説明

注射可能な泡製剤および新規な医薬的適用

【課題】注射可能な新規な医薬適用を提供する。
【解決手段】非経口投与用で、無菌の気体で形成される泡における薬物の供給は、該泡の直径が減少するにつれ該泡の活性な表面積を指数的に増加させ;分配速度論を変更し;および微粒子化して、その治療効果を増加する。さらに、該泡が注入されると、該薬物を検分することを可能にして、該泡のエコー輝度は超音波検査的なモニターを可能とする。さらに、該薬物の操作性は選択された局所化を指示し、目的外の場所での反応を防ぐことを可能とする。該泡のガレノスの形態は、要求される注射薬物から、現行用いられる医薬形態では得られないより大きな局所での作用での病気の治療に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(序論)
非経口の投与は、外部と直接通じることなく組織または臓器の腔に薬物を導入するために、実際には分配系として機能する血流に直接薬物を導入するために、皮膚の関門を通じて実施される。
【0002】
注射剤の一つの利点は素早い作用である(薬物はすぐに血液で分配されるので、静脈投与においてほとんど即効性である)が、与えられた時間、局所でこの作用を維持するのは困難で、特に高度に血管新生化した領域において困難である。さらに、血管新生化がほとんどされていない領域において、または血流を通じて伝統的な分配が薬物の必要な濃度に達することが不十分な部位もしくはその作用が効果を示すのに必要な時間選択された領域に薬物を保持することが不十分な部位において、物質の治療濃度に達するのは困難である。
【0003】
注射可能な泡の薬物運搬システムにより、我々は高度に血管新生化した臓器でも、血管においてでさえ、局所の作用をより長くすることを成し遂げた。さらにこの医薬製剤形の操作性により、望まない領域に該作用を達しにくくしている。
【0004】
さらに、泡に医薬物質をのせる際製造される医薬物質の微粉砕化は、活性な表面積を指数的に増加させ、同じ治療効果が低用量でできる結果となる。この製剤形で与えられる別の利点には、薬物がどこに位置するか超音波診断的に観察することの可能性がある。
【0005】
注入された薬剤および医薬物質の局所での作用が有用であり、現行の使用の医薬製剤形で実施できない場合に、この薬物運搬システムは複数の疾患の治療に興味が持たれ得る。
【背景技術】
【0006】
(背景技術)
特許文献1によれば、生理学的に適合性のある気体の泡との液体混合物は、超音波診断における対照媒体として用いられている。
【0007】
また、特許文献2によれば、血液のエコー輝度を増加し、医療診断(例えば血管性の疾患の検出として)の助けとなる超音波診断の能力を補強する媒体として注射用として適している、水溶液中気体で満たされたマイクロスフェアのより安定な懸濁液を得る試みもされている。
【0008】
スクレロサント(sclerosant)を含んだ微小泡もまた、結節状静脈の処置に注入されており、結果は液体のスクレロサント(sclerosant)で得られる結果より優れていることが観察されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願第0 077 752号(SCHERING AKTIENGESELLSCHAFT)1983
【特許文献2】WO 92/05806 A(SINTETICA S.A.)1992
【特許文献3】WO 95/00120 A(J. CABRERA GARRIDO)1995
【発明の概要】
【0010】
(製造)
本発明は、起泡剤および気体を加え、要求される条件に従い製造する、いずれかの医薬物質を含んだ注射可能な泡の製造について記述する。
治療される疾患のいくつかにおいては、治療剤は泡を形成するのに用いられる気体であり得る。
泡は、A)該溶液の機械的にまたは超音波で泡立てることにより、B)加圧溶解させている気体を含む溶液の減圧により、C)泡立てるべき溶液と独立していて使用の瞬間にその溶液と接触して放出するように配置される区画に含まれる気体を放出することにより、D)ガスを生産する化学反応によって、製造される。
【0011】
特許US-A 4.446.442、EP-A-131 540、US-A 4.276.885において、気体で満たされたマイクロカプセルまたは中空微粒子(すなわち、ガスがきちんと被包されている微粒子)の溶液を製造する方法が開示されている。これらの方法では、マイクロスフェアが血中に注入されたとき、血管内を通過する間にそれらが破壊されることに抵抗し、注入箇所から離れた血管で超音波診断により検出されるように、マイクロスフェアの安定性を探求している。これらマイクロスフェアの懸濁液の高い安定性は、診断の効力にとって必要な条件である。
我々の発明はそのようなことを目的とするものではなく、むしろ気体および起泡剤の存在下に、微小気泡の分散体を生成することなく、いずれかの医薬物質を泡に変換しようとするものであって、それは、非物質となる限界まで化合を続けることで、微粒子の溶液とは異なる物理化学的物質を形成するものである。
場合によっては、それは泡同士の凝集性を流動的な薬剤で改善するのに有益である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(適用)
注射可能な泡は、とりわけ肝不全または腎不全において、または例えば細胞分裂停止のような治療上の余裕がほとんどない薬剤の投与において有用であり、この場合、標的組織にできるだけしっかりと最も低い用量で運搬されて、該薬剤が最大限の効力を発揮できることが望まれる。
【0013】
局在化した腫瘍においては、抗炎症剤または副腎皮質ステロイドの泡での注入は、全身投与された場合の薬剤による胃腸のリスクを減らし得る。
【0014】
同様に、泡は医薬物質の静脈内使用において価値がある、すなわち、例えば虚血下の足の局所の血管拡張を促進し、できるだけ最も長い時間このゾーンに注入した薬物の滞留を促す価値がある。
【0015】
膿瘍または局在化した感染症において、注射可能な泡によりインシトゥーで抗生物質または化学療法的抗ウイルス剤のより長い活性が得られ、従来の投与の場合よりもより効果があるようにする。
【0016】
全身投与で満足な作用を得ることが困難な爪白癬の場合、抗真菌剤を含む泡を爪の下に注入することは有益である。
【0017】
注射可能な泡の別の適用は、局所麻酔において、麻酔の拡散を促進しまたは分配を遅らせ、従って投与の反復を減らし得る。
【0018】
さらに、治療剤が気体である場合、それは必要な部分と接触が続けられて、不活性な物質を含む注射可能な泡に形成され得る。これは嫌気性細菌で生ずるガス壊疽において、または末端での重篤な虚血において酸素を投与する場合である。
【0019】
該泡はまた、血液が薬物の運搬ベヒクルであり得ない場合および特に強力で選択的な局所の作用、例えば、重要な静脈体幹の血栓症の中心部に十分な濃度での線維素溶解薬/血栓溶解薬のインシトゥーの使用が要求される場合、特に有用である。
【0020】
要約すると、与えられた領域に注射可能な薬物の作用を維持する必要がある場合、その存在をより長い時間にし、要求される部分での希釈を減らし、および薬物のより大きな活性表面積にする機能で、該泡の形態はその局所での治療上の活性を増加させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化症用薬以外のいずれかの医薬物質または薬剤、並びに不活性な起泡剤およびいずれかの気体で形成される注射可能な泡を含むことを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、注射可能な泡の医薬製剤。
【請求項2】
該医薬物質が血管拡張薬であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項3】
該医薬物質が心血管系に作用することを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項4】
該医薬物質が抗真菌剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項5】
該医薬物質が抗感染剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項6】
該医薬物質がトリメトプリムを含む抗生物質であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項7】
該医薬物質がいずれかの他の抗生物質または化学療法剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項8】
該医薬物質がスルホンアミドであることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項9】
該医薬物質が細胞分裂停止剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項10】
該医薬物質が麻酔薬であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項11】
該医薬物質が抗炎症剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項12】
該医薬物質がプロスタグランジンであることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項13】
該医薬物質が副腎皮質ステロイドであることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項14】
該医薬物質がホルモン活性剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項15】
該医薬物質が抗ウイルス剤であることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。
【請求項16】
不活性な起泡剤およびいずれかの気体で形成されることを特徴とする、すでに調製されたまたは用時調製形の、請求項1の注射可能な泡製剤。

【公開番号】特開2012−246306(P2012−246306A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−183497(P2012−183497)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【分割の表示】特願2003−518485(P2003−518485)の分割
【原出願日】平成13年8月8日(2001.8.8)
【出願人】(500431508)ビーティージー・インターナショナル・リミテッド (41)
【Fターム(参考)】