説明

海水中金属の捕集材及び海水中金属の捕集方法

【課題】 低コストで海水中金属であるウランを捕集する。
【解決手段】 バイオマスのチップ2に塩化ナトリウムの反応助剤を用いて天然由来のタンニンを結合させ、タンニンを結合させたチップ2からなる捕集材1にウランを吸着させ、低コストで海水中のウランを捕集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水中の金属、例えば、ウランを捕集する海水中金属の捕集材に関する。
【0002】
また、本発明は、海水中の金属、例えば、ウランを捕集する海水中金属の捕集方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原子力は主要なエネルギー源であり、原子力発電の燃料としてのウランの需要は高くなることが確実視されているのが実情である。しかし、ウラン資源は特定の国に集中しているため、安定供給に対するリスクが高く、電力の安定供給が妨げられる虞がある。
【0004】
一方、海水中には極微量であるが多くの希少金属が含まれており、海水中の希少金属としてウランが存在することが知られている。このため、原子力発電の燃料として、海水中のウランを活用することが種々研究されている。海水中からウランを回収することができれば、ウランの安定供給に対するリスクを大幅に低減することが可能になる。
【0005】
海水からウランを捕集する吸着材として、アミドキシム基を有する吸着材が従来から提案されている(特許文献1参照)。アミドキシム基を有する吸着材を用いることにより、吸着材の量に対するウランの吸着量をある程度の割合で確保することが確認されている。しかし、アミドキシム基を得るための原材料の費用が嵩み、アミドキシム基を有する吸着材を用いて海水からウランを捕集した場合のコストは、鉱山資源から得られるウランの数倍以上になってしまうのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−61936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することができる海水中金属の捕集材を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、エネルギーとして回収が可能で、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することができる海水中金属の捕集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の海水中金属の捕集材は、表面積を確保する状態にバイオマスを形状処理し、形状処理された前記バイオマスにより海水中の金属を吸着させることを特徴とする。
【0010】
請求項1に係る本発明では、バイオマスの形状を処理して表面積を確保した状態で、バイオマスに含まれるタンニンに海水中の金属を吸着させることができる。この結果、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することが可能になる。
【0011】
そして、請求項2に係る本発明の海水中金属の捕集材は、請求項1に記載の海水中金属の捕集材において、アルカリ塩からなる反応助剤を用いて前記バイオマスにタンニンを結合させ、海水中の金属を吸着させることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る本発明では、バイオマスの重量に対して多くのタンニン(例えば、バイオマスの重量に対して20%程度以上のタンニン)を結合させて海水中の金属を吸着させることができる。
【0013】
また、請求項3に係る本発明の海水中金属の捕集材は、請求項2に記載の海水中金属の捕集材において、前記バイオマスの重量の10倍から100倍の量の水に、前記バイオマスの重量の1.0倍から10倍の量のタンニンを溶解し、タンニンが溶解した水溶液にアルカリ塩を添加して溶液とし、加熱された溶液に前記バイオマスが浸漬されると共に、浸漬後の前記バイオマスが乾燥されて形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る本発明では、バイオマスの量に対するタンニンの量を適格に規定して最適な量の海水中金属を吸着させることができる。タンニンが添加される水の重量(バイオマスの重量の10倍から100倍)は、タンニンの量(バイオマスの重量の1.0倍から10.0倍)により適宜設定され、バイオマスの重量の1.5倍から4.0倍程度の量のタンニンに対し、バイオマスの重量の15倍から30倍の量の水を用いることが好ましい。
【0015】
アルカリ塩としては、塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウム等を個別に用いたり、組み合わせて用いることが可能である。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の海水中金属の捕集材は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材において、吸着する前記金属は海水中のウランであることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、低コストで海水中のウランを捕集することが可能になる。
【0018】
上記目的を達成するための請求項5に係る本発明の海水中金属の捕集方法は、海水にバイオマスを所定時間の間浸漬して海水中の金属を吸着させ、金属を吸着させたバイオマスを燃焼させて灰を回収し、回収した灰から金属を分離することを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る本発明では、低コストで海水中の金属を吸着させ、バイオマスを燃焼させた後に灰を回収して金属を分離することができ、エネルギーとして回収が可能で、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することができる。例えば、金属を吸着させたバイオマスを燃焼装置の燃料として用いたり、焼却装置で燃焼させることができる。
【0020】
また、請求項6に係る本発明の海水中金属の捕集方法は、請求項5に記載の海水中金属の捕集方法において、前記バイオマスを燃焼させてエネルギーを回収することを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る本発明では、バイオマスを燃焼させて得られる熱エネルギーを回収することができる。例えば、燃焼装置の燃料として用いて熱エネルギーを回収したり、金属を吸着させたバイオマスをボイラの燃料として用いてボイラで発生した熱エネルギーを回収することができる。
【0022】
そして、請求項7に係る本発明の海水中金属の捕集方法は、請求項6に記載の海水中金属の捕集方法において、バイオマスを火力発電所の燃料として燃焼させることを特徴とする。
【0023】
請求項7に係る本発明では、金属を吸着させたバイオマスを火力発電所の燃料として燃焼させた後、火力発電所の熱エネルギー(蒸気発生用、熱交換用等)として回収し、海水中の金属、特に、ウランを捕集することができる。
【0024】
近年、国や地域の単位で、再生可能なエネルギーによる電力供給総量が決められ、電気事業者は、販売電力量に応じて再生可能なエネルギーによる電力供給量が配分されることが求められている。このため、電力事業者は、一定割合以上の再生可能な新エネルギーで発電電力をまかなう必要が生じている。このような背景から、火力発電所(石炭火力発電所)では、ボイラの燃料として(または、ガス化炉の燃料として)、所定割合で再生可能なエネルギーを石炭に加えたり、燃料として石炭に加えることとは別に、再生可能なエネルギーで発電する設備を併設することが検討されるようになってきている。
【0025】
このような状況において、バイオマスを燃料として使用してエネルギーを回収した後に、灰から金属を分離する捕集方法は、再生可能なエネルギーを使用して電力供給量をまかなう近年の要望を満たすこともできる技術となる。
【0026】
また、請求項8に係る本発明の海水中金属の捕集方法は、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集方法において、回収する前記金属は海水中のウランであることを特徴とする。
【0027】
請求項8に係る本発明では、エネルギーの回収が可能で、低コストで海水中のウランを捕集することが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の海水中金属の捕集材は、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することが可能になる。
【0029】
また、本発明の海水中金属の捕集方法は、エネルギーとして回収が可能で、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例に係る海水中金属の捕集材の概念図。
【図2】捕集材の作成手順の状況説明図。
【図3】捕集材の作成手順の状況説明図。
【図4】タンニンの重量とウランの吸着量との関係を表すグラフ。
【図5】担体に対するタンニンの重量割合とウランの吸着量との関係を表すグラフ。
【図6】海水からウランを捕集している状態の概念図。
【図7】ウランの捕集量を検証する状態の概念図。
【図8】ウランの捕集状況の経時変化を表すグラフ。
【図9】ウランの捕集方法を説明する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施例の海水中金属の捕集材は、バイオマスを粉砕してチップ状に加工し、即ち、表面積を確保する状態にバイオマスを形状処理したものである。バイオマスのチップには、ナトリウム塩である塩化ナトリウムの反応助剤を用いてタンニンが結合される。タンニンとしては、五倍子が適用される。バイオマスの重量に対して多くのタンニン(例えば、バイオマスの重量に対して20%程度以上のタンニン)を結合させて海水中の金属を吸着させることができる。そして、捕集材は海水中の金属であるウランを捕集する。
【0032】
反応助剤としては、塩化ナトリウム及び硫酸水素ナトリウムのナトリウム塩を用いたり、塩化カリウムを添加することが可能である。タンニンとしては、五倍子の他に、渋柿、チェストナット、ミモザ、ケブラチョ等から抽出したものを適用することが可能である。
【0033】
図1から図8に基づいて本発明の捕集材の実施例を説明する。
【0034】
図1には本発明の一実施例に係る海水中金属の捕集材の概念、図2、図3には捕集材の作成手順の状況、図4にはタンニンの重量とウランの吸着量との関係、図5には担体に対するタンニンの重量割合とウランの吸着量との関係、図6には海水からウランを捕集している状態の概念、図7にはウランの捕集量を検証する状態の概念、図8にはウランの捕集状況の経時変化を示してある。
【0035】
図1に示すように、本実施例の捕集材1は、反応助剤として塩化ナトリウム(NaCl)を用い、バイオマスのチップ2にタンニン(五倍子)を結合させたものである。反応助剤としては、塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、塩化カリウムを適用することが可能である。また、タンニンとしては、渋柿、チェストナット、ミモザ、ケブラチョ等から抽出したものを適用することが可能である。
【0036】
上述した実施例では、反応助剤を用いてバイオマスのチップ2に五倍子を結合させることで、五倍子の結合を促進することができる。本願では、反応助剤を用いずにバイオマスのチップ2に五倍子を結合させることも可能であり、反応助剤を用いない場合でも五倍子を結合させることが十分に可能である。
【0037】
図2から図5に基づいて捕集材1の作成手順を説明する。
図2(a)に示すように、40℃の蒸留水にチップ2を入れ、数時間から12時間程度浸漬してチップ2を膨潤させる。尚、蒸留水の温度は室温から100℃までの範囲で適宜設定することができる。また、蒸留水に後述する反応助剤(塩化ナトリウム:NaCl)を添加することも可能である。
【0038】
図2(b)に示すように、チップ2の重量の15倍から30倍の水に、チップ2の重量の1.5倍から3.0倍程度の重量のタンニンを加えて溶解し、タンニンが溶解した水溶液に塩化ナトリウム(NaCl)を添加してNaClが10%の溶液5とする。タンニンを溶解させることにより、チップ2をイオン化してタンニンの結合が促進される。
【0039】
バイオマスのチップ2では、チップ2の重量に対して多くのタンニン(例えば、バイオマスのチップ2の重量に対して20%程度以上のタンニン)を結合させることができる。
【0040】
尚、タンニンの重量は、チップ2の重量の1.0倍から10.0倍の範囲(好ましくは、1.0倍から4.0倍程度)で適宜設定することが可能である。そして、タンニンが添加される水の重量は、タンニンの量(チップ2の重量の1.0倍から10.0倍)に対応して適宜設定され、チップ2の重量の1.5倍から10.0倍の量のタンニンに対し、チップ2の重量の10倍から100倍の量の範囲で適宜設定することができる。
【0041】
図3(a)に示すように、溶液5を90℃から95℃に加熱し、90℃から95℃の溶液5にチップ2を1時間から2時間の間浸漬する。図3(b)に示すように、溶液5に浸漬したチップ2を水洗いし、図3(c)に示すように、乾燥させてタンニンがチップ2に結合された捕集材1とする。
【0042】
図4に示すように、チップ2の重量に対するタンニンの重量が増加するとウランの吸着量が増加する。タンニンの重量が5倍を超えて10倍以上になると、タンニンの量が増加してもウランの吸着量はほとんど増加しない。
【0043】
図5に示すように、チップ2の重量に対するタンニンの重量の割合が1倍を超える倍率で、ウランの吸着量が急激に増加する。タンニンの重量の割合が5倍を超えると、ウランの吸着量は微増に留まり、10倍を超えて割合が高くなるとウランの吸着量が低下する可能性がある。
【0044】
タンニンの重量が多くなり割合が高くなると、タンニンが重なって結合されてウランの吸着量の増加が期待できないため、チップ2の重量の1.5倍から3.0倍の重量のタンニンを水に溶解している。
【0045】
上述した手順で作製された捕集材1を係留等により海水中に所定期間の間保持し、海水中のウランを捕集する。尚、捕集する金属としては、ウランに限らず、希土類(レアアース)をはじめとするレアメタルと称されるその他の金属を捕集することができる。
【0046】
図6、図7に基づいて捕集材1から海水中のウランを捕集する際の実験状況を説明する。
【0047】
図6に示すように、25℃、1000cc(1L)の海水6中に所定量(数g以下:例えば、0.1gから0.5g程度)の捕集材1を入れ、スターラー7により24時間撹拌する。
【0048】
24時間経過した後、海水6から捕集材1を取り出し、図7(a)に示すように、0.1mol/LのHClを用いて捕集材1の溶離を行い、定容によりウランの量を分析した。また、図7(b)に示すように、捕集材1を取り出した後の海水6をイオン交換樹脂8に流通させて脱塩すると共に希釈し、定容によりウランの残量を分析した。
【0049】
定容の結果、捕集材1に所定量のウランが吸着していたことが確認された。また、海水6中にウランが検出されなかったことが確認された。これにより、1L中の海水6に含まれるウランが24時間で所定量の捕集材1に捕集されたことが判る。
【0050】
尚、捕集材1の溶離は、HClに代えて硝酸を用いることも可能である。またHCl(もしくは硝酸)の濃度を変更することにより、ウラン以外の希土類(レアアース)をはじめとするレアメタルと称されるその他の金属を選択的に溶離することが可能である。
【0051】
図8に基づいてウランの捕集量の経時変化を説明する。
【0052】
図に実線で示すように、1Lの海水6に所定量(例えば、0.1gから0.5g程度)の捕集材1を入れてから24時間程度で多くのウランが捕集され、120時間が経過する時間まで残りのウランが徐々に捕集され続ける。120時間を経過すると、ウランの捕集量は微増に留まり、1L中の海水6から120時間程度で略全てのウランを捕集材1で捕集できることが判る。このため、長時間に亘りウランを吸着し続けることができる。
【0053】
図に点線で示すように、例えば、10Lの海水6に捕集材1を入れてウランを捕集した場合、十数時間から百数十時間(捕集材1の量により変化する)で多くのウランが捕集され、その後徐々にウランが捕集されることになる。このことから、海水の量と捕集材1の量を適宜設定することにより、所定の時間で所望量のウランを捕集することができることが判る。
【0054】
上述した捕集材1は、塩化ナトリウム(NaCl)からなる反応助剤を用いてバイオマスのチップ2に天然由来のタンニン(五倍子)を結合させ、海水6中のウランを吸着させるので、低コストで海水6中のウランを捕集することが可能になる。
【0055】
そして、捕集材1は、チップ2の重量の15倍から30倍の量の水に、チップ2の重量の1.5倍から3倍の量のタンニンを溶解し、タンニンが溶解した水溶液に塩化ナトリウム(NaCl)を添加して溶液とし、加熱された溶液にチップ2が浸漬されると共に、浸漬後のチップ2が乾燥されて形成される。このため、チップ2の量に対するタンニンの量を適格に規定して最適な量のウランを吸着させることができる。
【0056】
尚、上述した捕集材1は、チップ2に対して、NaCl(反応助剤)を用いてバイオマスのチップ2に天然由来のタンニン(五倍子)を結合させた例を挙げて説明したが、バイオマスのチップ2にはタンニンが含まれているため、チップ2をそのまま海水に浸漬して金属を吸着させることが可能である。つまり、図2、図3の工程を省略して捕集材1とすることも可能である。
【0057】
図9に基づいて本発明の海水中金属の捕集方法の一例を説明する。図9にはウランの捕集方法の状況を示してある。
【0058】
本実施例の捕集方法は、海水にバイオマスのチップを所定時間の間浸漬して海水中の金属を吸着させ、金属を吸着させたバイオマスのチップをエネルギー回収のために燃焼させて灰を回収し、回収した灰から金属を分離するものである。つまり、図2、図3で説明した手順で作成されたチップ2を燃焼用の燃料として用いて熱エネルギーを回収し、燃焼後の灰を回収して回収した灰からウランを分離するものである。
【0059】
尚、図2、図3で説明した手順で作成されたチップ2を焼却装置で燃焼させることも可能である。また、タンニンを結合させない状態でウランを吸着したチップ2を燃焼用の燃料として用いることが可能である。
【0060】
図に示すように、チップ2を所定時間の間海水に浸漬して海水中の金属を吸着させる(実験例として図6参照)。金属を吸着させたバイオマスのチップ2を火力発電所21のボイラ22の燃料として石炭とともに燃焼させる。燃焼後の灰23を回収し、例えば、0.1mol/LのHClを用いて灰23の溶離を行ってウランを分離して回収する。
【0061】
このため、電力を得るためにチップ2を燃焼させた後の灰からウランを回収することができ、火力発電所21の熱エネルギーとして回収が可能で、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することが可能になる。
【0062】
これにより、再生した燃料(バイオマス)から海水中のウランを分離して得ることができ、しかも、石炭に含まれるウランを同時に得ることができる。バイオマスのチップ2は、バイオマスだけを燃料とする発電機器に用いることも可能である。
【0063】
尚、灰23の溶離は、HClに代えて硝酸を用いることも可能である。またHCl(もしくは硝酸)の濃度を変更することにより、ウラン以外の希土類(レアアース)をはじめとするレアメタルと称されるその他の金属を選択的に溶離することが可能である。
【0064】
電力事業者は、一定割合以上の再生可能な新エネルギーで発電電力をまかなうことが求められている。本実施例のバイオマスのチップ2を用いることにより、再生した燃料(バイオマス)を燃料として用い、再生可能な燃料を使用して石炭火力発電所で所定割合の電力の発電を行うことができる。このため、電力事業者(電力会社)として、一定割合以上の再生可能な新エネルギーで発電電力をまかなうことが可能になり、電力を得るためのエネルギーの回収が可能で、低コストで海水中の金属、特に、ウランを捕集することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、海水中の金属、例えば、ウランを捕集する海水中金属の捕集材及び海水中金属の捕集方法の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 捕集材
2 チップ
5 溶液
6 海水
7 スターラー
8 イオン交換樹脂
21 火力発電所
22 ボイラ
23 灰

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面積を確保する状態にバイオマスを形状処理し、形状処理された前記バイオマスにより海水中の金属を吸着させる
ことを特徴とする海水中金属の捕集材。
【請求項2】
請求項1に記載の海水中金属の捕集材において、
アルカリ塩からなる反応助剤を用いて前記バイオマスにタンニンを結合させ、海水中の金属を吸着させる
ことを特徴とする海水中金属の捕集材。
【請求項3】
請求項2に記載の海水中金属の捕集材において、
前記バイオマスの重量の10倍から100倍の量の水に、前記バイオマスの重量の1.0倍から10.0倍の量のタンニンを溶解し、タンニンが溶解した水溶液にアルカリ塩を添加して溶液とし、加熱された溶液に前記バイオマスが浸漬されると共に、浸漬後の前記バイオマスが乾燥されて形成される
ことを特徴とする海水中金属の捕集材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集材において、
吸着する前記金属は海水中のウランである
ことを特徴とする海水中金属の捕集材。
【請求項5】
海水にバイオマスを所定時間の間浸漬して海水中の金属を吸着させ、金属を吸着させたバイオマスを燃焼させて灰を回収し、回収した灰から金属を分離する
ことを特徴とする海水中金属の捕集方法。
【請求項6】
請求項5に記載の海水中金属の捕集方法において、
前記バイオマスを燃焼させてエネルギーを回収する
ことを特徴とする海水中金属の捕集方法。
【請求項7】
請求項6に記載の海水中金属の捕集方法において、
バイオマスを火力発電所の燃料として燃焼させる
ことを特徴とする海水中金属の捕集方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の海水中金属の捕集方法において、
回収する前記金属は海水中のウランである
ことを特徴とする海水中金属の捕集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−170856(P2012−170856A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33780(P2011−33780)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】