活性が改善した組合せモチーフ免疫賦活性オリゴヌクレオチド
CpG免疫賦活性モチーフ、ならびに二重鎖および高次構造を含めた二次構造をin vitroおよびin vivoで形成することができる第2のモチーフを含有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを開示する。これらには、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する、核酸、または薬学的に許容できるその塩が含まれ、ここで、それぞれのCはメチル化されておらず、3’は核酸の3’末端を指す。オリゴヌクレオチドは、B細胞およびNK細胞を活性化し、I型インターフェロンおよびインターフェロン−γの発現を誘発する。オリゴヌクレオチドは、アレルギー、喘息、感染、および癌を含めた様々な障害および状態の治療に有用である。単一薬剤および組合せ療法としてのその使用に加えて、開示したオリゴヌクレオチドは、ワクチン中のアジュバントとして有用である。
【図1】
【図1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書中に参照により組み込まれている、2007年8月13日出願の米国仮出願第60/964,477号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、免疫賦活性核酸、それを含有する組成物、ならびに癌を含めた様々な状態および障害を治療するための免疫賦活性核酸の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかのクラスの免疫賦活性核酸が知られている。その多くは非メチル化シトシン−グアニン(CpG)塩基配列モチーフを共有するが、これらは、それぞれのクラスを特徴づける明白な免疫賦活活性を生じる構造的差異も保有する。例えば、Krieg,AM(2006)、Nature Reviews Drug Discovery、5:471〜84;Jurk,M他(2004)、Immunobiology、209:141〜54;Vollmer,J他(2004)Eur.J.Immunol.、34:251〜62;Krieg,AM(2001)、Trends in Microbiology、9:249〜52を参照されたい。例えば、AクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)には、典型的には、一方または両方の末端に3つ以上の連続的なグアニンからなるヌクレアーゼ耐性の(安定化した)塩基配列(ポリGモチーフ)、および自己相補的な回文構造内に含有される1つまたは複数のCpGジヌクレオチドからなる中心領域が含まれる。AクラスCpG ODNのメンバーはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化し、形質細胞様樹状細胞(pDC)からのインターフェロン−α(IFN−α)の分泌を誘発する。BクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドには、典型的には、1つまたは複数のCpGジヌクレオチドを含む安定化した非回文構造のヌクレオチド配列が含まれる。AクラスODNとは対照的に、BクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドはB細胞を強力に活性化するが、比較的弱いIFN−α分泌しか誘発しない。
【0004】
同一出願人による公開国際特許出願WO03/015711(’711号出願)は、第3のクラスの免疫賦活性核酸を記載している。CクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドには、典型的には、5’領域内に位置する1つまたは複数のCpGモチーフ、および3’末端またはその付近に位置する回文構造配列が含まれる。これらは、IFN−αの分泌の誘発およびNK細胞の活性化を含めた、AクラスおよびBクラスのCpG ODNのどちらにも特徴的な免疫賦活活性を示す。同様の濃度で、Cクラスオリゴデオキシリボヌクレオチドは、一般に、AクラスCpG ODNで観察されるものよりも高いが、BクラスCpG ODNで典型的に見られるものよりも低いB細胞活性化を示す。
【0005】
最近の研究により、CpGオリゴデオキシリボヌクレオチドがトール様受容体9(TLR9)との相互作用によって免疫賦活活性を誘発することが示されている。Rutz,M他(2004)、Eur.J.Immunol.、34:2541〜50;Bauer,S他(2001)、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、98(16):9237〜42;およびLatz,E他(2004)、Nature Immunol.、5(2):190〜98を参照されたい。いくつかのTLR9作用剤が、感染症、癌、およびアレルギー関連障害に関連するヒト臨床治験において評価されているか、または現在評価を受けている。例えば、Krieg,AM(2006)、Nature Reviews Drug Discovery、5:471〜84を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感染症、癌、およびアレルギー関連障害を含めた免疫系に関連する疾患、状態、および障害を治療するために使用し得る、免疫賦活性CpGオリゴデオキシリボヌクレオチドを含めた免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、塩基配列中のそれぞれのCはメチル化されておらず、配列番号1中の3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を指す。
【0008】
免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号1)はヌクレアーゼ耐性の骨格を有し得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート修飾などのリン酸骨格修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチド間結合を有し得る。一部の実施形態では、すべてのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート修飾を有し得る。
【0009】
さらに、前述の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかは、配列番号1中の5’が免疫賦活性オリゴヌクレオチドの5’末端を指す塩基配列を有し得る。
【0010】
他の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号1)の長さは、100ヌクレオチド以下であり得る。
【0011】
本発明の別の態様は、5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号2中のそれぞれのアスタリスク「*」は、安定化したヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中のアンダーバー「_」は、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表す。
【0012】
一部の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号2)は、5’がオリゴヌクレオチドの5’末端を指し、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す配列を有し得る。
【0013】
本発明の別の態様は、5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号3中のそれぞれのアスタリスク「*」は、安定化したヌクレオチド間結合を表し、オリゴヌクレオチドは長さが23〜26ヌクレオチドである。
【0014】
一部の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号2または配列番号3)は、それぞれのアスタリスク「*」がホスホロチオエートヌクレオチド間結合を表し、アンダーバー「_」がリン酸ジエステルヌクレオチド間結合を表す配列を有し得る。これには、配列番号2または配列番号3中の5’および3’の表示がそれぞれオリゴヌクレオチドの5’および3’末端を指す免疫賦活性オリゴヌクレオチドが含まれる。
【0015】
本発明の別の態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号1中のそれぞれのCはメチル化されておらず、オリゴヌクレオチドは長さが23〜26ヌクレオチドである。
【0016】
本発明のさらなる態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6)を含む配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、Cはメチル化されておらず、X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、X1X2X3X4は、TTTTではない。
【0017】
本発明はまた、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれか、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物も提供する。
【0018】
医薬組成物には、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原または寄生生物抗原などの抗原が含まれ得る。一部の例では、抗原はワクチンであり、組成物にはワクチンアジュバントが含まれる。
【0019】
本発明はまた、対象における障害または状態を治療する方法も提供する。この方法は、治療を必要としている対象に、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかを有効量投与することを含み、疾患または状態は、感染、アレルギー状態、または癌である。
【0020】
この方法には、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、および寄生生物感染からなる群から選択される感染を有する、もしくはそれを生じる危険性にある対象を治療することが含まれてもよく、または、この方法には、アレルギー性喘息などのアレルギー状態を有する対象を治療することが含まれてもよい。
【0021】
この方法には、以下の種類の癌のうちの1つまたは複数を有する、またはそれを生じる危険性にある対象を治療することが含まれ得る:基底細胞癌;胆管癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系(CNS)癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌;ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;腎臓癌;呼吸器系癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;泌尿器系癌、ならびに他の癌腫および肉腫。
【0022】
特許請求に係る免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、癌医薬品、放射線照射、外科的処置、またはその何らかの組合せなどの抗癌治療と併せて投与し得る。
【0023】
本発明はまた、感染、アレルギー状態、または癌から選択される疾患または状態を治療する医薬品を調製するための、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかの使用も提供する。
【0024】
本発明はまた、1型インターフェロン(IFN)の発現を誘発する方法、またはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化する方法も提供する。この方法には、NK細胞または1型IFNを発現することができる細胞を、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかと、それぞれNK細胞を活性化するまたは1型IFNの発現を誘発するために有効な量で接触させることが含まれる。
【0025】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、遊離酸(例えば双性イオン)および塩形態(例えば、酸または塩基付加塩、例えばナトリウム塩)を含めた、様々な形態で存在し得る。したがって、記載する説明および特許請求の範囲中で免疫賦活性オリゴヌクレオチドに言及する場合はすべて、その遊離酸およびその塩を含めたオリゴヌクレオチドのすべての形態が包含される。塩には、すべての薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0026】
本発明は、他の実施形態を含み、様々な方法で実施または実行され得る。本明細書中で使用する表現法および用語は、説明することを目的とし、限定するものとみなされるべきでない。単語「含める」、「含む」、「有する」、「含有する」、「関与する」、およびその変形の使用は、その後に記載した事項およびその均等物ならびに追加の事項を包含することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書中に参照により組み込まれている、2007年8月13日出願の米国仮出願第60/964,477号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、免疫賦活性核酸、それを含有する組成物、ならびに癌を含めた様々な状態および障害を治療するための免疫賦活性核酸の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかのクラスの免疫賦活性核酸が知られている。その多くは非メチル化シトシン−グアニン(CpG)塩基配列モチーフを共有するが、これらは、それぞれのクラスを特徴づける明白な免疫賦活活性を生じる構造的差異も保有する。例えば、Krieg,AM(2006)、Nature Reviews Drug Discovery、5:471〜84;Jurk,M他(2004)、Immunobiology、209:141〜54;Vollmer,J他(2004)Eur.J.Immunol.、34:251〜62;Krieg,AM(2001)、Trends in Microbiology、9:249〜52を参照されたい。例えば、AクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)には、典型的には、一方または両方の末端に3つ以上の連続的なグアニンからなるヌクレアーゼ耐性の(安定化した)塩基配列(ポリGモチーフ)、および自己相補的な回文構造内に含有される1つまたは複数のCpGジヌクレオチドからなる中心領域が含まれる。AクラスCpG ODNのメンバーはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化し、形質細胞様樹状細胞(pDC)からのインターフェロン−α(IFN−α)の分泌を誘発する。BクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドには、典型的には、1つまたは複数のCpGジヌクレオチドを含む安定化した非回文構造のヌクレオチド配列が含まれる。AクラスODNとは対照的に、BクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドはB細胞を強力に活性化するが、比較的弱いIFN−α分泌しか誘発しない。
【0004】
同一出願人による公開国際特許出願WO03/015711(’711号出願)は、第3のクラスの免疫賦活性核酸を記載している。CクラスCpGオリゴデオキシリボヌクレオチドには、典型的には、5’領域内に位置する1つまたは複数のCpGモチーフ、および3’末端またはその付近に位置する回文構造配列が含まれる。これらは、IFN−αの分泌の誘発およびNK細胞の活性化を含めた、AクラスおよびBクラスのCpG ODNのどちらにも特徴的な免疫賦活活性を示す。同様の濃度で、Cクラスオリゴデオキシリボヌクレオチドは、一般に、AクラスCpG ODNで観察されるものよりも高いが、BクラスCpG ODNで典型的に見られるものよりも低いB細胞活性化を示す。
【0005】
最近の研究により、CpGオリゴデオキシリボヌクレオチドがトール様受容体9(TLR9)との相互作用によって免疫賦活活性を誘発することが示されている。Rutz,M他(2004)、Eur.J.Immunol.、34:2541〜50;Bauer,S他(2001)、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、98(16):9237〜42;およびLatz,E他(2004)、Nature Immunol.、5(2):190〜98を参照されたい。いくつかのTLR9作用剤が、感染症、癌、およびアレルギー関連障害に関連するヒト臨床治験において評価されているか、または現在評価を受けている。例えば、Krieg,AM(2006)、Nature Reviews Drug Discovery、5:471〜84を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感染症、癌、およびアレルギー関連障害を含めた免疫系に関連する疾患、状態、および障害を治療するために使用し得る、免疫賦活性CpGオリゴデオキシリボヌクレオチドを含めた免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、塩基配列中のそれぞれのCはメチル化されておらず、配列番号1中の3’はオリゴヌクレオチドの3’末端を指す。
【0008】
免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号1)はヌクレアーゼ耐性の骨格を有し得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート修飾などのリン酸骨格修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチド間結合を有し得る。一部の実施形態では、すべてのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート修飾を有し得る。
【0009】
さらに、前述の免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかは、配列番号1中の5’が免疫賦活性オリゴヌクレオチドの5’末端を指す塩基配列を有し得る。
【0010】
他の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号1)の長さは、100ヌクレオチド以下であり得る。
【0011】
本発明の別の態様は、5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号2中のそれぞれのアスタリスク「*」は、安定化したヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中のアンダーバー「_」は、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表す。
【0012】
一部の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号2)は、5’がオリゴヌクレオチドの5’末端を指し、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す配列を有し得る。
【0013】
本発明の別の態様は、5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号3中のそれぞれのアスタリスク「*」は、安定化したヌクレオチド間結合を表し、オリゴヌクレオチドは長さが23〜26ヌクレオチドである。
【0014】
一部の実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチド(配列番号2または配列番号3)は、それぞれのアスタリスク「*」がホスホロチオエートヌクレオチド間結合を表し、アンダーバー「_」がリン酸ジエステルヌクレオチド間結合を表す配列を有し得る。これには、配列番号2または配列番号3中の5’および3’の表示がそれぞれオリゴヌクレオチドの5’および3’末端を指す免疫賦活性オリゴヌクレオチドが含まれる。
【0015】
本発明の別の態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、配列番号1中のそれぞれのCはメチル化されておらず、オリゴヌクレオチドは長さが23〜26ヌクレオチドである。
【0016】
本発明のさらなる態様は、5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6)を含む配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供し、ここで、Cはメチル化されておらず、X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、X1X2X3X4は、TTTTではない。
【0017】
本発明はまた、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれか、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物も提供する。
【0018】
医薬組成物には、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原または寄生生物抗原などの抗原が含まれ得る。一部の例では、抗原はワクチンであり、組成物にはワクチンアジュバントが含まれる。
【0019】
本発明はまた、対象における障害または状態を治療する方法も提供する。この方法は、治療を必要としている対象に、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかを有効量投与することを含み、疾患または状態は、感染、アレルギー状態、または癌である。
【0020】
この方法には、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、および寄生生物感染からなる群から選択される感染を有する、もしくはそれを生じる危険性にある対象を治療することが含まれてもよく、または、この方法には、アレルギー性喘息などのアレルギー状態を有する対象を治療することが含まれてもよい。
【0021】
この方法には、以下の種類の癌のうちの1つまたは複数を有する、またはそれを生じる危険性にある対象を治療することが含まれ得る:基底細胞癌;胆管癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系(CNS)癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌;ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含めたリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;腎臓癌;呼吸器系癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;泌尿器系癌、ならびに他の癌腫および肉腫。
【0022】
特許請求に係る免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、癌医薬品、放射線照射、外科的処置、またはその何らかの組合せなどの抗癌治療と併せて投与し得る。
【0023】
本発明はまた、感染、アレルギー状態、または癌から選択される疾患または状態を治療する医薬品を調製するための、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかの使用も提供する。
【0024】
本発明はまた、1型インターフェロン(IFN)の発現を誘発する方法、またはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化する方法も提供する。この方法には、NK細胞または1型IFNを発現することができる細胞を、上記に定義した免疫賦活性オリゴヌクレオチドのいずれかと、それぞれNK細胞を活性化するまたは1型IFNの発現を誘発するために有効な量で接触させることが含まれる。
【0025】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、遊離酸(例えば双性イオン)および塩形態(例えば、酸または塩基付加塩、例えばナトリウム塩)を含めた、様々な形態で存在し得る。したがって、記載する説明および特許請求の範囲中で免疫賦活性オリゴヌクレオチドに言及する場合はすべて、その遊離酸およびその塩を含めたオリゴヌクレオチドのすべての形態が包含される。塩には、すべての薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0026】
本発明は、他の実施形態を含み、様々な方法で実施または実行され得る。本明細書中で使用する表現法および用語は、説明することを目的とし、限定するものとみなされるべきでない。単語「含める」、「含む」、「有する」、「含有する」、「関与する」、およびその変形の使用は、その後に記載した事項およびその均等物ならびに追加の事項を包含することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレアーゼ耐性の骨格を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
少なくとも1つのヌクレオチド間結合がリン酸骨格の修飾を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
骨格修飾がホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート修飾である、請求項3に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
それぞれのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート修飾を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項6】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)からなる配列を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
長さが100塩基以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、*が安定化したヌクレオチド間結合を表し、_がリン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表す免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
5’がオリゴヌクレオチドの5’末端を指し、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す、請求項8に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項10】
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、*が安定化したヌクレオチド間結合を表し、長さが23〜26ヌクレオチドである免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号2または配列番号3中の*がホスホロチオエートヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中の_がリン酸ジエステルヌクレオチド間結合を表す、請求項8から10のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、長さが23〜26ヌクレオチドである免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項13】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、X1、X2、X3、およびX4が、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、X1X2X3X4が、TTTTではない免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記請求項のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
対象における障害または状態を治療する方法であって、治療を必要としている対象に、請求項1から13のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを有効量投与することを含み、障害または状態が、感染、アレルギー状態、および癌から選択される方法。
【請求項1】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレアーゼ耐性の骨格を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
少なくとも1つのヌクレオチド間結合がリン酸骨格の修飾を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
骨格修飾がホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート修飾である、請求項3に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
それぞれのヌクレオチド間結合がホスホロチオエート修飾を有する、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項6】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)からなる配列を有する、前記請求項のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
長さが100塩基以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、*が安定化したヌクレオチド間結合を表し、_がリン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表す免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
5’がオリゴヌクレオチドの5’末端を指し、3’がオリゴヌクレオチドの3’末端を指す、請求項8に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項10】
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、*が安定化したヌクレオチド間結合を表し、長さが23〜26ヌクレオチドである免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号2または配列番号3中の*がホスホロチオエートヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中の_がリン酸ジエステルヌクレオチド間結合を表す、請求項8から10のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、長さが23〜26ヌクレオチドである免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項13】
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6)を含む塩基配列を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドであって、Cがメチル化されておらず、X1、X2、X3、およびX4が、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、X1X2X3X4が、TTTTではない免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記請求項のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
対象における障害または状態を治療する方法であって、治療を必要としている対象に、請求項1から13のいずれか一項に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを有効量投与することを含み、障害または状態が、感染、アレルギー状態、および癌から選択される方法。
【図1】ヒトおよびマウスのTLR9レポーターアッセイを示す一組のグラフである。ヒトTLR9 hTLR9−NFκB−293細胞を、示した濃度のODNと共に16時間インキュベートし、その後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した(図1A)。マウスTLR9 mTLR9−NFκB−293細胞を、示した濃度のODNと共に16時間インキュベートし、その後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した(図1B)。
【図2】単離したpDC中でのIFN−αの誘発を示すグラフである。CD14枯渇による2人のドナーの末梢血単核球(PBMC)からのpDCの磁気単離に次いで、BDCA−4(Miltenyi)を用いた陽性選択を行った。データ(平均+/−SEM)は、示したODN濃度を用いた24時間のインキュベーション、次いでIFN−αのELISAについて示す。
【図3】単離したpDC中でのCD86およびCCR7を示す一組のグラフである。CD14枯渇による2人のドナーのPBMCからのpDCの磁気単離に次いで、BDCA−4(Miltenyi)を用いた陽性選択を行った。データ(平均+/−SEM)は、示したODN濃度を用いた24時間のインキュベーション、次いで、CD86発現(図3A)(CD86FITC、CCR−7PE、CD14PerCP、BDCA−4APC)またはCCR7(図3B)のフローサイトメトリー分析について示す。
【図4】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIFN−α(図4A)、IFN−γ(図4B)、およびIP−10(図4C)の平均+/−SEMを示す。
【図5】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIL−1β(図5A)、IL−2R(図5B)、GM−CSF(図5C)、およびMCP−1(図5D)の平均+/−SEMを示す。
【図6】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIL−6(図6A)、IL−10(図6B)、IL−12(図6C)、およびIL−15(図6D)の平均+/−SEMを示す。
【図7】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインMIP−1α(図7A)、MIP−1β(図7B)、およびTNF−α(図7C)の平均+/−SEMを示す。
【図8】ヒトNK細胞の細胞毒性を示す一組のグラフである。ヒトPBMCを、示したように0.25μM(図8A)または1μM(図8B)のODNと共に16時間インキュベートし、次いで、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した標的細胞(K562、慢性骨髄性白血病)と共に、様々なエフェクター:標的の比でさらに4時間インキュベートした。細胞死滅は、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)を用いた染色およびフローサイトメトリーによって決定した。3人のドナーの平均+/−SEMを示す。
【図9】ヒトB細胞の増殖を示すグラフである。3人のドナーからのCFSEで標識したPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共に5日間インキュベートし、次いで、B細胞を区別するためにCD19を用いて細胞表面染色した。CFSE染色が減少していたB細胞の割合を決定した。3人のドナーの平均+/−SEMを示す。
【図10】ヒトTLR8およびNFκBのレポーター遺伝子アッセイを示す一組のグラフである。hTLR8−NFκB−293(図10A)およびNFκB−293(図10B)細胞を、示した濃度のODNまたはTNF−αと共に16時間インキュベートし、その後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した。
【図11】マウスB細胞の増殖を示すグラフである。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(4×106個/mL)を、培地(データ分析で親集団として用いる陰性対照)またはODNと共にインキュベートした。5日間のインキュベーションの後、脾細胞(B細胞)の増殖をCFSE染色によって測定した。増殖指数は、Verity ModFit5.1ソフトウェアを用いて測定した。
【図12】マウス脾細胞中でのin vitroサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106個/mL)をODNと共にインキュベートした。インキュベーションの48時間後の培養上清を、IL−6(図12A)、IL−12(図12B)、IFN−γ(図12C)、およびTNF−α(図12D)について、Luminex技術(マウスサイトカイン20プレックス;カタログ番号LMC0006、BioSource、カリフォルニア州Camarillo)を用いて試験した。
【図13】マウス中でのin vitroサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。雌のBALB/cマウス(5匹/群)に、様々な用量(100mg、250mgまたは500mg)のCpG ODNまたは非CpG対照ODN(配列番号5)を皮下(SC)注射した。動物を注射の3時間後に出血させ、血漿を、IP−10(図13A)およびIL−6(図13B)について、ELISAによって試験した。
【図14】NK活性の増強を示す一組のグラフである。BALB/cマウス脾細胞(30×106個)を、示したように0μg/mL(培地単独)、1μg/mL(図14A)、3μg/mL(図14B)または10μg/mL(図14C)のODNと共に、24時間インキュベートした。NK活性は、YAC−1標的細胞を用いた標準の51Cr放出アッセイを使用して、様々なエフェクター:標的の比で評価した。
【図15】ルイス肺癌の生存および腫瘍体積を示す一組のグラフである。雌のC57Bl/6(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)に、1×105個のLLC細胞(ATCC;CRL1642)を背下部に皮下注射した。ODN(200mg)を、腫瘍の周辺に、第1日目および第3日目、その後は週に2回、皮下注射した。動物を、腫瘍体積によって測定した腫瘍増殖(図15B)、および生存(図15A)についてモニターした。腫瘍の大きさ(長さおよび幅)は、デジタルバーニアノギスを用いて測定した。腫瘍体積は以下の式を用いて計算した:腫瘍体積=(0.4)(ab2)[式中、aは長さ(大きい方の直径)であり、bは幅(小さい方の直径)である]。平均腫瘍体積の変化は、それぞれの動物群において50%が死亡するまで示す。マウスを腫瘍測定日に安楽死させ、グラフには含めていない。
【図16】神経芽細胞腫の治療を示す一組のグラフである。雌のA/Jマウスに、1×106個の神経2a細胞(ATCC;CCL131)を上部左脇腹に皮下注射した(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)。100mgのODNを、腫瘍注射の10日後から開始して、腫瘍の周辺に皮下注射した。マウスは、毎日または3日毎に、15日間治療した。動物を、腫瘍体積によって測定した腫瘍増殖(図16B)、および生存(図16A)についてモニターした。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述のように、本発明は、免疫賦活性オリゴデオキシリボヌクレオチドを含めた、免疫賦活性核酸および薬学的に許容できるその塩に関する。これらの化合物には、以下から選択される塩基配列が含まれる:
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1);
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3);および
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6);
ここで、配列番号2および配列番号3中のアスタリスク「*」のそれぞれは、安定化したヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中のアンダーバー「_」は、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表し、X1X2X3およびX4は、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、配列X1X2X3X4は、TTTTではない。例えば、X1X2X3X4は、TTTA、TTTG、TTTC、TTAA、TTCG、TTCC、TTGG、TTAT、TTCT、TTGT、TATT、TCTT、またはTGTTであり得る。別段に記述しない限りは、説明中の免疫賦活性核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチドなどへの言及はすべて、遊離酸および任意の薬学的に許容できるその塩をいう。
【0029】
一般に、配列番号中の3’および5’の表示は、塩基配列中の塩基および対応するヌクレオチドの相対的位置(方向)をいう、すなわち、この表示は、別のヌクレオチドが結合し得る、標識した塩基(それぞれ配列番号1〜3中のTおよびTまたは配列番号6中のX4およびT)と会合した、五炭素糖の3’および5’炭素原子をいう。しかし、一部の例では、説明により、3’は核酸の3’末端をいい、その代わりにまたはそれに加えて、5’は核酸の5’末端を指すことが記載される。そのような場合には、3’および/または5’の表示は、ヌクレオチド(またはヌクレオシド)が、核酸中の標識した塩基(ヌクレオチドまたはヌクレオシド)と会合している糖部分のそれぞれ3’および/または5’の位置とは直接連結していないことを示す。ヌクレオチドは存在しないが、3’および5’末端は、リンカーまたは脱塩基分子などの非ヌクレオチド分子と結合していてもよい。
【0030】
本明細書中で使用する「核酸」および「オリゴヌクレオチド」とは、互換性があるように使用し、以下に記載のように修飾されていてもよい複数のヌクレオチド、すなわち、ホスフェート基と連結した糖部分(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子、および、置換ピリミジン、例えば、シトシン(C)、チミン(T)もしくはウラシル(U)、または置換プリン、例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G)のいずれかである交換可能な有機塩基をいう。本明細書中で使用するこれらの用語は、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)をいう。これらの用語には、ポリヌクレオシド、すなわち、ホスフェート基がないポリヌクレオチドも含まれ得る。核酸分子は、既存の核酸源、例えば、ゲノムまたはcDNAから得ることができるが、好ましくは合成であり、例えば核酸合成によって生成する。
【0031】
本明細書中で使用する「免疫賦活性核酸」、「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」、「免疫賦活性核酸」、および「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は等価な用語であり、免疫系の細胞の機能的側面を誘発するその能力によって特徴づけられている、リボ核酸またはデオキシリボ核酸分子、その誘導体または類似体をいう。そのような免疫系の細胞の機能的側面には、例えば、サイトカインもしくはケモカインの同化、細胞表面マーカーの発現、抗体の分泌、増殖、または、抗原もしくは抗原を保有する膜と結合した標的に応答したもしくはそれに向けられた、他の活性が含まれることができる。
【0032】
免疫賦活性核酸は、例えば、β−シアノエチルホスホルアミダイト方法およびヌクレオシドH−ホスホネート方法を含めた、任意の数の周知の手順を用いて新規合成することができる。β−シアノエチルホスホルアミダイト方法の記載については、Beaucage,SLおよびCaruthers,MH(1981)、Tetrahedron Lett、22:1859〜62ならびに以下のスキームIを参照されたい。ヌクレオシドH−ホスホネート方法の記載については、Garegg,IL他(1986)、Tetrahedron Lett、27(34):4051〜54、Froehler,BC他(1986)、Nucl Acid Res、14(13):5399〜407、Garegg,IL他(1986)、Tetrahedron Lett、27(34):4055〜58、およびGaffney他(1988)、Tetrahedron Lett、29(22):2619〜22)を参照されたい。これらの化学は、様々な市販されている自動核酸合成機を用いて行うことができる。これらの核酸は合成核酸と呼ばれる。
【0033】
あるいは、免疫賦活性核酸は、プラスミド中で大規模に産生してより小さな小片に分けるか、または全体を投与することができる。例えば、Sambrook,T.他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1989)を参照されたい。核酸は、制限酵素、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを用いるものなどの既知の技術を使用して、既存の核酸配列(例えば、ゲノムまたはcDNA)から調製することができる。この様式で調製した核酸は、単離核酸と呼ばれる。単離核酸とは、一般に、それが天然において通常関連している構成成分から分離された核酸をいう。例えば、単離核酸は、細胞から、核から、ミトコンドリアからまたはクロマチンから分離されたものであり得る。本明細書中に記載する免疫賦活性核酸には、合成核酸および単離核酸が包含される。
【0034】
in vivoでの使用には、免疫賦活性核酸は、分解に対して任意選択で耐性であってもよい(例えば安定化)。「安定化した核酸分子」とは、in vivo分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して、同じ塩基配列および標準のリン酸結合を有するものよりも耐性がある核酸をいう。核酸の安定化は、リン酸骨格の修飾によって達成することができる。好ましい安定化した核酸は、修飾されたリン酸骨格を有する。一般に、核酸骨格の修飾は、in vivoで投与した場合に、増強された核酸の免疫賦活活性をもたらすことが示されている。一部の例では、ホスホロチオエート結合を有する免疫賦活性核酸は改善した活性を保有し、核酸を細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解から保護する。他の核酸骨格修飾には、リン酸ジエステルおよびホスホロチオエート結合の組合せ(すなわちキメラ骨格)、および、アルキルホスホネート(例えばメチルホスホネート)基、アルキルホスホロチオエート(例えばメチルホスホロチオエート)基、ホスホロジチオエート基、エチルホスフェート基など(これらの組合せを含む)からなる骨格が含まれる。
【0035】
修飾された骨格を有する核酸は、既知の方法を用いて調製し得る。例えば、ホスホロチオエートなどの修飾された骨格は、ホスホルアミデートまたはH−ホスホネート化学のどちらかを用いた自動技術を使用して合成し得る。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、米国特許第4,469,863号に記載のように作製することができ、アルキルホスホトリエステル(例えばリン酸エチル)は、米国特許第5,023,243号に記載のように、市販の試薬を用いた自動固相合成によって調製することができる。他の核酸骨格修飾および置換を行う方法が記載されている。例えば、Uhlmann,EおよびPeyman,A(1990)、Chem Rev、90(4):544〜84;Goodchild,J(1990)、Bioconjugate Chem、1(3):165〜86を参照されたい。
【0036】
テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを片方または両方の末端に含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性があることが示されている。
【0037】
免疫賦活性核酸の一部の実施形態は、柔らかいまたは中程度に柔らかい骨格を含む、部分的に安定化したキメラ骨格を有し得る。前述したように、キメラ骨格には、リン酸ジエステルおよび修飾された骨格の結合が含まれる。柔らかいオリゴヌクレオチドとは、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−グアニン(YG)ジヌクレオチド塩基配列の内部、またはそれにすぐ隣接している場合にのみ起こる、部分的に安定化した骨格を有する免疫賦活性核酸である。したがって、内部YGジヌクレオチドには、(i)ピリミジンヌクレオシドとグアノシンまたはデオキシグアノシン部分(すなわち、Y_G)とを結合する、ならびに(ii)隣接ヌクレオチド、または内部YGジヌクレオチドに対して5’、3’、もしくは5’および3’の両方のヌクレオチドを結合する、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が含まれる。好ましくは、隣接リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、内部ヌクレオチド間結合である。
【0038】
中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドとは、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−グアニン(YG)ジヌクレオチド塩基配列の内部でのみ起こる、部分的に安定化した骨格を有する免疫賦活性核酸である。中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドは、完全に安定化した骨格を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドに勝るいくつかの利点を有する場合がある。例えば、中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドは、対応する完全に安定化した免疫賦活性オリゴヌクレオチドよりも増加した免疫賦活力価を保有し得る。
【0039】
リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合とは、リン酸ジエステル結合と化学的にかつ/またはジアステレオマー的に類似のリン含有架橋基である。リン酸ジエステル結合との類似性の尺度には、ヌクレアーゼ消化に対する感受性およびRNAse Hを活性化する能力が含まれる。したがって、例えば、リン酸ジエステルオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ消化に感受性があるがホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは感受性がない一方で、リン酸ジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはどちらもRNAse Hを活性化する。好ましい実施形態では、リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、ボラノリン酸(または等価にボラノホスホン酸)結合である。例えば、米国特許第5,177,198号、米国特許第5,859,231号、米国特許第6,160,109号、米国特許第6,207,819号、およびSergueev,DSおよびShaw,BS(1998)、J Am Chem Soc、120:9417〜27を参照されたい。別の好ましい実施形態では、リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートである。一部の実施形態では、用語「リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合」とは、ホスホロジチオエートおよびメチルホスホネートのヌクレオチド間結合を具体的に排除する。
【0040】
スキームIは、固相β−シアノエチルホスホルアミダイト方法を用いてオリゴデオキシリボヌクレオチドを調製する1つのプロセスを示す。このプロセスでは、単量体β−シアノエチル−ジイソプロピルホスホルアミダイト構成単位、T−アミダイト、Gアミダイト、およびCアミダイトを用い、その構造を以下に示す:
【0041】
【化1】
単量体構成単位は、それぞれのデオキシリボース部分の5’−ヒドロキシ官能基を保護する、酸に不安定な4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)基を含有する。構成単位はまた、合成中にホスファイト(またはホスフェート)基を保護するβ−シアノエチル基、ならびに核酸塩基の第一級アミノ官能基(グアニンおよびシトシン)を保護する塩基に不安定なアシル基(例えば、イソブタノイルおよびベンゾイル)も含有する。
【0042】
スキームIは、n個の塩基(B1、B2、B3、...Bn)およびヌクレオシドを含有するODN(式XII)の調製を例示する。合成は、充填された固体支持体媒体床(例えば、細孔制御ガラス、ポリスチレンなど)を含有するステンレス鋼カラムからなる流動反応器モジュールを含む、コンピュータ制御の固相オリゴヌクレオチド合成機を用いて行う。合成機は、試薬および洗浄液を送達し、プロセスの過程をモニターする。プロセスの鎖延長部分中に中間体は単離されない。出発物質は、DMTで保護した5’−ヒドロキシ官能基および核酸塩基B1を含む最初のヌクレオシド(式I)である。最初のヌクレオシドは、デオキシリボース部分の3’位でスクシニルリンカーによって固体支持体媒体と連結される。上述のように、第一級アミン基を有する核酸塩基には、処理中の望ましくない副反応を防止するために、塩基に不安定なアシル基が含まれる。
【0043】
このプロセスにはn−1回のサイクルが含まれ、そのそれぞれが、4つの主要なステップ、すなわち、(a)固体に支持されたODNの5’末端を脱ブロッキングまたは脱トリチル化するステップと;(b)必須の単量体構成単位(T−アミダイト、G−アミダイトまたはC−アミダイト)を脱保護したODNの5’末端とカップリングさせるステップと;(c)カップリングステップで配置されたヌクレオシドを固体に支持されたODNと連結させる、ホスファイト架橋を酸化する(例えばチオール化)ステップと;(d)未反応の脱保護した出発物質または脱保護した中間体をすべてキャッピングするステップとを含む。それぞれの主要なステップ(a〜d)の間でアセトニトリル(ACN)洗浄を行うことで、過剰の反応物質(例えば単量体構成単位)を除去する。プロセス中、ODNは3’から5’の方向に構築される。n−1回のサイクルの後、完全長ODN(5’末端にDMT基を有する)を固体支持体から切断し、核酸塩基の第一級アミンを脱保護し、ODNをカラムクロマトグラフィーによって精製し、DMT基を除去して、所望のODN(XII)またはその塩が得られる。
【0044】
上述およびスキームIに示すように、ODN合成の第1のステップ(a1)には、酸、例えばトルエン中のジクロロ酢酸(DCA)と短時間接触させることによって、出発物質(式I)の5’−ヒドロキシ官能基からDMT保護基を除去することが含まれる。脱保護の後、5’−ヒドロキシ基(式II)は、必須のホスホルアミダイト構成単位(式III)とのカップリングステップ(b1)の反応の準備ができている。ホスホルアミダイト単量体(式III)をまずサッカリンN−メチルイミダゾール塩(SMI)などのカップリング剤で活性化させ、その後、脱保護した出発物質(式II)と反応させて、二塩基の中間体(式IV)が得られる。次に、新しく配置されたB2−ヌクレオシドをB1−ヌクレオシドと連結しているホスファイト部分を、より安定な5価のリン酸トリエステル架橋へと酸化する(c1)。ホスホロチオエート結合(式V中のX=S)が所望される場合は、中間体(式IV)を硫黄転移試薬、例えば、ピリジン中の5−アミノ−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン(水素化キサンタン)などのチオール化試薬と反応させる。リン酸ジエステル結合(式V中のX=O)が所望される場合は、中間体(式IV)をヨウ素/水と反応させる。第1サイクルの最終ステップ(d1)では、未反応の5’−ヒドロキシ基(式II)をすべて、アシル化剤、例えば、ACNおよびピリジン中のイソブタン酸無水物およびN−メチルイミダゾールの混合物と反応させることによってキャッピングする。これにより、未完成のODN鎖がODN構築プロセスで後に反応することが、防止される。
【0045】
【化2】
【0046】
続くサイクルは、新しく付加したヌクレオシドの5’−ヒドロキシ官能基からDMT基を除去することから開始する。したがって、スキームIに示すように、保護されたジヌクレオチド(式V)を酸と接触させて(a2)5’−ヒドロキシ部分(式VII)を露出させ、続いて、これを、単量体の活性化後に必須のホスホルアミダイト構成単位(式VIII)と反応させる(b2)。新しく配置されたB3−ヌクレオシドをB2−ヌクレオシドと連結している新しく形成されたホスファイト部分(式IX)の酸化(c2)により、DMTで保護した5’−ヒドロキシ末端を有するトリヌクレオチド(式X)が得られる。すべての未反応の5’−ヒドロキシ基(式VII)を、アシル化剤との反応によってキャッピング(d2)することで、第2サイクルが完了する。式VIIおよび式IX〜XII中の置換基Xは、ホスホロチオエートまたはリン酸ジエステルヌクレオチド間結合が所望されるかに応じて、SまたはOであることに注目されたい。
【0047】
(n−1)回の最後のサイクルが完了した後、ODN(式XI)をヒンダード第一級脂肪族アミン、例えばtert−ブチルアミンと接触させることによって、β−シアノエチル保護基を除去する。続いて、生じるDMTでキャッピングされたODN(示さず)を、塩基、例えば濃水酸化アンモニウムと接触させ、これにより、塩基に不安定なスクシニルリンカーが切断され、DMTで保護したODNが固体支持体から解放される。また、塩基との接触は、核酸塩基上の第一級アミンの脱保護も行う。
【0048】
完成したODN(式XII)は、イオン交換カラムクロマトグラフィーによって単離および精製する。この方法では、DMTでキャッピングされた完全長ODNが、末端5’−DMT基を欠く未完成のODN(例えば、式VI)と比較して、固定相中の親和性が高いことを活用する。ODNのナトリウム塩を得るために、DMTでキャッピングされたODNを含有する、粗アンモニア水酸化物水溶液の洗浄液をイオン交換カラム上に吸着させ、NaOH水溶液で洗浄する。未完成のODNは、NaCl/NaOH水溶液で洗浄することによってカラムから除去される。これにより、固定相と結合したDMTでキャッピングされたODNが残る。続いて、酢酸水溶液、次いで水、およびNaOH水溶液で洗浄することによってDMT基を除去して、ODN(式XII)をナトリウム塩へと再変換して戻す。その後、ODNを、NaOH中のNaClの直線勾配を用いたカラム上で精製する。画分を採取し、偽プールを調製し、HPLCおよびキャピラリーゲル電気泳動(CGE)によって分析する。ODNの規格を満たす対応する偽プールの画分を一緒にプールし、濃縮し、接線流濾過(TFF)を用いて脱塩する。生じる濃縮水を濾過し(例えば0.22μMのフィルターを用いる)、溶液を凍結乾燥して、完成したODNが得られる。
【0049】
免疫賦活性核酸は、対象を治療して、免疫応答を誘発するため、または、例えば、感染症、癌、およびアレルギー性障害などの免疫関連疾患を治療するために使用し得る。
【0050】
本明細書中で使用する「対象」とは、ヒト、およびそれだけには限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ウサギ、ラット、マウスなどを含めた脊椎動物をいう。
【0051】
本明細書中で使用する用語「治療する」、「治療すること」、「治療した」、およびその変形とは、そのような用語が適用される疾患、障害もしくは状態の進行を、逆転、緩和、阻害すること、もしくはそれを予防すること、または、そのような疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行を、逆転、緩和、阻害すること、もしくはそれを予防することをいう。「治療」とは、「治療する」行為をいう。
【0052】
したがって、治療することとは、予防的治療、すなわち、対象が疾患を発生することに対する耐性を増加させる、または対象が疾患を発生する可能性を減少させる、または疾患の発生を遅延させる治療をいい、また、対象が疾患を発生した後の治療、すなわち、疾患を減少もしくは排除しようとする、疾患の悪化を予防しようとする治療をいう。例えば、感染症の治療に関して使用した場合、治療することとは、対象の微生物に対する耐性を増加させる、または対象が微生物の感染症を発生する可能性を減少させる予防的治療、および、感染症と戦うための、例えば、それを完全に減少もしくは排除する、またはそれの悪化を予防するための、対象が感染した後の治療をいう。癌などの疾患に関して使用した場合、これらの用語は、(i)癌の発生を予防することもしくは(ii)遅延させること、(iii)癌の症状を減少させること、(iv)確立された癌の成長を阻害することもしくは(v)遅延させること、または(i)〜(v)の組合せをいう。
【0053】
したがって、核酸は、感染性生物の感染を生じる危険性、またはアレルギー性障害を生じる危険性、または癌を生じる危険性にある対象において、免疫を誘発させる予防剤として有用である。「危険性にある対象」とは、一般に、疾患、状態または障害に関連する1つまたは複数の危険因子を示す、既に定義した任意の対象をいう。危険因子とは、疾患、状態または障害を発生させる確率を増加させ得るものすべてである。例えば、感染症またはアレルギー関連疾患の危険因子には、特定の種類の感染性因子またはアレルゲンが見つかる地域への旅行;生活スタイル、職業、医療処置などによる、感染性生物を含有し得る体液との接触;感染性生物またはアレルゲンが同定された地域および感染性因子またはアレルゲンへの直接曝露が起こった地域での居住;テロ攻撃(例えば生物戦)の対象地域での居住が含まれる。また、感染を生じる危険性にある対象には、医療機関が特定の感染性生物抗原でのワクチン接種を推奨する一般集団も含まれる。抗原がアレルゲンであり、対象がその特定の抗原に対してアレルギー応答を発生し、対象が抗原に曝露される場合、すなわち、花粉の季節である場合、対象は、抗原に曝露される危険性にある。
【0054】
癌を発生する危険因子には、特定の癌の遺伝的素因および家族歴;癌の以前の治療;加齢(例えば65歳以上);タバコ製品の使用;質の悪い食生活(例えば高脂肪食);肥満症;アルコールの過剰消費(例えば2オンス(59.1ml)/日より多く);運動不足;電離放射線(例えば、放射性降下物、X線、ラドン)への曝露;過剰な太陽光、およびアスベスト、ベンゼン、ベンジジン、カドミウム、ニッケル、または塩化ビニルを含めた発癌性化学物質への曝露;ヒトパピローマウイルス(HPV)、B型肝炎およびC型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病/リンパ腫ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、およびピロリ細菌(Helicobacter pylori)を含めた、一部のウイルスおよび細菌の感染;ならびに、単独またはプロゲスチンと組み合わせたエストロゲン、およびジエチルスチルベストロール(DES)を含めた特定のホルモンを用いた治療が含まれる。
【0055】
また、核酸は、感染症、癌およびアレルギー性障害の治療における治療剤としても有用である。
【0056】
「感染を有する対象」とは、感染性病原体に曝露され、体内に急性または慢性の検出可能なレベルの病原体を有する対象である。核酸は、単独で、または抗原もしくは抗細菌薬などの他の治療剤と併せて使用して、感染性病原体のレベルを減少させる、またはそれを根絶することができる免疫応答を開始することができる。この方法には、感染を治療するために、感染を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。この方法は、ヒトおよび非ヒト脊椎動物対象においてウイルス、細菌、真菌、および寄生生物の感染を治療するために使用することができる。
【0057】
本明細書中で使用する「感染」および等価に使用する「感染症」とは、対象の体内に外来微生物が存在することから生じる疾患をいう。外来微生物は、ウイルス、細菌、真菌、または寄生生物であり得る。感染性ウイルスの例には、レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる)などのヒト免疫不全ウイルス;およびHIV−LPなどの他の単離物;ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(Calciviridae)(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、ウマ科動物脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラウイルス科(Flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えばインフルエンザウイルス);ブンガウイルス科(Bungaviridae)(例えば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(Arena viridae)(昜出血性発熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えばレオウイルス、オルビビウルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae):ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス);パポバウイルス科(Papovaviridae)(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(Poxviridae)(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス科(Iridoviridae)(例えばアフリカブタ発熱ウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、D型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠陥性付随体であると考えられる)、非A型非B型肝炎の因子(クラス1=内部伝染;クラス2=非経口伝染(すなわちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、アストロウイルス)が含まれる。
【0058】
感染性細菌の例には、イスラエル放線菌(Actinomyces israelii))、炭疽菌(Bacillus anthracis)、バクテロイデス属(Bacteroides)spp.、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)、ウェルシュ菌(Clostridium perfingens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、コルネバクテリウム属(Corynebacterium)spp.、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロコッカス属(Enterococcus)sp.、ブタ丹毒素(Erysipelothrix rhusiopathiae)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ピロリ菌(Helicobacter pyloris)、肺炎桿菌(Klebiella pneumoniae)、在郷軍人病菌(Legionella pneumophilia)、レプトスピラ属(Leptospira)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリア属(Mycobacteria)spp.(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、エム・アビウム(M.avium)、エム・イントラセルラーレ(M.intracellulare)、カンサシ菌(M.kansasii)、エム・ゴルドナエ(M.gordonae))、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、病原性カンピロバクター属(Campylobacter)sp.、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)(嫌気性spp.)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(緑色連鎖球菌(viridans)群)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalaactiae)(ストレプトコッカス属(Streptococcus)B群)、ストレプトコッカス・ボリス(Streptococcus boris)、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)(ストレプトコッカス(Streptococcus)群A属)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、およびフランベジアトレポネーマ(Treponema pertenue)が含まれる。
【0059】
感染性真菌の例には、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラータム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、およびブラストミセス・デリフィアティティディス(Blastomyces derifiatitidis)が含まれる。
【0060】
他の感染性生物(すなわち原生生物)には、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、および三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)などのプラスモジウム属(Plasmodium)spp.が含まれる。血液媒介性寄生生物および/または組織寄生生物には、プラスモジウム(Plasmodium)spp.、ネズミバベシア(Babesia microti)、バベシア・ダイバージェンス(Babesia divergens)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、リーシュマニア属(Leishmania)spp.、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)およびローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠病)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)(シャガス病)、ならびにトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が含まれる。
【0061】
前述のウイルス、細菌、真菌、および他の感染性微生物のリストは、代表的なものであり限定的でないことを理解されたい。他の医学的に関連性のある微生物は、文献中に広範に記載されており、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている、C.G.A Thomas、Medica Microbiology、Bailliere Tindall、英国(1983)を参照されたい。
【0062】
上記に記載した微生物因子の多くはヒトの障害に関連しているが、本発明は、非ヒト脊椎動物の治療にも有用である。非ヒト脊椎動物も、本明細書中に開示した免疫賦活性核酸を用いて予防または治療することができる感染を発生する場合がある。例えば、感染性ヒト疾患の治療に加えて、本発明の方法は、動物の感染の治療に有用である。
【0063】
ヒトおよび非ヒト脊椎動物の感染性ウイルスには、レトロウイルス、RNAウイルスおよびDNAウイルスが含まれる。このレトロウイルスの群には、単純レトロウイルスおよび複合レトロウイルスがどちらも含まれる。単純レトロウイルスには、B型レトロウイルス、C型レトロウイルスおよびD型レトロウイルスの亜群が含まれる。B型レトロウイルスの例はマウス乳癌ウイルス(MMTV)である。C型レトロウイルスには、C型A群(ラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ白血病ウイルス(ALV)、および骨髄芽球症ウイルス(AMV)を含む)の亜群、ならびにC型B群(ネコ白血病ウイルス(FeLV)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮症ウイルス(RV)およびサル肉腫ウイルス(SSV)を含む)が含まれる。D型レトロウイルスには、マソン−ファイザーサルウイルス(MPMV)および1型サルレトロウイルス(SRV−I)が含まれる。複合レトロウイルスには、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルスおよび泡沫状ウイルスの亜群が含まれる。レンチウイルスにはHIV−1が含まれるが、HIV−2、SIV、ビスナウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)も含まれる。T細胞白血病ウイルスには、HTLV−1、HTLV−II、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)が含まれる。泡沫状ウイルスには、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、サル泡沫状ウイルス(SFV)およびウシ泡沫状ウイルス(BFV)が含まれる。
【0064】
脊椎動物における感染性因子である他のRNAウイルスの例には、それだけには限定されないが、オルトレオウイルス属(Orthoreovirus)(哺乳動物およびトリレトロウイルスの両方の複数の血清型)、オルビウイルス属(Orbivirus)(ブルータングウイルス、ユージナンジー(Eugenangee)ウイルス、ケメロボウイルス、アフリカ馬疫ウイルス、およびコロラドダニ熱ウイルス)、ロタウイルス属(Rotavirus)(ヒトロタウイルス、ネブラスカ子ウシ下痢ウイルス、サルロタウイルス、ウシまたはヒツジロタウイルス、トリロタウイルス)を含めたレオウイルス科(Reoviridae);エンテロウイルス属(Enterovirus)(ポリオウイルス、コクサッキーウイルスAおよびB、腸内細胞変性ヒトオーファン(ECHO)ウイルス、A型肝炎ウイルス、サルエンテロウイルス、ネズミ脳脊髄炎(ME)ウイルス、ネズミポリオウイルス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス、カルジオウイルス属(Cardiovirus)(脳心筋炎ウイルス(EMC)、メンゴウイルス)、ライノウイルス属(Rhinovius)(少なくとも113個の亜型を含めたヒトライノウイルス;他のライノウイルス)、アプトウイルス属(Apthovirus)(口蹄疫ウイルス(FMDV)を含めたピコルナウイルス科(Picornaviridae);ブタ水疱疹ウイルス、サンミゲルアシカウイルス、ネコピコルナウイルスおよびノーウォークウイルスを含めたカルシウイルス科(Calciviridae);アルファウイルス属(Alphavirus)(東部ウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(Flavivirus)(蚊媒介性黄熱ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパマダニ媒介性ウイルス、極東マダニ媒介性ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、跳躍病ウイルス、ポワッサンウイルス、オムスク出血熱ウイルス)、ルビウイルス属(Rubivirus)(風疹ウイルス)、ペスチウイルス属(Pestivirus)(粘膜病ウイルス、ブタコレラウイルス、ボーダー病ウイルス)を含めたトガウイルス科(Togaviridae);ブニウイルス属(Bunyvirus)(ブニヤムウェラ(Bunyamwera)や関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(Phlebovirus)(シシリア型サシチョウバエ熱ウイルス、リフト渓谷熱ウイルス)、ナイロウイルス属(Nairovirus)(クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウークウイルス属(Uukuvirus)(ウークニエミ(Uukuniemi)や関連ウイルス)を含めたブニヤウイルス科(Bunyaviridae);インフルエンザウイルス属(Influenza)(A型インフルエンザウイルス、多くのヒト亜型);ブタインフルエンザウイルス、トリやウマインフルエンザウイルス;B型インフルエンザ(多くのヒト亜型)、およびインフルエンザ型(可能な別の属)を含めたオルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae);パラミクソウイルス属(Paramyxoviru)(1型パラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、赤血球吸着ウイルス、ニューカッスル病ウイルスのパラインフルエンザウイルス型、流行性耳下腺炎ウイルス)、モルビリウイルス属(Morbilivirus)(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイルス、ジステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、ニューモウイルス属(Pneumovirus)(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ウシ呼吸器合胞体ウイルス肺炎ウイルス)を含めたパラミクソウイルス(Paramyxoviridae科);ベシクロウイルス属(Vesiculovirus)(VSV)、(チャンディプラウイルス、フランダース−ハートパークウイルス)、リッサウイルス属(Lyssavirus)(狂犬病ウイルス)、魚ラブドウイルス、および2つの可能なラブドウイルス(マールブルグウイルスとエボラウイルス)を含めたラブドウイルス科(Rhabdoviridae);リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、タカリベウイルス群、およびラッサウイルスを含めたアレナウイルス科(Arenaviridae);感染性気管支炎ウイルス(IBV)、肝炎ウイルス、ヒト腸内コロナウイルス、およびネコ感染性腹膜炎(ネココロナウイルス)を含めたコロナウイルス科(Coronaviridae)のメンバーが含まれる。
【0065】
脊椎動物における感染性因子である例示的なDNAウイルスには、それだけには限定されないが、オルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)(大痘瘡、小痘瘡、サル痘ワクシニア、牛痘、水牛痘、ウサギ痘、奇肢症)、レポリポックスウイルス属(Leporipoxvirus)(粘液腫、線維腫)、トリポックスウイルス属(Avipoxvirus)(鶏痘、他のトリポックスウイルス)、カプリポックスウイルス属(Capripoxvirus)(ヒツジ痘、ヤギ痘)、ブタポックスウイルス属(Suipoxvirus)(豚痘)、パラポックスウイルス属(Parapoxvirus)(伝染性膿疱性皮膚炎ウイルス、偽牛痘、ウシ丘疹性口内炎ウイルス)を含めたポックスウイルス科(Poxviridae);イリドウイルス科(Iridoviridae)(アフリカブタ発熱ウイルス、カエルウイルス2および3、魚のリンパ膿腫ウイルス);アルファヘルペスウイルス(1および2型単純ヘルペス、水痘帯状疱疹、ウマ流産ウイルス、ウマヘルペスウイルス2および3、仮性狂犬病ウイルス、感染性ウシ角結膜炎ウイルス、感染性ウシ鼻気管炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス)、ベータヘルペスウイルス(ヒトサイトメガロウイルスおよびブタやサルのサイトメガロウイルス);ガンマヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルス(EBV)、マレック病ウイルス、ヘルペス・サイミリ(Herpes saimiri)、ヘルペスウイルス・アテレス(ateles)、ヘルペスウイルス・シルビラグス(sylvilagus)、モルモットヘルペスウイルス、リュッケ腫瘍ウイルス)を含めたヘルペスウイルス科(Herpesviridae);マストアデノウイルス属(Mastadenovirus)(ヒト亜群A、B、C、D、および分類されていないもの);サルアデノウイルス(少なくとも23個の血清型)、感染性イヌ肝炎、および畜牛、ブタ、ヒツジ、カエルや多くの他の種のアデノウイルス、アビアデノウイルス属(Aviadenovirus)(トリアデノウイルス);培養不可能アデノウイルスを含めたアデノウイルス科(Adenoviridae)、パピローマウイルス属(Papillomavirus)(ヒトパピローマウイルス、ウシパピローマウイルス、ショープウサギパピローマウイルス、および他の種の様々な病原性パピローマウイルス)、ポリオーマウイルス属(Polyomavirus)(ポリオーマウイルス、サル空砲化剤(SV−40)、ウサギ空砲化剤(RKV)、Kウイルス、BKウイルス、JCウイルス、および他の霊長類ポリオーマウイルス、例えばリンパ増殖性パピローマウイルス)を含めたパポウイルス科(Papoviridae);アデノ関連ウイルス属、パルボウイルス属(Parvovirus)(ネコ汎白血球減少症ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、アリューシャンミンク病ウイルスなど)を含めたパルボウイルス科(Parvoviridae)が含まれる。最後に、DNAウイルスには、クールー病およびクロイツフェルト−ヤコブ病ウイルスならびに慢性感染性神経因性因子(CHINAウイルス)などの、上記の科に当てはまらないウイルスも含まれ得る。
【0066】
核酸は、抗微生物剤と共に対象に投与し得る。本明細書中で使用する「抗微生物剤」とは、感染性微生物を死滅または阻害することができる、天然に存在する、合成、または半合成の化合物をいう。抗微生物剤の種類は、対象が感染している、または感染する危険性にある微生物の種類に依存する。抗微生物剤には、それだけには限定されないが、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗寄生生物剤が含まれる。「抗感染剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生生物剤」、および「寄生生物駆除剤」などの語句は、当業者に十分に確立された意味を有し、標準の医学的教科書に定義されている。手短に述べると、抗細菌剤は細菌を死滅または阻害し、抗生物質および同様の機能を有する他の合成または天然の化合物が含まれる。抗生物質とは、微生物などの細胞によって二次代謝物として産生される低分子量の分子である。一般に、抗生物質は、微生物に特異的であり宿主細胞中に存在しない、1つまたは複数の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス剤は、天然源から単離するか、または合成することができ、ウイルスを死滅または阻害するために有用である。抗真菌剤は、表在性の真菌感染ならびに日和見性および原発性の全身性真菌感染を治療するために使用する。抗寄生生物剤は、寄生生物を死滅または阻害する。
【0067】
抗細菌剤は、細菌を死滅させる、または細菌の成長もしくは機能を阻害する。抗細菌剤の大きなクラスは抗生物質である。広範囲の細菌の死滅または阻害に有効な抗生物質は、広域抗生物質と呼ばれる。他の種類の抗生物質は、主にグラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対して有効である。これらの種類の抗生物質は、狭域抗生物質と呼ばれる。単一の生物または疾患に対して有効であり、他の種類の細菌に対しては有効でない他の抗生物質は、限定域抗生物質と呼ばれる。抗細菌剤は、その主な作用機構に基づいて分類される場合がある。一般に、抗細菌剤は、細胞壁合成阻害剤、細胞膜阻害剤、タンパク質合成阻害剤、核酸合成または機能阻害剤、および競合的阻害剤である。
【0068】
抗ウイルス剤とは、ウイルスによる細胞の感染または細胞内でのウイルスの複製を防止する化合物である。ウイルス複製のプロセスは宿主細胞内のDNA複製に非常に密に関連しており、非特異的な抗ウイルス剤は多くの場合宿主に有毒となるため、抗ウイルス薬は抗細菌薬よりもはるかに少ない。ウイルス感染プロセス中には、抗ウイルス剤によって遮断または阻害することができるいくつかの段階が存在する。これらの段階には、ウイルスと宿主細胞との結合(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱外被(例えばアマンタジン)、ウイルスmRNAの合成翻訳(例えばインターフェロン)、ウイルスのRNAまたはDNAの複製(例えばヌクレオシド類似体)、新しいウイルスタンパク質の成熟(例えばプロテアーゼ阻害剤)、ウイルスの出芽および放出が含まれる。
【0069】
ヌクレオチド類似体とは、ヌクレオチドに類似しているが、未完成または異常なデオキシリボースまたはリボース基を有する合成化合物である。ヌクレオチド類似体は、細胞内に入った後、リン酸化されて三リン酸形態を生じ、これは、ウイルスDNAまたはRNA内への取り込みに関して正常なヌクレオチドと競合する。ヌクレオチド類似体の三リン酸形態が成長中の核酸鎖内に取り込まれた後、これはウイルスポリメラーゼとの不可逆的な会合、したがって鎖の終結をもたらす。ヌクレオチド類似体には、それだけには限定されないが、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの治療に使用)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器合胞体ウイルスの治療に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ならびにジドブジン(アジドチミジン)が含まれる。
【0070】
抗真菌剤は感染性真菌の治療および予防に有用である。抗真菌剤は、その作用機構によって分類される場合がある。一部の抗真菌剤は、グルコース合成酵素を阻害することによって細胞壁阻害剤として機能する。これらには、それだけには限定されないが、バシウンギン/ECBが含まれる。他の抗真菌剤は、膜の完全性を不安定化することによって機能する。これらには、それだけには限定されないが、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、セルタコンゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナコール、ならびにFK463、アムホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン、UK292、ブテナフィン、およびテルビナフィンが含まれる。他の抗真菌剤は、キチン(例えばキチナーゼ)の免疫抑制を崩壊させることによって機能する(501クリーム)。
【0071】
免疫賦活性核酸は、単独で、または抗癌治療と組み合わせて、癌を治療するために使用し得る。この方法には、癌を治療するために、癌を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。
【0072】
「癌を有する対象」とは、検出可能な癌細胞を有する対象である。癌は、悪性または非悪性の癌であり得る。癌または腫瘍には、それだけには限定されないが、胆管癌;脳癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫が含まれる。一実施形態では、癌は、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平細胞癌、腎細胞癌、前立腺癌腫、膀胱細胞癌腫、または結腸癌が含まれる。
【0073】
癌は、コンパニオン動物(すなわち猫および犬)における主要な死因の1つである。犬および猫で一般的に診断される悪性障害には、それだけには限定されないが、リンパ肉腫、骨肉腫、乳癌、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺癌、線維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、小神経膠細胞腫、神経芽細胞腫、骨巨細胞腫、口腔新形成、線維肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫が含まれる。犬における他の新生物には、生殖器扁平細胞癌、感染性性病性腫瘍、精巣腫瘍、精上皮腫、セルトリ細胞腫瘍、血管外皮細胞腫、組織球腫、緑色腫(顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫、角膜扁平細胞癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌腫、口腔乳頭腫、血管内皮腫および嚢胞線腫が含まれる。猫において診断されるさらなる悪性疾患には、濾胞性リンパ腫、腸管リンパ肉腫、線維肉腫および肺扁平細胞癌が含まれる。これまで以上に人気のあるハウスペットであるフェレットは、膵島細胞腫、リンパ腫、肉腫、神経腫、膵島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫および胃腺癌を発生することが知られている。
【0074】
また、本明細書中に記載した免疫賦活性核酸は、抗癌治療と併せて投与してもよい。抗癌治療には、癌医薬品、放射線照射および外科的処置が含まれる。本明細書中で使用する「癌医薬品」とは、癌を治療することを目的として対象に投与する薬剤をいう。癌を治療するための様々な種類の医薬品を本明細書中に記載する。本明細書の目的のために、癌医薬品は、化学療法剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調節物質として分類する。
【0075】
モノクローナル抗体などの免疫治療剤と併せた免疫賦活性核酸は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)の顕著な増強、NK細胞の活性化およびIFN−αレベルの増加を含めたいくつかの機構によって、長期生存を増加させることができる。ADCCは、免疫賦活性核酸を、癌細胞などの細胞標的に特異的な抗体と組み合わせて使用して、行うことができる。免疫賦活性核酸を、抗体と併せて対象に投与した場合、対象の免疫系が誘発されて腫瘍細胞を死滅させる。ADCC手順において有用な抗体には、体内の細胞と相互作用する抗体が含まれる。細胞標的に特異的な多くのそのような抗体が当分野で記載されており、多くが市販されている。核酸は、モノクローナル抗体と組み合わせて使用した場合に、生物学的結果を達成するために必要な抗体の用量を減少させる役割を果たす。
【0076】
本発明の一実施形態では、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用する抗癌剤は、抗血管形成剤(例えば、腫瘍が新しい血管を発生することを停止させる薬剤)である。抗血管形成剤の例には、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE−2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、PKCβ阻害剤、COX−2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(α−v/β−3)、MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、およびMMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤が含まれる。
【0077】
好ましい抗血管形成剤には、スニチニブ(Sutent(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、アキシチニブ(AG13736)、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が含まれる。
【0078】
さらなる抗血管形成剤には、バタラニブ(CGP79787)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、ペガプタニブオクタナトリウム(Macugen(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、PF−0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(商標))、Neovastat(商標)(AE941)、テトラチオモリブデータ(Coprexa(商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi−Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(telatinib)(BAY57−9352)、およびCP−868,596(Pfizer)が含まれる。
【0079】
他の抗血管形成剤には、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(商標))およびUCN01(協和発酵)が含まれる。
【0080】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用することができる抗血管形成剤の他の例には、セレコキシブ(Celebrex(商標))、パレコキシブ(Dynastat(商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(商標))、バルデコキシブ(Bextra(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、イグラチモド(Careram(商標))、IP751(Invedus)、SC−58125(Pharmacia)およびエトリコキシブ(Arcoxia(商標))が含まれる。
【0081】
他の抗血管形成剤には、エクシスリンド(Aptosyn(商標))、サルサレート(Amigesic(商標))、ジフルニサル(Dolobid(商標))、イブプロフェン(Motrin(商標))、ケトプロフェン(Orudis(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ピロキシカム(Feldene(商標))、ナプロキセン(Aleve(商標)、Naprosyn(商標))、ジクロフェナク(Voltaren(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、スリンダク(Clinoril(商標))、トルメチン(Tolectin(商標))、エトドラク(Lodine(商標))、ケトロラック(Toradol(商標))、およびオキサプロジン(Daypro(商標))が含まれる。
【0082】
他の抗血管形成剤には、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(Metastat(商標))、およびPCK3145(Procyon)が含まれる。
【0083】
他の抗血管形成剤には、アシトレチン(Neotigason(商標))、プリチデプシン(aplidine(商標))、シレングチド(EMD121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフギノン(Tempostatin(商標))、Panzem(商標)(2−メトキシエストラジオール)、PF−03446962(Pfizer)、レビマスタット(BMS275291)、カツマキソマブ(Removab(商標))、レナリドマイド(Revlimid(商標))、スクワラミン(EVIZON(商標))、サリドマイド(Thalomid(商標))、Ukrain(商標)(NSC631570)、Vitaxin(商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(商標))が含まれる。
【0084】
別の実施形態では、抗癌剤は、いわゆるシグナル伝達阻害剤である(例えば、制御分子が、細胞内の細胞の成長、分化、および生存の通信の基礎的プロセスを支配する手段を阻害する)。シグナル伝達阻害剤には、小分子、抗体、およびアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害剤には、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤)および細胞周期阻害剤が含まれる。より具体的には、シグナル伝達阻害剤には、例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、EGF阻害剤、ErbB−1(EGFR)、ErbB−2、pan erb、IGF1R阻害剤、MEK、c−Kit阻害剤、FLT−3阻害剤、K−Ras阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、STAT阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、P70S6キナーゼ阻害剤、WNT経路の阻害剤およびいわゆる複数標的キナーゼ阻害剤が含まれる。
【0085】
好ましいシグナル伝達阻害剤には、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、イマチニブ(Gleevec(商標))、およびPD325901(Pfizer)が含まれる。
【0086】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用し得るシグナル伝達阻害剤のさらなる例には、BMS214662(Bristol−Myers Squibb)、ロナファルニブ(Sarasar(商標))、ペリトレキソール(AG2037)、マツズマブ(EMD7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h−R3(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、パゾパニブ(SB786034)、ALT110(Alteris Therapeutics)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(商標)(TP38)が含まれる。
【0087】
シグナル伝達阻害剤の他の例には、PF−2341066(Pfizer)、PF−299804(Pfizer)、カネルチニブ(CI1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(商標))、ラパチニブ(Tycerb(商標))、ペリチニブ(EKB569)、ミルテフォシン(Miltefosin(商標))、BMS599626(Bristol−Myers Squibb)、ラプロイセル−T(Neuvenge(商標))、NeuVax(商標)(E75癌ワクチン)、Osidem(商標)(IDM1)、ムブリチニブ(TAK−165)、CP−724,714(Pfizer)、およびパニツムマブ(Vectibix(商標))が含まれる。
【0088】
シグナル伝達阻害剤の他の例には、ARRY142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(商標))、ゾタロリムス(Endeavor(商標))、テムシロリムス(Torisel(商標))、AP23573(ARIAD)、およびVX680(Vertex)が含まれる。
【0089】
さらに、他のシグナル伝達阻害剤には、XL647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、LE−AON(ジョージタウン大学)、およびGI−4000(GlobeImmune)が含まれる。
【0090】
他のシグナル伝達阻害剤には、ABT751(Abbott)、アルボシディブ(フラボピリドール)、BMS387032(Bristol Myers)、EM1421(Erimos)、インジスラム(E7070)、セリシクリブ(CYC200)、BIO112(Onc Bio)、BMS387032(Bristol−Myers Squibb)、PD0332991(Pfizer)、およびAG024322(Pfizer)が含まれる。
【0091】
本発明は、古典的な抗新生物剤と一緒に用いる本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の使用を企図する。古典的な抗新生物剤には、それだけには限定されないが、ホルモン剤、抗ホルモン剤、アンドロゲン作用剤、アンドロゲン拮抗剤および抗エストロゲン治療剤などのホルモン調節剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、遺伝子サイレンシング剤または遺伝子活性化剤、リボヌクレアーゼ、プロテオソーム剤、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)阻害剤、微小管阻害剤、抗生物質、植物由来紡錘体阻害剤、白金配位化合物、遺伝子治療剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的化剤(VTA)、ならびにスタチンが含まれる。
【0092】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物剤の例には、それだけには限定されないが、糖質コルチコイド、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、およびプロゲスチン、例えば、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU−486)、選択的エストロゲン受容体調節剤(タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン、オルメロキシフェン、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン、CHF4227(Cheisi)などのSERM)、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(フルベストラントなどのSERD)、エキセメスタン(Aromasin)、アナストロゾール(Arimidex)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(Femara)、一般的に黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作用剤と呼ばれるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作用剤、例えば、ブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(Zoladex)、ロイプロレリン(Lupron)、トリプトレリン(Trelstar)、アバレリックス(Plenaxis)、ビカルタミド(Casodex)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、オサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ(Serenoa repens)、PHL00801、アバレリックス、ゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、フォルメスタン、およびレトロゾール、ならびにその組合せが含まれる。
【0093】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸と組み合わせて使用する古典的な抗新生物剤の他の例には、それだけには限定されないが、スベロールアニリドヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M−777、MS−275、ピバロイルオキシメチルブチレートおよびPXD−101;Onconase(ランピルナーゼ)、PS−341(MLN−341)、Velcade(ボルテゾミブ)、ベロテカン、BN−80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン、エドテカリン、エキサテカン(Daiichi)、ギマテカン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルルトテカン、Orathecin(ルビテカン、Supergen)、SN−38、トポテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド、アムルビシン、アンナマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミツルシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン、novantrone(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド、バルルビシン、Zinecard(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジクオン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン、マフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロマイド、チオテパ、および白金配位アルキル化化合物、例えば、シスプラチン、Paraplatin(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、Eloxatin(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン、ならびにその組合せが含まれる。
【0094】
本発明はまた、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(メトトレキサートおよびNeuTrexin(グルクロン酸トリメトレセート)など)、プリン拮抗剤(6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン、およびラルチトレキセドなど)、ピリミジン拮抗剤(5−フルオロウラシル(5−FU)など)、Alimta(プレメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(商標))、シトシンアラビノシド、Gemzar(商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFT OrzelまたはUforal;テガフール、ギメスタットおよびオトスタットのTS−1組合せを含む)、ドキシフルリジン、カルモフル、シタラビン(オクホスファート、ホスフェート、ステアレート、持続放出およびリポソーム形態を含む)、エノシタビン、5−アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、およびエチニルシチジン)、他の代謝拮抗剤、例えば、エフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(Thymitaq)、triapine、トリメトレキセート、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸、AG−014699(Pfizer Inc.)、ABT−472(Abbott Laboratories)、INO−1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU−0687(KuDOS Pharmaceuticals)およびGPI18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにその組合せと一緒に用いる、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の化合物の使用も企図する。
【0095】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物性細胞毒性剤の他の例には、それだけには限定されないが、Abraxane(Abraxis BioScience,Inc.)、Batabulin(Amgen)、EPO906(Novartis)、Vinflunine(Bristol−Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルジノスタチン(ジノスタチン)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、オルタタキセル、パクリタキセル(Taxoprexin、DHA/パシルタキセルのコンジュゲートを含む)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Eloxatin)、サトラプラチン、Camptosar、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(Eloxatin)、Taxotere、アリトレチノイン、カンフォスファミド(Telcyta(商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L−アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ(Oncaspar(商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(商標)−放射線療法)、ベキサロテン(Targretin(商標))、テスミリフェン(DPPE−細胞毒性剤の有効性を増強する)、Theratope(商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(商標))、チラパザミン(Trizaone(商標))、モテキサフィンガドリニウム(Xcytrin(商標))、Cotara(商標)(mAb)、NBI−3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタミン酸−パクリタキセル(Xyotax(商標))およびその組合せが含まれる。
【0096】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物剤のさらなる例には、それだけには限定されないが、Advexin(ING201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に応答してTNFαを発現する化合物)、RB94(ベイラー医科大学)、Genasense(オブリマーセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi−4503、AVE−8062、ZD−6126、TZT−1027、アトルバスタチン(Lipitor、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(Pravachol、Bristol−Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン、ナイアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ、およびその組合せが含まれる。
【0097】
本発明の別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、トラスツズマブ、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾールおよびアナストロゾールからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて乳癌を治療する方法に関する。
【0098】
一実施形態では、本発明は、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することによる、そのような治療を必要としているヒトなどの哺乳動物において結腸直腸癌を治療する方法を提供する。具体的な抗癌剤の例には、アジュバント化学療法で典型的に用いるもの、例えば、FOLFOX、5−フルオロウラシル(5−FU)またはカペシタビン(Xeloda)、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(Eloxatin)の組合せが含まれる。具体的な抗癌剤のさらなる例には、転移性疾患の化学療法で典型的に用いるもの、例えば、FOLFOXまたはベバシズマブ(Avastin)と組み合わせたFOLFOX;ならびにFOLFIRI、5−FUまたはカペシタビン、ロイコボリンおよびイリノテカン(Camptosar)の組合せが含まれる。さらなる例には、17−DMAG、ABX−EFR、AMG−706、AMT−2003、ANX−510(補因子)、aplidine(プリチデプシン、Aplidin)、アロプラチン、アキシチニブ(AG−13736)、AZD−0530、AZD−2171、バチルス・カルメット−ゲラン(BCG)、ベバシズマブ(Avastin)、BIO−117、BIO−145、BMS−184476、BMS−275183、BMS−528664、ボルテゾミブ(Velcade)、C−1311(Symadex)、カンツズマブメルタンシン、カペシタビン(Xeloda)、セツキシマブ(Erbitux)、クロファラビン(Clofarex)、CMD−193、コンブレタスタチン、Cotara、CT−2106、CV−247、デシタビン(Dacogen)、E−7070、E−7820、エドテカリン、EMD−273066、エンザスタウリン(LY−317615)エポチロンB(EPO−906)、エルロチニブ(Tarceva)、フラボピリドール、GCAN−101、ゲフィチニブ(Iressa)、huA33、huC242−DM4、イマチニブ(Gleevec)、インジスラム、ING−1、イリノテカン(CPT−11、Camptosar)ISIS2503、イクサベピロン、ラパチニブ(Tykerb)、マパツムマブ(HGS−ETR1)、MBT−0206、MEDI−522(Abregrin)、マイトマイシン、MK−0457(VX−680)、MLN−8054、NB−1011、NGR−TNF、NV−1020、オブリマーセン(Genasense、G3139)、OncoVex、ONYX015(CI−1042)、オキサリプラチン(Eloxatin)、パニツムマブ(ABX−EGF、Vectibix)、ペリチニブ(EKB−569)、ペメトレキセド(Alimta)、PD−325901、PF−0337210、PF−2341066、RAD−001(エベロリムス)、RAV−12、レスベラトロール、Rexin−G、S−1(TS−1)、セリシクリブ、SN−38リポソーム、スチボグルコン酸ナトリウム(SSG)、ソラフェニブ(Nexavar)、SU−14813、スニチニブ(Sutent)、テムシロリムス(CCI779)、テトラチオモリブデート、thalomide、TLK−286(Telcyta)、トポテカン(Hycamtin)、トラベクテジン(Yondelis)、バタラニブ(PTK−787)、vorinostat(SAHA、Zolinza)、WX−UK1、およびZYC300が含まれ、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、結腸直腸癌を治療するために有効である。
【0099】
別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、カペシタビン(Xeloda)、インターフェロンα、インターロイキン−2、ベバシズマブ(Avastin)、ゲムシタビン(Gemzar)、サリドマイド、セツキシマブ(Erbitux)、バタラニブ(PTK−787)、Sutent、AG−13736、SU−11248、Tarceva、Iressa、ラパチニブおよびGleevecからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて腎細胞癌を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、腎細胞癌を治療するために有効である。
【0100】
別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、インターフェロンα、インターロイキン−2、テモゾマイド(テモダール)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、ダカルバジン(DTIC)、カルムスチン(BCNUとしても知られる)、シスプラチン、ビンブラスチン、タモキシフェン、PD−325,901、アキシチニブ、ベバシズマブ(Avastin)、サリドマイド、ソラファニブ、バタラニブ(PTK−787)、Sutent、CpG−7909、AG−13736、Iressa、ラパチニブおよびGleevecからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて黒色腫を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、黒色腫を治療するために有効である。
【0101】
特に興味深い本発明の別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、カペシタビン(Xeloda)、ベバシズマブ(Avastin)、ゲムシタビン(Gemzar)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、プレメトレキセド二ナトリウム(Alimta)、Tarceva、Iressa、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、およびParaplatin(カルボプラチン)からなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて肺癌を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、肺癌を治療するために有効である。
【0102】
癌ワクチンとは、癌細胞に対する内在性の免疫応答を刺激することを意図する医薬品である。現在生産されているワクチンは、主に液性免疫系(すなわち抗体依存性の免疫応答)を活性化する。現在開発中の他のワクチンは、腫瘍細胞を死滅させることができる、細胞毒性を有するTリンパ球を含めた、細胞媒介性の免疫系を活性化させることに焦点を置いている。癌ワクチンは、一般に、抗原提示細胞(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)ならびに/またはT細胞、B細胞、およびNK細胞などの他の免疫細胞の両方への、癌抗原の提示を増強させる。一部の例では、癌ワクチンは、上述のものなどのアジュバントと共に使用し得る。
【0103】
一部の癌細胞は抗原性であり、したがって、免疫系の標的とすることができる。免疫賦活性核酸と癌医薬品、特に癌免疫療法として分類されたものとの組合せ投与は、癌抗原に対する特異的免疫応答を刺激するために有用である。用語「癌抗原」および「腫瘍抗原」は、互換性があるように使用し、癌細胞によって発現に差異があり、したがって、癌細胞を標的化するために利用することができる抗原をいう。
【0104】
癌抗原とは、明らかに腫瘍に特異的な免疫応答を潜在的に刺激することができる、抗原である。これらの抗原の一部は正常細胞によってコードされているが、必ずしも発現はされない。これらの抗原は、正常細胞中で通常はサイレント(すなわち発現されない)もの、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、ならびに胚性および胎児性抗原などの一時的に発現されるものとして特徴づけることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば活性ras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば突然変異体p53)、および内部欠失または染色体転座から生じる発癌性融合タンパク質などの、突然変異細胞遺伝子によってコードされている。さらに他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルス上に保有されるものなど、ウイルス遺伝子によってコードされ得る。「腫瘍関連」抗原は、腫瘍細胞および正常細胞のどちらにも存在するが、腫瘍細胞とは異なる量または異なる形態で存在する。そのような抗原の例は、腫瘍胎児性抗原(例えば癌胎児性抗原)、分化抗原(例えば、TおよびTn抗原)、癌遺伝子産物(例えば、HER/neu)である。癌ワクチン中に存在するもの、または癌免疫療法を調製するために使用するものなどの癌抗原は、Cohen,PA他(1994)、Cancer Res、54(4):1055〜58に記載のように粗癌細胞抽出物から調製することによって、または、組換え技術もしくは既知の抗原の新規合成を用いて抗原を部分的に精製することによって、調製することができる。
【0105】
癌抗原は、特定の抗原の免疫原性部分の形態で使用するか、または一部の例では、全細胞もしくは腫瘍塊を抗原として使用することができる。そのような抗原は、組換えによってまたは当分野で知られている任意の他の手段によって、単離または調製することができる。
【0106】
他のワクチンは、in vitroで癌抗原に曝露され、抗原をプロセシングし、他の免疫系細胞への有効な抗原提示のために主要組織適合複合体(MHC)分子との関連でその細胞表面で癌抗原を発現することができる、樹状細胞の形態をとる。樹状細胞は、その局所的環境中のリポ多糖(LPS)などの微生物分子を検出する、その抗原提示およびそのパターン認識受容体の発現によって、先天性および後天性の免疫系を関連づける。
【0107】
開示した免疫賦活性核酸は、喘息を含めたアレルギーの治療に有用である。免疫賦活性核酸は、アレルギーを治療するために、単独で、またはアレルギー/喘息医薬品と組み合わせて使用することができる。この方法は、アレルギーまたは喘息状態を治療するために、アレルギーまたは喘息状態を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。
【0108】
本明細書中で使用する「アレルギー」とは、物質(アレルゲン)に対する後天性の過敏症をいう。アレルギー状態には、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、喘息、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hives))および食品アレルギー、ならびに他のアトピー状態が含まれる。「アレルギーを有する対象」とは、アレルゲンに応答するアレルギー反応を有する、またはそれを生じる危険性にある対象である。「アレルゲン」とは、感受性のある対象においてアレルギーまたは喘息の応答を誘発することができる物質をいう。アレルゲンのリストは莫大であり、花粉、昆虫毒、動物鱗屑、粉塵、真菌胞子および薬物(例えばペニシリン)が含まれる場合がある。
【0109】
天然の動物および植物アレルゲンの例には、以下の属に特異的なタンパク質が含まれる:イヌ属(Canine)(ケイネス・ファミリアリス(Canis familiaris));ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)(例えばコナニョウダニ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(Felis)(フェリス・ドメスティカス(Felis domesticus));ブタクサ属(Ambrosia)(ブタクサ(Ambrosia artemiisfolia));ロリウム属(Lolium)(例えば、ホソムギ(Lolium perenne)またはネズミムギ(Lolium multiflorum));スギ属(Cryptomeria)(スギ(Cryptomeriajaponica));アルテルナリア属(Alternaria)(アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata));アルダー(Alder);ハンノキ属(Alnus)(ヨーロッパハンノキ(Alnus gultinosa));ベツラ属(Betula)(ベツラ・ヴェルコサ(Betula verrucosa));カシ属(Quercus)(ホワイトオーク(Quercualba));オリーブ属(Olea)(オリーブ(Olea europa));ヨモギ属(Artemisia)(オウシュウヨモギ(Artemisia vulgaris));オオバコ属(Plantago)(例えばヘラオオバコ(Planlago lanceolata));ヒカゲミズ属(Parietaria)(例えば、パリエタリア・オフィチナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリア・ユダイカ(Parietariajudaica));チャバネゴキブリ属(Blattella)(例えばチャバネゴキブリ(Blattella germanica));アピス属(Apis)(例えばドピス・ムルティフロレム(dpis multiflorum));イトスギ属(Cupressus)(例えば、イタリアイトスギ(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)およびモントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa));ジュニペルス属(Juniperus)(例えば、ジュニペルス・サビノイド(Juniperus sabinoide)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)およびジュニペルス・アシェイ(Juniperus ashei));クロベ属(Thuya)(例えばコノテガシワ(Thuy orientalis));ヒノキ属(Chamaecyparis)(例えばヒノキ(Chamaecyparis obtusa));ゴキブリ属(Periplaneta)(例えばワモンゴキブリ(Periplanta americana));カモジグサ属(Agropyron)(例えばヒメカモジグサ(Agropyron repens));ライムギ属(Secale)(例えばライムギ(Secale cereale));コムギ属(Triticum)(例えばコムギ(Triticum aestivum));カモガヤ属(Dactylis)(例えばオーチャードグラス(Dactylis glomerata));ウシノケグサ属(Festuca)(例えばヒロハウシノケグサ(Fesluca elatior));ポア属(Poa)(例えば、ナガハグサ(Poa pratensis)またはコイチゴツナギ(Poa compressa));アレナ属(Arena)(例えばエンバク(Arena sativa));シラゲガヤ属(Holcus)(例えばベルベットグラス(Holcus lanatus));ハルガヤ属(Anthoxanthum)(例えばハルガヤ(Anthoxanthum odoratum));アルテナルム属(Arrhenatherum)(例えばトールオートグラス(Arrhenatherum elatius));コヌカグサ属(Agrostis)(例えばコヌカグサ(Agrostis alba));アワガエリ属(Phleum)(例えばオオアワガエリ(Phleum pratense));クサヨシ属(Phalaris)(例えばリードカナリーグラス(Phalaris arundinacea));スズメノヒエ属(Paspalum)(例えばバヒアグラス(Paspalum notatum));モロコシ属(Sorghum)(例えばセイバンモロコシ(Sorghum halepensis));ならびにスズメノチャヒキ属(Bromus)(例えばスムースブロムグラス(Bromus inermis))。
【0110】
本明細書中で使用する「喘息」とは、炎症、気道の狭小化および吸入した因子に対する気道の反応の増加によって特徴づけられる、呼吸器系の障害をいう。喘息はしばしばアトピーまたはアレルギーの症状に関連しているが、排他的ではない。
【0111】
本明細書中で使用する「喘息/アレルギー医薬品」とは、症状を減少させる、喘息もしくはアレルギーの反応を阻害する、またはアレルギーもしくは喘息の反応の発生を予防する組成物である。喘息およびアレルギーを治療するための様々な種類の医薬品は、その内容の全体が本明細書中に参照により組み込まれている、「喘息を診断および管理するための指針(Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma)」、専門委員会報告書2(Expert Panel Report2)、NIH publication、第97/4051号(1997年7月19日)に記載されている。NIH publicationに記載の医薬品の要約を以下に提示する。
【0112】
ほとんどの実施形態では、喘息/アレルギー医薬品は、喘息およびアレルギーのどちらの治療にも、ある程度有用である。一部の喘息/アレルギー医薬品は、好ましくは、免疫賦活性核酸と組み合わせて使用して喘息を治療する。これらは喘息医薬品と呼ばれる。喘息医薬品には、それだけには限定されないが、PDE−4阻害剤、気管支拡張剤/β−2作用剤、K+チャネル開口剤、VLA−4拮抗剤、ニューロキン拮抗剤、TXA2合成阻害剤、キサンタニン、アラキドン酸拮抗剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキシンA2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2拮抗剤、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質の阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤が含まれる。
【0113】
他の喘息/アレルギー医薬品は、好ましくは、免疫賦活性核酸と組み合わせて使用してアレルギーを治療する。これらはアレルギー医薬品と呼ばれる。アレルギー医薬品には、それだけには限定されないが、抗ヒスタミン剤、ステロイド、免疫調節物質、およびプロスタグランジン誘発剤が含まれる。抗ヒスタミン剤とは、肥満細胞または好塩基球によって放出されるヒスタミンに対抗する化合物である。これらの化合物は当分野で周知であり、アレルギーの治療に一般的に使用されている。抗ヒスタミン剤には、それだけには限定されないが、ロラチジン、セチリジン、ブクリジン、セテリジン類似体、フェキソフェナジン、テルフェナジン、デスロラタジン、ノルアステミゾール、エピナスチン、エバスチン、エバスチニ(ebastini)、アステミゾール、レボカバスチン、アゼラスチン、トラニラスト、テルフェナジン、ミゾラスチン、ベータタスチン、CS560、およびHSR10 609が含まれる。プロスタグランジン誘発剤とは、プロスタグランジン活性を誘発する化合物である。プロスタグランジンは、平滑筋の弛緩を調節することによって機能する。プロスタグランジン誘発剤には、それだけには限定されないが、S−5751が含まれる。
【0114】
ステロイドには、それだけには限定されないが、ベクロメタゾン、フルチカゾン、トラムシノロン、ブデソニド、コルチコステロイドおよびブデソニドが含まれる。免疫賦活性核酸およびステロイドの組合せは、若い対象(例えば小児)の治療に特に良好に適している。現在まで、小児におけるステロイドの使用は、一部のステロイド治療が成長遅延に関連しているという観察が報告されているために制限されてきた。したがって、本発明によれば、免疫賦活性核酸は、成長遅延ステロイドと組み合わせて使用することができ、それにより、「ステロイド減量効果(sparing effect)」をもたらすことができる。2つの薬剤の組合せは、ステロイドの必要用量の低下をもたらすことができる。
【0115】
免疫調節物質には、それだけには限定されないが、抗炎症剤、ロイコトリエン拮抗剤、IL−4突然変異体タンパク質、可溶性IL−4受容体、免疫抑制剤(寛容化ペプチドワクチンなど)、抗IL−4抗体、IL−4拮抗剤、抗IL−5抗体、可溶性IL−13受容体−Fc融合タンパク質、抗IL−9抗体、CCR3拮抗剤、CCR5拮抗剤、VLA−4阻害剤、およびIgEのダウンレギュレーターからなる群が含まれる。
【0116】
本発明の免疫賦活性核酸を使用して、1型IFN、すなわち、IFN−αおよびIFN−βを誘発することができる。この方法は、1型IFNを発現することができる細胞を有効量の本発明の免疫賦活性核酸と接触させて、細胞による1型IFNの発現を誘発させることを含む。最近、ヒトにおけるIFN−αの主要な産生細胞種が形質細胞様樹状細胞(pDC)であることが認められている。この種の細胞は、PBMC中で非常に低い頻度(0.2〜0.4%)で発生し、系列陰性(すなわち、CD3、CD14、CD19、またはCD56について染色されない)かつCDIIc陰性である一方で、CD4、CD123(IL−3Rα)、およびクラスII主要組織適合複合体(MHCクラスII)について陽性である表現型によって特徴づけられている。Grouard,G他(1997)、J Exp Med、5、185:1101〜11;Rissoan,M−C他(1999)、Science、283:1183〜86;Siegal,FP他(1999)、Science、284:1835〜37;およびCelia,M他(1999)、Nat Med、5:919〜23を参照されたい。1型IFNを測定する方法は当業者に周知であり、これらには、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、バイオアッセイ、および蛍光活性化細胞分別(FACS)が含まれる。この種のアッセイは、容易に入手可能な市販の試薬およびキットを用いて行うことができる。
【0117】
本発明の免疫賦活性核酸を使用して、NK細胞を活性化することができる。この方法は、NK細胞を有効量の本発明の免疫賦活性核酸と接触させてNK細胞を活性化することを含む。NK細胞の活性化は、直接の活性化または間接的な活性化であり得る。間接的な活性化とは、サイトカイン、または後にNK細胞の活性化を引き起こす他の因子の誘発をいう。NK細胞活性化は、溶解活性の測定、CD69などの活性化マーカーの誘発の測定、または特定のサイトカインの誘発の測定を含めた様々な方法によって評価することができる。特定の腫瘍標的を自発的に死滅させるその特徴的な能力に加えて、NK細胞はADCCに関与し、また、IFN−γ、TNF−α、GM−CSFおよびIL−3の主要な産生細胞である。
【0118】
マウスNK細胞のNK感受性細胞標的のプロトタイプは、モロニーウイルスに感染したA系統マウスに由来する胸腺腫である、酵母人工染色体(YAC)−Iである。ヒトNK細胞では、標準の標的は、赤白血病系列に由来する細胞系であるK562である。マイクロタイタープレート中で、一定数の放射標識した標的(例えば51Crで標識したK562)を、単独で(自発性)、洗剤と共に(最大)、または様々な数のエフェクター細胞と共に(実験)のいずれかでインキュベートする。エフェクターと標的細胞との比をE:T比と呼ぶ。濃縮された活性NK細胞は、典型的には10:1未満のE:T比で有効であり、一方で、未分画のPBMCまたは脾細胞は、100:1以上のE:T比を必要とする。
【0119】
また、免疫賦活性核酸は、全身性および/または粘膜の免疫応答を誘発させるためのアジュバントとしても有用である。本発明の免疫賦活性核酸を抗原に曝露した対象に送達して、抗原に対する増強した免疫応答を生じさせることができる。したがって、例えば、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸は、ワクチンアジュバントとして有用である。
【0120】
免疫賦活性核酸は、非核酸アジュバントと組み合わせて投与し得る。非核酸アジュバントとは、液性および/または細胞性の免疫応答を刺激することができる、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸以外の任意の分子または化合物である。非核酸アジュバントには、例えば、デポー効果を生じるアジュバント、免疫賦活アジュバント、およびデポー効果を生じ、かつ免疫系を賦活するアジュバントが含まれる。本明細書中で使用する非核酸粘膜アジュバントとは、抗原と併せて粘膜表面に投与した場合に、対象において粘膜免疫応答を誘発することができる、免疫賦活性核酸以外のアジュバントである。
【0121】
本発明の免疫賦活性核酸は、医薬組成物として薬学的に許容できる担体中に配合し得る。免疫賦活性核酸は、対象に直接投与するか、または核酸送達複合体と併せて投与し得る。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞(例えばB細胞表面)とのより高い親和性結合および/または標的細胞による細胞取り込みの増加をもたらす分子)と会合した(例えば、それとイオン結合した、それと共有結合した、またはそれ内にカプセル封入された)、核酸分子をいう。核酸送達複合体の例には、ステロール(例えばコレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソームもしくはリポソーム)、または標的特異的結合剤(例えば標的細胞特異的受容体によって認識されるリガンド)と会合した核酸が含まれる。好ましい複合体は、標的細胞による内部移行の前に顕著な脱カップリングが起こることを防止するために、in vivoで十分に安定であり得る。しかし、複合体は、核酸が機能的な形態で放出されるように、適切な条件下にいて細胞内で切断可能であることができる。
【0122】
免疫賦活性核酸および/または抗原および/または他の治療剤は、単独(例えば、生理食塩水もしくは緩衝液中)で、または当分野で知られている任意の送達ビヒクルを用いて投与し得る。例えば、以下の送達ビヒクルが記載されている:コクリエート、エマルソーム、免疫賦活複合体(ISCOM)、リポソーム、ミクロスフェア、ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)、ポリマー環、プロテオソーム、ビロソーム、ウイルス様粒子、および他の送達ビヒクル。
【0123】
対象に粘膜または局所的送達するための本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の適切な用量は、典型的には、1回の投与あたり約0.1μg〜約10mgの範囲であり、これは、用途に応じて、1日1回、週1回、または月1回およびその間の任意の他の時間間隔で与えることができる。より典型的には、粘膜または局所的用量は、1回の投与あたり約10μg〜約5mg、または約100μg〜約1mgの範囲の、数日間または数週間の間隔を空けた2〜4回の投与である。典型的には、免疫賦活剤の用量は、1回の投与あたり1μg〜10mg、および約10μg〜約1mgの範囲であり、1日1回または週1回投与する。化合物を抗原と共に送達するが別の治療剤とは送達しない、対象において抗原に特異的な免疫応答を誘発することを目的とした、非経口送達のための本明細書中に記載の化合物の用量は、典型的には、ワクチンアジュバントまたは免疫賦活剤用途のための有効な粘膜用量よりも5〜10,000倍高い、または10〜1,000倍高い、または20〜100倍高い。免疫賦活性核酸を他の治療剤と組み合わせてもしくは特化した送達ビヒクル中で投与する場合に、先天性免疫応答を誘発するまたはADCCを増加するまたは抗原に特異的な免疫応答を誘発することを目的とした、非経口送達のための本明細書中に記載の化合物の用量は、典型的には、1回の投与あたり約0.1μg〜10mgの範囲であり、これは、用途に応じて、1日1回、週1回、または月1回およびその間の任意の他の時間間隔で与えることができる。より典型的には、これらの目的のための非経口用量は、1回の投与あたり約10μg〜5mg、または約100μg〜1mgの範囲の、数日間または数週間の間隔を空けた2〜4回の投与である。しかし、一部の実施形態では、これらの目的のための非経口用量は、上述の用量よりも5〜10,000倍高い範囲で用い得る。
【0124】
本明細書中で使用する「有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するために必要または十分な量をいう。例えば、感染を治療するための免疫賦活性核酸の有効量とは、感染を治療するために必要な量である。本明細書中に提供する教示と合わせて、様々な活性化合物から選択し、力価、相対的生体利用度、対象の体重、有害な副作用の重篤度および好ましい投与様式などの要素を量ることによって、実質的な毒性を引き起こさないが、それでも特定の対象を治療するために有効である、有効な予防的または治療的処置レジメンの計画を立てることができる。任意の特定の用途の有効量は、治療する疾患もしくは状態、投与する特定の免疫賦活性核酸、抗原、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度などの要素に応じて変動する場合がある。当業者は、過度の実験を必要とせずに、特定の免疫賦活性核酸および/または抗原および/または他の治療剤の有効量を経験的に決定することができる。本明細書中に記載した任意の化合物について、治療上有効な量は、最初は動物モデルから決定することができる。また、治療上有効な用量は、ヒトで試験されているCpGオリゴヌクレオチド、ならびに他の粘膜アジュバント、例えば、ワクチン接種目的、粘膜もしくは局所投与のためのLTおよび他の抗原などの、同様の薬理活性を示すことが知られている化合物の、ヒトデータから決定することもできる。非経口投与にはより高い用量が必要である。適用する用量は、投与する化合物の相対的生体利用度および力価に基づいて調節することができる。最大の有効性を達成するために、上述の方法および当分野で知られている他の方法に基づいて用量を調節することは、当分野の技術者の能力範囲内に十分ある。
【0125】
本発明の配合物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存料、適合性のある担体、アジュバント、および任意選択で他の治療構成成分を通常含有し得る、薬学的に許容できる溶液中で投与し得る。治療で使用するためには、有効量の免疫賦活性核酸を、核酸を所望の表面に送達する任意の様式、例えば、粘膜、全身によって、対象に投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、当業者に知られている任意の手段によって達成し得る。好ましい投与経路には、それだけには限定されないが、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、気管内、吸入、眼球、舌下、経膣、および直腸が含まれる。経口投与には、化合物(すなわち、免疫賦活性核酸、ならびに任意選択の抗原および他の治療剤)は、活性化合物(複数可)を当分野で周知の薬学的に許容できる担体と合わせることによって、容易に配合することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療する対象が経口摂取する錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして配合することを可能にする。経口使用のための医薬調製物を固体賦形剤として得ることができ、生じる混合物を任意選択で粉砕し、所望する場合は適切な補助剤を加えた後で、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の核が得られる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望する場合は、崩壊剤、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩を加えてもよい。任意選択で、経口製剤は、内部酸性条件を中和するために生理食塩水もしくは緩衝液中で配合するか、または、任意の医薬梳き剤(pharmaceutical carder)を用いずに投与し得る。糖衣錠核に適切なコーティングを提供する。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有し得る濃縮糖溶液を用い得る。活性化合物の用量の異なる組合せを同定または特徴づけるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに加え得る。
【0126】
経口使用することができる医薬調製物には、ゼラチンから作製された押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑化剤から作製された軟密封カプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意選択で安定化剤と混合した、活性成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁させ得る。さらに、安定化剤を加え得る。経口投与用に配合したミクロスフェアも使用し得る。そのようなミクロスフェアは、当分野で十分に定義されている。経口投与用のすべての配合物は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0127】
口腔投与には、組成物は、慣用の様式で配合した錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0128】
吸入による投与には、本発明による使用のための化合物は、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を使用して、好都合に送達し得る。加圧エアロゾルの場合、単位用量は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定し得る。例えば、吸入器または注入器で使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、化合物とラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末基材との散剤混合物を含有させて配合し得る。
【0129】
化合物は、それを全身送達することが望ましい場合は、例えばボーラス注射または持続注入による、注射による非経口投与用に配合し得る。注射用配合物は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数用量容器中で、保存料を加えて提示し得る。組成物は、懸濁液、液剤または油性もしくは水性ビヒクル中の乳濁液としての形態をとってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの加工剤を含有し得る。
【0130】
非経口投与用の医薬配合物には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性の注射用懸濁液として調製し得る。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択で、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために、適切な安定化剤または化合物の溶解度を増加させる薬剤も含有し得る。
【0131】
あるいは、活性化合物は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成するための、散剤形態であり得る。
【0132】
また、化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤を含有する、坐薬または保留浣腸などの直腸または経膣組成物中で配合してもよい。
【0133】
前述した配合物に加えて、化合物はまた、デポー調製物として配合してもよい。そのような長時間作用性配合物は、適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば許容される油中の乳濁液)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいはやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として配合してもよい。
【0134】
また、医薬組成物は、適切な固体またはゲル相の担体または賦形剤も含み得る。そのような担体または賦形剤の例には、それだけには限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0135】
適切な液体または固体の医薬調製物の形態は、例えば、吸入のための水溶液もしくは生理食塩水、ミクロカプセル封入、コクリエート封入、微小金粒子上のコーティング、リポソーム内に含有、噴霧化、エアロゾル、皮膚内に移植するためのペレット、または皮膚上に掻爬するための鋭利な物体上の乾燥物である。また、医薬組成物には、顆粒、散剤、錠剤、コーティング錠、マイクロカプセル、坐薬、シロップ、乳濁液、懸濁液、クリーム、液滴または活性化合物を遅延放出する調製物も含まれ、その調製では、賦形剤および添加剤ならびに/または崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、香料、甘味料もしくは可溶化剤などの補助剤を上述のように慣用的に使用する。医薬組成物は、様々な薬物送達系での使用に適している。薬物送達方法の手短な総説には、本明細書中に参照により組み込まれているLanger(1990)、Science、249:1527〜33を参照されたい。
【0136】
免疫賦活性核酸ならびに任意選択の他の治療剤および/または抗原は、それ自体(ニート)で、または薬学的に許容できる塩の形態で投与し得る。医薬品中で使用する場合、塩は薬学的に許容できるべきであるが、非薬学的に許容できる塩を好都合に用いて、薬学的に許容できるその塩を調製し得る。そのような塩には、それだけには限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、またはベンゼンスルホン酸から調製した酸付加塩が含まれる。また、そのような塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムの塩基付加塩などの、アルカリ金属またはアルカリ土類の塩として調製することもできる。
【0137】
適切な緩衝剤には、酢酸と塩(1〜2%w/v);クエン酸と塩(1〜3%w/v);ホウ酸と塩(0.5〜2.5%w/v);およびリン酸と塩(0.8〜2%w/v)が含まれる。適切な保存料には、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%)が含まれる。
【0138】
本発明の医薬組成物は、有効量の免疫賦活性核酸ならびに任意選択で抗原および/または他の治療剤を含有し、薬学的に許容できる担体中に含まれていてもよい。「薬学的に許容できる」物質とは、毒性、刺激、アレルギー応答などをなしに対象の組織と接触させて使用するために適切であり、合理的な損益比に見合っており、その意図する使用に有効である、健全な医学的判断の範囲内にある物質をいう。したがって、用語「薬学的に許容できる担体」とは、ヒトまたは他の脊椎動物に投与するために適切な、1つまたは複数の適合性のある固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル封入物質を意味する。用語「担体」とは、対象への施用を適用にするために活性成分をそれと混合する、有機または無機の天然または合成の構成成分を示す。また、医薬組成物の構成成分は、有害な相互作用が存在しないような様式で、本発明の化合物と、および互いに混ぜ合わさることもできる。
【0139】
対象の治療では、化合物の活性、投与様式、免疫化の目的(すなわち、予防的または治療的)、障害の性質および重篤度、患者の年齢および体重に応じて、異なる用量が必要であり得る。
【0140】
所定の用量の投与は、個々の用量単位の形態の単一の投与によって、またはいくつかのより小さな用量単位で実行することができる。数週間または数カ月間隔の特定の間隔での用量の複数回投与が、抗原に特異的な応答を免疫追加するために通常である。
【0141】
他の送達系には、徐放性、遅延放出または持続放出の送達系が含まれることができる。そのような系により、化合物の投与を繰り返すことを回避することができ、対象および医師の利便性が増加する。多種類の放出送達系が利用可能であり、当業者に知られている。これらには、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキシレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ酸無水物などのポリマーに基づいた系が含まれる。
【0142】
薬物を含有する前述のポリマーのマイクロカプセルは、例えば米国特許第5,075,109号に記載されている。送達系には、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのステロールまたはモノ−、ジ−、およびトリ−グリセリドなどの中性脂肪を含めた脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドに基づいた系;ワックスコーティング;慣用の結合剤および賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分的に融着した移植片などである、非ポリマー系も含まれる。具体的な例には、それだけには限定されないが、(a)米国特許第4,452,775号、第4,675,189号、および第5,736,152号に記載のものなどの、本発明の薬剤がマトリックス内の形態で含有されている侵食系;ならびに(b)米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第5,407,686号に記載のものなどの、活性構成成分が制御された速度でポリマーから浸透する拡散系が含まれる。さらに、ポンプに基づいたハードウェア送達系を用いることができ、その一部は移植用に適応されている。
【0143】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、これらは限定的であると解釈されるべきでない。本明細書全体にわたって引用されているすべての参考文献(印刷物の参考文献、発行された特許、公開特許出願、および同時係属特許出願を含む)の内容は、その全体が明確に本明細書中に参照により組み込まれている。
【実施例】
【0144】
様々なオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を調製し、その生物学的特性を以下の実施例で評価した。その完全長配列は以下のように表される:
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T3’(配列番号4);および
5’T*G*C*T*G*C*T*T*T*T*G*T*G*C*T*T*T*T*G*T*G*C*T*T3’(配列番号5)。
これらの実施例中で評価したオリゴデオキシリボヌクレオチドのそれぞれについて、安定化した結合(*)はホスホロチオエート結合であり、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様結合(_)はリン酸ジエステル結合であり、3’および5’の表示は、それぞれオリゴデオキシリボヌクレオチドの3’および5’末端を指す。簡潔にするために、実施例および図では、試験した具体的なODNを指すために配列番号を使用するが、一般には、他の免疫賦活性オリゴヌクレオチドも、配列番号2、配列番号3などによって与えられる塩基配列が含まれる塩基配列を有し得る。
【0145】
(実施例1)
オリゴヌクレオチドに応答したヒトおよびマウスのTLR9のシグナル伝達
HEK293細胞をヒトおよびマウスのTLR9構築体で形質移入して、hTLR9−NFκB−293細胞およびmTLR9−NFκB−293細胞を生成した。細胞を、配列番号2、3、および4を有するODNと共に16時間インキュベートした。細胞を溶解し、シグナルをルシフェラーゼの読取りによって決定した。
【0146】
結果を図1に示す。EC50を、Sigma Plot(Windows(登録商標)用SigmaPlot2002バージョン8.0)を用いて計算した。3つのODNはすべてヒトTLR9を刺激した。
【0147】
(実施例2)
オリゴヌクレオチドに対するpDC、PBMC、B細胞およびNK細胞の応答性
pDC、PBMC、B細胞およびNK細胞の、これらの細胞をCpGオリゴヌクレオチドに曝露した後の活性化のレベルを図2〜図9に示す。上述のように、図では、評価した具体的なオリゴヌクレオチドを指すために配列番号を使用する(配列番号2、3、および4)。特定のデータ点を生じるために使用したオリゴヌクレオチドのモル濃度を、それぞれのグラフのX軸(μM)に沿って示す。
【0148】
図2および図3に実証するように、IFN−α、CD86およびCCR7の誘発によって表されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはpDC細胞を活性化することができた。図4〜図7に示すように、IFN−α、IFN−γ、IP−10、IL−1β、IL2R、GM−CSF、MCP−1、IL−6、IL−10、IL−12、IL−15、MIP−1α、TNF−α、およびMIP−1βの誘発によって示されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはPBMCを活性化することができた。図8に示すように、細胞毒性の増加によって評価されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはNK細胞を活性化することができた。図9に示すように、B細胞の増殖によって示されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはB細胞を活性化することができた。
【0149】
CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、BクラスCpG ODN(配列番号4)と比較して、特により高い用量で、アッセイにおいて力価の増加を示した(IFN−α、IFN−γ、IP−10、IL−1β、IL2R、GM−CSF、MCP−1、IL−10、IL−12、IL−15、およびTNF−α)。また、CクラスCpG ODNはNK細胞活性化の増加も示した。ほぼ等濃度では、CクラスCpG ODNへの曝露は、BクラスCpG ODNへの曝露よりも大きな細胞毒性をもたらした。
【0150】
(実施例3)
オリゴヌクレオチドに応答したヒトおよびマウスのTLR9のシグナル伝達
HEK293細胞をヒトおよびマウスのTLR8構築体で形質移入して、それぞれhTLR8−NFκB−293細胞およびmTLR8−NFκB−293細胞を生成した。細胞を、ODN(配列番号2、3、または4)またはTNF−αと共に16時間インキュベートした。細胞を溶解し、シグナルをルシフェラーゼの読取りによって決定した。
【0151】
結果を図10に示す。TNF−αのみが、ヒトおよびネズミのTLR8を有意なレベルで刺激した。
【0152】
(実施例4)
初代マウス細胞およびin vivoのアッセイ
脾細胞によるB細胞増殖およびサイトカイン誘発の、これらの細胞をin vitroでCpGオリゴヌクレオチドに曝露した後のレベルを図11および図12に示す。上述のように、図では、評価した具体的なオリゴヌクレオチドを指すために配列番号を使用する(配列番号2、3、または4)。図11および図12には、脾細胞を、C−GモチーフがG−Cモチーフと入れ替わっている以外はBクラスCpG ODN(配列番号4)と類似のヌクレオチド配列を有するODNである陰性対照(配列番号5)に曝露したデータが含まれる。特定のデータ点を生じるために使用したオリゴヌクレオチドの(モル)濃度を、それぞれのグラフのX軸(μM)に沿って示す。
【0153】
図11に示すように、CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、特により高い濃度で、BクラスCpG ODN(配列番号4)または陰性対照(配列番号5)のどちらよりも有意に大きなB細胞増殖を誘発した。図12に示すように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドは、IFN−α、IFN−γ、およびTNF−αの産生を誘発することができた。
【0154】
サイトカインレベルもマウスにおいてin vivoで評価した。雌のBALB/cマウス(5匹/群)に、異なる用量(100mg、250mgもしくは500mg)のCpG ODN(配列番号2、3、もしくは4)または非CpG対照(配列番号5)を皮下注射した。注射の3時間後にマウスを出血させ、単離した血漿をIP−10およびIL−6についてELISAによって試験した。
【0155】
図13に示すように、CpG ODNは、有意なレベルのIP−10およびIL−6を誘発し、CクラスCpG ODNは、BクラスCpG ODNよりも有意に高いレベルのIP−10を産生させた。
【0156】
(実施例5)
CpG ODNのin vivo投与後の流入領域リンパ節(LN)およびPBMCの細胞活性化
B、T、NK、骨髄樹状細胞(mDC)、およびpDC細胞の活性化のレベルを、流入領域リンパ節および単離した血液で評価した。BALB/cマウス(10匹/群)の後足蹠に、示したように10μg/50μLのODNを注射した。プラセボ対照群には50μLのPBSを与えた。投与の24時間後、血液および膝窩LNを取り出し、群内でプールした。単離したPBMC(フィコールによる)リンパ節細胞画分(磁気活性化細胞分別による)を、細胞マーカーの発現についてフローサイトメトリーによって分析した。
【0157】
流入領域LNおよびPBMCにおける細胞活性化の結果を、平均蛍光強度/%発現としてそれぞれ表1および表2に示す。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
(実施例6)
マウス脾細胞におけるCpG ODNによるNK細胞活性の誘発
BALB/cマウス脾細胞(30×106個)を、示したように0μg/mL(培地単独)、1μg/mL、3μg/mLまたは10μg/mLのODNと共に24時間インキュベートした。NK活性は、YAC−1標的細胞を用いた標準の51Cr放出アッセイを使用して、様々なエフェクター:標的の比で評価した。
【0161】
データを図14に示す。CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、3つの異なる濃度における%溶解によって測定して、有意な量のNK細胞活性を誘発した。
【0162】
(実施例7)
CpG ODNによる腫瘍のin vivo治療
ルイス肺癌(LLC)の生存および腫瘍体積を評価した。雌のC57Bl/6マウス(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)をこの研究で使用した。腫瘍の誘発は、1×105個のLLC細胞(ATCC;CRL1642)を動物の背下部に皮下注射することによって達成した。ODN(配列番号2〜5)を、腫瘍の周辺に、第1日目および第3日目、その後は週に2回、皮下注射(200mg)によって投与した。動物を、腫瘍増殖および生存についてモニターした。腫瘍の大きさ(長さおよび幅)は、デジタルバーニアノギスを用いて測定した。腫瘍体積は以下の式を用いて計算した:腫瘍体積=(0.4)(ab2)[式中、a=大きい方の直径であり、b=小さい方の直径である]。平均腫瘍体積の変化は、それぞれの動物群において50%が死亡するまで評価した。結果を図15に示す。マウスを腫瘍測定日に安楽死させ、グラフには含めていない。腫瘍誘発の100日後、どちらのCクラスCpG ODN(配列番号2および3)も、他のODNよりも高い%生存を誘発した。
【0163】
神経芽細胞腫の治療も評価した。雌のA/Jマウス(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)を使用した。腫瘍の誘発は、1×106個の神経2a細胞(ATCC;CCL131)をマウスの上部左脇腹に皮下注射することによって達成した。ODN(配列番号2〜5)を、腫瘍注射の10日後から開始して、腫瘍の周辺に皮下注射(100mg)することによって投与した。マウスは、毎日または3日毎に、15日間治療し、腫瘍増殖および生存についてモニターした。結果を図16に示す。
【0164】
(実施例8)
安全性を評価するためのモルモットにおける局所的反応源性
CクラスCpG ODN(配列番号2もしくは3)またはBクラスCpG ODN(配列番号4)の局所的反応を、「スキニー」モルモットモデルで評価した。ヘアレスIAFモルモットに、様々な用量(0.3mg、1.0mgまたは3.0mg)のCクラスまたはBクラスCpG ODNを与えた。すべての注射は、モルモットの背側、肩甲骨の下かつ脊椎の外側に、固定体積で皮内(ID)投与した。対照動物には、固定体積のPBSのID注射を与えた。モルモットを投薬後に一定間隔でモニターし(6時間時、24時間時、およびその後24時間毎)、浮腫を記録した。
【0165】
表3および表4は、それぞれCクラスCpG ODN(配列番号2)およびBクラスCpG ODN(配列番号4)を受けている動物の、投薬後の様々な時点における浮腫の平均グレードを示す。表では、浮腫を測定するために以下のスケールを用いる:O−浮腫なし;I−非常に緩和な浮腫;かろうじて知覚可能;II−緩和な浮腫;領域は端が持ち上がることによって明確に定義される;III−中等度の浮腫;領域が約1mm持ち上がる;IV−重篤な浮腫;領域が>1mm持ち上がり、曝露領域を越えて広がる。
【0166】
CクラスCpG ODN(配列番号2;配列番号3のデータ示さず)は、一般に、ID注射後にBクラスCpG ODN(配列番号4)よりも低い度合の浮腫を示した。
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
前述の記載した明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分であるとみなされる。実施例は本発明の一態様の単一の例示であることを意図し、他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内にあるため、本発明は、提供した実施例によって範囲が限定されないものとする。本明細書中に示し記載したものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内にある。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明のそれぞれの実施形態によって包含されていない。
【0170】
本出願中に引用したすべての参考文献、特許および特許公開は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれている。
【0171】
このように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を記載したので、様々な変更、改変、および改善が当業者に容易に想達可能であることを理解されたい。そのような変更、改変、および改善は、本開示の一部であることを意図し、本発明の精神および範囲内にあることを意図する。したがって、前述の説明および図面は例でしかない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】単離したpDC中でのIFN−αの誘発を示すグラフである。CD14枯渇による2人のドナーの末梢血単核球(PBMC)からのpDCの磁気単離に次いで、BDCA−4(Miltenyi)を用いた陽性選択を行った。データ(平均+/−SEM)は、示したODN濃度を用いた24時間のインキュベーション、次いでIFN−αのELISAについて示す。
【図3】単離したpDC中でのCD86およびCCR7を示す一組のグラフである。CD14枯渇による2人のドナーのPBMCからのpDCの磁気単離に次いで、BDCA−4(Miltenyi)を用いた陽性選択を行った。データ(平均+/−SEM)は、示したODN濃度を用いた24時間のインキュベーション、次いで、CD86発現(図3A)(CD86FITC、CCR−7PE、CD14PerCP、BDCA−4APC)またはCCR7(図3B)のフローサイトメトリー分析について示す。
【図4】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIFN−α(図4A)、IFN−γ(図4B)、およびIP−10(図4C)の平均+/−SEMを示す。
【図5】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIL−1β(図5A)、IL−2R(図5B)、GM−CSF(図5C)、およびMCP−1(図5D)の平均+/−SEMを示す。
【図6】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインIL−6(図6A)、IL−10(図6B)、IL−12(図6C)、およびIL−15(図6D)の平均+/−SEMを示す。
【図7】PBMC中でのサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。2人のドナーからのPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共にインキュベートした。24時間後、上清を採取し、25プレックス(Biosource)によって試験した。2人のドナーのPBMCによって分泌されたサイトカインMIP−1α(図7A)、MIP−1β(図7B)、およびTNF−α(図7C)の平均+/−SEMを示す。
【図8】ヒトNK細胞の細胞毒性を示す一組のグラフである。ヒトPBMCを、示したように0.25μM(図8A)または1μM(図8B)のODNと共に16時間インキュベートし、次いで、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した標的細胞(K562、慢性骨髄性白血病)と共に、様々なエフェクター:標的の比でさらに4時間インキュベートした。細胞死滅は、7−アミノ−アクチノマイシンD(7−AAD)を用いた染色およびフローサイトメトリーによって決定した。3人のドナーの平均+/−SEMを示す。
【図9】ヒトB細胞の増殖を示すグラフである。3人のドナーからのCFSEで標識したPBMCを、0.016〜1μMのCpG ODNと共に5日間インキュベートし、次いで、B細胞を区別するためにCD19を用いて細胞表面染色した。CFSE染色が減少していたB細胞の割合を決定した。3人のドナーの平均+/−SEMを示す。
【図10】ヒトTLR8およびNFκBのレポーター遺伝子アッセイを示す一組のグラフである。hTLR8−NFκB−293(図10A)およびNFκB−293(図10B)細胞を、示した濃度のODNまたはTNF−αと共に16時間インキュベートし、その後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した。
【図11】マウスB細胞の増殖を示すグラフである。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(4×106個/mL)を、培地(データ分析で親集団として用いる陰性対照)またはODNと共にインキュベートした。5日間のインキュベーションの後、脾細胞(B細胞)の増殖をCFSE染色によって測定した。増殖指数は、Verity ModFit5.1ソフトウェアを用いて測定した。
【図12】マウス脾細胞中でのin vitroサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。ナイーブBALB/cマウス脾細胞(5×106個/mL)をODNと共にインキュベートした。インキュベーションの48時間後の培養上清を、IL−6(図12A)、IL−12(図12B)、IFN−γ(図12C)、およびTNF−α(図12D)について、Luminex技術(マウスサイトカイン20プレックス;カタログ番号LMC0006、BioSource、カリフォルニア州Camarillo)を用いて試験した。
【図13】マウス中でのin vitroサイトカイン誘発を示す一組のグラフである。雌のBALB/cマウス(5匹/群)に、様々な用量(100mg、250mgまたは500mg)のCpG ODNまたは非CpG対照ODN(配列番号5)を皮下(SC)注射した。動物を注射の3時間後に出血させ、血漿を、IP−10(図13A)およびIL−6(図13B)について、ELISAによって試験した。
【図14】NK活性の増強を示す一組のグラフである。BALB/cマウス脾細胞(30×106個)を、示したように0μg/mL(培地単独)、1μg/mL(図14A)、3μg/mL(図14B)または10μg/mL(図14C)のODNと共に、24時間インキュベートした。NK活性は、YAC−1標的細胞を用いた標準の51Cr放出アッセイを使用して、様々なエフェクター:標的の比で評価した。
【図15】ルイス肺癌の生存および腫瘍体積を示す一組のグラフである。雌のC57Bl/6(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)に、1×105個のLLC細胞(ATCC;CRL1642)を背下部に皮下注射した。ODN(200mg)を、腫瘍の周辺に、第1日目および第3日目、その後は週に2回、皮下注射した。動物を、腫瘍体積によって測定した腫瘍増殖(図15B)、および生存(図15A)についてモニターした。腫瘍の大きさ(長さおよび幅)は、デジタルバーニアノギスを用いて測定した。腫瘍体積は以下の式を用いて計算した:腫瘍体積=(0.4)(ab2)[式中、aは長さ(大きい方の直径)であり、bは幅(小さい方の直径)である]。平均腫瘍体積の変化は、それぞれの動物群において50%が死亡するまで示す。マウスを腫瘍測定日に安楽死させ、グラフには含めていない。
【図16】神経芽細胞腫の治療を示す一組のグラフである。雌のA/Jマウスに、1×106個の神経2a細胞(ATCC;CCL131)を上部左脇腹に皮下注射した(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)。100mgのODNを、腫瘍注射の10日後から開始して、腫瘍の周辺に皮下注射した。マウスは、毎日または3日毎に、15日間治療した。動物を、腫瘍体積によって測定した腫瘍増殖(図16B)、および生存(図16A)についてモニターした。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述のように、本発明は、免疫賦活性オリゴデオキシリボヌクレオチドを含めた、免疫賦活性核酸および薬学的に許容できるその塩に関する。これらの化合物には、以下から選択される塩基配列が含まれる:
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGT3’(配列番号1);
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3);および
5’TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCGTX1X2X3X43’(配列番号6);
ここで、配列番号2および配列番号3中のアスタリスク「*」のそれぞれは、安定化したヌクレオチド間結合を表し、配列番号2中のアンダーバー「_」は、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合を表し、X1X2X3およびX4は、それぞれ独立してヌクレオチド塩基であり、配列X1X2X3X4は、TTTTではない。例えば、X1X2X3X4は、TTTA、TTTG、TTTC、TTAA、TTCG、TTCC、TTGG、TTAT、TTCT、TTGT、TATT、TCTT、またはTGTTであり得る。別段に記述しない限りは、説明中の免疫賦活性核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチドなどへの言及はすべて、遊離酸および任意の薬学的に許容できるその塩をいう。
【0029】
一般に、配列番号中の3’および5’の表示は、塩基配列中の塩基および対応するヌクレオチドの相対的位置(方向)をいう、すなわち、この表示は、別のヌクレオチドが結合し得る、標識した塩基(それぞれ配列番号1〜3中のTおよびTまたは配列番号6中のX4およびT)と会合した、五炭素糖の3’および5’炭素原子をいう。しかし、一部の例では、説明により、3’は核酸の3’末端をいい、その代わりにまたはそれに加えて、5’は核酸の5’末端を指すことが記載される。そのような場合には、3’および/または5’の表示は、ヌクレオチド(またはヌクレオシド)が、核酸中の標識した塩基(ヌクレオチドまたはヌクレオシド)と会合している糖部分のそれぞれ3’および/または5’の位置とは直接連結していないことを示す。ヌクレオチドは存在しないが、3’および5’末端は、リンカーまたは脱塩基分子などの非ヌクレオチド分子と結合していてもよい。
【0030】
本明細書中で使用する「核酸」および「オリゴヌクレオチド」とは、互換性があるように使用し、以下に記載のように修飾されていてもよい複数のヌクレオチド、すなわち、ホスフェート基と連結した糖部分(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子、および、置換ピリミジン、例えば、シトシン(C)、チミン(T)もしくはウラシル(U)、または置換プリン、例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G)のいずれかである交換可能な有機塩基をいう。本明細書中で使用するこれらの用語は、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)をいう。これらの用語には、ポリヌクレオシド、すなわち、ホスフェート基がないポリヌクレオチドも含まれ得る。核酸分子は、既存の核酸源、例えば、ゲノムまたはcDNAから得ることができるが、好ましくは合成であり、例えば核酸合成によって生成する。
【0031】
本明細書中で使用する「免疫賦活性核酸」、「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」、「免疫賦活性核酸」、および「免疫賦活性オリゴヌクレオチド」は等価な用語であり、免疫系の細胞の機能的側面を誘発するその能力によって特徴づけられている、リボ核酸またはデオキシリボ核酸分子、その誘導体または類似体をいう。そのような免疫系の細胞の機能的側面には、例えば、サイトカインもしくはケモカインの同化、細胞表面マーカーの発現、抗体の分泌、増殖、または、抗原もしくは抗原を保有する膜と結合した標的に応答したもしくはそれに向けられた、他の活性が含まれることができる。
【0032】
免疫賦活性核酸は、例えば、β−シアノエチルホスホルアミダイト方法およびヌクレオシドH−ホスホネート方法を含めた、任意の数の周知の手順を用いて新規合成することができる。β−シアノエチルホスホルアミダイト方法の記載については、Beaucage,SLおよびCaruthers,MH(1981)、Tetrahedron Lett、22:1859〜62ならびに以下のスキームIを参照されたい。ヌクレオシドH−ホスホネート方法の記載については、Garegg,IL他(1986)、Tetrahedron Lett、27(34):4051〜54、Froehler,BC他(1986)、Nucl Acid Res、14(13):5399〜407、Garegg,IL他(1986)、Tetrahedron Lett、27(34):4055〜58、およびGaffney他(1988)、Tetrahedron Lett、29(22):2619〜22)を参照されたい。これらの化学は、様々な市販されている自動核酸合成機を用いて行うことができる。これらの核酸は合成核酸と呼ばれる。
【0033】
あるいは、免疫賦活性核酸は、プラスミド中で大規模に産生してより小さな小片に分けるか、または全体を投与することができる。例えば、Sambrook,T.他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York(1989)を参照されたい。核酸は、制限酵素、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを用いるものなどの既知の技術を使用して、既存の核酸配列(例えば、ゲノムまたはcDNA)から調製することができる。この様式で調製した核酸は、単離核酸と呼ばれる。単離核酸とは、一般に、それが天然において通常関連している構成成分から分離された核酸をいう。例えば、単離核酸は、細胞から、核から、ミトコンドリアからまたはクロマチンから分離されたものであり得る。本明細書中に記載する免疫賦活性核酸には、合成核酸および単離核酸が包含される。
【0034】
in vivoでの使用には、免疫賦活性核酸は、分解に対して任意選択で耐性であってもよい(例えば安定化)。「安定化した核酸分子」とは、in vivo分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)に対して、同じ塩基配列および標準のリン酸結合を有するものよりも耐性がある核酸をいう。核酸の安定化は、リン酸骨格の修飾によって達成することができる。好ましい安定化した核酸は、修飾されたリン酸骨格を有する。一般に、核酸骨格の修飾は、in vivoで投与した場合に、増強された核酸の免疫賦活活性をもたらすことが示されている。一部の例では、ホスホロチオエート結合を有する免疫賦活性核酸は改善した活性を保有し、核酸を細胞内エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解から保護する。他の核酸骨格修飾には、リン酸ジエステルおよびホスホロチオエート結合の組合せ(すなわちキメラ骨格)、および、アルキルホスホネート(例えばメチルホスホネート)基、アルキルホスホロチオエート(例えばメチルホスホロチオエート)基、ホスホロジチオエート基、エチルホスフェート基など(これらの組合せを含む)からなる骨格が含まれる。
【0035】
修飾された骨格を有する核酸は、既知の方法を用いて調製し得る。例えば、ホスホロチオエートなどの修飾された骨格は、ホスホルアミデートまたはH−ホスホネート化学のどちらかを用いた自動技術を使用して合成し得る。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、米国特許第4,469,863号に記載のように作製することができ、アルキルホスホトリエステル(例えばリン酸エチル)は、米国特許第5,023,243号に記載のように、市販の試薬を用いた自動固相合成によって調製することができる。他の核酸骨格修飾および置換を行う方法が記載されている。例えば、Uhlmann,EおよびPeyman,A(1990)、Chem Rev、90(4):544〜84;Goodchild,J(1990)、Bioconjugate Chem、1(3):165〜86を参照されたい。
【0036】
テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを片方または両方の末端に含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性があることが示されている。
【0037】
免疫賦活性核酸の一部の実施形態は、柔らかいまたは中程度に柔らかい骨格を含む、部分的に安定化したキメラ骨格を有し得る。前述したように、キメラ骨格には、リン酸ジエステルおよび修飾された骨格の結合が含まれる。柔らかいオリゴヌクレオチドとは、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−グアニン(YG)ジヌクレオチド塩基配列の内部、またはそれにすぐ隣接している場合にのみ起こる、部分的に安定化した骨格を有する免疫賦活性核酸である。したがって、内部YGジヌクレオチドには、(i)ピリミジンヌクレオシドとグアノシンまたはデオキシグアノシン部分(すなわち、Y_G)とを結合する、ならびに(ii)隣接ヌクレオチド、または内部YGジヌクレオチドに対して5’、3’、もしくは5’および3’の両方のヌクレオチドを結合する、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が含まれる。好ましくは、隣接リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、内部ヌクレオチド間結合である。
【0038】
中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドとは、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−グアニン(YG)ジヌクレオチド塩基配列の内部でのみ起こる、部分的に安定化した骨格を有する免疫賦活性核酸である。中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドは、完全に安定化した骨格を有する免疫賦活性オリゴヌクレオチドに勝るいくつかの利点を有する場合がある。例えば、中程度に柔らかいオリゴヌクレオチドは、対応する完全に安定化した免疫賦活性オリゴヌクレオチドよりも増加した免疫賦活力価を保有し得る。
【0039】
リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合とは、リン酸ジエステル結合と化学的にかつ/またはジアステレオマー的に類似のリン含有架橋基である。リン酸ジエステル結合との類似性の尺度には、ヌクレアーゼ消化に対する感受性およびRNAse Hを活性化する能力が含まれる。したがって、例えば、リン酸ジエステルオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ消化に感受性があるがホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは感受性がない一方で、リン酸ジエステルおよびホスホロチオエートオリゴヌクレオチドはどちらもRNAse Hを活性化する。好ましい実施形態では、リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、ボラノリン酸(または等価にボラノホスホン酸)結合である。例えば、米国特許第5,177,198号、米国特許第5,859,231号、米国特許第6,160,109号、米国特許第6,207,819号、およびSergueev,DSおよびShaw,BS(1998)、J Am Chem Soc、120:9417〜27を参照されたい。別の好ましい実施形態では、リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合は、ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートである。一部の実施形態では、用語「リン酸ジエステル様ヌクレオチド間結合」とは、ホスホロジチオエートおよびメチルホスホネートのヌクレオチド間結合を具体的に排除する。
【0040】
スキームIは、固相β−シアノエチルホスホルアミダイト方法を用いてオリゴデオキシリボヌクレオチドを調製する1つのプロセスを示す。このプロセスでは、単量体β−シアノエチル−ジイソプロピルホスホルアミダイト構成単位、T−アミダイト、Gアミダイト、およびCアミダイトを用い、その構造を以下に示す:
【0041】
【化1】
単量体構成単位は、それぞれのデオキシリボース部分の5’−ヒドロキシ官能基を保護する、酸に不安定な4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)基を含有する。構成単位はまた、合成中にホスファイト(またはホスフェート)基を保護するβ−シアノエチル基、ならびに核酸塩基の第一級アミノ官能基(グアニンおよびシトシン)を保護する塩基に不安定なアシル基(例えば、イソブタノイルおよびベンゾイル)も含有する。
【0042】
スキームIは、n個の塩基(B1、B2、B3、...Bn)およびヌクレオシドを含有するODN(式XII)の調製を例示する。合成は、充填された固体支持体媒体床(例えば、細孔制御ガラス、ポリスチレンなど)を含有するステンレス鋼カラムからなる流動反応器モジュールを含む、コンピュータ制御の固相オリゴヌクレオチド合成機を用いて行う。合成機は、試薬および洗浄液を送達し、プロセスの過程をモニターする。プロセスの鎖延長部分中に中間体は単離されない。出発物質は、DMTで保護した5’−ヒドロキシ官能基および核酸塩基B1を含む最初のヌクレオシド(式I)である。最初のヌクレオシドは、デオキシリボース部分の3’位でスクシニルリンカーによって固体支持体媒体と連結される。上述のように、第一級アミン基を有する核酸塩基には、処理中の望ましくない副反応を防止するために、塩基に不安定なアシル基が含まれる。
【0043】
このプロセスにはn−1回のサイクルが含まれ、そのそれぞれが、4つの主要なステップ、すなわち、(a)固体に支持されたODNの5’末端を脱ブロッキングまたは脱トリチル化するステップと;(b)必須の単量体構成単位(T−アミダイト、G−アミダイトまたはC−アミダイト)を脱保護したODNの5’末端とカップリングさせるステップと;(c)カップリングステップで配置されたヌクレオシドを固体に支持されたODNと連結させる、ホスファイト架橋を酸化する(例えばチオール化)ステップと;(d)未反応の脱保護した出発物質または脱保護した中間体をすべてキャッピングするステップとを含む。それぞれの主要なステップ(a〜d)の間でアセトニトリル(ACN)洗浄を行うことで、過剰の反応物質(例えば単量体構成単位)を除去する。プロセス中、ODNは3’から5’の方向に構築される。n−1回のサイクルの後、完全長ODN(5’末端にDMT基を有する)を固体支持体から切断し、核酸塩基の第一級アミンを脱保護し、ODNをカラムクロマトグラフィーによって精製し、DMT基を除去して、所望のODN(XII)またはその塩が得られる。
【0044】
上述およびスキームIに示すように、ODN合成の第1のステップ(a1)には、酸、例えばトルエン中のジクロロ酢酸(DCA)と短時間接触させることによって、出発物質(式I)の5’−ヒドロキシ官能基からDMT保護基を除去することが含まれる。脱保護の後、5’−ヒドロキシ基(式II)は、必須のホスホルアミダイト構成単位(式III)とのカップリングステップ(b1)の反応の準備ができている。ホスホルアミダイト単量体(式III)をまずサッカリンN−メチルイミダゾール塩(SMI)などのカップリング剤で活性化させ、その後、脱保護した出発物質(式II)と反応させて、二塩基の中間体(式IV)が得られる。次に、新しく配置されたB2−ヌクレオシドをB1−ヌクレオシドと連結しているホスファイト部分を、より安定な5価のリン酸トリエステル架橋へと酸化する(c1)。ホスホロチオエート結合(式V中のX=S)が所望される場合は、中間体(式IV)を硫黄転移試薬、例えば、ピリジン中の5−アミノ−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン(水素化キサンタン)などのチオール化試薬と反応させる。リン酸ジエステル結合(式V中のX=O)が所望される場合は、中間体(式IV)をヨウ素/水と反応させる。第1サイクルの最終ステップ(d1)では、未反応の5’−ヒドロキシ基(式II)をすべて、アシル化剤、例えば、ACNおよびピリジン中のイソブタン酸無水物およびN−メチルイミダゾールの混合物と反応させることによってキャッピングする。これにより、未完成のODN鎖がODN構築プロセスで後に反応することが、防止される。
【0045】
【化2】
【0046】
続くサイクルは、新しく付加したヌクレオシドの5’−ヒドロキシ官能基からDMT基を除去することから開始する。したがって、スキームIに示すように、保護されたジヌクレオチド(式V)を酸と接触させて(a2)5’−ヒドロキシ部分(式VII)を露出させ、続いて、これを、単量体の活性化後に必須のホスホルアミダイト構成単位(式VIII)と反応させる(b2)。新しく配置されたB3−ヌクレオシドをB2−ヌクレオシドと連結している新しく形成されたホスファイト部分(式IX)の酸化(c2)により、DMTで保護した5’−ヒドロキシ末端を有するトリヌクレオチド(式X)が得られる。すべての未反応の5’−ヒドロキシ基(式VII)を、アシル化剤との反応によってキャッピング(d2)することで、第2サイクルが完了する。式VIIおよび式IX〜XII中の置換基Xは、ホスホロチオエートまたはリン酸ジエステルヌクレオチド間結合が所望されるかに応じて、SまたはOであることに注目されたい。
【0047】
(n−1)回の最後のサイクルが完了した後、ODN(式XI)をヒンダード第一級脂肪族アミン、例えばtert−ブチルアミンと接触させることによって、β−シアノエチル保護基を除去する。続いて、生じるDMTでキャッピングされたODN(示さず)を、塩基、例えば濃水酸化アンモニウムと接触させ、これにより、塩基に不安定なスクシニルリンカーが切断され、DMTで保護したODNが固体支持体から解放される。また、塩基との接触は、核酸塩基上の第一級アミンの脱保護も行う。
【0048】
完成したODN(式XII)は、イオン交換カラムクロマトグラフィーによって単離および精製する。この方法では、DMTでキャッピングされた完全長ODNが、末端5’−DMT基を欠く未完成のODN(例えば、式VI)と比較して、固定相中の親和性が高いことを活用する。ODNのナトリウム塩を得るために、DMTでキャッピングされたODNを含有する、粗アンモニア水酸化物水溶液の洗浄液をイオン交換カラム上に吸着させ、NaOH水溶液で洗浄する。未完成のODNは、NaCl/NaOH水溶液で洗浄することによってカラムから除去される。これにより、固定相と結合したDMTでキャッピングされたODNが残る。続いて、酢酸水溶液、次いで水、およびNaOH水溶液で洗浄することによってDMT基を除去して、ODN(式XII)をナトリウム塩へと再変換して戻す。その後、ODNを、NaOH中のNaClの直線勾配を用いたカラム上で精製する。画分を採取し、偽プールを調製し、HPLCおよびキャピラリーゲル電気泳動(CGE)によって分析する。ODNの規格を満たす対応する偽プールの画分を一緒にプールし、濃縮し、接線流濾過(TFF)を用いて脱塩する。生じる濃縮水を濾過し(例えば0.22μMのフィルターを用いる)、溶液を凍結乾燥して、完成したODNが得られる。
【0049】
免疫賦活性核酸は、対象を治療して、免疫応答を誘発するため、または、例えば、感染症、癌、およびアレルギー性障害などの免疫関連疾患を治療するために使用し得る。
【0050】
本明細書中で使用する「対象」とは、ヒト、およびそれだけには限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ウサギ、ラット、マウスなどを含めた脊椎動物をいう。
【0051】
本明細書中で使用する用語「治療する」、「治療すること」、「治療した」、およびその変形とは、そのような用語が適用される疾患、障害もしくは状態の進行を、逆転、緩和、阻害すること、もしくはそれを予防すること、または、そのような疾患、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の進行を、逆転、緩和、阻害すること、もしくはそれを予防することをいう。「治療」とは、「治療する」行為をいう。
【0052】
したがって、治療することとは、予防的治療、すなわち、対象が疾患を発生することに対する耐性を増加させる、または対象が疾患を発生する可能性を減少させる、または疾患の発生を遅延させる治療をいい、また、対象が疾患を発生した後の治療、すなわち、疾患を減少もしくは排除しようとする、疾患の悪化を予防しようとする治療をいう。例えば、感染症の治療に関して使用した場合、治療することとは、対象の微生物に対する耐性を増加させる、または対象が微生物の感染症を発生する可能性を減少させる予防的治療、および、感染症と戦うための、例えば、それを完全に減少もしくは排除する、またはそれの悪化を予防するための、対象が感染した後の治療をいう。癌などの疾患に関して使用した場合、これらの用語は、(i)癌の発生を予防することもしくは(ii)遅延させること、(iii)癌の症状を減少させること、(iv)確立された癌の成長を阻害することもしくは(v)遅延させること、または(i)〜(v)の組合せをいう。
【0053】
したがって、核酸は、感染性生物の感染を生じる危険性、またはアレルギー性障害を生じる危険性、または癌を生じる危険性にある対象において、免疫を誘発させる予防剤として有用である。「危険性にある対象」とは、一般に、疾患、状態または障害に関連する1つまたは複数の危険因子を示す、既に定義した任意の対象をいう。危険因子とは、疾患、状態または障害を発生させる確率を増加させ得るものすべてである。例えば、感染症またはアレルギー関連疾患の危険因子には、特定の種類の感染性因子またはアレルゲンが見つかる地域への旅行;生活スタイル、職業、医療処置などによる、感染性生物を含有し得る体液との接触;感染性生物またはアレルゲンが同定された地域および感染性因子またはアレルゲンへの直接曝露が起こった地域での居住;テロ攻撃(例えば生物戦)の対象地域での居住が含まれる。また、感染を生じる危険性にある対象には、医療機関が特定の感染性生物抗原でのワクチン接種を推奨する一般集団も含まれる。抗原がアレルゲンであり、対象がその特定の抗原に対してアレルギー応答を発生し、対象が抗原に曝露される場合、すなわち、花粉の季節である場合、対象は、抗原に曝露される危険性にある。
【0054】
癌を発生する危険因子には、特定の癌の遺伝的素因および家族歴;癌の以前の治療;加齢(例えば65歳以上);タバコ製品の使用;質の悪い食生活(例えば高脂肪食);肥満症;アルコールの過剰消費(例えば2オンス(59.1ml)/日より多く);運動不足;電離放射線(例えば、放射性降下物、X線、ラドン)への曝露;過剰な太陽光、およびアスベスト、ベンゼン、ベンジジン、カドミウム、ニッケル、または塩化ビニルを含めた発癌性化学物質への曝露;ヒトパピローマウイルス(HPV)、B型肝炎およびC型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病/リンパ腫ウイルス(HTLV−1)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV8)、およびピロリ細菌(Helicobacter pylori)を含めた、一部のウイルスおよび細菌の感染;ならびに、単独またはプロゲスチンと組み合わせたエストロゲン、およびジエチルスチルベストロール(DES)を含めた特定のホルモンを用いた治療が含まれる。
【0055】
また、核酸は、感染症、癌およびアレルギー性障害の治療における治療剤としても有用である。
【0056】
「感染を有する対象」とは、感染性病原体に曝露され、体内に急性または慢性の検出可能なレベルの病原体を有する対象である。核酸は、単独で、または抗原もしくは抗細菌薬などの他の治療剤と併せて使用して、感染性病原体のレベルを減少させる、またはそれを根絶することができる免疫応答を開始することができる。この方法には、感染を治療するために、感染を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。この方法は、ヒトおよび非ヒト脊椎動物対象においてウイルス、細菌、真菌、および寄生生物の感染を治療するために使用することができる。
【0057】
本明細書中で使用する「感染」および等価に使用する「感染症」とは、対象の体内に外来微生物が存在することから生じる疾患をいう。外来微生物は、ウイルス、細菌、真菌、または寄生生物であり得る。感染性ウイルスの例には、レトロウイルス科(Retroviridae)(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる)などのヒト免疫不全ウイルス;およびHIV−LPなどの他の単離物;ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(Calciviridae)(例えば胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(Togaviridae)(例えば、ウマ科動物脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラウイルス科(Flaviridae)(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);コロナウイルス科(Coronaviridae)(例えばコロナウイルス);ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(Filoviridae)(例えばエボラウイルス);パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(例えばインフルエンザウイルス);ブンガウイルス科(Bungaviridae)(例えば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(Arena viridae)(昜出血性発熱ウイルス);レオウイルス科(Reoviridae)(例えばレオウイルス、オルビビウルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科(Birnaviridae):ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(Parvoviridae)(パルボウイルス);パポバウイルス科(Papovaviridae)(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(Adenoviridae)(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(Poxviridae)(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス科(Iridoviridae)(例えばアフリカブタ発熱ウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、D型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠陥性付随体であると考えられる)、非A型非B型肝炎の因子(クラス1=内部伝染;クラス2=非経口伝染(すなわちC型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、アストロウイルス)が含まれる。
【0058】
感染性細菌の例には、イスラエル放線菌(Actinomyces israelii))、炭疽菌(Bacillus anthracis)、バクテロイデス属(Bacteroides)spp.、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)、ウェルシュ菌(Clostridium perfingens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、コルネバクテリウム属(Corynebacterium)spp.、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロコッカス属(Enterococcus)sp.、ブタ丹毒素(Erysipelothrix rhusiopathiae)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ピロリ菌(Helicobacter pyloris)、肺炎桿菌(Klebiella pneumoniae)、在郷軍人病菌(Legionella pneumophilia)、レプトスピラ属(Leptospira)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリア属(Mycobacteria)spp.(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、エム・アビウム(M.avium)、エム・イントラセルラーレ(M.intracellulare)、カンサシ菌(M.kansasii)、エム・ゴルドナエ(M.gordonae))、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パスツレラ・マルトシダ(Pasturella multocida)、病原性カンピロバクター属(Campylobacter)sp.、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)(嫌気性spp.)、ストレプトコッカス(Streptococcus)(緑色連鎖球菌(viridans)群)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalaactiae)(ストレプトコッカス属(Streptococcus)B群)、ストレプトコッカス・ボリス(Streptococcus boris)、大便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)(ストレプトコッカス(Streptococcus)群A属)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidium)、およびフランベジアトレポネーマ(Treponema pertenue)が含まれる。
【0059】
感染性真菌の例には、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラータム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、およびブラストミセス・デリフィアティティディス(Blastomyces derifiatitidis)が含まれる。
【0060】
他の感染性生物(すなわち原生生物)には、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、および三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)などのプラスモジウム属(Plasmodium)spp.が含まれる。血液媒介性寄生生物および/または組織寄生生物には、プラスモジウム(Plasmodium)spp.、ネズミバベシア(Babesia microti)、バベシア・ダイバージェンス(Babesia divergens)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、リーシュマニア属(Leishmania)spp.、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)およびローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠病)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)(シャガス病)、ならびにトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)が含まれる。
【0061】
前述のウイルス、細菌、真菌、および他の感染性微生物のリストは、代表的なものであり限定的でないことを理解されたい。他の医学的に関連性のある微生物は、文献中に広範に記載されており、例えば、その内容の全体が参照により本明細書中に組み込まれている、C.G.A Thomas、Medica Microbiology、Bailliere Tindall、英国(1983)を参照されたい。
【0062】
上記に記載した微生物因子の多くはヒトの障害に関連しているが、本発明は、非ヒト脊椎動物の治療にも有用である。非ヒト脊椎動物も、本明細書中に開示した免疫賦活性核酸を用いて予防または治療することができる感染を発生する場合がある。例えば、感染性ヒト疾患の治療に加えて、本発明の方法は、動物の感染の治療に有用である。
【0063】
ヒトおよび非ヒト脊椎動物の感染性ウイルスには、レトロウイルス、RNAウイルスおよびDNAウイルスが含まれる。このレトロウイルスの群には、単純レトロウイルスおよび複合レトロウイルスがどちらも含まれる。単純レトロウイルスには、B型レトロウイルス、C型レトロウイルスおよびD型レトロウイルスの亜群が含まれる。B型レトロウイルスの例はマウス乳癌ウイルス(MMTV)である。C型レトロウイルスには、C型A群(ラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ白血病ウイルス(ALV)、および骨髄芽球症ウイルス(AMV)を含む)の亜群、ならびにC型B群(ネコ白血病ウイルス(FeLV)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮症ウイルス(RV)およびサル肉腫ウイルス(SSV)を含む)が含まれる。D型レトロウイルスには、マソン−ファイザーサルウイルス(MPMV)および1型サルレトロウイルス(SRV−I)が含まれる。複合レトロウイルスには、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルスおよび泡沫状ウイルスの亜群が含まれる。レンチウイルスにはHIV−1が含まれるが、HIV−2、SIV、ビスナウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)も含まれる。T細胞白血病ウイルスには、HTLV−1、HTLV−II、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)が含まれる。泡沫状ウイルスには、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、サル泡沫状ウイルス(SFV)およびウシ泡沫状ウイルス(BFV)が含まれる。
【0064】
脊椎動物における感染性因子である他のRNAウイルスの例には、それだけには限定されないが、オルトレオウイルス属(Orthoreovirus)(哺乳動物およびトリレトロウイルスの両方の複数の血清型)、オルビウイルス属(Orbivirus)(ブルータングウイルス、ユージナンジー(Eugenangee)ウイルス、ケメロボウイルス、アフリカ馬疫ウイルス、およびコロラドダニ熱ウイルス)、ロタウイルス属(Rotavirus)(ヒトロタウイルス、ネブラスカ子ウシ下痢ウイルス、サルロタウイルス、ウシまたはヒツジロタウイルス、トリロタウイルス)を含めたレオウイルス科(Reoviridae);エンテロウイルス属(Enterovirus)(ポリオウイルス、コクサッキーウイルスAおよびB、腸内細胞変性ヒトオーファン(ECHO)ウイルス、A型肝炎ウイルス、サルエンテロウイルス、ネズミ脳脊髄炎(ME)ウイルス、ネズミポリオウイルス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス、カルジオウイルス属(Cardiovirus)(脳心筋炎ウイルス(EMC)、メンゴウイルス)、ライノウイルス属(Rhinovius)(少なくとも113個の亜型を含めたヒトライノウイルス;他のライノウイルス)、アプトウイルス属(Apthovirus)(口蹄疫ウイルス(FMDV)を含めたピコルナウイルス科(Picornaviridae);ブタ水疱疹ウイルス、サンミゲルアシカウイルス、ネコピコルナウイルスおよびノーウォークウイルスを含めたカルシウイルス科(Calciviridae);アルファウイルス属(Alphavirus)(東部ウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルス、チクングニアウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(Flavivirus)(蚊媒介性黄熱ウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパマダニ媒介性ウイルス、極東マダニ媒介性ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、跳躍病ウイルス、ポワッサンウイルス、オムスク出血熱ウイルス)、ルビウイルス属(Rubivirus)(風疹ウイルス)、ペスチウイルス属(Pestivirus)(粘膜病ウイルス、ブタコレラウイルス、ボーダー病ウイルス)を含めたトガウイルス科(Togaviridae);ブニウイルス属(Bunyvirus)(ブニヤムウェラ(Bunyamwera)や関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(Phlebovirus)(シシリア型サシチョウバエ熱ウイルス、リフト渓谷熱ウイルス)、ナイロウイルス属(Nairovirus)(クリミア−コンゴ出血熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウークウイルス属(Uukuvirus)(ウークニエミ(Uukuniemi)や関連ウイルス)を含めたブニヤウイルス科(Bunyaviridae);インフルエンザウイルス属(Influenza)(A型インフルエンザウイルス、多くのヒト亜型);ブタインフルエンザウイルス、トリやウマインフルエンザウイルス;B型インフルエンザ(多くのヒト亜型)、およびインフルエンザ型(可能な別の属)を含めたオルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae);パラミクソウイルス属(Paramyxoviru)(1型パラインフルエンザウイルス、センダイウイルス、赤血球吸着ウイルス、ニューカッスル病ウイルスのパラインフルエンザウイルス型、流行性耳下腺炎ウイルス)、モルビリウイルス属(Morbilivirus)(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイルス、ジステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、ニューモウイルス属(Pneumovirus)(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ウシ呼吸器合胞体ウイルス肺炎ウイルス)を含めたパラミクソウイルス(Paramyxoviridae科);ベシクロウイルス属(Vesiculovirus)(VSV)、(チャンディプラウイルス、フランダース−ハートパークウイルス)、リッサウイルス属(Lyssavirus)(狂犬病ウイルス)、魚ラブドウイルス、および2つの可能なラブドウイルス(マールブルグウイルスとエボラウイルス)を含めたラブドウイルス科(Rhabdoviridae);リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、タカリベウイルス群、およびラッサウイルスを含めたアレナウイルス科(Arenaviridae);感染性気管支炎ウイルス(IBV)、肝炎ウイルス、ヒト腸内コロナウイルス、およびネコ感染性腹膜炎(ネココロナウイルス)を含めたコロナウイルス科(Coronaviridae)のメンバーが含まれる。
【0065】
脊椎動物における感染性因子である例示的なDNAウイルスには、それだけには限定されないが、オルトポックスウイルス属(Orthopoxvirus)(大痘瘡、小痘瘡、サル痘ワクシニア、牛痘、水牛痘、ウサギ痘、奇肢症)、レポリポックスウイルス属(Leporipoxvirus)(粘液腫、線維腫)、トリポックスウイルス属(Avipoxvirus)(鶏痘、他のトリポックスウイルス)、カプリポックスウイルス属(Capripoxvirus)(ヒツジ痘、ヤギ痘)、ブタポックスウイルス属(Suipoxvirus)(豚痘)、パラポックスウイルス属(Parapoxvirus)(伝染性膿疱性皮膚炎ウイルス、偽牛痘、ウシ丘疹性口内炎ウイルス)を含めたポックスウイルス科(Poxviridae);イリドウイルス科(Iridoviridae)(アフリカブタ発熱ウイルス、カエルウイルス2および3、魚のリンパ膿腫ウイルス);アルファヘルペスウイルス(1および2型単純ヘルペス、水痘帯状疱疹、ウマ流産ウイルス、ウマヘルペスウイルス2および3、仮性狂犬病ウイルス、感染性ウシ角結膜炎ウイルス、感染性ウシ鼻気管炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、感染性喉頭気管炎ウイルス)、ベータヘルペスウイルス(ヒトサイトメガロウイルスおよびブタやサルのサイトメガロウイルス);ガンマヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルス(EBV)、マレック病ウイルス、ヘルペス・サイミリ(Herpes saimiri)、ヘルペスウイルス・アテレス(ateles)、ヘルペスウイルス・シルビラグス(sylvilagus)、モルモットヘルペスウイルス、リュッケ腫瘍ウイルス)を含めたヘルペスウイルス科(Herpesviridae);マストアデノウイルス属(Mastadenovirus)(ヒト亜群A、B、C、D、および分類されていないもの);サルアデノウイルス(少なくとも23個の血清型)、感染性イヌ肝炎、および畜牛、ブタ、ヒツジ、カエルや多くの他の種のアデノウイルス、アビアデノウイルス属(Aviadenovirus)(トリアデノウイルス);培養不可能アデノウイルスを含めたアデノウイルス科(Adenoviridae)、パピローマウイルス属(Papillomavirus)(ヒトパピローマウイルス、ウシパピローマウイルス、ショープウサギパピローマウイルス、および他の種の様々な病原性パピローマウイルス)、ポリオーマウイルス属(Polyomavirus)(ポリオーマウイルス、サル空砲化剤(SV−40)、ウサギ空砲化剤(RKV)、Kウイルス、BKウイルス、JCウイルス、および他の霊長類ポリオーマウイルス、例えばリンパ増殖性パピローマウイルス)を含めたパポウイルス科(Papoviridae);アデノ関連ウイルス属、パルボウイルス属(Parvovirus)(ネコ汎白血球減少症ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、アリューシャンミンク病ウイルスなど)を含めたパルボウイルス科(Parvoviridae)が含まれる。最後に、DNAウイルスには、クールー病およびクロイツフェルト−ヤコブ病ウイルスならびに慢性感染性神経因性因子(CHINAウイルス)などの、上記の科に当てはまらないウイルスも含まれ得る。
【0066】
核酸は、抗微生物剤と共に対象に投与し得る。本明細書中で使用する「抗微生物剤」とは、感染性微生物を死滅または阻害することができる、天然に存在する、合成、または半合成の化合物をいう。抗微生物剤の種類は、対象が感染している、または感染する危険性にある微生物の種類に依存する。抗微生物剤には、それだけには限定されないが、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗寄生生物剤が含まれる。「抗感染剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「抗寄生生物剤」、および「寄生生物駆除剤」などの語句は、当業者に十分に確立された意味を有し、標準の医学的教科書に定義されている。手短に述べると、抗細菌剤は細菌を死滅または阻害し、抗生物質および同様の機能を有する他の合成または天然の化合物が含まれる。抗生物質とは、微生物などの細胞によって二次代謝物として産生される低分子量の分子である。一般に、抗生物質は、微生物に特異的であり宿主細胞中に存在しない、1つまたは複数の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス剤は、天然源から単離するか、または合成することができ、ウイルスを死滅または阻害するために有用である。抗真菌剤は、表在性の真菌感染ならびに日和見性および原発性の全身性真菌感染を治療するために使用する。抗寄生生物剤は、寄生生物を死滅または阻害する。
【0067】
抗細菌剤は、細菌を死滅させる、または細菌の成長もしくは機能を阻害する。抗細菌剤の大きなクラスは抗生物質である。広範囲の細菌の死滅または阻害に有効な抗生物質は、広域抗生物質と呼ばれる。他の種類の抗生物質は、主にグラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対して有効である。これらの種類の抗生物質は、狭域抗生物質と呼ばれる。単一の生物または疾患に対して有効であり、他の種類の細菌に対しては有効でない他の抗生物質は、限定域抗生物質と呼ばれる。抗細菌剤は、その主な作用機構に基づいて分類される場合がある。一般に、抗細菌剤は、細胞壁合成阻害剤、細胞膜阻害剤、タンパク質合成阻害剤、核酸合成または機能阻害剤、および競合的阻害剤である。
【0068】
抗ウイルス剤とは、ウイルスによる細胞の感染または細胞内でのウイルスの複製を防止する化合物である。ウイルス複製のプロセスは宿主細胞内のDNA複製に非常に密に関連しており、非特異的な抗ウイルス剤は多くの場合宿主に有毒となるため、抗ウイルス薬は抗細菌薬よりもはるかに少ない。ウイルス感染プロセス中には、抗ウイルス剤によって遮断または阻害することができるいくつかの段階が存在する。これらの段階には、ウイルスと宿主細胞との結合(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱外被(例えばアマンタジン)、ウイルスmRNAの合成翻訳(例えばインターフェロン)、ウイルスのRNAまたはDNAの複製(例えばヌクレオシド類似体)、新しいウイルスタンパク質の成熟(例えばプロテアーゼ阻害剤)、ウイルスの出芽および放出が含まれる。
【0069】
ヌクレオチド類似体とは、ヌクレオチドに類似しているが、未完成または異常なデオキシリボースまたはリボース基を有する合成化合物である。ヌクレオチド類似体は、細胞内に入った後、リン酸化されて三リン酸形態を生じ、これは、ウイルスDNAまたはRNA内への取り込みに関して正常なヌクレオチドと競合する。ヌクレオチド類似体の三リン酸形態が成長中の核酸鎖内に取り込まれた後、これはウイルスポリメラーゼとの不可逆的な会合、したがって鎖の終結をもたらす。ヌクレオチド類似体には、それだけには限定されないが、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの治療に使用)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器合胞体ウイルスの治療に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ならびにジドブジン(アジドチミジン)が含まれる。
【0070】
抗真菌剤は感染性真菌の治療および予防に有用である。抗真菌剤は、その作用機構によって分類される場合がある。一部の抗真菌剤は、グルコース合成酵素を阻害することによって細胞壁阻害剤として機能する。これらには、それだけには限定されないが、バシウンギン/ECBが含まれる。他の抗真菌剤は、膜の完全性を不安定化することによって機能する。これらには、それだけには限定されないが、イミダゾール、例えばクロトリマゾール、セルタコンゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナコール、ならびにFK463、アムホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン、UK292、ブテナフィン、およびテルビナフィンが含まれる。他の抗真菌剤は、キチン(例えばキチナーゼ)の免疫抑制を崩壊させることによって機能する(501クリーム)。
【0071】
免疫賦活性核酸は、単独で、または抗癌治療と組み合わせて、癌を治療するために使用し得る。この方法には、癌を治療するために、癌を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。
【0072】
「癌を有する対象」とは、検出可能な癌細胞を有する対象である。癌は、悪性または非悪性の癌であり得る。癌または腫瘍には、それだけには限定されないが、胆管癌;脳癌;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫が含まれる。一実施形態では、癌は、有毛細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平細胞癌、腎細胞癌、前立腺癌腫、膀胱細胞癌腫、または結腸癌が含まれる。
【0073】
癌は、コンパニオン動物(すなわち猫および犬)における主要な死因の1つである。犬および猫で一般的に診断される悪性障害には、それだけには限定されないが、リンパ肉腫、骨肉腫、乳癌、肥満細胞腫、脳腫瘍、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支腺癌、線維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、小神経膠細胞腫、神経芽細胞腫、骨巨細胞腫、口腔新形成、線維肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫が含まれる。犬における他の新生物には、生殖器扁平細胞癌、感染性性病性腫瘍、精巣腫瘍、精上皮腫、セルトリ細胞腫瘍、血管外皮細胞腫、組織球腫、緑色腫(顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫、角膜扁平細胞癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副腎癌腫、口腔乳頭腫、血管内皮腫および嚢胞線腫が含まれる。猫において診断されるさらなる悪性疾患には、濾胞性リンパ腫、腸管リンパ肉腫、線維肉腫および肺扁平細胞癌が含まれる。これまで以上に人気のあるハウスペットであるフェレットは、膵島細胞腫、リンパ腫、肉腫、神経腫、膵島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫および胃腺癌を発生することが知られている。
【0074】
また、本明細書中に記載した免疫賦活性核酸は、抗癌治療と併せて投与してもよい。抗癌治療には、癌医薬品、放射線照射および外科的処置が含まれる。本明細書中で使用する「癌医薬品」とは、癌を治療することを目的として対象に投与する薬剤をいう。癌を治療するための様々な種類の医薬品を本明細書中に記載する。本明細書の目的のために、癌医薬品は、化学療法剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調節物質として分類する。
【0075】
モノクローナル抗体などの免疫治療剤と併せた免疫賦活性核酸は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)の顕著な増強、NK細胞の活性化およびIFN−αレベルの増加を含めたいくつかの機構によって、長期生存を増加させることができる。ADCCは、免疫賦活性核酸を、癌細胞などの細胞標的に特異的な抗体と組み合わせて使用して、行うことができる。免疫賦活性核酸を、抗体と併せて対象に投与した場合、対象の免疫系が誘発されて腫瘍細胞を死滅させる。ADCC手順において有用な抗体には、体内の細胞と相互作用する抗体が含まれる。細胞標的に特異的な多くのそのような抗体が当分野で記載されており、多くが市販されている。核酸は、モノクローナル抗体と組み合わせて使用した場合に、生物学的結果を達成するために必要な抗体の用量を減少させる役割を果たす。
【0076】
本発明の一実施形態では、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用する抗癌剤は、抗血管形成剤(例えば、腫瘍が新しい血管を発生することを停止させる薬剤)である。抗血管形成剤の例には、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE−2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、PKCβ阻害剤、COX−2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(α−v/β−3)、MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、およびMMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤が含まれる。
【0077】
好ましい抗血管形成剤には、スニチニブ(Sutent(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、アキシチニブ(AG13736)、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が含まれる。
【0078】
さらなる抗血管形成剤には、バタラニブ(CGP79787)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、ペガプタニブオクタナトリウム(Macugen(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、PF−0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(商標))、Neovastat(商標)(AE941)、テトラチオモリブデータ(Coprexa(商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi−Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(telatinib)(BAY57−9352)、およびCP−868,596(Pfizer)が含まれる。
【0079】
他の抗血管形成剤には、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(商標))およびUCN01(協和発酵)が含まれる。
【0080】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用することができる抗血管形成剤の他の例には、セレコキシブ(Celebrex(商標))、パレコキシブ(Dynastat(商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(商標))、バルデコキシブ(Bextra(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、イグラチモド(Careram(商標))、IP751(Invedus)、SC−58125(Pharmacia)およびエトリコキシブ(Arcoxia(商標))が含まれる。
【0081】
他の抗血管形成剤には、エクシスリンド(Aptosyn(商標))、サルサレート(Amigesic(商標))、ジフルニサル(Dolobid(商標))、イブプロフェン(Motrin(商標))、ケトプロフェン(Orudis(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ピロキシカム(Feldene(商標))、ナプロキセン(Aleve(商標)、Naprosyn(商標))、ジクロフェナク(Voltaren(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、スリンダク(Clinoril(商標))、トルメチン(Tolectin(商標))、エトドラク(Lodine(商標))、ケトロラック(Toradol(商標))、およびオキサプロジン(Daypro(商標))が含まれる。
【0082】
他の抗血管形成剤には、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(Metastat(商標))、およびPCK3145(Procyon)が含まれる。
【0083】
他の抗血管形成剤には、アシトレチン(Neotigason(商標))、プリチデプシン(aplidine(商標))、シレングチド(EMD121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフギノン(Tempostatin(商標))、Panzem(商標)(2−メトキシエストラジオール)、PF−03446962(Pfizer)、レビマスタット(BMS275291)、カツマキソマブ(Removab(商標))、レナリドマイド(Revlimid(商標))、スクワラミン(EVIZON(商標))、サリドマイド(Thalomid(商標))、Ukrain(商標)(NSC631570)、Vitaxin(商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(商標))が含まれる。
【0084】
別の実施形態では、抗癌剤は、いわゆるシグナル伝達阻害剤である(例えば、制御分子が、細胞内の細胞の成長、分化、および生存の通信の基礎的プロセスを支配する手段を阻害する)。シグナル伝達阻害剤には、小分子、抗体、およびアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害剤には、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤)および細胞周期阻害剤が含まれる。より具体的には、シグナル伝達阻害剤には、例えば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、EGF阻害剤、ErbB−1(EGFR)、ErbB−2、pan erb、IGF1R阻害剤、MEK、c−Kit阻害剤、FLT−3阻害剤、K−Ras阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、STAT阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、P70S6キナーゼ阻害剤、WNT経路の阻害剤およびいわゆる複数標的キナーゼ阻害剤が含まれる。
【0085】
好ましいシグナル伝達阻害剤には、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、イマチニブ(Gleevec(商標))、およびPD325901(Pfizer)が含まれる。
【0086】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸および医薬組成物と併せて使用し得るシグナル伝達阻害剤のさらなる例には、BMS214662(Bristol−Myers Squibb)、ロナファルニブ(Sarasar(商標))、ペリトレキソール(AG2037)、マツズマブ(EMD7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h−R3(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、パゾパニブ(SB786034)、ALT110(Alteris Therapeutics)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(商標)(TP38)が含まれる。
【0087】
シグナル伝達阻害剤の他の例には、PF−2341066(Pfizer)、PF−299804(Pfizer)、カネルチニブ(CI1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(商標))、ラパチニブ(Tycerb(商標))、ペリチニブ(EKB569)、ミルテフォシン(Miltefosin(商標))、BMS599626(Bristol−Myers Squibb)、ラプロイセル−T(Neuvenge(商標))、NeuVax(商標)(E75癌ワクチン)、Osidem(商標)(IDM1)、ムブリチニブ(TAK−165)、CP−724,714(Pfizer)、およびパニツムマブ(Vectibix(商標))が含まれる。
【0088】
シグナル伝達阻害剤の他の例には、ARRY142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(商標))、ゾタロリムス(Endeavor(商標))、テムシロリムス(Torisel(商標))、AP23573(ARIAD)、およびVX680(Vertex)が含まれる。
【0089】
さらに、他のシグナル伝達阻害剤には、XL647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、LE−AON(ジョージタウン大学)、およびGI−4000(GlobeImmune)が含まれる。
【0090】
他のシグナル伝達阻害剤には、ABT751(Abbott)、アルボシディブ(フラボピリドール)、BMS387032(Bristol Myers)、EM1421(Erimos)、インジスラム(E7070)、セリシクリブ(CYC200)、BIO112(Onc Bio)、BMS387032(Bristol−Myers Squibb)、PD0332991(Pfizer)、およびAG024322(Pfizer)が含まれる。
【0091】
本発明は、古典的な抗新生物剤と一緒に用いる本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の使用を企図する。古典的な抗新生物剤には、それだけには限定されないが、ホルモン剤、抗ホルモン剤、アンドロゲン作用剤、アンドロゲン拮抗剤および抗エストロゲン治療剤などのホルモン調節剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、遺伝子サイレンシング剤または遺伝子活性化剤、リボヌクレアーゼ、プロテオソーム剤、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)阻害剤、微小管阻害剤、抗生物質、植物由来紡錘体阻害剤、白金配位化合物、遺伝子治療剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的化剤(VTA)、ならびにスタチンが含まれる。
【0092】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物剤の例には、それだけには限定されないが、糖質コルチコイド、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、およびプロゲスチン、例えば、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU−486)、選択的エストロゲン受容体調節剤(タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン、オルメロキシフェン、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン、CHF4227(Cheisi)などのSERM)、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(フルベストラントなどのSERD)、エキセメスタン(Aromasin)、アナストロゾール(Arimidex)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(Femara)、一般的に黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作用剤と呼ばれるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)作用剤、例えば、ブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(Zoladex)、ロイプロレリン(Lupron)、トリプトレリン(Trelstar)、アバレリックス(Plenaxis)、ビカルタミド(Casodex)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、オサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ(Serenoa repens)、PHL00801、アバレリックス、ゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、フォルメスタン、およびレトロゾール、ならびにその組合せが含まれる。
【0093】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸と組み合わせて使用する古典的な抗新生物剤の他の例には、それだけには限定されないが、スベロールアニリドヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M−777、MS−275、ピバロイルオキシメチルブチレートおよびPXD−101;Onconase(ランピルナーゼ)、PS−341(MLN−341)、Velcade(ボルテゾミブ)、ベロテカン、BN−80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン、エドテカリン、エキサテカン(Daiichi)、ギマテカン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルルトテカン、Orathecin(ルビテカン、Supergen)、SN−38、トポテカン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド、アムルビシン、アンナマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミツルシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン、novantrone(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド、バルルビシン、Zinecard(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、シクロホスファミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジクオン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン、マフォスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロマイド、チオテパ、および白金配位アルキル化化合物、例えば、シスプラチン、Paraplatin(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、Eloxatin(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン、ならびにその組合せが含まれる。
【0094】
本発明はまた、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(メトトレキサートおよびNeuTrexin(グルクロン酸トリメトレセート)など)、プリン拮抗剤(6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6−チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン、およびラルチトレキセドなど)、ピリミジン拮抗剤(5−フルオロウラシル(5−FU)など)、Alimta(プレメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(商標))、シトシンアラビノシド、Gemzar(商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFT OrzelまたはUforal;テガフール、ギメスタットおよびオトスタットのTS−1組合せを含む)、ドキシフルリジン、カルモフル、シタラビン(オクホスファート、ホスフェート、ステアレート、持続放出およびリポソーム形態を含む)、エノシタビン、5−アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、およびエチニルシチジン)、他の代謝拮抗剤、例えば、エフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(Thymitaq)、triapine、トリメトレキセート、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸、AG−014699(Pfizer Inc.)、ABT−472(Abbott Laboratories)、INO−1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU−0687(KuDOS Pharmaceuticals)およびGPI18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにその組合せと一緒に用いる、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の化合物の使用も企図する。
【0095】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物性細胞毒性剤の他の例には、それだけには限定されないが、Abraxane(Abraxis BioScience,Inc.)、Batabulin(Amgen)、EPO906(Novartis)、Vinflunine(Bristol−Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルジノスタチン(ジノスタチン)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、オルタタキセル、パクリタキセル(Taxoprexin、DHA/パシルタキセルのコンジュゲートを含む)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Eloxatin)、サトラプラチン、Camptosar、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(Eloxatin)、Taxotere、アリトレチノイン、カンフォスファミド(Telcyta(商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L−アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ(Oncaspar(商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(商標)−放射線療法)、ベキサロテン(Targretin(商標))、テスミリフェン(DPPE−細胞毒性剤の有効性を増強する)、Theratope(商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(商標))、チラパザミン(Trizaone(商標))、モテキサフィンガドリニウム(Xcytrin(商標))、Cotara(商標)(mAb)、NBI−3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタミン酸−パクリタキセル(Xyotax(商標))およびその組合せが含まれる。
【0096】
本明細書中に記載の免疫賦活性核酸との組合せ療法で、任意選択で1つまたは複数の他の薬剤と共に使用する古典的な抗新生物剤のさらなる例には、それだけには限定されないが、Advexin(ING201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に応答してTNFαを発現する化合物)、RB94(ベイラー医科大学)、Genasense(オブリマーセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi−4503、AVE−8062、ZD−6126、TZT−1027、アトルバスタチン(Lipitor、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(Pravachol、Bristol−Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン、ナイアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ、およびその組合せが含まれる。
【0097】
本発明の別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、トラスツズマブ、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾールおよびアナストロゾールからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて乳癌を治療する方法に関する。
【0098】
一実施形態では、本発明は、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することによる、そのような治療を必要としているヒトなどの哺乳動物において結腸直腸癌を治療する方法を提供する。具体的な抗癌剤の例には、アジュバント化学療法で典型的に用いるもの、例えば、FOLFOX、5−フルオロウラシル(5−FU)またはカペシタビン(Xeloda)、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(Eloxatin)の組合せが含まれる。具体的な抗癌剤のさらなる例には、転移性疾患の化学療法で典型的に用いるもの、例えば、FOLFOXまたはベバシズマブ(Avastin)と組み合わせたFOLFOX;ならびにFOLFIRI、5−FUまたはカペシタビン、ロイコボリンおよびイリノテカン(Camptosar)の組合せが含まれる。さらなる例には、17−DMAG、ABX−EFR、AMG−706、AMT−2003、ANX−510(補因子)、aplidine(プリチデプシン、Aplidin)、アロプラチン、アキシチニブ(AG−13736)、AZD−0530、AZD−2171、バチルス・カルメット−ゲラン(BCG)、ベバシズマブ(Avastin)、BIO−117、BIO−145、BMS−184476、BMS−275183、BMS−528664、ボルテゾミブ(Velcade)、C−1311(Symadex)、カンツズマブメルタンシン、カペシタビン(Xeloda)、セツキシマブ(Erbitux)、クロファラビン(Clofarex)、CMD−193、コンブレタスタチン、Cotara、CT−2106、CV−247、デシタビン(Dacogen)、E−7070、E−7820、エドテカリン、EMD−273066、エンザスタウリン(LY−317615)エポチロンB(EPO−906)、エルロチニブ(Tarceva)、フラボピリドール、GCAN−101、ゲフィチニブ(Iressa)、huA33、huC242−DM4、イマチニブ(Gleevec)、インジスラム、ING−1、イリノテカン(CPT−11、Camptosar)ISIS2503、イクサベピロン、ラパチニブ(Tykerb)、マパツムマブ(HGS−ETR1)、MBT−0206、MEDI−522(Abregrin)、マイトマイシン、MK−0457(VX−680)、MLN−8054、NB−1011、NGR−TNF、NV−1020、オブリマーセン(Genasense、G3139)、OncoVex、ONYX015(CI−1042)、オキサリプラチン(Eloxatin)、パニツムマブ(ABX−EGF、Vectibix)、ペリチニブ(EKB−569)、ペメトレキセド(Alimta)、PD−325901、PF−0337210、PF−2341066、RAD−001(エベロリムス)、RAV−12、レスベラトロール、Rexin−G、S−1(TS−1)、セリシクリブ、SN−38リポソーム、スチボグルコン酸ナトリウム(SSG)、ソラフェニブ(Nexavar)、SU−14813、スニチニブ(Sutent)、テムシロリムス(CCI779)、テトラチオモリブデート、thalomide、TLK−286(Telcyta)、トポテカン(Hycamtin)、トラベクテジン(Yondelis)、バタラニブ(PTK−787)、vorinostat(SAHA、Zolinza)、WX−UK1、およびZYC300が含まれ、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、結腸直腸癌を治療するために有効である。
【0099】
別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、カペシタビン(Xeloda)、インターフェロンα、インターロイキン−2、ベバシズマブ(Avastin)、ゲムシタビン(Gemzar)、サリドマイド、セツキシマブ(Erbitux)、バタラニブ(PTK−787)、Sutent、AG−13736、SU−11248、Tarceva、Iressa、ラパチニブおよびGleevecからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて腎細胞癌を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、腎細胞癌を治療するために有効である。
【0100】
別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、インターフェロンα、インターロイキン−2、テモゾマイド(テモダール)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、ダカルバジン(DTIC)、カルムスチン(BCNUとしても知られる)、シスプラチン、ビンブラスチン、タモキシフェン、PD−325,901、アキシチニブ、ベバシズマブ(Avastin)、サリドマイド、ソラファニブ、バタラニブ(PTK−787)、Sutent、CpG−7909、AG−13736、Iressa、ラパチニブおよびGleevecからなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて黒色腫を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、黒色腫を治療するために有効である。
【0101】
特に興味深い本発明の別の実施形態は、ヒトに、一定量の本明細書中に記載の免疫賦活性核酸を、カペシタビン(Xeloda)、ベバシズマブ(Avastin)、ゲムシタビン(Gemzar)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、プレメトレキセド二ナトリウム(Alimta)、Tarceva、Iressa、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、およびParaplatin(カルボプラチン)からなる群から選択される1つまたは複数(好ましくは1〜3つ)の抗癌剤と組み合わせて投与することを含む、そのような治療を必要としているヒトにおいて肺癌を治療する方法に関し、組合せ抗癌剤の量と一緒にした活性剤の量は、肺癌を治療するために有効である。
【0102】
癌ワクチンとは、癌細胞に対する内在性の免疫応答を刺激することを意図する医薬品である。現在生産されているワクチンは、主に液性免疫系(すなわち抗体依存性の免疫応答)を活性化する。現在開発中の他のワクチンは、腫瘍細胞を死滅させることができる、細胞毒性を有するTリンパ球を含めた、細胞媒介性の免疫系を活性化させることに焦点を置いている。癌ワクチンは、一般に、抗原提示細胞(例えば、マクロファージおよび樹状細胞)ならびに/またはT細胞、B細胞、およびNK細胞などの他の免疫細胞の両方への、癌抗原の提示を増強させる。一部の例では、癌ワクチンは、上述のものなどのアジュバントと共に使用し得る。
【0103】
一部の癌細胞は抗原性であり、したがって、免疫系の標的とすることができる。免疫賦活性核酸と癌医薬品、特に癌免疫療法として分類されたものとの組合せ投与は、癌抗原に対する特異的免疫応答を刺激するために有用である。用語「癌抗原」および「腫瘍抗原」は、互換性があるように使用し、癌細胞によって発現に差異があり、したがって、癌細胞を標的化するために利用することができる抗原をいう。
【0104】
癌抗原とは、明らかに腫瘍に特異的な免疫応答を潜在的に刺激することができる、抗原である。これらの抗原の一部は正常細胞によってコードされているが、必ずしも発現はされない。これらの抗原は、正常細胞中で通常はサイレント(すなわち発現されない)もの、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、ならびに胚性および胎児性抗原などの一時的に発現されるものとして特徴づけることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば活性ras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば突然変異体p53)、および内部欠失または染色体転座から生じる発癌性融合タンパク質などの、突然変異細胞遺伝子によってコードされている。さらに他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルス上に保有されるものなど、ウイルス遺伝子によってコードされ得る。「腫瘍関連」抗原は、腫瘍細胞および正常細胞のどちらにも存在するが、腫瘍細胞とは異なる量または異なる形態で存在する。そのような抗原の例は、腫瘍胎児性抗原(例えば癌胎児性抗原)、分化抗原(例えば、TおよびTn抗原)、癌遺伝子産物(例えば、HER/neu)である。癌ワクチン中に存在するもの、または癌免疫療法を調製するために使用するものなどの癌抗原は、Cohen,PA他(1994)、Cancer Res、54(4):1055〜58に記載のように粗癌細胞抽出物から調製することによって、または、組換え技術もしくは既知の抗原の新規合成を用いて抗原を部分的に精製することによって、調製することができる。
【0105】
癌抗原は、特定の抗原の免疫原性部分の形態で使用するか、または一部の例では、全細胞もしくは腫瘍塊を抗原として使用することができる。そのような抗原は、組換えによってまたは当分野で知られている任意の他の手段によって、単離または調製することができる。
【0106】
他のワクチンは、in vitroで癌抗原に曝露され、抗原をプロセシングし、他の免疫系細胞への有効な抗原提示のために主要組織適合複合体(MHC)分子との関連でその細胞表面で癌抗原を発現することができる、樹状細胞の形態をとる。樹状細胞は、その局所的環境中のリポ多糖(LPS)などの微生物分子を検出する、その抗原提示およびそのパターン認識受容体の発現によって、先天性および後天性の免疫系を関連づける。
【0107】
開示した免疫賦活性核酸は、喘息を含めたアレルギーの治療に有用である。免疫賦活性核酸は、アレルギーを治療するために、単独で、またはアレルギー/喘息医薬品と組み合わせて使用することができる。この方法は、アレルギーまたは喘息状態を治療するために、アレルギーまたは喘息状態を有する、またはそれを生じる危険性にある対象に、有効量の本発明の免疫賦活性核酸を投与することを伴う。
【0108】
本明細書中で使用する「アレルギー」とは、物質(アレルゲン)に対する後天性の過敏症をいう。アレルギー状態には、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、喘息、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hives))および食品アレルギー、ならびに他のアトピー状態が含まれる。「アレルギーを有する対象」とは、アレルゲンに応答するアレルギー反応を有する、またはそれを生じる危険性にある対象である。「アレルゲン」とは、感受性のある対象においてアレルギーまたは喘息の応答を誘発することができる物質をいう。アレルゲンのリストは莫大であり、花粉、昆虫毒、動物鱗屑、粉塵、真菌胞子および薬物(例えばペニシリン)が含まれる場合がある。
【0109】
天然の動物および植物アレルゲンの例には、以下の属に特異的なタンパク質が含まれる:イヌ属(Canine)(ケイネス・ファミリアリス(Canis familiaris));ヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)(例えばコナニョウダニ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(Felis)(フェリス・ドメスティカス(Felis domesticus));ブタクサ属(Ambrosia)(ブタクサ(Ambrosia artemiisfolia));ロリウム属(Lolium)(例えば、ホソムギ(Lolium perenne)またはネズミムギ(Lolium multiflorum));スギ属(Cryptomeria)(スギ(Cryptomeriajaponica));アルテルナリア属(Alternaria)(アルテルナリア・アルテルナタ(Alternaria alternata));アルダー(Alder);ハンノキ属(Alnus)(ヨーロッパハンノキ(Alnus gultinosa));ベツラ属(Betula)(ベツラ・ヴェルコサ(Betula verrucosa));カシ属(Quercus)(ホワイトオーク(Quercualba));オリーブ属(Olea)(オリーブ(Olea europa));ヨモギ属(Artemisia)(オウシュウヨモギ(Artemisia vulgaris));オオバコ属(Plantago)(例えばヘラオオバコ(Planlago lanceolata));ヒカゲミズ属(Parietaria)(例えば、パリエタリア・オフィチナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリア・ユダイカ(Parietariajudaica));チャバネゴキブリ属(Blattella)(例えばチャバネゴキブリ(Blattella germanica));アピス属(Apis)(例えばドピス・ムルティフロレム(dpis multiflorum));イトスギ属(Cupressus)(例えば、イタリアイトスギ(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)およびモントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa));ジュニペルス属(Juniperus)(例えば、ジュニペルス・サビノイド(Juniperus sabinoide)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)およびジュニペルス・アシェイ(Juniperus ashei));クロベ属(Thuya)(例えばコノテガシワ(Thuy orientalis));ヒノキ属(Chamaecyparis)(例えばヒノキ(Chamaecyparis obtusa));ゴキブリ属(Periplaneta)(例えばワモンゴキブリ(Periplanta americana));カモジグサ属(Agropyron)(例えばヒメカモジグサ(Agropyron repens));ライムギ属(Secale)(例えばライムギ(Secale cereale));コムギ属(Triticum)(例えばコムギ(Triticum aestivum));カモガヤ属(Dactylis)(例えばオーチャードグラス(Dactylis glomerata));ウシノケグサ属(Festuca)(例えばヒロハウシノケグサ(Fesluca elatior));ポア属(Poa)(例えば、ナガハグサ(Poa pratensis)またはコイチゴツナギ(Poa compressa));アレナ属(Arena)(例えばエンバク(Arena sativa));シラゲガヤ属(Holcus)(例えばベルベットグラス(Holcus lanatus));ハルガヤ属(Anthoxanthum)(例えばハルガヤ(Anthoxanthum odoratum));アルテナルム属(Arrhenatherum)(例えばトールオートグラス(Arrhenatherum elatius));コヌカグサ属(Agrostis)(例えばコヌカグサ(Agrostis alba));アワガエリ属(Phleum)(例えばオオアワガエリ(Phleum pratense));クサヨシ属(Phalaris)(例えばリードカナリーグラス(Phalaris arundinacea));スズメノヒエ属(Paspalum)(例えばバヒアグラス(Paspalum notatum));モロコシ属(Sorghum)(例えばセイバンモロコシ(Sorghum halepensis));ならびにスズメノチャヒキ属(Bromus)(例えばスムースブロムグラス(Bromus inermis))。
【0110】
本明細書中で使用する「喘息」とは、炎症、気道の狭小化および吸入した因子に対する気道の反応の増加によって特徴づけられる、呼吸器系の障害をいう。喘息はしばしばアトピーまたはアレルギーの症状に関連しているが、排他的ではない。
【0111】
本明細書中で使用する「喘息/アレルギー医薬品」とは、症状を減少させる、喘息もしくはアレルギーの反応を阻害する、またはアレルギーもしくは喘息の反応の発生を予防する組成物である。喘息およびアレルギーを治療するための様々な種類の医薬品は、その内容の全体が本明細書中に参照により組み込まれている、「喘息を診断および管理するための指針(Guidelines for the Diagnosis and Management of Asthma)」、専門委員会報告書2(Expert Panel Report2)、NIH publication、第97/4051号(1997年7月19日)に記載されている。NIH publicationに記載の医薬品の要約を以下に提示する。
【0112】
ほとんどの実施形態では、喘息/アレルギー医薬品は、喘息およびアレルギーのどちらの治療にも、ある程度有用である。一部の喘息/アレルギー医薬品は、好ましくは、免疫賦活性核酸と組み合わせて使用して喘息を治療する。これらは喘息医薬品と呼ばれる。喘息医薬品には、それだけには限定されないが、PDE−4阻害剤、気管支拡張剤/β−2作用剤、K+チャネル開口剤、VLA−4拮抗剤、ニューロキン拮抗剤、TXA2合成阻害剤、キサンタニン、アラキドン酸拮抗剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、トロンボキシンA2受容体拮抗剤、トロンボキサンA2拮抗剤、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質の阻害剤、およびプロテアーゼ阻害剤が含まれる。
【0113】
他の喘息/アレルギー医薬品は、好ましくは、免疫賦活性核酸と組み合わせて使用してアレルギーを治療する。これらはアレルギー医薬品と呼ばれる。アレルギー医薬品には、それだけには限定されないが、抗ヒスタミン剤、ステロイド、免疫調節物質、およびプロスタグランジン誘発剤が含まれる。抗ヒスタミン剤とは、肥満細胞または好塩基球によって放出されるヒスタミンに対抗する化合物である。これらの化合物は当分野で周知であり、アレルギーの治療に一般的に使用されている。抗ヒスタミン剤には、それだけには限定されないが、ロラチジン、セチリジン、ブクリジン、セテリジン類似体、フェキソフェナジン、テルフェナジン、デスロラタジン、ノルアステミゾール、エピナスチン、エバスチン、エバスチニ(ebastini)、アステミゾール、レボカバスチン、アゼラスチン、トラニラスト、テルフェナジン、ミゾラスチン、ベータタスチン、CS560、およびHSR10 609が含まれる。プロスタグランジン誘発剤とは、プロスタグランジン活性を誘発する化合物である。プロスタグランジンは、平滑筋の弛緩を調節することによって機能する。プロスタグランジン誘発剤には、それだけには限定されないが、S−5751が含まれる。
【0114】
ステロイドには、それだけには限定されないが、ベクロメタゾン、フルチカゾン、トラムシノロン、ブデソニド、コルチコステロイドおよびブデソニドが含まれる。免疫賦活性核酸およびステロイドの組合せは、若い対象(例えば小児)の治療に特に良好に適している。現在まで、小児におけるステロイドの使用は、一部のステロイド治療が成長遅延に関連しているという観察が報告されているために制限されてきた。したがって、本発明によれば、免疫賦活性核酸は、成長遅延ステロイドと組み合わせて使用することができ、それにより、「ステロイド減量効果(sparing effect)」をもたらすことができる。2つの薬剤の組合せは、ステロイドの必要用量の低下をもたらすことができる。
【0115】
免疫調節物質には、それだけには限定されないが、抗炎症剤、ロイコトリエン拮抗剤、IL−4突然変異体タンパク質、可溶性IL−4受容体、免疫抑制剤(寛容化ペプチドワクチンなど)、抗IL−4抗体、IL−4拮抗剤、抗IL−5抗体、可溶性IL−13受容体−Fc融合タンパク質、抗IL−9抗体、CCR3拮抗剤、CCR5拮抗剤、VLA−4阻害剤、およびIgEのダウンレギュレーターからなる群が含まれる。
【0116】
本発明の免疫賦活性核酸を使用して、1型IFN、すなわち、IFN−αおよびIFN−βを誘発することができる。この方法は、1型IFNを発現することができる細胞を有効量の本発明の免疫賦活性核酸と接触させて、細胞による1型IFNの発現を誘発させることを含む。最近、ヒトにおけるIFN−αの主要な産生細胞種が形質細胞様樹状細胞(pDC)であることが認められている。この種の細胞は、PBMC中で非常に低い頻度(0.2〜0.4%)で発生し、系列陰性(すなわち、CD3、CD14、CD19、またはCD56について染色されない)かつCDIIc陰性である一方で、CD4、CD123(IL−3Rα)、およびクラスII主要組織適合複合体(MHCクラスII)について陽性である表現型によって特徴づけられている。Grouard,G他(1997)、J Exp Med、5、185:1101〜11;Rissoan,M−C他(1999)、Science、283:1183〜86;Siegal,FP他(1999)、Science、284:1835〜37;およびCelia,M他(1999)、Nat Med、5:919〜23を参照されたい。1型IFNを測定する方法は当業者に周知であり、これらには、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、バイオアッセイ、および蛍光活性化細胞分別(FACS)が含まれる。この種のアッセイは、容易に入手可能な市販の試薬およびキットを用いて行うことができる。
【0117】
本発明の免疫賦活性核酸を使用して、NK細胞を活性化することができる。この方法は、NK細胞を有効量の本発明の免疫賦活性核酸と接触させてNK細胞を活性化することを含む。NK細胞の活性化は、直接の活性化または間接的な活性化であり得る。間接的な活性化とは、サイトカイン、または後にNK細胞の活性化を引き起こす他の因子の誘発をいう。NK細胞活性化は、溶解活性の測定、CD69などの活性化マーカーの誘発の測定、または特定のサイトカインの誘発の測定を含めた様々な方法によって評価することができる。特定の腫瘍標的を自発的に死滅させるその特徴的な能力に加えて、NK細胞はADCCに関与し、また、IFN−γ、TNF−α、GM−CSFおよびIL−3の主要な産生細胞である。
【0118】
マウスNK細胞のNK感受性細胞標的のプロトタイプは、モロニーウイルスに感染したA系統マウスに由来する胸腺腫である、酵母人工染色体(YAC)−Iである。ヒトNK細胞では、標準の標的は、赤白血病系列に由来する細胞系であるK562である。マイクロタイタープレート中で、一定数の放射標識した標的(例えば51Crで標識したK562)を、単独で(自発性)、洗剤と共に(最大)、または様々な数のエフェクター細胞と共に(実験)のいずれかでインキュベートする。エフェクターと標的細胞との比をE:T比と呼ぶ。濃縮された活性NK細胞は、典型的には10:1未満のE:T比で有効であり、一方で、未分画のPBMCまたは脾細胞は、100:1以上のE:T比を必要とする。
【0119】
また、免疫賦活性核酸は、全身性および/または粘膜の免疫応答を誘発させるためのアジュバントとしても有用である。本発明の免疫賦活性核酸を抗原に曝露した対象に送達して、抗原に対する増強した免疫応答を生じさせることができる。したがって、例えば、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸は、ワクチンアジュバントとして有用である。
【0120】
免疫賦活性核酸は、非核酸アジュバントと組み合わせて投与し得る。非核酸アジュバントとは、液性および/または細胞性の免疫応答を刺激することができる、本明細書中に記載の免疫賦活性核酸以外の任意の分子または化合物である。非核酸アジュバントには、例えば、デポー効果を生じるアジュバント、免疫賦活アジュバント、およびデポー効果を生じ、かつ免疫系を賦活するアジュバントが含まれる。本明細書中で使用する非核酸粘膜アジュバントとは、抗原と併せて粘膜表面に投与した場合に、対象において粘膜免疫応答を誘発することができる、免疫賦活性核酸以外のアジュバントである。
【0121】
本発明の免疫賦活性核酸は、医薬組成物として薬学的に許容できる担体中に配合し得る。免疫賦活性核酸は、対象に直接投与するか、または核酸送達複合体と併せて投与し得る。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞(例えばB細胞表面)とのより高い親和性結合および/または標的細胞による細胞取り込みの増加をもたらす分子)と会合した(例えば、それとイオン結合した、それと共有結合した、またはそれ内にカプセル封入された)、核酸分子をいう。核酸送達複合体の例には、ステロール(例えばコレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソームもしくはリポソーム)、または標的特異的結合剤(例えば標的細胞特異的受容体によって認識されるリガンド)と会合した核酸が含まれる。好ましい複合体は、標的細胞による内部移行の前に顕著な脱カップリングが起こることを防止するために、in vivoで十分に安定であり得る。しかし、複合体は、核酸が機能的な形態で放出されるように、適切な条件下にいて細胞内で切断可能であることができる。
【0122】
免疫賦活性核酸および/または抗原および/または他の治療剤は、単独(例えば、生理食塩水もしくは緩衝液中)で、または当分野で知られている任意の送達ビヒクルを用いて投与し得る。例えば、以下の送達ビヒクルが記載されている:コクリエート、エマルソーム、免疫賦活複合体(ISCOM)、リポソーム、ミクロスフェア、ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)、ポリマー環、プロテオソーム、ビロソーム、ウイルス様粒子、および他の送達ビヒクル。
【0123】
対象に粘膜または局所的送達するための本明細書中に記載の免疫賦活性核酸の適切な用量は、典型的には、1回の投与あたり約0.1μg〜約10mgの範囲であり、これは、用途に応じて、1日1回、週1回、または月1回およびその間の任意の他の時間間隔で与えることができる。より典型的には、粘膜または局所的用量は、1回の投与あたり約10μg〜約5mg、または約100μg〜約1mgの範囲の、数日間または数週間の間隔を空けた2〜4回の投与である。典型的には、免疫賦活剤の用量は、1回の投与あたり1μg〜10mg、および約10μg〜約1mgの範囲であり、1日1回または週1回投与する。化合物を抗原と共に送達するが別の治療剤とは送達しない、対象において抗原に特異的な免疫応答を誘発することを目的とした、非経口送達のための本明細書中に記載の化合物の用量は、典型的には、ワクチンアジュバントまたは免疫賦活剤用途のための有効な粘膜用量よりも5〜10,000倍高い、または10〜1,000倍高い、または20〜100倍高い。免疫賦活性核酸を他の治療剤と組み合わせてもしくは特化した送達ビヒクル中で投与する場合に、先天性免疫応答を誘発するまたはADCCを増加するまたは抗原に特異的な免疫応答を誘発することを目的とした、非経口送達のための本明細書中に記載の化合物の用量は、典型的には、1回の投与あたり約0.1μg〜10mgの範囲であり、これは、用途に応じて、1日1回、週1回、または月1回およびその間の任意の他の時間間隔で与えることができる。より典型的には、これらの目的のための非経口用量は、1回の投与あたり約10μg〜5mg、または約100μg〜1mgの範囲の、数日間または数週間の間隔を空けた2〜4回の投与である。しかし、一部の実施形態では、これらの目的のための非経口用量は、上述の用量よりも5〜10,000倍高い範囲で用い得る。
【0124】
本明細書中で使用する「有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するために必要または十分な量をいう。例えば、感染を治療するための免疫賦活性核酸の有効量とは、感染を治療するために必要な量である。本明細書中に提供する教示と合わせて、様々な活性化合物から選択し、力価、相対的生体利用度、対象の体重、有害な副作用の重篤度および好ましい投与様式などの要素を量ることによって、実質的な毒性を引き起こさないが、それでも特定の対象を治療するために有効である、有効な予防的または治療的処置レジメンの計画を立てることができる。任意の特定の用途の有効量は、治療する疾患もしくは状態、投与する特定の免疫賦活性核酸、抗原、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重篤度などの要素に応じて変動する場合がある。当業者は、過度の実験を必要とせずに、特定の免疫賦活性核酸および/または抗原および/または他の治療剤の有効量を経験的に決定することができる。本明細書中に記載した任意の化合物について、治療上有効な量は、最初は動物モデルから決定することができる。また、治療上有効な用量は、ヒトで試験されているCpGオリゴヌクレオチド、ならびに他の粘膜アジュバント、例えば、ワクチン接種目的、粘膜もしくは局所投与のためのLTおよび他の抗原などの、同様の薬理活性を示すことが知られている化合物の、ヒトデータから決定することもできる。非経口投与にはより高い用量が必要である。適用する用量は、投与する化合物の相対的生体利用度および力価に基づいて調節することができる。最大の有効性を達成するために、上述の方法および当分野で知られている他の方法に基づいて用量を調節することは、当分野の技術者の能力範囲内に十分ある。
【0125】
本発明の配合物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存料、適合性のある担体、アジュバント、および任意選択で他の治療構成成分を通常含有し得る、薬学的に許容できる溶液中で投与し得る。治療で使用するためには、有効量の免疫賦活性核酸を、核酸を所望の表面に送達する任意の様式、例えば、粘膜、全身によって、対象に投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、当業者に知られている任意の手段によって達成し得る。好ましい投与経路には、それだけには限定されないが、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、気管内、吸入、眼球、舌下、経膣、および直腸が含まれる。経口投与には、化合物(すなわち、免疫賦活性核酸、ならびに任意選択の抗原および他の治療剤)は、活性化合物(複数可)を当分野で周知の薬学的に許容できる担体と合わせることによって、容易に配合することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療する対象が経口摂取する錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして配合することを可能にする。経口使用のための医薬調製物を固体賦形剤として得ることができ、生じる混合物を任意選択で粉砕し、所望する場合は適切な補助剤を加えた後で、顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の核が得られる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含めた糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望する場合は、崩壊剤、例えば、架橋結合したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩を加えてもよい。任意選択で、経口製剤は、内部酸性条件を中和するために生理食塩水もしくは緩衝液中で配合するか、または、任意の医薬梳き剤(pharmaceutical carder)を用いずに投与し得る。糖衣錠核に適切なコーティングを提供する。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有し得る濃縮糖溶液を用い得る。活性化合物の用量の異なる組合せを同定または特徴づけるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに加え得る。
【0126】
経口使用することができる医薬調製物には、ゼラチンから作製された押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑化剤から作製された軟密封カプセルが含まれる。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意選択で安定化剤と混合した、活性成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性化合物を、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁させ得る。さらに、安定化剤を加え得る。経口投与用に配合したミクロスフェアも使用し得る。そのようなミクロスフェアは、当分野で十分に定義されている。経口投与用のすべての配合物は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0127】
口腔投与には、組成物は、慣用の様式で配合した錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0128】
吸入による投与には、本発明による使用のための化合物は、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー提示の形態で、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を使用して、好都合に送達し得る。加圧エアロゾルの場合、単位用量は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定し得る。例えば、吸入器または注入器で使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、化合物とラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末基材との散剤混合物を含有させて配合し得る。
【0129】
化合物は、それを全身送達することが望ましい場合は、例えばボーラス注射または持続注入による、注射による非経口投与用に配合し得る。注射用配合物は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数用量容器中で、保存料を加えて提示し得る。組成物は、懸濁液、液剤または油性もしくは水性ビヒクル中の乳濁液としての形態をとってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの加工剤を含有し得る。
【0130】
非経口投与用の医薬配合物には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液を適切な油性の注射用懸濁液として調製し得る。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択で、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために、適切な安定化剤または化合物の溶解度を増加させる薬剤も含有し得る。
【0131】
あるいは、活性化合物は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成するための、散剤形態であり得る。
【0132】
また、化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐薬基剤を含有する、坐薬または保留浣腸などの直腸または経膣組成物中で配合してもよい。
【0133】
前述した配合物に加えて、化合物はまた、デポー調製物として配合してもよい。そのような長時間作用性配合物は、適切なポリマーもしくは疎水性物質(例えば許容される油中の乳濁液)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいはやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として配合してもよい。
【0134】
また、医薬組成物は、適切な固体またはゲル相の担体または賦形剤も含み得る。そのような担体または賦形剤の例には、それだけには限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0135】
適切な液体または固体の医薬調製物の形態は、例えば、吸入のための水溶液もしくは生理食塩水、ミクロカプセル封入、コクリエート封入、微小金粒子上のコーティング、リポソーム内に含有、噴霧化、エアロゾル、皮膚内に移植するためのペレット、または皮膚上に掻爬するための鋭利な物体上の乾燥物である。また、医薬組成物には、顆粒、散剤、錠剤、コーティング錠、マイクロカプセル、坐薬、シロップ、乳濁液、懸濁液、クリーム、液滴または活性化合物を遅延放出する調製物も含まれ、その調製では、賦形剤および添加剤ならびに/または崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、香料、甘味料もしくは可溶化剤などの補助剤を上述のように慣用的に使用する。医薬組成物は、様々な薬物送達系での使用に適している。薬物送達方法の手短な総説には、本明細書中に参照により組み込まれているLanger(1990)、Science、249:1527〜33を参照されたい。
【0136】
免疫賦活性核酸ならびに任意選択の他の治療剤および/または抗原は、それ自体(ニート)で、または薬学的に許容できる塩の形態で投与し得る。医薬品中で使用する場合、塩は薬学的に許容できるべきであるが、非薬学的に許容できる塩を好都合に用いて、薬学的に許容できるその塩を調製し得る。そのような塩には、それだけには限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、またはベンゼンスルホン酸から調製した酸付加塩が含まれる。また、そのような塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウムの塩基付加塩などの、アルカリ金属またはアルカリ土類の塩として調製することもできる。
【0137】
適切な緩衝剤には、酢酸と塩(1〜2%w/v);クエン酸と塩(1〜3%w/v);ホウ酸と塩(0.5〜2.5%w/v);およびリン酸と塩(0.8〜2%w/v)が含まれる。適切な保存料には、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%)が含まれる。
【0138】
本発明の医薬組成物は、有効量の免疫賦活性核酸ならびに任意選択で抗原および/または他の治療剤を含有し、薬学的に許容できる担体中に含まれていてもよい。「薬学的に許容できる」物質とは、毒性、刺激、アレルギー応答などをなしに対象の組織と接触させて使用するために適切であり、合理的な損益比に見合っており、その意図する使用に有効である、健全な医学的判断の範囲内にある物質をいう。したがって、用語「薬学的に許容できる担体」とは、ヒトまたは他の脊椎動物に投与するために適切な、1つまたは複数の適合性のある固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル封入物質を意味する。用語「担体」とは、対象への施用を適用にするために活性成分をそれと混合する、有機または無機の天然または合成の構成成分を示す。また、医薬組成物の構成成分は、有害な相互作用が存在しないような様式で、本発明の化合物と、および互いに混ぜ合わさることもできる。
【0139】
対象の治療では、化合物の活性、投与様式、免疫化の目的(すなわち、予防的または治療的)、障害の性質および重篤度、患者の年齢および体重に応じて、異なる用量が必要であり得る。
【0140】
所定の用量の投与は、個々の用量単位の形態の単一の投与によって、またはいくつかのより小さな用量単位で実行することができる。数週間または数カ月間隔の特定の間隔での用量の複数回投与が、抗原に特異的な応答を免疫追加するために通常である。
【0141】
他の送達系には、徐放性、遅延放出または持続放出の送達系が含まれることができる。そのような系により、化合物の投与を繰り返すことを回避することができ、対象および医師の利便性が増加する。多種類の放出送達系が利用可能であり、当業者に知られている。これらには、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキシレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ酸無水物などのポリマーに基づいた系が含まれる。
【0142】
薬物を含有する前述のポリマーのマイクロカプセルは、例えば米国特許第5,075,109号に記載されている。送達系には、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのステロールまたはモノ−、ジ−、およびトリ−グリセリドなどの中性脂肪を含めた脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドに基づいた系;ワックスコーティング;慣用の結合剤および賦形剤を用いた圧縮錠剤;部分的に融着した移植片などである、非ポリマー系も含まれる。具体的な例には、それだけには限定されないが、(a)米国特許第4,452,775号、第4,675,189号、および第5,736,152号に記載のものなどの、本発明の薬剤がマトリックス内の形態で含有されている侵食系;ならびに(b)米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第5,407,686号に記載のものなどの、活性構成成分が制御された速度でポリマーから浸透する拡散系が含まれる。さらに、ポンプに基づいたハードウェア送達系を用いることができ、その一部は移植用に適応されている。
【0143】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、これらは限定的であると解釈されるべきでない。本明細書全体にわたって引用されているすべての参考文献(印刷物の参考文献、発行された特許、公開特許出願、および同時係属特許出願を含む)の内容は、その全体が明確に本明細書中に参照により組み込まれている。
【実施例】
【0144】
様々なオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を調製し、その生物学的特性を以下の実施例で評価した。その完全長配列は以下のように表される:
5’T*C_G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号2);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*C*G*G*C*G*C*G*C*G*C*C*G*T3’(配列番号3);
5’T*C*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T*T*T*G*T*C*G*T*T3’(配列番号4);および
5’T*G*C*T*G*C*T*T*T*T*G*T*G*C*T*T*T*T*G*T*G*C*T*T3’(配列番号5)。
これらの実施例中で評価したオリゴデオキシリボヌクレオチドのそれぞれについて、安定化した結合(*)はホスホロチオエート結合であり、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様結合(_)はリン酸ジエステル結合であり、3’および5’の表示は、それぞれオリゴデオキシリボヌクレオチドの3’および5’末端を指す。簡潔にするために、実施例および図では、試験した具体的なODNを指すために配列番号を使用するが、一般には、他の免疫賦活性オリゴヌクレオチドも、配列番号2、配列番号3などによって与えられる塩基配列が含まれる塩基配列を有し得る。
【0145】
(実施例1)
オリゴヌクレオチドに応答したヒトおよびマウスのTLR9のシグナル伝達
HEK293細胞をヒトおよびマウスのTLR9構築体で形質移入して、hTLR9−NFκB−293細胞およびmTLR9−NFκB−293細胞を生成した。細胞を、配列番号2、3、および4を有するODNと共に16時間インキュベートした。細胞を溶解し、シグナルをルシフェラーゼの読取りによって決定した。
【0146】
結果を図1に示す。EC50を、Sigma Plot(Windows(登録商標)用SigmaPlot2002バージョン8.0)を用いて計算した。3つのODNはすべてヒトTLR9を刺激した。
【0147】
(実施例2)
オリゴヌクレオチドに対するpDC、PBMC、B細胞およびNK細胞の応答性
pDC、PBMC、B細胞およびNK細胞の、これらの細胞をCpGオリゴヌクレオチドに曝露した後の活性化のレベルを図2〜図9に示す。上述のように、図では、評価した具体的なオリゴヌクレオチドを指すために配列番号を使用する(配列番号2、3、および4)。特定のデータ点を生じるために使用したオリゴヌクレオチドのモル濃度を、それぞれのグラフのX軸(μM)に沿って示す。
【0148】
図2および図3に実証するように、IFN−α、CD86およびCCR7の誘発によって表されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはpDC細胞を活性化することができた。図4〜図7に示すように、IFN−α、IFN−γ、IP−10、IL−1β、IL2R、GM−CSF、MCP−1、IL−6、IL−10、IL−12、IL−15、MIP−1α、TNF−α、およびMIP−1βの誘発によって示されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはPBMCを活性化することができた。図8に示すように、細胞毒性の増加によって評価されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはNK細胞を活性化することができた。図9に示すように、B細胞の増殖によって示されるように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドはB細胞を活性化することができた。
【0149】
CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、BクラスCpG ODN(配列番号4)と比較して、特により高い用量で、アッセイにおいて力価の増加を示した(IFN−α、IFN−γ、IP−10、IL−1β、IL2R、GM−CSF、MCP−1、IL−10、IL−12、IL−15、およびTNF−α)。また、CクラスCpG ODNはNK細胞活性化の増加も示した。ほぼ等濃度では、CクラスCpG ODNへの曝露は、BクラスCpG ODNへの曝露よりも大きな細胞毒性をもたらした。
【0150】
(実施例3)
オリゴヌクレオチドに応答したヒトおよびマウスのTLR9のシグナル伝達
HEK293細胞をヒトおよびマウスのTLR8構築体で形質移入して、それぞれhTLR8−NFκB−293細胞およびmTLR8−NFκB−293細胞を生成した。細胞を、ODN(配列番号2、3、または4)またはTNF−αと共に16時間インキュベートした。細胞を溶解し、シグナルをルシフェラーゼの読取りによって決定した。
【0151】
結果を図10に示す。TNF−αのみが、ヒトおよびネズミのTLR8を有意なレベルで刺激した。
【0152】
(実施例4)
初代マウス細胞およびin vivoのアッセイ
脾細胞によるB細胞増殖およびサイトカイン誘発の、これらの細胞をin vitroでCpGオリゴヌクレオチドに曝露した後のレベルを図11および図12に示す。上述のように、図では、評価した具体的なオリゴヌクレオチドを指すために配列番号を使用する(配列番号2、3、または4)。図11および図12には、脾細胞を、C−GモチーフがG−Cモチーフと入れ替わっている以外はBクラスCpG ODN(配列番号4)と類似のヌクレオチド配列を有するODNである陰性対照(配列番号5)に曝露したデータが含まれる。特定のデータ点を生じるために使用したオリゴヌクレオチドの(モル)濃度を、それぞれのグラフのX軸(μM)に沿って示す。
【0153】
図11に示すように、CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、特により高い濃度で、BクラスCpG ODN(配列番号4)または陰性対照(配列番号5)のどちらよりも有意に大きなB細胞増殖を誘発した。図12に示すように、アッセイで試験したCpGオリゴヌクレオチドは、IFN−α、IFN−γ、およびTNF−αの産生を誘発することができた。
【0154】
サイトカインレベルもマウスにおいてin vivoで評価した。雌のBALB/cマウス(5匹/群)に、異なる用量(100mg、250mgもしくは500mg)のCpG ODN(配列番号2、3、もしくは4)または非CpG対照(配列番号5)を皮下注射した。注射の3時間後にマウスを出血させ、単離した血漿をIP−10およびIL−6についてELISAによって試験した。
【0155】
図13に示すように、CpG ODNは、有意なレベルのIP−10およびIL−6を誘発し、CクラスCpG ODNは、BクラスCpG ODNよりも有意に高いレベルのIP−10を産生させた。
【0156】
(実施例5)
CpG ODNのin vivo投与後の流入領域リンパ節(LN)およびPBMCの細胞活性化
B、T、NK、骨髄樹状細胞(mDC)、およびpDC細胞の活性化のレベルを、流入領域リンパ節および単離した血液で評価した。BALB/cマウス(10匹/群)の後足蹠に、示したように10μg/50μLのODNを注射した。プラセボ対照群には50μLのPBSを与えた。投与の24時間後、血液および膝窩LNを取り出し、群内でプールした。単離したPBMC(フィコールによる)リンパ節細胞画分(磁気活性化細胞分別による)を、細胞マーカーの発現についてフローサイトメトリーによって分析した。
【0157】
流入領域LNおよびPBMCにおける細胞活性化の結果を、平均蛍光強度/%発現としてそれぞれ表1および表2に示す。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
(実施例6)
マウス脾細胞におけるCpG ODNによるNK細胞活性の誘発
BALB/cマウス脾細胞(30×106個)を、示したように0μg/mL(培地単独)、1μg/mL、3μg/mLまたは10μg/mLのODNと共に24時間インキュベートした。NK活性は、YAC−1標的細胞を用いた標準の51Cr放出アッセイを使用して、様々なエフェクター:標的の比で評価した。
【0161】
データを図14に示す。CクラスCpG ODN(配列番号2および3)は、3つの異なる濃度における%溶解によって測定して、有意な量のNK細胞活性を誘発した。
【0162】
(実施例7)
CpG ODNによる腫瘍のin vivo治療
ルイス肺癌(LLC)の生存および腫瘍体積を評価した。雌のC57Bl/6マウス(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)をこの研究で使用した。腫瘍の誘発は、1×105個のLLC細胞(ATCC;CRL1642)を動物の背下部に皮下注射することによって達成した。ODN(配列番号2〜5)を、腫瘍の周辺に、第1日目および第3日目、その後は週に2回、皮下注射(200mg)によって投与した。動物を、腫瘍増殖および生存についてモニターした。腫瘍の大きさ(長さおよび幅)は、デジタルバーニアノギスを用いて測定した。腫瘍体積は以下の式を用いて計算した:腫瘍体積=(0.4)(ab2)[式中、a=大きい方の直径であり、b=小さい方の直径である]。平均腫瘍体積の変化は、それぞれの動物群において50%が死亡するまで評価した。結果を図15に示す。マウスを腫瘍測定日に安楽死させ、グラフには含めていない。腫瘍誘発の100日後、どちらのCクラスCpG ODN(配列番号2および3)も、他のODNよりも高い%生存を誘発した。
【0163】
神経芽細胞腫の治療も評価した。雌のA/Jマウス(研究の開始時に約20gまで;10匹/群)を使用した。腫瘍の誘発は、1×106個の神経2a細胞(ATCC;CCL131)をマウスの上部左脇腹に皮下注射することによって達成した。ODN(配列番号2〜5)を、腫瘍注射の10日後から開始して、腫瘍の周辺に皮下注射(100mg)することによって投与した。マウスは、毎日または3日毎に、15日間治療し、腫瘍増殖および生存についてモニターした。結果を図16に示す。
【0164】
(実施例8)
安全性を評価するためのモルモットにおける局所的反応源性
CクラスCpG ODN(配列番号2もしくは3)またはBクラスCpG ODN(配列番号4)の局所的反応を、「スキニー」モルモットモデルで評価した。ヘアレスIAFモルモットに、様々な用量(0.3mg、1.0mgまたは3.0mg)のCクラスまたはBクラスCpG ODNを与えた。すべての注射は、モルモットの背側、肩甲骨の下かつ脊椎の外側に、固定体積で皮内(ID)投与した。対照動物には、固定体積のPBSのID注射を与えた。モルモットを投薬後に一定間隔でモニターし(6時間時、24時間時、およびその後24時間毎)、浮腫を記録した。
【0165】
表3および表4は、それぞれCクラスCpG ODN(配列番号2)およびBクラスCpG ODN(配列番号4)を受けている動物の、投薬後の様々な時点における浮腫の平均グレードを示す。表では、浮腫を測定するために以下のスケールを用いる:O−浮腫なし;I−非常に緩和な浮腫;かろうじて知覚可能;II−緩和な浮腫;領域は端が持ち上がることによって明確に定義される;III−中等度の浮腫;領域が約1mm持ち上がる;IV−重篤な浮腫;領域が>1mm持ち上がり、曝露領域を越えて広がる。
【0166】
CクラスCpG ODN(配列番号2;配列番号3のデータ示さず)は、一般に、ID注射後にBクラスCpG ODN(配列番号4)よりも低い度合の浮腫を示した。
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【0169】
前述の記載した明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分であるとみなされる。実施例は本発明の一態様の単一の例示であることを意図し、他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内にあるため、本発明は、提供した実施例によって範囲が限定されないものとする。本明細書中に示し記載したものに加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内にある。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明のそれぞれの実施形態によって包含されていない。
【0170】
本出願中に引用したすべての参考文献、特許および特許公開は、その全体が本明細書中に参照により組み込まれている。
【0171】
このように、本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を記載したので、様々な変更、改変、および改善が当業者に容易に想達可能であることを理解されたい。そのような変更、改変、および改善は、本開示の一部であることを意図し、本発明の精神および範囲内にあることを意図する。したがって、前述の説明および図面は例でしかない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−536335(P2010−536335A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520639(P2010−520639)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002102
【国際公開番号】WO2009/022215
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(508147669)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (24)
【出願人】(508092912)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002102
【国際公開番号】WO2009/022215
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(508147669)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (24)
【出願人】(508092912)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
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