説明

消火装置

【課題】エアコンプレッサを用いることなく混合装置に消火泡生成用の加圧気体を供給できるようにして内燃機関の小型化を図る。
【解決手段】内燃機関11により駆動する水ポンプ14により水タンク15内の水16を混合装置12に加圧供給する水供給手段17と、電動モータ21で駆動する薬剤ポンプ22により薬剤タンク23内の消火用の薬剤24を混合装置12に加圧供給する薬剤供給手段25と、内燃機関11から排出される排ガスを圧縮空気に変換して混合装置12に加圧供給する排ガス圧縮空気変換手段26とを具備している。混合装置12は、水供給手段17から加圧供給した水16と薬剤供給手段25から加圧供給した薬剤24とを混合する混合器27と、この混合器27で混合した混合液を上記排ガス圧縮空気変換手段26から加圧供給した圧縮空気により発泡させて消火泡として吐出する発泡器28とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火泡を用いた消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消火泡を用いた圧縮空気泡消火装置(Compressed Air Form System:CAFS)は、消防車両に搭載されたエンジンにより水ポンプとエアコンプレッサとを駆動し、水ポンプから水を供給するとともに、エアコンプレッサから圧縮空気を供給し、水と消火用の薬剤とを混合した混合液に圧縮空気を供給することで、消火泡を生成し、これをノズルより火災箇所に放射するようにしている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
このCAFSは、水量が少なくてもすむので、水のみを用いた場合より水損被害が少ないとともに軽量であるため消火作業を容易にでき、消火力も高いことから、近年の消防車両に搭載されるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−220686号公報(第1頁、図4)
【特許文献2】特開2009−285424号公報(第1頁、図4)
【特許文献3】特開2009−82490号公報(第1頁、図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のCAFSは、1台のエンジンに水ポンプとエアコンプレッサとが接続されているため、エンジンにかかる負荷が大きく、そのため、水ポンプのみを駆動するエンジンの2倍のパワーを出力できる大型のエンジンが必要であった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、エアコンプレッサを用いることなく混合装置に消火泡生成用の加圧気体を供給できるようにして内燃機関の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置を備えた消火装置において、内燃機関により駆動される水ポンプにより水を上記混合装置に加圧供給する水供給手段と、消火用の薬剤を上記混合装置に加圧供給する薬剤供給手段と、上記内燃機関から排出される排ガスを圧縮空気に変換して上記混合装置に加圧供給する排ガス圧縮空気変換手段とを具備し、上記混合装置は、上記水供給手段から加圧供給された水と上記薬剤供給手段から加圧供給された薬剤とを混合するとともに、その混合液を上記排ガス圧縮空気変換手段から加圧供給された圧縮空気により発泡させて消火泡として吐出する消火装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置を備えた消火装置において、内燃機関により駆動される水ポンプにより水を上記混合装置に加圧供給する水供給手段と、消火用の薬剤を上記混合装置に加圧供給する薬剤供給手段と、上記内燃機関から排出される排ガスを圧縮空気代替ガスとして上記混合装置に加圧供給する排ガス供給手段とを具備し、上記混合装置は、上記水供給手段から加圧供給された水と上記薬剤供給手段から加圧供給された薬剤とを混合するとともに、その混合液を上記排ガス供給手段から加圧供給された排ガスにより発泡させて消火泡として吐出する消火装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、内燃機関により水供給手段の水ポンプを駆動するものの、上記内燃機関から排出される排ガスが持つエネルギを有効利用して、この排ガスを上記排ガス圧縮空気変換手段により圧縮空気に変換して混合装置に加圧供給し、水供給手段から供給された水と薬剤供給手段から供給された薬剤とを混合した混合液を上記排ガス圧縮空気変換手段から供給された圧縮空気により発泡させて消火泡として吐出するので、内燃機関により発泡用の圧縮空気を生成するエアコンプレッサを駆動する必要がなくなり、内燃機関により水ポンプとエアコンプレッサとを駆動する場合より、上記内燃機関で必要とされるパワーを半減させることができ、消火泡を生成できる消火装置の内燃機関を小型化できる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、内燃機関により水供給手段の水ポンプを駆動するものの、上記内燃機関から排出される排ガスが持つエネルギを有効利用して、この排ガスを圧縮空気代替ガスとして混合装置に加圧供給し、水供給手段から供給された水と薬剤供給手段から供給された薬剤とを混合した混合液を排ガス供給手段から供給された排ガスにより発泡させて消火泡として吐出するので、内燃機関により発泡用の圧縮空気を生成するエアコンプレッサを駆動する必要がなくなり、内燃機関により水ポンプとエアコンプレッサとを駆動する場合より、上記内燃機関で必要とされるパワーを半減させることができ、消火泡を生成できる消火装置の内燃機関を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る消火装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係る消火装置の他の実施の形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、図1に示された一実施の形態、図2に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
先ず、図1に示された一実施の形態を説明すると、消防ポンプ車などの消防車両には、消防用の内燃機関(すなわちエンジン)11と、水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置12とを備えた消火装置13が搭載されている。
【0014】
この消火装置13は、内燃機関11により駆動される水ポンプ14により車載または車外の水タンク15内に貯えられた水16を上記混合装置12に加圧供給する水供給手段17と、上記内燃機関11以外の駆動手段である電動モータ21で駆動される薬剤ポンプ22により車載または車外の薬剤タンク23内に貯えられた消火用の薬剤24を上記混合装置12に加圧供給する薬剤供給手段25と、上記内燃機関11から排出される排ガスを圧縮空気に変換して上記混合装置12に加圧供給するターボチャージャなどの排ガス圧縮空気変換手段26とを具備している。
【0015】
この排ガス圧縮空気変換手段26が一般的なターボチャージャと異なる点は、圧縮空気を内燃機関11の吸気口に供給するのではなく、混合装置12に加圧供給することである。
【0016】
上記混合装置12は、上記水供給手段17から加圧供給された水16と上記薬剤供給手段25から加圧供給された薬剤24とを混合する混合器27と、この混合器27で混合された混合液を上記排ガス圧縮空気変換手段26から加圧供給された圧縮空気により発泡させて消火泡として吐出する発泡器28とを備えている。
【0017】
混合器27と発泡器28は一体化しても良い。発泡器28は、バッファタンクとしての機能も備えており、この発泡器28の吐出口に消火ホース29が接続され、この消火ホース29の先端に消火ノズル30が接続されている。
【0018】
そして、水供給手段17から加圧供給された水16と、薬剤供給手段25から加圧供給された薬剤24とを、混合器27により混合し、この混合器27で混合された混合液と、排ガス圧縮空気変換手段26で排ガスの持つエネルギを利用して圧縮された空気とを発泡器28内に加圧供給することで、この発泡器28内で混合液を発泡させ、この発泡器28より吐出された消火泡を、消火ホース29を経て消火ノズル30より消火対象部に向けて噴出させる。
【0019】
この図1に示された実施の形態によれば、内燃機関11により水供給手段17の水ポンプ14を駆動するものの、上記内燃機関11から排出される排ガスが持つエネルギを有効利用して、排ガス圧縮空気変換手段26により排ガスを圧縮空気に変換し、この圧縮空気を混合装置12の発泡器28に加圧供給し、水供給手段17から供給された水16と、薬剤供給手段25から供給された薬剤24とを混合器27で混合した混合液を、排ガス圧縮空気変換手段26から発泡器28に加圧供給された圧縮空気により発泡させて、発泡器28から消火泡として吐出するので、内燃機関11により発泡用の圧縮空気を生成するエアコンプレッサを駆動する必要がなくなり、内燃機関11により水ポンプ14とエアコンプレッサとを駆動する場合より、上記内燃機関11で必要とされるパワーを半減させることができ、消火泡を生成できる消火装置13の内燃機関11を小型化できる。
【0020】
次に、図2に示された他の実施の形態を説明する。
【0021】
消防ポンプ車などの消防車両には、消防用の内燃機関(すなわちエンジン)11と、水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置12とを備えた消火装置13が搭載されている。
【0022】
この消火装置13は、内燃機関11により駆動される水ポンプ14により車載または車外の水タンク15内に貯えられた水16を上記混合装置12に加圧供給する水供給手段17と、上記内燃機関11以外の駆動手段である電動モータ21で駆動される薬剤ポンプ22により車載または車外の薬剤タンク23内に貯えられた消火用の薬剤24を上記混合装置12に加圧供給する薬剤供給手段25と、上記内燃機関11から排出される排ガスを直接または浄化処理後に圧縮空気代替ガスとして上記混合装置12に加圧供給する排ガス供給手段31とを具備している。
【0023】
上記混合装置12は、上記水供給手段17から加圧供給された水16と上記薬剤供給手段25から加圧供給された薬剤24とを混合する混合器27と、この混合器27で混合された混合液を上記排ガス供給手段31から加圧供給された排ガスにより発泡させて消火泡として吐出する発泡器28とを備えている。
【0024】
混合器27と発泡器28は一体化しても良い。発泡器28は、バッファタンクとしての機能も備えており、この発泡器28の吐出口に消火ホース29が接続され、この消火ホース29の先端に消火ノズル30が接続されている。
【0025】
そして、水供給手段17から加圧供給された水16と、薬剤供給手段25から加圧供給された薬剤24とを、混合器27により混合し、この混合器27で混合された混合液と、内燃機関11から排ガス供給手段31により加圧供給された圧縮空気代替ガスとしての排ガスとを、発泡器28内に加圧供給することで、この発泡器28内で混合液を発泡させ、この発泡器28より吐出された消火泡を、消火ホース29を経て消火ノズル30より消火対象部に向けて噴出させる。
【0026】
この図2に示された実施の形態によれば、内燃機関11により水供給手段17の水ポンプ14を駆動するものの、上記内燃機関11から排出される排ガスが持つエネルギを有効利用して、この排ガスを圧縮空気代替ガスとして混合装置12の発泡器28に加圧供給し、水供給手段17から供給された水16と薬剤供給手段25から供給された薬剤24とを混合器27で混合した混合液を、排ガス供給手段31から発泡器28に加圧供給された排ガスにより発泡させて、発泡器28から消火泡として吐出するので、内燃機関11により発泡用の圧縮空気を生成するエアコンプレッサを駆動する必要がなくなり、内燃機関11により水ポンプ14とエアコンプレッサとを駆動する場合より、上記内燃機関11で必要とされるパワーを半減させることができ、消火泡を生成できる消火装置13の内燃機関11を小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、消火装置の製造業または販売業に係わる者にとって利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
11 内燃機関
12 混合装置
13 消火装置
14 水ポンプ
16 水
17 水供給手段
24 薬剤
25 薬剤供給手段
26 排ガス圧縮空気変換手段
31 排ガス供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置を備えた消火装置において、
内燃機関により駆動される水ポンプにより水を上記混合装置に加圧供給する水供給手段と、
消火用の薬剤を上記混合装置に加圧供給する薬剤供給手段と、
上記内燃機関から排出される排ガスを圧縮空気に変換して上記混合装置に加圧供給する排ガス圧縮空気変換手段とを具備し、
上記混合装置は、上記水供給手段から加圧供給された水と上記薬剤供給手段から加圧供給された薬剤とを混合するとともに、その混合液を上記排ガス圧縮空気変換手段から加圧供給された圧縮空気により発泡させて消火泡として吐出する
ことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
水と消火用の薬剤と発泡用の気体とを混合する混合装置を備えた消火装置において、
内燃機関により駆動される水ポンプにより水を上記混合装置に加圧供給する水供給手段と、
消火用の薬剤を上記混合装置に加圧供給する薬剤供給手段と、
上記内燃機関から排出される排ガスを圧縮空気代替ガスとして上記混合装置に加圧供給する排ガス供給手段とを具備し、
上記混合装置は、上記水供給手段から加圧供給された水と上記薬剤供給手段から加圧供給された薬剤とを混合するとともに、その混合液を上記排ガス供給手段から加圧供給された排ガスにより発泡させて消火泡として吐出する
ことを特徴とする消火装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−165944(P2012−165944A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30672(P2011−30672)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)
【Fターム(参考)】