説明

浴室壁パネル

【課題】浴室を施工した後においても壁パネルの色を容易に変更することが可能な浴室壁パネルを提供する。
【解決手段】2枚のカバー部材2、3の間に面発光体が挟持されてなるパネルであって、上記2枚のカバー部材2、3と面発光体とがそれぞれ接着剤を介して積層されるとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされた浴室壁パネルA。好ましくは、上記接着剤がブチル系の接着剤シート4とされ、上記面発光体がエレクトロルミネセンス発光シート1とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁パネルに関する。さらに詳しくは、浴室に用いられ、色を変えることのできる壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室に用いられる壁パネルとしては、鋼板に模様を印刷したシートをラミネートした化粧鋼板あるいは、スレート板等に塗装または転写シートで色、柄等を付け、デザインした無機質化粧パネル等が一般的に使用されている。例えば、浴室をリフォームして、壁パネルの色を変えたいとき、塗り替えによる方法は却って手間とコストがかかるため、結局パネル全体を取り替えることになる場合が多い。また、リフォームするまでもなく、単に浴室壁パネルの色を変えて気分転換を図ろうとする場合でも、湿気の多い浴室で長期間、色調を保持するには、専門業者による耐水塗装が必要となり、塗装費用が高くつくという問題がある。
【0003】
一方、エレクトロルミネセンスからなる発光シートを壁面、天井等の面発光体として、また内照式サイン、道路標識等の自発光式標識等のバックライト用の光源として用いることが近年広く行われている。下記特許文献1には上記発光シートを使用した発光パネルユニット、発光パネルおよびそれを用いた自発光式表示体が提案されている。
【特許文献1】特開平8−138401号公報(第1〜3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記発光シート等の面発光体を浴室壁パネルに組み込み、電極に印加する電圧等外部からの入力を変化させ、発光色、輝度等を変えることにより浴室壁パネルの色を変更することが考えられる。しかしながら、上記面発光体は耐水性、耐湿性に劣り、また、一般的に厚みが1mm程度かそれ以下で非常に薄く取り扱いにくいため、パネルに組み込んで浴室壁として利用することは非常に困難である。本発明はこのような問題を解決して上記面発光体を水分や湿気等から保護して浴室壁パネルに組み込み、浴室を施工した後においても壁パネルの色を容易に変更することが可能な浴室壁パネルを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の本願第1発明によれば、2枚のカバー部材の間に面発光体が挟持されてなるパネルであって、上記2枚のカバー部材と面発光体とがそれぞれ接着剤を介して積層されるとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされた浴室壁パネルが提供される。上記透明部材としては、とくに限定されるものではなく、ガラス、セラミック、プラスチックス等が用いられる。
【0006】
請求項2に記載の浴室壁パネルは、請求項1に記載の発明に加えて、上記接着剤がブチル系の接着剤シートとされる。接着剤としてはブチル系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系等、各種接着剤をあげることができるが、透明性、接着性に優れていることから、前記ブチル系接着剤が好ましく用いられる。さらに、接着剤をシート状として用いることが好ましい。
【0007】
また、請求項3に記載の浴室壁パネルは、請求項1に記載の発明に加えて、上記面発光体がエレクトロルミネセンス発光シートとされる。面発光体としてはEL(エレクトロルミネセンス)、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、PDP(プラズマディスプレイパネル)等をあげることができるが、薄形、軽量化をはかれるとともに、発光面積を大きくとれることから、ELが好ましく用いられる。
【0008】
請求項4に記載の本願第2発明によれば、2枚のカバー部材の間に面発光体が挟持されてなるパネルであって、上記2枚のカバー部材と面発光体とからなる積層体の上下端部、左右側端部を断面コ字形の枠で挟み込むとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされた浴室壁パネルが提供される。
【0009】
請求項5に記載の浴室壁パネルは、請求項4に記載の発明に加えて、上記面発光体がEL(エレクトロルミネセンス)発光シートとされる。第2発明においても、第1発明と同様に薄形、軽量化をはかれるとともに、発光面積を大きくとれることから、EL発光シートが好ましく用いられる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の第1発明にかかる浴室壁パネルは上記のとおりであり、上記2枚のカバー部材と面発光体とがそれぞれ接着剤を介して積層され、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされているため、透明部材からなるカバー部材を浴室側にして上記浴室壁パネルを建て込み、面発光体に通電することにより発光し、色の付いた浴室壁パネルとすることができる。
【0011】
請求項2に記載の浴室壁パネルは上記のとおりであり、請求項1の浴室壁パネルの有する効果に加え、透明性に優れたブチル系の接着剤シートを用いているため、あたかも接着剤を使用していないかのようにして透明部材と面発光体とを接着することができる。また、上記ブチル系の接着剤シートは接着性に優れているため、水分や湿気の浸入を防いで上記2枚のカバー部材と面発光体とをしっかりと接着し、積層することができる。さらに、透明部材としてガラスを用いた場合、外部からの衝撃等でガラスが破損しても、接着剤シートが破片の飛散を防ぎ、使用者の安全をはかることができる。
【0012】
請求項3に記載の浴室壁パネルは上記のとおりであり、請求項1の浴室壁パネルの有する効果に加え、上記面発光体としてEL発光シートを用いているため、シート状とされた発光体をカバー部材で挟んで容易に積層できるとともに、少ない消費電力で発光させることができる。また、EL発光シートに印加する電圧を上げることにより発光度、輝度等が増すため、印加電圧をコントロールして、浴室壁パネルの色、柄等を容易に変化させることができる。
【0013】
請求項4に記載の第2発明にかかる浴室壁パネルは上記のとおりであり、上記2枚のカバー部材と面発光体とからなる積層体の上下端部、左右側端部を断面コ字形の枠で挟み込むとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされているため、面発光体に通電することにより発光し、色の付いた浴室壁パネルとすることができる。
【0014】
請求項5に記載の浴室壁パネルは上記のとおりであり、請求項4の浴室壁パネルの有する効果に加え、上記面発光体としてEL発光シートを用いているため、上記シート状とされた発光体をカバー部材で挟んで容易に積層できるとともに、少ない消費電力で発光させることができる。また、第1発明と同様にして、EL発光シートに印加する電圧をコントロールすることにより、浴室壁パネルの色、柄等を容易に変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1は第1発明にかかる浴室壁パネルの実施例を示すものである。以下、図1を参照して第1発明について説明する。図1(a)は第1発明の浴室壁パネルAを示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)におけるX−X線に沿う平断面図である。
【0016】
図1に示されているように、第1発明にかかる浴室壁パネルAは、透明部材として厚さ約5mmのガラスが用いられ、2枚のガラス部材2、3の間に面発光体としての厚さ約1mmのEL発光シート1が挟まれ積層されている。すなわち、図1(b)に示されているように、上記ガラス部材2とEL発光シート1との間には、接着剤として用いた透明なブチル系の接着剤シート4が介装され、同様にガラス部材3とEL発光シート1との間にも上記接着剤シート4が介装され、ガラス部材2、EL発光シート1、ガラス部材3がこの順にしっかりと接着される。このようにして水分や湿気の浸入を防いで上記2枚のガラス部材2、3とEL発光シート1とをしっかりと積層し、第1発明にかかる浴室壁パネルAが形成される。
【0017】
上記EL発光シート1は、基板の上に順次、In23等の導電性物質からなる透明電極、誘電体層、ZnS:Cu等の蛍光体からなる発光層、BaTiO3等からなる誘電体層、Al箔等の導電性物質からなる背面電極等を蒸着、スパッタリング、スクリーン印刷や貼付等の手段により積層してなるものであり、上記透明電極と背面電極との間に交流電圧を印加することにより発光し、印加電圧が高いほど発光輝度が増大する。
【0018】
上記、面発光体としてのEL発光シート1に図示しない電圧制御手段を介して交流電圧を印加し、交流電圧をコントロールすることにより、EL発光シート1の色、発光輝度等を変えることができる。その結果、浴室の施工後でも印加電圧をコントロールすることにより上記EL発光シート1を組み込んだ浴室壁パネルAの色、柄等を変えることが可能となる。
【0019】
図2は第2発明にかかる浴室壁パネルの実施例を示すものである。以下、図2を参照して第2発明について説明する。図2(a)は第2発明の浴室壁パネルBを示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)におけるY−Y線に沿う平断面図である。第2発明においては、透明部材として強度の大きいアクリル樹脂板が用いられる。本実施例においては厚さ約5mmのアクリル樹脂製の2枚のアクリル樹脂部材5、6の間に面発光体としての厚さ約1mmのEL発光シート1が挟まれ積層されている。
【0020】
すなわち、図2(b)に示されているように、2枚のアクリル樹脂部材5、6の間にEL発光シート1を挟持して積層体Cを形成し、この積層体Cの上下端部、左右側端部を断面コ字形の枠7で挟み込む。このように上記積層体Cの端部を枠7でしっかりと圧締することにより、水分や湿気の浸入を防いで2枚のアクリル樹脂部材5、6とEL発光シート1とがしっかりと積層し、第2発明にかかる浴室壁パネルBが形成される。
【0021】
EL発光シート1の構成は第1発明と同様であり、EL発光シート1の色、発光輝度も同様に変えることができる。その結果、上記EL発光シート1を組み込んだ浴室壁パネルBを用いることにより、浴室の施工後も印加電圧をコントロールして壁パネルの色、柄等を容易に変更することができる。なお、第2発明においても第1発明と同様に2枚のアクリル樹脂板5、6とEL発光シート1との間に、それぞれ接着剤を介装することも可能である。
【0022】
つぎに、第1発明にかかる浴室壁パネルAを用いて施工する施工例について説明する。図3は、上記浴室壁パネルAを並列に建て込んで壁部を構成した状態を示す平断面図である。図3に示すように、浴室壁パネルAの駆体側端部に連結部材8を固定し、連結部材8どうしをジョイナ91によって結合する。このようにすることによって、浴室の壁部を施工することができる。図4は浴室壁パネルAを建て込んでコーナー部を構成した状態を示す平断面図である。上記と同様にして連結部材8どうしをコーナー用ジョイナ92で結合することによって浴室コーナー部を施工することができる。
【0023】
上記した方法により、本発明にかかる浴室壁パネルAを建て込み、施工後も壁パネルの色、柄等を容易に変更可能な浴室を得ることができる。上記では、第1発明にかかる浴室壁パネルAを用いて施工する施工例について述べたが、第2発明にかかる浴室壁パネルBを用いても同様にして施工できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は第1発明にかかる浴室壁パネルを示す斜視図、(b)は(a)におけるX−X線に沿う平断面図である。
【図2】(a)は第2発明にかかる浴室壁パネルを示す斜視図、(b)は(a)におけるY−Y線に沿う平断面図である。
【図3】浴室壁パネルを並列に建て込んで壁部を構成した状態を示す平断面図である。
【図4】浴室壁パネルを建て込んでコーナー部を構成した状態を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0025】
A 第1発明にかかる浴室壁パネル
1 EL発光シート
2 ガラス部材
3 ガラス部材
4 接着剤シート
B 第2発明にかかる浴室壁パネル
C 積層体
5 アクリル樹脂板
6 アクリル樹脂板
7 枠
8 連結部材
91 ジョイナ
92 コーナー用ジョイナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のカバー部材の間に面発光体が挟持されてなるパネルであって、上記2枚のカバー部材と面発光体とがそれぞれ接着剤を介して積層されるとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされた浴室壁パネル。
【請求項2】
上記接着剤がブチル系の接着剤シートである請求項1に記載の浴室壁パネル。
【請求項3】
上記面発光体がエレクトロルミネセンス発光シートである請求項1に記載の浴室壁パネル。
【請求項4】
2枚のカバー部材の間に面発光体が挟持されてなるパネルであって、上記2枚のカバー部材と面発光体とからなる積層体の上下端部、左右側端部を断面コ字形の枠で挟み込むとともに、上記カバー部材の少なくとも1枚が透明部材とされた浴室壁パネル。
【請求項5】
上記面発光体がエレクトロルミネセンス発光シートである請求項4に記載の浴室壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−31998(P2007−31998A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214060(P2005−214060)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】