説明

液体制汗デオドラント組成物

【課題】高い抗菌効果及びその持続性を有し、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性に優れ、更に敏感な肌にも刺激が少ない液体制汗デオドラント組成物を提供する。
【解決手段】(A)制汗成分と、
(B−1)塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム及び臭化セチルトリメチルアンモニウムから選ばれる化合物と、
(B−2)アルキル(炭素数8〜22)トリアルキルアンモニウム塩(但し、(B−1)成分を除く)と、
(C)エタノールと
を含有し、(B−1)/(B−2)で表される、(B−2)成分に対する(B−1)成分の含有質量比が0.03〜35である液体制汗デオドラント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体制汗デオドラント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制汗デオドラント剤には体臭の発生を防ぐ目的で制汗成分や抗菌成分が用いられており、制汗成分としてはクロルヒドロキシアルミニウム等のアルミニウム化合物が汎用されている。抗菌成分としては、イソプロピルメチルフェノールやトリクロサン等が汎用されている。
しかし、汎用成分を組合せたエアゾール型スプレー、ロールオン、ミストなど様々なタイプがあるが、体臭を発生するニオイ原因菌に対する抗菌効果が不十分であることから、体臭を防ぐ点において十分ではなかった。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−80335号公報
【特許文献2】特開2003−81801号公報
【特許文献3】特開2003−95906号公報
【特許文献4】特開2005−220056号公報
【特許文献5】特開2006−76997号公報
【特許文献6】特開2011−73981号公報
【特許文献7】特開2003−73249号公報
【特許文献8】特開2003−183144号公報
【特許文献9】特開2006−28084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、高い抗菌効果及びその持続性を有し、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性に優れ、更に敏感な肌にも刺激が少ない液体制汗デオドラント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討し、制汗剤の防臭効果向上に向けて、抗菌力について検討を進める中で、制汗剤の抗菌成分である塩化ベンザルコニウム等の特定の化合物と、上記化合物以外のアルキル(C8〜22)トリアルキルアンモニウム塩とを組み合わせることで、抗菌効果及びその持続性が向上し、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性を高めることができ、しかも敏感な肌にも刺激が少ないことを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】
即ち、本発明は、下記液体制汗デオドラント組成物を提供する。
〈1〉
(A)制汗成分と、
(B−1)塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム及び臭化セチルトリメチルアンモニウムから選ばれる化合物と、
(B−2)アルキル(炭素数8〜22)トリアルキルアンモニウム塩(但し、(B−1)成分を除く)と、
(C)エタノールと
を含有し、(B−1)/(B−2)で表される、(B−2)成分に対する(B−1)成分の含有質量比が0.03〜35であることを特徴とする液体制汗デオドラント組成物。
〈2〉
(B−1)成分が、塩化ベンザルコニウムである〈1〉記載の液体制汗デオドラント組成物。
〈3〉
(B−1)成分の配合量が組成物全体の0.01〜1.0質量%であり、(B−2)成分の配合量が組成物全体の0.01〜1.0質量%である〈1〉又は〈2〉記載の液体制汗デオドラント組成物。
〈4〉
(A)制汗成分が、クロルヒドロキシアルミニウムである〈1〉〜〈3〉のいずれかに記載の液体制汗デオドラント組成物。
〈5〉
更に、(D)ポリビニルピロリドン及び/又はビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体を含有する〈1〉〜〈4〉のいずれかに記載の液体制汗デオドラント組成物。
〈6〉
〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の液体制汗デオドラント組成物と、この組成物を充填した塗布ボールを有するロールオン容器とを備えた液体制汗デオドラント製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い抗菌効果及びその持続性を有し、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性に優れ、しかも敏感な肌にも刺激が少ない液体制汗デオドラント組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体制汗デオドラント組成物は、(A)制汗成分、下記(B−1)成分、(B−2)アルキル(炭素数8〜22)トリアルキルアンモニウム塩、(C)エタノールを含有する。
【0009】
[(A)制汗成分]
制汗成分としては、制汗効果を与えるものであれば特に制限されず、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ブロモヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、クロルヒドロキシアルミニウムが制汗効果の点で好ましい。
【0010】
(A)成分の配合量は、組成物全体の2〜15質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。2質量%未満であると、制汗防臭効果及びその持続性が低下することがあり、15質量%を超えると、使用感触の低下、皮膚刺激、製剤の安定性(分離、沈澱のなさ)の低下などが生じることがある。
【0011】
[(B−1)成分]
(B−1)成分は、腋下の体臭原因菌に対する抗菌性及びその持続性、防臭効果を得るために配合する。(B−1)成分としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩化ベンザルコニウムが抗菌効果の持続性、防臭効果の持続性の点で好ましい。
【0012】
(B−1)成分の配合量は、組成物全体の0.01〜1.0質量%が好ましく、抗菌効果及びその持続性、防臭効果の持続性、皮膚刺激性の点から、0.03〜0.7質量%がより好ましく、0.04〜0.7質量%が更に好ましく、0.05〜0.7質量%が特に好ましい。0.01質量%未満では抗菌効果及びその持続性、防臭効果の持続性が得られないことがあり、1.0質量%を超えると皮膚刺激性の点で懸念が生じる場合がある。
【0013】
[(B−2)アルキル(C8〜22)トリアルキルアンモニウム塩]
本発明においては、(B−1)成分と共に、(B−2)成分を配合することで、抗菌性及びその持続性と防臭効果の持続性を相乗的に向上させることができる。(B−2)成分としては、下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素数8〜22のアルキル基であり、R2、R3及びR4は炭素数1〜4のアルキル基であって、同一であっても異なっていてもよい。X-は対イオンであり、ハロゲンイオン又はヒドロキシイオンである。)
で表されるアルキルトリアルキルアンモニウム塩が好ましい。
【0014】
上記一般式(1)において、R1は炭素数8〜22のアルキル基であり、抗菌性及びその持続性、防臭効果の持続性の点から、炭素数12〜18のアルキル基が好ましい。R1として具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。また、R2、R3及びR4は炭素数1〜4のアルキル基であって、同一であっても異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、メチル基が好ましい。X-は対イオンであり、ハロゲンイオン又はヒドロキシイオンである。ハロゲンイオンとしては、フッ素イオン、塩化物イオン、臭化物イオンが挙げられる。このような(B−2)成分であれば、(B−1)成分と併用配合することによって、優れた抗菌作用及びその持続性、防臭効果の持続性が発揮される。
【0015】
(B−2)成分としては、アルキル(C8〜22)トリメチルアンモニウム塩、特にアルキル(C12〜18)トリメチルアンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられ、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、抗菌性及びその持続性と、防臭効果の持続性の点から、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましく、特に、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0016】
(B−2)成分の配合量は、組成物全体の0.01〜1.0質量%が好ましく、抗菌効果及びその持続性、防臭効果の持続性、皮膚刺激性の点から、0.02〜0.7質量%がより好ましく、0.05〜0.7質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では抗菌効果及びその持続性、防臭効果の持続性が得られないことがあり、1.0質量%を超えると皮膚刺激性の点で懸念が生じる場合がある。
【0017】
(B−1)成分と(B−2)成分の最適な配合割合は、抗菌力及びその持続性と、肌への刺激のなさの点から、(B−2)成分に対する(B−1)成分の割合が、質量比で、(B−1)/(B−2)=0.03〜35であり、0.07〜14が好ましく、0.1〜14がより好ましい。0.03未満では、抗菌効果、その持続性、皮膚刺激性、及び防臭効果の持続性が悪くなり、35を超えると抗菌効果、その持続性、皮膚刺激性及び防臭効果の持続性が悪くなる。
【0018】
[(C)エタノール]
(C)成分は、制汗成分等を溶解させるための溶媒として配合する。(C)成分の配合量は、組成物全体の50〜85質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。50質量%未満であると、制汗成分の溶解が劣り、制汗効果が弱くなる場合があり、安定性が低下することがある。85質量%を超えると、皮膚刺激などが生じることがある。
【0019】
[(D)ポリビニルピロリドン及び/又はビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体]
本発明の液体制汗デオドラント組成物には、更に、(D)ポリビニルピロリドン及び/又はビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体を配合することができる。(D)成分を配合することで、塗布後の使用感触、抗菌効果及びその持続性、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性をより向上させることができる。
【0020】
ポリビニルピロリドンとしては、重量平均分子量が8,000〜3,000,000のもの等が挙げられる。このうち、重量平均分子量が2,000,000以下のものが好ましく、45,000〜1,600,000が溶解性、使用感触、防臭効果の持続性の点でより好ましい。なお、重量平均分子量は、米国薬局方USPにおいて規定されたK値を光散乱法により測定した重量平均分子量に換算したものである。
【0021】
また、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体のビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合モル比(VP/VA)は、7/3〜3/7の範囲が好適である。このうち、共重合モル比(VP/VA)7/3、6/4のものが、抗菌効果の持続性、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性の点で好ましい。
【0022】
具体的には、市販品では、ポリビニルピロリドンでは、ルビスコール、K−15、K−17(重量平均分子量:約9,000)、K−30(重量平均分子量:約45,000)(BASF社製)、ルビスコールK−90(重量平均分子量:約1,600,000)(BASF社製)、PVPK−15(重量平均分子量:8,000)、K−30(重量平均分子量:60,000)、K−60(重量平均分子量:400,000)、K−90(重量平均分子量:1,300,000)、K−120(重量平均分子量:3,000,000)(以上、ISP社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体では、S−630((VP/VA)モル比6/4)(ISP社製)、E−735((VP/VA)モル比7/3)(ISP社製)、E−535(ISP社製)、E−335(ISP社製)、ルビスコールVA28,VA37,VA55、VA64、VA73(以上、BASF社製)等が挙げられ、抗菌効果の持続性、制汗効果の持続性、防臭効果の持続性の点から、ルビスコールK−30、K−90、PVP K−30、K−60、K−90及び、PVP/VA S−630,PVP/VA E−735が好ましい。これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0023】
(D)成分を配合する場合、その配合量は組成物全体の0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜2質量%が、使用感触(ベタつきのなさ)、防臭効果の持続性の点より好ましい。0.1質量%未満であると、十分な防臭効果の持続性を得ることができないことがあり、3質量%を超えると、逆に粘着性のベタつきが生じることがある。
【0024】
[その他の成分]
本発明の組成物には、上記成分以外に剤型に応じて、通常、制汗デオドラント組成物に配合される公知成分を配合できる。具体的には、特に制限はなく、本発明の効果を妨げない範囲で目的に応じて適宜選択して配合することができ、例えば、油脂類、ワックス類、シリコーン類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、ノニオン界面活性剤、(B)成分を除くカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、(D)成分を除く高分子化合物、酸化防止剤、色素、乳化安定剤、pH調整剤、(A)成分を除く収斂剤、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、清涼剤、抗炎症剤、(B)成分を除く殺菌剤、アミノ酸、ビタミン剤、各種植物抽出エキス等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
エステル類としては、例えば、オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、乳酸セチル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、(B)成分を除くカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができるが、中でも皮膚疾患の発生のない界面活性剤が好ましい。例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、サポニン、オリゴ配糖体、リン脂質系バイオサーファクタント、アシルペプチド系バイオサーファクタント、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリリン酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等の界面活性剤が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
収斂剤としては、硫酸亜鉛、クエン酸、酒石酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、α−、β−、γ−シクロデキストリン、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、尿素、トリメチルグリシン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、加水分解コラーゲン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
高分子化合物・増粘剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体、カチオン化セルロース、シクロデキストリン化合物等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
清涼剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1−メントール、1−メンチルグリセリルエーテル、1−メンチルラクテート等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、ピロクトンオラミン、クララエキス等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明の液体制汗デオドラント組成物の形態例としては特に限定されず、化粧料、医薬品、医薬部外品等に適用することができ、腋等の身体用デオドラント組成物とすることができる。本発明の液体制汗デオドラント組成物の製品形態としては、ロールオン、ミストなど様々なタイプが挙げられるが、本発明の組成物は、水分に溶解した状態で肌に塗布されることが効果発現に有効であり、特にロールオンタイプの製剤が高密着に塗布でき、高い効果を発現できる点で好適に使用できる。ロールオンタイプの製剤は、公知のロールオン容器に収容され、前記容器にその一部が露出した状態で、かつ回転可能にホルダーで保持されたボールに制汗デオドラント組成物を付着させ、使用時にかかるボールを肌に付着させて塗布することができるものであり、本発明の液体制汗デオドラント組成物は、ロールオン容器充填用液体制汗デオドラント組成物、液体制汗デオドラント組成物をロールオン容器に充填してなる液体制汗デオドラント製品、液体制汗デオドラント組成物と、この組成物を充填した塗布ボールを有するロールオン容器とからなる液体制汗デオドラント製品とすることが好ましい。
【0033】
本発明の液体制汗デオドラント組成物の製造方法は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、(A)〜(C)成分、任意成分及び水(液体制汗デオドラント組成物の全体が100質量%となるように残部配合)を混合して得ることができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、各成分の量は純分換算量(AI)である。
【0035】
[実施例1〜31、比較例1〜7]
下記表に示す組成の液体制汗デオドラント組成物を、エタノールに任意成分を溶解させた後、(A),(B−1),(B−2)成分を添加し、均一に溶解して調製した。得られた組成物を下記仕様のロールオン容器に40mL充填して、下記方法で評価を行った。結果を表中に併記する。
<ボトル>(株)吉野工業所
材質:HDPE ナチュラル 満注内容量約56mL 胴径約φ33mm 高さ約87mm
<リング>(株)吉野工業所
材質:LLDPE ナチュラル 外径約26mm 高さ約18mm
<ボール>(株)吉野工業所
材質:PP ホワイト 直径約20mm
【0036】
抗菌効果
<評価方法>
男女被験者10名に対し、各々の片方の腋窩部に各液体制汗デオドラント組成物を0.1g塗布し、もう片方の腋窩部には何も処理せず、その後、15分後、4時間後、8時間後の腋窩部の生菌数を下記の手順に従って計測した。被験者10名の生菌数の平均値を求め、下記評価基準に基づいて評価した。
【0037】
<生菌数の計測法>
(1)pH7.9のリン酸緩衝液で濡らした滅菌綿棒で腋窩部(直径2.5cm)をこすり、皮膚常在菌を採取する。
(2)皮膚常在菌(Corynebacterium xerosis (IFO12684))を採取した綿棒を2mLのリン酸緩衝液に浸し、1分間、試験管ミキサーで攪拌する。
(3)攪拌後のリン酸緩衝液を10倍、100倍、1,000倍、10,000倍に希釈し、希釈液をSCDLP培地(商品名:DAIGO、日本製薬(株)製)に塗布する。
(4)37℃で2日間培養した後、コロニー数を数え、腋窩部の生菌数を算出する。
【0038】
<評価基準>
◎:無塗布部の生菌数から塗布部の生菌数を引いた対数値が3log cfu/mL以上
○:無塗布部の生菌数から塗布部の生菌数を引いた対数値が2log cfu/mL以上3log cfu/mL未満
△:無塗布部の生菌数から塗布部の生菌数を引いた対数値が1log cfu/mL以上2log cfu/mL未満
×:無塗布部の生菌数から塗布部の生菌数を引いた対数値が1log cfu/mL未満
【0039】
制汗効果の持続性
<評価方法>
被験者10名の前腕内側部2cm×2cmの範囲に、各液体制汗デオドラント組成物を20μL塗布し、乾燥させた。塗布後8時間後に高温条件下(35℃、40%RH環境下)で30分間安静にし、強制発汗させ、皮膚水分蒸散量測定装置(TEWL Tewameter TM210 ck electronic社製)を用いて発汗量を測定した。
下記式で示される制汗効果(%)の10人の平均値を算出し、以下の基準で判断した。
【0040】
【数1】

【0041】
<評価基準>
◎ :平均値が60%以上
◎〜○:平均値が50%以上60%未満
○ :平均値が30%以上50%未満
△ :平均値が10%以上30%未満
× :平均値が10%未満
【0042】
防臭効果の持続性
<評価方法>
各液体制汗デオドラント組成物を、女性被験者10名の片方の腋下に0.2g塗布した後、予め洗浄したガーゼ(5cm×5cm)を両脇部に縫い付けたシャツを着用させた。8時間着用後のガーゼに付着した体臭を、判定者5名にて、各判定者がそれぞれ被験者10名について下記の評点基準に基づき未塗布部位(未塗布のもう一方の腋下)と比べて官能評価を行い、着用ガーゼ10枚の臭気評価の平均点を求めた結果を、下記の評価基準で判定した。なお、被験者には塗布の3日前から他の制汗デオドラント剤の使用を禁止し、塗布の前日には無香料のボディソープを使用してもらった。
5点:未塗布部位と比べて全く臭わない
4点:未塗布部位と比べてほとんど臭わない
3点:未塗布部位と比べてやや臭わない
2点:未塗布部位と比べてわずかに臭わない
1点:未塗布部位と比べて臭いが同等又はより臭う
【0043】
<評価基準>
◎ :4点以上5点以下
◎〜○:3.5点以上4点未満
○ :3点以上3.5点未満
△ :2点以上3点未満
× :1点以上2点未満
【0044】
皮膚刺激性
<評価方法>
各組成物を、フィンチャンバー(大正製薬(株))内のろ紙(直径7.5mm)に20μL滴下し、自分が敏感肌だと感じている成人男性10人の背部(無疹部)に貼り付けた。貼り付けてから48時間後にパッチを除去し、その後24時間経過時に以下に示す評価基準(川村太郎、日皮会誌、80,301,1970)に準じて評価を行った。評価点は10人の点数の平均点より算出した。
【0045】
<評価基準>
0:反応なし
1:軽い紅斑
2:紅斑
3:紅斑+浮腫
4:紅斑+浮腫+丘疹、漿液性丘疹、小水疱
5:大水疱
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
【表6】

【0051】
下記成分を含む組成物を実施例1と同様に調製し、同様に評価した。なお、実施例34では下記容器を使用した。結果を表7に示す。
【0052】
[実施例32] ロールオン型液体制汗デオドラント組成物
(質量%)
(A)クロルヒドロキシアルミニウム 10
(B−1)塩化ベンザルコニウム 0.1
(B−2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.1
ポリオキシプロピレン(17)ブチルエーテル 2.0
(D)PVP/VA共重合体(6:4) 0.5
β−グリチルレチン酸 0.1
ヒドロキシプロピルセルロース 0.5
クララエキス 0.1
クワエキス 0.1
香料 0.1
(C)エタノール 70
精製水 バランス
合計 100
(B−1)/(B−2)=1
【0053】
[実施例33] ロールオン型液体制汗デオドラント組成物
(質量%)
(A)クロルヒドロキシアルミニウム 10
パラフェノールスルホン酸亜鉛 1.0
(B−1)塩化ベンザルコニウム 0.2
(B−2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
ポリオキシプロピレン(12)ブチルエーテル 3.0
(D)PVP/VA共重合体(6:4) 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
オトギリソウエキス 0.1
クワエキス 0.1
香料 0.1
(C)エタノール 60
精製水 バランス
合計 100
(B−1)/(B−2)=1
【0054】
[実施例34] ミスト型液体制汗デオドラント組成物
(質量%)
(A)クロルヒドロキシアルミニウム 5
(B−1)塩化ベンザルコニウム 0.2
(B−2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.2
(D)PVP/VA共重合体(6:4) 0.3
ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン 0.5
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
ナイロン末 0.5
香料 0.1
(C)エタノール 60
精製水 バランス
合計 100
(B−1)/(B−2)=1
使用ディスペンサー:Z−35−S01(口径φ0.045)(株)三谷バルブ製
塗布量については、腋窩部に塗布前の質量から塗布後の質量を基に0.1gを塗布した。
【0055】
【表7】

【0056】
使用原料の詳細を下記表に示す。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)制汗成分と、
(B−1)塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム及び臭化セチルトリメチルアンモニウムから選ばれる化合物と、
(B−2)アルキル(炭素数8〜22)トリアルキルアンモニウム塩(但し、(B−1)成分を除く)と、
(C)エタノールと
を含有し、(B−1)/(B−2)で表される、(B−2)成分に対する(B−1)成分の含有質量比が0.03〜35であることを特徴とする液体制汗デオドラント組成物。
【請求項2】
(B−1)成分が、塩化ベンザルコニウムである請求項1記載の液体制汗デオドラント組成物。
【請求項3】
(B−1)成分の配合量が組成物全体の0.01〜1.0質量%であり、(B−2)成分の配合量が組成物全体の0.01〜1.0質量%である請求項1又は2記載の液体制汗デオドラント組成物。
【請求項4】
(A)制汗成分が、クロルヒドロキシアルミニウムである請求項1〜3のいずれか1項記載の液体制汗デオドラント組成物。
【請求項5】
更に、(D)ポリビニルピロリドン及び/又はビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の液体制汗デオドラント組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の液体制汗デオドラント組成物と、この組成物を充填した塗布ボールを有するロールオン容器とを備えた液体制汗デオドラント製品。

【公開番号】特開2013−112642(P2013−112642A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260353(P2011−260353)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】