説明

油漏れ検出装置

【課題】簡易な構成で油漏れを検出可能な油漏れ検出装置を提供する。
【解決手段】撮像手段1で撮像した油漏れ検出対象領域のカラー画像の各画素における色情報に基づいて、各画素における色の予め定める特定色の強度を算出する画像解析部3と、画像解析部3によって算出された特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する判定部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器からの油漏れを検出する油漏れ検出装置に関し、簡易な構成で油の漏れを検出する油漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機器に充填された油の漏れを検出する装置が知られている。この種の油漏れ検出装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものが知られている。この油漏れ検出装置は、例えば、絶縁油中に漏油指標物質としてSF6ガスを予め溶解させておき、このガスを検出することにより、漏油(絶縁油)を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−213758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の油漏れ検出装置は、予め油に溶解させておいたガスを検出することで油漏れを検出する構成であるため、油漏れの検査対象の機器はガスに対して気密構造である必要がある。したがって、上記従来の油漏れ検出装置では、ガスに対して気密構造でない機器からの油漏れを検出することは困難である。また、予め油にガスを溶解させておく必要があるため、手間がかかる。
【0005】
本発明は上記課題に着目してなされたもので、油漏れ検出装置において、簡易な構成で油漏れを検出可能な油漏れ検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による油漏れ検出装置は、撮像手段で撮像した油漏れ検出対象領域のカラー画像の各画素における色情報に基づいて、前記各画素における色の予め定める特定色の強度を算出する画像解析部と、前記画像解析部によって算出された前記特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する判定部と、を備えて構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明による油漏れ検出装置によれば、カラー画像の各画素における色の予め定める特定色の強度を算出し、この特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する構成であるため、ガス検知器等の高価な機器を必要とせず、単に、画像解析によって油漏れを検出する構成であるため、簡易な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による油漏れ検出装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態における表示部により表示された、油付着がある検出対象領域の画像の色変換前後の画像である。
【図3】図2に示す画像の各画素の黄色度についての度数分布を示す図である。
【図4】図3に示す度数分布図の縦軸を対数目盛りで示した図である。
【図5】上記実施形態における表示部により表示された、油付着がない検出対象領域の画像(背景画像)の色変換後の画像である。
【図6】図5に示す背景画像の各画素の黄色度についての度数分布を示す図である。
【図7】図4に示す度数分布図を概念図化して示した図である。
【図8】上記第1実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明による油漏れ検出装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図10】上記第2実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明による油漏れ検出装置の第1実施形態を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の油漏れ検出装置10は、油が封入された機器からの油漏れを検出するものであり、撮像手段1で取得された画像データを読込むI/F部2と、画像解析部3と、表示部4と、判定部5と、記録部6とを備えている。
【0010】
前記油は、例えば、変電所のトランス等の機器に封入された絶縁油であり、黄色系の色の油である。この絶縁油は、乾いて固まった状態においても黄色系の色を有している。
【0011】
前記撮像手段1は、例えば、カラー画像を撮像し、その画像データを外部へ出力可能なデジタルカメラ等の汎用的なものであり、I/F部2と接続されている。撮像手段1は、例えば、サイズが4284x2844のRAW画像を取得し、その画像データに対してホワイトバランス補正と露出補正を行い、補正後の画像データ、すなわち、正規化したカラー画像の画像データをI/F部2を介して画像解析部3に出力する。
【0012】
前記I/F部2は、撮像手段1及び画像解析部3と接続されており、撮像手段1で撮像された油漏れ検出対象領域の、正規化されたカラー画像の画像データを読込み、読込んだ画像データを画像解析部3へ出力する。
【0013】
前記画像解析部3は、撮像手段1で撮像した油漏れ検出対象領域のカラー画像の各画素における色情報に基づいて、各画素における色の予め定める特定色の強度を算出するものであり、例えば、カラー画像の各画素における色に対して、予め定める特定色、すなわち、本実施形態においては、黄色、を強調する色変換を行い、各画素における色変換後の色の黄色度Yi(イエローインデックス)を算出する。
【0014】
ここで、上記各画素における色情報とは、例えば、RGBの各色(R,G,B)の明度をそれぞれ0から255までの256個の数字(数値)で示せるように8ビットで表した情報(すなわち、3色×8ビット=24ビットの情報)である。このように、オリジナルカラーの各画素の色をRGBの3色で表現している場合、上記黄色度Yiは、例えば、下記の式(1)によって算出される。
Yi=(R+G)/2−B ・・・(1)
但し、Rは赤色の明度の値、Gは緑色の明度の値、Bは青色の明度の値である。
【0015】
画像解析部3は、具体的には、例えば、I/F部2と接続されており、撮像手段1で既に正規化されたカラー画像の画像データをI/F部2を介して取得し、このカラー画像を、各画素の色情報が上記24ビットで表されたビットマップ画像に変換し、このビットマップ画像に変換されたRGBのオリジナルカラー画像の各画素の色情報を、上記式(1)に基づいて黄色度Yiの情報に変換する。この黄色度Yiの情報は、カラー画像毎に表示部4、判定部5及び記録部6に出力される。このように、本実施形態においては、画像解析部3は、読込んだカラー画像全体について各画素の黄色度Yiを算出する。
【0016】
前記表示部4は、色変換後のカラー画像を表示するものであり、例えば、カラー画像の各画素の色を画像解析部3によって算出された黄色度Yiに応じた色に変換して表示するように構成されている。これにより、絶縁油が付着している箇所の黄色の強度を強調させて表示することができるため、オペレーター等に油漏れを視覚的に認識させることができる。表示部4は、黄色度Yiに基づいて色変換された画像を表示可能であるとともに、色変換前のRGBのオリジナルカラー画像や、後述する黄色度Yiの度数分布及び油漏れ箇所を特定した画像も表示可能に構成されている。
【0017】
図2は、表示部4により表示された、油付着がある検出対象領域の画像の色変換前後の画像の一例である。このように、表示部4は、油漏れ検出対象領域に絶縁油が付着しているときのRGBのオリジナルカラー画像(図2の左図)の各画素の色を、黄色度に応じた色に変換して表示(図2の右図)する。
【0018】
また、図3は、表示部4により表示された、図2に示す画像の各画素の黄色度Yiについての度数分布図である。図4は、図3に示す度数分布図の縦軸を対数目盛りで示した図である。この図3及び4から分かるように、図2に示すように検出対象領域の一部に油が付着している場合、度数分布は偏った分布を示す。
【0019】
図5は、表示部4により表示された、図2と同一の検出対象領域において油付着がないときの画像(背景画像)の各画素の色を黄色度Yiに応じた色に色変換した後の画像の一例である。この背景画像は、機器の塗膜面の画像であり、通常、産業設備の機器の場合、例えば、グレー系の色で均一に塗装されており、黄色系の色で塗装されることはない。したがって、図6に示すように、背景画像の各画素の黄色度Yiは、低くなり、その度数分布は、正規分布を示す。
【0020】
図7は、表示部4により表示された、前述の図4に示す度数分布図を概念図化したものである。この図7に示すように、油が付着しているときの度数分布は、背景成分の度数分布と油成分の度数分布とで合成された分布を示している。したがって、後述するように、判定部5に予め基準度数分布として背景画像の度数分布のデータをもっておき、画像解析部3によって算出された黄色度Yiについての度数分布(算出度数分布)と基準度数分布とを比較することにより、油の有無を検出することができる。
【0021】
前記判定部5は、画像解析部3によって算出された黄色度Yiに基づいて、油の有無を判定するものである。判定部5は、例えば、画像解析部3によって算出された黄色度Yiについての度数分布(ヒストグラム)と、検出対象領域において油漏れがないときの黄色度Yiについての基準度数分布(基準ヒストグラム)との差分値に基づいて、油の有無を判定するように構成されている。
【0022】
判定部5は、具体的には、例えば、画像解析部3からカラー画像全体についての各画素の黄色度Yiの情報を読込んでその度数分布を算出し、算出した度数分布(算出度数分布)と、この算出度数分布と同じ検出対象領域についての基準度数分布との差分値(絶対値)を求め、この差分値が、予め定めた閾値以下である場合は、油無しと判定し、閾値を超えた場合は、油有りと判定する。
【0023】
前記記録部6は、画像解析部3によるカラー画像毎の黄色度Yiの情報や、判定部5の判定結果等のデータを記録保持するものである。
【0024】
次に、本実施形態の油漏れ検出装置10の動作を、図8に基づいて説明する。なお、I/F部2によって読込む画像データは、既に正規化された画像データであるものとして以下説明する。
【0025】
まず、STEP1において、I/F部2は、撮像手段1で撮像された油漏れ検出対象領域の、正規化されたカラー画像の画像データを読込み、読込んだ画像データを画像解析部3へ出力する。
【0026】
STEP2において、画像解析部3は、既に正規化されたカラー画像の画像データをI/F部2を介して取得し、このカラー画像を、各画素の色情報が24ビットで表されたビットマップ画像に変換する。
【0027】
STEP3において、画像解析部3は、ビットマップ画像に変換されたRGBのオリジナルカラー画像の各画素の色情報を、上記式(1)に基づいて黄色度Yiの情報に変換する。この黄色度Yiの情報は、カラー画像毎に表示部4、判定部5及び記録部6に出力される。
【0028】
STEP4において、判定部5は、画像解析部3から出力されたカラー画像全体についての各画素の黄色度Yiの情報に基づいてその度数分布を算出する。
【0029】
STEP5において、判定部5は、この算出度数分布と基準度数分布との差分値(絶対値)が予め定めた閾値以下であるか判定する。差分値が閾値を超えた場合(STEP5:No)は、油有りと判定して、STEP6に進み、差分値が予め定めた閾値以下である場合(STEP5:Yes)は、油無しと判定して、STEP7に進む。
【0030】
STEP6において、判定部5は、例えば、黄色度Yiが予め定めた閾値以上である画素位置を油漏れ箇所として特定し、表示部4は、判定部5によって特定された油漏れ箇所の画素をハイライト等させて表示して警告動作を行う。
【0031】
STEP7において、記録部6は、画像解析部3によるカラー画像毎の黄色度Yiの情報、判定部5の判定結果、油漏れ箇所等のデータを記録保持し、油漏れの検査が終了する。
【0032】
上記実施形態によれば、カラー画像の各画素における色の予め定める特定色の強度を算出し、この特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する構成であるため、ガス検知器等の高価な機器を必要とせず、単に、画像解析によって油漏れを検出する構成であるため、簡易な構成で検出することができる。
【0033】
図9は、本発明に係る油漏れ検出装置の第2実施形態を示すブロック図である。ここでは、図1の第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0034】
本実施形態において、画像解析部3は、カラー画像の一部の領域を選択し、この選択した領域の画像の各画素について黄色度Yiを算出するように構成されている。画像解析部3は、具体的には、図9に示すように、分割部3aと解析部3bとを含んで構成されている。
【0035】
前記分割部3aは、例えば、I/F部2を介して読込んだカラー画像全体を複数の小ブロックに分割して、図示省略する内部メモリ等に小ブロックに分割された複数の分割画像のデータ(ファイル)を保存する。
【0036】
前記解析部3bは、分割部3a内の内部メモリから、例えば、カラー画像全体における分割画像の位置順に分割画像を選択し、この分割画像を一画素24ビットで表されたビットマップ画像に変換し、このビットマップ画像の各画素の色情報を、上記式(1)に基づいて黄色度Yiの情報に変換する。この黄色度Yiの情報は、分割画像毎に表示部4、判定部5及び記録部6に出力される。
【0037】
次に、本実施形態の油漏れ検出装置10の動作を、図10に基づいて説明する。なお、STEP1a、STEP1b、STEP7a及びSTEP8以外のSTEPの動作については、第1実施形態と同じであるため説明を簡略化する。
【0038】
まず、STEP1において、I/F部2は、正規化されたカラー画像の画像データを読込み画像解析部3へ出力する。
【0039】
STEP1aにおいて、画像解析部3の分割部3aは、読込んだカラー画像全体を複数の小ブロックに分割して、内部メモリ等に保存する。
【0040】
STEP1bにおいて、画像解析部3の解析部3bは、分割部3a内の内部メモリから、カラー画像全体における分割画像の位置順に分割画像を選択する。
【0041】
STEP2において、解析部3bは、この分割画像を、各画素の色情報が24ビットで表されたビットマップ画像に変換する。STEP3において、解析部3bは、このビットマップ画像の各画素の色情報を、上記式(1)に基づいて黄色度Yiの情報に変換する。この黄色度Yiの情報は、分割画像毎に表示部4、判定部5及び記録部6に出力される。
【0042】
STEP4において、判定部5は、画像解析部3から出力された分割画像についての各画素の黄色度Yiの情報に基づいてその度数分布を算出する。STEP5において、判定部5は、この算出度数分布と基準度数分布との差分値が閾値を超えた場合は、油有りと判定して、STEP6に進み、差分値が予め定めた閾値以下である場合は、油無しと判定して、STEP7に進む。STEP6において、判定部5は、黄色度Yiに基づいて油漏れ箇所として特定し、表示部4は、油漏れ箇所の画素をハイライト等させて表示して警告動作を行う。STEP7において、記録部6は、分割画像毎の黄色度Yiの情報や、判定部5の判定結果、油漏れ箇所等のデータを記録保持する。
【0043】
STEP7aにおいて、判定部5は、複数の分割画像は全て画像解析部3で解析されたか否かを判定し、全て解析されたと判定した場合(STEP7a:Yes)は、STEP8に進み。全て解析されていないと判定した場合(STEP7a:No)は、STEP1bに戻り、STEP1b〜STEP7までの動作を行う。
【0044】
STEP8において、表示部4は、記録部6から分割画像毎に特定された油漏れ箇所の情報等を全て読取り、分割前のカラー画像全体における油漏れ箇所を全てハイライトさせて、検査結果全体を表示し、油漏れの検査が終了する。
【0045】
上記実施形態によれば、カラー画像の一部の領域を選択し、選択した領域の画像の各画素について黄色度Yiを算出する構成であるため、より精度よく油漏れを検出することができる。
【0046】
なお、上記第1及び第2実施形態においては、I/F部2は、撮像手段1と直接接続するものとしたが、これに限らず、例えば、撮像手段1の画像データをパソコン等の記憶部に一旦記憶させておき、その記憶部と接続させて、画像データを読込むように構成してもよい。
【0047】
また、上記第1及び第2実施形態においては、カラー画像の正規化は、撮像手段1で既に行っているものとしたが、前述したように、撮像手段1の画像データをパソコン等の記憶部に一旦記憶させておく場合は、記憶部に記憶されている画像データに対して、パソコン上で市販の画像処理ソフト等を用いて正規化を行い、この記憶部から正規化された画像データをI/F部2により読込ませるようにしてもよい。
【0048】
さらに、既に撮像手段1やパソコン上で正規化されたカラー画像の画像データを画像解析部3に入力する構成に限らず、正規化前の画像データを画像解析部3に入力するようにしてもよい。この場合、画像解析部3は、画像データに対して正規化(ホワイトバランス補正と露出補正)を行い、この自ら正規化したカラー画像の黄色度Yiを算出するように構成する。このように、カラー画像の正規化は、撮像手段1やパソコン上で行ってもよいし、画像解析部3で行ってもよく、黄色度を算出するカラー画像が、正規化したカラー画像であればどのような構成であってもよい。また、撮像時の照明や露出が黄色度への影響が無視できるほど適切に行われている場合は、カラー画像の正規化は行わなくてもよい。
【0049】
また、上記第1及び第2実施形態においては、判定部5は、算出度数分布と基準度数分布との差分値に基づいて、油の有無を判定する場合で説明したが、これに限らず、単に、予め定めた閾値以上の黄色度Yiが算出された場合に、油有りと判定するように構成してもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、カラー画像の各画素における色に対する、黄色を強調する色変換を、前述した色変換の式(1)を用いて行った場合で説明したが、色変換の式は、これに限らず、適宜定めることができる。さらに、本実施形態において、オリジナルカラーの各画素の色は、RGB表色系の色情報で表現されている場合で説明したが、これに限らず、RGBAやCMY等の他の表色系の色情報で表現されていてもよく、この場合、各表色系に応じて、上記色変換の式(1)を適宜定める。
【0051】
また、本実施形態において、液体の状態及び乾いて固まった状態において、黄色系の色の有する特性の油として、絶縁油を例にして説明したが、言うまでもなく、液体及び固体において黄色系の色の油であれば、どのような油でもよい。また、液体のときの色と乾いて固まったときの色が異なる特性を有する油の場合は、例えば、その特性に基づいて液体の場合の特定色と、固体の場合の特定色とを、それぞれ予め定めておき、これらの特定色の強度を一度の検出動作で算出し、これらの強度に基づき液体又は乾いて固まった油の漏れを検出するように構成してもよい。
【0052】
そして、本実施形態においては、油漏れ検出対象の油は、黄色系の色の油であるとしたが、これに限らず、例えば、オレンジ系色の油や褐色の油等、他の色の油であってもよい。オレンジ系色の油としては、例えば、ガソリンがあり、また、褐色の油としては、例えば、重油がある。例えば、ガソリンの漏れ検出の場合、オレンジ色を強調する色変換式を定めて各画素の色に対して、色変換を行いオレンジ色の強度を算出し、重油の漏れ検出の場合、褐色を強調する色変換式を定めて、各画素の色に対して色変換を行い褐色の強度を算出する。このように、色変換の式は、油の色に応じて適宜定めればよい。
【0053】
また、本実施形態においては、色変換して特定色の強度を算出して、油漏れを判定する構成で説明したが、これに限らず、他の構成であってもよい。例えば、オレンジ系色の油(ガソリン等)の場合、赤色、緑色、青色の3色を特定色とし、これらの色の強度をRGB表色系の色情報から抽出することで、赤色、緑色、青色それぞれの強度を算出し、Rの値が255であり、かつ、Gの値及びBの値がそれぞれ0〜50の範囲内であるか否かを判定し、Rの値が255で、Gの値及びBの値がそれぞれ0〜50の範囲内である場合に、オレンジ系色の油の油漏れ有りと判定するように構成してもよい。また、褐色の油(重油等)の場合においても、赤色、緑色、青色の3色を特定色とし、これらの色の強度をRGB表色系の色情報から抽出することで、赤色、緑色、青色それぞれの強度を算出し、Rの値が0〜50であり、かつ、Gの値及びBの値がそれぞれ0であるか否かを判定し、Rの値が0〜50で、Gの値及びBの値がそれぞれ0である場合に、褐色の油の油漏れ有りと判定するように構成してもよい。また、黄色系の色の油の場合であっても、上記と同様に、適宜、R,G,Bの値や範囲を定めて、油漏れの有無を判定してもよい。このように、本発明に係る油漏れ検出装置は、カラー画像の各画素における色情報に基づいて、各画素における色の予め定める特定色の強度を算出し、該特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する構成であれば、どのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・撮像手段
3・・・画像解析部
4・・・表示部
5・・・判定部
10・・油漏れ検出装置
Yi・・黄色度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段で撮像した油漏れ検出対象領域のカラー画像の各画素における色情報に基づいて、前記各画素における色の予め定める特定色の強度を算出する画像解析部と、
前記画像解析部によって算出された前記特定色の強度に基づいて、油の有無を判定する判定部と、
を備えて構成することを特徴とする油漏れ検出装置。
【請求項2】
前記油漏れ検出対象の油は、黄色系の色の油であり、
前記画像解析部は、前記各画素における黄色の強度を示す黄色度を算出することを特徴とする請求項1に記載の油漏れ検出装置。
【請求項3】
前記黄色系の色の油は、絶縁油であることを特徴とする請求項2に記載の油漏れ検出装置。
【請求項4】
前記画像解析部は、前記カラー画像の各画素における色に対して、予め定める特定色を強調する色変換を行い、前記各画素における前記色変換後の色の前記特定色の強度を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の油漏れ検出装置。
【請求項5】
前記色変換後のカラー画像を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の油漏れ検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記画像解析部によって前記算出された前記特定色の強度についての度数分布と、前記検出対象領域において油漏れがないときの前記特定色の強度についての基準度数分布との差分値に基づいて、前記油の有無を判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の油漏れ検出装置。
【請求項7】
前記画像解析部は、前記カラー画像の一部の領域を選択し、該選択した領域の画像の各画素における色の前記特定色の強度を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の油漏れ検出装置。
【請求項8】
前記特定色の強度を算出する前記カラー画像は、正規化したカラー画像であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の油漏れ検出装置。






【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−101474(P2013−101474A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244431(P2011−244431)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】