説明

水中油型気泡含有化粧料及びその製造方法

【課題】肌のしなやかさを付与する油剤を配合しながらも、化粧料内部にキメ細やかな気泡を安定に且つ均一に分散含有させることができ、気泡の特性である、感触の柔らかさ、ふんわりとした軽さ、指取れの良さ、肌に塗布したときの軽快なのび等を充分に活かし、且つ指取れ等の良好な使用性に優れた水中油型気泡含有化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)ないし(E)
(A)ネイティブジェランガムおよび寒天より選ばれる高分子
(B)流動性ゲル形成水溶性高分子
(C)リン脂質
(D)アニオン性界面活性剤
(E)油性成分
(F)水性成分
を含有し、微細な気泡を包含する水中油型気泡含有化粧料並びにその製造方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料内部に気泡が安定的に分散されている水中油型気泡含有化粧料に関し、更に詳細には、気泡の安定性に優れ、手に取ったときの軽さや、肌に塗布した際の使用感等において、従来にない新規な感触を有する水中油型気泡含有化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気泡を含有した製剤は、気泡を含有しない製剤と比較してソフトなテクスチャーを持つため、このような製剤を利用した化粧料の開発が進められている。このような気泡を含有する化粧料(以下、「気泡含有化粧料」と略称することがある)としては、特定油剤を配合し、気体をオーバーランさせて処理したホイップド化粧料(特許文献1)や、界面活性剤の存在下で起泡化したゲル状パック料(特許文献2)、20μ未満の気泡を安定に配合した化粧品組成物(特許文献3)、気泡をネイティブジェランガムによって安定化した化粧料(特許文献4)、高級脂肪酸石鹸の存在下で気泡化したホイップドO/W乳化型化粧料(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
しかしながら、従来の気泡含有化粧料のうち、油剤の配合がないものは、塗布中は泡の滑らかさによりすべりが良いが、徐々に水分が蒸発するにつれて、なめらかさが持続せず、すべりが悪くなってしまったり、塗布後の肌のしっとり感が得られないという欠点があった。
【0004】
これに対し、油剤を配合すると上記欠点は生じないが、表面張力の低下等で気−液界面を壊し、気泡を作りにくくなるという問題があった。
【0005】
化粧料中に油剤を配合する手段として、エマルションの利用が知られているが、高融点ワックスを配合してホイップ処理した油中水型のホイップド化粧料では、使用時の感触が重くなり、気泡が入っていても、その特徴を使用感に反映し難く、せっかく気泡を含有しているにも関わらず、その特性が発揮されないという問題を有していた。更に、感触・使用感を優先し、高融点ワックスの配合量を低下させると、40℃以上の高温域における泡の安定性が低下するために、肌のしなやかさを付与する油剤等の配合が困難であった。
【0006】
また、高級脂肪酸石鹸の存在下で気泡化したホイップドO/W乳化型化粧料では、キメの細かい泡質になるか不明であり、肌に塗布した際の肌のしなやかさを得ることも難しかった。
【0007】
さらに、実際に商品化されている気泡含有化粧料としては、エアゾールのように使用時に液体化粧料に気泡を巻き込ませる機構のもの等が多く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭63−23962号公報
【特許文献2】特開平5−32523号公報
【特許文献3】特表平8−503936号公報
【特許文献4】特開2000−355517号公報
【特許文献5】特開2002−145720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、肌のしなやかさを付与する油剤を配合しながらも、化粧料内部にキメ細やかな気泡を安定に且つ均一に分散含有させることができ、気泡の特性である、感触の柔らかさ、ふんわりとした軽さ、指取れの良さ、肌に塗布したときの軽快なのび等を充分に活かし、且つ指取れ等の良好な使用性に優れた水中油型気泡含有化粧料を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討した結果、油性成分および水性成分に、特定の界面活性剤の組み合わせおよび特定の高分子の組み合わせを加え、これらで気泡を発生させ、かつ乳化して水中油型乳化物とすれば、化粧料内部に気泡が安定に分散されている水中油型気泡含有化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、次の成分(A)ないし(F)
(A)ネイティブジェランガムおよび寒天より選ばれる一種以上の高分子
(B)流動性ゲル形成水溶性高分子
(C)リン脂質
(D)アニオン性界面活性剤
(E)油性成分
(F)水性成分
を含有し、微細な気泡を包含することを特徴とする水中油型気泡含有化粧料である。
【0012】
また本発明は、上記の成分(A)および(B)を含有する高分子成分、
上記の成分(C)および(D)を含有する乳化成分、並びに
上記成分(E)および成分(F)を使用し、これらを乳化工程および気泡分散工程を有する処理工程に付すことを特徴とする水中油型気泡含有化粧料の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、肌のしなやかさを付与する油剤や、必要により更にメイクアップ効果を有する粉体を配合しながらも、化粧料内部にキメ細やかな気泡を、一定期間にわたり安定に且つ均一に分散含有させ、指取れが良く、かつ気泡の特性である、感触の柔らかさ、ふんわりとした軽さ、指取れの良さ、肌に塗布したときの軽快なのび等を充分に活かした使用性に優れた気泡含有化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水中油型気泡含有化粧料は、油性成分(成分(E))、水性成分(成分(F))および界面活性剤成分から形成される化粧料において、更に、高分子成分として、ネイティブジェランガムまたは寒天より選ばれる高分子(成分(A))および流動性ゲル形成水溶性高分子(成分(B))を組みあわせて用い、更に界面活性剤成分として、リン脂質(成分(C))およびアニオン性界面活性剤(成分(D))を組みあわせて用いることにより製造され、微細な気泡をその中に含むものである。このうち、成分(A)と成分(B)の高分子成分は、気泡安定化剤として作用するものであり、成分(C)と成分(D)の界面活性剤成分は、気泡化剤として作用するものである。
【0015】
本発明の成分(A)である、ネイティブジェランガムまたは寒天より選ばれる1種以上の高分子のうち、ネイティブジェランガムは、化粧料中に気泡を安定に保持するために用いられるものであり、例えば微生物であるシュードモナス・エロディア(Pseudomonas erodea)を発酵させたときに菌体外に産出する多糖類を分離精製したガムであり、例えば下式(1)で示される糖の繰り返し単位を有する天然の多糖類である。このネイティブシェランガムとしては、ケルコゲルLT100(ケルコ社製)等の市販品を利用することもできる。
【0016】
【化1】

【0017】
また、成分(A)のうち寒天は、公知の天然高分子であり、その産地、起源等は問わず何れのものも使用可能である。また、この寒天は、ゼリー強度を調整するために、酸処理して分子を切断させた、いわゆる低強度寒天(特開平5−317008号公報に開示)を用いても良い。
【0018】
一方、成分(B)である、流動性ゲル形成水溶性高分子(以下、「水溶性高分子」と略称する)は、指取れ・感触改良等を目的として配合されるものである。
【0019】
この成分(B)の水溶性高分子は、高分子化合物を1%水溶液としたとき、室温(25℃)において流動性をもつものを意味する。この水溶性高分子(B)の具体例としては、カラギーナン、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、クインスシードガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、本発明では、これらの一種又は二種以上用いることができる。このうち、カラギーナン、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体およびカルボキシビニルポリマーが、効果の面でより好ましい。
【0020】
上記水溶性高分子の市販品の例としては、カラギーナンJ(旭東化学産業社製)、GRINSTED XANTHAN CLEAR80(DANISCO社製)、CARBOPOL940、同1342(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS A社製)、ペミュレンTR−1、同TR−2(NOVEON社製)GRISTED XANRHAN CLEAR80(DANISCO社製)等が挙げられる。
【0021】
高分子成分としてのネイティブジェランガムまたは寒天(成分(A))と、水溶性高分子(成分(B))の配合比はとくに限定されるものではないが、好ましくは2:1〜2:5、より好ましくは1:1〜2:3である。これらの範囲外では硬すぎて指どれが悪くなることがあり、化粧料としての使用性が低下することがある。
【0022】
また、本発明の水中油型気泡含有化粧料全体中での、成分(A)の含有量はとくに限定されるものではないが、好ましくは0.05〜3質量%(以下単に、「%」で示す)、より好ましくは0.1〜2%である。0.05%以下では泡を保持することが充分でないことがあり、3%を超えて配合すると硬くなりすぎて指取れが悪くなることがある。また、特に、ネイティブジェランガムは、1%を超えて配合すると硬くなりすぎるので、これ以下にすることが好ましい、
【0023】
本発明の水中油型気泡含有化粧料全体中での水溶性高分子(成分(B))の含有量はとくに限定されるものではないが、好ましくは0.05〜1%、より好ましくは0.1〜0.5%である。配合量が0.05%以下では硬すぎて指取れが悪くなることがあり、1%を超えて配合すると泡を保持することが充分でないことがある。
【0024】
本発明の水中油型気泡含有化粧料において使用されるリン脂質(成分(C))およびアニオン性界面活性剤(成分(D))の組み合わせが界面活性剤成分として構成される。
【0025】
このうちリン脂質は、両性界面活性剤であり、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質などが挙げられ、もちろんこれらの類似物あるいはこれらのものを含有する組成物、すなわち大豆レシチン、卵黄レシチン、コーンレシチンあるいはそれらの水素添加物等も挙げられる。このリン脂質のうち、好ましいものとしては、大豆レシチンを挙げることができ、更にその水素添加物が好ましい。市販品としては、レシノールS-10E、レシノールS−10EZ(いずれも日光ケミカル社製)、HSL−70(ワイエムシィ社製)、ベイシスLS−60HR(日清オイリオグループ社製)、レシチンCLO(J−オイルミルズ社製)、卵黄レシチンPL−100P(キューピー社製)等が挙げられる。
【0026】
また、リン脂質にはコレステロール及び又はフィトステロールをあらかじめ混合されたものとして用いることも可能であり、市販品としてPRESOME CS2−101(日本精化株式会社)、PHYTOPRESOME(日本精化株式会社)、PYTOCOMPO−PP(日本精化株式会社)等が挙げられる。
【0027】
一方、アニオン性界面活性剤(成分(D))は、泡質の向上、分散剤、感触調整剤等の目的で用いられるものである。このアニオン性界面活性剤としては、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等が挙げられる。このうち、良質な泡を形成するという点で、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等のアニオン性アミノ酸系活性剤を利用することが好ましい。このN−アシルアミノ酸塩や、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩において、そのアシル基およびアルキル基は、炭素数1〜22であることが好ましい。
【0028】
上記リン脂質(成分(C))と、アニオン性界面活性剤(成分(D))の配合割合は、その重量比で、1:10〜50:1であり、更に、10:1〜5:1が泡安定性の点から好ましい。これら成分の全体に対する合計配合量は、好ましくは0.1〜15.0%、より好ましくは0.5〜10%である。これらの範囲外では、泡立ちが悪くなり経時での泡安定性も悪くなることがある。
【0029】
また、本発明の水中油型気泡含有化粧料全体中でのリン脂質(成分(C))の含有量は、0.1〜15%が好ましく、0.5〜10%がより好ましい。含有量が0.1%より少ないと十分に泡立たず、また、15%を超えて配合すると、高温で基剤の匂いが劣化するほか、べたつきが感じられことがあり、肌への安全性も考慮するとあまり好ましくない。
【0030】
一方、本発明の水中油型気泡含有化粧料全体中でのアニオン性界面活性剤(成分(D))の含有量は、好ましくは0.01〜1.0%、より好ましくは0.05〜0.3%である。これらの範囲外では、泡質が粗くなり滑らかな伸び広がりが悪くなることがある。
【0031】
本発明の水中油型気泡含有化粧料において使用される油性成分(成分(E))としては、通常化粧料に使用される原料であれば特に限定されず、用いることができる。例えば、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、高級アルコール類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の植物油類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ、モクロウ等のロウ類、モンタンワックス、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデミアンナッツ脂肪酸フィトステリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、パラアミノ安息香酸エチル、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、オキシベンゾン等の油溶性紫外線吸収剤類等が挙げられる。これらの油剤は必要に応じて一種、又は二種以上を用いることができる。
【0032】
なお、これらの油性成分(成分(E))の中で、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサンを配合することは、少量であれば可能であるが、これらは一般的に消泡効果があるため、多量配合は好ましくない。
【0033】
成分(E)の配合量は、化粧料中に好まくは0.5〜20%、より好ましくは1〜10%である。1%より少ないと肌にしなやかさを与える効果が充分ではなくなり、10%以上では泡立ちが悪くなることがある。
【0034】
また本発明の水中油型気泡含有化粧料において使用される水性成分(成分(F))としては、脱イオン水、蒸留水、精製水、温泉水や、ローズ水、ラベンダー水等の植物由来の水蒸気蒸留水等のいわゆる水の他、水に可溶で溶媒となりうるものであり、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類が挙げられる。
【0035】
この水性成分(成分(F))は、前記した成分(A)ないし(E)(および添加する場合は後記粉体)のバランス量が使用される。水性成分の配合比はとくに限定されるものではないが、好ましくは10〜80%、より好ましくは40〜60%である。これらの範囲外では、泡立ちが悪くなり経時での泡安定性も悪くなることがある。
【0036】
本発明の水中油型気泡含有化粧料においては、上記成分の他に、必要に応じて、着色剤、紫外線遮蔽剤、賦形剤、感触調整剤等の目的で粉体(成分(G))を配合することができる。この成分(G)としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が利用される。
【0037】
具体的な成分(G)の例としては、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられる。これらは一種又は二種以上を用いることができ、また、必要によってフッ素化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。
【0038】
本発明の水中油型気泡含有化粧料において、配合させる場合の粉体の量は、特に限定されないが、化粧料全体に対し、1〜30%が好ましい。更に好ましくは、2〜15%でありこの範囲であると、化粧料の感触も滑らかさや伸び広がりの良さを出すことができ、さらにはメイクアップ効果も期待できる点で好ましい。
【0039】
本発明の水中油型気泡含有化粧料においては、上記必須成分(A)〜(G)の他に、成分(C)、(D)以外の界面活性剤、糖類、成分(A)、(B)以外の水溶性高分子、成分(E)以外の紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、香料、清涼剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0040】
本発明の水中油型気泡含有化粧料の製造は、上記各成分特に限定されないが、成分(A)ないし(F)および必要により成分(G)を配合し、攪拌等の手段で化粧料中に気泡を分散させ、乳化させる以外は常法に従い行うことができる。具体的な、本発明の水中油型気泡含有化粧料の製造法の一例としては、成分(A)および(B)を含有する高分子成分と成分(C)および(D)を含有する界面活性剤成分とを成分(F)を含有する水相に加え、これを50〜70℃で加温溶解し、気泡を分散させたものに、成分(E)を含有する油相を加え、これらを乳化する方法を挙げることができる。
【0041】
また、別の製造法の例としては、次の(1)ないし(4)の工程よりなる方法を挙げることができる。この際、成分(G)の粉体は、水相あるいは油相に添加しておくことができる。
(1)成分(A)、成分(B)および一部の成分(F)を含む水相を50〜
70℃で加温溶解する(水溶性高分子相)。
(2)これとは別に、成分(C)、成分(D)および一部の成分(F)を含む
水相を70〜80℃で加温溶解し、常圧で攪拌して泡立てる(ホイッピン
グ相)。
(3)成分(C)および成分(E)を含む油相を60℃〜90℃に加温し、こ
れに60℃〜90℃に加熱した残部の成分(F)を加え、乳化する(乳化
相)。
(4)上記、水溶性高分子相、ホイッピング相および乳化相を50℃〜70℃
で加温混合して、冷却する。
【0042】
上記のようにして製造される、本発明の水中油型気泡含有化粧料中の気泡の量は、気泡内包率として下記式で求められる。すなわち、同一処方の化粧料を、上記のような気泡を含有させる処理をしないものと、気泡を含有させる処理をしたものを、同一容積の容器に入れ質量を測定し求められる。
【0043】
気泡内包率(%)=((A―B)/A)×100
A:気泡含有処理をしない化粧料の質量
B:気泡含有処理をした化粧料の質量
【0044】
上記式に基づき求められる本発明の水中油型気泡含有化粧料中の気泡の径は、1〜5000μmの範囲が好ましく、平均径が10〜100μmの範囲であれば安定で良好な感触なものが得られ、より好ましい。またその気泡内包率は、5〜70%の範囲が好ましく、15〜50%の範囲がより好ましい。この範囲であれば、ふわりとした感触で指にとれ、のびが軽く、肌等に対する気泡独特の良好な感触のものが得られる。
【0045】
以上説明した本発明の水中油型気泡含有化粧料は、エアゾールのように使用時に液体化粧料に気泡を巻き込ませる機構のものではなく、気泡を含んだ状態で容器に充填され、その状態が安定に保持されるものである。従って、容器に充填された化粧料中に分散させた気泡は、そのままの状態で安定的に保たれる。すなわち、化粧料が流通、保管される通常の温度、圧力、振動、衝撃等の条件下で、化粧料中の気泡が系外へ放出されることによりその数が著しく減少したり、気泡同士が融合して気泡の大きさにばらつきが生じたりすることなく、ほぼ一定の気泡数と大きさが維持される。また経時的にも、通常の流通、保管および使用期間において安定的な分散状態が維持される。
【0046】
従って、本発明の水中油型気泡含有化粧料は、気泡の特性である、感触の柔らかさ、ふんわりとした軽さ、指取れの良さ、肌に塗布したときの軽快なのび等を有するため、スキンケア化粧料、マッサージ用化粧料、頭皮用化粧料等として使用することができる。また、組成中に粉体を加えることもできるため、下地、ファンデーション、アイカラー、チーク、コンシーラー等のメイクアップ化粧料や日焼け止め等の粉体含有化粧料として使用することもできる。
【0047】
本発明の水中油型気泡含有化粧料において、化粧料内部にキメ細やかな気泡を安定に且つ均一に分散含有させることができ、気泡の特性を充分に活かし、且つ指取れ等の良好な使用性に優れたものとすることができる理由は、次の通りと判断される。
【0048】
すなわち、油性成分(成分(E))と水性成分(成分(F))により、肌にしなやかさを与えるO/W型乳化物で、リン脂質(成分(C))と、アニオン系活性剤(成分(D))を組合せた界面活性剤成分(気泡化剤ともいえる)の作用で、攪拌等により、キメ細かい気泡を発生させる。次いで発生したキメ細かい気泡を、比較的固い流動性のないゲルを形成する高分子(成分(A))と、比較的柔らかい流動性のあるゲルを形成する水溶性高分子(成分(B))を組み合わせた高分子成分(気泡安定化剤)で安定に系内に保持させることで、ゲル中に保つことで、容器に充填した化粧料内部に気泡が安定に分散されている水中油型気泡含有化粧料が得られるものである。
【0049】
このような、本発明の特性、すなわち高い気泡内包率で、微細な気泡を少なくとも充填した容器中で、例えば、加速試験40℃で3ヶ月の期間維持しうるという特性は、今までにない新しいものである。
【実施例】
【0050】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。
【0051】
実 施 例 1
水中油型気泡含有ファンデーション:
表1に示す組成および以下に示す製造方法に従って、本発明品1〜8及び比較品1〜5の水中油型気泡含有ファンデーションを調製した。得られたファンデーションについて、気泡内包性、泡質のキメ細かさ、気泡安定性(泡の抜け)および官能評価(指取れ時の感触、ふんわりとした軽い感触、のびの軽さ、使用後の肌のしなやかさ)を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0052】
【表1】

*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:伊那寒天UP−37CS(伊那食品工業社製)
*3:CARBOPOL940
(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS A社製)
*4:ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
*5:ニッコールレシノール S−10EZ(日光ケミカルズ社製)
*6:SH 200C FLUID 6CS(東レ・ダウコーニング社製)
【0053】
< 製造方法 >
A:1〜7と、8および13の一部(8の約20%、13の約30%)と、
14〜19と、25の一部(約60%)を60℃で加温混合する。
B:8の一部(約75%)と、9〜12と、13の一部(約55%)とを、
75℃で加温溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に25の一部(約25%)
を75℃で加え、高速で攪拌して泡立てる。
C:20〜24と、8および13の残部と、25の残部を70℃に加温し乳
化し冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する。
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0054】
< 製造直後の気泡内包性 >
本発明品1〜8及び比較品1〜6の水中油型気泡含有ファンデーションについて、下記式により気泡内包率を求めた。得られた気泡内包率を基に、下記評価基準によって製造直後の気泡内包性を評価した。なお、気泡含有処理をしない化粧料(A)は、測定対象化粧料(B)と同一組成で、工程Bに代え、下記の非発泡工程B'を採用したものを用い、測定化粧料と同一容積の容器に入れ質量を測定した。
【0055】
気泡内包率(%)=((A―B)/A)×100
A:気泡含有処理をしない化粧料の質量
B:気泡含有処理をした化粧料の質量
【0056】
非発泡工程B’:8の一部と9〜11と、12〜13の一部を75℃で加温溶解し、分散させたのち、脱泡する。
【0057】
評 価 気泡内包率
◎ … 気泡内包率が35%以上
○ … 気泡内包率が15%以上35%未満
△ … 気泡内包率が5%以上15%未満
× … 気泡内包率が5%未満
【0058】
<泡質のキメ細かさ>
本発明品1〜8および比較品1〜6の水中油型気泡含有ファンデーションについて、これを手に取り、その泡質を目視により下記基準に従って評価した。
評 価 内 容
◎ … 泡が非常にキメ細かく、均一である
○ … 泡は細かく、ほぼ均一である
△ … 泡はある程度細かいが、不均一である
× … 泡が粗く、かなり不均一である
【0059】
< 気泡安定性 >
本発明品1〜8及び比較品1〜6の水中油型気泡含有ファンデーションを、容器に充填後、室温(25℃)及び40℃の恒温槽中で、1ヶ月保存し、40℃保存品について、室温保存品と比較したその泡の抜けを目視により観察した。この泡の抜けを下記基準に従って評価し、気泡安定性とした。
【0060】
評 価 内 容
◎ … 変化はまったく見られない
○ … 泡の抜けがほとんど見られない
△ … 泡の抜けが見られる
× … 泡の抜けが顕著に見られる
【0061】
< 官能評価 >
本発明品1〜8及び比較品1〜6の水中油型気泡含有ファンデーションについて、女性専門パネル10名により、塗布時の指取れの良さ、指取れ時の感触、のびの軽さ、使用後の肌のしなやかさについて、感じる(+)か、感じない(−)か、評価してもらい、更に感じる(+)とした人数を以下の基準に従って判定を行った。
【0062】
( 評価項目 )
イ.塗布時の指取れの良さ:
+ … 指にとる時にふわりとした化粧料の取れが良い
− … 指に取るときの化粧料の取れが悪い
ロ.指取れ時の感触:
+ … 指にとる時にふわりとした軽い感触を感じる
− … 指にとる時にふわりとした軽い感触を感じない
ハ.のびの軽さ:
+ … 肌上で伸ばす時にのびが軽いと感じる
− … 肌上で伸ばす時にのびが軽いと感じない
ニ.使用後の肌のしなやかさ:
+ … 使用後に肌のしなやかさを感じる
− … 使用後に肌のしなやかさを感じない
【0063】
( 判定基準 )
評 価 内 容
◎ … 9名以上が+と感じる
○ … 7〜8名が+と感じる
△ … 4〜6名が+と感じる
× … 3名以下が+と感じる
【0064】
表1より明らかなように、本発明品1〜8の水中油型気泡含有ファンデーションは、いずれも、気泡の安定性が良く、塗布時の指取れや、その時の感触も良いものであり、また使用時ののびも軽く、使用後の肌にしなやかさを付与する効果に優れたものであった。
【0065】
一方、成分(B)を含有しない比較品1は、気泡は安定化するものの、塗布時の指取れが悪く、指取れ時の感触やのびの良さの点で劣るものであった。また、成分(A)を含有しない比較品2は、指取れやその時の感触は良く、また使用時ののびの良さに優れるものであったが、気泡安定性を保てるものではなかった。更に、成分(D)を含有しない比較品3は、泡のキメ細かさがなくなり、指取れ、その時の感触および使用時ののびの良さの全てにおいて劣るものであった。また成分(E)を含有しない比較例4では指取れがやや悪く、後肌のしなやかさに劣るものであった。更に、成分(B)を、成分(A)で置き換えた比較例5は、比較例2に比べ、更に系が固くなってしまい、非常に指取れが悪く劣るものであった。泡の抜けに関しては、製造直後より気泡内包率が低いため、変化は見られなかった。更にまた、成分(D)のかわりに、ノニオン性界面活性剤を含有する比較例6は、気泡の分散が良くないため比較例3と変わらないものであった。
【0066】
実 施 例 2
下地化粧料:
下記の組成および製法により、下地化粧料を調製した。
【0067】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.カラギーナン 0.2
3.リン脂質*2 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 13
7.酸化チタン 2
8.ナイロンー12*3
9.ラウリン酸・酸化亜鉛被覆ベンガラ処理 1
酸化チタン被覆セリサイト *4
10.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
11.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 1
12.スクワラン 2
13.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
14.メチルポリシロキサン 0.2
15.香料 0.1
16.メチルパラベン 0.2
17.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:ニッコールレシノール S−10EZ(日光ケミカルズ社製)
*3:東レナイロンSP−500(東レ社製)
*4:テイカパールLZ−SPS−LTF(テイカ社製)
【0068】
( 製 法 )
A:1、2、6〜11と、3、5、17の一部(3の約20%、5の約30%、
17の約60%)を60℃で加温溶解する。
B:3の一部(約75%)と、4と、5の一部(約55%)を75℃で加温溶
解し、高速で攪拌して泡立て、更に17の一部(約25%)を75℃で加え、
高速で攪拌して泡立てる。
C:12〜16と、3および5の残部と、17の残部を70℃に加温し乳化し
冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0069】
( 結 果 )
得られた気泡含有下地は、気泡内包率45%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れた下地化粧料であった。
【0070】
実 施 例 3
日焼け止め:
下記の組成および製法により、日焼け止め化粧料を調製した。
【0071】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.キサンタンガム*2 0.2
3.リン脂質*3 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 13
7.酸化チタン 8
8.酸化亜鉛 1
9.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
10.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
11.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシ 1
フェニルトリアジン
12.オクチルトリアゾン 1
13.香料 0.1
14.メチルパラベン 0.2
15.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:GRISTED XANRHAN CLEAR80
(DANISCO社製)
*3:ニッコールレシノールS−10(日光ケミカルズ社製)
【0072】
( 製 法 )
A:1、2、6〜9と、3、5、15の一部(3は約20%、5は約30%、
15は約60%)を60℃で加温溶解する。
B:3の一部(約75%)と、4と、5の一部(約55%)を75℃で加温
溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に15の一部(約25%)を75℃で
加え、高速で攪拌して泡立てる。
C:10〜14と、3および5の残部と、15の残部を70℃に加温し乳化
冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する。
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0073】
( 結 果 )
得られた気泡含有日焼け止めは、気泡内包率40%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れた日焼け止めであった。
【0074】
実 施 例 4
頬 紅:
下記の組成および製法により、頬紅化粧料を調製した。
【0075】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.寒天*1 0.5
2.カラギーナン 0.3
3.リン脂質*2 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 13
7.酸化チタン 10
8.黄色酸化鉄 0.8
9.ベンガラ 0.5
10.黒色酸化鉄 0.05
11.窒化ホウ素 3
12.タルク 5
13.ポリメタクリル酸メチル*3
14.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
15.スクワラン 2
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
17.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステア 0.2
リン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
18.香料 0.1
19.メチルパラベン 0.2
20.精製水 残 量
*1:伊那寒天UP−37CS(伊那食品工業社製)
*2:ニッコールレシノール S−10EZ(日光ケミカルズ社製)
*3:マツモトマイクロスフェアM101(松本油脂製薬社製)
【0076】
( 製 法 )
A:1、2、6〜14と、3、5、20の一部(3は約20%、5は30%、
20は60%)を60℃で加温溶解する。
B:3の一部(約75%)と、4と、5の一部(約55%)を75℃で加温
溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に20の一部(約20%)を75℃で
加え、高速で攪拌して泡立てる。
C:15〜19と、3および5の残部と、20の残部を70℃に加温し乳化
し冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する。
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0077】
( 結 果 )
得られた気泡含有頬紅は、気泡内包率15%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れた頬紅であった。
【0078】
実 施 例 5
アイシャドウ:
下記の組成および製法により、アイシャドウ化粧料を調製した。
【0079】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.カラギーナン 0.3
3.リン脂質*2 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 13
7.酸化チタン 10
8.黄色酸化鉄 0.8
9.ベンガラ 0.5
10.黒色酸化鉄 0.05
11.酸化チタン被覆合成金雲母*3 20
12.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
13.スクワラン 2
14.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
15.水添ポリイソブテン*4 0.2
16.香料 0.1
17.メチルパラベン 0.2
18.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:ニッコールレシノール S−10EZ(日光ケミカルズ社製)
*3:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*4:パールリーム18(日油社製)
【0080】
( 製 法 )
A:1、2、6〜12と、3、5、18の一部(3は約20%、5は約30%、
18は約60%)を60℃で加温溶解する。
B:3の一部(約75%)と、4と、5の一部(約55%)を75℃で加温
溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に18の一部(約25%)を75℃で
加え、高速で攪拌して泡立てる。
C:13〜17と、3および5の残部と、18の残部を70℃に加温し乳化
し冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する。
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0081】
( 結 果 )
得られた気泡含有アイシャドウは、気泡内包率10%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたアイシャドウであった。
【0082】
実 施 例 6
コンシーラー:
下記の組成および製法により、コンシーラー化粧料を調製した。
【0083】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.アクリル酸・メタクリル酸アルキル 0.3
共重合体 *2
3.水酸化ナトリウム 0.08
4.リン脂質*3 3.5
5.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
6.1,3−ブチレングリコール 15
7.グリセリン 13
8.酸化チタン 10
9.黄色酸化鉄 1.0
10.ベンガラ 0.2
11.黒色酸化鉄 0.05
12.シリカ 1
13.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
14.イソドデカン 1
15.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
16.水添ポリイソブテン*4 0.2
17.香料 0.1
18.エチルパラベン 0.2
19.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
*3:ニッコールレシノール S−10EZ(日光ケミカルズ社製)
*4:パールリーム18(日油社製)
【0084】
( 製 法 )
A:1〜3、7〜13と、4、6、19の一部(4は約25%、6は約30%、
19は約60%)を60℃で加温溶解する。
B:4の一部(約70%)と、5と、6の一部(約55%)を75℃で加温溶
解し、高速で攪拌して泡立て、更に19の一部(約25%)を75℃で加え、
高速で攪拌して泡立てる。
C:14〜18と、4および6の残部と、19の残部を70℃に加温し乳化し
冷却する。
D:A〜Cを60℃で加温混合し、冷却する。
E:Dを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0085】
( 結 果 )
得られた気泡含有コンシーラーは、気泡内包率40%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたコンシーラーであった。
【0086】
実 施 例 7
クリーム:
下記の組成および製法により、クリーム化粧料を調製した。
【0087】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体*2 0.2
3.水酸化ナトリウム 0.08
4.リン脂質*3 3.5
5.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
6.1,3−ブチレングリコール 10
7.プロピレングリコール 5
8.グリセリン 13
9.セトステアリルアルコ−ル 4
10.スクワラン 5
11.ホホバ油 5
12.マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.5
13.香料 0.1
14.メチルパラベン 0.2
15.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
*3:HSL−70(ワイエムシィ社製)
【0088】
( 製 法 )
A:1〜3、5、7と、4、6の一部(4は約90%、6は約85%)を75℃
で加温溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に15の一部(約85%)を75℃
で加え、高速で攪拌して泡立てる。
B:8〜14と、4および6の残部と、15の残部を70℃に加温し乳化し冷
却する。
C:A、Bを60℃で加温混合し、冷却する。
D:Cを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0089】
( 結 果 )
得られた気泡含有クリームは、気泡内包率35%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたクリームであった。
【0090】
実 施 例 8
気泡含有マッサージ化粧料:
下記の組成および製法により、マッサージ化粧料を調製した。
【0091】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガ*1 0.5
2.カラギーナン 0.2
3.リン脂質*2 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.) 2
ソルビタン
6.1,3−ブチレングリコール 15
7.グリセリン 13
8.セトルテアリルアルコール 2
9.流動パラフィン 4
10.スクワラン 4
11.イソノナン酸イソトリデシル 4
12.香料 0.1
13.メチルパラベン 0.2
14.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:HSL−70(ワイエムシィ社製)
【0092】
( 製 法 )
A:1、2、4、5、7と、3、6の一部(3は約90%、6は約85%)を
75℃で加温溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に14の一部(約85%)
を75℃で加え、高速で攪拌して泡立てる。
B:8〜13と、3および6の残部と、14の残部を70℃に加温し乳化し冷
却する。
C:A、Bを60℃で加温混合し、冷却する。
D:Cを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0093】
( 結 果 )
得られた気泡含有マッサージは、気泡内包率45%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れたマッサージであった。
【0094】
実 施 例 9
頭髪用クリーム:
下記の組成および製法により、頭髪用クリーム化粧料を調製した。
【0095】
( 組 成 )
< 成 分 > 配合量(質量%)
1.ネイティブジェランガム*1 0.5
2.カラギーナン 0.2
3.リン脂質*2 3.5
4.ステアロイルグルタミン酸ナトリウム 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 10
7.ポリオキシエチレン(20E.O.)硬化ヒマシ油 2
8.トリオクタン酸セチル 3
9.ワセリン 5
10.香料 0.1
11.メチルパラベン 0.2
12.精製水 残 量
*1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
*2:ニッコールレシノール S−10(日光ケミカルズ社製)
【0096】
( 製 法 )
A:1、2、4、6と、3、5の一部(3は約90%、5は約85%)を75℃
で加温溶解し、高速で攪拌して泡立て、更に12の一部(約85%)を75℃
で加え、高速で攪拌して泡立てる。
B:7〜11と、3および5の残部と、12の残部を70℃に加温し乳化し冷
却する。
C:A、Bを60℃で加温混合し、冷却する。
D:Cを50℃に再加温し、化粧料容器に充填する。
【0097】
( 結 果 )
得られた気泡含有頭髪用クリームは、気泡内包率5%で、経時安定性に優れ、軽い使用感をもつ、優れた頭髪用クリームであった。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、容器に充填しても長時間にわたって、化粧料中の微細な気泡が安定に保持される水中油型気泡含有化粧料が得られる。そして、この化粧料は、油分を含むものであるため、使用感が良く、また粉体を配合可能であるため、多くの用途に利用可能なものである。
【0099】
従って、本発明の水中油型気泡含有化粧料は、スキンケア化粧料、マッサージ用化粧料、頭皮用化粧料の他、下地化粧料、ファンデーション、アイカラー、チーク、コンシーラー等のメイクアップ化粧料や日焼け止め等の粉体含有化粧料として使用することもできるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)ないし(E)
(A)ネイティブジェランガムおよび寒天より選ばれる一種以上の高分子
(B)流動性ゲル形成水溶性高分子
(C)リン脂質
(D)アニオン性界面活性剤
(E)油性成分
(F)水性成分
を含有し、微細な気泡を包含することを特徴とする水中油型気泡含有化粧料。
【請求項2】
化粧料中含有される気泡の平均径が1ないし5000μmである請求項1記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項3】
化粧料中に含有される気泡の量が、5ないし70%である請求項1または2の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項4】
成分(A)および(B)が高分子成分として組み合わされ使用されるものである請求項1ないし3の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項5】
成分(C)および(D)が界面活性剤成分として組み合わされ使用されるものである請求項1ないし4の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項6】
乳化工程および気泡分散工程を有する製造方法により得られるものである請求項1ないし5の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項7】
成分(B)の流動性ゲル形成水溶性高分子が、カラギーナン、キサンタンガム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、クインスシードガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステルおよびポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる水溶性高分子である請求項1ないし6の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項8】
成分(D)のアニオン性界面活性剤が、アニオン性アミノ酸系界面活性剤である請求項1ないし7の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項9】
成分(A)のネイティブジェランガムおよび寒天より選ばれる一種以上の高分子と成分(B)の流動性ゲル形成水溶性高分子の配合が質量比で、2:1〜2:5である請求項1ないし8の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項10】
成分(E)の油性成分の配合量が、5〜20質量%である請求項1ないし9の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項11】
さらに成分(G)として、粉体を配合する請求項1ないし10の何れかの項記載の水中油型気泡含有化粧料。
【請求項12】
次の成分(A)および(B)
(A)ネイティブジェランガムおよび寒天より選ばれる一種以上の高分子
(B)流動性ゲル形成水溶性高分子
を含有する高分子成分、
次の成分(C)および(D)
(C)リン脂質
(D)アニオン性界面活性剤
を含有する乳化成分、
(E)油性成分、
並びに
(F)水性成分
を使用し、これらを乳化工程および気泡分散工程を有する処理工程に付すことを特徴とする水中油型気泡含有化粧料の製造方法。
【請求項13】
次の工程(1)ないし(4)
(1)成分(A)、成分(B)および一部の成分(F)を含む水溶性高分子相
を形成する
(2)成分(C)、成分(D)および一部の成分(F)を含む水相を攪拌して
泡立てホイッピング相を形成する
(3)成分(C)および成分(E)を含む油相に残部の成分(F)を加え、乳
化して乳化相を形成する
(4)水溶性高分子相、ホイッピング相および乳化相を混合する
を含む請求項12記載の水中油型気泡含有化粧料の製造方法。


【公開番号】特開2012−206994(P2012−206994A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74829(P2011−74829)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】