液体収納容器および該容器用ホルダ
【課題】 インクの供給口とインクタンク側の情報を提示する接点部とを具えたインクタンクが装着されるホルダにあって、各部に厳格な精度条件を要することなく、接点部の良好な接続状態を確保できるようにする。
【解決手段】 インクタンク側の接点に接触可能なホルダ側接点14を固定したものとせず、インクタンクの装着動作に伴って変位することで接触位置に変位する部材13に設ける。部材13は、インクタンク1に設けた係止部5に係合可能でその装着動作に伴って当該係合が行われる方向に変位する係合部15を有し、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位する。
【解決手段】 インクタンク側の接点に接触可能なホルダ側接点14を固定したものとせず、インクタンクの装着動作に伴って変位することで接触位置に変位する部材13に設ける。部材13は、インクタンク1に設けた係止部5に係合可能でその装着動作に伴って当該係合が行われる方向に変位する係合部15を有し、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器、特にインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録ユニットまたはインクジェット記録装置に着脱可能なインクタンク形態の液体収納容器、並びに、該容器の装着を受容するホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、布、OHP用シートなどのプラスチックシート等の記録媒体(以下、単に「記録紙」ともいう)に対して記録を行う記録装置は、例えばワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式など、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載可能な形態として実現されている。
【0003】
そのような記録装置の中で、ノンインパクト記録方式として、記録素子上に配置した吐出口(ノズル)から液体を吐出させて記録紙上に記録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッドを具備した記録装置(以下、「インクジェット記録装置」という)は、騒音の発生が少なく、高密度かつ高速な記録動作が可能である。
【0004】
これらのような理由から、インクジェット記録装置は、複写機、ファクシミリ、電子タイプライタなどの情報処理装置の出力手段として、あるいはワードプロセッサ、ワークステーション、パーソナルないしはホストコンピュータ等の出力端末をなすプリンタとして、さらには光ディスク装置、ビデオ装置、デジタルカメラ等に接続されるハンディないしはポータブルプリンタとして、現在では広く利用されている。
【0005】
かかるインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに一体不可分にまたは着脱可能にインクタンクが取り付けられ、このインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにしたものがある。
【0006】
インクタンクと記録ヘッドとが着脱可能に構成される場合、記録ヘッドとインクタンクとの間の位置決めは、インクタンク側に配されるインク供給口と記録ヘッド側に配されるインク導入口とが精度良く結合し、両者の結合部分が確実に密閉された状態を保持する上で重要である。インクタンクから記録ヘッドにインクを円滑かつ確実に供給することで、記録ヘッドからのインクの適切な導出(記録のための吐出動作や、回復処理における吸引力の作用における強制排出動作)を行うことが可能となるからである。
【0007】
また、インクタンクと記録ヘッドとが一体不可分に構成されたものでも、またインクタンクと記録ヘッドとが着脱可能に構成されたものでも、これらが一体となった記録ヘッドユニットと記録装置本体側の部材(例えばシリアル方式の記録装置にあって、主走査を行うためのキャリッジ)との位置決めは、記録品位に係わる重要な事項である。さらに、特にパーソナルユースのインクジェット記録装置では、装置の大型化をもたらすことなく、より簡単な操作あるいはより簡単な機構で着脱可能とすることが重要である。
【0008】
そこで本出願人は、特許文献1において、これらに応えるインクタンクおよびその取り付け部の構成を提案している。ここでは、インクタンクの一端面に抜け止め爪を形成し、これと対向する他端面の下端部にはラッチ爪が形成されたラッチレバーを弾性的に支持して設ける一方、インクタンクが取り付けられるホルダの一端壁内面に上記抜け止め爪が嵌合する抜け止め穴を形成し、他端壁内面に上記ラッチ爪が係合する係合穴を形成した構成が開示されている。そして装着にあたっては、インクタンク一端側の抜け止め爪をホルダの抜け止め穴に嵌合させてからインクタンクの上記他端側を所定の装着位置に押し込むことで、インクタンクのラッチ爪をホルダの係合穴に係合させる動作が行われる。これらの嵌合および係合によってインクタンクの装着位置からの離脱が阻止される。
【0009】
一方、上記のように着脱可能な構成のインクタンクには、インクタンク自らに係る所定の情報(収納しているインクの色など)を電気的に提示可能な手段を設けておき、記録装置ではインクタンク装着時にその情報を読み出して動作制御を行うことで、常に良好な記録出力を得ることを可能とした構成が知られている(特許文献2)。
【0010】
【特許文献1】特開平8−58107号公報
【特許文献2】特開平11−348308公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インクタンク自らに係る所定の情報を電気的に提示可能な手段を設けた構成では、上述のように、インクタンク装着時においてインクタンクとその取り付け対象であるホルダ(記録ヘッドが一体のものであってもよい)とが機械的な装着位置に確実に保持されて良好なインク連通状態が得られるようにする行うことに加え、情報の授受を行うための相互の接続も確実かつ信頼性の高いものでなくてはならない。
【0012】
しかし電気接点は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、過大な力をもってそれらを当接させることは損傷防止や耐久性の観点から好ましいことではない。また、特にインクタンクがホルダに対し着脱可能である場合には、インクタンク着脱時においてインクタンク側のインク供給口に装置側の接点が接触して濡れてしまう恐れがある。また、装着時においてインク供給用接続部分から万一のインク漏洩が生じた場合、漏洩インクが電気接点部まで至る恐れもある。
【0013】
さらに、上記のような好ましい電気的接続を行うためには、インクタンクおよびホルダの部品点数の多さに伴って増大する寸法公差の影響や、組み付け時のばらつきの影響などが考慮されなければならない。しかし寸法および組み付け精度を向上させると、部品の製造コストに影響し、インクタンクやホルダのコスト増大をもたらし得る。これに対して、寸法および組み付け精度を厳格に管理しない場合には、それらのばらつきに対応するべくコンタクトピンなどの電気的接点部の可動範囲を大きくせざるを得ず、接触時の移動距離や負荷が大きくなるため、耐久性能上の問題が生じる。
【0014】
よって本発明は、情報授受用接触部分の良好な接続状態を確保でき、かつ低廉にして耐久性が高く、しかもインク漏洩等による汚損などからの保護にも適した情報授受用接触部分の構成配置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明は、内部に収納した液体をインクジェットヘッドに供給するための供給口と、所定の情報を提示可能な情報提示手段の接点とを有する液体収納容器を着脱可能に保持するホルダであって、
前記情報を受容するために前記情報提示手段の接点に接触可能なホルダ側接点と、
該接点を保持し、前記液体収納容器の装着動作に伴って変位することで前記接触を行わせる変位部材と、
を具えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記変位部材は、前記液体収納容器に設けた係止部に係合可能で、前記液体収納容器の装着動作に伴って前記係合が行われる方向に変位する係合部を有するともに、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位するものとすることができる。
【0017】
そして本発明液体収納容器は、かかる係合部を有するホルダに着脱可能で、前記変位部材の係合部に係合可能な係止部を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、情報授受用接触部分の良好な接続状態を確保でき、かつ低廉にして耐久性が高く、しかもインク漏洩等による汚損などからの保護にも適した情報授受用接触部分の構成配置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0020】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0021】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「紙」ともいう場合もある。
【0022】
さらに、「インク」または「液体」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクまた記録媒体の処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位ないし発色性の向上、画像耐久性の向上など)に供される液体を言うものとする。
【0023】
1.第1の実施の形態
1.1 インクタンク
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダ(以下、インクタンクホルダとも言う)の模式的側断面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)を可能とする面を言う。また、背面とは、それに対向する奥側の面を言うものとする。
【0024】
本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材2を有している。支持部材2はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、インクタンクホルダ8への装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1には、インクタンクホルダ側において対応する5つの結合部に機械的に結合可能な5つの結合部が設けられ、これらの結合によってインクタンク1のインクタンクホルダ8への機械的および電気的結合状態が確保される。本例では、インクタンク1の背面側には第1係合部6および第2係合部7が、正面側には支持部材2に一体化された係合部3が、さらに底面側には係止部5および係合部23が設けられている。これらの詳細な構成および装着時の動作については図2を用いて後述する。
【0025】
インクタンク1の底面には、インクタンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口18が設けられている。この底面と正面とが交わるコーナー領域すなわち稜線部分には、支持部材2の延在方向とほぼ同一方向に傾斜した斜面130が形成されている。そしてこの斜面130には、インクタンク自らの情報を記憶した情報記憶媒体4を実装するとともに、ホルダに設けられたコンタクトピン14と電気的接続を行うための接点であるコンタクトパット(不図示)が設けられた基板100が取り付けられている。なお、図1では、情報記憶媒体4を基板100に実装した後に、保護用の封止剤でこれを被覆した状態を示している。
【0026】
インクタンク1がインクジェット記録装置に装着されると、情報記憶媒体4の記憶内容(例えばインクの使用期限、インクタンク内のインク量、インクの色など、インクタンクに係る所要の管理を行うために供され得る情報)をインクジェット記録装置に提示することができる。これにより、使用期限切れの報知を行ってインクタンクの交換を促すことでインクの変色や増粘による記録不良の発生を未然に防止したり、インク残量が十分にない状態の報知を行うことで記録途中に記録(インク吐出)動作が不能となってしまう不都合を防止したり、意図するものとは色調の異なるインクを収納したインクタンクが誤装着されたことを報知することで記録不良が発生することを防止したりすることができるようになる。そしてこれにより、常に高品位な記録物を得ることができる。
【0027】
情報記憶媒体4としては、磁気媒体、光磁気媒体、電気的記憶媒体、DIPスイッチなどの機械的スイッチ等、インクジェット記録装置側のコンタクト部との機械的接触によって情報を提示可能なものであれば、種々の形態とすることができる。例えばフラッシュメモリとすることもできるし、ライトアットワンス的な磁気媒体とすることもできる。しかし単に記録装置側に情報を提示するだけでなく、記録装置側から情報(例えば画像データの計測に基づくインク残量あるいは使用量の情報)を追記あるいは変更・削除等を行うことが望まれる場合には、電気的書き込み消去可能なEEPROMを用いることができる。
【0028】
インクタンク1の内部は、支持部材2および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室21と、背面側に位置してインク供給口18に連通するインク収納室20とに分割されており、両者は連通口22を介して接続されている。インク収容室21にはインクがそのまま貯留される一方、インク収納室20には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収部材20Aが設けられている。このインク吸収部材20Aは、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。インクタンク1は上面部を蓋によって密閉されており、このインク収納室20の上部に位置する部分には、インクタンク内部を大気と連通させる大気連通口24が配されている。
【0029】
なお、インクタンク1の内部構成は、このようなインク吸収部材の収納室とインクをそのまま貯留する収容室とに分かれた形態に限られない。例えば、インク吸収部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段としてインク吸収部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。
【0030】
インクタンクホルダ8には、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6および第2係合部7と、正面側係合部3と、底面側係止部5および係合部23とにそれぞれ結合可能な第1係止部11および第2係止部12と、係止部9と、係合部15および係止部123とが設けられている。装着時には、ホルダ底部に位置するインク導入口19とインクタンク1側のインク供給口18とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。また、ホルダ8のコンタクトユニット13に設けられたコンタクトピン14と、基板100の外側に向かって位置する面に設けられたコンタクトパッド(不図示)とが接触し、電気的接続が可能となる。
【0031】
なお、かかるインクタンクホルダ8は、インク導入口19を介して供給されるインクを使用する記録ヘッド105’を底面側に分離不能または分離可能に一体に具えたものであってもよい。すなわち、ホルダ8は記録ヘッドユニットの形態を有して、記録装置に対し装着されるものでもよい。
【0032】
1.2 インクタンク取り付け部
図2(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【0033】
本実施形態において、インクタンクの機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6、第2係合部7、底面側係合部23および正面側係合部3と、これらに対応してホルダ8に設けられた第1係止部11、第2係止部12、底面側係止部123および係止部9とである。また、電気的接続の好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部15とである。なお、インクタンク1の底面に設けたピン形態の係合部23およびこれに対応してホルダ8側に設けた穴状の係止部123は、インクタンクの位置決め、ないしは所定の装着位置には所定色のインクを収納したインクタンクの装着のみが許容されるようにするために使用可能な部分であり、本発明に必須の構成要素ではない。
【0034】
まず、機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保の動作を説明する。
【0035】
インクタンク1をホルダ8に装着する場合には、ホルダホルダ8の上方でインクタンク1を取り扱い、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部6および第2係合部7を、それぞれ、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部11および12に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図2(a))。なお、第2係合部7および第2係止部12は、第1係合部6の第1係止部11への挿通操作を容易に行うための目安となるもので、必ずしも必須のものではない。
【0036】
この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部6および第1係止部11の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材2に設けられた係合部3の側面がホルダ正面側の内壁面に押されながら、支持部材2も矢印Q方向に変位してゆく。
【0037】
そして係合部3が係止部9に至ると、支持部材2は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、係合部3が係止部9によって係止される。この状態(図2(c))では、ホルダ正面内壁面が支持部材2を介してインクタンク1を水平方向(符号yで示す方向)に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ背面側の内壁面に当接する。また、インクタンク1の上方への変位は、背面側第1係合部6が係合した第1係止部11および正面側係合部3が係合した係止部9によって抑制される。これがインクタンク1の機械的な装着完了状態であり、このときインク供給口18およびインク導入口19が接合した状態となる。
【0038】
一方、このとき、ホルダ側のコンタクトピン14とインクタンクの基板100に設けたパッドとが結合し、電気的接続が可能となる。これらの好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部15であり、それら各部およびそれに関連する構成と動作について、図1、図2(a)〜(c)、図3および図4(a)〜(c)を用いて説明する。
【0039】
図1および図2(a)〜(c)に示すように、ホルダ8の底面から上方に向けてピン形状の係合部15が突出している。係合部15とコンタクトピン14とは一体の部材であるコンタクトユニット13に設けられており、このコンタクトユニット13は、y方向に延在するガイド穴10にガイドピン16を挿通することで、水平方向(y方向およびこれと反対のy’方向)に移動可能である。また、この部材はばね17により、y'方向に付勢されており、インクタンク1の未装着状態では、図2(a)における右端位置にピン15およびコンタクトユニット13が位置している。
【0040】
一方、インクタンク1の底面に設けられた係止部5は、係合部15と係合可能な略三角形状の凹部を形成している。特に係止部5は、情報記憶媒体4が配される部分に近い正面側の部位から背面側に向かって深さ(インクタンク底面からの距離)を漸増する傾斜面5Aを有している。
【0041】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図2(a)に示すように、まず係合部15の先端部15Aはインクタンク底面側に位置する係止部5の斜面5Aの端部と当接する。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は矢印R方向に回動しようとし、これに伴い、図3に示すように、係合部15の先端部15Aは傾斜面5Aから反力を受ける。そしてその反力の水平方向分力により、ばね17の付勢力に抗しつつ、図4(a)および(b)に示すように、係合部15の先端部15Aが係止部5の傾斜面5A上を摺動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆく。上記機械的装着が完了した時点では係合部15および係止部5は図4(c)に示す位置関係となる。
【0042】
一方、コンタクトピン14は、係合部15とともに、一体の部材であるコンタクトユニット13に設けられているので、係合部15の移動に伴い、図2(a)および(b)に示すようにy方向へと移動する。このとき、コンタクトピン14はホルダ正面側に設けた開口部分25を通ってインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に収納されている状態となる。そして、図2(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0043】
1.3 第1実施形態の詳細説明
まず、装着動作の過程では、係合部3および係止部11の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口18およびインク導入口19の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口18はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口19に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
【0044】
従って、本例のような構成配置および装着動作を採用し、比較的大なる力をもってそれら部材を弾性変形させた状態とすることは、それらの配設目的に照らして好ましいことである。また、装着動作が完了すると、第1係合部6が係合した第1係止部11および係合部3が係合した係止部9によってインクタンク1の浮き上がりが阻止され、従ってそれら弾性部材の復元が抑制されるので、それらの部材は適切に弾性変形した状態に保持される。
【0045】
一方、インクタンクの基板100側に設けられるコンタクトパッドおよびホルダ側に設けられるコネクタピン14など、電気的接点を構成する部材は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、これらの間には良好な電気接続性が確保されるべきである。ここで、寸法および組み付け精度のばらつきに対応するべく、コンタクトピンなどの電気的接点部が接触しながら可動する範囲を大とすることは、損傷防止や耐久性の観点から好ましくない。本例では、ホルダ8へインクタンク1を装着する際、双方の電気的接点は装着完了時またはその直前に至ってはじめて接触して接続を完了する構成となっているので、損傷防止や耐久性において有利である。
【0046】
ここで、本実施形態のように好ましい電気的接続を行うための構成を採用した場合の電気的接続に関する精度について説明する。
【0047】
図5は本実施形態の構成において要求される当該精度の説明図である。
【0048】
本実施形態では、インクタンクの装着動作に従動して変位するコンタクトユニット13に電気的接点であるコンタクトピン13を設けた構成を有している。従って、図5に示すように、本例の構成における電気的接続に関係する精度は、次の4種類の組み合わせで足りることになる。すなわち、
A:情報記憶媒体4のインクタンク1への接合精度、
B:情報記憶媒体取り付け位置から係止部5までの寸法精度、
C:コンタクトユニット13における係合部15からコンタクトピン14までの寸法精度、および
D:コンタクトユニット13のホルダ8への組み付け精度
である。
【0049】
さらに、本実施形態では、電気的接点部がインクタンク1ないしホルダ8の底面から一段上がった位置に配されているので、インクタンク着脱時にインク供給口がコネクタに接触したり、インク供給口からのインク漏洩が生じたりすること等により、インクが接点部分に付着して電気的なショートが生じる問題も解決できる。
【0050】
また、インクタンク1がホルダ8に完全に装着されていない着脱過程では、コンタクトピン14はホルダ8に設けられた開口部内に収納された状態となるので、インクタンクの着脱時においてインク漏洩が生じても、これがコンタクトピン14に付着することによる電気的なショートや、着脱時の誤操作によるコンタクトピン14の破損等を防ぐことが可能となる。なお、ホルダの開口25の深さやコンタクトユニット13の寸法を適切に定めることで、インクタンクの着脱過程だけでなく非装着時においては常にコンタクトピン14が開口25内に収納された状態となるようにすることもできる。
【0051】
加えて、本実施形態では、インクタンク取り外し時においては、正面側係合部3の正面側係止部9による係止状態を解除すべく支持部材2を操作すると、コンタクトピン14ないしコンタクトユニット13がばね17の付勢力により自動的にホルダ8の開口側に復帰するとともに係合部15も移動する。このため、係合部15によってインクタンク1の係止部5が斜面5Aを介して反力を受け、インクタンク1を上方へポップアップさせることができる。これは、インクタンク1の装着が不十分であった場合でも同様であり、ユーザに不完全装着を認識させることができる。
【0052】
1.4 変形例
以上の構成に対しては、種々の変形を行うことが可能である。
【0053】
例えば、上記構成ではコンタクトユニット13がばね17により付勢されるものとしたが、ゴムその他の弾性部材で付勢されるようにしてもよく、また磁石による吸着作用で付勢されるようにしてもよい。あるいは、モータおよび所要の伝動機構を用いてコンタクトユニットの移動が行われるようにすることもできる。
【0054】
また、斜面5Aと摺接する係合部先端部15Aの形状についても適切に定めることができ、例えば先端部を曲面状にすることで、図6(a)に示すように斜面5Aと先接触を行うようにしたり、図6(b)に示すように点接触を行うようにすることができる。すなわち先端部15Aの形状は、斜面5Aとの間で好ましい力の相互作用が生じるよう、適切に選択することができ、蒲鉾型(図6(a))や半円球(図6(b))のほかにも、円錐状、三角錐状、四角錐状等、適宜の形状とすることができる。
【0055】
さらに、インクタンク側の係止部の凹部形状についても、上例のように略三角形状とするほか、適宜の形状とすることができる。
【0056】
図7(a)〜(c)はコーナー部を丸めた凹部をもつ係止部5を用いるとともに、傾斜面5Aに対して線接触を行う係合部先端部15Aを用いた例であり、これによっても、傾斜面5Aからの反力に応じ係合部15の先端部15Aは傾斜面5A上を摺動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆくものとなる。
【0057】
2.第2の実施形態
上述の第1の実施形態においては、ホルダ8の底面に設けた係合部15ないしコンタクトユニット13が並進することで電気接点部の接触を行わせるものとしたが、変位はそのような並進に限られず、例えば回動を伴うものでもよい。
【0058】
図8は本発明の第2の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダの模式的側断面図である。また、図9(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。これらの図において、第1実施形態と同様に構成できる部分または同様の機能を果たす部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明は省略する。
【0059】
本実施形態において、インクタンクの機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6、第2係合部7および正面側係合部3と、これらに対応してホルダ8に設けられた第1係止部11、第2係止部12および係止部9とである。そして、機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保の動作は第1実施形態と同様である。
【0060】
一方、本実施形態において、電気的接続部の好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部215であり、それら各部およびそれに関連する構成と動作について説明する。
【0061】
本実施形態においては、略T字形状のコンタクトユニット213が設けられており、その横棒の一端側が係合部215をなすとともに、他端がガイドピン216に回転可能に軸支され、さらにこのガイドピン216はy方向に延在するガイド穴210に挿通されることで、水平方向に移動可能である。また、T字形状のコンタクトユニット213の縦棒の端部に、コンタクトピン14が配されている。さらに、このコンタクトユニット213は、ばね217によりピン216を中心に図の時計方向に付勢されており、インクタンク1の未装着状態では、図9(a)に示すように、係合部215が鉛直方向に直立する状態となっている。
【0062】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図9(a)に示すように、まず係合部215の先端部215Aはインクタンク底面側に位置する係止部5の斜面5Aの端部と当接する。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は回動し、これに伴い係合部215の先端部215Aは傾斜面5Aから反力を受ける。そしてその反力により、係合部215はばね217の付勢力に抗してピン216を中心として回動するとともに、ピン216がガイド210に沿って滑動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆく(図9(b))。そして機械的装着が完了した時点では、係合部215および係止部5は図9(c)に示す位置関係となる。
【0063】
一方、コンタクトピン14は、係合部215とともに一体の部材であるコンタクトユニット213に設けられているので、係合部15の変位に応じ、回動を伴いながら変位し、ホルダ正面側に設けた開口部分25からインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に実質的に収納されている状態となる。そして、図9(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0064】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上述と同様の変形を加えることも可能である。
【0065】
3.第3の実施形態
以上の各実施形態においては、インクタンク1の底面の係止部5およびホルダ8の底面の係合部15が電気接点部の近傍の位置において係合するものとしたが、これを他の部位とすることもできる。
【0066】
図10は本発明の第3の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダの模式的側断面図である。また、図11(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。これらの図において、第1実施形態と同様に構成できる部分または同様の機能を果たす部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明は省略する。
【0067】
機械的な装着動作に関しては、上記第1の実施形態とほぼ同様である。
本実施形態においては、インクタンク底面のインク供給口18の近傍の部位に係止部3055を設けるとともに、これに対応して、ホルダ底面のインク導入口19の近傍の部位に係合部315を設け、これらが電気的接続部の好ましい結合動作に主として関与するようにしている。インク導入口19と係合部315とは、側面から見た場合、インクタンクの未装着時においてほぼ重畳する近傍の位置に配されている。これらの各々の中心軸は略鉛直方向である。
【0068】
係合部315とコンタクトピン14とは一体の部材であるコンタクトユニット313に設けられており、本実施形態の場合それらが離隔していることから、コンタクトユニット313は水平方向に延在する部分を有している。また、このコンタクトユニット313が水平方向に移動可能であること、ばね17により付勢されていることについては第1実施形態と同様である。
【0069】
一方、インクタンク1の底面に設けられた係止部305は、係合部315と係合可能な凹部を形成している。また本例の場合、係合部315の円滑な進入を受容すべく、図12に示すように所定のクリアランスhを有するものとなっている。
【0070】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図11(a)および図13(a)に示すように、まず係合部315の先端部315Aはインクタンク底面側に位置するインク供給口18の外周部と最初に当接し、ここから反力を受けて滑りながら係止部305側に誘導可能である。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は回動しながら装着されて行き(図11(b))、これに伴い係合部315は係止部305の内壁面によって背面方向に押されながら、係止部305がなす凹部に相対的に進入してゆく(図13(b))。そして機械的装着が完了した時点(図11(c))では、係合部315および係止部305は図13(c)に示す位置関係となる。
【0071】
一方、コンタクトピン14は、係合部315とともに、一体の部材であるコンタクトユニット313に設けられているので、係合部315の移動に伴い、ホルダ正面側に設けた開口部分25を通ってインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に収納されている状態となる。そして、図11(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0072】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態では、コンタクトピン14の移動または位置決めをインクタンクおよびホルダ側のインク連通部位の近傍に配置された係止部305および係合部315にて行うようにしため、インク連通部位が確実に結合しない限りコンタクトピン14の情報記憶媒体4に対する電気的接続が行われず、従ってより信頼性の高い装着状態を得ることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様の変形を加えることが可能である。さらに、インクタンク側の係止部について他の構成とすることができる。
【0074】
図14(a)〜(d)はそのいくつかの例を示す。ここで、(a)は係止部315の凹部をインクタンク背面側直近まで拡張したもの、(b)は凹部をさらに上方にも拡張したもの、(c)は凹部内面に丸みをつけてなるものである。(d)は完全な凹部とするのではなく、インクタンクの切り欠き形状によって係止部を形成したものである。
【0075】
4.インクジェット記録装置への適用形態
次に、上記第1ないし第3のいずれかの実施形態に係るインクタンクを搭載可能な記録ヘッドおよびインクジェット記録装置の具体例を説明する。
【0076】
上述のように、インクタンクホルダ8は、インク導入口19を介して供給されるインクを使用する記録ヘッド105’(図1)を底面側に分離不能または分離可能に一体に具えたものであってもよい。すなわち、ホルダ8は記録ヘッドユニットの形態を有して、記録装置に対し装着されるものでもよい。
【0077】
そしてホルダ8ないし記録ヘッドユニットには、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色に対応した4個のインクタンクを個別に着脱可能とすることができるそして各インクタンクを装着することで、ホルダ底部に対応して配置された記録ヘッド側のインク導入口19とインクタンク側のインク供給口18とが結合し、両者間のインク連通路が形成されるようにするとともに、情報記憶媒体4に対する電気的接続が行われるようにすることができる。
【0078】
例えば記録ヘッド105’としては、電気熱変換素子をノズルを構成する液路内に設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与し、そのときのインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものを用いることができる。
【0079】
図15は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図16は、図15に示す本体カバー201を開いて示す斜視図である。
【0080】
図15に示すように、本実施形態のプリンタ1200は、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットとインクタンク1とを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー1201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ1203と、自動給紙装置(ASF)1202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部1213が設けられている。
【0081】
本体カバー1201を取り外した状態では、図16に示すように、ユーザは、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットおよび各色インクタンク1K、1Y、1Mおよび1Cを搭載したキャリッジ1205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は、本体カバー1201を開けると、キャリッジ1205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
【0082】
本実施形態のプリンタは、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットに各色のインクに対応した記録ヘッド105’(図1参照)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ1205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ1205は、その移動方向に延在するガイド軸1207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル1206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置1202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ1203まで搬送することができる。また、キャリッジ1205には、インクタンクホルダないし記録ヘッドユニットが着脱自在に装着され、一方、これに対してそれぞれのインクタンク1が着脱自在に装着される。
【0083】
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行うとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
【0084】
なお、用いるインクタンクの個数や色インクの収納形態、およびインクタンクが取り付けられる記録ヘッドユニットないしはインクジェット記録装置の構成は上述のものに限られない。また、用いるインクの色調としても、単色であっても複数色であってもよい。さらに複数色を用いる場合は、上述した4色のほか、それらとともに、あるいはそれらの少なくとも一部に代えて、他の色調、例えば淡シアン、淡マゼンタ、レッド、グリーン、ブルーなどのインクを用いるものであってもよい。さらには、色材としてもインクのほか、記録媒体上での定着性や発色性あるいは耐久性などを向上するための処理液を収納するインクタンクを用いることもできる。
【0085】
5.その他
本発明は、上述の実施形態に限られることなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の形態を採ることが可能である。
【0086】
例えば、上述の各実施形態ではインクタンク背面側にある係合部6をホルダ奥側の係止部11に挿通し、インクタンク正面側を押下しつつ挿通部分を回動支点としてインクタンク1を回動させながら装着動作を行う構成としたが、ホルダに対しインクタンクを例えばほぼ水平方向に押し込んで装着する形態としてもよい。
【0087】
図17はその一例を示す。
この例においても、インクタンク401をホルダ408に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口419とインクタンク底部に位置するインク供給口418とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。ホルダ408は、インクタンク401を装着する際の回動中心となる係合部455を正面側に有するとともに、インクタンク401の上部に設けた係合部426を係止してインクタンク1を装着完了位置に保持する係止部427を上部内壁に有している。また、ホルダ背面側には、情報記憶媒体404を担持するインクタンクの基板400のコンタクトパッド(不図示)と接続可能なコンタクトピン414が設けられている。
【0088】
また、ホルダ底面には鉛直方向上方に直立する係合部415が設けられ、上記第1実施形態と同様、係合部415とコンタクトピン414とは一体の部材であるコンタクトユニット413に配されている。そして、このコンタクトユニット413は、水平方向に延在するガイド穴410にガイドピン416を挿通することで水平方向に移動可能であり、またばね417により図の左方向に付勢されている。
【0089】
インクタンク401を装着する場合には、ホルダ408の正面からインクタンク401を取り扱い、インクタンク背面下縁部をホルダの背面内壁に押し当て、インクタンク正面の部位をホルダ408の正面側係合部455に係合させた状態とする。この状態では、コンタクトユニット413はまだ図示の状態より左方に偏倚した位置にあり、係合部415の先端部はインクタンク底面に設けた係止部405がなす略三角形状の凹部の斜面端部に当接する。
【0090】
この状態からインクタンク401の正面上部を背面方向に押圧すると、インクタンク401は係合部455を中心に矢印方向に回動しながらホルダ内に装着されて行く。この過程で係合部415の先端部が係止部405の傾斜面上を摺動しながら、係止部405がなす凹部に相対的に進入してゆく。インクタンク正面側が下方に変位してゆく。装着が完了した時点では係合部415および係止部405は図に示す位置関係となる。
【0091】
一方、コンタクトピン414は、係合部415とともに、一体の部材であるコンタクトユニット413に設けられているので、係合部415の移動に伴い、図の右方向へと移動する。このとき、コンタクトピン414はホルダ背面側に設けた開口部分425を通ってインクタンク401の基板400に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ408にインクタンク401が装着未了である場合には、コンタクトピン414は開口部分内に収納されている状態となる。そして、装着が完了した時点で開口部分425からホルダ内方に突出し、図示のようにコンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0092】
また、第1ないし第3の実施形態では、所定の装着基準に向けてインクタンクを弾性的に押圧する弾性力作用部材ないし支持部材として、インクタンクの正面側の底面近傍の一端において支持され、そこから装着動作を受容するために斜めに延在するとともに、正面側の係止部に係止される係合部を有する支持部材を用いた構成について説明した。しかしかかる部材の配設位置、形状、および弾性力の作用方向は適宜定め得るものである。また、図17の例のようにそのような支持部材が設けられていなくてもよい。あるいは、支持部材をインクタンクもしくはホルダとは別体の第3の部材としてもよい。
【0093】
また、以上では、コンタクトパッドが形成された面の裏側に情報記憶素子を配した基板としたが、コンタクトパッドとホルダ側のコネクタとの接触動作に干渉しないのであれば、情報記憶素子をコンタクトパッドと同一面側に設けることもできる。また、基板ないし情報記憶素子にとって好ましい配設位置と、コンタクトパッドに求められる配設位置とが、インクタンクやその取り付け部の構成に応じて異なる場合には、それらをそれぞれ適宜の位置に配設し、配線で接続した構成としてもよい。すなわち、両者は必ずしも基板に一体化されたものでなくてもよい。
【0094】
加えて、以上の諸例では電気的接続によってインクタンクの所定の情報を提示する構成について述べたが、本発明は機械的な接触によって情報の授受が可能なものであれば、他の構成を採用することができる。例えば、磁気的に情報を提示するために接触を行うものでもよい。この場合は、コンタクトパッドを磁気記憶媒体、コンタクトピンを磁気ヘッドに置換したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図2】(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図3】インクタンクおよびホルダ側の電気的接点部の接触を行わせる動作を行うために、ホルダ側係合部に作用するインクタンク側係止部の力を説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(c)はインクタンク装着過程におけるホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図5】インクタンクおよびホルダ側の電気的接点部の電気的接続に関係する精度について説明するための図である。
【図6】(a)および(b)は、第1実施形態の2つの変形例に係るホルダ側係合部およびインクタンク側係止部を説明するための模式的斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、インクタンク装着過程における、第1実施形態のさらに他の変形例に係るホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、第2の実施形態においてインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、第3の実施形態においてインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図12】第3の実施形態におけるホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の拡大図である。
【図13】(a)〜(c)はインクタンク装着過程における第3の実施形態のホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図14】(a)〜(d)は、第3実施形態の4つの変形例に係るインクタンク側係止部を説明するための模式図である。
【図15】記録ヘッドユニットおよびインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図16】本体カバーを開いて示すインクジェットプリンタの斜視図である。
【図17】本発明の別の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1、1K、1C、1M、1Y、401 インクタンク
2 支持部材
3 正面側係合部
4、404 情報記憶媒体
5 タンク側係止部
5A 傾斜面
6、7 背面側係合部
8、408 インクタンクホルダ
9 正面側係止部
10 ガイド穴
11、12 背面側係止部
13、213、313、413 コンタクトユニット
14、214、314、414 コンタクトピン
15、215、315、415 ホルダ側係合部
15A 係合部先端部
16、216、316、416 ガイドピン
17、217、317、417 ばね
105’ 記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器、特にインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録ユニットまたはインクジェット記録装置に着脱可能なインクタンク形態の液体収納容器、並びに、該容器の装着を受容するホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、布、OHP用シートなどのプラスチックシート等の記録媒体(以下、単に「記録紙」ともいう)に対して記録を行う記録装置は、例えばワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式など、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載可能な形態として実現されている。
【0003】
そのような記録装置の中で、ノンインパクト記録方式として、記録素子上に配置した吐出口(ノズル)から液体を吐出させて記録紙上に記録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッドを具備した記録装置(以下、「インクジェット記録装置」という)は、騒音の発生が少なく、高密度かつ高速な記録動作が可能である。
【0004】
これらのような理由から、インクジェット記録装置は、複写機、ファクシミリ、電子タイプライタなどの情報処理装置の出力手段として、あるいはワードプロセッサ、ワークステーション、パーソナルないしはホストコンピュータ等の出力端末をなすプリンタとして、さらには光ディスク装置、ビデオ装置、デジタルカメラ等に接続されるハンディないしはポータブルプリンタとして、現在では広く利用されている。
【0005】
かかるインクジェット記録装置に適用される記録ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに一体不可分にまたは着脱可能にインクタンクが取り付けられ、このインクタンクからインクを記録ヘッドに直接供給するようにしたものがある。
【0006】
インクタンクと記録ヘッドとが着脱可能に構成される場合、記録ヘッドとインクタンクとの間の位置決めは、インクタンク側に配されるインク供給口と記録ヘッド側に配されるインク導入口とが精度良く結合し、両者の結合部分が確実に密閉された状態を保持する上で重要である。インクタンクから記録ヘッドにインクを円滑かつ確実に供給することで、記録ヘッドからのインクの適切な導出(記録のための吐出動作や、回復処理における吸引力の作用における強制排出動作)を行うことが可能となるからである。
【0007】
また、インクタンクと記録ヘッドとが一体不可分に構成されたものでも、またインクタンクと記録ヘッドとが着脱可能に構成されたものでも、これらが一体となった記録ヘッドユニットと記録装置本体側の部材(例えばシリアル方式の記録装置にあって、主走査を行うためのキャリッジ)との位置決めは、記録品位に係わる重要な事項である。さらに、特にパーソナルユースのインクジェット記録装置では、装置の大型化をもたらすことなく、より簡単な操作あるいはより簡単な機構で着脱可能とすることが重要である。
【0008】
そこで本出願人は、特許文献1において、これらに応えるインクタンクおよびその取り付け部の構成を提案している。ここでは、インクタンクの一端面に抜け止め爪を形成し、これと対向する他端面の下端部にはラッチ爪が形成されたラッチレバーを弾性的に支持して設ける一方、インクタンクが取り付けられるホルダの一端壁内面に上記抜け止め爪が嵌合する抜け止め穴を形成し、他端壁内面に上記ラッチ爪が係合する係合穴を形成した構成が開示されている。そして装着にあたっては、インクタンク一端側の抜け止め爪をホルダの抜け止め穴に嵌合させてからインクタンクの上記他端側を所定の装着位置に押し込むことで、インクタンクのラッチ爪をホルダの係合穴に係合させる動作が行われる。これらの嵌合および係合によってインクタンクの装着位置からの離脱が阻止される。
【0009】
一方、上記のように着脱可能な構成のインクタンクには、インクタンク自らに係る所定の情報(収納しているインクの色など)を電気的に提示可能な手段を設けておき、記録装置ではインクタンク装着時にその情報を読み出して動作制御を行うことで、常に良好な記録出力を得ることを可能とした構成が知られている(特許文献2)。
【0010】
【特許文献1】特開平8−58107号公報
【特許文献2】特開平11−348308公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
インクタンク自らに係る所定の情報を電気的に提示可能な手段を設けた構成では、上述のように、インクタンク装着時においてインクタンクとその取り付け対象であるホルダ(記録ヘッドが一体のものであってもよい)とが機械的な装着位置に確実に保持されて良好なインク連通状態が得られるようにする行うことに加え、情報の授受を行うための相互の接続も確実かつ信頼性の高いものでなくてはならない。
【0012】
しかし電気接点は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、過大な力をもってそれらを当接させることは損傷防止や耐久性の観点から好ましいことではない。また、特にインクタンクがホルダに対し着脱可能である場合には、インクタンク着脱時においてインクタンク側のインク供給口に装置側の接点が接触して濡れてしまう恐れがある。また、装着時においてインク供給用接続部分から万一のインク漏洩が生じた場合、漏洩インクが電気接点部まで至る恐れもある。
【0013】
さらに、上記のような好ましい電気的接続を行うためには、インクタンクおよびホルダの部品点数の多さに伴って増大する寸法公差の影響や、組み付け時のばらつきの影響などが考慮されなければならない。しかし寸法および組み付け精度を向上させると、部品の製造コストに影響し、インクタンクやホルダのコスト増大をもたらし得る。これに対して、寸法および組み付け精度を厳格に管理しない場合には、それらのばらつきに対応するべくコンタクトピンなどの電気的接点部の可動範囲を大きくせざるを得ず、接触時の移動距離や負荷が大きくなるため、耐久性能上の問題が生じる。
【0014】
よって本発明は、情報授受用接触部分の良好な接続状態を確保でき、かつ低廉にして耐久性が高く、しかもインク漏洩等による汚損などからの保護にも適した情報授受用接触部分の構成配置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明は、内部に収納した液体をインクジェットヘッドに供給するための供給口と、所定の情報を提示可能な情報提示手段の接点とを有する液体収納容器を着脱可能に保持するホルダであって、
前記情報を受容するために前記情報提示手段の接点に接触可能なホルダ側接点と、
該接点を保持し、前記液体収納容器の装着動作に伴って変位することで前記接触を行わせる変位部材と、
を具えたことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記変位部材は、前記液体収納容器に設けた係止部に係合可能で、前記液体収納容器の装着動作に伴って前記係合が行われる方向に変位する係合部を有するともに、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位するものとすることができる。
【0017】
そして本発明液体収納容器は、かかる係合部を有するホルダに着脱可能で、前記変位部材の係合部に係合可能な係止部を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、情報授受用接触部分の良好な接続状態を確保でき、かつ低廉にして耐久性が高く、しかもインク漏洩等による汚損などからの保護にも適した情報授受用接触部分の構成配置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0020】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する場合、または記録媒体の加工を行う場合を言うものとする。
【0021】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板等、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能な物も言うものとするが、以下では「紙」ともいう場合もある。
【0022】
さらに、「インク」または「液体」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成、記録媒体の加工、或いはインクまた記録媒体の処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化による定着性の向上や、記録品位ないし発色性の向上、画像耐久性の向上など)に供される液体を言うものとする。
【0023】
1.第1の実施の形態
1.1 インクタンク
図1は本発明の第1の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダ(以下、インクタンクホルダとも言う)の模式的側断面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)を可能とする面を言う。また、背面とは、それに対向する奥側の面を言うものとする。
【0024】
本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材2を有している。支持部材2はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、インクタンクホルダ8への装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1には、インクタンクホルダ側において対応する5つの結合部に機械的に結合可能な5つの結合部が設けられ、これらの結合によってインクタンク1のインクタンクホルダ8への機械的および電気的結合状態が確保される。本例では、インクタンク1の背面側には第1係合部6および第2係合部7が、正面側には支持部材2に一体化された係合部3が、さらに底面側には係止部5および係合部23が設けられている。これらの詳細な構成および装着時の動作については図2を用いて後述する。
【0025】
インクタンク1の底面には、インクタンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口18が設けられている。この底面と正面とが交わるコーナー領域すなわち稜線部分には、支持部材2の延在方向とほぼ同一方向に傾斜した斜面130が形成されている。そしてこの斜面130には、インクタンク自らの情報を記憶した情報記憶媒体4を実装するとともに、ホルダに設けられたコンタクトピン14と電気的接続を行うための接点であるコンタクトパット(不図示)が設けられた基板100が取り付けられている。なお、図1では、情報記憶媒体4を基板100に実装した後に、保護用の封止剤でこれを被覆した状態を示している。
【0026】
インクタンク1がインクジェット記録装置に装着されると、情報記憶媒体4の記憶内容(例えばインクの使用期限、インクタンク内のインク量、インクの色など、インクタンクに係る所要の管理を行うために供され得る情報)をインクジェット記録装置に提示することができる。これにより、使用期限切れの報知を行ってインクタンクの交換を促すことでインクの変色や増粘による記録不良の発生を未然に防止したり、インク残量が十分にない状態の報知を行うことで記録途中に記録(インク吐出)動作が不能となってしまう不都合を防止したり、意図するものとは色調の異なるインクを収納したインクタンクが誤装着されたことを報知することで記録不良が発生することを防止したりすることができるようになる。そしてこれにより、常に高品位な記録物を得ることができる。
【0027】
情報記憶媒体4としては、磁気媒体、光磁気媒体、電気的記憶媒体、DIPスイッチなどの機械的スイッチ等、インクジェット記録装置側のコンタクト部との機械的接触によって情報を提示可能なものであれば、種々の形態とすることができる。例えばフラッシュメモリとすることもできるし、ライトアットワンス的な磁気媒体とすることもできる。しかし単に記録装置側に情報を提示するだけでなく、記録装置側から情報(例えば画像データの計測に基づくインク残量あるいは使用量の情報)を追記あるいは変更・削除等を行うことが望まれる場合には、電気的書き込み消去可能なEEPROMを用いることができる。
【0028】
インクタンク1の内部は、支持部材2および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室21と、背面側に位置してインク供給口18に連通するインク収納室20とに分割されており、両者は連通口22を介して接続されている。インク収容室21にはインクがそのまま貯留される一方、インク収納室20には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収部材20Aが設けられている。このインク吸収部材20Aは、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。インクタンク1は上面部を蓋によって密閉されており、このインク収納室20の上部に位置する部分には、インクタンク内部を大気と連通させる大気連通口24が配されている。
【0029】
なお、インクタンク1の内部構成は、このようなインク吸収部材の収納室とインクをそのまま貯留する収容室とに分かれた形態に限られない。例えば、インク吸収部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段としてインク吸収部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。
【0030】
インクタンクホルダ8には、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6および第2係合部7と、正面側係合部3と、底面側係止部5および係合部23とにそれぞれ結合可能な第1係止部11および第2係止部12と、係止部9と、係合部15および係止部123とが設けられている。装着時には、ホルダ底部に位置するインク導入口19とインクタンク1側のインク供給口18とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。また、ホルダ8のコンタクトユニット13に設けられたコンタクトピン14と、基板100の外側に向かって位置する面に設けられたコンタクトパッド(不図示)とが接触し、電気的接続が可能となる。
【0031】
なお、かかるインクタンクホルダ8は、インク導入口19を介して供給されるインクを使用する記録ヘッド105’を底面側に分離不能または分離可能に一体に具えたものであってもよい。すなわち、ホルダ8は記録ヘッドユニットの形態を有して、記録装置に対し装着されるものでもよい。
【0032】
1.2 インクタンク取り付け部
図2(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【0033】
本実施形態において、インクタンクの機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6、第2係合部7、底面側係合部23および正面側係合部3と、これらに対応してホルダ8に設けられた第1係止部11、第2係止部12、底面側係止部123および係止部9とである。また、電気的接続の好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部15とである。なお、インクタンク1の底面に設けたピン形態の係合部23およびこれに対応してホルダ8側に設けた穴状の係止部123は、インクタンクの位置決め、ないしは所定の装着位置には所定色のインクを収納したインクタンクの装着のみが許容されるようにするために使用可能な部分であり、本発明に必須の構成要素ではない。
【0034】
まず、機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保の動作を説明する。
【0035】
インクタンク1をホルダ8に装着する場合には、ホルダホルダ8の上方でインクタンク1を取り扱い、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部6および第2係合部7を、それぞれ、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部11および12に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図2(a))。なお、第2係合部7および第2係止部12は、第1係合部6の第1係止部11への挿通操作を容易に行うための目安となるもので、必ずしも必須のものではない。
【0036】
この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部6および第1係止部11の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材2に設けられた係合部3の側面がホルダ正面側の内壁面に押されながら、支持部材2も矢印Q方向に変位してゆく。
【0037】
そして係合部3が係止部9に至ると、支持部材2は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、係合部3が係止部9によって係止される。この状態(図2(c))では、ホルダ正面内壁面が支持部材2を介してインクタンク1を水平方向(符号yで示す方向)に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ背面側の内壁面に当接する。また、インクタンク1の上方への変位は、背面側第1係合部6が係合した第1係止部11および正面側係合部3が係合した係止部9によって抑制される。これがインクタンク1の機械的な装着完了状態であり、このときインク供給口18およびインク導入口19が接合した状態となる。
【0038】
一方、このとき、ホルダ側のコンタクトピン14とインクタンクの基板100に設けたパッドとが結合し、電気的接続が可能となる。これらの好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部15であり、それら各部およびそれに関連する構成と動作について、図1、図2(a)〜(c)、図3および図4(a)〜(c)を用いて説明する。
【0039】
図1および図2(a)〜(c)に示すように、ホルダ8の底面から上方に向けてピン形状の係合部15が突出している。係合部15とコンタクトピン14とは一体の部材であるコンタクトユニット13に設けられており、このコンタクトユニット13は、y方向に延在するガイド穴10にガイドピン16を挿通することで、水平方向(y方向およびこれと反対のy’方向)に移動可能である。また、この部材はばね17により、y'方向に付勢されており、インクタンク1の未装着状態では、図2(a)における右端位置にピン15およびコンタクトユニット13が位置している。
【0040】
一方、インクタンク1の底面に設けられた係止部5は、係合部15と係合可能な略三角形状の凹部を形成している。特に係止部5は、情報記憶媒体4が配される部分に近い正面側の部位から背面側に向かって深さ(インクタンク底面からの距離)を漸増する傾斜面5Aを有している。
【0041】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図2(a)に示すように、まず係合部15の先端部15Aはインクタンク底面側に位置する係止部5の斜面5Aの端部と当接する。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は矢印R方向に回動しようとし、これに伴い、図3に示すように、係合部15の先端部15Aは傾斜面5Aから反力を受ける。そしてその反力の水平方向分力により、ばね17の付勢力に抗しつつ、図4(a)および(b)に示すように、係合部15の先端部15Aが係止部5の傾斜面5A上を摺動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆく。上記機械的装着が完了した時点では係合部15および係止部5は図4(c)に示す位置関係となる。
【0042】
一方、コンタクトピン14は、係合部15とともに、一体の部材であるコンタクトユニット13に設けられているので、係合部15の移動に伴い、図2(a)および(b)に示すようにy方向へと移動する。このとき、コンタクトピン14はホルダ正面側に設けた開口部分25を通ってインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に収納されている状態となる。そして、図2(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0043】
1.3 第1実施形態の詳細説明
まず、装着動作の過程では、係合部3および係止部11の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口18およびインク導入口19の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口18はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口19に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
【0044】
従って、本例のような構成配置および装着動作を採用し、比較的大なる力をもってそれら部材を弾性変形させた状態とすることは、それらの配設目的に照らして好ましいことである。また、装着動作が完了すると、第1係合部6が係合した第1係止部11および係合部3が係合した係止部9によってインクタンク1の浮き上がりが阻止され、従ってそれら弾性部材の復元が抑制されるので、それらの部材は適切に弾性変形した状態に保持される。
【0045】
一方、インクタンクの基板100側に設けられるコンタクトパッドおよびホルダ側に設けられるコネクタピン14など、電気的接点を構成する部材は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、これらの間には良好な電気接続性が確保されるべきである。ここで、寸法および組み付け精度のばらつきに対応するべく、コンタクトピンなどの電気的接点部が接触しながら可動する範囲を大とすることは、損傷防止や耐久性の観点から好ましくない。本例では、ホルダ8へインクタンク1を装着する際、双方の電気的接点は装着完了時またはその直前に至ってはじめて接触して接続を完了する構成となっているので、損傷防止や耐久性において有利である。
【0046】
ここで、本実施形態のように好ましい電気的接続を行うための構成を採用した場合の電気的接続に関する精度について説明する。
【0047】
図5は本実施形態の構成において要求される当該精度の説明図である。
【0048】
本実施形態では、インクタンクの装着動作に従動して変位するコンタクトユニット13に電気的接点であるコンタクトピン13を設けた構成を有している。従って、図5に示すように、本例の構成における電気的接続に関係する精度は、次の4種類の組み合わせで足りることになる。すなわち、
A:情報記憶媒体4のインクタンク1への接合精度、
B:情報記憶媒体取り付け位置から係止部5までの寸法精度、
C:コンタクトユニット13における係合部15からコンタクトピン14までの寸法精度、および
D:コンタクトユニット13のホルダ8への組み付け精度
である。
【0049】
さらに、本実施形態では、電気的接点部がインクタンク1ないしホルダ8の底面から一段上がった位置に配されているので、インクタンク着脱時にインク供給口がコネクタに接触したり、インク供給口からのインク漏洩が生じたりすること等により、インクが接点部分に付着して電気的なショートが生じる問題も解決できる。
【0050】
また、インクタンク1がホルダ8に完全に装着されていない着脱過程では、コンタクトピン14はホルダ8に設けられた開口部内に収納された状態となるので、インクタンクの着脱時においてインク漏洩が生じても、これがコンタクトピン14に付着することによる電気的なショートや、着脱時の誤操作によるコンタクトピン14の破損等を防ぐことが可能となる。なお、ホルダの開口25の深さやコンタクトユニット13の寸法を適切に定めることで、インクタンクの着脱過程だけでなく非装着時においては常にコンタクトピン14が開口25内に収納された状態となるようにすることもできる。
【0051】
加えて、本実施形態では、インクタンク取り外し時においては、正面側係合部3の正面側係止部9による係止状態を解除すべく支持部材2を操作すると、コンタクトピン14ないしコンタクトユニット13がばね17の付勢力により自動的にホルダ8の開口側に復帰するとともに係合部15も移動する。このため、係合部15によってインクタンク1の係止部5が斜面5Aを介して反力を受け、インクタンク1を上方へポップアップさせることができる。これは、インクタンク1の装着が不十分であった場合でも同様であり、ユーザに不完全装着を認識させることができる。
【0052】
1.4 変形例
以上の構成に対しては、種々の変形を行うことが可能である。
【0053】
例えば、上記構成ではコンタクトユニット13がばね17により付勢されるものとしたが、ゴムその他の弾性部材で付勢されるようにしてもよく、また磁石による吸着作用で付勢されるようにしてもよい。あるいは、モータおよび所要の伝動機構を用いてコンタクトユニットの移動が行われるようにすることもできる。
【0054】
また、斜面5Aと摺接する係合部先端部15Aの形状についても適切に定めることができ、例えば先端部を曲面状にすることで、図6(a)に示すように斜面5Aと先接触を行うようにしたり、図6(b)に示すように点接触を行うようにすることができる。すなわち先端部15Aの形状は、斜面5Aとの間で好ましい力の相互作用が生じるよう、適切に選択することができ、蒲鉾型(図6(a))や半円球(図6(b))のほかにも、円錐状、三角錐状、四角錐状等、適宜の形状とすることができる。
【0055】
さらに、インクタンク側の係止部の凹部形状についても、上例のように略三角形状とするほか、適宜の形状とすることができる。
【0056】
図7(a)〜(c)はコーナー部を丸めた凹部をもつ係止部5を用いるとともに、傾斜面5Aに対して線接触を行う係合部先端部15Aを用いた例であり、これによっても、傾斜面5Aからの反力に応じ係合部15の先端部15Aは傾斜面5A上を摺動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆくものとなる。
【0057】
2.第2の実施形態
上述の第1の実施形態においては、ホルダ8の底面に設けた係合部15ないしコンタクトユニット13が並進することで電気接点部の接触を行わせるものとしたが、変位はそのような並進に限られず、例えば回動を伴うものでもよい。
【0058】
図8は本発明の第2の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダの模式的側断面図である。また、図9(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。これらの図において、第1実施形態と同様に構成できる部分または同様の機能を果たす部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明は省略する。
【0059】
本実施形態において、インクタンクの機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた背面側第1係合部6、第2係合部7および正面側係合部3と、これらに対応してホルダ8に設けられた第1係止部11、第2係止部12および係止部9とである。そして、機械的な装着操作ないしは位置決め状態の確保の動作は第1実施形態と同様である。
【0060】
一方、本実施形態において、電気的接続部の好ましい結合動作に主として関与するのは、インクタンク1に設けられた底面側係止部5と、それに結合可能にホルダ8側に設けた係合部215であり、それら各部およびそれに関連する構成と動作について説明する。
【0061】
本実施形態においては、略T字形状のコンタクトユニット213が設けられており、その横棒の一端側が係合部215をなすとともに、他端がガイドピン216に回転可能に軸支され、さらにこのガイドピン216はy方向に延在するガイド穴210に挿通されることで、水平方向に移動可能である。また、T字形状のコンタクトユニット213の縦棒の端部に、コンタクトピン14が配されている。さらに、このコンタクトユニット213は、ばね217によりピン216を中心に図の時計方向に付勢されており、インクタンク1の未装着状態では、図9(a)に示すように、係合部215が鉛直方向に直立する状態となっている。
【0062】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図9(a)に示すように、まず係合部215の先端部215Aはインクタンク底面側に位置する係止部5の斜面5Aの端部と当接する。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は回動し、これに伴い係合部215の先端部215Aは傾斜面5Aから反力を受ける。そしてその反力により、係合部215はばね217の付勢力に抗してピン216を中心として回動するとともに、ピン216がガイド210に沿って滑動しながら、係止部5がなす凹部に相対的に進入してゆく(図9(b))。そして機械的装着が完了した時点では、係合部215および係止部5は図9(c)に示す位置関係となる。
【0063】
一方、コンタクトピン14は、係合部215とともに一体の部材であるコンタクトユニット213に設けられているので、係合部15の変位に応じ、回動を伴いながら変位し、ホルダ正面側に設けた開口部分25からインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に実質的に収納されている状態となる。そして、図9(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0064】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上述と同様の変形を加えることも可能である。
【0065】
3.第3の実施形態
以上の各実施形態においては、インクタンク1の底面の係止部5およびホルダ8の底面の係合部15が電気接点部の近傍の位置において係合するものとしたが、これを他の部位とすることもできる。
【0066】
図10は本発明の第3の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するホルダの模式的側断面図である。また、図11(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。これらの図において、第1実施形態と同様に構成できる部分または同様の機能を果たす部分については、対応箇所に同一符号を付してその説明は省略する。
【0067】
機械的な装着動作に関しては、上記第1の実施形態とほぼ同様である。
本実施形態においては、インクタンク底面のインク供給口18の近傍の部位に係止部3055を設けるとともに、これに対応して、ホルダ底面のインク導入口19の近傍の部位に係合部315を設け、これらが電気的接続部の好ましい結合動作に主として関与するようにしている。インク導入口19と係合部315とは、側面から見た場合、インクタンクの未装着時においてほぼ重畳する近傍の位置に配されている。これらの各々の中心軸は略鉛直方向である。
【0068】
係合部315とコンタクトピン14とは一体の部材であるコンタクトユニット313に設けられており、本実施形態の場合それらが離隔していることから、コンタクトユニット313は水平方向に延在する部分を有している。また、このコンタクトユニット313が水平方向に移動可能であること、ばね17により付勢されていることについては第1実施形態と同様である。
【0069】
一方、インクタンク1の底面に設けられた係止部305は、係合部315と係合可能な凹部を形成している。また本例の場合、係合部315の円滑な進入を受容すべく、図12に示すように所定のクリアランスhを有するものとなっている。
【0070】
インクタンク1をホルダ8に装着する際、図11(a)および図13(a)に示すように、まず係合部315の先端部315Aはインクタンク底面側に位置するインク供給口18の外周部と最初に当接し、ここから反力を受けて滑りながら係止部305側に誘導可能である。この状態において、上述のように、ユーザがインクタンク1の正面側上端を押下すると、インクタンク1は回動しながら装着されて行き(図11(b))、これに伴い係合部315は係止部305の内壁面によって背面方向に押されながら、係止部305がなす凹部に相対的に進入してゆく(図13(b))。そして機械的装着が完了した時点(図11(c))では、係合部315および係止部305は図13(c)に示す位置関係となる。
【0071】
一方、コンタクトピン14は、係合部315とともに、一体の部材であるコンタクトユニット313に設けられているので、係合部315の移動に伴い、ホルダ正面側に設けた開口部分25を通ってインクタンク1の基板100に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ8にインクタンク1が装着未了である場合には、コンタクトピン14は開口部分内に収納されている状態となる。そして、図11(c)に示すように、機械的装着が完了した時点で開口部分25からホルダ内方に突出し、コンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0072】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに本実施形態では、コンタクトピン14の移動または位置決めをインクタンクおよびホルダ側のインク連通部位の近傍に配置された係止部305および係合部315にて行うようにしため、インク連通部位が確実に結合しない限りコンタクトピン14の情報記憶媒体4に対する電気的接続が行われず、従ってより信頼性の高い装着状態を得ることが可能となる。
【0073】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様の変形を加えることが可能である。さらに、インクタンク側の係止部について他の構成とすることができる。
【0074】
図14(a)〜(d)はそのいくつかの例を示す。ここで、(a)は係止部315の凹部をインクタンク背面側直近まで拡張したもの、(b)は凹部をさらに上方にも拡張したもの、(c)は凹部内面に丸みをつけてなるものである。(d)は完全な凹部とするのではなく、インクタンクの切り欠き形状によって係止部を形成したものである。
【0075】
4.インクジェット記録装置への適用形態
次に、上記第1ないし第3のいずれかの実施形態に係るインクタンクを搭載可能な記録ヘッドおよびインクジェット記録装置の具体例を説明する。
【0076】
上述のように、インクタンクホルダ8は、インク導入口19を介して供給されるインクを使用する記録ヘッド105’(図1)を底面側に分離不能または分離可能に一体に具えたものであってもよい。すなわち、ホルダ8は記録ヘッドユニットの形態を有して、記録装置に対し装着されるものでもよい。
【0077】
そしてホルダ8ないし記録ヘッドユニットには、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色に対応した4個のインクタンクを個別に着脱可能とすることができるそして各インクタンクを装着することで、ホルダ底部に対応して配置された記録ヘッド側のインク導入口19とインクタンク側のインク供給口18とが結合し、両者間のインク連通路が形成されるようにするとともに、情報記憶媒体4に対する電気的接続が行われるようにすることができる。
【0078】
例えば記録ヘッド105’としては、電気熱変換素子をノズルを構成する液路内に設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与し、そのときのインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものを用いることができる。
【0079】
図15は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図16は、図15に示す本体カバー201を開いて示す斜視図である。
【0080】
図15に示すように、本実施形態のプリンタ1200は、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットとインクタンク1とを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー1201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ1203と、自動給紙装置(ASF)1202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部1213が設けられている。
【0081】
本体カバー1201を取り外した状態では、図16に示すように、ユーザは、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットおよび各色インクタンク1K、1Y、1Mおよび1Cを搭載したキャリッジ1205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は、本体カバー1201を開けると、キャリッジ1205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
【0082】
本実施形態のプリンタは、ホルダ8ないしは記録ヘッドユニットに各色のインクに対応した記録ヘッド105’(図1参照)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ1205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ1205は、その移動方向に延在するガイド軸1207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル1206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置1202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ1203まで搬送することができる。また、キャリッジ1205には、インクタンクホルダないし記録ヘッドユニットが着脱自在に装着され、一方、これに対してそれぞれのインクタンク1が着脱自在に装着される。
【0083】
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行うとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
【0084】
なお、用いるインクタンクの個数や色インクの収納形態、およびインクタンクが取り付けられる記録ヘッドユニットないしはインクジェット記録装置の構成は上述のものに限られない。また、用いるインクの色調としても、単色であっても複数色であってもよい。さらに複数色を用いる場合は、上述した4色のほか、それらとともに、あるいはそれらの少なくとも一部に代えて、他の色調、例えば淡シアン、淡マゼンタ、レッド、グリーン、ブルーなどのインクを用いるものであってもよい。さらには、色材としてもインクのほか、記録媒体上での定着性や発色性あるいは耐久性などを向上するための処理液を収納するインクタンクを用いることもできる。
【0085】
5.その他
本発明は、上述の実施形態に限られることなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の形態を採ることが可能である。
【0086】
例えば、上述の各実施形態ではインクタンク背面側にある係合部6をホルダ奥側の係止部11に挿通し、インクタンク正面側を押下しつつ挿通部分を回動支点としてインクタンク1を回動させながら装着動作を行う構成としたが、ホルダに対しインクタンクを例えばほぼ水平方向に押し込んで装着する形態としてもよい。
【0087】
図17はその一例を示す。
この例においても、インクタンク401をホルダ408に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口419とインクタンク底部に位置するインク供給口418とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。ホルダ408は、インクタンク401を装着する際の回動中心となる係合部455を正面側に有するとともに、インクタンク401の上部に設けた係合部426を係止してインクタンク1を装着完了位置に保持する係止部427を上部内壁に有している。また、ホルダ背面側には、情報記憶媒体404を担持するインクタンクの基板400のコンタクトパッド(不図示)と接続可能なコンタクトピン414が設けられている。
【0088】
また、ホルダ底面には鉛直方向上方に直立する係合部415が設けられ、上記第1実施形態と同様、係合部415とコンタクトピン414とは一体の部材であるコンタクトユニット413に配されている。そして、このコンタクトユニット413は、水平方向に延在するガイド穴410にガイドピン416を挿通することで水平方向に移動可能であり、またばね417により図の左方向に付勢されている。
【0089】
インクタンク401を装着する場合には、ホルダ408の正面からインクタンク401を取り扱い、インクタンク背面下縁部をホルダの背面内壁に押し当て、インクタンク正面の部位をホルダ408の正面側係合部455に係合させた状態とする。この状態では、コンタクトユニット413はまだ図示の状態より左方に偏倚した位置にあり、係合部415の先端部はインクタンク底面に設けた係止部405がなす略三角形状の凹部の斜面端部に当接する。
【0090】
この状態からインクタンク401の正面上部を背面方向に押圧すると、インクタンク401は係合部455を中心に矢印方向に回動しながらホルダ内に装着されて行く。この過程で係合部415の先端部が係止部405の傾斜面上を摺動しながら、係止部405がなす凹部に相対的に進入してゆく。インクタンク正面側が下方に変位してゆく。装着が完了した時点では係合部415および係止部405は図に示す位置関係となる。
【0091】
一方、コンタクトピン414は、係合部415とともに、一体の部材であるコンタクトユニット413に設けられているので、係合部415の移動に伴い、図の右方向へと移動する。このとき、コンタクトピン414はホルダ背面側に設けた開口部分425を通ってインクタンク401の基板400に設けたコンタクトパッドに接近して行く。すなわち、ホルダ408にインクタンク401が装着未了である場合には、コンタクトピン414は開口部分内に収納されている状態となる。そして、装着が完了した時点で開口部分425からホルダ内方に突出し、図示のようにコンタクトパッドに接触することで、両者の電気的接続が可能となる。
【0092】
また、第1ないし第3の実施形態では、所定の装着基準に向けてインクタンクを弾性的に押圧する弾性力作用部材ないし支持部材として、インクタンクの正面側の底面近傍の一端において支持され、そこから装着動作を受容するために斜めに延在するとともに、正面側の係止部に係止される係合部を有する支持部材を用いた構成について説明した。しかしかかる部材の配設位置、形状、および弾性力の作用方向は適宜定め得るものである。また、図17の例のようにそのような支持部材が設けられていなくてもよい。あるいは、支持部材をインクタンクもしくはホルダとは別体の第3の部材としてもよい。
【0093】
また、以上では、コンタクトパッドが形成された面の裏側に情報記憶素子を配した基板としたが、コンタクトパッドとホルダ側のコネクタとの接触動作に干渉しないのであれば、情報記憶素子をコンタクトパッドと同一面側に設けることもできる。また、基板ないし情報記憶素子にとって好ましい配設位置と、コンタクトパッドに求められる配設位置とが、インクタンクやその取り付け部の構成に応じて異なる場合には、それらをそれぞれ適宜の位置に配設し、配線で接続した構成としてもよい。すなわち、両者は必ずしも基板に一体化されたものでなくてもよい。
【0094】
加えて、以上の諸例では電気的接続によってインクタンクの所定の情報を提示する構成について述べたが、本発明は機械的な接触によって情報の授受が可能なものであれば、他の構成を採用することができる。例えば、磁気的に情報を提示するために接触を行うものでもよい。この場合は、コンタクトパッドを磁気記憶媒体、コンタクトピンを磁気ヘッドに置換したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図2】(a)〜(c)はインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図3】インクタンクおよびホルダ側の電気的接点部の接触を行わせる動作を行うために、ホルダ側係合部に作用するインクタンク側係止部の力を説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(c)はインクタンク装着過程におけるホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図5】インクタンクおよびホルダ側の電気的接点部の電気的接続に関係する精度について説明するための図である。
【図6】(a)および(b)は、第1実施形態の2つの変形例に係るホルダ側係合部およびインクタンク側係止部を説明するための模式的斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、インクタンク装着過程における、第1実施形態のさらに他の変形例に係るホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、第2の実施形態においてインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、第3の実施形態においてインクタンクをホルダに装着する取り付け部の構成および装着時の動作を説明するための模式図である。
【図12】第3の実施形態におけるホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の拡大図である。
【図13】(a)〜(c)はインクタンク装着過程における第3の実施形態のホルダ側係合部およびインクタンク側係止部の状態を説明するための模式図である。
【図14】(a)〜(d)は、第3実施形態の4つの変形例に係るインクタンク側係止部を説明するための模式図である。
【図15】記録ヘッドユニットおよびインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図16】本体カバーを開いて示すインクジェットプリンタの斜視図である。
【図17】本発明の別の実施形態に係るインクタンクおよびこれを着脱可能に保持するインクタンクホルダの模式的側断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1、1K、1C、1M、1Y、401 インクタンク
2 支持部材
3 正面側係合部
4、404 情報記憶媒体
5 タンク側係止部
5A 傾斜面
6、7 背面側係合部
8、408 インクタンクホルダ
9 正面側係止部
10 ガイド穴
11、12 背面側係止部
13、213、313、413 コンタクトユニット
14、214、314、414 コンタクトピン
15、215、315、415 ホルダ側係合部
15A 係合部先端部
16、216、316、416 ガイドピン
17、217、317、417 ばね
105’ 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納した液体をインクジェットヘッドに供給するための供給口と、所定の情報を提示可能な情報提示手段の接点とを有する液体収納容器を着脱可能に保持するホルダであって、
前記情報を受容するために前記情報提示手段の接点に接触可能なホルダ側接点と、
該接点を保持し、前記液体収納容器の装着動作に伴って変位することで前記接触を行わせる変位部材と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器用ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ側接点は、前記情報提示手段の接点との接触により電気的に前記情報を受容可能な接点であることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項3】
前記ホルダ側接点を収納可能な部分を具え、前記液体収納容器の装着が未了である場合は、前記部分に前記ホルダ側接点が収納されるよう前記ホルダ側接点が前記変位部材に保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項4】
前記変位部材は、前記液体収納容器に設けた係止部に係合可能で、前記液体収納容器の装着動作に伴って前記係合が行われる方向に変位する係合部を有するともに、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項5】
前記係合部は、凹部形状に形成された前記係止部に収容可能な凸部形状をなすことを特徴とする請求項4に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項6】
前記変位部材および前記係合部の変位が並進移動であることを特徴とする請求項5に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項7】
前記変位部材および前記係合部の変位が回動を伴うものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項8】
前記係止部の凹部形状は前記変位の方向に傾斜面を有し、前記装着動作の過程で、前記係合部はその先端部が前記傾斜面に摺接しながら前記収容位置に向けて変位することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項9】
前記係合部は前記供給口に連通可能なインク導入口の近傍に配置され、前記装着動作の初期において、前記供給口を形成する前記液体収納容器の部分に係合しながら前記係止部に誘導されることを特徴とする請求項5に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項10】
前記液体収納容器の装着状態を保持するべく、前記液体収納容器に設けられた係合部に係合することで係止可能な係止部をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項11】
前記インクジェットヘッドを一体に具えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項12】
請求項4に記載のホルダに着脱可能で、前記変位部材の係合部に係合可能な係止部を具えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項13】
前記係止部は、凸部形状に形成された前記係合部を収容可能な凹部形状をなすことを特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項14】
前記係止部の凹部形状は前記変位の方向に傾斜面を有し、前記装着動作の過程で、前記係合部の先端部が前記傾斜面に摺接しながら前記収容位置に向けて変位することを許容すること特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項15】
前記傾斜面が曲面を有すること特徴とする請求項13に記載の体収納容器。
【請求項16】
前記係止部が前記供給口を形成する部分の近傍に配され、前記係合部は、前記装着動作の初期において、当該部分に係合しながら前記係止部に誘導されることを特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項17】
前記装着状態を保持するべく、前記ホルダに設けられた係止部に係合可能な係合部をさらに具えたことを特徴とする請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項18】
前記装着状態を保持するための係合部を、前記供給口が設けられた面を挟む対向端面にそれぞれ有し、当該対向端面の一方に配された係合部は支持部材によって変位可能に支持され、情報提示手段の接点は、当該一方の端面と前記供給口が設けられた面とが連接するコーナー領域に設けられた傾斜面に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の液体収納容器。
【請求項19】
前記液体として記録に使用されるインクを収納してなる請求項12ないし請求項17のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項1】
内部に収納した液体をインクジェットヘッドに供給するための供給口と、所定の情報を提示可能な情報提示手段の接点とを有する液体収納容器を着脱可能に保持するホルダであって、
前記情報を受容するために前記情報提示手段の接点に接触可能なホルダ側接点と、
該接点を保持し、前記液体収納容器の装着動作に伴って変位することで前記接触を行わせる変位部材と、
を具えたことを特徴とする液体収納容器用ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ側接点は、前記情報提示手段の接点との接触により電気的に前記情報を受容可能な接点であることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項3】
前記ホルダ側接点を収納可能な部分を具え、前記液体収納容器の装着が未了である場合は、前記部分に前記ホルダ側接点が収納されるよう前記ホルダ側接点が前記変位部材に保持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項4】
前記変位部材は、前記液体収納容器に設けた係止部に係合可能で、前記液体収納容器の装着動作に伴って前記係合が行われる方向に変位する係合部を有するともに、当該係合部の変位に従って前記接触を行わせるべく変位することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項5】
前記係合部は、凹部形状に形成された前記係止部に収容可能な凸部形状をなすことを特徴とする請求項4に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項6】
前記変位部材および前記係合部の変位が並進移動であることを特徴とする請求項5に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項7】
前記変位部材および前記係合部の変位が回動を伴うものであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項8】
前記係止部の凹部形状は前記変位の方向に傾斜面を有し、前記装着動作の過程で、前記係合部はその先端部が前記傾斜面に摺接しながら前記収容位置に向けて変位することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項9】
前記係合部は前記供給口に連通可能なインク導入口の近傍に配置され、前記装着動作の初期において、前記供給口を形成する前記液体収納容器の部分に係合しながら前記係止部に誘導されることを特徴とする請求項5に記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項10】
前記液体収納容器の装着状態を保持するべく、前記液体収納容器に設けられた係合部に係合することで係止可能な係止部をさらに具えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項11】
前記インクジェットヘッドを一体に具えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の液体収納容器用ホルダ。
【請求項12】
請求項4に記載のホルダに着脱可能で、前記変位部材の係合部に係合可能な係止部を具えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項13】
前記係止部は、凸部形状に形成された前記係合部を収容可能な凹部形状をなすことを特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項14】
前記係止部の凹部形状は前記変位の方向に傾斜面を有し、前記装着動作の過程で、前記係合部の先端部が前記傾斜面に摺接しながら前記収容位置に向けて変位することを許容すること特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項15】
前記傾斜面が曲面を有すること特徴とする請求項13に記載の体収納容器。
【請求項16】
前記係止部が前記供給口を形成する部分の近傍に配され、前記係合部は、前記装着動作の初期において、当該部分に係合しながら前記係止部に誘導されることを特徴とする請求項12に記載の液体収納容器。
【請求項17】
前記装着状態を保持するべく、前記ホルダに設けられた係止部に係合可能な係合部をさらに具えたことを特徴とする請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の液体収納容器。
【請求項18】
前記装着状態を保持するための係合部を、前記供給口が設けられた面を挟む対向端面にそれぞれ有し、当該対向端面の一方に配された係合部は支持部材によって変位可能に支持され、情報提示手段の接点は、当該一方の端面と前記供給口が設けられた面とが連接するコーナー領域に設けられた傾斜面に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の液体収納容器。
【請求項19】
前記液体として記録に使用されるインクを収納してなる請求項12ないし請求項17のいずれかに記載の液体収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−116786(P2006−116786A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306133(P2004−306133)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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