説明

水性メイクアップ化粧料

【課題】
化粧もちが良好で、密着性に優れ、パールの光沢感が高く、均一な化粧膜に仕上がる化粧効果に優れた水性メイクアップ化粧料を提供する。
【解決手段】
(A)ジェランガム及び/又はペクチン、(B)特定の含フッ素共重合体、(C)水、(D)光輝性粉体を配合したことを特徴とする水性メイクアップ化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料に関し、更に詳しくは、ジェランガム及び/又はペクチンと特定の含フッソ共重合体と水と光輝性粉体を配合することにより、化粧持ちが良好で、肌への密着性の良さ、パールの光沢感に優れ、均一な化粧膜に仕上がる化粧効果に優れた水性メイクアップ化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料は、まぶたや頬に塗布し、陰影を付けたり、化粧効果を演出するためにパールの光沢感が高いものが求められている。水と水性のゲル化剤を用いてゲルを形成した基剤に光輝性粉体を配合した水性メイクアップ化粧料は、基剤のもつ透明感のある光沢感、水々しさを演出することができ、市場で好まれている。水性メイクアップ化粧料は、水性のゲル化剤、粉体、水からなり、化粧料として求められる使用感、及び機能性を向上させるために、剤型や成分の配合検討が行われてきた。
【0003】
水性メイクアップ化粧料としては、ジェランガムやペクチンをゲル化剤としたものが、透明感や水々しさの点で優れる為にこれまでにも検討がなされている。例えば、ジェランガムやアクリル酸アルキル共重合体ポリマーエマルション等の水性の増粘・ゲル化剤とパール光沢粉体を配合して、パール光沢粉体の光学的効果を得る技術(特許文献1)等がある。
しかしながら、こうした化粧料は肌への付着が弱く、汗に弱いため化粧持ちに欠ける傾向があり、特に粒径が大きいパール光沢粉体は、剥がれ落ちるなど化粧持ちに満足できるものではなかった。化粧持ちを向上させる検討として、例えば、ネイティブジェランガムとパール系色材にポリエーテル変性シリコーン等の皮膜形成剤を配合した技術(特許文献3)では、化粧持ちは向上するものの、ポリエーテル変性シリコーンは水系に分散しづらく、化粧膜が不均一になるという傾向があった。ジェランガムとグリセリンを配合する技術(特許文献2)では、水系への分散性がよく、均一な化粧膜が得られるが、汗に弱く化粧持ちについては、いまひとつ満足に欠けるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−97148号公報
【特許文献2】特開2004−292375号公報
【特許文献3】特開2008−273877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑み、本発明は、化粧もちが良好で、密着性に優れ、パールの光沢感が高く、均一な化粧膜に仕上がる化粧効果に優れた水性メイクアップ化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ジェランガムを用いた水々しい感触の水性メイクアップ化粧料に、肌への付着性が高く、汗や皮脂に強く、水系への分散性が良い接着性の成分を配合することで化粧持ち効果を高めることが出来ると考え、種々の成分の配合検討を行ったところ、親水基を有する特定の含フッ素共重合体を配合することで、肌への密着性が高く、柔軟な化粧膜を形成するため化粧持ちに優れ、更にその水系への分散性の良さにより均一な化粧膜に仕上がることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)ジェランガム及び/又はペクチン、(B)特定の含フッ素共重合体、(C)水、(D)光輝性粉体を配合したことを特徴とする水性メイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、化粧持ちが良好で、肌への密着性が高く、パールの光沢感が高く、均一な化粧膜に仕上がる化粧効果に優れた水性メイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の水性メイクアップ化粧料に用いられる成分(A)ジェランガム及び/又はペクチンは水で膨潤させることで、弾力のあるゲルを形成する多糖類の水性ゲル化剤である。ジェランガムには脱アシル型ジェランガムやネイティブ型ジェランガムがあり、どちらも好適に使用することができる。ジェランガムやペクチンは、食品、化粧品などで用いられており、ジェランガムの市販品としては、ケルコゲル、ケルコゲル LT100、ケルコゲル HM(以上、大日本住友製薬社製)等、ペクチンの市販品としてはゲニュペクチンLM−104AS−J(CPケルコ社製)等があり、これらの1種又は2種以上を組み合わせて配合することもできる。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、ゲルを形成するのに十分な量であれば特に限定されないが、0.1〜5質量%(以下%とする)が好ましく、より好ましくは0.2〜2%である。この範囲であると、パール感が良好なゲルを形成することができる。
【0011】
本発明における成分(B)の特定の含フッ素共重合体は、下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)とを必須に含む単量体を共重合して得られるものである。
【0012】
含フッ素単量体(b1)は、下記一般式(1)で表される。
【0013】
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0014】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、下記一般式(2)で表わされる。
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0015】
上記一般式(1)において、pが0であることが好ましい。Xの好ましい例は水素原子である。
【0016】
上記一般式(1)において、Rfは一般にはパーフルオロアルキル基及び/又は部分的にフッ素化されたフルオロアルキル基を表し、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rfのアルキル基の炭素数は1〜6であり、4、5又は6が好ましく、特に6が好ましい。Rfの例は、−CF、−CFCF、−CFCFCF、CF(CF、−CFCFCFCF、−CFCF(CF、−C(CF、−(CFCF、−(CFCF(CF、−CFC(CF、−CF(CF)CFCFCF、−(CFCF等が挙げられる。
【0017】
(b1)の含フッ素単量体は単独で使用することはもちろんのこと、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
含フッ素単量体(b1)としては、例えば、次のものが挙げられる。
CH=C(−X)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−X)−COO−(CH−Rf
CH=C(−X)−CO−NH−(CH−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
【0019】
上記一般式(1)の更に具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(−H)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−H)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−H)−COO−CHCH(OCOCH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(C)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCHN(CH)SO−Rf
CH=C(−CH)−COO−CHCH(OCOCH)CH−Rf
【0020】
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−CO−NH−(CH−Rf
【0021】
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CN)−CO−NH−(CH−Rf
【0022】
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−CO−NH−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−F)−COO−(CH−Rf
CH=C(−F)−CO−NH−(CH−Rf
【0023】
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−Cl)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFH)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
【0024】
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CN)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−S−(CH−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−Rf
CH=C(−CFCF)−COO−(CH−SO−(CH−Rf
[上記式中、Rfは、1〜6のフルオロアルキル基である。]
【0025】
これらのうち、特に
CH=C(−H)−COO−(CH−Rf
CH=C(−CH)−COO−(CH−Rf
が好ましい。
【0026】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、非フッ素単量体であり、下記一般式(2)で表される化合物(アルキレングリコール(メタ)アクリレート)である。
【0027】
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
【0028】
一般式(2)において、Rは水素原子が好ましい。
また、qは1〜30が好ましく、より好ましくは2〜10であり、特に2〜5であることが好ましい。
【0029】
更にまた、一般式(2)において、Rは、エチレン又はプロピレンが好ましく、特にエチレンであることが好ましい。一般式(2)中のRは一種又は二種類以上のアルキレンの組み合わせであっても良い。その場合、少なくともRの一つはエチレンであることが好ましい。Rの組み合せとしては、例えば、エチレン基/プロピレン基の組み合せ、エチレン基/ブチレン基の組み合わせが挙げられる。
【0030】
アルコキシ基含有単量体(b2)は、2種類以上の混合物であっても良い。
【0031】
アルコキシ基含有単量体(b2)の具体例は、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH=C(R)−COO−(CHCHO)−R
(以下、「CHCHO」を「CO」と記載する場合がある)
CH=C(R)COO−(CHCH(CH)O)−R
CH=C(R)COO−(CO)q’−(CHCH(CH)O)q”−R
[式中、q’+q”=q]
【0032】
更により具体的な例としては、以下のもの等が挙げられる。
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)30−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)23−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)50−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(CH)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−H
CH=C(H)COO−(CO)−(CHCH(CH)O)−CH
【0033】
これらのうち、特に
CH=C(H)COO−CHCHO−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(H)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−CHCHO−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
CH=C(CH)COO−(CHCHO)−H
が好ましい。
【0034】
本発明の成分(B)の特定の含フッ素共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、上記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)と、他の共重合可能な単量体(b3)とを共重合して得られる共重合体であってもよい。
他の共重合可能な単量体(b3)としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸アミドメチルプロパンスルホン酸、アクリル酸アシッドホスホアキシアルキル等の重合性酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル等の重合性エステル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等の重合性ビニル誘導体、シリコーンマクロマー、ポリアクリルマクロモノマー、ポリエステルマクロモノマー、ポリアミドマクロモノマー、ポリオキシアルキレンマクロモノマー等の重合性マクロモノマーや、重合性糖、スチレン等を挙げることができる。
【0035】
また、他の共重合可能な単量体(b3)としては、更に架橋性単量体を含んでもよい。
架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基及び/又は炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物とすることができる。架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び少なくとも1つの反応性基を有する化合物とすることができる。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、カルボキシル基などである。本発明においては、アミノ基を有する単量体を使用しない。
【0036】
架橋性単量体は非フッ素架橋性単量体であることが好ましく、ジ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0037】
架橋性単量体は、下記一般式(3):
CH=C(R)−COO−(RO)−CO−C(R)=CH ・・(3)
[式中、それぞれのRは水素原子又はメチル基であり;Rは水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基であり;sは1〜50の整数である。]
で示される化合物(アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート)であることが特に好ましい。
なお、Rの炭素数は、2〜10、例えば2〜6、特に2〜4であることが好ましく、Rが、エチレン基であることが好ましい。
【0038】
本発明の成分(B)を構成する各モノマ−の分子量やモル比をコントロ−ルすることで、溶解性や粘稠性を調整することができる。成分(B)の含フッ素共重合体の重量平均分子量は、1000〜1000000程度、好ましくは5000〜500000程度とすることができる。1000未満であると皮膜形成能が弱く本発明の効果を有する表面処理に適さず、1000000より大きいとポリマーの溶解性が悪くなるばかりか表面処理粉体の分散性が悪化する場合がある。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で求めた値である。
【0039】
本発明の成分(B)の含フッ素共重合体において含フッ素単量体(b1)100質量部に対するアルコキシ基含有単量体(b2)の量は、10〜400質量部、好ましくは25〜150質量部、より好ましくは43〜100質量部である。
(b2)の量が少ないと親水性が得られない場合があり、大きいと撥油性が低下する場合がある。
また、他の共重合可能な単量体(b3)を用いる場合は、その割合は共重合体に対し30質量%未満が好ましい。
特に、架橋性単量体を含有させる場合、架橋性単量体の量は、含フッ素単量体(b1)100質量部に対し、30質量部以下、例えば0.1〜20質量部、特に0.5〜10質量部が好ましい。30質量部より大きいと硬い皮膜になり使用感触が悪くなる場合がある。
【0040】
成分(B)に用いられる含フッ素共重合体の重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、放射線重合などの種々の方法を選択できる。例えば一般的には有機溶剤を用いた溶液重合や、水又は有機溶剤と水を併用する乳化重合が選定される。更に一般的には、重合後に水で希釈したり、乳化剤を加えて水に乳化することで処理液に調製される。
具体的には、例えば、特開2000−290640号公報やWO2009/142047号パンフレットの共重合体の製造例として開示される方法で製造可能であるがこれに限定されるものではない。
【0041】
本発明に用いられる成分(B)の含フッ素共重合体の配合量は、0.1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。この範囲であれば、水やエタノールへの溶解性、分散性に優れると共に、肌への密着性が高く、化粧持ちが良好で、分散性に優れるため、均一な化粧膜が得ることができる。
【0042】
本発明に用いられる成分(C)の水は、成分(A)のジェランガムとゲルを作る基剤であり必須成分である。
【0043】
本発明に用いられる成分(D)の光輝性粉体は、化粧料に通常使用される光輝性粉体であれば、特に限定されず、例えば、マイカ、セリサイト、合成マイカ、合成セリサイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、劈開タルク、板状無水ケイ酸、板状酸化アルミニウム、板状カオリン、板状窒化硼素、板状酸化チタン、板状セルロース等の体質粉体、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性粉体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、マイカ、合成マイカの光輝性粉体が光沢が良く、平均粒径は30μm以上のものが好ましい。なお、これらの成分(D)は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0044】
成分(D)の配合量としては0.1〜60%が好ましく、5〜40%がより好ましい。この範囲であれば、十分な化粧効果が得られ、水々しく光沢感が高い化粧膜が得られる。
【0045】
本発明における成分(D)は撥水撥油処理されたものを含んでいると、更に化粧持ちの点で好ましく、化粧料の安定性の面からもよい。撥水撥油処理は、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。撥水撥油処理されたものを含む場合、その配合量は成分(D)中に15%以上であるのが好ましく、30%以上であるとより好ましい。
【0046】
本発明には更に、成分(E)のポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合すると、肌への密着性を向上させ、肌の凹凸を補正して光輝性粉体のパール光沢感を効果的に発揮することができる。成分(E)は不定形であることを特徴とするポリエチレンテレフタレートの微粉砕粉末であり、パウダー、ペレット、フレークなどの形状のポリエチレンテレフタレートを粉砕して得られる。殊に、ポリエチレンテレフタレートの非晶質部分を溶解除去した、主として結晶質からなるポリエチレンテレフタレートを粉砕して製造したポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末が好ましく用いられる。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末は、粉砕により微細な粉末にしたものであるから、粒子の形状が一定していない、すなわち不定形である。本発明において、成分(E)の平均粒径は1〜30μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。
【0047】
特に限定されるものではないが、成分(E)は特開2008−063305号公報に記載されているような方法で製造することができる。例えば、ペレット状のポリエチレンテレフタレートを、水酸化ナトリウムなどの解重合触媒の存在下又は不存在化で、エチレングリコールと接触せしめ、その非晶質部分を溶出させ、多孔質状ポリエチレンテレフタレートとなす。この多孔質状ポリエチレンテレフタレートを洗浄、乾燥し、その後ロッドミル、ボールミル、ハンマーミル、円盤型ミル、ジェットミルなどの粉砕機で平均粒子径1〜30μmに微粉砕して製造する。このポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末については、特許文献5に記載されているものを用いることができる。このようなポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末の市販品としてはスノーリーフ P(粒径7.0±5μm)(オーケン社製)等がある。
【0048】
本発明における成分(E)の配合量は1〜30%が好ましく、2〜15%がより好ましい。この範囲であると肌の凹凸を補正し化粧膜が均一になるため、パールの輝度が高まる。
【0049】
本発明の水性メイクアップ化粧料は、上記の成分(A)〜(E)の他に、本発明の効果を妨げない範囲で、通常化粧料に使用される成分、油性成分、粉体、粉体分散や感触調整としての界面活性剤、皮膜形成剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0050】
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂、揮発性油剤等が挙げられる。
具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、特定のアクリル酸アルキルメチルポリシロキサンエステル等の油溶性樹脂、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類等の揮発性油剤等が挙げられる。
【0051】
成分(D)以外の粉体としては、紡錘状、針状、繊維状、球状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、窒化硼素等の無機粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理してあっても良い。
【0052】
粉体の分散性向上を目的で配合される界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等が挙げられる。
皮膜形成剤としては、アクリル酸アルキル重合体、メタクリル酸アルキル重合体、メタクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2―ペンタンジオール等が挙げられる。
【0053】
本発明の水性メイクアップ化粧料は、特に限定されないが、アイカラー、フェイスカラー、チークカラー、アイライナーなどに応用でき、形状としては、固型、クリーム状、ゲル状、液状等が挙げられるが、中でも粘度50,000mm2/s以上の流動性のあるものから流動性を有しない固型のゲル状が好ましい。外観は、透明、半透明、不透明それぞれの化粧料として使用することができる。剤型としては、水を主成分とし、水相を連続相とする水性、水中油型が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0055】
本発明における成分(A)の含フッ素共重合体の合成例を以下に示す。
[合成例1]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、含フッ素モノマ−CH=C(H)COO−CHCH13(以下、「C6FA(a1)」と記す)を18.6g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE90 日油株式会社製 nの平均値は2.0、 以下、「AE90(a2)」と記す)を11.4gとメチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す)を45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50〜65℃に昇温後、パ−ブチルPV(以下、「PV」と記す)を0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて約70℃でMEKを留去、淡黄色ポリマ−残渣を得た後、精製水を122.4g添加し、内温を約80℃で1時間以上保った後、冷却して固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて18200であった。
【0056】
[合成例2]
合成例1におけるAE90をポリエチレングリコ−ルメタアクリレ−トCH=C(CH)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER PE350 日油株式会社製 nの平均値は8.0、 以下「PE350(a2)」と記す)に置き換えて合成例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16400であった。
【0057】
[合成例3]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a1)を18.6g、AE90(a2)を5.7g、ポリエチレングリコ−ルアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−H(BLEMMER AE200 日油株式会社製 nの平均値は4.5、 以下、「AE200(a2)」と記す)を5.7gとMEKを仕込んで、合成例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて15500であった。
【0058】
[合成例4]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a1)を18.6g、PE350(a2)を10.5g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレ−トCH=C(H)COO−(CHCHO)−CO−CH=CH(BLEMMER ADE300 日油株式会社製 nの平均値は7.0、 以下、「ADE300(a3)」と記す)を0.9g、イソプロパノ−ル(以下、「IPA」と記す)45.0gを仕込んで、合成例1と同様の重合反応を行い、固形分濃度が約20%の水分散液を調製した。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16400であった。
【0059】
[合成例5]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a1)を18.6g、ヒドロキシエチルアクリレ−ト(東京化成工業社製、以下「HEA(a3)」と記す)を2.5g、AE200(a2)を8.0g、ADE300(a3)を0.9gとIPAを45g仕込んで、30分間窒素バブリングした。窒素気流下で内温を50−65℃に昇温後、PVを0.4g添加し、60〜65℃で6時間反応させた。得られた溶液を減圧条件下にて70℃でIPAを除去し、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて16280であった。この共重合体を精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度30%の溶液を調製した。
【0060】
[合成例6]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a1)を18.6g、HEA(a3)を2.5g、AE90(a2)を8.0g、ADE300(a3)を0.9gとIPAを45g仕込んで、合成例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17900であった。この共重合体を合成例5と同様、精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度30%の溶液を調製した。
【0061】
[合成例7]
還流冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌装置を備えた100ml四つ口フラスコに、C6FA(a1)を18.6g、HEAを3.5g、AE200(a2)を7.2g、ADE300(a3)を0.7gとIPAを45g仕込んで、合成例5と同様の重合反応を行い、淡黄色の共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のGPC測定にて17200であった。この共重合体を合成例5と同様、精製水で洗浄後、IPAを添加し、固形分濃度40%のIPA溶液を調製した。
【0062】
実施例1〜15及び比較例1〜7:アイカラー(水性ゲル状)
表1に示す処方のアイカラーを調製し、a.化粧持ち、b.肌への密着性、c.パールの光沢感、d.化粧膜の均一性について下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

※1:ケルコゲル LT100(大日本住友製薬社製)
※2:GENU pectin type LM−104AS−J(CPケルコ社製)
※3:コスモール 168ARNV(日清オイリオグループ社製)
※4:パールリーム 46(日油社製)
※5:YODOSOL GH800F(アクゾノーベル社製)固形分45%
※6:TORNARE(林原生物化学研究所製)
※7:CMCダイセル1170(ダイセル化学工業社製)
※8:CARBOPOL 980(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS A社製)
※9: スノーリーフ P 平均粒径7±5μm(オーケン社製)
※10:PDM−40L 平均粒径35〜45μm(トピー社製)
※11:FLAMENCO ULTRA SPARKLE 4500 平均粒径50μm(BASF社製)にパーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理を施したもの
※12:メタシャインMC1080RC−S 平均粒径80μm(日本板硝子社製)にパーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理を施したもの
※13:アルミフレーク シルバー 0.15mm 平均粒径150μm(角八魚鱗箔社製)

(製造方法)
A.成分(1)〜(2)を成分(12)の一部で均一に加温膨潤する。
B.Aに(3)〜(11)、(12)の残部、(13)〜(21)を加え均一に混合する。
C.Bを容器に充填しアイカラー(水性ゲル状)を得た。
【0064】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.化粧持ち
b.肌への密着性
c.パールの光沢感
d.化粧膜の均一性
a〜dの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が実施例1〜15及び比較例1〜7の各アイカラーを指で使用し、下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。容器に充填された試料を指でとる時に適量をとることができたかどうかをa.化粧持ちについては、各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に涙や汗などで化粧膜がくずれていないかを評価した。肌への密着感があるか、パールの光沢感が高いか、化粧膜が均一に塗れているかを、それぞれb.肌への密着性、c.パールの光沢感、d.化粧膜の均一性が良いかを評価した。
【0065】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
【0066】
判定基準
(判定):(評点の平均点)
AA :5点以上 :非常に良好
A :4点以上〜5点未満:良好
B :3点以上〜4点未満:やや良好
C :2点以上〜3点未満:やや不良
D :1点以上〜2点未満:不良
E :1点未満 :非常に不良
【0067】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜15の水性アイカラーは、比較例1〜7に比べ、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。これに対して、成分(A)のかわりに、水性のゲル化剤である、カルボキシメチルセルロースナトリウムを配合した比較例1は、水々しい感触が失われ、パールの光沢感も満足のいくものが得られず、カルボキシビニルポリマーを配合した比較例2は、水々しい感触ではあるものの、肌への密着感がなく、化粧膜が均一でないため化粧持ちが悪いものであった。成分(B)のかわりに、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルを配合している比較例3、水添ポリイソブテンを配合している比較例4は、分散性が悪いために化粧膜が均一でなく、皮脂に弱いために化粧持ちが悪いものであった。グリセリンを配合している比較例5は、汗や皮脂に弱いために化粧持ちが悪いものであった。アクリル酸アルキル共重合体エマルションを配合している比較例6は、皮膜を形成するために膜の柔軟性がなく、パールがポロ落ちするために化粧持ちが悪いものであった。グリコシルトレハロース・水添デンプン分解物を配合している比較例7は、汗や皮脂に弱いために化粧持ちが悪いものであった。

【0068】
実施例11 頬紅(水性固型ゲル状)
(成分) (%)
1.脱アシル型ジェランガム 0.6
2.水 残量
3.トリエタノールアミン 0.1
4.EDTA−2Na 0.05
5.ジブチレングリコール 15
6.レシチン 0.2
7.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 0.15
8.タルク 2
9.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理黄酸化鉄 0.2
10.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理黒酸化鉄 0.02
11.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理ベンガラ 0.1
12.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩5%処理
酸化チタン 0.05
13.合成金雲母※10 14
14.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理
酸化チタン被覆マイカ※11 10
15.シリコーン2%処理酸化チタン被覆合成金雲母※14 1
16.合成例7の含フッ素共重合体 2
17.ポリエチレンテレフタレート微粉砕末※9 5
※14:HELIOS R100S(S)(平均粒径105μm、トピー工業社製)にメチルハイドロジェンポリシロキサン2%処理を施したもの
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)の一部で均一に膨潤する。
B.成分(3)〜(12)を均一に分散する。
C.AにBと成分(13)〜(17)を加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填し頬紅(水性ゲル状)を得た。
本実施例5の頬紅は、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。
【0069】
実施例6 ファンデーション(水中油型固型ゲル状)
(成分) (%)
1.ネイティブジェランガム※1 0.5
2.水 残量
3.L−アルギニン 0.3
4.EDTA−2Na 0.05
5.塩化カルシウム 0.03
6.フェノキシエタノール 0.3
7.1,3−ブチレングリコール 15
8.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール※15 0.3
9.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 0.3
10.ジメチルポリシロキサン2%処理タルク 3.5
11.ジメチルポリシロキサン2%処理黄酸化鉄 1.5
12.ジメチルポリシロキサン2%処理黒酸化鉄 0.1
13.ジメチルポリシロキサン2%処理ベンガラ 0.1
14.ジメチルポリシロキサン2%処理板状酸化チタン 7
15.ジメチルポリシロキサン2%処理板状硫酸バリウム 3
16.ポリエチレンテレフタレート微粉砕末※9 10
17.モノステアリン酸グリセリン 1.5
18.セタノール 1.5
19.流動パラフィン 1
20.スクワラン 2
21.トリオクタン酸グリセリル 3
22.ジペンタエリトリットテトラ12−ヒドロキシステアリン酸
セスキステアリン酸ヘミロジンエステル 0.5
23.ジメチルポリシロキサン(20CS) 0.5
24.合成例4の含フッ素共重合体 3
25.アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション 3
※15:ユニルーブ70DP−950B(日本油脂社製)
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)にて均一に膨潤する。
B.成分(3)〜(16)を均一に分散する。
C.成分(17)〜(23)を70℃で加熱溶解する。
D.A、Bを混合し、そこにCを加えて乳化する。
E.Dに成分(24)、(25)を添加し混合する。
F.Eを加温溶解し、容器に充填した後、室温まで冷却して、ゲル状ファンデーションを得た。
本実施例6のゲル状ファンデーションは、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。
【0070】
実施例7 下地(水中油型クリーム状))
(成分) (%)
1.ペクチン※2 0.3
2.ローカストビーンガム 0.1
3.キサンタンガム 0.1
4.1,2−ペンチレングリコール 5
5.水 残量
6.合成例7の含フッ素共重合体 3
7.2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.3
8.EDTA−2Na 0.05
9.塩化カルシウム 0.03
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 0.3
12.ジメチルポリシロキサン2%処理タルク 3.5
13.ジメチルポリシロキサン2%処理黄酸化鉄 1.5
14.ジメチルポリシロキサン2%処理黒酸化鉄 0.1
15.ジメチルポリシロキサン2%処理ベンガラ 0.1
16.ジメチルポリシロキサン2%処理板状酸化チタン 7
17.ポリエチレンテレフタレート微粉砕末※9 7
18.モノステアリン酸ポリグリセリル 1.5
19.セタノール 1.5
20.ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 1
21.スクワラン 3
22.トリオクタン酸グリセリル 5
23.モノステアリン酸グリセリル 0.5
24.ジメチルポリシロキサン(100CS) 0.5
25.ワセリン 0.5
(製造方法)
A.成分(1)〜(3)、(7)〜(11)を成分(4)、(5)の一部で均一に膨潤する。
B.成分(18)〜(25)を70℃で加熱溶解する。
C.成分(5)の残部、(6)、成分(12)〜(17)を均一に分散する。
D.CにBを添加して乳化する。
E.DにA、成分(6)を添加し混合する。
F.Eを容器に溶融充填した後、室温まで冷却して、ゲル状下地を得た。
本実施例7のゲル状下地は、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。
【0071】
実施例8 アイライナー(水性液状)
(成分) (%)
1.ネイティブジェランガム※1 0.1
2.水 残量
3.EDTA−2Na 0.05
4.トリエタノールアミン 0.1
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.レシチン 0.2
7.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 0.15
8.セリサイト 2
9.板状セルロース 2
10.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黒酸化鉄 5
11.合成金雲母※8 5
12.黒酸化鉄被覆マイカ※16 20
13.合成例3の含フッ素共重合体 10
※16:COLORONA MICA BLACK(メルク社製)
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)で均一に膨潤する。
B.成分(3)〜(10)を均一に分散する。
C.AにBと成分(11)〜(13)を加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填しアイライナー(水性ゲル状)を得た。
本実施例8のアイライナーは、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。
【0072】
実施例9 マスカラ(水性ペースト状)
(成分) (%)
1.ネイティブジェランガム※1 0.2
2.水 残量
3.エタノール 15
4.L−アルギニン 0.1
5.EDTA−2Na 0.05
6.レシチン 0.2
7.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 0.15
8.劈開タルク 2
9.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理黒酸化鉄 0.5
10パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理
酸化チタン被覆マイカ※11 2
11.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩3%処理
酸化チタン被覆合成金雲母※14 3
12.パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩2%処理
酸化チタン被覆ガラス末※12 5
13.(PET/Al/エポキシ樹脂)ラミネート※13 3
14.ポリエチレンテレフタレート微粉砕末※9 10
15.合成例5の含フッ素共重合体 5
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)の一部で均一に膨潤する。
B.成分(2)の残部と成分(6)〜(9)を均一に分散する。
C.AにBと成分(3)〜(5)、(10)〜(15)を加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填しマスカラ(水性ペースト状)を得た。
本実施例9のマスカラは、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。
【0073】
実施例10 アイカラー下地(水性固形ゲル状)
(成分) (%)
1.ネイティブジェランガム※1 0.5
2.水 残量
3.トリエタノールアミン 1
4.フェニルベンズイミゾスルホン酸 2
5.ジプロピレングリコール 15
6.エタノール 5
7.合成例5の含フッ素共重合体 10
8.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理
黒酸化鉄 0.5
9.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理
酸化チタン被覆マイカ※11 2
10.メチルハイドロジェンポリシロキサン3%処理
酸化チタン被覆合成金雲母※14 3
11.ポリエチレンテレフタレート微粉砕末※9 10
12.ヒアルロン酸 5
13.ノバラエキス 0.1
14.甘草エキス 0.1
15.ヨクイニンエキス 0.1
(製造方法)
A.成分(1)を成分(2)の一部で均一に膨潤する。
B.成分(2)の残部と成分(3)、(4)を均一に混合溶解する。
C.AにBと成分(5)〜(15)を加え均一に混合する。
D.Cを容器に充填しアイカラー下地(水性固形ゲル状)を得た。
本実施例10のアイカラー下地は、化粧持ち、肌への密着性、パールの光沢感、化粧膜の均一性の全てにおいて優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D);
(A)ジェランガム及び/又はペクチン;
(B)下記一般式(1)で表される含フッ素単量体(b1)と、下記一般式(2)で表されるアルコキシ基含有単量体(b2)とを必須に含む単量体を共重合して得られる含フッ素共重合体;
CH=C(−X)−C(=O)−Y−[−(CH)−Z−]−(CH)−Rf・(1)
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、置換又は非置換のベンジル基、置換又は非置換のフェニル基であり;Yは、−O−又は−NH−であり;Zは、直接結合、−S−又は−SO−であり;Rfは、炭素数1〜6のフルオロアルキル基であり;mは1〜10、nは0〜10、pは0又は1である。]
CH=C(R)−C(=O)−O−(RO)−R ・・・(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基であり;Rは、水素原子の一部又は全部が水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルキレン基;Rは、水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基であり;qは、1〜50の整数である。]
(C)水;
(D)光輝性粉体;
を配合したことを特徴とする水性メイクアップ化粧料。
【請求項2】
更に成分(E)ポリエチレンテレフタレート微粉砕粉末を配合することを特徴とする請求項1に記載の水性メイクアップ化粧料。
【請求項3】
前記成分(B)を0.1〜10質量%配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の水性メイクアップ化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)を0.1〜5質量%配合することを特徴とする請求項1〜3何れかの項に記載の水性メイクアップ化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)を0.1〜60質量%配合することを特徴とする請求項1〜4何れかの項に記載の水性メイクアップ化粧料。
【請求項6】
前記成分(E)を0.1〜15質量%配合することを特徴とする請求項1〜5何れかの項に記載の水性メイクアップ化粧料。


【公開番号】特開2012−193148(P2012−193148A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59017(P2011−59017)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】