説明

汚泥処理装置

【課題】酸欠やガス中毒などの危険を伴う作業、また汚物を扱うという難渋作業をなくし、また設備を停止することによる稼働率の低下を阻止する。
【解決手段】本汚泥処理装置は、受入・貯留設備と、1次・2次処理設備と、高度処理設備と、汚泥処理設備と、脱臭設備とからなる。受入・貯留設備には、受入槽と、屎尿や浄化槽汚泥を前処理するための破砕装置100B、夾雑物除去装置100C及び加圧脱水機100Dが備えられ、前処理された汚泥を固液分離するための除砂サイクロン6と、砂混じり汚泥をスクリーンを介して濾過する濾過槽20と、このスクリーンを通過した汚水を受け入れる貯留槽91,92が備えられる。スクリーンは、円筒形をなす回転体であり、さらにこのスクリーン内壁に沿って伸びるらせん状の羽根が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屎尿そのもの、あるいはその屎尿や生活排水等の浄化槽の汚泥を収集して、集中的に処理する屎尿、浄化槽汚泥用除砂装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屎尿そのもの、あるいは屎尿や生活排水等の浄化槽の汚泥を収集したものを集中的に処理する装置は、各所から収集された屎尿や浄化槽汚泥等をいったん受け入れ、土砂、 金属等を粗分離するための受入・貯留設備、その受入・貯留設備から送られたものを物理処理、生物処理するための攪拌槽や曝気槽、固液分離するための沈澱槽からなる1次・2次処理設備、その1次・2次処理設備から送られてくる液体分について、オゾン活性炭処理等を施し、放流可能状態に浄化を行うための高度処理設備、この1次・2次処理設備あるいは高度処理設備から送られてくる個体分について、脱水、 乾燥、 薬液処理等を行うことにより、最終的には焼却処分するための汚泥処理設備、並びにこれら各設備に適宜取り付けられる脱臭設備などから構造されている。
【0003】
このような構成の装置では、1次・2次処理設備以降の工程はかなり高度化され、格別の問題はない。しかし、本願発明者は最初の段階である受入・貯留設備においては重要な問題が残されていることを認識しており、この受入・貯留設備に主眼をおいて、以下に説明する。
【0004】
図8は、従来の屎尿、汚泥処理装置を説明するための図である。
【0005】
この図に示すように、一連の汚泥処理における最初の段階である受入・貯留設備は、屎尿81aあるいは浄化槽汚泥81bの何れの場合でも、沈砂槽83を含む受入槽82、破砕装置84、夾雑物除去装置85、加圧脱水機86、受槽87(この受槽87は夾雑物除去装置85と後述する屎尿貯留槽89aもしくは浄化槽汚泥貯留槽89bとの間に落差がある場合は使用されず、落差が殆ど無いか、あるいは逆に屎尿貯留槽89aもしくは浄化槽汚泥貯留槽89bの方が高い場合はポンプ88と併用して使用される)、屎尿貯留槽89aもしくは浄化槽汚泥貯留槽89b、沈砂除去装置80、焼却装置81、灰受82等により構成されている。 沈砂槽83においては、大きな石や金属類をはじめ、粒径の大きい大方の砂類は除去されるが、粒径の小さな砂類は除去されない。この除去されない砂類は、その後、布などの夾雑物と共に破砕装置84、夾雑物除去装置85を経由し、布類は加圧脱水機86を経て焼却装置81に送られる。しかし、粒径の小さな砂類はこの工程でも除去されず、夾雑物除去装置85あるいは加圧脱水機86からそれぞれ受槽87を経由して、あるいは、加圧脱水機86を経由せずに、そのまま屎尿貯留槽89aもしくは浄化槽汚泥貯留槽89bに送られるという手段が採られていた。
【0006】
このような従来の屎尿、浄化槽汚泥処理装置において、大容量(通常100〜500m3 )の屎尿貯留槽89aや浄化槽汚泥貯留槽89bには、多量の砂が堆積するため、年に1〜2回は砂の除去及び槽内の清掃作業が必要である。この作業は特殊清掃車などの機械力を利用して行われる。しかし、完全な処理を行うためには、さらに作業員が槽の中に入って最後の仕上げ作業を行う必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、こうした作業員による槽内での砂の除去及び槽内の清掃作業は、酸欠やガス中毒などの危険があるため、大掛かりな装備と、注意が必要とされる。さらに、槽内の除去・清掃作業中は、当該装置の運転を停止しなければならず、このため屎尿、浄化槽汚泥処理全体の稼働率が低下を招く。このように、設備全体の管理上及び運営上の問題を招くことから、大容量の屎尿貯留槽や浄化槽汚泥貯留槽における砂類の堆積はできる限り少なくすることが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため本発明の汚泥処理装置は、本汚泥処理装置全体の構成を示すブロック概念図である図1を参照しながら説明すると、屎尿および/または浄化槽汚泥等を受け入れる受入槽100Aと、この受入槽100A内の屎尿および/または浄化槽汚泥を前処理するための破砕装置100B、夾雑物除去装置100C及び加圧脱水機100Dからなる前処理設備110とを備え、この受入槽内の土砂や金属等を粗分離するための受入・貯留設備100と、この受入・貯留設備100から送られたものを物理処理および生物処理するための1次・2次処理設備200と、この1次・2次処理設備200から送られてくる液体分を放流可能な状態にまで浄化するための高度処理設備300と、上記1次・2次処理設備200あるいは高度処理設備300から送られてくる固体分を最終的には焼却処分するための処理を行う汚泥処理設備400と、上記各設備に適宜設置される脱臭設備500とからなり、
上記受入・貯留設備100には、上記前処理設備110によって前処理された汚泥を受け入れる受槽100Eと、この受槽100Eを介して前処理された汚泥を受け、固液分離するためのサイクロン100Fと、このサイクロン100Fから流下する汚泥を濾過するためのスクリーンを備えた濾過槽100Gと、このスクリーンを通過した汚水を受け入れる貯留槽100Hが備えられている。
【0009】
また、スクリーンは、円筒形をなす回転体であり、このスクリーン内部には少なくとも当該内壁に沿って伸びるらせん状の羽根が固定されている。
【0010】
以上の構成において、サイクロン100Fでは、破砕装置100B、夾雑物除去装置100C及び加圧脱水機100D等から送られる前処理された汚泥を受槽100Eを介して受け、これを固液分離する。さらに、このサイクロン100Fから流下する砂混じり汚泥は、濾過槽100Gに受け入れられる。この濾過槽100Gでは、濾過槽100Gに設けられたスクリーンの回転により、砂混じり汚泥は回転し、回転ドラム内壁に沿って出口方向に移動するが、この移動はスクリーン内壁に設けられたらせん状の羽根に沿って送られる。このらせん状の羽根が介在することにより、砂混じり汚泥の濾過槽100Gにおける滞留時間を増やすことができ、液状のものが短時間で固液分離されずに出口コンベアーからの流出を防止するとともに、固形物が一定の滞留時間をもって排出される。これにより固液分離効果を高めることができる。
【0011】
本発明の汚泥処理装置において、受入・貯留設備100には、複数の受槽100Eと、この各受槽100Eを介して前処理された汚泥を受け、固液分離するための複数のサイクロン100Fを設けた構成であってもよい。
【0012】
さらに、本発明の汚泥処理装置は、上記構成に加えて、濾過槽100Gから排出される排出物の濾過槽100Gの出口部を、出口方向に狭まるテーパ形状とし、この出口部の内部に当該出口部内壁に沿って伸びるらせん状の羽根を固定した構成であることが好ましい。
【0013】
この構成により、出口部の内壁に沿って伸びるらせん状の羽根は、スクリーンとともに回転し、砂混じり汚泥を掻き揚げるように動作するので、砂混じり汚泥の濾過槽100Gにおける滞留時間をさらに増やすことができ、これにより固液分離効果をさらに高めることができる。
【0014】
さらに、本発明の汚泥処理装置は、上記構成に加えて、上記濾過槽100Gの外部にポリマーを供給するためのポリマー供給部が設けられ、上記サイクロンから排出される砂混じり汚泥は、ポリマーが混入された状態で上記濾過槽内に導入される構成であってもよい。
【0015】
上記サイクロンから排出される砂混じり汚泥には、ポリマー、すなわち、高分子凝集剤が混入されることにより、砂混じり汚泥の凝集効果が高まり、砂混じり汚泥は固形物として除去される。
【0016】
さらにまた、本発明の汚泥処理装置は、上記構成に加えて、上記濾過槽100Gから排出される砂混じり汚泥を受け入れる回転可能な排出コンベアを設け、この排出コンベアの回転軸を傾斜した状態とするとともに、この排出コンベアを、砂混じり汚泥の液体分が滴り落ちる程度の超低速の回転数に制御するよう構成してもよい。
【0017】
この排出コンベアにより、砂混じり汚泥はゆっくりと掻き揚げられるとともに、汚水は排出コンベアの傾斜面に沿って滴り落ちる。これにより、砂混じり汚泥の水切れを促進させることができる。
【0018】
またさらに、本発明の汚泥処理装置においては、上記スクリーンを、断面形状が逆二等辺三角形とし、当該スクリーンの回転方向に直交する方向に所定の間隔を介して併設された複数本の濾過部材と、これらの濾過部材の逆二等辺三角形の頂角側で交差する方向に設けられた複数本の支承部材とからなる構成とすることが好ましい。
【0019】
この構成により、スクリーンの目詰まりが少なく、例え目詰まり状態となっても、例えば、エアーや水などによる洗浄装置によって簡単に汚泥を除去できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の汚泥処理装置によれば、貯留設備への砂の流入をほぼ完全に阻止することができ、年間1〜2回必要であった槽内での砂の除去及び槽内の清掃作業は無用となり、酸欠やガス中毒などの危険を伴う作業、また汚物を扱うという難渋作業から開放され、設備を停止することによる稼働率の低下を阻止することができる。この結果、施設全体の管理上の問題や運営上の問題が解消した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
図2は、本発明の汚泥処理装置の第1の実施形態の要部を示す図であり、本発明の汚泥処理装置における受入・貯留設備100の構成を説明するための図である。
【0022】
本装置は、屎尿を受け入れる受入槽(図示せず)と、この受入槽から送られる屎尿を前処理するための前処理設備110として、破砕装置100B、夾雑物除去装置100C及び加圧脱水機100Dが備えられており、これらの前処理設備110によって前処理された汚泥(屎尿)を受ける屎尿受槽1が設けられている。前処理された汚泥は、受槽汚泥入口2を介して屎尿受槽1に受けられる。この屎尿受槽1において、汚泥が所定量貯留されると(略満杯状態)、レベルスイッチが作動し、ポンプ3が稼動する。これにより、汚泥は輸送パイプ5を介して除砂サイクロン6に送り込まれる。この除砂サイクロン6は、円筒形サイクロンが用いられており、この種の装置に通常使用される固液分離するための装置である。この除砂サイクロン6は、通常の水処理、例えば、井戸水中の砂分離、金属やガラスなどの研磨工場での洗浄水中の研磨剤の回収などに用いられるものがそのまま使用可能であり、高能率、高機能のものが適用されることが好ましい。
【0023】
なお、屎尿受槽1の汚泥の残量が所定量に達するとポンプ3は停止し、汚泥の輸送は停止する。本装置ではこうした間欠方式が採用されており、この作動は上記のような受槽のレベルスイッチなど電気的な制御機器の働きによって自動的に行われるようになっている。
【0024】
また、除砂サイクロン6では、砂の粒径が0.01〜0.2mmのもの、特に0.1mm以下のものを除去する。この為には、除砂サイクロン6の入口(圧送流入口7)と出口(排出口10)との圧力差は、通常、9.8×104 Pa〜19.6×104 Pa以上、好ましくは、12.74×104 Pa以上とすればよく、また、処理能力は1m3 以上/分・台とすることが好適である。
【0025】
この除砂サイクロン6の上部側壁部分に、汚泥を受けるための圧送流入口7が設けられており、また、除砂サイクロン6の上面部分に、比重の小さい汚泥の大部分の送出口となる圧送流出口10が設けられている。この除砂サイクロン6内では、汚泥は回転運動を起こし、その遠心力によって砂など比重の大きな物質は外側に移動し、サイクロン本体の内壁面に沿って降下する。この降下した物質は排出口9より汚泥の一部と共に排出され、この排出口9を介して除砂サイクロン6と連結されているコレクター8内に、コレクター8上部に備えられたコレクター入口13を介して受け入れられるようになっている。一方、比重の小さい汚泥は圧送流出口10を介して生屎尿貯留槽91あるいは、浄化槽汚泥貯留槽92に送られる。
【0026】
このコレクター8は、底部にコレクター出口14を有しており、下部は先細りとなったホッパー状の容器となっている。このコレクター出口14には、さらにバルブ16が連結されており、このバルブ16を介して濾過槽20に砂混じり汚泥を流下させる構成となっている。また、コレクター出口14のやや上部側方には、運転停止時に、砂混じり汚泥を屎尿受槽1へ再び戻すための輸送パイプ55がバルブ15を介して設けられている。また、コレクター8には除砂サイクロン6の排出口9より流出する状態を確認できるよう覗き窓(図示せず)が設けられている。
【0027】
次に、コレクター8から流下した砂混じり汚泥を受ける濾過槽20について、図3を参照しながら、以下、詳細に説明する。図3は、図2に示す第1の実施形態の濾過槽に用いられる濾過槽の構造を示す図である。
【0028】
この濾過槽20には、入口ドラム21、円筒形をなすスクリーン22及び出口方向に狭まるテーパ形状とされた出口ドラム23を備えた回転体ドラム25が設けられており、この回転体ドラム25は、本体カバー26に覆われている。スクリーン22は、この回転体ドラム25内壁に沿って設けられており、このスクリーン22及び出口ドラム23の内壁に沿って、回転体ドラム25に固定された送り羽根24が設けられている。回転体ドラム25は、ギアモータの駆動により、回転動作がなされる。
【0029】
スクリーン22は、図4乃至図6に示すように、断面形状が逆二等辺三角形をなし、このスクリーン22の回転方向に直交する方向(F)に間隔Sをおいて併設された複数本の濾過部材22aと、これらの濾過部材22aの逆二等辺三角形の頂角側(T)で交差する方向に設けられた複数本の支承部材22bとから構成されている。間隔Sは、0.25〜0.5mmの範囲とされ、通常は0.3mmとすることが好ましい。このスクリーン22は、円筒形をなし、回転体ドラム25の内壁に沿って設けられている。このスクリーン22表面は、図6に示すように湾曲面をなす。
【0030】
一方、図2、図3に示すように、入口ドラム21には、円筒形の押し込みフィダー34が設けられている。この押し込みフィダー34には、上述したコレクター8からバルブ16を介して砂混じり汚泥が流下するようになっている。この押し込みフィダー34には、ポリマータンク40から、ポリマーがポリマー注入ポンプ41を介して供給される。
【0031】
さらに、回転ドラム25には、回転ドラム25内を洗浄するための構成として、空気を供給する洗浄空気ヘッダ27、洗浄ノズル29を介して洗浄水を供給する洗浄水ヘッダ28が設けられている。洗浄空気ヘッダ27には洗浄ブロワー52によって、エアーが供給される。一方、洗浄水ヘッダ28には、ポンプ54から洗浄水が、あるいは、温水洗浄装置51から温水が適宜供給されるようになっている。この構成により、除砂サイクロン6の停止中にエアーや洗浄水がスクリーン22に向けて吹き付けられる。
【0032】
スクリーン22は、濾過部材22aとして断面形状が逆二等辺三角形の部材が用いられ、これを複数本使用することにより形成された構成により、スクリーン22の目詰まりを少なくすることができる。たとえ、目詰まりを起こしたとしてもこれら洗浄手段によって簡単に砂混じり汚泥を除去できる。
【0033】
以上の構成の濾過槽20では、押し込みフィダー34には、コレクター8から砂混じり汚泥が流下するとともに、ポリマータンク40からポリマーが供給され、砂混じり汚泥内にポリマーが注入される。このポリマーの凝集効果により、砂混じり汚泥は凝集され、水切れのよい状態で回転ドラム25内に送られる。さらに、回転ドラム25の回転により、砂混じり汚泥はスクリーン22の内壁に沿って出口方向に移動し、スクリーン22上に拡散されて、汚水と分離がなされるが、この際、出口ドラム23にまで伸びて設けられた送り羽根24の掻き上げ動作により、濾過槽20における砂混じり汚泥の滞留時間を増やすことができ、固液分離効果をいっそう高めることができる。この結果、本装置では砂混じり汚泥の除去効率を向上させることができる。
【0034】
以上の工程において、スクリーン22を通過しなかった砂混じり汚泥は除砂コンベア60に受けられる。一方、スクリーン22を通過した汚水は輸送パイプ56を介して屎尿受槽1に戻される。
【0035】
この除砂コンベア60は、回転数を超低速(1〜5rpm)として回転駆動されており、回転軸は傾斜した構成とされている。この構成により、砂混じり汚泥はゆっくり回転しながら掻き上げられ、砂混じり汚泥の水切りがさらに促進される。そして、このように水切りされた砂混じり汚泥は、焼却炉93で焼却されるか、あるいは、いったん貯留された後、焼却場へ搬送され焼却処分され、焼却残渣は廃棄物として埋め立て処分される。一方、この水切りによって出た汚水は、除砂コンベア60下方に流れ、輸送パイプ57を介して屎尿受槽1に戻される。
【0036】
この第1実施形態では、屎尿処理を行う例を示したが、屎尿に限らず、浄化槽汚泥処理を行うことも可能である。
【0037】
次に、第2実施形態として、屎尿処理及び浄化槽汚泥処理を同時に処理可能な処理装置を説明する。
<第2実施形態>
図7は、本発明の汚泥処理装置の第2の実施形態の要部を示す図である。
【0038】
この装置において、第1実施形態と同様の構成については、同符号を付し、説明は省略する。
【0039】
この装置では、受槽1Xは、前処理された屎尿を受ける屎尿受槽1aと前処理された浄化槽汚泥を受ける浄化槽汚泥受槽1bとが、それぞれ分離されて設けられている。本装置では、各受槽1a、1bにおいて、それぞれの汚泥が、所定量貯留されると(略満杯状態)、レベルスイッチが作動し、ポンプ3a,3bが稼動する。これにより、汚泥は輸送パイプ5a,5bを介して除砂サイクロン6a,6bに送り込まれる。なお、ポンプ3cはポンプ3aあるいはポンプ3bが故障した場合に使用される予備のポンプとして設けられている。
【0040】
本実施形態では、屎尿受槽1aと浄化槽汚泥受槽1bが設置されており、これら2系統の処理をそれぞれ行うため、2つの除砂サイクロン6a,6b及び2つのコレクター8a,8bが設置されている点が第1実施形態と異なる。また、除砂サイクロン6a,6bにおいて、比重の小さい汚泥は圧送流出口10a,10bから、それぞれ屎尿貯留槽90a,浄化槽貯留槽90bに送られる。一方、2つの除砂サイクロン6a,6b及び2つのコレクター8a,8bでそれぞれ処理された砂混じり汚泥は、コレクター8a,8bの出口からそれぞれ排出され、汚泥受コンベア71に送り込まれる。本実施形態に使用されるサイクロン及びコレクターは第1実施形態と同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0041】
汚泥受コンベア71には、コレクター8a,8bの出口からそれぞれ排出された砂混じり汚泥が受けられるが、この砂混じり汚泥にさらに、ポリマータンク40からポリマーがポリマー注入ポンプ41を介して供給される。このポリマーの凝集効果により、砂混じり汚泥は凝集され、水切れのよい状態で濾過槽20に設けられた押し込みフィダー34に供給される。濾過槽20は第1実施形態と同様であり、回転ドラム(図示せず)におけるスクリーンや送り羽根の動作により、固液分離効果による砂混じり汚泥の除去効率を向上させることができる点は第1実施形態と同様である。
【0042】
濾過槽20でスクリーンを通過しなかった砂混じり汚泥は除砂コンベア72に受けられる。一方、スクリーンを通過した汚水は輸送パイプ56を介して屎尿受槽1Xに戻される。
【0043】
この除砂コンベア72においても、第1実施形態と同様、回転数を超低速(1〜3rpm)に回転駆動されており、回転軸が傾斜した構成とされている。この構成により、砂混じり汚泥はゆっくり回転しながら掻き上げられ、さらに砂混じり汚泥の水切りがなされる。そして、水切りされた砂混じり汚泥は、焼却炉93で焼却されるか、あるいは、いったん貯留された後、焼却場へ搬送され焼却処分され、焼却残渣は廃棄物として埋め立て処分される。一方、この水切りによって出た汚水は、除砂コンベア72下方に流れ、輸送パイプ56を介して屎尿受槽1Xに戻される。
【0044】
以上の構成の第2実施形態では、屎尿及び浄化槽汚泥について、サイクロンまでの処理を独立して行うことができ、処理能力の増大を図ることができる。この第2実施形態では、処理汚泥を2種類に限ることなく、1種類であっても、適用できることはいうまでもなく、同様に処理能力が増大する。
[実施例]
第1実施形態の装置(屎尿処理量:60kl/日の施設)を1年間稼動した結果、貯留槽内に堆積した砂量実測値は約0.02m3 であった。さらに具体的には、本装置では、細砂の回収率は95%(粒度0.2mm以上)に達した結果が得られた。この値は、従来目標とされ、なかなか実現できなかった目標値である85%を大幅に上回る値である。この結果、従来の装置(貯留槽500m3 )では、100m3 の砂が堆積されていたため、年に2回、装置を停止した上で砂の除去・清掃作業を行う必要があったが、本装置ではそのような作業の必要はなく、施設全体の管理・運営上、格段の利益をもたらすことになった。
【0045】
さらに、回収された砂混じり汚泥の含水率は、75%〜85%(スクリーン出口)となり、従来に比べ、含水率を大幅に減少させることにも成功した。この結果、従来では砂混じり汚泥は付設の焼却装置により焼却処理が行われていたが、本装置によって得られた砂混じり汚泥は、運搬するための含水率の上限基準85%を上回ることがなく、砂混じり汚泥の運搬を可能にした。これにより、この砂混じり汚泥を別施設の焼却場に運搬して、そこで焼却処分し、焼却処分された焼却残渣を廃棄物として埋め立て処分することが可能になった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、酸欠やガス中毒などの危険を伴う槽内での砂の除去及び槽内の清掃作業を無用とした点で有益であり、施設全体の管理・運営上の問題の解消に寄与するものである。さらに、処理後の砂混じり汚泥を焼却処理するだけでなく、処理後の砂混じり汚泥は、この砂混じり汚泥を運搬するための含水率の上限基準(含水率が85%)以内であることから、別施設の焼却場までの運搬を可能とし、そこで焼却処分された焼却残渣の埋め立て処分を実現できる。このように、砂混じり汚泥の焼却処分方法に新たな展開が見出された点で有益である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の汚泥処理装置の全体の構成を示すブロック概念図である。
【図2】本発明の汚泥処理装置の第1の実施形態の要部を示す図である。
【図3】図2に示す第1の実施形態の濾過槽に用いられる濾過槽の構造を示す図である。
【図4】図3示す濾過槽に設置されるスクリーンの構造を説明するための斜視図である。
【図5】図4のスクリーンを矢符X方向からみた図である。
【図6】図3示す濾過槽に設置されるスクリーンの一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図7】本発明の汚泥処理装置の第2の実施形態の要部を示す図である。
【図8】従来の屎尿、浄化槽汚泥処理装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
100 受入・貯留設備
100A 受入槽
100B 破砕装置
100C 夾雑物除去装置
100D 加圧脱水機
100E 受槽
100F サイクロン
100G 濾過槽
100H 貯留槽
200 1次・2次処理設備
300 高度処理設備
400 汚泥処理設備
500 脱臭設備
34 押し込みフィダー
40 ポリマータンク
60 除砂コンベア
20 濾過槽
21 入口ドラム
22 スクリーン
22a 濾過部材
22b 支承部材
23 出口ドラム
24 送り羽根
25 回転ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屎尿および/または浄化槽汚泥等を受け入れる受入槽と、この受入槽内の屎尿および/または浄化槽汚泥を前処理するための破砕装置、夾雑物除去装置及び加圧脱水機からなる前処理設備とを備え、この受入槽内の土砂や金属等を粗分離するための受入・貯留設備と、この受入・貯留設備から送られたものを物理処理および生物処理するための1次・2次処理設備と、この1次・2次処理設備から送られてくる液体分を放流可能な状態にまで浄化するための高度処理設備と、上記1次・2次処理設備あるいは高度処理設備から送られてくる固体分を最終的には焼却処分するための処理を行う汚泥処理設備と、上記各設備に適宜設置される脱臭設備とからなり、
上記受入・貯留設備には、上記前処理設備によって前処理された汚泥を受け入れる受槽と、この受槽を介して前処理された汚泥を受け、固液分離するためのサイクロンと、このサイクロンから流下する砂混じり汚泥を濾過するためのスクリーンを備えた濾過槽と、このスクリーンを通過した汚水を受け入れる貯留槽が備えられているとともに、
上記スクリーンは、円筒形をなす回転体であり、このスクリーン内部には少なくとも当該内壁に沿って伸びるらせん状の羽根が固定されていることを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項2】
屎尿および/または浄化槽汚泥等を受け入れる受入槽と、この受入槽内の屎尿および/または浄化槽汚泥を前処理するための破砕装置、夾雑物除去装置及び加圧脱水機からなる前処理設備とを備え、この受入槽内の土砂や金属等を粗分離するための受入・貯留設備と、この受入・貯留設備から送られたものを物理処理および生物処理するための1次・2次処理設備と、この1次・2次処理設備から送られてくる液体分を放流可能な状態にまで浄化するための高度処理設備と、上記1次・2次処理設備あるいは高度処理設備から送られてくる固体分を最終的には焼却処分するための処理を行う汚泥処理設備と、上記各設備に適宜設置される脱臭設備とからなり、
上記受入・貯留設備には、上記前処理設備によって前処理された汚泥を受け入れる複数の受槽と、この各受槽を介して前処理された汚泥を受け、固液分離するための複数のサイクロンと、これら複数のサイクロンから流下する砂混じり汚泥を濾過するためのスクリーンを備えた濾過槽と、このスクリーンを通過した汚水を受け入れる貯留槽が備えられているとともに、
上記スクリーンは、円筒形をなす回転体であり、このスクリーン内部には少なくとも当該内壁に沿って伸びるらせん状の羽根が固定されていることを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項3】
上記濾過槽から排出される排出物の当該濾過槽の出口部は、出口方向に狭まるテーパ形状をなすとともに、この出口部の内部に当該出口部内壁に沿って伸びるらせん状の羽根が固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥処理装置。
【請求項4】
上記濾過槽外部にポリマーを供給するためのポリマー供給部が設けられ、上記サイクロンから排出される砂混じり汚泥はポリマーが混入された状態で上記濾過槽内に導入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の汚泥処理装置。
【請求項5】
上記濾過槽から排出される砂混じり汚泥を受け入れる回転可能な排出コンベアが設けられており、この排出コンベアの回転軸は傾斜した状態とされているとともに、この排出コンベアは、上記砂混じり汚泥の液体分が滴り落ちる程度の超低速の回転数に制御されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の汚泥処理装置。
【請求項6】
上記スクリーンは、断面形状が逆二等辺三角形をなし、当該スクリーンの回転方向に直交する方向に所定の間隔を介して併設された複数本の濾過部材と、これらの濾過部材の逆二等辺三角形の頂角側で交差する方向に設けられた複数本の支承部材とからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の汚泥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−196118(P2007−196118A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16632(P2006−16632)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(390033178)株式会社清流メンテナンス (2)
【Fターム(参考)】