説明

消磁装置、および、商品管理装置

【課題】簡単に消磁エリアの範囲を調整する。
【解決手段】消磁装置10は、所定の領域20aを取り囲んで配置され、外周の長さ20dが変化する消磁アンテナ20と、消磁アンテナ20の外周の長さ20dを識別する識別処理部31と、識別処理部31が識別した消磁アンテナ20の外周の長さ20dに基づいて、出力電圧値を設定する出力電圧値設定部32と、出力電圧値設定部32が設定した出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナ20に出力する出力部33と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消磁アンテナを有する消磁装置、および、商品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品にセキュリティタグを取り付けて、商品のセキュリティ管理を行う商品管理システムが存在する。この商品管理システムでは、着磁されたセキュリティタグが商品に取り付けられており、商品の精算が行われると、その商品に取り付けられたセキュリティタグが、消磁装置により消磁される。
【0003】
消磁装置は、消磁アンテナと、消磁アンテナに電圧を出力する制御装置とを有する。制御装置により消磁アンテナに電圧が出力されると、消磁アンテナに電流が流れ、消磁アンテナの近傍に消磁エリアが発生する。この消磁エリア内に商品が入ると、その商品に取り付けられたセキュリティタグは消磁される。
【0004】
消磁エリアの範囲は、商品の大きさや、消磁装置の設置場所等に合わせて設定される。消磁エリアの範囲は、消磁アンテナの大きさにより調整することができる。消磁エリアの範囲を調整する際、調整者は、大きさの異なる複数の消磁アンテナから、好適な大きさの消磁アンテナを選択し、さらに、この選択した消磁アンテナに出力する電圧を、制御装置を操作して調整する。
【0005】
なお、タグを用いた管理システムに用いられる技術としては、例えば、タグに対するアクセスの可否にかかわるアクセス情報を記憶するアクセス情報記憶手段と、タグから識別情報を読み取ると共に、識別情報とアクセス情報とを基にして、タグとの間で通信を行う通信電波の強度を設定する電波強度設定手段とを備えたリーダライタ装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、タグリーダが受信電力レベルの通知要求を送信すると、タグは受信電力レベルを通知し、タグリーダは、通知された受信電力レベルに応じてタグに対する送信電力レベルを調整するタグシステムが存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、消磁手段の下流近傍に設けられ、タグの磁気を検知する検知手段と、検知手段の検知結果をオペレータに報知する報知手段とを備えた商品情報管理システムが存在する(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/106579号パンフレット
【特許文献2】特開2003−8481号公報
【特許文献3】特開2000−172948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、消磁アンテナに出力する電圧を、制御装置を操作して調整する方法は、専門知識等が必要であり、調整に多くの時間と工数がかかってしまう可能性がある。
このような点に鑑み、簡単に消磁エリアの範囲を調整することができる消磁装置、および、商品管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために以下のような消磁装置、および、商品管理装置が提供される。
この消磁装置は、所定の領域を取り囲んで配置され、外周の長さが変化する消磁アンテナと、消磁アンテナの外周の長さを識別する識別処理部と、識別処理部が識別した消磁アンテナの外周の長さに基づいて、出力電圧値を設定する出力電圧値設定部と、出力電圧値設定部が設定した出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナに出力する出力部と、を有する。
【0011】
また、この商品管理装置は、商品に取り付けられたバーコードを読み取るためのスキャナ窓と、スキャナ窓を取り囲んで配置され、外周の長さが変化する消磁アンテナと、消磁アンテナの外周の長さを識別する識別処理部と、識別処理部が識別した消磁アンテナの外周の長さに基づいて、出力電圧値を設定する出力電圧値設定部と、出力電圧値設定部が設定した出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナに出力する出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の消磁装置、および、商品管理装置によれば、簡単に消磁エリアの範囲を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る消磁装置の一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る消磁装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】第2の実施の形態に係る制御装置の機能の一例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態に係る電圧値テーブルの一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る消磁装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る商品管理装置の一例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る消磁アンテナが発生する消磁エリアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る消磁装置の一例を示す図である。
【0015】
消磁装置10は、消磁アンテナ20と、消磁アンテナ20に電圧を出力する制御装置30とを有している。
消磁アンテナ20は、導電体により構成され、所定の領域20aを取り囲んで配置されている。消磁アンテナ20は、制御装置30から電圧が出力されて電流が流れると、近傍に消磁エリアを発生させる。さらに、消磁アンテナ20は、外周の長さ20dが変化する機構を備えている。
【0016】
制御装置30は、識別処理部31と、出力電圧値設定部32と、出力部33とを有している。識別処理部31は、消磁アンテナ20の外周の長さ20dを識別する。出力電圧値設定部32は、識別処理部31が識別した消磁アンテナ20の外周の長さ20dに基づいて、消磁アンテナ20に出力する出力電圧値を設定する。
【0017】
ここで、消磁アンテナ20の近傍に、所定の消磁能力を持つ消磁エリアを発生させるには、消磁アンテナ20に所定の電流を流す必要がある。しかしながら、消磁アンテナ20の外周の長さ20dが変化すると、消磁アンテナ20の抵抗値が変化するため、消磁アンテナ20に出力する電圧が一定の場合、消磁アンテナ20に流れる電流が変化してしまう。
【0018】
このため、出力電圧値設定部32は、消磁アンテナ20に所定の電流が流れるように、消磁アンテナ20の外周の長さ20dに基づいて、消磁アンテナ20に出力する電圧の電圧値、すなわち、出力電圧値を、適宜、設定する。
【0019】
出力部33は、出力電圧値設定部32が設定した出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナ20に出力し、消磁アンテナ20に所定の電流を流す。
次に、消磁エリアの範囲の調整手順について説明する。
【0020】
まず、調整者が、例えば、消磁の対象であるセキュリティタグが取り付けられた商品の大きさや、消磁装置10の設置場所等に合わせて、消磁アンテナ20の外周の長さ20dを調整する。
【0021】
次に、識別処理部31が、消磁アンテナ20の外周の長さ20dを識別する。
次に、出力電圧値設定部32が、識別処理部31が識別した消磁アンテナ20の外周の長さ20dに基づいて、出力電圧値を設定する。
【0022】
次に、出力部33が、出力電圧値設定部32が設定した出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナ20に出力し、消磁アンテナ20に所定の電流を流す。
これにより、消磁アンテナ20の近傍に、所定の消磁能力を持つ消磁エリアが発生する。
【0023】
このように、消磁装置10では、消磁アンテナ20の外周の長さ20dが変化し、さらに、制御装置30が、消磁アンテナ20に出力する電圧の電圧値を、消磁アンテナ20の外周の長さ20dに基づいて設定する。
【0024】
このため、消磁アンテナ20の外周の長さ20dを変化させるだけで、消磁エリアの範囲を簡単に調整することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の消磁装置10をより具体的にした実施の形態について、第2の実施の形態として説明する。
【0025】
図2は、第2の実施の形態に係る消磁装置のハードウェアの一例を示す図である。図3は、図2の部分拡大図である。なお、図3は、説明のため、消磁装置が分解された状態を示す。
【0026】
図2に示すように、消磁装置100は、消磁アンテナ110と、消磁アンテナ110に電圧を出力する制御装置130とを有している。制御装置130から消磁アンテナ110に電圧が出力され、消磁アンテナ110に電流が流れると、消磁アンテナ110は、その近傍に消磁エリアを発生させる。
【0027】
まず、消磁アンテナ110について説明する。消磁アンテナ110は、固定アンテナ部111,112と、可動アンテナ部113とを有している。固定アンテナ部111,112および可動アンテナ部113は、導電性の板により構成されている。固定アンテナ部111,112および可動アンテナ部113の材料には、例えば、銅(Cu)が用いられている。
【0028】
固定アンテナ部111,112は、所定の領域110aの一部を取り囲んで配置されている。可動アンテナ部113は、所定の領域110aの残りの領域を取り囲んで配置されている。すなわち、固定アンテナ部111,112および可動アンテナ部113により、所定の領域110aは包囲されている。
【0029】
固定アンテナ部111は、X方向に延在する延在部111aを備えている。固定アンテナ部112は、X方向に延在する延在部112aを備えている。可動アンテナ部113は、X方向に延在する延在部113a,113bを備えている。延在部111aと延在部113a、および、延在部112aと延在部113bは、それぞれ密着しており、電気的に接続されている。
【0030】
さらに、可動アンテナ部113は、固定アンテナ部111,112に対して、X方向において移動が可能なように、取り付けられている。すなわち、延在部113a,113bは、延在部111a,112aに対して、X方向にスライドする。
【0031】
可動アンテナ部113が、固定アンテナ部111,112に対してX方向に移動することで、消磁アンテナ110の外周の長さ110dは変化する。すなわち、延在部111aと延在部113a、および、延在部112aと延在部113bの重なり部分が大きくなると、外周の長さ110dは短くなり、延在部111aと延在部113a、および、延在部112aと延在部113bの重なり部分が小さくなると、外周の長さ110dは長くなる。
【0032】
さらに、図2および図3に示すように、固定アンテナ部111の延在部111aには、貫通孔114が設けられている。さらに、延在部111aには、貫通孔114と重なる位置に、発光素子115が取り付けられている。
【0033】
また、可動アンテナ部113の延在部113aには、X方向に並んで複数の貫通孔116,117,118が設けられている。さらに、延在部113aには、貫通孔116〜118のそれぞれと重なる位置に、受光素子119,120,121が取り付けられている。
【0034】
可動アンテナ部113が、固定アンテナ部111,112に対して、X方向に移動することで、貫通孔114は、貫通孔116〜118のそれぞれと重なる。貫通孔114が貫通孔116と重なる場合、発光素子115が発光した光は、貫通孔114,116を介して、受光素子119により受光される。
【0035】
貫通孔114が貫通孔117と重なる場合、発光素子115が発光した光は、貫通孔114,117を介して、受光素子120により受光される。図2および図3では、この状態が図示されている。貫通孔114が貫通孔118と重なる場合、発光素子115が発光した光は、貫通孔114,118を介して、受光素子121により受光される。
【0036】
ここで、可動アンテナ部113は、貫通孔114が、貫通孔116〜118のそれぞれと重なる位置で停止するように、固定アンテナ部111,112に対して、段階的に移動する。
【0037】
なお、可動アンテナ部113に設けられる受光素子の数は、3つに限定されるものではない。受光素子は、後述するように、消磁アンテナ110の外周の長さ110dを識別するために用いられるものである。例えば、受光素子の数は、この識別の精度に応じて、適宜設定される。例えば、識別の精度を高くする場合には、受光素子の数を増やせばよい。
【0038】
また、消磁装置100では、発光素子115が固定アンテナ部111に取り付けられ、受光素子119〜121が可動アンテナ部113に取り付けられているが、発光素子115を可動アンテナ部113に取り付け、受光素子119〜121を固定アンテナ部111に取り付けることも可能である。
【0039】
次に、制御装置130について説明する。図2に示すように、制御装置130は、CPU(Central Processing Unit)131によって装置全体が制御されている。CPU131は、バス136を介してメモリ132と、受光素子コントローラ133と、発光素子コントローラ134と、アンテナコントローラ135と接続されている。
【0040】
メモリ132には、CPU131に実行させるプログラムや、CPU131による処理に必要な各種データが格納される。
受光素子コントローラ133には、配線141,142,143をそれぞれ介して、受光素子119〜121が接続されている。受光素子コントローラ133は、受光素子119〜121から送られてくる信号を、CPU131に送信する。
【0041】
発光素子コントローラ134には、配線144を介して、発光素子115が接続されている。発光素子コントローラ134は、CPU131からの命令に従って、発光素子115を発光させる。
【0042】
アンテナコントローラ135には、配線145,146をそれぞれ介して、固定アンテナ部111,112が接続されている。アンテナコントローラ135は、CPU131からの命令に従って、固定アンテナ部111,112に電圧を出力し、消磁アンテナ110に電流を流す。
【0043】
次に、制御装置130の機能について説明する。
図4は、第2の実施の形態に係る制御装置の機能の一例を示すブロック図である。
制御装置130は、発光処理部151と、受光処理部152と、識別処理部153と、出力電圧値設定部154と、電圧値テーブル記憶部155と、出力電圧値記憶部156と、出力部157とを有する。
【0044】
発光処理部151は、発光素子115を発光させる。受光処理部152は、受光素子119〜121から送られた信号を受信する。ここで、受光素子119〜121は、それぞれ、「A」、「B」、「C」の識別子によって、制御装置130内で識別される。
【0045】
識別処理部153は、受光処理部152が受信した信号が、受光素子119〜121のうち、どの受光素子から送られた信号かを識別する。ここで、消磁アンテナ110の外周の長さ110dに応じて、受光素子119〜121のうち、発光素子115が発光した光を受光する受光素子は異なる。
【0046】
すなわち、受光処理部152が受信した信号が、受光素子119〜121のうち、どの受光素子から送られた信号かを識別することで、間接的に消磁アンテナ110の長さ110dを識別することができる。
【0047】
電圧値テーブル記憶部155には、電圧値テーブルが格納される。電圧値テーブルには、各受光素子119〜121に対応付けて、複数の電圧値が格納される。
ここで、消磁アンテナ110の近傍に、所定の消磁能力を持つ消磁エリアを発生させるには、消磁アンテナ110に所定の電流を流す必要がある。しかしながら、消磁アンテナ110の外周の長さ110dが変化すると、消磁アンテナ110の抵抗値が変化するため、消磁アンテナ110に出力する電圧が一定の場合、消磁アンテナ110に流れる電流が変化してしまう。
【0048】
すなわち、消磁アンテナ110に所定の電流を流すためには、消磁アンテナ110の外周の長さ110dに応じて、消磁アンテナ110に出力する電圧の電圧値を設定する必要がある。
【0049】
つまり、電圧値テーブルに格納される電圧値は、このためのものであり、消磁アンテナ110に所定の電流を流すために、消磁アンテナ110の外周の長さ110dに応じて予め計算された電圧値である。
【0050】
また、消磁装置100では、発光素子115が発光した光を、受光素子119〜121のうち、どの受光素子が受光したかを識別することで、消磁アンテナ110の外周の長さ110dを識別できる。このため、電圧値テーブルでは、電圧値を、消磁アンテナ110の外周の長さ110dの代わりに、各受光素子119〜121に対応付けている。
【0051】
出力電圧値設定部154は、電圧値テーブル記憶部155から、識別処理部153が識別した受光素子に対応した電圧値を抽出し、抽出した電圧値を出力電圧値に設定し、出力電圧値記憶部156に格納する。
【0052】
出力部157は、出力電圧値記憶部156に記憶された出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナ110に出力し、消磁アンテナ110に所定の電流を流す。
次に、電圧値テーブル記憶部155に格納される電圧値テーブルについて説明する。
【0053】
図5は、第2の実施の形態に係る電圧値テーブルの一例を示す図である。
電圧値テーブル155aでは、受光素子119〜121の識別子である「A」〜「C」に対して、電圧値(V)が対応付けられている。ここでは、識別子「A」〜「C」に対して、「6」、「8」、「10」がそれぞれ対応付けられている。
【0054】
すなわち、例えば、受光素子119(識別子「A」)が、発光素子115が発光する光を受光した場合、固定アンテナ部111の延在部111aと、可動アンテナ部113の延在部113aとの重なり部分が最も大きくなり、消磁アンテナ110の外周の長さ110dは、最も小さくなる。この場合、消磁アンテナ110の抵抗値が小さくなるため、消磁アンテナ110に所定の電流を流すために消磁アンテナ110に出力する電圧は、最も小さく、例えば、「6」Vとなる。
【0055】
また、例えば、受光素子120(識別子「B」)が、発光素子115が発光する光を受光した場合、固定アンテナ部111の延在部111aと、可動アンテナ部113の延在部113aとの重なり部分の大きさは中間値となり、消磁アンテナ110の外周の長さ110dは、中間値となる。この場合、消磁アンテナ110の抵抗値が中間値となるため、消磁アンテナ110に所定の電流を流すために消磁アンテナ110に出力する電圧は、中間値、例えば、「8」Vとなる。
【0056】
また、例えば、受光素子121(識別子「C」)が、発光素子115が発光する光を受光した場合、固定アンテナ部111の延在部111aと、可動アンテナ部113の延在部113aとの重なり部分が最も小さくなり、消磁アンテナ110の外周の長さ110dは、最も大きくなる。この場合、消磁アンテナ110の抵抗値が大きくなるため、消磁アンテナ110に所定の電流を流すために消磁アンテナ110に出力する電圧は、最も大きく、例えば、「10」Vとなる。
【0057】
次に、消磁装置100の処理手順について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る消磁装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0058】
[ステップS100]発光処理部151が、発光素子115を発光させる。これにより、受光素子119〜121のいずれか1つが、発光素子115が発光した光を受光する。
[ステップS101]識別処理部153が、受光処理部152が受信した信号は、受光素子119〜121のうち、どの受光素子から送られた信号かを識別する。
【0059】
[ステップS102]出力電圧値設定部154が、電圧値テーブル155aから、識別処理部153が識別した受光素子に対応した電圧値を抽出する。
[ステップS103]出力電圧値設定部154が、ステップS102で抽出した電圧値を出力電圧値に設定し、出力電圧値記憶部156に格納する。
【0060】
[ステップS104]出力部157が、出力電圧値記憶部156に記憶された出力電圧値に応じた電圧を、消磁アンテナ110に出力し、消磁アンテナ110に所定の電流を流して処理を終了する。
【0061】
これにより、消磁アンテナ110に、所定の電流が流れ、消磁アンテナ110の近傍に、所定の消磁能力を持つ消磁エリアが発生する。
次に、消磁装置100が組み込まれた商品管理装置の例について説明する。
【0062】
図7は、第2の実施の形態に係る商品管理装置の一例を示す図である。
図7(A)は、セルフチェックアウトシステムに用いられる商品管理装置170を示す。商品管理装置170は、本体部171と、本体部171の両側に取り付けられた載置台172,173とを有している。
【0063】
載置台172には、精算前の商品が載置される。なお、商品には、バーコードと、セキュリティタグが取り付けられている。このとき、セキュリティタグは着磁されている。
本体部171には、スキャナ窓174と、表示画面175とが設けられている。スキャナ窓174の奥には図示しないスキャナが内蔵されている。
【0064】
消磁装置100は、例えば、本体部171に組み込まれている。ここで、消磁アンテナ110は、スキャナ窓174を取り囲むように配置されている。
商品が、スキャナ窓174の手前を通過することで、商品に取り付けられたバーコードが、スキャナ窓174を介してスキャナに読み取られ、さらに、商品に取り付けられたセキュリティタグが、消磁アンテナ110により消磁される。
【0065】
載置台173には、スキャナ窓174の手前を通過させた商品が載置される。
図7(B)は、POS(Point Of Sale)システムに用いられる商品管理装置180を示す。商品管理装置180は、読み取り部181と、載置台182と、精算部183とを有している。
【0066】
載置台182には、商品が載置される。なお、商品には、バーコードと、セキュリティタグが取り付けられている。読み取り部181を通過する前、セキュリティタグは着磁されている。
【0067】
読み取り部181には、スキャナ窓184と、表示画面185とが設けられている。スキャナ窓184の奥には図示しないスキャナが内蔵されている。
消磁装置100は、例えば、読み取り部181に組み込まれている。ここで、消磁アンテナ110は、スキャナ窓184を取り囲むように配置されている。
【0068】
商品が、スキャナ窓184の手前を通過することで、商品に取り付けられたバーコードが、スキャナ窓184を介してスキャナに読み取られ、さらに、商品に取り付けられたセキュリティタグが、消磁アンテナ110により消磁される。
【0069】
次に、消磁アンテナ110が発生する消磁エリアについて説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る消磁アンテナが発生する消磁エリアの一例を示す図である。なお、図8(A)は、消磁装置100を、図7(A)に示す商品管理装置170に組み込んだ場合を例とし、図8(B)は、消磁装置100を、図7(B)に示す商品管理装置180に組み込んだ場合を例としている。
【0070】
図8(A)は、スキャナ窓174が小さい場合を示し、図8(B)は、スキャナ窓184が大きい場合を示す。図8(A)、(B)に示すように、消磁エリア110bは、消磁アンテナ110の近傍に発生する。
【0071】
図8(A)に示すように、スキャナ窓174が小さい場合、消磁アンテナ110の外周は短くなり、発生する消磁エリア110bの範囲は小さくなる。また、スキャナ窓174は、消磁エリア110bから露出している。
【0072】
図8(B)に示すように、スキャナ窓184が大きい場合、消磁アンテナ110の外周は長くなり、発生する消磁エリア110bの範囲は大きくなる。また、スキャナ窓184は、消磁エリア110bから露出している。
【0073】
以上、説明してきたように、消磁装置100では、消磁アンテナ110の外周の長さ110dが変化し、さらに、制御装置130が、消磁アンテナ110に出力する電圧の電圧値を、消磁アンテナ110の外周の長さ110dに基づいて設定する。
【0074】
このため、消磁アンテナ110の外周の長さ110dを変化させるだけで、消磁エリアの範囲を簡単に調整することが可能となる。
さらに、消磁装置100では、固定アンテナ部111に発光素子115が取り付けられ、可動アンテナ部113に複数の受光素子119〜121が取り付けられ、発光素子115が発光した光を、受光素子119〜121のうち、どの受光素子が受光したかを識別することで、消磁アンテナ110の外周の長さ110dを識別している。
【0075】
本実施の形態では、受光素子119〜121および発光素子115を使って消磁アンテナ110の外周の長さ110dを識別しているが、識別の方法はこれに限らず、例えば、消磁アンテナ110に電圧を印加し、流れる電流値を測定し、その電流値に基づき消磁アンテナ110の外周の長さ110dを識別するようにしてもよい。
【0076】
これにより、消磁アンテナ110の外周の長さ110dを、複雑な構成を用いることなく、簡単に識別することが可能となる。例えば、消磁アンテナ110の外周の全長を直接計測するような方法では、複雑な構成が必要となる可能性がある。
【符号の説明】
【0077】
10,100 消磁装置
20,110 消磁アンテナ
20a,110a 所定の領域
20d,110d 長さ
30,130 制御装置
31,153 識別処理部
32,154 出力電圧値設定部
33,157 出力部
110b 消磁エリア
111,112 固定アンテナ部
111a,112a,113a,113b 延在部
113 可動アンテナ部
114,116〜118 貫通孔
115 発光素子
119〜121 受光素子
131 CPU
132 メモリ
133 受光素子コントローラ
134 発光素子コントローラ
135 アンテナコントローラ
136 バス
141〜146 配線
151 発光処理部
152 受光処理部
155 電圧値テーブル記憶部
155a 電圧値テーブル
156 出力電圧値記憶部
170,180 商品管理装置
171 本体部
172,173,182 載置台
174,184 スキャナ窓
175,185 表示画面
181 読み取り部
183 精算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域を取り囲んで配置され、外周の長さが変化する消磁アンテナと、
前記消磁アンテナの外周の長さを識別する識別処理部と、
前記識別処理部が識別した前記消磁アンテナの外周の長さに基づいて、出力電圧値を設定する出力電圧値設定部と、
前記出力電圧値設定部が設定した出力電圧値に応じた電圧を、前記消磁アンテナに出力する出力部と、
を有することを特徴とする消磁装置。
【請求項2】
前記消磁アンテナは、第1のアンテナ部と、前記第1のアンテナ部に対して所定の方向に移動する第2のアンテナ部とを有し、
前記第1および第2のアンテナ部の一方には、発光素子が形成され、
前記第1および第2のアンテナ部の他方には、前記所定の方向に並んで複数の受光素子が形成され、
前記識別処理部は、前記複数の受光素子のうち、前記発光素子が発光した光を受光した受光素子を識別することで、前記消磁アンテナの外周の長さを識別すること、
を特徴とする請求項1記載の消磁装置。
【請求項3】
複数の電圧値と前記消磁アンテナの外周の長さとが対応付けられたテーブルが格納される記憶部を有し、
前記出力電圧値設定部は、前記識別処理部が識別した前記消磁アンテナの外周の長さに基づいて、前記記憶部から電圧値を抽出し、抽出した電圧値を出力電圧値に設定すること、
を特徴とする請求項1または2記載の消磁装置。
【請求項4】
前記消磁アンテナは、着磁されたタグが取り付けられた商品が近づくと、前記タグを消磁すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の消磁装置。
【請求項5】
商品に取り付けられたバーコードを読み取るためのスキャナ窓を有する商品管理装置に対して、前記スキャナ窓が前記所定の領域に位置するように組み込まれること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の消磁装置。
【請求項6】
商品に取り付けられたバーコードを読み取るためのスキャナ窓と、
前記スキャナ窓を取り囲んで配置され、外周の長さが変化する消磁アンテナと、
前記消磁アンテナの外周の長さを識別する識別処理部と、
前記識別処理部が識別した前記消磁アンテナの外周の長さに基づいて、出力電圧値を設定する出力電圧値設定部と、
前記出力電圧値設定部が設定した出力電圧値に応じた電圧を、前記消磁アンテナに出力する出力部と、
を有することを特徴とする商品管理装置。
【請求項7】
前記消磁アンテナは、着磁されたセキュリティタグが取り付けられた商品が近づくと、前記セキュリティタグを消磁すること、
を特徴とする請求項6記載の商品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53528(P2012−53528A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193537(P2010−193537)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】