説明

液体吐出装置、駆動信号の印加方法、及び、ヘッドユニット

【課題】 駆動信号を切り替える際において、複数のスイッチが同時にオン状態になることを防止する。
【解決手段】 インクを吐出させるための動作を実行可能なピエゾ素子417と、第1駆動信号COM_A、及び第2駆動信号COM_Bを生成する駆動信号生成部70と、第1駆動信号COM_Aのピエゾ素子417への印加を制御する第1スイッチ86Aと、第2駆動信号COM_Bのピエゾ素子417への印加を制御する第2スイッチ86Bと、ピエゾ素子417に印加される駆動信号を、第1駆動信号COM_Aから第2駆動信号COM_Bへ切り替える際に、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの両方をオフ状態にさせるコントローラ(防止回路85)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出させるための動作を実行可能な素子を有し、この素子に複数の駆動信号を印加可能な液体吐出装置、及び、この素子に印加される駆動信号を切り替える際の印加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出させるための動作を実行可能な素子を有する液体吐出装置としては、例えば印刷装置、カラーフィルタ製造装置、染色装置など、種々のものがある。近年、吐出させる液体の量の変化幅を拡げたり、液体をより高い周波数で吐出させたりする等を目的として、1つの素子に複数の駆動信号を印加できるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。この装置では、駆動信号の素子への印加を制御するスイッチが、複数の駆動信号のそれぞれに対応させて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−52570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した従来の装置では、素子に印加される駆動信号を切り替える際において、特別な制御は行われていない。このため、スイッチが切り替わるタイミングで、複数のスイッチが同時にオン状態になる可能性があった。そして、複数のスイッチが同時にオン状態とされた時に各駆動信号の電圧に差があると、複数の駆動回路の間で貫通電流が生じることがあった。例えば、一方の駆動信号を生成する駆動回路から電流が流れ出し、他方の駆動信号を生成する駆動回路がこの電流を引き込むことがあった。この貫通電流は、急激な電流増加等を引き起こすため、ノイズの原因となり得る。そして、このノイズは、装置の動作などに悪影響を与える虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、駆動信号を切り替える際において、複数のスイッチが同時にオン状態になることを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための主たる発明は、
(A)液体を吐出させるための動作を実行可能な素子と、
(B)第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(C)前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御する第1スイッチと、
(D)前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する第2スイッチと、
(E)前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるコントローラと、
を有する液体吐出装置である。
【0007】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】印刷システムの構成を説明する図である。
【図2】コンピュータ、及びプリンタの構成を説明するブロック図である。
【図3】図3Aは、プリンタの構成を示す図である。図3Bは、プリンタの構成を説明する側面図である。
【図4】ヘッドの構造を説明するための断面図である。
【図5】駆動信号生成回路の構成を説明するブロック図である。
【図6】ヘッド制御部の構成を説明するブロック図である。
【図7】制御ロジックの説明図である。
【図8】デコーダの説明図である。
【図9】第1駆動信号と、第2駆動信号と、必要な制御信号を説明する図である。
【図10】大ドットの形成時、中ドットの形成時、及び小ドットの形成時において、ピエゾ素子に印加される波形部を説明する図である。
【図11】印刷動作を説明するフローチャートである。
【図12】図12Aは、切り替えタイミングにおけるスイッチ制御信号の電圧変化を説明する模式図である。図12Bは、第1スイッチと第2スイッチとが同時にオンされた状態を模式的に説明する図である。
【図13】図13Aは、第1スイッチ及び第2スイッチの状態変化を説明する図である。図13Bは、第1スイッチ及び第2スイッチの他の状態変化を説明する図である。
【図14】防止回路の構成を示す図である。
【図15】図15Aは、第1スイッチ制御信号と第1アンドゲートの出力の関係を説明する図である。図15Bは、第2スイッチ制御信号と第2アンドゲートの出力の関係を説明する図である。
【図16】タイミングパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのタイミングと、第1スイッチ及び第2スイッチの抵抗値の変化の関係を模式的に示した図である。
【図17】第2実施形態を説明する図である。
【図18】他の実施形態におけるゲート制御信号出力部を説明する図である。
【図19】図19Aは、第1スイッチ制御信号と第1アンドゲートの出力の関係を説明する図である。図19Bは、第2スイッチ制御信号と第2アンドゲートの出力の関係を説明する図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
すなわち、液体を吐出させるための動作を実行可能な素子と、第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御する第1スイッチと、前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する第2スイッチと、前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるコントローラと、を有する液体吐出装置が実現できること。
このような液体吐出装置によれば、素子に印加される駆動信号が切り替えられる際に、第1スイッチ及び第2スイッチの両方をオフ状態にできる。このため、これらのスイッチが同時にオン状態になることを防止できる。これにより、駆動信号が切り替えられる際において、第1駆動信号と第2駆動信号に電圧の差があったとしても、貫通電流が流れてしまう不具合を防止することができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記第1スイッチは、第1スイッチ制御信号に基づいて前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御するものであり、前記第2スイッチは、第2スイッチ制御信号に基づいて前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御するものであり、前記コントローラは、前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるものであること。
このような液体吐出装置によれば、素子に印加される駆動信号が切り替えられる際において、第1スイッチ制御信号と第2スイッチ制御信号とが、ともにオン状態を指示する内容であったとしても、第1スイッチ及び第2スイッチの両方がオフ状態とされる。このため、駆動信号が切り替えられる際において、貫通電流が流れてしまう不具合を、確実に防止することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号の切り替えタイミングを規定するタイミングパルスに基づいて、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるものであること。
このような液体吐出装置によれば、第1スイッチ及び第2スイッチをオフ状態にするタイミングを、第1スイッチ制御信号と第2スイッチ制御信号とを切り替えるタイミングにあわせることができる。このため、駆動信号が切り替えられる際における、貫通電流が流れてしまう不具合を、確実に防止することができる。
【0013】
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記タイミングパルスの前側エッジのタイミングで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にし、前記タイミングパルスの後側エッジのタイミングで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にするものであること。
このような液体吐出装置によれば、タイミングパルスの前側エッジのタイミングと後側エッジのタイミングを基準にして、第1スイッチ及び第2スイッチの制御がなされる。このため、第1スイッチ及び第2スイッチの制御タイミングを、確実に合わせることができる。
【0014】
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記タイミングパルスに基づいて、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にし、前記無効にしてから所定時間の経過後に、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にするものであること。
このような液体吐出装置によれば、第1スイッチ及び第2スイッチのオフ時間(所定時間)を、タイミングパルスの時間幅に拘束されずに定めることができ、オフ時間の最適化が図れる。
【0015】
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記所定時間を計測するタイマーを有すること。
このような液体吐出装置によれば、所定時間がタイマーで計測されるので、オフ時間を精度良く定めることができる。
【0016】
かかる液体吐出装置であって、前記コントローラは、前記第1スイッチ制御信号とゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を前記第1スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が他の所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチをオフ状態にするための第1オフ制御信号を前記第1スイッチへ出力する第1ゲートと、前記第2スイッチ制御信号と前記ゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が前記所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を前記第2スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が前記他の所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第2スイッチをオフ状態にするための第2オフ制御信号を前記第2スイッチへ出力する第2ゲートとを有し、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にさせる期間に亘って、前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにすること。
このような液体吐出装置によれば、第1ゲート及び第2ゲートをゲート制御信号によって制御する構成であるので、高速処理に適する。
【0017】
かかる液体吐出装置であって、前記第1スイッチは、抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであり、前記第2スイッチは、抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであること。
このような液体吐出装置によれば、第1スイッチ及び第2スイッチの状態が切り替えられる際において、スイッチングノイズが発生し難い。このため、駆動信号が切り替えられる際における、貫通電流が流れてしまう不具合を、確実に防止することができる。
【0018】
かかる液体吐出装置であって、前記液体が印刷用の液体インクであることが望ましい。
【0019】
また、印刷用の液体インクを吐出させるための動作を実行可能な素子と、第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであって、第1スイッチ制御信号に基づいて、前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御する、第1スイッチと、抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであって、第2スイッチ制御信号に基づいて、前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する、第2スイッチと、前記第1スイッチ制御信号とゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を前記第1スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が他の所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチをオフ状態にするための第1オフ制御信号を前記第1スイッチへ出力する、第1ゲートと、前記第2スイッチ制御信号と前記ゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が前記所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を前記第2スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が前記他の所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第2スイッチをオフ状態にするための第2オフ制御信号を前記第2スイッチへ出力する、第2ゲートとを有し、前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号の切り替えタイミングを規定するタイミングパルスの前側エッジのタイミングで、前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせ、前記タイミングパルスの後側エッジのタイミングで、前記ゲート制御信号を前記所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にし、又は、所定時間を計測するタイマーをさらに有し、前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、前記タイミングパルスに基づき、前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせ、前記オフ状態にさせてから前記所定時間の経過後に、前記ゲート制御信号を前記所定レベルにして、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にする、コントローラと、を有する液体吐出装置を実現することもできる。
このような液体吐出装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するので、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0020】
また、第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成ステップと、液体を吐出させるための動作を実行可能な素子への前記第1駆動信号の印加を制御する第1スイッチをオン状態にして、前記素子に前記第1駆動信号を印加する第1駆動信号印加ステップと、前記第1スイッチ、及び前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する第2スイッチの両方をオフ状態にするスイッチオフステップと、前記第2スイッチをオン状態にして、前記素子に前記第2駆動信号を印加する第2駆動信号印加ステップと、を有する駆動信号の印加方法を実現することもできる。
【0021】
===説明の対象===
<液体吐出装置について>
液体吐出装置には、印刷装置、カラーフィルタ製造装置、ディスプレイ製造装置、半導体製造装置、及びDNAチップ製造装置など、様々な種類があり、全てについて説明することは困難である。そこで、本明細書では、印刷装置としてのプリンタ、及び、このプリンタを有する印刷システムを例に挙げて説明する。なお、印刷システムとは、印刷装置と、この印刷装置の動作を制御する印刷制御装置とを少なくとも有するシステムのことであり、液体吐出装置と吐出制御装置とを有する液体吐出システムの一形態に相当する。
【0022】
===印刷システムの構成===
<全体構成について>
まず、印刷装置を印刷システムとともに説明する。ここで、図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。
【0023】
例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。
【0024】
プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。なお、この媒体に関し、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図3Aを参照。)を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示するためのものである。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
【0025】
===コンピュータ===
<コンピュータ110の構成について>
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。
【0026】
このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間に介在し、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したように、アプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
【0027】
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと、画素データSIとを有する。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータ、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータがある。また、画素データSIは、印刷される画像の画素に関するデータである。ここで、画素とは、用紙上に仮想的に定められた方眼状の升目であり、ドットが形成される領域を示す。そして、印刷データにおける画素データSIは、用紙上に形成されるドットに関するデータ(例えば、階調値)である。本実施形態において、画素データSIは2ビットのデータによって構成されている。すなわち、この画素データSIには、ドット無しに対応するデータ[00]と、小ドットに対応するデータ[01]と、中ドットの形成に対応するデータ[10]と、大ドットに対応するデータ[11]とがある。従って、このプリンタ1は4階調でドットの形成ができる。
【0028】
===プリンタ===
<プリンタ1の構成について>
次に、プリンタ1の構成について説明する。ここで、図3Aは、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタ1の構成を説明する側面図である。なお、以下の説明では、図2も参照する。
【0029】
図2に示すように、プリンタ1は、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、検出器群50、プリンタ側コントローラ60、及び駆動信号生成回路70を有する。なお、本実施形態において、プリンタ側コントローラ60及び駆動信号生成回路70は、共通のコントローラ基板CTRに設けられている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド41とを有している。
【0030】
このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC,ヘッド41)、及び駆動信号生成回路70が制御される。これにより、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づき、用紙Sに画像を印刷させる。また、検出器群50の各検出器は、プリンタ1内の状況を監視している。そして、各検出器は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
【0031】
<用紙搬送機構20について>
用紙搬送機構20は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当する。この用紙搬送機構20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりするものである。この搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向である。そして、図3A及び図3Bに示すように、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に送るためのローラであり、この例ではD形の断面形状をしている。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのモータであり、その動作は、プリンタ側コントローラ60によって制御される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを、印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。この搬送ローラ23の動作も搬送モータ22によって制御される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、この用紙Sの裏面側から支持する部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
【0032】
<キャリッジ移動機構30について>
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。なお、ヘッドユニット40はヘッド41を有するので、キャリッジ移動方向はヘッド41の移動方向に相当し、キャリッジ移動機構30はヘッド41を移動方向に移動させるヘッド移動部に相当する。そして、このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、従動プーリー35とを有する。キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための駆動源に相当する。このキャリッジモータ31は、プリンタ側コントローラ60によって動作が制御される。そして、キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側のキャリッジ移動方向の他端側には、従動プーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34と従動プーリー35に架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRは、このガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。
【0033】
<ヘッドユニット40について>
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものである。このヘッドユニット40は、キャリッジCRに取り付けられている。このヘッドユニット40が有するヘッド41は、ヘッドケース42の下面に設けられている。また、ヘッドユニット40が有するヘッド制御部HCは、ヘッドケース42の内部に設けられている。なお、このヘッド制御部HCについては、後で詳しく説明する。
【0034】
次に、ヘッド41の構造について説明する。ここで、図4は、ヘッド41の構造を説明するための断面図である。例示したヘッド41は、流路ユニット41Aと、アクチュエータユニット41Bとを有する。流路ユニット41Aは、ノズルNzが設けられたノズルプレート411と、インク貯留室412aとなる開口部が形成された貯留室形成基板412と、インク供給口413aが形成された供給口形成基板413とを有する。アクチュエータユニット41Bは、圧力室414aとなる開口部が形成された圧力室形成基板414と、圧力室414aの一部を区画する振動板415と、供給側連通口416aとなる開口部が形成された蓋部材416と、振動板415の表面に形成されたピエゾ素子417とを有する。このヘッド41には、インク貯留室412aから圧力室414aを通ってノズルNzに至る一連の流路が形成されている。使用時において、この流路はインクで満たされており、ピエゾ素子417を変形させることで、対応するノズルNzからインクを吐出させることができる。従って、このヘッド41において、ピエゾ素子417は、インクを吐出させるための動作を実行可能な素子に相当する。
【0035】
そして、このプリンタ1では、前述したように、画素データSIのデータ[00]に対応するドット無し、データ[01]に対応する小ドットの形成、データ[10]に対応する中ドットの形成、及びデータ[11]に対応する大ドットの形成という4種類の制御ができる。このため、各ノズルNzからは、量が異なる複数種類のインクを吐出させることができる。例えば、各ノズルNzからは、大ドットを形成し得る量の大インク滴、中ドットを形成し得る量の中インク滴、及び小ドットを形成し得る量の小インク滴からなる3種類のインクを吐出させることができる。
【0036】
<検出器群50について>
検出器群50は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。図3A,図3Bに示すように、この検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出器53、及び紙幅検出器54等が含まれている。リニア式エンコーダ51は、キャリッジCR(ヘッド41,ノズルNz)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出器53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。紙幅検出器54は、印刷される用紙Sの幅を検出するためのものである。
【0037】
<プリンタ側コントローラ60について>
プリンタ側コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うものである。このプリンタ側コントローラ60は、図2に示すように、インタフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、制御ユニット64とを有する。インタフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110との間で、データの受け渡しを行う。CPU62は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に記憶されているコンピュータプログラムに従い、各制御対象部を制御する。例えば、CPU62は、制御ユニット64を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。
【0038】
また、CPU62は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号をヘッド制御部HCに出力したり、駆動信号COMを生成させるための制御信号を駆動信号生成回路70に出力したりする。ヘッド制御信号は、例えば図6に示すように、転送クロックCLK,画素データSI,ラッチ信号LAT,第1チェンジ信号CH_A,第2チェンジ信号CH_Bである。また、駆動信号COMを生成させるための制御信号は、例えばDAC値である。このDAC値は、第1駆動信号生成部70Aや第2駆動信号生成部70Bから出力させる電圧を指示するための情報であり、極めて短い更新周期毎に更新される。そして、このDAC値は、駆動信号COMを生成させるための生成情報の一種である。
【0039】
<駆動信号生成回路70について>
駆動信号生成回路70は、共通に使用される駆動信号COMを生成するものであり、駆動信号生成部に相当する。本実施形態の駆動信号COMは、1つのノズル列に対応する全てのピエゾ素子417に対して共通に使用される。ここで、図5は、駆動信号生成回路70の構成を説明するブロック図である。
【0040】
この駆動信号生成回路70は、複数種類の駆動信号COMを同時に生成できる。本実施形態の駆動信号生成回路70は、第1駆動信号COM_Aを生成する第1駆動信号生成部70Aと、第2駆動信号COM_Bを生成する第2駆動信号生成部70Bを有している。そして、第1駆動信号生成部70Aは、生成情報に対応する電圧の信号を出力する第1波形生成回路71Aと、第1波形生成回路71Aで生成された信号の電流を増幅する第1電流増幅回路72Aを有する。また、第2駆動信号生成部70Bは、第2波形生成回路71Bと第2電流増幅回路72Bを有する。なお、第1波形生成回路71Aと第2波形生成回路71Bは同じ構成であり、第1電流増幅回路72Aと第2電流増幅回路72Bは同じ構成である。
【0041】
<生成される駆動信号COMについて>
次に、駆動信号生成回路70によって生成される駆動信号について説明する。例示された駆動信号生成回路70は、図9に示す第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bを生成する。すなわち、第1駆動信号生成部70Aは、第1のDAC値(第1生成情報に相当する。)に基づいて第1駆動信号COM_Aを生成する。また、第2駆動信号生成部70Bは、第2のDAC値(第2生成情報に相当する。)に基づいて第2駆動信号COM_Bを生成する。
【0042】
第1駆動信号COM_Aは、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成される第1波形部SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で生成される第3波形部SS13とを有する。ここで、第1波形部SS11は駆動パルスPS1を有している。また、第2波形部SS12は駆動パルスPS2を、第3波形部SS13は駆動パルスPS3をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1と駆動パルスPS2は、大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものであり、互いに同じ波形をしている。すなわち、これらの駆動パルスPS1及び駆動パルスPS2は、大ドットの形成時において、インクを吐出させるための動作の開始から終了までを規定する単位信号に相当する。また、駆動パルスPS3は、中ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものである。そして、この駆動パルスPS3は、中ドットの形成時において、インクを吐出させるための動作の開始から終了までを規定する単位信号に相当する。この駆動パルスPS3をピエゾ素子417へ印加させることで、ヘッド41(対応するノズルNz)からは、中インク滴が吐出される。
【0043】
第2駆動信号COM_Bは、期間T21で生成される第1波形部SS21と、期間T22で生成される第2波形部SS22とを有する。この第2駆動信号COM_Bでは、第1波形部SS21は駆動パルスPS4を、第2波形部SS22は駆動パルスPS5をそれぞれ有している。ここで、駆動パルスPS4は、小ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加される。この駆動パルスPS4をピエゾ素子417へ印加させることで、ヘッド41からは、小インク滴が吐出される。従って、この駆動パルスPS4は、小ドットの形成時において、インクを吐出させるための動作の開始から終了までを規定する単位信号に相当する。また、駆動パルスPS5は、大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものである。すなわち、この駆動パルスPS5も単位信号に相当する。なお、この駆動パルスPS5は、駆動パルスPS1や駆動パルスPS3と、同じ波形をしている。
【0044】
これらの第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bは、波形部毎にピエゾ素子417へ印加させることができる。すなわち、第1駆動信号COM_Aや第2駆動信号COM_Bの一部分を、選択的にピエゾ素子417へ印加させることができる。また、第1駆動信号COM_Aの一部分と第2駆動信号COM_Bの一部分とを組み合わせて、ピエゾ素子417に印加させることもできる。この例では、繰り返し周期Tの開始タイミング(ラッチ信号LATのラッチパルスのタイミング)で、ピエゾ素子417に印加させる駆動信号COMを、第1駆動信号COM_Aから第2駆動信号COM_Bへ、或いはその逆へと、切り替えることができる。同様に、第1駆動信号COM_Aにおける第2波形部SS12と第3波形部SS13の境界のタイミング、すなわち、第2駆動信号COM_Bにおける第1波形部SS21と第2波形部SS22の境界のタイミング(第1チェンジ信号CH_Aのチェンジパルスのタイミング,第2チェンジ信号CH_Bのチェンジパルスのタイミング)で、ピエゾ素子417に印加させる駆動信号COMを切り替えることができる。なお、各波形部をピエゾ素子417へ印加させるための制御については、後で詳しく説明する。
【0045】
<ヘッド制御部HCについて>
次に、ヘッド制御部HCについて説明する。ここで、図6は、ヘッド制御部HCの構成を説明するブロック図である。図7は、制御ロジック84の説明図である。図8は、デコーダ83の説明図である。
【0046】
図6に示すように、ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、制御ロジック84と、防止回路85と、第1スイッチ86Aと、第2スイッチ86Bを備えている。そして、制御ロジック84を除いた各部(すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、デコーダ83、防止回路85、第1スイッチ86A、及び第2スイッチ86B)は、それぞれピエゾ素子417毎に設けられる。そして、ピエゾ素子417はインクが吐出されるノズルNz毎に設けられるので、これらの各部もノズルNz毎に設けられる。
【0047】
ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ60からの画素データSIに基づき、インクを吐出させるための制御を行う。すなわち、ヘッド制御部HCは、印刷データに基づいて第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bを制御し、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bの必要な部分を選択的にピエゾ素子417へ印加させている。本実施形態では、画素データSIが2ビットで構成されており、クロック信号CLKに同期して、この画素データSIが記録ヘッド41へ送られてくる。そして、画素データSIの上位ビット群が第1シフトレジスタ81Aにセットされ、下位ビット群が第2シフトレジスタ81Bにセットされる。第1シフトレジスタ81Aには第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、第2シフトレジスタ81Bには第2ラッチ回路82Bが電気的に接続されている。そして、プリンタ側コントローラ60からのラッチ信号LATがHレベルになると、第1ラッチ回路82Aは画素データSIの上位ビット群をラッチし、第2ラッチ回路82Bは画素データSIの下位ビット群をラッチする。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データSI(上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダ83に入力される。
【0048】
デコーダ83は、画素データSIの上位ビット及び下位ビットに基づいてデコードを行い、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bを制御するためのスイッチ制御信号SW(第1スイッチ制御信号SW_A,第2スイッチ制御信号SW_B,図8を参照。)を出力する。このスイッチ制御信号SWは、制御ロジック84に記憶されている選択データと、第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データSIとの組み合わせに基づいて出力される。
【0049】
ここで、制御ロジック84、及びこの制御ロジック84に記憶されている選択データについて説明する。図7に示すように、制御ロジックは、1ビットのデータを記憶可能なレジスタRGを複数有している。各レジスタRGは、例えばD−FF(delay flip flop)回路によって構成される。そして、各レジスタRGには、所定の選択データが記憶される。
【0050】
説明の便宜上、図7では、各レジスタRGを、列方向(縦方向)に4個、行方向(横方向)に8個のマトリクス状に配置している。そして、同じ列に属する4つのレジスタRGをグループ化して、左側のグループから順に、符号Q0〜Q7を付して示している。また、各レジスタRGを、行方向の左側に位置するレジスタ群(グループQ0〜Q3)と、行方向の右側に位置するレジスタ群(グループQ4〜Q7)とに分けている。そして、左側に位置するレジスタ群については、同じ行に属する4つのレジスタRGをグループ化して、上側に位置するグループから順に符号G11〜G14を付して示している。右側に位置するレジスタ群についても同様に、上側に位置するグループから順に符号G21〜G24を付して示している。
【0051】
以上のグループ分けは、各レジスタの役割に基づいてなされている。まず、行方向の左側に位置するグループQ0〜グループQ3に属する各レジスタRGは、第1駆動信号COM_A用の第1選択データを記憶可能なものである。また、行方向の右側に位置する4つのグループQ4〜グループQ7に属する各レジスタRGは、第2駆動信号COM_B用の第2選択データを記憶可能なものである。さらに、同じ列に属する各レジスタRGは、同じ階調値で使用される選択データを記憶可能なものである。具体的に説明すると、グループQ0及びグループQ4に属する各レジスタRGは、いずれもドット無しの画素データSI(データ[00])に対応する選択データを記憶可能なものである。そして、グループQ1及びグループQ5に属する各レジスタRGは、いずれも小ドットの画素データSI(データ[01])に対応する選択データを記憶可能なものである。同様に、グループQ2及びグループQ6に属する各レジスタRGは中ドットの画素データSI(データ[10])に対応する選択データを、グループQ3及びグループQ7に属する各レジスタRGは大ドットの画素データSI(データ[11])に対応する選択データを、それぞれ記憶可能なものである。
【0052】
また、同じ行に属する各レジスタRGは、同じ波形部の選択データを記憶可能なものである。具体的に説明すると、グループG11に属する各レジスタRGは、期間T11で生成される第1波形部SS11用の選択データを記憶可能なものである。そして、グループG12に属する各レジスタRGは、期間T12で生成される第2波形部SS12用の選択データを記憶可能なものである。さらに、グループG13に属する各レジスタRGは、期間T13で生成される第3波形部SS13用の選択データを記憶可能なものである。
【0053】
なお、グループG14に属する各レジスタRGは、本実施形態では使用されていない。このグループG14に属する各レジスタRGは、第1駆動信号COM_Aが4つの波形部から構成された場合に、4番目の波形部用の選択データが記憶される。
【0054】
そして、グループG21に属する各レジスタRGには、期間T21で生成される第1波形部SS21用の選択データが、グループG22に属する各レジスタRGには、期間T22で生成される第2波形部SS22用の選択データが、それぞれ記憶される。また、本実施形態では、グループG23に属する各レジスタRG、及びグループG23に属する各レジスタRGは、使用されない。
【0055】
以上を総括すると、制御ロジック84が有する各レジスタRGは、対応する駆動信号の種類(第1駆動信号COM_A,第2駆動信号COM_B)、対応する画素データSI(データ[00]〜データ[11])、対応する波形部(第1波形部SS11や第2波形部SS22等)の各因子で定まる選択データを記憶するものといえる。例えば、グループQ0とグループG11の両方に属するレジスタRG(Q0,G11)には、ドット無しの画素データSI(データ[00])における、第1駆動信号COM_Aの第1波形部SS11に対応する選択データが記憶される。また、グループQ3とグループG13の両方に属するレジスタRG(Q3,G13)には、大ドットの画素データSI(データ[11])における、第1駆動信号COM_Aの第3波形部SS13に対応する選択データが記憶される。同様に、グループQ7とグループG22の両方に属するレジスタRG(Q7,G22)には、大ドットの画素データSI(データ[11])における、第2駆動信号COM_Aの第2波形部SS22に対応する選択データが記憶される。
【0056】
これらのレジスタRGに記憶された選択データは、マルチプレクサMX0〜マルチプレクサMX7により、ラッチ信号LATが有するラッチパルス、第1チェンジ信号CH_Aが有するチェンジパルス、及び第2チェンジ信号CH_Bが有するチェンジパルスで規定されるタイミングで順次選択される。そして、マルチプレクサMX0〜マルチプレクサMX7で選択された選択データは、第1駆動信号COM_A用の第1選択データq0〜q3、及び第2駆動信号COM_B用の第2選択データq4〜q7として、第1駆動信号COM_A用の制御信号線群CTL_A、及び第2駆動信号COM_B用の制御信号線群CTL_Bを通じて出力される。
【0057】
ここで、第1選択データq0はドットなしの階調値に対応する選択データである。また、第1選択データq1は小ドットの階調値に対応する選択データである。同様に、第1選択データq2は中ドットの階調値に対応する選択データであり、第1選択データq3は大ドットの階調値に対応する選択データである。一方、第2選択データq4はドット無しの階調値に対応する選択データであり、第2選択データq5は小ドットの階調値に対応する選択データである。また、第2選択データq6は中ドットの階調値に対応する選択データであり、第2選択データq7は大ドットの階調値に対応する選択データである。
【0058】
なお、各レジスタRGの値は、図7のプログラムデータとクロックSCLKとを用いて、シリアル転送によって設定される。ちなみに、この設定において、同じ階調を制御する第1選択データq0と第2選択データq4が、共にデータ[1]とされることはない。このようにしてしまうと、第1駆動信号生成部70Aと第2駆動信号生成部70Bとが短絡してしまうからである。
【0059】
次に、デコーダ83について説明する。デコーダ83は、第1選択データq0〜q3、及び第2選択データq4〜q7の中から、ラッチされた画素データSIに対応するものを選択し、スイッチ制御信号SWとして出力する。このデコーダ83は、第1スイッチ制御信号SW_Aを出力する第1デコード部83Aと、第2スイッチ制御信号SW_Bを出力する第2デコード部83Bとを有する。
【0060】
第1デコード部83Aは、4つのアンドゲート831A〜834Aと、1つのオアゲート835Aを有している。各アンドゲート831A〜834Aは入力端子が3つ、出力端子が1つのものであり、第1選択データq0〜q3のうちの1つの選択データと、画素データSIの上位ビットのデータと、画素データSIの下位ビットのデータとが入力される。そして、各アンドゲート831A〜834Aは、画素データSIの上位ビットのデータと下位ビットのデータの入力の仕方が異なっている。
【0061】
すなわち、アンドゲート831Aには、ドット無しの第1選択データq0と、画素データSIの上位ビットの反転データと、下位ビットの反転データとが入力されている。このため、画素データSIがデータ[00]の場合において、このアンドゲート831Aからの出力は、ドット無しの第1選択データq0に従った内容になる。そして、アンドゲート832Aには、小ドットの第1選択データq1と、画素データSIの上位ビットの反転データと、下位ビットのデータとが入力されている。このため、画素データSIがデータ[01]の場合において、このアンドゲート832Aからの出力は、小ドットの第1選択データq1に従った内容になる。また、アンドゲート833Aには、中ドットの第1選択データq2と、画素データSIの上位ビットのデータと、下位ビットの反転データとが入力されている。このため、画素データSIがデータ[10]の場合において、このアンドゲート832Aからの出力は、中ドットの第1選択データq2に従った内容になる。また、アンドゲート834Aには、大ドットの第1選択データq3と、画素データSIの上位ビットのデータと、下位ビットのデータとが入力されている。このため、画素データSIがデータ[11]の場合において、このアンドゲート832Aからの出力は、大ドットの第1選択データq3に従った内容になる。
【0062】
オアゲート835Aは入力端子が4つ、出力端子が1つのものである。そして、4つの入力端子のそれぞれには、各アンドゲート831A〜834Aからの出力が入力されている。このオアゲート835Aからは、第1スイッチ制御信号SW_Aが出力される。すなわち、第1選択データq0〜q3の内、ラッチされた画素データSIに対応するものが、第1スイッチ制御信号SW_Aとして出力される。
【0063】
第2デコード部83Bもまた、4つのアンドゲート831B〜834Bと、1つのオアゲート835Bを有している。この第2デコード部83Bの構成は、第1デコード部83Aと同様である。すなわち、アンドゲート831Bには、ドット無しの第2選択データq4と、画素データSIの上位ビットの反転データと、下位ビットの反転データとが入力されている。アンドゲート832Bには、小ドットの第2選択データq5と、画素データSIの上位ビットの反転データと、下位ビットのデータとが入力されている。アンドゲート833Bには、中ドットの第2選択データq6と、画素データSIの上位ビットのデータと、下位ビットの反転データとが入力されている。アンドゲート834Bには、大ドットの第1選択データq7と、画素データSIの上位ビットのデータと、下位ビットのデータとが入力されている。オアゲート835Bには、4つのアンドゲート831B〜834Bからの出力が入力されている。そして、オアゲート835Bからは、第2選択データq4〜q7の内、ラッチされた画素データSIに対応するものが、第2スイッチ制御信号SW_Bとして出力される。
【0064】
デコーダ83から出力された第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bは、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bに入力される。これらの第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bは、抵抗値を変えることでオン状態とオフ状態とを切り替えるものである。例えば、オン状態では100Ω程度の抵抗値となり、オフ状態では数十MΩ以上の抵抗値となる。このような第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bを用いると、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの状態が切り替えられる際において、スイッチングノイズが発生し難い。このため、駆動信号COMの切り替え時において、貫通電流が流れてしまう不具合を、確実に防止することができる。
【0065】
そして、第1スイッチ86Aの入力側には駆動信号生成回路70からの第1駆動信号COM_Aが印加されており、第2スイッチ86Bの入力側には第2駆動信号COM_Bが印加されている。また、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bの共通の出力側にはピエゾ素子417が電気的に接続されている。これらの第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bは、生成される駆動信号COM毎に設けられるスイッチであり、第1駆動信号COM_Aを構成する波形部SS11〜SS13と、第2駆動信号COM_Bを構成する波形部SS21,SS22を、ピエゾ素子417へ選択的に印加させる。
【0066】
第1スイッチ制御信号SW_Aは第1スイッチ86Aの動作を制御し、第2スイッチ制御信号SW_Bは第2スイッチ86Bの動作を制御する。すなわち、第1スイッチ制御信号SW_Aがデータ[1]の場合、第1スイッチ86Aがオン状態となって、第1駆動信号COM_Aがピエゾ素子417に印加される。また、第1スイッチ制御信号SW_Aがデータ[0]の場合、第1スイッチ86Aがオフ状態となるので、第1駆動信号COM_Aはピエゾ素子417に印加されない。同様に、第2スイッチ制御信号SW_Bがデータ[1]の場合、第2スイッチ86Bがオン状態となって、第2駆動信号COM_Bがピエゾ素子417に印加される。また、第2スイッチ制御信号SW_Bがデータ[0]の場合、第2スイッチ86Bがオフ状態となるので、第2駆動信号COM_Bはピエゾ素子417に印加されない。
【0067】
なお、ピエゾ素子417はコンデンサの様に振る舞う。このため、駆動信号COMの印加が停止された場合において、ピエゾ素子417は停止直前の電位を維持する。従って、駆動信号COMの印加が停止されている期間において、ピエゾ素子417は、駆動信号COMの印加が停止される直前の変形状態を維持する。
【0068】
また、本実施形態では、デコーダ83と、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの間に、防止回路85が配置されている。この防止回路85は、1つのピエゾ素子417に対して、第1駆動信号COM_A及び第2駆動信号COM_Bが同時に印加されることを防止するためのコントローラに相当する。すなわち、防止回路85は、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMを、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bの一方から他方へ切り替える際に、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの両方をオフ状態にさせる。なお、防止回路85については、後で詳細に説明する。
【0069】
<階調制御について>
次に、このプリンタ1における階調制御について説明する。ここで、図9は、第1駆動信号COM_Aと、第2駆動信号COM_Bと、必要な制御信号を説明する図である。図10は、大ドットの形成時、中ドットの形成時、及び小ドットの形成時において、ピエゾ素子417に印加される波形部を説明する図である。この階調制御において、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bは、前述したように、第1スイッチ制御信号SW_A,第2スイッチ制御信号SW_Bに基づいて動作が制御される。
【0070】
まず、大ドットの形成(画素データSIがデータ[11])の場合について説明する。この場合、デコーダ83は、大ドットの形成を示す画素データSIに基づき、第1選択データq3及び第2選択データq7を選択する。そして、第1選択データq3が第1スイッチ制御信号SW_Aとして出力され、第2選択データq7が第2スイッチ制御信号SW_Bとして出力される。本実施形態では、第1スイッチ制御信号SW_AがT11、T12、T13の時系列に従って、データ[110]とされ、第2スイッチ制御信号SW_BがT21、T22の時系列に従って、データ[01]とされる。これにより、図10の最上段に示すように、第1駆動信号COM_Aは期間T11と期間T12でピエゾ素子417に印加され、第2駆動信号COM_Bは期間T22でピエゾ素子417に印加される。すなわち、期間T12と期間T22でピエゾ素子417に印加される駆動信号COMを入れ替えている。その結果、第1駆動信号COM_Aの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と、第1駆動信号COM_Aの第2波形部SS12が有する駆動パルスPS2と、第2駆動信号COM_Bの第2波形部SS22が有する駆動パルスPS5とがピエゾ素子417へ順に印加され、ノズルNzからは大ドットに対応する量のインクが吐出される。
【0071】
次に、中ドットの形成(画素データSIがデータ[10])の場合について説明する。この場合、デコーダ83は、中ドットの形成を示す画素データSIに基づき、第1選択データq2及び第2選択データq6を選択し、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bとして出力する。本実施形態では、第1スイッチ制御信号SW_Aがデータ[001]とされ、第2スイッチ制御信号SW_Bがデータ[00]とされる。これにより、図10の中上段に示すように、第1駆動信号COM_Aは期間T13でピエゾ素子417に印加され、第2駆動信号COM_Bはピエゾ素子417に印加されない。従って、第1駆動信号COM_Aの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3がピエゾ素子417に印加され、ノズルNzからは中ドットに対応する量のインクが吐出される。
【0072】
次に、小ドットの形成(画素データSIがデータ[01])の場合について説明する。この場合、デコーダ83は、小ドットの形成を示す画素データSIに基づき、第1選択データq1及び第2選択データq5を選択し、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bとして出力する。本実施形態では、第1スイッチ制御信号SW_Aがデータ[001]とされ、第2スイッチ制御信号SW_Bがデータ[00]とされる。これにより、図10の中下段に示すように、第2駆動信号COM_Bは期間T21でピエゾ素子417に印加され、第1駆動信号COM_Aはピエゾ素子417に印加されない。従って、第2駆動信号COM_Bの第1波形部SS21が有する駆動パルスPS4がピエゾ素子417に印加され、ノズルNzからは小ドットに対応する量のインクが吐出される。
【0073】
なお、ドットの非形成(画素データSIがデータ[00])の場合、デコーダ83は、小ドットの形成を示す画素データSIに基づき、第1選択データq0及び第2選択データq4を選択し、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bとして出力する。本実施形態では、第1スイッチ制御信号SW_Aがデータ[000]とされ、第2スイッチ制御信号SW_Bがデータ[00]とされる。これにより、図10の最下段に示すように、第1駆動信号COM_Aも第2駆動信号COM_Bも、ピエゾ素子417に印加されない。
【0074】
<印刷動作について>
前述した構成を有するプリンタ1では、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63に格納されたコンピュータプログラムに従って、制御対象部(用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路70)を制御する。従って、このコンピュータプログラムは、この制御を実行するためのコードを有する。そして、制御対象部を制御することで、用紙Sに対する印刷動作が行われる。
【0075】
ここで、図11は、印刷動作を説明するフローチャートである。例示した印刷動作は、印刷命令の受信動作(S10)、給紙動作(S20)、ドット形成動作(S30)、搬送動作(S40)、排紙判断(S50)、排紙処理(S60)、及び印刷終了判断(S70)を有している。以下、各動作について、簡単に説明する。
【0076】
印刷命令の受信動作(S10)は、コンピュータ110からの印刷命令を受信する動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60はインタフェース部61を介して印刷命令を受信する。
給紙動作(S20)は、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂頭出し位置)に位置決めする動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動するなどして、給紙ローラ21や搬送ローラ23を回転させる。
ドット形成動作(S30)は、用紙Sにドットを形成するための動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ31を駆動したり、駆動信号生成回路70やヘッド41に対して制御信号を出力したりする。これにより、ヘッド41の移動中にノズルNzからインクが吐出され、用紙Sにドットが形成される。
搬送動作(S40)は、用紙Sを搬送方向へ移動させる動作である。この動作において、プリンタ側コントローラ60は、搬送モータ22を駆動して搬送ローラ23を回転させる。この搬送動作により、先程のドット形成動作によって形成されたドットとは異なる位置に、ドットを形成することができる。
排紙判断(S50)は、印刷対象となっている用紙Sに対する排出の要否を判断する動作である。この判断は、例えば、印刷データの有無に基づき、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
排紙処理(S60)は、用紙Sを排出させる処理であり、先程の排紙判断で「排紙する」と判断されたことを条件に行われる。この場合、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることで、印刷済みの用紙Sを外部に排出させる。
印刷終了判断(S70)は、印刷を続行するか否かの判断である。この判断も、プリンタ側コントローラ60によって行われる。
【0077】
===本実施形態の概要===
<スイッチ制御信号SWについて>
ところで、以上は、プリンタ1の構成を説明する目的で、理想的な状態を前提にして説明を行った。このため、第1スイッチ制御信号SW_Aと第2スイッチ制御信号SW_Bとが同時にオンレベル(例えばデータ[1])を示すことはなかった。しかし、実際にプリンタ1を動作させた場合には、望まないロジックの発生等によって、第1スイッチ制御信号SW_Aと第2スイッチ制御信号SW_Bとが同時にオンレベルとなる可能性がある。ここで、図12Aは、切り替えタイミングにおけるスイッチ制御信号SWの電圧変化を説明する模式図である。図12Bは、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bとが同時にオンされた状態を模式的に説明する図である。
【0078】
図12Aに示すように、スイッチ制御信号SW(第1スイッチ制御信号SW_A,第2スイッチ制御信号SW_B)は、ラッチ信号LATのラッチパルス、第1チェンジ信号CH_Aのチェンジパルス、第2チェンジ信号CH_Bのチェンジパルス(以下、これらのパルスを総称して「タイミングパルス」ともいう。)を契機に内容が更新される。この更新時において、スイッチ制御信号SWが確定せず、どちらのロジックレベルになるかわからない期間が生ずる可能性がある。望まないロジックレベルの発生の原因は種々考えられるが、原因の1つにロジック回路の動作が挙げられる。前述したように、デコーダ83や制御ロジック84は、多くのゲート(アンドゲート831A〜834A,831A〜834A,オアゲート835A,835B)、レジスタRG、及びマルチプレクサMX0〜MX7といった構成素子を有している。これらの構成素子が動作する際において、各構成素子のディレイ時間は、通常異なっている。このため、状態が最終的に確定するまでに、望まないロジックレベルが発生する可能性がある。
【0079】
なお、望まないロジックレベルは、スイッチ制御信号SWの内容が切り替えタイミングの前後で変化する場合のみならず、切り替えタイミングの前後で同じ場合であっても生じ得る。前述したように、制御ロジック84の各レジスタRGには、波形部毎の選択データが記憶されている。このため、スイッチ制御信号SWの内容が切り替えタイミングの前後で同じであっても、その素となる選択データは、それぞれ異なるレジスタRGに記憶されている。例えば、繰り返し周期Tの各期間T11,T12,T13において、選択データq0はいずれもデータ[0]である。しかし、期間T11で用いられるものはレジスタRG(Q0,G11)に、期間T12で用いられるものはレジスタRG(Q0,G12)に、期間T13で用いられるものはレジスタRG(Q0,G13)にそれぞれ記憶されている。従って、マルチプレクサMX0は、第1チェンジ信号CH_Aのチェンジパルスを契機に、選択データq0の読み出し対象となるレジスタRGを切り替える必要があり、この切り替え動作に起因して、切り替え時の望まないロジックレベルが生じる可能性がある。
【0080】
そして、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bとを切り替えるタイミングでは、望まないロジックの発生によって第1スイッチ制御信号SW_Aと第2スイッチ制御信号SW_Bが共にオンレベルとなる可能性がある。図9の例では、ラッチ信号LATにおけるラッチパルスの生成期間でこれらのスイッチ制御信号SW_A,SW_Bが共にオンレベルとなる可能性がある。また、第1チェンジ信号CH_Aのチェンジパルスと第2チェンジ信号CH_Bのチェンジパルスが同時に生成される期間でも、これらのスイッチ制御信号SW_A,SW_Bが共にオンレベルになる可能性がある。具体的には、第1チェンジ信号CH_Aの2番目のチェンジパルスの生成期間、つまり、第2チェンジ信号CH_Bのチェンジパルスの生成期間で、これらのスイッチ制御信号SW_A,SW_Bが共にオンレベルになる可能性がある。
【0081】
これらのスイッチ制御信号SW_A,SW_Bが共にオンレベルになると、対応する各スイッチ86A,86Bがオン状態になる。図12Bに模式的に示すように、このオン状態において、各スイッチ86A,86Bは、その抵抗値が100Ω程度まで低下する。この切り替えタイミングにおいて、第1駆動信号COM_Aの電圧と第2駆動信号COM_Bの電圧は、設計上、基準となる中間電圧VCで揃えられている。しかし、実際のプリンタ1では、第1駆動信号生成部70Aと第2駆動信号生成部70Bのばらつきにより、第1駆動信号COM_Aの中間電圧VC_Aと第2駆動信号COM_Bの中間電圧VC_Bとがばらつく場合がある。この場合、中間電圧VCの低い側へ電流が流れてしまう。仮に、第2駆動信号COM_Bの中間電圧VC_Bよりも第1駆動信号COM_Aの中間電圧VC_Aの方が低い場合には、第1駆動信号生成部70Aへ向けて電流Iが流れてしまう。この電流Iは、本来不必要な電流であるだけでなく、大きな値に至る可能性があり、第1駆動信号生成部70Aに悪影響を及ぼす虞がある。
【0082】
<第1スイッチ86A,第2スイッチ86Bについて>
また、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bのオンオフ状態が切り替わる時に、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bとが同時にオン状態になる可能性もある。ここで、図13Aは、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの状態変化を説明する図である。図13Bは、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの他の状態変化を説明する図である。
【0083】
第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bは、抵抗値の変化によってオンオフ状態を切り替えるものであるため、例えば図13Aに示すように、その抵抗値に応じてオフ状態、不安定状態、オン状態に変化する。ここで、不安定状態はオン状態とオフ状態の両方になり得る状態である。このため、図中一点鎖線で示すように、第1スイッチ86Aがオフ状態からオン状態に切り替わり、図中実線で示すように、第2スイッチ86Bがオン状態からオフ状態に切り替わった場合には、符号OTで示す期間に亘って第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bとが共にオン状態になる可能性がある。また、第1スイッチ86Aがオフ状態になるタイミングと、第2スイッチ86Bがオン状態になるタイミングとがずれてしまった場合には、符号OT´で示すように、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bが共にオン状態になる可能性がより高くなる。そして、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bが共にオン状態になった場合には、図12Bで説明したように、駆動回路間の貫通電流となり悪影響が生じ得る。
【0084】
そこで、本実施形態では、このような悪影響を防止するため、第1駆動信号COM_Aのピエゾ素子417への印加を制御する第1スイッチ86A、及び第2駆動信号COM_Bのピエゾ素子417への印加を制御する第2スイッチ86Bの動作を、コントローラとしての防止回路85によって制御する。すなわち、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMを、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bの一方から他方へ切り替える際に、防止回路85によって、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの両方をオフ状態にさせる。このような構成を採ることにより、駆動信号COMが切り替えられる際において、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bとに電圧の差があったとしても、貫通電流が流れてしまう不具合を防止することができる。
【0085】
===防止回路===
<防止回路85の構成について>
次に、防止回路85の構成について説明する。ここで、図14は、防止回路の構成を示す図である。図15Aは、第1スイッチ制御信号SW_Aと第1アンドゲート852の出力の関係を説明する図である。図15Bは、第2スイッチ制御信号SW_Bと第2アンドゲート853の出力の関係を説明する図である。図16は、タイミングパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのタイミングと、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの抵抗値の変化の関係を模式的に示した図である。
【0086】
防止回路85は、ゲート制御信号出力部851と、第1アンドゲート852と、第2アンドゲート853とを有する。ゲート制御信号出力部851は、ラッチ信号LAT、第1チェンジ信号CH_A、及び第2チェンジ信号CH_Bに基づいて、ゲート制御信号GSを出力するものである。ここで、ゲート制御信号GSは、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bを、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bへ出力させるか否かを定めるための信号である。言い換えれば、ゲート制御信号GSは、これらの第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bを、有効にするか無効にするかを定めるための信号である。このゲート制御信号出力部851は、アンドゲート851aとオアゲート851bとを有している。アンドゲート851aは2つの入力端子と1つの出力端子とを有している。そして、入力端子の一方には第1チェンジ信号CH_Aが入力され、入力端子の他方には第2チェンジ信号CH_Bが入力される。オアゲート851bもまた、2つの入力端子と1つの出力端子とを有している。そして、入力端子の一方にはラッチ信号LATが入力され、入力端子の他方にはアンドゲート851aからの信号が入力される。
【0087】
このゲート制御信号出力部851から出力されるゲート制御信号GSは、ラッチ信号LATがHレベル(データ[1]のレベル)の場合にHレベルになる。また、第1チェンジ信号CH_Aと第2チェンジ信号CH_Bが共にHレベルの場合にも、ゲート制御信号GSはHレベルになる。そして、これら以外の場合には、ゲート制御信号GSはLレベルになる。すなわち、ゲート制御信号GSは、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMが、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bの一方から他方へ切り替えられる可能性があるタイミングでHレベルになる。
【0088】
第1アンドゲート852は、コントローラにおける第1ゲートに相当するものである。この第1アンドゲート852は、2つの入力端子と1つの出力端子を有している。そして、入力端子の一方には第1スイッチ制御信号SW_Aが入力され、入力端子の他方には反転されたゲート制御信号GSが入力される。第2アンドゲート853は、コントローラにおける第2ゲートに相当するものである。この第2アンドゲート853も2つの入力端子と1つの出力端子を有している。そして、入力端子の一方には第2スイッチ制御信号SW_Bが入力され、入力端子の他方には反転されたゲート制御信号GSが入力される。このような第1アンドゲート852及び第2アンドゲート853からは、ゲート制御信号GSがLレベル(所定レベルに相当する。)の場合に、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bが出力される。つまり、これらの第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bが有効になる。
【0089】
一方、ゲート制御信号GSがHレベル(他の所定レベルに相当する。)の場合には、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bに拘わらず、第1アンドゲート852及び第2アンドゲート853の出力はLレベルとなる。つまり、第1アンドゲート852からは、第1スイッチ86Aをオフ状態にするための第1オフ制御信号が出力される。同様に、第2アンドゲート853からは、第2スイッチ86Bをオフ状態にするための第2オフ制御信号が出力される。従って、第1スイッチ制御信号SW_A及び第2スイッチ制御信号SW_Bは無効になる。
【0090】
そして、ゲート制御信号GSは、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMが、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bの一方から他方へ切り替えられる際にHレベルになる。詳しくは、タイミングパルス(ラッチパルス,チェンジパルス)の立ち上がりエッジのタイミングでLレベルからHレベルに変化し、立ち下がりエッジのタイミングでHレベルからLレベルに変化する。このため、駆動信号COMの切り替え期間に亘って、第1アンドゲート852及び第2アンドゲート853の出力はLレベルとなる。そして、第1アンドゲート852から出力された信号は第1スイッチ86Aに入力され、第2アンドゲート853から出力された信号は第2スイッチ86Bに入力される。その結果、駆動信号COMの切り替え期間に亘って、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bが共にオフ状態とされる。
【0091】
ここで、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bがオフ状態とされる期間、つまり、タイミングパルスの立ち上がりエッジのタイミングt1から立ち下がりエッジのタイミングt2までの期間ETは、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bがオン状態の抵抗値からオフ状態の抵抗値に変化するために必要な時間よりも長く定められる。これにより、ピエゾ素子417に印加される駆動信号COMが切り替えられる際において、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bは両方ともオフ状態となる。その後、駆動信号COMが印加される側のスイッチがオン状態に変化する。このように、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bは、オフ状態を経てからオン状態に切り替わるので、両方のスイッチが同時にオン状態になる不具合を確実に防止することができる。このため、中間電圧VCの違いに起因して流れる貫通電流Iを確実に防止することができる。
【0092】
そして、本実施形態では、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bがオフ状態とされる期間を、前述したタイミングパルスを用いて定めている。詳しくは、タイミングパルスの前側エッジのタイミング後側エッジのタイミングを基準にして、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの制御を行っている。このため、オン状態にしたりオフ状態にしたりするタイミングを、第1スイッチ86Aと第2スイッチ86Bとで合わせることができる。その結果、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bが同時にオン状態となってしまう不具合を確実に防止することができる。
【0093】
また、本実施形態では、防止回路85がアンドゲートやオアゲートといったロジック回路で構成されている。そして、第1アンドゲート852及び第2アンドゲート853の動作を、ゲート制御信号GSで制御している。このため、構成の簡素化が図れ、高速処理に適する。
【0094】
===第2実施形態===
ところで、前述した第1実施形態の防止回路85は、タイミングパルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを用いて第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bをオフ状態にする期間を定めていた。このため、オフ状態にさせる期間について設定の自由度がなく、ラッチ信号LAT,第1チェンジ信号CH_A,第2チェンジ信号CH_Bが適正なパルス幅となるように設計しなければならなかった。このオフ状態の期間を、タイミングパルスに拘わらずに定めることができれば、オフ時間の最適化が図れて好ましい。以下、このように構成した第2実施形態について説明する。ここで、図17は、第2実施形態を説明する図である。
【0095】
この第2実施形態は、ゲート制御信号出力部851と第1アンドゲート852との間に、単安定マルチバイブレータ854を設けている点が、前述した第1実施形態と相違する。この単安定マルチバイブレータ854は、タイミングパルスに基づき、所定時間に亘ってHレベルの信号を出力するものである。すなわち、単安定マルチバイブレータ854は、タイマーとして機能する。この単安定マルチバイブレータ854が出力する信号におけるHレベルの時間ET´、つまり、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bをオフ状態にする期間は、例えば接続されるコンデンサ855の容量を変えることで調整することができる。従って、この実施形態では、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bをオフ状態にする期間について最適化が図れる。また、オフ状態にする期間を精度良く定めることもできる。
【0096】
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてプリンタ1を有する印刷システム100について記載されているが、その中には、駆動信号の印加方法や液体吐出システム等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0097】
<ゲート制御信号出力部について>
第1実施形態及び第2実施形態において、ゲート制御信号出力部851は、第1アンドゲート852と、第2アンドゲート853とを有するものであり、共通のゲート制御信号GSを出力するものであった。しかし、この構成に限定されるものではない。ここで、図18は、他の実施形態におけるゲート制御信号出力部851´を説明する図である。図19Aは、第1スイッチ制御信号SW_Aと第1アンドゲート852の出力の関係を説明する図である。図19Bは、第2スイッチ制御信号SW_Bと第2アンドゲート853の出力の関係を説明する図である。
【0098】
このゲート制御信号出力部851´は、第1アンドゲート852用の第1ゲート制御信号GS_Aと、第2アンドゲート853用の第2ゲート制御信号GS_Bとを出力するものである。すなわち、ゲート制御信号出力部851´は、第1オアゲート851cと、第2オアゲート851dとを有する。
【0099】
第1オアゲート851cは2つの入力端子と1つの出力端子とを有している。そして、入力端子の一方にはラッチ信号LATが入力され、入力端子の他方には第1チェンジ信号CH_Aが入力される。従って、この第1オアゲート851cから出力される第1ゲート制御信号GS_Aは、ラッチ信号LATのラッチパルスと、第1チェンジ信号CH_Aのチェンジパルスのいずれかに同期して出力をHレベルにする。
【0100】
第2オアゲート851dもまた2つの入力端子と1つの出力端子とを有している。そして、入力端子の一方にはラッチ信号LATが入力され、入力端子の他方には第2チェンジ信号CH_Bが入力される。従って、この第2オアゲート851dから出力される第2ゲート制御信号GS_Bは、ラッチ信号LATのラッチパルスと、第2チェンジ信号CH_Bのチェンジパルスのいずれかに同期して出力をHレベルにする。
【0101】
そして、他の実施形態でも、前述した第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0102】
また、これらの例では、ゲート制御信号出力部851,851´を用いて第1スイッチ86A,第2スイッチ86Bを制御する構成を採っていたが、これらの構成に限定されるものではない。すなわち、第1スイッチ86A及び第2スイッチ86Bの両方をオフ状態にできればよい。
【0103】
<駆動素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子417を用いてインクを吐出させていた。しかし、インクを吐出させるための素子は、ピエゾ素子417に限られるものではない。例えば、発熱素子や磁歪素子等、インクを吐出させるための動作を実行である素子ならば使用することができる。
【0104】
<駆動信号COMについて>
前述した実施形態では、第1駆動信号COM_Aと第2駆動信号COM_Bからなる2種類の駆動信号COMを出力するプリンタ1を例に挙げたが、この構成に限定されるものではない。すなわち、3種類以上の駆動信号COMを同時に生成可能なプリンタ1であってもよい。
【0105】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、液体状の染料インク又は顔料インクをノズルNzから吐出させていた。しかし、ノズルNzから吐出させるインクは、液体状であれば、このようなインクに限られるものではない。
【0106】
<他の応用例について>
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【符号の説明】
【0107】
1 プリンタ,20 用紙搬送機構,21 給紙ローラ,
22 搬送モータ,23 搬送ローラ,24 プラテン,25 排紙ローラ,
30 キャリッジ移動機構,31 キャリッジモータ,32 ガイド軸,
33 タイミングベルト,34 駆動プーリー,35 従動プーリー,
40 ヘッドユニット,41 ヘッド,411 ノズルプレート,
41A 流路ユニット,41B アクチュエータユニット,
412 貯留室形成基板,412a インク貯留室,
413 供給口形成基板,413a インク供給口,
414 圧力室形成基板,414a 圧力室,415 振動板,
416 蓋部材,416a 供給側連通口,417 ピエゾ素子,
42 ヘッドケース,50 検出器群,51 リニア式エンコーダ,
52 ロータリー式エンコーダ,53 紙検出器,54 紙幅検出器,
60 プリンタ側コントローラ,61 インタフェース部,
62 CPU,63 メモリ,64 制御ユニット,
70 駆動信号生成回路,
70A 第1駆動信号生成部,70B 第2駆動信号生成部,
71A 第1波形生成回路,71B 第2波形生成回路,
72A 第1電流増幅回路,72B 第2電流増幅回路,
81A 第1シフトレジスタ,81B 第2シフトレジスタ,
82A 第1ラッチ回路,82B 第2ラッチ回路,
83 デコーダ,83A 第1デコード部,83B 第2デコード部,
831A〜834A アンドゲート,831B〜834B アンドゲート,
835A オアゲート,835B オアゲート,84 制御ロジック,
85 防止回路,851、851´ ゲート制御信号出力部,
851a アンドゲート,851b オアゲート,
851c 第1オアゲート,851d 第2オアゲート,
852 第1アンドゲート,853 第2アンドゲート,
854 単安定マルチバイブレータ,855 コンデンサ,
86A 第1スイッチ,86B 第2スイッチ,
100 印刷システム,110 コンピュータ,
111 ホスト側コントローラ,112 インタフェース部,
113 CPU,114 メモリ,
120 表示装置,130 入力装置,131 キーボード,
132 マウス,140 記録再生装置,
141 フレキシブルディスクドライブ装置,
142 CD−ROMドライブ装置,
S 用紙,CTR コントローラ基板,HC ヘッド制御部,
CR キャリッジ,Nz ノズル,
COM_A 第1駆動信号,COM_B 第2駆動信号,
SI 画素データ,LAT ラッチ信号,
CH_A 第1チェンジ信号,CH_B 第2チェンジ信号,
SW スイッチ制御信号,
SW_A 第1スイッチ制御信号,SW_B 第2スイッチ制御信号,
RG レジスタ,MX マルチプレクサ,
q0〜q3 第1選択データ,q4〜q7 第2選択データ,
CTL_A 制御信号線群,CTL_B 制御信号線群,
PS 駆動パルス,VC 中間電圧,GS ゲート制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)液体を吐出させるための動作を実行可能な素子と、
(B)第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(C)前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御する第1スイッチと、
(D)前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する第2スイッチと、
(E)前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるコントローラと、
を有する液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第1スイッチは、
第1スイッチ制御信号に基づいて前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御するものであり、
前記第2スイッチは、
第2スイッチ制御信号に基づいて前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御するものであり、
前記コントローラは、
前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるものである、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号の切り替えタイミングを規定するタイミングパルスに基づいて、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせるものである、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記タイミングパルスの前側エッジのタイミングで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にし、
前記タイミングパルスの後側エッジのタイミングで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にするものである、液体吐出装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記タイミングパルスに基づいて、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にし、
前記無効にしてから所定時間の経過後に、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にするものである、液体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記所定時間を計測するタイマーを有する、液体吐出装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記第1スイッチ制御信号とゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を前記第1スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が他の所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチをオフ状態にするための第1オフ制御信号を前記第1スイッチへ出力する第1ゲートと、
前記第2スイッチ制御信号と前記ゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が前記所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を前記第2スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が前記他の所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第2スイッチをオフ状態にするための第2オフ制御信号を前記第2スイッチへ出力する第2ゲートとを有し、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフ状態にさせる期間に亘って、前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにする、液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記第1スイッチは、
抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであり、
前記第2スイッチは、
抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものである、液体吐出装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体が印刷用の液体インクである、液体吐出装置。
【請求項10】
(A)印刷用の液体インクを吐出させるための動作を実行可能な素子と、
(B)第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(C1)抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであって、
(C2)第1スイッチ制御信号に基づいて、
(C3)前記第1駆動信号の前記素子への印加を制御する、第1スイッチと、
(D1)抵抗値の変化によってオン状態とオフ状態とを切り替えるものであって、
(D2)第2スイッチ制御信号に基づいて、
(D3)前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する、第2スイッチと、
(E1)前記第1スイッチ制御信号とゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を前記第1スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が他の所定レベルの場合に、前記第1スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチをオフ状態にするための第1オフ制御信号を前記第1スイッチへ出力する、第1ゲートと、
(E2)前記第2スイッチ制御信号と前記ゲート制御信号が入力され、前記ゲート制御信号が前記所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を前記第2スイッチへ出力し、前記ゲート制御信号が前記他の所定レベルの場合に、前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第2スイッチをオフ状態にするための第2オフ制御信号を前記第2スイッチへ出力する、第2ゲートとを有し、
(E3)前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、
(E4)前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、
(E5)前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号の切り替えタイミングを規定するタイミングパルスの前側エッジのタイミングで、
(E6)前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせ、
(E7)前記タイミングパルスの後側エッジのタイミングで、
(E8)前記ゲート制御信号を前記所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にし、
又は、
(E9)所定時間を計測するタイマーをさらに有し、
(E10)前記素子に印加される駆動信号を、前記第1駆動信号から前記第2駆動信号へ切り替える際に、
(E11)前記第1スイッチ制御信号、及び前記第2スイッチ制御信号に拘わらず、
(E12)前記タイミングパルスに基づき、前記ゲート制御信号を前記他の所定レベルにすることで、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を無効にして、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの両方をオフ状態にさせ、
(E13)前記オフ状態にさせてから前記所定時間の経過後に、前記ゲート制御信号を前記所定レベルにして、前記第1スイッチ制御信号及び前記第2スイッチ制御信号を有効にする、コントローラと、
を有する液体吐出装置。
【請求項11】
第1駆動信号、及び第2駆動信号を生成する駆動信号生成ステップと、
液体を吐出させるための動作を実行可能な素子への前記第1駆動信号の印加を制御する第1スイッチをオン状態にして、前記素子に前記第1駆動信号を印加する第1駆動信号印加ステップと、
前記第1スイッチ、及び前記第2駆動信号の前記素子への印加を制御する第2スイッチの両方をオフ状態にするスイッチオフステップと、
前記第2スイッチをオン状態にして、前記素子に前記第2駆動信号を印加する第2駆動信号印加ステップと、を有する駆動信号の印加方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−6424(P2013−6424A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209679(P2012−209679)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【分割の表示】特願2010−290623(P2010−290623)の分割
【原出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】