有するグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0である新規な物質で、皮膚に塗布した際に皮膜を形成することができるものである。(以下、単に「新規なデキストリン脂肪酸エステル」ということもある。)
【0021】
本発明に使用される成分(A)新規なデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)新規なデキストリン脂肪酸エステルを液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%(以下単に「%」で示す。)含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
【0022】
(2)新規なデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲の付着力(タック性)を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
【0023】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0024】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
【0025】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
本発明において、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。例えば5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。2−ヘプチルウンデカン酸はノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下総じて「ガーベット反応型」と略す)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては特にこのエメリー型がより好ましい。
【0026】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
【0027】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
【0028】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸などが挙げられる。
【0029】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸単独の場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
【0030】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸とその他の脂肪酸との混合脂肪酸を用いた場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
【0031】
新規なデキストリン脂肪酸エステルのデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
【0032】
(デキストリン脂肪酸エステルの製造方法)
次に、本発明に使用される新規なデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0033】
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
【0034】
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
【0035】
本発明において、上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
【0036】
製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物などを用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。
【0037】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルは毛髪の付着性に優れ、成分(A)単独ではべたつきや化粧膜の不均一性につながってしまうが、成分(B)や成分(C)と組み合わせることで、驚くべきことに成分(A)の欠点が克服されてべたつきの無い化粧膜になり、さらになめらかな感触やしなやかな櫛通り、それら効果の持続性に寄与する。
【0038】
本発明に用いられる成分(A)の含有量は特に限定されないが、0.5〜10%が好ましく1〜5%が特に好ましい。この範囲であれば、なめらかな感触や持続性に優れる毛髪化粧料を得ることができる。
【0039】
本発明に用いられる成分(B)ステロール骨格を有する油剤は、動物油脂、植物油脂等から得られるステロールを脂肪酸、アミノ酸等の酸でエステル化等の修飾をした油剤をいう。成分(B)は抱水性のある油剤であり、成分(C)と組み合わせることで成分(A)のべたつきを抑制し、なめらかな感触や持続性を高めることができる。これらのステロール骨格を有する油剤は、一種又は二種以上を適宜含有することができる。成分(B)は通常化粧料に使用可能なものであれば特に制限されず、ラノリン脂肪酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、ノナン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸ジヒドロコレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル等のコレステロール誘導体、また、ラノリン脂肪酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、オレイン酸ジヒドロフィトステリル、ノナン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸ジヒドロフィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、等のフィトステロール誘導体が挙げられ、一種又は二種以上を用いることができる。これらの中でも、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルであると、べたつきの無さや持続性に優れるため好ましい。
【0040】
成分(B)の市販品としては、エルデュウCL301、CL−202、PS−203、PS−304、PS−306(以上、味の素社製)、LUSPLAN DA−DD−IS、PLANDOOL−S、YOFCO MAS(いずれも日本精化社製)、サラコスHS(日清オイリオ社製)等が挙げられる。
【0041】
本発明に用いられる成分(B)の含有量は特に限定されないが、0.05〜5%が好ましく、特に0.1〜3%がより好ましい。この範囲であれば、均一で厚みのある膜を形成しながらもべたつきの無さに優れる毛髪化粧料を得ることができる。
【0042】
また、成分(A)と成分(B)の含有質量割合(A)/(B)が10/1〜1/2が好ましく、7/1〜2/1がより好ましい。この範囲であれば、なめらかな感触やべたつきの無さに優れ、さらに持続性にも優れる毛髪化粧料を得ることができる。
【0043】
本発明に用いられる成分(C)非イオン性界面活性剤は、本発明の毛髪化粧料において、成分(B)と組み合わせることで成分(A)のべたつきを抑制し、しなやかな櫛通りを高めるものであり、通常の化粧料に用いられる非イオン性界面活性剤であれば何れものも用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる一種又は二種以上を選択すると、べたつきを更に抑制し均一な油膜を形成することができるため好ましい。また、これら非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン鎖は、化粧膜の均一性やベたつき抑制の観点から5〜60モルのものが望ましい。
【0044】
本発明に用いられる成分(C)の含有量は特には限定されないが、0.05〜5%が好ましく、0.1〜2%がより好ましい。この範囲であれば、均一な油膜を形成しながらもべたつきが抑制されてしなやかな櫛通りに優れた毛髪化粧料を得ることができる。
【0045】
さらに、本発明の毛髪化粧料には成分(D)として屈折率が1.47を超える油剤を含有するとツヤやなめらかな感触を高めることができるため好ましい。本発明における成分(D)の屈折率は屈折率計を使用して測定したものである。この屈折率計としては、手持屈折率計R−5000(アタゴ社製)が挙げられる。測定方法は、手持屈折率計R−5000の説明書等の記載に準じて行えばよい。すなわち、測定試料を外径45mm、内径38mm、高さ82mmのガラス製ビンにエアスペースが生じないように充填し、ふたをして24℃恒温槽にて一昼夜放置する。翌日、屈折率計にて測定値を読み取り、屈折率を得ればよい。このような成分(D)としてはフェニル化シリコーン、トリメリト酸エステルヒマシ油、酢酸ラノリン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることが出来る。中でも、伸び広がりやツヤやなめらかな感触の観点から、フェニル化シリコーン及びトリメリト酸トリエステルが好ましく、これを一種又は二種以上用いることが出来る。
【0046】
フェニル化シリコーンとしては、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルペンタフェニルポリシロキサン等が挙げられ、メチルフェニルポリシロキサンの市販品としては、KF−54、KF−56(信越化学工業社製)等が挙げられ、トリメチルペンタフェニルポリシロキサンの市販品としてはPH−1555(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
【0047】
また、トリメリト酸エステルとは、カルボキシル基3個を有するトリメリト酸と、アルコールとのトリエステルを示し、エステル化するアルコールとしては、炭素数6〜15の飽和直鎖アルコール又は飽和分岐アルコールが挙げられる。具体的には、トリメリト酸トリへキシル、トリメリト酸トリヘプチル、トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリノニル、トリメリト酸トリデシル、トリメリト酸トリウンデシル、トリメリト酸トリドデシル、トリメリト酸トリトリドデシル、トリメリト酸トリテトラデシル等が挙げられ、これらの中でも、トリメリト酸トリデシルを用いると、ツヤが特に優れた毛髪化粧料を得ることができる。このようなトリメリト酸トリデシルの市販品として、LIPONATE TDTM(リポケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0048】
本発明に用いられる成分(D)の含有量は特には限定されないが、0.1〜8%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。この範囲であれば、ツヤに優れた毛髪化粧料を得ることができる。
【0049】
本発明の毛髪化粧料には、更に目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内において、上記成分の他に、通常の化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、例えば精製水、温泉水、深層水等の水、アルコール類、油剤、感触調整あるいは着色用等の粉体、界面活性剤等の汎用成分や、水溶性高分子、皮膜形成剤、パール光沢付与剤、金属セッケン、油性ゲル化剤、樹脂、包接化合物、保湿剤、抗菌・防腐剤、消臭剤、塩類、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、退色防止剤、消泡剤、清涼剤、美容成分(植物抽出物、アミノ酸類、タンパク質誘導体、ビタミン類、糖類等)、噴射剤、香料、色素等を含有することができる。
【0050】
アルコール類としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール;ショ糖、ブドウ糖等の糖類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0051】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性及び両性の各界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としてはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケンや、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸塩、脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アシルイセチオン酸塩、N−アシルポリペプチド塩等が挙げられる。
【0052】
カチオン界面活性剤としては塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2E.O.)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
【0053】
両性界面活性剤としてはオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン類、ラウリルスルホベタイン等のスルホベタイン類、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等のイミダゾリン誘導体類、ヤシ油アルキルイミノジカルボン酸塩等のアミノカルボン酸塩類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0054】
水溶性高分子としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムチン、デルマタン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸等のムコ多糖類又はその塩;アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カチオン化グァーガム、ヒドロキシプロピルグァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、アルゲコロイド、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系多糖類;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、カチオン化デンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、セルロース硫酸ナトリウム、結晶セルロース、セルロース末、カチオン化セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;高重合度のポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等のポリアルキレングリコール系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子;その他、ポリエチレンイミン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0055】
油剤としては、常温で液体、ペースト状及び固形状の炭化水素類、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、油脂等の油剤を使用することができ、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、有機シリコーン類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等が挙げられ、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、ワセリン、プリスタン、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成炭化水素ワックス等の炭化水素類;モクロウ、オリーブ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズヒップ油、アボカド油、シア脂、硬化油、馬脂、卵黄油等の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ等のロウ類;ホホバ油、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール等の有機シリコーン類;パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル等のラノリン誘導体等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0056】
毛髪用の皮膜形成剤としては、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ジアリル4級アンモニウム塩重合物等のカチオン性重合体;ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル等のノニオン性重合体;メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体ハーフエステル、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン等のアニオン性重合体;ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリレート共重合体のクロル酢酸両性化物、オクチルアクリルアミド−ブチルアミノエチルメタクリレート−ヒドロキシプロピルメタクリレート−アクリレート共重合体等の両性重合体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0057】
抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0058】
その他、pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、又はこれらの塩、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が、清涼剤としてはL−メントール、カンファー等が、ビタミン類としては、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、リノレン酸やその誘導体のビタミンF類、フィトナジオン、メナキノン、メナジオン、メナジオール等のビタミンK類、エリオシトリン、ヘスペリジン等のビタミンP類、その他ビオチン、カルチニン、フェルラ酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0059】
本発明の毛髪化粧料の剤型は、特に限定されず、水中油型、油中水型、油性型等にすることができ、その中でもべたつきを軽減することができる水中油型が好ましい。また、形態については、他の成分との組合せや容器の機構等により、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、フォーム状、ミスト状、固形状等にて実施することができ、インバス使用のヘアリンス、ヘアパック、ヘアトリートメントや、アウトバス使用のヘアコンディショナー、ヘアローション、ヘアミルク、ヘアクリーム等の毛髪用製品として実施することができる。また、本発明の毛髪化粧料は、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で各種の噴射剤と混合し、ヘアフォーム、スプレーフォーム、ヘアミスト(スプレー)等のエアゾール製品とすることができる。噴射剤としては、液化石油ガス、窒素ガス、炭酸ガス、ジメチルエーテル等を使用することができる。
【実施例】
【0060】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0061】
《新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例》
《新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例》
以下に本発明に用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%、粘度、タック性を測定した。
【0062】
(置換度、構成脂肪酸のmol%の測定方法)
参考製造例のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
【0063】
(粘度の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)を5質量%含有する流動パラフィンを100℃で溶解し、室温(25℃)まで冷却する。25℃の恒温槽で24時間保温し、以下の測定機器を用いて粘度を測定した。
尚、流動パラフィンはASTM D445測定方法による40℃の動粘度が8mm2/sのものを使用した。
[測定機器]Yamco DIGITAL VISCOMATE MODEL VM−100A(山一電機社製)
【0064】
(タック性の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)をIPクリーンLX(軽質流動イソパラフィン)に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、その皮膜を室温24時間乾燥後、70℃で12時間保存した後、室温25℃におけるタック性を、以下に示す機器および条件で評価した。
[測定機器]テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)
[プローブ]1/2 Cyl.Delrin(ポリアセタール樹脂(POM))P/0.5)、直径12.5mm円柱状
[測定条件]Test Speed:0.5mm/sec, Applied Force:100g, Contact Time:10sec
【0065】
[参考製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
【0066】
[参考製造例2〜4:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
参考製造例1記載の原料・方法に準じ、
参考製造例2は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.172mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.0、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は35gであった。
参考製造例3は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.224mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.4、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
参考製造例4は平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.502mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度2.6、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は750gであった。
【0067】
[参考製造例5:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(ガーベット反応型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質80gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、ガーベット反応型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸−Nを用いた。
置換度は1.8、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は173gであった。
【0068】
[参考製造例6:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(アルドール縮合型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質60gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、アルドール縮合型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸を用いた。
置換度は1.2、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は61gであった。
【0069】
[参考製造例7:デキストリンイソアラキン酸/パルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度150のデキストリン51.28gをジメチルホルムアミド150g、ピリジン60gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソアラキン酸クロライド132gとパルミチン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質145gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は1.1、イソアラキン酸85mol%、パルミチン酸15mol%、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
【0070】
[参考製造例8:デキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル]
平均グルコース重合度5のデキストリン34.19gを3−メチルピリジン215gに70℃で分散させ、イソ酪酸クロライド50g及びカプリン酸クロライド60gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をエタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質98gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度は2.9、イソ酪酸63mol%、カプリン酸37mol%、粘度は0mPa・s、タック性は255gであった。
【0071】
[参考製造例9:デキストリンイソパルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度100のデキストリン23.62gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド100gを30分間滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質90gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
置換度は2.0、イソパルミチン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は204gであった。
【0072】
[参考製造例10:デキストリンイソノナン酸/ステアリン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン36.34gをジメチルホルムアミド120g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソノナン酸クロライド41g及びステアリン酸クロライド58gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸55mol%)
置換度は1.6、イソノナン酸51mol%、ステアリン酸49mol%、粘度は0mPa・s、タック性は64gであった。
【0073】
[参考製造例11:デキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン54.56gをジメチルホルムアミド150g、3−メチルピリジン130gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、2−エチルヘキサン酸クロライド147g、次いでベヘン酸クロライド36gを計30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は2.3、2−エチルヘキサン酸95mol%、ベヘン酸5mol%、粘度は0mPa・s、タック性は138gであった。
【0074】
[参考製造例12:デキストリンイソパルミチン酸/酢酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン22.56gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン70gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド110g及び無水酢酸10gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質96gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸80mol%)
置換度は2.8、イソパルミチン酸79mol%、酢酸21mol%、粘度は0mPa・s、タック性は430gであった。
【0075】
[参考製造例13:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/オレイン酸エステル]
平均グルコース重合度40のデキストリン19.99gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)108gとオレイン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質88gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸54mol%)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸54mol%、その他の脂肪酸46mol%(内オレイン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は350gであった。
【0076】
実施例1〜11、比較例1〜6:水中油型乳液状ヘアミルク
表1及び表2に示す処方および下記に示す製造方法により、水中油型乳液状ヘアミルクを製造した。得られた各水中油型乳液状ヘアミルクについて「ツヤ」、「しなやかな櫛通り」、「なめらかな感触」、「べたつきの無さ」、「持続性」を下記に示す評価方法により評価判定し、結果を併せて表1及び表2に示した。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
注1 ニッコール HCO−10 (日光ケミカルズ社製)
注2 ニッコール BC−20TX (日光ケミカルズ社製)
注3 アーカード 22−80 (ライオン・アクゾ社製)
注4 レオパール TT2 (千葉製粉社製)
注5 エルデュウ PS−304 (味の素社製)
注6 PLANDOOL−S (日本精化社製)
注7 KLEAROL (SONNEBORN社製)
注8 KF−56 (信越化学工業社製)
【0080】
(製造方法)
A:成分1〜14を75℃にて均一に混合分散する
B:成分15にAを加えて乳化する(75℃)
C:Bを40℃まで冷却して、ヘアミルクを得た。
【0081】
〔評価方法〕
化粧品評価専門パネル20名に、各水中油型乳液状ヘアミルクを使用してもらい、「ツヤ」、「しなやかな櫛通り」、「なめらかな感触」、「べたつきの無さ」、「持続性」について、以下の評価基準に従って7段階評価してもらった。その後、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。なお「持続性」については、塗布して6時間後の「なめらかな感触」について、塗布直後の状態と比較して評価判定した。
<評価基準>:
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
【0082】
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
5点を超える : ◎(非常に優れる)
3点を超えて5点以下 : ○(優れる)
1点を超えて3点以下 : △(劣る)
1点以下 : ×(非常に劣る)
【0083】
表1及び表2に示したように、実施例1〜11の水中油型乳液状ヘアミルクは、いずれもツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかさな感触、べたつきの無さ、持続性に優れた水中油型乳液状ヘアミルクであった。それに対して、成分(A)の新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有しない比較例1は油膜の均一性に欠け、なめらかな感触、持続性が大きく劣るものであった。成分(A)の代わりに、分岐飽和脂肪酸が全脂肪酸に対し50mol%未満のデキストリン脂肪酸エステルである(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリンを含有する比較例2はツヤが劣り、しなやかな櫛通りやなめらかさの持続性についても不十分なものであった。成分(B)のステロール骨格を有する油剤を含有しない比較例3はべたつきの無さと持続性が大きく劣るものであった。成分(B)の代わりにトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルを増量した比較例4は均一な油膜の形成が不十分であり特にべたつきの無さや持続性に劣るものであった。また、成分(C)の非イオン性界面活性剤を含有しない比較例5や、成分(C)の代わりにカチオン性界面活性剤を増量した比較例6はしなやかな櫛通りやべたつきの無さに欠けるものであった。
【0084】
実施例12:水中油型乳液状ヘアミルク
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム80%水溶液(注3) 0.2
2.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート 0.2
3.セトステアリルアルコール 2
4.パルミチン酸2−エチルヘキシル 1
5.ワセリン 1
6.ヒドロキシステアリン酸コレスレテリル(注9) 1
7.硬化ヒマシ油 1
8.ホホバアルコール 1
9.参考製造例2のデキストリン脂肪酸エステル 1
10.ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油(注10) 0.1
11.ジプロピレングリコール 3
12.1,3−ブチレングリコール 2
13.キサンタンガム 0.2
14.フェノキシエタノール 0.2
15.香料 0.5
16.精製水 残量
(注9) サラコス HS(日清オイリオ社製)
(注10) ニッコール HCO−10 (日光ケミカルズ社製)
(製造方法)
A:成分1〜10を均一に加熱混合する。
B:成分11〜14及び16を均一に加熱混合する。
C:BにAを添加し、均一に乳化混合し、冷却する。
D.Cに成分15を添加混合した後、容器に充填して水中油型乳液状ヘアミルクを得た。
【0085】
以上のようにして得られた実施例12の水中油型乳液状ヘアミルクは、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さ、持続性に優れた毛髪化粧料であった。
【0086】
実施例13:水中油型ヘアローション(ヘアミスト)
(成分) (%)
1.1,3−ブチレングリコール 1
2.オレイルアルコール 0.1
3.ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル(注11) 0.02
4.マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル(注12) 0.1
3.塩化ジココイルジメチルアンモニウム 0.5
4.参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 0.1
5.参考製造例6のデキストリン脂肪酸エステル 0.5
6.エタノール 10
7.ヒドロキシエチルセルロース 0.1
8.精製水 残 量
9.メチルパラベン 0.1
10.香料 0.5
(注11) ニッコール BC−20TX (日光ケミカルズ社製)
(注12) YOFCO MAS (日本精化社製)
(製造方法)
A:成分1〜5を加温して均一混合する。
B:Aに成分6〜10を加え均一混合する。
C:Bをアトマイザー容器に充填して水中油型ヘアローションを得た。
【0087】
以上のようにして得られた実施例3の水中油型ヘアローション(ヘアミスト)は、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さ、持続性に優れたに優れた毛髪化粧料であった。
【0088】
実施例14:水中油型ヘアコンディショナー(洗い流しタイプ)
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム80%水溶液(注3) 1
2.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
3.ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油(注13) 0.3
4.ポリオキシエチレン(10モル)硬化ヒマシ油(注1) 0.3
5.セトステアリルアルコール 4
6.グリセリン 30
7.ジメチルポリシロキサン(注14) 2
8.N−ラウロイルーL−グルタミン酸
ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(注15) 1
9.参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 2
10.精製水 残 量
(注13) ニッコール HCO−40 (日光ケミカルズ社製)
(注14) KF−96A−6cs (信越化学工業社製)
(注15) エルデュウ PS−203 (味の素社製)
(製造方法)
A.成分1〜6を75℃にて加熱溶解し均一に混合する。
B.成分7〜9を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合する。
D.成分10を75℃に加熱する。
E.CにDを添加して均一に乳化混合したのち、水中油型ヘアコンディショナーを得た。
【0089】
以上のようにして得られた実施例14の水中油型ヘアコンディショナー(洗い流しタイプ)は、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さ、持続性に優れたに優れた毛髪化粧料であった。
【0090】
実施例15:水中油型整髪料
(成分) (%)
1.キャンデリラロウ 1
2.マイクロクリスタリンワックス 2
3.参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステル 2
4.水添ポリイソブテン(注16) 3
5.N−ラウロイル−L−グルタミン酸
ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(注17) 3
6.イソステアリン酸ポリオキシエチレン
(20モル)グリセリル(注18) 1
7.ステアリン酸グリセリル 1
8.ベヘニルアルコール 2
9.ステアリルアルコール 1
10.トコフェロール 0.1
11.香料 0.1
12.精製水 残 量
13.プロピレングリコール 10
14.ステアロイルメチルタウリンナトリウム 1
15.トリエタノールアミン 0.4
16.ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体
50%エタノール溶液(注19) 0.1
(注16) パールリーム 24(日油社製)
(注17) エルデュウ CL−301 (味の素社製)
(注18) EMALEX GWIS−320(日本エマルジョン社製)
(注19) アコーン KS (大阪有機化学工業社製)
(製造方法)
A.成分1〜11を80℃で混合溶解する。
B.成分12〜14を80℃で混合溶解する。
C.BにAを加え乳化させ、次いで成分15を加えて中和させた後、(17)を加え、脱泡して40℃まで冷却して水中油型整髪料を得た。
【0091】
以上のようにして得られた実施例15の水中油型整髪料は、ツヤ、しなやかな櫛通り、なめらかな感触、べたつきの無さ、持続性に優れたに優れた毛髪化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)〜(C);
(A)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(B)ステロール骨格を有する油剤
(C)非イオン性界面活性剤
を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
成分(B)のステロール骨格を有する油剤が、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
成分(C)の非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項8】
成分(A)と成分(B)の含有質量割合(A)/(B)が10/1〜1/2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の毛髪化粧料。
【請求項9】
さらに、成分(D)として屈折率が1.47を超える油剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2013−79205(P2013−79205A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219474(P2011−219474)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】