説明

水中油エマルジョン

【課題】既知の生成物と比較して少ないワックス量で、より安定、かつ、より感覚的に軽い生成物の製造を可能にし得る乳化剤を用いた高粘度o/wエマルジョンを提供する。
【解決手段】A)a) 式(I):


[式中、Rは、炭素数16〜54のアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは炭素数5または6の糖単位であり、pは1〜10の数である。]で示されるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド43〜99重量%と、b) 式(II):


[式中、Rは、炭素数16〜54で、二重結合数0および/または1、2もしくは3の、直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素基である。]で示される脂肪アルコール57〜1重量%とからなる乳化剤混合物(ただし、上記成分a)及びb)の総量が100重量%となる。)、B)油、およびC)水からなるo/wエマルジョン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定量のアルキルグリコシドおよびアルコールを含有する乳化剤を含んでなる高粘度o/wエマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
アルキルオリゴグルコシド10〜40重量%、脂肪アルコール60〜90重量%および要すればポリグルコースの混合物をエマルジョンの製造に使用することは、欧州特許EP−B10553241(SEPPIC)により知られている。国際特許出願公開WO92/07543[ヘンケル(Henkel)]によると、アルキルオリゴグルコシドを脂肪アルコールおよび部分グリセリドと組み合わせて、化粧品乳化剤として使用し得る。
【0003】
そのような既知のグルコシド/脂肪アルコール乳化剤は、高粘度o/wクリームの製造においては、比較的多量に使用しなければならないことがわかっている。しかし、ワックス(すなわち、乳化剤混合物)の濃度が高いと、感覚的に軽い生成物が必要な場合には特に、皮膚にとって負担となり、望ましくない。
【特許文献1】欧州特許EP−B10553241
【特許文献2】国際特許出願公開WO92/07543
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、本発明の課題は、既知の生成物と比較して少ないワックス量で、より安定、かつ、より感覚的に軽い生成物の製造を可能にし得る乳化剤を用いた高粘度o/wエマルジョンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
A)
a) 式(I):
【化1】

[式中、Rは、炭素数16〜54のアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは炭素数5または6の糖単位であり、pは1〜10の数である。]
で示されるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド43〜99重量%と、
b) 式(II):
【化2】

[式中、Rは、炭素数16〜54で、二重結合数0および/または1、2もしくは3の、直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素基である。]
で示される脂肪アルコール57〜1重量%と
からなる乳化剤混合物(ただし、上記成分a)及びb)の総量が100重量%となる。)、
B)油、
および
C)水
からなるo/wエマルジョンを提供する。
【発明の効果】
【0006】
驚くべきことに、アルキルグリコシドと脂肪アルコールとを既知の生成物とは全く逆の重量比で含有する混合物が、同様に高い乳化力を有し、しかも同程度の乳化剤量で顕著により高い粘度を有するo/wエマルジョンの製造を可能にすることがわかった。逆に言えば、同粘度のo/wエマルジョンが、新規乳化剤ならより少ない量で使用して製造できるので、ワックス量の低下によって、所望の感覚的により軽い生成物を得ることができる。本発明は、親水性ワックス(好ましくは脂肪酸部分グリセリド)の使用によって、特に粘性で感覚的に好ましく、貯蔵安定性の高いエマルジョンが得られるという知見をも包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド:
アルキルおよびアルケニルオリゴグリコシドは、式(I):
【化3】

[式中、Rは、場合によりヒドロキシ置換した、炭素数16〜54の直鎖または分枝状アルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは炭素数5または6の糖単位であり、pは1〜10の数である。]
で示される既知のノニオン性界面活性剤である。このような化合物は、有機合成化学的方法によって得られる。これに関する広範な文献の例として、欧州特許出願公開EP−A10301298および国際特許出願公開WO90/03977が挙げられる。
【0008】
アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、炭素数5または6のアルドースまたはケトースから、好ましくはグルコースから誘導し得る。すなわち、好ましいアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドは、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグルコシドである。
【0009】
式(I)中の指数pは、オリゴマー化度(DP)、すなわちモノ−およびオリゴグリコシドの分布を示し、1〜10の数である。個々の化合物のpは常に整数であり、特に1〜6の値であり得るが、アルキルオリゴグリコシドとしての値pは、分析学的に求めた値であって、通例整数でない。平均オリゴマー化度pが1.1〜3.0であるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドを使用することが好ましい。オリゴマー化度が1.7未満、とりわけ1.2〜1.4であるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドが、適用の観点から好ましい。
【0010】
アルキルまたはアルケニル基Rは、炭素数4〜11、好ましくは8〜10の第一級アルコールから誘導し得る。そのようなアルコールの例は、ブタノール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコールおよびウンデシルアルコール、並びにそれらの工業用混合物[例えば、工業用脂肪酸メチルエステルを水素化することによるか、またはレーレン(Roelen)のオキソ合成由来のアルデヒドを水素化することによって得られる]である。工業用C8−18ヤシ油脂肪アルコールの分留において最初の蒸留物として得られ、不純物としてのC12アルコールの含量が6重量%未満であり得るアルコールから誘導した、鎖長C8−10のアルキルオリゴグルコシド(DP=1〜3)、並びに工業用C9/11オキソアルコールから誘導したアルキルオリゴグルコシド(DP=1〜3)が好ましい。
【0011】
また、アルキルまたはアルケニル基Rは、炭素数12〜22、好ましくは12〜14の第一級アルコールから誘導してもよい。そのようなアルコールの例は、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、リシノリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ジヒドロキシステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、およびそれらの工業用混合物(前記のようにして得られる)である。炭素数12〜36のゲルベアルコール、並びに炭素数18〜36または18〜54の工業用二量体ジオールおよび三量体トリオール混合物を使用してもよい。セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコールおよび/またはゲルベアルコール(好ましくは炭素数12〜18)から誘導した、DPが1〜3であるアルキルオリゴグルコシドが好ましい。
【0012】
脂肪アルコール:
本発明において、脂肪アルコールとは、式(II):
【化4】

[式中、Rは、炭素数16〜54で、二重結合数0および/または1、2もしくは3の、直鎖または分枝状で場合によりヒドロキシ置換した脂肪族炭化水素基である。]
で示される第一級脂肪族アルコールであると理解される。
【0013】
その例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、リシノリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ジヒドロキシステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコールおよびブラシジルアルコール、並びにそれらの工業用混合物(例えば、脂肪および油由来の工業用メチルエステルまたはレーレンのオキソ合成由来のアルデヒドを高圧水素化することによって得られる混合物、および不飽和脂肪アルコールの二量化においてモノマーフラクションとして得られる混合物)である。他の例は、炭素数6〜18の脂肪アルコールから生成するゲルベアルコール、および不飽和脂肪酸をオリゴマー化し、次いで水素化することによって生成する炭素数18〜36または18〜54の工業用二量体ジオールおよび三量体トリオールである。
【0014】
炭素数16〜18の工業用脂肪アルコール、例えばセトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、および相当する鎖長のゲルベアルコールが好ましい。本発明によると、同じアルキル基を有するアルキルオリゴグルコシドと脂肪アルコールとの混合物を使用することが、特に有利である。そのような混合物は、例えば、セテアリルオリゴグルコシド/セテアリルアルコール、イソステアリルオリゴグルコシド/イソステアリルアルコール、またはゲルベアルキルオリゴグルコシド/対応するゲルベアルコールの混合物である。
【0015】
製法:
本発明による乳化剤を製造するには、例えば、市販の水性グルコシドペーストを、所望の比で脂肪アルコールと混合すればよい。所望により、得られる混合物から、水を完全に、または部分的に除去し得る。
【0016】
しかし、本発明による乳化剤は、グルコースを過剰の脂肪アルコールで酸触媒アセタール化することによるアルキルオリゴグルコシドの製造において生成する工業用グルコシド/脂肪アルコール混合物から製造することが好ましい。このような混合物は通例、脂肪アルコール約60〜80重量%およびグルコシド約20〜40重量%を含有する。基本的に、次のような二方法によって、比較的高いグルコシド含量を達成し得る。
【0017】
薄層または流下フィルム蒸発器内で蒸留的処理を行うことによって、脂肪アルコール成分量を所望の程度に減少するか、あるいはグルコシド(好ましくは水不含有)(水性ペーストの過熱蒸気による乾燥またはフラッシュ乾燥器による水除去によって調製し得る)で、グルコシド成分を増量する。本発明は、両者いずれの方法を行うことも包含する。
【0018】
本発明の好ましい一態様においては、グルコースおよびセチルアルコールを既知の方法でアセタール化し、過剰の脂肪アルコールを完全に、または大部分除去し、ステアリルアルコールおよび/またはイソステアリルアルコールを所望の量で加える。要すれば、生成したポリグルコースをメンブランによって除去し得る。
【0019】
本発明による乳化剤の他の好ましい製法においては、グルコースまたはデンプン液をまず短鎖アルコール(例えばブタノール、または炭素数6〜10の脂肪アルコールヘッドフラクション)と反応させて低級アルキルグルコシドを生成し、次いでこれを所望の鎖長の脂肪アルコール(好ましくはセテアリルアルコール)でアセタール交換する。この反応の生成物を、次いで、前記のように更に処理し得る。
【0020】
本発明による乳化剤を用いると、安定なo/wエマルジョンを製造することができる。脂肪アルコール含量がより高く、グルコシド含量のより低い既知の乳化剤とは対照的に、例えば、ワックス濃度が低くても高粘性クリームを製造し得るので、生成物の感覚的性質を顕著に改善することができる。
【0021】
油:
本発明による乳化剤は、o/w型エマルジョンの製造に適当である。適当な油は、例えば、炭素数6〜18(好ましくは8〜10)の脂肪アルコールから誘導するゲルベアルコール、直鎖C6−20脂肪酸と直鎖C6−20脂肪アルコールとのエステル、分枝状C6−13カルボン酸と直鎖C6−20脂肪アルコールとのエステル、直鎖C6−18脂肪酸と分枝状アルコール(とりわけ2−エチルヘキサノール)とのエステル、直鎖および/または分枝状脂肪酸と多価アルコール(例えば、二量体ジオールまたは三量体トリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6−10脂肪酸トリグリセリド、C6−22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(とりわけ、安息香酸)とのエステル、植物油、分枝状第一級アルコール、置換シクロヘキサン、ゲルベカーボネート、ジアルキルエーテルおよび/または脂肪族もしくはナフテン族炭化水素;並びにシリコーン油、ジメチコンまたはシクロメチコンである。油は、エマルジョンの非水性成分の5〜99重量%、好ましくは10〜75重量%を占め得る。
【0022】
界面活性剤:
本発明による乳化剤を用いて得られるエマルジョンは、アニオン性、ノニオン性、カチオン性および/または両性もしくは双性イオン性界面活性剤を構成成分として含有し得る。
【0023】
アニオン性界面活性剤の例は、アルキルベンゼンスルホネート、アルカンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、グリセロールエーテルスルホネート、α−メチルエステルスルホネート、スルホ脂肪酸、アルキルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、グリセロールエーテルスルフェート、ヒドロキシ混合エーテルスルフェート、モノグリセリド(エーテル)スルフェート、脂肪酸アミド(エーテル)スルフェート、モノおよびジアルキルスルホスクシネート、モノおよびジアルキルスルホスクシナメート、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、アシルラクチレート、アシルタートレート、アシルグルタメート、アシルアスパルテート、アルキルオリゴグルコシドスルフェート、タンパク質脂肪酸縮合物(特に、小麦系植物性の生成物)、並びにアルキル(エーテル)ホスフェートである。アニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を有する場合、通常の同族体分布を有し得るが、狭い同族体分布を有することが好ましい。
【0024】
ノニオン性界面活性剤の例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルおよび混合ホルマール、脂肪酸N−アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、小麦系植物性の生成物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、並びにアミンオキシドである。ノニオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を有する場合、通常の同族体分布を有し得るが、狭い同族体分布を有することが好ましい。
【0025】
カチオン性界面活性剤の例は、第四級アンモニウム化合物およびエステルクォート(esterquat)、とりわけ第四級化脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩である。両性または双性イオン性界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、およびスルホベタインである。
【0026】
上記界面活性剤はいずれも、既知の化合物である。それらの構造および製法に関しては、関連文献、例えば、ヨット・ファルベ(J.Falbe)(編)、「サーファクタンツ・イン・コンシューマー・プロダクツ(Surfactants in Consumer Products)」、シュプリンガー・フェアラーク(Supringer Verlag)、ベルリン、1987、第54〜124頁、またはヨット・ファルベ(編)、「カタリザトーレン,テンシデ・ウント・ミネラルエールアディティヴェ(Katalysatoren, Tenside und Mineraloeladditive)」、ティーメ・フェアラーク(Thieme Verlag)、シュトゥットガルト、1978、第123〜217頁に記載されている。
【0027】
親水性ワックス:
本発明の一態様においては、乳化剤混合物を、コンシステンシー付与性親水性ワックスと組み合わせて使用することができる。そのような親水性ワックスは室温で固体であり、遊離ヒドロキシル基を有する。その例は、脂肪酸部分グリセリド、すなわちグリセロールと炭素数12〜18の脂肪酸との工業用モノエステルおよび/またはジエステル、例えばグリセロールモノ/ジラウレート、パルミテートまたはステアレートである。脂肪アルコール、例えば炭素数12〜22の工業用脂肪アルコール、すなわちセチルアルコール、ステアリルアルコールまたはセテアリルアルコールをも使用し得る。親水性ワックスは、乳化剤に対して好ましくは10〜30重量%、とりわけ2.5〜10重量%の量で使用する。
【0028】
他の助剤および添加剤:
エマルジョンは、スキンケア製剤、例えばデイクリーム、ナイトクリーム、ケアクリーム、ナリシングクリーム、ボディローション、エモリエントなどとして使用し得、更なる助剤および添加剤として、補助乳化剤、カチオン性ポリマー、シリコーン、過脂肪剤、脂肪、ワックス、安定剤、生体由来物質、グリセロール、保存剤、色素および香料を含有し得る。
【0029】
補助乳化剤は、例えば、下記群から選択する少なくとも1種のノニオン性界面活性剤であり得る:
(b1)炭素数8〜22の直鎖脂肪アルコール、炭素数12〜22の脂肪酸、およびアルキル基の炭素数8〜15のアルキルフェノールの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モル付加物;
(b2)グリセロールのエチレンオキシド1〜30モル付加物の、C12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
(b3)飽和および不飽和C6−22脂肪酸の、グリセロールモノエステルおよびジエステル、およびソルビタンモノエステルおよびジエステル、並びにそれらのエチレンオキシド付加物;
(b4)ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油のエチレンオキシド15〜60モル付加物;
(b5)ポリオールエステルおよびとりわけポリグリセロールエステル、例えばポリグリセロールポリリシノレートまたはポリグリセロールポリ−12−ヒドロキシステアレート。複数の上記群の化合物の混合物も適当である;
(b6)ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油のエチレンオキシド2〜15モル付加物;
(b7)直鎖、分枝状、不飽和または飽和C12/22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸と、グリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)およびポリグルコシド(例えばセルロース)との、部分エステル;
(b8)トリアルキルホスフェート;
(b9)羊毛蝋アルコール;
(b10)ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体;
(b11)ドイツ連邦共和国特許DE−PS1165574による、ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステル、および/または炭素数6〜22の脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくはグリセロール)の混合エステル;並びに
(b12)ポリアルキレングリコール。
【0030】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、グリセロール脂肪酸モノエステルおよびジエステル、ソルビタン脂肪酸モノエステルおよびジエステル、またはヒマシ油の、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物は、既知の市販生成物である。それらは同族体混合物であって、その平均アルコキシル化度は、付加反応を行う基質化合物とエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの量比に対応する。グリセロールのエチレンオキシド付加物の、C12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、ドイツ連邦共和国特許DE−PS2024051により、化粧品製剤用の再脂肪化剤として知られている。
【0031】
双性イオン性界面活性剤を乳化剤として使用してもよい。双性イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基および少なくとも1個のカルボキシレート基およびスルホネート基を有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキルまたはアシル基の炭素数8〜18の、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。CTFA名コカミドプロピル・ベタインとして既知の脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。両性界面活性剤も、適当な乳化剤である。両性界面活性剤は、分子中に、C8/18アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOHまたは−SOH基を有する界面活性化合物で、分子内塩を形成し得る。適当な両性界面活性剤の例は、アルキル基の炭素数約8〜18の、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネート、およびC12/18アシルサルコシンである。両性界面活性剤のほかに、第四級乳化剤、例えばエステルクォート型のもの、特にメチル第四級化ジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩も、好ましく使用し得る。
【0032】
過脂肪剤としては、例えば、ラノリン、レシチン、ポリエトキシル化またはアシル化ラノリン−およびレシチン−誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドのような物質を使用し得る。脂肪酸アルカノールアミドは、泡安定剤としても機能する。適当な増粘剤の例は、多糖、とりわけキサンタンガム、グアー、寒天、アルギネート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、脂肪酸の高分子量ポリエチレングリコールモノ−およびジエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えばエトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸とポリオール(例えばペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレート、またはアルキルオリゴグルコシド、並びに電解質、例えば塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムである。
【0033】
適当なカチオン性ポリマーの例は、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩およびアクリルアミドのコポリマー、第四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばルビクォート(Luviquat、商標)[ドイツ連邦共和国ルートヴィヒシャーフェンのBASF社(BASF AG)]、ポリグリコールおよびアミンの縮合生成物、第四級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウム・ヒドロキシプロピル・ヒドロライズド・コラーゲン[ラメクォート(Lamequat、商標)L;グリューナウ社(Gruenau GmbH)]、第四級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコン(Amidomethicone)またはダウ・コーニング(Dow Corning)[米国のダウ・コーニング社(Dow Corning Co.)]、アジピン酸およびジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー[カータレチン(Cartaretine、商標);スイス国サンド社(Sandoz AG)]、ポリアミノポリアミド、例えばフランス国特許FR−A2252840に記載のもの、およびその架橋水溶性ポリマー、カチオン性キチン誘導体、例えば第四級化キトサン(場合により、微結晶分布したもの)、ジハロゲン化アルキル(例えばジブロモブタン)とビスジアルキルアミンとの縮合生成物、例えばビス−ジメチルアミノ−1,3−プロパン、カチオン性グアーガム、例えばジャガー(Jaguar、商標)CBS、ジャガーC−17、ジャガーC−16[米国のセラニーズ(Celanese)]、並びに第四級化アンモニウム塩ポリマー、例えばミラポール(Mirapol、商標)A−15、ミラポールAD−1、ミラポールAZ−1[米国のミラノール(Miranol)]である。
【0034】
適当なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、並びにアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−および/またはアルキル−改質シリコーン化合物(室温で流動性および樹脂状で存在し得るもの)である。脂肪の例はグリセリドである。適当なワックスはとりわけ、蜜蝋、パラフィンワックスまたはマイクロワックスであり、場合により親水性ワックス(例えばセトステアリルアルコールまたは部分グリセリド)と組み合わせる。真珠光沢剤としては、とりわけ、ポリアルキレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル、部分グリセリド、または脂肪アルコールと多塩基性カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸とのエステルを使用し得る。安定剤としては、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩を使用し得る。本発明において、生体由来物質は、例えばビサボロール、アラントイン、パンテノール、AHA酸、植物抽出物、およびビタミン複合体である。抗フケ剤としては、クリンバゾール(Climbazol)、オクトピロックス(Octopirox)およびジンクピリチオンを使用し得る。通常のフィルム形成剤の例は、キトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系ポリマー、第四級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸またはその塩、および同様の化合物である。流動性を改善するために、更にヒドロトロープ、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールまたはグルコースを使用し得る。適当な保存剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸である。色素は、例えば「コスメティッシェ・フェルベミッテル(Kosmetische Faerbemittel)」、ファルプシュトッフコミッシオン・デァ・ドイッチェン・フォルシュングスゲマインシャフト(Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft)、フェアラーク・ヒェミー(Verlag Chemie)、ヴァインハイム(Weinhem)、1984、第81〜106頁に挙げられているような、化粧品に適当で承認された物質から選択し得る。そのような色素は通例、混合物全体に対して0.001〜0.1重量%の濃度で使用する。
【0035】
助剤および添加剤は、エマルジョンの1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%を占め得る。
【実施例】
【0036】
I.適用例
セテアリルグルコシド(C16:C18=1:1)、対応するセテアリルアルコール、油としてのカプリリック/カプリック・トリグリセリド(Caprylic/Capric Triglyceride)[ミリトール(Myritol、商標)312;ヘンケル社(Henkel KGaA)]、および場合により、親水性ワックスとしての水素化パーム・グリセリズ(Hydrogenated Palm Glycerides)[モノムルス(Monomuls、商標)60−35;ヘンケル社]を用いて、水性o/wエマルジョンを調製した。その混合物の粘度を、RVT粘度計[20℃、4rpm、スピンドルTE、ヘリパス(Helipath)]を用いてブルックフィールド法により測定した。混合物R1〜R5は、グルコシド:脂肪アルコールの比が8:2ないし5:5で本発明に相当し、混合物R6〜R10は、グルコシドの比が4:6ないし2:8で比較例である。ワックス量、すなわちグルコシド、脂肪アルコールおよび場合により存在する部分グリセリドの総量は、いずれの場合もエマルジョンに対して7.5重量%であった。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
上記試験によって、次のようなことがわかる:
・本発明によるグルコシド:脂肪アルコール重量比43:57ないし90:10の乳化剤(すなわち、従来品よりもグルコシド含量が高い)を用いると、実際に、クリームとして存在し得る高粘度o/wエマルジョンを製造することができる。
・一方、グルコシド:脂肪アルコール重量比40:60ないし20:80の従来の乳化剤(すなわち、脂肪アルコール含量が高い)も、安定なエマルジョンを生成するが、その粘度は10分の1のオーダーで低い。
・本発明の製剤R3(重量比50:50)と比較製剤R6(重量比40:60)とを比較すると、それらの比の間で粘度の急激な変化が生じるので、それらの間に臨界点があることがわかる。
・部分グリセリドの併用は、所望の効果に必須ではないが、更なる粘度上昇をもたらす。
【0039】
II.適用例
【0040】
【表2】

【0041】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)
a) 式(I):
【化1】

[式中、Rは、炭素数16〜54のアルキルおよび/またはアルケニル基であり、Gは炭素数5または6の糖単位であり、pは1〜10の数である。]
で示されるアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシド43〜99重量%と、
b) 式(II):
【化2】

[式中、Rは、炭素数16〜54で、二重結合数0および/または1、2もしくは3の、直鎖または分枝状の脂肪族炭化水素基である。]
で示される脂肪アルコール57〜1重量%と
からなる乳化剤混合物(ただし、上記成分a)及びb)の総量が100重量%となる。)、
B)油、
および
C)水
からなるo/wエマルジョン。
【請求項2】
式(I)中のRが、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、リシノリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ジヒドロキシステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、および炭素数18〜54の工業用二量体ジオールおよび三量体トリオール混合物からなる群から選択されるアルコールから誘導された基である請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
式(II)で示される脂肪アルコールが、セチルアルコール、イソセチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リシノリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール、ジヒドロキシステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコール、および炭素数18〜54の工業用二量体ジオールおよび三量体トリオールからなる群から選択されるアルコールである請求項1または2に記載のエマルジョン。
【請求項4】
式(I)中のRが、セトステアリルアルコールまたはイソステアリルアルコールから誘導される基である請求項1〜3のいずれかに記載のエマルジョン。
【請求項5】
式(II)で示される脂肪アルコールが、セトステアリルアルコールまたはイソステアリルアルコールである請求項1〜4のいずれかに記載のエマルジョン。
【請求項6】
乳化剤混合物が、アルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドa)45〜55重量%および脂肪アルコールb)55〜45重量%を含む請求項1〜5のいずれかに記載のエマルジョン。

【公開番号】特開2008−150398(P2008−150398A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57412(P2008−57412)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【分割の表示】特願平9−518550の分割
【原出願日】平成8年11月6日(1996.11.6)
【出願人】(302039841)コグニス・ドイッチュランド・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (7)
【Fターム(参考)】