水害時危険箇所表示システム
【課題】洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホールや側溝等の水没した危険箇所の存在を表示する。
【解決手段】表示ブロック10で、水位の上昇に応じて水面に浮上して危険箇所の位置を表示し、繋止ブロック20で、水位の上昇に応じて表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止し、発電ブロック30で、構造物周辺に流出した水の水流により動作電力を発電し、繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給し、表示ブロック10で、発電ブロック30から供給された動作電力を用いた可視表示または可聴表示により、危険箇所の存在を表示する。
【解決手段】表示ブロック10で、水位の上昇に応じて水面に浮上して危険箇所の位置を表示し、繋止ブロック20で、水位の上昇に応じて表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止し、発電ブロック30で、構造物周辺に流出した水の水流により動作電力を発電し、繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給し、表示ブロック10で、発電ブロック30から供給された動作電力を用いた可視表示または可聴表示により、危険箇所の存在を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害検知技術に関し、特に水害時に発生した危険箇所を表示する水害時危険箇所表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
路上のマンホールや側溝、河岸での工事を実施する場合には、一般に保安施設として保安灯/照明灯、掲示板、セイフティーコーン、移動/固定柵等の設置を一定の条件下で設けることが義務づけられている。
事故や災害時に危険箇所を提示するシステムとしては、一級河川やダム等での水位上昇や放流を知らせるものがあるが、これらシステムは大規模な施設による警報装置であり、市街地において危険箇所を個別に検知するものではない。
【0003】
一方、集中豪雨時の流失防止を目的として、マンホール蓋に蝶番を蝶着したものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これは、錠や蝶番をつけてマンホール蓋が容易に開閉したり、マンホールから外れたり、さらには外れても紛失しないようにした、高機能な構造を持つものであるが、実際に設置されているマンホール蓋の殆どは旧来型の円形もしくは角形の鋳鉄板が溝を持ったマンホール上面に乗ったものである。
また、側溝や河岸は、蓋や柵がある場合もあるが、小規模なものについてはない場所も目立つのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−152473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
平常時の工事であれば、危険箇所を上記の保安施設等で提示することにより、屋外を移動する際に事前に危険を予知し、接近する際には十分な注意を払うため、事故の発生を減らすことができる。しかしながら、水害などの災害時にはそのような施設を設けることは困難であり、たとえそのような設備を水害発生後に設置したとしても水圧等で流されてしまう可能性もあり、また水没をしてしまうと位置の特定は難しくなる。
【0006】
短時間で大量の降水量を記録する集中豪雨等が発生した場合、特に市街地などでは雨水の地表面への吸収が追いつかず、舗装された路上や雨水路や下水管等の地下水道を通り、高所から低所や窪地に向け想定値を超える量の雨水等の水が一気に流れ込む。これにより、その雨水を十分に処理することができず、内水氾濫といった水害が発生する。
この際、地下にある下水管等では、急激に水量が増し、処理しきれずに行き場を失った雨水によって低所のマンホールの蓋等を押し上げるほどの水圧が発生する。そのため屋外には水面下に蓋の開いた、もしくはずれたマンホールが存在する危険な状況となるが、水の濁りによりこれら危険箇所を目視することができなくなるため、避難時に危険を伴う。
【0007】
また、屋外一面が濁った水で覆われてしまった場合、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝や、柵等のない岸の不明確な河岸の位置の特定は困難になり、避難や屋外移動時に危険を伴う。
さらに、側溝等の位置関係を特定できる歩道などの段差、柵、ガードレールなどの目標物に対して、これらの高さ以上の水位になった場合も、同様に避難や屋外移動時に危険を伴う。
【0008】
本システムは、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホールや側溝等の水没した危険箇所を表示する水害時危険箇所表示技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかる水害時危険箇所表示システムは、水害発生時に危険箇所となりうる構造物に取り付けられて、当該構造物周辺に流出した水の水位の上昇に応じて当該危険箇所の位置を表示する水害時危険箇所表示システムであって、水位の上昇に応じて水面に浮上して、危険箇所の存在を表示する表示ブロックと、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電ブロックと、水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除し、当該表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して発電ブロックから供給された動作電力を当該表示ブロックへ供給するとともに、配線ケーブルにより当該表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する繋止ブロックとを備え、表示ブロックで、配線ケーブルを介して供給された動作電力を用いて可視表示または可聴表示を行うことにより、危険箇所の存在を表示するようにしたものである。
【0010】
この際、表示ブロックに、当該表示ブロックを水面に浮上させるためのフロート部と、発電ブロックから供給された動作電力により発光して危険箇所の存在を可視表示する発光部、水面に浮遊して危険箇所の存在を文字や図柄で可視表示する表示部、または発電ブロックから供給された動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより危険箇所の存在を可聴表示する報知音出力部の、少なくともいずれか一方とを含むようにしてもよい。
【0011】
また、発電ブロックに、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含むようにしてもよい。
【0012】
また、繋止ブロックに、水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して発電ブロックからの動作電力を表示ブロックへ供給する配電部と、水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【0013】
また、発電ブロックに、マンホールの横穴部の内壁上部に取り付けられて、当該横部内を流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含み、繋止ブロックに、マンホールの縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、送電配線を介して供給された発電ブロックからの動作電力を、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して表示ブロックへ供給する配電部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【0014】
また、発電ブロックに、側溝または河岸の壁面に取り付けられて、当該壁面に沿って流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含み、繋止ブロックに、壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、壁面に取り付けられて、送電配線を介して供給された発電ブロックからの動作電力を、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して表示ブロックへ供給する配電部と、壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、壁面に取り付けられて、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを壁面周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホール、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝、柵等のない岸の不明確な河岸などの危険箇所の存在を、通行人に対して的確に知らせることができる。したがって、水害発生より増水して、足下を目視で確認できないような状況であっても、さらには暗がりや遠方からも確認しやすくなり、危険箇所を避けて避難や移動を安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】水害時危険箇所表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
【図4】太陽電池パネルを設けた表示ブロックを示す説明図である。
【図5】張力調整機構の構成例を示す説明図である。
【図6】保持部の構成例を示す説明図である。
【図7】水害検知機能を示す説明図である。
【図8】第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
【図9】筒体の構成例を示す説明図である。
【図10】発電部の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成を示す説明図である。
【0018】
この水害時危険箇所表示システム1は、洪水や集中豪雨等の水害発生時に危険箇所となりうるマンホールや側溝等の構造物に予め設置されて、水害発生時に構造物が水没した場合には、水面上で危険箇所を表示する機能を有している。
【0019】
水害時危険箇所表示システム1は、表示ブロック10、繋止ブロック20、および発電ブロック30の3つの機能ブロックから構成されている。
表示ブロック10は、水面上に浮上して危険箇所を表示する機能を有している。この表示ブロック10には、主な構成として、危険箇所をより発見しやすく表示するため、発電ブロック30で発電された動作電力でLED等の発光素子を駆動する発光部11、その発光部11を水面上に浮上させるためのフロート部12、および危険内容を文字や図柄で表示し、遠方からでも目視等で気づくことのできる水面に浮く浮体構造を持つ表示部13が設けられている。なお、これらに加えて報知音出力部14を設け、危険箇所を可聴表示するようにしてもよい。
【0020】
繋止ブロック20は、表示ブロック10と危険箇所を紐付ける機能を有している。この繋止ブロック20には、主な構成として、発電ブロック30からの動作電力を表示ブロック10へ供給する配線ケーブル21、危険箇所に表示ブロック10を繋ぎ止めるために配線ケーブル21を構造物に包縛し案内する配線案内部22、平常時に表示ブロック10を保管し、水位の上昇に応じて表示ブロック10を解放する保持部23、配線ケーブル21を収容するとともに表示ブロック10の浮上に応じて配線ケーブル21の張力を調整する配線収容部24、および発電ブロック30から供給された動作電力を配線ケーブル21や繋止ブロック20内の各回路部へ配電する配電部25が設けられている。
【0021】
発電ブロック30は、水害時危険箇所表示システム1全体に電力を供給する機能を有している。この発電ブロック30には、主な構成として、水害時に発電を開始する発電部31、この発電部31で発電された動作電力を繋止ブロック20の配線収容部24へ供給する送電配線32、および送電配線32を収容して防水や防食を行う配管部33が設けられている。
【0022】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1の動作について説明する。図2は、水害時危険箇所表示システムの動作を示すフローチャートである。
ここでは、水害発生時に屋外避難時や移動時に危険箇所となる、マンホールや側溝、河岸などの構造物に対して、本実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1が予め設置されているものとする。
【0023】
豪雨等により構造物周辺の水位が周辺の豪雨等により上昇を開始し、水位が発電ブロック30の発電部31が設置されている位置(高さ)を超えると、構造物のうち流出した水が流れる経路の壁面に発電部31を固定するための可動部と、発電部31の保護等のために設置したフィン付きの柵などの枠体とにより、発電部31のプロペラが水流方向に対して正対するよう、水流に対して発電部31の姿勢が調整される(ステップ100)。
【0024】
この後、発電部31が更なる水位上昇により水没すると、水流により発電用のプロペラが動作し、水力により発電部31で発電が開始される(ステップ101)。
この水位の更なる上昇と発電部31での発電開始とにより、表示ブロック10の発光部11、表示部13、および報知音出力部14を構成する回路部への電源供給が開始され、可視表示あるいは可聴表示により、危険箇所を表示するための動作を開始する(ステップ102)。
【0025】
この後、繋止ブロック20の保持部23を越えて、水位が上昇すると、平常時に表示ブロック10を構造物の壁面に固定する保持部23の保持機能が解除され、表示ブロック10が保持部23から解放される(ステップ103)。これにより、浮力に応じて表示ブロック10が浮上を開始する。
【0026】
ここで、水位上昇に伴う水圧によりマンホール等の蓋がずれたり開いたりし、路面(地上面)に水があふれ出ることで、その危険箇所が水没し、危険箇所が発生する。
この際、水位が路面をさらに上昇する中、保持部23から解放され水中にある表示ブロック10がフロート部12の浮力により、危険箇所に発生した間隙等を通過し、水面まで浮上し、フロート部12の下部側重心構造により、釣りに用いる浮き具のように表示ブロック10の一部が水面下で一部が水面上に出た、起立した状態となるよう、表示ブロック10の姿勢が調整される(ステップ104)。
【0027】
この後、水位の更なる上昇に伴い、配線収容部24と表示ブロック10の下部を繋ぐ配線ケーブル21が配線収容部24から排出される(ステップ105)。
この際、水位の変動と表示ブロック10が浮上している水流の強さに応じて、配線収容部24にある引力調整機能が動作し、表示ブロック10が水面位置で浮力により起立した姿勢となるよう、配線ケーブル21の長さが調整される(ステップ106)。これにより、水位や水流が変動しても、構造物周辺の水面位置における、危険箇所の存在を示す可視表示または可聴表示が維持される。
【0028】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、表示ブロック10で、水位の上昇に応じて水面に浮上して危険箇所の位置を表示し、繋止ブロック20で、水位の上昇に応じて表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止し、発電ブロック30で、構造物周辺に流出した水の水流により動作電力を発電し、繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給し、表示ブロック10で、発電ブロック30から供給された動作電力を用いた可視表示または可聴表示により、危険箇所の存在を表示するようにしたものである。
【0029】
これにより、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホール、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝、柵等のない岸の不明確な河岸などの危険箇所の存在を、通行人に対して的確に知らせることができる。したがって、水害発生より増水して、足下を目視で確認できないような状況であっても、さらには暗がりや遠方からも確認しやすくなり、危険箇所を避けて避難や移動を安全に行うことが可能となる。また、さらには、屋外移動の際に危険を伴う水没した段差部分や深い水たまり部分の特定や提示にも応用することが可能である。
【0030】
また、既存設備の土木工事等による大規模な改修をせずに、簡易な取り付け工事だけで、危険箇所を特定しやすくできるので、設置・運用にかかるコストの削減が期待できる。これにより、より多くの箇所への適用が可能になり、二次災害の防止に貢献できる。
【0031】
また、本実施の形態では、表示ブロック10において、フロート部12で、表示ブロック10を水面に浮上させ、発光部11で、発電ブロック30から供給された動作電力により発光して危険箇所の存在を可視表示し、あるいは報知音出力部14で、発電ブロック30から供給された動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより危険箇所の存在を可聴表示するようにしたので、流出した水の水位が変動しても、また水に濁りがあっても、さらには視力や聴力などに障害のある要援護者に対しても、危険箇所の存在を明確に知らせることができる。
【0032】
また、本実施の形態では、繋止ブロック20において、保持部23で、水位が平常範囲にある場合には表示ブロック10を保持し、水位が平常範囲より上昇した場合には表示ブロック10を保持解除し、配電部25で、表示ブロック10と接続された配線ケーブル21を介して発電ブロック30からの動作電力を表示ブロック10へ供給し、配線収容部24で、水位の変動に応じて配線ケーブル21の繰出および収容を行うことにより、配線ケーブル21の長さを調整し、配線案内部22で、配線収容部24から取り出された配線ケーブル21を構造物に沿って案内することにより、保持部23で保持解除された表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止するようにしたので、流出した水の水位の上昇および低下に応じて、配線ケーブル21の長さを自動的に調整することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、発電ブロック30において、発電部31で、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電し、配管部33で、発電部31により発電した動作電力を繋止ブロック20へ送電する送電配線を収容して、当該送電配線を防水するようにしたので、水害発生時の増水に応じて自動的に動作電力を表示ブロック10へ供給することができ、電源供給設備を必要とすることなく、さらには水害発生時に停電が発生した場合でも、危険箇所の存在を通行人に対して的確に知らせることができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図3は、第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
本実施の形態では、水害時危険箇所表示システム1をマンホールに取り付けた場合の具体例について説明する。
【0035】
図3において、発電ブロック30の発電部31は、マンホール40の横穴部41の内側上部に設置されている。これにより、平常時には、平常時の水面より高く、発電部31が水に浸からない位置にあるため発電は行われない。一方、水害発生時には、横穴部41を流れる水が増水して発電部31が水没し、その水流により発電が自動的に開始される。これにより、発電された動作電力が繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給されるため、表示ブロック10で危険箇所の存在の表示が開始される。なお、発電部31は、横穴部41のうち、水流が横方向以外の上下方向に大きく乱れない位置に設置することで、発電動作を安定させることができる。
【0036】
また、発電部31の周囲に、水中を流れる流出物から保護するための流線構造の枠体31Aを設ける。この際、横穴部41の内壁に発電部31を回動可能に取り付けるとともに、枠体31Aの一部にフィンを設けてもよい。これにより、発電部31の向きが自動的に流水方向と正対させることができ、より効率的な発電を実現することができる。枠体31Aやフィンの材料は硬質で、平常時の硫化水素等の化学物質に対する耐食性のあるものを使用すればよい。
さらに、水流が弱い場合や故障等に備えて、発電部31自身は複数台並列接続させてもよく、弱流でも省電力が確保できる発電部31を並列接続させてもよい。
【0037】
図4は、太陽電池パネルを設けた表示ブロックを示す説明図である。
発電部31で発電される電力以外に、より多くの電力を確保する必要がある場合には、表示ブロック10側の上部に太陽電池パネル34を設けて、もしくはフロート部12と配線で繋がった別のフロート部12A上に太陽電池パネル34を設置し、これら太陽電池パネル34で発電するようにしてもよい。この際、太陽電池パネル34には、誤って踏みつけられた場合などを想定して、多少の圧力に耐えうるような透明シールディングを施してもよい。
【0038】
また、表示ブロック10の水面下部に蓄電部35を搭載し、太陽電池パネル34で太陽光発電した電力、さらには発電部31により水力発電した電力を、蓄電部35に蓄電させる。これにより、発電電力を表示ブロック10へ安定供給することができる。なお、蓄電部35は、フロート部12の重心調整用の下部重りにもなるので、フロート部12の浮力を調整する必要がある。
【0039】
配管部33は、硬質かつ耐食性のある材料で作られた配管であり、図3に示すように、マンホール40の縦穴部42内壁に沿って配設されている。発電ブロック30の発電部31で発電した電力は、この配管部33内に通された送電配線32を介して、繋止ブロック20の配電部25へ送電される。
【0040】
繋止ブロック20の主な特長は、水面の上下動があった場合、表示ブロック10により危険箇所の存在位置を精度良く表示するため、配線収容部24に、配線ケーブル21の長さを調整するための張力調整機能を持つ点にある。
【0041】
図5は、張力調整機構の構成例を示す説明図である。
配線収容部24の張力調整機構24Dには、表示ブロック10までの配線ケーブル21を巻き取るリール24Aと、このリール24Aの軸24Cに固定されてリール24Aにかかる引力を調整するためのリール24Bとが設けられている。
危険箇所周辺の水面上に浮いている表示ブロック10に接続されている配線ケーブル21には、水面の上昇に伴い表示ブロック10で発生する浮力、表示ブロック10にかかる重力、および表示ブロック10が水流から受ける流力の合力からなる張力Aが発生する。
【0042】
この張力Aは、配線ケーブル21を介して表示ブロック10から配線収容部24まで伝達されて引力Aとなる。したがって、張力調整機構24Dでは、表示ブロック10から伝達された引力Aによりリール24Aで発生するモーメントMaと反対向きに、ほぼ同等かそれよりわずかに大きいモーメントMbを、リール24Bにかける必要がある。
【0043】
図5の例では、張力Aによりリール24Aで発生するモーメントMaに対して、リール24BでモーメントMbが発生するよう、リール24Bに巻き取られているケーブル32Aに接続されている重り32Bで調整している。この重り32Bは、発電部31同様にマンホール40の横穴部41の内部に配置されており、配線収容部24から配管部33に沿うよう案内されたケーブル32Aの端部に接続されている。これにより、重り32Bにかかる重力、横穴部41内を流れる流水から受ける流力、重り32Bにかかる浮力の合力からなる張力Bを、引力Bとして利用することができる。
【0044】
なお、リール24A発生するモーメントMaは、リール24A半径Raと引力Aとの積であり、リール24B発生するモーメントMbは、リール24B半径Rbと引力Bとの積である。したがって、重り32Bからの引力Bの大きさを調整するだけでなく、リール24A半径Ra,Rbも考慮して、引力Bの大きさを調整するようにしてもよい。
【0045】
表示ブロック10の主な特長は、図3に示すように、水害による水位の上昇に応じて、危険箇所の存在を表示するための表示ブロック10自身が自動的に浮上し、水位の上下動等がある場合でもその危険位置の特定を提示し続ける機能を持つ点にある。
表示ブロック10のフロート部12は、配線ケーブル21が接続されている下端部に重心のある水に浮きやすい材料と構造をなし、フロート部12自身の浮力と下端部の配線ケーブル21の引っ張り力により、釣りの浮き具のように常に水面に正立して、上部が水面上方に表出する姿勢を保持する。
【0046】
フロート部12には、LED等の発光素子からなる発光部11、表面に危険箇所を報知するための文字や図柄が描かれた、水面に浮遊して板状あるいはシート状の表示体からなる表示部13、さらには音声やアラーム音などの報知音を生成して出力する報知音出力部14が設けられている。さらには、表示ブロック10に、電力が十分供給できない事態に備えて、風力による笛の音や風車等を応用したはためき音のような発振音を発生する構造を追加してもよい。
このため、構造物が暗い場所にある場合や、暗い時間帯でも、さらには目の不自由な人や、比較的遠方からでも、表示ブロック10を確実に視認でき、危険箇所の存在を確認することができる。
【0047】
また、フロート部12と配線ケーブル21の周囲に、被服のない樹脂製の光学繊維11Aを巻き付けて、表示ブロック10の発光部11からの光の一部を伝搬させてもよい。これにより、水面下においても、光学繊維11Aから射出された光で、危険箇所の方向を明示することができる。この際、配線ケーブル21に蛍光剤を塗布すれば、光学繊維11Aから放射された光が蛍光剤に反射して、危険箇所の方向がより明確となる。
【0048】
また、水流が激しい場合にはフロート部12全体が水面下に水没してしまう可能性もある。したがって、光学繊維の上端をフロート部12からさらに上方へ突出させておくことにより、発光部11からの光が上方へ射出されるため、フロート部12全体が水面下に水没しても、危険箇所の存在を確認することができる。さらに、遠方からでも暗がりからでも、フロート部12の状態により、表示部ブロック周辺の水流が激しいかどうかを目視で確認できる。
なお、表示ブロック10に代えて、水面に浮遊するフロート部12Aと、このフロート部12Aに立設したポールに固定した旗状の表示部13Aからなる表示ブロック10Aを用いてもよい。
【0049】
図3に示すように、水害時危険箇所表示システム1は、マンホール40の横穴部41や縦穴部42の内側面に設置されている。マンホール40の入口周辺の壁面には、表示ブロック10を1つにまとめて保持部23で保持し、繋止ブロック20や発電ブロック30の配線等はマンホール内壁面に設置した案内や配管などからなる配線案内部22で保持する。また、発電部31は、横穴部41内の天井部に設置する。このため、水害時危険箇所表示システム1は、基本的に、マンホール40における保守等の作業には影響を及ぼすことはない。
【0050】
図6は、保持部の構成例を示す説明図である。
保持部23は、マンホールの内部壁面43に設けられて、フロート部12側の固定部12Bと嵌合する固定部23Aと、上部にフロート23Cが取り付けられて、固定部12Bと固定部23Aとを固定する止め具23Bとから構成されている。
水害発生時に水位が上昇して、フロート23Cにより止め具23Bが浮上すると、固定部12Bが固定部23Aから解放される。これにより、フロート部12が保持部23から離脱して、浮上を開始する。
【0051】
また、水害発生時にマンホール40の蓋がずれて一部穴の開いた危険な状態になった場合の対処として、フロート部12の大きさはマンホール40の口径よりも十分小さなサイズとし、マンホール40内周辺の複数箇所に表示ブロック10と繋止ブロック20、必要であれば発電ブロック30を設置するようにしてもよい。
これにより、水位が上昇し、表示ブロック10とマンホール40内壁面を繋ぐ保持部23の高さを超え、マンホール40の蓋44を正常な位置からずれたり、あるいは外れたりした場合、マンホール40と蓋44との間隙から浮力と流力で表示ブロック10が、マンホール40からその上方の水面へ浮上し、危険箇所の表示を開始することになる。
【0052】
水害時危険箇所表示システム1において、基本的に、発電ブロック30と繋止ブロック20を結ぶ配線ケーブル21を収容する配線収容部24は、耐食性で硬度を持つ配管やパッケージにより防水加工を施し、リールなどの可動部もオーリング等の防水機構の採用と加工を実施することにより、防水性が保たれている。
【0053】
配電部25や表示ブロック10のフロート部12、報知音出力部14、発光部11等は、耐腐食性を持つ透明コーティングにより防水シールド加工を施されている。また、回路部分には、ある程度踏んだり圧力をかけても破損をしない耐久性を持たせるため、透明カプセル化などの個別に保護をする機構を用意することで、システム全体の防水性を確保する。
【0054】
図7は、水害検知機能を示す説明図である。
水害時危険箇所表示システム1において、発電部31周辺の横穴部41の天井部等に流量計36を設置するとともに、配線収容部24の動作を感知する動作感知部24Eを設置し、流量計36や動作感知部24Eでの検出結果と、予め設定された位置情報やIDとを含む水害発生情報を、無線部24Fから無線送信するようにしてもよい。
この際、発電部31や流量計36の設置位置を、危険水位相当の位置に設定したり、あるいは、平常時では水位が到達し得ない下水道管天井部に設置すればよい。
【0055】
このような水害検知機能を設けることにより、水位上昇に応じて通知された水害発生情報に基づいて、水害発生を遠隔地の監視センターで把握することができ、迅速な対応を取ることができる。
また、水害により危険箇所が発生して、表示ブロック10が浮上した場合を確認できるため、水害沈静後の保守点検にも利用することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図8は、第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
本実施の形態では、水害時危険箇所表示システム1を側溝や河岸に取り付けた場合の具体例について説明する。
【0057】
側溝や河岸に設置される水害時危険箇所表示システム1の特長は、マンホールの場合と比較して、表示ブロック10、繋止ブロック20、および発電ブロック30が、硬性の筒体50に保管されており、筒体50の下部に配置された発電部31に、水位が上昇した水が通過できる導水穴51を持つことにある。
【0058】
図9は、筒体の構成例を示す説明図である。
筒体50は、側溝や河岸の壁面60に、保持部50Aを介して固定されており、筒体50の上部には、表示ブロック10が水面まで浮上するための開口部50Bと、この開口部50Bを覆う蓋50Cが設けられている。
蓋50Cは、半透明な硬質プラスティックなど、透光性を持つ部材からなり、蓋50Cが持つ浮力や蓋50Cに取り付けられたフロートの浮力により、水位上昇に応じて開口部50Bの係止機構が解放されて、蓋50Cが自動的に開く機能を有している。これにより、筒体50内に収納されている表示ブロック10が水面まで浮上する仕組みを持つ。
【0059】
図10は、発電部の構成例を示す説明図である。
筒体50は、側溝や河岸の壁面60のうち、発電部31の高さ位置が危険水位位置相当となる高さに設置されている。これにより、水位を感知する水位計と同様に水位上昇を感知して無線通信で通知したり、発電部31での発電開始に応じて、表示ブロック10の発光部11や報知音出力部14で、可視表示や可聴表示を開始させることができ、水害発生の危険を知らせるアラートとしての役目を持たせることも可能である。
【0060】
発電部31のプロペラ31Bの高さ位置まで水位が上昇した場合、導水穴51を介して筒体50内に流れ込んだ水の水流で、プロペラ31Bが回転を開始する。このプロペラ31Bの回転は、回転軸31Cを介して発電機31Dに伝達され、発電機31Dでの発電が開始される。これにより、発電で得られた動作電力が送電配線32を介して、配線収容部24から配線ケーブル21へ伝えられ、表示ブロック10へ供給される。
【0061】
なお、導水穴51については、筒体50の下部に全周に亘って等間隔で形成してもよいが、流水方向に沿って筒体50の下部の一部に形成してもよい。これにより、筒体50内に流れ込む水流の方向を固定化して、プロペラ31Bの向きを水流方向に正対させることができ、効率よく発電することができる。なお、プロペラ31Bの向きを水流方向に正対させて、効率よく発電させるため、プロペラ31Bの後部や周囲に、風見鶏のように流れの方向に向かせる翼部を設けてもよい。
【0062】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1…水害時危険箇所表示システム、10,10A…表示ブロック、11…発光部、11A…光学繊維、12,12A…フロート部、12B…固定部、13,13A…表示部、14…報知音出力部、20…繋止ブロック、21…配線ケーブル、22…配線案内部、23…保持部、23A…固定部、23B…止め具、23C…フロート、24…配線収容部、24A,24B…リール、24C…軸、24D…張力調整機構、24E…動作感知部、24F…無線部、25…配電部、30…発電ブロック、31…発電部、31A…枠体、31B…プロペラ、32…送電配線、32A…ケーブル、32B…重り、33…配管部、34…太陽電池パネル、35…蓄電部、36…流量計、40…マンホール、41…横穴部、42…縦穴部、43…内部壁面、44…蓋、50…筒体、50A…保持部、50B…開口部、50C…蓋、51…導水穴、60…壁面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害検知技術に関し、特に水害時に発生した危険箇所を表示する水害時危険箇所表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
路上のマンホールや側溝、河岸での工事を実施する場合には、一般に保安施設として保安灯/照明灯、掲示板、セイフティーコーン、移動/固定柵等の設置を一定の条件下で設けることが義務づけられている。
事故や災害時に危険箇所を提示するシステムとしては、一級河川やダム等での水位上昇や放流を知らせるものがあるが、これらシステムは大規模な施設による警報装置であり、市街地において危険箇所を個別に検知するものではない。
【0003】
一方、集中豪雨時の流失防止を目的として、マンホール蓋に蝶番を蝶着したものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これは、錠や蝶番をつけてマンホール蓋が容易に開閉したり、マンホールから外れたり、さらには外れても紛失しないようにした、高機能な構造を持つものであるが、実際に設置されているマンホール蓋の殆どは旧来型の円形もしくは角形の鋳鉄板が溝を持ったマンホール上面に乗ったものである。
また、側溝や河岸は、蓋や柵がある場合もあるが、小規模なものについてはない場所も目立つのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−152473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
平常時の工事であれば、危険箇所を上記の保安施設等で提示することにより、屋外を移動する際に事前に危険を予知し、接近する際には十分な注意を払うため、事故の発生を減らすことができる。しかしながら、水害などの災害時にはそのような施設を設けることは困難であり、たとえそのような設備を水害発生後に設置したとしても水圧等で流されてしまう可能性もあり、また水没をしてしまうと位置の特定は難しくなる。
【0006】
短時間で大量の降水量を記録する集中豪雨等が発生した場合、特に市街地などでは雨水の地表面への吸収が追いつかず、舗装された路上や雨水路や下水管等の地下水道を通り、高所から低所や窪地に向け想定値を超える量の雨水等の水が一気に流れ込む。これにより、その雨水を十分に処理することができず、内水氾濫といった水害が発生する。
この際、地下にある下水管等では、急激に水量が増し、処理しきれずに行き場を失った雨水によって低所のマンホールの蓋等を押し上げるほどの水圧が発生する。そのため屋外には水面下に蓋の開いた、もしくはずれたマンホールが存在する危険な状況となるが、水の濁りによりこれら危険箇所を目視することができなくなるため、避難時に危険を伴う。
【0007】
また、屋外一面が濁った水で覆われてしまった場合、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝や、柵等のない岸の不明確な河岸の位置の特定は困難になり、避難や屋外移動時に危険を伴う。
さらに、側溝等の位置関係を特定できる歩道などの段差、柵、ガードレールなどの目標物に対して、これらの高さ以上の水位になった場合も、同様に避難や屋外移動時に危険を伴う。
【0008】
本システムは、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホールや側溝等の水没した危険箇所を表示する水害時危険箇所表示技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかる水害時危険箇所表示システムは、水害発生時に危険箇所となりうる構造物に取り付けられて、当該構造物周辺に流出した水の水位の上昇に応じて当該危険箇所の位置を表示する水害時危険箇所表示システムであって、水位の上昇に応じて水面に浮上して、危険箇所の存在を表示する表示ブロックと、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電ブロックと、水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除し、当該表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して発電ブロックから供給された動作電力を当該表示ブロックへ供給するとともに、配線ケーブルにより当該表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する繋止ブロックとを備え、表示ブロックで、配線ケーブルを介して供給された動作電力を用いて可視表示または可聴表示を行うことにより、危険箇所の存在を表示するようにしたものである。
【0010】
この際、表示ブロックに、当該表示ブロックを水面に浮上させるためのフロート部と、発電ブロックから供給された動作電力により発光して危険箇所の存在を可視表示する発光部、水面に浮遊して危険箇所の存在を文字や図柄で可視表示する表示部、または発電ブロックから供給された動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより危険箇所の存在を可聴表示する報知音出力部の、少なくともいずれか一方とを含むようにしてもよい。
【0011】
また、発電ブロックに、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含むようにしてもよい。
【0012】
また、繋止ブロックに、水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して発電ブロックからの動作電力を表示ブロックへ供給する配電部と、水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【0013】
また、発電ブロックに、マンホールの横穴部の内壁上部に取り付けられて、当該横部内を流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含み、繋止ブロックに、マンホールの縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、送電配線を介して供給された発電ブロックからの動作電力を、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して表示ブロックへ供給する配電部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、縦穴部の内壁に取り付けられて、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを構造物周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【0014】
また、発電ブロックに、側溝または河岸の壁面に取り付けられて、当該壁面に沿って流れる水の水流により動作電力を発電する発電部と、発電部で発電した動作電力を繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部とを含み、繋止ブロックに、壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の上昇に応じて、予め保持しておいた表示ブロックの保持を解除する保持部と、壁面に取り付けられて、送電配線を介して供給された発電ブロックからの動作電力を、表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して表示ブロックへ供給する配電部と、壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の変動に応じて配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、壁面に取り付けられて、配線収容部から繰出された配線ケーブルを構造物に沿って案内することにより、保持部で保持解除された表示ブロックを壁面周辺の水面に繋止する配線案内部とを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホール、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝、柵等のない岸の不明確な河岸などの危険箇所の存在を、通行人に対して的確に知らせることができる。したがって、水害発生より増水して、足下を目視で確認できないような状況であっても、さらには暗がりや遠方からも確認しやすくなり、危険箇所を避けて避難や移動を安全に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】水害時危険箇所表示システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
【図4】太陽電池パネルを設けた表示ブロックを示す説明図である。
【図5】張力調整機構の構成例を示す説明図である。
【図6】保持部の構成例を示す説明図である。
【図7】水害検知機能を示す説明図である。
【図8】第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
【図9】筒体の構成例を示す説明図である。
【図10】発電部の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成を示す説明図である。
【0018】
この水害時危険箇所表示システム1は、洪水や集中豪雨等の水害発生時に危険箇所となりうるマンホールや側溝等の構造物に予め設置されて、水害発生時に構造物が水没した場合には、水面上で危険箇所を表示する機能を有している。
【0019】
水害時危険箇所表示システム1は、表示ブロック10、繋止ブロック20、および発電ブロック30の3つの機能ブロックから構成されている。
表示ブロック10は、水面上に浮上して危険箇所を表示する機能を有している。この表示ブロック10には、主な構成として、危険箇所をより発見しやすく表示するため、発電ブロック30で発電された動作電力でLED等の発光素子を駆動する発光部11、その発光部11を水面上に浮上させるためのフロート部12、および危険内容を文字や図柄で表示し、遠方からでも目視等で気づくことのできる水面に浮く浮体構造を持つ表示部13が設けられている。なお、これらに加えて報知音出力部14を設け、危険箇所を可聴表示するようにしてもよい。
【0020】
繋止ブロック20は、表示ブロック10と危険箇所を紐付ける機能を有している。この繋止ブロック20には、主な構成として、発電ブロック30からの動作電力を表示ブロック10へ供給する配線ケーブル21、危険箇所に表示ブロック10を繋ぎ止めるために配線ケーブル21を構造物に包縛し案内する配線案内部22、平常時に表示ブロック10を保管し、水位の上昇に応じて表示ブロック10を解放する保持部23、配線ケーブル21を収容するとともに表示ブロック10の浮上に応じて配線ケーブル21の張力を調整する配線収容部24、および発電ブロック30から供給された動作電力を配線ケーブル21や繋止ブロック20内の各回路部へ配電する配電部25が設けられている。
【0021】
発電ブロック30は、水害時危険箇所表示システム1全体に電力を供給する機能を有している。この発電ブロック30には、主な構成として、水害時に発電を開始する発電部31、この発電部31で発電された動作電力を繋止ブロック20の配線収容部24へ供給する送電配線32、および送電配線32を収容して防水や防食を行う配管部33が設けられている。
【0022】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1の動作について説明する。図2は、水害時危険箇所表示システムの動作を示すフローチャートである。
ここでは、水害発生時に屋外避難時や移動時に危険箇所となる、マンホールや側溝、河岸などの構造物に対して、本実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1が予め設置されているものとする。
【0023】
豪雨等により構造物周辺の水位が周辺の豪雨等により上昇を開始し、水位が発電ブロック30の発電部31が設置されている位置(高さ)を超えると、構造物のうち流出した水が流れる経路の壁面に発電部31を固定するための可動部と、発電部31の保護等のために設置したフィン付きの柵などの枠体とにより、発電部31のプロペラが水流方向に対して正対するよう、水流に対して発電部31の姿勢が調整される(ステップ100)。
【0024】
この後、発電部31が更なる水位上昇により水没すると、水流により発電用のプロペラが動作し、水力により発電部31で発電が開始される(ステップ101)。
この水位の更なる上昇と発電部31での発電開始とにより、表示ブロック10の発光部11、表示部13、および報知音出力部14を構成する回路部への電源供給が開始され、可視表示あるいは可聴表示により、危険箇所を表示するための動作を開始する(ステップ102)。
【0025】
この後、繋止ブロック20の保持部23を越えて、水位が上昇すると、平常時に表示ブロック10を構造物の壁面に固定する保持部23の保持機能が解除され、表示ブロック10が保持部23から解放される(ステップ103)。これにより、浮力に応じて表示ブロック10が浮上を開始する。
【0026】
ここで、水位上昇に伴う水圧によりマンホール等の蓋がずれたり開いたりし、路面(地上面)に水があふれ出ることで、その危険箇所が水没し、危険箇所が発生する。
この際、水位が路面をさらに上昇する中、保持部23から解放され水中にある表示ブロック10がフロート部12の浮力により、危険箇所に発生した間隙等を通過し、水面まで浮上し、フロート部12の下部側重心構造により、釣りに用いる浮き具のように表示ブロック10の一部が水面下で一部が水面上に出た、起立した状態となるよう、表示ブロック10の姿勢が調整される(ステップ104)。
【0027】
この後、水位の更なる上昇に伴い、配線収容部24と表示ブロック10の下部を繋ぐ配線ケーブル21が配線収容部24から排出される(ステップ105)。
この際、水位の変動と表示ブロック10が浮上している水流の強さに応じて、配線収容部24にある引力調整機能が動作し、表示ブロック10が水面位置で浮力により起立した姿勢となるよう、配線ケーブル21の長さが調整される(ステップ106)。これにより、水位や水流が変動しても、構造物周辺の水面位置における、危険箇所の存在を示す可視表示または可聴表示が維持される。
【0028】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、表示ブロック10で、水位の上昇に応じて水面に浮上して危険箇所の位置を表示し、繋止ブロック20で、水位の上昇に応じて表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止し、発電ブロック30で、構造物周辺に流出した水の水流により動作電力を発電し、繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給し、表示ブロック10で、発電ブロック30から供給された動作電力を用いた可視表示または可聴表示により、危険箇所の存在を表示するようにしたものである。
【0029】
これにより、洪水や集中豪雨等の水害発生時に、蓋の開いたマンホール、通常道路側面等にある蓋のない、もしくは開いた側溝、柵等のない岸の不明確な河岸などの危険箇所の存在を、通行人に対して的確に知らせることができる。したがって、水害発生より増水して、足下を目視で確認できないような状況であっても、さらには暗がりや遠方からも確認しやすくなり、危険箇所を避けて避難や移動を安全に行うことが可能となる。また、さらには、屋外移動の際に危険を伴う水没した段差部分や深い水たまり部分の特定や提示にも応用することが可能である。
【0030】
また、既存設備の土木工事等による大規模な改修をせずに、簡易な取り付け工事だけで、危険箇所を特定しやすくできるので、設置・運用にかかるコストの削減が期待できる。これにより、より多くの箇所への適用が可能になり、二次災害の防止に貢献できる。
【0031】
また、本実施の形態では、表示ブロック10において、フロート部12で、表示ブロック10を水面に浮上させ、発光部11で、発電ブロック30から供給された動作電力により発光して危険箇所の存在を可視表示し、あるいは報知音出力部14で、発電ブロック30から供給された動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより危険箇所の存在を可聴表示するようにしたので、流出した水の水位が変動しても、また水に濁りがあっても、さらには視力や聴力などに障害のある要援護者に対しても、危険箇所の存在を明確に知らせることができる。
【0032】
また、本実施の形態では、繋止ブロック20において、保持部23で、水位が平常範囲にある場合には表示ブロック10を保持し、水位が平常範囲より上昇した場合には表示ブロック10を保持解除し、配電部25で、表示ブロック10と接続された配線ケーブル21を介して発電ブロック30からの動作電力を表示ブロック10へ供給し、配線収容部24で、水位の変動に応じて配線ケーブル21の繰出および収容を行うことにより、配線ケーブル21の長さを調整し、配線案内部22で、配線収容部24から取り出された配線ケーブル21を構造物に沿って案内することにより、保持部23で保持解除された表示ブロック10を構造物周辺の水面に繋止するようにしたので、流出した水の水位の上昇および低下に応じて、配線ケーブル21の長さを自動的に調整することができる。
【0033】
また、本実施の形態では、発電ブロック30において、発電部31で、構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電し、配管部33で、発電部31により発電した動作電力を繋止ブロック20へ送電する送電配線を収容して、当該送電配線を防水するようにしたので、水害発生時の増水に応じて自動的に動作電力を表示ブロック10へ供給することができ、電源供給設備を必要とすることなく、さらには水害発生時に停電が発生した場合でも、危険箇所の存在を通行人に対して的確に知らせることができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図3は、第2の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
本実施の形態では、水害時危険箇所表示システム1をマンホールに取り付けた場合の具体例について説明する。
【0035】
図3において、発電ブロック30の発電部31は、マンホール40の横穴部41の内側上部に設置されている。これにより、平常時には、平常時の水面より高く、発電部31が水に浸からない位置にあるため発電は行われない。一方、水害発生時には、横穴部41を流れる水が増水して発電部31が水没し、その水流により発電が自動的に開始される。これにより、発電された動作電力が繋止ブロック20を介して表示ブロック10へ供給されるため、表示ブロック10で危険箇所の存在の表示が開始される。なお、発電部31は、横穴部41のうち、水流が横方向以外の上下方向に大きく乱れない位置に設置することで、発電動作を安定させることができる。
【0036】
また、発電部31の周囲に、水中を流れる流出物から保護するための流線構造の枠体31Aを設ける。この際、横穴部41の内壁に発電部31を回動可能に取り付けるとともに、枠体31Aの一部にフィンを設けてもよい。これにより、発電部31の向きが自動的に流水方向と正対させることができ、より効率的な発電を実現することができる。枠体31Aやフィンの材料は硬質で、平常時の硫化水素等の化学物質に対する耐食性のあるものを使用すればよい。
さらに、水流が弱い場合や故障等に備えて、発電部31自身は複数台並列接続させてもよく、弱流でも省電力が確保できる発電部31を並列接続させてもよい。
【0037】
図4は、太陽電池パネルを設けた表示ブロックを示す説明図である。
発電部31で発電される電力以外に、より多くの電力を確保する必要がある場合には、表示ブロック10側の上部に太陽電池パネル34を設けて、もしくはフロート部12と配線で繋がった別のフロート部12A上に太陽電池パネル34を設置し、これら太陽電池パネル34で発電するようにしてもよい。この際、太陽電池パネル34には、誤って踏みつけられた場合などを想定して、多少の圧力に耐えうるような透明シールディングを施してもよい。
【0038】
また、表示ブロック10の水面下部に蓄電部35を搭載し、太陽電池パネル34で太陽光発電した電力、さらには発電部31により水力発電した電力を、蓄電部35に蓄電させる。これにより、発電電力を表示ブロック10へ安定供給することができる。なお、蓄電部35は、フロート部12の重心調整用の下部重りにもなるので、フロート部12の浮力を調整する必要がある。
【0039】
配管部33は、硬質かつ耐食性のある材料で作られた配管であり、図3に示すように、マンホール40の縦穴部42内壁に沿って配設されている。発電ブロック30の発電部31で発電した電力は、この配管部33内に通された送電配線32を介して、繋止ブロック20の配電部25へ送電される。
【0040】
繋止ブロック20の主な特長は、水面の上下動があった場合、表示ブロック10により危険箇所の存在位置を精度良く表示するため、配線収容部24に、配線ケーブル21の長さを調整するための張力調整機能を持つ点にある。
【0041】
図5は、張力調整機構の構成例を示す説明図である。
配線収容部24の張力調整機構24Dには、表示ブロック10までの配線ケーブル21を巻き取るリール24Aと、このリール24Aの軸24Cに固定されてリール24Aにかかる引力を調整するためのリール24Bとが設けられている。
危険箇所周辺の水面上に浮いている表示ブロック10に接続されている配線ケーブル21には、水面の上昇に伴い表示ブロック10で発生する浮力、表示ブロック10にかかる重力、および表示ブロック10が水流から受ける流力の合力からなる張力Aが発生する。
【0042】
この張力Aは、配線ケーブル21を介して表示ブロック10から配線収容部24まで伝達されて引力Aとなる。したがって、張力調整機構24Dでは、表示ブロック10から伝達された引力Aによりリール24Aで発生するモーメントMaと反対向きに、ほぼ同等かそれよりわずかに大きいモーメントMbを、リール24Bにかける必要がある。
【0043】
図5の例では、張力Aによりリール24Aで発生するモーメントMaに対して、リール24BでモーメントMbが発生するよう、リール24Bに巻き取られているケーブル32Aに接続されている重り32Bで調整している。この重り32Bは、発電部31同様にマンホール40の横穴部41の内部に配置されており、配線収容部24から配管部33に沿うよう案内されたケーブル32Aの端部に接続されている。これにより、重り32Bにかかる重力、横穴部41内を流れる流水から受ける流力、重り32Bにかかる浮力の合力からなる張力Bを、引力Bとして利用することができる。
【0044】
なお、リール24A発生するモーメントMaは、リール24A半径Raと引力Aとの積であり、リール24B発生するモーメントMbは、リール24B半径Rbと引力Bとの積である。したがって、重り32Bからの引力Bの大きさを調整するだけでなく、リール24A半径Ra,Rbも考慮して、引力Bの大きさを調整するようにしてもよい。
【0045】
表示ブロック10の主な特長は、図3に示すように、水害による水位の上昇に応じて、危険箇所の存在を表示するための表示ブロック10自身が自動的に浮上し、水位の上下動等がある場合でもその危険位置の特定を提示し続ける機能を持つ点にある。
表示ブロック10のフロート部12は、配線ケーブル21が接続されている下端部に重心のある水に浮きやすい材料と構造をなし、フロート部12自身の浮力と下端部の配線ケーブル21の引っ張り力により、釣りの浮き具のように常に水面に正立して、上部が水面上方に表出する姿勢を保持する。
【0046】
フロート部12には、LED等の発光素子からなる発光部11、表面に危険箇所を報知するための文字や図柄が描かれた、水面に浮遊して板状あるいはシート状の表示体からなる表示部13、さらには音声やアラーム音などの報知音を生成して出力する報知音出力部14が設けられている。さらには、表示ブロック10に、電力が十分供給できない事態に備えて、風力による笛の音や風車等を応用したはためき音のような発振音を発生する構造を追加してもよい。
このため、構造物が暗い場所にある場合や、暗い時間帯でも、さらには目の不自由な人や、比較的遠方からでも、表示ブロック10を確実に視認でき、危険箇所の存在を確認することができる。
【0047】
また、フロート部12と配線ケーブル21の周囲に、被服のない樹脂製の光学繊維11Aを巻き付けて、表示ブロック10の発光部11からの光の一部を伝搬させてもよい。これにより、水面下においても、光学繊維11Aから射出された光で、危険箇所の方向を明示することができる。この際、配線ケーブル21に蛍光剤を塗布すれば、光学繊維11Aから放射された光が蛍光剤に反射して、危険箇所の方向がより明確となる。
【0048】
また、水流が激しい場合にはフロート部12全体が水面下に水没してしまう可能性もある。したがって、光学繊維の上端をフロート部12からさらに上方へ突出させておくことにより、発光部11からの光が上方へ射出されるため、フロート部12全体が水面下に水没しても、危険箇所の存在を確認することができる。さらに、遠方からでも暗がりからでも、フロート部12の状態により、表示部ブロック周辺の水流が激しいかどうかを目視で確認できる。
なお、表示ブロック10に代えて、水面に浮遊するフロート部12Aと、このフロート部12Aに立設したポールに固定した旗状の表示部13Aからなる表示ブロック10Aを用いてもよい。
【0049】
図3に示すように、水害時危険箇所表示システム1は、マンホール40の横穴部41や縦穴部42の内側面に設置されている。マンホール40の入口周辺の壁面には、表示ブロック10を1つにまとめて保持部23で保持し、繋止ブロック20や発電ブロック30の配線等はマンホール内壁面に設置した案内や配管などからなる配線案内部22で保持する。また、発電部31は、横穴部41内の天井部に設置する。このため、水害時危険箇所表示システム1は、基本的に、マンホール40における保守等の作業には影響を及ぼすことはない。
【0050】
図6は、保持部の構成例を示す説明図である。
保持部23は、マンホールの内部壁面43に設けられて、フロート部12側の固定部12Bと嵌合する固定部23Aと、上部にフロート23Cが取り付けられて、固定部12Bと固定部23Aとを固定する止め具23Bとから構成されている。
水害発生時に水位が上昇して、フロート23Cにより止め具23Bが浮上すると、固定部12Bが固定部23Aから解放される。これにより、フロート部12が保持部23から離脱して、浮上を開始する。
【0051】
また、水害発生時にマンホール40の蓋がずれて一部穴の開いた危険な状態になった場合の対処として、フロート部12の大きさはマンホール40の口径よりも十分小さなサイズとし、マンホール40内周辺の複数箇所に表示ブロック10と繋止ブロック20、必要であれば発電ブロック30を設置するようにしてもよい。
これにより、水位が上昇し、表示ブロック10とマンホール40内壁面を繋ぐ保持部23の高さを超え、マンホール40の蓋44を正常な位置からずれたり、あるいは外れたりした場合、マンホール40と蓋44との間隙から浮力と流力で表示ブロック10が、マンホール40からその上方の水面へ浮上し、危険箇所の表示を開始することになる。
【0052】
水害時危険箇所表示システム1において、基本的に、発電ブロック30と繋止ブロック20を結ぶ配線ケーブル21を収容する配線収容部24は、耐食性で硬度を持つ配管やパッケージにより防水加工を施し、リールなどの可動部もオーリング等の防水機構の採用と加工を実施することにより、防水性が保たれている。
【0053】
配電部25や表示ブロック10のフロート部12、報知音出力部14、発光部11等は、耐腐食性を持つ透明コーティングにより防水シールド加工を施されている。また、回路部分には、ある程度踏んだり圧力をかけても破損をしない耐久性を持たせるため、透明カプセル化などの個別に保護をする機構を用意することで、システム全体の防水性を確保する。
【0054】
図7は、水害検知機能を示す説明図である。
水害時危険箇所表示システム1において、発電部31周辺の横穴部41の天井部等に流量計36を設置するとともに、配線収容部24の動作を感知する動作感知部24Eを設置し、流量計36や動作感知部24Eでの検出結果と、予め設定された位置情報やIDとを含む水害発生情報を、無線部24Fから無線送信するようにしてもよい。
この際、発電部31や流量計36の設置位置を、危険水位相当の位置に設定したり、あるいは、平常時では水位が到達し得ない下水道管天井部に設置すればよい。
【0055】
このような水害検知機能を設けることにより、水位上昇に応じて通知された水害発生情報に基づいて、水害発生を遠隔地の監視センターで把握することができ、迅速な対応を取ることができる。
また、水害により危険箇所が発生して、表示ブロック10が浮上した場合を確認できるため、水害沈静後の保守点検にも利用することができる。
【0056】
[第3の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システム1について説明する。図8は、第3の実施の形態にかかる水害時危険箇所表示システムの構成例を示す説明図である。
本実施の形態では、水害時危険箇所表示システム1を側溝や河岸に取り付けた場合の具体例について説明する。
【0057】
側溝や河岸に設置される水害時危険箇所表示システム1の特長は、マンホールの場合と比較して、表示ブロック10、繋止ブロック20、および発電ブロック30が、硬性の筒体50に保管されており、筒体50の下部に配置された発電部31に、水位が上昇した水が通過できる導水穴51を持つことにある。
【0058】
図9は、筒体の構成例を示す説明図である。
筒体50は、側溝や河岸の壁面60に、保持部50Aを介して固定されており、筒体50の上部には、表示ブロック10が水面まで浮上するための開口部50Bと、この開口部50Bを覆う蓋50Cが設けられている。
蓋50Cは、半透明な硬質プラスティックなど、透光性を持つ部材からなり、蓋50Cが持つ浮力や蓋50Cに取り付けられたフロートの浮力により、水位上昇に応じて開口部50Bの係止機構が解放されて、蓋50Cが自動的に開く機能を有している。これにより、筒体50内に収納されている表示ブロック10が水面まで浮上する仕組みを持つ。
【0059】
図10は、発電部の構成例を示す説明図である。
筒体50は、側溝や河岸の壁面60のうち、発電部31の高さ位置が危険水位位置相当となる高さに設置されている。これにより、水位を感知する水位計と同様に水位上昇を感知して無線通信で通知したり、発電部31での発電開始に応じて、表示ブロック10の発光部11や報知音出力部14で、可視表示や可聴表示を開始させることができ、水害発生の危険を知らせるアラートとしての役目を持たせることも可能である。
【0060】
発電部31のプロペラ31Bの高さ位置まで水位が上昇した場合、導水穴51を介して筒体50内に流れ込んだ水の水流で、プロペラ31Bが回転を開始する。このプロペラ31Bの回転は、回転軸31Cを介して発電機31Dに伝達され、発電機31Dでの発電が開始される。これにより、発電で得られた動作電力が送電配線32を介して、配線収容部24から配線ケーブル21へ伝えられ、表示ブロック10へ供給される。
【0061】
なお、導水穴51については、筒体50の下部に全周に亘って等間隔で形成してもよいが、流水方向に沿って筒体50の下部の一部に形成してもよい。これにより、筒体50内に流れ込む水流の方向を固定化して、プロペラ31Bの向きを水流方向に正対させることができ、効率よく発電することができる。なお、プロペラ31Bの向きを水流方向に正対させて、効率よく発電させるため、プロペラ31Bの後部や周囲に、風見鶏のように流れの方向に向かせる翼部を設けてもよい。
【0062】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1…水害時危険箇所表示システム、10,10A…表示ブロック、11…発光部、11A…光学繊維、12,12A…フロート部、12B…固定部、13,13A…表示部、14…報知音出力部、20…繋止ブロック、21…配線ケーブル、22…配線案内部、23…保持部、23A…固定部、23B…止め具、23C…フロート、24…配線収容部、24A,24B…リール、24C…軸、24D…張力調整機構、24E…動作感知部、24F…無線部、25…配電部、30…発電ブロック、31…発電部、31A…枠体、31B…プロペラ、32…送電配線、32A…ケーブル、32B…重り、33…配管部、34…太陽電池パネル、35…蓄電部、36…流量計、40…マンホール、41…横穴部、42…縦穴部、43…内部壁面、44…蓋、50…筒体、50A…保持部、50B…開口部、50C…蓋、51…導水穴、60…壁面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水害発生時に危険箇所となりうる構造物に取り付けられて、当該構造物周辺に流出した水の水位の上昇に応じて当該危険箇所の位置を表示する水害時危険箇所表示システムであって、
前記水位の上昇に応じて水面に浮上して、前記危険箇所の存在を表示する表示ブロックと、
前記構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電ブロックと、
前記水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除し、当該表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して前記発電ブロックから供給された前記動作電力を当該表示ブロックへ供給するとともに、前記配線ケーブルにより当該表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する繋止ブロックと
を備え、
前記表示ブロックは、前記配線ケーブルを介して供給された前記動作電力を用いて可視表示または可聴表示を行うことにより、前記危険箇所の存在を表示する
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記表示ブロックは、
当該表示ブロックを前記水面に浮上させるためのフロート部と、
前記発電ブロックから供給された前記動作電力により発光して前記危険箇所の存在を可視表示する発光部、前記水面に浮遊して前記危険箇所の存在を文字や図柄で可視表示する表示部、または前記発電ブロックから供給された前記動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより前記危険箇所の存在を可聴表示する報知音出力部の、少なくともいずれか一方と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
前記構造物周辺を流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記繋止ブロックは、
前記水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記発電ブロックからの前記動作電力を前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
マンホールの横穴部の内壁上部に取り付けられて、当該横部内を流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含み、
前記繋止ブロックは、
前記マンホールの縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、前記送電配線を介して供給された前記発電ブロックからの前記動作電力を、前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含む
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項6】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
側溝または河岸の壁面に取り付けられて、当該壁面に沿って流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含み、
前記繋止ブロックは、
前記壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記壁面に取り付けられて、前記送電配線を介して供給された前記発電ブロックからの前記動作電力を、前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記壁面に取り付けられて、前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記壁面周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含む
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項1】
水害発生時に危険箇所となりうる構造物に取り付けられて、当該構造物周辺に流出した水の水位の上昇に応じて当該危険箇所の位置を表示する水害時危険箇所表示システムであって、
前記水位の上昇に応じて水面に浮上して、前記危険箇所の存在を表示する表示ブロックと、
前記構造物周辺を流れる水の水流により動作電力を発電する発電ブロックと、
前記水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除し、当該表示ブロックと接続された配線ケーブルを介して前記発電ブロックから供給された前記動作電力を当該表示ブロックへ供給するとともに、前記配線ケーブルにより当該表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する繋止ブロックと
を備え、
前記表示ブロックは、前記配線ケーブルを介して供給された前記動作電力を用いて可視表示または可聴表示を行うことにより、前記危険箇所の存在を表示する
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記表示ブロックは、
当該表示ブロックを前記水面に浮上させるためのフロート部と、
前記発電ブロックから供給された前記動作電力により発光して前記危険箇所の存在を可視表示する発光部、前記水面に浮遊して前記危険箇所の存在を文字や図柄で可視表示する表示部、または前記発電ブロックから供給された前記動作電力により音声または信号音からなる報知音を出力することにより前記危険箇所の存在を可聴表示する報知音出力部の、少なくともいずれか一方と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
前記構造物周辺を流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記繋止ブロックは、
前記水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記発電ブロックからの前記動作電力を前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含むことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
マンホールの横穴部の内壁上部に取り付けられて、当該横部内を流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含み、
前記繋止ブロックは、
前記マンホールの縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、前記送電配線を介して供給された前記発電ブロックからの前記動作電力を、前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、当該縦穴部内での水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記縦穴部の内壁に取り付けられて、前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記構造物周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含む
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【請求項6】
請求項1に記載の水害時危険箇所表示システムにおいて、
前記発電ブロックは、
側溝または河岸の壁面に取り付けられて、当該壁面に沿って流れる水の水流により前記動作電力を発電する発電部と、
前記発電部で発電した前記動作電力を前記繋止ブロックへ送電する送電配線を収容する配管部と
を含み、
前記繋止ブロックは、
前記壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の上昇に応じて、予め保持しておいた前記表示ブロックの保持を解除する保持部と、
前記壁面に取り付けられて、前記送電配線を介して供給された前記発電ブロックからの前記動作電力を、前記表示ブロックと接続された前記配線ケーブルを介して前記表示ブロックへ供給する配電部と、
前記壁面に取り付けられて、当該壁面に沿った水位の変動に応じて前記配線ケーブルの繰出および収容を行うことにより、前記配線ケーブルの長さを調整する配線収容部と、
前記壁面に取り付けられて、前記配線収容部から繰出された前記配線ケーブルを前記構造物に沿って案内することにより、前記保持部で保持解除された前記表示ブロックを前記壁面周辺の水面に繋止する配線案内部と
を含む
ことを特徴とする水害時危険箇所表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−207396(P2012−207396A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72179(P2011−72179)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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