説明

水中油型化粧料

【課題】 本発明は、粒子の分散性がよく、化粧料の安定性に優れ、隠ぺい力があり肌への付着性が良いため化粧持ちに優れ、滑らかでさっぱりした感触を有するため使用感に優れ、更には、紫外線遮断効果を十分に発揮できる化粧料を提供するものである。
【解決手段】 次の成分(a)〜(c);(a)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物、(b)グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤、(c)揮発性油剤を配合する水中油型化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の樹脂中に金属酸化物粒子を混練させた組成物と特定のシリコーン系界面活性剤、揮発性油剤を配合した化粧料に関し、更に詳細には当該組成物の化粧料基剤への分散性が非常に良好なため、上記成分配合化粧料の安定性に優れ、隠ぺい力があり肌への付着性が良いため化粧持ちに優れ、滑らかでさっぱりした感触を有するため使用感に優れる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧料には、種々の粉体が配合されているが、肌への付着性を上げる、撥水性を向上させるなどの目的に応じて、粉体の表面を疎水化処理することが行われ、更に粉体を化粧料基剤中に分散させる方法も種々検討されている。粉体の疎水化に関しては、従来より多くの方法が知られており、油剤を用いた方法やシリコーン油の疎水特性を利用した方法、すなわち、油剤を加熱処理する方法、粉体の表面にメチルハイドロジェンポリシロキサンを焼き付け処理する方法などが目的に応じて単独で又は組み合せて使用されている。また、粉体の化粧料基剤中への分散化に関しても多くの方法が知られており、ロールミルやボールミルなどによる機械力を加えた方法や界面活性剤を併用した方法などが、単独で又は組み合せて使用されている。
一方、メイクアップ化粧料に於いて特に化粧くずれしにくく、化粧持続性に優れるということが重要となり、撥水性のあるシリコーン油やシリコーン樹脂の使用が行われてきており、化粧料に配合されている種々の粉体は、水中油型化粧料においては連続相である水相に粉体を配合し、分散性を高め、製剤の安定性の向上を図っていた。更に乳化時において使用される界面活性剤においては高HLBのものを使用し、乳化効率の向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−182396
【特許文献2】特開平10−251123
【特許文献3】特開2002−255746
【特許文献4】特開2007−119741
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような粉体の疎水化において油剤を用いた方法やシリコーン油の疎水特性を利用した方法では水中油型化粧料において内油相への粉体分散性の向上は図れるものの、乳化安定性および化粧持ちの良さ等の面においてはまだ改良の余地が残されている。更に粉体の疎水化においては上記方法に関しては様々な検討結果が報告されているものの、特定の樹脂中に金属酸化物粒子を混練させた組成物を用いる方法においては、その化粧料の応用という点においてまだ用途の多様性に期待できる面が多い。
一方、乳化時に用いる界面活性剤においては水中油型化粧料では高HLBのものを配合して製剤の安定性を向上させているが、低HLBの界面活性剤を組み合わせて用いることによって化粧料塗布時の使用感の良さ又は製剤の安定性が向上するか否かの検討は十分に行われてこなかった。
【0005】
そこで、製剤の安定性に優れ、使用感も良く、更には水中油型化粧料における粉体の分散性に優れ、かつ化粧持ちにも優れた水中油型化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に金属酸化物粒子を混練して得られた組成物が、当該化粧料の肌への付着性が向上するという技術に着目した。同時に安定性に優れ、隠ぺい力があり、保湿感に優れた感触が得られれば、水中油型化粧料において新たな官能領域の拡大を図ることができると考えた。
そして、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物およびグリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤に揮発性油剤を組み合わせることにより、製剤の安定性に優れ、使用感も良く、更には水中油型化粧料における粉体の分散性に優れ、かつ化粧持ちにも優れた技術を見出し、更には、金属酸化物粒子が紫外線遮断効果を有する場合は、その効果を十分に発揮できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)次の成分(a)〜(c);(a)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物。(b)グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤。(c)揮発性油剤
を配合する水中油型化粧料である。
(2)前記成分(a)における混練が高剪断力条件下に行われるものであることを特徴とする前記(1)に記載の水中油型化粧料。
(3)前記成分(a)の組成物中の金属酸化物粒子が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の水中油型化粧料。
(4)前記成分(a)の組成物中の金属酸化物粒子が、ケイ酸化合物及び/又はアルミニウム化合物で被覆されていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水中油型化粧料。
(5)更に、成分(d)として、分子量200〜2000のポリエチレングリコールを配合することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の水中油型化粧料。
(6)更に、成分(e)として、シリコーン樹脂粉末を配合することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の水中油型化粧料。
(7)更に、成分(f)として、分子量300〜2000の2エチルヘキサン酸を骨格に持つ液状油を配合することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の水中油型化粧料。
(8)更に、成分(g)として、有機紫外線吸収剤を配合することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の水中油型化粧料。
(9)前記水中油型化粧料が、日焼け止め化粧料であることを特徴とする前記(1)〜(8)に記載の水中油型化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物、グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤、揮発性油剤を配合することを特徴とする水中油型化粧料は、化粧料の安定性に優れ、隠ぺい力があり肌への付着性が良いため化粧持ちに優れ、滑らかでさっぱりした感触を有するため使用感に優れる化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明において水中油型化粧料は、水相を連続相として油相を分散あるいは乳化して配合する液状、半固形状又は固形状の化粧料である。
【0010】
本発明の成分(a)は、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に金属酸化物粒子が良好に分散しており、かかる組成物は、例えばアクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粉体を高剪断力条件下にて混練することにより製造される。具体的には、特開平06−9322号公報に記載の組成物を用いることができる。(以下、「アクリル−シリコーン系グラフト共重合体処理」と記載することがある。)
【0011】
本発明の成分(a)の組成物の製造に使用されるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は、特開平2−25411号公報などに記載されていて公知のものであり、例えば分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するジメチルポリシロキサン化合物(A)とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマー(B)とをラジカル共重合して得たアクリル−シリコーン系グラフト共重合体が挙げられる。分子鎖の片末端にラジカル重合性を有するジメチルポリシロキサン化合物(A)は、下記の一般式(1)で示されるものである。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Rはメチル基又は水素原子、Rは場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基を示す。)
上記一般式(1)中、Rの具体例としては−CH−、−(CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CHCHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH(CH)CH−、−CHCHOCHCHOCHCHCH−などが挙げられる。l(エル)は3〜300の数が好ましく、更に好ましくは5〜100の数である。これはl(エル)がこの範囲であると、組成物の耐水性やべたつきが生じない点で好ましい。
一方アクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーにおけるラジカル重合性モノマー(B)は、ラジカル重合性不飽和結合を分子中に1個有する化合物を意味し、使用されるアクリレート及び/又はメタクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;炭素数1〜10のパーフルオロアルキルを有する(メタ)アクリレート等を例示することができる。(B)においてアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするということは、上記ラジカル重合性モノマーにおいてアクリレート及び/又はメタクリレートの1種又は2種以上の合計量が、ラジカル重合性モノマー全体の50質量%(以下、単に「%」と示す。)以上を占めることを意味する。これはアクリレート及び/又はメタクリレートの合計量が50質量%未満であると、得られる組成物がべたつきを生じ、滑らかさが不足することによるものである。
このようなアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は、化粧品表示名称で、例えば、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーが挙げられる。市販品としては、例えば、KP−541(60%イソプロパノール溶液)、KP−545(30%シクロペンタシロキサン溶液)、KP−549(40%メチルトリメチコン溶液)、KP−550(40%イソドデカン溶液)等が挙げられる。
【0014】
一方、本発明の成分(a)の組成物の製造に使用される粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限はなく、具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、好ましくは酸化チタンや酸化亜鉛等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用することができる。本発明において、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で撮影し(撮影個数はそれぞれ1,000個以上)、撮影された個々の粒子の定方向径(粒子の面積を2分する水平線の長さ)をプロットし、それらを平均することによって求めたものである。
更に上記金属酸化物粒子が無機ケイ酸化合物及び/又は無機アルミニウム化合物で被覆されているものが分散性の点において好ましい。本発明に使用される無機ケイ酸化合物及び/又は無機アルミニウム化合物の被覆量は、金属酸化物粒子と無機ケイ酸化合物及び/又は無機アルミニウム化合物の合計に対し、0.5〜10%が好ましく、更に1〜5%であることが好ましい。この範囲であれば、分散性を向上することができる。
【0015】
アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に特定の金属酸化物粒子を混練するには、特開平06−9332号公報に記載の方法で調製することができ、例えばアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と特定の金属酸化物粒子を混合して、加熱下、高剪断力条件下で混練する方法、より好ましくは、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を揮発性溶剤に溶解したものに金属酸化物粒子を混合し、加熱下、高剪断力条件下で混練し、揮発性溶剤を揮散する方法が挙げられる。高剪断力条件下での混練は、例えばロールミル等を用いて混練することができる。
本発明で使用するの成分(a)において、のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体と金属酸化物粒子との配合割合は、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体5〜70%、金属酸化物粒子30〜95%が好ましく、特にアクリル−シリコーン系グラフト共重合体10〜50%、金属酸化物粒子50〜90%とするのが好ましい。この範囲であると、分散性、肌への付着力の点で好ましいものが得られる。また、得られた組成物は粉砕して用いることができる。アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の割合や粉砕の仕方により、目的に合わせて、粉体状のものから、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の多いチップ状のものを得ることができる。
【0016】
本発明の成分(a)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物の配合量は、化粧料全量中0.5〜20%が好ましく、更に1〜15%であることが好ましい。この範囲であれば、得られる化粧料の経時安定性を損なうことなく、良好な使用感の化粧料を得ることができる。
尚、成分(a)に用いられる粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、本願の組成物以外の処理剤で処理されたものや、未処理の金属酸化物粒子を配合することができる。
【0017】
本発明の成分(b)グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤は成分(a)の成分(c)を含む製剤中における分散性を向上させることができる。
本発明の成分(b)は、主鎖がオルガノポリシロキサンで、親水基として、ポリオキシエチレン等のポリオキシアルキレン基、グリセリン基、ポリグリセリン基から選ばれる1種または、2種以上を有するものであれば、いずれのものも使用することができる。前記親水基の位置は、シリコーン鎖に対して、ペンダント型、ブロック型、末端型等の何れでも良い。更に、オルガノポリシロキサン基や炭化水素基がグラフトしているものであっても良い。
このようなシリコーン系界面活性剤は、具体的には、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、長鎖炭化水素基含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン基含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、グリセリン変性オルガノポリシロキサン、ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、長鎖炭化水素基含有グリセリン変性オルガノポリシロキサン、長鎖炭化水素基含有ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン基含有グリセリン変性オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン基含有ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン等が挙げられ、これより1種又は2種以上を使用することができる。中でも、ポリオキシアルキレン基を有するものが化粧料の経時安定性の点において好ましい。
【0018】
例えば、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン系界面活性剤としては、化粧品表示名称で、PEG−9メチルエーテルジメチコン、PEG−11メチルエーテルジメチコン、PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG−3ジメチコン、PEG−8ジメチコン、PEG−9ジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG−10/1ジメチコン、ジメチコンコポリオール等が挙げられ、市販品としは、KF−6016、KF−6011P、KF−6012、KF−6013、KF−6019、KF−6017P、KF−6028P、KF−6038(いずれも信越化学工業社製)、ABIL EM−90、ABIL EM−97(いずれもエボニック・ゴールドシュミット社製)、SH−3772M、SH3775M(何れも東レ・ダウコーニング社製)SILWET(登録商標) L−7604(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0019】
また、グリセリン基を有するシリコーン系界面活性剤としては、具体的に特開2004-231608号公報に記載されているもの等があげられ、化粧品表示名称で、ポリグリセリル−3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル−3ポリジメチルシロキエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル−3ポリジメチルシロキエチルジメチコン等が挙げらる。市販品としては、KF−6104、KF−6105、KF−6106(いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の成分(b)グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤の配合量は、化粧料全量中0.05〜10%が好ましく、更に0.1〜5%であることが好ましい。この範囲であれば、得られる化粧料の経時安定性を損なうことなく、良好な使用感の化粧料を得ることができる。
【0021】
(c)本発明の化粧料に用いられる揮発性油剤としては、1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、エチルトリシロキサン等が挙げられる。ここで軽質流動イソパラフィンは溶解度の基準として用いたものに限定されず用いることができる。
市販品として、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン
TMF−1.5(信越化学工業社製)、メチルポリシロキサンとしてはKF−96L−2CS(信越化学工業社製)、デカメチルテトラシロキサンとしてはKF−96L−1.5CS(信越化学工業社製)、エチルトリシロキサンとしてはSILSOFT(登録商標) ETS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0022】
成分(c)の揮発性油剤の配合量は特に限定されないが、0.5〜30%が好ましく、更に好ましくは1〜25%である。この範囲であれば、使用性が良く、均一で塗膜強度の高い皮膜が形成される。
【0023】
本発明の水中油型化粧料に、成分(d)分子量200〜2000のポリエチレングリコールを配合することにより、塗布時にぎしぎし感がなく、滑らかでさっぱりとした感触が格段に向上する。成分(d)の分子量200〜2000のポリエチレングリコールは、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、その1種または2種以上を用いることができる。好ましい分子量は200〜1000である。分子量が200未満であると、塗布時にぎしぎし感が残るため使用性に劣り、2000を超えると、滑らかでさっぱりした感触が得られなくなるため好ましくない。本発明において、分子量の測定は、株式会社薬事日報社発行の「医薬部外品原料規格2006」のポリエチレングリコール200の平均分子量試験に記載の方法によって算出する。
成分(d)のポリエチレングリコールは、化粧品原料の表示名称では、エチレングリコールの重合度により、PEG―6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−18、PEG−20、PEG−32、PEG−33、PEG−40、PEG−45等が挙げられる。
成分(d)の配合量は特に限定はされないが、0.1%〜10%が好ましく、更に好ましくは0.5%〜5%である。この範囲であると、塗布時にぎしぎし感がなく、滑らかでさっぱりとした感触が得られる点で好ましい。
【0024】
本発明の水中油型化粧料に、成分(e)シリコーン樹脂粉末を配合することにより、塗布膜の青白さを低減し、滑らかな使用感や付着性を向上することができる。
成分(e)のシリコーン樹脂粉末は、通常化粧料に用いられるものであれば、形状や大きさ、弾性、非弾性等の性質も特に制限されず、例えば、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体、メチルシロキサン網状重合体、架橋型メチルポリシロキサンパウダー等があげられ、その1種または2種以上を用いることができる。
成分(e)のシリコーン樹脂粉末は、具体的には、化粧品原料の表示名称では、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー:市販品として、例えば、KSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−105等(いずれも信越化学工業社製)、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー:市販品として、例えば、KSP−300等(信越化学工業社製)、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー:市販品として、例えばトレフィルE−506S、トレフィルE−508等(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、ポリメチルシルセスキオキサン:市販品として、例えば、トスパール2000B、トスパール120A、トスパール145A、トスパール150KA(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、KMP−590(信越化学工業社製)等、またこれらの水分散体や、油分散体を用いることも可能である。さらに、シリコーン樹脂粉末の表面を酸化チタンや、酸化亜鉛等の無機粉体で被覆した複合粉体を用いることも可能である。
この中でも特に平均粒子径0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜40μmが更に好ましい。この範囲であると使用感の面で本発明の効果がより向上する。また、粒子形状は球形が好ましい。
【0025】
成分(e)の配合量はの配合量は特に限定はされないが、塗布膜の青白さの低減や付着性の向上の点において、0.05%〜10%が好ましく、更に好ましくは0.1%〜5%である。
【0026】
本発明の水中油型化粧料に、成分(f)分子量300〜800の2―エチルヘキサン酸を骨格に持つ液状油を配合することにより、なめらかな使用感や肌への付着性の点が格段に向上する。例えば、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられ、好ましくは、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリットである。
【0027】
成分(f)の配合量は特に限定はされないが、0.1%〜10%が好ましく、更に好ましくは0.5%〜5%である。本発明の化粧料に用いられる成分(f)の液状油は極性を有するため、肌上への浸透性に優れ、なめらかな使用感、さらに肌への付着性を向上させ化粧崩れしにくくするための成分である。分子量は500〜800がより好ましい。
【0028】
前記成分(g)の有機紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;2−{4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル}安息香酸ヘキシル、パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパン−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(別名;オクチルトリアゾン)、2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン、2−2‘−メチレンビス{6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)フェノール}、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸等があげられ、更に、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を配合することができる。
その中でも、成分(c)の揮発性成分が揮発性シリコーンを配合する場合はその相溶性、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好適に使用される。
【0029】
本発明における成分(g)の配合量としては、0.5〜20%が望ましく、更には1〜15%がより好ましい。この範囲であれば、成分(a)の金属酸化物粒子の分散安定化効果が特に発揮され、使用性も良く、期待した紫外線遮蔽効果を得ることができる。
【0030】
本発明の水中油型化粧料における水の配合量は、成分(a)〜(g)の配合量にも依存するが、概ね10〜90%が好ましい
本発明の水中油型化粧料には、上記成分(a)〜(g)の他に、通常、化粧料に使用される成分、成分(b)以外の界面活性剤、成分(a)、(e)以外の粉体、成分(c)、(f)、(g)以外の油剤、油ゲル化剤、成分(d)以外の水溶性高分子やアルコール等の水性成分、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明の水中油型化粧料には、油性成分の乳化あるいは粉体の分散する目的で界面活性剤を用いる。
【0031】
成分(b)以外の界面活性剤としては、通常化粧料に用いられるものであれば、いずれのものも使用することができ、具体的には、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。また、アニオン界面活性剤としては、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。更に、カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。更にまた、両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプの硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型、及びリン脂質等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
なかでも、乳化安定性という点で、ステアリン酸、ラウリン酸のような高級脂肪酸の、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の無機塩及びトリエタノールアミン等の有機塩を好ましいものとすることができる。
【0032】
成分(a)、(e)以外の粉体で、無機粉体としては、通常化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。具体的にはコンジョウ、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等が挙げられ、これらをその使用目的に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
有機粉体や色素としては、例えば、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
成分(c)、(f)、(g)以外の油剤の油剤としては、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリパーム油脂肪酸グリセリル、トリマカダミアナッツ油脂肪酸グリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
油ゲル化剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0035】
成分(d)以外の水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられ、水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0036】
本発明の水中油型化粧料は、必要に応じて他の成分を併用して常法により調製することができる。剤型としては特に限定されないが、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ゲル状、ペースト状等種々の形態にて実施することができる。また、日焼け止め、化粧下地、コントロールカラー、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、B.B.クリーム等が挙げられる。なかでも、日焼け止め化粧料であると本発明の効果が充分に発揮できて好ましい。
【0037】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜9および比較例1〜5:化粧下地(液状)
表1、表2に示す組成の化粧下地を下記の製造方法により調製し、各試料について、経時安定性(化粧料の安定性)、粉体の分散性、化粧持ち(隠蔽力、肌への付着性)、使用感のよさ(滑らかさ、さっぱりした感触)の項目の評価を行い、その結果も併せて表1、表2に示した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
*1:MT−500SA(テイカ社製)を70部にKP−541(信越化学工業社製)を50部を加えて混合し、加熱下、ロールミルにて混練し、イソプロパノールを揮散させることにより得た、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー30%処理水酸化アルミニウム・含水シリカ被覆酸化チタンを粉砕してチップ状にした組成物
*2:タイペークTTO−F−2(石原産業社製)を70部にKP−541(信越化学工業社製)を50部加えて混合し、加熱下、ロールミルにて混練し、イソプロパノールを揮散させることにより得た、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー30%処理水酸化アルミニウム酸化鉄被覆酸化チタンを粉砕してチップ状にした組成物
*3:MT−500SA(テイカ社製)
*4:タイペークTTO−F−2(石原産業社製)
*5:KP−541(信越化学工業社製)
*6:SMT−500SAS(テイカ社製)
*7:KSP−100(信越化学工業社製)
*8:KF−6019(信越化学工業社製)
*9:KF−6105(信越化学工業社製)
*10:KF−6012(信越化学工業社製)
*11:ニッコールHCO−10(日光ケミカルズ社製)
【0043】
(製造方法)
A:成分1〜10を三本ローラーで均一に分散する。
B:成分11〜23を75℃に加温して均一に溶解する。
C:AとBを均一に混合する。
D:成分24〜31を75℃に加温して均一に混合する。
E:Dに75℃に加温したCを加え乳化し、室温まで冷却を行う。
F:Eを容器に充填し、化粧下地を得る。
【0044】
<経時安定性評価>
各試料について40℃で一ヶ月静置させ、分離及び変色を観察し、経時安定性の評価を下記4段階判定基準により判定した。
【0045】
イ.経時安定性
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:分離及び変色が無い。
○:分離又は変色が多少あるが使用に支障がない。
△:分離又は変色が少し有り使用に支障がある。
×:分離又は変色が有る。
【0046】
<粉体の分散性評価>
各試料についてガラス板に厚さ25μmのアプリケーターを用いて薄膜を引き、粉体の分散状態を観察し、粉体の凝集状態により、下記4段階判定基準により判定した。
ロ.粉体の分散性
4段階判定基準
(判定):(観察結果)
◎:粉体の凝集が全く無い
○:粉体の凝集がほとんど無い
△:小さな凝集が有る
×:大きな凝集が有る
【0047】
<官能評価>
各試料について専門パネル20名により、下記評価項目について評価した。ハについては塗布時の感触、ロについては塗布後3時間経過した時の状態を観察し、下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(官能評価項目)
ハ.化粧持ち(隠ぺい力、肌への付着性)
ニ.使用感のよさ(滑らかさ、さっぱりした感触)
【0048】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える
○:3点を超える5点以下
△:2点を超える3点以下
×:2点以下
【0049】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜9は、比較例に比べ、成分(a)の分散性が良好で、肌上においてきれいな化粧膜を形成することができた。また、微粒子酸化チタンおよび酸化チタンの分散性、更には、無機顔料の分散性が優れていることにより、乳化安定性が向上した品質を実現し、化粧が崩れにくく、化粧持ちに優れていた。成分(c)を加えることによって、経時で肌上から揮発していくことから使用感においても優れた官能を得ることができた。特に実施例1および5は、乳化安定性において非常に優れており、使用感が優れ、肌との親和性がより向上し、化粧持ち効果にも非常に優れたものとなった。
一方、成分(a)において微粒子酸化チタンをアクリル−シリコーングラフトポリマー処理していない比較例1〜3および5は、実施例に比べ乳化安定性、化粧持ちそして使用感の良さという点で劣り、特に分散性が劣っているため化粧持ち効果において実施例と比較し、大きな違いがあった。
成分(b)の代わりに、水添ヒマシ油系の活性剤を用いた比較例4では成分(a)の分散性に劣り経時で分離が見られ、化粧膜の均一性が劣っているため、乳化安定性、化粧持ちそして使用感において実施例より劣るものであった。
【0050】
<紫外線防御効果>
実施例1および比較例1,2,4の下地化粧料について、紫外線防御効果について下記の方法を用いて測定した。
(測定方法)
5cm×8cm四方のサージカルテープ(住友3M社製 型番:1526)上に各試料40mgを均一に塗布し、SPF Analyzer System UV−1000S(Labsphere社製)にて測定し、1サンプル15点測定(N=3)の平均値により、UVB領域である300nmの透過率を算出し紫外線防御効果の比較をした。
全てのサンプルで紫外線防御効果は得られたが、比較例に比べ、実施例1の透過率はかなり低いものであった。比較例間ではあまり優位性は無いが、透過率は、比較例4<比較例1<比較例2の順に高いものであった。
【0051】
(実施例10) リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.リン脂質・コレステロール混合物*12 1.5
2.べへニルアルコール 0.5
3.1,3−ブチレングリコール 13
4.ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 9
5.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1
6.PEG−10ジメチコン 0.2
7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル 5
8.2−{4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル}
安息香酸ヘキシル 1
9.ジメチルポリシロキサン(6mm/s:25℃) 3
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 5
11.イソドデカン 3
12.アクリル−シリコーングラフト共重合体処理微粒子酸化チタン*1 5
13.アクリル−シリコーングラフト共重合体処理微粒子酸化亜鉛*13 5
14.アクリル−シリコーングラフト共重合体処理微粒子ベンガラ*14 3
15.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー 1
16.ポリメチルシルセスキオキサン*15 0.1
17.キサンタンガム 0.02
18.(アクリル/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー 0.2
19.ジプロピレングリコール 2
20.ジパルミチン酸アルコルビル 0.1
21.精製水 残量
22.ジプロピレングリコール 2
23.トリエタノールアミン 0.6
24.セリサイト 4
25.酸化チタン 15
26.シリカ・酸化チタン処理マイカ*16 2
27.香料 適量
*12:ベイシスCL−20(日清オイリオ社製)
*13:酸化亜鉛(平均粒径20nm)を70部にKP−545(信越化学工業社製)を100部を加えて混合し、加熱下、ロールミルにて混練し、デカメチルシクロペンタシロキサンを揮散させることにより得た、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー30%処理酸化亜鉛を粉砕してチップ状にした組成物
*14:ベンガラ(平均粒径15nm)を70部にKP−541(信越化学工業社製)を50部を加えて混合し、加熱下、ロールミルにて混練し、イソプロパノールを揮散させることにより得た、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー30%処理ベンガラを粉砕してチップ状にした組成物
*15:トスパール150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*16:TIMIRON SPLENDID RED(メルク社製)
【0052】
(製造方法)
A:成分1〜3を75℃に加温して均一に溶解する。
B:成分4〜16を均一に混合する。
C:AにBを加え、均一に混合する。
D:成分17〜23を均一に混合し、ゲルを調製する。
E:CとDを75℃に加温し、乳化する。
F:Eを50℃まで冷却する。
G:Fに成分24〜27を加え、均一に混合する。
H:Gを35℃まで冷却し、容器に充填後、リキッドファンデーションを得る。
実施例10は経時安定性、粉体の分散性、化粧持ち、使用感のよさ全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。
【0053】
(実施例11) コントロールカラー
(成分) (%)
1.1,3−ブチレングリコール 7
2.トリセテアレス−4リン酸 0.05
3.ポリソルベート−80 1
4.酸化チタン 5
5.酸化鉄 0.1
6.トリエタノールアミン 0.95
7.精製水 残量
8.ステアリン酸 1
9.セトステアリルアルコール 0.5
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 5
11.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
12.ジメチルポリシロキサン(20mm/s:25℃) 2
13.2−エチルヘキサン酸セチル 5
14.テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1
15.アクリル−シリコーングラフト共重合体処理微粒子酸化チタン*1 2.5
16.PEG−9メチルエーテルジメチコン*17 0.5
17.2,4−ビス[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}
−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン 0.5
18.カルボキシビニルポリマー 0.26
19.キサンタンガム 0.02
20.フェノキシエタノール 0.1
21.香料 適量
22.PEG−8 1
23.2−2‘−メチレンビス{6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)
−4−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)フェノール} 3
24.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー 0.1
25.ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
*17:KSP300(信越化学工業社製)
【0054】
(製造方法)
A:成分1〜5を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分6〜7を均一に溶解する。
C:成分8〜17を75℃にて均一に分散する。
D:BにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを60℃に冷却する。
F:Eに成分18〜19を加え、均一に混合する。
G:Fを40℃に冷却する。
H:Gに成分20〜25を加え、均一に混合する。
I:HにAを添加し、均一に混合する。
J:Iを容器充填後、コントロールカラーを得る。
実施例11は経時安定性、粉体の分散性、化粧持ち、使用感のよさ全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。
【0055】
(実施例12) B.B.クリーム
(成分) (%)
1.PEG−10水添ヒマシ油 0.05
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.03
3.1,3−ブチレングリコール 0.5
4.酸化チタン 6
5.タルク 0.2
6.酸化鉄 0.1
7.精製水 残量
8.ジプロピレングリコール 9
9.トリエタノールアミン 0.35
10.ステアリン酸 1
11.ベヘニルアルコール 1
12.ジメチルポリシロキサン(6mm/s:25℃) 1
13.流動パラフィン 1
14.イソノナン酸イソトリデシル 4
15.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
16.ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1
17.アクリル−シリコーングラフトポリマー処理微粒子酸化チタン*1 3
18.PEG−9ジメチコン*8 0.4
19.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
20.2−{4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル}
安息香酸ヘキシル 1
21.カルボキシビニルポリマー 0.3
22.(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)
コポリマー*18 0.7
23.フェノキシエタノール 0.1
24.香料 適量
25.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/
シルセスキオキサン)クロスポリマー*17 0.3
*18:SIMULGEL EG(セピック社製)
【0056】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分7〜9を均一に溶解する。
C:成分10〜20を75℃にて均一に分散する。
D:BにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを50℃に冷却する。
F:Eに成分21〜22を加え、均一に混合する。
G:Fを40℃に冷却する。
H:Gに成分23〜25を加え、均一に混合する。
I:HにAを添加し、均一に混合する。
J:Iを容器充填後、B.B.クリームを得る。
実施例12は経時安定性、粉体の分散性、化粧持ち、使用感のよさ全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)アクリル−シリコーン系グラフト共重合体中に粒径5nm〜150nmの金属酸化物粒子を混練してなる組成物
(b)グリセリン鎖及び/又はポリオキシアルキレン鎖を有するシリコーン系界面活性剤
(c)揮発性油剤
を配合することを特徴とする水中油型化粧料。
【請求項2】
前記成分(a)における混練が高剪断力条件下に行われるものであることを特徴とする請求項1に記載の水中油型化粧料。
【請求項3】
前記成分(a)の組成物中の金属酸化物粒子が酸化チタン及び/又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中油型化粧料。
【請求項4】
前記成分(a)の組成物中の金属酸化物粒子が、無機ケイ酸化合物及び/又は無機アルミニウム化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水中油型化粧料。
【請求項5】
更に、成分(d)として、分子量200〜2000のポリエチレングリコールを配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の水中油型化粧料。
【請求項6】
更に、成分(e)として、シリコーン樹脂粉末を配合することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の水中油型化粧料。
【請求項7】
更に、成分(f)として、分子量300〜2000の2−エチルヘキサン酸を骨格に持つ液状油を配合することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の水中油型化粧料。
【請求項8】
更に、成分(g)として、有機紫外線吸収剤を配合することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水中油型化粧料。
【請求項9】
前記水中油型化粧料が、日焼け止め化粧料であることを特徴とする請求項1〜8に記載の水中油型化粧料。

【公開番号】特開2013−95705(P2013−95705A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240216(P2011−240216)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】