説明

液体ハンドリング用プローブの洗浄方法および分析装置

【課題】液体ハンドリング用プローブを具備する分析装置を適正な分析結果を維持し、洗浄コストを必要最小限に抑える利点を有し、地球環境に優しく、且つ経済性と信頼性を満足する方法および装置を提供する。
【解決手段】分析用液体を収容し且つ液量に関する情報を事前に有している液体容器に対して、液体ハンドリング用のプローブを前記容器の上方位置から下降させ、前記プローブの先端部分が前記容器内の分析用液体の液面に到達したか否かを前記プローブの下降動作と関連付けて検知し、検知された液面位置に基いて、前記プローブによる液体ハンドリングに必要な潜り込み量の距離まで前記プローブを下降させて液体ハンドリングを実行し、前記プローブの下降量と前記液量に関する事前情報とを比較した情報に基いて、前記プローブにおける洗浄範囲を決定し、洗浄範囲に応じて前記プローブに対する洗浄の強度を変更する液体ハンドリング用プローブの洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創薬等の種々研究や診断等の医療のための生物学的分析に適用され、例えば生化学的分析、免疫学的分析、遺伝学的分析等を行なう分析装置に具備される液体試料及び/又は液体試薬に対する各種液体ハンドリング行なうプローブを洗浄する洗浄方法に関する。また、本発明は、その洗浄方法を実行する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的な用途、例えば臨床検査において生化学等の分析を自動化した分析装置は各種分析用液体(試料、試薬等)をハンドリングするためのプローブを具備している。このような液体ハンドリング用のプローブには、例えば所望量の分析用液体を吸引して別の容器等に対し所望量の液体を供給する分注手段や、液体容器内の混合すべき液体を攪拌するための攪拌手段が挙げられる。例えば、吸引機構を少なくとも有する分注手段には、分析用液体を吸引保持するノズル部分を有効に洗浄するための洗浄手段も通常具備される。この洗浄手段は、通常、吸引機構の分注用ノズルが液面に対し過剰に深く侵入してしまわないように、液面検知を行い、この液面検知データに基づいて液面下への潜り込み量を算出し、算出された移動量だけ吸引機構を下降させるようにしている。
【0003】
ところが、容器の汚れや泡等のような特有のノイズ成分によって、液面検知機構が誤まった液面検知データを送出する場合が有り得る。この場合、充分に液体容器内に液が残っている容器に対して、試薬プローブ等の吸引機構が容器奥深く挿入してしまうことがあり、そこで、従来では、吸引状態をポンプ圧等により監視することによって誤った吸引を実行した分析装置の動作全体を停止させてユーザーに分注用ノズルの交換や洗浄を手作業で実行するような対処を必要とした。
【0004】
また、泡等の有無を検知することが可能な液面検知機構を具備する分注手段も提案されている(例えば、特許文献1、2、3)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−271328号
【特許文献2】特開平11−218539号
【特許文献3】特開2005−17144号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、生物学的材料の組成や、その生物学的活性等を維持するために用いられる各種添加物や、活性維持のための温度条件等によっては、泡等のノイズ成分の発生頻度や発生量(大きさ及び/又は数量)がまちまちだったり、非常に泡立ちやすい特性を有するものも有り、このような種別の分析用液体に対して液面検知を行おうとすると、泡検知のための閾値設定外となって検知できなかったり検知精度がばらつく可能性がある。また、吸引機構が液面に到達する前に液面検知して空吸引したり空吐出(または送液)したり、空気による飛び散りや結果データの不良を招いたりする場合があり得る。このように、かかる泡検知機能が対応し切れない多様なノイズに対しては、どの程度まで分注用ノズルが液面に潜り込んだのかが不明であるだけでなく、どの程度まで分注用ノズルが汚れたかの把握が困難なため分注先である容器同士でのキャリーオーバーを防止するのが難しかった。
【0007】
また、泡等が任意に発生するような容器から繰り返し吸引を行う場合、泡等の発生量に応じて液面高さが変動し得るため、正確な液体残量を把握できず、ひいては次回の分注量が不正確になることもあり得る。
【0008】
一方、分析装置においては、試料と試薬を分注した反応容器に対して、先端に攪拌用の回転羽や振動子を設けた攪拌用プローブを反応容器内の反応用液体に所要量の深さまで侵入させた状態で攪拌を行われる。かかる攪拌プローブも、反応容器内の反応用液体に含まれる試料及び/又は試薬の組成や反応用液体における反応を調節するための設定温度に応じて泡等のノイズ成分の発生頻度及び/又は発生量が異なるため、反応容器間のキャリーオーバーを防止するのが難しかった。
【0009】
本発明の目的は、液体ハンドリング用プローブによる液面検知が誤ったりばらつきが生じた場合でも、適正な洗浄を実行できる液体ハンドリング用プローブの洗浄方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、泡等の発生有無に応じた液面検知を行った場合にも、液体吸引後の容器内の液体残量を正確に更新できる方法を提供することである。
【0011】
さらに、本発明のさらなる他の目的は、分注用ノズルの汚染が予測される場合は、洗浄力を適切に変更することにより、装置を停止させることなく、コンタミネーションを抑えて分析を可能とする分注ノズルの洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、分析用液体を収容し且つ液量に関する情報を事前に有している液体容器に対して、液体ハンドリング用のプローブを前記液体容器の上方位置から下降させることにより、前記プローブの先端部分が前記液体容器内の分析用液体の液面に到達したか否かを前記プローブの下降動作と関連付けて検知し、前記検知により検知された液面位置に基いて、前記プローブによる液体ハンドリングに必要な潜り込み量に相当する距離まで前記プローブを下降させて液体ハンドリングを実行し、前記プローブの下降量と前記液量に関する事前情報とを比較した比較情報に基いて、前記プローブにおける洗浄範囲を決定し、決定した洗浄範囲に応じて前記プローブに対する洗浄の強度を変更することを特徴とする液体ハンドリング用プローブの洗浄方法である。ここで、前記液体ハンドリングが分析用液体の分注及び/又は攪拌であることにより、分注や攪拌動作を行なうようにしてもよい。また、前記液体ハンドリングが分析用液体の分注動作であり、前記分析用液体の種別と吸引すべき液量に基づいて前記決定すべき洗浄範囲を変更することにより、ノイズ成分の発生のし易さに応じた洗浄方法を提供できる。また、前記液体ハンドリングが分析用液体の攪拌動作であり、前記分析用液体の種別と前記液体容器における前記分析用液体の温度情報に基づいて前記決定すべき洗浄範囲を変更することにより、多様な生物学的反応を行なう場合にも常に適切なプローブの洗浄を実行できる。
【0013】
また、本発明は、分析用液体を収容し且つ液量に関する情報を事前に有している液体容器から、前記分析用液体を複数回吸引して各々所要量の分注行なう際の各分注の間に適用され、吸引前の前記液体容器内における液量または液面高さに関する情報を準備し、前記液体容器内の液面高さを液面検知機構により検知し、前記液面検知機構により検知された液面高さと前記情報とを比較し、比較した結果に基づき、毎回の分注における前記分注用ノズルの洗浄の強度を変更するとともに、前記液体容器内の吸引後の液体残量に対応する液量または液面高さに関する情報を決定し、決定された情報を次回の分注における準備情報として用いることを特徴とする分注ノズルの洗浄方法でもある。この発明により、液面検知に誤動作が生じても残量データを適切に更新できるので、常に適切な洗浄が行なえる。ここで、前記液面検知機構が泡等のノイズ情報を検知可能な機能を有する場合であって、液面検知機構が前記ノイズ情報を検知した場合には液面検知機構が検知した液面位置を真の液面として判断して吸引すべき量に相当する潜り込み量での吸引を行なうとともに、吸引後の液体残量に関しては前記液面位置ではなく前記事前の液量情報に基づいて決定を行なうようにすれば、真の液面に基づく吸引を行いながら残量データも適切に更新できる。また、前記液面検知機構が泡等のノイズ情報を検知する機能を持たない場合であって、液面検知機構により検知した液面位置が前記事前の液量情報に対して有意差が有る場合には吸引すべき量及びノイズの存在に対して設定された量の和に相当する潜り込み量での吸引を行なうとともに、吸引後の液体残量に関しては前記液面位置ではなく前記事前の液量情報に基づいて決定を行なうようにすれば、ノイズ成分の有無に影響されずにプローブによる吸引と残量データの更新を行なえる。なお、前記比較結果が液面検知機構の誤検知による誤った液面高さを反映している場合には、前記分注用ノズルに対する洗浄の強度を高めるような変更を行なうようにするのが好ましい。
【0014】
また、本発明の分析装置によれば、前記液体容器の分析用液体に侵入して所定の液体ハンドリング動作を行うためのプローブと、前記複数の液体容器のうち、ハンドリングすべき液体容器と前記プローブとを同じ位置に位置付けるための移送手段と、前記プローブの先端部の高さと関連付けて設けられ、前記液体容器内における液量または液面高さに関する情報を取得するための液面検知手段と、2以上の異なる洗浄力に切り替えて前記プローブの洗浄を行うための洗浄手段とを具備し、前記液面検知手段により得られた液面検知後の前記プローブの潜り込み量に応じて前記洗浄手段による洗浄力を切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。ここで、前記制御手段による洗浄力の切り替えは、前記移送手段が、前記洗浄手段において独立の洗浄槽に収容される異なる洗浄力を有する複数の洗浄液に対し選択的に前記プローブを位置付けることにより、プローブの移動動作だけで適正な洗浄力による洗浄を選択することができる。
また、前記制御手段による洗浄力の切り替えは、前記洗浄手段における共通の洗浄槽に供給される洗浄液の洗浄力を異ならせることによって実行するようにしてもよく、この場合には少スペース化が得られるだけでなく、洗浄過程で洗浄力を増減させるような変更も可能となる。また、前記制御手段は、複数の液体容器毎に種別を記憶する記憶部と、前記プローブの所定の潜り込み量に対して前記分析用液体の種別ごとに追加すべき潜り込み量を加算した潜り込み量を生成するデータ生成部とを含んでおり、前記データ生成後の潜り込み量に基づいて前記洗浄手段の切り替えを実行するようにすれば、予め予測できる範囲のノイズ成分の発生に応じたハンドリングおよび洗浄を実行できる。また、前記データ生成部は、分析用液体の種別ごとに予期されるノイズ成分の発生頻度及び/又は量に応じて、複数の潜り込み量を設定可能に構成することにより、任意の液体の種類に対して常に適性な洗浄が実行される。同様に、前記データ生成部は、前記分析用液体の種別ごとの温度管理情報に基づいて予期されるノイズ成分の発生頻度及び/又は量に応じて、複数の潜り込み量を設定可能であるのが好ましい。
【0015】
また、上記分析装置において、前記プローブの先端部は前記液体容器内の分析用液体を吸引して分注を行うための分注用ノズルを有し、前記洗浄手段を前記分注用ノズルの移動途中に配置するのが都合がよい。また、前記吸引手段は、同一の液体容器から異なるタイミングで実行される複数回数の吸引動作と、毎回の吸引動作の間に実行される前記洗浄手段による洗浄動作からなる分注サイクルを有するのが実用上効率が良い。また、前記吸引手段は、交換可能なチップを前記分注用ノズル部分に装着して同一の分析用液体を複数回分注するためのチップ交換部を具備することにより、チップごとのばらつきがあっても適正な液体ハンドリングとプローブの洗浄を行なえる。また、前記プローブの先端部は前記液体容器内の分析用液体を所望の深さまで浸水して攪拌を行うための攪拌手段を有し、前記攪拌手段が液体容器から離れた位置に移動する移動先に前記洗浄手段を配置するようにしても実用上好ましい。さらに、前記攪拌手段は、前記洗浄手段における洗浄槽に対し侵入した状態で前記潜り込み量に応じた攪拌動作を実行することによって洗浄力を切り替え可能に構成することで、洗浄のための特別な構成が不要となり、洗浄コストがさらに低減するので好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御できない液体ハンドリング用プローブの分析用液体に対する潜り込み(例えば泡等による過剰な下降量等)に対し、適切に洗浄できる方法および分析装置を提供できる。さらに、液面検知が誤動作しても、分析用液体の残量データを正確に保つことにより適切なプローブの洗浄を行なうことができる方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
最初に、この実施の形態に係る自動分析装置について、図1を参照して説明する。なお
、図1は第1の実施の形態における自動生化学分析装置の概略構成を示す平面図である。
図1 を参照すると、本実施の形態における自動分析装置では、装置本体1 に、反応ディ
スク2 、検体用ターンテーブル3 、試薬用ターンテーブル4 が配置されている。反応ディスク2 には、複数の反応容器5 が同心円周上に環状に配置されており、検体用ターンテーブル3 には、複数の検体容器(試料容器) 6 が同心円周上に環状に配設されている。また、試薬用ターンテーブル4 には、複数の試薬ボトル7 が、同心円周上に環状に配設されている。ここで、試薬ボトル7は、特開2007−147658号に記載されるように、ターンテーブル上で自転可能に設置され、試薬ボトル内の沈降性成分(微小粒子状試薬含有溶液または液状高粘性試薬など)を常に均一な懸濁状態に保つようにしてもよい。
【0018】
ここで、検体容器6には、分析対象となる検体、すなわち、血液、尿、糞便溶解液、培
養細胞液等が収められている。試薬ボトル7には、分析項目に必要な複数種類の生化学分析用の試薬が個別に収められている。反応ディスク2、検体用ターンテーブル3、及び試薬用ターンテーブル4は、それぞれ図示しない回転機構により、間欠的に回転動作し、所定の位置決めが可能になっている。反応ディスク2には、液体分注ポジションP1、試薬分注ポジションP3、攪拌ポジションP5、測定ポジションP6、反応容器洗浄ポジションP7が、図示しない装置コントローラに記憶され、設定されている。同様に、検体用ターンテーブル3、試薬用ターンテーブル4には、それぞれ、検体吸引ポジションP2、試薬吸引ポジションP4が設定されている。
【0019】
さらに、装置本体1には、検体用分注ユニット8及び試薬用分注ユニット9が配設されている。検体用分注ユニット8及び試薬用分注ユニット9は、それぞれ先端に図示しない分注プローブを有しており、上下動作及び回転動作が可能になっている。また、分注プローブは、それぞれ、図示しないシリンジポンプに接続されており、検体もしくは試料を吸引、吐出できるようになっている。さらに、分注プローブ内に洗浄液を供給する洗浄液送ポンプ( 不図示) が接続されており、分注動作後に分注プローブ先端から洗浄液を排出することにより分注プローブ内を洗浄できるようになっている。これらの分注プローブによる全ての動作は、各分注ユニット8、9に対応するプローブ駆動部21、22によって動作制御されている。
【0020】
検体用分注ユニット8は、回転動作により、検体分注ポジションP 1と検体吸引ポジションP2との間を行き来できる位置に配設されている。そして、検体分注ポジションP1と検体吸引ポジションP2との間であって、検体用分注ユニット8が回転動作により通過する経路上の位置には、検体用分注ユニット8に具備される分注プローブの洗浄を行う検体用洗浄槽10が配設されている。
【0021】
試薬用分注ユニット9は、回転動作により、試薬分注ポジションP3と試薬吸引ポジションP4との間を行き来できる位置に配置されている。そして、試薬分注ポジションP3と試薬吸引ポジションP4との間であって、試薬用分注ユニット9が回転動作により通過する経路上には、試薬用分注ユニット9に具備される分注プローブの洗浄を行う試薬用洗浄槽11が配設されている。
【0022】
また、攪拌ポジションP5の外周位置には、攪拌ユニット12が配設され、反応ディスク2の攪拌ポジションP5に順次停止された反応容器5内の混合液に対して、上下動しながら順次攪拌するようになっている。また、攪拌ユニット12は、攪拌ポジションP5と攪拌用洗浄槽27との間を往復するように回転動作するようになっていて、毎回の反応容器5に対する攪拌後に攪拌用洗浄槽27に移動し上下動することによって、洗浄槽内の洗浄液に攪拌プローブを浸すようになっている。ここで、攪拌ユニット12の先端には図示しない攪拌プローブが具備されており、適宜の攪拌機構(例えば、回転自在な回転羽)により反応容器内5の混合液を均一に混和するとともに、洗浄槽27内では各洗浄液と充分に接触して濯がれる。なお、攪拌ユニット12における全ての動作は、プローブ駆動部23によって制御されている。
【0023】
この実施形態を特徴付けている一つの構成要素として、検体用分注ユニット8、試薬用分注ユニット9および攪拌ユニット12は、それぞれ検体容器6、試薬容器7および反応容器5内の液体(すなわち、検体、試薬、反応用混合液)に対し各プローブがどの程度潜り込んだかを判定するための潜り込み量判定部24、25、26と接続している。液体への潜り込み量を判定するためには、各プローブに対し図示しない液面検知機構が設けられている。ここで、検体用分注ユニット8の分注プローブに設けられた液面検知機構は、検体吸引ポジションP2に位置付けられた検体容器6内に収容された検体の液面を検知する構成を有している。また、試薬用分注ユニット9の分注プローブに設けられた液面検知機構は、試薬吸引ポジションP4に位置付けられた試薬容器7内に収容された検体の液面を検知する構成を有している。また、攪拌ユニット12の攪拌プローブに設けられた液面検知機構は、攪拌ポジションP5に位置付けられた反応ディスク2上の反応容器5に収容された混合液の液面を検知する構成を有している。
【0024】
この実施形態を特徴付けているもう一つの構成要素として、各洗浄槽10、11、27は、洗浄力が異なる2種類の洗浄液を収容するための2箇所の収容部を具備している。すなわち、図1に示されるように、各洗浄槽10、11、27は仕切り等により2種類の洗浄液を独立して収容するとともに、洗浄に必要な洗剤による洗浄や緩衝液等による濯ぎといった一連の洗浄工程を実行する機構を有している。ここで、洗浄力を異ならせるために、2箇所の各収容部には、互いに洗剤の種類および/または濃度が異なる洗浄液を用いることとする。また、検体プローブ用、試薬プローブ用、攪拌プローブ用の各洗浄液の組成は、洗剤の種類や濃度が異なっているのが好ましい。
【0025】
測定ポジションP6の外周位置には、測定ユニット13が配設されており、測定ポジションP6の位置に来た反応容器5内の混合液の吸光度や蛍光(または発光)強度等の測定用シグナルを測定する構成になっている。反応容器洗浄ポジションP7の外周位置には、反応容器洗浄ユニット14が配設されており、測定及び分析の完了した混合液を廃棄し、反応容器を洗浄するようになっている。
【0026】
以上の図1に具備される全ての動作要素は、図示せぬ装置全体用の制御部によって所要の分析が行われるように制御されている。
【0027】
この実施形態においては、各潜り込み量判定部24、25、26による判定結果に基づき、通常の洗浄を行うか或いは相対的に強い洗浄を行うかが一義的に決定し、これに応じて、制御部が各プローブ駆動部21、22、23に対して通常の洗浄を行うか相対的に強い洗浄を行うかの指示を与えることにより、各洗浄槽10、11、27の2つの収容部のうち、適切な洗浄力の洗浄液を有する収容部にプローブを下降侵入させる。洗浄槽10、11、27は選ばれた収容部内の洗浄液に必要量の深さまでプローブが浸水したら、一定の洗浄動作により常に同じ時間内に洗浄を終了するようになっている。洗浄液に対するプローブの浸水動作は、常に一定の浸水量となるように構成してもよいし、判定された潜り込み量に応じた深さに調節するように構成してもよい。また、洗浄液に対するプローブの浸水有無を各プローブに固有の液面検知機構によって監視することによって、洗浄状態をモニタリングしたり、洗浄動作のオン・オフを同期させて洗浄動作の無駄を省くことも可能である。
【0028】
この実施形態によれば、毎回異なる試料や試薬を分注し洗浄してリユースされるような分注プローブや、各反応容器中の混合液を攪拌する度に洗浄してリユースされるような攪拌プローブを使用する場合において、分析に必要な各分析用液体(すなわち、検体、試薬、反応用混合液)に対するプローブの潜り込み量を判定して常に適切な洗浄を実行する。とくに、この判定方法によれば、各プローブ固有の液面検知機構により誤動作が生じた場合であっても適切な洗浄が行われるように潜り込み量を判定し、適切な洗浄力による洗浄を行えるので、分析装置を停止することなく、常に再現性が優れた分析を実行できるともに、洗浄コストを最小限に抑えることが可能である。
【0029】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る自動分析装置要部の構成を模式的に示す図である。同図に示す自動分析装置100は、試料および試薬を反応容器にそれぞれ分注し、その反応容器内の液体に対する光学的な測定を行う測定機構101と、この測定機構101の駆動制御を行うとともに測定機構101における測定結果の分析を行う中央制御部201とを有し、これら二つの機構が連携することによって複数の試料の免疫学的な分析を自動的かつ連続的に行う装置である。以後、自動分析装置100が不均一系反応を用いた免疫学的な測定を行うものとして説明する。なお、この実施形態に記載の装置は、上述した第1の実施形態のような生化学分析を任意に組合せで実行する生化免疫複合型の分析装置であってもよい。
【0030】
最初に、自動分析装置100の測定機構101について説明する。測定機構101は、試料Spを収容する試料容器122が搭載された複数のラック121を収納して順次移送する試料移送部102と、試料Spとの抗原抗体反応に適用する担体試薬を収容する担体試薬容器123を保持する担体試薬容器保持部103と、各種液体試薬を収容する液体試薬容器124 を保持する液体試薬容器保持部104と、試料と試薬とを反応させる反応容器125を保持する反応容器保持部105と、を備える。
【0031】
担体試薬容器保持部103は、担体試薬容器123を保持するホイールと、このホイールの底面中心に取り付けられ、その中心を通る鉛直線を回転軸としてホイールを回転させる駆動手段とを有する。液体試薬容器保持部104および反応容器保持部105も担体試薬容器保持部103と同様、ホイールおよびこのホイールを回転させる駆動手段をそれぞれ有する。
【0032】
各容器保持部内は一定の温度に保たれている。例えば、液体試薬容器保持部104は、試薬の劣化や変性を抑制するために室温よりも低温に設定され、反応容器保持部105内人間の体温と同程度の温度に設定される。
【0033】
また、測定機構101は、試料移送部102上の試料容器122に収容されている試料Spを反応容器保持部105で保持する反応容器5に分注する試料分注部106と、担体試薬容器保持部103上の担体試薬容器123に収容されている担体試薬を反応容器125に分注する担体試薬分注部107と、液体試薬容器保持部104上の液体試薬容器4に収容されている液体試薬を反応容器125に分注する液体試薬分注部108と、反応容器125を反応容器保持部105に設置したり反応容器保持部105から取り除いたりするために反応容器125を移送する反応容器移送部109と、を備える。
【0034】
試料容器122には、その内部に収容する試料を識別する識別情報をバーコードまたは2次元コード等の情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体が貼付されている( 図示せず)。同様に、担体試薬容器123および液体試薬容器124にも、内部に収容する試薬を識別する識別情報を情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。このため、測定機構101は、試料容器122に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR1、担体試薬容器123に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR2、および液体試薬容器124に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR3を備える。さらに、本発明では反応容器125にも後に分注される反応用液(試料、液体試薬、担体試薬の任意の組み合わせであってよい)を識別する識別情報を情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。このため、測定機構101は、反応容器125に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR4をさらに備える。
【0035】
試料分注部106は、本実施の形態に係る分注装置100によって実現される。この試料分注部106の動作線上には、未使用のチップ(不図示)をプローブ121の先端に保持するためのチップ格納部116と、使用済みのディスポーザブル・チップ(不図示)をプローブ121から取り外して廃棄するためのチップ廃棄部126とが設けられている。試料分注部106のプローブ11に対してチップを装着する際には、チップ格納部116内の所定のチップ装着位置でプローブ11を下降させることによってチップを装着する。他方、チップ廃棄部126でチップをプローブから脱却する際には、例えばスリット状の切り欠きを有する治具をチップ廃棄部126に設けておき、このスリット部分にプローブ121を挿入した後、プローブ121を上昇させることによって使用済のチップを取り外し、廃棄ボックスへ自動的に落下させる構成とすればよい。
【0036】
担体試薬分注部107および液体試薬分注部108は、試料分注部106とほぼ同様の構成を有する。本実施の形態においては、担体試薬分注部107および液体試薬分注部108でプローブの先端にチップを装着することは想定していないが、試料分注部106と同様、分注するたびにプローブの先端に新たなチップを装着するような構成とすることも可能である。
【0037】
反応容器移送部109の動作線上には、未使用の反応容器125を保持する反応容器格納部119と、使用後の反応容器125を廃棄する反応容器廃棄部129とが設けられている。反応容器移送部109は、反応容器125の内部に液体がある場合であってもその液体をこぼすことなく移送できるものであれば如何なる構成を有していてもよい。
【0038】
引き続き測定機構101の構成を説明する。測定機構101は、担体試薬のB/F洗浄を行うB/F洗浄部110と、反応容器125の内部に収容された液体を攪拌する攪拌棒を有する攪拌部111と、反応容器125内の反応液から発光する光を検出する測光部112と、を備える。 B/F洗浄部110は、生理食塩水等のB/F洗浄液を反応容器125に対して吐出する吐出用ノズルと、B/F洗浄後のB/F洗浄液を反応容器125から吸引して廃棄する吸引用ノズルとを有する。
【0039】
本発明の特徴として、試料分注部106、担体試薬分注部107、および液体試薬分注部108のそれぞれに具備される分注用プローブには、第1の実施形態で説明したのと同様の液面検知機構が一体化されているものとする。また、図2に示されるように、試料分注部106、担体試薬分注部107、および液体試薬分注部108のそれぞれには各分注用プローブを洗浄するための洗浄装置133、132、131がプローブの移動軌跡の途中に配置されている。この各洗浄装置131〜133はいずれも、筒状の洗浄槽に対して側面や底面に洗浄溶液の給排構造が形成されている。各洗浄装置131〜133における洗浄流量や洗剤濃度は、洗浄制御部134〜136により制御されている。ここで、洗浄制御部134〜136の制御は、上述した本発明の洗浄方法に係る判断基準によって、強い洗浄力を必要とするプローブに対しては洗浄流量及び/又は洗剤濃度を相対的に大き値に調整してプローブの洗浄を行う。逆に通常の洗浄力で洗浄できるプローブに関しては、通常の洗浄モードである標準の洗浄流量及び/又は洗剤濃度に設定される。かかる洗浄力の強弱を調節するための構成は、例えば特開平4−169851号、特開昭57−39353号等を参照してもよい。また、交換可能なディスポー
ザブル・チップを複数回分注に使用するための洗浄手段の構成としては、特開平5−307043号を参照にしてもよい。
【0040】
測光部112は、微弱な光を検出可能な光電子増倍管を有する。なお、反応液から発生する蛍光を測定する場合には、測光部112として励起光を照射するための光源を設ければよい。
【0041】
以上の構成を有する測定機構101において、1回の回転動作で反応容器保持部105 が回転する角度は予め定められており、その回転によって試料Spや各種試薬の分注等を同時多発的に行うことができるような構成となるように、全ての構成要素が配置されている。この意味で、図2はあくまでも測定機構101の構成要素を模式的に示すものに過ぎない。すなわち、測定機構101の構成要素間の相互の位置関係は、反応容器保持部105のホイールの回転態様等の条件に応じて定められるべき設計的事項である。
【0042】
続いて、自動分析装置100の中央制御部201の構成を説明する。中央制御部201は、測定機構101における測定結果に基づいて試料Spの分析データを生成するデータ生成部202と、試料Spの分析に必要な情報および自動分析装置100の動作指示信号の入力を受ける入力部203と、分析結果を含む情報を出力する出力部204と、分析結果を含む情報を記憶する記憶部205と、自動分析装置100の制御を行う制御部206と、を備える。
【0043】
制御部206は、記憶部205が記憶するプログラムをメモリから読み出すことによって自動分析装置100の各種動作の制御などを行う。このため、制御部206は、試料分注部106として適用される分注装置100の制御部15の機能を兼備している。また、出力部204は、分注装置1の出力部29の機能を兼備している。
【0044】
以上の構成を有する中央制御部201が測光部112から測定結果を受信すると、データ生成部202が測光部112から送られてきた測定結果に基づいて反応容器125内の反応液の発光量を算出する。また、データ生成部202では、前述した反応液の発光量の算出結果に加えて標準検体から得られる検量線や分析パラメータなどの情報を参照することによってその反応液の成分を定量的に求め、試料Spの分析データを生成する。このようにして得られた分析データは、出力部204から出力される一方、記憶部205に格納して記憶される。
【0045】
なお、分注装置100を自動分析装置100の試料分注部106として適用する場合には、エラー情報として、例えば出力部204で表示する分析結果の一覧表の中にリマーク情報を加えておき、どの段階で異常を検知したのかを明確に表示するようにしてもよい。
【0046】
以上の構成を有する自動分析装置100における分析処理の概要を説明する。ここでは、一例として、不均一系反応の一例である酵素免疫測定法(EIA)のうち、特に2ステップのサンドイッチ法(非競合法)を用いることによって試料Sp中の所定の抗原の濃度を測定する場合を説明する。まず、試料Sp中の所定の抗原に特異的に結合する抗体によって感作された固相担体を含む担体試薬を担体試薬分注部107によって反応容器5に分注後、その反応容器125に対して試料Spを試料分注部106によって分注し、攪拌部111で担体試薬と試料とを混合し、1回目の免疫反応(抗原抗体反応)を行わせる。この攪拌部111の構成は、必ずしも第1の実施形態のような液中に侵入するタイプの攪拌機構である必要はない。しかしながら、
この攪拌部111が液中に侵入するタイプの攪拌機構である場合には、図1に記載されるような2種類の洗浄槽を有する洗浄手段である必要は必ずしもなく、攪拌手段のプローブを洗浄槽中に充分侵入させた状態で測定項目に応じた異なる攪拌力による攪拌を実行することによっても洗浄力を変更することができる。
【0047】
上述した1回目の免疫反応の後、B/F洗浄部110にてB/F反応液のB/F洗浄を行い、抗体と特異的に結合せずに遊離している試料Sp(抗原を含む)や抗体を固相担体から分離除去する。続いて、B/F洗浄後の反応液に対し、標識物質である酵素(第1試薬)を液体試薬分注部108によって過剰に加えることにより、2回目の免疫反応を行わせる。この2回目の免疫反応後にもB/F洗浄部110にて反応液のB/F洗浄を行い、余剰して遊離している標識物質等を固相担体から分離除去する。なお、2回目の免疫反応においても、上述したような攪拌手段による攪拌や、攪拌機能を用いた洗浄力の変更を実行するようにしてもよい。
【0048】
その後、2回目のB/F洗浄後の反応液に対し、標識物質である酵素が活性を発現する発色基質(第2試薬)を液体試薬分注部108によって分注することにより、反応液中の標識物質との間で発色反応を行わせ、この発色反応によって発色した光量を測光部112で光学的に測定する。データ生成部202では、測光部112における測定によって得られたデータと抗原の濃度が既知の標準検体から得られたデータ(検量線)との比較演算を行うことにより、分析対象の抗原の試料Sp中の濃度を定量的に求めることによって分析データを生成する。
【0049】
なお、免疫測定法としては、以上説明した2ステップのサンドイッチ法の代わりに1ステップのサンドイッチ法(競合法)を適用することも可能である。また、酵素免疫測定法以外の不均一系反応を用いた免疫測定法として、例えば蛍光物質を標識物質とする蛍光免疫測定法(FIA)、放射性同位体を標識物質とする放射性免疫測定法(RIA)、化学発光基質を標識物質とする化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、およびスピン試薬を標識物質とするスピン試薬免疫測定法(SIA)などを適用することもできる。また、自動分析装置100を用いて均一系反応を用いた試料の免疫学的な分析を行うことも可能である。この場合には、上述した不均一系反応の場合のように反応液のB/F 洗浄を行う必要はない。
【0050】
以上説明した本実施の形態に係る自動分析装置100によれば、試料分注部106として本実施の形態に係る分注装置1を適用することにより、チップのプローブ121への装着の不具合や試料Spのプローブ121への付着等の異常をリアルタイムで検知することができるので、キャリーオーバやコンタミネーションの発生を防止することができる。この結果、オペレータが自動分析装置100のメインテナンスをする際の作業の負荷を軽減することも可能となる。
【0051】
以上説明した本発明の一実施の形態に係る分注装置および自動分析装置によれば、導電性を有する細管状のプローブと、前記プローブの長手方向の一方の端部に着脱自在に取り付けられ、絶縁性を有するチップと、前記プローブを移送するプローブ移送手段と、前記チップの先端で吸引または吐出すべき液体と前記プローブとの接触を電気的に検知する接触検知手段と、前記プローブ移送手段による前記プローブの移送中に前記接触検知手段が前記プローブと前記液体との接触を検知した場合、前記プローブ移送手段の駆動を停止する制御を行う制御手段と、を備えたことにより、ディスポーザブル方式のチップを用いて試料の分注を行う際に生じる異常をリアルタイムで適確に検出し、キャリーオーバーやコンタミネーションの発生を防止するとともに分注精度の低下を防止することが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、カメラや光学センサのように高価であるとともに配置のためのスペースを必要とする検知手段が不要であるため、装置の実装に要するコストを抑えるとともに、装置の小型化、省スペース化を容易に実現することが可能となる。
【0053】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を詳述してきたが、本発明は上記一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る分注装置(および自動分析装置の試料分注部)において試料の分注をする際には、シリンジおよびチューブにイオン交換水等の非圧縮性流体から成る洗浄液を充填し、この洗浄液を介してシリンジからチップ先端に吐出圧や吸引圧を伝達するような構成とすることも可能である。また、分析用液体として、ゲルや糖類を含有する高粘性の液体をハンドリングする場合にも適用できる。高粘性の液体においては、とくに泡等のノイズ成分が長時間残留する可能性があるので、複数回のハンドリングを実行する場合に、常に泡等の存在を考慮した洗浄方法の設定および残量データの更新を行なうのが好ましい。
【0054】
また、本発明に係る分注装置は、生化学的分析、免疫学的分析、遺伝学的分析等を単独または任意の組合せで実行する自動分析装置に適用することも可能である。生化学分析を行う場合には、白色光を発生する光源と、この光源から発生した白色光のうち反応容器を透過してきた光を所定の周波数成分に分光する分光光学系と、この分光光学系で分光された成分ごとの光を受光する受光素子とを用いることによって測光部を構成するようにすればよい。また、自動分析装置の中央制御部においては、測光部での測定結果に基づいて試料と試薬の反応液の吸光度を算出し、この算出した吸光度を用いて試料の分析データを生成するようにすればよい。
【0055】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0056】
図3は、本発明の分注用プローブの洗浄方法を実施する分析装置を示す構成図である。プローブ駆動手段406により回転制御されている回転アーム407の先端部には、プローブ408の上下動を行なうためのプローブ昇降駆動部401が取り付けられている。このプローブ408の回転軌跡上には、テーブル駆動手段402によって回転制御されている回転ディスク413の円周に沿って複数の液体容器412が等間隔で保持されている。回転ディスク413に保持された液体容器412の1個は所定吸引位置に停止していて、プローブ408の回転軌跡と一致している。また、プローブ408の回転軌跡上には、反応容器としてのマイクロプレート409が図示せぬ固定手段により不動化された状態で配置している。マイクロプレート409は多数のウエルが碁盤の目状に形成されており、図示せぬ搬送装置によりXY方向に2次元的に移送制御された構成になっており、これによってプローブ408の回転軌跡上に設けた所定の吐出位置に対して、特定のウエルを位置付けるようになっている。これら吸引位置にある液体容器412と吐出位置にあるウエルとの間には、プローブ408の移動途中に第1洗浄槽410および第2洗浄槽411が異なる回転軌跡上の位置にそれぞれ配置している。第1洗浄槽411に収容される洗浄溶液は、第2洗浄槽410よりも洗浄力が強い成分の洗剤が含まれているものとする。
【0057】
このような構成を有する分析装置において、プローブ408が、プローブの回転軌跡上に停止する液体容器412の上方に移動した後、プローブの下降を開始する。プローブ408は公知の静電容量による液面検知機構を有していて、液体容器412内に侵入して、分析用液体の液面と思われる検知信号を取得して制御部405に送る。ここまでのプローブ下降量は下降量測定部403によりリアルタイムに制御部405に送る。また、テーブル駆動手段402により、吸引する分析用液体の種別が登録管理されているため、ノイズ成分により液面検知が誤動作しても確実に吸引な得られる潜り込み量に設定されている。これにより、制御部405は、後述する判定を制御部内の演算回路において実行して、プローブ408の潜り込み量を算出する。次に、プローブ405は、マイクロプレート409の上方に移動し、吐出すべきウエルがXY駆動により停止された状態で所要量の分析用液体を吐出する。次に、所望量の吸引と吐出とを終えたプローブ408は、制御部405が算出した潜り込み量の大小に基づいて、第1、第2洗浄槽410、411のいずれかの上方に選択的に移動され、洗浄液中に充分な長さ分を浸水させた状態で一定時間停止する。このようにして、適切な洗浄力によるプローブの洗浄が行なわれたプローブ408は次の吸引すべき液体容器412および吐出すべきウエル(反応容器)へと移動して同様の動作を繰り返す。この毎回の吸引、吐出、洗浄のサイクルごとに後述する手順に基づき、制御部405は液体容器内の残量データを更新する。従って、プローブ408が再び同種の分析用液体を吸引する必要が生じた場合には、常に最新の残量データに基づき適切な分注と洗浄がなされる。
【0058】
プローブ408は導電性部材となっていって、静電容量測定部404と接続することにより分注用プローブとしての液体吸引吐出機能と液面検知機能とが一体になっており、プローブ408下方の静電容量を測定する構成になっている。また、プローブ昇降制御部401により上下動するプローブ408の高さ位置は、下降量測定部403により主にプローブ下降量が計測されるようになっている。制御部405は図3に示される全ての手段を所望の分析シーケンスに沿って動作制御するだけでなく、プローブ408の下降量と静電容量測定部404からの出力信号に基づいて液体容器412内の液面検知とプローブ408の下降量とを関連付けて、プローブ408の潜り込み量に応じた洗浄を行うように指示するものである。
【0059】
制御部405が通常の洗浄力によるプローブ洗浄を判断・指示した場合には、分析用液体を吸引したプローブ408を、吐出位置にあるマイクロプレート409の特定のウエル中に移送して、必要な吐出を行わせた後に、通常の洗浄力を有する第1の洗浄槽410にプローブ408を移送して通常レベルの洗浄を行い、次の吸引用液体容器412に対してプローブ408を移動させることにより、次の分注に移行させる。
【0060】
制御部405が強力な洗浄力によるプローブ洗浄を判断・指示した場合には、分析用液体を吸引したプローブ408を、吐出位置にあるマイクロプレート409の特定のウエル中に移送して、必要な吐出を行わせた後に、強力な洗浄力を有する第2の洗浄槽411にプローブ408を移送して通常レベルの洗浄を行い、次の吸引用液体容器412に対してプローブ408を移動させる。
【0061】
図4は、本発明において種々の分析用液体に対して液体容器412内に進入した分注用プローブ408の潜り込み状態及び洗浄すべき範囲を示す模式図である。すなわち、図4Aはプローブ408と一体な液面検知機構が誤動作をして余分に液体内に進入した場合の潜り込み量(図の矢印)を示している。図4Bは適切な液面検知が行なわれたことにより、必要最小限の潜り込み量(図の矢印)でプローブが進入して吸引を行っている状態を示している。図4Cは比較的小径の気泡501が液面全体に一様に発生している際にプローブ408が進入した場合の汚れ範囲を示していて(図の矢印)、液体内への潜り込み量自体は少ないが、多数の小径気泡501が液面付近に存在するために洗浄すべき範囲が比較的多い状態となっている。図4Dは比較的大径502の気泡が小径の泡と混在している液面に対してプローブ408が進入した場合の汚れ範囲を示していて(図の矢印)、図4Cと同様の潜り込み量であるにも拘らず、大径気泡502と接触したことにより、最も洗浄すべき汚れ範囲が多い状態となっている。このように、液面検知の適否や泡の発生状態によってプローブ408の洗浄すべき洗浄範囲(図の矢印の領域)が多様であることが分かる。なお、この例では、液面検知のノイズ成分としての気泡について図示したが、分析用液体の成分の一部が容器壁面への付着や蒸発等で乾燥したりした場合にも、液面検地のノイズ成分を生じる場合があり得る。なお、気泡等のノイズ成分
による液面検知の誤動作は、静電容量、導電度、エア圧力変化量、超音波センサー等の種々の検知方式において同様に発生し得る。また、ハンドリングすべき分析用液体が微量であって、比較的容量の多い分析用液体が収容されている液体容器である場合に、より深刻な潜り込みエラーが発生し易い。また、液体容器に収容される分析用液体の容量は比較的少量(例えば50マイクロリットル以下)であっても、プローブがハンドリングしようとする液量が微量(例えば20マイクロリットル以下)である場合には、同様に潜り込みエラーによる洗浄範囲のばらつきが発生し易い。
【0062】
次に本発明の液体ハンドリング用プローブの洗浄方法について述べる。なお、以下の例では、液体ハンドリング手段として分注用プローブを使用する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、撹拌用プローブ等にも適用可能である。判定の手順を図5、図6に基づいて説明する。
【0063】
第1の判定手順
この手順においては、上述した第1の実施形態または第2の実施形態に記載したような分析装置に適用される分注用プローブによる試料及び/又は試薬の分注方法を参照にすることができる。図5は、泡立ちが頻出しない種類の分析用液体を収容する液体容器に対する分注用プローブの潜り込み量を判定するためのフローチャートを示すものである。
(1)液面検知機構を有する分注用プローブを吸引すべき分析用液体が収容された液体容器の上方に移動させて停止後、プローブをゆっくり下降させながら液面検知を連続して行なう。
そして、プローブが液面に到達した場合に生じる液面検知信号を検知したところで、プローブの下降を一旦停止させる。このとき、液面を検知するまでに要した分注用プローブの下降量をαとし、所望の吸引量に応じ設定された検知後下降量をβとして、各α値およびβ値を取得する。
(2)前述の(1)でβ値を取得したら、次に液体容器内に収容された初期値と、分注履歴に基づく残量更新情報に基づき、最新の予測液面高さγを取得する。ここで、初回の分注動作においては、分析装置にセッティングしたばかりの分析用液体の収容量である初期値を最新の予測液面高さγとすることができる。また、2回目以降の分注動作においては、初回の分注動作からの分注回数に応じた毎回の分注量の和を算出して、初期値から引き算することにより、最新の予測液面高さγとすることができる。
(3)前述の(1)及び(2)で取得したα、β及びγの値を用いて、(α+β)−γを算出する。そして、(α+β)―γの値が適宜の閾値δより大きいか否かを判定する。
ここで、δの値は、吸引しようとする分注量や吸引対象である分析用容器の断面積によって決まる数値であり、分注用プローブが誤った液面を検知した場合を特異的に分類し得 るように設定される。
(4)このようにして、前述の(3)の判断がNo(いいえ)であれば、通常の洗浄力の洗浄を実行するように制御部が機能し、一方、(3)の判断がYES(はい)であれば、洗浄力が強い洗浄を実行するように制御部が機能する。
【0064】
この第1の判定手順によれば、泡等のノイズ成分の発生頻度および発生量が殆どゼロか或いは無視できる程度であるような液体種別において、誤った液面検知によりプローブが過度に液体中に潜り込んだ場合には洗浄力が強い洗浄に切り替えるように制御できるので、無駄な洗浄を行なうことなく、安定した分析結果を得ることができるようになる。
【0065】
第2の判定手順
図6は、泡立ちが頻出する種類の分析用液体を収容する液体容器に対する分注用プローブの潜り込み量を判定するためのフローチャートを示すものである。なお、下記の説明は、上述した第1の判定基準(及び図5)と同様の部分は省略するものとする。
(1)吸引対象の容器に収容されている液体種別(=泡立ち易さに基づく)を取得する。
(2)上記液体種別から検知後追加潜り込み量(Κ)を取得する。
(3)液面を検知するまでに要した分注用プローブの下降量をαとし、所望の吸引量に応じて設定された検知後下降量をβとして、各α値およびβ値を取得する。
(4)液体容器内に収容された初期値と、分注履歴に基づく残量更新情報に基づき、最新の予測液面高さγを取得する。
(5)閾値δとし、(α+β+K)−γ>δかどうかを判定する。
ここで、δはKを考慮した値であるのが好ましい。
(6)(5)の判断がNo(いいえ)であれば、通常の洗浄力の洗浄を実行する。また、(5)の判断がYESならば、洗浄力が強い洗浄を実行する。
なお、この第2の判定手順においては、泡立ちの頻度および/または泡の量が多い液体種別である場合は、空吸引を防止するために液面検知後の追加潜り込み量Kを多く設定しておくこととし、その分、洗浄力を高めた洗浄を行うことによって以降のコンタミネーションを防止するようにする。
【0066】
この第1の判定手順によれば、泡等のノイズ成分の発生頻度および発生量が殆どゼロか或いは無視できる程度であるような液体種別において、誤った液面検知によりプローブが過度に液体中に潜り込んだ場合には洗浄力が強い洗浄に切り替えるように制御できるので、無駄な洗浄を行なうことなく、安定した分析結果を得ることができるようになる。
【0067】
以上、本発明を図面に基づき説明したが、本発明は、別態様として、液体(試料、試薬、反応用混合液)が泡を発生すると予期される場合の予測モードにおいて、泡検知機能を備えた液面検知手段を有するような分注手段に適用するための分注用ノズルの洗浄方法(例1)も提供できる。また、本発明は、泡発生が予期される予測モードにおいて、泡検知機能を具備しない液面検知手段を有する分注手段に適用するための分注用ノズルによる分注方法および分注用ノズルの洗浄方法(例2)も提供できる。これら別態様(例1、例2)によれば、本発明は、泡を検知したか否かに応じて容器内の液体残量を正確に更新できる分析用液体の残量更新方法を提供する発明と理解することもできる。
【0068】
なお、以下の別態様の各説明においては、次に挙げるような1以上の前提があるものと仮定する。ゆえに、分析用液体や分注の目的等によって、次の1以上の前提を適宜当てはめた判定手順を採用するのが好ましい。
前提1:真の液面より深い位置で最初の検知がなされることは無い。
(換言すると、最初の検知は真の液面か、或いは液面より上方の泡等の偽りの液面である。)
前提2:容器内の初期(最初の吸引を行う時点)の液量は既知である。
前提3:液体の種類に依存して泡の発生頻度、泡量、泡水位の1以上が予測できる。
前提4:液量、吸引量、搬送動作により泡の発生頻度や泡量や泡水位が変動し得る。
【0069】
以下に、泡発生が予期される予測モードを有する本発明の方法の別態様を示す。
泡発生が予期される予測モードに適用される方法の手順
例1.泡検知機能を備えた液面検知手段を有する場合
(a)泡と真の液面の両方を特異的に検知する。
(b)検知情報に基づく判断を実行する。
(c)真の液面の検知下降量αに対し吸引量に対応する潜り込み量βだけノズルを下降させる。
この(b)において、検知した真の液面は、液体の吸引に必要な潜り込み量の始点と判断され、潜り込み量を厳密に規定する。
(d)液体を所望量吸引して吐出すべき容器に吐出を実行する。
(e)前記(b)の判断結果に応じた強度によりノズルの洗浄を実行する。
「泡無し」ならば、軽度の洗浄を実行する。
「泡有り」ならば、重度の洗浄を実行する。
この(e)において、泡を検知したときのノズル下降量と、真の液面を検知したときのノズル下降量に基づいて泡の水位を算出してもよく、その場合には指定されたノズルの潜り込み量と加算することによってノズルの汚れ範囲を決定できるので、洗浄すべきノズル範囲に応じた洗浄量の調節を行うことができる点で好ましい。
(f)予測残量γから吸引量を引いた残量にデータ更新する。
この(f)において、検知した真の液面は泡全体の液量を除いた残量ではあるが、容器内に発生した泡全体の量を反映するものではないので真の残量を算定できない。従って、真の液体残量を算出するにあたっては、検知データを用いずに、予測残量データを用いて残量を更新する。この例1では、潜り込み量βに相当する液量を予測残量γから引き算した値を最新の残量データとして更新する。
【0070】
例2.泡検知機能が無い液面検知手段の場合
(泡の程度に応じた追加下降量Kが予め設定されている。)
(a)検知下降量αと予測残量γの差を算出する。
(b)前記(a)で求めた差の値に応じた判断を実行する。
差がほぼゼロ(有意差無し)ならば「泡無し」および「真の液面」と判断する。
有意差以上であれば「泡有り」と判断する。
(c)前記(b)の判断結果に応じたノズル下降を実行する。
「泡無し」ならば、追加下降を実行せずに、検知下降量αに対し吸引量に対応する潜り込み量βだけノズルを下降する。
「泡有り」ならば、追加下降量(検知後追加潜り込み量)Kと吸引量に応じた潜り込み量を足した深さまでノズルを下降する。
(d)液体を吸引し分注を実行する。
(e)前記(b)の判断結果に応じた強度によりノズルの洗浄を実行する。
「泡無し」ならば、軽度の洗浄(通常の洗浄力を有する洗浄)を実行する。
「泡有り」ならば、重度の洗浄(通常より強力な洗浄力を有する洗浄)を実行する。
(f)前記(b)の判断結果に応じた残量データの更新を実行する。
「泡無し」ならば、α相当と吸引量の加算分をγ値から引いた残量にデータ更新する。
「泡有り」ならば、γ値から吸引量を引いた残量にデータ更新する。
ここで、好ましくは更新された残量データには泡と判断した旨の情報を付加する。
【0071】
本発明は上記に説明した方法および装置の主旨に則り、種々の変更が可能である。例えば、上述したように液体容器の容量と吸引等のハンドリング量との関係によっても泡等のノイズ成分の発生が生じ易い場合があるので、そのような関係でのハンドリングにおいてはプローブの洗浄範囲を追加する等の対応があってもよい。また、泡等のノイズ成分の発生量(大きさ及び/又は数量)を計測する手段を連動するようにプローブに設けることにより、洗浄範囲や残量データの決定性能を向上させるようにしてもよい。
【0072】
以上のように、本発明によれば、液体ハンドリング用プローブを具備するあらゆる分析装置を適正な分析結果を維持しながら、洗浄コストを必要最小限に抑えることができるという顕著な利点を有するので、地球環境に優しく、且つ経済性と信頼性を満足する方法および装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る自動分析装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の分注用プローブの潜り込み量に応じた洗浄方法を実行するための構成を説明するための概念図である。
【図4】液体の種類と液体ハンドリング用プローブの潜り込み量との関係を示すための模式図である。
【図5】本発明のプローブ洗浄方法における判定方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明のプローブ洗浄方法の別な判定方法の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 分析装置本体
2 反応ディスク
3 検体用ターンテーブル
4 試薬用ターンテーブル
5 反応容器
6 検体(試料)容器
7 試薬ボトル
8 検体用分注ユニット
9 試薬用分注ユニット
10 検体用洗浄槽
11 試薬用洗浄槽
12 攪拌ユニット
102 試料移送部
103 担体試薬容器保持部
104 液体試薬容器保持部
122 試料容器
123 担体試薬容器
124 液体試薬容器
125 反応容器
CR1、CR2、CR3、CR4 情報コード読取部
131、132、133 洗浄装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用液体を収容し且つ液量に関する情報を事前に有している液体容器に対して、液体ハンドリング用のプローブを前記液体容器の上方位置から下降させることにより、前記プローブの先端部分が前記液体容器内の分析用液体の液面に到達したか否かを前記プローブの下降動作と関連付けて検知し、
前記検知により検知された液面位置に基いて、前記プローブによる液体ハンドリングに必要な潜り込み量に相当する距離まで前記プローブを下降させて液体ハンドリングを実行し、
前記プローブの下降量と前記液量に関する事前情報とを比較した比較情報に基いて、前記プローブにおける洗浄範囲を決定し、
決定した洗浄範囲に応じて前記プローブに対する洗浄の強度を変更することを特徴とする液体ハンドリング用プローブの洗浄方法。
【請求項2】
前記液体ハンドリングが分析用液体の分注及び/又は攪拌であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記液体ハンドリングが分析用液体の分注動作であり、前記分析用液体の種別と吸引すべき液量に基づいて前記決定すべき洗浄範囲を変更することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記液体ハンドリングが分析用液体の攪拌動作であり、前記分析用液体の種別と前記液体容器における前記分析用液体の温度情報に基づいて前記決定すべき洗浄範囲を変更することを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項5】
分析用液体を収容し且つ液量に関する情報を事前に有している液体容器から、前記分析用液体を複数回吸引して各々所要量の分注行なう際の各分注の間に適用され、
吸引前の前記液体容器内における液量または液面高さに関する情報を準備し、
前記液体容器内の液面高さを液面検知機構により検知し、
前記液面検知機構により検知された液面高さと前記情報とを比較し、
比較した結果に基づき、毎回の分注における前記分注用ノズルの洗浄の強度を変更するとともに、前記液体容器内の吸引後の液体残量に対応する液量または液面高さに関する情報を決定し、
決定された情報を次回の分注における準備情報として用いることを特徴とする分注ノズルの洗浄方法。
【請求項6】
前記液面検知機構が泡等のノイズ情報を検知可能な機能を有する場合であって、液面検知機構が前記ノイズ情報を検知した場合には液面検知機構が検知した液面位置を真の液面として判断して吸引すべき量に相当する潜り込み量での吸引を行なうとともに、吸引後の液体残量に関しては前記液面位置ではなく前記事前の液量情報に基づいて決定を行なうことを特徴とする請求項5に記載の分注ノズルの洗浄方法。
【請求項7】
前記液面検知機構が泡等のノイズ情報を検知する機能を持たない場合であって、液面検知機構により検知した液面位置が前記事前の液量情報に対して有意差が有る場合には吸引すべき量及びノイズの存在に対して設定された量の和に相当する潜り込み量での吸引を行なうとともに、吸引後の液体残量に関しては前記液面位置ではなく前記事前の液量情報に基づいて決定を行なうことを特徴とする請求項5に記載の分注ノズルの洗浄方法。
【請求項8】
前記比較結果が液面検知機構の誤検知による誤った液面高さを反映している場合には、前記分注用ノズルに対する洗浄の強度を高めるような変更を行なうことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の分注ノズルの洗浄方法。
【請求項9】
液体容器の分析用液体に侵入して所定の液体ハンドリング動作を行うためのプローブと、
複数の液体容器のうち、ハンドリングすべき液体容器と前記プローブとを同じ位置に位置付
けるための移送手段と、
前記プローブの先端部の高さと関連付けて設けられ、前記液体容器内における液量または液面高さに関する情報を取得するための液面検知手段と、
2以上の異なる洗浄力に切り替えて前記プローブの洗浄を行うための洗浄手段とを具備し、
前記液面検知手段により得られた液面検知後の前記プローブの潜り込み量に応じて前記洗浄手段による洗浄力を切り替える制御手段とを備えることを特徴とする分析装置。
【請求項10】
前記制御手段による洗浄力の切り替えは、前記移送手段が、前記洗浄手段において独立の洗浄槽に収容される異なる洗浄力を有する複数の洗浄液に対し選択的に前記プローブを位置付けることにより実行することを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
前記制御手段による洗浄力の切り替えは、前記洗浄手段における共通の洗浄槽に供給される洗浄液の洗浄力を異ならせることによって実行することを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
【請求項12】
前記制御手段は、複数の液体容器毎に種別を記憶する記憶部と、前記プローブの所定の潜り込み量に対して前記分析用液体の種別ごとに追加すべき潜り込み量を加算した潜り込み量を生成するデータ生成部とを含んでおり、前記データ生成後の潜り込み量に基づいて前記洗浄手段の切り替えを実行することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の分析装置。
【請求項13】
前記データ生成部は、分析用液体の種別ごとに予期されるノイズ成分の発生頻度及び/又は
量に応じて、複数の潜り込み量を設定可能であることを特徴とする請求項12に記載の分析装
置。
【請求項14】
前記データ生成部は、前記分析用液体の種別ごとの温度管理情報に基づいて予期されるノイズ
成分の発生頻度及び/又は量に応じて、複数の潜り込み量を設定可能であることを特徴とする
請求項13に記載の分析装置。
【請求項15】
前記プローブの先端部は前記液体容器内の分析用液体を吸引して分注を行うための分注用ノ
ズルを有し、前記洗浄手段を前記分注用ノズルの移動途中に配置したことを特徴とする請求項
9から14のいずれかに記載の分析装置。
【請求項16】
前記吸引手段は、同一の液体容器から異なるタイミングで実行される複数回数の吸引動作と、毎回の吸引動作の間に実行される前記洗浄手段による洗浄動作からなる分注サイクルを有することを特徴とする請求項15に記載の分析装置。
【請求項17】
前記吸引手段は、交換可能なチップを前記分注用ノズル部分に装着して同一の分析用液体を複数回分注するためのチップ交換部を具備することを特徴とする請求項16に記載の分析装置。
【請求項18】
前記プローブの先端部は前記液体容器内の分析用液体を所望の深さまで浸水して攪拌を行う
ための攪拌手段を有し、前記攪拌手段が液体容器から離れた位置に移動する移動先に前記洗浄
手段を配置したことを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の分析装置。
【請求項19】
前記攪拌手段は、前記洗浄手段における洗浄槽に対し侵入した状態で前記潜り込み量に応じ
た攪拌動作を実行することによって洗浄力を切り替え可能に構成されていることを特徴とする
請求項18に記載の分析装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate