説明

活性炭

【課題】本発明は、従来の活性炭に比べてより高い吸着性能を有する活性炭、及びその用途を提供する。
【解決手段】平均マクロ細孔径が0.1〜1.0μmであり、平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0、マクロ細孔容積が0.05〜1.0ml/gである活性炭。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範な気相及び液相の処理に適した高い吸着性能を有する活性炭に関する。
【0002】
活性炭は、その優れた吸着性能ゆえ、脱臭や有害物除去などの空気浄化、溶剤(有機蒸気)回収、浄水器、浄水・下水・屎尿・産業排水などの水処理、脱硫、脱硝、キャニスター、触媒担体、脱色、化学工業における脱色、ガス分離精製等の広範な用途に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1〜4などには、マクロ細孔(マクロポア)の容積に特徴を有する活性炭が高い吸着性能を有し、これが種々の用途に用いられることが報告されている。
【0004】
特許文献1には、炭素系材料であるリグノセルロース材料を化学的に活性化し、それを高密度化して得られる20%以下のマクロポア含有量を有する活性炭が、自動車におけるガソリン蒸気放出制御キャニスターに利用できることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、石炭を主原料とし、これにデンプン等を配合して製造される、0.1〜0.3mL/gのマクロポアの細孔容積を有する水処理用活性炭が記載されている。
【0006】
特許文献3には、ヤシ殻炭から製造される比表面積350〜700m/gの活性炭素材であり、マクロ孔の容積が0.10〜0.20ml/gである水素精製用活性炭が記載されている。
【0007】
特許文献4には、石炭を原料とし、直径30nm以上の細孔容積が0.2〜0.6ml/gで、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上である水処理用に適した球状活性炭が記載されている。
【特許文献1】特開平6−9209号公報
【特許文献2】特開2005−319350号公報
【特許文献3】特開平6−63397号公報
【特許文献4】特開2006−83052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の活性炭に比べてより高い吸着性能を有する活性炭、及びその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の背景技術に記載されるような従来の活性炭に比べて、より吸着性能の高い活性炭を見出すために鋭意検討した結果、上記の特許文献1〜4等に記載されるように、単にマクロ細孔容積を制御するだけでなく、マクロ細孔径とマクロ細孔径分布を所定の範囲に制御することにより、高い吸着性能を有し、広範な用途に利用できる活性炭が得られることを見出した。さらに、これらの知見を基に更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、次の活性炭及びその用途に関する。
【0011】
項1.平均マクロ細孔径(δ)が0.1〜1.0μmである活性炭。
【0012】
項2.さらに平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)
との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0である項1に記載の活性
炭。
【0013】
項3.さらにマクロ細孔容積が0.05〜1.0ml/gである項
1又は2に記載の活性炭。
【0014】
項4.さらに乾燥減量(JIS K−1474)が0.1〜3.0%
であり、充填密度(JIS K−1474)が0.25〜
0.85g/mlであり、強熱残分(JIS K−1474)
が0.1〜8.0%であり、硬さ(JIS K−1474)が
95.0%以上である項1、2又は3に記載の活性炭。
【0015】
項5.項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなる溶剤回収用活性炭。
【0016】
項6.項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなるガソリンキャニス
ター用活性炭。
【0017】
項7.項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなるガス分離精製用活性
炭。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明の活性炭は、平均マクロ細孔径が0.1〜1.0μmであることを特徴とし、0.2〜0.9μmが好ましく、0.4〜0.8μmがより好ましい。活性炭の平均マクロ細孔径をこの範囲に制御することにより、有機物、気体等に対し高い吸着性能を有する活性炭となる。
【0020】
この活性炭のマクロ細孔容積は、通常0.05〜1.0ml/g程度であり、好ましくは0.1〜0.5ml/g程度である。
【0021】
なお、平均マクロ細孔径及びマクロ細孔容積は、水銀圧入法を用いて測定された値である。
【0022】
この活性炭は、平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0、好ましくは0.5≦(δ-σ)/δ≦0.98である。マクロ細孔径の分布幅が狭いため、迅速に吸着平衡に達する等の利点がある。
【0023】
マクロ細孔径分布の標準偏差は、上の平均マクロ細孔径を水銀圧入法により測定する際の測定データから、既知の統計解析手法により計算することができる。
【0024】
また、乾燥減量(JIS K−1474)は、通常0.1〜3.0%程度、好ましくは0.1〜1.0%程度である。充填密度(JIS K−1474)は、通常0.25〜0.85g/ml程度、好ましくは0.3〜0.8g/ml程度である。強熱残分(JIS K−1474)は、通常0.1〜8.0%程度、好ましくは0.1〜5.0%程度である。硬さ(JIS K−1474)は、通常約95%以上、好ましくは98.0〜99.9%程度である。また、粒度(JIS K−1474)は特に規定しないが、0.5〜5.0mmの範囲のものが98%以上、好ましくは1.0〜3.0mmの範囲のものが98%以上である。
【0025】
BET比表面積や細孔容積も特に規定しないが、通常活性炭として認知されている、比表面積が500〜2500m/g程度、好ましくは、800〜2000m/g程度のもの、細孔容積が0.01〜1.5ml/g程度、好ましくは0.1〜0.8ml/g程度のものが該当する。
【0026】
本発明の活性炭は、粉末状活性炭、粒状活性炭(破砕状、球状、円柱状成形炭等)、繊維状活性炭、ハニカム状などに成形された活性炭等のいずれの形態を取っていても良いが、吸着性能とハンドリングの観点から粒状活性炭、特に円柱状や球状の成形炭が好ましい。
【0027】
活性炭の原料は、特に限定はなく、例えば、木粉、おが屑、木炭、果実殻(ヤシ殻、クルミ殻等)、石炭(泥炭、草炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等)、コークス、石炭や石油ピッチの硬化物、天然繊維(例、麻、綿等)、合成繊維(例、レーヨン、ポリエステル等)、合成樹脂(例、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール)などが例示される。
【0028】
本発明の活性炭の製法について、その典型例である粒状活性炭(造粒活性炭)の製法について説明する。もちろん本発明の製造法は以下の手法のみに限定されるものではない。
【0029】
粒状活性炭の製造プロセスは上記記載の原料を100重量%で0.05mm以下(好ましくは0.04mm以下、より好ましくは0.03mm以下)に微粉砕し、これに粘結剤、及び必要に応じて活性化反応に有効な触媒(例えば、リチウム化合物、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどをはじめとするアルカリ金属類、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどをはじめとするアルカリ土類金属類、銅化合物、亜鉛化合物をはじめとする各種金属化合物類、イットリウム化合物をはじめとする各種稀土類金属化合物、リン酸、硫酸などをはじめとする無機酸類、メラミン、尿素、トリエチレンジアミン、テトラエチレントリアミンなどの有機化合物等)、水や界面活性剤、重油やクレオソート油、ヒマシ油や潤滑油などの高沸点液状有機化合物、ベンゼンやトルエン、キシレンをはじめとする有機溶剤などの液成分、ステアリン酸塩などの滑剤などを配合する。
【0030】
粘結剤としては、例えば、コールタール、ピッチ、デンプン、糖蜜、コーンスターチ、固形状または液状のフェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂などの低分子ポリマーなどが例示される。粘結剤と液成分、滑剤などの配合割合は、一般的には活性炭原料100重量部に対し、25〜60重量部程度である。
【0031】
配合された混合物を、加温しながら均一に混練する。混練物はペレタイザーや射出プレスなどの造粒機で押し出し成形を行い、粒状とする。例えば、粒径が0.5〜10.0mmφ程度、好ましくは1.0〜4.0mmφ程度、長さが径の0.5〜5.0倍、好ましくは1.0〜3.0倍程度の円柱状に成形する。粒子が互いに付着して固まらないように、必要に応じ乾燥窒素や空気気流下で貯蔵してもよい。
【0032】
その後、空気気流中で約200℃程度以下まで加温して成形物の形状が崩れたり、表面が粘り着かないように乾燥する。ついで燃焼ガスや窒素などの不活性ガス気流中で乾燥物を450℃程度まで加熱して表面を硬化してから炭化するか、乾燥物を徐々に500〜900℃の範囲、好ましくは600℃〜800℃の範囲の温度まで加熱炭化して、20%以下の揮発分を含み、緻密で硬い炭化物を製造する。なお、急速な加熱は粒子のひび割れや変形が生じ、活性化反応にも少なからず影響を及ぼすので、徐々に加熱炭化することが好ましい。
【0033】
炭化物の賦活方法は、特に限定はなく、ガス賦活(水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、塩化水素、アンモニア、燃焼ガス等)、薬品賦活(塩化亜鉛、硫酸、リン酸、塩化カルシウム、硫化カルシウム等)等のいずれを用いても良い。一般的に好まれているのは水蒸気賦活である。例えば、炭化物を750〜1200℃、好ましくは800℃〜1100℃の温度で活性化すればよい。賦活後は必要に応じて、炭素中の無機質(灰分)を希塩酸やアルカリ水溶液などで洗浄脱灰し、さらに水洗を繰り返して精製後、乾燥、篩い分けする。なお用途に応じて、賦活後、洗浄後の活性炭を高温下で再活性化したり高温度で還元処理を行い、活性炭表面の改質を行っても良い。さらには必要に応じて、炭酸カリウム、苛性ソーダ、ヨウ化カリウム、硫酸、リン酸、臭素、モルホリン、ピリジン、アニリン、ヒドラジン類、スルファニル酸類、白金やバナジウム、銅、亜鉛、クロム化合物などを単独あるいは複数種組み合わせて添着し、特定の化合物に対する吸着能力を改善した添着活性炭を調製してもよい。
【0034】
本発明の活性炭は、上記したように高い吸着性能を有するため、例えば、溶剤回収、窒素や水素分離濃縮などのガス精製、ガソリン蒸気放出制御キャニスターなどのような広範な用途に用いられる。
【0035】
例えば、本発明では典型例として、溶剤回収用活性炭、ガソリンキャニスター用活性炭、ガス分離精製用活性炭などが例示される。
【0036】
溶剤回収用活性炭としては、平均マクロ細孔径が0.1〜1.0μmであることを特徴とし、平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0、好ましくは0.5≦(δ-σ)/δ≦0.98である。マクロ細孔容積は0.05〜1.0ml/g程度であり、好ましくは0.1〜0.5ml/g程度、乾燥減量は、通常0.1〜3.0%程度、好ましくは0.1〜1.0%程度である。充填密度は、通常0.25〜0.85g/ml程度、好ましくは0.3〜0.8g/ml程度、特に好ましくは0.3〜0.5g/ml程度である。強熱残分は、通常0.1〜8.0%程度、好ましくは0.1〜5.0%程度である。硬さは、通常約95%以上、好ましくは98.0〜99.9%程度のものが好ましい。また、BET比表面積が900〜1400m/g、細孔容積が0.3〜0.7ml/gのものが好ましい。
【0037】
ガソリンキャニスター用活性炭としては、平均マクロ細孔径が0.1〜1.0μmであることを特徴とし、平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0、好ましくは0.5≦(δ-σ)/δ≦0.98である。マクロ細孔容積は0.05〜1.0ml/g程度であり、好ましくは0.1〜0.5ml/g程度、乾燥減量は、通常0.1〜3.0%程度、好ましくは0.1〜1.0%程度である。充填密度は、通常0.25〜0.85g/ml程度、好ましくは0.3〜0.8g/ml程度、特に好ましくは0.3〜0.5g/ml程度である。強熱残分は、通常0.1〜8.0%程度、好ましくは0.1〜5.0%程度である。硬さは、通常約95%以上、好ましくは98.0〜99.9%程度のものが好ましい。また、BET比表面積が1000〜1500m/g、細孔容積が0.5〜0.8ml/gのものが好ましい。
【0038】
ガス分離精製用活性炭としては、平均マクロ細孔径が0.1〜1.0μmであることを特徴とし、平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0、好ましくは0.5≦(δ-σ)/δ≦0.98である。マクロ細孔容積は0.05〜1.0ml/g程度であり、好ましくは0.1〜0.5ml/g程度、乾燥減量は、通常0.1〜3.0%程度、好ましくは0.1〜1.0%程度である。充填密度は、通常0.25〜0.85g/ml程度、好ましくは0.3〜0.8g/ml程度、特に好ましくは0.5〜0.8g/ml程度である。強熱残分は、通常0.1〜8.0%程度、好ましくは0.1〜5.0%程度である。硬さは、通常約95%以上、好ましくは98.0〜99.9%程度のものが好ましい。また、窒素/酸素吸着速度比が30以上、さらに32以上のものが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の活性炭は、従来の活性炭に比べてより高い吸着性能を有している。そのため、溶剤回収、窒素や水素分離濃縮などのガス精製、ガソリン蒸気放出制御キャニスターなどのような広範な用途に好適に用いられる。
【0040】
以下に実施例及び試験例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
なお、乾燥減量、充てん密度、強熱残分及び粒度(2.00mm-1.40mm)、アセトン吸着性能は、JIS K−1474に従い測定した。
【0042】
平均マクロ細孔径及びマクロ細孔容積は、水銀圧入式細孔分布測定器(マイクロメリティックス社製 AUTOPOREシリーズ自動ポロシメータ)を用いて測定した。
【0043】
製造例1〜10
100重量%が0.04mm以下の粒度を有する石炭100重量部を、回転床中で、250℃の温度で空気を流通せしめ、酸素含有量10重量%まで処理し、水を添加しつつ硬質ピッチ25重量部、コールタール15重量部と混合練合した。この時、混合機外面を、均一な練合ができるように80℃に加温した。この混練物を押し出し成型機に充填し、直径が2.0mmのペレット状成型物を作成した。次いでこのペレット状成型物をロータリーキルン中で空気を排除しつつ、最終温度が800℃になるまで約5時間かけて昇温した。
【0044】
上記のごとくして得られた物質を少量ずつ評価試験を行い、以下の各物性を示す群をそれぞれ集めて各炭化物を得た。これらの炭化物は、後述の試験例1〜3で使用する活性炭原料として用いた。
【0045】
【表1】

【0046】
試験例1
製造例1で得られた炭化物をそれぞれロータリーキルンに入れ、流通ガスに水蒸気を加え、950℃で120分間処理を行った後に純粋な窒素ガス気流に切り替えた後室温まで冷却し賦活品を取り出した。その後、炭化品重量の10倍量の7%塩酸水溶液で2時間煮沸洗浄したあと、10倍量の脱イオン水を用いた2時間煮沸洗浄及び水切りの操作を4回繰り返し、乾燥した。この洗浄活性炭を再度ロータリーキルン中で窒素ガス気流下、900℃で約2時間加熱して残留塩化水素を除去し、室温まで冷却して溶剤回収用活性炭を得た。
【0047】
これらの活性炭を2塔式溶剤回収試験装置に充てんし、500ppmの試験対象溶剤(アセトン、ベンゼン、トルエン及び塩化メチレン)の蒸気を25℃で1時間流通させ、その後100℃の水蒸気によって1時間逆洗再生を行い溶剤を脱離させた。溶剤吸着量に対する回収溶剤量の比より、溶剤回収率を求めて性能評価を行った。
【0048】
この活性炭の物性および性能評価結果は、表2の通りである。
【0049】
【表2】

【0050】
表2より、活性炭1−2〜1−5は、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲内となり、溶剤(アセトン、ベンゼン、トルエン及び塩化メチレン)の回収率はいずれも高いことが分かる。一方、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲からはずれる活性炭1−1、1−6〜1−10では、溶剤の回収率は大きく低下することが分かる。
試験例2
製造例1で得られた炭化品をロータリーキルンに入れ、流通ガスに水蒸気を加え、950℃で150分間処理を行った後に、純粋な窒素ガス気流に切り替えた後、室温まで冷却し賦活品を取り出した。その後、炭化品重量の10倍量の7%塩酸水溶液で2時間煮沸洗浄したあと、10倍量の脱イオン水で2時間煮沸洗浄及び水切りの操作を4回繰り返し、乾燥してガソリンキャニスター用活性炭を得た。
【0051】
これらの活性炭をキャニスター性能試験装置に充てんし、25℃のブタンガスを流量1L/minで10分間流通せしめ、その時の重量増加分をブタン吸着量とした。その後同温度の窒素を流量2L/minで10分間流通せしめ、その時の重量減少分とブタン吸着量の差よりブタン残存量を求めた。ブタン吸着量とブタン残存量からブタン回収率を求めることにより、キャニスター用活性炭としての性能評価を行った。
【0052】
この活性炭の物性および性能評価結果は、表3の通りである。
【0053】
【表3】

【0054】
表3より、活性炭2−2〜2−5は、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲内となり、ブタン回収率はいずれも高いことが分かる。一方、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲からはずれる活性炭2−1、2−6〜2−10では、ブタン回収率は大きく低下することが分かる。
【0055】
試験例3
製造例1で得られた炭化品をロータリーキルンに入れ、流通ガスに水蒸気を加え、950℃で30分間処理を行った後に、800℃の窒素気流と共にベンゼン/フルフリルアルコール=50/50重量%の混合物を100g/Nm3の割合で20分間流通せしめた。最後に純粋な窒素ガス気流に切り替えた後室温まで冷却してガス分離精製用活性炭を得た。
【0056】
2塔式圧力変動式吸着試験装置に、得られたガス分離精製用活性炭を一杯に充填する。この装置に空気を流量約0.31m3/Hr(空間速度SV=50/Hr)、圧力0.8MPa、温度25℃の条件で吸着塔の底部にフィードし、吸着剤と充分に接触させた後製品回収ラインから塔外に取り出した(排出速度:0.05−0.18m3/Hr、処理時間3分)。その結果、窒素を主成分とする回収製品ガスが得られた。その製品ガスの酸素濃度と窒素回収率から性能評価を行った。
【0057】
この活性炭の物性および性能評価結果は、表4の通りである。
【0058】
【表4】

【0059】
表4より、活性炭5−2〜5−5は、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲内となり、窒素回収率はいずれも高いことが分かる。一方、平均マクロ細孔径が0.1〜1μmの範囲からはずれる活性炭3−1、3−6〜3−10では、窒素回収率は大きく低下することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均マクロ細孔径(δ)が0.1〜1.0μmである活性炭。
【請求項2】
さらに平均マクロ細孔径(δ)とマクロ細孔径分布の標準偏差(σ)との関係が、0.4≦(δ-σ)/δ<1.0である請求項1に記載の活性炭。
【請求項3】
さらにマクロ細孔容積が0.05〜1.0ml/gである請求項1又は2に記載の活性炭。
【請求項4】
さらに乾燥減量(JIS K−1474)が0.1〜3.0%であり、充填密度(JIS K−1474)が0.25〜0.85g/mlであり、強熱残分(JIS K−1474)が0.1〜8.0%であり、硬さ(JIS K−1474)が95.0%以上である請求項1、2又は3に記載の活性炭。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなる溶剤回収用活性炭。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなるガソリンキャニスター用活性炭。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭からなるガス分離精製用活性炭。


















【公開番号】特開2007−331986(P2007−331986A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166494(P2006−166494)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】