治療用ヒト抗I−IL−1R1モノクローナル抗体
インターロイキン91レセプター1型(IL−1R1)と相互作用する抗体が記載される。IL−1R1に対する抗体の薬学的有効量を投与することによって、IL−1媒介性疾患を処置する方法が記載される。IL−1R1に対する抗体を用いる、サンプル中のIL−1R1の量を検出する方法が記載される。具体的には、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該重鎖が、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年9月6日に出願の米国仮特許出願第60/408,719号(その開示は、本明細書中に参考として援用される)に関し、その優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)タンパク質に結合する抗体に関する。IL−1媒介性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、および他の炎症性状態)を処置するための組成物(特に薬学的組成物)および方法もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
(抗体開発)
炎症は、医学的損傷、感染、または抗原性刺激から生じる損傷に対する身体の応答である。炎症性反応は、しばしば、病理学的に発現される。このような状態は、その炎症が、悪化した様式で発現される場合、不適切に刺激される場合、または損傷因子が除去された後に持続する場合に生じる。
【0004】
その炎症性応答は、特に、サイトカインによって媒介される。最も強力な炎症性サイトカインのうちの1つは、以前から発見されているインターロイキン−1(IL−1)である。IL−1シグナル伝達の増大は、いくつかの疾患と関連する持続性の炎症を引き起こし、IL−1は、多くの疾患および医学的状態において、重要なメディエーターであると考えられる。このサイトカインは、マクロファージ/単球系統の細胞によって主に(網羅的ではないにしても)製造され、2つの形態(IL−1アルファ(IL−1α)およびIL−1ベータ(IL−1β))において生成され得る。
【0005】
IL−1は、2つの膜貫通タンパク質(IL−1レセプター1型I(IL−1R1)およびIL−1レセプターアクセサリタンパク質(IL−1RAcP))から構成されるヘテロダイマーレセプター複合体と相互作用することによって細胞応答を刺激する。IL−1は、まず、IL−1R1に結合し;IL−1RAcPは、次いで、この複合体に補充され(Greenfederら,1995,J.Biol.Chem.270:13757−13765;YoonおよびDinarello,1998,J.Immunology 160:3170−3179;Cullinanら,1998,J.Immunology 161:5614−5620)、続いて、シグナル伝達され、細胞応答の誘導を生じる。
【0006】
細胞ベースの結合研究は、IL−1RAcPが、そのIL−1Rシグナル伝達複合体を、リガンドのオフ速度を遅らせることによって安定化することを示唆する(Wescheら,1998,FEBS Letters 429:303−306)。IL−1とIL−1Rとの相互作用は、徹底的に特徴付けられているので、IL−1RAcPとリガンド結合レセプターとの相互作用は、あまり規定されていないままである。IL−1RAcPは、IL−1単独、IL−1R1単独のいずれに対しても有意な親和性を有さないが、複合体に対しては高い親和性を有し、IL−1RAcPについての新規な結合部位が理解する。IL−1残基からの寄与もなお含み得る、そのIL−1/IL−1R結合事象によって作り出されることを理解する(Ettorreら,1997,Eur.Cytokihe Netw.8:161−171)。別の分子である、IL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、IL−1αおよびIL−1βと、レセプター結合について競合するが、IL−1RAcPを補充できず、よって、レセプターは占有されるが、シグナル伝達レセプターは生じない。IL−1活性は、さらに、IL−1R II型(リガンドに結合するが、短縮化された細胞内ドメインに起因してシグナル伝達に関与しないデコイレセプター)によって釣り合わせられ得る。IL−1raおよびIL−1R II型は、IL−1媒介性炎症性事象の重篤度および持続時間を減少するように作用する(Wescheら,1998,FEBS Letters 429:303−306;Drippsら,1991,J.Biol.Chem.266:10331−10336;Drippsら,1991,J.Biol.Chem.266:20331−20335)。
【0007】
インターロイキン−1インヒビターは、多くの機構から生じ得る、IL−1に対する細胞応答の活性化を特異的に防止し得る任意のタンパク質から生成され得る。このような機構としては、IL−1生成のダウンレギュレーション、遊離IL−1結合、IL−1RへのIL−1結合の妨害、IL−1R−IL−1RAcP複合体の形成の妨害、またはそのレセプターへ結合した後のIL−1シグナル伝達の調節の妨害が挙げられる。IL−1インヒビターのクラスは、以下を包含する:
・インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト(例えば、本明細書中で記載されるようなIL−1ra);
・抗−IL−1Rモノクローナル抗体(例えば、公開された欧州特許出願EP623674に開示され、この開示は、本明細書中に参考として援用される);
・IL−1結合タンパク質(例えば、可溶性IL−1レセプター(例えば、米国特許第号5,492,888号;同第5,488,032号;同第5,464,937号;同第5,319,071号;および同第5,180,812号に開示され;これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・抗IL−1モノクローナル抗体(例えば、国際特許出願公開番号WO9501997、WO9402627、WO9006371、米国特許第4,935,343号、EP 364778号、EP 267611号およびEP 220063号に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・IL−1レセプターアクセサリタンパク質およびこのタンパク質に対する抗体(例えば、国際特許出願公開番号WO96/23067およびWO99/37773に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);および
・IL−1β生成および分泌を阻害するために使用され得る、インターロイキン−1β変換酵素(ICE)またはカスパーゼIインヒビター(例えば、国際特許出願公開番号WO99/46248、WO99/47545、およびWO99/47154に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・インターロイキン−1βプロテアーゼインヒビター;ならびに
・IL−1のインビトロ合成または細胞外放出をブロックする他の化合物およびタンパク質。
【0008】
例示的なIL−1インヒビターは、以下の参考文献に開示される:
【0009】
【数1】
欧州特許出願公開番号EP534978号および同第EP89479;ならびにフランス特許出願番号FR2762514。前述の参考文献の全ての開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0010】
インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、インターロイキン−1の天然のインヒビターとして作用し、IL−1ファミリー(これは、IL−1aおよびIL−1βを包含する)のメンバーであるヒトタンパク質である。好ましいレセプターアンタゴニスト(IL−1raならびにその改変体および誘導体を含む)、ならびにその作製方法および使用方法は、以下に記載される:
【0011】
【数2】
これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。そのタンパク質は、グリコシル化形態および非グリコシル化形態のIL−1レセプターアンタゴニストを包含する。
【0012】
具体的には、3つの有用な形態のIL−1raおよびその改変体が開示され、米国特許第5,075,222号 (「’222特許」)に記載される。IL−1raαは、SDS−PAGEにより、約4.8の等電点を有し、Mono Q FPLCカラムから、Tris緩衝液(pH7.6)中の約52mM NaClで溶出する、22〜23kD分子として特徴付けられる。IL−1raβは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する、22〜23kDタンパク質として特徴付けられる。IL−1raαおよびIL−1raβはともに、グリコシル化されている。IL−1raxは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する20kDタンパク質として特徴付けられ、グリコシル化されていない。その’222特許はまた、そのインヒビターをコードすることを担う遺伝子を単離し、その遺伝子を適切なベクターおよび細胞型にクローニングし、その遺伝子を発現させて、そのインヒビターを生成するための方法を開示する。有効であれば、IL−1raは、比較的短い半減期を有する。現在の使用法において、IL−1raは、1日に1回投与される。従って、当該分野は、かなり長い半減期を有するIL−1レセプターのアゴニストにより利益を得る。
【0013】
IL−1がIL−1レセプターに結合することを阻害することによってIL−1シグナル伝達を防止することは、IL−1媒介性疾患を処置するための魅力的な治療的アプローチである。IL−1媒介性疾患の影響を改善し得、ヒト患者への送達に適した、IL−1シグナル伝達経路の臨床上有効なインヒビターが当該分野で必要である。IL−1シグナル伝達をブロックするヒト抗体は、この必要性を満たすにあたって特に有利であり、現在利用可能な治療より長い半減期を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、インターロイキン−1レセプターI型(IL−1R1)に結合するモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、その抗体は、IL−1R1に対するIL−1βおよびIL−1α結合と競合することによってIL−1シグナル伝達を阻害する。また、本発明によって提供されるのは、本発明のモノクローナル抗体を生成し、最も好ましくは、細胞培養培地に分泌するハイブリドーマ細胞株である。本発明の抗体は、ヒト細胞におけるIL−1シグナル伝達を首尾良くブロックし、それによって、IL−1媒介性疾患を有する患者を処置することにおいて有用である。本発明はさらに、抗体Fc領域の配列ならびに配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群より選択される1つ以上の配列を含む融合タンパク質を提供する。このような分子は、例えば、WO00/24782(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような方法を使用して調製され得る。このような分子は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)または細菌細胞(例えば、E.coli細胞)において発現される。
【0015】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む、抗体(好ましくは、モノクローナル抗体、最も好ましくはヒト抗体)またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでこの重鎖は、配列番号2、配列番号6、または配列番号8のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む、抗体(好ましくはモノクローナル抗体、最も好ましくはヒト抗体)、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでこの軽鎖は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
特定の局面において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、重鎖および軽鎖を含み、ここでその重鎖の可変領域は、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む。他の局面において、その軽鎖可変領域は、配列番号12または配列番号18のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。さらなる局面において、その重鎖は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、または配列番号36のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合部位もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。なおさらなる実施形態において、その軽鎖は、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。このような抗体の鎖は、IL−1R1に特異的に結合する抗体を調製するにあたって、また得られた分子が、IL−1R1および/もしくは別の標的分子(例えば、TNFもしくはTNFレセプター)に対する二重特異的抗体の調製にあたって有用である。
【0018】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでその重鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0019】
特定の局面において、本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、少なくとも配列番号10に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0020】
本発明は、IL−1R1に特異的に結合する抗体をさらに提供し、ここでその重鎖は、配列番号14に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、そしてその軽鎖は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0021】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、配列番号14に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0022】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号16に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、そしてその軽鎖は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0023】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、配列番号16に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0024】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、または配列番号30に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号38に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0025】
本発明はさらに、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号32、配列番号34、または配列番号36に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号40に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0026】
本発明はまた、単鎖抗体、単鎖Fv抗体、Fab抗体、Fab’抗体および(Fab’)2抗体である前述の全ての実施形態を提供する。
【0027】
特定の局面において、本発明は、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供する。
【0028】
さらに、本発明は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む重鎖、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供する。
【0029】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する単離されたヒト抗体に関し、ここでその抗体は、(a)ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、およびヒト重鎖CDR3領域;ならびに(b)ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、およびヒト軽鎖CDR3領域、を含む。特定の局面において、そのヒト重鎖CDR1領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR1領域であり得、そのヒト軽鎖CDR1領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR1領域であり得る。他の局面において、そのヒト重鎖CDR2領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR2領域であり得、そのヒト軽鎖CDR2領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR2領域であり得る。なお他の局面において、そのヒト重鎖CDR3領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR3領域であり得、そのヒト軽鎖CDR3領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR3領域であり得る。
【0030】
さらに、本発明は、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)に特異的に結合する単離されたヒト抗体を提供し、この抗体は、ヒト重鎖CDR1領域(ここでその重鎖CDR1は、配列番号61、配列番号62、または配列番号63のアミノ酸配列を有する);ヒト重鎖CDR2領域(ここでその重鎖CDR2は、配列番号64、配列番号65、または配列番号66のアミノ酸配列を有する);および/またはヒト重鎖CDR3領域(ここでその重鎖CDR3は、配列番号67、配列番号68、または配列番号69のアミノ酸配列を有する)を含む。
【0031】
本発明はまた、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)に特異的に結合する単離されたヒト抗体を提供し、この抗体は、ヒト軽鎖軽鎖CDR1領域(ここでその軽鎖CDR1は、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有する);ヒト重鎖CDR2領域(ここでその重鎖CDR2は、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有する);および/またはヒト重鎖CDR3領域(ここでその重鎖CDR3は、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有する)を含む。
【0032】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、図17に示されるIL−1R1の第3のドメインに結合する。好ましくは、本発明の抗体に対するエピトープは、アミノ酸配列YSVからなり、このアミノ酸配列は、本明細書中ではエピトープ4といわれ、図24に示される。本発明はさらに、エピトープ4に結合し得る融合タンパク質および他の分子(前述の抗体とともに、まとめて本明細書中で「特異的結合パートナー」といわれる)に関し、例えば、WO00/24782(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような方法を用いて調製され得る。このような分子は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)または細菌細胞(例えば、E.coli細胞)において発現され得る。
【0033】
さらに、本発明は、選択された抗原のエピトープマッピングを提供する。一局面において、この方法は、以下の工程を包含する:(a)融合タンパク質のセットを生成する工程であって、各融合タンパク質は、(i)アビジンおよび(ii)抗原のフラグメントを含む、工程;(b)その融合タンパク質のセットを、その抗原に対する1つ以上の特異的結合パートナーに対する結合についてスクリーニングする工程;(c)ビオチンを含む媒体上で、それにより、そのアビジンがビオチンに結合し、その融合タンパク質を単離する工程;および(d)その特異的結合パートナーが結合したその融合タンパク質を分析して、その特異的結合パートナーに対する抗原上の結合部位を決定する工程。特定の局面において、その特異的結合パートナーは、抗体である。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、IL−1媒介性疾患、状態または障害を処置するための方法を提供し、この方法は、薬学的有効量の、1つまたは複数の本発明のモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを、それが必要な個体に投与する工程を包含する。
【0035】
本発明はまた、生物学的サンプル中のIL−1R1のレベルを検出するための方法を提供し、この方法は、そのサンプルと、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとを接触させる工程を包含する。本発明の抗IL−1R抗体は、IL−1Rの検出および定量についての任意の公知のアッセイ方法(例えば、競合結合アッセイ、直接的および間接的なサンドイッチアッセイ、免疫沈降アッセイ、および酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA))において使用され得る(Sola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158,CRC Press,Inc.を参照のこと)。その抗体は、使用されるアッセイ方法に適した親和性を有するIL−1Rを結合し得る。
【0036】
本発明の特定の好ましい実施形態は、以下の特定の好ましい実施形態の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0037】
(特定の好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書中で使用される節の標題は、体系化を目的とするのみであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。本出願に引用される全ての参考文献は、明示的に、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される。
【0038】
(定義)
疾患または医学的状態は、天然に存在するかまたは実験的に誘導された疾患もしくは医学的状態が、体液または組織中のIL−1のレベルの上昇と関連する場合、あるいは身体から採取された細胞または組織が、培養においてIL−1のレベルの上昇を生じる場合、「インターロイキン−1(IL−1)媒介性疾患」とみなされる。IL−1の上昇したレベルとしては、例えば、特定の細胞もしくは組織において通常見出されるレベルを超えるレベルが挙げられ得るか、あるいはIL−1を通常発現しない細胞もしくは組織においてIL−1が任意の検出可能なレベルにあり得る。多くの場合、IL−1媒介性疾患はまた、以下のさらなる2つの条件によって認識される:(1)その疾患または医学的状態と関連する病理学的知見が、IL−1の投与またはIL−1の発現のアップレギュレーションによって、動物において実験的に模倣され得ること;および(2)その疾患または医学的状態の実験動物モデルにおいて誘導された病理が、IL−1の作用を阻害する薬剤での処置によって阻害され得るかまたは終わらせられ得ること。大部分のIL−1媒介性疾患において、3つの条件のうちの少なくとも2つが満たされ、そして多くのIL−1媒介性疾患において、3つの条件全てが満たされる。
【0039】
急性IL−1媒介性疾患および慢性IL−1媒介性疾患の非網羅的な列挙としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:急性膵炎;筋萎縮性側索硬化症(amyelolateroschlerosis)(ALS);アルツハイマー病;悪液質/食欲不振(AIDS誘導性悪液質を含む);喘息および他の肺性疾患;アテローム硬化症;自己免疫脈管炎;慢性疲労症候群;Clostridium関連疾患(Clostridium関連下痢を含む);冠状血管の状態および適応症(うっ血性心不全、冠状血管の再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(myocardial dysfunction)(例えば、敗血症に関連する)、および冠状動脈バイパス移植片を含む);癌(例えば、多発性骨髄腫および骨髄性白血病(例えば、AMLまたはCML)および他の白血病、ならびに腫瘍転移;糖尿病(例えば、インスリン依存性糖尿病);子宮内膜症;熱;筋肉痛(fibromyalgia);糸球体腎炎;対宿主性移植片病/移植拒絶;出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;関節の炎症状態(変形性関節炎、乾癬性関節炎および慢性関節リウマチを含む);炎症性眼疾患(例えば、角膜移植と関連し得るような);虚血(例えば、大脳虚血(外傷の結果としての脳傷害、癲癇、出血または発作を含む(その各々は、神経変性をもたらし得る));川崎病;学習障害;肺疾患(例えば、ARDS);多発性硬化症;ミオパシー(例えば、筋タンパク質代謝(特に、敗血症において));神経毒性(例えば、HIVによって誘導される);骨粗鬆症;疼痛(癌関連疼痛が挙げられる);パーキンソン病;歯周病;早産;乾癬;再灌流傷害;敗血性ショック;放射線療法に由来する副作用;一次的な下顎関節疾患;睡眠障害;ブドウ膜炎;または捻挫(strain)、捻挫(sprain)、軟骨損傷、外傷、整形外科的手術、感染もしくは他の疾患プロセスから生じる炎症状態。これらの急性IL−1媒介性疾患および慢性IL−1媒介性疾患、ならびに他のIL−1媒介性状態および疾患を処置するための本発明の方法は、本明細書中以下に記載される。
【0040】
従来の技術は、組換えDNAを調製し、オリゴヌクレオチド合成を行い、組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクションまたはリポフェクション)を実施するために使用され得る。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様説明書に従って、または当該分野で達成されるかもしくは本明細書中に記載されるように行われうる。これらの前述の技術および手順は、一般に、当該分野で周知の、本明細書全体を通して引用されかつ議論される種々の一般的かつより具体的な参考文献に記載されるような従来の方法に従って行われ得る。例えば、Sambrookら,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。具体的な定義が提供されなければ、分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学と関連して使用される名称、および本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学の実験手順および実験技術は、当該分野で周知かつ一般的に使用される。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、処方、および送達のために、ならびに患者の処置のために使用され得る。
【0041】
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、別段示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0042】
用語「単離されたポリヌクレオチド」とは、本発明のポリヌクレオチドが、(1)本発明のポリヌクレオチドと天然で連結している他のポリヌクレオチドの全てまたは一部に(共有結合的にも非共有結合的にも)連結していない、(2)天然では連結しない分子と連結している、または(3)いかなる他のポリヌクレオチドとも連結して、天然には存在しないことを意味する。このような単離されたポリヌクレオチドは、合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAまたはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0043】
本明細書中で言及される用語「単離されたタンパク質」とは、本発明のタンパク質は、(1)通常見いだされる少なくともいくつかの他のタンパク質がないか、(2)同じ供給源(例えば、同じ種)に由来する他のタンパク質を本質的に含まないか、(3)異なる種に由来する細胞により発現されるか、(4)天然で連結しているポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質の少なくとも約50%から分離されているか、(5)「単離されたタンパク質」が天然で連結されるタンパク質の一部と(共有結合的または非共有結合的相互作用によって)連結されていないか、(6)天然には連結されないポリペプチドと(共有結合的または非共有結合的相互作用によって)作動可能に連結されているか、または(7)天然には存在しないことを意味する。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAまたはこれらの任意の組み合わせは、このような単離されたタンパク質をコードし得る。好ましくは、その単離されたタンパク質は、実質的に、その天然の環境において見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物(これは、その治療的使用、診断的使用、予防的使用、研究的使用、または他の使用を妨げる)を実質的に含まない。
【0044】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、アミノ酸の1つ以上の鎖を意味し、ここで各鎖は、ペプチド結合によって共有結合的に連結されるアミノ酸を含み、上記ポリペプチドまたはタンパク質は、ネイティブタンパク質(すなわち、天然に存在する細胞(および具体的には非組換え細胞)、または遺伝子操作された細胞もしくは組換え細胞により生成されるタンパク質)の配列を有する、ペプチド結合によって一緒に非共有結合的におよび/または共有結合的に連結される複数の鎖を含み得、ネイティブタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、またはネイティブ配列の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する分子を含み得る。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、具体的には、抗IL1−R1抗体、抗ILR−1R1抗体の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列を包含する。従って、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、アミノ酸鎖の1つ(「単量体」といわれる)または複数(「多量体」といわれる)を含み得る。
【0045】
用語「ポリペプチドフラグメント」とは、天然に存在するポリペプチドまたは組換え生成されるポリペプチドのアミノ末端欠失、カルボキシ末端欠失、および/または内部欠失もしくは置換を有する単量体または多量体であり得るポリペプチドをいう。特定の実施形態において、ポリペプチドフラグメントは、少なくとも5〜約500アミノ酸長のアミノ酸鎖を含み得る。特定の実施形態において、フラグメントは、少なくとも5個、6個、8個、10個、14個、20個、50個、70個、100個、110個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、または450個のアミノ酸長であることが理解される。特に有用なポリペプチドフラグメントは、機能的ドメイン(結合ドメインを含む)を含む。抗IL1−R1抗体の場合において、有用なフラグメントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CDR領域(特に、重鎖または軽鎖のCDR3領域);重鎖または軽鎖の可変ドメイン;抗体鎖の一部または2つのCDRを含むちょうどその可変領域など。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント」とは、免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の少なくとも可変ドメインを含むポリペプチドフラグメントをいう。本発明の免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、リガンドに結合し得、リガンドがそのレセプターに結合するのを防止し、レセプターへのリガンド結合から生じる生物学的応答を妨害し、またはその任意の組み合わせである。好ましくは、本発明の免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、IL1−1R1に特異的に結合する。
【0047】
用語「天然に存在する」および「ネイティブの」とは、その用語が適用される生物学的物質(分子、配列、タンパク質複合体、細胞など)が、天然において見出され、そしてヒトによって操作されていない物質であり得ることを意味する。例えば、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然供給源から単離され得、かつヒトによって意図的に改変されておらず、天然に存在する生物(ウイルスを含む)において存在する。同様に、用語「天然に存在しない」または「ネイティブではない」とは、天然で見出されないか、またはヒトによって構造的に改変もしくは合成された物質をいう。
【0048】
用語「作動可能に連結された」とは、その用語が適用される成分が、適切な条件下でそれらの固有の機能を果たすことを可能にする関係にあることを意味する。例えば、そのタンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と匹敵する条件下で達成されるように、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」制御配列が、連結される。
【0049】
用語「制御配列」とは、本発明のポリヌクレオチド配列が、連結されるコード配列の発現およびプロセシングをもたらし得ることを意味する。このような制御配列の性質は、その宿主生物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物のための制御配列としては、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列が挙げられ得る。他の特定の実施形態において、真核生物のための制御配列としては、転写因子の1つまたは複数の認識部位、転写エンハンサー配列、および転写終結配列を含むプロモーターが挙げられ得る。特定の実施形態において、「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
【0050】
用語「ポリヌクレオチド」とは、少なくとも10塩基の長さの一本鎖または二本鎖の核酸ポリマーを意味する。特定の実施形態において、そのポリヌクレオチドを含む、ヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはヌクレオチドのいずれかの型の改変形態であり得る。上記の改変としては、塩基改変(例えば、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体)、リボース改変(例えば、2’,3’−ジデオキシリボース、およびヌクレオチド間連結改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)およびホスホロアミデート)が挙げられる。その用語は、DNAの一本鎖形態および二本鎖形態を含む。
【0051】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、200塩基以下の長さを含むポリヌクレオチドを意味する。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが10〜60塩基である。より好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、または20〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築において使用するために、一本鎖または二本鎖であり得る。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0052】
用語「天然に存在するヌクレオチド」とは、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「改変されたヌクレオチド」は、改変されたかもしくは置換された糖基または改変されたかもしくは置換された塩基を有するヌクレオチドを含む。用語「オリゴヌクレオチド連結」は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)、ホスホロアミデートなどのような連結を含む。例えば、LaPlancheら(1986),Nucl.Acids Res.14:9081;Stecら(1984),J.Am.Chem.Soc.106:6077;Steinら(1988),Nucl.Acids Res.16:3209;Zonら(1991),Anti−Cancer Drug Design 6:539;Zonら(1991),Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87−108(F.Eckstein編),Oxford University Press,Oxford England;Stecら,米国特許第5,151,510号;UhlmannおよびPeyman(1990),Chemical Reviews 90:543(これらの開示は、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。本発明のオリゴヌクレオチドは、検出アッセイのための標識、(放射性標識、蛍光標識、ハプテンもしくは抗原性標識を含む)を含み得る。
【0053】
用語「ベクター」は、宿主細胞にコード情報を移入するために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を意味する。
【0054】
用語「発現ベクター」または「発現構築物」とは、宿主細胞の形質転換に適切であり、(宿主細胞と関連して)作動可能に連結される1つ以上の異種コード領域の発現を指向および/または制御する核酸配列を含むベクターをいう。発現構築物としては、作動可能に連結されるコード領域の転写、翻訳、およびRNAスプライシング(イントロンが存在する場合)に影響を与えるかまたは制御する配列が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0055】
用語「宿主細胞」とは、核酸配列で形質転換されたか、または形質転換され得、それにより目的の選択された遺伝子を発現し得る細胞を意味する。この用語は、子孫が、その本来の親細胞に対して、形態または遺伝的構成において同一であるか否かにかかわらず、選択された遺伝子が存在する限り、親細胞の子孫を含む。
【0056】
用語「形質導入」とは、一方の細菌から別の細菌へと、通常はファージによる遺伝子の移入を意味する。「形質導入」とはまた、レトロウイルスによる真核生物細胞配列の獲得および移入をいう。
【0057】
用語「トランスフェクション」とは、細胞による外来DNAまたは外因性DNAの取り込みを意味し、細胞は、その外因性DNAが細胞膜内部に導入されている場合、「トランスフェクト」されている。多くのトランスフェクション技術は、当該分野で周知であり、本明細書中に開示される。例えば、Grahamら,1973,Virology 52:456;Sambrookら,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Id.;Davisら,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;およびChuら,1981,Gene 13:197を参照のこと。このような技術は、適切な宿主細胞へ1つ以上の外因性DNA部分を導入するために使用され得る。
【0058】
用語「形質転換」とは、細胞の遺伝的特徴における変化をいい、そして細胞は、新しいDNAを含有するように改変された場合に形質転換されている。例えば、細胞は、それがそのネイティブな状態からトランスフェクション、形質導入または他の技術により遺伝的に改変される場合に形質転換される。トランスフェクションまたは形質導入後、形質転換DNAは、物理的に細胞の染色体に組み込むことにより細胞のDNAと組換わり得るか、複製されることなしにエピソームエレメントとして一時的に維持され得るか、またはプラスミドとして独立的に複製し得る。形質転換DNAは、細胞分裂と共に複製される場合に、細胞は、「安定に形質転換」されたとみなされる。
【0059】
用語「抗原」とは、選択的結合因子(例えば、抗体)により結合され得、そしてさらに動物において使用されて、その抗原のエピトープに結合し得る抗体を産生し得る分子または分子の一部をいう。抗原は、1つ以上のエピトープを有し得る。
【0060】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞レセプターに特異的に結合し得る任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基、を含み得る。特定の実施形態において、エピトープ決定基は、分子(例えば、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニル)の化学的に活性な表面基を含み、特定の実施形態において、特定の三次元構造的特徴および/または特定の荷電特徴を有し得る。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。特定の実施形態において、抗体は、タンパク質および/または高分子の複雑な混合物において、その標的抗原を優先的に認識する場合、抗原を特異的に結合するといわれる。好ましい実施形態において、抗体は、解離定数が約10nM以下である場合、より好ましくは解離定数が約100pM以下である場合、および最も好ましくは解離定数が約10pM以下である場合に、抗原を特異的に結合するという。
【0061】
用語「同一性」は、配列を比較することによって決定される場合、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の間の関係をいう。当該分野において、「同一性」はまた、場合によって、2つ以上のヌクレオチド配列または2つ以上のアミノ酸配列の間のマッチによって決定され得る場合、核酸分子またはポリペプチドの間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」とは、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処される、ギャップアラインメント(あるとすれば)を用いた2つ以上の配列のより小さい方の間の同一のマッチの割合を測定する。
【0062】
用語「類似性」は、関連した概念に関して当該分野で使用されるが、「同一性」とは対照的に、「類似性」は、同一によるマッチおよび保存的置換のマッチの両方を含む関連性の基準をいう。2つのポリペプチド配列が、例えば、10/20の同一アミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換である場合、同一性および類似性の%は、ともに50%である。同じ例において、保存的置換であるさらに5つの位置が存在すると、同一性%は50%のままであるが、類似性%は75%(15/20)である。従って、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチド間の類似性%は、これらの2つのポリペプチド間の同一性%よりも高い。
【0063】
関連核酸および関連ポリペプチドの同一性および類似性は、公知の方法によって容易に計算され得る。このような方法としては、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない:Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.編),1988,Oxford University Press,New York,Biocomputing:Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.編),1993,Academic Press,New York;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,(Griffin,A.M.,およびGriffin,H.G.編),1994,Humana Press,New Jersey;von Heinje,G.,Sequence Analysis in Molecular Biology,1987,Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.およびDevereux,J.編),1991,M.Stockton Press,New York;Carilloら,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073;ならびにDurbinら,1998,Biological Sequence Analysis,Cambridge University Press。
【0064】
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間での最大のマッチを与えるように、設計される。同一性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータプログラムにおいて記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための、好ましいコンピュータプログラム方法としては、GCGプログラムパッケージ(GAP(Devereuxら、1984,Nucleic Acids Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−10)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual、Altschulら(NCB NLM NIH,Bethesda,MD 20894);Altschulら、1990、前出)から公に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用され得る。
【0065】
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームは、これら2つの配列の短い領域のみのマッチを生じ得、そしてこの小さな整列領域は、2つの全長配列間に有意な関連がない場合でさえも、非常に高い配列同一性を有し得る。従って、特定の実施形態において、選択された整列方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドの少なくとも50個連続するアミノ酸にわたる整列を生じる。
【0066】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を使用して、配列同一性%が決定されるべき2つのポリペプチドが、それらのそれぞれのアミノ酸の最適なマッチ(アルゴリズムによって決定される「マッチしたスパン」)のために、整列される。特定の実施形態において、ギャップオープニングペナルティー(gap opening penalty)(これは、平均対角の3倍として計算される:「平均対角」とは、使用される比較行列(comparison matrix)の対角の平均である;「対角」とは、特定の比較行列によって各完全なアミノ酸マッチに対して割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップエクステンションペナルティー(gap extension penalty)(これは通常、キャップオープニングペナルティーの0.1倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62のような比較行列が、このアルゴリズムと組み合わせて使用される。特定の実施形態において、標準的な比較行列(Dayhoffら、1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352(PAM250比較行列);Henikoffら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:10915−19(BLOSUM 62比較行列)を参照のこと)もまた、アルゴリズムによって使用される。
【0067】
特定の実施形態において、ポリペプチド配列比較のパラメーターは、以下を含む:
アルゴリズム(Algorithm):Needlemanら(1970),J.Mol.Biol.48:443−53;
比較行列(Comparison matrix):BLOSUM 62(Henikoffら(1992)前出);
ギャップペナルティー(Gap Penalty):12
ギャップ長ペナルティ(Gap Length Penalty):4
類似性の閾値(Threshold of Similarity):0
そのGAPプログラムは、上記パラメーターとともに有用であり得る。特定の実施形態において、上記パラメーターは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチド比較(末端ギャップに対してはペナルティがないこととともに)のためのデフォルトパラメーターである。
【0068】
用語「天然に存在する」とは、アミノ酸をいうために使用される場合、20個の従来のアミノ酸をいう。Immunology−−A Synthesis,第2版(E.S.GolubおよびD.R.Gren編),Sinauer Associates:Sunderland,MA(1991)(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0069】
ペプチドアナログは、テンプレートペプチドの特性に類似の特性を有する非ペプチド薬物として、製薬産業において一般的に使用される。これらの型の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」といわれる。Fauchere(1986),Adv.Drug Res.15:29;Veber&Freidinger,1985,TINS p.392;およびEvansら(1987),J.Med.Chem.30:1229(これらは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。このような化合物は、しばしば、コンピューター化分子モデリングの補助により開発される。治療的に有用なペプチドに構造的に類似するペプチド模倣物は、類似の治療的効果または予防的効果を生成するために使用され得る。一般に、ペプチド模倣物は、典型なペプチドまたはポリペプチド(すなわち、生物学的特性または薬理学的活性を有するペプチドもしくはポリペプチド)(例えば、ヒト抗体)に構造的に類似するが、当該分野で周知の方法によって、−CH2−NH−、−CH2−S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される連結によって置換された、必要に応じて、1つ以上のペプチド連結を有する。コンセンサス配列の1以上のアミノ酸を同じ型のD−アミノ酸で体系的に置換すること(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)は、特定の実施形態において、より安定なペプチドを生成するために使用され得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列バリエーションを含む束縛されたペプチドは、例えば、ペプチドを環化する分子間ジスルフィド架橋を形成し得る内部システイン残基を付加することによって、当該分野で公知の方法によって生成され得る(Rizo&Gierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)。
【0070】
「抗体」または「抗体ペプチド」とは、特異的結合についてインタクトな抗体と競合し、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、および二重特異的抗体を含む、インタクトな抗体またはそれらの結合フラグメントをいう。特定の実施形態において、結合フラグメントは、組換えDNA技術によって生成される。さらなる実施形態において、結合フラグメントは、インタクトな抗体の酵素的切断または化学的切断によって生成され得る。結合フラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、および単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
用語「重鎖」とは、IL−1R1に対する特異性を付与する十分な可変領域配列を有する全長重鎖およびそのフラグメントを含む。全長重鎖は、可変領域ドメイン(VH)および3つの定常領域ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を含む。そのVHドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にあり、そのCH3ドメインは、カルボキシル末端にある。
【0072】
用語「軽鎖」は、IL−1R1に対する特異性を付与する十分な可変領域配列を有する全長軽鎖およびそのフラグメントを含む。全長軽鎖は、可変領域ドメイン(VL)および定常領域ドメイン(CL)を含む。重鎖と同様に、その軽鎖の可変領域ドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にある。
【0073】
「Fabフラグメント」は、1つの軽鎖、および1つの重鎖のCH1および可変領域から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。
【0074】
「Fab’フラグメント」は、CH1とCH2ドメインとの間にその多くのその定常領域を含む1つの軽鎖および1つの重鎖を含み、その結果、鎖間ジスルフィド結合は、2つの重鎖間に形成されて、F(ab’)2分子を形成し得る。
【0075】
「F(ab’)2フラグメント」は、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の部分を含む、2つの軽鎖および2つの重鎖を含み、その結果、鎖間ジスルフィド結合が、2つの重鎖間に形成される。
【0076】
「Fv領域」は、重鎖および軽鎖に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠く。
【0077】
「単鎖抗体」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域が、一本鎖ポリペプチド鎖を形成するために可撓性リンカーにより接続されており、抗原結合領域を形成するFv分子である。単鎖抗体は、国際特許出願公開番号WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号により詳細に議論されており、これらの開示はあらゆる目的で、本明細書中に参考として援用される。
【0078】
「多重特異的」抗体または「多機能性」抗体以外の「二価抗体」は、特定の実施形態において、同一の抗原的特異性を有する結合部位を含むことが理解される。
【0079】
「二重特異的」抗体または「二機能性」抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、種々の方法によって生成され得、これらの方法としては、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Songsivilai&Lachmann(1990),Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelnyら(1992),J.Immunol.148:1547−1553を参照する。
【0080】
本発明に従う抗体結合および特異性を評価するにあたって、抗体は、抗体の過剰が、(インビトロ競合結合アッセイにおいて測定される場合)少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上によるカウンタレセプター(counterreceptor)によって結合されるレセプターの量を減少させる場合、レセプターに対するリガンドの接着を「実質的に阻害する」。
【0081】
用語「薬剤」とは、化合物、化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的物質から作製された抽出物を意味する。
【0082】
用語「標識」または「標識された」とは、例えば、放射性標識されたアミノ酸を組み込むか、または印を付けられたアビジン(例えば、光学的方法または比色法によって検出され得る、好ましくは、蛍光マーカー、化学発光マーカーまたは酵素活性のような検出可能なマーカーを含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチン部分をポリペプチドに結合することによって、検出可能なマーカーを組み込むことをいう。特定の実施形態において、その標識はまた、治療剤であり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法は、当該分野で公知であり、本明細書中に開示される方法において有利に使用され得る。ポリペプチドのための標識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99mTc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、またはランダニドリン(lanthanide phosphor))、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ハプテン標識(例えば、ビオチニル基)、および二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)により認識される所定のポリペプチドエピトープ。特定の実施形態において、標識は、種々の長さのスペーサーアーム(例えば、(CH2)n(ここでnは約20未満))によって結合されて、潜在的な立体障害を減少させる。
【0083】
用語「生物学的サンプル」とは、生きているものまたは以前に生きていたものに由来する物質の任意の量が挙げられるが、これらに限定されない。このような生きているものとしては、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、および他の動物が挙げられるが、これらに限定されない。このような物質としては、血液、血清、尿、細胞、器官、組織、骨、骨髄、リンパ、リンパ節、滑膜組織、軟骨細胞、滑液マクロファージ、内皮細胞、血管組織(特に、炎症した血管組織)、および皮膚が挙げられるが、これらに限定されない。用語「薬学的薬剤(pharmaceutical agent)」および「薬物」とは、患者に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導し得る化合物または組成物をいう。
【0084】
用語「患者」とは、ヒトおよび動物の被験体を含む。
【0085】
別段文脈が必要としなければ、単数形は、複数形を含むものとし、複数形は、単数形を含むものとする。
【0086】
(アミノ酸)
その20個の天然に存在するアミノ酸およびそれらの略語は、従来の使用法に従う。Immunology−−A Synthesis,第2版,(E.S.GolubおよびD.R.Gren,編),Sinauer Associates:Sunderland,MA (1991)(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。その20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然アミノ酸(例えば、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、および他の非慣習的なアミノ酸はまた、本発明のポリペプチドのための適切な成分であり得る。非慣習的なアミノ酸の例としては、以下が挙げられる:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸ならびにイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)。本明細書中で使用されるポリペプチド命名において、標準的な使用法および慣習に従って、左手方向は、アミノ末端方向であり、右手向は、カルボキシ末端方向である。
【0087】
同様に、別段特定されなければ、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5’方向といわれる。その5’から3’の方向の発生期のRNA転写物の付加は、転写方向といわれる;RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の、RNA転写物の5’末端に対して5’側にある配列領域は、「上流配列」といわれる;RNA転写物の3’末端に対して3’側にあるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」といわれる。
【0088】
天然に存在するアミノ酸残基は、共通の側鎖特性に基づいて、複数のクラスに分割され得る:
1)疎水性:ノルロイシン(NorまたはNle)、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0089】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを同じクラスの別のメンバーと交換することを包含し得る。保存的アミノ酸置換は、代表的には、生物学的系における合成よりむしろ、化学的ペプチド合成により組み込まれる、天然に存在しないアミノ酸残基を包含し得る。これらとしては、ペプチド模倣物およびアミノ酸部分の他の逆転形態または反転形態が挙げられる。
【0090】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラス由来のメンバーに対する交換を包含し得る。このような置換された残基は、例えば、非ヒト抗体と相同なヒト抗体の領域、またはこの分子の非相同領域に導入され得る。
【0091】
このような変化を行う際に、特定の実施形態に従って、アミノ酸のヒドロパシー指数が考慮され得る。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて、ヒドロパシー指数を割り当てられている。ヒドロパシー指数は、以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0092】
タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能を確認する際の、ヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当該分野において理解されている(例えば、Kyteら、1982,J.Mol.Biol.157:105−31)。特定のアミノ酸が類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用され得、そして依然として類似の生物学的活性を維持し得ることが、公知である。ヒドロパシー指数に基づいて変化させる際に、特定の実施形態において、ヒドロパシー指数は、±2以内であるアミノ酸置換が含まれる。特定の実施形態において、±1以内であるものが含まれ、そして±0.5以内であるものが含まれる。
【0093】
類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的になされ得る(特に、これによって作製された生物学的機能的なタンパク質またはペプチドが、本明細書中に開示されるように、免疫学的実施形態における使用に関して考慮される場合)こともまた、当該分野において理解されている。特定の実施形態において、タンパク質の最も大きな局所的平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される場合に、その免疫原性および抗原性、すなわち、そのタンパク質の生物学的特性に相関する。
【0094】
以下の親水性の値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性の値に基づいて変化を行う際に、特定の実施形態において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、±1以内であるものが含まれ、そして±0.5以内であるものが含まれる。一次アミノ酸配列から、エピトープをまた、親水性に基づいて同定し得る。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」といわれる。
【0095】
例示的なアミノ酸置換は、表1に記載される。
【0096】
【表1】
当業者は、周知の技術を用いて、本明細書中で記載されるポリペプチドの適切な改変体を決定し得る。特定の実施形態において、当業者は、活性に重要であると考えられない領域を標的化することによって、活性を損なうことなく変化され得る分子の適切な領域を同定し得る。他の実施形態において、当業者は、類似のポリペプチドの中で保存されている分子の残基および一部を同定し得る。さらなる実施形態において、生物学的活性に重要であり得るか、または構造に重要であり得る領域ですら、その生物学的活性を損なうことも、そのポリペプチド構造に悪影響を及ぼすこともなく、保存的アミノ酸置換に供され得る。
【0097】
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要な類似のポリペプチドにおける残基を同定する構造機能研究を検討し得る。このような比較に鑑みて、当業者は、類似のタンパク質において活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質においてアミノ酸残基の重要性を推定し得る。当業者は、そのような推定される重要なアミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を選択し得る。
【0098】
当業者はまた、類似のポリペプチドにおいてその構造に関連して三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。このような情報に鑑みて、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基の整列を推定し得る。特定の実施形態において、当業者は、そのタンパク質の表面上に存在すると推定されるアミノ酸残基に対して急激な変化を起こさないように選択され得る。なぜなら、このような残基は、他の分子との重要な相互作用に関与し得るからである。さらに、当業者は、各望ましいアミノ酸残基において単一のアミノ酸置換を含む試験改変体を生成し得る。その改変体は、当業者に当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングされ得る。
【0099】
このような改変体は、適切な改変体についての情報を集めるために使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基に対する変化が、損なわれた活性、望ましくないように減少された活性、または不適切な活性を有する改変体を生じた場合に、このような変化が避けられ得ることが発見された。言い換えると、このような慣用的実験から集められた情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が単独、または他の変異と組み合わせてかのいずれかで、避けられ得るアミノ酸を容易に検出し得る。
【0100】
多くの科学的刊行物が、二次構造の推定に向けられてきた。Moult,1996,Curr.Op.in Biotech.7:422−427;Chouら,1974,Biochemistry 13:222−245;Chouら,1974,Biochemistry 113:211−222;Chouら,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45−148;Chouら,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251−276;およびChouら,1979,Biophys.J.26:367−384を参照のこと。さらに、コンピュータープログラムが、二次構造の推定を補助するために、現在利用可能である。二次構造を推定する1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%を超える配列同一性、または40%を超える類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の構造的トポロジーを有する。タンパク質構造データベース(PDB)の近年の成長により、二次構造(ポリペプチド構造またはタンパク質構造内の折りたたみの潜在的数を含む)の推定可能性が増強された。Holmら,1999,Nucl.Acid.Res.27:244−247を参照のこと。所定のポリペプチドまたはタンパク質における折りたたみの回数が制限されること、いったん構造の重大数が解明されると、構造推定が劇的により正確になることを示唆した(Brennereら,1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369−376)。
【0101】
二次構造を推定するさらなる方法は、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−87;Sipplら,1996,Structure 4:15−19)、「プロフィール分析」(Bowieら,1991,Science 253:164−170;Gribskovら,1990,Meth.Enzym.183:146−159;Gribskovら,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355−4358)、および「進化的連結(evolutionary linkage)」(Holm,1999,前出;およびBrenner,1997,前出を参照のこと)を含む。
【0102】
特定の実施形態において、抗体改変体は、グリコシル化部位の数および/または型が、親ポリペプチドのアミノ酸配列に比較して変化しているグリコシル化改変体を含む。特定の実施形態において、タンパク質改変体は、ネイティブタンパク質よりも多いかまたは少ないN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられ、ここでXと示されるそのアミノ酸残基は、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作製するためのアミノ酸残基の置換は、N結合型糖鎖の付加のための潜在的な新たな部位を提供する。あるいは、この配列を排除する置換は、存在するN結合型糖鎖を除去する。1つ以上のN結合型グリコシル化部位(代表的に、天然に存在するグリコシル化部位)が排除され、そして1つ以上の新たなN結合部位が作製される、N結合型糖鎖の再配列もまた、提供される。さらなる好ましい抗体改変体としては、1つ以上のシステイン残基が、親アミノ酸配列と比較して、欠失しているか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されている、システイン改変体が挙げられる。システイン改変体は、抗体が、例えば不溶性の封入体の単離の後に、生物学的に活性な立体構造へと再折りたたみされなければならない場合に、有用であり得る。システイン改変体は、一般に、ネイティブタンパク質より少ないシステイン残基を有し、そして代表的には偶数のシステイン残基を有し、対合していないシステインから生じる相互作用を最小にする。
【0103】
特定の実施形態に従って、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させるアミノ酸置換、(2)酸化に対する感受性を減少させるアミノ酸置換、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させるアミノ酸置換、(4)結合親和性を変化させるアミノ酸置換、および/または(5)このようなポリペプチドに物理化学的特性または機能的特性を付与するかもしくは改変するアミノ酸置換である。特定の実施形態に従って、単一のアミノ酸置換または複数のアミノ酸置換(特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列において(特定の実施形態において、分子間接触を形成するドメインの外側にあるポリペプチドの部分において)行われ得る。好ましい実施形態において、保存的アミノ酸置換は、代表的には、親配列の構造的特性を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に存在するヘリックスを壊さず、親配列を特徴づける二次構造の他の型を妨害しない傾向にあるべきである)。当該分野で認識されているポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles,(Creighton編),1984,W.H.Freeman and Company,New York;Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編),1991,Garland Publishing,New York,N.Y.;ならびにThorntonら(1991),Nature 354:105(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0104】
(抗体の調製)
天然に存在する抗体構造単位は、代表的には、四量体を構成する。このような四量体各々は、代表的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対(各対は、1つの全長「軽」鎖(代表的には、約25kDaの分子量を有する)および1つの全長「重」鎖(代表的には、約50〜70kDaの分子量を有する)から構成される。各鎖のアミノ末端部分は、代表的には、代表的には、抗原認識を担う約100〜110個のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、代表的には、エフェクター機能を担う定常領域を規定する。ヒト軽鎖は、代表的には、κ軽鎖およびλ軽鎖として分類される。重鎖は、代表的には、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。IgGは、いくつかのサブクラスを有し、このサブクラスとしては、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が挙げられるが、これらに限定されない。IgMは、サブクラスを有し、このサブクラスとしては、IgM1およびIgM2が挙げられるが、これらに限定されない。IgAは、同様にサブクラスに下位分類され、このサブクラスとしては、IgA1およびIgA2が挙げられるが、これらに限定されない。全長の軽鎖および重鎖において、代表的には、約12以上のアミノ酸の「J」領域は、可変領域および定常領域を結合し、その重鎖はまた、約10以上のアミノ酸の「D」領域を含む。例えば、Fundamental Immunology,Ch.7,第2版(Paul,W.編),1989,Raven Press,N.Y.(全ての目的でその全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。各軽鎖/重鎖対の可変領域の組み合わせは、代表的には、抗原結合部位を形成する。
【0105】
その重鎖および軽鎖の各々の可変領域は、代表的には、3つの超可変領域(相補性決定領域またはCDRともよばれる)により結合される4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含む、同じ一般的構造を示す。各対の2つの鎖に由来するそのCDRは、代表的には、フレームワーク領域により整列され、そのアラインメントは、特異的エピトープへの結合を可能にし得る。N末端からC末端へと、軽鎖および重鎖の可変領域はともに、代表的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。アミノ酸を各ドメインに割り当てることは、代表的には、Kabat Sequences of Proteins of Immunologcal Interest(1987および1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)、Chothia&Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917またはChothiaら,1989,Nature 342:878−883)の規定に従う。
【0106】
抗体は、モノクローナル抗体の開発とともに、薬剤として有用になり、かつ興味あるものである。モノクローナル抗体は、連続的な細胞株によって培養物においてモノクローナル抗体を生成する任意の方法を使用して生成される。モノクローナル抗体を調製するための適切な方法の例としては、Kohlerらのハイブリドーマ法(1975,Nature 256:495−497)およびヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor,1984,J.Immunol.133:3001;およびBrodeurら,1987,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,(Marcel Dekker,Inc.,New York),pp.51−63)が挙げられる。
【0107】
モノクローナル抗体は、治療剤として使用するために改変され得る。一例は、「キメラ」抗体である。重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同である一方で、鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一であるかまたは相同である。他の例は、所望の生物学的活性を示す限り、このような抗体のフラグメントである。米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら(1985),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855を参照のこと。関連する開発は、「CDR移植」抗体であり、ここでその抗体は、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む一方で、抗体鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同である。
【0108】
別の開発は、「ヒト化」抗体である。非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該分野で周知である(米国特許第5,585,089号および同第5,693,762号を参照のこと)。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物により生成され、次いで、特定のアミノ酸残基(代表的には、抗体の非抗原認識部分に由来する)は、対応するアイソタイプのヒト抗体において上記残基に相同であるように改変される。ヒト化は、例えば、当該分野で記載される方法(Jonesら,1986,Nature 321:522−525;Riechmannら,1988,Nature 332:323−327;Verhoeyenら,1988,Science 239:1534−1536)を用いて、ヒト抗体の対応する領域の代わりに齧歯類可変領域の少なくとも一部を置換することによって行われ得る。
【0109】
より近年、かつより有望であるのは、ヒトに抗原を曝さない、ヒト抗体(「完全ヒト抗体」)の開発である。内因性マウス免疫グロブリン生成の非存在下でヒト抗体のレパートリーを生成し得るトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用して、このような抗体は、抗原(必要に応じて、キャリアに結合される)での免疫によって生成される(代表的には、少なくとも6つの連続するアミノ酸を有する)。例えば、Jakobovitsら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555;Jakobovits ら,1993,Nature 362:255−258;およびBruggermannら,1993,Year in Immunol.7:33を参照のこと。これらの方法の一例において、トランスジェニック動物は、マウスの重免疫グロブリン鎖および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性のマウス免疫グロブリン遺伝子座を組み込み、ヒト重鎖および軽鎖のタンパク質をコードする遺伝子座をそのフラグメントに挿入することによって生成される。改変の完全未満の相補体を有する部分的に改変された動物は、次いで、望ましい免疫系改変の全てを有する動物を得るために、交配される。免疫原を投与した場合、これらのトランスジェニック動物は、ヒト(マウスではなく)アミノ酸配列を有するこれらの抗原に免疫特異的な抗体(可変領域を含む)を生成する。PCT公開番号WO96/33735およびWO94/02602(参考として援用される)を参照のこと。さらなる方法は、米国特許第5,545,807号、PCT公開番号WO91/10741、WO90/04036、ならびにEP 546073B1およびEP 546073A1(参考として援用される)に記載される。ヒト抗体はまた、本明細書中に記載されるように、宿主細胞における組換えDNAの発現によって、またはハイブリドーマ細胞における発現によって生成され得る。
【0110】
完全ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboomら,1991,J.Mol.Biol.227:381;およびMarksら,1991,J.Mol.Biol.222:581に開示される)から生成され得る。これらのプロセスは、繊維状バクテリオファージの表面に抗体レパートリーのディスプレイを通じた免疫選択、および選択された抗原に対するそれらの結合によるその後のファージの選択を模倣する。1つのこのような技術は、PCT公開番号WO99/10494(参考として援用される)(これは、このようなアプローチを使用する、MPLレセプターおよびmskレセプターに対する高親和性かつ機能的アゴニスト抗体の単離を記載する)に記載される。
【0111】
いったんこのような抗体をコードするそのヌクレオチド配列がが決定されると、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、および完全ヒト抗体もまた、組換え法によって生成され得る。その抗体をコードする核酸は、宿主細胞に導入され、当該分野で一般に公知の材料および手順を用いて発現される。
【0112】
本発明は、ヒトIL−1R1に対する、1つまたは複数の完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、その抗体は、IL−1R1の第3のドメインを結合する。好ましい実施形態において、本発明は、重鎖および軽鎖の免疫グロブリン分子をコードするヌクレオチド配列、およびその免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列(特に、その可変領域に対応する配列)を含む。好ましい実施形態において、相補性決定領域(CDR)、特に、CDR1からCDR3に対応する配列が提供される。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、ヒトIL−1R1に対する、このような免疫グロブリン分子およびこれらから生成されるモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞株、最も好ましくは精製ヒトモノクローナル抗体を提供する。
【0113】
酵母人工染色体(YAC)中にメガ塩基サイズのヒト遺伝子座をクローニングおよび再構築し、マウス生殖系列にそれらを導入する能力は、非常に広範なまたは粗にマッピングされた遺伝子座の機能的成分を解明し、ヒト疾患の有用なモデルを作製することに、有利なアプローチを提供する。さらに、マウス遺伝子座のそれらのヒト等価物で置換するためのこのような技術の利用は、開発、それらの他のシステムとの連絡、および疾患誘導および進行におけるそれらの関与の間に、ヒト遺伝子生成物の発現および調節に独特の見識を提供する。
【0114】
このようなストラテジーの重要な実践的適用は、マウスの体液性免疫系の「ヒト化」である。ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を内因性Ig遺伝子が不活性化されているマウスに導入することは、プログラムされた発現および抗体のアセンブリの根底にある機構、ならびにB細胞発生におけるそれらの役割を研究する機会を提供する。さらに、このようなストラテジーは、完全ヒトモノクローナル抗体(MAb)を生成するため、特に、治療剤として使用するための供給源を提供する。完全ヒト抗体は、マウスもしくはマウス由来Mabに内因性の免疫原性およびアレルギー性応答を最小にし、かつそれによって、治療的適用において投与される抗体の有効性および安全性を増大させると予測される。完全ヒト抗体は、慢性および再発性のヒト疾患(例えば、変形性関節症、慢性関節リウマチ、および他の炎症性状態)の処置において使用され得、その処置は、抗体投与の反復を要する。
【0115】
当業者は、このようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を生成するように、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを有するマウス抗体生成が欠損したマウス系統を操作し得る。大きなヒトIgフラグメントは、大きな変動性の遺伝子多様性ならびに抗体生成および発現の適切な調節を保ち得る。抗体多様化および選択のためのマウス機構ならびにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容性の欠如を開発することによって、これらのマウス系統において複製されるヒト抗体レパートリーは、目的の抗原(ヒト抗原を含む)に対する高親和性抗体を生成する。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbが生成および選択され得る。
【0116】
特定の実施形態において、当業者は、このようなマウスにおいてヒト可変領域とともに、ヒト以外の種に由来する定常領域を使用して、キメラ抗体を生成し得る。本発明の抗体は、全長IL−1R1、可溶性形態のIL1−1R1またはそのフラグメントでこのような動物を免疫することによって生成され得る。例えば、国際特許出願公開WO93/12227を参照のこと。
【0117】
本発明の抗IL−1R1抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRは、同じ種または別の種に由来するフレームワーク領域(FR)に移植され得る。特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植され得る。コンセンサスヒトFRを作製するために、いくつかのヒト重鎖または軽鎖のアミノ酸配列に由来するFRは、コンセンサスアミノ酸配列を同定するために整列される。抗IL−1R1抗体の重鎖または軽鎖のFRは、異なる重鎖または軽鎖に由来するFRで置換され得る。抗IL−1R1抗体の重鎖および軽鎖のFRにおけるまれなアミノ酸は、代表的には、置換されないが、FRアミノ酸の残りは、置換され得る。まれなアミノ酸は、それらが通常FRにおいて見いだされない位置に存在する特定のアミノ酸である。本発明の抗IL−1R1抗体に由来するその移植された可変領域は、抗IL−1R1抗体の定常領域とは異なる定常領域とともに使用され得る。あるいは、その移植された可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、および同第5,530,101号(これらは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0118】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR1領域;配列番号64、配列番号65もしくは配列番号66のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR2領域;および/または配列番号67、配列番号68もしくは配列番号69のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR3領域を含む抗IL1−R1抗体を提供する。
【0119】
他の実施形態において、本発明は、配列番号70もしくは配列番号71のアミノ酸配列を有するヒト軽鎖CDR1領域;配列番号72もしくは配列番号73のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR2領域;および/または配列番号74もしくは配列番号75のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR3領域を含む抗IL1−R1抗体を提供する。
【0120】
本発明の抗体は、好ましくは、マウスの抗体生成細胞に挿入されたヒト抗体生成遺伝子座の実質的一部を有し、内因性のマウス抗体が欠損するようにさらに操作されているトランスジェニックマウスを使用して調製される。このようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を生成し得、マウス免疫グロブリン分子および抗体を生成しないか、または実質的に減少した量のマウス免疫グロブリン分子および抗体を生成する。この結果を達成するために利用される技術は、本明細書中に開示される特許、特許出願および参考文献に開示される。好ましい実施形態において、当業者は、国際特許出願公開番号WO98/24893(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)に開示される方法を使用し得る。Mendezら,1997,Nature Genetics 15:146−156(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)もまた参照のこと。
【0121】
本発明のモノクローナル抗体(MAb)は、種々の技術によって生成され得、これらの技術としては、従来のモノクローナル抗体方法論(例えば、KohlerおよびMilstein,1975,Nature 256:495の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術)が挙げられる。原則的には体細胞ハイブリダイゼーション手順が好ましく、モノクローナル抗体を生成するための他の技術(例えば、Bリンパ球のウイルス形質転換または発癌遺伝子)が使用され得る。
【0122】
好ましい実施形態において、IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体は、「HuMab」マウスといわれるマウスを使用して生成され得、その内因性のμおよびκ鎖遺伝子座を不活性化する標的された変異と一緒に、再配列されていないヒト重鎖配列(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含み得る。Lonbergら,1994,Nature 368:856−859。従って、そのマウスは、免疫に応じて、マウスIgMまたはκの減少した発現を示し、その導入されたヒトの重鎖および軽鎖の導入遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞変異を受けて、高親和性ヒトIgGκモノクローナル抗体を生成する。Lonbergら,前出;LonbergおよびHuszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;HardingおよびLonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546。HuMabマウスの調製は、Taylorら,1992,Nucleic Acids Res.20:6287−6295;Chenら,1993,International Immunology 5:647−656;Tuaillonら,1994,J.Immunol.152:2912−2920;Lonbergら,1994,Nature 368:856−859;Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49−101;Taylorら,1994,International Immunology 6:579−591;Lonberg&Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;Harding&Lonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci 764:536−546;Fishwildら,1996,Nature Biotechnology 14:845−851(これらの全ての開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載される。さらに米国特許第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,789,650号;同第5,877,397号;同第5,661,016号;同第5,814,318号;同第5,874,299号;および同第5,770,429号(全てLonbergおよびKay);ならびに米国特許第5,545,807号(Suraniら);国際特許出願公開WO93/1227(1993年6月24日公開);WO92/22646(1992年12月23日公開);およびWO92/03918(1992年3月19日公開)(これらの全ての開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。あるいは、以下の実施例に記載されるHCo7およびHCo12トランスジェニックマウス系統は、ヒト抗IL−1R1抗体を生成するために使用され得る。
【0123】
有利には、IL−1R1に対して特異的な完全ヒトモノクローナル抗体は、以下の通りに生成される。ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスを、目的のIL−1R1関連抗原で免疫する。抗体を発現するマウス由来のリンパ細胞(例えば、B細胞)が得られる。このような回収された細胞は、骨髄腫型の細胞株と融合されて、不死化ハイブリドーマ細胞株が調製され、このようなハイブリドーマ細胞株は、スクリーニングおよび選択され、目的の抗原に特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株が同定される。特定の実施形態において、IL−1R1に対して特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株の生成が提供される。
【0124】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ株によって生成される。これらの実施形態において、本発明の抗体は、約4pMと100pMとの間の解離定数(Kd)でIL1−1R1に結合する。本発明の特定の実施形態において、その抗体は、約20pM未満のKdでIL−1R1に結合する。他の実施形態において、本発明の抗体は、IL−1R1の第3のドメインに結合する。ヒトおよびラットのIL1−R1の第3のドメインのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、図17に示される。
【0125】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、IgG2アイソタイプが最も好ましい。本発明の好ましい実施形態において、その抗体は、ヒトκ軽鎖およびヒトIgG1、IgG2、またはIgG4の重鎖を含む。特定の実施形態において、その抗体の可変領域は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプの定常領域以外の定常領域に連結される。特定の実施形態において、本発明の抗体は、哺乳動物細胞における発現のためにクローニングされた。
【0126】
特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体(およびコードするヌクレオチドに対応する改変)の重鎖および軽鎖に対する保存的アミノ酸置換は、抗IL−1R1抗体の特性に類似の機能的特性および化学的特性を有する抗IL−1R1抗体を生成する。対照的には、抗IL−1R1抗体の機能的特性および/または化学的特性における実質的改変は、(a)置換の領域における分子骨格の構造(例えば、シートまたはらせん立体構造として)、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖のかさ高さの維持に対するそれらの効果において有意に異なる重鎖および軽鎖のアミノ酸配列において置換を選択することによって達成され得る。
【0127】
例えば、「保存的アミノ酸置換」とは、その位置でのアミノ酸残基の極性または電荷に対してほとんど影響がないかまたは全く影響がないように、ネイティブアミノ酸の非ネイティブ残基での置換を包含し得る。さらに、ポリペプチドにおける任意のネイティブ残基はまた、「アラニンスキャニング変異誘発」(Wells,1991,Methods Enzymol.202:390(編J.J.Langone),Academic Press,London)について以前に記載されているように、アラニンで置換され得る。
【0128】
所望のアミノ酸置換(保存的であろうが非保存的であろうが)は、このような置換が所望されるときに、当業者によって決定され得る。特定の実施形態において、アミノ酸置換は、抗IL−1R1抗体の重要な残基を同定するか、または本明細書中で記載される抗IL−1R1抗体の親和性を増大または減少させるために使用され得る。
【0129】
代替的実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株において発現され得る。これらの実施形態において、特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために使用され得る。これらの実施形態に従って、形質転換は、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する(例えば、そのポリヌクレオチドをウイルス(またはウイルスベクターに)パッケージングし、宿主細胞をウイルス(またはベクター)で形質導入することを含む)任意の公知の方法を使用して、または当該分野で公知のトランスフェクション手順によって達成され得る。このような手順は、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、および同第4,959,455号(これらの全ては、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)により例示される。一般に、使用される形質転換手順は、形質転換されるべき宿主に依存し得る。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するための方法は、当該分野で周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中のポリヌクレオチドのカプセル化、および核へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の方法の特定の実施形態に従って、本発明のIL−1R1抗体の重鎖定常領域、重鎖可変領域、軽鎖定常領域、または軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸分子は、標準的な連結技術を使用して適切な発現ベクターに挿入される。好ましい実施形態において、そのIL−1R1の重鎖または軽鎖の定常領域は、適切な可変領域のC末端に付加され、発現ベクターに連結される。そのベクターは、代表的には、使用される特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が生じ得るように、宿主細胞機構と適合性である)。発現ベクターの総説については、Goeddel(編),1990,Meth.Enzymol.Vol.185,Academic Press.N.Y.を参照のこと。
【0131】
代表的には、任意の宿主細胞において使用される発現ベクターは、プラスミドの維持のための配列、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。特定の実施形態において、まとめて「隣接配列」といわれるこのような配列は、代表的には、以下のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナースプライス部位およびアクセプタースプライス部位を含む完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、および選択マーカーエレメント。これらの配列の各々は、以下に議論される。
【0132】
必要に応じて、そのベクターは、IL−1R1ポリペプチドコード配列の5’末端または3’末端に位置する「タグ」コード配列(すなわち、オリゴヌクレオチド分子を含み得る;そのオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(例えば、6His)、または別の「タグ」(例えば、FLAG、HA(インフルエンザウイルスの赤血球凝集素)、または市販の抗体に存在するmycをコードし得る。このタグは、代表的には、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合され、宿主細胞に由来するIL−1R1抗体のアフィニティー精製または検出のための手段として働き得る。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティーマトリクスとしてのタグに対する抗体を使用するカラムクロマトグラフィーによって達成され得る。必要に応じて、そのタグは、その後、種々の手段(例えば、切断のために特定のペプチダーゼを使用する)によって精製IL−1R1ポリペプチドから除去され得る。
【0133】
隣接配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または系統に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞種もしくは系統以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、1つを超える供給源に由来する隣接配列の組み合わせ)、合成もしくはネイティブであり得る。よって、隣接配列の供給源は、任意の原核生物細胞もしくは真核生物細胞、任意の脊椎生物もしくは無脊椎生物、または任意の植物であり得る。ただし、その隣接配列は、宿主細胞機構において機能的であり、かつ宿主細胞機構によって活性化され得る。
【0134】
本発明のベクターにおいて有用な隣接配列は、当該分野で周知のいくつかの方法のいずれかにおいて得られ得る。代表的には、本明細書中で有用な隣接配列は、マッピングによって、および/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって予め同定され、従って、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して適切な組織供給源から単離され得る。いくつかの場合において、隣接配列の完全なヌクレオチド配列は、公知であり得る。ここで、その隣接配列は、核酸合成もしくはクローニングのために本明細書中で記載される方法を使用して合成され得る。
【0135】
隣接配列の全てまたはごく一部が公知である場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または適切なプローブ(例えば、同じ種または別の種に由来するオリゴヌクレオチドおよび/または隣接配列フラグメント)でのゲノムライブラリーのスクリーニングを使用して得られ得る。その隣接配列が公知でない場合、隣接配列を含むDNAのフラグメントは、例えば、コード配列またはさらに別の遺伝子を含み得る大きな一片のDNAから単離され得る。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって達成されて、適切なDNAフラグメントが生成され、続いて、適切なアガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に公知の他の方法を用いて単離され得る。この目的を達成する適切な酵素の選択は、当業者に容易に明らかである。
【0136】
複製起点は、代表的には、市販されるこれらの原核生物発現ベクターの一部であり、その複製機点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を補助する。選択されたベクターが複製部位の基点を含まない場合、既知の配列に基づいて化学的に合成され得、ベクターに連結され得る。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適切であり、種々のウイルス複製起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはパピローマウイルス(例えば、HPVもしくはBPV))が、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、その複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターには必ずしも必要とされるわけではない(例えば、そのSV40起点は、しばしば、ウイルス初期プロモーターもまた含むためだけに使用される)。
【0137】
転写終結配列は、代表的にポリペプチドコード領域の末端の3’側に配置され、そして転写を終結させるのに役立つ。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cリッチフラグメント、続いてポリ−T配列である。この配列はライブラリーから容易にクローン化されるか、またはベクターの一部として市販されるが、これはまた、本明細書中に記載されるもののような核酸合成のための方法を使用して容易に合成され得る。
【0138】
選択マーカー遺伝子は、選択培養培地において増殖される宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。代表的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物宿主細胞に対して、抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシン)に対する耐性を与えるか;(b)細胞の栄養要求性の欠損を補うか;あるいは(c)あるいは複合培地もしくは規定の
培地から入手可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。好ましい選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞における選択のために使用され得る。
【0139】
他の選択遺伝子は、発現される遺伝子を増幅するために使用され得る。増幅は、増殖もしくは細胞生存に重要なタンパク質の産生により大きく要求される遺伝子が、組換え細胞の連続して生成される染色体内に一般にタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に対する適切な選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびプロモーターなしのチミジンキナーゼが挙げられる。哺乳動物細胞形質転換体は、選択圧下に置かれ、ここで、形質転換体のみが、ベクターに存在する選択遺伝子によって生存するように独特に適合される。選択圧は、培地中の選択因子の濃度が連続的に変化し、それによって選択遺伝子と別の遺伝子(例えば、IL−1R1ポリペプチド含有ベクター)をコードするDNAとの両方の増幅を導く条件下で、形質転換された細胞を培養することによって課される。結果として、増加した量のポリペプチド(例えば、IL−1R1ポリペプチド)が、増幅されたDNAから合成される。
【0140】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、そしてシャイン−ダルガーノ配列(原核性物)またはKozak配列(真核生物)によって特徴付けられる。このエレメントは、代表的に、発現されるポリペプチドのプロモーターの3’側およびコード配列の5’側に配置される。
【0141】
グリコシル化が真核生物宿主細胞発現系において望ましいようないくつかの場合において、グリコシル化または収量を改善するために種々のプレ配列(presequence)またはプロ配列(prosequence)が操作され得る。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更し得るかまたはプロ配列を加え得、これはまた、グリコシル化に影響し得る。最終タンパク質産物は、−1位に(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)、発現に付随して1つ以上のさらなるアミノ酸を有し得、これは、完全に除去されないかもしれない。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合される、ペプチダーゼ切断部位において見出される1つまたは2つのアミノ酸残基を有し得る。あるいは、いくつかの酵素切断部位を使用すると、酵素が成熟ポリペプチド内のこのような領域を切断する場合、所望のポリペプチドの少し短縮した形態が生じ得る。
【0142】
本発明の発現ベクターおよびクローニングベクターは、代表的には、宿主生物によって認識され、抗IL−1R1抗体をコードする分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般的に、約100〜1000bp内)の開始コドンに対して上流(すなわち、5’側)に配置される非転写配列である。プロモーターは、従来から、2つのクラス(誘導プロモーターおよび構成プロモーター)のうちの1つにグループ化されている。誘導プロモーターは、培養条件におけるいくらかの変化(例えば、栄養の存在または非存在、あるいは温度の変化)に応答してそれらの制御下で、DNAからの増加したレベルの転写を開始する。他方、構成プロモーターは、連続的な遺伝子産物の産生を開始する;すなわち、遺伝子発現に対して遺伝子をほとんど制御しないかまたは制御しない。多数のプロモーター(種々の潜在的な宿主細胞によって認識される)が周知である。適切なプロモーターは、供給源のDNAからプロモーターを制限酵素消化によって取り出し、そして所望のプロモーター配列をベクターに挿入することによって、本発明の抗IL−1R1抗体を含む、重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に連結される。
【0143】
酵母宿主との使用に適切なプロモーターはまた、当該分野で周知である。哺乳動物宿主細胞との使用に適したプロモーターは、当該分野で周知であり、ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥類肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40))のゲノムから得られるプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な哺乳動物プロモーターとしては、異種哺乳動物プロモーター(例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーター)が挙げられる。
【0144】
関心があり得るさらなるプロモーターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−10);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら,1980,Cell 22:787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−45);メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,1982,Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターのような原核生物発現ベクター(Villa−Kamaroffら,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:3727−31);またはtacプロモーター(DeBoerら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:21−25)。組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域もまた関心がある:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら,1984,Cell 38:639−46;Ornitzら,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409(1986);MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22);リンパ球において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら,1984,Cell 38:647−58;Adamesら,1985,Nature 318:533−38;Alexanderら,1987,Mol.Cell.Biol.,7:1436−44);精巣、乳房、リンパ球、および肥満細胞において活性なマウス乳腺癌ウイルス制御領域(Lederら,1986,Cell 45:485−95);肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら,1987,Genes and Devel.1:268−76);肝臓において活性なα−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−48;Hammerら,1987,Science 235:53−58);肝臓において活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら,1987,Genes and Devel.1:161−71);骨髄性細胞において活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら,1985,Nature 315:338−40;Kolliasら,1986,Cell 46:89−94);脳の稀突起神経膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら,1987,Cell 48:703−12);骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86);ならびに視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら,1986,Science 234:1372−78)。
【0145】
エンハンサー配列は、より高等な真核生物によって本発明のIL−1R1抗体を含む、軽鎖および重鎖をコードするDNAの転写を増加するように、ベクターに挿入され得る。エンハンサーは、転写を増加させるためにプロモーターに作用する、通常約10〜300bpの長さのDNAのシス作用エレメントである。エンハンサーは、相対的な方向および位置には無関係である。これらは、転写単位に対して5’側および3’側に見出された。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインシュリン)。しかし、代表的には、ウイルス由来のエンハンサーが、使用される。当該分野で公知のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化に関する例示的な増強エレメントである。エンハンサーは、核酸分子に対して5’位または3’位でベクターにスプライシングされ得るが、代表的には、プロモーターから5’位側の部位に配置される。
【0146】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターのような開始ベクターから構築され得る。このようなベクターは、全ての所望な隣接配列を含んでも良いし、含まなくても良い。本明細書中に記載される隣接配列の1つ以上がすでにベクター内にない場合、これらは、個々に得られ得、ベクターに連結され得る。隣接配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0147】
ベクターが構築され、そして抗IL−1R1抗体を含む、軽鎖または重鎖をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後に、完全なベクターが増幅および/またはポリペプチド発現に適切な宿主細胞に挿入され得る。抗IL−1R1抗体に対する発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の公知の技術を含む周知の方法によって達成され得る。選択される方法は、一部、使用される宿主細胞の型の機能に依存する。これらの方法および他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら、上記に記載される。
【0148】
宿主細胞は、適切な条件下で培養される場合、抗IL−1R1抗体を合成し、この抗体は、続いて、培養培地から(宿主細胞がその抗体を培地に分泌する場合)収集され得るか、直接その抗体を産生する宿主細胞から収集される(その抗体が分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾、および生物学的に活性な分子に折り畳まれる容易さなどの種々の要因に依存する。
【0149】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当該分野において周知であり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アメリカンタイプカルチャーコレクション(A.T.C.C.)から入手可能な多くの不死化細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep2)、および多くの他の細胞株。特定の実施形態において、どの細胞株が高発現レベルを有するかを決定することによって選択され、構成的IL−1R1結合特性を有する抗体が生成され得る。別の実施形態において、それ自身の抗体を生成しないが、異種抗体(例えば、マウス骨髄腫細胞株NS0およびSP2/0)を作製および分泌する能力を有する、B細胞系統に由来する細胞株が選択され得る。
【0150】
本発明の抗体は、生物学的サンプル中のIL−1R1を検出し、IL−1R1タンパク質を生成する細胞または組織を同定するために有用である。IL−1R1に結合し、
別の結合化合物との相互作用をブロックする上記の抗体は、IL−1媒介性疾患を調節するにあたって治療的用途を有する。好ましい実施形態において、IL−1R1に対する抗体は、IL−1βまたはIL−1αに対するIL−1R1結合をブロックし得、これは、IL−1シグナル伝達カスケードの破壊を生じ得る。
【0151】
IL−1R1に特異的に結合する本発明の抗体は、以下で議論されるように、IL−1媒介性疾患の処置において有用であり得る。上記の抗体は、IL−1R1結合およびIL1−1R1が、IL−1βおよびIL−1Rアクセサリタンパク質(IL−1RAcP)との複合体、またはIL−1αおよびIL−1RacPとの複合体を形成しないように阻害する能力を検出する結合アッセイにおいて使用され得る。
【0152】
特定の実施形態において、本発明は、IL−1媒介性炎症反応またはIL−1媒介性免疫調節性反応と関連する医学的障害を処置するための方法を提供する。本発明の方法は、本発明の抗IL1R1抗体を、IL−1によって媒介される炎症性疾患または免疫調節性疾患に罹患した固体に投与する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「疾患(illness)」、「疾患(disease)」、「医学的状態」、または「異常な状態」とは、用語「医学的障害」と交換可能に使用される。
【0153】
特定の実施形態において、本発明の方法は、本発明の抗IL−1R1抗体を患者に投与し、それによって、IL−1がその細胞表面レセプター(IL−1R1)に結合しないようにする工程を包含する。
【0154】
IL−1の異常もしくは過剰な発現または異常なもしくは過剰なIL−1シグナル伝達によって特徴づけられる医学的障害を処置するために、本発明のIL−1R I型抗体は、その障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において持続する改善を誘導するに十分な量および時間で患者に投与される。改善は、その患者が1〜4週間隔てて少なくとも2回の機会で改善を示す場合、「持続性」とみなされる。改善の程度は、徴候または症状に基づいて決定され、患者に与えられる質問票(例えば、生活の質(クオリティーオブライフ)の質問票)もまた使用し得る。
【0155】
患者の疾患の程度を反映する種々の指標は、処置の回数および時間が十分であるか否かを決定するために評価され得る。選択された指標のベースライン値は、第1の用量の抗体の投与の前に患者の検査によって確立される。好ましくは、ベースライン検査は、第1の用量を投与する約60日間以内に行われる。そのIL−1R抗体が、急性症状を処置するため(例えば、外傷による傷害(外傷による膝の傷害、発作、頭部傷害など)を処置するために)投与されている場合、その第1の用量は、その傷害または事象が起こった後実質的にできるだけ早く投与される。
【0156】
改善は、その患者が選択された指標についてのベースラインを超える改善を発現するまで1用量の抗体を繰り返し投与することによって誘導される。慢性状態を処置するにあたって、この改善の程度は、少なくとも1ヶ月以上の期間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月以上、あるいは無期限に)にわたっってこの医薬品を繰り返し投与することによって得られる。1〜6習慣の期間、または1用量ですら、しばしば、急性状態を処置するには十分である。
【0157】
処置後の患者の疾患の程度が、1つ以上の指標西に従って改善されたとみられ得るとはいえ、処置は、同じレベルでまたは減少した用量もしくは頻度で無期限に継続され得る。いったん処置が減らされるかまたは中止されると、後に、症状が再び現れた場合に、その元のレベルで再開され得る。
【0158】
任意の有効な経路の投与が、抗体を治療的に投与するために使用され得る。その抗体は、ボーラス注射によって、もしくは連続注入によって、関節内経路、静脈内経路、筋肉内経路、病変内経路、腹腔内経路、頭蓋内経路、吸入経路もしくは皮下経路を介して注射され得る。例えば、肺疾患は、経鼻的方法および吸入法を包含し得る。投与のための他の適切な手段としては、インプラントからの持続性放出、エアロゾル吸入、点眼、経口調製物(丸剤、シロップ、トローチ剤、またはチューイングガムが挙げられる)、および局所的調製物(例えば、ローション剤、ゲル剤、噴霧剤、軟膏剤、または他の適切な技術)が挙げられる。吸入による投与は、肺障害に関連する疾患を処置する場合に特に有益である。
【0159】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体は、1ヶ月に1回投与され得る。別の実施形態において、その抗体は、2週間ごとに1回または1週間に1回投与されて、本明細書中に開示される種々の医学的障害が処置される。なお別の実施形態において、その抗体は、1週間に少なくとも2回投与され、別の実施形態において、1日に少なくとも1回投与される。成人患者はとは、18歳以上のヒトである。注射される場合、成人の1用量あたりの有効量は、1〜200mg/m2、または1〜40mg/m2または約5〜25mg/m2の範囲である。あるいは、均一な用量が投与され得、その量は、2〜400mg/用量、2〜100mg/用量または約10〜80mg/用量の範囲であり得る。その用量が1週間あたり1回を超えて投与されるべき場合、例示的な用量範囲は、前述の用量と同じであるかまたはそれ以下である。本発明の一実施形態において、その以下に記載される種々の指標は、80〜100mg/用量のIL−1レセプター抗体を含む注射、または代わりに、80mg/用量を含む注射のために受容可能な調製物を投与することによって処置される。その用量は、繰り返して投与される。注射以外の投与経路が使用される場合、その用量は、標準的な医学的慣行に従って適切に調節される。例えば、投与経路が吸入である場合、投薬は、10mg/用量〜50mg/用量の範囲の用量において、1週間に1〜7回であり得る。
【0160】
好ましい実施形態において、本発明はまた、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、保存剤および/またはアジュバントとともに、治療上有効量の1つ以上の本発明の抗体を含む薬学的組成物を提供する。好ましくは受容可能な処方材料は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性である。好ましい実施形態において、治療上有効量の抗IL−1R1抗体を含む薬学的組成物が提供される。
【0161】
特定の実施形態において、その薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、清澄性、色、等張性、におい、無菌性、安定性、解離もしくは放出の速度、吸着、または透過を改変、維持または保存するための処方物材料を含み得る。このような実施形態において、適切な処方物材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン);抗菌剤;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム(sodium hydrogen−sulfite));緩衝液(例えば、ホウ酸塩、炭酸水素酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸)、バルク剤(例えば、マンニトールまたはグリシン);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(complexing agent)(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、増量剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);着色剤;矯味矯臭剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック(pluronic)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、トリトン、トリメタミン、レシチン、コレステロールまたはチロキサポール(tyloxapal));安定性増強剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);張度増強剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、またはマンニトール、ソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的なアジュバント。Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版,A.R.Gennaro編),1990,Mack Publishing Companyを参照のこと。
【0162】
特定の実施形態において、最適な薬学的組成物は、当業者によって、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に依存して決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出を参照のこと。特定の実施形態において、このような組成物は、本発明の抗体の、物理的な状態、安定性、インビボ放出の速度、およびインビボクリアランスの速度に影響し得る。
【0163】
特定の実施形態において、薬学的組成物における主要なビヒクルまたはキャリアは、自然状態では、水性または非水性のいずれかであり得る。例えば、適切なビヒクルまたはキャリアは、注射用水、生理食塩水溶液、または人工脳脊髄液であり得、非経口投与のための組成物において一般的な他の材料で補充され得る。中性の緩衝化生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、これはさらに、ソルビトールまたは適切な置換物を含み得る。本発明の特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体組成物は、所望の程度の純度を有する選択された組成物を、任意の処方薬剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出)と混合することによって、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形態で、保存のために調製され得る。さらに、特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体産物は、スクロースのような適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として処方され得る。
【0164】
本発明の薬学的組成物は、非経口送達のために選択され得る。その組成物は、吸入または消化管を介する送達(例えば、経口)のために、選択され得る。このような薬学的に受容可能な組成物の調製は、当該分野の技術の範囲内にある。
【0165】
処方成分は、好ましくは、投与の部位に受容可能な濃度で存在する。特定の実施形態において、緩衝液は、生理学的pHまたはわずかにより低いpH(代表的には、約5〜約8のpH範囲内)にこの組成物を維持するために使用される。
【0166】
非経口投与が意図される場合、本発明における使用のための治療組成物は、薬学的に受容可能なビヒクルに所望の抗IL−1R1抗体を含む、発熱物質を含まない非経口的に受容可能な水溶液の形態で提供され得る。非経口注入のために特に適切なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、ここで、抗IL−1R1抗体は、滅菌の等張溶液として処方され、適切に保存される。特定の実施形態において、その調製物は、所望の分子と、薬剤(例えば、注入可能なミクロスフェア、生体内腐食可能(bio−erodible)粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソーム)との処方物に関し得、これは、次いでデポー注射を介して送達され得る産物の制御放出または持続放出を提供し得る。特定の実施形態において、ヒアルロン酸もまた使用され得、そしてこれは、循環における持続時間を促進する効果を有し得る。特定の実施形態において、所望の抗体分子の導入のために、移植可能な薬物送達ビヒクルが使用され得る。
【0167】
薬学的組成物は、吸入のために処方され得る。これらの実施形態において、抗IL−1R1抗体は、吸入のための乾燥粉末として処方され得る。好ましい実施形態において、抗IL−1R1抗体の吸入溶液はまた、エアロゾル送達のための噴霧剤と共に処方され得る。特定の実施形態において、溶液は、噴霧され得る。肺投与が、国際特許公開番号WO94/20069(本明細書中に参考として援用される)にさらに記載され、これは化学的に改変されたタンパク質の肺送達を記載する。
【0168】
特定の処方物が、経口投与され得ることもまた意図される。このよう様式で投与される抗IL−1R1抗体が、固体投薬形態(例えば、錠剤またはカプセル)の調合において慣用的に使用されるキャリアを伴うか、または伴わず処方され得る。特定の実施形態において、カプセルは、バイオアベイラビリティーが最大化され、そして前全身的分解(pre−systemic degradation)が最小化される場合に胃腸管内の時点で処方物の活性部分を放出するように設計され得る。さらなる薬剤が、抗IL−1R1抗体の吸収を容易にするために含まれ得る。希釈剤、矯味矯臭剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた使用され得る。
【0169】
本発明の薬学的組成物は、錠剤の製造に適切な非毒性賦形剤との混合物中に、1つまたは複数の有効量の抗IL−1R1抗体を含むように提供され得る。錠剤を滅菌水または別の適切なビヒクルに溶解することによって、溶液が、単位用量形態で調製され得る。適切な賦形剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム、ラクトース、あるいはリン酸カルシウム);または結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);あるいは滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)。
【0170】
さらなる薬学的組成物は、当業者に明らかであり、持続送達処方物または制御送達処方物中に抗IL−1R1抗体を含む処方物を含む。種々の他の持続送達手段または制御送達手段(例えば、リポソームキャリア、生体内腐食可能な微粒子あるいは多孔性ビーズおよびデポー注射)を処方するための技術はまた、当業者に公知である。例えば、国際特許公開番号WO93/15722(本明細書中に参考として援用される)(これは、薬学的組成物の送達のための多孔性ポリマー性微粒子の制御放出を記載する)を参照のこと。徐放性調製物は、成形された物品の形態(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)の半透過性ポリマーマトリクスを含み得る。徐放性マトリクスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開番号第058481号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとのコポリマー(Sidmanら,1983,Biopolymers 22:547−56)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレンビニルアセテート(Langerら,前出)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第133988号)が挙げられ得る。徐放性組成物はまた、リポソームを含み得、これは、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製され得る。例えば、Eppsteinら,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−92;および欧州特許出願公開番号第036676号、同第088046号、および同第143949号を参照のこと。
【0171】
インビボ投与のために使用される薬学的組成物は、代表的に滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を介する濾過によって達成され得る。組成物が、凍結乾燥される場合、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥および再構築の前または後のいずれかで実施され得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥された形態または溶液で保存され得る。非経口組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器(例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアル)内に配置される。
【0172】
一旦、薬学的組成物が処方されると、それは、滅菌バイアル中に溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、または乾燥粉末または凍結乾燥粉末として保存され得る。このような処方物は、すぐに使用できる形態または投与の前に再構成を必要とする形態(例えば、凍結乾燥された)のいずれかで保存され得る。
【0173】
本発明はまた、単回用量投与単位を生成するためのキットを提供する。本発明のキットは、各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性処方物を有する第二の容器の両方を含み得る。本発明の特定の実施形態において、単室および多室の予め充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含むキットが含まれる。
【0174】
治療的に使用される抗IL−1R1抗体含有薬学的組成物の有効量は、例えば、治療の内容および目的に依存する。処置のための適切な投薬レベルが、部分的に、送達される分子、抗IL−1R1抗体が使用される適応症(indication)、投与の経路、および患者のサイズ(体重、体表面、または器官のサイズ)および状態(年齢および全身的な健康状態)に依存して変化することが、当業者に理解される。特定の実施形態において、医師は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定(titer)し得、投与経路を改変し得る。代表的な投薬量は、上記の因子に依存して、約0.1μg/kg〜約100mg/kgまたはそれより多い範囲であり得る。好ましい実施形態において、投薬量は、0.1μg/kg〜約100mg/kg;より好ましくは1μg/kg〜約100mg/kg;またはなおより好ましくは、5μg/kg〜約100mg/kgの範囲であり得る。
【0175】
投薬の頻度は、使用される処方物中での特定の抗IL−1R1抗体の薬物動態学的パラメーターに依存する。典型的に、医師は、所望の効果を達成する投薬量に達するまでその組成物を投与する。従って、その組成物は、長期にわたる単回用量として、2以上の用量(これは、同量の所望の分子を含んでも、含まなくてもよい)として、あるいは移植デバイスまたはカテーテルを介する連続的な注入として、投与され得る。適切な投薬量のさらなる改良は、当業者によって慣用的になされ、そして当業者によって慣用的に実施される作業の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量−応答データの使用を介して確認され得る。
【0176】
薬学的組成物の投与の経路は、以下のような公知の方法に従う:例えば、経口的に、静脈内、腹腔内、大脳内(実質内の)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内の経路による注入を介して;徐放系によって;または移植デバイスによって。特定の実施形態において、これらの組成物は、ボーラス注射によって投与され得るか、または注入によって連続的に投与され得るか、または移植デバイスによって投与され得る。
【0177】
その組成物は、所望の分子が吸収されるかまたはカプセル化される膜、スポンジ、または他の適切な材料の移植を介して局所的に投与され得る。特定の実施形態において、移植デバイスが使用される場合、このデバイスは、任意の適切な組織または器官に移植され得、そして所望の分子の送達は、拡散、時限放出ボーラスまたは連続的な投与を介し得る。
【0178】
エキソビボで、本発明に従う抗IL−1R1抗体の薬学的組成物を使用することが所望され得る。このような例において、患者から取り出された細胞、組織、または器官は、これらの細胞、組織、および/または器官が引き続いて患者に移植して戻された後に、抗IL−1R1抗体薬学的組成物に曝露される。
【0179】
特に、抗IL−1R1抗体は、本明細書中に記載されるような方法を使用して、遺伝的に操作されてそのポリペプチドを発現および分泌する特定の細胞を移植することによって送達され得る。特定の実施形態において、このような細胞は、動物またはヒトの細胞であり得、そして自己、異種(heterologous)、または異種間(xenogeneic)であり得る。特定の実施形態において、細胞は、不死化され得る。他の実施形態において、免疫学的応答の機会を減少するために、細胞は、周囲の組織の浸潤を回避するために、カプセル化され得る。さらなる実施形態において、カプセル化材料は、代表的には、生体適合性の半透性ポリマー性包囲物または膜であり、これらは、タンパク質産物の放出を可能にするが、患者の免疫系または周囲の組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防止する。
【0180】
特定の実施形態において、本発明は、同じ患者に投与される1つ以上の他の薬物と同時に、抗IL−1R1抗体または本発明の薬学的組成物の投与をさらに包含し、各薬物は、その医薬品に適切なレジメンに従って投与される。このことは、予備処置、同時処置、連続処置、および交互のレジメンを包含する。このような薬物の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗ウイルス剤、抗生物質、鎮痛剤、コルチコステロイド、炎症性サイトカインのアンタゴニスト、疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)、および非ステロイド性抗炎症剤。
【0181】
他の実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物は、他のサイトカインインヒビター(例えば、RANKL、TGFβ、IFNγ、IL−6またはIL−8およびTNF(特に、TNFα)を拮抗するものを含む)と組み合わせて投与され得る。IL−6と組み合わせて、本発明の抗体は、発作(GABAAレセプター拮抗作用によって誘導される発作、EEG発作性エピソードおよび痙攣性重積状態の間に起こる運動辺縁系発作と関連する発作を含む)の再発を処置または予防するために使用され得る。IFNγインヒビターと組み合わせて、本発明の抗体は、突発性肺線維症および嚢胞性線維症を処置するにあたって有用である。IL−1レセプター抗体とRANKLインヒビター(例えば、RANKL抗体)の組み合わせは、種々の状況において骨の破壊を予防するために有用であり、これらの状況としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々のリウマチ性障害、骨粗鬆症、多発性骨髄腫または骨の分解を引き起こす他の悪性疾患、または骨への転移の予防を補助する抗腫瘍治療、またはプロテーゼの摩損片または歯周炎と関連する骨の破壊。さらに、本発明の抗体は、このような可溶性形態のIL−17レセプター(例えば、IL−17R:Fc)またはIL−17抗体もしくはIL−17R抗体、IL−18結合タンパク質、可溶性形態のIL−18レセプター、およびIL−18抗体、IL−18レセプターに対する抗体またはCD30−リガンドに対する抗体もしくはCD4に対する抗体を、IL−17インヒビターと組み合わせて投与され得る。
【0182】
本発明はさらに、本明細書中に開示される医学的障害を処置するにあたって、TNFインヒビター(好ましくはTNFR:Fc(ENBREL(登録商標))および併用療法における活性剤である上記のサイトカインもしくはサイトカインインヒビターの任意の組み合わせ)と組み合わせて、本発明の抗IL1R1抗体または薬学的組成物を使用するための方法を包含する。例えば、本発明に従って、併用治療法は、慢性関節リウマチ、発作、喘息、乾癬などを処置するために使用され得る。
【0183】
本明細書中に記載される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物により有効に処置される状態としては、肺疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺胞タンパク質症、ブレオマイシン誘導性肺臓炎および線維症、照射誘導性肺線維症、嚢胞性線維症、肺におけるコラーゲン蓄積、およびARDSが挙げられ、これらの全ては、IL−1Rに対する抗体ならびにIL−4インヒビターおよび/またはIL−13インヒビター(例えば、IL−13活性およびIL−4活性を阻害するIL−4R抗体)の組み合わせで処置され得る。本発明の、開示される抗体および薬学的組成物はまた、気管支肺異形性(BPD);慢性閉塞性肺疾患(例えば、肺気腫および慢性気管支炎)、および早産児の慢性線維性肺疾患を処置するために有用である。さらに、本発明の化合物、組成物および併用療法は、職業性肺疾患(石綿症、炭坑夫塵肺、珪肺症または微細な粒子に対する長期の曝露と関連した類似の状態が挙げられる)を処置するために使用される。本発明の他の局面において、開示される化合物、組成物および併用療法は、気管支閉塞(bronchioliterans)組織化肺炎、肺線維症(突発性肺線維症および照射誘導性肺線維症が挙げられる);肺類肉腫;およびアレルギー(アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、および喘息が挙げられる)を処置するために使用される。
【0184】
このような組み合わせは、種々の皮膚障害(疱疹状皮膚炎(デューリング病)、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹(慢性突発性蕁麻疹が挙げられる)、および自己免疫疾患水疱疾患(blistering diseases)(尋常性天疱瘡および水疱性類天疱瘡が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない)に罹患する患者を処置するためにも有用である。IL−1R抗体とIL−4インヒビターおよび/またはIL−13インヒビターとの組み合わせで処置可能な他の疾患としては、重症筋無力症(myesthenia gravis)、類肉腫(肺類肉腫、強皮症、反応性関節炎、過剰IgE症候群、多発性硬化症、および突発性過剰好酸球症候群が挙げられる)が挙げられる。その組み合わせは、投薬に対して、およびアレルギー免疫療法に対する補助として、アレルギー性反応を処置するために使用される。
【0185】
本明細書中に記載されるIL−1レセプター抗体および薬学的組成物は、原生動物性疾患(マラリアおよび住血吸虫症が挙げられる)を処置するために、および癩性結節性紅斑;細菌性髄膜炎またはウイルス性髄膜炎;結核(肺結核が挙げられる);ならびに細菌感染もしくはウイルス感染(インフルエンザ感染および感染性単球増加症が挙げられる)に二次的な肺炎を処置するために有用である。
【0186】
心血管障害および心血管傷害は、開示される、薬学的組成物、または抗IL1−R1抗体単独もしくは他のサイトカインインヒビターと組み合わせてかのいずれかで処置可能であるか、そして/または予防可能である。処置可能な心血管障害としては、大動脈動脈瘤(腹部大動脈動脈瘤が挙げられる)、急性冠状血管症候群(coronary syndrome)、動脈炎;血管閉塞(大脳動脈閉塞が挙げられる);冠動脈バイパス手術の合併症;虚血/再灌流傷害;心臓疾患(アテローム動脈硬化性心臓疾患が挙げられる)、心筋炎(慢性自己免疫心筋炎およびウイルス性心筋炎が挙げられる);心不全(慢性心不全、うっ血性心不全、心不全の悪液質が挙げられる);心筋梗塞;心臓手術後または頸動脈バルーン手術血管形成術手順後の再狭窄および/またはアテローム硬化症;無症状の心筋虚血;左心室ポンプ機能不全、左心室補助デバイスの移植後合併症;レイノー現象;血栓静脈炎;脈管炎(川崎脈管炎が挙げられる);静脈閉塞疾患、巨細胞動脈炎、ヴェゲナー肉芽腫症;心肺バイパス手術後の心的混乱、およびシェーライン−ヘノッホ紫斑病が挙げられる。
【0187】
特定の実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体および薬学的組成物はまた、慢性疼痛状態(例えば、慢性骨盤疼痛(慢性前立腺炎/骨盤疼痛症候群が挙げられる)およびヘルペス後疼痛)を処置するために使用され得る。
【0188】
若年発症性糖尿病(自己免疫真性糖尿病およびインスリン依存型の糖尿病を含む)および成人型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病および肥満媒介性糖尿病を含む)を含む内分泌系の障害はまた、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置され得る。このような処置は、糖尿病と関連する二次的状態(例えば、糖尿病患者における糖尿病性網膜症、腎臓移植拒絶、肥満媒介性インスリン抵抗性、および腎不全)(その二次的状態それ自体は、タンパク尿および高血圧と関連し得る)を含む。他の内分泌障害はまた、これらの化合物で処置可能であり、多嚢胞性卵巣疾患、X染色体連鎖副腎白質ジストロフィー、恒常性機能低下症および甲状腺炎(橋本甲状腺炎(すなわち、自己免疫甲状腺炎)が挙げられる)、甲状腺細胞機能不全(甲状腺機能正常病態症候群が挙げられる)が挙げられる。
【0189】
胃腸系の状態は、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて処置可能または予防可能である。これらの状態としては、セリアック病、クローン病;潰瘍性大腸炎;突発性胃不全麻痺;膵炎(慢性膵炎が挙げられる);急性膵炎、炎症性腸疾患および潰瘍(胃潰瘍および十二指腸潰瘍が挙げられる)が挙げられる。
【0190】
尿生殖器系の障害はまた、本明細書中に記載される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能である。このような障害としては、糸球体腎炎(自己免疫糸球体腎炎、毒素への曝露に起因する糸球体腎炎または溶血性レンサ球菌感染もしくは他の感染性因子による感染に二次的な糸球体腎炎が挙げられる)が挙げられる。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能なものは、尿毒性症候群およびその臨床的合併症(例えば、腎不全、貧血、および肥大型心筋症)であり、これらとしては、環境的な毒素、薬物もしくは他の原因に対する曝露に関連する尿毒性症候群が挙げられる。吸収機能における変化をもたらす胆嚢壁の炎症から生じる合併症は、本発明の抗体で処置可能または予防可能である。このような合併症に含まれるのは、胆石症(胆石)および総胆管結石症(choliedocholithiasis)(胆管石)ならびに胆石症および総胆管結石症の再発である。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能なさらなる状態は、血液透析の合併症;良性前立腺肥大を含む前立腺の状態、非細菌性の前立腺炎および慢性前立腺炎;ならびに血液透析の合併症である。
【0191】
本明細書中に提供されるのはまた、本発明の抗IL−1R1抗体、組成物、および併用療法を使用して、種々の血液学的障害および腫瘍学的障害を処置するための方法である。例えば、抗IL−1R1抗体は、単独でまたは他のサイトカインインヒビターもしくは他の活性薬剤との組み合わせにおいて、上記に記載されるように、癌の種々の形態(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、エプスタイン−バーウイルス陽性鼻咽頭癌腫、神経膠腫、結腸癌、胃癌、前立腺癌、腎細胞癌、子宮頚癌、および卵巣癌、肺癌(SCLCおよびNSCLC)を処置するために使用され得、癌関連悪液質、疲労、無力症、悪液質の腫瘍随伴症候群および高カルシウム血症が挙げられる。固形腫瘍(肉腫、骨肉腫、および癌腫(例えば、腺癌(例えば、乳癌))ならびに扁平上皮細胞癌もまた処置可能である。さらなる処置可能な癌としては、食道癌、胃癌、胆嚢癌腫、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、慢性または急性リンパ芽球性白血病およびヘアリー細胞白血病が挙げられる)が挙げられる。多発性骨髄腫を含む、侵襲性転移能を有する他の悪性疾患は、本発明の化合物、組成物および併用療法で処置され得る。
【0192】
さらに、開示される抗IL−1R1抗体は、貧血および血液学的障害を処置するために使用され得、これらの血液学的障害としては、慢性突発性好中球減少症、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血(ファンコーニ再生不良性貧血が挙げられる);突発性血小板減少性紫斑病(ITP);血栓性血小板減少性紫斑病、骨髄異形性症候群(不応性貧血、鉄芽球性不応性貧血、過剰な芽細胞を有する不応性貧血、形質転換における過剰な芽球を有する不応性貧血が挙げられる);骨髄線維症/骨髄化生;および鎌状赤血球血管閉塞発症が挙げられる。
【0193】
種々のリンパ増殖性障害はまた、本発明の抗IL−1R1抗体で処置可能であり、これらのとしては
自己免疫リンパ増殖性症候群(ALPS)、慢性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、慢性リンパ性白血病、末梢性T細胞リンパ腫、小リンパ球リンパ腫、外套細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、エプスタイン−バーウイルス陽性T細胞リンパ腫、組織球性白血病、ホジキンリンパ腫、びまん性攻撃性リンパ腫(diffuse aggressive lymphoma)、急性リンパ性白血病、Tγリンパ増殖性疾患、皮膚浸潤性B細胞リンパ腫、皮膚浸潤性T細胞リンパ腫(すなわち、菌状息肉腫)およびセザリー症候群が挙げられる。
【0194】
遺伝性状態(例えば、ゴシェ病、ハンチントン舞踏病、線形IgA疾患(linear IgA disease)、および筋ジストロフィー)は、本発明の抗体で処置可能である。
【0195】
開示されるIL−1レセプター抗体または薬学的組成物により処置可能または予防可能である他の状態としては、頭部または脊髄に対する傷害から生じるもの(頭部に対する外傷に起因する硬膜下血腫を含む)が挙げられる。この治療に関連して、記載される組成物および組み合わせは、頭蓋神経学的損害を予防するため、ならびに頸椎性頭痛を予防および処置するために適している。記載される組成物および組み合わせは、脳の照射と関連する神経学的副作用を処置するためにさらに適している。
【0196】
本発明の抗IL−1R1抗体および薬学的組成物はまた、肝炎(急性アルコール性肝炎、急性薬物誘導性肝炎もしくはウイルス性肝炎、A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎、硬化性胆管炎、肝シヌソイド上皮、および未知の原因に起因する肝臓の炎症が挙げられる)のような肝臓の状態を処置するために有用である。
【0197】
聴力喪失を含み、異常なIL−1発現と関連する障害は、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能である。このような障害は、自己免疫プロセスから生じると考えられる蝸牛神経関連聴力喪失(すなわち、自己免疫聴力喪失)が挙げられる。本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能なのはまた、メニエール症候群およびコレステリン腫、しばしば聴力喪失に関連する中耳障害である。
【0198】
骨および関節の非関節性障害はまた、本明細書中に記載の抗体で処置可能である。これは、骨喪失をもたらす破骨障害(例えば、骨粗鬆症(閉経後骨粗鬆症、変形性関節炎、歯の弛緩もしくは喪失から生じる歯周炎、および関節置換後に弛緩したプロテーゼ(骨粗鬆症(一般に、摩損片に対する炎症応答と関連している)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる))を包含する。この後者の状態はまた、「整形外科的インプラント骨軟化」といわれる。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能な別の状態は、一時的な下顎関節機能不全(TMJ)である。
【0199】
本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物はまた、リウマチ性障害(成人性慢性関節リウマチおよび若年性慢性関節リウマチが挙げられる);強皮症;全身性エリテマトーデス;痛風;変形性関節症;リウマチ性多発筋痛症;血清反応陰性脊椎関節炎(強直性脊椎炎、およびライター病、乾癬性関節炎および慢性ライム関節炎が挙げられる)を処置するために使用され得る。本発明の抗体はまた、随意筋および他の筋肉の炎症(nflammation)(皮膚筋炎、封入体筋炎、多発性筋炎、およびリンパ脈管筋腫症(lymphangioleimyomatosis)が挙げられる)を処置するために有用である。
【0200】
本発明の抗体および薬学的組成物の別の使用は、種々の状態(アルツハイマー病、二次的な反応性アミロイドーシス;ダウン症候群;および透析関連アミロイドーシスが挙げられる)に特徴的である原発性アミロイドーシスおよび二次的アミロイドーシスの処置および/または予防である。本発明の抗体または薬学的組成物で処置可能なのはまた、遺伝性周期熱症候群(家族性地中海熱、高IgD症候群および周期熱症候群が挙げられる)およびTNFレセプター関連周期性症候群(TRAPS)である。
【0201】
他の実施形態において、本発明の抗体または薬学的組成物は、皮膚または粘膜に関する障害を処置するために使用され得る。このような障害としては、棘解離病(acantholytic diseases)(ダリエー病、毛包性角化症および尋常性天疱瘡が挙げられる)が挙げられる。本発明の抗体を使用して処置され得るさらなる皮膚障害としては、座瘡、酒さ性座瘡、円形脱毛症、アフタ性口内炎、水疱性類天疱瘡、熱傷、湿疹、紅斑(多形性紅疹および水疱性多形紅斑(スチーブンス・ジョンソン症候群が挙げられる)、炎症性皮膚疾患、扁平苔癬、線形IgA水疱性疾患(小児期の慢性水疱症)、皮膚弾性の喪失、粘膜表面潰瘍(胃潰瘍、好中球性皮膚炎(スイート症候群)、皮膚筋炎、毛孔性紅色粃糠疹、乾癬、壊疽性膿皮症、多中心性網内系組織球症、および毒性表皮融解が挙げられる)が挙げられる。本発明の治療および併用療法によって処置可能な他の皮膚関連状態としては、疱疹状皮膚炎が挙げられる。
【0202】
本発明の抗体または薬学的組成物で処置され得るさらなる障害としては、宿主性退職片病、および固形器官移植(例えば、心臓、肝臓、皮膚、腎臓、肺(胚移植気道閉塞)または他の移植片(骨髄移植が挙げられる)から生じる合併症が挙げられる。
【0203】
眼の障害はまた、開示される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能であり、これらとしては、破裂性網膜剥離、および炎症性眼疾患(喫煙および黄斑変性と関連する炎症性眼疾患が挙げられる)が挙げられる。
【0204】
本発明の抗体または薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、女性生殖系に影響を及ぼす障害を処置するために有用である。例としては、多重性着床不全/不妊;胎児喪失症候群またはIV胚喪失(自然流産);前子癇性妊娠または子癇;子宮内膜症、慢性子宮頸炎、および早産が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
さらに、本発明の抗体または薬学的組成物は、坐骨神経痛、加齢の症状、重篤な薬物反応(例えば、Il−2毒性またはブレオマイシン誘導性肺臓炎および線維症)を処置および/もしくは予防するために、心臓手術もしくは他の手術において同種異型赤血球の輸液の前、その間もしくはその後の炎症応答を抑制するために、または四肢または関節に対する外傷性傷害(例えば、外傷性膝傷害)を処置するにあたって有用である。開示された抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能な種々の他の医学的障害としては、多発性硬化症;ベーチェット症候群;シェーグレン症候群;自己免疫溶血性貧血;ベータサラセミア;筋萎縮性側索硬化症(ルーゲーリッグ病(Lou Gehrig’s Disease));パーキンソン病;および未知の原因の髄滑膜炎、ならびに遺伝性欠損と関連する種々の自己免疫障害または自己免疫疾患(x染色体連鎖精神遅滞が挙げられる)が挙げられる。
【0206】
さらに、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物は、中枢神経系(CNS)傷害(中枢神経系における炎症の興奮の間に放出される神経毒性神経伝達物質の効果を含む)を処置するため、および中枢神経系傷害の部位におけるグリア細胞瘢痕の発生を阻害または予防するために有用である。癲癇および発作の処置に関連して、再発する発作の重篤度および回数が低下され、発作の有害な影響の重篤度が低下され、神経喪失、神経変性、および発作に関連する神経膠症が減少される。
【0207】
本発明の抗体または薬学的組成物のさらなる使用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:重大な疾患ポリニューロパシーおよびミオパシー(CIPNM)急性ポリニューロパシー;神経性食欲不振;ベル麻痺;慢性疲労症候群;遺伝性痴呆(transmissible dementia)(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む);脱髄ニューロパシー;ギラン・バレー症候群;脊椎盤疾患;湾岸戦争症候群;慢性炎症性脱髄ポリニューロパシー、重症筋無力症;無症候性脳虚血;睡眠障害(ナルコレプシーおよび睡眠時無呼吸が挙げられる);慢性ニューロン変性;および発作(脳虚血性疾患が挙げられる)の処置。本発明の抗体についてのなおさらなる使用は、食欲不振および/または食欲不振状態、腹膜炎、内毒素血症および敗血症ショック、肉芽腫形成、心臓発作、チャーグ・ストラウス症候群、急性感染後の慢性炎症(例えば、結核およびらい、全身性硬化症および肥厚性瘢痕)である。
【0208】
他の実施形態において、本発明のIL−1R1抗体のうちの1つのアミノ酸配列を含むアビジン融合タンパク質は、種々の目的で構築され得る。アビジン融合タンパク質は、例えば、特異的標的遺伝子融合パートナーの挿入のためのマルチクローニング部位に隣接して、組換えニワトリアビジンをコードするcDNA配列を含む哺乳動物発現ベクターを使用して生成され得る。そのベクターは、シグナル配列を天然には含まない別個の融合遺伝子パートナーの分泌を可能にするその内因性シグナル配列とともにアビジン配列を含み得る。そのベクターによって発現される融合タンパク質は、その融合パートナーのN末端部分でアビジンタンパク質タグを有する。本明細書中に記載されるようなその融合ストラテジーは、細胞内で通常発現されるタンパク質(例えば、シグナル伝達遺伝子または核ホルモンレセプター)を分泌する能力を有する。
【0209】
あるいは、その内因性シグナル配列なしでアビジンをコードするベクターが使用され得、そのベクターは、融合タンパク質パートナーのC末端タグ化を生じる。C末端アビジン融合はまた、その融合パートナーの内因性シグナル配列に基づいて、タンパク質分泌を可能にする。このようなストラテジーは、正確なタンパク質プロセシングおよび折りたたみを可能にするか、または提唱されるシグナル配列の妥当性を決定するために適用され得る。さらに、そのベクターは、アビジンと融合パートナー配列との間に、特異的酵素切断可能基質として作用し得るアミノ酸配列をコードする短いヌクレオチド配列を含み得る。このような酵素切断可能配列は、精製またはタンパク質放出目的で、アビジンから融合パートナーを分離することを可能にする。
【0210】
本発明のアビジン融合タンパク質は、例えば、抗体スクリーニング、機能的特徴付け(アゴニストまたはアンタゴニストとしての抗体有用性の決定、中和因子など)、エピトープマッピング、または免疫ストラテジーにおいて使用され得る。標的タンパク質のアビジン融合はまた、血液、尿、または他の組織サンプル中の治療抗体の存在について臨床前サンプルまたは臨床患者サンプルを試験するために設計された、薬物動態アッセイ形式、効力アッセイ形式または他の標準的アッセイ形式において利用され得る。アビジン融合タンパク質パートナーは、全長または短縮化された配列、特定の単離された構造ドメイン、または他の種に由来する融合パートナーの他のホモログを有するキメラ配列として調製され得る。
【0211】
アビジン融合タンパク質は、本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知であるような、細胞に遺伝子を導入する任意の標準的手段を使用して発現され得る。そのタンパク質は、例えば、293細胞またはCHO細胞において、その細胞を、脂質の溶液中(例えば、リポフェクタミン(Invitrogen,Carlsbad,CA)中)で、アビジン融合構築物でトランスフェクトすることにより発現され得る。
【0212】
融合タンパク質を発現する細胞からの馴化培地および/または細胞溶解物が収集され得、アッセイ基材(例えば、ビオチンコーティングポリスチレンビーズまたはビオチンコーティングELISAプレート)に適用され得る。その馴化培地および/または細胞溶解物を収集することは、その融合タンパク質の最適な発現を可能にする時点で行われ得る。その時点は、当業者によって経験的に決定され得るが、通常、トランスフェクション後約48時間である。融合タンパク質はまた、既知のリガンド、レセプター、または抗体の結合における発現および機能性について、細胞膜においてまたは細胞内で分析され得る。
【0213】
本発明のアビジン融合タンパク質は、ビオチン−アビジン相互作用を利用する任意の公知のまたは以前に特徴づけられた方法によって分析され得る。このような方法としては、フローサイトメトリーおよび蛍光画像化/顕微鏡が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、培地または細胞溶解物において発現されるアビジン融合物は、ビオチンコーティングビーズに適用され得、発現を示すために、蛍光によりタグ化される抗アビジン抗体で染色され得る。また、多重比色アッセイ形式において特定の融合タンパク質パートナーを認識する蛍光抗体が、適用され得る。さらに、その融合タンパク質パートナーに特異的な非標識抗体は、競合アッセイにおいて蛍光タグ化抗体で同時に適用され得る。
【0214】
特定の実施形態において、本発明は、アビジン融合タンパク質を使用してエピトープマッピングするための方法を提供する。本発明のエピトープマッピング法の例は、抗IL−1R1抗体に関してエピトープマッピングすることに関して、以下に提供される。しかし、当業者は、このような方法が、任意の抗体についてのエピトープのマッピングに容易に適用され得、抗IL−1R1抗体に限定されないことを認識する。例えば、(内因性シグナル配列とともに)ニワトリアビジンをコードするcDNAは、目的のタンパク質をコードするcDNAの5’末端(すなわち、エピトープを決定することが所望される抗体によって認識されるタンパク質)と連結され得、3’末端においてFLAG−タグ配列に融合される。そのFLAGタグ化融合遺伝子は、従来の分子技術を用いて、発現ベクターにおいて組み立てられ得る。特定のアミノ酸が(例えば、別の動物種に由来する対応するアミノ酸残基で)置換されている、変異アビジン−FLAGタグ化タンパク質のパネルは、従来技術を使用して生成され得る。その変異タンパク質および野生型タンパク質は、宿主細胞において発現され得、目的の抗体との野生型タンパク質または変異タンパク質の結合は、本明細書中に記載されるように、例えば、ウェスタンブロット分析またはビーズベースの結合アッセイを使用して検出され得る。従って、エピトープは、変異タンパク質におけるどの置換が目的の抗体に対する結合を損なうことを決定することによって規定され得る。
【実施例】
【0215】
行われる実験および得られた結果を含む、以下の実施例は、例示目的のみで提供され、本発明を限定するとして解釈されるべきではない。
【0216】
(実施例1:インターロイキン−1レセプターI型(IL−1R1)に対するヒトモノクローナル抗体の生成)
(トランスジェニックHuMabマウス)
IL−1レセプターI型(IL−1R1)に対する完全ヒトモノクローナル抗体を、ヒト抗体遺伝子を発現するトランスジェニックマウスのHCo7系統を使用して調製した。これらのマウス系統の各々において、その内因性マウスκ軽鎖遺伝子を、Chenら(1993,EMBO J.12:811−820)において記載されるように、ホモ接合的に破壊し、その内因性マウス重鎖遺伝子を、国際特許出願公開番号WO01/09187(参考として援用される)の実施例1に記載されるようにホモ接合的に破壊した。これらのマウス系統の各々は、Fishwildら(1996,Nature Biotechnology 14:845−851)に記載されるように、ヒトκ軽鎖導入遺伝子KCo5を保有する。そのHCo7系統は、米国特許第5,545,806号;同第5,625,825号;および同第5,545,807号(参考として援用される)に記載されるように、HCo7ヒト重鎖導入遺伝子を保有する。そのHCo7系統は、HuMabマウスとして本明細書中でいわれる。
【0217】
(HuMab免疫)
IL−1R1に対する完全ヒトモノクローナル抗体を生成するために、HuMabマウスを、抗原として、昆虫細胞または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)に由来する精製組換えIL−1R1で免疫した。HuMabマウスに対する一般的免疫スキームは、Lonbergら(1994,Nature 368:856−859;Fishwildら,前出;および国際特許出願公開番号WO98/24884(これらの各々の技術は、参考として援用される)に記載される。マウスは、最初の抗原の注入の際に、6〜16週齢であった。IL−1R1抗原の精製組換え調製物(25〜50μg)(例えば、IL−1R1を発現する、トランスフェクトした昆虫または哺乳動物細胞から精製される)を、HuMabマウスを腹腔内(IP)でまたは皮下(Sc)に免役するために使用した。
【0218】
HuMabトランスジェニックマウスの免疫を、完全フロイントアジュバント中の抗原および2回の注射、その後、不完全フロイントアジュバント中の抗原での2〜4週間のIP免疫(合計11回までの免疫)を使用して達成した。数十匹のマウスを、各抗原で免役した。HCo7系統の合計149匹のマウスを、IL−1R1で免疫した。その免疫応答を、眼窩採血によってモニターした。
【0219】
IL−1R1に結合する抗体を生成するHuMabマウスを選択するために、免疫したマウスに由来する血清を、Fishwildら,前出によって記載されるように、ELISAによって試験した。簡潔には、マイクロタイタープレートを、PBS中1〜2μg/mLおよび50μL/ウェルで、昆虫または哺乳動物の細胞に由来する精製組換えIL−1R1でコーティングし、4℃で一晩インキュベートし、次いで、200μL/ウェルのPBS/Tween(0.05%)中5% ニワトリ血清でブロックした。IL−1R1免疫マウスに由来する血漿の希釈液を各ウェルに添加し、周囲温度で1〜2時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合体化したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに、室温にて1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合体化したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに室温にて1時間インキュベートした。洗浄後、そのプレートを、ABTS基質(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO,カタログ番号A−1888,0.22mg/mL)で発色させ、415〜495のODで分光光学的に分析した。抗IL−1R1ヒト免疫グロブリンの十分な力価を有するマウスを、以下に記載されるように、モノクローナル抗体を生成するために使用した。
【0220】
(IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマの生成)
マウスを、屠殺の2日前に静脈内に抗原で追加免疫することによりモノクローナル抗体生成のために調製し、脾臓をその後取り出した。そのマウス脾細胞を、そのHuMabマウスから単離し、標準的なプロトコルを使用して、PEGでマウス骨髄腫細胞株に融合した。代表的には、各抗原について20〜30個の融合を行った。
【0221】
簡潔には、免疫マウス由来の脾臓リンパ球の単一細胞懸濁物を、50% PEG(Sigma)を用いて、P3X63−Ag8.653非分泌性マウス骨髄腫細胞(A.T.C.C.登録番号CRL 1580)またはSP2/0非分泌性マウス骨髄腫細胞(A.T.C.C.CRL 1581)の数の4分の一に融合した。細胞を、平底マイクロタイタープレートにおいて、約1×105/ウェルにてプレートし、続いて、高グルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウム+5mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトエタノール、50mg/mL ゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma,カタログ番号CRLP−7185)とともに、10% ウシ胎仔血清、10% P388DI−(A.T.C.C.登録番号CRL TIB−63)馴化培地、DMEM(Mediatech,カタログ番号CRL 10013中の3〜5% オリゲン(origen)(IGEN)を含む選択培地中で約2週間のインキュベーションを行った。1〜2週間後、細胞を、HATをHTで置換した培地中で培養した。
【0222】
得られたハイブリドーマを、抗原特異的抗体の生成のためにスクリーニングした。個々のウェルを、ヒト抗IL−1R1モノクローナルIgG抗体についてELISA(上記)によってスクリーニングした。いったん広範なハイブリドーマ増殖が起こると、培地を、通常、10〜14日後にモニターした。抗体分泌ハイブリドーマを再プレートし、再びスクリーニングし、ヒトIgG、抗IL−1R1モノクローナル抗体についてなお陽性である場合、少なくとも2回、限界希釈によってサブクローニングした。その安定なサブクローンを、次いで、インビトロで培養して、特徴付けのために組織培養培地中に少量の抗体を生成した。
【0223】
(IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体結合の選択)
上記のELISAアッセイを使用して、IL−1R1免疫原と陽性の反応性を示すハイブリドーマについてスクリーニングした。IL1−1R1に対して高結合能で結合するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特徴づけた。親細胞の反応性を(ELISAによって決定した場合に)維持する各ハイブリドーマから1つのクローンを、液体窒素中に保存した5〜10個のウイルス細胞バンクを作製するために選択した。
【0224】
アイソタイプ特異的ELISAを行って、本明細書中に開示されるように生成されたそのモノクローナル抗体のアイソタイプを決定した。これらの実験において、マイクロタイタープレートウェルを、50μL/ウェルの、PBS中の1μg/mLのマウス抗ヒトκ軽鎖の溶液でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。5% ニワトリ血清でブロックした後、そのプレートを、各試験したモノクローナル抗体に由来する上清および精製アイソタイプコントロールと反応させた。プレートを、周囲温度で1〜2時間インキュベートした。次いで、そのウェルを、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4に特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗ヒトポリクローナル抗血清のいずれかと反応させ、プレートを、以下に記載されるように、発色および分析した。
【0225】
ELISAによって検出した場合に、IL−1R1に対する有意な結合を示したハイブリドーマ上清から精製したモノクローナル抗体を、インビトロ結合アッセイ、ヒト軟骨細胞および全血球ベースのアッセイを使用して生物学的活性についてさらに試験した。最も良好な活性を示した抗体を、15C4、26F5、27F2、24E12、および10H7と指定した。これらの抗体を、予備的エピトープソーティング実験に供した。ELISAプレートを、ヒトsIL1−1R1(1+2+3ドメイン)、短縮化ヒトsIL1−1R1(1+2ドメイン)、ラットsIL1−1R1、ヒトsIL−1R II型、およびオボアルブミン(陰性コントロール)でコーティングした。抗体結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗ヒトFc抗体(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)で検出した。その結果を、表2にまとめる。表2におけるチェック印(レ)は、結合について陽性の結果を示す;「X」は、陰性の結果を示す。抗体15C4、26F5、27F2および24E12は、3つの細胞外ドメイン全てを有するIL−1R1タンパク質のみを結合し、このことは、各々についてのエピトープは、第3のドメイン内にあることを示す。抗体10H7は、全長細胞外ドメインIL−1R1およびドメイン1およびやはりドメイン2のみを有する短縮化タンパク質の両方を結合し、このことは、この抗体のエピトープがドメイン1または2のいずれかの内部にあることを実証した。試験した抗体のいずれも、ヒトII型レセプターまたはラットIL−1R1との交叉反応性を有する。
【0226】
【表2】
(実施例2:抗IL−1R1抗体によるIL−1レセプターI型複合体形成のインビトロ阻害)
その抗体がIL−1シグナル伝達に必要とされる細胞外結合事象を阻害する能力を、組換えタンパク質を用いてインビトロで、IL−1Rに対するIL−1結合が、IL−1RAcPに対する高親和性結合部位の形成を生じるアッセイにおいて、評価した。IL−1結合IL−1Rに対するIL−1RAcPの結合(「複合体形成」といわれる)を、以下のように測定する。組換えタンパク質を、抗体の非存在下(コントロール)または存在下で、マイクロタイタープレート中で結合アッセイにおいてインキュベートした。IC50値を、コントロール値と、10fM〜1μMの間の濃度の抗体の存在下で得られた値との比較から得た。簡潔には、そのアッセイを、以下のように行った。ビオチン化IL−1R1およびストレプトアビジンコーティングビーズ(Dynal,Dynabeads M−28)を、マイクロタイタープレートに分配した。次いで、抗体を、広範な濃度範囲を網羅する連続希釈において、適切なウェルに添加した。IL−1βまたはIL−1αを、1nMの濃度で添加し、ルテニウムで標識したIL1RAcP(IGENプロトコルに従ってNHS−Tag(IGEN)で調製した)を、最終濃度5nMで添加した。1時間室温でインキュベートした後に、結合反応を、ORIGENTM1.5またはM8機器(IGEN International Inc.)のいずれかで分析した。IL−1結合IL−1R1に対するIL−1RAcP結合を、そのIL−1R1結合ビーズと関連づけられた電気化学発光シグナルを検出することにより決定した。IL−1またはIL−1RAcP結合のいずれかの抗体競合から得られたシグナルの減少は、最大結合についてのECLシグナル(競合なし)のパーセンテージとして計算した。
【0227】
これらの結合アッセイにおける各抗体の阻害応答曲線を確立し、IC50を、PRISMTMソフトウェアを用いて得た。IL−1β誘導性結合事象の阻害の結果を、図12においてグラフに示す。その複合体形成の阻害についてのIC50値を、以下の表3に示す。抗体15C4、26F5、27F2、および24E12は、複合体形成を強く阻害する。これらの抗体は、上記のように、全て、IL−1R1の第3のドメイン結合因子である。抗体10H7は、第3のドメインを欠くIL−1Rの構築物に結合する抗体のクラスに属する。10H7は、第3のドメイン結合因子よりも、IL−1RAcPのIL−1により引き起こされる結合のあまり強力でないインヒビターである。本発明の抗体による複合体形成阻害を、IL−1raによる阻害と比較した。第3ドメインの結合因子は、IL−1raとの比較によって、複合体形成を阻害する類似のまたはわずかに大きな能力を実証した。
【0228】
図13は、抗体15C4がIL1−1R1/IL−1a/RAcP複合体形成を阻害する能力を示す。IL1−1R1/IL−1a/RAcP複合体形成についてのそのIC50は、43pMであった。
【0229】
【表3】
(実施例3:抗IL1−1R1抗体は、レセプターに対するIL−1βおよびIL−1raの結合を阻害する)
抗IL−1R1抗体が、IL−1R1に対するIL−1βまたはIL−1raいずれかの結合を阻害する能力を、組換えタンパク質を用いてアッセイにおいて評価した。その反応混合物は、0.1mg/mL Dynabeads M−280 ストレプトアビジン(Dynal)および1nM ビオチン化IL−1R1を含んだ。抗体を、320nM〜0.3nMの濃度で添加した。ルテニウムタグ化IL−1β(5nM)またはIL−1ra(1nM)の添加により、結合が開始され、室温で1時間進められた。その反応混合物を、ORIGENTM1.5またはM8機器(IGEN International Inc.)を用いて、上記のように測定した。競合を、最大結合についてのECLシグナル(競合なし)のパーセンテージとして計算した。抗体15C4、26F5、 および27F2(最も強力な抗体)は、レセプターへのリガンド(IL−1β)結合をブロックするが、IgGコントロールと比較して、IL−1raの結合を有意に妨害しない。対照的に、抗体24E12は、レセプターを結合するが、レセプターに対するIL−1βまたはIL−1raの結合をブロックしない。従って、抗体24E12は、15C4、26F5、および27F2によって示されるクラスとは異なる第3ドメイン結合因子の独特のクラスを示す。抗体10H7は、IL−1βおよびIL−1raの両方がレセプターへ結合することから阻害する。その結果を、図14にまとめる。
【0230】
(実施例4:軟骨細胞アッセイおよびヒト全血アッセイ)
初代ヒト軟骨細胞(Cell ApplicationsInc.,San Diego,CA)を、1% FBSおよび1% Pen Strep(GIBCO)を含有するDMEM培地中、10,000細胞/ウェルの密度にて96ウェルプレートに播種した。細胞を回収し、一晩後に、10nM〜0.1pMの範囲の濃度において抗IL1−RI抗体を20分間添加した。IL−1βを、1pM(ほぼEC50)の濃度まで添加し、培養上清を、37℃で16時間後に回収した。上清中のIL−6レベルを、製造業者の説明書に従って、ELISA(Pierce−Endogen,Rockford,IL,カタログ番号EH2IL−65)を使用して測定した。細胞ベースのアッセイにおける本発明の各抗体についてのその阻害応答曲線を確立し、IC50値を、PRISMTMソフトウェアを用いて得た。抗体15C4、26F5、および27F2は、IL−1raと比較して、IL−1シグナル伝達の強力なインヒビターである(図15A)。抗体24E12および10H7は、15C4および27F2よりも顕著にあまり強力でない(図15B)。IL−1β誘導性IL−6生成ヒト軟骨細胞の阻害についてのそのIC50値を、表4Aおよび4Bに示す(それぞれ、図15Aおよび15Bに対応する)。
【0231】
抗IL1−1R1モノクローナル抗体15C4、26F5、および27F2を、健康なヒトボランティアからヘパリンナトリウムバキュテイナー中に収集されたヒト全血とともに、40〜60分間予めインキュベートした。そのアッセイを、以下のように行った:100μLの新たに単離された血液を、96ウェルプレートのウェルに等分に分けた。50μLの抗体を、10% ヒトAB血清を含むRPMI培地中に添加した。IL−1βを、次いで、30pMの濃度(EC50)で添加した。培養上清を18時間後に採取し、上清中のIL−6レベルを、ELISAを使用して測定した。コントロールとして、IL−1raを、全血とともに40〜60分間予備インキュベートし、IL−6生成を、上記のように測定した。3つの抗IL−1R1抗体は、IL−1raの能力に匹敵する能力でIL−1活性をブロックした(図16)。ヒト全血におけるIL−1誘導性IL−6生成の阻害についてのそのIC50値を、表5に示す。
【0232】
【表4A】
【0233】
【表4B】
【0234】
【表5】
(実施例5:変異誘発およびエピトープマッピング)
IL1−1R1の部位指向性変異誘発(Altered Sites(登録商標) In Vitro Mutagenesis System,Promega,Madison WI)を使用して、ラットアミノ酸残基が対応するヒト配列で置換されている変異タンパク質(「ムテイン」)のパネルを調製した。15個の異なる変異プラスミドを構築した(図17における番号付けした棒を参照のこと)。これらの置換タンパク質および親IL1−1R1をコードするプラスミドを、CHO細胞において一過性にトランスフェクトした。モックトランスフェクトを、陰性コントロールとして生成した。これらの細胞からの馴化培地(CM)を、Centriprep 10濃縮カラム(Amicon)を使用して約20倍に濃縮した。そのムテインの発現を、SDS− PAGEおよびウェスタンブロッティングにより評価した。13個のムテインタンパク質を、抗体結合の確立を可能にするレベルで発現させた。そのタンパク質をゲルにロードし、電気泳動し、膜に転写した。その膜を、PBS、0.1% Tween−20中の1% ミルクでブロックし、次いで、PBS、0.1% Tween−20中の0.5μg/mLの抗IL−1R抗体15C4、27F2、または24E12とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、膜を、ヤギ抗ヒトIgG−Fc−HRPとともにインキュベートした。シグナルを、化学発光(ECL)基質(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)を使用して検出した。抗体結合に重要なヒト特異的配列を、ラット配列で置換した場合に、ECLシグナルを減少または除去した配列として同定した。変異体1、2、4および10の15C4認識は、24E12と比較した場合に損なわれた(図18、上パネル)。同様に、変異体1、2および4に対する27F2結合が損なわれた(図18、中央パネル)。24E12は、変異体12、13、14および15に対する有意な結合を有さなかった(図18、下パネル)。
【0235】
ヒト抗IL−1R1抗体の単離および特徴付けによって、競合抗体の異なる3つのクラスが同定された(図19)。IL−1生物学的活性の最も強いインヒビターは、細胞ベースのバイオアッセイによって実証した場合、IL−1R1の第3のドメインに結合し、IL−1−β結合を防止する抗体であった。第3のドメインの変異タンパク質のパネルを使用するエピトープマッピング実験は、このクラスの抗体(15C4、27F2および26F5を含む)は、重複するが、同一でない、立体配座エピトープを共有することを実証した。図20および21は、IL−1ra結合IL−1レセプターのリボン図IL−1レセプターの第3のドメイン上の15C4エピトープの位置を示す(Schreuderら,1997,Nature 386:194−200)。最も強力なクラスの抗体の結合を規定するそのIL−1レセプター残基は、灰色で示される。これらの抗体は、優れた効力を示し、従って、これらのエピトープは、優れたクラスの抗体についての結合エピトープを規定する。その15C4および27F2の結合部位は、上記のIL−1R1内の15個の異なる部位の変異分析によって決定される場合、重複しているが、同一ではない。その部位は、そのタンパク質配列の上に番号付けされた棒として図17において示される。相互作用の重要な部位は、部位1(LSDIA;配列番号41)、部位2(VIDE;配列番号42)、部位4(YSV)および部位10(TCFA;配列番号43)における変異内であるようである。15C4および27F2の結合部位は、部位1および部位2内に含まれる。なぜなら、いずれかの部位におけるヒト残基の代わりにラット残基で置換することにより、結合が破壊されるからである。27F2は、部位4における変化が、その結合を完全に破壊するのに対して、15C4結合は、減少するものの完全には除去されないという点で、15C4とは異なる。変異10はまた、15C4結合を減少させるが、27F2は、この部位との明らかな相互作用を有さない。結晶構造の試験により、これらの残基が、結合したリガンドによって占有される空間に向かって配向される第3のドメインの面を規定することが明らかになる(図20および21)(Vigersら,1997,Nature 386:190−194)。
【0236】
同定された抗体の第2のクラスは、10H7によって代表され、結合のために第3のドメインを必要とせず、好ましいクラスとは異なり、IL−1ra結合を阻害する。このクラスは、バイオアッセイにおいて活性であるが、好ましいクラスよりは強力でない。
【0237】
好ましいクラスの抗体を用いたIL−1バイオアッセイの強力な阻害とは対照的に、24E12は、バイオアッセイにおいて有効でないインヒビターである。抗体24E12は、IL−1RAcPとIL−1結合IL−1Rとの結合を阻害する。このクラスの抗体のエピトープは、変異体12、13、14および15によって規定され、IL−1R1の膜貫通ドメインの近くにあり、IL−1またはIL−1raのいずれの結合にも直接的には関与しない領域中にある(図22)。
【0238】
(実施例6:抗IL−1R1抗体の重鎖および軽鎖のクローニング)
(抗IL−1R1 15C4 MAb軽鎖のクローニング)
αIL1−1R1結合モノクローナル抗体を発現する3つのハイブリドーマ(15C4、27F2、および26F5)の軽鎖を、哺乳動物細胞発現ベクターpDSRα19(国際出願公開番号WO90/14363(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される))にクローニングした。15C4κ軽鎖をコードするプラスミドの構築を、本明細書中に明らかに記載する;他の軽鎖種のクローニングを、同様の手順を用いて行った。そのαIL1−1R1κ軽鎖可変領域を、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)を用いて調製したαIL1−1R1ハイブリドーマ15C4総RNAから調製した、第1鎖cDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅法を使用して得た。その第1鎖cDNAを、伸長アダプタを有するランダムプライマー(5’−GGC CGG ATA GGC CTC CAN NNNNNT−3’;配列番号44)を使用して合成し、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)を、GeneRacerTM Kit(Invitrogen)を用いて行った。完全軽鎖については、正方向プライマーは、GeneRacerTM ネスト化プライマー(5’ GGA CAC TGA CAT GGA CTG AAG GAG TA−3’;配列番号45)であり、逆方向プライマーは、5’−GGG GTC AGG CTG GAA CTG AGG−3’(配列番号46)であった。そのRACE生成物を、pCR4−TOPO(Invitrogen)にクローニングし、そのDNA配列を決定した。その15C4κ鎖コンセンサスDNA配列を使用して、全長抗体鎖PCR増幅のためのプライマーを設計した。その5’κPCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列をコードした(5’−CAG CAG AAG CTT CTA GAC CAC CAT GTC GCC ATC ACA ACT CAT TGG G−3’;配列番号47)。その3’プライマーは、カルボキシ末端および終止コドン、ならびにSalI制限部位をコードした(5’−CTT GTC GAC TCA ACA CTC TCC CCT GTT GAA GCT C−3’;配列番号:48)。
【0239】
【化1】
全長αIL1−1R1 15C4κ鎖クローンを、pCR4:15C4κクローンを使用して、5’および3’のαIL1−1R1 15C4κプライマーを用いるPCR増幅により得た。そのPCR反応により、αIL1−1R1 15C4κ鎖の233アミノ酸残基(19アミノ酸κ鎖シグナル配列を含む)をコードする733塩基対生成物を得た。そのPCR生成物を、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagenカタログ番号28104)を用いて精製し、XbaIおよびSalIで切断し、ゲルで単離し、QIAquick Gel Extractionキット(Qiagenカタログ番号28704)を用いて精製した。その完全αIL1−1R1 15C4κ鎖を含むこのPCRフラグメントを、次いで、哺乳動物発現ベクターpDSRα19に連結した。その15C4κ鎖発現クローンを、DNA配列決定して、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じペプチドをコードしていることを確認した。その最終的な発現ベクターであるpDSRα19:15C4κは、5468塩基対であり、表6に記載される7つの機能的領域を含む。
【0240】
【表6】
(pDSR19:hIgG1CHの構築)
pDSRα19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1(rVh/hCh1)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端のラット抗体可変領域PCR生成物、直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG1CH(HindIIIおよびBsmBI末端)に由来するBsmBIおよびSalIフラグメントのSalI切断およびゲル単離により得られるヒトIgG1定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」(参考として援用される)を参照のこと)の3片の連結の結果として構築した。最終的な発現ベクターであるpDSRα19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1(rVh/hCh1)は、6158塩基対であり、表7に記載される7つの機能的領域を含む。
【0241】
【表7】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG1CHを、そのpDSR19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1プラスミドを制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、そのラット可変領域を除去することにより調製し、QIAquick Gel Extractionキットを使用して精製した。1kbpのヒトIgG1定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRa19:hIgG1CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0242】
(抗IL1−RI 15C4 MAb重鎖のクローニング)
αIL1−RI結合モノクローナル抗体、15C4、27F2、および26F5を発現する10個のハイブリドーマについての重鎖を、哺乳動物発現ベクターpDSRα19にクローニングした。この15C4の重鎖をコードするプラスミドの構築を明示的に記載する;他の重鎖種のクローニングを、同様の手順を使用して行った。そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域を、TRIzol(登録商標)試薬を用いて調製したαIL1−RIハイブリドーマ15C4総RNAから調製した第1鎖cDNAからのPCR増幅法を使用して得た。第1鎖cDNAを、伸長アダプタを有するランダムプライマー(5’−GGC CGG ATA GGC CTC CAN NNN NNT−3’;配列番号44)を使用して合成し、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)を、GeneRacerTM Kitを使用して行った。その部分長重鎖について、その正方向プライマーは、GeneRacerTM ネスト化プライマー(5’ GGA CAC TGA CAT GGA CTG AAG GAG TA−3’;配列番号45)であり、逆方向プライマーは、5’−TGA GGA CGC TGA CCA CAC G−3’(配列番号52)であった。そのRACE生成物を、pCR4−TOPOにクローニングし、そのDNA配列を決定した。その15C4重鎖可変領域コンセンサスDNA配列を使用して、重鎖可変領域PCR増幅のためのプライマーを設計した。その5’重鎖PCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列をコードした(5’−CAG CAG AAG CTT CTA GAC CAC CAT GGG GTC AAC CGC CAT CCT CG−3’;配列番号53)。その3’プライマーは、天然に存在するセンス鎖BsmBI部位を含む可変領域のカルボキシ末端をコードした(5’−GTG GAG GCA CTA GAG ACG GTG ACC AGG GTT CC−3’;配列番号54)。
【0243】
【化2】
(抗IL1−RI IgG1 重鎖発現クローンの構築)
その全長αIL1−1R1 15C4重鎖クローンを、5’および3’αIL1−1R1 15C4重鎖プライマーを用いるPCR増幅によってpCR4:15C4重鎖クローンから得た。そのPCR反応により、αIL1−1R1 15C4重鎖可変領域の137アミノ酸残基(19アミノ酸重鎖シグナル配列を含む)をコードする442塩基対の生成物が生成された。そのPCR生成物を、QIAquick PCR Purificationキットを使用して精製し、次いで、XbaIおよびBsmBIで消化し、ゲルで単離し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。完全αIL1−1R1 15C4重鎖可変領域を含むこのフラグメントを、次いで、哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG1CHに連結した。その15C4重鎖IgG1発現クローンをDNA配列決定して、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4IgG1重鎖は、6173塩基対であり、表8に記載される7つの機能的領域を含む。
【0244】
【表8】
(pDSR19:hIgG2CHの構築)
pDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG2(hVh/hCh2)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端化ヒト抗体可変領域PCR生成物、BsmBIおよびSalI末端を有するヒトIgG2定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)PCR生成物、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19の3片連結の結果として構築した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG1(hVh/hCh2)(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」を参照のこと)は、6164塩基対であり、表9に記載される7つの機能的領域を含む。
【0245】
【表9】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG2CHを、そのpDSRl9:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG2プラスミドを、制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、ヒト可変領域を除去することによって調製し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。1kbpのヒトIgG2定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG2CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0246】
(抗IL1−RI IgG2重鎖発現クローンの構築)
そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域フラグメント(上記)を哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG2CHに連結した。その15C4重鎖IgG2発現クローンを、DNA配列決定し、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4 IgG2重鎖は、6161塩基対であり、表10に記載される7つの機能的領域を含む。
【0247】
【表10】
(pDSR19:hIgG4CHの構築)
pDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4(hVh/hCh4)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端化ヒト抗体可変領域PCR生成物、ゲル単離されたBsmBIおよびSalI消化したヒトIgG4定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)フラグメント、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19の3片連結の結果として構築した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4(hVh/hCh4)(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」を参照のこと)は、6167塩基対であり、表11に記載される7つの機能的領域を含む。
【0248】
【表11】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG4CHを、そのpDSRl9:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4プラスミドを、制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、ヒト可変領域を除去することによって調製し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。1kbpのヒトIgG4定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG4CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0249】
(抗IL1−RI IgG4重鎖発現クローンの構築)
そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域フラグメント(上記)を哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG4CHに連結した。その15C4重鎖IgG4発現クローンを、DNA配列決定し、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4 IgG4重鎖は、6164塩基対であり、表12に記載される7つの機能的領域を含む。
【0250】
【表12】
(実施例7:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における抗IL−1R1抗体の発現)
組換え抗IL−1R1抗体を、チャイニーズハムスター卵巣細胞、具体的には、CHO AM−1/D細胞(米国特許第6,210,924号(参考として援用される)に開示される)において生成する。簡潔には、本発明の各抗IL−1R1抗体の完全な重鎖または軽鎖をコードするDNA配列を、発現ベクターにクローニングする。CHO AM−1/D細胞を、完全な重鎖を発現し得る発現ベクターおよび適切な抗IL−1R1抗体の完全な軽鎖を発現する発現ベクターで同時トランスフェクトする。例えば、26F5抗体を生成するために、細胞を、配列番号38に記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号20、配列番号22、または配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含む完全な完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。27F2抗体を生成するために、細胞を、配列番号38において記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号26、配列番号28、または配列番号30において記載されるアミノ酸配列を含む完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。15C4抗体を生成するために、細胞を、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号32、配列番号34、または配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含む完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。表13は、種々のIL−1R1抗体についての完全な重鎖および完全な軽鎖をまとめる。名称「.../IgG_」は、特定の抗体の定常領域の配列を記載する。
【0251】
【表13】
抗IL−1R1抗体の安定な発現を、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損(DHFR−)CHO AM−1/D細胞を、それらの発現ベクターで同時形質転換することによって達成する。トランスフェクションを、標準的な技術(リン酸カルシウム共沈殿)およびDHFR選択を使用して行う。トランスフェクトしたコロニーを単離し、24ウェルプレート中でコンフルエントになるまで増殖させる。トランスフェクト細胞によって生成される抗体を、適切な折りたたみおよび中和活性について試験する。IgG1、IgG2、およびIgG4アイソタイプの適切に折りたたみされた抗IL−1R1抗体を過剰生成するクローンを選択し、抗体を以下に記載されるように精製する。
【0252】
(実施例8:抗IL−1R1抗体の生成)
抗IL1−1R1抗体を、CHO細胞のクローン株における発現により生成する。各生成の実施について、1バイアルからの細胞を、無血清培養培地中に融解する。その細胞を、最初に、Tフラスコ中において増殖させ、20Lバイオリアクターに播種するために十分な接種物が生成されるまで、一連のスピナーフラスコを通して連続的に増殖させる。5〜10日間増殖させた後に、その培養物を、次いで、300Lバイオリアクターに接種するために使用する。さらに5〜10日間増殖させた後、その培養物を、2000Lバイオリアクターに接種するために使用する。生成を、供給バッチ培養を使用して、2000Lバイオリアクター中で行う。このバイオリアクター中、濃縮培地成分を含む栄養供給物を、細胞増殖および細胞生存を維持するために添加する。抗IL1−R1抗体が細胞によって連続的に生成され、細胞培養培地に分泌される期間の間に、生成は、約2週間にわたって持続する。
【0253】
生成リアクターを、設定されたpH、温度、および溶存酸素レベルで制御し:pHを、二酸化炭素ガスおよび炭酸ナトリウム添加により制御し;溶存酸素を、空気、窒素および酸素ガスの通気により制御する。
【0254】
生成の最後に、細胞培養液を、ディスクスタック遠心管に供給し、培養上清を、その細胞から分離する。その濃縮物を、深層濾過(depth filter)、続いて0.2μmフィルターを通してさらに清澄化する。その清澄化した馴化培地を、次いで、接線流限外濾過により濃縮する。その馴化培地を、15倍〜30倍に濃縮する。得られた濃縮馴化培地を、次いで、精製を通じて処理するか、または後日の精製のために凍結するかのいずれかを行う。
【0255】
(実施例9:アビジン融合タンパク質を使用するエピトープマッピング)
アビジン融合タンパク質を生成するために、ニワトリアビジンを(内因性シグナル配列とともに)コードするcDNAを、ヒトもしくはカニクイザルのIL−1RIのその成熟細胞外ドメインをコードするcDNAの5’末端と連結し、FLAG−タグ配列をその3’末端で融合した。そのFLAGタグ化融合遺伝子を、従来の分子技術を使用して、pALTERMAXベクター中に組み立てた。そのアビジン−ヒトIL−1R1融合タンパク質のアミノ酸配列を、図23に示す(配列番号59)。そのアビジン−カニクイザルIL−1R1融合タンパク質のアミノ酸配列を、図24に示す(配列番号60)。ヒトアミノ酸がその対応するカニクイザル残基の代わりに使用されている変異体アビジン−cynoIL−1RI−FLAGタンパク質のパネルを、Altered Sites II Mammalian In Vitro Mutagenesis System(Promega Corp.)を用いて生成した。その変異を、図24に示す。
【0256】
そのアビジン−cynoIL−1R変異体および野生型タンパク質ならびにアビジン−huIL−1RI−FLAGタンパク質をコードするプラスミドを、サイトフェクチントランスフェクション試薬(Bio−Rad Laboratories,Inc.)を使用して、293T細胞に一過性にトランスフェクトした。モックトランスフェクト体を、陰性コントロールとして使用した。これらのタンパク質に結合する抗huIL−1RIモノクローナル抗体(MAb)を、トランスフェクト細胞から採取した馴化培地(CM)を使用するウェスタンブロットおよびビーズベースの結合アッセイによって、評価した。
【0257】
ウェスタンブロット分析のために、CMを非還元SDSサンプル緩衝液中に1:3希釈し、5〜10分間沸騰させ、10% Tris−グリシンゲルにロードした。SDS− PAGEおよびウェスタン転写の後に、その膜を、PBS/0.1% Tween−20(PBST)中の3% BSA/1% オボアルブミンでブロックし、抗huIL−1RI MAbで染色した。PBST中で1:15,000希釈したヤギ抗ヒトIgG−Fc−HRP抗体(Pierce Chemical Co.)を、二次検出のために使用した。抗FLAG検出を、タンパク質ロードを正規化するために使用した。画像捕獲およびデンシトメトリーを、FluorChem 8000デジタル画像化システム(Alpha Innotech Corp.)を用いて行った。その抗huIL−1RI MAbについてのシグナル強度を、その抗FLAG抗体の値に対して正規化して、タンパク質ロードにおける変動を評価する。抗体結合を、そのアビジン−ヒトIL1−1R1−FLAGに対する結合のパーセンテージとして表した。
【0258】
ウェスタンブロットの結果を、図25に示す。図25Bは、二連のセットのウェスタンブロット実験のデンシトメトリー分析を示す。抗体結合に重要なヒト残基は、cynoIL−1RIに置換される場合、シグナルを保存する残基である。一般に、変異1および変異2(図24に例示される)は、単独でまたは組み合わせて、抗体(15C4/IgG2、5B8、1C2、24H2、16E9、26E4および20G1)の多くの結合を保存する一方で、変異10.1および変異10.2は、抗体の結合を保存しない。これらの抗体のいずれも、野生型cynoIL−1RIに結合しないかった。2つの抗体(27F2および19C8)は、その変異タンパク質および野生型cynoIL−1RIの全てに対して一貫して結合した。このことは、ラット/ヒトパラログタンパク質で同定され、カニクイザルIL−1RIにおいて変化しないエピトープ4(残基Y279〜V281のcynoIL−1RI)が、これらの抗体の優性なエピトープであることを示唆した。エピトープ4は、図24に示されるアミノ酸配列において太字で斜体にされ、下線が付される。
【0259】
多重化ビーズベースの結合アッセイにおいて、アビジン融合タンパク質を、CMをビオチンコーティング蛍光ビーズとインキュベートすることによって捕捉した(1タンパク質あたり1つのビーズを設定(Beadlyte Multi−Biotin 10plex Bead Kit;Upstate Biotechnologies))。これらのビーズを洗浄し、PBST中にプールし、96ウェルフィルタ平底プレート(Millipore Corp.)のウェルに等分した。抗体(抗huIL−1RI MAbまたは抗FLAG MAb)を、25μg/mlにて添加し、1時間インキュベートした。そのビーズを再び洗浄し、フィコエリトリン結合体化抗マウスIgG抗体および抗ヒトIgG(Fab’)2の混合物を使用して、抗体結合を検出した。1時間インキュベートした後、そのビーズを洗浄し、PBST中に再懸濁した。平均蛍光強度(MFI)を、Luminex 100(Luminex Corp)を使用して測定した。そのデータを、抗FLAG MAb結合についてのMFI値を使用して正規化して、タンパク質ロードにおける変動を評価した。抗体結合を、そのアビジンhuIL1−1R1−FLAGに対する結合のパーセンテージとして表した(図26)。そのヒト残基で変異させたアビジン−cynoIL1R1−FLAGタンパク質ならびに野生型カニクイザルおよびヒトIL−1R1タンパク質に対する抗IL−1R1抗体の結合パートナーは、図25に示されるイムノブロット分析と一致した。
【0260】
前述の開示は、本発明の特定の具体的実施形態を強調し、かつ本発明に対して等価な全ての改変または変更が、添付の特許請求の範囲に記載される発明の趣旨および範囲内にあることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】図1A〜1Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG1定常領域をコードするcDNA配列(配列番号1)(図1A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG1定常領域のアミノ酸配列(配列番号2)(図1B)を示す。
【図2】図2A〜2Bは、ヒト抗IL−1R1抗体κ鎖定常領域をコードするcDNA配列(配列番号3)(図2A)およびヒト抗IL−1R1抗体κ鎖定常領域のアミノ酸配列(配列番号4)(図2B)を示す。
【図3】図3A〜3Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG2定常領域をコードするcDNA配列(配列番号5)(図3A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG2定常領域のアミノ酸配列(配列番号6)(図3B)を示す。
【図4】図4A〜4Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG4定常領域(配列番号7)をコードするcDNA配列(配列番号7)(図4A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG4定常領域のアミノ酸配列(配列番号8)(図4B)を示す。
【図5】図5A〜5Bは、26F5抗IL−1R1抗体重鎖可変領域(配列番号9)をコードするcDNA配列(図5A)および26F5抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号10)(図5B)を示す。
【図6】図6A〜6Bは、26F5抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号11)(図6A)および26F5抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号12)(図6B)を示す。
【図7】図7A〜7Bは、27F2抗IL−1R1抗体重鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号13)(図7A)および27F2抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号14)(図7B)を示す。
【図8】図8A〜8Bは、15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号15)(図8A)および15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号16)(図8B)を示す。
【図9】図9A〜9Bは、15C4抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域(配列番号17)をコードするcDNA配列(図9A)および15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号18)(図9B)を示す。
【図10】図10は、15C4、27F2、および26F5と称される抗IL−1R1抗体に由来する重鎖のアミノ酸配列アラインメントを示す。その相補性決定領域(CDR)には、下線が付される。26F5についてのCDR1は、配列番号61と称される;27F2については、配列番号62と称される;15C4については、配列番号63と称される。26F5についてのCDR2は、配列番号64と称される;27F2については、配列番号65と称される;15C4については配列番号66と称される。26F5についてのCDR1は、配列番号67と称される;27F2については、配列番号68と称される;15C4については、配列番号69と称される。
【図11】図11は、15C4、27F2、および26F5と称される抗IL−R1−γ抗体に由来する軽鎖のアミノ酸配列アラインメントを示す。26F5/27F2についてのCDR1は、配列番号70と称される;15C4については、配列番号71と称される。26F5/27F2についてのCDR2は、配列番号72と称される;15C4については、配列番号73と称される。26F5/27F2についてのCDR1は、配列番号74と称される;15C4については、配列番号75と称される。
【図12】図12は、IL−1R/IL−1β/IL−1RAcP複合体形成に対する抗IL−1R1抗体の阻害効果を示すグラフである。
【図13】図13は、IL−1R/IL−1α/IL−1RacP複合体形成に対する本明細書中に記載され、15C4と称される抗IL−1R1モノクローナル抗体の阻害効果を示すグラフである。
【図14】図14は、IgGコントロールと比較して、抗IL−1R1抗体がIL−1β結合をブロックするが、IL−1raの結合を有意には妨害しない能力を示すグラフである。
【図15】図15Aは、IL−1raと比較して、本明細書中で同定され、15C4、26F5、および27F2と称される抗IL−1R1抗体による、初代ヒト軟骨細胞におけるIL−6生成の阻害を示すグラフである。図15Bは、10H7および24E12によって示されるモノクローナル抗体のクラスと比較して、IL−1raならびにモノクローナル抗体15C4および27F2による、初代ヒト軟骨細胞におけるIL−6生成の阻害を示すグラフである。
【図16】図16は、IL−1raと比較した、15C4、26F5、および27F2と称される抗IL−1R1モノクローナル抗体により結合されたヒト全血におけるIL−6の生成の阻害を示すグラフである。
【図17】図17は、IL−1R1配列の第3のドメインのヒトのアミノ酸(配列番号76)およびヌクレオチド(配列番号77)およびラットのヌクレオチド(配列番号78)およびアミノ酸(配列番号79)を示す。ヒト配列の上の番号付けした棒は、15の異なる部位が、その15の異なる変異したタンパク質へと構築されるために変異されたことを示す。変異によって導入されたこのラットの残基は、ラットの核酸配列の下に列挙される。
【図18】図18は、IL−1R1変異体の抗IL−1R1モノクローナル抗体認識を示すウェスタンブロット分析を示す。
【図19】図19は、(I)IL−1R1へのIL−1βの結合で開始するIL−1シグナル伝達経路の活性化、およびIL−1RacPの補充(recruitment)、ならびに3つのクラスの抗IL−1R1抗体:(II)第3ドメインエピトープIL−1ブロッカー、(III)第3のドメインエピトープRAcPブロッカー、ならびに(IV)第1/第2のドメインエピトープIL−1ブロッカーを示す図である。
【図20】図20は、本明細書中に記載されるような変異10を有する15C4および27F2の結晶構造を示す。その灰色の残基は、15C4エピトープおよび27F2エピトープを示す。
【図21】図21は、細胞外IL−1R1の第3のドメインにおける15C4エピトープを示す。
【図22】図22は、細胞外IL−1R1の第3のドメインにおける24E12エピトープを示す。
【図23】図23は、本発明のアビジン−ヒトIL−1R1−FLAGキメラタンパク質のアミノ酸配列(配列番号59)を示す。
【図24】図24は、アビジン−カニクイザルIL−1R1−FLAGキメラタンパク質のアミノ酸配列(配列番号60)を示す。組換えニワトリアビジン(斜体にされている)は、6アミノ酸リンカーにより、カニクイザルIL−1R1の成熟細胞外ドメイン(下線が付され、C末端FLAGタグは、太字である)に結合される。単独または組み合わせて、カニクイザル配列に導入した、ヒトIL−1R1に由来する4つのアミノ酸を、カニクイザル配列の下に太字で示す。エピトープ4は、太字で斜体にされ、かつ下線が付されている。
【図25A】図25Aは、IL1−1R1に結合する抗ヒトIL1−R1抗体(抗huIL1−R1)のウェスタンブロット分析を示す。*は、抗体を5μg/mLで使用したのに対して、残りの抗体においては、1μg/mLで使用したことを示す。
【図25B】図25Bは、ウェスタンブロット実験の二連のセットのデンシトメトリー分析のまとめを示す。
【図26】図26は、多重化ビーズベースの結合アッセイにおけるアビジンIL−1R1−FLAGタンパク質に対する抗huIL1R1抗体の結合を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年9月6日に出願の米国仮特許出願第60/408,719号(その開示は、本明細書中に参考として援用される)に関し、その優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)タンパク質に結合する抗体に関する。IL−1媒介性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、および他の炎症性状態)を処置するための組成物(特に薬学的組成物)および方法もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
(抗体開発)
炎症は、医学的損傷、感染、または抗原性刺激から生じる損傷に対する身体の応答である。炎症性反応は、しばしば、病理学的に発現される。このような状態は、その炎症が、悪化した様式で発現される場合、不適切に刺激される場合、または損傷因子が除去された後に持続する場合に生じる。
【0004】
その炎症性応答は、特に、サイトカインによって媒介される。最も強力な炎症性サイトカインのうちの1つは、以前から発見されているインターロイキン−1(IL−1)である。IL−1シグナル伝達の増大は、いくつかの疾患と関連する持続性の炎症を引き起こし、IL−1は、多くの疾患および医学的状態において、重要なメディエーターであると考えられる。このサイトカインは、マクロファージ/単球系統の細胞によって主に(網羅的ではないにしても)製造され、2つの形態(IL−1アルファ(IL−1α)およびIL−1ベータ(IL−1β))において生成され得る。
【0005】
IL−1は、2つの膜貫通タンパク質(IL−1レセプター1型I(IL−1R1)およびIL−1レセプターアクセサリタンパク質(IL−1RAcP))から構成されるヘテロダイマーレセプター複合体と相互作用することによって細胞応答を刺激する。IL−1は、まず、IL−1R1に結合し;IL−1RAcPは、次いで、この複合体に補充され(Greenfederら,1995,J.Biol.Chem.270:13757−13765;YoonおよびDinarello,1998,J.Immunology 160:3170−3179;Cullinanら,1998,J.Immunology 161:5614−5620)、続いて、シグナル伝達され、細胞応答の誘導を生じる。
【0006】
細胞ベースの結合研究は、IL−1RAcPが、そのIL−1Rシグナル伝達複合体を、リガンドのオフ速度を遅らせることによって安定化することを示唆する(Wescheら,1998,FEBS Letters 429:303−306)。IL−1とIL−1Rとの相互作用は、徹底的に特徴付けられているので、IL−1RAcPとリガンド結合レセプターとの相互作用は、あまり規定されていないままである。IL−1RAcPは、IL−1単独、IL−1R1単独のいずれに対しても有意な親和性を有さないが、複合体に対しては高い親和性を有し、IL−1RAcPについての新規な結合部位が理解する。IL−1残基からの寄与もなお含み得る、そのIL−1/IL−1R結合事象によって作り出されることを理解する(Ettorreら,1997,Eur.Cytokihe Netw.8:161−171)。別の分子である、IL−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、IL−1αおよびIL−1βと、レセプター結合について競合するが、IL−1RAcPを補充できず、よって、レセプターは占有されるが、シグナル伝達レセプターは生じない。IL−1活性は、さらに、IL−1R II型(リガンドに結合するが、短縮化された細胞内ドメインに起因してシグナル伝達に関与しないデコイレセプター)によって釣り合わせられ得る。IL−1raおよびIL−1R II型は、IL−1媒介性炎症性事象の重篤度および持続時間を減少するように作用する(Wescheら,1998,FEBS Letters 429:303−306;Drippsら,1991,J.Biol.Chem.266:10331−10336;Drippsら,1991,J.Biol.Chem.266:20331−20335)。
【0007】
インターロイキン−1インヒビターは、多くの機構から生じ得る、IL−1に対する細胞応答の活性化を特異的に防止し得る任意のタンパク質から生成され得る。このような機構としては、IL−1生成のダウンレギュレーション、遊離IL−1結合、IL−1RへのIL−1結合の妨害、IL−1R−IL−1RAcP複合体の形成の妨害、またはそのレセプターへ結合した後のIL−1シグナル伝達の調節の妨害が挙げられる。IL−1インヒビターのクラスは、以下を包含する:
・インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト(例えば、本明細書中で記載されるようなIL−1ra);
・抗−IL−1Rモノクローナル抗体(例えば、公開された欧州特許出願EP623674に開示され、この開示は、本明細書中に参考として援用される);
・IL−1結合タンパク質(例えば、可溶性IL−1レセプター(例えば、米国特許第号5,492,888号;同第5,488,032号;同第5,464,937号;同第5,319,071号;および同第5,180,812号に開示され;これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・抗IL−1モノクローナル抗体(例えば、国際特許出願公開番号WO9501997、WO9402627、WO9006371、米国特許第4,935,343号、EP 364778号、EP 267611号およびEP 220063号に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・IL−1レセプターアクセサリタンパク質およびこのタンパク質に対する抗体(例えば、国際特許出願公開番号WO96/23067およびWO99/37773に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);および
・IL−1β生成および分泌を阻害するために使用され得る、インターロイキン−1β変換酵素(ICE)またはカスパーゼIインヒビター(例えば、国際特許出願公開番号WO99/46248、WO99/47545、およびWO99/47154に開示され、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される);
・インターロイキン−1βプロテアーゼインヒビター;ならびに
・IL−1のインビトロ合成または細胞外放出をブロックする他の化合物およびタンパク質。
【0008】
例示的なIL−1インヒビターは、以下の参考文献に開示される:
【0009】
【数1】
欧州特許出願公開番号EP534978号および同第EP89479;ならびにフランス特許出願番号FR2762514。前述の参考文献の全ての開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0010】
インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト(IL−1ra)は、インターロイキン−1の天然のインヒビターとして作用し、IL−1ファミリー(これは、IL−1aおよびIL−1βを包含する)のメンバーであるヒトタンパク質である。好ましいレセプターアンタゴニスト(IL−1raならびにその改変体および誘導体を含む)、ならびにその作製方法および使用方法は、以下に記載される:
【0011】
【数2】
これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。そのタンパク質は、グリコシル化形態および非グリコシル化形態のIL−1レセプターアンタゴニストを包含する。
【0012】
具体的には、3つの有用な形態のIL−1raおよびその改変体が開示され、米国特許第5,075,222号 (「’222特許」)に記載される。IL−1raαは、SDS−PAGEにより、約4.8の等電点を有し、Mono Q FPLCカラムから、Tris緩衝液(pH7.6)中の約52mM NaClで溶出する、22〜23kD分子として特徴付けられる。IL−1raβは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する、22〜23kDタンパク質として特徴付けられる。IL−1raαおよびIL−1raβはともに、グリコシル化されている。IL−1raxは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する20kDタンパク質として特徴付けられ、グリコシル化されていない。その’222特許はまた、そのインヒビターをコードすることを担う遺伝子を単離し、その遺伝子を適切なベクターおよび細胞型にクローニングし、その遺伝子を発現させて、そのインヒビターを生成するための方法を開示する。有効であれば、IL−1raは、比較的短い半減期を有する。現在の使用法において、IL−1raは、1日に1回投与される。従って、当該分野は、かなり長い半減期を有するIL−1レセプターのアゴニストにより利益を得る。
【0013】
IL−1がIL−1レセプターに結合することを阻害することによってIL−1シグナル伝達を防止することは、IL−1媒介性疾患を処置するための魅力的な治療的アプローチである。IL−1媒介性疾患の影響を改善し得、ヒト患者への送達に適した、IL−1シグナル伝達経路の臨床上有効なインヒビターが当該分野で必要である。IL−1シグナル伝達をブロックするヒト抗体は、この必要性を満たすにあたって特に有利であり、現在利用可能な治療より長い半減期を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、インターロイキン−1レセプターI型(IL−1R1)に結合するモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、その抗体は、IL−1R1に対するIL−1βおよびIL−1α結合と競合することによってIL−1シグナル伝達を阻害する。また、本発明によって提供されるのは、本発明のモノクローナル抗体を生成し、最も好ましくは、細胞培養培地に分泌するハイブリドーマ細胞株である。本発明の抗体は、ヒト細胞におけるIL−1シグナル伝達を首尾良くブロックし、それによって、IL−1媒介性疾患を有する患者を処置することにおいて有用である。本発明はさらに、抗体Fc領域の配列ならびに配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、および配列番号40からなる群より選択される1つ以上の配列を含む融合タンパク質を提供する。このような分子は、例えば、WO00/24782(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような方法を使用して調製され得る。このような分子は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)または細菌細胞(例えば、E.coli細胞)において発現される。
【0015】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む、抗体(好ましくは、モノクローナル抗体、最も好ましくはヒト抗体)またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでこの重鎖は、配列番号2、配列番号6、または配列番号8のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む、抗体(好ましくはモノクローナル抗体、最も好ましくはヒト抗体)、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでこの軽鎖は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
特定の局面において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、重鎖および軽鎖を含み、ここでその重鎖の可変領域は、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む。他の局面において、その軽鎖可変領域は、配列番号12または配列番号18のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。さらなる局面において、その重鎖は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、または配列番号36のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合部位もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。なおさらなる実施形態において、その軽鎖は、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。このような抗体の鎖は、IL−1R1に特異的に結合する抗体を調製するにあたって、また得られた分子が、IL−1R1および/もしくは別の標的分子(例えば、TNFもしくはTNFレセプター)に対する二重特異的抗体の調製にあたって有用である。
【0018】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供し、ここでその重鎖は、配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0019】
特定の局面において、本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、少なくとも配列番号10に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0020】
本発明は、IL−1R1に特異的に結合する抗体をさらに提供し、ここでその重鎖は、配列番号14に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、そしてその軽鎖は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0021】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、配列番号14に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号12に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0022】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号16に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、そしてその軽鎖は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0023】
特定の局面において、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、ここでその重鎖は、第1の可変領域を含み、その第1の可変領域は、配列番号16に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有する配列を含み、そしてここでその軽鎖は、第2の可変領域を含み、その第2の可変領域は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、そしてその抗体は、IL−1R1と相互作用する。
【0024】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、または配列番号30に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号38に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0025】
本発明はさらに、IL−1R1に特異的に結合する抗体を提供し、ここでその重鎖は、配列番号32、配列番号34、または配列番号36に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、その軽鎖は、配列番号40に記載されるアミノ酸配列、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む。
【0026】
本発明はまた、単鎖抗体、単鎖Fv抗体、Fab抗体、Fab’抗体および(Fab’)2抗体である前述の全ての実施形態を提供する。
【0027】
特定の局面において、本発明は、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供する。
【0028】
さらに、本発明は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載されるアミノ酸配列を含む重鎖、またはその抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを提供する。
【0029】
本発明はまた、IL−1R1に特異的に結合する単離されたヒト抗体に関し、ここでその抗体は、(a)ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、およびヒト重鎖CDR3領域;ならびに(b)ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、およびヒト軽鎖CDR3領域、を含む。特定の局面において、そのヒト重鎖CDR1領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR1領域であり得、そのヒト軽鎖CDR1領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR1領域であり得る。他の局面において、そのヒト重鎖CDR2領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR2領域であり得、そのヒト軽鎖CDR2領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR2領域であり得る。なお他の局面において、そのヒト重鎖CDR3領域は、図10に示される、26F5、27F2、または15C4の重鎖CDR3領域であり得、そのヒト軽鎖CDR3領域は、図11に示される、26F5、27F2、または15C4の軽鎖CDR3領域であり得る。
【0030】
さらに、本発明は、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)に特異的に結合する単離されたヒト抗体を提供し、この抗体は、ヒト重鎖CDR1領域(ここでその重鎖CDR1は、配列番号61、配列番号62、または配列番号63のアミノ酸配列を有する);ヒト重鎖CDR2領域(ここでその重鎖CDR2は、配列番号64、配列番号65、または配列番号66のアミノ酸配列を有する);および/またはヒト重鎖CDR3領域(ここでその重鎖CDR3は、配列番号67、配列番号68、または配列番号69のアミノ酸配列を有する)を含む。
【0031】
本発明はまた、インターロイキン−1レセプター1型(IL−1R1)に特異的に結合する単離されたヒト抗体を提供し、この抗体は、ヒト軽鎖軽鎖CDR1領域(ここでその軽鎖CDR1は、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有する);ヒト重鎖CDR2領域(ここでその重鎖CDR2は、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有する);および/またはヒト重鎖CDR3領域(ここでその重鎖CDR3は、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有する)を含む。
【0032】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、図17に示されるIL−1R1の第3のドメインに結合する。好ましくは、本発明の抗体に対するエピトープは、アミノ酸配列YSVからなり、このアミノ酸配列は、本明細書中ではエピトープ4といわれ、図24に示される。本発明はさらに、エピトープ4に結合し得る融合タンパク質および他の分子(前述の抗体とともに、まとめて本明細書中で「特異的結合パートナー」といわれる)に関し、例えば、WO00/24782(本明細書中に参考として援用される)に記載されるような方法を用いて調製され得る。このような分子は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)または細菌細胞(例えば、E.coli細胞)において発現され得る。
【0033】
さらに、本発明は、選択された抗原のエピトープマッピングを提供する。一局面において、この方法は、以下の工程を包含する:(a)融合タンパク質のセットを生成する工程であって、各融合タンパク質は、(i)アビジンおよび(ii)抗原のフラグメントを含む、工程;(b)その融合タンパク質のセットを、その抗原に対する1つ以上の特異的結合パートナーに対する結合についてスクリーニングする工程;(c)ビオチンを含む媒体上で、それにより、そのアビジンがビオチンに結合し、その融合タンパク質を単離する工程;および(d)その特異的結合パートナーが結合したその融合タンパク質を分析して、その特異的結合パートナーに対する抗原上の結合部位を決定する工程。特定の局面において、その特異的結合パートナーは、抗体である。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、IL−1媒介性疾患、状態または障害を処置するための方法を提供し、この方法は、薬学的有効量の、1つまたは複数の本発明のモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを、それが必要な個体に投与する工程を包含する。
【0035】
本発明はまた、生物学的サンプル中のIL−1R1のレベルを検出するための方法を提供し、この方法は、そのサンプルと、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとを接触させる工程を包含する。本発明の抗IL−1R抗体は、IL−1Rの検出および定量についての任意の公知のアッセイ方法(例えば、競合結合アッセイ、直接的および間接的なサンドイッチアッセイ、免疫沈降アッセイ、および酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA))において使用され得る(Sola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158,CRC Press,Inc.を参照のこと)。その抗体は、使用されるアッセイ方法に適した親和性を有するIL−1Rを結合し得る。
【0036】
本発明の特定の好ましい実施形態は、以下の特定の好ましい実施形態の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0037】
(特定の好ましい実施形態の詳細な説明)
本明細書中で使用される節の標題は、体系化を目的とするのみであり、記載される主題を限定すると解釈されるべきではない。本出願に引用される全ての参考文献は、明示的に、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される。
【0038】
(定義)
疾患または医学的状態は、天然に存在するかまたは実験的に誘導された疾患もしくは医学的状態が、体液または組織中のIL−1のレベルの上昇と関連する場合、あるいは身体から採取された細胞または組織が、培養においてIL−1のレベルの上昇を生じる場合、「インターロイキン−1(IL−1)媒介性疾患」とみなされる。IL−1の上昇したレベルとしては、例えば、特定の細胞もしくは組織において通常見出されるレベルを超えるレベルが挙げられ得るか、あるいはIL−1を通常発現しない細胞もしくは組織においてIL−1が任意の検出可能なレベルにあり得る。多くの場合、IL−1媒介性疾患はまた、以下のさらなる2つの条件によって認識される:(1)その疾患または医学的状態と関連する病理学的知見が、IL−1の投与またはIL−1の発現のアップレギュレーションによって、動物において実験的に模倣され得ること;および(2)その疾患または医学的状態の実験動物モデルにおいて誘導された病理が、IL−1の作用を阻害する薬剤での処置によって阻害され得るかまたは終わらせられ得ること。大部分のIL−1媒介性疾患において、3つの条件のうちの少なくとも2つが満たされ、そして多くのIL−1媒介性疾患において、3つの条件全てが満たされる。
【0039】
急性IL−1媒介性疾患および慢性IL−1媒介性疾患の非網羅的な列挙としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:急性膵炎;筋萎縮性側索硬化症(amyelolateroschlerosis)(ALS);アルツハイマー病;悪液質/食欲不振(AIDS誘導性悪液質を含む);喘息および他の肺性疾患;アテローム硬化症;自己免疫脈管炎;慢性疲労症候群;Clostridium関連疾患(Clostridium関連下痢を含む);冠状血管の状態および適応症(うっ血性心不全、冠状血管の再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(myocardial dysfunction)(例えば、敗血症に関連する)、および冠状動脈バイパス移植片を含む);癌(例えば、多発性骨髄腫および骨髄性白血病(例えば、AMLまたはCML)および他の白血病、ならびに腫瘍転移;糖尿病(例えば、インスリン依存性糖尿病);子宮内膜症;熱;筋肉痛(fibromyalgia);糸球体腎炎;対宿主性移植片病/移植拒絶;出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;関節の炎症状態(変形性関節炎、乾癬性関節炎および慢性関節リウマチを含む);炎症性眼疾患(例えば、角膜移植と関連し得るような);虚血(例えば、大脳虚血(外傷の結果としての脳傷害、癲癇、出血または発作を含む(その各々は、神経変性をもたらし得る));川崎病;学習障害;肺疾患(例えば、ARDS);多発性硬化症;ミオパシー(例えば、筋タンパク質代謝(特に、敗血症において));神経毒性(例えば、HIVによって誘導される);骨粗鬆症;疼痛(癌関連疼痛が挙げられる);パーキンソン病;歯周病;早産;乾癬;再灌流傷害;敗血性ショック;放射線療法に由来する副作用;一次的な下顎関節疾患;睡眠障害;ブドウ膜炎;または捻挫(strain)、捻挫(sprain)、軟骨損傷、外傷、整形外科的手術、感染もしくは他の疾患プロセスから生じる炎症状態。これらの急性IL−1媒介性疾患および慢性IL−1媒介性疾患、ならびに他のIL−1媒介性状態および疾患を処置するための本発明の方法は、本明細書中以下に記載される。
【0040】
従来の技術は、組換えDNAを調製し、オリゴヌクレオチド合成を行い、組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクションまたはリポフェクション)を実施するために使用され得る。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様説明書に従って、または当該分野で達成されるかもしくは本明細書中に記載されるように行われうる。これらの前述の技術および手順は、一般に、当該分野で周知の、本明細書全体を通して引用されかつ議論される種々の一般的かつより具体的な参考文献に記載されるような従来の方法に従って行われ得る。例えば、Sambrookら,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。具体的な定義が提供されなければ、分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学と関連して使用される名称、および本明細書中に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学の実験手順および実験技術は、当該分野で周知かつ一般的に使用される。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、処方、および送達のために、ならびに患者の処置のために使用され得る。
【0041】
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、別段示されない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0042】
用語「単離されたポリヌクレオチド」とは、本発明のポリヌクレオチドが、(1)本発明のポリヌクレオチドと天然で連結している他のポリヌクレオチドの全てまたは一部に(共有結合的にも非共有結合的にも)連結していない、(2)天然では連結しない分子と連結している、または(3)いかなる他のポリヌクレオチドとも連結して、天然には存在しないことを意味する。このような単離されたポリヌクレオチドは、合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAまたはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0043】
本明細書中で言及される用語「単離されたタンパク質」とは、本発明のタンパク質は、(1)通常見いだされる少なくともいくつかの他のタンパク質がないか、(2)同じ供給源(例えば、同じ種)に由来する他のタンパク質を本質的に含まないか、(3)異なる種に由来する細胞により発現されるか、(4)天然で連結しているポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質の少なくとも約50%から分離されているか、(5)「単離されたタンパク質」が天然で連結されるタンパク質の一部と(共有結合的または非共有結合的相互作用によって)連結されていないか、(6)天然には連結されないポリペプチドと(共有結合的または非共有結合的相互作用によって)作動可能に連結されているか、または(7)天然には存在しないことを意味する。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは他のRNAまたはこれらの任意の組み合わせは、このような単離されたタンパク質をコードし得る。好ましくは、その単離されたタンパク質は、実質的に、その天然の環境において見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物(これは、その治療的使用、診断的使用、予防的使用、研究的使用、または他の使用を妨げる)を実質的に含まない。
【0044】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、アミノ酸の1つ以上の鎖を意味し、ここで各鎖は、ペプチド結合によって共有結合的に連結されるアミノ酸を含み、上記ポリペプチドまたはタンパク質は、ネイティブタンパク質(すなわち、天然に存在する細胞(および具体的には非組換え細胞)、または遺伝子操作された細胞もしくは組換え細胞により生成されるタンパク質)の配列を有する、ペプチド結合によって一緒に非共有結合的におよび/または共有結合的に連結される複数の鎖を含み得、ネイティブタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、またはネイティブ配列の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する分子を含み得る。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、具体的には、抗IL1−R1抗体、抗ILR−1R1抗体の1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列を包含する。従って、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、アミノ酸鎖の1つ(「単量体」といわれる)または複数(「多量体」といわれる)を含み得る。
【0045】
用語「ポリペプチドフラグメント」とは、天然に存在するポリペプチドまたは組換え生成されるポリペプチドのアミノ末端欠失、カルボキシ末端欠失、および/または内部欠失もしくは置換を有する単量体または多量体であり得るポリペプチドをいう。特定の実施形態において、ポリペプチドフラグメントは、少なくとも5〜約500アミノ酸長のアミノ酸鎖を含み得る。特定の実施形態において、フラグメントは、少なくとも5個、6個、8個、10個、14個、20個、50個、70個、100個、110個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、または450個のアミノ酸長であることが理解される。特に有用なポリペプチドフラグメントは、機能的ドメイン(結合ドメインを含む)を含む。抗IL1−R1抗体の場合において、有用なフラグメントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CDR領域(特に、重鎖または軽鎖のCDR3領域);重鎖または軽鎖の可変ドメイン;抗体鎖の一部または2つのCDRを含むちょうどその可変領域など。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント」とは、免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の少なくとも可変ドメインを含むポリペプチドフラグメントをいう。本発明の免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、リガンドに結合し得、リガンドがそのレセプターに結合するのを防止し、レセプターへのリガンド結合から生じる生物学的応答を妨害し、またはその任意の組み合わせである。好ましくは、本発明の免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントは、IL1−1R1に特異的に結合する。
【0047】
用語「天然に存在する」および「ネイティブの」とは、その用語が適用される生物学的物質(分子、配列、タンパク質複合体、細胞など)が、天然において見出され、そしてヒトによって操作されていない物質であり得ることを意味する。例えば、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然供給源から単離され得、かつヒトによって意図的に改変されておらず、天然に存在する生物(ウイルスを含む)において存在する。同様に、用語「天然に存在しない」または「ネイティブではない」とは、天然で見出されないか、またはヒトによって構造的に改変もしくは合成された物質をいう。
【0048】
用語「作動可能に連結された」とは、その用語が適用される成分が、適切な条件下でそれらの固有の機能を果たすことを可能にする関係にあることを意味する。例えば、そのタンパク質コード配列の発現が制御配列の転写活性と匹敵する条件下で達成されるように、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」制御配列が、連結される。
【0049】
用語「制御配列」とは、本発明のポリヌクレオチド配列が、連結されるコード配列の発現およびプロセシングをもたらし得ることを意味する。このような制御配列の性質は、その宿主生物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物のための制御配列としては、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列が挙げられ得る。他の特定の実施形態において、真核生物のための制御配列としては、転写因子の1つまたは複数の認識部位、転写エンハンサー配列、および転写終結配列を含むプロモーターが挙げられ得る。特定の実施形態において、「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
【0050】
用語「ポリヌクレオチド」とは、少なくとも10塩基の長さの一本鎖または二本鎖の核酸ポリマーを意味する。特定の実施形態において、そのポリヌクレオチドを含む、ヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはヌクレオチドのいずれかの型の改変形態であり得る。上記の改変としては、塩基改変(例えば、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体)、リボース改変(例えば、2’,3’−ジデオキシリボース、およびヌクレオチド間連結改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)およびホスホロアミデート)が挙げられる。その用語は、DNAの一本鎖形態および二本鎖形態を含む。
【0051】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、200塩基以下の長さを含むポリヌクレオチドを意味する。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが10〜60塩基である。より好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、または20〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異遺伝子の構築において使用するために、一本鎖または二本鎖であり得る。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。
【0052】
用語「天然に存在するヌクレオチド」とは、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「改変されたヌクレオチド」は、改変されたかもしくは置換された糖基または改変されたかもしくは置換された塩基を有するヌクレオチドを含む。用語「オリゴヌクレオチド連結」は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)、ホスホロアミデートなどのような連結を含む。例えば、LaPlancheら(1986),Nucl.Acids Res.14:9081;Stecら(1984),J.Am.Chem.Soc.106:6077;Steinら(1988),Nucl.Acids Res.16:3209;Zonら(1991),Anti−Cancer Drug Design 6:539;Zonら(1991),Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87−108(F.Eckstein編),Oxford University Press,Oxford England;Stecら,米国特許第5,151,510号;UhlmannおよびPeyman(1990),Chemical Reviews 90:543(これらの開示は、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。本発明のオリゴヌクレオチドは、検出アッセイのための標識、(放射性標識、蛍光標識、ハプテンもしくは抗原性標識を含む)を含み得る。
【0053】
用語「ベクター」は、宿主細胞にコード情報を移入するために使用される任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を意味する。
【0054】
用語「発現ベクター」または「発現構築物」とは、宿主細胞の形質転換に適切であり、(宿主細胞と関連して)作動可能に連結される1つ以上の異種コード領域の発現を指向および/または制御する核酸配列を含むベクターをいう。発現構築物としては、作動可能に連結されるコード領域の転写、翻訳、およびRNAスプライシング(イントロンが存在する場合)に影響を与えるかまたは制御する配列が挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0055】
用語「宿主細胞」とは、核酸配列で形質転換されたか、または形質転換され得、それにより目的の選択された遺伝子を発現し得る細胞を意味する。この用語は、子孫が、その本来の親細胞に対して、形態または遺伝的構成において同一であるか否かにかかわらず、選択された遺伝子が存在する限り、親細胞の子孫を含む。
【0056】
用語「形質導入」とは、一方の細菌から別の細菌へと、通常はファージによる遺伝子の移入を意味する。「形質導入」とはまた、レトロウイルスによる真核生物細胞配列の獲得および移入をいう。
【0057】
用語「トランスフェクション」とは、細胞による外来DNAまたは外因性DNAの取り込みを意味し、細胞は、その外因性DNAが細胞膜内部に導入されている場合、「トランスフェクト」されている。多くのトランスフェクション技術は、当該分野で周知であり、本明細書中に開示される。例えば、Grahamら,1973,Virology 52:456;Sambrookら,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Id.;Davisら,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;およびChuら,1981,Gene 13:197を参照のこと。このような技術は、適切な宿主細胞へ1つ以上の外因性DNA部分を導入するために使用され得る。
【0058】
用語「形質転換」とは、細胞の遺伝的特徴における変化をいい、そして細胞は、新しいDNAを含有するように改変された場合に形質転換されている。例えば、細胞は、それがそのネイティブな状態からトランスフェクション、形質導入または他の技術により遺伝的に改変される場合に形質転換される。トランスフェクションまたは形質導入後、形質転換DNAは、物理的に細胞の染色体に組み込むことにより細胞のDNAと組換わり得るか、複製されることなしにエピソームエレメントとして一時的に維持され得るか、またはプラスミドとして独立的に複製し得る。形質転換DNAは、細胞分裂と共に複製される場合に、細胞は、「安定に形質転換」されたとみなされる。
【0059】
用語「抗原」とは、選択的結合因子(例えば、抗体)により結合され得、そしてさらに動物において使用されて、その抗原のエピトープに結合し得る抗体を産生し得る分子または分子の一部をいう。抗原は、1つ以上のエピトープを有し得る。
【0060】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞レセプターに特異的に結合し得る任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基、を含み得る。特定の実施形態において、エピトープ決定基は、分子(例えば、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニル)の化学的に活性な表面基を含み、特定の実施形態において、特定の三次元構造的特徴および/または特定の荷電特徴を有し得る。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。特定の実施形態において、抗体は、タンパク質および/または高分子の複雑な混合物において、その標的抗原を優先的に認識する場合、抗原を特異的に結合するといわれる。好ましい実施形態において、抗体は、解離定数が約10nM以下である場合、より好ましくは解離定数が約100pM以下である場合、および最も好ましくは解離定数が約10pM以下である場合に、抗原を特異的に結合するという。
【0061】
用語「同一性」は、配列を比較することによって決定される場合、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の間の関係をいう。当該分野において、「同一性」はまた、場合によって、2つ以上のヌクレオチド配列または2つ以上のアミノ酸配列の間のマッチによって決定され得る場合、核酸分子またはポリペプチドの間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」とは、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処される、ギャップアラインメント(あるとすれば)を用いた2つ以上の配列のより小さい方の間の同一のマッチの割合を測定する。
【0062】
用語「類似性」は、関連した概念に関して当該分野で使用されるが、「同一性」とは対照的に、「類似性」は、同一によるマッチおよび保存的置換のマッチの両方を含む関連性の基準をいう。2つのポリペプチド配列が、例えば、10/20の同一アミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換である場合、同一性および類似性の%は、ともに50%である。同じ例において、保存的置換であるさらに5つの位置が存在すると、同一性%は50%のままであるが、類似性%は75%(15/20)である。従って、保存的置換が存在する場合、2つのポリペプチド間の類似性%は、これらの2つのポリペプチド間の同一性%よりも高い。
【0063】
関連核酸および関連ポリペプチドの同一性および類似性は、公知の方法によって容易に計算され得る。このような方法としては、以下に記載される方法が挙げられるが、これらに限定されない:Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.編),1988,Oxford University Press,New York,Biocomputing:Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.編),1993,Academic Press,New York;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,(Griffin,A.M.,およびGriffin,H.G.編),1994,Humana Press,New Jersey;von Heinje,G.,Sequence Analysis in Molecular Biology,1987,Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.およびDevereux,J.編),1991,M.Stockton Press,New York;Carilloら,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073;ならびにDurbinら,1998,Biological Sequence Analysis,Cambridge University Press。
【0064】
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間での最大のマッチを与えるように、設計される。同一性を決定するための方法は、公に利用可能なコンピュータプログラムにおいて記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための、好ましいコンピュータプログラム方法としては、GCGプログラムパッケージ(GAP(Devereuxら、1984,Nucleic Acids Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−10)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual、Altschulら(NCB NLM NIH,Bethesda,MD 20894);Altschulら、1990、前出)から公に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために使用され得る。
【0065】
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームは、これら2つの配列の短い領域のみのマッチを生じ得、そしてこの小さな整列領域は、2つの全長配列間に有意な関連がない場合でさえも、非常に高い配列同一性を有し得る。従って、特定の実施形態において、選択された整列方法(GAPプログラム)は、標的ポリペプチドの少なくとも50個連続するアミノ酸にわたる整列を生じる。
【0066】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)を使用して、配列同一性%が決定されるべき2つのポリペプチドが、それらのそれぞれのアミノ酸の最適なマッチ(アルゴリズムによって決定される「マッチしたスパン」)のために、整列される。特定の実施形態において、ギャップオープニングペナルティー(gap opening penalty)(これは、平均対角の3倍として計算される:「平均対角」とは、使用される比較行列(comparison matrix)の対角の平均である;「対角」とは、特定の比較行列によって各完全なアミノ酸マッチに対して割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップエクステンションペナルティー(gap extension penalty)(これは通常、キャップオープニングペナルティーの0.1倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62のような比較行列が、このアルゴリズムと組み合わせて使用される。特定の実施形態において、標準的な比較行列(Dayhoffら、1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352(PAM250比較行列);Henikoffら、1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:10915−19(BLOSUM 62比較行列)を参照のこと)もまた、アルゴリズムによって使用される。
【0067】
特定の実施形態において、ポリペプチド配列比較のパラメーターは、以下を含む:
アルゴリズム(Algorithm):Needlemanら(1970),J.Mol.Biol.48:443−53;
比較行列(Comparison matrix):BLOSUM 62(Henikoffら(1992)前出);
ギャップペナルティー(Gap Penalty):12
ギャップ長ペナルティ(Gap Length Penalty):4
類似性の閾値(Threshold of Similarity):0
そのGAPプログラムは、上記パラメーターとともに有用であり得る。特定の実施形態において、上記パラメーターは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチド比較(末端ギャップに対してはペナルティがないこととともに)のためのデフォルトパラメーターである。
【0068】
用語「天然に存在する」とは、アミノ酸をいうために使用される場合、20個の従来のアミノ酸をいう。Immunology−−A Synthesis,第2版(E.S.GolubおよびD.R.Gren編),Sinauer Associates:Sunderland,MA(1991)(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0069】
ペプチドアナログは、テンプレートペプチドの特性に類似の特性を有する非ペプチド薬物として、製薬産業において一般的に使用される。これらの型の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」といわれる。Fauchere(1986),Adv.Drug Res.15:29;Veber&Freidinger,1985,TINS p.392;およびEvansら(1987),J.Med.Chem.30:1229(これらは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。このような化合物は、しばしば、コンピューター化分子モデリングの補助により開発される。治療的に有用なペプチドに構造的に類似するペプチド模倣物は、類似の治療的効果または予防的効果を生成するために使用され得る。一般に、ペプチド模倣物は、典型なペプチドまたはポリペプチド(すなわち、生物学的特性または薬理学的活性を有するペプチドもしくはポリペプチド)(例えば、ヒト抗体)に構造的に類似するが、当該分野で周知の方法によって、−CH2−NH−、−CH2−S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される連結によって置換された、必要に応じて、1つ以上のペプチド連結を有する。コンセンサス配列の1以上のアミノ酸を同じ型のD−アミノ酸で体系的に置換すること(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)は、特定の実施形態において、より安定なペプチドを生成するために使用され得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列バリエーションを含む束縛されたペプチドは、例えば、ペプチドを環化する分子間ジスルフィド架橋を形成し得る内部システイン残基を付加することによって、当該分野で公知の方法によって生成され得る(Rizo&Gierasch,1992,Ann.Rev.Biochem.61:387(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)。
【0070】
「抗体」または「抗体ペプチド」とは、特異的結合についてインタクトな抗体と競合し、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、および二重特異的抗体を含む、インタクトな抗体またはそれらの結合フラグメントをいう。特定の実施形態において、結合フラグメントは、組換えDNA技術によって生成される。さらなる実施形態において、結合フラグメントは、インタクトな抗体の酵素的切断または化学的切断によって生成され得る。結合フラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、および単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
用語「重鎖」とは、IL−1R1に対する特異性を付与する十分な可変領域配列を有する全長重鎖およびそのフラグメントを含む。全長重鎖は、可変領域ドメイン(VH)および3つの定常領域ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を含む。そのVHドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にあり、そのCH3ドメインは、カルボキシル末端にある。
【0072】
用語「軽鎖」は、IL−1R1に対する特異性を付与する十分な可変領域配列を有する全長軽鎖およびそのフラグメントを含む。全長軽鎖は、可変領域ドメイン(VL)および定常領域ドメイン(CL)を含む。重鎖と同様に、その軽鎖の可変領域ドメインは、そのポリペプチドのアミノ末端にある。
【0073】
「Fabフラグメント」は、1つの軽鎖、および1つの重鎖のCH1および可変領域から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。
【0074】
「Fab’フラグメント」は、CH1とCH2ドメインとの間にその多くのその定常領域を含む1つの軽鎖および1つの重鎖を含み、その結果、鎖間ジスルフィド結合は、2つの重鎖間に形成されて、F(ab’)2分子を形成し得る。
【0075】
「F(ab’)2フラグメント」は、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の部分を含む、2つの軽鎖および2つの重鎖を含み、その結果、鎖間ジスルフィド結合が、2つの重鎖間に形成される。
【0076】
「Fv領域」は、重鎖および軽鎖に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠く。
【0077】
「単鎖抗体」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域が、一本鎖ポリペプチド鎖を形成するために可撓性リンカーにより接続されており、抗原結合領域を形成するFv分子である。単鎖抗体は、国際特許出願公開番号WO88/01649ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号により詳細に議論されており、これらの開示はあらゆる目的で、本明細書中に参考として援用される。
【0078】
「多重特異的」抗体または「多機能性」抗体以外の「二価抗体」は、特定の実施形態において、同一の抗原的特異性を有する結合部位を含むことが理解される。
【0079】
「二重特異的」抗体または「二機能性」抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、種々の方法によって生成され得、これらの方法としては、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Songsivilai&Lachmann(1990),Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelnyら(1992),J.Immunol.148:1547−1553を参照する。
【0080】
本発明に従う抗体結合および特異性を評価するにあたって、抗体は、抗体の過剰が、(インビトロ競合結合アッセイにおいて測定される場合)少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上によるカウンタレセプター(counterreceptor)によって結合されるレセプターの量を減少させる場合、レセプターに対するリガンドの接着を「実質的に阻害する」。
【0081】
用語「薬剤」とは、化合物、化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的物質から作製された抽出物を意味する。
【0082】
用語「標識」または「標識された」とは、例えば、放射性標識されたアミノ酸を組み込むか、または印を付けられたアビジン(例えば、光学的方法または比色法によって検出され得る、好ましくは、蛍光マーカー、化学発光マーカーまたは酵素活性のような検出可能なマーカーを含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチン部分をポリペプチドに結合することによって、検出可能なマーカーを組み込むことをいう。特定の実施形態において、その標識はまた、治療剤であり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法は、当該分野で公知であり、本明細書中に開示される方法において有利に使用され得る。ポリペプチドのための標識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99mTc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、またはランダニドリン(lanthanide phosphor))、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ハプテン標識(例えば、ビオチニル基)、および二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)により認識される所定のポリペプチドエピトープ。特定の実施形態において、標識は、種々の長さのスペーサーアーム(例えば、(CH2)n(ここでnは約20未満))によって結合されて、潜在的な立体障害を減少させる。
【0083】
用語「生物学的サンプル」とは、生きているものまたは以前に生きていたものに由来する物質の任意の量が挙げられるが、これらに限定されない。このような生きているものとしては、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、および他の動物が挙げられるが、これらに限定されない。このような物質としては、血液、血清、尿、細胞、器官、組織、骨、骨髄、リンパ、リンパ節、滑膜組織、軟骨細胞、滑液マクロファージ、内皮細胞、血管組織(特に、炎症した血管組織)、および皮膚が挙げられるが、これらに限定されない。用語「薬学的薬剤(pharmaceutical agent)」および「薬物」とは、患者に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導し得る化合物または組成物をいう。
【0084】
用語「患者」とは、ヒトおよび動物の被験体を含む。
【0085】
別段文脈が必要としなければ、単数形は、複数形を含むものとし、複数形は、単数形を含むものとする。
【0086】
(アミノ酸)
その20個の天然に存在するアミノ酸およびそれらの略語は、従来の使用法に従う。Immunology−−A Synthesis,第2版,(E.S.GolubおよびD.R.Gren,編),Sinauer Associates:Sunderland,MA (1991)(あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。その20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然アミノ酸(例えば、α−,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、および他の非慣習的なアミノ酸はまた、本発明のポリペプチドのための適切な成分であり得る。非慣習的なアミノ酸の例としては、以下が挙げられる:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸ならびにイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)。本明細書中で使用されるポリペプチド命名において、標準的な使用法および慣習に従って、左手方向は、アミノ末端方向であり、右手向は、カルボキシ末端方向である。
【0087】
同様に、別段特定されなければ、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は、5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5’方向といわれる。その5’から3’の方向の発生期のRNA転写物の付加は、転写方向といわれる;RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の、RNA転写物の5’末端に対して5’側にある配列領域は、「上流配列」といわれる;RNA転写物の3’末端に対して3’側にあるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」といわれる。
【0088】
天然に存在するアミノ酸残基は、共通の側鎖特性に基づいて、複数のクラスに分割され得る:
1)疎水性:ノルロイシン(NorまたはNle)、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0089】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを同じクラスの別のメンバーと交換することを包含し得る。保存的アミノ酸置換は、代表的には、生物学的系における合成よりむしろ、化学的ペプチド合成により組み込まれる、天然に存在しないアミノ酸残基を包含し得る。これらとしては、ペプチド模倣物およびアミノ酸部分の他の逆転形態または反転形態が挙げられる。
【0090】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラス由来のメンバーに対する交換を包含し得る。このような置換された残基は、例えば、非ヒト抗体と相同なヒト抗体の領域、またはこの分子の非相同領域に導入され得る。
【0091】
このような変化を行う際に、特定の実施形態に従って、アミノ酸のヒドロパシー指数が考慮され得る。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて、ヒドロパシー指数を割り当てられている。ヒドロパシー指数は、以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0092】
タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能を確認する際の、ヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当該分野において理解されている(例えば、Kyteら、1982,J.Mol.Biol.157:105−31)。特定のアミノ酸が類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用され得、そして依然として類似の生物学的活性を維持し得ることが、公知である。ヒドロパシー指数に基づいて変化させる際に、特定の実施形態において、ヒドロパシー指数は、±2以内であるアミノ酸置換が含まれる。特定の実施形態において、±1以内であるものが含まれ、そして±0.5以内であるものが含まれる。
【0093】
類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的になされ得る(特に、これによって作製された生物学的機能的なタンパク質またはペプチドが、本明細書中に開示されるように、免疫学的実施形態における使用に関して考慮される場合)こともまた、当該分野において理解されている。特定の実施形態において、タンパク質の最も大きな局所的平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される場合に、その免疫原性および抗原性、すなわち、そのタンパク質の生物学的特性に相関する。
【0094】
以下の親水性の値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。類似の親水性の値に基づいて変化を行う際に、特定の実施形態において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、±1以内であるものが含まれ、そして±0.5以内であるものが含まれる。一次アミノ酸配列から、エピトープをまた、親水性に基づいて同定し得る。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」といわれる。
【0095】
例示的なアミノ酸置換は、表1に記載される。
【0096】
【表1】
当業者は、周知の技術を用いて、本明細書中で記載されるポリペプチドの適切な改変体を決定し得る。特定の実施形態において、当業者は、活性に重要であると考えられない領域を標的化することによって、活性を損なうことなく変化され得る分子の適切な領域を同定し得る。他の実施形態において、当業者は、類似のポリペプチドの中で保存されている分子の残基および一部を同定し得る。さらなる実施形態において、生物学的活性に重要であり得るか、または構造に重要であり得る領域ですら、その生物学的活性を損なうことも、そのポリペプチド構造に悪影響を及ぼすこともなく、保存的アミノ酸置換に供され得る。
【0097】
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要な類似のポリペプチドにおける残基を同定する構造機能研究を検討し得る。このような比較に鑑みて、当業者は、類似のタンパク質において活性または構造にとって重要なアミノ酸残基に対応するタンパク質においてアミノ酸残基の重要性を推定し得る。当業者は、そのような推定される重要なアミノ酸残基に対する化学的に類似のアミノ酸置換を選択し得る。
【0098】
当業者はまた、類似のポリペプチドにおいてその構造に関連して三次元構造およびアミノ酸配列を分析し得る。このような情報に鑑みて、当業者は、その三次元構造に関して抗体のアミノ酸残基の整列を推定し得る。特定の実施形態において、当業者は、そのタンパク質の表面上に存在すると推定されるアミノ酸残基に対して急激な変化を起こさないように選択され得る。なぜなら、このような残基は、他の分子との重要な相互作用に関与し得るからである。さらに、当業者は、各望ましいアミノ酸残基において単一のアミノ酸置換を含む試験改変体を生成し得る。その改変体は、当業者に当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングされ得る。
【0099】
このような改変体は、適切な改変体についての情報を集めるために使用され得る。例えば、特定のアミノ酸残基に対する変化が、損なわれた活性、望ましくないように減少された活性、または不適切な活性を有する改変体を生じた場合に、このような変化が避けられ得ることが発見された。言い換えると、このような慣用的実験から集められた情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が単独、または他の変異と組み合わせてかのいずれかで、避けられ得るアミノ酸を容易に検出し得る。
【0100】
多くの科学的刊行物が、二次構造の推定に向けられてきた。Moult,1996,Curr.Op.in Biotech.7:422−427;Chouら,1974,Biochemistry 13:222−245;Chouら,1974,Biochemistry 113:211−222;Chouら,1978,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.47:45−148;Chouら,1979,Ann.Rev.Biochem.47:251−276;およびChouら,1979,Biophys.J.26:367−384を参照のこと。さらに、コンピュータープログラムが、二次構造の推定を補助するために、現在利用可能である。二次構造を推定する1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%を超える配列同一性、または40%を超える類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の構造的トポロジーを有する。タンパク質構造データベース(PDB)の近年の成長により、二次構造(ポリペプチド構造またはタンパク質構造内の折りたたみの潜在的数を含む)の推定可能性が増強された。Holmら,1999,Nucl.Acid.Res.27:244−247を参照のこと。所定のポリペプチドまたはタンパク質における折りたたみの回数が制限されること、いったん構造の重大数が解明されると、構造推定が劇的により正確になることを示唆した(Brennereら,1997,Curr.Op.Struct.Biol.7:369−376)。
【0101】
二次構造を推定するさらなる方法は、「スレッディング(threading)」(Jones,1997,Curr.Opin.Struct.Biol.7:377−87;Sipplら,1996,Structure 4:15−19)、「プロフィール分析」(Bowieら,1991,Science 253:164−170;Gribskovら,1990,Meth.Enzym.183:146−159;Gribskovら,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.84:4355−4358)、および「進化的連結(evolutionary linkage)」(Holm,1999,前出;およびBrenner,1997,前出を参照のこと)を含む。
【0102】
特定の実施形態において、抗体改変体は、グリコシル化部位の数および/または型が、親ポリペプチドのアミノ酸配列に比較して変化しているグリコシル化改変体を含む。特定の実施形態において、タンパク質改変体は、ネイティブタンパク質よりも多いかまたは少ないN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrによって特徴付けられ、ここでXと示されるそのアミノ酸残基は、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作製するためのアミノ酸残基の置換は、N結合型糖鎖の付加のための潜在的な新たな部位を提供する。あるいは、この配列を排除する置換は、存在するN結合型糖鎖を除去する。1つ以上のN結合型グリコシル化部位(代表的に、天然に存在するグリコシル化部位)が排除され、そして1つ以上の新たなN結合部位が作製される、N結合型糖鎖の再配列もまた、提供される。さらなる好ましい抗体改変体としては、1つ以上のシステイン残基が、親アミノ酸配列と比較して、欠失しているか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されている、システイン改変体が挙げられる。システイン改変体は、抗体が、例えば不溶性の封入体の単離の後に、生物学的に活性な立体構造へと再折りたたみされなければならない場合に、有用であり得る。システイン改変体は、一般に、ネイティブタンパク質より少ないシステイン残基を有し、そして代表的には偶数のシステイン残基を有し、対合していないシステインから生じる相互作用を最小にする。
【0103】
特定の実施形態に従って、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させるアミノ酸置換、(2)酸化に対する感受性を減少させるアミノ酸置換、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させるアミノ酸置換、(4)結合親和性を変化させるアミノ酸置換、および/または(5)このようなポリペプチドに物理化学的特性または機能的特性を付与するかもしくは改変するアミノ酸置換である。特定の実施形態に従って、単一のアミノ酸置換または複数のアミノ酸置換(特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列において(特定の実施形態において、分子間接触を形成するドメインの外側にあるポリペプチドの部分において)行われ得る。好ましい実施形態において、保存的アミノ酸置換は、代表的には、親配列の構造的特性を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に存在するヘリックスを壊さず、親配列を特徴づける二次構造の他の型を妨害しない傾向にあるべきである)。当該分野で認識されているポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles,(Creighton編),1984,W.H.Freeman and Company,New York;Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編),1991,Garland Publishing,New York,N.Y.;ならびにThorntonら(1991),Nature 354:105(これらの各々は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0104】
(抗体の調製)
天然に存在する抗体構造単位は、代表的には、四量体を構成する。このような四量体各々は、代表的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対(各対は、1つの全長「軽」鎖(代表的には、約25kDaの分子量を有する)および1つの全長「重」鎖(代表的には、約50〜70kDaの分子量を有する)から構成される。各鎖のアミノ末端部分は、代表的には、代表的には、抗原認識を担う約100〜110個のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、代表的には、エフェクター機能を担う定常領域を規定する。ヒト軽鎖は、代表的には、κ軽鎖およびλ軽鎖として分類される。重鎖は、代表的には、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。IgGは、いくつかのサブクラスを有し、このサブクラスとしては、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が挙げられるが、これらに限定されない。IgMは、サブクラスを有し、このサブクラスとしては、IgM1およびIgM2が挙げられるが、これらに限定されない。IgAは、同様にサブクラスに下位分類され、このサブクラスとしては、IgA1およびIgA2が挙げられるが、これらに限定されない。全長の軽鎖および重鎖において、代表的には、約12以上のアミノ酸の「J」領域は、可変領域および定常領域を結合し、その重鎖はまた、約10以上のアミノ酸の「D」領域を含む。例えば、Fundamental Immunology,Ch.7,第2版(Paul,W.編),1989,Raven Press,N.Y.(全ての目的でその全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。各軽鎖/重鎖対の可変領域の組み合わせは、代表的には、抗原結合部位を形成する。
【0105】
その重鎖および軽鎖の各々の可変領域は、代表的には、3つの超可変領域(相補性決定領域またはCDRともよばれる)により結合される4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含む、同じ一般的構造を示す。各対の2つの鎖に由来するそのCDRは、代表的には、フレームワーク領域により整列され、そのアラインメントは、特異的エピトープへの結合を可能にし得る。N末端からC末端へと、軽鎖および重鎖の可変領域はともに、代表的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。アミノ酸を各ドメインに割り当てることは、代表的には、Kabat Sequences of Proteins of Immunologcal Interest(1987および1991,National Institutes of Health,Bethesda,Md.)、Chothia&Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917またはChothiaら,1989,Nature 342:878−883)の規定に従う。
【0106】
抗体は、モノクローナル抗体の開発とともに、薬剤として有用になり、かつ興味あるものである。モノクローナル抗体は、連続的な細胞株によって培養物においてモノクローナル抗体を生成する任意の方法を使用して生成される。モノクローナル抗体を調製するための適切な方法の例としては、Kohlerらのハイブリドーマ法(1975,Nature 256:495−497)およびヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozbor,1984,J.Immunol.133:3001;およびBrodeurら,1987,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,(Marcel Dekker,Inc.,New York),pp.51−63)が挙げられる。
【0107】
モノクローナル抗体は、治療剤として使用するために改変され得る。一例は、「キメラ」抗体である。重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスまたはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同である一方で、鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一であるかまたは相同である。他の例は、所望の生物学的活性を示す限り、このような抗体のフラグメントである。米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら(1985),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855を参照のこと。関連する開発は、「CDR移植」抗体であり、ここでその抗体は、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む一方で、抗体鎖の残りは、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体において対応する配列と同一または相同である。
【0108】
別の開発は、「ヒト化」抗体である。非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該分野で周知である(米国特許第5,585,089号および同第5,693,762号を参照のこと)。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物により生成され、次いで、特定のアミノ酸残基(代表的には、抗体の非抗原認識部分に由来する)は、対応するアイソタイプのヒト抗体において上記残基に相同であるように改変される。ヒト化は、例えば、当該分野で記載される方法(Jonesら,1986,Nature 321:522−525;Riechmannら,1988,Nature 332:323−327;Verhoeyenら,1988,Science 239:1534−1536)を用いて、ヒト抗体の対応する領域の代わりに齧歯類可変領域の少なくとも一部を置換することによって行われ得る。
【0109】
より近年、かつより有望であるのは、ヒトに抗原を曝さない、ヒト抗体(「完全ヒト抗体」)の開発である。内因性マウス免疫グロブリン生成の非存在下でヒト抗体のレパートリーを生成し得るトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用して、このような抗体は、抗原(必要に応じて、キャリアに結合される)での免疫によって生成される(代表的には、少なくとも6つの連続するアミノ酸を有する)。例えば、Jakobovitsら,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555;Jakobovits ら,1993,Nature 362:255−258;およびBruggermannら,1993,Year in Immunol.7:33を参照のこと。これらの方法の一例において、トランスジェニック動物は、マウスの重免疫グロブリン鎖および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性のマウス免疫グロブリン遺伝子座を組み込み、ヒト重鎖および軽鎖のタンパク質をコードする遺伝子座をそのフラグメントに挿入することによって生成される。改変の完全未満の相補体を有する部分的に改変された動物は、次いで、望ましい免疫系改変の全てを有する動物を得るために、交配される。免疫原を投与した場合、これらのトランスジェニック動物は、ヒト(マウスではなく)アミノ酸配列を有するこれらの抗原に免疫特異的な抗体(可変領域を含む)を生成する。PCT公開番号WO96/33735およびWO94/02602(参考として援用される)を参照のこと。さらなる方法は、米国特許第5,545,807号、PCT公開番号WO91/10741、WO90/04036、ならびにEP 546073B1およびEP 546073A1(参考として援用される)に記載される。ヒト抗体はまた、本明細書中に記載されるように、宿主細胞における組換えDNAの発現によって、またはハイブリドーマ細胞における発現によって生成され得る。
【0110】
完全ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboomら,1991,J.Mol.Biol.227:381;およびMarksら,1991,J.Mol.Biol.222:581に開示される)から生成され得る。これらのプロセスは、繊維状バクテリオファージの表面に抗体レパートリーのディスプレイを通じた免疫選択、および選択された抗原に対するそれらの結合によるその後のファージの選択を模倣する。1つのこのような技術は、PCT公開番号WO99/10494(参考として援用される)(これは、このようなアプローチを使用する、MPLレセプターおよびmskレセプターに対する高親和性かつ機能的アゴニスト抗体の単離を記載する)に記載される。
【0111】
いったんこのような抗体をコードするそのヌクレオチド配列がが決定されると、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、および完全ヒト抗体もまた、組換え法によって生成され得る。その抗体をコードする核酸は、宿主細胞に導入され、当該分野で一般に公知の材料および手順を用いて発現される。
【0112】
本発明は、ヒトIL−1R1に対する、1つまたは複数の完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、その抗体は、IL−1R1の第3のドメインを結合する。好ましい実施形態において、本発明は、重鎖および軽鎖の免疫グロブリン分子をコードするヌクレオチド配列、およびその免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列(特に、その可変領域に対応する配列)を含む。好ましい実施形態において、相補性決定領域(CDR)、特に、CDR1からCDR3に対応する配列が提供される。さらなる好ましい実施形態において、本発明は、ヒトIL−1R1に対する、このような免疫グロブリン分子およびこれらから生成されるモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞株、最も好ましくは精製ヒトモノクローナル抗体を提供する。
【0113】
酵母人工染色体(YAC)中にメガ塩基サイズのヒト遺伝子座をクローニングおよび再構築し、マウス生殖系列にそれらを導入する能力は、非常に広範なまたは粗にマッピングされた遺伝子座の機能的成分を解明し、ヒト疾患の有用なモデルを作製することに、有利なアプローチを提供する。さらに、マウス遺伝子座のそれらのヒト等価物で置換するためのこのような技術の利用は、開発、それらの他のシステムとの連絡、および疾患誘導および進行におけるそれらの関与の間に、ヒト遺伝子生成物の発現および調節に独特の見識を提供する。
【0114】
このようなストラテジーの重要な実践的適用は、マウスの体液性免疫系の「ヒト化」である。ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を内因性Ig遺伝子が不活性化されているマウスに導入することは、プログラムされた発現および抗体のアセンブリの根底にある機構、ならびにB細胞発生におけるそれらの役割を研究する機会を提供する。さらに、このようなストラテジーは、完全ヒトモノクローナル抗体(MAb)を生成するため、特に、治療剤として使用するための供給源を提供する。完全ヒト抗体は、マウスもしくはマウス由来Mabに内因性の免疫原性およびアレルギー性応答を最小にし、かつそれによって、治療的適用において投与される抗体の有効性および安全性を増大させると予測される。完全ヒト抗体は、慢性および再発性のヒト疾患(例えば、変形性関節症、慢性関節リウマチ、および他の炎症性状態)の処置において使用され得、その処置は、抗体投与の反復を要する。
【0115】
当業者は、このようなマウスが、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を生成するように、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを有するマウス抗体生成が欠損したマウス系統を操作し得る。大きなヒトIgフラグメントは、大きな変動性の遺伝子多様性ならびに抗体生成および発現の適切な調節を保ち得る。抗体多様化および選択のためのマウス機構ならびにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容性の欠如を開発することによって、これらのマウス系統において複製されるヒト抗体レパートリーは、目的の抗原(ヒト抗原を含む)に対する高親和性抗体を生成する。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbが生成および選択され得る。
【0116】
特定の実施形態において、当業者は、このようなマウスにおいてヒト可変領域とともに、ヒト以外の種に由来する定常領域を使用して、キメラ抗体を生成し得る。本発明の抗体は、全長IL−1R1、可溶性形態のIL1−1R1またはそのフラグメントでこのような動物を免疫することによって生成され得る。例えば、国際特許出願公開WO93/12227を参照のこと。
【0117】
本発明の抗IL−1R1抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRは、同じ種または別の種に由来するフレームワーク領域(FR)に移植され得る。特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植され得る。コンセンサスヒトFRを作製するために、いくつかのヒト重鎖または軽鎖のアミノ酸配列に由来するFRは、コンセンサスアミノ酸配列を同定するために整列される。抗IL−1R1抗体の重鎖または軽鎖のFRは、異なる重鎖または軽鎖に由来するFRで置換され得る。抗IL−1R1抗体の重鎖および軽鎖のFRにおけるまれなアミノ酸は、代表的には、置換されないが、FRアミノ酸の残りは、置換され得る。まれなアミノ酸は、それらが通常FRにおいて見いだされない位置に存在する特定のアミノ酸である。本発明の抗IL−1R1抗体に由来するその移植された可変領域は、抗IL−1R1抗体の定常領域とは異なる定常領域とともに使用され得る。あるいは、その移植された可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、および同第5,530,101号(これらは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0118】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号61、配列番号62もしくは配列番号63のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR1領域;配列番号64、配列番号65もしくは配列番号66のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR2領域;および/または配列番号67、配列番号68もしくは配列番号69のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR3領域を含む抗IL1−R1抗体を提供する。
【0119】
他の実施形態において、本発明は、配列番号70もしくは配列番号71のアミノ酸配列を有するヒト軽鎖CDR1領域;配列番号72もしくは配列番号73のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR2領域;および/または配列番号74もしくは配列番号75のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR3領域を含む抗IL1−R1抗体を提供する。
【0120】
本発明の抗体は、好ましくは、マウスの抗体生成細胞に挿入されたヒト抗体生成遺伝子座の実質的一部を有し、内因性のマウス抗体が欠損するようにさらに操作されているトランスジェニックマウスを使用して調製される。このようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を生成し得、マウス免疫グロブリン分子および抗体を生成しないか、または実質的に減少した量のマウス免疫グロブリン分子および抗体を生成する。この結果を達成するために利用される技術は、本明細書中に開示される特許、特許出願および参考文献に開示される。好ましい実施形態において、当業者は、国際特許出願公開番号WO98/24893(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)に開示される方法を使用し得る。Mendezら,1997,Nature Genetics 15:146−156(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)もまた参照のこと。
【0121】
本発明のモノクローナル抗体(MAb)は、種々の技術によって生成され得、これらの技術としては、従来のモノクローナル抗体方法論(例えば、KohlerおよびMilstein,1975,Nature 256:495の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術)が挙げられる。原則的には体細胞ハイブリダイゼーション手順が好ましく、モノクローナル抗体を生成するための他の技術(例えば、Bリンパ球のウイルス形質転換または発癌遺伝子)が使用され得る。
【0122】
好ましい実施形態において、IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体は、「HuMab」マウスといわれるマウスを使用して生成され得、その内因性のμおよびκ鎖遺伝子座を不活性化する標的された変異と一緒に、再配列されていないヒト重鎖配列(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含み得る。Lonbergら,1994,Nature 368:856−859。従って、そのマウスは、免疫に応じて、マウスIgMまたはκの減少した発現を示し、その導入されたヒトの重鎖および軽鎖の導入遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞変異を受けて、高親和性ヒトIgGκモノクローナル抗体を生成する。Lonbergら,前出;LonbergおよびHuszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;HardingおよびLonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546。HuMabマウスの調製は、Taylorら,1992,Nucleic Acids Res.20:6287−6295;Chenら,1993,International Immunology 5:647−656;Tuaillonら,1994,J.Immunol.152:2912−2920;Lonbergら,1994,Nature 368:856−859;Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49−101;Taylorら,1994,International Immunology 6:579−591;Lonberg&Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;Harding&Lonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci 764:536−546;Fishwildら,1996,Nature Biotechnology 14:845−851(これらの全ての開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載される。さらに米国特許第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,789,650号;同第5,877,397号;同第5,661,016号;同第5,814,318号;同第5,874,299号;および同第5,770,429号(全てLonbergおよびKay);ならびに米国特許第5,545,807号(Suraniら);国際特許出願公開WO93/1227(1993年6月24日公開);WO92/22646(1992年12月23日公開);およびWO92/03918(1992年3月19日公開)(これらの全ての開示は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。あるいは、以下の実施例に記載されるHCo7およびHCo12トランスジェニックマウス系統は、ヒト抗IL−1R1抗体を生成するために使用され得る。
【0123】
有利には、IL−1R1に対して特異的な完全ヒトモノクローナル抗体は、以下の通りに生成される。ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスを、目的のIL−1R1関連抗原で免疫する。抗体を発現するマウス由来のリンパ細胞(例えば、B細胞)が得られる。このような回収された細胞は、骨髄腫型の細胞株と融合されて、不死化ハイブリドーマ細胞株が調製され、このようなハイブリドーマ細胞株は、スクリーニングおよび選択され、目的の抗原に特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株が同定される。特定の実施形態において、IL−1R1に対して特異的な抗体を生成するハイブリドーマ細胞株の生成が提供される。
【0124】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ株によって生成される。これらの実施形態において、本発明の抗体は、約4pMと100pMとの間の解離定数(Kd)でIL1−1R1に結合する。本発明の特定の実施形態において、その抗体は、約20pM未満のKdでIL−1R1に結合する。他の実施形態において、本発明の抗体は、IL−1R1の第3のドメインに結合する。ヒトおよびラットのIL1−R1の第3のドメインのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、図17に示される。
【0125】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプであり、IgG2アイソタイプが最も好ましい。本発明の好ましい実施形態において、その抗体は、ヒトκ軽鎖およびヒトIgG1、IgG2、またはIgG4の重鎖を含む。特定の実施形態において、その抗体の可変領域は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプの定常領域以外の定常領域に連結される。特定の実施形態において、本発明の抗体は、哺乳動物細胞における発現のためにクローニングされた。
【0126】
特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体(およびコードするヌクレオチドに対応する改変)の重鎖および軽鎖に対する保存的アミノ酸置換は、抗IL−1R1抗体の特性に類似の機能的特性および化学的特性を有する抗IL−1R1抗体を生成する。対照的には、抗IL−1R1抗体の機能的特性および/または化学的特性における実質的改変は、(a)置換の領域における分子骨格の構造(例えば、シートまたはらせん立体構造として)、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖のかさ高さの維持に対するそれらの効果において有意に異なる重鎖および軽鎖のアミノ酸配列において置換を選択することによって達成され得る。
【0127】
例えば、「保存的アミノ酸置換」とは、その位置でのアミノ酸残基の極性または電荷に対してほとんど影響がないかまたは全く影響がないように、ネイティブアミノ酸の非ネイティブ残基での置換を包含し得る。さらに、ポリペプチドにおける任意のネイティブ残基はまた、「アラニンスキャニング変異誘発」(Wells,1991,Methods Enzymol.202:390(編J.J.Langone),Academic Press,London)について以前に記載されているように、アラニンで置換され得る。
【0128】
所望のアミノ酸置換(保存的であろうが非保存的であろうが)は、このような置換が所望されるときに、当業者によって決定され得る。特定の実施形態において、アミノ酸置換は、抗IL−1R1抗体の重要な残基を同定するか、または本明細書中で記載される抗IL−1R1抗体の親和性を増大または減少させるために使用され得る。
【0129】
代替的実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株において発現され得る。これらの実施形態において、特定の抗体をコードする配列は、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために使用され得る。これらの実施形態に従って、形質転換は、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する(例えば、そのポリヌクレオチドをウイルス(またはウイルスベクターに)パッケージングし、宿主細胞をウイルス(またはベクター)で形質導入することを含む)任意の公知の方法を使用して、または当該分野で公知のトランスフェクション手順によって達成され得る。このような手順は、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、および同第4,959,455号(これらの全ては、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される)により例示される。一般に、使用される形質転換手順は、形質転換されるべき宿主に依存し得る。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入するための方法は、当該分野で周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中のポリヌクレオチドのカプセル化、および核へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明の方法の特定の実施形態に従って、本発明のIL−1R1抗体の重鎖定常領域、重鎖可変領域、軽鎖定常領域、または軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸分子は、標準的な連結技術を使用して適切な発現ベクターに挿入される。好ましい実施形態において、そのIL−1R1の重鎖または軽鎖の定常領域は、適切な可変領域のC末端に付加され、発現ベクターに連結される。そのベクターは、代表的には、使用される特定の宿主細胞において機能的であるように選択される(すなわち、ベクターは、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が生じ得るように、宿主細胞機構と適合性である)。発現ベクターの総説については、Goeddel(編),1990,Meth.Enzymol.Vol.185,Academic Press.N.Y.を参照のこと。
【0131】
代表的には、任意の宿主細胞において使用される発現ベクターは、プラスミドの維持のための配列、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。特定の実施形態において、まとめて「隣接配列」といわれるこのような配列は、代表的には、以下のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナースプライス部位およびアクセプタースプライス部位を含む完全なイントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、および選択マーカーエレメント。これらの配列の各々は、以下に議論される。
【0132】
必要に応じて、そのベクターは、IL−1R1ポリペプチドコード配列の5’末端または3’末端に位置する「タグ」コード配列(すなわち、オリゴヌクレオチド分子を含み得る;そのオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(例えば、6His)、または別の「タグ」(例えば、FLAG、HA(インフルエンザウイルスの赤血球凝集素)、または市販の抗体に存在するmycをコードし得る。このタグは、代表的には、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合され、宿主細胞に由来するIL−1R1抗体のアフィニティー精製または検出のための手段として働き得る。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティーマトリクスとしてのタグに対する抗体を使用するカラムクロマトグラフィーによって達成され得る。必要に応じて、そのタグは、その後、種々の手段(例えば、切断のために特定のペプチダーゼを使用する)によって精製IL−1R1ポリペプチドから除去され得る。
【0133】
隣接配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または系統に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞種もしくは系統以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、1つを超える供給源に由来する隣接配列の組み合わせ)、合成もしくはネイティブであり得る。よって、隣接配列の供給源は、任意の原核生物細胞もしくは真核生物細胞、任意の脊椎生物もしくは無脊椎生物、または任意の植物であり得る。ただし、その隣接配列は、宿主細胞機構において機能的であり、かつ宿主細胞機構によって活性化され得る。
【0134】
本発明のベクターにおいて有用な隣接配列は、当該分野で周知のいくつかの方法のいずれかにおいて得られ得る。代表的には、本明細書中で有用な隣接配列は、マッピングによって、および/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって予め同定され、従って、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して適切な組織供給源から単離され得る。いくつかの場合において、隣接配列の完全なヌクレオチド配列は、公知であり得る。ここで、その隣接配列は、核酸合成もしくはクローニングのために本明細書中で記載される方法を使用して合成され得る。
【0135】
隣接配列の全てまたはごく一部が公知である場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または適切なプローブ(例えば、同じ種または別の種に由来するオリゴヌクレオチドおよび/または隣接配列フラグメント)でのゲノムライブラリーのスクリーニングを使用して得られ得る。その隣接配列が公知でない場合、隣接配列を含むDNAのフラグメントは、例えば、コード配列またはさらに別の遺伝子を含み得る大きな一片のDNAから単離され得る。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって達成されて、適切なDNAフラグメントが生成され、続いて、適切なアガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に公知の他の方法を用いて単離され得る。この目的を達成する適切な酵素の選択は、当業者に容易に明らかである。
【0136】
複製起点は、代表的には、市販されるこれらの原核生物発現ベクターの一部であり、その複製機点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を補助する。選択されたベクターが複製部位の基点を含まない場合、既知の配列に基づいて化学的に合成され得、ベクターに連結され得る。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)に由来する複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適切であり、種々のウイルス複製起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはパピローマウイルス(例えば、HPVもしくはBPV))が、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、その複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターには必ずしも必要とされるわけではない(例えば、そのSV40起点は、しばしば、ウイルス初期プロモーターもまた含むためだけに使用される)。
【0137】
転写終結配列は、代表的にポリペプチドコード領域の末端の3’側に配置され、そして転写を終結させるのに役立つ。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cリッチフラグメント、続いてポリ−T配列である。この配列はライブラリーから容易にクローン化されるか、またはベクターの一部として市販されるが、これはまた、本明細書中に記載されるもののような核酸合成のための方法を使用して容易に合成され得る。
【0138】
選択マーカー遺伝子は、選択培養培地において増殖される宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。代表的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物宿主細胞に対して、抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシン)に対する耐性を与えるか;(b)細胞の栄養要求性の欠損を補うか;あるいは(c)あるいは複合培地もしくは規定の
培地から入手可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。好ましい選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞における選択のために使用され得る。
【0139】
他の選択遺伝子は、発現される遺伝子を増幅するために使用され得る。増幅は、増殖もしくは細胞生存に重要なタンパク質の産生により大きく要求される遺伝子が、組換え細胞の連続して生成される染色体内に一般にタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に対する適切な選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびプロモーターなしのチミジンキナーゼが挙げられる。哺乳動物細胞形質転換体は、選択圧下に置かれ、ここで、形質転換体のみが、ベクターに存在する選択遺伝子によって生存するように独特に適合される。選択圧は、培地中の選択因子の濃度が連続的に変化し、それによって選択遺伝子と別の遺伝子(例えば、IL−1R1ポリペプチド含有ベクター)をコードするDNAとの両方の増幅を導く条件下で、形質転換された細胞を培養することによって課される。結果として、増加した量のポリペプチド(例えば、IL−1R1ポリペプチド)が、増幅されたDNAから合成される。
【0140】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、そしてシャイン−ダルガーノ配列(原核性物)またはKozak配列(真核生物)によって特徴付けられる。このエレメントは、代表的に、発現されるポリペプチドのプロモーターの3’側およびコード配列の5’側に配置される。
【0141】
グリコシル化が真核生物宿主細胞発現系において望ましいようないくつかの場合において、グリコシル化または収量を改善するために種々のプレ配列(presequence)またはプロ配列(prosequence)が操作され得る。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更し得るかまたはプロ配列を加え得、これはまた、グリコシル化に影響し得る。最終タンパク質産物は、−1位に(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)、発現に付随して1つ以上のさらなるアミノ酸を有し得、これは、完全に除去されないかもしれない。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に結合される、ペプチダーゼ切断部位において見出される1つまたは2つのアミノ酸残基を有し得る。あるいは、いくつかの酵素切断部位を使用すると、酵素が成熟ポリペプチド内のこのような領域を切断する場合、所望のポリペプチドの少し短縮した形態が生じ得る。
【0142】
本発明の発現ベクターおよびクローニングベクターは、代表的には、宿主生物によって認識され、抗IL−1R1抗体をコードする分子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般的に、約100〜1000bp内)の開始コドンに対して上流(すなわち、5’側)に配置される非転写配列である。プロモーターは、従来から、2つのクラス(誘導プロモーターおよび構成プロモーター)のうちの1つにグループ化されている。誘導プロモーターは、培養条件におけるいくらかの変化(例えば、栄養の存在または非存在、あるいは温度の変化)に応答してそれらの制御下で、DNAからの増加したレベルの転写を開始する。他方、構成プロモーターは、連続的な遺伝子産物の産生を開始する;すなわち、遺伝子発現に対して遺伝子をほとんど制御しないかまたは制御しない。多数のプロモーター(種々の潜在的な宿主細胞によって認識される)が周知である。適切なプロモーターは、供給源のDNAからプロモーターを制限酵素消化によって取り出し、そして所望のプロモーター配列をベクターに挿入することによって、本発明の抗IL−1R1抗体を含む、重鎖または軽鎖をコードするDNAに作動可能に連結される。
【0143】
酵母宿主との使用に適切なプロモーターはまた、当該分野で周知である。哺乳動物宿主細胞との使用に適したプロモーターは、当該分野で周知であり、ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥類肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40))のゲノムから得られるプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な哺乳動物プロモーターとしては、異種哺乳動物プロモーター(例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーター)が挙げられる。
【0144】
関心があり得るさらなるプロモーターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−10);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら,1980,Cell 22:787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−45);メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,1982,Nature 296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターのような原核生物発現ベクター(Villa−Kamaroffら,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:3727−31);またはtacプロモーター(DeBoerら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:21−25)。組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域もまた関心がある:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら,1984,Cell 38:639−46;Ornitzら,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409(1986);MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22);リンパ球において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら,1984,Cell 38:647−58;Adamesら,1985,Nature 318:533−38;Alexanderら,1987,Mol.Cell.Biol.,7:1436−44);精巣、乳房、リンパ球、および肥満細胞において活性なマウス乳腺癌ウイルス制御領域(Lederら,1986,Cell 45:485−95);肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら,1987,Genes and Devel.1:268−76);肝臓において活性なα−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−48;Hammerら,1987,Science 235:53−58);肝臓において活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら,1987,Genes and Devel.1:161−71);骨髄性細胞において活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら,1985,Nature 315:338−40;Kolliasら,1986,Cell 46:89−94);脳の稀突起神経膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら,1987,Cell 48:703−12);骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86);ならびに視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら,1986,Science 234:1372−78)。
【0145】
エンハンサー配列は、より高等な真核生物によって本発明のIL−1R1抗体を含む、軽鎖および重鎖をコードするDNAの転写を増加するように、ベクターに挿入され得る。エンハンサーは、転写を増加させるためにプロモーターに作用する、通常約10〜300bpの長さのDNAのシス作用エレメントである。エンハンサーは、相対的な方向および位置には無関係である。これらは、転写単位に対して5’側および3’側に見出された。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインシュリン)。しかし、代表的には、ウイルス由来のエンハンサーが、使用される。当該分野で公知のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化に関する例示的な増強エレメントである。エンハンサーは、核酸分子に対して5’位または3’位でベクターにスプライシングされ得るが、代表的には、プロモーターから5’位側の部位に配置される。
【0146】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターのような開始ベクターから構築され得る。このようなベクターは、全ての所望な隣接配列を含んでも良いし、含まなくても良い。本明細書中に記載される隣接配列の1つ以上がすでにベクター内にない場合、これらは、個々に得られ得、ベクターに連結され得る。隣接配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0147】
ベクターが構築され、そして抗IL−1R1抗体を含む、軽鎖または重鎖をコードする核酸分子がベクターの適切な部位に挿入された後に、完全なベクターが増幅および/またはポリペプチド発現に適切な宿主細胞に挿入され得る。抗IL−1R1抗体に対する発現ベクターの選択された宿主細胞への形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の公知の技術を含む周知の方法によって達成され得る。選択される方法は、一部、使用される宿主細胞の型の機能に依存する。これらの方法および他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら、上記に記載される。
【0148】
宿主細胞は、適切な条件下で培養される場合、抗IL−1R1抗体を合成し、この抗体は、続いて、培養培地から(宿主細胞がその抗体を培地に分泌する場合)収集され得るか、直接その抗体を産生する宿主細胞から収集される(その抗体が分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾、および生物学的に活性な分子に折り畳まれる容易さなどの種々の要因に依存する。
【0149】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当該分野において周知であり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アメリカンタイプカルチャーコレクション(A.T.C.C.)から入手可能な多くの不死化細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep2)、および多くの他の細胞株。特定の実施形態において、どの細胞株が高発現レベルを有するかを決定することによって選択され、構成的IL−1R1結合特性を有する抗体が生成され得る。別の実施形態において、それ自身の抗体を生成しないが、異種抗体(例えば、マウス骨髄腫細胞株NS0およびSP2/0)を作製および分泌する能力を有する、B細胞系統に由来する細胞株が選択され得る。
【0150】
本発明の抗体は、生物学的サンプル中のIL−1R1を検出し、IL−1R1タンパク質を生成する細胞または組織を同定するために有用である。IL−1R1に結合し、
別の結合化合物との相互作用をブロックする上記の抗体は、IL−1媒介性疾患を調節するにあたって治療的用途を有する。好ましい実施形態において、IL−1R1に対する抗体は、IL−1βまたはIL−1αに対するIL−1R1結合をブロックし得、これは、IL−1シグナル伝達カスケードの破壊を生じ得る。
【0151】
IL−1R1に特異的に結合する本発明の抗体は、以下で議論されるように、IL−1媒介性疾患の処置において有用であり得る。上記の抗体は、IL−1R1結合およびIL1−1R1が、IL−1βおよびIL−1Rアクセサリタンパク質(IL−1RAcP)との複合体、またはIL−1αおよびIL−1RacPとの複合体を形成しないように阻害する能力を検出する結合アッセイにおいて使用され得る。
【0152】
特定の実施形態において、本発明は、IL−1媒介性炎症反応またはIL−1媒介性免疫調節性反応と関連する医学的障害を処置するための方法を提供する。本発明の方法は、本発明の抗IL1R1抗体を、IL−1によって媒介される炎症性疾患または免疫調節性疾患に罹患した固体に投与する工程を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「疾患(illness)」、「疾患(disease)」、「医学的状態」、または「異常な状態」とは、用語「医学的障害」と交換可能に使用される。
【0153】
特定の実施形態において、本発明の方法は、本発明の抗IL−1R1抗体を患者に投与し、それによって、IL−1がその細胞表面レセプター(IL−1R1)に結合しないようにする工程を包含する。
【0154】
IL−1の異常もしくは過剰な発現または異常なもしくは過剰なIL−1シグナル伝達によって特徴づけられる医学的障害を処置するために、本発明のIL−1R I型抗体は、その障害の重篤度を反映する少なくとも1つの指標において持続する改善を誘導するに十分な量および時間で患者に投与される。改善は、その患者が1〜4週間隔てて少なくとも2回の機会で改善を示す場合、「持続性」とみなされる。改善の程度は、徴候または症状に基づいて決定され、患者に与えられる質問票(例えば、生活の質(クオリティーオブライフ)の質問票)もまた使用し得る。
【0155】
患者の疾患の程度を反映する種々の指標は、処置の回数および時間が十分であるか否かを決定するために評価され得る。選択された指標のベースライン値は、第1の用量の抗体の投与の前に患者の検査によって確立される。好ましくは、ベースライン検査は、第1の用量を投与する約60日間以内に行われる。そのIL−1R抗体が、急性症状を処置するため(例えば、外傷による傷害(外傷による膝の傷害、発作、頭部傷害など)を処置するために)投与されている場合、その第1の用量は、その傷害または事象が起こった後実質的にできるだけ早く投与される。
【0156】
改善は、その患者が選択された指標についてのベースラインを超える改善を発現するまで1用量の抗体を繰り返し投与することによって誘導される。慢性状態を処置するにあたって、この改善の程度は、少なくとも1ヶ月以上の期間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月以上、あるいは無期限に)にわたっってこの医薬品を繰り返し投与することによって得られる。1〜6習慣の期間、または1用量ですら、しばしば、急性状態を処置するには十分である。
【0157】
処置後の患者の疾患の程度が、1つ以上の指標西に従って改善されたとみられ得るとはいえ、処置は、同じレベルでまたは減少した用量もしくは頻度で無期限に継続され得る。いったん処置が減らされるかまたは中止されると、後に、症状が再び現れた場合に、その元のレベルで再開され得る。
【0158】
任意の有効な経路の投与が、抗体を治療的に投与するために使用され得る。その抗体は、ボーラス注射によって、もしくは連続注入によって、関節内経路、静脈内経路、筋肉内経路、病変内経路、腹腔内経路、頭蓋内経路、吸入経路もしくは皮下経路を介して注射され得る。例えば、肺疾患は、経鼻的方法および吸入法を包含し得る。投与のための他の適切な手段としては、インプラントからの持続性放出、エアロゾル吸入、点眼、経口調製物(丸剤、シロップ、トローチ剤、またはチューイングガムが挙げられる)、および局所的調製物(例えば、ローション剤、ゲル剤、噴霧剤、軟膏剤、または他の適切な技術)が挙げられる。吸入による投与は、肺障害に関連する疾患を処置する場合に特に有益である。
【0159】
本発明の一実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体は、1ヶ月に1回投与され得る。別の実施形態において、その抗体は、2週間ごとに1回または1週間に1回投与されて、本明細書中に開示される種々の医学的障害が処置される。なお別の実施形態において、その抗体は、1週間に少なくとも2回投与され、別の実施形態において、1日に少なくとも1回投与される。成人患者はとは、18歳以上のヒトである。注射される場合、成人の1用量あたりの有効量は、1〜200mg/m2、または1〜40mg/m2または約5〜25mg/m2の範囲である。あるいは、均一な用量が投与され得、その量は、2〜400mg/用量、2〜100mg/用量または約10〜80mg/用量の範囲であり得る。その用量が1週間あたり1回を超えて投与されるべき場合、例示的な用量範囲は、前述の用量と同じであるかまたはそれ以下である。本発明の一実施形態において、その以下に記載される種々の指標は、80〜100mg/用量のIL−1レセプター抗体を含む注射、または代わりに、80mg/用量を含む注射のために受容可能な調製物を投与することによって処置される。その用量は、繰り返して投与される。注射以外の投与経路が使用される場合、その用量は、標準的な医学的慣行に従って適切に調節される。例えば、投与経路が吸入である場合、投薬は、10mg/用量〜50mg/用量の範囲の用量において、1週間に1〜7回であり得る。
【0160】
好ましい実施形態において、本発明はまた、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、保存剤および/またはアジュバントとともに、治療上有効量の1つ以上の本発明の抗体を含む薬学的組成物を提供する。好ましくは受容可能な処方材料は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性である。好ましい実施形態において、治療上有効量の抗IL−1R1抗体を含む薬学的組成物が提供される。
【0161】
特定の実施形態において、その薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、清澄性、色、等張性、におい、無菌性、安定性、解離もしくは放出の速度、吸着、または透過を改変、維持または保存するための処方物材料を含み得る。このような実施形態において、適切な処方物材料としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン);抗菌剤;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム(sodium hydrogen−sulfite));緩衝液(例えば、ホウ酸塩、炭酸水素酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸)、バルク剤(例えば、マンニトールまたはグリシン);キレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(complexing agent)(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、増量剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);着色剤;矯味矯臭剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック(pluronic)、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、トリトン、トリメタミン、レシチン、コレステロールまたはチロキサポール(tyloxapal));安定性増強剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);張度増強剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、またはマンニトール、ソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的なアジュバント。Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版,A.R.Gennaro編),1990,Mack Publishing Companyを参照のこと。
【0162】
特定の実施形態において、最適な薬学的組成物は、当業者によって、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望の投薬量に依存して決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出を参照のこと。特定の実施形態において、このような組成物は、本発明の抗体の、物理的な状態、安定性、インビボ放出の速度、およびインビボクリアランスの速度に影響し得る。
【0163】
特定の実施形態において、薬学的組成物における主要なビヒクルまたはキャリアは、自然状態では、水性または非水性のいずれかであり得る。例えば、適切なビヒクルまたはキャリアは、注射用水、生理食塩水溶液、または人工脳脊髄液であり得、非経口投与のための組成物において一般的な他の材料で補充され得る。中性の緩衝化生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、これはさらに、ソルビトールまたは適切な置換物を含み得る。本発明の特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体組成物は、所望の程度の純度を有する選択された組成物を、任意の処方薬剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences,前出)と混合することによって、凍結乾燥ケークまたは水溶液の形態で、保存のために調製され得る。さらに、特定の実施形態において、抗IL−1R1抗体産物は、スクロースのような適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として処方され得る。
【0164】
本発明の薬学的組成物は、非経口送達のために選択され得る。その組成物は、吸入または消化管を介する送達(例えば、経口)のために、選択され得る。このような薬学的に受容可能な組成物の調製は、当該分野の技術の範囲内にある。
【0165】
処方成分は、好ましくは、投与の部位に受容可能な濃度で存在する。特定の実施形態において、緩衝液は、生理学的pHまたはわずかにより低いpH(代表的には、約5〜約8のpH範囲内)にこの組成物を維持するために使用される。
【0166】
非経口投与が意図される場合、本発明における使用のための治療組成物は、薬学的に受容可能なビヒクルに所望の抗IL−1R1抗体を含む、発熱物質を含まない非経口的に受容可能な水溶液の形態で提供され得る。非経口注入のために特に適切なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、ここで、抗IL−1R1抗体は、滅菌の等張溶液として処方され、適切に保存される。特定の実施形態において、その調製物は、所望の分子と、薬剤(例えば、注入可能なミクロスフェア、生体内腐食可能(bio−erodible)粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソーム)との処方物に関し得、これは、次いでデポー注射を介して送達され得る産物の制御放出または持続放出を提供し得る。特定の実施形態において、ヒアルロン酸もまた使用され得、そしてこれは、循環における持続時間を促進する効果を有し得る。特定の実施形態において、所望の抗体分子の導入のために、移植可能な薬物送達ビヒクルが使用され得る。
【0167】
薬学的組成物は、吸入のために処方され得る。これらの実施形態において、抗IL−1R1抗体は、吸入のための乾燥粉末として処方され得る。好ましい実施形態において、抗IL−1R1抗体の吸入溶液はまた、エアロゾル送達のための噴霧剤と共に処方され得る。特定の実施形態において、溶液は、噴霧され得る。肺投与が、国際特許公開番号WO94/20069(本明細書中に参考として援用される)にさらに記載され、これは化学的に改変されたタンパク質の肺送達を記載する。
【0168】
特定の処方物が、経口投与され得ることもまた意図される。このよう様式で投与される抗IL−1R1抗体が、固体投薬形態(例えば、錠剤またはカプセル)の調合において慣用的に使用されるキャリアを伴うか、または伴わず処方され得る。特定の実施形態において、カプセルは、バイオアベイラビリティーが最大化され、そして前全身的分解(pre−systemic degradation)が最小化される場合に胃腸管内の時点で処方物の活性部分を放出するように設計され得る。さらなる薬剤が、抗IL−1R1抗体の吸収を容易にするために含まれ得る。希釈剤、矯味矯臭剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた使用され得る。
【0169】
本発明の薬学的組成物は、錠剤の製造に適切な非毒性賦形剤との混合物中に、1つまたは複数の有効量の抗IL−1R1抗体を含むように提供され得る。錠剤を滅菌水または別の適切なビヒクルに溶解することによって、溶液が、単位用量形態で調製され得る。適切な賦形剤としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:不活性な希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム、ラクトース、あるいはリン酸カルシウム);または結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア);あるいは滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)。
【0170】
さらなる薬学的組成物は、当業者に明らかであり、持続送達処方物または制御送達処方物中に抗IL−1R1抗体を含む処方物を含む。種々の他の持続送達手段または制御送達手段(例えば、リポソームキャリア、生体内腐食可能な微粒子あるいは多孔性ビーズおよびデポー注射)を処方するための技術はまた、当業者に公知である。例えば、国際特許公開番号WO93/15722(本明細書中に参考として援用される)(これは、薬学的組成物の送達のための多孔性ポリマー性微粒子の制御放出を記載する)を参照のこと。徐放性調製物は、成形された物品の形態(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)の半透過性ポリマーマトリクスを含み得る。徐放性マトリクスとしては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開番号第058481号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとのコポリマー(Sidmanら,1983,Biopolymers 22:547−56)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレンビニルアセテート(Langerら,前出)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第133988号)が挙げられ得る。徐放性組成物はまた、リポソームを含み得、これは、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製され得る。例えば、Eppsteinら,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−92;および欧州特許出願公開番号第036676号、同第088046号、および同第143949号を参照のこと。
【0171】
インビボ投与のために使用される薬学的組成物は、代表的に滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を介する濾過によって達成され得る。組成物が、凍結乾燥される場合、この方法を使用する滅菌は、凍結乾燥および再構築の前または後のいずれかで実施され得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥された形態または溶液で保存され得る。非経口組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器(例えば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアル)内に配置される。
【0172】
一旦、薬学的組成物が処方されると、それは、滅菌バイアル中に溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、または乾燥粉末または凍結乾燥粉末として保存され得る。このような処方物は、すぐに使用できる形態または投与の前に再構成を必要とする形態(例えば、凍結乾燥された)のいずれかで保存され得る。
【0173】
本発明はまた、単回用量投与単位を生成するためのキットを提供する。本発明のキットは、各々、乾燥タンパク質を有する第一の容器および水性処方物を有する第二の容器の両方を含み得る。本発明の特定の実施形態において、単室および多室の予め充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe))を含むキットが含まれる。
【0174】
治療的に使用される抗IL−1R1抗体含有薬学的組成物の有効量は、例えば、治療の内容および目的に依存する。処置のための適切な投薬レベルが、部分的に、送達される分子、抗IL−1R1抗体が使用される適応症(indication)、投与の経路、および患者のサイズ(体重、体表面、または器官のサイズ)および状態(年齢および全身的な健康状態)に依存して変化することが、当業者に理解される。特定の実施形態において、医師は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定(titer)し得、投与経路を改変し得る。代表的な投薬量は、上記の因子に依存して、約0.1μg/kg〜約100mg/kgまたはそれより多い範囲であり得る。好ましい実施形態において、投薬量は、0.1μg/kg〜約100mg/kg;より好ましくは1μg/kg〜約100mg/kg;またはなおより好ましくは、5μg/kg〜約100mg/kgの範囲であり得る。
【0175】
投薬の頻度は、使用される処方物中での特定の抗IL−1R1抗体の薬物動態学的パラメーターに依存する。典型的に、医師は、所望の効果を達成する投薬量に達するまでその組成物を投与する。従って、その組成物は、長期にわたる単回用量として、2以上の用量(これは、同量の所望の分子を含んでも、含まなくてもよい)として、あるいは移植デバイスまたはカテーテルを介する連続的な注入として、投与され得る。適切な投薬量のさらなる改良は、当業者によって慣用的になされ、そして当業者によって慣用的に実施される作業の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量−応答データの使用を介して確認され得る。
【0176】
薬学的組成物の投与の経路は、以下のような公知の方法に従う:例えば、経口的に、静脈内、腹腔内、大脳内(実質内の)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内の経路による注入を介して;徐放系によって;または移植デバイスによって。特定の実施形態において、これらの組成物は、ボーラス注射によって投与され得るか、または注入によって連続的に投与され得るか、または移植デバイスによって投与され得る。
【0177】
その組成物は、所望の分子が吸収されるかまたはカプセル化される膜、スポンジ、または他の適切な材料の移植を介して局所的に投与され得る。特定の実施形態において、移植デバイスが使用される場合、このデバイスは、任意の適切な組織または器官に移植され得、そして所望の分子の送達は、拡散、時限放出ボーラスまたは連続的な投与を介し得る。
【0178】
エキソビボで、本発明に従う抗IL−1R1抗体の薬学的組成物を使用することが所望され得る。このような例において、患者から取り出された細胞、組織、または器官は、これらの細胞、組織、および/または器官が引き続いて患者に移植して戻された後に、抗IL−1R1抗体薬学的組成物に曝露される。
【0179】
特に、抗IL−1R1抗体は、本明細書中に記載されるような方法を使用して、遺伝的に操作されてそのポリペプチドを発現および分泌する特定の細胞を移植することによって送達され得る。特定の実施形態において、このような細胞は、動物またはヒトの細胞であり得、そして自己、異種(heterologous)、または異種間(xenogeneic)であり得る。特定の実施形態において、細胞は、不死化され得る。他の実施形態において、免疫学的応答の機会を減少するために、細胞は、周囲の組織の浸潤を回避するために、カプセル化され得る。さらなる実施形態において、カプセル化材料は、代表的には、生体適合性の半透性ポリマー性包囲物または膜であり、これらは、タンパク質産物の放出を可能にするが、患者の免疫系または周囲の組織からの他の有害な因子による細胞の破壊を防止する。
【0180】
特定の実施形態において、本発明は、同じ患者に投与される1つ以上の他の薬物と同時に、抗IL−1R1抗体または本発明の薬学的組成物の投与をさらに包含し、各薬物は、その医薬品に適切なレジメンに従って投与される。このことは、予備処置、同時処置、連続処置、および交互のレジメンを包含する。このような薬物の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗ウイルス剤、抗生物質、鎮痛剤、コルチコステロイド、炎症性サイトカインのアンタゴニスト、疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)、および非ステロイド性抗炎症剤。
【0181】
他の実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物は、他のサイトカインインヒビター(例えば、RANKL、TGFβ、IFNγ、IL−6またはIL−8およびTNF(特に、TNFα)を拮抗するものを含む)と組み合わせて投与され得る。IL−6と組み合わせて、本発明の抗体は、発作(GABAAレセプター拮抗作用によって誘導される発作、EEG発作性エピソードおよび痙攣性重積状態の間に起こる運動辺縁系発作と関連する発作を含む)の再発を処置または予防するために使用され得る。IFNγインヒビターと組み合わせて、本発明の抗体は、突発性肺線維症および嚢胞性線維症を処置するにあたって有用である。IL−1レセプター抗体とRANKLインヒビター(例えば、RANKL抗体)の組み合わせは、種々の状況において骨の破壊を予防するために有用であり、これらの状況としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々のリウマチ性障害、骨粗鬆症、多発性骨髄腫または骨の分解を引き起こす他の悪性疾患、または骨への転移の予防を補助する抗腫瘍治療、またはプロテーゼの摩損片または歯周炎と関連する骨の破壊。さらに、本発明の抗体は、このような可溶性形態のIL−17レセプター(例えば、IL−17R:Fc)またはIL−17抗体もしくはIL−17R抗体、IL−18結合タンパク質、可溶性形態のIL−18レセプター、およびIL−18抗体、IL−18レセプターに対する抗体またはCD30−リガンドに対する抗体もしくはCD4に対する抗体を、IL−17インヒビターと組み合わせて投与され得る。
【0182】
本発明はさらに、本明細書中に開示される医学的障害を処置するにあたって、TNFインヒビター(好ましくはTNFR:Fc(ENBREL(登録商標))および併用療法における活性剤である上記のサイトカインもしくはサイトカインインヒビターの任意の組み合わせ)と組み合わせて、本発明の抗IL1R1抗体または薬学的組成物を使用するための方法を包含する。例えば、本発明に従って、併用治療法は、慢性関節リウマチ、発作、喘息、乾癬などを処置するために使用され得る。
【0183】
本明細書中に記載される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物により有効に処置される状態としては、肺疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺胞タンパク質症、ブレオマイシン誘導性肺臓炎および線維症、照射誘導性肺線維症、嚢胞性線維症、肺におけるコラーゲン蓄積、およびARDSが挙げられ、これらの全ては、IL−1Rに対する抗体ならびにIL−4インヒビターおよび/またはIL−13インヒビター(例えば、IL−13活性およびIL−4活性を阻害するIL−4R抗体)の組み合わせで処置され得る。本発明の、開示される抗体および薬学的組成物はまた、気管支肺異形性(BPD);慢性閉塞性肺疾患(例えば、肺気腫および慢性気管支炎)、および早産児の慢性線維性肺疾患を処置するために有用である。さらに、本発明の化合物、組成物および併用療法は、職業性肺疾患(石綿症、炭坑夫塵肺、珪肺症または微細な粒子に対する長期の曝露と関連した類似の状態が挙げられる)を処置するために使用される。本発明の他の局面において、開示される化合物、組成物および併用療法は、気管支閉塞(bronchioliterans)組織化肺炎、肺線維症(突発性肺線維症および照射誘導性肺線維症が挙げられる);肺類肉腫;およびアレルギー(アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、および喘息が挙げられる)を処置するために使用される。
【0184】
このような組み合わせは、種々の皮膚障害(疱疹状皮膚炎(デューリング病)、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、蕁麻疹(慢性突発性蕁麻疹が挙げられる)、および自己免疫疾患水疱疾患(blistering diseases)(尋常性天疱瘡および水疱性類天疱瘡が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない)に罹患する患者を処置するためにも有用である。IL−1R抗体とIL−4インヒビターおよび/またはIL−13インヒビターとの組み合わせで処置可能な他の疾患としては、重症筋無力症(myesthenia gravis)、類肉腫(肺類肉腫、強皮症、反応性関節炎、過剰IgE症候群、多発性硬化症、および突発性過剰好酸球症候群が挙げられる)が挙げられる。その組み合わせは、投薬に対して、およびアレルギー免疫療法に対する補助として、アレルギー性反応を処置するために使用される。
【0185】
本明細書中に記載されるIL−1レセプター抗体および薬学的組成物は、原生動物性疾患(マラリアおよび住血吸虫症が挙げられる)を処置するために、および癩性結節性紅斑;細菌性髄膜炎またはウイルス性髄膜炎;結核(肺結核が挙げられる);ならびに細菌感染もしくはウイルス感染(インフルエンザ感染および感染性単球増加症が挙げられる)に二次的な肺炎を処置するために有用である。
【0186】
心血管障害および心血管傷害は、開示される、薬学的組成物、または抗IL1−R1抗体単独もしくは他のサイトカインインヒビターと組み合わせてかのいずれかで処置可能であるか、そして/または予防可能である。処置可能な心血管障害としては、大動脈動脈瘤(腹部大動脈動脈瘤が挙げられる)、急性冠状血管症候群(coronary syndrome)、動脈炎;血管閉塞(大脳動脈閉塞が挙げられる);冠動脈バイパス手術の合併症;虚血/再灌流傷害;心臓疾患(アテローム動脈硬化性心臓疾患が挙げられる)、心筋炎(慢性自己免疫心筋炎およびウイルス性心筋炎が挙げられる);心不全(慢性心不全、うっ血性心不全、心不全の悪液質が挙げられる);心筋梗塞;心臓手術後または頸動脈バルーン手術血管形成術手順後の再狭窄および/またはアテローム硬化症;無症状の心筋虚血;左心室ポンプ機能不全、左心室補助デバイスの移植後合併症;レイノー現象;血栓静脈炎;脈管炎(川崎脈管炎が挙げられる);静脈閉塞疾患、巨細胞動脈炎、ヴェゲナー肉芽腫症;心肺バイパス手術後の心的混乱、およびシェーライン−ヘノッホ紫斑病が挙げられる。
【0187】
特定の実施形態において、本発明の抗IL−1R1抗体および薬学的組成物はまた、慢性疼痛状態(例えば、慢性骨盤疼痛(慢性前立腺炎/骨盤疼痛症候群が挙げられる)およびヘルペス後疼痛)を処置するために使用され得る。
【0188】
若年発症性糖尿病(自己免疫真性糖尿病およびインスリン依存型の糖尿病を含む)および成人型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病および肥満媒介性糖尿病を含む)を含む内分泌系の障害はまた、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置され得る。このような処置は、糖尿病と関連する二次的状態(例えば、糖尿病患者における糖尿病性網膜症、腎臓移植拒絶、肥満媒介性インスリン抵抗性、および腎不全)(その二次的状態それ自体は、タンパク尿および高血圧と関連し得る)を含む。他の内分泌障害はまた、これらの化合物で処置可能であり、多嚢胞性卵巣疾患、X染色体連鎖副腎白質ジストロフィー、恒常性機能低下症および甲状腺炎(橋本甲状腺炎(すなわち、自己免疫甲状腺炎)が挙げられる)、甲状腺細胞機能不全(甲状腺機能正常病態症候群が挙げられる)が挙げられる。
【0189】
胃腸系の状態は、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて処置可能または予防可能である。これらの状態としては、セリアック病、クローン病;潰瘍性大腸炎;突発性胃不全麻痺;膵炎(慢性膵炎が挙げられる);急性膵炎、炎症性腸疾患および潰瘍(胃潰瘍および十二指腸潰瘍が挙げられる)が挙げられる。
【0190】
尿生殖器系の障害はまた、本明細書中に記載される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能である。このような障害としては、糸球体腎炎(自己免疫糸球体腎炎、毒素への曝露に起因する糸球体腎炎または溶血性レンサ球菌感染もしくは他の感染性因子による感染に二次的な糸球体腎炎が挙げられる)が挙げられる。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能なものは、尿毒性症候群およびその臨床的合併症(例えば、腎不全、貧血、および肥大型心筋症)であり、これらとしては、環境的な毒素、薬物もしくは他の原因に対する曝露に関連する尿毒性症候群が挙げられる。吸収機能における変化をもたらす胆嚢壁の炎症から生じる合併症は、本発明の抗体で処置可能または予防可能である。このような合併症に含まれるのは、胆石症(胆石)および総胆管結石症(choliedocholithiasis)(胆管石)ならびに胆石症および総胆管結石症の再発である。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能なさらなる状態は、血液透析の合併症;良性前立腺肥大を含む前立腺の状態、非細菌性の前立腺炎および慢性前立腺炎;ならびに血液透析の合併症である。
【0191】
本明細書中に提供されるのはまた、本発明の抗IL−1R1抗体、組成物、および併用療法を使用して、種々の血液学的障害および腫瘍学的障害を処置するための方法である。例えば、抗IL−1R1抗体は、単独でまたは他のサイトカインインヒビターもしくは他の活性薬剤との組み合わせにおいて、上記に記載されるように、癌の種々の形態(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、エプスタイン−バーウイルス陽性鼻咽頭癌腫、神経膠腫、結腸癌、胃癌、前立腺癌、腎細胞癌、子宮頚癌、および卵巣癌、肺癌(SCLCおよびNSCLC)を処置するために使用され得、癌関連悪液質、疲労、無力症、悪液質の腫瘍随伴症候群および高カルシウム血症が挙げられる。固形腫瘍(肉腫、骨肉腫、および癌腫(例えば、腺癌(例えば、乳癌))ならびに扁平上皮細胞癌もまた処置可能である。さらなる処置可能な癌としては、食道癌、胃癌、胆嚢癌腫、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、慢性または急性リンパ芽球性白血病およびヘアリー細胞白血病が挙げられる)が挙げられる。多発性骨髄腫を含む、侵襲性転移能を有する他の悪性疾患は、本発明の化合物、組成物および併用療法で処置され得る。
【0192】
さらに、開示される抗IL−1R1抗体は、貧血および血液学的障害を処置するために使用され得、これらの血液学的障害としては、慢性突発性好中球減少症、慢性疾患の貧血、再生不良性貧血(ファンコーニ再生不良性貧血が挙げられる);突発性血小板減少性紫斑病(ITP);血栓性血小板減少性紫斑病、骨髄異形性症候群(不応性貧血、鉄芽球性不応性貧血、過剰な芽細胞を有する不応性貧血、形質転換における過剰な芽球を有する不応性貧血が挙げられる);骨髄線維症/骨髄化生;および鎌状赤血球血管閉塞発症が挙げられる。
【0193】
種々のリンパ増殖性障害はまた、本発明の抗IL−1R1抗体で処置可能であり、これらのとしては
自己免疫リンパ増殖性症候群(ALPS)、慢性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、慢性リンパ性白血病、末梢性T細胞リンパ腫、小リンパ球リンパ腫、外套細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、エプスタイン−バーウイルス陽性T細胞リンパ腫、組織球性白血病、ホジキンリンパ腫、びまん性攻撃性リンパ腫(diffuse aggressive lymphoma)、急性リンパ性白血病、Tγリンパ増殖性疾患、皮膚浸潤性B細胞リンパ腫、皮膚浸潤性T細胞リンパ腫(すなわち、菌状息肉腫)およびセザリー症候群が挙げられる。
【0194】
遺伝性状態(例えば、ゴシェ病、ハンチントン舞踏病、線形IgA疾患(linear IgA disease)、および筋ジストロフィー)は、本発明の抗体で処置可能である。
【0195】
開示されるIL−1レセプター抗体または薬学的組成物により処置可能または予防可能である他の状態としては、頭部または脊髄に対する傷害から生じるもの(頭部に対する外傷に起因する硬膜下血腫を含む)が挙げられる。この治療に関連して、記載される組成物および組み合わせは、頭蓋神経学的損害を予防するため、ならびに頸椎性頭痛を予防および処置するために適している。記載される組成物および組み合わせは、脳の照射と関連する神経学的副作用を処置するためにさらに適している。
【0196】
本発明の抗IL−1R1抗体および薬学的組成物はまた、肝炎(急性アルコール性肝炎、急性薬物誘導性肝炎もしくはウイルス性肝炎、A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎、硬化性胆管炎、肝シヌソイド上皮、および未知の原因に起因する肝臓の炎症が挙げられる)のような肝臓の状態を処置するために有用である。
【0197】
聴力喪失を含み、異常なIL−1発現と関連する障害は、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能である。このような障害は、自己免疫プロセスから生じると考えられる蝸牛神経関連聴力喪失(すなわち、自己免疫聴力喪失)が挙げられる。本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能なのはまた、メニエール症候群およびコレステリン腫、しばしば聴力喪失に関連する中耳障害である。
【0198】
骨および関節の非関節性障害はまた、本明細書中に記載の抗体で処置可能である。これは、骨喪失をもたらす破骨障害(例えば、骨粗鬆症(閉経後骨粗鬆症、変形性関節炎、歯の弛緩もしくは喪失から生じる歯周炎、および関節置換後に弛緩したプロテーゼ(骨粗鬆症(一般に、摩損片に対する炎症応答と関連している)が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる))を包含する。この後者の状態はまた、「整形外科的インプラント骨軟化」といわれる。本発明の化合物、組成物および併用療法で処置可能な別の状態は、一時的な下顎関節機能不全(TMJ)である。
【0199】
本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物はまた、リウマチ性障害(成人性慢性関節リウマチおよび若年性慢性関節リウマチが挙げられる);強皮症;全身性エリテマトーデス;痛風;変形性関節症;リウマチ性多発筋痛症;血清反応陰性脊椎関節炎(強直性脊椎炎、およびライター病、乾癬性関節炎および慢性ライム関節炎が挙げられる)を処置するために使用され得る。本発明の抗体はまた、随意筋および他の筋肉の炎症(nflammation)(皮膚筋炎、封入体筋炎、多発性筋炎、およびリンパ脈管筋腫症(lymphangioleimyomatosis)が挙げられる)を処置するために有用である。
【0200】
本発明の抗体および薬学的組成物の別の使用は、種々の状態(アルツハイマー病、二次的な反応性アミロイドーシス;ダウン症候群;および透析関連アミロイドーシスが挙げられる)に特徴的である原発性アミロイドーシスおよび二次的アミロイドーシスの処置および/または予防である。本発明の抗体または薬学的組成物で処置可能なのはまた、遺伝性周期熱症候群(家族性地中海熱、高IgD症候群および周期熱症候群が挙げられる)およびTNFレセプター関連周期性症候群(TRAPS)である。
【0201】
他の実施形態において、本発明の抗体または薬学的組成物は、皮膚または粘膜に関する障害を処置するために使用され得る。このような障害としては、棘解離病(acantholytic diseases)(ダリエー病、毛包性角化症および尋常性天疱瘡が挙げられる)が挙げられる。本発明の抗体を使用して処置され得るさらなる皮膚障害としては、座瘡、酒さ性座瘡、円形脱毛症、アフタ性口内炎、水疱性類天疱瘡、熱傷、湿疹、紅斑(多形性紅疹および水疱性多形紅斑(スチーブンス・ジョンソン症候群が挙げられる)、炎症性皮膚疾患、扁平苔癬、線形IgA水疱性疾患(小児期の慢性水疱症)、皮膚弾性の喪失、粘膜表面潰瘍(胃潰瘍、好中球性皮膚炎(スイート症候群)、皮膚筋炎、毛孔性紅色粃糠疹、乾癬、壊疽性膿皮症、多中心性網内系組織球症、および毒性表皮融解が挙げられる)が挙げられる。本発明の治療および併用療法によって処置可能な他の皮膚関連状態としては、疱疹状皮膚炎が挙げられる。
【0202】
本発明の抗体または薬学的組成物で処置され得るさらなる障害としては、宿主性退職片病、および固形器官移植(例えば、心臓、肝臓、皮膚、腎臓、肺(胚移植気道閉塞)または他の移植片(骨髄移植が挙げられる)から生じる合併症が挙げられる。
【0203】
眼の障害はまた、開示される抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能または予防可能であり、これらとしては、破裂性網膜剥離、および炎症性眼疾患(喫煙および黄斑変性と関連する炎症性眼疾患が挙げられる)が挙げられる。
【0204】
本発明の抗体または薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、女性生殖系に影響を及ぼす障害を処置するために有用である。例としては、多重性着床不全/不妊;胎児喪失症候群またはIV胚喪失(自然流産);前子癇性妊娠または子癇;子宮内膜症、慢性子宮頸炎、および早産が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
さらに、本発明の抗体または薬学的組成物は、坐骨神経痛、加齢の症状、重篤な薬物反応(例えば、Il−2毒性またはブレオマイシン誘導性肺臓炎および線維症)を処置および/もしくは予防するために、心臓手術もしくは他の手術において同種異型赤血球の輸液の前、その間もしくはその後の炎症応答を抑制するために、または四肢または関節に対する外傷性傷害(例えば、外傷性膝傷害)を処置するにあたって有用である。開示された抗IL−1R1抗体または薬学的組成物で処置可能な種々の他の医学的障害としては、多発性硬化症;ベーチェット症候群;シェーグレン症候群;自己免疫溶血性貧血;ベータサラセミア;筋萎縮性側索硬化症(ルーゲーリッグ病(Lou Gehrig’s Disease));パーキンソン病;および未知の原因の髄滑膜炎、ならびに遺伝性欠損と関連する種々の自己免疫障害または自己免疫疾患(x染色体連鎖精神遅滞が挙げられる)が挙げられる。
【0206】
さらに、本発明の抗IL−1R1抗体または薬学的組成物は、中枢神経系(CNS)傷害(中枢神経系における炎症の興奮の間に放出される神経毒性神経伝達物質の効果を含む)を処置するため、および中枢神経系傷害の部位におけるグリア細胞瘢痕の発生を阻害または予防するために有用である。癲癇および発作の処置に関連して、再発する発作の重篤度および回数が低下され、発作の有害な影響の重篤度が低下され、神経喪失、神経変性、および発作に関連する神経膠症が減少される。
【0207】
本発明の抗体または薬学的組成物のさらなる使用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:重大な疾患ポリニューロパシーおよびミオパシー(CIPNM)急性ポリニューロパシー;神経性食欲不振;ベル麻痺;慢性疲労症候群;遺伝性痴呆(transmissible dementia)(クロイツフェルト・ヤコブ病を含む);脱髄ニューロパシー;ギラン・バレー症候群;脊椎盤疾患;湾岸戦争症候群;慢性炎症性脱髄ポリニューロパシー、重症筋無力症;無症候性脳虚血;睡眠障害(ナルコレプシーおよび睡眠時無呼吸が挙げられる);慢性ニューロン変性;および発作(脳虚血性疾患が挙げられる)の処置。本発明の抗体についてのなおさらなる使用は、食欲不振および/または食欲不振状態、腹膜炎、内毒素血症および敗血症ショック、肉芽腫形成、心臓発作、チャーグ・ストラウス症候群、急性感染後の慢性炎症(例えば、結核およびらい、全身性硬化症および肥厚性瘢痕)である。
【0208】
他の実施形態において、本発明のIL−1R1抗体のうちの1つのアミノ酸配列を含むアビジン融合タンパク質は、種々の目的で構築され得る。アビジン融合タンパク質は、例えば、特異的標的遺伝子融合パートナーの挿入のためのマルチクローニング部位に隣接して、組換えニワトリアビジンをコードするcDNA配列を含む哺乳動物発現ベクターを使用して生成され得る。そのベクターは、シグナル配列を天然には含まない別個の融合遺伝子パートナーの分泌を可能にするその内因性シグナル配列とともにアビジン配列を含み得る。そのベクターによって発現される融合タンパク質は、その融合パートナーのN末端部分でアビジンタンパク質タグを有する。本明細書中に記載されるようなその融合ストラテジーは、細胞内で通常発現されるタンパク質(例えば、シグナル伝達遺伝子または核ホルモンレセプター)を分泌する能力を有する。
【0209】
あるいは、その内因性シグナル配列なしでアビジンをコードするベクターが使用され得、そのベクターは、融合タンパク質パートナーのC末端タグ化を生じる。C末端アビジン融合はまた、その融合パートナーの内因性シグナル配列に基づいて、タンパク質分泌を可能にする。このようなストラテジーは、正確なタンパク質プロセシングおよび折りたたみを可能にするか、または提唱されるシグナル配列の妥当性を決定するために適用され得る。さらに、そのベクターは、アビジンと融合パートナー配列との間に、特異的酵素切断可能基質として作用し得るアミノ酸配列をコードする短いヌクレオチド配列を含み得る。このような酵素切断可能配列は、精製またはタンパク質放出目的で、アビジンから融合パートナーを分離することを可能にする。
【0210】
本発明のアビジン融合タンパク質は、例えば、抗体スクリーニング、機能的特徴付け(アゴニストまたはアンタゴニストとしての抗体有用性の決定、中和因子など)、エピトープマッピング、または免疫ストラテジーにおいて使用され得る。標的タンパク質のアビジン融合はまた、血液、尿、または他の組織サンプル中の治療抗体の存在について臨床前サンプルまたは臨床患者サンプルを試験するために設計された、薬物動態アッセイ形式、効力アッセイ形式または他の標準的アッセイ形式において利用され得る。アビジン融合タンパク質パートナーは、全長または短縮化された配列、特定の単離された構造ドメイン、または他の種に由来する融合パートナーの他のホモログを有するキメラ配列として調製され得る。
【0211】
アビジン融合タンパク質は、本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知であるような、細胞に遺伝子を導入する任意の標準的手段を使用して発現され得る。そのタンパク質は、例えば、293細胞またはCHO細胞において、その細胞を、脂質の溶液中(例えば、リポフェクタミン(Invitrogen,Carlsbad,CA)中)で、アビジン融合構築物でトランスフェクトすることにより発現され得る。
【0212】
融合タンパク質を発現する細胞からの馴化培地および/または細胞溶解物が収集され得、アッセイ基材(例えば、ビオチンコーティングポリスチレンビーズまたはビオチンコーティングELISAプレート)に適用され得る。その馴化培地および/または細胞溶解物を収集することは、その融合タンパク質の最適な発現を可能にする時点で行われ得る。その時点は、当業者によって経験的に決定され得るが、通常、トランスフェクション後約48時間である。融合タンパク質はまた、既知のリガンド、レセプター、または抗体の結合における発現および機能性について、細胞膜においてまたは細胞内で分析され得る。
【0213】
本発明のアビジン融合タンパク質は、ビオチン−アビジン相互作用を利用する任意の公知のまたは以前に特徴づけられた方法によって分析され得る。このような方法としては、フローサイトメトリーおよび蛍光画像化/顕微鏡が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、培地または細胞溶解物において発現されるアビジン融合物は、ビオチンコーティングビーズに適用され得、発現を示すために、蛍光によりタグ化される抗アビジン抗体で染色され得る。また、多重比色アッセイ形式において特定の融合タンパク質パートナーを認識する蛍光抗体が、適用され得る。さらに、その融合タンパク質パートナーに特異的な非標識抗体は、競合アッセイにおいて蛍光タグ化抗体で同時に適用され得る。
【0214】
特定の実施形態において、本発明は、アビジン融合タンパク質を使用してエピトープマッピングするための方法を提供する。本発明のエピトープマッピング法の例は、抗IL−1R1抗体に関してエピトープマッピングすることに関して、以下に提供される。しかし、当業者は、このような方法が、任意の抗体についてのエピトープのマッピングに容易に適用され得、抗IL−1R1抗体に限定されないことを認識する。例えば、(内因性シグナル配列とともに)ニワトリアビジンをコードするcDNAは、目的のタンパク質をコードするcDNAの5’末端(すなわち、エピトープを決定することが所望される抗体によって認識されるタンパク質)と連結され得、3’末端においてFLAG−タグ配列に融合される。そのFLAGタグ化融合遺伝子は、従来の分子技術を用いて、発現ベクターにおいて組み立てられ得る。特定のアミノ酸が(例えば、別の動物種に由来する対応するアミノ酸残基で)置換されている、変異アビジン−FLAGタグ化タンパク質のパネルは、従来技術を使用して生成され得る。その変異タンパク質および野生型タンパク質は、宿主細胞において発現され得、目的の抗体との野生型タンパク質または変異タンパク質の結合は、本明細書中に記載されるように、例えば、ウェスタンブロット分析またはビーズベースの結合アッセイを使用して検出され得る。従って、エピトープは、変異タンパク質におけるどの置換が目的の抗体に対する結合を損なうことを決定することによって規定され得る。
【実施例】
【0215】
行われる実験および得られた結果を含む、以下の実施例は、例示目的のみで提供され、本発明を限定するとして解釈されるべきではない。
【0216】
(実施例1:インターロイキン−1レセプターI型(IL−1R1)に対するヒトモノクローナル抗体の生成)
(トランスジェニックHuMabマウス)
IL−1レセプターI型(IL−1R1)に対する完全ヒトモノクローナル抗体を、ヒト抗体遺伝子を発現するトランスジェニックマウスのHCo7系統を使用して調製した。これらのマウス系統の各々において、その内因性マウスκ軽鎖遺伝子を、Chenら(1993,EMBO J.12:811−820)において記載されるように、ホモ接合的に破壊し、その内因性マウス重鎖遺伝子を、国際特許出願公開番号WO01/09187(参考として援用される)の実施例1に記載されるようにホモ接合的に破壊した。これらのマウス系統の各々は、Fishwildら(1996,Nature Biotechnology 14:845−851)に記載されるように、ヒトκ軽鎖導入遺伝子KCo5を保有する。そのHCo7系統は、米国特許第5,545,806号;同第5,625,825号;および同第5,545,807号(参考として援用される)に記載されるように、HCo7ヒト重鎖導入遺伝子を保有する。そのHCo7系統は、HuMabマウスとして本明細書中でいわれる。
【0217】
(HuMab免疫)
IL−1R1に対する完全ヒトモノクローナル抗体を生成するために、HuMabマウスを、抗原として、昆虫細胞または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)に由来する精製組換えIL−1R1で免疫した。HuMabマウスに対する一般的免疫スキームは、Lonbergら(1994,Nature 368:856−859;Fishwildら,前出;および国際特許出願公開番号WO98/24884(これらの各々の技術は、参考として援用される)に記載される。マウスは、最初の抗原の注入の際に、6〜16週齢であった。IL−1R1抗原の精製組換え調製物(25〜50μg)(例えば、IL−1R1を発現する、トランスフェクトした昆虫または哺乳動物細胞から精製される)を、HuMabマウスを腹腔内(IP)でまたは皮下(Sc)に免役するために使用した。
【0218】
HuMabトランスジェニックマウスの免疫を、完全フロイントアジュバント中の抗原および2回の注射、その後、不完全フロイントアジュバント中の抗原での2〜4週間のIP免疫(合計11回までの免疫)を使用して達成した。数十匹のマウスを、各抗原で免役した。HCo7系統の合計149匹のマウスを、IL−1R1で免疫した。その免疫応答を、眼窩採血によってモニターした。
【0219】
IL−1R1に結合する抗体を生成するHuMabマウスを選択するために、免疫したマウスに由来する血清を、Fishwildら,前出によって記載されるように、ELISAによって試験した。簡潔には、マイクロタイタープレートを、PBS中1〜2μg/mLおよび50μL/ウェルで、昆虫または哺乳動物の細胞に由来する精製組換えIL−1R1でコーティングし、4℃で一晩インキュベートし、次いで、200μL/ウェルのPBS/Tween(0.05%)中5% ニワトリ血清でブロックした。IL−1R1免疫マウスに由来する血漿の希釈液を各ウェルに添加し、周囲温度で1〜2時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで洗浄し、次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合体化したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに、室温にて1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合体化したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに室温にて1時間インキュベートした。洗浄後、そのプレートを、ABTS基質(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO,カタログ番号A−1888,0.22mg/mL)で発色させ、415〜495のODで分光光学的に分析した。抗IL−1R1ヒト免疫グロブリンの十分な力価を有するマウスを、以下に記載されるように、モノクローナル抗体を生成するために使用した。
【0220】
(IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマの生成)
マウスを、屠殺の2日前に静脈内に抗原で追加免疫することによりモノクローナル抗体生成のために調製し、脾臓をその後取り出した。そのマウス脾細胞を、そのHuMabマウスから単離し、標準的なプロトコルを使用して、PEGでマウス骨髄腫細胞株に融合した。代表的には、各抗原について20〜30個の融合を行った。
【0221】
簡潔には、免疫マウス由来の脾臓リンパ球の単一細胞懸濁物を、50% PEG(Sigma)を用いて、P3X63−Ag8.653非分泌性マウス骨髄腫細胞(A.T.C.C.登録番号CRL 1580)またはSP2/0非分泌性マウス骨髄腫細胞(A.T.C.C.CRL 1581)の数の4分の一に融合した。細胞を、平底マイクロタイタープレートにおいて、約1×105/ウェルにてプレートし、続いて、高グルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウム+5mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトエタノール、50mg/mL ゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma,カタログ番号CRLP−7185)とともに、10% ウシ胎仔血清、10% P388DI−(A.T.C.C.登録番号CRL TIB−63)馴化培地、DMEM(Mediatech,カタログ番号CRL 10013中の3〜5% オリゲン(origen)(IGEN)を含む選択培地中で約2週間のインキュベーションを行った。1〜2週間後、細胞を、HATをHTで置換した培地中で培養した。
【0222】
得られたハイブリドーマを、抗原特異的抗体の生成のためにスクリーニングした。個々のウェルを、ヒト抗IL−1R1モノクローナルIgG抗体についてELISA(上記)によってスクリーニングした。いったん広範なハイブリドーマ増殖が起こると、培地を、通常、10〜14日後にモニターした。抗体分泌ハイブリドーマを再プレートし、再びスクリーニングし、ヒトIgG、抗IL−1R1モノクローナル抗体についてなお陽性である場合、少なくとも2回、限界希釈によってサブクローニングした。その安定なサブクローンを、次いで、インビトロで培養して、特徴付けのために組織培養培地中に少量の抗体を生成した。
【0223】
(IL−1R1に対するヒトモノクローナル抗体結合の選択)
上記のELISAアッセイを使用して、IL−1R1免疫原と陽性の反応性を示すハイブリドーマについてスクリーニングした。IL1−1R1に対して高結合能で結合するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特徴づけた。親細胞の反応性を(ELISAによって決定した場合に)維持する各ハイブリドーマから1つのクローンを、液体窒素中に保存した5〜10個のウイルス細胞バンクを作製するために選択した。
【0224】
アイソタイプ特異的ELISAを行って、本明細書中に開示されるように生成されたそのモノクローナル抗体のアイソタイプを決定した。これらの実験において、マイクロタイタープレートウェルを、50μL/ウェルの、PBS中の1μg/mLのマウス抗ヒトκ軽鎖の溶液でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。5% ニワトリ血清でブロックした後、そのプレートを、各試験したモノクローナル抗体に由来する上清および精製アイソタイプコントロールと反応させた。プレートを、周囲温度で1〜2時間インキュベートした。次いで、そのウェルを、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4に特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗ヒトポリクローナル抗血清のいずれかと反応させ、プレートを、以下に記載されるように、発色および分析した。
【0225】
ELISAによって検出した場合に、IL−1R1に対する有意な結合を示したハイブリドーマ上清から精製したモノクローナル抗体を、インビトロ結合アッセイ、ヒト軟骨細胞および全血球ベースのアッセイを使用して生物学的活性についてさらに試験した。最も良好な活性を示した抗体を、15C4、26F5、27F2、24E12、および10H7と指定した。これらの抗体を、予備的エピトープソーティング実験に供した。ELISAプレートを、ヒトsIL1−1R1(1+2+3ドメイン)、短縮化ヒトsIL1−1R1(1+2ドメイン)、ラットsIL1−1R1、ヒトsIL−1R II型、およびオボアルブミン(陰性コントロール)でコーティングした。抗体結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗ヒトFc抗体(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)で検出した。その結果を、表2にまとめる。表2におけるチェック印(レ)は、結合について陽性の結果を示す;「X」は、陰性の結果を示す。抗体15C4、26F5、27F2および24E12は、3つの細胞外ドメイン全てを有するIL−1R1タンパク質のみを結合し、このことは、各々についてのエピトープは、第3のドメイン内にあることを示す。抗体10H7は、全長細胞外ドメインIL−1R1およびドメイン1およびやはりドメイン2のみを有する短縮化タンパク質の両方を結合し、このことは、この抗体のエピトープがドメイン1または2のいずれかの内部にあることを実証した。試験した抗体のいずれも、ヒトII型レセプターまたはラットIL−1R1との交叉反応性を有する。
【0226】
【表2】
(実施例2:抗IL−1R1抗体によるIL−1レセプターI型複合体形成のインビトロ阻害)
その抗体がIL−1シグナル伝達に必要とされる細胞外結合事象を阻害する能力を、組換えタンパク質を用いてインビトロで、IL−1Rに対するIL−1結合が、IL−1RAcPに対する高親和性結合部位の形成を生じるアッセイにおいて、評価した。IL−1結合IL−1Rに対するIL−1RAcPの結合(「複合体形成」といわれる)を、以下のように測定する。組換えタンパク質を、抗体の非存在下(コントロール)または存在下で、マイクロタイタープレート中で結合アッセイにおいてインキュベートした。IC50値を、コントロール値と、10fM〜1μMの間の濃度の抗体の存在下で得られた値との比較から得た。簡潔には、そのアッセイを、以下のように行った。ビオチン化IL−1R1およびストレプトアビジンコーティングビーズ(Dynal,Dynabeads M−28)を、マイクロタイタープレートに分配した。次いで、抗体を、広範な濃度範囲を網羅する連続希釈において、適切なウェルに添加した。IL−1βまたはIL−1αを、1nMの濃度で添加し、ルテニウムで標識したIL1RAcP(IGENプロトコルに従ってNHS−Tag(IGEN)で調製した)を、最終濃度5nMで添加した。1時間室温でインキュベートした後に、結合反応を、ORIGENTM1.5またはM8機器(IGEN International Inc.)のいずれかで分析した。IL−1結合IL−1R1に対するIL−1RAcP結合を、そのIL−1R1結合ビーズと関連づけられた電気化学発光シグナルを検出することにより決定した。IL−1またはIL−1RAcP結合のいずれかの抗体競合から得られたシグナルの減少は、最大結合についてのECLシグナル(競合なし)のパーセンテージとして計算した。
【0227】
これらの結合アッセイにおける各抗体の阻害応答曲線を確立し、IC50を、PRISMTMソフトウェアを用いて得た。IL−1β誘導性結合事象の阻害の結果を、図12においてグラフに示す。その複合体形成の阻害についてのIC50値を、以下の表3に示す。抗体15C4、26F5、27F2、および24E12は、複合体形成を強く阻害する。これらの抗体は、上記のように、全て、IL−1R1の第3のドメイン結合因子である。抗体10H7は、第3のドメインを欠くIL−1Rの構築物に結合する抗体のクラスに属する。10H7は、第3のドメイン結合因子よりも、IL−1RAcPのIL−1により引き起こされる結合のあまり強力でないインヒビターである。本発明の抗体による複合体形成阻害を、IL−1raによる阻害と比較した。第3ドメインの結合因子は、IL−1raとの比較によって、複合体形成を阻害する類似のまたはわずかに大きな能力を実証した。
【0228】
図13は、抗体15C4がIL1−1R1/IL−1a/RAcP複合体形成を阻害する能力を示す。IL1−1R1/IL−1a/RAcP複合体形成についてのそのIC50は、43pMであった。
【0229】
【表3】
(実施例3:抗IL1−1R1抗体は、レセプターに対するIL−1βおよびIL−1raの結合を阻害する)
抗IL−1R1抗体が、IL−1R1に対するIL−1βまたはIL−1raいずれかの結合を阻害する能力を、組換えタンパク質を用いてアッセイにおいて評価した。その反応混合物は、0.1mg/mL Dynabeads M−280 ストレプトアビジン(Dynal)および1nM ビオチン化IL−1R1を含んだ。抗体を、320nM〜0.3nMの濃度で添加した。ルテニウムタグ化IL−1β(5nM)またはIL−1ra(1nM)の添加により、結合が開始され、室温で1時間進められた。その反応混合物を、ORIGENTM1.5またはM8機器(IGEN International Inc.)を用いて、上記のように測定した。競合を、最大結合についてのECLシグナル(競合なし)のパーセンテージとして計算した。抗体15C4、26F5、 および27F2(最も強力な抗体)は、レセプターへのリガンド(IL−1β)結合をブロックするが、IgGコントロールと比較して、IL−1raの結合を有意に妨害しない。対照的に、抗体24E12は、レセプターを結合するが、レセプターに対するIL−1βまたはIL−1raの結合をブロックしない。従って、抗体24E12は、15C4、26F5、および27F2によって示されるクラスとは異なる第3ドメイン結合因子の独特のクラスを示す。抗体10H7は、IL−1βおよびIL−1raの両方がレセプターへ結合することから阻害する。その結果を、図14にまとめる。
【0230】
(実施例4:軟骨細胞アッセイおよびヒト全血アッセイ)
初代ヒト軟骨細胞(Cell ApplicationsInc.,San Diego,CA)を、1% FBSおよび1% Pen Strep(GIBCO)を含有するDMEM培地中、10,000細胞/ウェルの密度にて96ウェルプレートに播種した。細胞を回収し、一晩後に、10nM〜0.1pMの範囲の濃度において抗IL1−RI抗体を20分間添加した。IL−1βを、1pM(ほぼEC50)の濃度まで添加し、培養上清を、37℃で16時間後に回収した。上清中のIL−6レベルを、製造業者の説明書に従って、ELISA(Pierce−Endogen,Rockford,IL,カタログ番号EH2IL−65)を使用して測定した。細胞ベースのアッセイにおける本発明の各抗体についてのその阻害応答曲線を確立し、IC50値を、PRISMTMソフトウェアを用いて得た。抗体15C4、26F5、および27F2は、IL−1raと比較して、IL−1シグナル伝達の強力なインヒビターである(図15A)。抗体24E12および10H7は、15C4および27F2よりも顕著にあまり強力でない(図15B)。IL−1β誘導性IL−6生成ヒト軟骨細胞の阻害についてのそのIC50値を、表4Aおよび4Bに示す(それぞれ、図15Aおよび15Bに対応する)。
【0231】
抗IL1−1R1モノクローナル抗体15C4、26F5、および27F2を、健康なヒトボランティアからヘパリンナトリウムバキュテイナー中に収集されたヒト全血とともに、40〜60分間予めインキュベートした。そのアッセイを、以下のように行った:100μLの新たに単離された血液を、96ウェルプレートのウェルに等分に分けた。50μLの抗体を、10% ヒトAB血清を含むRPMI培地中に添加した。IL−1βを、次いで、30pMの濃度(EC50)で添加した。培養上清を18時間後に採取し、上清中のIL−6レベルを、ELISAを使用して測定した。コントロールとして、IL−1raを、全血とともに40〜60分間予備インキュベートし、IL−6生成を、上記のように測定した。3つの抗IL−1R1抗体は、IL−1raの能力に匹敵する能力でIL−1活性をブロックした(図16)。ヒト全血におけるIL−1誘導性IL−6生成の阻害についてのそのIC50値を、表5に示す。
【0232】
【表4A】
【0233】
【表4B】
【0234】
【表5】
(実施例5:変異誘発およびエピトープマッピング)
IL1−1R1の部位指向性変異誘発(Altered Sites(登録商標) In Vitro Mutagenesis System,Promega,Madison WI)を使用して、ラットアミノ酸残基が対応するヒト配列で置換されている変異タンパク質(「ムテイン」)のパネルを調製した。15個の異なる変異プラスミドを構築した(図17における番号付けした棒を参照のこと)。これらの置換タンパク質および親IL1−1R1をコードするプラスミドを、CHO細胞において一過性にトランスフェクトした。モックトランスフェクトを、陰性コントロールとして生成した。これらの細胞からの馴化培地(CM)を、Centriprep 10濃縮カラム(Amicon)を使用して約20倍に濃縮した。そのムテインの発現を、SDS− PAGEおよびウェスタンブロッティングにより評価した。13個のムテインタンパク質を、抗体結合の確立を可能にするレベルで発現させた。そのタンパク質をゲルにロードし、電気泳動し、膜に転写した。その膜を、PBS、0.1% Tween−20中の1% ミルクでブロックし、次いで、PBS、0.1% Tween−20中の0.5μg/mLの抗IL−1R抗体15C4、27F2、または24E12とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、膜を、ヤギ抗ヒトIgG−Fc−HRPとともにインキュベートした。シグナルを、化学発光(ECL)基質(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL)を使用して検出した。抗体結合に重要なヒト特異的配列を、ラット配列で置換した場合に、ECLシグナルを減少または除去した配列として同定した。変異体1、2、4および10の15C4認識は、24E12と比較した場合に損なわれた(図18、上パネル)。同様に、変異体1、2および4に対する27F2結合が損なわれた(図18、中央パネル)。24E12は、変異体12、13、14および15に対する有意な結合を有さなかった(図18、下パネル)。
【0235】
ヒト抗IL−1R1抗体の単離および特徴付けによって、競合抗体の異なる3つのクラスが同定された(図19)。IL−1生物学的活性の最も強いインヒビターは、細胞ベースのバイオアッセイによって実証した場合、IL−1R1の第3のドメインに結合し、IL−1−β結合を防止する抗体であった。第3のドメインの変異タンパク質のパネルを使用するエピトープマッピング実験は、このクラスの抗体(15C4、27F2および26F5を含む)は、重複するが、同一でない、立体配座エピトープを共有することを実証した。図20および21は、IL−1ra結合IL−1レセプターのリボン図IL−1レセプターの第3のドメイン上の15C4エピトープの位置を示す(Schreuderら,1997,Nature 386:194−200)。最も強力なクラスの抗体の結合を規定するそのIL−1レセプター残基は、灰色で示される。これらの抗体は、優れた効力を示し、従って、これらのエピトープは、優れたクラスの抗体についての結合エピトープを規定する。その15C4および27F2の結合部位は、上記のIL−1R1内の15個の異なる部位の変異分析によって決定される場合、重複しているが、同一ではない。その部位は、そのタンパク質配列の上に番号付けされた棒として図17において示される。相互作用の重要な部位は、部位1(LSDIA;配列番号41)、部位2(VIDE;配列番号42)、部位4(YSV)および部位10(TCFA;配列番号43)における変異内であるようである。15C4および27F2の結合部位は、部位1および部位2内に含まれる。なぜなら、いずれかの部位におけるヒト残基の代わりにラット残基で置換することにより、結合が破壊されるからである。27F2は、部位4における変化が、その結合を完全に破壊するのに対して、15C4結合は、減少するものの完全には除去されないという点で、15C4とは異なる。変異10はまた、15C4結合を減少させるが、27F2は、この部位との明らかな相互作用を有さない。結晶構造の試験により、これらの残基が、結合したリガンドによって占有される空間に向かって配向される第3のドメインの面を規定することが明らかになる(図20および21)(Vigersら,1997,Nature 386:190−194)。
【0236】
同定された抗体の第2のクラスは、10H7によって代表され、結合のために第3のドメインを必要とせず、好ましいクラスとは異なり、IL−1ra結合を阻害する。このクラスは、バイオアッセイにおいて活性であるが、好ましいクラスよりは強力でない。
【0237】
好ましいクラスの抗体を用いたIL−1バイオアッセイの強力な阻害とは対照的に、24E12は、バイオアッセイにおいて有効でないインヒビターである。抗体24E12は、IL−1RAcPとIL−1結合IL−1Rとの結合を阻害する。このクラスの抗体のエピトープは、変異体12、13、14および15によって規定され、IL−1R1の膜貫通ドメインの近くにあり、IL−1またはIL−1raのいずれの結合にも直接的には関与しない領域中にある(図22)。
【0238】
(実施例6:抗IL−1R1抗体の重鎖および軽鎖のクローニング)
(抗IL−1R1 15C4 MAb軽鎖のクローニング)
αIL1−1R1結合モノクローナル抗体を発現する3つのハイブリドーマ(15C4、27F2、および26F5)の軽鎖を、哺乳動物細胞発現ベクターpDSRα19(国際出願公開番号WO90/14363(これは、あらゆる目的で本明細書中に参考として援用される))にクローニングした。15C4κ軽鎖をコードするプラスミドの構築を、本明細書中に明らかに記載する;他の軽鎖種のクローニングを、同様の手順を用いて行った。そのαIL1−1R1κ軽鎖可変領域を、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)を用いて調製したαIL1−1R1ハイブリドーマ15C4総RNAから調製した、第1鎖cDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅法を使用して得た。その第1鎖cDNAを、伸長アダプタを有するランダムプライマー(5’−GGC CGG ATA GGC CTC CAN NNNNNT−3’;配列番号44)を使用して合成し、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)を、GeneRacerTM Kit(Invitrogen)を用いて行った。完全軽鎖については、正方向プライマーは、GeneRacerTM ネスト化プライマー(5’ GGA CAC TGA CAT GGA CTG AAG GAG TA−3’;配列番号45)であり、逆方向プライマーは、5’−GGG GTC AGG CTG GAA CTG AGG−3’(配列番号46)であった。そのRACE生成物を、pCR4−TOPO(Invitrogen)にクローニングし、そのDNA配列を決定した。その15C4κ鎖コンセンサスDNA配列を使用して、全長抗体鎖PCR増幅のためのプライマーを設計した。その5’κPCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列をコードした(5’−CAG CAG AAG CTT CTA GAC CAC CAT GTC GCC ATC ACA ACT CAT TGG G−3’;配列番号47)。その3’プライマーは、カルボキシ末端および終止コドン、ならびにSalI制限部位をコードした(5’−CTT GTC GAC TCA ACA CTC TCC CCT GTT GAA GCT C−3’;配列番号:48)。
【0239】
【化1】
全長αIL1−1R1 15C4κ鎖クローンを、pCR4:15C4κクローンを使用して、5’および3’のαIL1−1R1 15C4κプライマーを用いるPCR増幅により得た。そのPCR反応により、αIL1−1R1 15C4κ鎖の233アミノ酸残基(19アミノ酸κ鎖シグナル配列を含む)をコードする733塩基対生成物を得た。そのPCR生成物を、QIAquick PCR Purificationキット(Qiagenカタログ番号28104)を用いて精製し、XbaIおよびSalIで切断し、ゲルで単離し、QIAquick Gel Extractionキット(Qiagenカタログ番号28704)を用いて精製した。その完全αIL1−1R1 15C4κ鎖を含むこのPCRフラグメントを、次いで、哺乳動物発現ベクターpDSRα19に連結した。その15C4κ鎖発現クローンを、DNA配列決定して、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じペプチドをコードしていることを確認した。その最終的な発現ベクターであるpDSRα19:15C4κは、5468塩基対であり、表6に記載される7つの機能的領域を含む。
【0240】
【表6】
(pDSR19:hIgG1CHの構築)
pDSRα19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1(rVh/hCh1)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端のラット抗体可変領域PCR生成物、直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG1CH(HindIIIおよびBsmBI末端)に由来するBsmBIおよびSalIフラグメントのSalI切断およびゲル単離により得られるヒトIgG1定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」(参考として援用される)を参照のこと)の3片の連結の結果として構築した。最終的な発現ベクターであるpDSRα19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1(rVh/hCh1)は、6158塩基対であり、表7に記載される7つの機能的領域を含む。
【0241】
【表7】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG1CHを、そのpDSR19:ラット可変領域/ヒト定常領域IgG1プラスミドを制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、そのラット可変領域を除去することにより調製し、QIAquick Gel Extractionキットを使用して精製した。1kbpのヒトIgG1定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRa19:hIgG1CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0242】
(抗IL1−RI 15C4 MAb重鎖のクローニング)
αIL1−RI結合モノクローナル抗体、15C4、27F2、および26F5を発現する10個のハイブリドーマについての重鎖を、哺乳動物発現ベクターpDSRα19にクローニングした。この15C4の重鎖をコードするプラスミドの構築を明示的に記載する;他の重鎖種のクローニングを、同様の手順を使用して行った。そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域を、TRIzol(登録商標)試薬を用いて調製したαIL1−RIハイブリドーマ15C4総RNAから調製した第1鎖cDNAからのPCR増幅法を使用して得た。第1鎖cDNAを、伸長アダプタを有するランダムプライマー(5’−GGC CGG ATA GGC CTC CAN NNN NNT−3’;配列番号44)を使用して合成し、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)を、GeneRacerTM Kitを使用して行った。その部分長重鎖について、その正方向プライマーは、GeneRacerTM ネスト化プライマー(5’ GGA CAC TGA CAT GGA CTG AAG GAG TA−3’;配列番号45)であり、逆方向プライマーは、5’−TGA GGA CGC TGA CCA CAC G−3’(配列番号52)であった。そのRACE生成物を、pCR4−TOPOにクローニングし、そのDNA配列を決定した。その15C4重鎖可変領域コンセンサスDNA配列を使用して、重鎖可変領域PCR増幅のためのプライマーを設計した。その5’重鎖PCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列をコードした(5’−CAG CAG AAG CTT CTA GAC CAC CAT GGG GTC AAC CGC CAT CCT CG−3’;配列番号53)。その3’プライマーは、天然に存在するセンス鎖BsmBI部位を含む可変領域のカルボキシ末端をコードした(5’−GTG GAG GCA CTA GAG ACG GTG ACC AGG GTT CC−3’;配列番号54)。
【0243】
【化2】
(抗IL1−RI IgG1 重鎖発現クローンの構築)
その全長αIL1−1R1 15C4重鎖クローンを、5’および3’αIL1−1R1 15C4重鎖プライマーを用いるPCR増幅によってpCR4:15C4重鎖クローンから得た。そのPCR反応により、αIL1−1R1 15C4重鎖可変領域の137アミノ酸残基(19アミノ酸重鎖シグナル配列を含む)をコードする442塩基対の生成物が生成された。そのPCR生成物を、QIAquick PCR Purificationキットを使用して精製し、次いで、XbaIおよびBsmBIで消化し、ゲルで単離し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。完全αIL1−1R1 15C4重鎖可変領域を含むこのフラグメントを、次いで、哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG1CHに連結した。その15C4重鎖IgG1発現クローンをDNA配列決定して、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4IgG1重鎖は、6173塩基対であり、表8に記載される7つの機能的領域を含む。
【0244】
【表8】
(pDSR19:hIgG2CHの構築)
pDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG2(hVh/hCh2)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端化ヒト抗体可変領域PCR生成物、BsmBIおよびSalI末端を有するヒトIgG2定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)PCR生成物、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19の3片連結の結果として構築した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG1(hVh/hCh2)(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」を参照のこと)は、6164塩基対であり、表9に記載される7つの機能的領域を含む。
【0245】
【表9】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG2CHを、そのpDSRl9:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG2プラスミドを、制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、ヒト可変領域を除去することによって調製し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。1kbpのヒトIgG2定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG2CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0246】
(抗IL1−RI IgG2重鎖発現クローンの構築)
そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域フラグメント(上記)を哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG2CHに連結した。その15C4重鎖IgG2発現クローンを、DNA配列決定し、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4 IgG2重鎖は、6161塩基対であり、表10に記載される7つの機能的領域を含む。
【0247】
【表10】
(pDSR19:hIgG4CHの構築)
pDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4(hVh/hCh4)MAb発現プラスミドを、XbaIおよびBsmBI末端化ヒト抗体可変領域PCR生成物、ゲル単離されたBsmBIおよびSalI消化したヒトIgG4定常領域(CH1ドメイン、ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメイン)フラグメント、ならびにXbaIおよびSalI末端を有する直鎖状pDSRα19の3片連結の結果として構築した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4(hVh/hCh4)(共有に係る同時係属中の米国仮特許出願第60/370,407号(2002年4月5日出願、「Human Anti−OPGL Neutralizing Antibodies As Selective OPGL Pathway Inhibitors」を参照のこと)は、6167塩基対であり、表11に記載される7つの機能的領域を含む。
【0248】
【表11】
その直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG4CHを、そのpDSRl9:ヒト可変領域/ヒト定常領域IgG4プラスミドを、制限酵素XbaIおよびBsmBIで消化して、ヒト可変領域を除去することによって調製し、QIAquick Gel Extractionキットを用いて精製した。1kbpのヒトIgG4定常領域ドメインを含むその直鎖状プラスミドpDSRα19:hIgG4CHを、ハイブリドーマ由来αIL−1R抗体可変領域を受容するために使用した。
【0249】
(抗IL1−RI IgG4重鎖発現クローンの構築)
そのαIL1−1R1 15C4重鎖可変領域フラグメント(上記)を哺乳動物発現ベクターpDSRα19:hIgG4CHに連結した。その15C4重鎖IgG4発現クローンを、DNA配列決定し、それが15C4ハイブリドーマにおいて同定された同じ重鎖可変領域ペプチドをコードすることを確認した。その最終的な発現ベクターpDSRα19:15C4 IgG4重鎖は、6164塩基対であり、表12に記載される7つの機能的領域を含む。
【0250】
【表12】
(実施例7:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における抗IL−1R1抗体の発現)
組換え抗IL−1R1抗体を、チャイニーズハムスター卵巣細胞、具体的には、CHO AM−1/D細胞(米国特許第6,210,924号(参考として援用される)に開示される)において生成する。簡潔には、本発明の各抗IL−1R1抗体の完全な重鎖または軽鎖をコードするDNA配列を、発現ベクターにクローニングする。CHO AM−1/D細胞を、完全な重鎖を発現し得る発現ベクターおよび適切な抗IL−1R1抗体の完全な軽鎖を発現する発現ベクターで同時トランスフェクトする。例えば、26F5抗体を生成するために、細胞を、配列番号38に記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号20、配列番号22、または配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含む完全な完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。27F2抗体を生成するために、細胞を、配列番号38において記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号26、配列番号28、または配列番号30において記載されるアミノ酸配列を含む完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。15C4抗体を生成するために、細胞を、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現し得るベクターおよび配列番号32、配列番号34、または配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含む完全な重鎖を発現し得るベクターで同時トランスフェクトする。表13は、種々のIL−1R1抗体についての完全な重鎖および完全な軽鎖をまとめる。名称「.../IgG_」は、特定の抗体の定常領域の配列を記載する。
【0251】
【表13】
抗IL−1R1抗体の安定な発現を、ジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損(DHFR−)CHO AM−1/D細胞を、それらの発現ベクターで同時形質転換することによって達成する。トランスフェクションを、標準的な技術(リン酸カルシウム共沈殿)およびDHFR選択を使用して行う。トランスフェクトしたコロニーを単離し、24ウェルプレート中でコンフルエントになるまで増殖させる。トランスフェクト細胞によって生成される抗体を、適切な折りたたみおよび中和活性について試験する。IgG1、IgG2、およびIgG4アイソタイプの適切に折りたたみされた抗IL−1R1抗体を過剰生成するクローンを選択し、抗体を以下に記載されるように精製する。
【0252】
(実施例8:抗IL−1R1抗体の生成)
抗IL1−1R1抗体を、CHO細胞のクローン株における発現により生成する。各生成の実施について、1バイアルからの細胞を、無血清培養培地中に融解する。その細胞を、最初に、Tフラスコ中において増殖させ、20Lバイオリアクターに播種するために十分な接種物が生成されるまで、一連のスピナーフラスコを通して連続的に増殖させる。5〜10日間増殖させた後に、その培養物を、次いで、300Lバイオリアクターに接種するために使用する。さらに5〜10日間増殖させた後、その培養物を、2000Lバイオリアクターに接種するために使用する。生成を、供給バッチ培養を使用して、2000Lバイオリアクター中で行う。このバイオリアクター中、濃縮培地成分を含む栄養供給物を、細胞増殖および細胞生存を維持するために添加する。抗IL1−R1抗体が細胞によって連続的に生成され、細胞培養培地に分泌される期間の間に、生成は、約2週間にわたって持続する。
【0253】
生成リアクターを、設定されたpH、温度、および溶存酸素レベルで制御し:pHを、二酸化炭素ガスおよび炭酸ナトリウム添加により制御し;溶存酸素を、空気、窒素および酸素ガスの通気により制御する。
【0254】
生成の最後に、細胞培養液を、ディスクスタック遠心管に供給し、培養上清を、その細胞から分離する。その濃縮物を、深層濾過(depth filter)、続いて0.2μmフィルターを通してさらに清澄化する。その清澄化した馴化培地を、次いで、接線流限外濾過により濃縮する。その馴化培地を、15倍〜30倍に濃縮する。得られた濃縮馴化培地を、次いで、精製を通じて処理するか、または後日の精製のために凍結するかのいずれかを行う。
【0255】
(実施例9:アビジン融合タンパク質を使用するエピトープマッピング)
アビジン融合タンパク質を生成するために、ニワトリアビジンを(内因性シグナル配列とともに)コードするcDNAを、ヒトもしくはカニクイザルのIL−1RIのその成熟細胞外ドメインをコードするcDNAの5’末端と連結し、FLAG−タグ配列をその3’末端で融合した。そのFLAGタグ化融合遺伝子を、従来の分子技術を使用して、pALTERMAXベクター中に組み立てた。そのアビジン−ヒトIL−1R1融合タンパク質のアミノ酸配列を、図23に示す(配列番号59)。そのアビジン−カニクイザルIL−1R1融合タンパク質のアミノ酸配列を、図24に示す(配列番号60)。ヒトアミノ酸がその対応するカニクイザル残基の代わりに使用されている変異体アビジン−cynoIL−1RI−FLAGタンパク質のパネルを、Altered Sites II Mammalian In Vitro Mutagenesis System(Promega Corp.)を用いて生成した。その変異を、図24に示す。
【0256】
そのアビジン−cynoIL−1R変異体および野生型タンパク質ならびにアビジン−huIL−1RI−FLAGタンパク質をコードするプラスミドを、サイトフェクチントランスフェクション試薬(Bio−Rad Laboratories,Inc.)を使用して、293T細胞に一過性にトランスフェクトした。モックトランスフェクト体を、陰性コントロールとして使用した。これらのタンパク質に結合する抗huIL−1RIモノクローナル抗体(MAb)を、トランスフェクト細胞から採取した馴化培地(CM)を使用するウェスタンブロットおよびビーズベースの結合アッセイによって、評価した。
【0257】
ウェスタンブロット分析のために、CMを非還元SDSサンプル緩衝液中に1:3希釈し、5〜10分間沸騰させ、10% Tris−グリシンゲルにロードした。SDS− PAGEおよびウェスタン転写の後に、その膜を、PBS/0.1% Tween−20(PBST)中の3% BSA/1% オボアルブミンでブロックし、抗huIL−1RI MAbで染色した。PBST中で1:15,000希釈したヤギ抗ヒトIgG−Fc−HRP抗体(Pierce Chemical Co.)を、二次検出のために使用した。抗FLAG検出を、タンパク質ロードを正規化するために使用した。画像捕獲およびデンシトメトリーを、FluorChem 8000デジタル画像化システム(Alpha Innotech Corp.)を用いて行った。その抗huIL−1RI MAbについてのシグナル強度を、その抗FLAG抗体の値に対して正規化して、タンパク質ロードにおける変動を評価する。抗体結合を、そのアビジン−ヒトIL1−1R1−FLAGに対する結合のパーセンテージとして表した。
【0258】
ウェスタンブロットの結果を、図25に示す。図25Bは、二連のセットのウェスタンブロット実験のデンシトメトリー分析を示す。抗体結合に重要なヒト残基は、cynoIL−1RIに置換される場合、シグナルを保存する残基である。一般に、変異1および変異2(図24に例示される)は、単独でまたは組み合わせて、抗体(15C4/IgG2、5B8、1C2、24H2、16E9、26E4および20G1)の多くの結合を保存する一方で、変異10.1および変異10.2は、抗体の結合を保存しない。これらの抗体のいずれも、野生型cynoIL−1RIに結合しないかった。2つの抗体(27F2および19C8)は、その変異タンパク質および野生型cynoIL−1RIの全てに対して一貫して結合した。このことは、ラット/ヒトパラログタンパク質で同定され、カニクイザルIL−1RIにおいて変化しないエピトープ4(残基Y279〜V281のcynoIL−1RI)が、これらの抗体の優性なエピトープであることを示唆した。エピトープ4は、図24に示されるアミノ酸配列において太字で斜体にされ、下線が付される。
【0259】
多重化ビーズベースの結合アッセイにおいて、アビジン融合タンパク質を、CMをビオチンコーティング蛍光ビーズとインキュベートすることによって捕捉した(1タンパク質あたり1つのビーズを設定(Beadlyte Multi−Biotin 10plex Bead Kit;Upstate Biotechnologies))。これらのビーズを洗浄し、PBST中にプールし、96ウェルフィルタ平底プレート(Millipore Corp.)のウェルに等分した。抗体(抗huIL−1RI MAbまたは抗FLAG MAb)を、25μg/mlにて添加し、1時間インキュベートした。そのビーズを再び洗浄し、フィコエリトリン結合体化抗マウスIgG抗体および抗ヒトIgG(Fab’)2の混合物を使用して、抗体結合を検出した。1時間インキュベートした後、そのビーズを洗浄し、PBST中に再懸濁した。平均蛍光強度(MFI)を、Luminex 100(Luminex Corp)を使用して測定した。そのデータを、抗FLAG MAb結合についてのMFI値を使用して正規化して、タンパク質ロードにおける変動を評価した。抗体結合を、そのアビジンhuIL1−1R1−FLAGに対する結合のパーセンテージとして表した(図26)。そのヒト残基で変異させたアビジン−cynoIL1R1−FLAGタンパク質ならびに野生型カニクイザルおよびヒトIL−1R1タンパク質に対する抗IL−1R1抗体の結合パートナーは、図25に示されるイムノブロット分析と一致した。
【0260】
前述の開示は、本発明の特定の具体的実施形態を強調し、かつ本発明に対して等価な全ての改変または変更が、添付の特許請求の範囲に記載される発明の趣旨および範囲内にあることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】図1A〜1Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG1定常領域をコードするcDNA配列(配列番号1)(図1A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG1定常領域のアミノ酸配列(配列番号2)(図1B)を示す。
【図2】図2A〜2Bは、ヒト抗IL−1R1抗体κ鎖定常領域をコードするcDNA配列(配列番号3)(図2A)およびヒト抗IL−1R1抗体κ鎖定常領域のアミノ酸配列(配列番号4)(図2B)を示す。
【図3】図3A〜3Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG2定常領域をコードするcDNA配列(配列番号5)(図3A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG2定常領域のアミノ酸配列(配列番号6)(図3B)を示す。
【図4】図4A〜4Bは、ヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG4定常領域(配列番号7)をコードするcDNA配列(配列番号7)(図4A)およびヒト抗IL−1R1抗体重鎖IgG4定常領域のアミノ酸配列(配列番号8)(図4B)を示す。
【図5】図5A〜5Bは、26F5抗IL−1R1抗体重鎖可変領域(配列番号9)をコードするcDNA配列(図5A)および26F5抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号10)(図5B)を示す。
【図6】図6A〜6Bは、26F5抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号11)(図6A)および26F5抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号12)(図6B)を示す。
【図7】図7A〜7Bは、27F2抗IL−1R1抗体重鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号13)(図7A)および27F2抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号14)(図7B)を示す。
【図8】図8A〜8Bは、15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域をコードするcDNA配列(配列番号15)(図8A)および15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号16)(図8B)を示す。
【図9】図9A〜9Bは、15C4抗IL−1R1抗体κ鎖可変領域(配列番号17)をコードするcDNA配列(図9A)および15C4抗IL−1R1抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号18)(図9B)を示す。
【図10】図10は、15C4、27F2、および26F5と称される抗IL−1R1抗体に由来する重鎖のアミノ酸配列アラインメントを示す。その相補性決定領域(CDR)には、下線が付される。26F5についてのCDR1は、配列番号61と称される;27F2については、配列番号62と称される;15C4については、配列番号63と称される。26F5についてのCDR2は、配列番号64と称される;27F2については、配列番号65と称される;15C4については配列番号66と称される。26F5についてのCDR1は、配列番号67と称される;27F2については、配列番号68と称される;15C4については、配列番号69と称される。
【図11】図11は、15C4、27F2、および26F5と称される抗IL−R1−γ抗体に由来する軽鎖のアミノ酸配列アラインメントを示す。26F5/27F2についてのCDR1は、配列番号70と称される;15C4については、配列番号71と称される。26F5/27F2についてのCDR2は、配列番号72と称される;15C4については、配列番号73と称される。26F5/27F2についてのCDR1は、配列番号74と称される;15C4については、配列番号75と称される。
【図12】図12は、IL−1R/IL−1β/IL−1RAcP複合体形成に対する抗IL−1R1抗体の阻害効果を示すグラフである。
【図13】図13は、IL−1R/IL−1α/IL−1RacP複合体形成に対する本明細書中に記載され、15C4と称される抗IL−1R1モノクローナル抗体の阻害効果を示すグラフである。
【図14】図14は、IgGコントロールと比較して、抗IL−1R1抗体がIL−1β結合をブロックするが、IL−1raの結合を有意には妨害しない能力を示すグラフである。
【図15】図15Aは、IL−1raと比較して、本明細書中で同定され、15C4、26F5、および27F2と称される抗IL−1R1抗体による、初代ヒト軟骨細胞におけるIL−6生成の阻害を示すグラフである。図15Bは、10H7および24E12によって示されるモノクローナル抗体のクラスと比較して、IL−1raならびにモノクローナル抗体15C4および27F2による、初代ヒト軟骨細胞におけるIL−6生成の阻害を示すグラフである。
【図16】図16は、IL−1raと比較した、15C4、26F5、および27F2と称される抗IL−1R1モノクローナル抗体により結合されたヒト全血におけるIL−6の生成の阻害を示すグラフである。
【図17】図17は、IL−1R1配列の第3のドメインのヒトのアミノ酸(配列番号76)およびヌクレオチド(配列番号77)およびラットのヌクレオチド(配列番号78)およびアミノ酸(配列番号79)を示す。ヒト配列の上の番号付けした棒は、15の異なる部位が、その15の異なる変異したタンパク質へと構築されるために変異されたことを示す。変異によって導入されたこのラットの残基は、ラットの核酸配列の下に列挙される。
【図18】図18は、IL−1R1変異体の抗IL−1R1モノクローナル抗体認識を示すウェスタンブロット分析を示す。
【図19】図19は、(I)IL−1R1へのIL−1βの結合で開始するIL−1シグナル伝達経路の活性化、およびIL−1RacPの補充(recruitment)、ならびに3つのクラスの抗IL−1R1抗体:(II)第3ドメインエピトープIL−1ブロッカー、(III)第3のドメインエピトープRAcPブロッカー、ならびに(IV)第1/第2のドメインエピトープIL−1ブロッカーを示す図である。
【図20】図20は、本明細書中に記載されるような変異10を有する15C4および27F2の結晶構造を示す。その灰色の残基は、15C4エピトープおよび27F2エピトープを示す。
【図21】図21は、細胞外IL−1R1の第3のドメインにおける15C4エピトープを示す。
【図22】図22は、細胞外IL−1R1の第3のドメインにおける24E12エピトープを示す。
【図23】図23は、本発明のアビジン−ヒトIL−1R1−FLAGキメラタンパク質のアミノ酸配列(配列番号59)を示す。
【図24】図24は、アビジン−カニクイザルIL−1R1−FLAGキメラタンパク質のアミノ酸配列(配列番号60)を示す。組換えニワトリアビジン(斜体にされている)は、6アミノ酸リンカーにより、カニクイザルIL−1R1の成熟細胞外ドメイン(下線が付され、C末端FLAGタグは、太字である)に結合される。単独または組み合わせて、カニクイザル配列に導入した、ヒトIL−1R1に由来する4つのアミノ酸を、カニクイザル配列の下に太字で示す。エピトープ4は、太字で斜体にされ、かつ下線が付されている。
【図25A】図25Aは、IL1−1R1に結合する抗ヒトIL1−R1抗体(抗huIL1−R1)のウェスタンブロット分析を示す。*は、抗体を5μg/mLで使用したのに対して、残りの抗体においては、1μg/mLで使用したことを示す。
【図25B】図25Bは、ウェスタンブロット実験の二連のセットのデンシトメトリー分析のまとめを示す。
【図26】図26は、多重化ビーズベースの結合アッセイにおけるアビジンIL−1R1−FLAGタンパク質に対する抗huIL1R1抗体の結合を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該重鎖が、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項2】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該軽鎖が、配列番号12または配列番号18のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項3】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該重鎖が、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項4】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該軽鎖が、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項5】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該抗体は、以下:
a.配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;あるいは
c.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントおよび配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;
を含む、抗体。
【請求項6】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域またはその抗原結合性フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号12に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する抗体。
【請求項8】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項9】
前記重鎖可変領域が、配列番号14に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号12に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項10】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項11】
前記重鎖可変領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項12】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、以下:
a.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;および
b.配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28または配列番号30のいずれかに記載のアミノ酸配列
を含む重鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項13】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が、配列番号20に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項15】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号22に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項16】
前記重鎖可変領域が、配列番号22に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項17】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項18】
前記重鎖可変領域が、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項19】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項20】
前記重鎖可変領域が、配列番号26に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項21】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、および前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項22】
前記重鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項23】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号30に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項24】
前記重鎖可変領域が、配列番号30に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項25】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的を結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、以下:
a.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;および
b.配列番号32、配列番号34、または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、ヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項26】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項27】
前記重鎖可変領域が、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項28】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号34に記載のアミノ酸配列に示される抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項29】
前記重鎖可変領域が、配列番号34に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項30】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項31】
前記重鎖可変領域が、配列番号36に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項32】
請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体であって、前記重鎖および軽鎖が、可撓性リンカーにより結合して、単鎖抗体を形成する、抗体。
【請求項33】
単鎖Fv抗体である、請求項32に記載の抗体。
【請求項34】
Fab抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項35】
Fab’抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項36】
(Fab’)2抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体が、完全にヒト抗体である、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項38】
前記抗体が、IL−1とそのレセプターとの結合を阻害する、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項39】
患者のIL−1媒介性疾患を処置する方法であって、請求項38に記載の抗体の薬学的に有効な量を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項40】
薬学的に受容可能なキャリアおよび請求項38に記載の抗体の治療的に有効な量を含む、薬学的組成物。
【請求項41】
患者のIL−1媒介性疾患を処置する方法であって、請求項40に記載の薬学的組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
可変領域および定常領域を含み、該可変領域が、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載のアミノ酸配列含む、重鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項43】
配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項44】
可変領域および定常領域を含み、該可変領域が、配列番号12または配列番号18に記載のアミノ酸配列含む、軽鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項45】
配列番号38または配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む軽鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項46】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、単離されたヒト抗体であって、以下:
a.ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域および
ヒト重鎖CDR3領域を含む抗体であって、該ヒト重鎖CDR3領域が、配列番号67、配列番号68または配列番号69のアミノ酸配列を有する抗体;および
b.ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域および
ヒト軽鎖CDR3領域を含む抗体であって、該ヒト軽鎖CDR3領域が、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有する抗体、
を含む、単離されたヒト抗体。
【請求項47】
請求項46に記載の単離されたヒト抗体であって、前記ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号64、配列番号65または配列番号66のアミノ酸配列を有して、前記ヒト軽鎖CDR2領域が、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有する、抗体。
【請求項48】
請求項46に記載の単離されたヒト抗体であって、前記ヒト重鎖CDR1領域が、配列番号61、配列番号62または配列番号63のアミノ酸配列を有して、前記ヒト軽鎖CDR1領域が、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有する、抗体。
【請求項49】
ヒト重鎖CDR1領域を有し、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR1領域が、配列番号61、配列番号62または配列番号63のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項50】
ヒト重鎖CDR2領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号64、配列番号65または配列番号66のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項51】
ヒト重鎖CDR3領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR3が、配列番号67、配列番号68または配列番号69のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項52】
ヒト軽鎖CDR1領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト軽鎖CDR1領域が、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項53】
ヒト重鎖CDR2領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項54】
ヒト重鎖CDR3領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR3領域が、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項55】
配列番号76のポリペプチドに特異的に結合する、単離されたヒト抗体。
【請求項56】
請求項55に記載の抗体であって、該抗体が、I1−R1のエピトープ4を特異的に結合する、抗体。
【請求項57】
IgG2抗体である、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項58】
配列番号76のポリペプチドに特異的に結合する、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項59】
I1−R1のエピトープ4を特異的に結合する、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項60】
選択された抗原のエピトープマッピングのための方法であって、以下の工程:
(a)一組の融合タンパク質を生成する工程であって、各融合タンパク質が、(i)アビジンおよび(ii)アビジンのフラグメントを有する、工程;
(b)該抗原に対する1つ以上の特異的結合パートナーに結合することについての一組の融合タンパク質をスクリーニングする、工程;
(c)ビオチンを含む培地上で、該融合タンパク質を単離して、それによって該アビジンが該ビオチンに結合する、工程;および
(d)特異的結合パートナーにより結合された該融合タンパク質を分析して、特異的結合パートナーについて、該抗原の結合部位を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項61】
前記特異的結合パートナーが、抗体である、請求項60に記載の方法。
【請求項1】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該重鎖が、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項2】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該軽鎖が、配列番号12または配列番号18のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項3】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該重鎖が、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項4】
重鎖および軽鎖を含み、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該軽鎖が、配列番号38または配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む、ヒト抗体またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項5】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、該抗体は、以下:
a.配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;
b.配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および配列番号12に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;あるいは
c.配列番号16に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する重鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントおよび配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;
を含む、抗体。
【請求項6】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域またはその抗原結合性フラグメントもしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項7】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号12に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する抗体。
【請求項8】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項9】
前記重鎖可変領域が、配列番号14に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号12に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項10】
請求項5に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項11】
前記重鎖可変領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項12】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)を特異的に結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、以下:
a.配列番号38に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;および
b.配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28または配列番号30のいずれかに記載のアミノ酸配列
を含む重鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項13】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が、配列番号20に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項15】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号22に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項16】
前記重鎖可変領域が、配列番号22に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項17】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項18】
前記重鎖可変領域が、配列番号24に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項19】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項20】
前記重鎖可変領域が、配列番号26に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項21】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号28に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、および前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項22】
前記重鎖可変領域が、配列番号28に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項23】
請求項12に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号30に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項24】
前記重鎖可変領域が、配列番号30に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号38に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項25】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的を結合する単離されたヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントであって、以下:
a.配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント;および
b.配列番号32、配列番号34、または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、ヒト抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項26】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント、および前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項27】
前記重鎖可変領域が、配列番号32に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項26に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項28】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号34に記載のアミノ酸配列に示される抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項29】
前記重鎖可変領域が、配列番号34に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項30】
請求項25に記載の抗体であって、前記重鎖が、配列番号36に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含み、前記軽鎖が、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含む抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントを含む、抗体。
【請求項31】
前記重鎖可変領域が、配列番号36に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号40に記載のアミノ酸配列に少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の抗体であって、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項32】
請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体であって、前記重鎖および軽鎖が、可撓性リンカーにより結合して、単鎖抗体を形成する、抗体。
【請求項33】
単鎖Fv抗体である、請求項32に記載の抗体。
【請求項34】
Fab抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項35】
Fab’抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項36】
(Fab’)2抗体フラグメントである、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項37】
前記抗体が、完全にヒト抗体である、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項38】
前記抗体が、IL−1とそのレセプターとの結合を阻害する、請求項1、2、3、4、5、12または25のいずれか1つに記載の抗体。
【請求項39】
患者のIL−1媒介性疾患を処置する方法であって、請求項38に記載の抗体の薬学的に有効な量を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項40】
薬学的に受容可能なキャリアおよび請求項38に記載の抗体の治療的に有効な量を含む、薬学的組成物。
【請求項41】
患者のIL−1媒介性疾患を処置する方法であって、請求項40に記載の薬学的組成物を、患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
可変領域および定常領域を含み、該可変領域が、配列番号10、配列番号14または配列番号16のいずれかに記載のアミノ酸配列含む、重鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項43】
配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34または配列番号36のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項44】
可変領域および定常領域を含み、該可変領域が、配列番号12または配列番号18に記載のアミノ酸配列含む、軽鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項45】
配列番号38または配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む軽鎖またはその抗原結合性もしくは免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメント。
【請求項46】
インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、単離されたヒト抗体であって、以下:
a.ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域および
ヒト重鎖CDR3領域を含む抗体であって、該ヒト重鎖CDR3領域が、配列番号67、配列番号68または配列番号69のアミノ酸配列を有する抗体;および
b.ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域および
ヒト軽鎖CDR3領域を含む抗体であって、該ヒト軽鎖CDR3領域が、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有する抗体、
を含む、単離されたヒト抗体。
【請求項47】
請求項46に記載の単離されたヒト抗体であって、前記ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号64、配列番号65または配列番号66のアミノ酸配列を有して、前記ヒト軽鎖CDR2領域が、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有する、抗体。
【請求項48】
請求項46に記載の単離されたヒト抗体であって、前記ヒト重鎖CDR1領域が、配列番号61、配列番号62または配列番号63のアミノ酸配列を有して、前記ヒト軽鎖CDR1領域が、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有する、抗体。
【請求項49】
ヒト重鎖CDR1領域を有し、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR1領域が、配列番号61、配列番号62または配列番号63のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項50】
ヒト重鎖CDR2領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号64、配列番号65または配列番号66のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項51】
ヒト重鎖CDR3領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR3が、配列番号67、配列番号68または配列番号69のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項52】
ヒト軽鎖CDR1領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト軽鎖CDR1領域が、配列番号70または配列番号71のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項53】
ヒト重鎖CDR2領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR2領域が、配列番号72または配列番号73のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項54】
ヒト重鎖CDR3領域を有する、単離されたヒト抗体であって、該ヒト重鎖CDR3領域が、配列番号74または配列番号75のアミノ酸配列を有し、該抗体が、インターロイキン−1レセプター1型(1L−1R1)に特異的に結合する、抗体。
【請求項55】
配列番号76のポリペプチドに特異的に結合する、単離されたヒト抗体。
【請求項56】
請求項55に記載の抗体であって、該抗体が、I1−R1のエピトープ4を特異的に結合する、抗体。
【請求項57】
IgG2抗体である、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項58】
配列番号76のポリペプチドに特異的に結合する、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項59】
I1−R1のエピトープ4を特異的に結合する、請求項5、12または25のいずれか一つに記載の抗体。
【請求項60】
選択された抗原のエピトープマッピングのための方法であって、以下の工程:
(a)一組の融合タンパク質を生成する工程であって、各融合タンパク質が、(i)アビジンおよび(ii)アビジンのフラグメントを有する、工程;
(b)該抗原に対する1つ以上の特異的結合パートナーに結合することについての一組の融合タンパク質をスクリーニングする、工程;
(c)ビオチンを含む培地上で、該融合タンパク質を単離して、それによって該アビジンが該ビオチンに結合する、工程;および
(d)特異的結合パートナーにより結合された該融合タンパク質を分析して、特異的結合パートナーについて、該抗原の結合部位を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項61】
前記特異的結合パートナーが、抗体である、請求項60に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【公表番号】特表2006−517179(P2006−517179A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534705(P2004−534705)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027978
【国際公開番号】WO2004/022718
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027978
【国際公開番号】WO2004/022718
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
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