説明

水性コーティング組成物

【課題】硬化の際に実質的に水不透性である殺虫コーティング組成物。
【解決手段】少なくとも1つのフィルム形成結合剤及び少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬の水分散液を含んでなる殺虫コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、水性コーティング組成物、その適用のための方法、並びに害虫及び害虫ダメージから基材を保護するためのそのような組成物を用いるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シロアリは、セルロース食材を求めて家屋に侵入する。米国の財産に対するダメージは、年間約10億ドルに及ぶ。シロアリによる侵入から建物を保護するために様々な方法が用いられ、いったん侵入したシロアリを建物から除去するのにより多くの方法が用いられてきた。
【0003】
プラスチックシート、例えば防湿シート−DPM、防湿材、防湿剤の上にコンクリート平板を置く前の、基礎土壌表面への長期残留農薬の建築前の強力なスプレー適用により、市場は歴史的に支配されてきた。有機リン酸塩、例えばクロルピリホス、ピレスロイド、例えばシペルメトリンのような農薬が用いられてきた。より最近では、イミダクロプリド及びフィプロニルのような製品が用いられてきている。他の環境的により許容される居住地のシロアリ処理の方法、例えばシロアリの侵入に対して物理的バリアを確立する方法(例えば、ステンレス鋼メッシュ下敷き、厚い塗装、複合材料)が開発されてきた。これらは、通常農薬を含まなかった。
【0004】
おとりは、シロアリを防除するもう一つの方法である。おとりは、家の周辺、例えば10〜20フィート毎及び家から2フィートのところの地下に設置される。この方法は、コロニーを除去するのに最大で1年のかなりの時間を要する。これは、このシロアリのおとりにおける摂食、及びコロニーに戻り他のメンバーに毒を渡すこと、曝露された一部のコロニーを潰すことに依存する。しかし、おとりに誘引されないシロアリは、餌にする建物の木材を探し出し得る。
【0005】
他の技術としては、シロアリ防除剤を組み込むプラスチックフィルム又は複合フィルムシートのバリアとしての使用が挙げられる。この概念の欠点はとしては、長期の(従って、高価な)据え付け時間、及びいわゆる「地中貫通物(ground penetrations)」の効果的な密封の困難性が挙げられる。これらの地中貫通は、建物の基礎のハードコアベースを通って立ち上がり、建物内に入る地下のパイプ(水、熱、及び廃棄物用の)を設置しなければならない結果として起こる。シロアリの侵入に対するこれらの貫通物の密封は、このような系の重要な要素であり、同様の組成物の成形ポリマー製品の慎重な設置を必要とする。専門の設置技術者により慎重に実施される場合、全てのバリアは、シロアリがコンクリートの下地床スラブを通って家屋に侵入するのを非常に効果的に防ぐ。しかし、十分な注意が払われない限り、結合部の隙間と開口は避けられず、シロアリの通過地点ができてしまう。この方法は、明らかに時間がかかり、従って高価である。
【0006】
多くのこれらの方法において、形成されたフィルム又はコーティングの水に対する透過性及び殺虫剤の放出速度は、木喰虫の攻撃に対する耐性及びバリアの残留効果において、決定的な役割を果たす。
【0007】
真菌、昆虫及び代表的なダニ目、例えばシロアリ、木喰アリ、木喰虫及びクモに対する長期の残留効果を有し、低い環境インパクトの同様の利点を提供する、容易に設置される害虫耐性バリアに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1つのフィルム形成結合剤及び少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬の水分散液を含んでなる殺虫コーティング組成物を提供する;ここで、このような組成物から調製されたコーティングは、硬化の際に実質的に水不透性である。本発明のコーティング組成物は、抗微生物剤、非カプセル化農薬、又は他の添加物、例えばレオロジー制御剤、増粘剤、界面活性剤、顔料、充填剤、分散剤、凍結融解安定剤及び合体剤も含み得る。
【0009】
本発明は、更に、殺虫コーティング組成物を用いて基材をコーティングする方法、並びに当該組成物でコーティングした基材を提供する。本発明の殺虫コーティング組成物は、建設の前、間又は後において、専門家又は非専門家により、スプレー、塗装、ローリング、又はブラッシングによって基材に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明において、特定の用語及び特定の専門用語(当業者に一般的に知られている)は、簡潔さのために、並びに本発明の特徴及び利点を別の方法で明瞭にするために利用されるだろう。このような用語は、次のとおりに定義されるか、或いはさもなければ以下のものを意味することを意図している。
【0011】
本発明との関連において「水性」という用語は、水、又は任意に水と水混和性有機溶媒、例えばケトン、エステル、エーテル、環状アミド又はスルホキシドから選択される溶媒の混合物を含む水性溶媒系又は担体を意味すると理解される。これらの溶媒の具体例としては、アセトン、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、メチル−エチルケトン、乳酸ブチル、N−メチルピロリドン、エチレングリコール及びプロピレングリコールエーテル、例えば2−ブトキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールなどが挙げられる。上記に挙げた2つ以上の水混和性有機溶媒と水の混合物を用いることができる。1つの実施態様において、水性溶媒系は、多量の水と少量のそのような水混和性有機溶媒又は溶媒混合物の混合物を含む。別の実施態様において、水性は、少なくとも60%の水;又は、少なくとも70%の水;又は、少なくとも80%の水;又は、少なくとも90%の水;又は、少なくとも95%の水;又は、実質的に有機溶媒を含まない水を表す。
【0012】
「周囲温度」という用語は、約0℃〜約50℃;又は、特別には約15℃〜約32℃;又は、より特別には約20℃〜約25℃の温度を意味すると理解されるべきである。
【0013】
「分散液」という用語は、少なくとも1つの相が、「バルク」物質又は担体の全体に分配された、しばしばコロイドの粒径範囲の細粒から成り、当該細粒が「分散相」又は内相を提供し、バルク物質が「連続相」又は外相を提供する多相系を意味することが理解されるべきである。
【0014】
「ラテックス」という用語は、(i)水性懸濁エマルジョン重合プロセスとして生成される任意のポリマー製品を意味することが意図されており、その範囲内に合成ラテックスと天然ラテックスを含むこと;及び(ii)ポリウレタン分散液及びシリコーン分散液などの分散後の懸濁液を意味することが意図されている。
【0015】
「エマルジョン」という用語は、少量の「乳化剤」と呼ばれている(また、「界面活性剤」又は「石鹸」とも呼ばれている)物質により懸濁状態である2つ以上の非混和液の安定な混合物に関連することが当業者に理解される。全てのエマルジョンは、連続相と連続相の全体に分散した非連続相の双方を含むことが知られている。
【0016】
「エマルジョン重合」という用語は、約20〜1000ナノメートルの範囲の粒径を有する分散ポリマーを形成する水性媒体中でのモノマーの重合に関連することが当業者に理解される。
【0017】
「ガラス遷移温度」又は「Tg」という用語は、ポリマーのアモルファスドメインが「ガラス」状態の特性を呈する温度を表すことが、ポリマー化学分野の当業者により理解される。ここで、このようなポリマーガラス状態の特性としては、脆性、剛性(stiffness)及び剛性(rigidity)が挙げられる。
【0018】
「マイクロカプセル化農薬」という用語は、ポリマーコーティングの薄膜又はシェル物質によりコーティングされた、防除する害虫、例えば昆虫、真菌又はクモに対して致死的効果を有する(すなわち、適量のこのような化合物の適用が、かなりの部分の処理すべき害虫の死をもたらす)化合物(殺虫性有機リン化合物以外)の小さいな固形粒子又は液滴を意味すると理解される。一般に、マイクロカプセル化農薬(マイクロカプセル化農薬、マイクロカプセル化真菌剤又はマイクロカプセル化ダニ駆除剤)という用語は、0.1〜1000μmの直径を有する粒子を表すのに用いられる。
【0019】
「農薬製品」という用語は、単独又は1つ以上の非カプセル化農薬と組み合わせたマイクロカプセル化農薬との、活性及び不活性構成物質の組み合わせを意味する。
【0020】
「最小フィルム形成温度」又は「MFFT」という用語は、水性合成ラテックス又はエマルジョンを含む製剤化された組成物が、薄膜として基材上に塗布された場合に合体する最小温度を意味する。
【0021】
本発明のコーティングに関して本明細書中で用いる「実質的に水不透性である」という用語は、水に対して十分に水不透性である物質を指し、20℃でASTM D 870−02により確認した場合に、コーティングの中又は外への水の移動が実質的に存在しない。
【0022】
多くの追加の用語は、本特許明細書の本文により、以下で更に規定する。
【0023】
本発明は、様々な形態のいくつかの実施態様に影響を受けやすいが、以下で特定の具体的実施態様について詳細に説明する。この開示は、本発明の単なる例示に過ぎず、論じられる具体的な実施態様又は実施例に限定されるものではないことが理解される。
【0024】
本発明の一つの側面によると、シロアリなどの木材害虫に対して向上した抵抗性を有するコーティングが、少なくとも1つの水不溶性フィルム形成ポリマー結合剤及び少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬の分散液を含んでなる水性殺虫組成物から得ることができるということが発見された;ここで、そのような組成物から調製されるコーティングは、実質的に水不透性である。
【0025】
本発明の別の側面により、バリアコーティングの耐水性とコーティングした基材からの農薬の放出速度及び安定性の双方は、少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬を含むラテックス分散液を含んでなる水性殺虫組成物を標的基材に適用し、その後ラテックスを硬化させて、マイクロカプセル化農薬を含む実質的に水不透性ポリマーコーティングを基材の表面に形成させることにより、より良く制御され得ることが発見された。
【0026】
従って、1つの実施態様において、本発明は、水性担体中の少なくとも1つの水不溶性フィルム形成ポリマー結合剤及び少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬の分散液を含んでなる殺虫コーティング組成物を提供する;ここで、このような組成物から調製されるコーティングは、硬化により実質的に水不透性である。
【0027】
ポリマー成分を含んでなる本殺虫水性コーティング組成物のフィルム形成部分は、「結合剤」と呼ばれ、水性担体中に分散される。結合剤としては、一般的に、組成物の全ての通常固形のポリマー非液体成分が挙げられる。一般的に、マイクロカプセル、顔料、農薬、化学添加物、例えば安定剤又は分散補助剤及び充填剤は、結合剤の一部とはみなされない。
【0028】
結合剤は任意の量で存在することができるが、硬化フィルム又はコーティングを形成するのに用いられる組成物中の結合剤の濃度は、標的基材への水性コーティング組成物の容易な処理及び適用(例えば、スプレーにより)、並びにフィルムの完全な分配により標的基材が実質的に覆われるようにすることを可能にするように十分低くあるべきである。しかし、コーティング技術の他のパラメーターと組み合わせて用いる場合、組成物のドリッピング又はプーリングによる基材からのポリマーの損失を避け、ドライダウン(drydown)により密着した頑丈なフィルムを提供するために、濃度は十分高くあるべきである。
【0029】
1つの実施態様において、組成物中のフィルム形成有効量の結合剤は、硬化コーティングを調製するのに十分であり、それは、少なくとも約50重量%の結合剤;特別には、少なくとも約60重量%;より特別には、少なくとも約75重量%、最も特別には、少なくとも約80重量%の最終的な硬化コーティングを含んでなる。
【0030】
1つの実施態様において、組成物のフィルムが硬化する時点での乾燥コーティング中の殺虫生成物に対するポリマーの比は、少なくとも70:30 ポリマー:殺虫生成物、特別には80:20 ポリマー:殺虫生成物、より特別には、85:15 ポリマー:殺虫生成物である。
【0031】
1つの実施態様において、繊維などの非結合剤固体は、コーティング組成物の粘着及び流動特性を改善するために添加される。適切な繊維の中で、ガラス繊維が挙げられる。繊維は、乾燥の間に標的基材の傾斜又は垂直表面上で液体表面コーティングが垂れるのを防ぎ、乾燥フィルムのロバスト性及び構造的完全性を向上させる。
【0032】
他の非結合剤固体としては、充填剤、例えばクレイ、炭酸カルシウム、及び二酸化チタンが挙げられる。
【0033】
結合剤として用いることのできるポリマーは、硬化により実質的に水不透性コーティングを形成することのできるものである。
【0034】
コーティングが実質的に水不透性であると言う場合には、それは、適切な耐水性試験(例えば、ASTM法 D 870−2)により試験するのが最も良い。低い水透過性を有するコーティングが提供する利点の中には、環境中での水溶解分散による農薬の損失が減少されることがある。結合剤ポリマーが、組成物中で用いられるマイクロカプセルの壁面中のポリマーと相性の良いものである場合も有利である。
【0035】
1つの実施態様において、結合剤は、合体又は硬化して水に対して実質的に不透性であるコーティングとなるラテックスである。結果として生じるMFFT、又は事前に選択された範囲内の硬化組成物のフィルム形成温度を有し、それにより実質的に水不透性であって所望の量までコーティングからの農薬の放出速度を遅らせるコーティングを提供するように、水性コーティング組成物から形成されるコーティングは選択される。MFFTの範囲は、そのような生成物に対する適用技術の範囲にわたって達成される適当な周囲温度であるだろう。1つの実施態様において、これは0〜50℃であるだろう。別の実施態様において、組成物のMFFTは、約15℃〜約32℃である。このフィルム形成温度は、ポリマータイプの選択(Tgなどにより)だけでなく、組成物中の他の成分、例えば界面活性剤、合体剤などによっても調節することができる。
【0036】
本発明の水性コーティング組成物中で用いられるラテックス分散液は、様々なポリマー及び共重合体及びそれらの組み合わせから得られる。組成物中での使用に適したラテックスは、スチレン、アルキルスチレン、イソプレン、ブタジエン、アクリロニトリル、低級アルキルアクリル酸塩、塩化ビニル、塩化ビニリデン、低級カルボン酸のビニルエステル及びアルファ、ベータ−エチレン性不飽和カルボン酸のポリマー及び共重合体、例えばその中に3つ以上の異なるモノマー種を含むポリマー、並びにシリコーン又はポリウレタンの分散後懸濁液を含んでなる。
【0037】
1つの実施態様において、分散液中のポリマー粒子の大きさは、0.03〜20ミクロン、より特別には0.1〜10ミクロンの範囲である。本発明は、二峰性又は多峰性粒径分布を有するラテックス分散液も意図する。
【0038】
本発明の別の側面において、少量、例えば0〜10重量パーセントの多官能性モノマーの結合剤を用いて、ラテックスポリマーを架橋し、必要であれば、耐水性及び農薬放出特性を改善することができる。1つの実施態様において、多官能性モノマーは二官能性である。
【0039】
必要であれば、本明細書中に記載したラテックス結合剤は、他の既知の成分、例えば可塑剤、乳化剤、安定剤、硬化剤、充填剤、酸化防止剤、消泡剤、染色アジュバント(dying adjuvant)、平滑化剤(levelling agent)、顔料、又は他の配合助剤と配合又はその中に混合することができる。更に、増粘剤(thickener)又は増粘剤(bodying agent)は、ポリマーラテックスに添加して、ラテックスの粘度を制御し、それにより所望の具体的な適用に適した流動特性を達成することができる。このような物質は、当業界で周知である。
【0040】
本明細書中のコーティング組成物及び硬化コーティングの非フィルム形成成分は、少なくとも1つのマイクロカプセル化農薬及び任意に1つ以上の非マイクロカプセル化農薬を含んでなる少なくとも1つの農薬製品を更に含んでなる。農薬製品のマイクロカプセル化農薬部分は、硬化コーティングの少なくとも1重量%の量で存在する。組成物中に存在する任意の非マイクロカプセル化農薬の量は、硬化組成物中に存在する全ての農薬製品の0〜99重量%の量で利用される。
【0041】
1つの実施態様において、殺虫剤、ダニ駆除剤及び殺真菌剤を含む水性組成物及び硬化フィルムコーティング中の農薬製品は、所望される最終用途の活性レベルに依存した比率で利用される。例えば、1つの実施態様において、農薬製品に適した比率は、そのような農薬製品の現行製品ラベルに付された現行比率である。
【0042】
本発明のコーティング組成物及び硬化コーティング中での使用に適したマイクロカプセル化農薬活性成分は、当業界で周知の任意の適した方法により調製される。例えば、物質をマイクロカプセル化するための様々な方法は、これまで開発されてきた。これらの方法は、3つのカテゴリー−物理的方法、相分離及び界面反応に分けることができる。物理的方法のカテゴリーにおいては、マイクロカプセル壁物質及び中心粒子は物理的に一緒にされ、壁物質は中心粒子の周りを流動し、マイクロカプセルを形成する。相分離のカテゴリーにおいては、マイクロカプセルは、壁物質が溶解し連続相からの物理的な分離が引き起こされる非混和連続相中での中心物質の乳化又は分散により、例えばコアセルベーションにより形成され、中心粒子の周りに析出する。界面反応のカテゴリーにおいては、マイクロカプセルは、中心物質を非混和連続相中に乳化又は分散することにより形成され、その後界面重合反応が中心粒子の表面で生じる。マイクロカプセル中に存在する殺虫活性成分の濃度は、マイクロカプセルの0.1〜60重量%で変わり得る。
【0043】
1つの側面において、適切なマイクロカプセル壁物質は、ポリウレタン、アミノプラスト、ポリウレタン及びポリアミドから選択される。
【0044】
1つの実施態様において、適切なシロアリ防除剤を含むポリ尿素マイクロカプセルは、米国特許第4,285,720号中で例示されているように調製され、これはプレポリマーとして少なくとも1つのポリイソシアネート、例えばポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPPI)及び/又はトリレンジイソシアネート(TDI)の使用を伴う。ポリ尿素マイクロカプセルの生成において、壁形成反応は、エマルジョンを加熱して、イソシアネートポリマーが接触面で加水分解しアミンを形成する温度まで上昇させることにより開始し、次に未加水分解ポリマーと反応させて、ポリ尿素マイクロカプセル壁を形成させる。
【0045】
水性コーティング組成物及び硬化コーティング中での使用に適した殺虫剤、シロアリ防除剤又はダニ駆除剤活性成分としては、ピレトリン及び合成ピレスロイド;、ビスアマイド、オキサジジン(oxadizine)誘導体;クロロニコチニル;ニトログアニジン誘導体;ピロール;ピラゾール;フェニルピラゾール;ジアシルヒドラジン;生物学的/発酵産物;カルバメート及びこれらのタイプの化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
1つの側面において、本発明の水性組成物及び硬化コーティング中での使用に適した殺虫剤、シロアリ防除剤又はダニ駆除剤としては、テフルトリン、ペルメトリン、ラムダシハロトリン、レスメトリン、デルタメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、シフルトリン、デルタメトリン、クロルピリホス、フェノキシカルブ、ダイアジノン、ジクロロフェン、メチルイソチオシアネート、ペンタクロロフェノール、トラロメトリン、クロルフェナピル、フィプロニル、ネオニコチノイド及びこれらの化合物の組み合わせが挙げられる。適切なネオニコチノイドの例としては、チアメトキサム、ニテンピラム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、及びチアクロプリドが挙げられるが、これらに限定されない。殺虫性有機リン化合物、例えばピリミホス−メチル、ピリミホス−エチル、クロルピリホス、ジアジノンなどは、本発明の使用に適したマイクロカプセル化農薬の中に含まれない。
【0047】
マクロカプセル中での使用のための1つの具体的なクラスの農薬は、シハロトリンのクラス、例えばラムダシハロトリン及びガンマシハロトリンである。上記の通り、農薬に適した比率は、このような農薬を含む農薬製品のための現行の製品ラベルに付された現行比率である。
【0048】
本発明の組成物中に含まれ得る殺真菌化合物の例は、AC382042(N−(1−シアノ−l,2−ジメチルプロピル)−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロ−ピオナミド)、アシベンゾラル−S−メチル、アラニカルブ、アルジモルフ、アニラジン、アザコナゾール、アザフェニジン、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ビロキサゾール(biloxazol)、ビテルタノール、ブラストサイジンS、ボスカリド(ニコビフェンに対する新規の名前)、ブロムコナゾール、ブロノポール、ブピリメート、カプタホル、キャプタン、カルベンダジム、カルベンダジムクロロハイドレート、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CGA41396、CGA41397、キノメチオネート、クロロベンゾチアゾン(chlorbenzthiazone)、クロロタロニル、クロロゾリネート(chlorozolinate)、クロジラコン、銅を含む化合物、例えばオキシ塩化銅、銅オキシキノレート(copper oxyquinolate)、硫酸銅、銅タレート(coppertallate)、及びボルドー液、シアミダゾスルファミド(cyamidazosulfamid)、シアゾファミド(IKF−916)、シフルフェナミド、シモキサニル、シブロコナゾール、シプロジニル、デバカルブ、ジ−2−ピリジルジスルフィド1,1’− 二酸化物、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフェンゾコート、ジフルメトリム、ジョードメチル−p−トリルスルフォン(DowのAmical) O,O−ジ−イソ−プロピル−S−ベンジルチオリン酸塩、ジメフルアゾール、ジメトコナゾール、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ジチオカルバミン酸、ドデシルジメチルアンモニウム塩化物、ドデモルフ、ドジン、ドクグアジン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エチル(Z)−N−ベンジル−N([メチル(メチル−チオエチリデンアミノオキシカルボニル)アミノ]チオ)−β−アラニナート、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル(AC382042)、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトバー、フルモルフ、フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、ホセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒドロキシイソキサゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバミン酸塩(IBPC)、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロパニルブチルカルバミン酸塩、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、LY186054、LY211795、LY248908、マンコゼブ、マネブ、MBTメフェノキサム、メパニピルム、メプロニル、メタラキシル、メタラキシルM、メトコナゾール、メチラム、メチラム−亜鉛、メトラフェノン、MON65500(N−アリル−4,5−ジメチル−2−トリメチルシリルチオフェン−3−カルボキサミド)、ミクロブタニル、NTN0301、ネオアソジン(neoasozin)、ニッケルジメチルジチオカルバミン酸塩、ニトロサール(nitrothale)−イソプロピル、ヌアリモル、2−O−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(Skane M 8 Rohm & Hass)、オフレース、有機水銀化合物、オキサジキシル、オキサスルフロン、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、フェナジン(phenazin)酸化物、リン酸、フタリド、ピコキシストロビン、ポリオキシンD、ポリラム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロピオン酸、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラゾホス、ピリチオン亜鉛及びピリチオンナトリム(Arch Chem.のオマジン化学)、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシフル(pyroxyfur)、ピロールニトリン、第4級アンモニウム化合物、キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム(MON65500)、S−イマザリル、シメコナゾール、シプコナゾール、ナトリウムペンタクロロフェネート、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チフルザミド、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、チミベンコナゾール(timibenconazole)、トルクロホス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシンA、べ−パム、ビンクロゾリン、XRD−563、ジネブ、ジラム、ゾキサミド及び以下の式の化合物である。
【化1】

【0049】
水性コーティング組成物及び硬化コーティング中での使用に適した特定の殺真菌剤の例としては、アゾール、例えばシブロコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾール及びジフェノコナゾール;ストロビルリン、例えばアゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフィオキシストロビン(trifioxystrobin);クロロタロニル;及び、チアベンダゾールが挙げられるが、これらに限定されない。上記の通り、1つの実施態様において、殺真菌剤に適した比率は、そのような殺真菌剤を含む農薬製品の現行製品ラベルに付された現行比率である。
【0050】
細菌及び他の微生物の問題は、例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、サルモネラ(Samonella)(チフィムリウム(typhimurum))、キャンピロバクター・リステリア(Campylobacter. Listeria)、シュードモナス(Pseudomonas)、クレブシエラ(Klebsiella)から生じる。水性コーティング組成物及び硬化コーティング中での使用に適した抗微生物及び/又は抗細菌剤の例としては、トリクロサン及びトリクロカルバム(trichlocarbam)が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗細菌剤は、技術物質(technical material)の懸濁液、適切には挽いた技術物質として、或いは薬剤がポリマーラテックス中に吸収され、それにより硬化フィルム全体に分配される方法で、ラテックスポリマー組成物に添加することができる。
【0051】
1つの実施態様において、マイクロカプセル化農薬(任意に、少なくとも1つの非カプセル化農薬、例えば殺虫剤及び殺真菌剤を含む)は、組成物から調製されるコーティングの近接に接触又は入る害虫、例えば節足動物に対する効果的なバリアを提供する量でコーティング組成物中に存在する。当業者が認識し得るように、正確な量は、用いるマイクロカプセルのタイプ、コーティングする基材並びにコーティングの厚さ及び方向(水平又は垂直)を含む因子に依存して変わるだろう。コーティングの殺虫剤は、早い時期に分散してはならず、建物又は他の建造物の木材部分に潜在的なダメージをもたらし得る標的昆虫寿命の期間有効であるべきである。当業者は、この期間が他の因子の中で標的昆虫に依存して変わるだろうことを認識するだろう。一般的に、コーティングは、硬化後、表面処理に関しては少なくとも1年、スラブ(コンクリート)下の処理に関しては少なくとも5年有効であるだろう。本発明のバリアコーティングは、殺虫有効量の殺虫剤を含むだろう。本明細書中で用いられる殺虫有効量は、害虫を殺し、或いは害虫によりもたらされるダメージの量を確実に減少又は遅延させる殺虫剤の量を意味する。
【0052】
1つの側面において、標的害虫としては、昆虫及び代表的なダニ目、例えばシロアリ、アリ(例えば、カーペンターアント(carpenter ant))及びクモを含む害虫が挙げられる。より具体的には、本発明の組成物及び方法により防除され得るシロアリとしては、例えば、レティキュリテルメス種(Reticulitermes spp.)、例えばR.フラビペス(R.flavipes)、R.ヘスペルス(R. Hesperus)、R.チビアリス(R.tibialis)、R.バージニカス(R.virginicus)、R.サントネンシス(R.santonensis)及びR.ハゲニ(R.hageni)、並びにコプトテルメス種(Coptotermes spp.)、例えばC.ホルモサヌス(C.formosanus)が挙げられる。
【0053】
標的真菌の例:アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、アルテルナリア・テヌシマ(Alternaria tenuissima)、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、アルペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・レペンス(Aspergillus repens)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、クラドスポリウム・ヘルバラム(Cladosporium herbarum)、クラドスポリウム・スファエロスペルマム(Cladosporium sphaerospermum)、コニオホラ・プテアナ(Coniophora puteana)、クルブラリア・ゲンチクラタ(Curvularia genticulata)、ジプロジア・ナタレンシス(Diplodia natalensis)、エピデルモフィトン・フロコサム(Epidermophyton floccosum)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、グリオクラジウm・ビレンス(Gliocladium virens)、グロエオフィルム・トラベウム(Gloeophyllum trabeum) フミコラ・グリセア(Humicola grisea)、レシトフォラ・ムタビリス(Lecythophora mutabilis)、レンチヌス・シアチホルミス(Lentinus cyathiformis)、レンチヌス・レピダス(Lentinus lepidus)、メンニオネラ・エチナタ(Memnionella echinata)、ムコル・インジカス(Mucor indicus)、ムコル・ラセモサス(Mucor racemosus)、オリゴポルス・プラセンタ(Oligoporus placenta)、パエシクロマイセス・バリオチ(Paecilomyces variotii)、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・オクロクロロン(Penicillium ochrochloron)、ペニシリウム・プルプロゲナム(Penicillium purpurogenum)、ペニシリウム・ピノフィラム(Penicillium pinophilum)、ペニシリウム・バリアビル(Penicillium variabile)、ペトリエラ・セチフェラ(Petriella setifera)、パネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フォマ・ビオラセア(Phoma violacea)、ポリア・プラセンタ(Poria placenta)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、シゾフィラム・コムネ(Schizophyllum commune)、スクレロホマ・フィチオフィラ(Sclerophoma phytiophila)、スコプラリオプシス・ブレビカウリス( Scopulariopsis brevicaulis)、セルプラ・ラクリマンス(Serpula lacrymans)、スポロボロマイセス・ロゼウス(Sporobolomyces roseus)、スタチボトリス・アトラ(Stachybotrys atra)、スタチボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ソテムフィリウム・デンドリチカム(Stemphylium dendriticum)、トリコフォトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリキュラス・スピラリス(Trichurus spiralis)、トリコフォトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)、ウロクラジウム・アトラム(Ulocladium atrum)及びウロクラジウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)。 特に以下のものに関する:アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata)、アルテルナリア・テヌシマ(Alternaria tenuissima)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、コニオホラ・プテアナ(Coniophora puteana)、グロエオフィルム・トラベウム(Gloeophyllum trabeum)、メンニオネラ・エチナタ(Memnionella echinata)、ムコル・インジカス(Mucor indicus)、オリゴポルス・プラセンタ(Oligoporus placenta)、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・ピノフィラム(Penicillium pinophilum)、スクレロホマ・フィチオフィラ(Sclerophoma phytiophila)、スタチボトリス・アトラ(Stachybotrys atra)、スタチボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、及びウロクラジウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)。
【0054】
適用方法、例えばスプレー、ミスティング(misting)、アトマイジング(atomising)、散布、ブラッシング、コーキング、塗布、浸漬又は注入、及び組成物の性質は、意図した目的及び現況に適するように適合される。特定の標的基材及び一組の昆虫圧力条件に対する、本発明の組成物の適用の最適な程度は、容易に且つ過度の実験をせずに、木材、例えば木材建築物、及び土壌に接触した木材、例えばフェンスポスト、電柱、鉄道枕木及び木質支持体(これらは、1つ以上の真菌又は木材害虫、例えば木材破壊真菌、シロアリ、アリ及び他の木喰虫(これらに限定されない)の作用により構造的に分解され得る)において実施される単純な範囲決定試験によって決定することができる。
【0055】
1つの実施態様において、本発明の組成物は、基材、例えば清潔で乾燥した表面、典型的には、コンクリート、セメント又はプラスチック表面、例えばDPM(防湿シート)、蒸発又は蒸気バリア又は遅延材、並びに建造物、例えば家屋、建物、公共の貫通物(utility penetrations)、及び木材建造物の中又は周りに適用される。DPMは、単純なポリエチレン膜、化学的にエッチングされたポリエチレン(例えば、より大きな湿潤のためのコロナ処理ポリエチレン、実質的なポリエチレンシートに対するポリマーフィルム)、又は強化構造化多層ポリエチレンシート、例えばReef Industries, Inc.(Houston,TX)からトレードネームGRIFFOLYN(登録商標)で販売されている製品であることができる。1つの実施態様において、フィルムは標的基材上で形成される。例えばバストラップ(bathtrap)の周りのいくつかの標的基材に対して、厚さはより大きくあることができ、実際に、それはコーティングし、空きスペースを実質的に満たすのに用いることができる。
【0056】
コーティング組成物のフィルムが、標的基材に適用された後、それは硬化しポリマーコーティングを形成する。フィルム又はコーティングが「硬化される」と言われる場合、又はフィルム又はコーティングを「硬化する」ことが言及される場合、結合剤の固形コーティングが、水性組成物中の結合剤から形成されることが意味される。硬化は、しばしば、水性組成物からの液体の乾燥の結果であり、合体、化学反応、吸着、隔離、又は当業界で知られた他の形態のポリマー効果により達成することもできる。化学反応は、適切な架橋モノマーのポリマー系への組み込みによる乾燥フィルムの架橋を含み得る。架橋モノマーは、少なくとも2つの重合性基、例えばビニル基を含む。適切なモノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、1,14−テトラデシルジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、クロトン酸ビニル、ジビニルエーテル、1,3,5−トリアリルトリアジントリオン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。他の反応性は、乾燥工程により誘導される変動性化学の組み込みより誘導され得る。外部架橋剤を用いる場合、それは一般的にポリマー中の荷電基と相互作用する荷電基を含む化合物である。適切な架橋剤は、金属(例えば、Mg、Ca、Mn又はZn)陽イオン又は二座若しくは多座配位アミン基を含む。他の外部架橋剤は、非金属性の有機化合物、例えばトリエチレンテトラアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン及びビス(第4級アンモニウム)塩である。いくつかの外部架橋剤は、コーティングが調製されるまで効果を有さない、例えば陽イオンはアンモニア複合体として存在することができ、乾燥段階でアンモニアが除去されるまで効果を有さない。このように、Zn(NH32+イオンを含む水性溶液は、この方法で用いることができる。外部架橋は、架橋モノマーと組み合わせて用いることができる。
【0057】
バリアコーティング組成物は、基材上にコーティングされる場合、シロアリの摂食行動に対して耐性を示す。例えば、シロアリがコーティング上で摂食することを試みる場合、それらはそれが美味しくないことを見出し、或いは死をもたらす。死をもたらすか、或いは美味しくなくするコーティング組成物中で用いられる主な成分は、マイクロカプセル化農薬である。しかし、硬化した物理的なバリアコーティングは、摂食を阻害することにより、節足動物のような昆虫、例えばシロアリ及び木喰虫に対するこの保護に対しても相乗的に寄与する。
【0058】
以下の実施例は、本発明の範囲内の具体的な実施態様を説明する。特許請求の範囲の範囲内の他の実施態様は、明細書又は本明細書中に開示された本発明の実施を考慮することにより、当業者に対して明らかであろう。実施例に続く特許請求の範囲により示唆される本発明の範囲及び精神と共に、実施例と共に明細書は例示としてのみ考慮されることが意図されている。実施例において、全てのパーセンテージは、別段断りのない限り重量ベースで与えられる。
【実施例】
【0059】
実施例1−スプレー可能なコーティングは、以下の方法で調製される:
Neopac E106(芳香族ポリウレタン−アクリル共重合体、889g)、及びScimitar(登録商標)GC(Demand(登録商標)10 CSとしても知られる) (9.7%のラムダシハロトリンカプセル懸濁液(CS)製剤、100.6g)(Syngenta)を、オーバーヘッドのパドルスターラーミキサーを用いて共に混合し、室温で均質な分散液を形成する。Acrysol RM−8W、結合増粘剤(12.7g)を分散液に添加し、組成物を室温で24時間回し、完全な分散及び増粘を確実にする。
【0060】
実施例2−
Neopac E106をPOLIDENE 33−004(Scott Bader Companyから入手可能な高いVdC含量を含む塩化ビニリデン共重合体の水性エマルジョン 1080.3g)で置換し、Tafigel PUR 41(PUレオロジー改質剤、9.90g)で増粘することを除いて、実施例1の手順を繰り返す。
【0061】
実施例3−
Neopac E106をNeocryl A−1049(アニオン安定化アクリル共重合体、194.5g)で置換し、2−ブトキシエタノール(合体剤、19.45g)とScimitar GC(7.94g)をオーバーヘッドのパドルスターラーを用いて共に混合することを除いて、実施例1の手順を繰り返す。Optiflow H370(非イオン性結合増粘剤、3.9g)を、この均質な分散液に添加し、組成物が完全に増粘するまでパドル撹拌を更なる時間継続した。
【0062】
実施例4−マイクロカプセル化ラムダシハロトリンを、以下のように調製する:
高度に架橋したカプセル
5.69gの溶融ラムダ−シハロトリン技術物質(85%w/wのラムダ−シハロトリン)を3.13gのSolvesso 100に添加することにより、Solvesso 100(芳香族溶媒、Exxon)中のラムダ−シハロトリンの55%w/w溶液を作製した。これに、1.03gのポリアルキレンポリフェノールイソシアネート「PAPI」(Suprasec 5025、Huntsman)及び0.34gのトルエンジイソシアネート「TDI」技術物質(80%w/w、Aldrich)を添加した。この混合物は、油相として知られている。
【0063】
高度のせん断混合により29.71gの脱イオン水中に分散させた0.49gのCevol 205(88%の加水分解ポリビニルアルコール、Celanese Chemicals)を含む水相を調製する。これに、0.25gのSynperonic A7(C13/15 アルコールエトキシレート、7モル エトキシル化、Uniqema)を混合しながら添加した。混合を継続し、油相をエマルジョン相にゆっくりと添加し、混合速度を調整して、5μm〜20μmの中央粒径を得る。
【0064】
その後、反応容器の温度を60℃まで上昇させて、壁形成反応を開始させ、3時間低せん断混合と共に温度を保持した。その後、0.4gの35%のアンモニア溶液(Aldrich)を添加して、任意の未処理イソシアネートを急冷し、更に30分間混合物を撹拌した。1Mの硫酸を用いてpH7に調節する前に、混合物を室温まで冷却した。
【0065】
アミノプラストカプセル
11.70gの溶融ラムダ−シハロトリン技術物質(85%w/wのラムダ−シハロトリン)を6.54gのSolvesso 100に添加することにより、Solvesso 100(芳香族溶媒、Exxon)中のラムダ−シハロトリンの55%w/wの溶液を作製した。これに、2.32gのブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂(Cymel U−80、Cytec)及び0.34gのペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)(Q43、Aldrich)を添加した。この混合物は、油相として知られている。
【0066】
18.82gの脱イオン水に溶解した1.00gのPVA(Gohsenol GL05)及び0.05gのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(Petro Baf、pilot chemicals)を含んでなる水相を調製した。油相をエマルジョン相にゆっくりと添加し、混合速度を調整して、5μm〜20μmの中央粒径を得た。硫酸の添加により、pHをpH2に調節し、3時間撹拌を続けながら、温度を50℃まで上昇させた。冷却後、水酸化ナトリウムを用いてpHをpH5.5に調節した。
【0067】
トリクロサンSC
技術的トリクロサン(5g)を、キシレン(10g)及びN−メチルピロリドン(5g)、界面活性剤(Atlox 4991−5g)と混合した。この混合物を、ポリマー分散液(Vinamul 3652)30g及び水(45g)に添加し、24時間で平衡にさせた。これを、トリクロサンEWとして用いた。
【0068】
実施例5−34−殺虫ラテックスコーティングを以下の方法において調製する
規定量のマイクロカプセル化農薬(又は、規定した他の生成物)を、適切なラテックスポリマー及び(適用可能な場合には)合体剤及び適切な不活性物質に添加することにより、以下の試料を調製した。その後、混合物を十分に振盪し、1時間回転させ、物理的適合性を視覚により評価した。その後、少量の各混合物をスライドガラス上に塗布し、乾燥させて、ラムダ−シハロトリンなどの一般的な濃度の殺虫剤を有する乾燥フィルムを生成した。フィルム形成の特性及び乾燥フィルムのフィルム特性を、3日後に評価した。
試験した全ての生成物は、優れたフィルム形成を有する優れた物理的適合性を示し、スライドグラス上で高度に粘着性のフィルムを得た。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
実施例35−
実施例1の組成物を、実験室の塗工機により、ポリエチレンシート(1辺が約50cmの正方形)基材上にコーティングし、Forestry Serviceシロアリ試験において試験した。穴が開けられた打ち放しコンクリートスラブ(1辺が約50cmの正方形)の下にこれらの正方形を置いた。木材の適切な試料を、この穴の中に、処理したプラスチックシートに接触させて置いた。その後、木製試料への大雨を避けるために、当該試験をカバーした。16ヶ月後、実験的処理は、シロアリによるダメージを全く示さず、一方他のコントロール処理は、顕著にダメージを受けていた(実際に、試験を開始した最初の月に攻撃を示した)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1のマイクロカプセル化農薬及び少なくとも1つのフィルム形成結合剤の水分散液を含んでなるコーティング組成物であって、当該組成物から調製したコーティングが、20℃でのASTM D 870−2によると実質的に水不透性である前記コーティング組成物。
【請求項2】
殺虫有効量のマイクロカプセル化農薬及びフィルム形成有効量のポリマー結合剤を含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
マイクロカプセル壁がポリ尿素を含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
マイクロカプセル壁がアミノプラストを含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
マイクロカプセル壁がポリウレタンを含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
マイクロカプセル壁がポリアミドを含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
結合剤が少なくとも1のラテックスポリマーを含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
ラテックスポリマーが、スチレン、アルキルスチレン、イソプレン、ブタジエン、アクリロニトリル、低級アルキルアクリレート及びメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、低級カルボン酸のビニルエステル及びアルファ、ベータ−エチレン性不飽和カルボン酸並びにシリコンのポリマー、共重合体及びターポリマーから選択されるポリマーを含んでなる、請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
結合剤が水性ポリウレタン分散液を含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
結合剤が0.03〜20ミクロンの粒径を有するポリマー分散液を含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
結合剤が0.1〜10ミクロンの粒径を有するポリマー分散液を含んでなる、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
結合剤が、少なくとも約50重量%の結合剤を含んでなる硬化コーティングを調製するのに十分な量でコーティング組成物中に存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
少なくとも1の多官能性モノマーを更に含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
少なくとも1の二官能性モノマーを更に含んでなる、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
抗微生物剤、非カプセル化農薬、レオロジー制御剤、増粘剤、界面活性剤、顔料、充填剤、分散剤、凍結融解安定剤及び合体剤から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含んでなる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
充填剤が、クレイ、炭酸カルシウム、ガラス繊維及び二酸化チタンから選択される、請求項18に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
抗微生物剤がトリクロサンである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
組成物から調製される硬化フィルムが、0〜50℃のMFFTを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
(a)殺虫有効量の少なくとも1のマイクロカプセル化農薬及びフィルム形成有効量の少なくとも1のポリマー結合剤の水分散液を含んでなるコーティング組成物を表面に適用すること、及び(b)適用した組成物を合体させてバリアを形成することを含んでなる、表面にバリアを供するための方法。
【請求項20】
請求項1に記載のコーティング組成物で建築材料を保護する方法であって、建築材料の少なくとも1つの表面に組成物を適用することを含んでなる前記方法。
【請求項21】
建築材料が、木材、複合木材、石こうボード、セルロース断熱材、セメント若しくはセメント複合材、コンクリートブロック、天井タイル、公共の貫通物(utility penetrations)、又は他の合成材料を含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
建築材料が、防湿シート又は蒸発遅延剤を含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
防湿シート又は蒸発遅延剤を、組成物の適用の前にコロナ処理する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項19又は20に記載の方法により調製した、害虫の侵入に対するバリア。
【請求項25】
マイクロカプセル化農薬が殺虫剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
マイクロカプセル化殺虫剤がシロアリ防除剤である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
マイクロカプセル化農薬が殺真菌剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも1つの非カプセル化農薬を更に含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
マイクロカプセル化農薬がシロアリ防除剤である、請求項19に記載の方法。

【公開番号】特開2013−76084(P2013−76084A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−282951(P2012−282951)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2007−548890(P2007−548890)の分割
【原出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】