説明

浴槽栓及びその浴槽栓を用いた風呂水再使用システム

【課題】 浴槽の底の排水口に配される網目栓と排水溝に通じる排水管の入り口を閉塞する排水栓とを同時に脱着可能にし、網目栓を通して常時風呂水が利用可能な浴槽栓及びその浴槽栓を用いた風呂水再使用システムの提供。
【解決手段】 浴槽栓10は排水口2に配される網目栓11と、排水口に接続される分岐管3の排水管側分岐口3aを閉塞する排水栓10と、網目栓及び排水栓が所定間隔を設けて直線的に一体化させた連結金具13と、を備えている。浴槽1の排水口2に浴槽栓10を装着すると、排水管4は排水栓12により閉塞されるため、風呂水は網目栓2で髪の毛その他のごみを濾して送水管5を通して洗濯機のポンプおよび/または水洗トイレのサブタンクのポンプに常時送水可能になる。風呂水を排水する場合は、浴槽栓10を抜き排水管4を通し排水溝に流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に貯えられた水(以下風呂水という)を洗濯機や水洗トイレ等の水に使用する為の浴槽栓及びその浴槽栓を用いた風呂水再使用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題は、各家庭において、解決しなければならないことが多くなってきている。その一つとして、風呂の残り湯が挙げられる。風呂水は、一般的に使用後に下水として、廃棄されており、洗濯水、水洗トイレ用洗浄水には貴重な水道水が使用されている。従来、風呂水の再使用は、大掛かりにタンクを別設置するもの(特許文献1参照)、また、排水口に分岐管を接続し、洗濯機や水洗トイレに送水するシステムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−204942
【特許文献2】特開2008−253706
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の風呂水再使用システムは、タンクを別に設置する為、大掛かりな設置スペースと工事が必要であった。現在、バスポンプを使用しての風呂の残り水を汲み上げる方法が知られている。バスポンプの場合は、浴室の扉を開放し、ホースを洗濯機の設置場所まで引き回さなければならない。そのため、風呂を利用している時は使用できない。また、ポンプのホースにひっかかり転倒する可能性があった。
特許文献2記載の浴槽栓は、排水栓と残り湯栓を鎖で連結された構造になっており、残り湯は残り湯栓を外して使用する。また、排水栓のみで構成する場合も提案されているが、洗濯機や水洗トイレへ送水する配管の入り口に髪の毛等を除去するためのストレーナが設置されている。ストレーナのクリーニングは、通常、横向きに装着されるストレーナを排水栓とは別個に外して行わなければならない。
本発明の目的は、浴槽の底の排水口に配される網目栓と排水溝に通じる排水管の入り口を閉塞する排水栓とを同時に脱着可能にし、網目栓を通して常時風呂水が利用可能な浴槽栓及びその浴槽栓を用いた風呂水再使用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明の浴槽栓は、浴槽の底に形成された排水口に設置され、風呂水を洗濯機および/または水洗トイレに使用可能な浴槽栓であって、前記排水口に配される網目栓と、前記排水口に接続される分岐管の排水管側分岐口を閉塞する排水栓と、前記網目栓及び排水栓が所定間隔を設けて直線的に一体化させた連結金具と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明の風呂水再使用システムは、請求項1に記載の浴槽栓を浴槽の底の排水口に脱着可能に設けるとともに、前記浴槽下には前記排水口に通じる分岐管を取り付け、前記分岐管の風呂水再使用側分岐口に接続された送水管を洗濯機の設置される洗面所および/または水洗トイレが設備されたトイレルームにそれぞれ床下から立ち上げ、洗濯機に内蔵されているポンプおよび/または水洗トイレのサブタンクに汲み上げるポンプへ配管され、前記浴槽栓の排水栓が排水管側分岐口を閉塞しているとき前記浴槽栓の網目栓を通して、常時洗濯機および/または水洗トイレサブタンクへ送水可能に構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新規工事であっても大掛かりな工事をせずに風呂水を洗濯機および/または水洗トイレのサブタンクに送水することができる。また、住まいのリフォームであっても浴槽栓の交換及び配管を伸ばすだけでリフォームができる。特に、風呂水を再使用することで、上水道料(下水道料も)の費用削減が図れるとともに、大型の設備を使用せず、容易に一般家庭に導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の風呂水を再使用するシステム構成図である。
【図2】図1のA部を示し、浴槽栓を排水口から抜いたときの図である。
【図3】図1のA部を示し、浴槽栓を排水口へ装着したときの図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の風呂水再使用システムの全体図、図2は図1のA部を示し、浴槽栓を排水口から抜いたときの図、図3は図1のA部を示し、浴槽栓を排水口へ装着したときの図である。ここで、風呂水とは、入浴のための湯、非常時のための水を含む。
【0010】
浴槽1は、底1aに浴槽栓10が装着される排水口2が設けられ、この排水口2に複数の分岐口3a,3b,3cを有する分岐管3が接続されている。分岐口3aは排水口2よりやや小径に形成され、かつ分岐口3aと排水口2は中心を通る直線上に位置し、下水道へ通じる排水溝に流す排水管4が接続され、一方、図的に左右に分岐した分岐口3b,3cには、送水管5,6が接続されている。送水管5は、洗面所に設置された洗濯機7へ送水し、送水管6はトイレルームに設置された水洗トイレ8のサブタンク9へ送水する。本実施例では、送水管5,6が2つの分岐口3b,3cにそれぞれ接続されているが、1つの分岐口に接続される送水管を途中から分岐させて、洗濯機、水洗トイレに送水するように構成することもできる。
【0011】
図2に示すように、浴槽栓10は、排水口2に配される網目栓11と、分岐口3aを塞ぐ排水栓12とからなり、網目栓11と排水栓12が連結金具13により直線的に連結され、一体化されている。排水栓12は、網目栓11より若干小径とし、排水口2を通過可能に形成されている。浴槽栓10を排水口2に装着したり、排水口2から抜いたりするため鎖14が網目栓11に取り付けられている。排水栓12は、ゴムなどで形成されている。
【0012】
浴槽栓10を排水口2に装着した使用状態(図3参照)において、網目栓11は、風呂水中の毛髪等のごみを濾して送水管5,6を通して洗濯機7に組み込まれたポンプ20に、また水洗トイレ8のサブタンク9に取り付けたポンプ30に、常時送水可能になっている。つまり常時タンクとして使用されている浴槽1内の水は使用可能になる。浴槽1内に水が無い場合は、図1において、トイレルームの上水道バルブ40を開き水道水を使用する。
【0013】
本実施例の作用を説明する。
図3に示すように浴槽栓10を排水口2に装着すると、排水管4は排水栓12で閉塞される。風呂水は、送水管5,6を通して洗濯機および/または水洗トイレのサブタンクに網目栓11を通して常時送水可能となっている。これは、入浴中であっても使用可能である。
一方、図2に示すように鎖14を持ち上げて浴槽栓10を抜くと、排水栓12による排水管4の閉塞が解かれる。風呂水は、排水管4を通って排水溝に流れる。
【0014】
本発明の実施の態様について説明する。
洗濯機への汲み上げポンプは、現在の洗濯機に組み込まれている機種がほとんどである為、ポンプ入り口と配管を繋ぐことで利用可能となる。水洗トイレのサブタンクに汲み上げるポンプは、洗濯機に組み込まれているポンプと同様のポンプを設置するのが望ましい。トイレ汲み上げポンプは、所定時間で自動停止させるタイマーを設ける事が望ましい。浴槽に水が残ってない場合は、上水道のバルブを開け水道水を使用できるようにするのが望ましい。
【符号の説明】
【0015】
1 浴槽
1a 槽底
2 排水口
3 分岐管
4 排水管
5,6 送水管
7 洗濯機
8 水洗トイレ
9 サブタンク
10 浴槽栓
11 網目栓
12 排水栓
13 連結金具
14 鎖
20 洗濯機汲み上げポンプ
30 サブタンクへの汲み上げポンプ
40 上水道のバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の底に形成された排水口に設置され、風呂水を洗濯機および/または水洗トイレに使用可能な浴槽栓であって、
前記排水口に配される網目栓と、前記排水口に接続される分岐管の排水管側分岐口を閉塞する排水栓と、前記網目栓及び排水栓が所定間隔を設けて直線的に一体化させた連結金具と、を備えていることを特徴とする浴槽栓。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽栓を浴槽の底の排水口に脱着可能に設けるとともに、前記浴槽下には前記排水口に通じる分岐管を取り付け、前記分岐管の風呂水再使用側分岐口に接続された送水管を洗濯機の設置される洗面所および/または水洗トイレが設備されたトイレルームにそれぞれ床下から立ち上げ、洗濯機に内蔵されているポンプおよび/または水洗トイレのサブタンクに汲み上げるポンプへ配管され、前記浴槽栓の排水栓が排水管側分岐口を閉塞しているとき前記浴槽栓の網目栓を通して、常時洗濯機および/または水洗トイレサブタンクへ送水可能に構成されていることを特徴とする風呂水再使用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−41681(P2012−41681A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181480(P2010−181480)
【出願日】平成22年8月14日(2010.8.14)
【出願人】(510222349)
【Fターム(参考)】