説明

汚染水曝気装置及び汚染水浄化装置

【課題】汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気して揮発性有機化合物を揮発脱離させることができ、ランニングコストを低く抑えることができる汚染水曝気装置及びそれを用いたランニングコストを低く抑えることができる汚染水処理装置を提供する。
【解決手段】汚染水吸引吐出用ポンプ11と、ポンプ11からの汚染水W1を曝気しつつ気水混合水として放出する曝気ノズル41と、ノズル41からの気水混合水を受け入れ、それから放出される揮発性有機化合物(VOC)ガスを保持する気水分離室2とを含んでおり、気水分離室2は、ノズル41からの放出水を受け入れる水槽部22及びその上方のガス保持空間部23を含んでいる汚染水曝気装置10及び装置10にVOCガス除去装置5及び装置5へガス保持空間部23のガスを引き込み通過させるブロア6を組み合わせた汚染水処理装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体にとって有害な揮発性有機化合物を含んだ地下水等の汚染水から該揮発性有機化合物を脱離させるために地上で該汚染水の曝気処理を行う汚染水曝気装置及び該装置を利用した汚染水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
VOCと称されている揮発性有機化合物を含んだ地下水等の汚染水から該VOCを脱離させて除去し、さらには該脱離させたVOCガスを処理することが行われている。
【0003】
地下水等の汚染水からVOCを脱離させる地上での処理についてはこれまで様々の手法が提案されてきたが、代表的なものとして、汚染水を地上の曝気槽へ導き該曝気槽で曝気して汚染水に溶存しているVOCを揮発脱離させる手法を挙げることができる。
【0004】
例えば、特開平7−308660号公報には、地中井戸からポンプで汲み上げた汚染水を曝気槽の上部から該曝気槽内へ投入して曝気槽内のラシヒリング、テラレットパッキング等の充填材中を流下させる一方、曝気槽下部からブロアで給気することで汚染水を曝気し、それにより汚染水からVOCを揮発させて曝気槽上部から取り出すとともに曝気槽下部に浄化された水を集めて取り出し、曝気槽上部から取り出したVOCガスはガス処理部で処理することが記載されている。
【0005】
特開2003−181448号公報には、曝気槽として、内部に複数本の紫外線ランプを配列した領域を形成したものを用いるほかは、特開平7−308660号公報と同様にして汚染水を曝気処理するとともに気相へ移行したVOCガスを取り出し、処理することが記載されている。
【0006】
上記のほか、図4に例示するように、曝気槽9内に上下方向に複数段にトレイ91を配列し、曝気槽上部から汚染水を供給してそれら複数段のトレイ91に順次落下移動させる一方、曝気槽下部からブロア92で給気して各トレイに形成された通気孔に下から上へ通気させ、それにより汚染水を曝気してVOCを揮発させて曝気槽上部から取り出すとともに曝気槽下部に処理水を集めて取り出し、曝気槽上部から取り出したVOCガスはガス処理部で処理する方法も知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−308660号公報
【特許文献2】特開2003−181448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開平7−308660号公報や特開2003−181448号公報に記載された曝気方法では、曝気槽における汚染水曝気を汚染水の全体にわたり十分行うことは困難であり、大がかりな曝気槽を用いる割りには曝気効率が低い。
【0009】
また、汚染水と空気との触れ合いを高めるために曝気槽内に充填材領域を形成しなければならず、さらに、曝気槽内へ給気するためのブロアは大きい出力のものが要求され、これらにより、装置構成が高価につき、また、大出力ブロアの消費電力が大きくランニングコストも高くつく。
【0010】
この点、図4に示す曝気槽9によると、汚染水を効率よく曝気させることができると考えられるが、この場合でも、複数段の曝気用トレイ91が必要であり、曝気槽内へ給気するためのブロア92は大きい出力のものが要求されるので、それだけ装置構成が高価につき、また、大出力ブロアの消費電力が大きくランニングコストが高くつく。
【0011】
そこで本発明は、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置であって、汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともにランニングコストを低く抑えることができる汚染水曝気装置を提供することを第1の課題とする。
【0012】
本発明は、前記第1の課題を解決できるとともに、全体を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの配置の自由度高く連設して用いることができる汚染水曝気装置を提供することを第2の課題とする。
【0013】
本発明は、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気から揮発性有機化合物ガスを除去する処理を行う汚染水処理装置であって、汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともにそのためのランニングコストを低く抑えることができ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気からの該揮発性有機化合物ガスの除去もランニングコストを抑制して行える汚染水処理装置を提供することを第3の課題とする。
【0014】
本発明は、前記第3の課題を解決できるとともに、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置の部分を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの汚染水曝気装置部分の配置の自由度高く増設して汚染水処理能力を高めることができる汚染水処理装置を提供することを第4の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記第1の課題を解決するため次の第1及び第2の汚染水曝気装置を提供する。
〔1〕第1の汚染水曝気装置
揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置であり、
揮発性有機化合物を含有する汚染水を吸引吐出するためのポンプと、
前記ポンプから汚染水供給を受け、該汚染水に空気を混合して曝気しつつ気水混合水として放出する1又は2以上の曝気ノズルを含む曝気ユニットと、
前記曝気ユニットの曝気ノズルから放出される気水混合水を受け入れるとともに該気水混合水から放出される揮発性有機化合物ガス含有空気を保持する気水分離室とを含んでおり、
前記曝気ノズルは該曝気ノズルでの噴出水流により生じる負圧により該噴出水流へ向け空気を導入混合させるノズルであり、
前記気水分離室は、前記曝気ユニットの曝気ノズルからの放出水を受け入れる水槽部と、該水槽部に溜まる水を放流又は次の処理のために流出させるための放水部と、該水槽部上方のガス保持空間部と、該ガス保持空間部の揮発性有機化合物ガス含有空気を次の処理のために流出させるためのガス放出部とを含んでいる汚染水曝気装置。
【0016】
〔2〕第2の汚染水曝気装置
順次隣り合わせて複数段に連設された前記第1の汚染水曝気装置を含み、
該複数段に連設された汚染水曝気装置のうち最前段の汚染水曝気装置におけるポンプは外部から前記汚染水を吸引して該ポンプに対応する前記曝気ユニットの曝気ノズルへ該汚染水を供給するポンプであり、
各隣り合う該汚染水曝気装置のうち前段の汚染水曝気装置における前記気水分離室の放水部は後段の汚染水曝気装置のポンプの吸水口に接続されている(直接又は配管等を介して接続されている)汚染水曝気装置。
【0017】
(1−1)第1の汚染水曝気装置について
第1の汚染水曝気装置によると、汚染水の曝気は、ポンプで汚染水を曝気ユニットの曝気ノズルへ供給し、該曝気ノズルで汚染水に空気を混合して曝気しつつ気水混合水として放出することで行われ、該曝気ノズルは、該ノズルでの噴出水流により生じる負圧により該噴出水流へ向け空気を導入混合させるノズルであるから、汚染水を全体的に簡単、確実に効率よく十分曝気することができる。
【0018】
曝気ノズルからの曝気された気水混合水は気水分離室へ放出され、該気水分離室の水槽部へ落下到達する途中で、また、該水槽部に受け入れられてからでも、或いは、曝気ノズルに水槽部内へ延びるパイプが接続さているような場合は該水槽部内において、該気水混合水から揮発性有機化合物が容易に揮発し、空気とともに水から脱離し、該水槽部上方のガス保持空間部に水から分離された揮発性有機化合物ガス含有空気が保持される。
【0019】
水槽部に溜まった水は、そのまま放流しても人体に害がないなど問題のないときは、放水部からそのまま放流することができ、或いは該放水部から次の処理に向け流出させることができる。
【0020】
ガス保持空間部に溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気は、揮発性有機化合物ガス除去装置等へガス放出部から流出させることができる。
【0021】
第1の汚染水曝気装置によると、従来なら要求されていた曝気のための給気ブロア等が必要とされず、また、曝気ノズルは構造簡単に済ませることができるから、装置コストを安価に抑えることができるとともに、ポンプを運転すれば汚染水曝気及び揮発性有機化合物の揮発脱離を行えるのでランニングコストを低く抑えることができる。
【0022】
前記曝気ノズルとして、前記ポンプから送られてくる汚染水を噴出させるノズル部と、該ノズル部からの噴出水流を通過させる筒部とを含み、該筒部は、該噴出水流により該筒部内に発生する負圧により該噴出水流へ向け空気を導入する空気導入路を有している曝気ノズルを例示できる。
前記第2の汚染水曝気装置、後述する汚染水曝気装置や汚染水処理装置における曝気ノズルについても同様の曝気ノズルを採用できる。
【0023】
前記気水分離室の水槽部として、該気水分離室へ前記曝気ユニットの曝気ノズルから放出されてくる放出水を汚染度の高いものと低いものとに分離して、汚染度の低いものを次へ放出できるように、前記曝気ユニットの曝気ノズルからの放出水を受け入れる第1水槽部と、該第1水槽部からの溢水を流入させる第2水槽部とを含む水槽部を例示できる。このように水槽部が第1、第2の水槽部を含むものであるときは、前記放水部はより汚染度の低い水が溜まる該第2水槽部に対して設けることができる。
前記第2の汚染水曝気装置、後述する汚染水曝気装置や汚染水処理装置における水槽部についても同様の水槽部を採用できる。
【0024】
(2−1)第2の汚染水曝気装置について
第2の汚染水曝気装置は、第1の汚染水曝気装置を複数段に連設して汚染水の曝気処理能力及び汚染水からの揮発性有機化合物の揮発脱離処理能力を高めたものである。
各段の汚染水曝気装置は、第1の汚染水曝気装置と同様に、汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともにランニングコストを低く抑えることができ、従って、第2の汚染水曝気装置も全体として、汚染水を全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともに、汚染水処理能力が大きい割りにはランニングコストを低く抑えることができる。
【0025】
第2の汚染水曝気装置においては、前記複数段に連設された第1タイプの汚染水曝気装置の前記気水分離室のガス保持空間部は互いに連通していてもよい。
【0026】
また、第2の汚染水曝気は構造を簡素化するために、前記複数段に連設された第1の汚染水曝気装置の気水分離室が一つの統合気水分離室に包含されていてもよい。そして、該複数段に連設された第1汚染水曝気装置の気水分離室のそれぞれにおける前記水槽部及びガス保持空間部は該統合気水分離室に包含され、該複数段に連設された第1汚染水曝気装置の気水分離室の前記ガス放出部は一つに統合されて該統合気水分離室に対し設けられていてもよい。
【0027】
〔3〕本発明の第2の課題を解決する汚染水曝気装置について
本発明は前記第2の課題を解決するために、
全体を一体的に搬送、設置可能に全体が一体的に組み上げられてユニット化されている前記第1、第2の汚染水曝気装置も提供する。
【0028】
前記第1、第2の汚染水曝気装置のいずれについても、それが全体的に一体的に組み上げられてユニット化されていなくても、処理対象汚染水の汚染の程度に応じて複数連設して用いることもできる。
【0029】
しかし、第1、第2の汚染水曝気装置のいずれについても、全体を一体的に搬送、設置可能に全体が一体的に組み上げられてユニット化されていることで、容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、汚染水曝気装置設置現場の状況(スペース等)に応じてそれぞれの配置の自由度高く連設して用いることができる。
【0030】
〔4〕本発明の第3、第4の課題を解決する汚染水処理装置について
本発明は前記第3の課題を解決するため、
揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気から揮発性有機化合物ガスを除去する処理を行う汚染水処理装置であり、
前記本発明に係る汚染水曝気装置のいずれかと、該汚染水曝気装置の気水分離室のガス放出部にガス導入口部が接続された(直接又は配管等を介して接続された)揮発性有機化合物ガス除去装置と、該気水分離室のガス放出部から該揮発性有機化合物ガス除去装置へ揮発性有機化合物ガス含有空気を引き入れ通過させるためのブロアとを含む汚染水処理装置を提供する。
【0031】
この汚染水処理装置における汚染水曝気装置は前記第1の汚染水曝気装置、第2の汚染水曝気装置のいずれでもよく、また、前記ユニット化された装置でもよい。
【0032】
この汚染水処理装置によると、汚染水曝気装置の部分で汚染水を全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができ、そのためのランニングコストは低く抑えることができる。さらに、ブロアを運転して汚染水曝気装置の気水分離室のガス保持空間部に溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気をガス放出部から揮発性有機化合物ガス除去装置へ引き入れ、該揮発性有機化合物ガス含有空気から揮発性有機化合物ガスを除去処理できる。
【0033】
このとき、ブロアの能力は、汚染水曝気装置の気水分離室のガス保持空間部に溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気を吸引して揮発性有機化合物ガス除去装置へ引き入れ通過させることができる程度のもので足りるので消費電力は低く済み、従って、揮発性有機化合物ガス除去処理のランニングコストも低く抑えることができる。
【0034】
前記ブロアは前記揮発性有機化合物ガス除去装置の空気吐出口部に接続してもよい(直接又は配管等を介して接続してもよい。)
そして、汚染水曝気装置における曝気ユニットは前記気水分離室に連設されたカバー室内に内蔵配置し、該カバー室には該カバー室内へ空気を導入するための空気導入口部を設け、前記ブロアの空気吐出口を該空気導入口部に接続(直接又は配管等を介して接続)してもよい。
【0035】
このように構成することで、ブロアの運転により加熱された空気をカバー室内へ供給して曝気ユニットの曝気ノズルにおいて汚染水へ混合させることができ、それにより汚染水からの揮発性有機化合物の揮発脱離をそれだけ円滑に行わせることができる。
なお、本発明においては、汚染水からの揮発性有機化合物の揮発脱離を円滑化するために曝気ユニットの曝気ノズルへ吸引される空気を加熱する空気加熱手段を設けてもよく、ブロアを揮発性有機化合物ガス除去装置の空気吐出口部に接続し、該ブロアの空気吐出口を前記カバー室の空気導入口部に接続する場合、該ブロア等は、該空気加熱手段の1例を兼ねている、と言える。
【0036】
汚染水曝気装置として前記ユニット化された汚染水曝気装置を採用することで本発明に係る第4の課題を解決できる。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように本発明によると、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置であって、汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともにランニングコストを低く抑えることができる(以上、「第1効果」と総称する。)汚染水曝気装置を提供することができる。
【0038】
本発明によると、前記第1効果を発揮できるとともに、全体を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの配置の自由度高く連設して用いることができる汚染水曝気装置を提供することができる。
【0039】
本発明によると、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気から揮発性有機化合物ガスを除去する処理を行う汚染水処理装置であって、汚染水を従来より全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができるとともにそのためのランニングコストを低く抑えることができ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気からの該揮発性有機化合物ガスの除去をランニングコストを低く抑制して行える(以上、「第2効果」と総称する)汚染水処理装置を提供することができる。
【0040】
本発明は、前記第2効果を発揮できるとともに、揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置の部分を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの汚染水曝気装置部分の配置の自由度高く増設して汚染水処理能力を高めることができる汚染水処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る汚染水曝気装置の1例10を含む汚染水処理装置の例Aを示している。
【0042】
図1の汚染水曝気装置10はポンプ11を設置したポンプ設置部1の上に気水分離室2を搭載固定し、該気水分離室の上にカバー室3を搭載固定し、カバー室3内において気水分離室2の天井壁21に曝気ユニット4を設置したものであり、これらは全体を一体的に搬送し、所望の地上場所に設置できるように、全体が一体的に組み上げられ、ユニット化されている。
【0043】
曝気ユニット4は並列接続された2個の曝気ノズル41を含んでおり、各曝気ノズル41はその吐出口を気水分離室2内へ臨ませて気水分離室天井壁21に固定されている。
曝気ノズル41は図2に示すように、ノズル部411と、該ノズル部からの噴出水を気水分離室2内へ向け通過させる円筒部412とを有している。円筒部412の周壁には、円筒部内を通過する噴出水により円筒部内に生じる負圧により円筒部外から該噴出水へ向け空気を導入混合させるための空気導入路413が等中心角度間隔で複数本形成されている。各空気導入路413はノズル部411の水噴出方向の中心線に垂直に交わる線の方向に形成されている。
【0044】
なお、図1において曝気ユニット4におけるPは曝気ユニット4へ供給される水の圧力を検出する圧力計であり、V1はメインテナンス時等において必要に応じて閉成可能の手動弁である。
【0045】
カバー室3は気密に形成されており、一側壁31に空気導入口部311を備えている。 カバー室3は気密に形成されているが、メインテナンス等のために図示省略の開閉扉を開けて内部へアクセスできるようになっており、該扉は気密に閉じることができる。
【0046】
気水分離室2は気密に形成されているが、メインテナンス等のために図示省略の開閉扉を開けて内部へアクセスできるようになっており、該扉は気密に閉じることができる。
気水分離室2内には、水槽部22が設けられており、水槽部22の上方空間はガス保持空間部23となっている。
ガス保持空間部23に対してガス放出部231が設けられている。ガス放出部231はカバー室3内へ延び出て、カバー室3の一側壁31に達している。
【0047】
水槽部22は、曝気ノズル41の下方に位置する第1水槽部221とそれに隣り合う第2水槽部222とからなっている。各曝気ノズル41はパイプ42により第1水槽部221内へ通じている。
【0048】
第2水槽部222に対して水位検知センサS2が設けられている。センサS2は気水分離室天井壁21から垂下されている。
センサS2は、第2水槽部222の底付近まで達する共通電極e1と、それに隣り合い、それより若干短い水位下限検出電極e2と、電極e1に隣り合う水位上限検出電極e3を含んでいる。センサS2により検出される水位情報は水位制御部Contに入力される。
【0049】
第2水槽部222の底部には放水部223が設けられている。放水部223はポンプ設置部1へ延び出ている。
図1においてV2は水槽部221、222のそれぞれの底部に接続された手動弁で、メインテナンス時等に必要に応じ開成することができる。
【0050】
ポンプ11は、本例では地中から別途ポンプで汲み上げられて地上タンクTに収容された揮発性有機化合物含有の汚染水W1をストレーナ(フィルタ)STを介して吸引し、レジューサRを介して曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給することができる。
図1において111はポンプ始動時にポンプへ呼び水を供給するための呼び水供給部である。
【0051】
タンクTにも、前記センサS2と同構造の水位センサS1が設けられている。センサS1により検出されるタンク内水位情報も水位制御部Contに入力される。
なお、図1に参照符号H1、H2、311’で示される部分については後述する。
【0052】
以上説明した汚染水曝気装置A1の隣に揮発性有機化合物ガス除去装置5が設置されている。ガス除去装置5は内部に、本例では活性炭充填部51を有している。
ガス除去装置5は下部にガス導入口部52を上部に空気吐出口部53を有している。
ガス導入口部52は気水分離室2のガス放出部231に配管接続されており、空気吐出口部53はカバー室3の空気導入口部311に接続配管接続されている。
活性炭充填部51はそこを下方から上方へ通過する揮発性有機化合物ガス含有空気から揮発性有機化合物ガスを吸着除去できる。
【0053】
以上説明した汚染水処理装置Aによると、ポンプ11にてタンクT内の汚染水W1が曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給される。ポンプ11による汚染水W1の曝気ノズル41への供給は、水位制御部Contの指示のもとに、タンクTのセンサS1がタンクT内水位の下限水位より下方への低下を示していないこと及び第2水槽部222のセンサS2が水槽部内水位の上限水位より上方への上昇を示していないことを条件として行われる。
【0054】
ポンプ11にてタンクT内の汚染水W1が曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給されると、各曝気ノズル41で該汚染水に空気が混合されて曝気されつつ気水混合水として気水分離室2の第1水槽部221へ放出される。
【0055】
このとき、各曝気ノズル41は、該ノズルでの噴出水流により生じる負圧により該噴出水流へ向け空気を導入混合させるノズルであるから、ノズル41へ供給されてくる汚染水W1を全体的に簡単、確実に効率よく十分曝気することができる。
【0056】
曝気ノズル41からの曝気された気水混合水は気水分離室2へ放出されて第1水槽部221に受け入れられ、該水槽部内の気水混合水から揮発性有機化合物が容易に揮発し、空気とともに水から脱離し、該水槽部上方のガス保持空間部23に保持される。
【0057】
第1水槽部221から溢れた水W2は第2水槽部222へ流入する。このとき、未だ水W2に残っていることがあり得る揮発性有機化合物は、第1水槽部221から第2水槽部222への溢流時に、さらには第2水槽部222において、水W2から揮発脱離してガス保持空間部23に保持される。
【0058】
第2水槽部221に溜まった水W2は、揮発性有機化合物が人体に害を与えない程度まで除去されているときには放水部223から自然へ放流することができる。しかし、第2水槽部221の水W2をさらに処理するときは、次の処理装置へ流出させればよい。次の処理装置としては、例えば水に含まれていることがある鉄分等の除去処理装置を挙げることができる。
なお、このような鉄分等の除去処理は汚染水の曝気処理及び揮発性有機化合物の揮発脱離処理の前に行ってもよく、後に行ってもよい。
また、水W2の汚染の程度によっては、水W2をさらにもう一つ以上の汚染水曝気装置10で処理してもよい。
【0059】
一方、ガス保持空間部23に保持された揮発性有機化合物ガス含有空気a1はブロア6の運転によりガス除去装置5へ導入され、そこで揮発性有機化合物ガスが活性炭充填部51で吸着除去され、その後の、ブロア運転により加熱された(例えば40℃〜50℃程度に或いはさらに高温に加熱された)空気aがブロア6からカバー室3内へ供給され、各曝気ノズル41における汚染水W1の曝気に供される。このように、加熱空気aが汚染水曝気に供されることで、汚染水W1からの揮発性有機化合物の揮発脱離が円滑化される。
【0060】
なお、ブロア6からの吐出空気をカバー室3内へ供給するとともに或いはブロア6からの吐出空気をカバー室3内へ供給することに代えて、曝気ノズル41へ吸引される空気を加熱するヒータを設けてもよい。例えば、図1に鎖線で示すようにカバー室3に空気加熱ヒータH1を設置したり、カバー室3の空気導入口部311’に空気加熱ヒータH2を取り付けて、これを通ってカバー室3内へ入る空気を加熱するようにしてもよく、さらには、ヒータH2を通してカバー室3内へ空気を送るブロア(図示省略)等を設けることもできる。このようなヒータH1等による空気加熱手段を、ブロア6からの吐出空気をカバー室3内へ供給するとともに或いはブロア6からの吐出空気をカバー室3内へ供給することに代えて採用することも可能である。
これらの点は、後述する汚染水曝気装置100や汚染水処理装置Bにおいても同様である。
【0061】
以上説明した汚染水処理装置の汚染水曝気装置10によると、従来なら要求されていた曝気のための給気ブロア等が必要とされず、また、曝気ノズルは構造簡単に済ませることができるから、装置コストを安価に抑えることができるとともに、ポンプ11を運転すれば汚染水曝気及び揮発性有機化合物の揮発脱離を行えるのでランニングコストを低く抑えることができる。
【0062】
また、汚染水曝気装置10は、これに注目すると、全体を一体的に搬送、設置可能に全体が一体的に組み上げられてユニット化されていることで、容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、汚染水曝気装置設置現場の状況(スペース等)に応じてそれぞれの配置の自由度高く連設して用いることができる。
【0063】
また、汚染水処理装置A全体としてみると、汚染水曝気装置10の部分で汚染水を全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができ、そのためのランニングコストは低く抑えることができる。さらに、ブロア6を運転して汚染水曝気装置10の気水分離室2のガス保持空間部23に溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気をガス放出部223から揮発性有機化合物ガス除去装置5へ引き入れ、該揮発性有機化合物ガス含有空気から揮発性有機化合物ガスを除去処理できる。
【0064】
このとき、ブロア6の能力は、汚染水曝気装置10の気水分離室2のガス保持空間部23に溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気a1を吸引して揮発性有機化合物ガス除去装置5へ引き入れ通過させることができる程度のもので足りるので消費電力は低く済み、従って、揮発性有機化合物ガス除去処理のランニングコストも低く抑えることができる。
【0065】
また、汚染水処理装置Aとしてみると、揮発性有機化合物を含有する汚染水W1を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置10の部分を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水W1の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの汚染水曝気装置10部分の配置の自由度高く増設することができ、それにより汚染水処理能力を高めることが可能である。
【0066】
次に図3を参照して、本発明に係る汚染水曝気装置の他の例100を含む汚染水処理装置の例Bについて説明する。
汚染水曝気装置100は、図1に示す汚染水曝気装置10を2段に隣り合わせて連設し、且つ、気水分離室を一つに統合して簡素化したものである。曝気装置100と併設される揮発性有機化合物ガス除去装置5B及びブロア6Bは、曝気装置100の処理能力が増していることに合わせてガス除去能力を向上させるために、図1のガス除去装置5やブロア6より大型のものであるが基本構造はガス除去装置5やブロア6と同じものである。
【0067】
汚染水曝気装置100は、ポンプ11、12を設置したポンプ設置部1Bの上に気水分離室2Bを搭載固定し、該気水分離室の上にカバー室3Bを搭載固定し、カバー室3B内において気水分離室2Bの天井壁21Bに二つの曝気ユニット4を設置したものである。 これらは全体を一体的に搬送し、所望の地上場所に設置できるように、全体が一体的に組み上げられ、ユニット化されている。
【0068】
各曝気ユニット4は図1の曝気装置10における曝気ユニット4と同構造のものである。曝気ユニット4に関連する曝気ノズル41等の部分については図1と同じ参照符号を付してある。
【0069】
カバー室3Bは気密に形成されており、一側壁31Bに空気導入口部311Bを備えている。カバー室3Bは気密に形成されているが、メインテナンス等のために図示省略の開閉扉を開けて内部へアクセスできるようになっており、該扉は気密に閉じることができる。
【0070】
気水分離室2Bは気密に形成されているが、メインテナンス等のために図示省略の開閉扉を開けて内部へアクセスできるようになっており、該扉は気密に閉じることができる。 気水分離室2B内には、図1の曝気装置10におけると同様の水槽部22が隣り合わせて2段に設けられており、それら水槽部22の上方空間は各水槽部に対し共通のガス保持空間部23Bとなっている。
ガス保持空間部23Bに対してガス放出部231Bが設けられている。ガス放出部231Bはカバー室3B内へ延び出て、カバー室3Bの一側壁31Bに達している。
【0071】
各水槽部22は、曝気ノズル41の下方に位置する第1水槽部221とそれに隣り合う第2水槽部222とからなっている。各曝気ノズル41はパイプ42により第1水槽部221内へ通じている。
【0072】
前段の第2水槽部222に対して図1の装置10におけるものと同じ水位検知センサS2が設けられている。後段の第2水槽部222に対しても同じ構造の水位検知センサS3が設けられている。センサS2、S3により検出される水位情報は水位制御部Contに入力される。
【0073】
各第2水槽部222の底部には放水部223Bが設けられている。放水部223Bはポンプ設置部1Bへ延び出ている。
図3においてV2は水槽部221、222のそれぞれの底部に接続された手動弁で、メインテナンス時等に必要に応じ開成することができる。
【0074】
ポンプ11は、本例では地中から別途ポンプで汲み上げられて地上タンクTに収容された揮発性有機化合物含有の汚染水W1をストレーナ(フィルタ)STを介して吸引し、レジューサRを介して前段曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給することができる。
ポンプ12は、前段の第2水槽部222の放水部223Bから該水槽部222内の水を後段の曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給できる。
図3において111はポンプ11始動時にポンプ11へ呼び水を供給するための呼び水供給部である。
【0075】
図3においても、タンクTにセンサS2と同構造の水位センサS1が設けられている。センサS1により検出されるタンク内水位情報も水位制御部Contに入力される。
【0076】
以上説明した汚染水曝気装置100の隣に揮発性有機化合物ガス除去装置5Bが設置されている。ガス除去装置5Bは内部に活性炭充填部51Bを有している。
ガス除去装置5Bは下部にガス導入口部52Bを、上部に空気吐出口部53Bを有している。
ガス導入口部52Bは気水分離室2Bのガス放出部231Bに配管接続されており、空気吐出口部53Bはカバー室3Bの空気導入口部311Bに配管接続されている。
【0077】
以上説明した汚染水処理装置Bによると、ポンプ11にてタンクT内の汚染水W1が前段の曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給される。ポンプ11による汚染水W1の曝気ノズル41への供給は、水位制御部Contの指示のもとに、タンクTのセンサS1がタンクT内水位の下限水位より下方への低下を示していないこと及び第2水槽部222のセンサS2が水槽部内水位の上限水位より上方への上昇を示していないことを条件として行われる。
【0078】
ポンプ11にてタンクT内の汚染水W1が前段曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給されると、各曝気ノズル41で該汚染水に空気が混合されて曝気されつつ気水混合水として気水分離室2の前段の第1水槽部221へ放出される。このとき、ノズル41へ供給されてくる汚染水W1を全体的に簡単、確実に効率よく十分曝気することができる。
【0079】
前段の曝気ノズル41からの曝気された気水混合水は気水分離室2へ放出されて前段の第1水槽部221に受け入れられ、該水槽部内の気水混合水から揮発性有機化合物が容易に揮発し、空気とともに水から脱離し、該水槽部上方のガス保持空間部23Bに保持される。
【0080】
前段の第1水槽部221から溢れた水W2は前段の第2水槽部222へ流入する。このとき、未だ水W2に残っていることがあり得る揮発性有機化合物が、第1水槽部221から第2水槽部222への溢流時に、さらには第2水槽部222において揮発脱離してガス保持空間部23Bに保持される。
【0081】
前段の第2水槽部222に溜まった水W2は、後段のポンプ12により後段の曝気ユニット4の各曝気ノズル41へ供給され、そこで全体的に簡単、確実に効率よく十分曝気され、気液混合水となって後段の第1水槽部221に受け入れられ、該水槽部内の気水混合水から揮発性有機化合物が容易に揮発し、空気とともに水から脱離し、該水槽部上方のガス保持空間部23Bに保持される。
【0082】
ポンプ12による水W2の曝気ノズル41への供給は、水位制御部Contの指示のもとに、センサS2が前段水槽部222内水位の下限水位より下方への低下を示していないこと及び後段第2水槽部222のセンサS3が水槽部内水位の上限水位より上方への上昇を示していないことを条件として行われる。
後段の第1水槽部221から溢れた水W3は後段の第2水槽部222へ流入する。このとき、未だ水W3に残っていることがあり得る揮発性有機化合物が揮発脱離してガス保持空間部23Bに保持される。
【0083】
後段の第2水槽部221に溜まった水W3は、揮発性有機化合物が人体に害を与えない程度まで除去されているときには放水部223Bから自然へ放流することができる。しかし、第2水槽部221の水W3をさらに処理するときは、次の処理装置へ流出させればよい。次の処理装置としては、例えば水に含まれていることがある鉄分等の除去処理装置を挙げることができる。
このような鉄分等の除去処理は汚染水の曝気処理及び揮発性有機化合物の揮発脱離処理の前に行ってもよく、後に行ってもよい。
また、水W3の汚染の程度によっては、水W3をさらにもう一つ以上の汚染水曝気装置100で処理してもよい。
【0084】
一方、ガス保持空間部23Bに保持された揮発性有機化合物ガス含有空気a1はブロア6Bの運転によりガス除去装置5Bへ導入され、そこで揮発性有機化合物ガスが活性炭充填部51Bで吸着除去され、その後の、ブロア運転により加熱された(例えば40℃〜50℃程度に或いはさらに高温に加熱された)空気aがブロア6Bからカバー室3B内へ供給され、各曝気ノズル41における汚染水W1やW2の曝気に供される。このように、加熱空気aが汚染水曝気に供されることで、汚染水W1、W2からの揮発性有機化合物の揮発脱離が円滑化される。
【0085】
以上説明した汚染水処理装置Bの汚染水曝気装置100においても、曝気のための給気ブロア等が必要とされず、また、曝気ノズルは構造簡単に済ませることができるから、装置コストを安価に抑えることができるとともに、ポンプ11、12を運転すれば汚染水曝気及び揮発性有機化合物の揮発脱離を行えるのでランニングコストを低く抑えることができる。
【0086】
また、汚染水曝気装置100は、これに注目すると、全体を一体的に搬送、設置可能に全体が一体的に組み上げられてユニット化されていることで、容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、汚染水曝気装置設置現場の状況(スペース等)に応じてそれぞれの配置の自由度高く連設して用いることができる。
【0087】
また、汚染水処理装置B全体としてみると、汚染水曝気装置100の部分で汚染水を全体的に簡単、確実に曝気してそれだけよく揮発性有機化合物を揮発脱離させることができ、そのためのランニングコストは低く抑えることができる。さらに、ブロア6Bを運転して汚染水曝気装置100の気水分離室2Bのガス保持空間部23Bに溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気をガス放出部223Bからガス除去装置5Bへ引き入れ、該揮発性有機化合物ガス含有空気から揮発性有機化合物ガスを除去処理できる。
【0088】
このとき、ブロア6Bの能力は、汚染水曝気装置100の気水分離室2Bのガス保持空間部23Bに溜まる揮発性有機化合物ガス含有空気a1を吸引してガス除去装置5Bへ引き入れ通過させることができる程度のもので足りるので消費電力は低く済み、従って、揮発性有機化合物ガス除去処理のランニングコストも低く抑えることができる。
【0089】
また、汚染水処理装置Bとしてみると、汚染水曝気装置100の部分を一体的に容易に搬送したり、設置したりでき、汚染水W1の汚染の程度に応じて容易に複数段に、且つ、それぞれの汚染水曝気装置100の配置の自由度高く増設することができ、それにより汚染水処理能力を高めることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は揮発性有機化合物で汚染された地下水等の汚染水を曝気処理して揮発性有機化合物を揮発脱離させ、さらには揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気から揮発性有機化合物ガスを除去処理することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る汚染水曝気装置の1例を含む汚染水処理装置の例を示す図である。
【図2】曝気ノズルの断面図である。
【図3】本発明に係る汚染水曝気装置の他の例を含む汚染水処理装置の他の例を示す図である。
【図4】従来の汚染水曝気装置例を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
A、B 汚染水処理装置
10、100 汚染水曝気装置
1、1B ポンプ設置部
11、12 ポンプ
111 呼び水導入部
R レジューサ
2、2B 気水分離室
21、21B 天井壁
22 水槽部
221 第1水槽部
222 第2水槽部
223、223B 放水部
23、23B ガス保持空間部
231、231B ガス放出部
3、3B カバー室
31、31B カバー室の一側壁
311、311’、311B 空気導入口部
4 曝気ユニット
41 曝気ノズル
411 ノズル部
412 円筒部
413 空気導入路
42 パイプ
V1、V2 弁
P 圧力計
5、5B 揮発性有機化合物ガス除去装置
51、51B 活性炭充填部
52、52B ガス導入口部
53、53B 空気吐出口部
6、6B ブロア
ST ストレーナ
T タンク
S1、S2、S3 水位検出センサ
e1、e2、e3 電極
Cont 水位制御部
W1、W2、W3 水
a1 揮発性有機化合物ガス含有空気
a 空気
H1、H2 空気加熱ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させる汚染水曝気装置であり、
揮発性有機化合物を含有する汚染水を吸引吐出するためのポンプと、
前記ポンプから汚染水供給を受け、該汚染水に空気を混合して曝気しつつ気水混合水として放出する1又は2以上の曝気ノズルを含む曝気ユニットと、
前記曝気ユニットの曝気ノズルから放出される気水混合水を受け入れるとともに該気水混合水から放出される揮発性有機化合物ガス含有空気を保持する気水分離室とを含んでおり、
前記曝気ノズルは該曝気ノズルでの噴出水流により生じる負圧により該噴出水流へ向け空気を導入混合させるノズルであり、
前記気水分離室は、前記曝気ユニットの曝気ノズルからの放出水を受け入れる水槽部と、該水槽部に溜まる水を放流又は次の処理のために流出させるための放水部と、該水槽部上方のガス保持空間部と、該ガス保持空間部の揮発性有機化合物ガス含有空気を次の処理のために流出させるためのガス放出部とを含んでいることを特徴とする汚染水曝気装置。
【請求項2】
前記曝気ノズルは、前記ポンプから送られてくる汚染水を噴出させるノズル部と、該ノズル部からの噴出水流を通過させる筒部とを含み、該筒部は、該噴出水流により該筒部内に発生する負圧により該噴出水流へ向け空気を導入混合する空気導入路を有している請求項1記載の汚染水曝気装置。
【請求項3】
前記気水分離室の水槽部は、前記曝気ユニットの曝気ノズルからの放出水を受け入れる第1水槽部と、該第1水槽部からの溢水を流入させる第2水槽部とを含んでおり、前記放水部は該第2水槽部に対して設けられている請求項1又は2記載の汚染水曝気装置。
【請求項4】
順次隣り合わせて複数段に連設された請求項1、2又は3記載の汚染水曝気装置を含み、
該複数段に連設された汚染水曝気装置のうち最前段の汚染水曝気装置におけるポンプは外部から前記汚染水を吸引して該ポンプに対応する前記曝気ユニットの曝気ノズルへ該汚染水を供給するポンプであり、
各隣り合う該汚染水曝気装置のうち前段の汚染水曝気装置における前記気水分離室の放水部は後段の汚染水曝気装置のポンプの吸水口に接続されている汚染水曝気装置。
【請求項5】
前記複数段に連設された汚染水曝気装置の前記気水分離室のガス保持空間部は互いに連通している請求項4記載の汚染水曝気装置。
【請求項6】
前記複数段に連設された汚染水曝気装置の気水分離室は一つの統合気水分離室に包含されており、該複数段に連設された汚染水曝気装置の気水分離室のそれぞれにおける前記水槽部及びガス保持空間部は該統合気水分離室に包含されており、該複数段に連設された汚染水曝気装置の気水分離室の前記ガス放出部は一つに統合されて該統合気水分離室に対し設けられている請求項4記載の汚染水曝気装置。
【請求項7】
全体を一体的に搬送、設置可能に全体が一体的に組み上げられてユニット化されている請求項1から6のいずれかに記載の汚染水曝気装置。
【請求項8】
揮発性有機化合物を含有する汚染水を曝気して該汚染水から揮発性有機化合物を揮発脱離させ、揮発脱離した揮発性有機化合物ガスを含有する空気から揮発性有機化合物ガスを除去する処理を行う汚染水処理装置であり、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の汚染水曝気装置と、該汚染水曝気装置の気水分離室のガス放出部にガス導入口部が接続された揮発性有機化合物ガス除去装置と、該気水分離室のガス放出部から該揮発性有機化合物ガス除去装置へ揮発性有機化合物ガス含有空気を引き入れ通過させるためのブロアとを含むことを特徴とする汚染水処理装置。
【請求項9】
前記曝気ユニットの曝気ノズルへ吸引される空気を加熱する空気加熱手段を備えている請求項8記載の汚染水処理装置。
【請求項10】
前記ブロアは前記揮発性有機化合物ガス除去装置の空気吐出口部に接続されており、前記曝気ユニットは前記気水分離室に連設されたカバー室内に内蔵配置されており、該カバー室には該カバー室内へ空気を導入するための空気導入口部が設けられており、前記ブロアの空気吐出口が該空気導入口部に接続されており、該ブロアは前記空気加熱手段の少なくとも一部を構成している請求項9記載の汚染水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−302323(P2008−302323A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153092(P2007−153092)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(591214804)株式会社松村組 (14)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)
【出願人】(594082604)真柄建設株式会社 (8)
【出願人】(594186555)馬淵建設株式会社 (7)
【出願人】(304038149)村本建設株式会社 (11)
【出願人】(391053364)株式会社ナガオカ (5)
【出願人】(592195676)株式会社ベストエンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】