説明

浮上搬送装置及び浮上ユニット

【課題】
大型の基板Wに反り等の変形がある場合であっても、基板Wの搬送幅方向の端面とサイド浮上ユニット39B等との干渉を回避して、基板Wの損傷を十分に防止すること。
【解決手段】
浮上ユニット本体41の上面に枠状のノズル51が形成され、浮上ユニット本体41の下側に中空パイプ状の浮上ユニット脚53が設けられ、浮上ユニット脚53の内部はチャンバー29の内部に連通し、浮上ユニット本体41の設置穴59に浮上ユニット脚53の一対の開口部57の開口面積を調節する円形の調節部材61が鉛直軸心周りに回転可能に嵌装されたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の基板を搬送方向へ浮上搬送する浮上搬送装置、及び圧縮空気等の浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる浮上ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーン搬送の分野では浮上搬送装置について種々の開発がなされており、浮上搬送装置の先行技術として、本発明の出願人が既に出願したものがある(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。そして、先行技術に係る浮上搬送装置の構成等は、次のようになる。
【0003】
即ち、先行技術に係る浮上搬送装置は、装置フレーム(支持フレーム)を具備しており、この装置フレームには、基板を搬送方向へ搬送する搬送機構(搬送ユニット)が設けられている。また、装置フレームには、浮上ガスとしての圧縮空気(エア)を収容する複数のチャンバーが搬送方向に間隔を置いて設けられており、各チャンバーの内部は、圧縮空気を供給するファン等の浮上ガス供給源に接続されている。そして、各チャンバーには、圧縮空気の圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットが搬送方向に直交する搬送幅方向に沿って設けられており、換言すれば、複数のチャンバーには、複数の浮上ユニットが搬送方向及び搬送幅方向に沿って設けられており、各浮上ユニットの上面には、圧縮空気を噴出するノズルが形成されている。
【0004】
従って、浮上ガス供給源によって各チャンバーの内部へ圧縮空気を供給して、各浮上ユニットのノズルから圧縮空気を噴出させると共に、搬送機構を適宜に動作させる。これにより、基板を搬送方向へ浮上搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−105377号公報
【特許文献2】特開2009−12872号公報
【特許文献3】特開2009−12873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、浮上搬送対象であるガラス基板等の基板の大型化が急速に進んでおり、基板の大きさが例えば3m角以上であって、基板に反り等の変形があると、基板の浮上搬送中に、基板の搬送幅方向の端部付近が下方向へ大きく撓んでしまうことが判明した。そのため、大型の基板に反り等の変形がある場合には、基板の搬送幅方向の端面が浮上ユニット等に干渉して、基板の損傷を招き易く、基板の浮上搬送を円滑に行うことが困難になるというという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の浮上搬送装置及び浮上ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、基板を搬送方向へ浮上搬送する浮上搬送装置において、装置フレームに設けられ、基板を前記搬送方向へ搬送する搬送機構と、前記装置フレームに設けられ、内部が浮上ガスを供給する浮上ガス供給源に接続され、浮上ガスを収容するチャンバーと、前記チャンバーに前記搬送方向及び前記搬送方向に直交する搬送幅方向に沿って設けられ、浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットと、を具備し、前記浮上ユニットは、上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成された中空状の浮上ユニット本体と、前記浮上ユニット本体の下側に設けられ、内部が前記チャンバーの内部に連通してあって、上側に浮上ガスを前記浮上ユニット本体の内部へ導入する開口部を有した中空状の浮上ユニット脚と、を備え、更に、全ての前記浮上ユニットのうち、前記搬送幅方向の両側に配列したサイド浮上ユニットは、前記浮上ユニット本体及び前記浮上ユニット脚の他に、前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を調節する調節部材を備えていることを要旨とする。
【0009】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、ブラケット等の介在部材を介して間接的に設けられたこと、及び一体形成されたことを含む意である。また、「浮上ガス」とは、圧縮空気(エア)、アルゴンガス、窒素ガス等の含む意である。
【0010】
第1の特徴によると、前記浮上ガス供給源によって前記チャンバーの内部へ浮上ガスを供給して、各浮上ユニットの前記ノズルから浮上ガスを噴出させると共に、前記搬送機構を適宜に動作させる。これにより、基板を搬送方向へ浮上搬送(浮上させた状態で搬送)することができる。
【0011】
ここで、大型の基板(例えば3m角以上の大きさの基板)に反り等の変形がある場合には、基板の前記搬送幅方向の端部付近(端部を含む)の浮上状態(浮上挙動)に応じて、各調節部材によって対応する前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を調節する。これにより、各サイド浮上ユニットの浮上ガスの噴出流量を適切な噴出流量に設定することができ、前述の場合であっても、基板の浮上搬送中に、基板の前記搬送幅方向の端部付近における下方向に撓みを抑えることができる。
【0012】
本発明の第2の特徴は、浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる浮上ユニットにおいて、上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成された浮上ユニット本体と、前記浮上ユニット本体の下側に設けられ、上側に浮上ガスを前記浮上ユニット本体の内部へ導入する開口部(導入開口部)を有した浮上ユニット脚と、前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を調節する調節部材と、を備えたことを要旨とする。
【0013】
第2の特徴の特徴からなる前記浮上ユニットを複数用意し、複数の前記浮上ユニットを前記浮上搬送装置の複数の前記サイド浮上ユニットとして用いると、第1の特徴からなる作用と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型の基板に反り等の変形がある場合であっても、基板の浮上搬送中に、基板の前記搬送幅方向の端部付近における下方向の撓みを抑えることができるため、基板の前記搬送幅方向の端面と前記サイド浮上ユニット等との干渉を回避することができ、基板の損傷を十分に防止して、基板の浮上搬送を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、本発明の実施形態に係るサイド浮上ユニットの平面図、図1(b)は、図1(a)におけるIB-IB線に沿った図である。
【図2】図2(a)(b)は、図1(b)におけるII-II線に沿った図であって、浮上ユニット脚の開口部の開口面積の可変状況を示している。
【図3】図3(a)は、本発明の実施形態に係る通常の浮上ユニットの平面図、図3(b)は、図3(a)におけるIIIB-IIIB線に沿った図である。
【図4】図5におけるIV-IV線に沿った図である。
【図5】本発明の実施形態に係る浮上搬送装置の部分平面図である。
【図6】図5におけるVI-VI線に沿った図であって、搬送機構を省略してある。
【図7】図5における矢視部VIIを示す図である。
【図8】図8(a)は、本発明の実施形態の変形例に係るサイド浮上ユニットの平面図、図8(b)は、図8(a)におけるVIIIB-VIIIB線に沿った図である。
【図9】図9(a)(b)は、図8(b)におけるIX-IX線に沿った図であって、浮上ユニット脚の開口部の開口面積の可変状況を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の実施形態)
本発明の実施形態について図1から図7を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向をそれぞれ指してある。
【0017】
図4から図7に示すように、本発明の実施形態に係る浮上搬送装置1は、例えばガラス基板等の基板Wを搬送方向(前後方向)へ浮上搬送する装置であって、前後方向へ延びた装置フレーム(支持フレーム)3を具備している。また、装置フレーム3は、前後方向へ延びた支持台5と、この支持台5の下側に一体的に設けられた複数の支柱7と、複数の支柱7に連結するように設けられた複数の補強部材9とを備えている。
【0018】
支持台5には、基板Wを搬送方向へ搬送する搬送機構(搬送ユニット)11が設けられている。そして、この搬送機構11の具体的な構成は、次のようになる
即ち、各支持台5の左端部付近には、一対の支持アーム13が前後方向に間隔を置いて設けられており、各支持アーム13には、基板Wの一端面(左端面)を支持する第1搬送ローラ15が設けられている。換言すれば、複数の装置フレーム3の左端部付近には、複数の第1搬送ローラ15が複数の支持アーム13を介して前後方向に間隔を置いて設けられている。ここで、各第1搬送ローラ15は、鉛直(垂直)な軸心周りに回転自在なフリーローラになっている。
【0019】
各支持台5の右端部付近には、移動用エアシリンダ17が設けられており、各移動用エアシリンダ17は、支持台5に固定されたシリンダ本体19、及びシリンダ本体19に左右方向(搬送幅方向)へ移動可能に設けられたピストンロッド21を有している。また、各移動用エアシリンダ17におけるシリンダ本体19には、スライダ23が左右方向へ移動可能に設けられており、各移動用エアシリンダ17におけるピストンロッド21は、対応するスライダ23の適宜位置に連結してある。更に、各スライダ23の左端部には、基板Wの他端面(右端面)を支持する第2搬送ローラ25が鉛直な軸心周りに回転可能に設けられている。換言すれば、複数の装置フレーム3の右端部付近には、複数の第2搬送ローラ25が複数の移動用エアシリンダ17及び複数のスライダ23を介して前後方向に間隔を置いて設けられてあって、各第2搬送ローラ25は、移動用エアシリンダ17の作動によってスライダ23と一体的に左右方向へ移動するようになっている。そして、各スライダ23の右端部には、第2搬送ローラ25を回転させる回転用モータ27が設けられてあって、各回転用モータ27のモータ軸(図示省略)は、対応する第2搬送ローラ25のローラ軸に連動連結してある。
【0020】
なお、第1搬送ローラ15をフリーローラとし、第2搬送ローラ25をモータ(回転用モータ27)の駆動によって回転する駆動ローラとする代わりに、第1搬送ローラ15を駆動ローラとし、第2搬送ローラ25をフリーローラとしたり、第1搬送ローラ15及び第2搬送ローラ25を駆動ローラとしたりするようにしても構わない。また、複数の第1搬送ローラ15及び複数の第2搬送ローラ25等を備えた搬送機構11の代わりに、基板Wの端部を把持しかつ前後方向へ移動可能なクランパを備えた別の搬送機構等を用いても構わない。
【0021】
図4から図6に示すように、支持台5には、浮上ガスとしての圧縮空気(エア)を収容するチャンバー29が前後方向へ間隔を置いて設けられており、各チャンバー29は、左右方向へ延びている。また、各チャンバー29の下面には、圧縮空気を各チャンバー29の内部へ導入可能な複数の導入穴31が貫通して形成されており、各チャンバー29の上面には、複数の連絡穴33が貫通して形成されている。更に、各チャンバー29における各導入穴31の周縁部には、圧縮空気をチャンバー29の内部へ供給する浮上ガス供給源としてのファン(本発明の実施形態にあっては、ファンフィルタユニット)35がブラケット37を介して設けられており、換言すれば、各チャンバー29の内部は、複数のファン35に接続されている。
【0022】
各チャンバー29における各連絡穴33の周縁部には、圧縮空気の圧力を利用して基板Wを浮上させる浮上ユニット39が設けられており、換言すれば、複数のチャンバー29には、複数の浮上ユニット39が前後方向及び左右方向に沿って設けられている。ここで、全ての浮上ユニット39は、複数の通常の浮上ユニット39Aと、左右両側(搬送幅方向の両側)に配列した複数のサイド浮上ユニット39Bに分類される。そして、通常の浮上ユニット39Aとサイド浮上ユニット39Bの共通の構成は、次のようになる。
【0023】
図1(a)(b)及び図3(a)(b)に示すように、浮上ユニット39(39A,39B)は、中空状の浮上ユニット本体41を備えており、この浮上ユニット本体41は、底面の支持穴43が形成された外郭部材45と、この外郭部材45の内側に複数本(本発明の実施形態にあっては4本)の支持ピン47を介して設けられた島部材49とからなるものである。また、外郭部材45の内縁と島部材49の外縁との間には、圧縮空気を噴出する枠状のノズル51が区画形成されており、換言すれば、浮上ユニット本体41の上面には、枠状のノズル51が浮上ユニット本体41の外縁に沿って形成されている。また、浮上ユニット本体41のノズル51は、特開2006−182563号公報に示すように、鉛直方向に対して浮上ユニット本体41の中心側へ傾斜するように構成されている。なお、浮上ユニット本体41の上面に枠状のノズル51が形成される代わりに、スリット状又は丸穴状の複数のノズルが形成されるようにしても構わない。
【0024】
外郭部材45の支持穴43の周縁部(換言すれば、浮上ユニット本体41の下側)には、中空パイプ状の浮上ユニット脚53が設けられており、浮上ユニット脚53の下端部は、チャンバー29の対応する連絡穴33の周縁部に一体的に連結されてあって、浮上ユニット脚53の内部は、チャンバー29の内部に連通してある。また、通常の浮上ユニット39Aにおける浮上ユニット脚53は、上側に、圧縮空気を浮上ユニット本体41の内部へ導入する円形の開口部(導入開口部)55を有しており(図3(b)参照)、サイド浮上ユニット39Bにおける浮上ユニット脚53は、上側に、圧縮空気を浮上ユニット本体41の内部へ導入する扇形の一対の開口部(導入開口部)57を有してあって、一対の開口部57は、浮上ユニット本体41の軸心を基準に対称関係になっている(図2(a)(b)参照)。
【0025】
ここで、図6に示すように、浮上ユニット脚53の前後方向の最大外形寸法は、浮上ユニット本体41の前後方向の最大外形寸法よりも小さくなってあって、浮上ユニット39(39A,39B)の側面視形状は、T字形状を呈している。また、図7に示すように、浮上ユニット脚53の左右方向の最大外形寸法は、浮上ユニット本体41の左右方向の最大外形寸法よりも小さくなってあって、浮上ユニット39(39A,39B)の正面視形状は、T字形状を呈している。
【0026】
次に、サイド浮上ユニット39Bの特有の構成について説明する。
【0027】
図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように、島部材49には、円形の設置穴59が形成されており、島部材49の設置穴59には、浮上ユニット脚53の一対の開口部57の開口面積を調節する円形の調節部材61が鉛直軸心周りに回転可能かつ昇降可能(上下方向へ移動可能)に嵌装されてあって、調節部材61は、上方向(表側)から操作(回転操作及び昇降操作)可能である。また、調節部材61の鉛直軸心周りの回転によって浮上ユニット脚53の一対の開口部57の開口面積を可変できるように、調節部材61は、下側に、浮上ユニット脚53の一対の開口部57を開閉する扇形の一対の開閉部63を有してあって、一対の開閉部63は、調節部材61の軸心(回転軸心)を基準に対称関係になっている。なお、浮上ユニット脚53の一対の開閉部63は、外郭部材45の支持穴43に回転可能かつ昇降可能に案内支持されている。
【0028】
島部材49の設置穴59の周縁裏面には、半球状の複数の係合凹部65が周方向に等間隔に形成されている。また、調節部材61の外周面には、フランジ67が島部材49の設置穴59の周縁裏面に対向するように形成されており、調節部材61のフランジ67には、複数の前記係合凹部65に係合可能な半球状の複数の相手係合凸部69が周方向に等間隔に形成されている。そして、調節部材61の裏面と浮上ユニット脚53の上面との間には、調節部材61を浮上ユニット本体41に対して上方向へ付勢するスプリング71(付勢部材の一例)が設けられている。なお、島部材49の設置穴59の周縁裏面に複数の係合凹部65が形成されかつ調節部材61のフランジ67に複数の相手係合凸部69が形成される代わりに、島部材49の設置穴59の周縁裏面に半球状の複数の係合凸部が形成されかつ調節部材61のフランジ67に複数の係合凸部に係合可能な半球状の複数の相手係合凹部が形成されるようにしても構わない。
【0029】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0030】
各ファン35を適宜に作動させて、各チャンバー29の内部へ圧縮空気を供給することにより、各浮上ユニット本体41のノズル51から圧縮空気を噴出させる。また、各移動用エアシリンダ17の作動により各第2搬送ローラ25を左方向へ移動させると共に、各回転用モータ27の駆動より各第2搬送ローラ25を同期して回転させる。これにより、基板Wと複数の浮上ユニット39(39A,39B)との間に略均一な圧力溜まり層(空気溜まり層)S(図4参照)を生成しつつ、複数の第1搬送ローラ15及び複数の第2搬送ローラ25により搬送幅方向の両側から支持された状態で基板Wを搬送方向へ浮上搬送することができる。なお、浮上ユニット39(39A,39B)の側面視形状及び正面視形状がT字形状を呈しているため、隣接関係にある浮上ユニット39(39A,39B)間に形成される通路P(図6及び図7参照)の断面積を大きくして、複数の浮上ユニット本体41のノズル51から噴出した圧縮空気を基板Wの外側に逃げ易くすることができる。
【0031】
ここで、大型の基板(例えば3m角以上の大きさの基板)Wに反り等の変形がある場合には、次のような操作を行う。即ち、各調節部材61をスプリング71の付勢力に抗して一旦下降させて、複数の係合凹部65と複数の相手係合凸部69の係合状態を解除する。そして、基板Wの搬送幅方向の端部付近(端部を含む)の浮上状態(浮上挙動)に応じて、各調節部材61を鉛直軸心周りに回転させる。更に、各調節部材61をスプリング71の付勢力によって上昇させて、複数の係合凹部65と複数の相手係合凸部69を係合状態に復帰させる。これにより、各サイド浮上ユニット39Bの圧縮空気の噴出流量を適切な噴出流量に設定することができ、前述の場合であっても、基板Wの浮上搬送中に、基板Wの搬送幅方向の端部付近(端部を含む)における下方向に撓みを抑えることができる。
【0032】
従って、本発明によれば、大型の基板Wに反り等の変形がある場合であっても、基板Wの浮上搬送中に、基板Wの搬送幅方向の端部付近における下方向の撓みを抑えることができるため、基板Wの搬送幅方向の端面とサイド浮上ユニット39B及び搬送ローラ13等との干渉を回避することができ、基板Wの損傷を十分に防止して、基板Wの浮上搬送を円滑に行うことができる。
【0033】
また、調節部材61が上方向から操作可能であるため、各サイド浮上ユニット39Bの噴出流量の設定作業を簡単かつ短時間で行うことができる。
【0034】
(変形例)
本発明の実施形態の変形例に係るサイド浮上ユニットについて図8(a)(b)及び図9(a)(b)を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向をそれぞれ指してある。
【0035】
図8(a)(b)及び図9(a)(b)に示すように、本発明の実施形態の変更例に係るサイド浮上ユニット73は、本発明の実施形態に係るサイド浮上ユニット39Bと同様に、圧縮空気の圧力を利用して基板Wを浮上させるものであって、サイド浮上ユニット73の構成のうち、サイド浮上ユニット39Bと異なる構成等について説明する。なお、サイド浮上ユニット73における複数の構成要素のうち、サイド浮上ユニット39Bにおける構成要素と相当するものについては、図中に同一番号を付して、説明を省略する。
【0036】
即ち、外郭部材45の支持穴43には、円形の蓋部材75が嵌装されており、この蓋部材75には、圧縮空気を浮上ユニット本体41の内部へ導入にする扇形の一対の開口部(導入開口部)77が形成されており、換言すれば、浮上ユニット脚53は、上側に、蓋部材75を介して扇形の一対の開口部77を有しており、一対の開口部77は、浮上ユニット本体41の軸心を基準に対称関係になっている。また、蓋部材75は、複数本(本発明の実施形態にあっては、8本)の連結バー79を介して島部材49に一体的に連結してある。
【0037】
島部材49の設置穴59には、蓋部材75の一対の開口部77(換言すれば、浮上ユニット脚53の一対の開口部77)の開口面積を調節する円形の調節部材81が嵌装されており、調節部材81は、蓋部材75に対して固定ねじ83を介して着脱可能であって、上方向(表側)から操作(回転操作)可能である。また、調節部材81の鉛直軸心周りの回転によって蓋部材75の一対の開口部77の開口面積を可変できるように、調節部材81は、下側に、浮上ユニット脚53の一対の開口部77を開閉する扇形の一対の開閉部85を有してあって、一対の開閉部85は、調節部材81の軸心(回転軸心)を基準に対称関係になっている。
【0038】
続いて、本発明の実施形態の変形例の作用及び効果について説明する。
【0039】
複数のサイド浮上ユニット39Bに代えて複数のサイド浮上ユニット73が用いられた浮上搬送装置1にあっては、大型の基板Wに反り等の変形がある場合には、次のような操作を行う。即ち、各固定ねじ83を緩めて、各調節部材81を鉛直軸心周りに回転可能な状態にする。そして、基板Wの搬送幅方向の端部付近の浮上状態に応じて、各調節部材81を鉛直軸心周りに回転させる。更に、各固定ねじ83を締付けて、各調節部材81を回転不能状態に復帰させる。これにより、各サイド浮上ユニット73の圧縮空気の噴出流量を適切な噴出流量に設定することができ、前述の場合であっても、基板Wの浮上搬送中に、基板Wの搬送幅方向の端部付近における下方向に撓みを抑えることができる。
【0040】
従って、本発明の実施形態の変形例によれば、前述の本発明の実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。
【0041】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0042】
W 基板
1 浮上搬送装置
3 装置フレーム(支持フレーム)
11 搬送機構(搬送ユニット)
13 搬送ローラ
23 搬送モータ
29 チャンバー
35 ファン
39 浮上ユニット
39A 浮上ユニット
39B サイド浮上ユニット
41 浮上ユニット本体
45 外郭部材
47 支持ピン
49 島部材
51 ノズル
53 浮上ユニット脚
57 開口部
59 設置穴
61 調節部材
63 開閉部
65 係合凹部
67 フランジ
69 相手係合凸部
71 スプリング
73 サイド浮上ユニット
75 蓋部材
77 開口部
79 連結バー
81 調節部材
83 固定ねじ
85 開閉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送方向へ浮上搬送する浮上搬送装置において、
装置フレームに設けられ、基板を前記搬送方向へ搬送する搬送機構と、
前記装置フレームに設けられ、内部が浮上ガスを供給する浮上ガス供給源に接続され、浮上ガスを収容するチャンバーと、
前記チャンバーに前記搬送方向及び前記搬送方向に直交する搬送幅方向に沿って設けられ、浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットと、を具備し、
前記浮上ユニットは、
上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成された中空状の浮上ユニット本体と、
前記浮上ユニット本体の下側に設けられ、内部が前記チャンバーの内部に連通してあって、上側に浮上ガスを前記浮上ユニット本体の内部へ導入する開口部を有した中空状の浮上ユニット脚と、を備え、
更に、全ての前記浮上ユニットのうち、前記搬送幅方向の両側に配列したサイド浮上ユニットは、
前記浮上ユニット本体及び前記浮上ユニット脚の他に、前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を調節する調節部材を備えていることを特徴とする浮上搬送装置。
【請求項2】
前記サイド浮上ユニットにおける前記浮上ユニット本体の上面に設置穴が形成され、
前記浮上ユニット本体の前記設置穴に前記調節部材が鉛直軸心周りに回転可能に嵌装され、前記調節部材は、上方向から操作可能であって、鉛直軸心周りの回転によって前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を可変できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の浮上搬送装置。
【請求項3】
前記浮上ユニット本体の前記ノズルが前記浮上ユニット本体の外縁に沿って形成されてあって、前記浮上ユニットの前記ノズルが鉛直方向に対して前記浮上ユニット本体の中心側へ傾斜するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浮上搬送装置。
【請求項4】
浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる浮上ユニットにおいて、
上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成された浮上ユニット本体と、
前記浮上ユニット本体の下側に設けられ、上側に浮上ガスを前記浮上ユニット本体の内部へ導入する開口部を有した浮上ユニット脚と、
前記浮上ユニット脚の前記開口部の開口面積を調節する調節部材と、を備えたことを特徴とする浮上ユニット。
【請求項5】
前記浮上ユニット本体の上面に設置穴が形成され、
前記浮上ユニット本体の前記設置穴に前記調節部材が鉛直軸心周りに回転可能に嵌装され、前記調節部材は、上方向から操作可能であって、鉛直軸心周りの回転によって前記浮上ユニット本体の前記開口部の開口面積を可変できるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の浮上ユニット。
【請求項6】
前記浮上ユニット本体の前記設置穴の周縁裏面に複数の係合凹部又は複数の係合凸部が周方向に間隔を置いて形成され、
前記調節部材が前記浮上ユニット本体に対して上下方向へ移動可能であって、前記調節部材の外周面にフランジが前記浮上ユニット本体の前記設置穴の周縁裏面に対向するように形成され、前記調節部材の前記フランジに複数の前記係合凹部又は複数の前記係合凸部に係合可能な複数の相手係合凸部又は複数の相手係合凹部が周方向に間隔を置いて形成され、
更に、前記浮上ユニット本体、前記浮上ユニット脚、及び前記調節部材の他に、前記調節部材を前記浮上ユニット本体に対して上方向へ付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項5に記載の浮上ユニット。
【請求項7】
前記浮上ユニット本体の前記ノズルが前記浮上ユニット本体の外縁に沿って形成されてあって、前記浮上ユニット本体の前記ノズルが鉛直方向に対して前記浮上ユニット本体の中心側へ傾斜するように構成されていることを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれか請求項に記載の浮上ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−280453(P2010−280453A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133097(P2009−133097)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)