説明

洗い場床

【課題】 排水溝の下流側で早期に水が途切れることなく、洗い場床表面上、特に排水凹部周りに残水が発生することを防止する。
【解決手段】 排水凹部の上端に向かって下り傾斜面となっている表面を備えた樹脂製の洗い場床であって、表面2に形成された排水溝12の下流部は、排水溝12下流側の水を排水凹部6の立ち面部32の上端32aより下方に導くために、立ち面部32の上端32a以下の高さまで連続して形成された導水溝部21と、排水溝12下流側の水の流速を遅らせるために立ち面部32の上端32aまで連続させずに途中で途切れるように形成されて表面2上に下流端が位置する流速抑制部22とを有し、表面2には、排水凹部6に向かって水が排水されるように排水方向の異なる複数の勾配面3〜5が形成されており、複数の勾配面3〜5は、それぞれの勾配面の稜線7,8に向かって下り傾斜しており、稜線7,8の下流端部近傍に導水溝部21が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場床に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の洗い場に用いられる床パネルとして、表面に複数の凸部を設け、これら凸部の間に流れ込んだ水を排水凹部まで途切れさせずに一時捕水できる状態にする排水溝(導水路)を排水凹部まで連続して形成することで、床パネル上に残水が発生しないようにしたものが開示されている(例えば、特許文献1)。これによって、翌日には洗い場の上に水滴が残らなくなる。
【0003】
しかしながら、排水凹部の周囲には、意匠用の目的などから平面状に形成された縁部が形成されていることがあり、この場合、排水溝内で連続して繋がっていた水が上記縁部で途切れ、排水凹部周りに残水が生じてしまうことが懸念される。
【0004】
そこで、特許文献2、3では、排水凹部周りの縁部にも溝を形成することで、排水凹部に向けて延在するすべての排水溝の下流端を排水凹部の立ち面まで連続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3508761号公報
【特許文献2】特許第4060638号公報
【特許文献3】特許第3585911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2、3では、排水凹部に向けて延在するすべての排水溝についてその下流端を排水凹部の立ち面まで連続させて形成しているため、排水溝下流部の排水性が良すぎてしまい、その部分で早期に水が途切れ、排水溝に流れ込んだ水を排水凹部まで途切れさせずに一時捕水させた状態にすることが困難となり、排水凹部周りに残水が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、排水溝の下流側で早期に水が途切れることなく、洗い場床表面上、特に排水凹部周りに残水が発生することを防止できる洗い場床を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、凹状に形成された排水凹部と、前記排水凹部の上端に向かって下り傾斜面となっている表面と、を備えた樹脂製の洗い場床であって、前記排水凹部は、貫通孔が形成された底面部と、前記底面部の周縁から上方に立ち上がり形成された立ち面部と、を有し、前記表面は、滑り止め用の複数の凸部と、前記凸部の間にそれぞれが連続するように複数形成され、一部の下流端のみが前記排水凹部の前記立ち面部の上端以下の高さまで延在形成されており、前記凸部の間に流れ込んだ水を前記立ち面部の上端まで途切れることなく排水することが可能な複数の排水溝と、を有し、前記排水溝の下流部は、前記排水溝下流側の水を前記排水凹部の前記立ち面部の上端より下方に導くために、前記立ち面部の上端以下の高さまで連続して形成された導水溝部と、前記排水溝下流側の水の流速を遅らせるために、前記立ち面部の上端まで連続させずに途中で途切れるように形成され、前記表面上に下流端が位置する流速抑制部と、を有し、前記表面には、前記排水凹部に向かって水が排水されるように排水方向の異なる複数の勾配面が形成されており、前記複数の勾配面は、それぞれの勾配面の稜線に向かって下り傾斜しており、前記稜線の下流端部近傍に前記導水溝部が形成されていることを特徴とする洗い場床が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排水溝の下流側で早期に水が途切れることなく、洗い場床表面上、特に排水凹部周りに残水が発生することを防止できる洗い場床が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る洗い場床の平面図。
【図2】同洗い場床表面における一部分の拡大斜視図。
【図3】同洗い場床における排水凹部及びその周辺部分の拡大斜視図。
【図4】同洗い場床における排水凹部及びその周辺部分の拡大平面図。
【図5】同洗い場床における導水溝部の拡大断面図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る洗い場床における排水凹部及びその周辺部分の拡大斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る浴室の洗い場床1の平面図を示す。
【0012】
洗い場床1は、浴室外に湯水を漏出させない防水性、および浴室壁パネル、天井パネル、風呂椅子、洗面器などの静荷重や、使用者の動荷重を受けても撓んだり破損しない十分な強度を有し、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂から形成されている。あるいは、洗い場床1は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施したものから形成されていてもよい。
【0013】
洗い場床1は、全体としては浅底のパン形状に形成されている。洗い場床1は、凹状に形成された排水凹部6と、排水凹部6の上端に向かって下り傾斜面となっている表面2と、最外縁部で上方に立ち上がり形成された水返し壁部9とを備える。
【0014】
洗い場床1には排水凹部6が最も低くなるように排水勾配がつけられ、表面2上の水(湯も含む)は排水勾配に沿って流れ、排水凹部6に集水される。具体的には、表面2には、それぞれ排水方向の異なる複数の勾配面(例えば3つの勾配面3、4、5)が形成されている。各勾配面3、4、5は、排水凹部6に向かって下り傾斜になっている。さらに、勾配面3及び勾配面4は、これらの間に谷として形成された稜線7に向かっても下り傾斜となっている。同様に、勾配面3及び勾配面5は、これらの間に谷として形成された稜線8に向かって下り傾斜となっている。
【0015】
したがって、各勾配面3〜5上の水は、図1において点線矢印で示すように、排水凹部6及び稜線7、8に向かって流れる。稜線7、8自体も排水凹部6に向かって下り傾斜となっており、稜線7、8に流れ込んだ水は稜線7、8に沿って排水凹部6へと流れる。
【0016】
表面2には、図2に示すように、複数の凸部11と複数の排水溝12とが形成されている。なお、図2には表面2の一部分のみを示すが、凸部11及び排水溝12は洗い場床1の表面2全体にわたって形成されている。
【0017】
凸部11は滑り止めの機能を担い、例えば図2に示す例では凸部11の表面を波形に形成することで、さらに滑り止め効果を高めている。
【0018】
排水溝12は、凸部11の周囲を囲むように例えば格子状に複数形成され、それぞれの排水溝12は途切れることなく連続している。これら排水溝12を介して、凸部11の間に流れ込んだ水を排水凹部6まで途切れることなくゆっくりと排水することが可能となっている。
【0019】
排水溝12の平面レイアウトは格子状に限らず、凸部11の間に流れ込んだ水を排水凹部6まで途切れることなくゆっくりと排水することが可能なレイアウトであればよい。
【0020】
次に、図3は洗い場床1における排水凹部6及びその周辺部分の拡大斜視図であり、図4は同部分の拡大平面図を示す。
【0021】
排水凹部6は、図示しない排水トラップへとつながる貫通孔が形成された底面部31と、底面部31の周縁から上方に立ち上がり、筒状の側壁として形成された立ち面部32とを有する。
【0022】
排水凹部6に向かって形成された複数の排水溝12のうち、一部の下流端のみが排水凹部6の立ち面部32の上端32a以下の高さまで延在形成されている。すなわち、排水溝12の下流部は、排水溝12下流側の水を立ち面部32の上端32aより下方に導くために、立ち面部32の上端32a以下の高さまで連続して形成された導水溝部21a〜21fと、排水溝12下流側の水の流速を遅らせるために、立ち面部32の上端32aまで連続させずに途中で途切れるように形成され、排水凹部6周辺の表面2上に下流端が位置する流速抑制部22とを有する。
【0023】
各導水溝部21a〜21fは、凸部11間に位置する排水溝12のいずれかと連続し、各導水溝部21a〜21fの下流端は、排水凹部6の立ち面部32の上端32aよりも下方にまで延びて形成されている。
【0024】
本実施形態では、例えば6箇所に導水溝部21a〜21fを形成している。導水溝部21a、21bは、前述した勾配面3〜5の稜線7、8の下流端部近傍に形成されている。導水溝部21d、21eは、勾配面3の下流端部近傍であって上記導水溝部21aと導水溝部21bとの間に形成されている。導水溝21cは勾配面5の下流端部近傍に形成され、導水溝21fは勾配面4の下流端部近傍に形成されている。
【0025】
排水凹部6の上部開口端周辺には平面状の縁部33が形成されている。この縁部33の表面は、凸部11間に位置する排水溝12の底と同じ高さであり、その縁部33に各導水溝部21a〜21fがスリット状に形成されている。したがって、縁部33に形成された導水溝部21a〜21fの底は、凸部11間の排水溝12の底よりも低い位置にある。
【0026】
排水溝12の下流側において、その下流端が上記縁部33にまで連続形成されず、縁部33の手前で途切れているものが流速抑制部22として機能する。
【0027】
排水溝12の下流部は、図4に示すように、縁部33より上流側で例えば格子パターン状につながっており、この部分を通じて導水溝部21a〜21fと流速抑制部22とがつながっている。
【0028】
洗い場床表面2上の水は、凸部11の間の排水溝12に流れ込み、排水溝12内で連続した一時捕水状態とされ、その状態を維持しつつ、前述した排水勾配により下流側に流れ、導水溝部21a〜21fを通じて、排水凹部6の立ち面部32の上端32aより下方まで導かれる。また、排水凹部6の立ち面部32の上端32aよりも上流側で排水溝12を途切れさせた流速抑制部22により、その部分での排水速度(排水性)が抑えられ、排水溝12下流側で溝12内を流れる水が早期に途切れてしまうことを抑制できる。
この結果、排水溝12内で連続した水の一時捕水状態を長時間にわたって保持することができ、排水溝12内の水を導水溝部21a〜21fを通じて排水凹部6まで途切れることなくゆっくりと少しずつ流下させることができる。
ここで、排水溝12の下流側での排水の流速が上流側よりも速いと、下流側での溝内排水が早期になくなり、排水凹部6まで通じる連続流水網が途中で途切れ、洗い場床1上に、翌日までに自然乾燥させることが困難な量の残水を生じさせてしまうおそれがある。
したがって、排水溝12の下流側での排水の流速が上流側と同程度もしくは遅ければ、連続流水網が排水凹部6の立ち面部32まで途切れない。すなわち、排水溝12の下流側こそ、よりゆっくり排水できるようにすることが重要である。
そこで、本発明の実施形態では、下流側での排水流速を抑制するために、排水凹部6に向けて延びるすべての排水溝12についてその下流端を排水凹部6の立ち面部32まで連続させるのではなく、一部のみを導水溝部21a〜21fを通じて排水凹部6の立ち面部32まで連続させるにとどめている。
【0029】
したがって、本実施形態では、排水凹部6まで途切れずにつながる導水溝部21a〜21fを必要最小限にとどめることで、下流側における必要以上の排水性の向上を抑制して、洗い場床表面2上から排水凹部6へと排水が連続してつながる一時捕水状態が確実に維持されるようにし、洗い場床表面2上や排水凹部6の周辺に取り残されてしまう残水の発生を抑制できる。
【0030】
洗い場床表面2上の水は前述した勾配面3〜5の稜線7、8に集まりやすく、大部分の水は稜線7、8またはその近傍を流れて排水凹部6に至る。したがって、図3、4には、稜線7、8の下流端部以外の4箇所にも導水溝部21c〜21fを形成した例を示したが、稜線7、8の下流端部だけに導水溝部21a、21bを形成してその部分でのみ排水溝12を排水凹部6の立ち面部32と連続させるだけでも、排水凹部6周辺の水溜まり防止
には十分である。
【0031】
図4を参照して前述したように、各導水溝部21a〜21fと流速抑制部22とは、そ
れぞれの下流端より上流側の排水溝12を通じて連続している。したがって、導水溝部2
1a〜21fの近くに形成された流速抑制部22内の水は導水溝部21a〜21fに流れ込むことができる。これにより、流速抑制部22に残る水を極少量にすることができ、この残水が少量であれば自然乾燥で翌日までには十分乾く。
【0032】
前述した洗い場床1は、SMC(Sheet Molding Compounds:不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維、フィラー等を混ぜ合わせたシート状の成形材)を熱間成型することにより一体成形される。このとき、表面意匠用の凹凸模様を転写形成するために例えばDAP(ジアリルフタレート)樹脂シートを金型とSMCとの間にインサートして成形する場合に、本実施形態では、排水凹部6の周辺に平面状の縁部33を形成する構造としていることから、DAP樹脂シートを平面状の縁部33に隙間なく密着させることができ、SMCが縁部33より内側の表面2側に流動して流れ込むのを防ぐことができる。
【0033】
一方、特許文献2、3では、すべての排水溝を排水凹部の開口縁部にまで延在形成しているため、排水凹部の開口縁部に多数の凹凸が形成されている。このため、その縁部にDAP樹脂シートを重ねてもその縁部とDAP樹脂シートとの間に隙間が多数生じ、これら隙間から、縁部より内側の洗い場床表面側へとSMCが流れ込み、DAP樹脂シートによる模様の転写形成に不良が生じてしまうことが懸念される。
【0034】
本実施形態では、前述したように、複数の排水溝12のすべてを縁部33まで延在形成
させるのではなく、一部だけを導水溝部21a〜21fとして縁部33に形成しているた
め、縁部33は大部分が平面であり、DAP樹脂シートと縁部33とを重ねた際のこれら両者間の隙間を極力少なくでき、表面2側へのSMCの流れ込みを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、縁部33の表面には、梨地(微細な凹凸)模様が形成され、このことによっても多少は縁部33表面が親水化傾向となるため排水性の向上に貢献する。
【0036】
例えば、凸部11間に位置する排水溝12の溝幅tは0.5<t<2.0mm、深さは0.5mm以上であり、各導水溝部21a〜21fの溝幅tは0.5<t<2.0mm、深さは0.5mm以上である。
【0037】
前述したSMCを金型を用いて成形することにより上記洗い場床1を製造する場合には、排水溝12や導水溝部21a〜21fの溝幅tが0.5mm以下であるとその溝を転写形成するための金型の凸部が細くなるため強度不足が懸念される。また、溝幅tが2mm以上であると水の流下抵抗(表面張力)よりも重力が大きくなり、溝内に捕水できなくなることが懸念される。したがって、排水溝12や導水溝部21a〜21fの溝幅tとしては、0.5mm<t<2.0mmの範囲内にするのが望ましい。
【0038】
次に、図5は、導水溝部21の模式拡大断面図を示す。図5においては、前述した各導水溝部21a〜21fを符号21で代表して表す。
【0039】
導水溝部21は、上流側傾斜部41と中間部42と下流側傾斜部43とを有する。上流側傾斜部41は凸部11間の排水溝12につながり、下流側傾斜部43の下流端は排水凹部6の立ち面部32の上端より下方に位置する。中間部42は、上流側傾斜部41と下流側傾斜部43との間に形成されている。
【0040】
上流側傾斜部41は、凸部11間の排水溝12の底部12aよりも低い位置に形成され、洗い場床表面2(排水溝12)の勾配(例えば1/50)よりも急傾斜に形成されている。中間部42は、洗い場床表面2(排水溝12)の勾配(例えば1/50)と同程度の緩傾斜に形成されている。下流側傾斜部43は、排水凹部6の立ち面部32の上端から下方に延在する急傾斜に形成されている。
【0041】
このように導水溝部21全体を上流側から下流側にかけて急傾斜にするのではなく、途中に、洗い場床表面2の勾配(例えば1/50)と同程度の緩傾斜の中間部42があることで、その部分での排水速度を抑制し、導水溝部21における水の途切れを抑制できる。すなわち、導水溝部21及びこれにつながる排水溝12内で、確実に水を連続した状態で一時捕水できる。
【0042】
前述した実施形態に係る洗い場床は、排水凹部6及び表面2が同材料で一体形成された構造としたが、これに限らず、それらを別体で形成し組み合わせてもよい。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態に係る洗い場床における排水凹部及びその周辺部分の拡大斜視図である。
【0044】
本実施形態では、排水凹部6を一体に形成した例えばFRPからなる基材57に対して、表面材50を貼り合わせている。例えば、表面材50として基材57よりもやわらかい材料を用いることで、表面がやわらかい洗い場床を実現できる。
【0045】
表面材50における排水凹部6側の縁部と、基材57表面との間の隙間にはコーキング材55が充填され、上記隙間から表面材50と基材57表面との間に水が浸入することを防いでいる。
【0046】
表面材50の表面には、複数の凸部51と複数の排水溝52とが形成されている。凸部51は滑り止めの機能を担う。排水溝52は、凸部51の周囲を囲むように複数形成され、それぞれの排水溝52は途切れることなく連続している。これら排水溝52を介して、凸部51の間に流れ込んだ水を排水凹部6まで途切れることなくゆっくりと排水することが可能となっている。
【0047】
本実施形態においても、排水凹部6に向かって形成された複数の排水溝52のうち、一部の下流端のみが排水凹部6の立ち面部の上端以下の高さまで延在形成されている。なお、本実施形態における排水凹部6の立ち面部の上端とは、基材57の表面と、表面材50の縁部との隙間に充填されたコーキング材55の上端55aを示す。
【0048】
排水溝52の下流部は、排水溝52下流側の水を立ち面部の上端55aより下方に導くために、その上端55a以下の高さまで連続して形成された導水溝部62と、排水溝52下流側の水の流速を遅らせるために、上記上端55aまで連続させずに途中で途切れるよに形成され、表面材50上に下流端が位置する流速抑制部63とを有する。
【0049】
本実施形態においても、少なくとも勾配面の稜線の下流端部近傍に導水溝部62を形成している。また、導水溝部62と流速抑制部63とは、それぞれの下流端より上流側の排水溝52を通じて連続している。
【0050】
本実施形態においても、排水凹部6まで途切れずにつながる導水溝部62を必要最小限にとどめることで、下流側における必要以上の排水性の向上を抑制して、表面材50の表面上から排水凹部6へと排水が連続してつながる一時捕水状態が確実に維持されるようにし、表面材50の表面や排水凹部6の周辺に取り残されてしまう残水の発生を抑制できる。
【0051】
なお、本実施形態において、導水溝部62は、コーキング材55よりも下方の基材57の立ち面部57aにまで延在形成されていてもよい。
【0052】
また、前述した各実施形態において、排水溝内の水に接触することなく、凸部上に留まれる水の水量は2cc以下、好ましくは0.2cc以下である。
【符号の説明】
【0053】
1…洗い場床、2…表面、3〜5…勾配面、7,8…稜線、6…排水凹部、11…凸部、12…排水溝、21a〜21f…導水溝部、22…流速抑制部、32…立ち面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状に形成された排水凹部と、前記排水凹部の上端に向かって下り傾斜面となっている表面と、を備えた樹脂製の洗い場床であって、
前記排水凹部は、
貫通孔が形成された底面部と、
前記底面部の周縁から上方に立ち上がり形成された立ち面部と、を有し、
前記表面は、
滑り止め用の複数の凸部と、
前記凸部の間にそれぞれが連続するように複数形成され、一部の下流端のみが前記排水凹部の前記立ち面部の上端以下の高さまで延在形成されており、前記凸部の間に流れ込んだ水を前記立ち面部の上端まで途切れることなく排水することが可能な複数の排水溝と、
を有し、
前記排水溝の下流部は、
前記排水溝下流側の水を前記排水凹部の前記立ち面部の上端より下方に導くために、前記立ち面部の上端以下の高さまで連続して形成された導水溝部と、
前記排水溝下流側の水の流速を遅らせるために、前記立ち面部の上端まで連続させずに途中で途切れるように形成され、前記表面上に下流端が位置する流速抑制部と、を有し、
前記表面には、前記排水凹部に向かって水が排水されるように排水方向の異なる複数の勾配面が形成されており、
前記複数の勾配面は、それぞれの勾配面の稜線に向かって下り傾斜しており、
前記稜線の下流端部近傍に前記導水溝部が形成されていることを特徴とする洗い場床。
【請求項2】
前記導水溝部と前記流速抑制部とは、それぞれの下流端より上流側で連続していることを特徴とする請求項に記載の洗い場床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−100721(P2013−100721A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−40313(P2013−40313)
【出願日】平成25年3月1日(2013.3.1)
【分割の表示】特願2008−205391(P2008−205391)の分割
【原出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】